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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170925
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】現場作業支援システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241204BHJP
【FI】
G06Q10/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087694
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110423
【弁理士】
【氏名又は名称】曾我 道治
(74)【代理人】
【識別番号】100111648
【弁理士】
【氏名又は名称】梶並 順
(74)【代理人】
【識別番号】100147566
【弁理士】
【氏名又は名称】上田 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100188514
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 隆裕
(74)【代理人】
【識別番号】100217021
【弁理士】
【氏名又は名称】馬場 進吾
(72)【発明者】
【氏名】永嶋 秀明
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA11
5L049AA11
(57)【要約】
【課題】現場作業者の作業負荷の増加を抑えつつ、状況証拠を撮像するタスクも含めた現場作業に関するドキュメントデータを作成することができる現場作業支援システムを得る。
【解決手段】現場作業支援システム(100)は、現場作業者に装着されるスマートグラス(1)と、現場作業者からの操作を受け付け、当該操作に基づいてスマートグラスの動作を制御する制御部(2)と、を備え、スマートグラス(1)には、現場作業者によって当該スマートグラスが装着された状態で現場作業者が向いている方向を撮像する撮像部(15)が設けられており、制御部(2)は、撮像部(15)によって撮像された撮像データを取得し、当該撮像データを含めたドキュメントデータを作成して外部に送信する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
現場作業者に装着されるスマートグラスと、
前記現場作業者からの操作を受け付け、当該操作に基づいて前記スマートグラスの動作を制御する制御部と、
を備え、
前記スマートグラスには、前記現場作業者によって当該スマートグラスが装着された状態で前記現場作業者が向いている方向を撮像する撮像部が設けられており、
前記制御部は、前記撮像部によって撮像された撮像データを取得し、当該撮像データを含めたドキュメントデータを作成して外部に送信する
現場作業支援システム。
【請求項2】
前記制御部と通信可能なサーバをさらに備え、
前記サーバは、前記制御部から送信されてきた前記ドキュメントデータを蓄積する、
請求項1に記載の現場作業支援システム。
【請求項3】
前記スマートグラスには、前記現場作業者によって当該スマートグラスが装着された状態で前記現場作業者が視認することができる表示部が設けられており、
前記サーバには、前記現場作業者が作業する対象機器に関する電子マニュアルが記憶されており、
前記制御部は、前記サーバから前記電子マニュアルを受信し、当該電子マニュアルを前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の現場作業支援システム。
【請求項4】
前記スマートグラスには、前記現場作業者によって当該スマートグラスが装着された状態で前記現場作業者が視認することができる表示部が設けられており、
前記制御部には、現場に搬入される予定の製品を識別するための個体情報が予め記憶されており、
前記撮像部は、前記現場に搬入されてきた製品に付されているバーコードを撮像し、
前記制御部は、前記撮像部によって撮像された前記バーコードから個体情報を取得し、当該個体情報が、予め記憶されている個体情報と一致するかを照合し、照合結果を前記表示部に表示させる、
請求項1に記載の現場作業支援システム。
【請求項5】
前記スマートグラスには、前記現場作業者によって当該スマートグラスが装着された状態で前記現場作業者が視認することができる表示部が設けられており、
前記サーバには、現場に搬入される予定の製品を識別するための個体情報が予め記憶されており、
前記撮像部は、前記現場に搬入されてきた製品に付されているバーコードを撮像し、
前記制御部は、前記撮像部によって撮像された前記バーコードから個体情報を取得し、前記サーバに当該個体情報を送信し、
前記サーバは、送信されてきた前記個体情報が、予め記憶されている個体情報と一致するかを照合し、照合結果を前記制御部に返信し、
前記制御部は、前記照合結果を前記表示部に表示させる、
請求項2に記載の現場作業支援システム。
【請求項6】
前記サーバには、現場に搬入される予定の製品を識別するための個体情報が予め記憶されており、
前記撮像部は、前記現場に搬入されてきた製品に付されているバーコードを撮像し、
前記制御部は、前記撮像部によって撮像された前記バーコードから個体情報を取得し、前記サーバに当該個体情報を送信し、
前記サーバは、送信されてきた前記個体情報が、予め記憶されている個体情報と一致するかを照合し、照合結果を前記制御部に返信し、
前記制御部は、前記照合結果を前記表示部に表示させる、
請求項3に記載の現場作業支援システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防災システムに対する保守、障害対応などの現場作業を行う作業者を支援する現場作業支援システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
防災システムに対する保守、障害対応などの現場作業において、現場作業者は、作業完了時に、客先向けの作業報告書、社内向けの不具合対応事例、作業事例、障害事例などのドキュメントを作成する。
【0003】
ここで、防災システムに関する報告書を自動で作成する装置が開示されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に係る防災表示装置は、防災受信機によって収集された火災感知器、ガス漏れ検知器などの機器による検知イベントを集計し、集計結果を表示する構成を有している。また、特許文献1に係る防災表示装置は、所定期間内における集計結果を報告書形式として印字出力する構成を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-118776号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
保守、障害対応などの現場作業の内容によっては、作業の詳細をドキュメントにまとめることが要求される。この場合、現場作業者は、本来の現場作業に加え、作業の進捗に応じて状況証拠を撮像するタスクも発生する。
【0006】
上記の特許文献1に記載されている防災表示装置は、火災感知器、ガス漏れ検知器などが検知したイベントを集計し、報告書としてまとめるものであり、上記のように状況証拠を撮像するタスクも含めた現場作業の内容をまとめるものとは異なる。このため、現場作業に関するドキュメントの作成に、特許文献1の技術を適用することはできない。
【0007】
本開示は、上記の課題を解決するためになされたものであり、現場作業者の作業負荷の増加を抑えつつ、状況証拠を撮像するタスクも含めた現場作業に関するドキュメントデータを作成することができる現場作業支援システムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る現場作業支援システムは、現場作業者に装着されるスマートグラスと、現場作業者からの操作を受け付け、当該操作に基づいてスマートグラスの動作を制御する制御部と、を備え、スマートグラスには、現場作業者によって当該スマートグラスが装着された状態で現場作業者が向いている方向を撮像する撮像部が設けられており、制御部は、撮像部によって撮像された撮像データを取得し、当該撮像データを含めたドキュメントデータを作成して外部に送信する。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、現場作業者の作業負荷の増加を抑えつつ、状況証拠を撮像するタスクも含めた現場作業に関するドキュメントデータを作成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の実施の形態1における現場作業支援システムの構成例を示す図である。
図2図1に示すスマートグラス及び操作端末の構成例を示すブロック図である。
図3図1に示す現場作業支援システムにおける処理を示すシーケンス図である。
図4図2に示す操作端末によるドキュメントデータの作成動作を示すフローチャートである。
図5図1に示す現場作業支援システムにおける製品の受入れ検査処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の現場作業支援システムの好適な態様につき、図面を用いて説明する。
本開示に係る現場作業支援システムは、ウェアラブルデバイスの一種であるスマートグラスを用いて、防災システムに対する保守、障害対応などの現場作業を支援し、特に、状況証拠を撮像するタスクも含めた現場作業に関するドキュメントデータを作成する負担を軽減することを技術的特徴としている。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本開示の実施の形態1における現場作業支援システムの構成例を示した図である。
【0013】
現場作業支援システム100は、スマートグラス1、制御部としての操作端末2、及びサーバ3を備えて構成されている。
【0014】
スマートグラス1は、メガネ型のウェアラブルデバイスであり、現場作業者に装着されて用いられる。スマートグラス1には、小型ディスプレイ51、カメラ52、及び照明53が設けられている。
【0015】
小型ディスプレイ51は、表示面が現場作業者の目の近傍に位置するように、且つ、当該表示面が現場作業者と対面するように、スマートグラス1に設けられている。
【0016】
カメラ52は、レンズ面がスマートグラス1の前方側を向くように設けられており、現場作業者が向いている方向を撮像する。
【0017】
照明53は、スマートグラス1の前方側を照射するように設けられており、現場作業者が向いている方向を照らす。
【0018】
また、スマートグラス1は、操作端末2と近距離無線通信を介してデータの送受信を行うことができ、操作端末2からの指令を受けて動作する。
【0019】
操作端末2は、現場作業者によって操作される端末であり、当該操作に従い、スマートグラス1の動作を制御する。操作端末2は、近距離無線通信を介して、スマートグラス1の小型ディスプレイ51に対し画像を表示させる。また、操作端末2は、スマートグラス1のカメラ52に対して撮像指令を行い、撮像データを取得する。
【0020】
操作端末2には、操作キー61が設けられている。操作キー61は、上下左右の十字キー、及び十字キーの中心部に位置する決定キーによって構成されている。
【0021】
操作端末2は、通信キャリアが提供する広域通信網200と無線により接続し、サーバ3との間でデータの送受信を行う。
【0022】
サーバ3は、広域通信網200を介して操作端末2とデータの送受信を行うクラウドサーバである。サーバ3には、防災システムを構成する機器に関する電子マニュアルが蓄積されている。
【0023】
また、サーバ3には、書式データが蓄積されている。書式データは、現場作業に関するドキュメントデータのひな形であり、枠線及び定型文のみが記されたDOCX形式のデータである。ドキュメントデータとしては、例えば客先向けの作業報告書、社内向けの不具合対応事例、作業事例、障害事例などがあり、これら各ドキュメントデータに対応した書式データが、事前に用意され、サーバ3に記憶されている。
【0024】
図2は、図1に示すスマートグラス1及び操作端末2の構成例を示すブロック図である。
【0025】
図2において、スマートグラス1は、表示部11、演算処理部12、記憶部13、近距離無線通信部14、撮像部15、及びマイク16を備える。
【0026】
表示部11は、上記の小型ディスプレイ51を含んでおり、現場作業者によってスマートグラス1が装着された状態で、現場作業者が視認することができるように設けられている。表示部11は、文字、記号、図形、静止画像、動画などのコンテンツを表示することが可能である。
【0027】
演算処理部12は、中央演算処理装置、及び主記憶装置を含んでおり、記憶部13に記憶されているソフトウェアを演算実行する。これにより、演算処理部12は、スマートグラス1の内部のハードウェアに対して統括的な制御を行う。
【0028】
記憶部13は、補助記憶装置を含んでおり、演算処理部12によって演算実行されるソフトウェアを記憶する。
【0029】
近距離無線通信部14は、操作端末2との間で近距離無線通信によるデータの送受信を行う。近距離無線通信部14は、データの送受信を行う前段階として、操作端末2との間で一意の情報を共有するための処理を行う。そして、近距離無線通信部14は、相手先である操作端末2と、当該一意の情報を用いて確認し合いながら近距離無線通信を行う。
【0030】
撮像部15は、上記のカメラ52を含んでおり、現場作業者によってスマートグラス1が装着された状態で現場作業者が向いている方向を撮像する。特に、本実施の形態1における撮像部15は、遠隔地にいる熟練者等に現場の状況、作業風景などを配信することとは別に、ドキュメントデータの作成に必要な撮像データを取得するために活用される。
【0031】
マイク16は、周囲に発生している音声を収音する装置であり、特に、現場作業者の声を収音する。
【0032】
操作端末2は、オペレーティングシステムが導入されている小型のモバイルコンピュータであり、操作部21、演算処理部22、記憶部23、近距離無線通信部24、広域回線通信部25を備える。
【0033】
操作部21は、上記の操作キー61を含んでおり、現場作業者からの操作を受け付ける。
【0034】
広域回線通信部25は、広域通信網200を介してサーバ3とデータ通信を行う。なお、サーバ3と通信可能な構成であれば、無線LAN(Local Area Network)が介在した通信構成であっても構わない。
【0035】
演算処理部22、記憶部23、及び近距離無線通信部24は、スマートグラス1に備えられている演算処理部12、記憶部13、及び近距離無線通信部14と同じ機能を備えている。
【0036】
実施の形態1においては、操作端末2として、スマートグラス1を操作するための専用装置が用いられるものとするが、スマートフォンに操作用ソフトウェアを導入して代用してもよい。
【0037】
図3は、図1に示す現場作業支援システム100における処理を示すシーケンス図である。
【0038】
操作端末2は、ステップS101において、現場作業者によって選択された作業対象機器、システムの型式及び作業内容の各情報を取得する。
【0039】
現場作業者は、スマートグラス1に表示されている型式及び作業内容を選択する画面を視認しながら、操作端末2の操作部21、具体的には十字キー及び決定キーを操作する。これにより、現場作業者は、型式及び作業内容を選択する。なお、ここで選択される作業内容としては、例えば「信号変換器の交換」「サーバ不具合」「火災感知器の定期点検」「受信機の誤発報対応」などを挙げることができる。
【0040】
操作端末2は、ステップS102において、取得した型式及び作業内容の各情報を、サーバ3に送信する。
【0041】
サーバ3は、ステップS103において、受信した型式及び作業内容の各情報をもとに、蓄積されている電子マニュアル群の中から、該当する電子マニュアルを特定する。また、サーバ3は、ステップS103において、型式及び作業内容の各情報をもとに、蓄積されている書式データ群の中から、該当する書式データを特定する。
【0042】
サーバ3は、ステップS104において、特定した電子マニュアル及び書式データを、作業用データとして操作端末2に送信する。
【0043】
操作端末2は、ステップS105において、サーバ3から送信される電子マニュアルの中から、表示用ページとして1ページ分抜き出す。そして、操作端末2は、ステップS106において、当該1ページ分のデータをスマートグラス1に送信する。
【0044】
スマートグラス1は、ステップS107において、受信した1ページ分のデータを、表示部11に表示する。
【0045】
現場作業者は、目を動かして視線の方向を変えるのみにより、表示上の電子マニュアルと手元の作業対象機器とを見比べることができ、ハンズフリーで作業を行うことができる。
【0046】
なお、ページの切り替えは、操作端末2が操作されることにより行われる。すなわち、操作部21の十字キーの左右ボタンが操作される毎に、ステップS105~ステップS107が実行され、次ページまたは前ページに切り替えられる。
【0047】
また、電子マニュアルには、ドキュメントデータを作成するにあたり、進捗に応じて何を撮像すべきかの手法も記載されている。現場作業者は、電子マニュアルの当該記載に従って、操作部21の決定ボタンを押下する。これにより、操作端末2は、ステップS108において、現場作業者から撮像の指示を受け付ける。
【0048】
操作端末2は、ステップS109において、スマートグラス1に撮像指令を送信する。スマートグラス1は、ステップS110において、撮像指令に応じて撮像を行い、ステップS111において、撮像データを操作端末2に送信する。
【0049】
操作端末2は、ステップS112において、撮像データを保存する。ここで、操作端末2は、撮像データを保存するか、撮り直すかを現場作業者に問い合わせてもよい。この場合、現場作業者は、操作部21の十字キーの上下ボタンを操作することにより、保存するか撮り直すかを決めることができる。
【0050】
現場作業者が操作部21の決定ボタンを押下するごとに、ステップS108~ステップS112が行われる。これにより、操作端末2は、作業の進捗に応じて撮像データを取得することができる。
【0051】
作業が完了すると、操作端末2は、ステップS113において、取得した各撮像データを、サーバ3から受信した書式データに挿入しながらドキュメントデータを作成する。このドキュメントデータの作成方法については後述する。
【0052】
操作端末2は、ステップS114において、作成したドキュメントデータをサーバ3に送信する。なお、操作端末2は、各状況を示す証拠データとして、未加工の撮像データをサーバ3に送信してもよい。
【0053】
サーバ3は、ステップS115において、受信したドキュメントデータを、アーカイブデータとして蓄積する。
【0054】
なお、図3に示した一連の流れでは、操作端末2が、電子マニュアル及び書式データをサーバ3から取得し、作成したドキュメントデータを最終的にサーバ3に返送する構成として説明した。しかしながら、本実施の形態1に係る現場作業支援システムは、サーバ3との通信を行わず、スマートグラス1と操作端末2による最小構成として実現することも可能である。
【0055】
このような最小構成を採用する場合には、現場作業者は、以下のような手順に従って、ドキュメントデータを作成することができる。
手順1:作業対象機器、システムに関する電子マニュアル及び書式データがすでに操作端末2の記憶部23に蓄積されており、現場作業者は、操作端末2を操作することで、必要な電子マニュアル及び書式データを取得する。
【0056】
手順2:現場作業者は、作業の進捗に応じてスマートグラス1の撮像部15によって撮像した撮像データを書式データに挿入してドキュメントデータを作成する。
【0057】
手順3:撮像データが挿入されたドキュメントデータを、サーバ3に送信する代わりに、外部プリンタに対して送信し、印字作業を実施する。
このような一連作業によっても、現場作業者の作業負荷の増加を抑えつつ、状況証拠を撮像するタスクも含めた現場作業に関するドキュメントデータを作成することができる現場作業支援システムを実現できる。
【0058】
図4は、図2に示す操作端末2によるドキュメントデータの作成動作を示すフローチャートである。図2を用いて、撮像データを挿入する以外に、その他の情報をドキュメントデータにさらに書き込む必要がある場合の作成動作について補足説明する。ここで、操作端末2は、DOCX形式のファイルをドキュメントデータとして作成するものとする。
【0059】
操作端末2は、ステップS201において、DOCX形式の書式データを展開する。DOCX形式のファイルは、XML形式のテキストファイル群、及びイメージデータ群をZIP形式により圧縮した構造となっている。操作端末2は、ステップS201において、各種データを直接編集できるようにするため、圧縮されているDOCX形式のファイルを展開する。
【0060】
操作端末2は、ステップS202において、撮像データを展開後の書式データに格納する。展開後の書式データには、画像を格納するためのフォルダとして、mediaフォルダが形成されている。操作端末2は、撮像データのファイル名を「image[N].png」([N]=1,2,3,・・・)などの名前に変更した上で、mediaフォルダに撮像データを格納する。なお、ドキュメント内のいずれの箇所に各撮像データが挿入されるのかについては、書式データ内に予め定義されているものとする。
【0061】
操作端末2は、ステップS203において、システム内で取得することができる情報を、展開後の書式データに書き込む。システム内で取得することができる情報として、時間情報、現場作業者を特定する情報などがある。操作端末2は、展開後の書式データに含まれているdocument.xmlに、これらの情報を書き込む。
【0062】
操作端末2は、ステップS204において、その他の必要な情報を、展開後の書式データに書き込む。なお、ここでは、顧客名、作業場所、現場作業者が記録として残しておきたい特記事項などが書き込まれる。
【0063】
このステップS204において、操作端末2は、現場作業者の発する声をマイク16で収音し、音声認識技術を用いてテキストデータに変換する。そして、操作端末2は、変換後のテキストデータを、document.xmlに書き込む。
【0064】
操作端末2は、ステップS205において、撮像データが格納され、必要なテキストデータが書き込まれた後の書式データを、ZIP形式に圧縮する。これにより、操作端末2は、DOCX形式のファイルを得ることができる。
【0065】
このようにして作成されたドキュメントデータは、図3のステップS114でサーバ3に送信される。あるいは、外部プリンタを介して印字出力することもできる。
【0066】
ここまでは、防災システムの保守、障害対応の際に、電子マニュアルを提供し、ドキュメントデータを作成する態様例について説明した。これ以外にも、製品の受入れ検査に、実施の形態1の現場作業支援システム100を活用することができる。この場合の態様例を、以下に説明する。
【0067】
図5は、図1に示す現場作業支援システム100における製品の受入れ検査処理を示すシーケンス図である。なお、以下の説明において、サーバ3には、搬入予定の製品を識別するための個体情報が予め記憶されているものとする。また、搬入される実際の製品にも、個体情報をあらわすバーコードが付されているものとする。
【0068】
現場作業者は、搬入された製品に付されているバーコードに撮像部15の焦点を合わせながら、操作部21の決定ボタンを押下する。これにより、操作端末2は、ステップS301において、現場作業者から撮像の指示を受け付ける。
【0069】
操作端末2は、ステップS302において、スマートグラス1に撮像指令を出力する。スマートグラス1は、ステップS303において、撮像指令に応じて撮像を行い、ステップS304において、撮像データを操作端末2に送信する。
【0070】
操作端末2は、ステップS305において、撮像データ内に写っているバーコードから、個体情報を取得し、ステップS306において、取得した個体情報をサーバ3に送信する。
【0071】
サーバ3は、ステップS307において、予め記憶されている個体情報の中に、受信した個体情報と一致するものが存在するかを照合する。そして、サーバ3は、ステップS308において、照合結果を操作端末2に送信する。
【0072】
操作端末2は、ステップS309において、照合結果に基づいて、受け入れ許可を示す画像データ、または受け入れ不可を示す画像データを、記憶部23から取得する。そして、操作端末2は、ステップS310において、取得した画像データとともに、表示指令をスマートグラス1に送信する。
【0073】
スマートグラス1は、ステップS311において、受け入れ許可を示す画像データ、または受け入れ不可を示す画像データを表示し、現場作業者に通知する。
【0074】
搬入された製品ごとに、ステップS301~ステップS311が繰り返し行われることにより、現場担当者は、各製品の受入れ検査を行うことができる。
【0075】
なお、図5に示した製品の受入れ検査処理に関する一連の流れでは、搬入予定の製品を識別するための個体情報がサーバ3に予め記憶されており、サーバ3により実施した照合結果が操作端末2に返送される構成として説明した。しかしながら、本実施の形態1に係る現場作業支援システムは、サーバ3との通信を行わず、スマートグラス1と操作端末2による最小構成として製品の受入れ検査処理を実現することも可能である。
【0076】
このような最小構成を採用する場合には、現場作業者は、以下のような手順に従って、製品の受入れ検査処理を実行することができる。
手順1:現場作業者は、搬入された製品に付されているバーコードを、撮像部15により読み取る。
【0077】
手順2:搬入予定の製品を識別するための個体情報がすでに操作端末2の記憶部23に蓄積されており、現場作業者は、操作端末2上で実行された照合処理を、スマートグラス1上の表示として確認する。
このような一連作業によっても、現場作業者の作業負荷の増加を抑えつつ、現場にて製品の受入れ検査処理を迅速に実行することができる現場作業支援システムを実現できる。
【0078】
なお、実施の形態1においては、スマートグラス1と操作端末2とを別体にした構成を例示したが、操作端末2の機能を、スマートグラス1に組み入れて一体にしてもよい。この場合、スマートグラス1に、操作用の操作部を設けるか、目の動き、瞬きなどのジェスチャに応じて各種動作を行う機能を備えさせる。
【0079】
また、実施の形態1において、操作端末2は、書式データを用いることにより、当該書式データのひな形に則ったドキュメントデータを作成する。これに対し、操作端末2は、書式データを用いずに、撮像データを順番に貼り付けるのみのフリーフォーマットのドキュメントデータを作成してもよい。また、操作端末2は、書式データを用いずに、枠線、定型文などを毎回記載してドキュメントデータを何も無い状態から作成してもよい。
【0080】
また、実施の形態1において、現場作業者は、電子マニュアルに記載されている手順に従って撮像するものとしたが、この態様に限らない。現場作業者は、任意のタイミングで撮像してもよい。
【0081】
また、実施の形態1においては、DOCX形式のドキュメントデータを作成するものとするが、これに限らず、例えばPDF形式のドキュメントデータを作成してもよい。さらに、ドキュメントデータの作成に関して、図4のフローチャート以外の手法、例えばベンダーが提供するAPI(Application Programming Interface)を用いても構わない。
【0082】
また、図5の例においては、バーコードを読み取る際にボタン操作を要するものとしたが、映像内のバーコードが認識され次第、自動的にバーコードを読み取る方法であってもよい。
【0083】
このような現場作業支援システム100の特徴を整理すると、以下のような構成を有し、効果を実現できることとなる。
【0084】
現場作業支援システム100は、現場作業者に装着されるスマートグラス1と、現場作業者からの操作を受け付け、当該操作に基づいてスマートグラス1の動作を制御する操作端末2と、を備えている。また、操作端末2と通信可能なサーバ3をさらに備える構成を採用することもできる。
【0085】
また、スマートグラス1には、現場作業者によって当該スマートグラス1が装着された状態で現場作業者が向いている方向を撮像する撮像部15が設けられている。
【0086】
また、操作端末2は、撮像部15によって撮像された撮像データを取得し、当該撮像データを含めたドキュメントデータを作成して外部プリンタで印字する、あるいはサーバ3に送信する。また、サーバ3は、操作端末2から送信されてきたドキュメントデータを蓄積する。
【0087】
この構成により、現場作業者の作業負荷の増加を抑えつつ、状況証拠を撮像するタスクも含めた現場作業に関するドキュメントデータを作成することができる。また、サーバ3にドキュメントデータを蓄積することにより、同じ社内、部内などの関係者の間で、不具合対応事例、作業事例、障害事例などの各種の情報を共有することができる。
【0088】
また、スマートグラス1には、現場作業者によって当該スマートグラス1が装着された状態で現場作業者が視認することができる表示部11が設けられている。サーバ3には、現場作業者が作業する対象機器に関する電子マニュアルが記憶されている。操作端末2は、サーバ3から電子マニュアルを受信し、当該電子マニュアルを表示部11に表示させる。
【0089】
この構成により、現場作業者は、目を動かして視線の方向を変えるのみにより、電子マニュアルと作業対象機器とを対比しながら現場作業を行うことができる。また、サーバ3に電子マニュアルを記憶させ、一元管理することにより、電子マニュアルを最新版に更新する場合、当該サーバ3内のデータの更新のみを行うことで、対応することができる。
【0090】
また、サーバ3には、現場に搬入される予定の製品を識別するための個体情報が予め記憶されている。撮像部15は、現場に搬入されてきた製品に付されているバーコードを撮像する。その後、操作端末2は、撮像部15によって撮像されたバーコードから個体情報を取得し、サーバ3に当該個体情報を送信する。
【0091】
サーバ3は、送信されてきた個体情報が、予め記憶されている個体情報と一致するかを照合し、照合結果を操作端末2に返信する。操作端末2は、照合結果を表示部11に表示させる。
【0092】
なお、現場に搬入される予定の製品を識別するための個体情報が操作端末2に予め記憶されている場合には、サーバ3の代わりに、操作端末2自身で照合を行うことが可能である。
【0093】
この構成により、現場作業者は、製品の受入れ検査を容易に行うことができ、作業負荷を低減することができる。
【符号の説明】
【0094】
1 スマートグラス、2 操作端末(制御部)、3 サーバ、11 表示部、15 撮像部、100 現場作業支援システム。
図1
図2
図3
図4
図5