(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170931
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 40/04 20120101AFI20241204BHJP
【FI】
G06Q40/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087704
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】517157927
【氏名又は名称】株式会社SmartHR
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 昌臣
(72)【発明者】
【氏名】野瀬 梓紗
(72)【発明者】
【氏名】上谷 真之
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB52
5L055BB52
(57)【要約】
【課題】発行された新株予約権の各制約条件に対応する利益を把握しやすくする。
【解決手段】情報処理方法は、所定ユーザに対して企業が発行する1つ以上の新株予約権について、所定ユーザが獲得し得る想定金額の出力リクエストを取得すること、1つ以上の新株予約権の行使に関する1又は複数の制約条件のうち、少なくとも1つの条件を変更すること、変更された少なくとも1つの条件と、所定ユーザが保有する新株予約権の個数又は新株予約権の目的株式数と、企業の評価額とに基づいて、所定ユーザが獲得し得る想定金額を算出すること、算出された想定金額を出力すること、を実行する。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置が、
所定ユーザに対して企業が発行する1つ以上の新株予約権について、前記所定ユーザが獲得し得る想定金額の出力リクエストを取得すること、
前記1つ以上の新株予約権の行使に関する1又は複数の制約条件のうち、少なくとも1つの条件を変更すること、
変更された前記少なくとも1つの条件と、前記所定ユーザが保有する新株予約権の個数又は前記新株予約権の目的株式数と、前記企業の評価額とに基づいて、前記所定ユーザが獲得し得る想定金額を算出すること、
算出された前記想定金額を出力すること、
を実行する情報処理方法。
【請求項2】
前記変更することは、
前記制約条件に含まれる、各新株予約権に対する行使条件及び/又は行使期間に関する条件のうち、少なくとも1つの条件を変更することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記変更することは、
前記行使条件のうち、企業が上場する条件を除外することを含む、請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
前記変更することは、
前記行使期間内の所定日に変更することを含み、
前記算出することは、
変更された前記所定日までに付与される新株予約権の行使に基づき、前記想定金額を算出することを含む、請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項5】
前記算出することは、
前記新株予約権の行使により得られる株式の予想売却金額から、少なくとも行使価格を減算して前記想定金額を算出することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項6】
前記出力することは、
前記想定金額と、当該想定金額の算出時に前記所定ユーザが保有する新株予約権の個数又は前記新株予約権の目的株式数、及び前記算出時に前記所定ユーザが保有する権利行使後の株式数とを表示画面に表示制御することを含む、請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項7】
前記出力することは、
前記行使期間内に変更されうる新株予約権の個数又は前記新株予約権の目的株式数に基づく前記想定金額のグラフを表示画面に表示制御し、設定変更される前記所定日に対応する想定金額を前記グラフに関連付けて表示制御することを含む、請求項4に記載の情報処理方法。
【請求項8】
前記出力することは、
新株予約権の行使状況を前記表示画面に表示制御することを含む、請求項6又は7に記載の情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置に、
所定ユーザに対して企業が発行する1つ以上の新株予約権について、前記所定ユーザが獲得し得る想定金額の出力リクエストを取得すること、
前記1つ以上の新株予約権の行使に関する1又は複数の制約条件のうち、少なくとも1つの条件を変更すること、
変更された前記少なくとも1つの条件と、前記所定ユーザが保有する新株予約権の個数又は前記新株予約権の目的株式数と、前記企業の評価額とに基づいて、前記所定ユーザが獲得し得る想定金額を算出すること、
算出された前記想定金額を出力すること、
を実行させるプログラム。
【請求項10】
プロセッサを含む情報処理装置であって、
前記プロセッサが、
所定ユーザに対して企業が発行する1つ以上の新株予約権について、前記所定ユーザが獲得し得る想定金額の出力リクエストを取得すること、
前記1つ以上の新株予約権の行使に関する1又は複数の制約条件のうち、少なくとも1つの条件を変更すること、
変更された前記少なくとも1つの条件と、前記所定ユーザが保有する新株予約権の個数又は前記新株予約権の目的株式数と、前記企業の評価額とに基づいて、前記所定ユーザが獲得し得る想定金額を算出すること、
算出された前記想定金額を出力すること、
を実行する情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の技術は、情報処理方法、プログラム、及び情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、所定の発行者が発行する未公開の仮想通貨に関する取引に関する取引条件が設定されていた場合は、仮想通貨が公開された後で所定の条件が満たされた際に、仮想通貨の取引を実現する取引サーバに対し、取引条件に従って発行者が有する仮想通貨を取引者に提供するように通知することで、発行者と取引者との間における仮想通貨に関する取引を成立させる取引制御部とを有する制御装置が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、従業員等への報酬等として新株予約権が発行されるケースが増えているが、新株予約権により将来的に自分が享受できる利益を容易に把握することができないという課題がある。例えば、新株予約権の行使には様々な制約条件が設定されることが一般的であり、これらの制約条件が、従業員等への利益の把握を煩雑にしている。
【0005】
そこで、開示技術は、発行された新株予約権の各制約条件に対応する利益を把握しやすくすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
開示の一態様における情報処理方法は、情報処理装置が、所定ユーザに対して企業が発行する1つ以上の新株予約権について、前記所定ユーザが獲得し得る想定金額の出力リクエストを取得すること、前記1つ以上の新株予約権の行使に関する1又は複数の制約条件のうち、少なくとも1つの条件を変更すること、変更された前記少なくとも1つの条件と、前記所定ユーザが保有する新株予約権の個数又は新株予約権の目的株式数と、前記企業の評価額とに基づいて、前記所定ユーザが獲得し得る想定金額を算出すること、算出された前記想定金額を出力すること、を実行する。
【発明の効果】
【0007】
開示技術によれば、発行された新株予約権の各制約条件に対応する利益を把握しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】一実施形態に係るサーバの一例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る従業員等の人材情報の一例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る新株予約権に関する付与情報の一例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る処理装置の一例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る新株予約権に対応する想定金額の表示に関する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】一実施形態に係る想定金額の表示画面の一例を示す図である。
【
図8】一実施形態に係る想定金額の表示画面の他の例を示す図である。
【
図9】一実施形態に係る新株予約権における行使状況の表示画面の一例を示す図である。
【
図10】一実施形態に係る新株予約権におけるベスティング条件の表示画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
添付図面を参照して、本開示の好適な実施形態について説明する。なお、各図において、同一の符号を付したものは、同一又は同様の構成を有する。
【0010】
[実施形態]
<システム構成>
図1は、開示の一実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示す図である。
図1に示すとおり、情報処理システム1は、サーバ10と、1つ又は複数のユーザの処理装置20A、20B、20Cを含む。以下、各処理装置が区別されない場合は、処理装置20と表記する。例えば、実施形態に係る情報処理システム1は、少なくとも発行済みの新株予約権の管理を行うシステムを構成し、新株予約権の発行、権利行使、株式売却などの処理を含むシステムを構成してもよい。
【0011】
新株予約権とは、あらかじめ決められた金額や条件で株式会社の株式を取得できる権利をいう。新株予約権を保有するユーザは、自身の権利を行使すると、あらかじめ決められた権利行使価格で株式を取得できる。新株予約権を付与(発行)した株式会社は、権利行使時の株価に関わらず、新たに株式を発行または自己株式をユーザに交付する。なお、ユーザは、文脈から逸脱しない限り、企業に所属する取締役、従業員、外部協力者、新株予約権の権利保有者、システム管理者及び新株予約権の運営事務局のうち少なくとも1つを含んでよい。
【0012】
新株予約権のうち、ストックオプションとは、会社がその従業員や役員等に報酬(インセンティブ)として付与するものをいう。それぞれの新株予約権について、ユーザが権利行使をするには様々な制約条件が課されるケースがほとんどである。例えば、ストックオプションの場合、発行会社が証券取引所等に上場するなどの上場条件、ユーザが発行会社に在籍している在籍条件、在籍期間または新株予約権の保有期間に応じて段階的に新株予約権の権利行使が可能になる条件(ベスティング条件)、権利行使が可能な期間などの制約条件が設定される。以下、新株予約権を管理する情報処理システム1の各構成の概要について説明する。なお、上場条件は、M&Aにより買収される買収条件を含んでもよい。
【0013】
サーバ10と、処理装置20とは、ネットワークNを介して相互にデータの送受信が可能である。サーバ10は複数の処理装置により構成されてもよく、処理装置20は任意の数でもよい。
【0014】
サーバ10は、本開示システムを構成する情報処理装置であり、各種データを管理し、ユーザの情報管理を支援したりする。例えば、サーバ10は、ユーザの人材情報、新株予約権に関する情報などを管理する。また、サーバ10は、ユーザが新株予約権を行使し、株式を売却した場合の利益について、各制約条件に応じた金額を算出し、ユーザが把握可能な形式で出力する。
【0015】
処理装置20は、ウェブブラウザやアプリケーション(アプリ)を用いて、サーバ10から提供される新株予約権の保有状況、ユーザが獲得しうると想定される金額(想定利益、想定金額、又は想定キャピタルゲインと表現されてもよい)の表示処理などを実行する。また、処理装置20は、ユーザインタフェースを利用して、新株予約権の発行を受け付けたり、権利行使又は株式売却のリクエストなどを受け付けたりしてもよい。
【0016】
例えば、処理装置20は、制約条件に応じた新株予約権の利益を容易に把握可能なサービス(以下、「本件サービス」ともいう。)の提供を受ける組織(例、企業)に属する各ユーザが使用する情報処理装置である。
【0017】
また、処理装置20には、サーバ10が提供する本件サービスを利用するためのアプリケーションプログラム(アプリ)がインストールされてもよい。このアプリは、サーバ10が提供するサービスにおいて、以下に示す実施形態において開示された新株予約権に関する処理の一部を処理装置20に実行させる。このアプリが実行されることにより、処理装置20はサーバ10にアクセスして、新株予約権に関するアプリの実行に用いる情報を送受信する。以下、新株予約権に関するサービスを実行可能にする情報処理システム1の各構成等について詳細に説明する。
【0018】
<サーバの構成>
図2は、開示の一実施形態に係るサーバ10の一例を示すブロック図である。サーバ10は、1つ又は複数のプロセッサ(例えばCPU)110、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース120、記憶装置(記憶部)130、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス170を含む。
【0019】
サーバ10は、場合によりユーザインタフェース150を含んでもよい。ユーザインタフェース150は、ディスプレイ、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)を含む。
【0020】
記憶装置130は、例えば、DRAM、SRAM、他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ(主記憶装置)である。また、記憶装置130は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ(補助記憶装置)でもよい。また、記憶装置130は、プログラム等を記憶した、コンピュータにより読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。また、記憶装置130は、主記憶装置(メモリ)又は補助記憶装置(ストレージ)のいずれかでもよく、あるいは両方を備えてもよい。
【0021】
記憶装置130は、情報処理システム1により用いられるデータ、プログラム等を記憶する。例えば、記憶装置130は、組織に所属するユーザ(従業員等)の人材情報、新株予約権に関する情報などを記憶する。記憶装置130は、他のデータベースと連携し、前日の終値などの株価情報を取得して記憶してもよい。なお、人材情報及び新株予約権に関する情報については、
図3及び
図4を用いて後述される。
【0022】
また、記憶装置130の他の例として、プロセッサ110から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置でもよい。ある実施形態において、記憶装置130はプロセッサ110により実行されるプログラム、モジュール及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。
【0023】
プロセッサ110は、記憶装置130に記憶されるプログラムを実行することで、例えば、このプログラムに含まれる各命令を実行することで、新株予約権に関するサービス制御部111を構成する。
【0024】
サービス制御部111は、実施形態に開示される本件サービスを制御する。例えば、サービス制御部111は、各処理装置20からの新株予約権の保有状況に関する出力リクエスト、新株予約権の制約条件に関する変更リクエスト、制約条件等に基づく新株予約権に関する利益の出力リクエストなどに応じて各処理を行う。具体例として、サービス制御部111は、処理装置20からの各リクエストにより、新株予約権に基づく想定利益を表示したり、変更された制約条件に基づく想定利益を表示したり、権利行使又は株式売却に関する処理を行ったりしてもよい。
【0025】
また、サービス制御部111は、実施形態に開示される本件サービスを制御するために、付与制御部112、管理部113、行使制御部114、売却制御部115を有する。なお、付与制御部112、行使制御部114、売却制御部115は、必ずしも必要な構成ではなく、適宜任意の組み合わせ(全ての組み合わせを含む)がサーバ10に実装されてもよい。以下、サービス制御部111が提供可能な処理について説明する。
【0026】
《付与処理》
付与制御部112は、企業が付与(発行)する新株予約権の処理を制御する。例えば、付与制御部112は、誰に、どのような新株予約権を、どのような制約条件で付与するかの情報(以下、「付与情報」ともいう。)をユーザから受け付け、各情報を関連付けて記憶装置130に記憶する。本件システムの管理者が、処理装置20を利用して、新株予約権の種類、各種の制約条件、新株予約権が付与される従業員等を設定し、付与制御部112は、処理装置20から新株予約権に関する付与情報を取得する。
【0027】
付与制御部112は、記憶装置130に記憶された新株予約権に関する契約情報のテンプレートを利用して新株予約権を付与してもよい。テンプレートには、各種の制約条件が含まれており、ユーザごとに、制約条件が変更、削除又は追加されたり、発行される新株予約権の個数とその目的株式数が設定されたりすればよい。
【0028】
付与制御部112は、新たに発行される新株予約権の付与情報をユーザ情報に対応付けて記憶装置130に登録することで、新株予約権の付与を制御する。また、付与制御部112は、各ユーザの付与情報を管理することにより、企業が発行した新株予約権の総個数などの報告情報を作成することも可能である。
【0029】
《想定利益の出力処理》
管理部113は、各ユーザが保有する新株予約権を行使したり、株式を売却した場合の想定利益を算出したり、出力したりする。管理部113は、想定利益の出力処理を実行するため、以下の処理を実行する。
【0030】
管理部113は、所定ユーザに対して企業が発行する1つ以上の新株予約権について、所定ユーザが獲得し得る想定金額の出力リクエストを取得する。例えば、出力リスエストは、処理装置20からの、想定金額を含む画面の表示リクエストや制約条件の変更に伴う想定金額の算出リクエストを含む。
【0031】
具体例として、管理部113は、ユーザAが利用する処理装置20から、ユーザAが保有する新株予約権に関する想定金額の出力リクエストとユーザAを識別するユーザ識別情報とを取得する。出力リクエストは、制約条件の変更内容を含む変更情報が含まれてもよい。
【0032】
管理部113は、1つ以上の新株予約権の行使に関する1又は複数の制約条件のうち、少なくとも1つの条件を変更できる。例えば、管理部113は、表示リクエストに含まれる変更情報を取得したり、又はユーザ操作に応じて画面に表示された制約条件が変更される度に、出力リクエストに含まれる変更情報を取得したりしてもよい。変更情報は、制約条件が変更される制約項目と変更内容とを含む。
【0033】
具体例として、管理部113は、制約条件に含まれる上場条件、ベスティング条件、在籍条件、企業の業績条件などのうち、少なくとも1つが変更される場合、変更される制約項目と変更内容とを含む変更情報を取得する。
【0034】
管理部113は、制約条件のうち、変更された少なくとも1つの条件と、ユーザが保有する新株予約権の個数又はその目的株式数と、企業の評価額とに基づいて、所定ユーザが獲得し得る想定金額を算出する。例えば、管理部113は、以下の式により各ユーザの想定金額を算出してもよい。
(1)未上場企業の場合
想定金額=(持ち株比率×評価額)-権利行使価格
持ち株比率:(ユーザが保有している株数÷(発行済み株式総数+登録済みの株式総数))×100
(2)上場企業の場合
想定金額=保有する株数×企業の株価-権利行使価格
株価:例えば前日の終値
【0035】
企業の評価額は、上場企業の場合は上述した株価であり、未上場企業の場合は入力、算出、又は更新される評価額を含む。未上場企業の場合の評価額は、管理者により入力、更新されてもよいし、資金調達額などを用いて計算される所定の計算式を用いて算出されてもよいし、外部から取得されてもよい。また、管理部113は、上述のとおり、新株予約権の行使により得られる株式の売却時の予想金額から権利行使価格を減算し、想定金額を算出することを含んでもよい。
【0036】
なお、事象(資金調達額など)によっては、インサイダー取引に関わる可能性があるため、評価額に即時反映するのではなく、所定期間経過後に反映されてもよい。所定期間は、例えば管理者によって設定される期間でもよいし、資金調達が公開されるまでの期間でもよい。
【0037】
管理部113は、算出された想定金額を出力する。例えば、管理部113は、算出された想定金額を含む出力情報を、出力リクエストを送信した処理装置20に出力する。
【0038】
以上の処理により、発行された新株予約権の各制約条件に対応する利益を、ユーザが把握しやすくすることができる。例えば、ユーザは、制約条件に含まれる任意の条件を変更し、変更後の条件における想定金額を把握することが容易になる。
【0039】
制約条件を変更することについて、管理部113は、制約条件に含まれる、各新株予約権に対する行使条件及び/又は行使期間に関する条件のうち、少なくとも1つの条件を変更することを含んでもよい。例えば、権利行使条件は、上場条件(企業が証券取引所等に上場していること)、ベスティング条件(段階的な権利確定)、在籍条件、業績条件、行使期間を含む。
【0040】
具体例として、管理部113は、行使条件及び/又は行使期間の各カテゴリに分けて、制約項目ごとにチェックボックスを設けるなどして条件の設定変更を可能にし、各カテゴリで自由に条件を変更することを可能にする。ユーザ又は管理者は、処理装置20の画面からチェックボックス等で簡単に条件を変更することが可能になる。管理部113は、ユーザ操作により条件が変更される度に、変更された条件、例えば業績目標のクリアなどに基づいて、想定金額を算出し、出力する。
【0041】
以上の処理により、制約条件に含まれる複数のカテゴリの条件について、ユーザはそれぞれの設定を自由に変更することが可能になり、いずれの条件が想定金額に影響するかなどをカテゴリごとに確認しつつ、利益となり得る想定金額を知ることができる。
【0042】
また、管理部113は、制約条件を変更することについて、権利行使条件のうち、企業が上場する条件を除外することを含んでもよい。未上場企業の場合、上場条件が含まれていると、企業が上場しない限り、想定金額は0になる。したがって、管理部113は、企業が上場した場合の想定金額を算出するため、上場条件を外す選択肢をユーザに与える。
【0043】
例えば、管理部113は、権利行使条件に含まれる上場条件について、上場条件を除外するチェックボックス等を処理装置20の画面に表示させ、ユーザによりチェックがされた場合は、上場条件を除外した他の制約条件のもとで想定金額を算出する。
【0044】
以上の処理により、未上場企業の制約条件の中で、想定金額を算出する際に影響が大きい上場条件を外すことが可能になり、未上場の場合でも想定金額を算出してユーザに報知することが可能になる。なお、未上場企業の場合、管理部113は、デフォルトとして、制約条件に含まれる上場条件を外しておいてもよく、その他の条件も外しておいてもよい。
【0045】
また、管理部113は、新株予約権に関する制約条件について、一部の条件を満たすとして想定金額を算出してもよい。また、設定変更される条件について、複数の項目の変更が組み合わされてもよい。また、管理部113は、例えば権利行使条件に含まれる業績条件を除外する設定を可能にしてもよい。業績条件が制約条件に含まれていると、その業績条件が満たされるか否かが不透明であるため、想定金額の算出に影響を与えるからである。
【0046】
また、管理部113は、設定変更により除いた条件を処理装置20の画面に表示するように制御してもよい。例えば、上場条件及び/又は業績条件を除外した場合、想定金額などが、処理装置20の画面に表示されてもよい。
【0047】
また、管理部113は、ベスティング条件及び/又は在籍条件を将来的に満たすと設定変更して、想定金額が処理装置20の画面に表示されるように制御してもよい。また、管理部113は、複数回付与される新株予約権について、回ごとに保有する新株予約権の達成率が処理装置20の画面に表示されるように制御してもよい。また、管理部113は、想定金額として、権利行使価格を差し引く前の金額を表示してもよく、また、想定金額から税引き後の金額を表示してもよい。また、管理部113は、出力リクエストのタイミングで、制約条件が満たされている新株予約権に対応する想定金額を算出し、出力してもよい。
【0048】
また、管理部113は、制約条件を変更することについて、行使期間内の所定日に変更することを含んでもよい。管理部113は、想定金額を算出する際に、変更された所定日までに付与される新株予約権の行使に基づき、想定金額を算出することを含んでもよい。
【0049】
例えば、管理部113は、行使期間内であれば、設定日(想定金額を算出する基準日)を変更可能にしてもよい。具体例として、管理部113は、処理装置20の画面に行使期間を表示させ、行使期間内で設定日をユーザに入力、選択、又は設定させてもよい。このとき、管理部113は、設定日までに付与される新株予約権を特定し、特定された新株予約権が権利行使された場合の想定金額を算出する。ベスティング条件が設定されたり、ボーナスでの新株予約権の付与が約束されたりしている場合、管理部113は、設定日までに到来する条件を満たすと仮定して、設定日までに付与される新株予約権を特定し、特定された新株予約権に基づく想定金額を算出してもよい。
【0050】
以上の処理により、想定金額を表示する設定日を変更可能にして想定金額を算出し、ユーザに出力することが可能になる。例えば、ユーザは設定日の変更に伴う想定金額の変更を確認し、権利行使時期や株式の売却時期をシミュレーションすることが可能になる。
【0051】
《想定金額に関する表示制御》
また、管理部113は、想定金額を出力することについて、想定金額と、想定金額の算出時に所定ユーザが保有する新株予約権の個数又は新株予約権の目的株式数、及び算出時に所定ユーザが保有する権利行使後の株式数とを表示画面に表示制御することを含んでもよい(例えば、後述の
図7等参照)。
【0052】
例えば、管理部113は、処理装置20から、新株予約権に関するホーム画面の表示リクエストがある場合に、処理装置20を利用するユーザを特定し、特定したユーザが保有する新株予約権や株式などに基づいて想定金額を算出する。管理部113は、例えば、算出した想定金額と、表示リクエスト時点の新株予約権の個数又はその目的株式数と、保有する株式数とを表示するホーム画面の画面情報を処理装置20に出力する。なお、管理部113は、ホーム画面から新株予約権の制約条件を設定変更する画面に遷移するような画面構成にしてもよい。
【0053】
以上の処理により、ユーザが保有する新株予約権に関する様々な情報を一画面に含め、ユーザが一度に把握する情報量を増加させることが可能になる。
【0054】
また、管理部113は、想定金額を出力することについて、行使期間内に変更されうる新株予約権の個数又はその目的株式数に基づく想定金額のグラフを表示画面に表示制御してもよい。また、管理部113は、設定変更される所定日に対応する想定金額の数値をグラフに関連付けて表示制御することを含んでもよい(例えば、後述の
図8参照)。
【0055】
また、管理部113は、所定日の設定変更について、例えばユーザのスワイプ等の操作によって、将来の日付(所定日)を変更すると、指定した将来の日付で付与が想定される新株予約権分の想定金額を、処理装置20の画面に表示するように制御してもよい。また、管理部113は、未上場企業の評価額を、ユーザに入力、設定等させてもよい。将来の評価額を予測することは難しいため、ユーザに自由に評価額を入力等させることで、管理部113は、想定金額をシミュレーション可能となる。なお、所定日を過去の日付に指定した場合は、現実に付与された新株予約権分に基づいた想定金額を、処理装置20の画面に表示するように制御してもよい。
【0056】
以上の処理により、ユーザは、いつ、どれくらいの想定金額を得られそうかのシミュレーションを行うことができ、保有の新株予約権により将来獲得し得る利益を把握することが可能になる。
【0057】
また、想定金額に関するグラフは、株数を順に積み上げていくグラフでもよい。例えば、ユーザがグラフ内の株数に対応する箇所をポインタやタップなどで指示すると、その株数に対応する想定金額の数値が表示されてもよい。また、既に権利行使済みで株が保有されている場合の株式総数が画面に表示されたり、行使期間に関する行使条件(YYYY/MM/DD以降に行使可能など)を満たしている株数、及び/又は行使期間に関する行使条件(YYYY/MM/DD以降に行使可能など)を満たしていない株数が表示されたりしてもよい。
【0058】
また、管理部113は、想定金額を出力することについて、複数の新株予約権が付与される場合、各回における新株予約権の行使状況を処理装置20の表示画面に表示制御することを含んでもよい(例えば、後述の
図9及び10参照)。
【0059】
例えば、管理部113は、ベスティング条件に含まれる複数の権利確定日を特定し、各権利確定日を選択可能にし、選択された権利確定日に付与される新株予約権の総数を求め、この新株予約権の総数を出力してもよい。新株予約権の行使状況は、保有する新株予約権の総数、保有する株式総数、将来的に付与され得る新株予約権の総数を含んでもよい。
【0060】
≪権利行使処理≫
行使制御部114は、各ユーザに保有される新株予約権の権利行使を制御する。例えば、行使制御部114は、新株予約権を保有するユーザが利用する処理装置20から、権利行使の申請を受け付けると、承認者又は事務局が利用する処理装置20に行使申請リクエストを出力する。承認者又は事務局は、行使申請がなされた各情報を確認し、承認すると、行使制御部114は、申請を許可する。
【0061】
行使制御部114は、ユーザが事務局指定の口座に入金すると、申請内容と比較し、入金消込を自動で行う。また、行使制御部114は、承認内容を使用し、信託銀行及び/又は証券会社等に情報を送信又は出力し、共有する。例えば、新株予約権が税制適格を維持するためには、新株予約権の行使により取得される株式を証券会社等に預ける必要がある。このとき、行使制御部114は、新株予約権に関する必要な情報を電子データ化し、この電子データを信託会社等に送信するよう制御する。また、行使制御部114は、新株予約権に関する情報を信託会社等に送信してもよい。
【0062】
≪株式売却処理≫
売却制御部115は、ユーザが処理装置20を利用して株式の売却申請をリクエストすると、この売却申請リクエストを取得する。売却申請が事務局などにより承認されると、ユーザは株式を売却することが可能なように構成されてもよい。なお、株式の売却は、証券口座で行ってもよく、売却制御部115は、証券口座と連携して取引データを取得してもよい。この場合、連携する証券口座を管理する証券会社との連携により、ユーザが所属する企業の事務局等により株式売却申請が承認された場合にのみ、証券会社での当該株式の売却が許可されるように構成されてもよい。なお、情報処理システム1上で売却処理が可能である場合には、情報処理システム1における処理として株式の売却処理を行ってもよい。
【0063】
≪税金処理≫
また、管理部113は、各ユーザが保有している新株予約権を税制とともに表示可能にしてもよい。また、管理部113は、上述したとおり、想定金額を、税引き後の金額にしてもよい。例えば、管理部113は、税制適格か非税制適格かで、出力を変更してもよい。具体的には、新株予約権が税制適格ストックオプションの場合、管理部113は、利益から約20%の税金を差し引き、確定申告の対象となる金額(=(売却時株価-行使価格)×株数)をユーザに出力する。また、税制適格ストックオプションの場合、行使価格が異なる複数の回ごとに新株予約権を行使及び株式売却すれば、管理部113は、行使価格を総平均法で求めてもよい。
【0064】
税制非適格のストックオプションの場合、権利行使時に給与課税(累進課税)の対象になるため、税率の算出が困難である。管理部113は、ユーザごとの給与情報を取得し、(行使時株価-権利行使価格)×株数を給与に加算して税率を特定し、税金の概算を求めてもよい。また、管理部113は、(行使時株価-権利行使価格)×株数を、労務を管理する部門に報知してもよい。管理部113は、給与課税されるストックオプションであれば、労務を管理する部門に報知してもよい。
【0065】
≪退職後の処理≫
サービス制御部111は、新株予約権を保有するユーザが退職した場合は、変動履歴を記録する。
【0066】
≪調書出力≫
サービス制御部111は、税務調書の自動作成を行ってもよい。例えば、サービス制御部111は、税制適格ストックオプションを付与した場合の付与調書、例えば、付与された者の氏名、付与日時、付与個数等を含む調書を作成する。また、サービス制御部111は、税制非適格ストックオプションの場合の行使調書、例えば、行使した者の氏名、行使日時、行使個数等を含む調書を作成する。
【0067】
≪貸金申請≫
サービス制御部111は、権利行使の際、権利行使価格を借り入れできるリンク先を、処理装置20の画面に表示するよう制御してもよい。なお、必要な権利行使価格が、他のデータベースと連携して取得した年収情報総量規制条件を満たす場合に、サービス制御部111は、リンク先を表示するようにしてもよい。
【0068】
≪その他≫
サービス制御部111は、日時を指定して新株予約権原簿をダウンロード可能にしてもよい。新株予約権原簿は、付与情報から特定できる情報にするとよい。新株予約権原簿は、株主などから提出を求められることがあるので、サービス制御部111は、指定した日時における新株予約権原簿をダウンロード可能にするとよい。新株予約権原簿は、ユーザの氏名と、当該ユーザが保有している新株予約権の内容等が記録されている。
【0069】
また、サービス制御部111は、第1時点の株主名簿と第2時点の株主名簿との差分が、各ユーザ等の取引申告や、新株予約権の行使等と記録と合致しているかの検証処理を行ってもよい。株主名簿は、上場会社の場合、半年又は四半期ごとに確定される。また、株主名簿は、名簿管理人側から提出される。サービス制御部111は、株主名簿に記載されるユーザと持ち株数とを取得する。例えば、サービス制御部111は、データ読み込みや、OCR(Optical Character Recognition)での読み取りを可能にする。また、サービス制御部111は、不一致がある場合、不一致が発生しているユーザ、履歴、不一致の数、不一致の時期等を出力又は表示するように制御してもよく、管理者等に報知するように制御してもよい。これにより、会社の承認なく株式を売却したユーザを抽出することができるようになる。
【0070】
(各データの例)
次に、サーバ10の記憶装置130に格納される各データの例について
図3及び
図4を用いて説明する。
図3は、一実施形態に係るユーザの人材情報の一例を示す図である。
図4は、一実施形態に係る新株予約権に関する付与情報の一例を示す図である。なお、
図3及び
図4に含まれる情報はそれぞれ、又は統合されて一意に識別可能な識別子に対応付けられて管理されてもよい。
【0071】
図3に示す人材情報には、氏名、連絡先、部署、職位、資産情報などの各データ/情報が含まれる。氏名は、ユーザの氏名情報を含み、連絡先は、電話番号、メールアドレス、SNSのアカウントなどの情報を含む。部署は、組織名や組織識別情報を含む。資産情報は、新株予約権などの資産を識別する識別情報(資産IDともいう。)を含む。
【0072】
また、人材情報には、他にも、そのユーザが所属しているプロジェクトや、保有資格、評価などの様々な情報が登録されてもよい。
【0073】
図4に示す新株予約権に関する付与情報には、資産IDに関連付けて、新株予約権の制約条件、保有新株予約権、保有株式などの各データ/情報が含まれる。例えば、資産IDは、資産情報を識別する識別情報であり、
図3に示す資産情報に含まれる情報を示す。
【0074】
新株予約権の制約条件は、行使条件の各条件、行使期間、上場条件、在職条件、業績条件などを含む。上場条件、在職条件、業績条件の少なくとも1つは、行使条件に含まれてもよい。なお、ベスティング条件は、行使条件に含まれてもよい。保有新株予約権は、そのユーザが保有する新株予約権の個数又はその目的株式数が含まれる。保有株式は、新株予約権の権利行使後に取得した株式の総数が含まれる。
【0075】
また、付与情報には、新株予約権原簿において含められ得る新株予約権の付与日や、権利行使日及び/又は株式売却日、割当日又は消滅日などの各情報が含まれてもよい。
【0076】
<処理装置の構成>
図5は、開示の一実施形態に係る処理装置20の一例を示す図である。例えば、処理装置20は、ユーザが利用する装置である。処理装置20は、1つ又は複数のプロセッサ(例、CPU)210、1つ又は複数のネットワーク通信インタフェース220、記憶装置(記憶部)230、ユーザインタフェース250、及びこれらの構成要素を相互接続するための1つ又は複数の通信バス270を含む。
【0077】
ユーザインタフェース250は、ディスプレイ251、及び入力装置(キーボード及び/又はマウス、又は他の何らかのポインティングデバイス等)252を含む。
【0078】
記憶装置230は、例えば、DRAM、SRAM、又は他のランダムアクセス固体記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリ(主記憶装置)である。また、記憶装置230は、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ(補助記憶装置)でもよい。また、記憶装置230は、コンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体でもよい。また、記憶装置230は、主記憶装置(メモリ)又は補助記憶装置(ストレージ)のいずれかでもよく、あるいは両方を備えてもよい。
【0079】
記憶装置230は、情報処理システム1により用いられるデータやプログラムを記憶する。例えば、記憶装置230は、情報処理システム1における処理装置20用のアプリケーションプログラムなどを記憶する。
【0080】
プロセッサ210は、記憶装置230に記憶されるプログラムを実行することで、サービス処理部211を構成する。サービス処理部211は、例えば、ウェブブラウザやメールアプリケーションなどを含む。ウェブブラウザは、サーバ10により提供されるウェブページの閲覧を可能にする。また、インストールされたユーザ端末用のアプリケーションの実行により、上述したサービスが提供されるウェブページの閲覧が可能になる。サービス処理部211は、サービス提供を受けるため、通信制御部212、表示制御部213、操作制御部214を有する。
【0081】
通信制御部212は、サーバ10から送信された新株予約権に係る各画面、例えば、新株予約権の付与(発行)を設定する画面、保有新株予約権の管理画面、保有新株予約権に対応する想定金額を表示する画面、保有新株予約権の権利行使を指示する画面、保有株式を売却する画面などの各画面情報を取得する。また、通信制御部212は、サーバ10に対し、各画面を利用して選択、設定された情報や、所定のリクエスト、本件サービスに関する作業情報などを出力する。
【0082】
表示制御部213は、通信制御部212により取得された各画面情報に基づいて、本件サービスの想定金額に関する各画面(例えば
図7~8)、保有新株予約権の管理画面(例えば
図9~10)などをディスプレイ251に表示するよう制御する。
【0083】
操作制御部214は、各画面に表示されたUI部品(例、ボタンなど)に対するユーザの操作を受け付け、操作情報を処理装置20のアプリケーションに伝達したり、サーバ10に向けて出力したりする。例えば、操作制御部214は、新株予約権の付与時には、管理者等が設定した制約条件などの情報をサーバ10に向けて出力したり、ユーザの新株予約権の想定金額の表示時には、ユーザが変更した制約条件の情報などをサーバ10に向けて出力したりする。
【0084】
通信制御部212は、操作制御部214が受け付けた各操作情報を、ネットワーク通信インタフェース220を介して、サーバ10に送信する。
【0085】
表示制御部213は、操作制御部214が受け付けた各操作情報に基づいて、画面遷移を制御する。
【0086】
<動作説明>
次に、情報処理システム1の各動作について説明する。
図6は、一実施形態に係る新株予約権に対応する想定金額の表示に関する処理の一例を示すフローチャートである。
図6に示す例では、ユーザが利用する処理装置20と本件サービスを提供するサーバ10とが連携して処理を行う例であるが、サーバ10のユーザインタフェース150を利用してサーバ10単体で処理されてもよい。
【0087】
ステップS102において、サーバ10の管理部113は、所定ユーザに対して企業が発行する1つ以上の新株予約権について、所定ユーザが獲得し得る想定金額の出力リクエストを取得する。出力リクエストは、例えば、処理装置20から送信されるリクエストであり、新株予約権に関するホーム画面の表示リクエストや、想定金額のシミュレーション画面の表示リクエストなどを含む。
【0088】
ステップS104において、管理部113は、新株予約権に関する制約条件と、所定ユーザが保有する新株予約権の個数又は新株予約権の目的株式数と、企業の評価額とに基づいて、所定ユーザが獲得し得る想定金額を算出する。制約条件は、例えばユーザとの契約時に設定された制約条件を含む。
【0089】
ステップS106において、管理部113は、算出された想定金額を、出力リクエストを送信した処理装置20に出力する。例えば、管理部113は、想定金額を含む画面情報を生成し、生成された画面情報を処理装置20に出力する。
【0090】
ステップS108において、管理部113は、制約条件に含まれる条件の設定変更があるか否かを判定する。例えば、管理部113は、処理装置20から制約条件に関する変更情報を取得すれば制約条件の設定変更ありと判定し(ステップS108-YES)、処理はステップS110に進み、画面を閉じる操作がされれば制約条件の設定変更なしと判定し(ステップS108-NO)、処理は終了する。
【0091】
ステップS110において、管理部113は、1つ以上の新株予約権の行使に関する1又は複数の制約条件のうち、ユーザ操作に応じて少なくとも1つの条件を変更する。例えば、管理部113は、処理装置20から取得した新株予約権に関する変更情報に基づいて、制約条件を変更する。
【0092】
ステップS112において、管理部113は、変更された少なくとも1つの条件と、所定ユーザが保有する新株予約権の個数又はその目的株式数と、企業の評価額とに基づいて、所定ユーザが獲得し得る想定金額を算出する。その後、処理はステップS106に戻り、管理部113は、算出された想定金額を、変更情報を送信した処理装置20に出力する。
【0093】
以上の処理によれば、企業により発行された新株予約権の各制約条件に対応する利益(例、キャピタルゲイン)を把握しやすくすることができる。また、情報処理システム1によれば、新株予約権に対し、発行、権利行使、株式売却を一貫してサポートすることが可能になるが、これらの処理のうちの一部の機能を実行してもよく、必ずしも全ての機能を備える必要はなく、一部の処理又は機能が他の処理装置で実行されてもよい。
【0094】
<画面例>
次に、サーバ10又は処理装置20において表示される各画面の一例について説明する。以下に示す例では、新株予約権はストックオプションを例にして説明する。なお、
図7~10に示す表示例の各要素は矛盾しない範囲において組み合わされてもよい。
【0095】
図7は、一実施形態に係る想定金額の表示画面の一例を示す図である。
図7に示す画面D10の領域R10には、画面表示リクエスト時の想定キャピタルゲイン(想定金額の一例)、現在保有するストックオプション(SO)の個数(150個)、現在保有する株式総数(1,500株)が表示される。また、領域R12には、保有するストックオプションの段階的な付与が表示され、各回(2回、4回、7回)それぞれで20%ずつ(2,500株)の新株予約権が確定的に付与され、権利行使可能になることが表示される。
【0096】
図8は、一実施形態に係る想定金額の表示画面の他の例を示す図である。
図8に示す画面D20は、基本的に画面D10と画面構成は似ているが、領域R20における想定キャピタルゲインの表示形式が異なる。
図8に示す領域R20の想定キャピタルゲインはグラフで表示され、想定キャピタルゲインを表示したい所定日がスライダーS10により変更され、想定キャピタルゲインのシミュレーションを行うことが可能である。この例の場合、ユーザは自由に行使期間内の日付を変更し、いつ、どれくらいのキャピタルゲインが得られるかを把握することが可能になる。
【0097】
なお、
図7及び
図8に記載の各画面から、制約条件を変更する画面への遷移が可能であってもよい。例えば、「現在の評価額2,560円で自動計算」がタップされると、評価額を設定可能な画面やウィンドウが表示されてもよい。また、上場条件、在籍条件、及び/又は業績条件はデフォルトとして満たされる設定(除外する設定)になっていてもよく、設定変更により上場条件、在籍条件、及び/又は業績条件を設定するようにしてもよい。なお、評価額は、一株あたりの評価額であってもよく、企業の時価総額評価額であってもよい。企業の時価総額評価額の場合は、自動的に発行済株式数等に基づき一株あたりの評価額が計算されてもよい。
【0098】
図9は、一実施形態に係る新株予約権の行使状況の表示画面の一例を示す図である。
図9に示す画面D30には、各回に付与され得る新株予約権の個数が段階的に積み上げられたグラフが上部に表示される。画面D30の上部のグラフは、ベスティングにより確定付与され得る新株予約権が積み上げられたグラフを示す。また、画面D30の下部に、現在権利行使可能なSO個数(250個)、権利行使によって得られる株数(2500株)、行使に必要な金額(50,000円)、次の行使期間の開始日(2023年3月20日)、次の行使期間のSO(第2回新株予約権)などが表示される。
【0099】
図10は、一実施形態に係る新株予約権のベスティング条件の表示画面の一例を示す図である。
図10に示す画面D40には、各回に付与され得る新株予約権の個数が段階的に積み上げられたグラフが上部に表示される。画面D40の下部には、各回に何パーセントの新株予約権の権利行使が可能であるかなどが表示される。
【0100】
例えば、
図10に示す条件1~5にチェックが入れられることで、このチェックに対応する新株予約権の変更を管理部113が取得し、その後、
図7に示す画面に遷移する操作が行われた場合は、設定変更後の新株予約権に対応する想定キャピタルゲインが領域R10に表示されうる。
【0101】
以上、実施形態は、本開示技術を説明するための例示であり、本開示技術をその実施形態のみに限定する趣旨ではなく、本開示技術は、その要旨を逸脱しない限り、さまざまな変形が可能である。また、サーバ側、ユーザの処理装置側の各処理を適宜統合したり、他方の装置に処理を移行したり、別の装置に処理を移行したりしてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1…情報処理システム、10…サーバ、20…処理装置、110…プロセッサ、130…記憶装置、111…サービス制御部、112…付与制御部、113…管理部、114…行使制御部、115…売却制御部、210…プロセッサ、211…サービス処理部、212…通信制御部、213…表示制御部、214…操作制御部、230…記憶装置、251…ディスプレイ