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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170903
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ロータの製造装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 15/02 20060101AFI20241204BHJP
   H02K 1/276 20220101ALI20241204BHJP
【FI】
H02K15/02 K
H02K1/276
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087665
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】竹本 雅昭
【テーマコード(参考)】
5H615
5H622
【Fターム(参考)】
5H615AA01
5H615BB07
5H615BB14
5H615PP02
5H615PP06
5H615SS13
5H615SS44
5H622CA02
5H622CA05
5H622CA07
5H622CA10
5H622PP20
(57)【要約】
【課題】急激な充填圧力の上昇を抑制できるロータの製造装置を提供する。
【解決手段】ロータの製造装置70は、ロータコア11の一方の端面11cに当接するとともに、端面11cに開口する磁石収容孔13の第1開口部13aを塞ぐ第1部材20と、磁石収容孔13の第2開口部13bを塞ぐように配置され、第2開口部13bに対して溶融した熱可塑性樹脂を供給する主通路40を有する第2部材30とを備える。第2部材30には、主通路40に接続される副通路50が設けられている。副通路50には、熱可塑性樹脂の充填圧力が所定の値以上に上昇した際に充填圧力を吸収する圧力吸収機構60が取り付けられている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁石が収容される複数の磁石収容孔を有する円筒状のロータコアと、前記磁石収容孔に充填される熱可塑性樹脂と、を備えるロータを製造する装置であって、
前記ロータコアの一方の端面に当接するとともに、前記端面に開口する前記磁石収容孔の第1開口部を塞ぐ第1部材と、
前記磁石収容孔の前記第1開口部とは反対側の第2開口部を塞ぐように配置され、前記第2開口部に対して溶融した前記熱可塑性樹脂を供給する主通路を有する第2部材と、を備え、
前記第2部材には、前記主通路に接続される副通路が設けられ、
前記副通路には、前記熱可塑性樹脂の充填圧力が所定の値以上に上昇した際に前記充填圧力を吸収する圧力吸収機構が取り付けられている、
ロータの製造装置。
【請求項2】
磁石が収容される複数の磁石収容孔を有する円筒状のロータコアと、前記磁石収容孔に充填される熱可塑性樹脂と、を備えるロータを製造する装置であって、
前記ロータコアの一方の端面に当接するとともに、前記端面に開口する前記磁石収容孔の第1開口部を塞ぐ第1部材と、
前記磁石収容孔の前記第1開口部とは反対側の第2開口部を塞ぐように配置され、前記第2開口部に対して溶融した前記熱可塑性樹脂を供給する主通路を有する第2部材と、を備え、
前記第1部材には、前記第1開口部に接続される副通路が設けられ、
前記副通路には、前記熱可塑性樹脂の充填圧力が所定の値以上に上昇した際に前記充填圧力を吸収する圧力吸収機構が取り付けられている、
ロータの製造装置。
【請求項3】
中心孔と、磁石が収容される複数の磁石収容孔と、を有する円筒状のロータコアと、前記磁石収容孔に充填される熱可塑性樹脂と、を備えるロータを製造する装置であって、
前記ロータコアの一方の端面に当接するとともに、前記端面に開口する前記磁石収容孔の第1開口部を塞ぐプレート部と、前記プレート部から突出するとともに、前記中心孔に挿通されるポスト部と、を有する第1部材と、
前記磁石収容孔の前記第1開口部とは反対側の第2開口部を塞ぐように配置される第2部材と、
前記ポスト部及び前記第2部材により構成され、前記第2開口部に対して溶融した前記熱可塑性樹脂を供給する主通路と、を備え、
前記ポスト部には、前記主通路に接続される副通路が設けられ、
前記副通路には、前記熱可塑性樹脂の充填圧力が所定の値以上に上昇した際に前記充填圧力を吸収する圧力吸収機構が取り付けられている、
ロータの製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータの製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ロータコアに設けられた磁石挿入孔に収容された永久磁石を樹脂により埋設するための樹脂充填装置が記載されている。この装置は、互いに上下に対向して設けられた上型及び下型を備えている。
【0003】
上型は、ロータコアの上面に当接する当接面が形成された上型本体部と、当接面から下方に突出する固定用ブロックとを有している。
下型は、下型本体部と、下型本体部の上面に取り付けられるランナープレートとを有している。下型本体部には、射出成形機からの樹脂を導くための通路であるスプルー部が形成されている。ランナープレートには、スプルー部の下流端に接続されるとともに、ロータコアの各磁石挿入孔に向けて延びる分岐通路と、分岐通路の下流端に接続されるゲート部とが設けられている。
【0004】
こうした装置においては、射出成形機から溶融した熱可塑性樹脂をスプルー部へ流入させると、スプルー部に流入した樹脂は、各分岐通路及びゲート部を経て磁石挿入孔に注入される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】国際公開第2016/147211号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、こうした装置においては、樹脂の充填が完了する間際に、熱可塑性樹脂の粘度が高いことに起因する急激な圧力上昇、所謂サージ圧力が生じるといった問題がある。従来、こうした急激な圧力上昇によってロータコアのブリッジに亀裂等の変形が生じないように、ブリッジの幅を十分に確保するといった対策を要していた。しかしながら、この場合、ブリッジの幅が大きくなることによりモータの性能が低下するといった別の問題が生じる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためのロータの製造装置は、磁石が収容される複数の磁石収容孔を有する円筒状のロータコアと、前記磁石収容孔に充填される熱可塑性樹脂と、を備えるロータを製造する装置であって、前記ロータコアの一方の端面に当接するとともに、前記端面に開口する前記磁石収容孔の第1開口部を塞ぐ第1部材と、前記磁石収容孔の前記第1開口部とは反対側の第2開口部を塞ぐように配置され、前記第2開口部に対して溶融した前記熱可塑性樹脂を供給する主通路を有する第2部材と、を備え、前記第2部材には、前記主通路に接続される副通路が設けられ、前記副通路には、前記熱可塑性樹脂の充填圧力が所定の値以上に上昇した際に前記充填圧力を吸収する圧力吸収機構が取り付けられている。
【0008】
また、上記課題を解決するためのロータの製造装置は、磁石が収容される複数の磁石収容孔を有する円筒状のロータコアと、前記磁石収容孔に充填される熱可塑性樹脂と、を備えるロータを製造する装置であって、前記ロータコアの一方の端面に当接するとともに、前記端面に開口する前記磁石収容孔の第1開口部を塞ぐ第1部材と、前記磁石収容孔の前記第1開口部とは反対側の第2開口部を塞ぐように配置され、前記第2開口部に対して溶融した前記熱可塑性樹脂を供給する主通路を有する第2部材と、を備え、前記第1部材には、前記第1開口部に接続される副通路が設けられ、前記副通路には、前記熱可塑性樹脂の充填圧力が所定の値以上に上昇した際に前記充填圧力を吸収する圧力吸収機構が取り付けられている。
【0009】
また、上記課題を解決するためのロータの製造装置は、中心孔と、磁石が収容される複数の磁石収容孔と、を有する円筒状のロータコアと、前記磁石収容孔に充填される熱可塑性樹脂と、を備えるロータを製造する装置であって、前記ロータコアの一方の端面に当接するとともに、前記端面に開口する前記磁石収容孔の第1開口部を塞ぐプレート部と、前記プレート部から突出するとともに、前記中心孔に挿通されるポスト部と、を有する第1部材と、前記磁石収容孔の前記第1開口部とは反対側の第2開口部を塞ぐように配置される第2部材と、前記ポスト部及び前記第2部材により構成され、前記第2開口部に対して溶融した前記熱可塑性樹脂を供給する主通路と、を備え、前記ポスト部には、前記主通路に接続される副通路が設けられ、前記副通路には、前記熱可塑性樹脂の充填圧力が所定の値以上に上昇した際に前記充填圧力を吸収する圧力吸収機構が取り付けられている。
【0010】
これらの構成によれば、圧力吸収機構が取り付けられた副通路が主通路または第1開口部に接続される。そのため、充填圧力が所定の値以上に上昇することが圧力吸収機構により抑制される。したがって、急激な充填圧力の上昇を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、一実施形態に係るロータの製造装置を用いて製造されるロータの斜視図である。
図2図2は、図1のロータの断面図である。
図3図3は、一実施形態に係るロータの製造装置を示す断面図である。
図4図4は、樹脂充填工程の断面図である。
図5図5は、ロータの製造装置の変更例を示す断面図である。
図6図6は、ロータの製造装置の変更例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1図4を参照して、ロータの製造装置の一実施形態について説明する。
<ロータ10>
まず、図1及び図2を参照して、本実施形態の製造装置70を用いて製造される磁石埋込型モータのロータ10について説明する。
【0013】
図1及び図2に示すように、ロータ10は、ロータコア11、磁石14、及び熱可塑性樹脂15(以下、樹脂15)を備えている。
ロータコア11は、軸線Cを有する円筒状である。
【0014】
なお、以降において、ロータコア11の軸線方向を単に軸線方向とし、ロータコア11の径方向を単に径方向とし、ロータコア11の周方向を単に周方向として説明する。
ロータコア11は、電磁鋼板から打ち抜かれた複数の鉄心片12を軸線方向に積層することにより構成されている。
【0015】
ロータコア11は、中心孔11aと、複数の磁石収容孔13とを有している。
中心孔11aは、円形状であり、ロータコア11を軸線方向に貫通している。中心孔11aの内周面には、径方向において互いに対向する一対のキー部11bが突設されている。
【0016】
複数の磁石収容孔13は、中心孔11aの径方向の外側に位置するとともに周方向に互いに間隔をおいて設けられている。複数の磁石収容孔13の各々は、平面視長方形状であり、ロータコア11を軸線方向に貫通している。したがって、磁石収容孔13は、軸線方向におけるロータコア11の一方(図1の上下方向における下側)の端面11cに開口する第1開口部13aと、第1開口部13aとは反対側の第2開口部13bとを有している。
【0017】
磁石収容孔13は、周方向に対して傾斜している。詳しくは、周方向において隣り合う2つの磁石収容孔13の周方向に対する傾き方向は、互いに逆になっている。したがって、磁石収容孔13は、ロータコア11の外周面11eに対して近い端部13cと、外周面11eに対して遠い端部13dとを有している。
【0018】
図1に示すように、ロータコア11は、第1ブリッジ部16及び第2ブリッジ部17を有している。第1ブリッジ部16は、周方向において隣り合う磁石収容孔13同士の間の部分である。第2ブリッジ部17は、外周面11eと磁石収容孔13の端部13cとの間に位置する部分である。
【0019】
図2に示すように、各磁石収容孔13には、磁石14が収容されている。磁石14は、軸線方向に延びる直方体状である。
図2に示すように、各磁石収容孔13の内部には、ロータコア11に対して磁石14を固定するための樹脂15が充填されている。樹脂15は、例えば液晶ポリマー(Liquid Crystal Polymer(LCP))である。
【0020】
<製造装置70>
次に、ロータ10の製造装置70について説明する。
図3に示すように、製造装置70は、ロータコア11が載置される第1部材20と、軸線方向においてロータコア11を挟んで第1部材20とは反対側に配置される第2部材30と、圧力吸収機構60とを備えている。
【0021】
なお、以降では、軸線方向においてロータコア11に対して第1部材20側を「下」、「下側」などと称し、ロータコア11に対して第2部材30側を「上」、「上側」などと称する。
【0022】
<第1部材20>
図3に示すように、第1部材20は、固定型21と、ロータコア11を支持する積層治具22とを有している。
【0023】
固定型21は、積層治具22の下面22aを支持する支持面21aを有している。
積層治具22は、第1プレート部23、ピン27、及びポスト部28を有している。
第1プレート部23は、積層治具22の下面22aを構成する下側プレート24と、ロータコア11が載置される上側プレート25とを有している。
【0024】
上側プレート25は、挿通孔26を有している。挿通孔26は、各磁石収容孔13と軸線方向に重なる位置に設けられている。
挿通孔26には、ピン27が挿通されて固定されている。ピン27は、上側プレート25の上面25aよりも上側に突出する突出部27aを有している。
【0025】
ロータコア11の端面11cが上側プレート25の上面25aに当接されている状態において、上面25a及びピン27によって、磁石収容孔13の第1開口部13aが塞がれる。なお、第1プレート部23が、本発明に係るプレート部に相当する。
【0026】
ポスト部28は、円筒状であり、下側プレート24の中央部から上側に向けて突出している。ポスト部28は、上側プレート25を貫通している。ポスト部28は、ロータコア11の中心孔11aに挿入される。
【0027】
ポスト部28の外周面には、ロータコア11の各キー部11bが挿入される一対のキー溝部(図示略)が設けられている。ポスト部28のキー溝部に対してロータコア11のキー部11bが挿入されることで、下側プレート24に対するロータコア11の位相、より詳しくはロータコア11を構成する各積層ブロックの位相が決められる。
【0028】
ポスト部28の上端28aには、上側に向かって突出する複数の係合ピン29が設けられている。係合ピン29は、周方向において互いに間隔をあけて設けられている。
<第2部材30>
図3に示すように、第2部材30は、第2プレート部31と、可動型34とを有している。
【0029】
第2プレート部31は、磁石収容孔13の第2開口部13bを塞ぐようにロータコア11の端面11d上に載置される。
第2プレート部31の下面31bには、係合ピン29が係合可能に構成された複数の係合穴33が設けられている。
【0030】
可動型34は、第2プレート部31を挟んで第1部材20とは反対側において、第1部材20の固定型21に対して進退可能に設けられている。可動型34は、第1可動型34Aと、第1可動型34Aに対して相対的に分離可能に構成された第2可動型34Bとを有している。第1可動型34A及び第2可動型34Bの各々には、互いの分離方向において対向する溝部35及び溝部36が設けられている。
【0031】
図3に示すように、第2部材30は、第2開口部13bに対して溶融した樹脂15を供給する主通路40と、主通路40に接続される副通路50とを有している。
主通路40は、スプルー部41と、複数の磁石収容孔13にそれぞれ対応して設けられる複数の分岐通路42及び複数のゲート部43とを有している。
【0032】
図3及び図4に示すように、スプルー部41は、射出成形機のノズル(図示略)から溶融した樹脂15を導くための通路であり、可動型34を軸線方向に貫通している。スプルー部41は、軸線C上に設けられている。
【0033】
複数の分岐通路42は、スプルー部41の下端41aに接続されるとともに、径方向外側に向かって放射状に延びている。分岐通路42は、第2プレート部31の上面31aに形成された溝部32と、可動型34の下面34aとによって画定されている。
【0034】
ゲート部43は、分岐通路42の径方向外側の端に接続されるとともに、軸線方向に延びている。ゲート部43は、第2プレート部31の下面31bに開口している。
副通路50は、可動型34の内部に形成された収容室51と、収容室51から軸線方向に延びて可動型34の下面34aに開口する接続通路52とを有している。
【0035】
接続通路52は、分岐通路42と収容室51とを接続している。
副通路50は、第1可動型34Aに形成された溝部35と、第2可動型34Bに形成された溝部36とにより画定されている。
【0036】
<圧力吸収機構60>
収容室51には、コイルスプリング61の弾性力を利用して圧力を吸収する圧力吸収機構60が設けられている。圧力吸収機構60は、樹脂15の充填圧力が所定の値以上に上昇した際に充填圧力を吸収するように構成されている。
【0037】
次に、本実施形態の作用について説明する。
まず、図3に示すように、積層治具22に支持されたロータコア11の端面11dに第2プレート部31が載置される。このとき、ゲート部43は、磁石収容孔13の第2開口部13bに接続された状態となる。なお、磁石収容孔13には、複数の磁石14が予め収容されている。
【0038】
次に、積層治具22が第1部材20の固定型21に載置される。その後、可動型34が降下して、第2プレート部31の上面31aに接触する。これにより、積層治具22に支持されたロータコア11が、固定型21と可動型34とによって挟み込まれた状態で固定される。
【0039】
次に、図4に示すように、射出成形機(図示略)により溶融した樹脂15がスプルー部41に所定の圧力で流入されると、複数の分岐通路42及び複数のゲート部43を介して各磁石収容孔13の内部に樹脂15が充填される。このとき、分岐通路42に接続される副通路50にも樹脂15が充填される。
【0040】
磁石収容孔13内への樹脂15の充填が完了する間際、樹脂15の粘度が高いことに起因する急激な圧力上昇、所謂サージ圧力が生じる。ここで、充填圧力が所定の値以上に上昇すると、圧力吸収機構60が作動することにより上記サージ圧が吸収される。
【0041】
磁石収容孔13内への樹脂15の充填が完了すると、磁石収容孔13内の樹脂15が冷却されることにより固化する。これにより、ロータコア11の各積層ブロックが互いに固定されるとともに、磁石14がロータコア11に対して固定される。
【0042】
次に、本実施形態の効果について説明する。
主通路40の分岐通路42には圧力吸収機構60が取り付けられた副通路50が接続される。そのため、樹脂15の充填圧力が所定の値以上に上昇することが圧力吸収機構60により抑制される。その結果、急激な充填圧力の上昇、所謂サージ圧が抑制される。
【0043】
従来、こうした急激な圧力上昇によってロータコア11の第1ブリッジ部16及び第2ブリッジ部17に亀裂等の変形が生じないように、両ブリッジ部16,17の幅を十分に確保するといった対策を要していた。その場合、ロータ10を備えるモータの性能が低下するといった問題が生じる。
【0044】
上記構成によれば、ロータコア11において第1ブリッジ部16及び第2ブリッジ部17の幅を十分に確保するといった対策が不要となる。したがって、両ブリッジ部16,17の幅を大きくすることによりモータの性能が低下することを抑制できる。
【0045】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0046】
・樹脂15は、液晶ポリマーに限定されず、熱可塑性樹脂であれば適宜選択して用いることができる。
・圧力吸収機構60は、コイルスプリング61を用いるものに限定されず、油圧式であってもよい。
【0047】
・副通路50は、本実施形態で例示したように分岐通路42に接続されるものに限定されない。例えば、スプルー部41に接続されるものであってもよい。この場合、副通路50がスプルー部41に対して径方向の外側から接続するようにすればよい。
【0048】
・副通路50は、本実施形態で例示したように可動型34に設けられるものに限定されず、第2部材30内に設けられるとともに、主通路40に接続されるものであれば適宜配置を変更できる。例えば、第2プレート部31に設けるようにしてもよい。
【0049】
・本発明に係る製造装置は、副通路50が第2部材30に設けられるものに限定されない。例えば、以下のように変更してもよい。すなわち、図5に示すように、製造装置170は、第1開口部13aに接続される副通路150が第1部材120に設けられるものであってもよい。この場合、副通路150の収容室151に、圧力吸収機構160を設けるようにすればよい。
【0050】
こうした構成によれば、第1開口部13aには圧力吸収機構160が取り付けられた副通路150が接続される。そのため、樹脂15の充填圧力が所定の値以上に上昇することが圧力吸収機構160により抑制される。したがって、こうした製造装置170であっても本実施形態で例示した製造装置70と同様に、急激な充填圧力の上昇を抑制できる。
【0051】
・本発明に係る製造装置は、本実施形態で例示した形状に限定されない。例えば、以下のように変更してもよい。すなわち、図6に示すように、製造装置270は、第1部材220のポスト部228が第2プレート部231を貫通するものであってもよい。この場合、主通路240は、ポスト部228の上端228aと、第2プレート部231の溝部232と、可動型234の下面234aとにより画定される。すなわち、主通路240は、ポスト部228及び第2部材230により構成される。また、この場合、副通路250は、ポスト部228に設けられるとともに、分岐通路242に接続されるものとすればよい。また、副通路250の収容室251に、圧力吸収機構260を設けるようにすればよい。
【0052】
こうした構成によれば、圧力吸収機構260が取り付けられた副通路250が主通路240に接続される。そのため、樹脂15の充填圧力が所定の値以上に上昇することが圧力吸収機構260により抑制される。したがって、こうした製造装置270であっても本実施形態で例示した製造装置70と同様に、急激な充填圧力の上昇を抑制できる。
【符号の説明】
【0053】
C…軸線
10…ロータ
11…ロータコア
11a…中心孔
11b…キー部
11c…端面
11d…端面
11e…外周面
13…磁石収容孔
13a…第1開口部
13b…第2開口部
14…磁石
15…熱可塑性樹脂、樹脂
20,120,220…第1部材
28,228…ポスト部
30,230…第2部材
40,240…主通路
50,150,250…副通路
60,160,260…圧力吸収機構
70,170,270…製造装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6