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特開2024-170909人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170909
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B62K 19/34 20060101AFI20241204BHJP
   F16C 33/78 20060101ALI20241204BHJP
   F16C 19/06 20060101ALI20241204BHJP
   F16J 15/3204 20160101ALI20241204BHJP
   F16J 15/447 20060101ALI20241204BHJP
   F16J 15/3256 20160101ALI20241204BHJP
【FI】
B62K19/34
F16C33/78 Z
F16C19/06
F16J15/3204 201
F16J15/447
F16J15/3256
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087673
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】古家 隆
【テーマコード(参考)】
3D212
3J006
3J042
3J043
3J216
3J701
【Fターム(参考)】
3D212BK01
3J006AE12
3J006AE15
3J006AE19
3J006AE30
3J006AE34
3J006CA01
3J042AA09
3J042AA12
3J042BA05
3J042CA10
3J042DA10
3J043AA16
3J043AA17
3J043CA02
3J043CA05
3J043CB13
3J043CB20
3J043DA20
3J043HA01
3J043HA04
3J216AA02
3J216AA12
3J216AB01
3J216BA23
3J216CA02
3J216CA04
3J216CB03
3J216CB07
3J216CB12
3J216CB13
3J216CB19
3J216CC03
3J216CC14
3J216CC24
3J216CC34
3J216DA01
3J216DA11
3J701AA02
3J701AA42
3J701AA52
3J701AA62
3J701BA73
3J701FA13
3J701GA60
(57)【要約】
【課題】人力駆動車のクランク軸を好適に取り付けできる人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリを提供する。
【解決手段】人力駆動車のボトムブラケットハンガに取り付けられるように構成されるボトムブラケットアセンブリは、軸方向、径方向、および、周方向を定義する回転中心軸心を有し、内輪と、外輪と、前記径方向において前記内輪および前記外輪の間に配置される複数の転動体とを含むベアリングユニットと、前記ベアリングユニットを支持するように構成されるベアリング支持体と、前記ボトムブラケットアセンブリが前記人力駆動車に取り付けられる取付状態において、前記径方向においてクランク軸に接触するように構成されるシールユニットと、を備え、前記シールユニットは、前記ベアリング支持体とは別部材であり、かつ、前記径方向において前記ベアリングユニットの前記内輪よりも径方向外側に延びる。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人力駆動車のボトムブラケットハンガに取り付けられるように構成されるボトムブラケットアセンブリであって、
前記ボトムブラケットアセンブリは、軸方向、径方向、および、周方向を定義する回転中心軸心を有し、
内輪と、外輪と、前記径方向において前記内輪および前記外輪の間に配置される複数の転動体とを含むベアリングユニットと、
前記ベアリングユニットを支持するように構成されるベアリング支持体と、
前記ボトムブラケットアセンブリが前記人力駆動車に取り付けられる取付状態において、前記径方向においてクランク軸に接触するように構成されるシールユニットと、を備え、
前記シールユニットは、前記ベアリング支持体とは別部材であり、かつ、前記径方向において前記ベアリングユニットの前記内輪よりも径方向外側に延びる、ボトムブラケットアセンブリ。
【請求項2】
前記シールユニットは、前記軸方向において、前記ベアリング支持体と、クランクアームとの間に配置されるように構成される、請求項1に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項3】
前記ベアリング支持体は、前記軸方向に関する軸方向延出部および前記径方向に関する径方向延出部を有し、
前記ベアリングユニットは、前記ベアリング支持体の前記軸方向延出部に配置されるように構成される、請求項1に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項4】
前記シールユニットは、前記ボトムブラケットアセンブリの組立状態において、前記軸方向において前記ベアリング支持体の前記径方向延出部に隣り合うように構成される、請求項3に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項5】
前記内輪は、前記軸方向において測定される軸方向内輪長さを有し、
前記外輪は、前記軸方向において測定される軸方向外輪長さを有し、
前記軸方向内輪長さは、前記軸方向外輪長さよりも長い、請求項1に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項6】
取付端と、前記ベアリングユニットの前記内輪および前記外輪の一方に対して摺動するように構成される摺動端と、を有する回転シールをさらに備える、請求項1に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項7】
前記回転シールの前記摺動端は、前記内輪に対して摺動するように構成される、請求項6に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項8】
前記ベアリングユニットの前記外輪が取り付けられるアダプタ部材をさらに備える、請求項1に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項9】
前記アダプタ部材は、
前記人力駆動車の前記ボトムブラケットハンガに取り付けられるように構成される小径管状部と、
前記ベアリングユニットを保持するように構成される大径管状部と、
前記小径管状部を前記大径管状部に接続するように構成される径方向延出環状部と、を含む、請求項8に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項10】
前記径方向延出環状部は、前記取付状態において、前記人力駆動車の前記ボトムブラケットハンガの軸方向端部に隣接するように構成される、請求項9に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項11】
前記シールユニットは、前記径方向において、前記ボトムブラケットアセンブリと、前記クランク軸との間をシールするように構成される径方向内側シール部を有する、請求項1に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項12】
前記ベアリングユニットの外輪が取り付けられるアダプタ部材をさらに備え、
前記シールユニットは、径方向外側シール部を有し、
前記径方向外側シール部は、前記径方向外側シール部と、前記アダプタ部材との間に非接触シールを形成するように構成される、請求項11に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項13】
前記ベアリングユニットの外輪が取り付けられるアダプタ部材をさらに備え、
前記シールユニットは、前記アダプタ部材に接触するように構成される径方向外側シール部を有する、請求項11に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項14】
前記シールユニットは、
前記径方向において、少なくとも、前記ボトムブラケットアセンブリと、前記クランク軸との間をシールするように構成されるシール部材と、
少なくとも部分的に、前記シール部材に組み込まれるシールコアと、を含む、請求項1に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項15】
前記シール部材は、前記取付状態において、前記径方向において前記クランク軸と接触するように構成される径方向内側シール部を有する、請求項14に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項16】
前記ベアリングユニットの外輪が取り付けられるアダプタ部材をさらに備え、
前記シール部材は、径方向外側シール部を有し、
前記径方向外側シール部は、前記径方向外側シール部と、前記アダプタ部材との間に非接触シールを形成するように構成される、請求項15に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項17】
前記ベアリングユニットの外輪が取り付けられるアダプタ部材をさらに備え、
前記シール部材は、前記アダプタ部材に接触するように構成される径方向外側シール部を有する、請求項15に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項18】
前記シール部材は、第1材料によって形成され、
前記シールコアは、前記シール部材の前記第1材料よりも硬い第2材料によって形成される、請求項14に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項19】
前記ベアリング支持体は凹部を有し、
前記シール部材は、前記取付状態において、少なくとも部分的に前記ベアリング支持体の凹部に配置されるように構成される、請求項14に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【請求項20】
前記ベアリング支持体は、ポリブチレンテレフタレートによって形成される、請求項1から19のいずれか一項に記載のボトムブラケットアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されるボトムブラケットアセンブリは、例えば、クランク軸を回転可能に支持する軸受と、軸受とクランク軸との間に配置されるOリングとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2022/0411011号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のボトムブラケットアセンブリでは、ボトムブラケットアセンブリにクランク軸を取り付ける場合に、Oリングがずれるおそれがある。特許文献1のボトムブラケットアセンブリでは、例えば、Oリングがずれた場合に、クランク軸の取り付け作業の効率が低下する。
【0005】
本開示の目的の1つは、人力駆動車のクランク軸を好適に取り付けできるボトムブラケットアセンブリを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1側面に従うボトムブラケットアセンブリは、人力駆動車のボトムブラケットハンガに取り付けられるように構成されるボトムブラケットアセンブリであって、前記ボトムブラケットアセンブリは、軸方向、径方向、および、周方向を定義する回転中心軸心を有し、内輪と、外輪と、前記径方向において前記内輪および前記外輪の間に配置される複数の転動体とを含むベアリングユニットと、前記ベアリングユニットを支持するように構成されるベアリング支持体と、前記ボトムブラケットアセンブリが前記人力駆動車に取り付けられる取付状態において、前記径方向においてクランク軸に接触するように構成されるシールユニットと、を備え、前記シールユニットは、前記ベアリング支持体とは別部材であり、かつ、前記径方向において前記ベアリングユニットの前記内輪よりも径方向外側に延びる。
第1側面のボトムブラケットアセンブリによれば、シールユニットが径方向においてベアリングユニットの内輪よりも径方向外側に延びるため、ボトムブラケットアセンブリにクランク軸を取り付ける場合に、シールユニットがずれにくい。したがって、ボトムブラケットアセンブリは、クランク軸を好適に取り付けできる。
【0007】
本開示の第1側面に従う第2側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記シールユニットは、前記軸方向において、前記ベアリング支持体と、クランクアームとの間に配置されるように構成される。
第2側面のボトムブラケットアセンブリによれば、ボトムブラケットアセンブリにクランク軸を取り付ける場合に、シールユニットがずれにくい。
【0008】
本開示の第1または第2側面に従う第3側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記ベアリング支持体は、前記軸方向に関する軸方向延出部および前記径方向に関する径方向延出部を有し、前記ベアリングユニットは、前記ベアリング支持体の前記軸方向延出部に配置されるように構成される。
第3側面のボトムブラケットアセンブリによれば、クランク軸とボトムブラケットアセンブリとの間のガタ取りを容易にできる。
【0009】
本開示の第3側面に従う第4側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記シールユニットは、前記ボトムブラケットアセンブリの組立状態において、前記軸方向において前記ベアリング支持体の前記径方向延出部に隣り合うように構成される。
第4側面のボトムブラケットアセンブリによれば、ボトムブラケットアセンブリにクランク軸を取り付ける場合に、シールユニットがずれにくい。
【0010】
本開示の第1から第4側面のいずれか一項に従う第5側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記内輪は、前記軸方向において測定される軸方向内輪長さを有し、前記外輪は、前記軸方向において測定される軸方向外輪長さを有し、前記軸方向内輪長さは、前記軸方向外輪長さよりも長い。
第5側面のボトムブラケットアセンブリによれば、軸方向における内輪の長さが、軸方向における外輪の長さよりも長いため、内輪に摺動するシール部材を配置しやすい。
【0011】
本開示の第1から第5側面のいずれか1つに従う第6側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、取付端と、前記ベアリングユニットの前記内輪および前記外輪の一方に対して摺動するように構成される摺動端と、を有する回転シールをさらに備える。
第6側面のボトムブラケットアセンブリによれば、回転シールによって、ベアリングユニットの内部への異物の侵入を抑制できる。
【0012】
本開示の第6側面に従う第7側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記回転シールの前記摺動端は、前記内輪に対して摺動するように構成される。
第7側面のボトムブラケットアセンブリによれば、摺動端が外輪よりも外径の小さい内輪に対して摺動するため、回転シールの摺動による回転負荷を小さくできる。
【0013】
本開示の第1から第7側面のいずれか1つに従う第8側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記ベアリングユニットの前記外輪が取り付けられるアダプタ部材をさらに備える。
第8側面のボトムブラケットアセンブリによれば、ユーザは、アダプタ部材によって、ボトムブラケットアセンブリを人力駆動車に容易に取り付けできる。
【0014】
本開示の第8側面に従う第9側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記アダプタ部材は、前記人力駆動車の前記ボトムブラケットハンガに取り付けられるように構成される小径管状部と、前記ベアリングユニットを保持するように構成される大径管状部と、前記小径管状部を前記大径管状部に接続するように構成される径方向延出環状部と、を含む。
第9側面のボトムブラケットアセンブリによれば、ボトムブラケットハンガに取り付けられるように構成される小径管状部とは異なるベアリングユニットが大径管状部に保持されるため、ベアリングユニットをボトムブラケットハンガの外部に配置できる。したがって、ボトムブラケットアセンブリの剛性を向上できる。
【0015】
本開示の第9側面に従う第10側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記径方向延出環状部は、前記取付状態において、前記人力駆動車の前記ボトムブラケットハンガの軸方向端部に隣接するように構成される。
第10側面のボトムブラケットアセンブリによれば、ベアリングユニットをボトムブラケットハンガの外部に好適に配置できるため、ボトムブラケットアセンブリの剛性を向上できる。
【0016】
本開示の第1から第10側面のいずれか1つに従う第11側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記シールユニットは、前記径方向において、前記ボトムブラケットアセンブリと、前記クランク軸との間をシールするように構成される径方向内側シール部を有する。
第11側面のボトムブラケットアセンブリによれば、径方向内側シール部によって、クランク軸とボトムブラケットアセンブリとの間を好適にシールできる。
【0017】
本開示の第11側面に従う第12側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記ベアリングユニットの外輪が取り付けられるアダプタ部材をさらに備え、前記シールユニットは、径方向外側シール部を有し、前記径方向外側シール部は、前記径方向外側シール部と、前記アダプタ部材との間に非接触シールを形成するように構成される。
第12側面のボトムブラケットアセンブリによれば、径方向外側シール部によって、ベアリングユニットの内部への異物の侵入を抑制でき、かつ、径方向外側シール部による回転負荷の増加を抑制できる。
【0018】
本開示の第11側面に従う第13側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記ベアリングユニットの外輪が取り付けられるアダプタ部材をさらに備え、前記シールユニットは、前記アダプタ部材に接触するように構成される径方向外側シール部を有する。
第13側面のボトムブラケットアセンブリによれば、径方向外側シール部は、ベアリングユニットの内部への異物の侵入を抑制できる。
【0019】
本開示の第1から第13側面のいずれか1つに従う第14側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記シールユニットは、前記径方向において、少なくとも、前記ボトムブラケットアセンブリと、前記クランク軸との間をシールするように構成されるシール部材と、少なくとも部分的に、前記シール部材に組み込まれるシールコアと、を含む。
第14側面のボトムブラケットアセンブリによれば、ボトムブラケットアセンブリにクランク軸を取り付ける場合に、シールユニットがずれることを抑制できる。
【0020】
本開示の第14側面に従う第15側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記シール部材は、前記取付状態において、前記径方向において前記クランク軸と接触するように構成される径方向内側シール部を有する。
第15側面のボトムブラケットアセンブリによれば、径方向内側シール部によって、クランク軸とボトムブラケットアセンブリとの間を好適にシールできる。
【0021】
本開示の第15側面に従う第16側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記ベアリングユニットの外輪が取り付けられるアダプタ部材をさらに備え、前記シール部材は、径方向外側シール部を有し、前記径方向外側シール部は、前記径方向外側シール部と、前記アダプタ部材との間に非接触シールを形成するように構成される。
第16側面のボトムブラケットアセンブリによれば、径方向外側シール部によって、ベアリングユニットの内部への異物の侵入を抑制でき、かつ、径方向外側シール部による回転負荷の増加を抑制できる。
【0022】
本開示の第15側面に従う第17側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記ベアリングユニットの外輪が取り付けられるアダプタ部材をさらに備え、前記シール部材は、前記アダプタ部材に接触するように構成される径方向外側シール部を有する。
第17側面のボトムブラケットアセンブリによれば、径方向外側シール部によって、ベアリングユニットの内部への異物の侵入を抑制できる。
【0023】
本開示の第14から第17側面のいずれか1つに従う第18側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記シール部材は、第1材料によって形成され、前記シールコアは、前記シール部材の前記第1材料よりも硬い第2材料によって形成される。
第18側面のボトムブラケットアセンブリによれば、ボトムブラケットアセンブリにクランク軸を取り付ける場合に、シールユニットがずれにくい。
【0024】
本開示の第14から第18側面のいずれか1つに従う第19側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記ベアリング支持体は凹部を有し、前記シール部材は、前記取付状態において、少なくとも部分的に前記ベアリング支持体の凹部に配置されるように構成される。
第19側面のボトムブラケットアセンブリによれば、シールユニットを好適に配置できる。
【0025】
本開示の第1から第19側面のいずれか1つに従う第20側面のボトムブラケットアセンブリにおいて、前記ベアリング支持体は、ポリブチレンテレフタレートによって形成される。
第20側面のボトムブラケットアセンブリによれば、ボトムブラケットアセンブリの使用中において、ベアリング支持体の変形を抑制できる。
【発明の効果】
【0026】
本開示の人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリは、人力駆動車のクランク軸を好適に取り付けできる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】実施形態の人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリの正面図である。
図2図1の人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリの分解斜視図である。
図3図1の取付状態における人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリの断面図である。
図4図3の人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリの拡大断面図である。
図5図4のベアリング支持体の斜視図である。
図6図5のベアリング支持体の背面斜視図である。
図7図4のシール部材の斜視図である。
図8】第1変更例のシールユニットを含む人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリの拡大断面図である。
図9】第2変更例のシールユニットを含む人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリの拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
<実施形態>
図1から図7を参照して、人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリ30を説明する。人力駆動車は、少なくとも1つの車輪を有し、少なくとも人力駆動力によって駆動できる乗り物である。人力駆動車は、例えばマウンテンバイク、ロードバイク、シティバイク、カーゴバイク、ハンドバイク、および、リカンベントなど種々の種類の自転車を含む。人力駆動車が有する車輪の数は限定されない。人力駆動車は、例えば1輪車および2輪以上の車輪を有する乗り物も含む。人力駆動車は、人力駆動力のみによって駆動できる乗り物に限定されない。人力駆動車は、人力駆動力だけではなく、電気モータの駆動力を推進に利用するE-bikeを含む。E-bikeは、電気モータによって推進が補助される電動アシスト自転車を含む。以下、それぞれの実施形態において、人力駆動車を、自転車として説明する。
【0029】
本明細書において、以下の方向を示す用語「前(フロント)」、「後ろ(リア)」、「前方」、「後方」、「左」、「右」、「横」、「上方」、および、「下方」、並びに任意の他の類似の方向を示す用語は、人力駆動車の基準位置(例えば、サドルまたはシート上)においてハンドルバーを向いたライダを基準に決定されるそれらの方向を指す。
【0030】
図2および図3に示されるように、人力駆動車10は、例えば、フレーム12を含む。人力駆動車10は、例えば、少なくとも1つの車輪を含む。少なくとも1つの車輪は、例えば、前輪および後輪を含む。
【0031】
フレーム12は、例えば、ボトムブラケットハンガ14を有する。ボトムブラケットハンガ14は、例えば、円筒状に形成される。ボトムブラケットハンガ14は、例えば、ボトムブラケットアセンブリ30が取り付け可能に構成される。
【0032】
ボトムブラケットハンガ14は、例えば、軸方向端部14A,14Bを有する。軸方向端部14A,14Bの内周面には、ボトムブラケットアセンブリ30を取り付けるための雌ねじ14C,14Dが形成される。ボトムブラケットアセンブリ30が圧入式のボトムブラケットアセンブリである場合、ボトムブラケットハンガ14に雌ねじ14C,14Dは形成されない。
【0033】
フレーム12は、例えば、ダウンチューブ16を有する。ダウンチューブ16は、例えば、ボトムブラケットハンガ14の前方に延びる。フレーム12は、例えば、シートチューブ18を有する。シートチューブ18は、例えば、ボトムブラケットハンガ14の上方に延び、かつ、サドルを支持する。フレーム12は、例えば、チェーンステイ20を有する。チェーンステイ20は、例えば、ボトムブラケットハンガ14の後方に延び、かつ、後輪が取り付けられる。
【0034】
人力駆動車10は、例えば、クランク軸22およびクランクアーム24A,24Bを含む。クランク軸22およびクランクアーム24A,24Bには、例えば、人力駆動力が入力される。例えば、クランク軸22の端部のそれぞれには、クランクアーム24A,24Bが設けられる。クランクアーム24A,24Bには、それぞれペダルが接続される。クランク軸22は、例えば、フレーム12に対して回転可能にフレーム12に取り付けられる。クランク軸22は、ボトムブラケットアセンブリ30を介して、フレーム12に対して回転可能にフレーム12に取り付けられる。
【0035】
クランク軸22は、例えば、ボトムブラケットアセンブリ30がボトムブラケットハンガ14に取り付けられた取付状態において、ボトムブラケットアセンブリ30内に配置される。クランクアーム24A,24Bと、ボトムブラケットアセンブリ30との間には、軸方向ADにおいてフレーム12に対するクランクアーム24A,24Bの位置を調整するためのスペーサ26が設けられてもよい。スペーサ26は、クランクアーム24Aと、ボトムブラケットアセンブリ30との間にのみ設けられてもよく、クランクアーム24Bと、ボトムブラケットアセンブリ30との間にのみ設けられてもよい。
【0036】
図1から図3に示されるように、ボトムブラケットアセンブリ30は、人力駆動車10のボトムブラケットハンガ14に取り付けられるように構成される。ボトムブラケットアセンブリ30は、軸方向AD、径方向RD、および、周方向CDを定義する回転中心軸心Cを有する。ボトムブラケットアセンブリ30は、ベアリングユニット32,34と、ベアリングユニット32,34を支持するように構成されるベアリング支持体36,38と、シールユニット40,42と、を備える。
【0037】
ベアリングユニット32は、ボトムブラケットアセンブリ30の軸方向ADの一方の端部に設けられる。ベアリングユニット34は、ボトムブラケットアセンブリ30の軸方向ADの他方の端部に設けられる。ベアリングユニット32は、例えば、内輪32Aと、外輪32Bと、径方向RDにおいて内輪32Aおよび外輪32Bの間に配置される複数の転動体32Cとを含む。ベアリングユニット34は、例えば、内輪34Aと、外輪34Bと、径方向RDにおいて内輪34Aおよび外輪34Bの間に配置される複数の転動体34Cとを含む。
【0038】
シールユニット40は、ボトムブラケットアセンブリ30の軸方向ADの一方の端部に設けられる。シールユニット42は、ボトムブラケットアセンブリ30の軸方向ADの他方の端部に設けられる。シールユニット40,42は、例えば、ボトムブラケットアセンブリ30が人力駆動車10に取り付けられる取付状態において、径方向RDにおいてクランク軸22に接触するように構成される。シールユニット40,42は、例えば、ベアリング支持体36,38とは別部材であり、かつ、径方向RDにおいてベアリングユニット32,34の内輪32A,34Aよりも径方向外側に延びる。シールユニット40は、例えば、ベアリング支持体36とは別部材であり、かつ、径方向RDにおいてベアリングユニット32の内輪32Aよりも径方向外側に延びる。シールユニット42は、例えば、ベアリング支持体38とは別部材であり、かつ、径方向RDにおいてベアリングユニット34の内輪34Aよりも径方向外側に延びる。
【0039】
ボトムブラケットアセンブリ30は、例えば、ダストチューブ44をさらに備える。ダストチューブ44は、シートチューブ18を通ってボトムブラケットアセンブリ30内に水、泥等の異物が侵入するのを抑制する。ダストチューブ44は、例えば、取付状態において、ボトムブラケットハンガ14内に配置される。
【0040】
ダストチューブ44は、例えば、軸方向ADにおける端部の外周面に環状溝44A,44Bを有する。環状溝44Aは、例えば、ダストチューブ44の軸方向ADの一方の端部に設けられる。環状溝44Bは、例えば、ダストチューブ44の軸方向ADの他方の端部に設けられる。環状溝44Aには、例えば、Oリング44Cが配置される。環状溝44Bには、例えば、Oリング44Dが配置される。
【0041】
ボトムブラケットアセンブリ30は、例えば、ベアリングユニット32の外輪32B,34Bが取り付けられるアダプタ部材46,48をさらに備える。例えば、アダプタ部材46には、ベアリングユニット32の外輪32Bが取り付けられる。例えば、アダプタ部材48には、ベアリングユニット32の外輪34Bが取り付けられる。アダプタ部材46,48は、例えば、管状である。
【0042】
アダプタ部材46,48は、例えば、小径管状部50,56と、大径管状部52,58と、小径管状部50,56を大径管状部52,58に接続するように構成される径方向延出環状部54,60と、を含む。小径管状部50,56は、例えば、人力駆動車10のボトムブラケットハンガ14に取り付けられるように構成される。大径管状部52,58は、例えば、ベアリングユニット32,34を保持するように構成される。径方向延出環状部54,60は、例えば、小径管状部50,56を大径管状部52,58に接続するように構成される。アダプタ部材46は、例えば、小径管状部50と、大径管状部52と、小径管状部50を大径管状部52に接続するように構成される径方向延出環状部54と、を含む。小径管状部50は、例えば、人力駆動車10のボトムブラケットハンガ14に取り付けられるように構成される。大径管状部52は、例えば、ベアリングユニット32を保持するように構成される。径方向延出環状部54は、例えば、小径管状部50を大径管状部52に接続するように構成される。アダプタ部材48は、例えば、小径管状部56と、大径管状部58と、小径管状部56を大径管状部58に接続するように構成される径方向延出環状部60と、を含む。小径管状部56は、例えば、人力駆動車10のボトムブラケットハンガ14に取り付けられるように構成される。大径管状部58は、例えば、ベアリングユニット34を保持するように構成される。径方向延出環状部60は、例えば、小径管状部56を大径管状部58に接続するように構成される。
【0043】
小径管状部50の外周面には、アダプタ部材46をボトムブラケットハンガ14に取り付けるための雄ねじ50Aが形成される。雄ねじ50Aは、例えば、雌ねじ14Cと係合する。本実施形態では、ボトムブラケットアセンブリ30は、ボトムブラケットハンガ14にねじによって取り付けられるが、ボトムブラケットアセンブリ30は、圧入式のボトムブラケットアセンブリであってもよい。ボトムブラケットアセンブリ30が圧入式のボトムブラケットアセンブリである場合、小径管状部50の外周面に、雄ねじ50Aは形成されない。
【0044】
小径管状部56の外周面には、アダプタ部材48をボトムブラケットハンガ14に取り付けるための雄ねじ56Aが形成される。雄ねじ56Aは、例えば、雌ねじ14Dと係合する。ボトムブラケットアセンブリ30が圧入式のボトムブラケットアセンブリである場合、小径管状部56の外周面に、雄ねじ56Aは形成されない。
【0045】
径方向延出環状部54は、例えば、径方向RDにおいて、小径管状部50のダストチューブ44とは反対側の端部から、大径管状部52に向かって延びる。径方向延出環状部54は、例えば、取付状態において、人力駆動車10のボトムブラケットハンガ14の軸方向端部14Aに隣接するように構成される。
【0046】
径方向延出環状部60は、例えば、径方向RDにおいて、小径管状部56のダストチューブ44側の端部とは反対側の端部から、大径管状部58に向かって延びる。径方向延出環状部60は、例えば、取付状態において、人力駆動車10のボトムブラケットハンガ14の軸方向端部14Bに隣接するように構成される。
【0047】
ボトムブラケットアセンブリ30は、例えば、回転シール62,64をさらに備える。回転シール62は、例えば、組立状態において、ベアリングユニット32の内部へ異物が侵入しないように、ベアリングユニット32のクランクアーム24A側をシールする。回転シール64は、例えば、組立状態において、ベアリングユニット34の内部へ異物が侵入しないように、ベアリングユニット34のクランクアーム24B側をシールする。
【0048】
ボトムブラケットアセンブリ30は、例えば、内側回転シール66,68をさらに備える。内側回転シール66は、例えば、軸方向ADにおいて、ベアリングユニット32の回転シール62とは反対側をシールする。内側回転シール66は、例えば、ベアリングユニット32の内部へ異物が侵入しないように、組立状態における、ベアリングユニット32のボトムブラケットハンガ14側をシールする。内側回転シール68は、例えば、軸方向ADにおいて、ベアリングユニット34の回転シール64とは反対側をシールする。内側回転シール68は、例えば、ベアリングユニット34の内部へ異物が侵入しないように、組立状態における、ベアリングユニット34のボトムブラケットハンガ14側をシールする。
【0049】
ボトムブラケットアセンブリ30は、例えば、第1シール構造を含む。第1シール構造は、例えば、ベアリングユニット32、ベアリング支持体36、および、シールユニット40を含む。好ましくは、第1シール構造は、さらに、アダプタ部材46、回転シール62、および、内側回転シール66を含む。ボトムブラケットアセンブリ30は、例えば、第2シール構造を含む。第2シール構造は、例えば、ベアリングユニット34、ベアリング支持体38、および、シールユニット42を含む。好ましくは、第2シール構造は、さらに、アダプタ部材48、回転シール64、および、内側回転シール68を含む。第1シール構造は、軸方向ADにおいて対称に形成される以外は、第2シール構造と同様に構成される。したがって、以下では、第1シール構造に含まれる部材について説明するが、第2シール構造に含まれる部材も軸方向ADにおいて対称に形成される以外は第1シール構造に含まれる部材と同様に構成される。
【0050】
ベアリングユニット32は、例えば、クランク軸22をボトムブラケットハンガ14に対して回転可能に支持する。内輪32Aは、クランク軸22と一体に回転するように構成される。内輪32Aは、例えば、ベアリング支持体36を介して、クランク軸22に取り付けられる。外輪32Bは、ボトムブラケットハンガ14に対して相対回転不能に構成される。外輪32Bは、例えば、アダプタ部材48を介してボトムブラケットハンガ14に取り付けられる。
【0051】
内輪32Aは、例えば、軸方向ADにおいて測定される軸方向内輪長さL1を有する。外輪32Bは、例えば、軸方向ADにおいて測定される軸方向外輪長さL2を有する。軸方向内輪長さL1は、例えば、軸方向外輪長さL2よりも長い。軸方向内輪長さL1は、軸方向外輪長さL2以下であってもよい。軸方向内輪長さL1は、例えば、軸方向外輪長さL2の1.2倍以上かつ2倍以下である。内輪32Aのクランクアーム24A側の端部は、例えば、外輪32Bのクランクアーム24A側の端部よりもクランクアーム24Aに近い。外輪32Bのボトムブラケットハンガ14側の端部は、例えば、内輪32Aのボトムブラケットハンガ14側の端部よりもボトムブラケットハンガ14に近い。
【0052】
図3から図6に示すように、ベアリング支持体36は、ベアリングユニット32を支持する。ベアリング支持体36は、例えば、クランク軸22の外周面に取り付けられる。ベアリング支持体36は、例えば、クランク軸22と一体に回転するようにクランク軸22に取り付けられる。ベアリング支持体36の外周面には、ベアリングユニット32の内輪32Aが取り付けられる。ベアリングユニット32の内輪32Aは、例えば、ベアリング支持体36と一体に回転するように、ベアリング支持体36に取り付けられる。
【0053】
ベアリング支持体36は、例えば、軸方向ADに関する軸方向延出部36Aおよび径方向RDに関する径方向延出部36Bを有する。ベアリングユニット32は、例えば、ベアリング支持体36の軸方向延出部36Aに配置されるように構成される。ベアリング支持体36は、ベアリングユニット32と一体回転するように構成される。ベアリング支持体36は、例えば、ポリブチレンテレフタレートによって形成される。ベアリング支持体36は、金属材料によって形成されてもよい。
【0054】
軸方向延出部36Aは、例えば、軸方向ADにおいて、アダプタ部材46の大径管状部52と平行に延びる。軸方向延出部36Aは、例えば、組立状態において、クランク軸22と接触するように構成される。内輪32Aは、例えば、軸方向延出部36Aと接触するように、軸方向延出部36Aの径方向外側に配置される。
【0055】
径方向延出部36Bは、例えば、第1端部36Cと、第2端部36Dとを有する。第1端部36Cは、径方向RDにおいて、第2端部36Dよりもアダプタ部材46の大径管状部52に近い。軸方向延出部36Aは、第2端部36Dから、軸方向ADにおいて、小径管状部50に向かって延びる。
【0056】
ベアリング支持体36は、例えば、延出部36Eをさらに有する。延出部36Eの外周部は、例えば、滑らかに形成される。延出部36Eは、例えば、軸方向ADにおいて、第1端部36Cからベアリングユニット32に向かって延びる。軸方向ADにおける延出部36Eの長さは、例えば、軸方向ADにおける軸方向延出部36Aの長さよりも短い。延出部36Eの径方向延出部36Bと反対側の端部は、例えば、径方向RDにおいて、回転シール62の摺動端62Bと、回転シール62の取付端62Aとの間に配置される。
【0057】
ベアリング支持体36は、例えば、凹部36Fを有する。凹部36Fは、例えば、シールユニット40の一部が配置されるように構成される。凹部36Fは、例えば、径方向延出部36Bの第2端部36Dに設けられる。凹部36Fは、例えば、周方向CDにおいて、径方向延出部36Bの第2端部36Dに連続的に設けられる。
【0058】
図4に示されるように、回転シール62は、例えば、取付端62Aと、ベアリングユニット32の内輪32Aおよび外輪32Bの一方に対して摺動するように構成される摺動端62Bと、を有する。取付端62Aは、例えば、ベアリングユニット32の内輪32Aおよび外輪32Bの他方と一体に回転するように構成される。
【0059】
本実施形態の回転シール62の摺動端62Bは、内輪32Aに対して摺動するように構成される。摺動端62Bは、例えば、内輪32Aの外周面に対して摺動するように構成される。本実施形態の回転シール62の取付端62Aは、外輪32Bに取り付けられるように構成される。取付端62Aは、例えば、外輪32Bの軸方向ADの端面に取り付けられるように構成される。摺動端62Bが内輪32Aに対して摺動するように構成される場合、取付端62Aは、アダプタ部材46の内周面に取り付けられてもよい。取付端62Aは、内輪32Aに取り付けられ、かつ、摺動端62Bは、外輪32Bに対して摺動するように構成されてもよい。
【0060】
回転シール62は、例えば、回転シール部材62Cと、回転シールコア62Dと、を含む。回転シール部材62Cは、例えば、軸方向ADにおいて、少なくとも、内輪32Aと、外輪32Bとの間をシールするように構成される。回転シールコア62Dは、例えば、少なくとも部分的に、回転シール部材62Cの内部に配置される。
【0061】
回転シールコア62Dの材料は、例えば、回転シール部材62Cの材料よりも硬い。回転シール部材62Cの材料は、例えば、ゴム材料である。ゴム材料は、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(Ntril-Btadiene Rbber,NBR)、または、フッ素ゴム(FKM)である。回転シールコア62Dの材料は、例えば、金属材料である。金属材料は、例えば、鉄、または、アルミである。回転シール部材62Cおよび回転シールコア62Dは、例えば、モールド成形されている。
【0062】
内側回転シール66は、例えば、取付端66Aと、摺動端66Bと、を有する。摺動端66Bは、例えば、ベアリングユニット32の内輪32Aおよび外輪32Bの一方に対して摺動するように構成される。取付端66Aは、例えば、ベアリングユニット32の内輪32Aおよび外輪32Bの他方と一体に回転するように構成される。
【0063】
本実施形態の内側回転シール66の摺動端62Bは、内輪32Aに対して摺動するように構成される。摺動端62Bは、例えば、内輪32Aの軸方向ADの端面に対して摺動するように構成される。本実施形態の内側回転シール66の取付端66Aは、外輪32Bに取り付けられるように構成される。取付端66Aは、例えば、外輪32Bの内周部に取り付けられるように構成される。取付端66Aは、例えば、内輪32Aに取り付けられ、かつ、摺動端62Bは、外輪32Bに対して摺動するように構成されてもよい。
【0064】
図3に示すように、シールユニット40は、例えば、軸方向ADにおいて、ベアリング支持体36と、クランクアーム24Aとの間に配置されるように構成される。図3および図4に示すように、シールユニット40は、例えば、ボトムブラケットアセンブリ30の組立状態において、軸方向ADにおいてベアリング支持体36の径方向延出部36Bに隣り合うように構成される。シールユニット40は、組立状態において、軸方向ADにおいてクランクアーム24Aに隣り合うように構成される。シールユニット40は、組立状態において、ベアリング支持体36とクランクアーム24Aとの間に配置される。
【0065】
シールユニット40とクランクアーム24Aとの間には、スペーサ26が配置されてもよい。シールユニット40とクランクアーム24Aとの間にスペーサ26がある場合、シールユニット40は、組立状態において、軸方向ADにおいてスペーサ26に隣り合うように構成される。
【0066】
図4に示されるように、シールユニット40は、例えば、径方向RDにおいて、ベアリングユニット32の内輪32Aよりも径方向内側からベアリングユニット32の内輪32Aよりも径方向外側にまで延びる。シールユニット40は、例えば、径方向RDにおいて、ベアリングユニット32の内輪32Aよりも径方向内側から、ベアリングユニット32の外輪32Bと対応する部分にまで延びる。
【0067】
シールユニット40は、例えば、径方向RDにおいて、ボトムブラケットアセンブリ30と、クランク軸22との間をシールするように構成される径方向内側シール部40Aを有する。径方向内側シール部40Aは、例えば、取付状態において、ベアリング支持体36の凹部36Fに配置される。径方向内側シール部40Aは、例えば、軸方向ADに突出する凸部を含む。径方向内側シール部40Aの凸部は、凹部36F内に少なくとも部分的に配置可能に構成される。
【0068】
シールユニット40は、例えば、径方向外側シール部40Bを有する。径方向外側シール部40Bは、例えば、径方向外側シール部40Bと、アダプタ部材46との間に非接触シール40Cを形成するように構成される。径方向外側シール部40Bは、例えば、径方向外側シール部40Bと、アダプタ部材46の大径管状部52との間に非接触シール40Cを形成するように構成される。径方向外側シール部40Bは、例えば、アダプタ部材46の大径管状部52に接触しないように構成される。径方向外側シール部40Bは、例えば、シールユニット40の外周部に設けられる。非接触シール40Cは、例えば、周方向CDにおいて、連続的に形成される。シールユニット40は、例えば、径方向外側シール部40Bの外径が、アダプタ部材46のうちのシールユニット40が配置される部分の内径よりも僅かに小さくなるように構成される。
【0069】
シールユニット40は、例えば、径方向内側シール部40Aと径方向外側シール部40Bとを接続する径方向延出シール部40Fをさらに有する。径方向延出シール部40Fは、例えば、径方向内側シール部40Aの径方向RDの外側の端部と連続する。径方向延出シール部40Fは、例えば、径方向外側シール部40Bの径方向RDの内側の端部と連続する。径方向外側シール部40Bは、径方向延出シール部40Fとの接続部分から、軸方向ADにおいてベアリングユニット32の外輪32Bに向かって延びる。
【0070】
図4および図7に示すように、シールユニット40は、例えば、シール部材40Dと、シールコア40Eと、を含む。シール部材40Dは、径方向RDにおいて、少なくとも、ボトムブラケットアセンブリ30と、クランク軸22との間をシールするように構成される。シールコア40Eは、少なくとも部分的に、シール部材40Dに組み込まれる。
【0071】
シール部材40Dは、例えば、第1材料によって形成される。シールコア40Eは、例えば、シール部材40Dの第1材料よりも硬い第2材料によって形成される。第1材料は、例えば、ゴム材料である。ゴム材料は、例えば、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、または、フッ素ゴム(FKM)である。第2材料は、例えば、金属材料である。第2材料は、例えば、鉄、または、アルミである。シール部材40Dと、シールコア40Eとは、例えば、モールド成形されている。
【0072】
シール部材40Dは、例えば、取付状態において、径方向RDにおいてクランク軸22と接触するように構成される径方向内側シール部40Aを有する。径方向内側シール部40Aは、例えば、周方向CDに連続して設けられる。シールユニット40は、例えば、取付状態において、シールコア40Eがクランク軸22と接触しないように構成される。
【0073】
シール部材40Dは、例えば、取付状態において、少なくとも部分的にベアリング支持体36の凹部36Fに配置されるように構成される。取付状態において、シール部材40Dのうちの少なくとも部分的にベアリング支持体36の凹部36Fに配置される部分は、例えば、径方向内側シール部40Aを含む。シール部材40Dのうちの少なくとも部分的に凹部36Fに配置される部分は、例えば、略全体がシール部材40Dによって形成される。シール部材40Dのうちの少なくとも部分的に凹部36Fに配置される部分は、例えば、全体がシール部材40Dによって形成される。
【0074】
シール部材40Dは、例えば、径方向外側シール部40Bを有する。径方向外側シール部40Bは、例えば、径方向外側シール部40Bと、アダプタ部材46との間に非接触シール40Cを形成するように構成される。径方向外側シール部40Bのうちの非接触シール40Cを形成する部分は、例えば、全体がシール部材40Dによって形成される。径方向外側シール部40Bのうちのアダプタ部材46と対向する部分は、例えば、全体がシール部材40Dによって形成される。
【0075】
シールコア40Eは、例えば、径方向外側シール部40B、および、径方向延出シール部40Fに含まれる。シールコア40Eは、例えば、板状部材である。シールコア40Eは、例えば、第1シールコア部40Gを有する。第1シールコア部40Gは、径方向延出シール部40Fに含まれる。第1シールコア部40Gは、例えば、径方向RDに延びる。
【0076】
シールコア40Eは、例えば、第2シールコア部40Hをさらに有する。第2シールコア部40Hは、径方向外側シール部40Bに含まれる。第2シールコア部40Hは、例えば、軸方向ADに延びる。第2シールコア部40Hは、第1シールコア部40Gの径方向RDの外側の端部と連続する。第2シールコア部40Hは、例えば、第1シールコア部40Gとの接続部分から、軸方向ADにおいてベアリングユニット32の外輪32Bに向かって延びる。
【0077】
第1シールコア部40Gは、例えば、軸方向ADにおいて、径方向延出シール部40Fのうちのベアリング支持体36に近い部分に配置される。第1シールコア部40Gがシールユニット40の外面に露出する場合、第1シールコア部40Gは、径方向延出部36Bに接触する。第2シールコア部40Hは、例えば、径方向RDにおいて、径方向外側シール部40Bのうちのベアリング支持体36の径方向延出部36Bに近い部分に配置される。第2シールコア部40Hがシールユニット40の外面に露出する場合、第2シールコア部40Hは、径方向延出部36Bに接触する。
【0078】
シールユニット40は、例えば、径方向外側シール部40Bの内径が、ベアリング支持体36の径方向延出部36Bの外径と対応するように形成される。径方向外側シール部40Bが径方向延出部36Bに嵌め込まれ、かつ、径方向内側シール部40Aが凹部36Fに配置されることによって、シールユニット40がベアリング支持体36に取り付けられる。
【0079】
シールユニット40は、例えば、ベアリング支持体36に対する移動が規制されるように、ベアリング支持体36に取り付けられる。シールユニット40は、例えば、径方向外側シール部40Bがベアリング支持体36の径方向延出部36Bに圧入されることによってベアリング支持体36に取り付けられる。径方向外側シール部40Bの内周部にシール部材40Dが配置される場合、シールユニット40は、シール部材40Dの弾性変形によってベアリング支持体36に対する移動が規制されるようにベアリング支持体36に取り付けられる。シールユニット40は、接着剤によってベアリング支持体36に取り付けられてもよい。シールユニット40は、ベアリング支持体36に圧入および接着剤等によって取り付けられずに、単にベアリング支持体36に対して隣接するように配置されるだけでもよい。
【0080】
例えば、クランク軸とベアリングユニットとの間にOリングのようなシール部材を設ける場合、かつ、ボトムブラケットアセンブリにクランク軸を取り付ける場合に、Oリングがずれる可能性があるため、取り付け作業の効率が低下する。本実施形態のボトムブラケットアセンブリ30は、シールユニット40が径方向RDに延びるため、ボトムブラケットアセンブリ30へクランク軸22を取り付ける場合に、シールユニット40がずれにくい。したがって、クランク軸22をボトムブラケットアセンブリ30に好適に取り付けできる。
【0081】
延出部36Eの外周部が滑らかに形成されるため、径方向外側シール部40Bが延出部36Eに嵌め込まれる場合に、径方向外側シール部40Bが軸方向ADにスムーズに移動できる。また、延出部36Eの外周部のうちの径方向外側シール部40Bよりも外輪32B側に凸部が形成される場合、径方向外側シール部40Bと凸部との接触を避けるためにシールユニット40の寸法公差を小さくする必要がある。本実施形態の延出部36Eの外周部は滑らかに形成されるため、シールユニット40の歩留まりの向上に貢献できる。
【0082】
<変更例>
実施形態に関する説明は、人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリが取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本開示に従う人力駆動車用のボトムブラケットアセンブリは、例えば、以下に示される実施形態の変更例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変更例が組み合わせられた形態を取り得る。以下の変更例において、実施形態と共通する部分については、実施形態と同一の符号を付してその説明が省略される。
【0083】
図8に示されるように、シールユニット40は、アダプタ部材46に接触するように構成される径方向外側シール部40Kを有していてもよい。本変更例では、シール部材40Dがアダプタ部材46に接触するように構成される径方向外側シール部40Kを有してもよい。径方向外側シール部40Kは、例えば、径方向外側シール部40Kからアダプタ部材46に向かって延びる接触部40Mを含む。本変更例のシールユニット40は、例えば、接触部40Mの外径が、アダプタ部材46のうちのシールユニット40が配置される部分の内径よりも大きくなるように構成される。接触部40Mは、径方向外側シール部40Kの外周部において周方向CDに連続して設けられてもよく、不連続に設けられてもよい。
【0084】
図9に示されるように、径方向外側シール部40Bは、例えば、ラビリンスシール40Nを含んでいてもよい。ラビリンスシール40Nは、例えば、径方向外側シール部40Bからアダプタ部材46に向かって延びる複数の突出部を含む。ラビリンスシール40Nは、アダプタ部材46との間に非接触シール40Cを形成するように構成されてもよく、アダプタ部材46と接触するように構成されてもよい。
【0085】
・実施形態では、第1シール構造および第2シール構造の両方において、シールユニット40,42は、ベアリング支持体36,38とは別部材であり、かつ、径方向RDにおいて、ベアリングユニット32,34の内輪32A,34Aよりも径方向外側に延びるように構成されるが、第1シール構造および第2シール構造の一方のみにおいて、シールユニット40,42は、ベアリング支持体36,38とは別部材であり、かつ、径方向RDにおいてベアリングユニット32,34の内輪32A,34Aよりも径方向外側に延びるように構成されてもよい。本変更例では、第1シール構造および第2シール構造の他方は、シールユニット40,42に代えて、クランク軸22の外周面に配置されるOリングを有していてもよい。本変更例においても、第1シール構造および第2シール構造の一方によって、ボトムブラケットアセンブリ30がクランク軸22に取り付けられる場合のシールユニット40のクランク軸22に対する移動が好適に規制される。
【0086】
図8および図9に示されるように、延出部36Eは、径方向突起部36Gを有していてもよい。径方向突起部36Gは、例えば、延出部36Eから径方向RDに延びる。径方向突起部36Gは、例えば、延出部36Eの外周部のうちの径方向外側シール部40Bよりも外輪32B側に設けられる。径方向突起部36Gは、例えば、ボトムブラケットアセンブリ30の内部への異物の侵入を抑制できる。
【0087】
・シールユニット40は、全体がシール部材40Dおよびシールコア40Eの一方によって形成されていてもよい。シールユニット40の全体がシール部材40Dによって形成される場合、シールユニット40は、例えば、樹脂シールである。シールユニット40の全体がシールコア40Eによって形成される場合、シールユニット40は、例えば、金属シールである。
【0088】
・シールユニット40は、径方向外側シール部40B,40Kを有さなくてもよい。シールユニット40が径方向外側シール部40B,40Kを有さない場合であっても、シールユニット40が、クランクアーム24A、または、スペーサ26とベアリング支持体36との間に挟まれることによって、ボトムブラケットアセンブリ30がクランク軸22に取り付けられる場合のシールユニット40のクランク軸22に対する移動が好適に規制される。
【0089】
本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、所望の選択肢の「1つ以上」を意味する。一例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が2つであれば「1つの選択肢のみ」または「2つの選択肢の双方」を意味する。他の例として、本明細書において使用される「少なくとも1つ」という表現は、選択肢の数が3つ以上であれば「1つの選択肢のみ」または「2つ以上の任意の選択肢の組み合わせ」を意味する。
【0090】
本明細書において使用される「第1、第2、および、第3」などの序数については、単に同一の名称を有する複数の部材を区別するために用いられ、特別な意味を持たない。
【符号の説明】
【0091】
10…人力駆動車、14…ボトムブラケットハンガ、14A,14B…軸方向端部、22…クランク軸、24A,24B…クランクアーム、30…ボトムブラケットアセンブリ、32,34…ベアリングユニット、32A,34A…内輪、32B,34B…外輪、32C,34C…転動体、36,38…ベアリング支持体、36A…軸方向延出部、36B…径方向延出部、36F…凹部、40,42…シールユニット、40A…径方向内側シール部、40B,40K…径方向外側シール部、40C…非接触シール、40D…シール部材、40E…シールコア、46,48…アダプタ部材、50,56…小径管状部、52,58…大径管状部、54,60…径方向延出環状部、62,64…回転シール、62A,66A…取付端、62B,66B…摺動端。
図1
図2
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図8
図9