(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170933
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】業務支援装置、業務支援方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241204BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087710
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】522370001
【氏名又は名称】Auto VR株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100152984
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 秀明
(74)【代理人】
【識別番号】100148080
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100168985
【弁理士】
【氏名又は名称】蜂谷 浩久
(74)【代理人】
【識別番号】100149401
【弁理士】
【氏名又は名称】上西 浩史
(72)【発明者】
【氏名】五十里 和人
【テーマコード(参考)】
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L049CC60
5L050CC60
(57)【要約】
【課題】 乗物の引渡し時に、乗物に関する説明の業務を効率よく行うための業務支援装置、業務支援方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】 プロセッサを備える業務支援装置において、プロセッサが、納入された乗物を受取者に引き渡す引渡者が乗物の引渡しに際して受取者に説明する引渡し時説明項目を、受取者が引渡しの前に行う手続の内容に基づいて設定する。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備える業務支援装置であって、
前記プロセッサは、乗物を受取者に引き渡す引渡者が前記乗物の引渡しに際して前記乗物に関して前記受取者に説明する引渡し時説明項目を、前記受取者が前記乗物の引渡し前に行う手続の内容に基づいて設定する、業務支援装置。
【請求項2】
前記プロセッサは、前記乗物に関する複数の説明項目の中から、1つ又は2つ以上の前記引渡し時説明項目を、前記手続の内容に基づいて選定する、請求項1に記載の業務支援装置。
【請求項3】
前記受取者が、前記手続として、前記引渡者が前記乗物の引渡しに際して前記乗物に関して行う引渡し時説明に対するリクエストを登録した場合、前記プロセッサは、前記リクエストの登録内容に基づいて、前記引渡し時説明項目を設定する、請求項1に記載の業務支援装置。
【請求項4】
前記受取者が、前記手続として、前記乗物に関する事前学習を実施した場合、前記プロセッサは、前記事前学習の実施状況に基づいて、前記引渡し時説明項目を設定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の業務支援装置。
【請求項5】
前記受取者が、前記受取者が利用する端末にて、前記乗物のマニュアル情報を参照することで前記事前学習を実施した場合、前記プロセッサは、前記マニュアル情報の中で前記受取者が参照した項目について、前記受取者の学習の進捗度、学習時間、学習時期、及び、理解度のうちの少なくとも一つを前記事前学習の実施状況として特定し、特定された前記事前学習の実施状況に基づいて、前記引渡し時説明項目を設定する、請求項4に記載の業務支援装置。
【請求項6】
前記プロセッサは、設定された前記引渡し時説明項目を、前記受取者及び前記引渡者のそれぞれに通知する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の業務支援装置。
【請求項7】
前記プロセッサは、設定された前記引渡し時説明項目に応じて、前記乗物の引渡しに際して前記引渡者が前記乗物に関して行う引渡し時説明の所要時間を推定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の業務支援装置。
【請求項8】
前記乗物の引渡しに際して前記引渡者が前記乗物に関して行った引渡し時説明に対して、前記受取者が評価を行う場合、前記プロセッサは、
前記引渡し時説明に対する前記受取者の評価を示す情報を取得し、
前記受取者の評価を示す情報を集計して得られる集計結果を、前記引渡者及び前記乗物のメーカーのうちの少なくとも一方に対して出力する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の業務支援装置。
【請求項9】
前記引渡者が複数存在し、且つ、それぞれの前記引渡者が前記引渡し時説明を行った場合に、前記プロセッサは、前記受取者の評価を示す情報を前記引渡者別に集計し、前記引渡者別に得られる前記集計結果を出力する、請求項8に記載の業務支援装置。
【請求項10】
前記プロセッサは、所定期間における前記乗物の引渡しに関する実績を示す情報を、前記引渡者及び前記乗物のメーカーのうちの少なくとも一方に対して出力する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の業務支援装置。
【請求項11】
前記プロセッサは、前記手続の内容を分析することで、前記乗物に関する前記受取者の関心事項を推定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の業務支援装置。
【請求項12】
前記受取者が前記乗物の引渡し後に前記乗物のマニュアル情報を参照した場合、前記プロセッサは、前記マニュアル情報の参照履歴に基づいて、前記乗物に関する前記受取者の関心事項を推定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の業務支援装置。
【請求項13】
前記受取者が、前記乗物の引渡し後に前記乗物に搭載された機能を利用した場合に、前記プロセッサは、前記機能の利用履歴に基づいて、前記乗物に関する前記受取者の関心事項を推定する、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の業務支援装置。
【請求項14】
プロセッサが、乗物を受取者に引き渡す引渡者が前記乗物の引渡しに際して前記乗物に関して前記受取者に説明する引渡し時説明項目を、前記受取者が前記乗物の引渡し前に行う手続の内容に基づいて設定するステップを含む、業務支援方法。
【請求項15】
プロセッサが読み取り可能なプログラムであって、
前記プロセッサに、乗物を受取者に引き渡す引渡者が前記乗物の引渡しに際して前記乗物に関して前記受取者に説明する引渡し時説明項目を、前記受取者が前記乗物の引渡し前に行う手続の内容に基づいて設定させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、業務支援装置、業務支援方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
業者から車両等の乗物を購入した購入者は、その乗物が業者から引き渡されるまで待機し、業者は、乗物の引渡し予定時期等の情報を購入者に提供する。納入予定時期等のような乗物に関する情報の提供を効率よく実施する技術としては、例えば、特許文献1に記載の技術が挙げられる。
【0003】
特許文献1では、在庫状況及び納車状況等の車両状況情報を車両識別情報に関連付けて記憶装置に記憶し、特定の車両に関する車両状況情報を車両識別情報に基づいて記憶装置から検索し、特定の車両に関する車両状況情報を出力する。これにより、車両又は車両に対する手続等の状況に関する車両状況情報をユーザ及び業者に効率よく提供することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、乗物の引渡しに際して、業者は、購入者に対して、乗物の利用及び取扱い等に関する説明を行う必要がある。この説明業務は、時間を要する作業であり、説明すべき内容が多いほど、業者にとって負担となり、また、購入者を拘束する時間が長くなる。そのため、乗物の引渡し時に行われる説明を効率よく行うことができる技術の開発が求められている。
【0006】
一方、前述した特許文献1に記載の技術では、在庫状況及び納車状況等の車両状況情報をユーザ及び業者に提供することができるものの、上述の説明業務に係る負担を軽減するための措置は講じられていない。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、上述した従来技術の問題点を解決し、具体的には、乗物の引渡し時に、乗物に関する説明の業務を効率よく行うための業務支援装置、業務支援方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明の業務支援装置は、プロセッサを備える業務支援装置であって、プロセッサは、納入された乗物を受取者に引き渡す引渡者が乗物の引渡しに際して受取者に説明する引渡し時説明項目を、受取者が引渡しの前に行う手続の内容に基づいて設定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の業務支援装置、業務支援方法、及びプログラムによれば、乗物の引渡し時に、乗物に関する説明の業務を効率よく行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】乗物の販売店が実施する業務の流れを示す図である。
【
図3】引渡し時説明リクエストの登録画面の一例を示す図である。
【
図5】引渡し時説明に関する情報を表示した案内画面の一例を示す図である。
【
図6】フィードバック情報の登録画面の一例を示す図である。
【
図7】本発明の一つの実施形態に係る業務支援装置及び関連機器を示す概念図である。
【
図8】本発明の一つの実施形態に係る業務支援装置の機能を示す図である。
【
図9】販売店が利用可能な端末に表示される管理画面の一例を示す図である。
【
図10】集計処理にて得られる情報の表示画面の一例を示す図である。
【
図11】本発明の一つの実施形態に係る業務支援フローのうち、成約時の処理フローを示す図である。
【
図12A】本発明の一つの実施形態に係る業務支援フローのうち、納車前の処理フローを示す図である(その1)。
【
図12B】本発明の一つの実施形態に係る業務支援フローのうち、納車前の処理フローを示す図である(その2)。
【
図13A】本発明の一つの実施形態に係る業務支援フローのうち、納車後の処理フローを示す図である(その1)。
【
図13B】本発明の一つの実施形態に係る業務支援フローのうち、納車後の処理フローを示す図である(その2)。
【
図14】本発明の一つの実施形態に係る業務支援フローのうち、集計処理フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムについて、具体的な実施形態(以下、本実施形態と言う。)を挙げて、添付の図面を参照しながら説明する。
なお、以下では、説明上の便宜から、GUI(Graphic User Interface)の観点で説明する場合がある。ただし、その内容を実現するための基礎的なデータ処理技術、具体的には通信/伝送技術、データ入出力技術、データ記録技術、データ加工/解析技術、データ検索技術、画像処理技術、及び可視化技術等については、公知の技術であるため、これらの説明は省略することとする。
【0012】
<<本発明の適用例>>
本発明は、乗物の販売及び引渡し等を行う業者が乗物に関する業務を行うのを支援するための情報処理技術である。以下では、本発明の適用例の一つとして、車両の販売店が車両の購入者に対する業務を行うケースを例に挙げて説明することとする。ここで、車両は、乗物の一例であり、車両の販売店(以下、単に販売店と言う。)は、車両のディーラーであり、車両の引渡者に相当する。車両の購入者(以下、単に購入者という。)は、車両の売買契約が成立した成約顧客であり、車両の受取者に相当する。また、自動車メーカーは、乗物のメーカーに相当する。
また、以下では、購入者が購入した車両を対象車両と呼ぶこととする。販売店は、自動車メーカーから仕入れた対象車両をその購入者に納車する。本明細書において、「納車」は、販売店が購入者に対象車両を引き渡し、購入者が対象車両を受け取ることを意味する。
【0013】
販売店は、
図1に示すように、対象車両について購入者との間で売買契約が成立した後、購入者に対して、成約時業務、納車前業務、納車時業務、及び納車後業務を、この順で行う。成約時業務は、例えば、対象車両の売買契約の成立直後に行われ、成約時業務では、購入者の氏名、連絡先、及びその他の納車に必要な情報が業務支援システムに入力される。業務支援システムは、販売店が業務上で利用する情報処理システムであり、その詳細については後述する。
また、成約時業務において、販売店は、対象車両に関する案内情報を利用するためのアプリケーションプログラム(以下、ガイドアプリ)を購入者に紹介し、必要に応じて、購入者によるガイドアプリのインストール作業を補助する。
【0014】
ガイドアプリは、購入者が所持する端末(詳しくは、
図7に示す購入者端末14)にインストールされることで、対象車両に関して業者から提供される案内情報が利用可能となるプログラムである。ガイドアプリにより利用可能な案内情報には、例えば、対象車両の仕様に関する情報、搭載機能に関する情報、及び納車予定日等が含まれるとともに、対象車両の利用及び取扱いに関する情報、すなわちマニュアル情報が含まれる。
また、購入者は、
図2に示すガイドアプリの初期画面から遷移して、後述する事前学習の実施状況、及び、納車時に業者から対象車両に関する説明を受ける場合の所要時間等を確認することができる。
なお、ガイドアプリは、例えば、インターネット又は販売店の店舗等に構築されたネットワークを通じてダウンロードすることで入手可能である。
【0015】
また、購入者は、ガイドアプリによって購入者端末の画面に表示される登録画面(
図3参照)を通じて、後述の納車時説明リクエストを登録することができる。なお、成約時業務において、販売店は、納車時説明リクエストの登録を購入者に依頼してもよい。
【0016】
納車前業務は、対象車両が販売店から購入者に納車されるまでの期間、すなわちリードタイムに実施される。納車前業務では、対象車両の納車予定日を登録し、登録された納車予定日を購入者に知らせる。また、登録された納車予定日がリードタイム中に更新された場合、更新後の納車予定日を購入者に知らせる。納車予定日は、ガイドアプリの機能によって購入者端末の画面に表示させることで通知されてもよい。
【0017】
また、納車前業務において、販売店は、納車時説明リクエストを受け付ける。納車時説明リクエストは、対象車両の引渡し前に購入者が行う手続の一例であり、対象車両の納車時に販売店によって行われる説明(以下、納車時説明と言う。)に対する要求、及びその要求内容を登録することである。
【0018】
より詳しく説明すると、
図4に示すように、対象車両の利用、取扱い及び特徴に関して複数の説明項目(
図4の説明項目#1~#4)が予め設定されており、納車時では、複数の説明項目の一部又は全てについて、販売店の担当者による説明がなされる。納車時説明リクエストでは、購入者が、複数の説明項目の中から、納車時説明において説明を要求する項目(以下、納車時説明項目と言う。)を指定し、指定された納車時説明項目についての登録を行う。
納車時説明項目は、引渡し時説明項目に該当し、その登録、すなわち納車時説明リクエストは、購入者が購入者端末にてガイドアプリを起動して購入者端末を操作することで行われる。
なお、各車両に設定される説明項目の数、及び、納車時説明リクエストにおいて要求できる納車時説明項目の数については、特に限定されず、任意に決めることができる。
【0019】
そして、販売店の担当者は、購入者から受け付けた納車時説明リクエストを確認する。具体的には、販売店が業務上利用する端末(詳しくは、
図7に示す販売店端末12)にて、業務管理用のプログラムである業務管理ソフトが起動し、リクエスト表示用の操作が行われると、現時点で受付済みの納車時説明リクエストが画面に表示される。販売店の担当者は、上記の画面を通じて納車時説明リクエストの有無、及びリクエストの内容等を確認する。
【0020】
また、納車前業務において、販売店は、購入者の事前学習の実施状況を確認する。事前学習は、納車前に購入者が行う手続の一例であり、対象車両の利用、取扱い及び特徴に関する複数の項目の中の一部又は全部について、その項目に関する教材を見聞きすることである。事前学習の教材は、事前学習用に制作された動画コンテンツ、音声コンテンツ又は画像でもよく、具体的には、対象車両のマニュアル情報でもよい。マニュアル情報は、例えば、3DのCG動画等のデジタルデータ形式のマニュアルであり、マニュアル情報には、対象車両の利用、取扱い、及び特徴に関する複数の内容が収録されており、それぞれの内容は、
図4に示すように、前述の説明項目と対応付けられている。
なお、以下では、マニュアル情報に収録された内容を、「マニュアル情報の項目」とも呼ぶこととする。
【0021】
事前学習は、例えばガイドアプリを通じて実施されてもよい。具体的には、
図2にガイドアプリ画面に表示された『動画マニュアル』を指定した場合に、購入者端末にて事前学習用の教材コンテンツが再生されてもよい。
なお、事前学習は、ガイドアプリを通じて実施されるケースには限定されず、端末を使用しない形式、例えば、紙媒体のテキスト又は冊子等からなる教材を用いて事前学習を実施してもよい。
【0022】
購入者が事前学習を実施した場合、その実施状況は、販売店側で確認可能となる。具体的に説明すると、例えば、事前学習がガイドアプリを通じて行われた場合には、その学習履歴に関する情報が業務支援システムに入力され、入力された学習履歴情報は、購入者に紐付けられて記憶される。購入者に紐付けられた学習履歴情報を参照することで、購入者の事前学習の実施状況を特定することができる。より具体的に説明すると、販売店の担当者は、販売店端末にて業務管理ソフトを起動して管理画面を表示させる。管理画面には、購入者の事前学習の実施状況等が表示される(
図9参照)。これにより、販売店の担当者は、購入者の事前学習の実施状況を確認することができる。なお、事前学習の実施状況には、購入者が学習した項目についての、学習の進捗度、学習時間、学習時期、及び理解度が含まれてもよい。
【0023】
事前学習の進捗度は、事前学習用の教材であるマニュアル情報に収録された項目のうち、購入者が学習済みである項目の割合を示すものである。また、マニュアル情報のうち、事前学習用の範囲を参照するのに必要な時間に対する、実際に参照した時間の割合としてもよい。事前学習の進捗度は、0%~100%の数値として表記してもよく、このような表記であれば、購入者の事前学習の学習状況を定量的に確認することができる。
なお、事前学習の進捗度は、上記の内容に限定されず、教材に含まれる複数の項目のうち、学習済みの項目の割合を進捗度としてもよい。
【0024】
事前学習の学習時間は、購入者がこれまでに実施した事前学習の総実施時間、具体的には教材の総参照時間である。事前学習の学習時期は、購入者が事前学習を行った時期を示すものである。なお、リードタイムが長期間に及ぶ場合などにおいて、事前学習を実施したとしても、その学習時期によっては、納車までに購入者が事前学習で学んだ情報を失念しており、納車時に再度の説明を要する可能性が考えられる。
【0025】
事前学習の理解度は、事前学習において学習済みの項目に対する購入者の理解度を示しており、具体的には、学習済みの項目に対する理解度についてのアンケートに対する購入者の回答内容である。アンケートは、例えばガイドアプリを通じて事前学習が実施され、事前学習における複数の項目のうち、一つの項目の学習が終了した時点で購入者の端末の画面に表示される。購入者は、アンケートが表示された画面を通じて、当該アンケートに回答する。ただし、事前学習の理解度を得る手段については、上記のアンケートに限定されず、例えば、ガイドアプリを通じて事前学習が実施された場合に、一つの項目の学習が終了した時点で効果確認用の質問を購入者に出題し、その正答率を、当該項目についての理解度としてもよい。また、マニュアル情報に収録された各項目について、それぞれの項目を参照した総参照時間を、その理解度としてもよい。
【0026】
また、納車前業務では、購入者から受け付けた納車時説明リクエスト、及び、購入者の事前学習の実施状況に基づいて、納車時説明において販売店の担当者が説明する内容、すなわち、納車時説明項目を、対象車両に関する複数の説明項目の中から選定する。説明項目の選定に際しては、納車時説明において確定的に説明を行うべき事項のみならず、説明を要する可能性がある事項も選定できるようにしてもよい。説明を要する可能性がある事項としては、例えば、購入者による事前学習の実施から納車までに長期間経過した事項、及び、他の購入者の傾向等を参考にして、納車時説明を行っている時点で新たに説明が必要となる可能性が相当程度に見込まれる事項が挙げられる。
【0027】
説明項目が選定されると、それに伴って、納車時説明の所要時間が推定される。所要時間の推定にあたっては、選定された説明項目のみならず、購入者の属性(年齢、性別、職種、運転経験、及び車両の購入経験等)、納車時における購入者の同伴者に係る情報(有無、人数、及び各同伴者の属性等)、並びに、その他の情報を算定要素としてもよい。また、納車時説明の所要時間を推定する上で、事前学習の実施状況(特に理解度、及び学習時期)を算定要素に加えてもよい。
推定された所要時間は、選定された納車時説明項目とともに購入者に通知されてもよく、例えばガイドアプリの機能によって購入者端末の画面に表示させてもよい(
図5参照)。推定された所要時間は、幅をもって表示されてもよく、例えば「X分」との表示のみならず、「Y分~Z分」という範囲で表示されてもよい(X、Y、Zはいずれも任意の整数である。ただし、Y<Zである)。
【0028】
なお、購入者端末の画面に表示させる所要時間の推定結果(以下、購入者向け推定所要時間とも言う。)と、販売店の担当者に提示される所要時間の推定結果(詳しくは、販売店が業務上利用する端末における業務管理ソフトの画面等に表示させる所要時間の推定結果であり、以下、販売店向け推定所要時間とも言う。)とは、必ずしも一致していなくてもよい。例えば、購入者向け推定所要時間は、販売店向け推定所要時間よりも、短く又は長く設定されていてもよい。このようにすることで、販売店の担当者は、購入者が事前に想定する所要時間を超過することなく、余裕をもって説明を行うことができる。また、逆に、購入者に推定所要時間を超えて丁寧な説明を受けたとの好印象を与えることも考えられる。
また、所要時間については、具体的状況(事情)を考慮して、複数の推定結果が表示されてもよく、例えば、販売店向け推定所要時間としては、通常の販売店向け推定所要時間に加えて、何らかのトラブル等が発生した場合を考慮した販売店向け推定所要時間を併せて表示してもよい。
【0029】
また、説明項目の選定に際して、購入者から受け付けた納車時時説明リクエスト、及び、購入者の事前学習の実施状況を分析し、対象車両に関する購入者の関心事項を推定してもよい。この場合、推定された購入者の関心事項を踏まえて、説明項目を選定すると好適である。
なお、対象車両に関する購入者の関心事項は、納車時説明リクエストにおける購入者の要求内容でもよく、その要求内容に関連する事項でもよい。また、対象車両に関する購入者の関心事項は、購入者が事前学習において繰り返し学習した内容でもよく、あるいは、その学習内容に関連する事項でもよい。
【0030】
納車時業務は、購入者が対象車両を受け取りに販売店の店舗に来店した際に実施され、具体的には、販売店の担当者が、対象車両に関する納車時説明を購入者に対して行う。この際、販売店の担当者は、対象車両に関する複数の説明項目のうち、納車前業務において選定された説明項目、すなわち納車時説明項目について説明する。これにより、納車時説明において複数の説明項目のすべてについて説明を行う必要がなく、その分、説明時間を短縮して、説明に係る手間及び労力等を削減することができる。
【0031】
納車時説明の終了後、販売店は、対象車両を購入者に引渡し、対象車両の引渡し、つまり納車が完了したことを業務支援システムに入力する。
【0032】
また、納車時業務において、販売店の担当者は、納車時説明を受けた購入者に、納車時説明の評価に関するフィードバック情報の登録を依頼する。購入者は、対象車両を受け取った後、ガイドアプリによって端末の画面に表示される評価画面(
図6参照)を通じて、フィードバック情報を登録することができる。フィードバック情報は、対象車両の購入から納車までの間における販売店の対応、特に、販売店の担当者による納車時説明に対する購入者の満足度及び感想等を示す情報である。フィードバック情報が示す購入者の満足度は、0~100等の数値(スコア)として表記してもよく、このような表記であれば、納車時説明に対する購入者の満足度を定量的に確認することができる。
【0033】
フィードバック情報は、車両の購入者毎に登録され、換言すれば、購入者が対象車両を受け取って納車時説明を受けると、その都度、フィードバック情報が取得される。そして、購入者毎に登録されたフィードバック情報を収集して解析することにより、販売店の納車時業務に対する購入者の満足度を集計することができる。これにより、販売店は、納車時業務の実績、及びその業務に対する購入者の満足度、及び、今後の業務にフィードバックすべき内容を把握することができる。また、これらの情報、すなわちフィードバック情報を解析することで得られる情報は、販売店の他に、自動車メーカーに提供してもよく、この場合、自動車メーカーも購入者の満足度等を把握することができる。
なお、購入者の満足度を集計する際の単位は、一つの販売店としてもよく、所定のエリア(例えば、同じ都道府県)に複数の販売店が存在する場合には、そのエリア内に存在する複数の販売店としてもよい。あるいは、日本全国に存在する販売店のすべてを集計対象としてまとめ、購入者の満足度を集計してもよい。また、販売店に複数の担当者が所属している場合、担当者別に、購入者の満足度を集計してもよい。また、販売店にて販売している複数の車両の中に、異なる自動車メーカーの車両が含まれている場合、自動車メーカー別に、購入者の満足度を集計してもよい。さらに、購入者の満足度は、購入者の属性毎に集計してもよい。
【0034】
また、納車時業務を実施した販売店の担当者が、自ら、納車時業務に対する自己評価を行ってもよい。すなわち、上記のフィードバック情報の他に、販売店の担当者自身による評価を示す自己評価情報が取得されてもよい。
【0035】
納車後業務は、対象車両の引渡し後に購入者が利用可能なアフターサービス業務である。購入者は、対象車両を運転する間に、対象車両に搭載された車載機能等を利用することができる。その利用履歴は、対象車両に搭載されたCAN(Controller Area Network)通信ユニットから送信され、業務支援システムに入力される。販売店は、入力された車載機能の利用履歴から、購入者がどの機能を利用したか、及び、当該機能を正しく正常に利用できたかどうかを確認することができる。また、販売店は、上記の利用履歴から、購入者が頻繁に利用する車載機能を把握することができ、必要に応じて、その車載機能の利用に関するアドバイスを購入者に提供することができる。このアドバイスは、例えばガイドアプリの機能によって購入者端末の画面に表示させてもよい。なお、アドバイスの提供については、自動車メーカーが販売店に代わって、あるいは自動車メーカーと販売店とが共同で行わってもよい。
【0036】
また、車載機能等の利用履歴と、納車前又は納車後における対象車両に関する購入者の関心事項の推定結果とを比較し、購入者が事前に期待していた機能が現にどの程度使用されているか等を分析してもよい。その分析結果は、事前学習用の教材及びマニュアル情報の改善、納車時説明の手順の改善、又は自動車メーカーにおける対象車両の改善及び新規開発等に役立てることもできる。
【0037】
また、購入者は、対象車両の引渡し後に、対象車両に搭載された車載機能、又は対象車両において不具合が発生した場合の対処法等を調べる目的で、ガイドアプリを通じてマニュアル情報を参照することができる。そして、マニュアル情報の参照履歴が、購入者の端末から送信され、業務支援システムに入力されてもよい。この場合、入力された参照履歴を解析することにより、対象車両に関する購入者の関心事項を推定してもよい。さらに、推定された購入者の関心事項に基づいて、アフターフォロー用の情報を生成して購入者に提供してもよい。このアフターフォロー用の情報は、対象車両の利用、取扱い、管理、修理及びメンテナンス等に関する参考情報であり、例えばガイドアプリの機能によって購入者端末の画面に表示させてもよい。
【0038】
<<本実施形態に係る業務支援システムについて>>
本実施形態に係る業務支援システム(以下、業務支援システムS)は、販売店が成約時業務、納車前業務、納車時業務、及び納車後業務を行う場合に、販売店によって利用される。業務支援システムSは、
図7に示すように、本実施形態に係る業務支援装置を構成するコンピュータ10、及び販売店の担当者によって操作される端末(販売店端末12)を主要な構成要素として有する。
【0039】
コンピュータ10は、PC(Personal Computer)、ワークステーション又はサーバコンピュータ等である。以下では、1台のコンピュータ10によって本実施形態に係る業務支援装置が構成されるケースについて説明するが、これに限定されず、並列分散された複数台のコンピュータによって本発明の業務支援装置が構成されてもよい。
【0040】
また、コンピュータ10がサーバコンピュータである場合、そのサーバコンピュータは、例えば、ASP(Application Service Provider)、SaaS(Software as a Service)、PaaS(Platform as a Service)又はIaaS(Infrastructure as a Service)用のサーバコンピュータでもよい。この場合、クライアント端末(具体的には、販売店端末12)にて必要な情報を入力すると、上記のサーバコンピュータが入力情報に基づいて各種の処理(演算)を実施し、その演算結果がクライアント端末側で出力される。つまり、業務支援装置であるサーバコンピュータの機能をクライアント端末側で利用することができる。
【0041】
コンピュータ10は、
図7に示すように、プロセッサ21、メモリ22、ストレージ23、及び通信用インタフェース24を有する。
【0042】
プロセッサ21は、例えばCPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro-Processing Unit)、MCU(Micro Controller Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、TPU(Tensor Processing Unit)又はASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって構成される。
メモリ22は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等の半導体メモリによって構成される。
【0043】
ストレージ23は、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disc Drive)、SSD(Solid State Drive)、FD(Flexible Disc)、MOディスク(Magneto-Optical disc)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、SDカード(Secure Digital card)、又はUSBメモリ(Universal Serial Bus memory)等によって構成される。ストレージ23は、コンピュータ10の本体に内蔵されてもよく、外付け形式でコンピュータ10の本体に取り付けられてもよい。また、ストレージ23は、NAS(Network Attached Storage)等によって構成されてもよいし、コンピュータ10と通信用ネットワークNを通じて通信可能な外部機器、例えばオンラインストレージ又はデータベースサーバでもよい。
ストレージ23には、各販売店における業務、具体的には成約時業務、納車前業務、納車時業務、及び納車後業務を支援するために必要な各種の情報(データ)が記憶されている。ストレージ23に記憶される情報については、後の項で説明することとする。
【0044】
通信用インタフェース24は、例えばネットワークインターフェースカード、又は通信インタフェースボード等によって構成されるとよい。
【0045】
また、コンピュータ10には、ソフトウェアとして、オペレーティングシステム(OS)用のプログラム、及び、業務支援用のプログラムがインストールされている。これらのプログラムがプロセッサ21によって読み出されて実行されることで、コンピュータ10が、本実施形態に係る業務支援装置としての機能を発揮し、具体的には、販売店の業務を支援する一連の情報処理/データ処理を実行する。
【0046】
なお、業務支援用のプログラムは、コンピュータ10が読み取り可能な記録メディアから読み込むことで取得できてもよく、インターネット又はイントラネット等のネットワークを介してダウンロードして取得できてもよい。
【0047】
コンピュータ10は、通信用インタフェース24を介して、通信用ネットワークNに接続された他の機器とデータ通信することが可能である。例えば、コンピュータ10は、通信用ネットワークNを介して販売店端末12と通信し、販売店端末12から送られてくる情報/データを受信し、また、販売店端末12に向けて情報/データを送信する。コンピュータ10が販売店端末12から受信した情報は、その情報の送信元である販売店と関連付けられてストレージ23に記憶される。
【0048】
販売店端末12について説明すると、販売店端末12は、例えば、販売店の店舗に設置されたPC、又は販売店の担当者が利用可能なスマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ラップトップ型のPC、又はウェアラブル端末等によって構成され、キーボード又はタッチパネル等の入力デバイス、ディスプレイ、マイク、スピーカ、及びカメラ等を備える。また、販売店端末12には、業務管理ソフトがインストールされている。
なお、
図7に示す構成では、複数の販売店が存在し、それぞれの販売店に1台以上の販売店端末12が設置されている。ただし、販売店は、1つのみでもよく、その場合、販売店端末12は、1台でもよい。
【0049】
また、販売店端末12において業務管理ソフトが起動した状態では、販売店端末12の表示器(ディスプレイ)に、管理画面が表示される。管理画面には、販売店端末12がコンピュータ10から受信して取得した各種の情報が表示可能である。具体的に説明すると、
図9に示すように、管理画面には、販売店が引渡し(納車)を行う予定の車両について、車種及びグレード、納車予定日、納車時業務(詳しくは、納車時説明)の所要時間の予想値、その車両の購入者の氏名及び識別ID等が車両毎に表示される。
また、管理画面には、車両の購入者が実施した事前学習の実施状況、納車時説明に対する購入者のリクエストの有無、及び、納車時説明を実施する予定の販売店の担当者等が表示される。
さらに、管理画面には、
図9に示すように、販売店が既に納車が完了した車両について、上記と略同様の情報が表示されるが、納車時業務(詳しくは、納車時説明)の所要時間については、実績値、すなわち、実際に業務に掛かった時間が表示される。
【0050】
また、
図7に示すように、コンピュータ10は、車両の購入者が所持して利用する端末(以下、購入者端末14)と、通信用ネットワークNを介して通信することができる。具体的には、購入者端末14にてガイドアプリが起動され、購入者がガイドアプリの機能を利用して情報又はコンテンツ等を要求する場合、コンピュータ10は、購入者の要求に応じた情報又はコンテンツのデータを購入者端末14に向けて送信する。また、例えば、購入者がガイドアプリの機能によって情報又はコンテンツ等を利用した場合には、その履歴情報が購入者端末14からコンピュータ10に向けて送信される。履歴情報は、例えば、情報又はコンテンツを利用した購入者の識別ID、利用日時、及び、利用された情報又はコンテンツを特定するための識別ID等を含む情報である。また、履歴情報をはじめ、コンピュータ10が購入者端末14から受信した情報は、その情報の送信元である購入者と関連付けられてストレージ23に記憶される。
【0051】
購入者端末14について説明すると、購入者端末14は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット端末、ラップトップ型のPC、又はウェアラブル端末等によって構成され、タッチパネル又はキーボード等の入力デバイス、ディスプレイ、マイク、スピーカ、及びカメラ等を備える。また、購入者端末14には、ガイドアプリがインストールされている。このガイドアプリの機能により、購入者は、自分が購入した対象車両について、いつでも必要に応じてマニュアル情報を参照することができ、車載機能及び特徴等を確認することができる。
なお、
図7に示す構成では、複数の購入者が存在し、それぞれの購入者が1台以上の購入者端末14を利用する。ただし、購入者は、一人のみでもよく、その場合、購入者端末14は、1台でもよい。
【0052】
また、
図7に示すように、コンピュータ10は、購入者に引き渡された車両(対象車両)のCAN通信ユニット16と、通信用ネットワークNを介して通信することができる。具体的には、対象車両の運転中、購入者が対象車両に搭載された車載機能を利用した場合、その利用情報がCAN通信ユニット16からコンピュータ10に向けて送信される。利用情報は、例えば、対象車両の識別ID、対象車両の利用ユーザである購入者の識別ID、購入者が利用した車載機能の内容と利用履歴、及び、車載機能の利用の適否等を含む情報である。また、利用情報をはじめ、コンピュータ10がCAN通信ユニット16から受信した情報は、その情報の送信元である車両と関連付けられてストレージ23に記憶される。
なお、
図7に示す構成では、購入者に引き渡された車両が複数存在し、それぞれの車両のCAN通信ユニット16がコンピュータ10と通信可能である。ただし、購入者に引き渡された車両は、一台のみでもよく、その場合、コンピュータ10と通信可能なCAN通信ユニット16は、一基でもよい。
【0053】
また、
図7に示すように、コンピュータ10は、自動車メーカーが利用するサーバ(以下、自動車メーカー用サーバ18)と、通信用ネットワークNを介して通信することができる。コンピュータ10は、自動車メーカー用サーバ18との通信を通じて、車両のマニュアル情報をはじめ、車両に関する各種の情報を取得する。コンピュータ10が自動車メーカー用サーバ18から取得した情報は、車両別にストレージ23に記憶される。
なお、
図7に示す構成では、複数の自動車メーカーが存在し、それぞれの自動車メーカーが1台以上の自動車メーカー用サーバ18を利用する。ただし、自動車メーカーは、一社のみでもよく、その場合、自動車メーカー用サーバ18は、1台でもよい。
【0054】
また、自動車メーカー用サーバ18を、別のコンピュータによって代用してもよい。例えば、自動車データベースサービスを提供する企業のサーバコンピュータが、自動車メーカー用サーバ18と同様の機能を発揮し、具体的には、車両情報及びマニュアル情報のような自動車メーカー用サーバ18から提供される情報と同じ情報を提供することができてもよい。
【0055】
次に、コンピュータ10のストレージ23に記憶される情報/データについて説明する。ストレージ23に記憶される情報/データは、コンピュータ10のプロセッサ21によって読み出され、業務支援用の情報処理に供される。また、ストレージ23に記憶された情報/データのうち、指定又は選択された情報/データは、コンピュータ10から通信用ネットワークNを通じて販売店端末12又は購入者端末14に向けて送信可能である。
【0056】
ストレージ23には、例えば、車両のマニュアル情報が記憶されている。マニュアル情報は、車両の種類(車種)毎に生成され、車種と関連付けられてストレージ23に記憶されている。マニュアル情報は、デジタルマニュアルであり、例えば、車両を生産した自動車メーカー等によって提供される。また、マニュアル情報は、対象車両の引渡し前に購入者により事前学習用の教材としても利用され、また、対象車両の引渡し後にも購入者によって適宜参照される。
【0057】
また、ストレージ23には、購入者情報、車両情報、説明情報、販売店情報、納車情報、リクエスト情報、学習状況情報、納車時説明実施情報、マニュアル参照の履歴情報、車載機能の利用情報、顧客関心情報、及びフィードバック情報等が記憶されている。
【0058】
購入者情報は、販売店にて車両を購入した顧客(購入者)の氏名及び識別ID、購入者の住所及び連絡先等の個人情報、購入者が購入した車両(対象車両)の車種、車台番号、自動車登録番号及び識別ID、対象車両を販売した販売店の名称及び識別ID、並びに購入者による対象車両の売買契約を担当した販売店の担当者の氏名及び識別ID等を含む。購入者情報は、購入者毎に記憶されており、例えば、購入者又は販売店での入力操作に基づいて取得され、業務支援システムSに入力されることで、ストレージ23に記憶される。
【0059】
車両情報は、販売店にて販売される車両の情報であり、車両の種類(車種)、車両の識別ID、グレード名、及び年代等を含む。車両情報は、車両毎に記憶されており、例えば、自動車メーカー等から提供されてストレージ23に記憶される。
【0060】
説明情報は、対象車両の購入者に対し、対象車両に関して説明すべき項目(説明項目)に関する情報である。説明項目は、例えば、自動車メーカー等によって設定され、1台の車両に対しては、通常、2以上の説明項目が設定される。説明情報は、上述の車両情報と関連付けられてストレージ23に記憶される。
本実施形態において、説明情報は、マニュアル情報に収録された内容(項目)と対応させて設定される。より具体的に説明すると、納車時説明の際に説明される説明項目として、標準的な項目(以下、標準説明項目と言う)が予め設定される場合がある。この場合、その標準説明項目を示す情報、厳密には、標準説明項目の識別IDが説明情報としてストレージ23に記憶される。標準説明項目は、マニュアル情報に収録された複数の項目のうち、納車時説明において標準的な説明項目として初期設定されたものであり、通常、1台の車両に対して複数設定される。
【0061】
販売店情報は、販売店の名称及び識別ID、所在地、連絡先、ホームページのURL(Uniform Resource Locator)、並びに販売店に所属する担当者の氏名及び識別ID等を含む。販売店情報は、販売店毎に記憶されており、新たに販売店が増えた場合には、その販売店情報が新たにストレージ23に記憶される。
【0062】
納車情報は、対象車両の識別ID、対象車両の購入者の氏名及び識別ID、並びに、対象車両を販売した販売店の名称及び識別IDとともに、対象車両が納車済みであるか、未だ納車されていない場合で納車予定日が分かっている場合には納車予定日、及び、既に納車済みである場合には納車完了日等を含む。納車情報は、車両毎(詳しくは対象車両毎)に記憶されており、例えば、販売店の担当者が上記の各情報を業務支援システムSに入力することで、ストレージ23に記憶される。
【0063】
リクエスト情報は、納車時説明リクエストに関する情報であり、そのリクエストを送った購入者の氏名及び識別ID、購入者が購入した対象車両の識別ID、及び、リクエストの内容等を含む。リクエストの内容とは、対象車両の利用及び取扱いに関して予め設定された複数の説明項目のうち、購入者が納車時説明において説明を要求する項目、すなわち納車時説明項目、又はその識別IDのことである。また、リクエストの内容には、納車時説明の要否、及び説明の詳細度(説明の詳しさの度合い)等がさらに含まれてよい。リクエスト情報は、対象車両及び購入者と関連付けて記憶されており、コンピュータ10が購入者端末14から納車時説明リクエストを受け付けることで、ストレージ23に記憶される。
【0064】
学習状況情報は、購入者による事前学習の実施状況に関する情報であり、購入者の氏名及び識別ID、購入者が購入した車両(対象車両)の識別ID、事前学習の教材であるマニュアル情報に収録された複数の項目の中で学習済みの項目、及び、事前学習の実施状況等を含む。事前学習の実施状況には、事前学習の進捗度及び理解度が含まれてもよい。学習状況情報は、購入者と関連付けて記憶されている。また、学習状況情報は、購入者端末14にインストールされたガイドアプリを利用して購入者が事前学習を実施した場合に、ガイドアプリの機能によって生成され、購入者端末14からコンピュータ10に向けて送信されてコンピュータ10により受信されることで、ストレージ23に記憶される。また、例えば、購入者が事前学習を一度中断した後に再開して事前学習を進めた場合には、それに伴って、学習状況情報が適宜更新される。
【0065】
納品時説明実施情報は、納品時説明の実施の実績を示す情報であり、納品時説明の開始日時及び完了日時、納品時説明の担当者、納品時説明にて説明した項目(納品時説明項目)、並びに、担当者による納品時説明に対する自己評価、及び自己評価に関するコメント等を含む。納品時説明実施情報は、対象車両及び購入者と関連付けられて記憶されており、例えば、販売店の担当者が上記の各情報を業務支援システムSに入力することで、ストレージ23に記憶される。
【0066】
マニュアル参照の履歴情報は、購入者が購入者端末14にてマニュアル情報を参照した際の履歴に関する情報であり、購入者の氏名及び識別ID、参照したマニュアル情報に係る車両の種類(車種)、並びに、マニュアル情報の中で参照された項目、その情報の参照回数、参照頻度及び参照日時等を含む。マニュアル参照の履歴情報は、購入者と関連付けて記憶されている。また、履歴情報は、購入者端末14にインストールされたガイドアプリを利用して購入者がマニュアル情報を参照した場合に、ガイドアプリの機能によって生成され、購入者端末14からコンピュータ10に向けて送信されてコンピュータ10により受信されることで、ストレージ23に記憶される。また、購入者がマニュアル情報を複数回に亘って繰り返し参照する場合には、参照回毎に履歴情報が更新される。
【0067】
車載機能の利用情報は、購入者が対象車両の運転中に対象車両に搭載された機能(車載機能)を利用した際の利用履歴に関する情報であり、購入者の氏名及び識別ID、対象車両の車種及び識別ID、購入者が利用した車載機能、その機能の利用頻度、及びこれまでの総利用回数、並びに、車載機能の利用の適否等を含む。利用情報は、対象車両及び購入者と関連付けて記憶されている。また、利用情報は、購入者が車載機能を利用した場合に、対象車両のCAN通信ユニット16によって生成され、CAN通信ユニット16からコンピュータ10に向けて送信されてコンピュータ10により受信されることで、ストレージ23に記憶される。また、購入者が車載機能を複数回に亘って繰り返し利用する場合には、利用回毎に利用情報が更新される。
【0068】
顧客関心情報は、車両(特に、購入した対象車両)に関して購入者が関心を示す事項に関する情報であり、購入者の氏名及び識別ID、並びに、購入者の関心事項の内容等を含む。顧客関心情報は、購入者に関連付けて記憶されており、コンピュータ10の機能により、購入者の関心事項が推定された場合に生成されて、ストレージ23に記憶される。なお、顧客関心情報は、購入者の関心の変化等を考慮して適宜更新されてもよい。
【0069】
フィードバック情報は、前述したように、販売店が行う納車時業務、特に、納車時説明に対する購入者の評価及び感想等を示す情報である。フィードバック情報は、購入者の氏名及び識別ID、購入者が購入した車両(対象車両)の識別ID、納車時説明の実施日、納車時説明の所要時間の実績値、納車時説明を実施した販売店及びその担当者、並びに、納車時説明を含む販売店の業務に対する評価、満足度及び感想等を含む。評価、満足度及び感想は、例えば5段階評価のように数字又はアルファベット等によって表されてもよく、フリーコメント形式で表されてもよい。また、評価、満足度及び感想は、納車時説明に対する理解度を示す情報でもよい。また、2以上の説明項目についての説明が実施された納車時説明に対するフィードバック情報は、説明項目別の評価、満足度及び感想を含んでもよい。
フィードバック情報は、購入者及び対象車両に関連付けて記憶される。また、フィードバック情報は、購入者端末14にインストールされたガイドアプリを利用して購入者が入力することで生成され、購入者端末14からコンピュータ10に向けて送信されてコンピュータ10により受信されることで、ストレージ23に記憶される。
【0070】
なお、ストレージ23には、上述した情報及びデータ以外の情報及びデータがさらに記憶されてもよい。例えば、納車時業務を実施した販売店の担当者が、自ら納車時業務に対する自己評価を行った場合、その自己評価の結果(点数)を示す自己評価情報がストレージ23に記憶されてもよい。
【0071】
<<本実施形態に係る業務支援装置の機能について>>
本実施形態に係る業務支援装置は、
図8に示すように、主たる機能として、マニュアル情報提供機能、学習状況特定機能、リクエスト受付機能、説明項目設定、所要時間算出機能、関心分析機能、集計処理機能、及び出力機能を備える。これらの機能は、業務支援装置を構成するコンピュータ10が有するハードウェア機器と、コンピュータ10にインストールされたソフトウェア(具体的には、業務支援用のプログラム)との協働によって実現される。
以下、上述した各機能について説明する。
【0072】
(マニュアル情報提供機能)
マニュアル情報提供機能は、ストレージ23に記憶されたマニュアル情報のうち、購入者が購入した車両(対象車両)のマニュアル情報を購入者に提供する機能である。具体的に説明すると、コンピュータ10は、購入者端末14と通信して、購入者が購入した対象車両の種類(車種)又は識別IDから対象車両を特定し、対象車両と対応するマニュアル情報をストレージ23から抽出し、抽出されたマニュアル情報を購入者端末14に向けて送信する。
なお、マニュアル情報を提供する際、コンピュータ10は、対象車両に関連するマニュアル情報以外の情報を購入者に提供してもよい。具体的には、対象車両の車両情報、対象車両の納車時説明に関する説明情報、並びに、納車時説明時の予想所要時間等を、マニュアル情報とともに購入者に提供してもよい。
【0073】
(学習状況特定機能)
学習状況特定機能は、リードタイムの期間に購入者が事前学習を行った場合に、その実施状況を特定する機能である。具体的に説明すると、前述したように、購入者が、購入者端末14にインストールされたガイドアプリを利用して購入者が事前学習を実施すると、その実施状況を示す情報としての学習状況情報が、ガイドアプリによって生成される。そして、学習状況情報は、購入者端末14からコンピュータ10に向けて送信され、購入者と関連付けられてストレージ23に記憶される。コンピュータ10は、ストレージ23に記憶された学習状況情報に基づいて、事前学習を実施した購入者について、その購入者が購入した車両(対象車両)とともに、事前学習の実施状況を特定する。より詳しくは、事前学習の実施状況として、事前学習の教材として使用されたマニュアル情報のうち、購入者によって参照された項目、並びに、その項目についての学習の進捗度、学習時間、学習時期及び理解度等が特定される。
なお、事前学習の実施状況としては、学習の進捗度、学習時間、学習時期、及び理解度のうちの少なくとも一つ(好ましくは、学習の進捗度、学習時間、及び理解度のうちの少なくとも一つ)を特定すればよく、これらの中のいずれか一つを特定してもよく、これらの中のいずれか二つ又は三つを特定してもよい。あるいは、また、上記四つの要素すべてを事前学習の実施状況として特定してもよい。
【0074】
(リクエスト受付機能)
リクエスト受付機能は、購入者がガイドアプリを利用して納車時説明リクエストを登録した場合に、その購入者の購入者端末14と通信して、登録された納車時リクエストを通信用ネットワークN経由で受信することで当該リクエストを受け付ける機能である。
【0075】
(説明項目設定機能)
説明項目設定機能は、対象車両に関する納車時説明について、購入者の事前学習の実施状況及び納車時説明リクエスト等に基づき、納車時説明項目を設定する機能である。具体的に説明すると、対象車両に対しては、予め複数の標準説明項目が予め設定されており(
図4参照)、コンピュータ10は、複数の標準説明項目の中から、1又は2以上の説明項目を納車時説明項目として選定する。このとき、それぞれの標準説明項目が納車時説明項目として選定されるかは、学習状況特定機能によって特定した事前学習の実施状況、及び、リクエスト受付機能によって受け付けた納車時説明リクエストに基づいて決められる。例えば、複数の標準説明項目のうち、購入者が事前学習にて既に学習済みの項目は、納車時説明項目から除外される。反対に、納車時説明リクエストにおいて購入者が納車時説明を要求した項目は、納車時説明項目として設定される。
コンピュータ10によって選定された納車時説明項目については、具体的な状況に照らして、販売店又は担当者が、一部又は全部の納車時説明項目の修正を行えるようにしてもよい。
【0076】
(所要時間算出機能)
所要時間算出機能は、前述の説明項目設定機能により設定された納車時説明項目に基づいて、納車時説明に要する時間を推算する機能である。納車時説明の所要時間を推算する方法については、特に限定されないが、例えば、複数の標準説明項目の各々について、項目別の所要時間が予め決められており、納車時説明として選定された標準説明項目の所要時間を積算し、その積算結果を納車時説明の所要時間としてもよい。また、上記の積算時間に対して一定の補正係数を乗じた値を、納車時説明の所要時間としてもよい。この場合の補正係数は、納車時説明を実施する販売店に応じて決められてもよく、より詳しくは、その販売店に所属する担当者の中で納車時説明を担当する者に応じて決められてもよい。また、事前学習の実施状況(特に理解度、及び学習時期)、購入者の属性(年齢、性別、職種、及び運転経験等)、納車時における購入者の同伴者に係る情報(有無、人数、及び属性等)、並びに、その他の情報を、補正係数を含む所要時間の算定要素として使用してもよい。
コンピュータ10によって算出された納品時説明の所要時間については、具体的な状況に照らして、販売店又は担当者が適宜修正を行えるようにしてもよい。
【0077】
(関心分析機能)
関心分析機能は、購入者に関して得られる情報を分析し、車両、特に、購入者が購入した対象車両に関する購入者の関心事項を推定する機能である。具体的に説明すると、コンピュータ10は、前述の学習状況特定機能により特定された購入者の事前学習の実施状況、及び、前述のリクエスト受付機能により受け付けた納車時説明リクエストを分析する。この分析により、対象車両の仕様、性能、及び車載機能等をはじめ、対象車両に関する事項のうち、購入者がどの事項に関心を示しているのかを推定することができる。例えば、購入者が納車時説明リクエストにて説明を要求する項目に係る機能は、購入者が高い関心を示す事項であると推定され得る。また、事前学習時において、ある車載機能に係る項目について閲覧回数が多い場合、あるいは、その項目が学習順序として優先して閲覧されていた場合等には、当該車載機能が、購入者が高い関心を示す事項であると推定され得る。
推定された購入者の関心事項は、納車時説明項目を設定する際に反映されてもよく、例えば、購入者の関心事項と関連する標準説明項目を、納車時説明項目として選定してもよい。
【0078】
また、対象車両の引渡し後に購入者が対象車両のマニュアル情報を参照した場合には、その履歴情報が生成されて、購入者と関連付けられてストレージ23に記憶される。また、対象車両の運転中、購入者が対象車両の車載機能を利用した場合には、その利用情報が生成されて、購入者と関連付けられてストレージ23に記憶される。そして、本実施形態において、コンピュータ10は、マニュアル参照の履歴情報、及び、車載機能の利用情報を分析することで、対象車両に関して購入者が関心を示す事項を推定することができる。例えば、マニュアル情報の中で購入者が頻繁に参照する事項、及び、購入者が頻繁に利用する車載機能については、購入者が高い関心を示す事項であると推定され得る。
推定された購入者の関心事項は、例えば、今後の車両のマーケティング業務等に利用することが可能である。
【0079】
なお、購入者に関して得られる情報を分析して、購入者の関心事項を特定する手段として、AI(Artificial Intelligence)が利用されてもよい。すなわち、事前学習の実施状況、納車時説明リクエスト、マニュアル参照の履歴情報、及び車載機能の利用情報のそれぞれについて、購入者の関心事項との対応関係を明らかにする目的で機械学習を実施し、学習の結果として、購入者の関心事項を推定する推定モデルを構築してもよい。そして、事前学習の実施状況、納車時説明リクエスト、マニュアル参照の履歴情報、及び車載機能の利用情報のいずれかを上記の推定モデルに入力し、その出力として、購入者が関心を示す事項が推定されてもよい。
【0080】
(集計処理機能)
集計処理機能は、販売店の業務実績を把握する等の目的で、ストレージ23に記憶された情報を集計する処理、すなわち集計処理を実行する機能である。集計処理としては、納車実績に関する集計処理、納品時業務の評価に関する集計処理、及び、集計結果への影響因子に関する処理等が挙げられる。
【0081】
納車実績に関する集計処理では、例えば、ストレージ23に蓄積された納車情報に基づいて、納車実績を示す数値を集計することができる。具体的には、所定期間における納車件数、及び納車期間(所要時間)について、その予実を示す数値が集計結果として得られる。ここで、集計項目である納車件数及び納車期間については、時系列で確認できるように、過去数回分の集計結果と今回の集計結果とを含めてよい。また、集計処理の対象とする「所定期間」は、任意に決めることができ、例えば、1日、1週間、1カ月、半年又は1年に決めることができる。なお、
図10に示すケースでは、図中の左欄に示すように、納車数件数の月次推移として、先月の件数と今月の件数とが対比表示されている。
また、集計処理の実行単位についても、任意に決めることができ、納車件数及び納車期間の予実を販売店別(店舗別)に集計してもよく、車両の販売会社別に集計してもよく、地域別に集計してもよく、あるいは販売店の担当者別に集計してもよい。また、納車件数及び納車期間の予実を車両別に集計してもよく、より詳しくは、車種別に、グレード別に、又は年式別に集計してもよい。
【0082】
納車時業務の評価に関する集計処理では、例えば、ストレージ23に蓄積された納車情報及びフィードバック情報に基づいて、納車時業務に関する実績及び評価を集計することができ、具体的には、納車時説明の所要時間、及び納車時説明に対する評価についての集計結果が得られる。納車時説明の所要時間については、所定期間中に行われた2以上の納車時説明の所要時間をそれぞれ求め、その平均値を集計結果として求めてもよい。さらに、所定期間中における納車時説明の所要時間の平均値については、時系列で確認できるように、過去数回分の算出結果と今回の算出結果とを含めてもよい。ここで、平均値の算出対象とする「所定期間」は、任意に決めることができ、例えば、1日、1週間、1カ月、半年又は1年に決めることができる。なお、
図10に示すケースでは、図中の中央欄に示すように、所要時間の月次推移として、先月の平均的な所要時間と今月の平均的な所要時間とが対比表示されている。
【0083】
また、納車時説明に対する評価については、所定期間中に行われた2以上の納車時説明のそれぞれの評価点から、当該所定期間中の平均値(平均評価点)、及び評価点の分布等求めてもよい。また、所定期間中における納車時説明に対する平均評価点及び評価点の分布については、時系列で確認できるように、過去数回分の算出結果と今回の算出結果とを含めてもよい。ここで、平均評価点及び評価点の分布の算出対象とする「所定期間」は、任意に決めることができ、例えば、1日、1週間、1カ月、半年又は1年に決めることができる。なお、
図10に示すケースでは、図中の右欄に示すように、評価点の平均値(平均満足度)の月次推移として、先月の平均値と今月の平均値とが対比表示されている。
また、平均評価点及び評価点の分布は、納車時説明項目のそれぞれについて項目別に算出してもよく、あるいは納車時説明の所要時間別に算出してもよく、あるいは車両別に算出してもよく、より詳しくは、車種別に、グレード別に、又は年式別に算出してもよい。また、平均評価点については、各販売店の全体的な平均評価点を算出するとともに、各販売店に所属する担当者に対する個別の平均評価点を担当者別に算出してもよい。また、フィードバック情報に基づいて算出された平均評価点の他に、納車時説明を行った販売店の担当者による自己評価点を特定し、これらを比較できるように一つの集計結果としてまとめて取得してもよい。
【0084】
集計結果への影響因子に関する処理では、上述した2つの集計処理での集計結果について、前述の学習状況特定機能により特定された購入者の事前学習の実施状況、及び、前述のリクエスト受付機能により受け付けた納車時説明リクエストとの相関関係を特定する。具体的には、納車期間の実績値、及び、納車時説明に対する平均評価点のそれぞれについて、事前学習の実施状況との相関関係が得られる。同様に、納車期間の実績値、及び、納車時説明に対する平均評価点のそれぞれについて、納車時説明のリクエストの有無、リクエストされる説明項目及び説明の詳細度等との相関関係が得られる。
【0085】
(出力機能)
出力機能は、上述した各機能によって得られる情報、及び、販売店端末12又は購入者端末14から得られる情報を、所定の出力先に対して出力させる機能である。情報の出力方式については、特に限定されないが、例えば、当該情報が記載された帳票、報告書又はレポートを画面に表示させて出力してもよい。
【0086】
出力機能について詳しく説明すると、学習状況特定機能により購入者の事前学習の実施状況が特定された場合、コンピュータ10は、特定された事前学習の実施状況を出力し、詳しくは、上記の購入者が対象車両を購入した販売店にて利用される販売店端末12の画面に表示させる(
図9参照)。このとき、事前学習の実施状況は、
図9に示すように、その事前学習を実施した購入者と関連付けて表示される。
【0087】
また、説明項目設定機能により納車時説明項目が設定された場合、コンピュータ10は、設定された納品時説明項目を出力し、詳しくは、設定された説明項目について納車時説明を実施する販売店にて利用される販売店端末12の画面に表示させる。このとき、所要時間算出機能により推算された納車時説明の所要時間が、併せて販売店端末12の画面に表示されてもよい。
【0088】
また、対象車両の納車予定日及び納車時説明の担当者等が業務支援システムSに入力された場合、コンピュータ10は、その入力情報を受信してストレージ23に記憶する。そして、コンピュータ10は、上記の入力情報を出力し、詳しくは、対象車両の購入者が利用する購入者端末14の画面に表示させる。
【0089】
また、コンピュータ10は、集計処理機能による集計結果、具体的には、納車実績の情報、及び、納車時業務の評価に関する情報を販売店に対して出力し、詳しくは、販売店端末12の画面に表示させる(
図10参照)。なお、納車時業務の評価については、納車案件毎、つまり、納車が完了した車両毎(対象車両毎)に出力されるのが好ましい。
また、コンピュータ10は、上記の情報を、販売店の他に、自動車メーカーに対して出力してもよく、詳しくは、自動車メーカー側で利用される端末(不図示)に表示させてもよい。この場合、上記の情報、すなわち、納車実績の情報、及び、納車時業務の評価に関する情報が、販売店及び自動車メーカーの双方に対して出力されてもよい。ただし、これに限定されず、販売店及び自動車メーカーのいずれか一方に対してのみ上記の情報が出力されてもよい。
【0090】
<<本実施形態に係る業務支援フロー>>
次に、本実施形態に係る業務支援装置を用いた情報処理フローである業務支援フローについて、
図11~14を参照しながら説明する。
【0091】
以下に説明する業務支援フローは、本発明の業務支援方法を採用しており、
図11~14に示す流れに則って進行する。つまり、
図11~14に示すフロー中の各ステップは、本発明の業務支援方法を構成する各要素に該当する。また、業務支援フロー中の各ステップは、コンピュータ10のプロセッサ21が販売店端末12、購入者端末14、CAN通信ユニット16及び自動車メーカー用サーバ18と協働することで実施される。
なお、以下に説明する業務支援フローは、あくまでも一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において不要なステップを削除したり、新たなステップを追加したり、ステップの実施順序を入れ替えてもよい。
【0092】
業務支援フローの開始に先立ち、業務支援装置を構成するコンピュータ10には、自動車メーカー用サーバ18から車両情報、車両のマニュアル情報、及び、車両の購入者に対して説明すべき説明項目に関する説明情報等が供給される。これらの情報は、コンピュータ10のストレージ23に記憶される。ここで、マニュアル情報及び説明情報は、対応する車両情報と関連付けられて記憶される。また、説明情報に含まれる標準説明項目としては、マニュアル情報に収録されている複数の内容(項目)のうち、納車時説明における標準的な説明項目として初期設定されたものが割り当てられている(
図4参照)。
【0093】
業務支援フローは、
図11に示す成約時の処理フローと、
図12A及び12Bに示す納車前の処理フローと、
図13A及び13Bに示す納車後の処理フローと、
図14に示す集計処理フローとを含む。以下、それぞれの処理フローについて説明する。
【0094】
(成約時の処理フロー)
成約時の処理フローは、販売店及び購入者の間で車両の売買契約が成立した後に実施される。この処理フローに際して、購入者は、ガイドアプリを購入者端末14にインストールする。
そして、購入者は、購入者端末14にてガイドアプリを起動し、購入者端末14を操作して購入者情報を入力する(S001)。購入者情報には、購入者の氏名及び識別ID、パスワード、メールアドレス及び電話番号等の連絡先、並びに、購入した車両(対象車両)の車体(車台)番号及び自動車登録番号等が含まれる。入力された購入者情報は、購入者端末14から、業務支援装置を構成するコンピュータ10に向けて送信される(S002)。
【0095】
コンピュータ10は、通信用ネットワークN経由で購入者情報を受信し、受信した情報をストレージ23に記憶する(S003)。その後、コンピュータ10は、自動車メーカー用サーバ18と通信し、購入者が購入した対象車両の車両情報を要求する(S004)。この要求には、コンピュータ10が受信した購入者情報に含まれる車体(車台)番号が含まれており、自動車メーカー用サーバ18は、同サーバが有する車両情報のデータベースから、上記の車体(車台)番号をキーにして、対象車両の車両情報を検索する(S005)。なお、車両情報には、車両のメーカー名、車種、グレード及び年式等が含まれる。
【0096】
対象車両の車両情報が上記のデータベースから抽出されると、自動車メーカー用サーバ18が、その車両情報をコンピュータ10に向けて送信し(S006)、コンピュータ10は、通信用ネットワークN経由で当該車両情報を受信する(S007)。
【0097】
次に、コンピュータ10は、受信した対象車両の車両情報をキーにして、ストレージ23に車両毎に記憶されたマニュアル情報及び説明情報の中から、対象車両のマニュアル情報及び説明情報を検索する(S008)。説明情報には、前述したように、納車時説明における標準説明項目が含まれているとともに、その標準説明項目を説明した場合の所要時間がさらに含まれている。
【0098】
その後、コンピュータ10は、検索された対象車両のマニュアル情報及び説明情報を、対象車両の車両情報とともに、対象車両の購入者の購入者端末14に向けて送信する(S009)。購入者端末14は、これらの情報を通信用ネットワークN経由で受信する(S010)。これにより、購入者が購入者端末14にてガイドアプリを起動して所定の画面操作を行うことで、対象車両の車両情報、マニュアル情報及び説明情報が購入者端末14の画面に表示可能となる。この結果、購入者は、対象車両の納車時に説明を受けることになる項目(すなわち標準説明項目)の数及びその内容、並びに、各標準説明項目の説明に掛かる所要時間を把握することができる。
以上までの一連の工程が終了した時点で、成約時の処理フローが終了する。
【0099】
(納車前の処理フロー)
納車前の処理フローは、成約時の処理フローの実施後、購入者に対象車両が引き渡される前(納車前)に実施される。
購入者は、対象車両が引き渡される前の期間、すなわちリードタイムにおいて対象車両に関する事前学習を実施することができ、具体的には、購入者端末14にてガイドアプリを起動して、対象車両のマニュアル情報を参照することができる。購入者が事前学習を実施した場合(S021)、購入者端末14が学習状況情報を生成し(S022)、生成された情報をコンピュータ10に向けて送信する(S023)。学習状況情報には、購入者による事前学習の実施状況が含まれ、具体的には、マニュアル情報の中で購入者が参照した項目、並びにその項目についての学習の進捗度、学習の理解度、及び学習時間(マニュアル情報の参照時間)等が含まれる。
【0100】
コンピュータ10は、通信用ネットワークN経由で学習状況情報を受信すると(S024)、その学習状況情報を解析して、購入者の事前学習の実施状況を特定する(S025)。
なお、リードタイムの期間中に購入者が事前学習を複数回実施してもよく、その場合、事前学習が実施される度にステップS021~S025が繰り返し実施されるとよい。
【0101】
また、購入者は、リードタイムにおいて、購入者端末14にてガイドアプリを起動して、納車時説明リクエストを登録することができる。購入者が納車時説明リクエストを登録した場合(S026)、購入者端末14が、登録された納車時説明リクエストをコンピュータ10に向けて送信する(S027)。納車時説明リクエストには、納車時説明項目、説明の詳細度、及び、納車時説明に関するその他の要望が含まれる。
【0102】
コンピュータ10は、通信用ネットワークN経由で納車時説明リクエストを受信することで、当該リクエストを受け付ける(S028)。
なお、購入者がリードタイムにおいて納車時説明リクエストを登録しなかった場合、ステップS027及びS028の実施が省略される。
【0103】
次に、コンピュータ10は、ステップS025にて特定した購入者の事前学習の実施状況、及び、ステップS028にて受け付けた納車時説明リクエストに基づいて、納車時説明における説明項目(すなわち、納車時説明項目)を設定する(S029)。具体的には、コンピュータ10は、対象車両の説明情報に含まれている複数の標準説明項目の中から、1又は2以上の項目を納車時説明項目として選定する。このとき、コンピュータ10は、例えば、事前学習にて学習済みの項目を納車時説明項目から除外し、反対に、納車時説明リクエストにて要求される項目を納車時説明項目として設定する。
【0104】
また、コンピュータ10は、ステップS029にて設定された納車時説明項目に基づいて、納車時説明の所要時間を推算する(S030)。その後、コンピュータ10は、設定された納車時説明項目と、推算された納車時説明の所要時間とを通知するための通知データを生成し、生成された通知データを購入者の購入者端末14に向けて送信する(S031)。購入者端末14は、その通知データを通信用ネットワークN経由で受信する(S032)。これにより、購入者が購入者端末14にてガイドアプリを起動して所定の画面操作を行うと、納車時説明に関する各種の情報、具体的には納車時説明項目と納車時説明の所要時間が購入者端末14の画面に表示可能となる。購入者は、その画面を見ることで、納車時説明に関する上記の各種情報を確認することができる。
【0105】
また、コンピュータ10は、上記の通知データを、対象車両の引渡し(納車)を行う販売店の販売店端末12にも送信する(S033)。この際、コンピュータ10は、成約時の処理フローにて取得した対象車両の車両情報及び説明情報、並びに購入者の購入者情報を併せて送信してもよい。販売店端末12は、これらのデータ及び情報を通信用ネットワークN経由で受信する(S034)。これにより、上記の販売店では、販売店端末12の画面に対象車両、購入者及び納車時説明に関する情報が表示可能となり、販売店の担当者は、上記の画面を見ることで、上記の各種情報を確認することができる。
【0106】
一方、販売店は、販売店端末12を操作して、対象車両の納車予定日、及び納車時説明の担当者等を登録し(S035)、これらの登録情報をコンピュータ10に向けて送信する(S036)。
コンピュータ10は、上記の登録情報を通信用ネットワークN経由で受信すると(S037)、受信した登録情報を、購入者の購入者端末14に向けて転送する(S038)。購入者端末14は、転送された上記の登録情報を通信用ネットワークN経由で受信する(S039)。これにより、購入者が購入者端末14にてガイドアプリを起動して所定の画面操作を行うと、納車予定日、及び納車時説明の担当者等が購入者端末14の画面に表示可能となる。
以上までの一連の工程が終了した時点で、納車前の処理フローが終了する。
【0107】
なお、図示は省略するが、納車前の処理フローにおいて、コンピュータ10は、ステップS025にて特定した購入者の事前学習の実施状況、及び、ステップS028にて受け付けた納車時説明リクエストを分析して、対象車両に関する購入者の関心事項を特定してもよい。この場合、コンピュータ10は、特定された購入者の関心事項を示すデータを生成し、生成されたデータを販売店端末12に向けて送信するとよい。
【0108】
(納車後の処理フロー)
納車後の処理フローは、対象車両が購入者に引き渡された後、つまり納車時説明の完了後に実施される。
販売店は、納車時説明の完了後に、販売店端末12を操作して、納車情報としての対象車両の納車完了日を登録し、また、対象車両のステータスを「納車済み」に変更する。このとき、販売店の担当者は、納車時説明の実施の実績を示す納車時説明実施情報をさらに登録する(S041)。納車時説明実施情報には、納車時説明の開始日時及び完了日時、納車時説明を実施した販売店の担当者、納車時説明項目、及び、担当者による納車時説明に対する自己評価等が含まれる。登録された納車時説明実施情報は、販売店端末12からコンピュータ10に向けて送信される(S042)。
コンピュータ10は、通信用ネットワークN経由で納車時説明実施情報を受信し、受信した情報をストレージ23に記憶する(S043)。
【0109】
一方、対象車両が引き渡された購入者は、購入者端末14にてガイドアプリを起動し、購入者端末14を操作してフィードバック情報を入力する(S044)。フィードバック情報には、納車時説明に対する評価、満足度、及び感想としてのフリーコメントが含まれる。評価及び満足度については、納車時説明全体の評価及(理解度)及び満足度、納車時説明項目が2以上の項目を含んでいた場合には項目別の評価(理解度)及び満足度、並びに、納車時説明を実施した担当者に対する評価が含まれる。入力されたフィードバック情報は、購入者端末14からコンピュータ10に向けて送信される(S045)。
【0110】
コンピュータ10は、通信用ネットワークN経由でフィードバック情報を受信し、受信した情報をストレージ23に記憶する(S046)。また、コンピュータ10は、受信したフィードバック情報を、納車時説明を実施した販売店の販売店端末12に向けて転送する(S047)。販売店端末12は、転送されたフィードバック情報を通信用ネットワークN経由で受信する(S048)。これにより、上記の販売店では、販売店端末12の画面にフィードバック情報、すなわち納車時説明に対する購入者の評価、満足度及び感想が表示可能となる。
【0111】
一方、対象車両の納車後、購入者が購入者端末14にてガイドアプリを起動して対象車両のマニュアル情報を参照した場合(S049)、購入者端末14が、マニュアル参照の履歴情報を生成し、生成された履歴情報をコンピュータ10に向けて送信する(S050)。マニュアル参照の履歴情報は、対象車両のマニュアル情報の中で参照された項目、参照回数、参照頻度、及び、マニュアル情報を参照した購入者の識別ID等を含む。
コンピュータ10は、通信用ネットワークN経由でマニュアル参照の履歴情報を受信し、受信した情報をストレージ23に記憶する(S051)。
【0112】
また、納車された対象車両の運転中、購入者が対象車両の車載機能を利用した場合(S052)、対象車両のCAN通信ユニット16が車載機能の利用情報を生成し、生成された利用情報をコンピュータ10に向けて送信する(S053)。車載機能の履歴情報は、利用された車載機能、利用回数、利用頻度、及び車載機能を利用した購入者の識別ID等を含む。
コンピュータ10は、通信用ネットワークN経由で車載機能の利用情報を受信し、受信した情報をストレージ23に記憶する(S054)。
以上までの一連の工程が終了した時点で、納車後の処理フローが終了する。
【0113】
(集計処理フロー)
集計処理フローは、定期的に、あるいは必要に応じて適宜実施される。
コンピュータ10は、納車実績に関する集計処理を実施することができ、その集計処理を実施する場合には(S061)、ストレージ23に蓄積された納車情報に基づき、所定期間における納車件数及び納車期間(所要時間)を集計する(S062)。ステップS062によれば、例えば、納車件数及び納車期間のそれぞれについて、予実の時系列比較が得られる(
図10参照)。このとき、担当者別、販売店別、販売会社別、地域別、又は車両別(具体的には、車種別、グレード別及び年式別)に予実の時系列比較が得られてもよい。
【0114】
また、コンピュータ10は、納車時説明の評価に関する集計処理を実施することができ、その集計処理を実施する場合には(S063)、ストレージ23に蓄積された引渡し情報及びフィードバック情報に基づき、納車時説明に関する実績及び評価を集計する(S064)。ステップS064によれば、例えば、納車時説明に対する購入者の平均評価点、評価点の分布、納車時説明に対する担当者の平均自己評価点、及び、これらの時系列比較が得られる。このとき、担当者別、販売店別、販売会社別、引渡し時説明項目別、引渡し時説明の所要時間別、又は車両別(具体的には、車種別、グレード別及び年式別)に、平均評価点、評価点の分布、平均自己評価点及びこれらの時系列比較が得られてもよい。
【0115】
さらに、コンピュータ10は、上記2つの集計処理での集計結果への影響因子を特定する処理を実施することができる。この処理を実施する場合(S065)、コンピュータ10は、納車実績に関する集計結果、又は引渡し時説明の評価に関する集計結果について、納車前の処理フローにて特定した事前学習の実施状況との相関関係、及び、納車前の処理フローにて受け付けた納車時説明リクエストとの相関関係を特定する(S066)。
【0116】
さらにまた、コンピュータ10は、対象車両の購入者が対象車両に関して関心を示す事項を分析する処理を実施することができる。この分析処理を実施する場合(S067)、コンピュータ10は、納車前の処理フローにて特定した事前学習の実施状況、及び、納車前の処理フローにて受け付けた引渡し時説明リクエストのうちの少なくとも一つに基づいて、購入者の関心事項を分析する(S068)。また、車両引渡し後の処理フローにて取得したマニュアル参照の履歴情報、及び車載機能の履歴情報が得られた場合、コンピュータ10は、これらの情報を用いて、ステップS067での分析結果の妥当性を評価することができる。具体的には、購入者の関心事項として特定された対象車両の車載機能等が適切に利用されているか否かを、当該車載機能の履歴情報から判定することができる。
【0117】
また、コンピュータ10は、集計処理フローにおける上述のステップS062、S064、S066、S068にて得られた情報を出力する(S069)。具体的には、コンピュータ10は、例えば、上記の各ステップで得られた情報が記載されたレポートを生成し、そのレポートの表示データを販売店端末12及び自動車メーカー用サーバ18に向けて送信する。この際、自動車メーカー側への表示データの送信は、自動車メーカー用サーバ18の他に、自動車メーカー側で利用される自動車メーカー端末(不図示)に向けて行われてもよい。
販売店端末12及び自動車メーカー用サーバ18の各々は、通信用ネットワークN経由で上記の表示データを受信する(S0070)。これにより、販売店及び自動車メーカーでは、上述した集計処理での集計結果、及び、車両に関する購入者の関心事項等が記載されたレポートを画面に表示させて確認することができる。
【0118】
<<その他の実施形態>>
以上までに本発明の具体的な実施形態を説明したが、上記の実施形態は、本発明の理解を容易にするために挙げた一例にすぎず、本発明を限定するものではない。すなわち、本発明は、その趣旨を逸脱しない限りにおいて、上記の実施形態から変更又は改良され得る。また、本発明には、その等価物が含まれる。
【0119】
また、上記の実施形態についての説明において参照された図面が示す画面例も一例に過ぎず、画面の構成例、表示される情報の内容、及びGUI(Graphical User Interface)等は、システム設計の仕様及びユーザの好み等に応じて自由に設計することができ、また適宜変更し得るものである。
【0120】
また、上記の実施形態において、情報又は画像を画面に表示させる態様には、端末に備わった表示器に表示させる態様、及び、端末に有線又は無線形式で接続された表示器に表示する態様が含まれる。なお、端末に接続された表示器には、一般的な据え置き型のディスプレイの他に、VRゴーグル等のHMD(Head Mounted Display)が含まれ得る。
【0121】
また、上記の実施形態では、車両、より詳しくは自動車を乗物の一例として挙げ、車両の売買及び引渡し(納車)に伴う業務を支援するケースについて説明したが、これに限定されるものではない。本発明は、自動車以外の車両、例えばバイク等の二輪車を対象とする取引業務、船舶及び航空機等の車両以外の乗物を対象とする取引業務にも適用可能である。また、乗物の取引は、乗物の売買に限定されず、貸借(レンタル、リース、及びサブスクリプションサービス等)であってもよい。
【0122】
また、上記の実施形態において、購入者による情報の入力は、画面操作、又はキーボード等を用いたタイピング操作によって行われることとしたが、これに限定されるものではない。情報の入力は、例えば、音声入力によって行われてもよい。
【0123】
また、上記の実施形態では、購入者による事前学習の実施状況、及び購入者が登録した納車時説明リクエストに基づいて、納車時説明において説明される項目(納車時説明項目)が設定されることとした。ここで、納車時説明項目は、事前学習の実施状況、及び納車時説明リクエストのうちの少なくとも一方に基づいて設定されればよく、いずれか一方のみに基づいて設定されてもよい。
【0124】
また、上記の実施形態において、ガイドアプリは、購入者の端末(購入者端末14)にインストールされて利用されるアプリケーションプログラムであることとした。ただし、これに限定されるものではなく、ガイドアプリは、所謂Webアプリであってもよい。この場合、購入者端末14がブラウジング機能を備えていれば、ガイドアプリを購入者端末14にインストールしなくとも、当該ガイドアプリが購入者端末14にて利用可能となる。また、Webアプリの機能によれば、所定のサイトにアクセスし、そのサイトに表示される登録フォームの入力欄に情報を入力し、入力完了後に所定の操作(例えば、入力完了ボタンを押す操作)を行うことで、入力された情報がWebサイトを経由して所定の送信先に送ることができる。
【0125】
また、上記の実施形態では、本発明の業務支援装置を構成するコンピュータ10によって、業務支援装置の機能のすべてが実現されることとしたが、これに限定されるものではない。業務支援装置の機能の一部が、例えば、他のコンピュータ、具体的には販売店端末12、購入者端末14、又は自動車メーカー用サーバ18によって実現されてもよい。
【0126】
<<付記>>
本発明の目的は、乗物を対象とする取引業務を支援することであり、具体的には、顧客への乗物の引渡し時に、乗物に関する説明の業務を効率よく行うための業務支援装置、業務支援方法、及びプログラムを提供することである。
本発明は、以下の構成を有する。
[1] プロセッサを備える業務支援装置であって、プロセッサは、乗物を受取者に引き渡す引渡者が乗物の引渡しに際して乗物に関して受取者に説明する引渡し時説明項目を、受取者が乗物の引渡し前に行う手続の内容に基づいて設定する、業務支援装置。
上記[1]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、受取者が乗物の引渡し前に行う手続の内容に基づいて、引渡者が乗物の引渡しに際して乗物に関して受取者に説明する項目(引渡し時説明項目)を適切に決めることができる。これにより、引渡し時説明を含む乗物の引渡し業務を効率よく行うことができる。
【0127】
[2] プロセッサは、乗物に関する複数の説明項目の中から、1つ又は2つ以上の引渡し時説明項目を、上記の手続の内容に基づいて選定する、[1]に記載の業務支援装置。
上記[2]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、引渡し時説明項目を、乗物に関する複数の説明項目の中から、上記の手続の内容に基づいて選定する。これにより、複数の説明項目すべてを説明する必要がなくなり、引渡し時説明による引渡者及び受取者の各々の負担を軽減することができる。すなわち、引渡者にとっては、引渡し時説明において説明すべき項目が限定されることで、説明の時間及び労力が軽減され、軽減された分の時間を、他の業務(例えば、乗物の販売業務)に充てることができる。また、受取者にとっては、引渡し時説明に確保すべき時間を短縮することができる。
【0128】
[3] 受取者が、手続として、引渡し者が乗物の引渡しに際して乗物に関して行う引渡し時説明に対するリクエストを登録した場合、プロセッサは、リクエストの登録内容に基づいて、引渡し時説明項目を設定する、[1]又は[2]に記載の業務支援装置。
上記[3]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、引渡し時説明に対する受取者のリクエストに応じて、引渡し時説明項目を設定する。これにより、引渡し時説明に対する受取者の意向及び要望を考慮して、引渡し時説明が行われるようになる。この結果、引渡し時説明を含む乗物の引渡し業務について、受取者である顧客の満足度を向上させることができる。また、受取者は、受け取る乗物について、自らが知りたい項目について説明を受けることができるため、当該乗物をより詳しく理解することができる。
【0129】
[4] 受取者が、手続として、乗物に関する事前学習を実施した場合、プロセッサは、事前学習の実施状況に基づいて、引渡し時説明項目を設定する、[1]~[3]のいずれかに記載の業務支援装置。
上記[4]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、受取者が実施した事前学習の実施状況に応じて、引渡し時説明項目を設定する。これにより、受取者が乗物の引渡し前に当該乗物の予備知識を学習する場合に、その学習状況を踏まえて、引渡し時説明項目を適切に設定することができる。例えば、既に学習済みの項目については、引渡し時説明における説明を省略することができるので、この結果、より効率よく引渡し時説明を行うことができる。
なお、受取者は、乗物の引渡し前に当該乗物に関する事前学習を行う機会が与えられることで、乗物が引き渡されるまでの期間(リードタイム)を有意義に活用することができる。
【0130】
[5] 受取者が、受取者が利用する端末にて、乗物のマニュアル情報を参照することで事前学習を実施した場合、プロセッサは、マニュアル情報の中で受取者が参照した項目について、受取者の学習の進捗度、学習時間、学習時期、及び、理解度のうちの少なくとも一つを事前学習の実施状況として特定し、特定された事前学習の実施状況に基づいて、引渡し時説明項目を設定する、[4]に記載の業務支援装置。
上記[5]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、乗物のマニュアル情報の中で受取者が参照した項目について、受取者の学習の進捗度、学習時間、学習時期、及び、理解度のうちの少なくとも一つを事前学習の実施状況として特定する。そして、特定された実施状況に基づいて、引渡し時説明項目を設定する。これにより、事前学習の実施状況を、進捗度、学習時間、学習時期、及び理解度という具体的な指標によって把握することができ、これらの指標に基づいて引渡し時説明項目を設定する処理を、より適切に実施することができる。
なお、事前学習において乗物をより詳しく理解することで、各々の利用形態に適した乗物の取扱いを行うことができようになり、乗物の利用時に得られる効用を高めることができる。
【0131】
[6] プロセッサは、設定された引渡し時説明項目を、受取者及び引渡者のそれぞれに通知する、[1]~[5]のいずれかに記載の業務支援装置。
上記[6]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、設定された引渡し時説明項目を、受取者及び引渡者のそれぞれに通知することで、引渡し時説明を含む乗物の引渡し業務を、より一層効率よく行うことができる。
【0132】
[7] プロセッサは、設定された引渡し時説明項目に応じて、乗物の引渡しに際して引渡者が乗物に関して行う引渡し時説明の所要時間を推定する、[1]~[6]のいずれかに記載の業務支援装置。
上記[7]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、引渡し時説明の所要時間が推定されるため、推定された所要時間を踏まえて、引渡者は、引渡し時説明を行うことができ、受取者は、引渡し時説明を受けることができる。このように引渡し時説明の所要時間が予め把握できることで、引渡し時説明をより円滑に進めることができる。
【0133】
[8] 乗物の引渡しに際して引渡者が乗物に関して行った引渡し時説明に対して、受取者が評価を行う場合、プロセッサは、引渡し時説明に対する受取者の評価を示す情報を取得し、受取者の評価を示す情報を集計して得られる集計結果を、引渡者及び乗物のメーカーのうちの少なくとも一方に対して出力する、[1]~[7]のいずれかに記載の業務支援装置。
上記[8]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、引渡し時説明に対する受取者の評価を集計し、その集計結果を引渡者及び乗物のメーカーに示すことができる。これにより、引渡者及び乗物のメーカーは、上記の集計結果、すなわち引渡し時説明に対する評価を今後の業務(具体的には、今後に実施する引渡し時説明等)に活かすことができる。
【0134】
[9] 引渡者が複数存在し、且つ、それぞれの引渡者が引渡し時説明を行った場合に、プロセッサは、受取者の評価を示す情報を引渡者別に集計し、引渡者別に得られる集計結果を出力する、[8]に記載の業務支援装置。
上記[9]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、各引渡者及び乗物のメーカーは、自分が行った引渡し時説明に対する受取者の評価についての集計結果とともに、他の引渡者が行った引渡し時説明に対する評価についての集計結果も知ることができる。そして、各引渡者及び乗物のメーカーは、これらの集計結果を今後の業務に活かすことができる。
【0135】
[10] プロセッサは、所定期間における乗物の引渡しに関する実績を示す情報を、引渡者及び乗物のメーカーのうちの少なくとも一方に対して出力する、[1]~[9]のいずれかに記載の業務支援装置。
上記[10]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、引渡者及び乗物のメーカーは、所定期間における乗物の引渡しに関する実績、例えば引渡し件数等を把握することができ、その情報を今後の業務に活かすことができる。
【0136】
[11] プロセッサは、上記の手続の内容を分析することで、乗物に関する受取者の関心事項を推定する、[1]~[10]のいずれかに記載の業務支援装置。
上記[11]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、乗物に関する受取者の関心事項を推定することができる。これにより、引渡者及び乗物のメーカーは、例えば、推定された関心事項を踏まえて、乗物の引渡し業務を行うことができ、この結果、当該業務における顧客満足度を向上させることができる。また、推定された受取者の関心事項は、将来の乗物のマーケティング業務にも活用することができる。
【0137】
[12] 受取者が乗物の引渡し後に乗物のマニュアル情報を参照した場合、プロセッサは、マニュアル情報の参照履歴に基づいて、乗物に関する受取者の関心事項を推定する、[1]~[11]のいずれかに記載の業務支援装置。
上記[12]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、受取者が乗物のマニュアル情報を参照した場合に、その参照履歴から、乗物に関する受取者の関心事項を推定する。これにより、受取者の関心事項がより適切且つ正確に推定されるようになる。
なお、乗物の引渡し後に乗物のマニュアル情報を参照することができることで、引き渡された乗物の知識を深く知り、また、乗物に不具合等が発生した場合にも、マニュアル情報を参照することで何時でも適切に対処することができる。
【0138】
[13] 受取者が、乗物の引渡し後に乗物に搭載された機能を利用した場合に、プロセッサは、上記機能の利用履歴に基づいて、乗物に関する受取者の関心事項を推定する、[1]~[12]のいずれかに記載の業務支援装置。
上記[13]に記載の構成を有する業務支援装置によれば、受取者が乗物に搭載された機能を利用した場合に、その利用履歴から、乗物に関する受取者の関心事項を推定する。これにより、受取者の関心事項がより適切且つ正確に推定されるようになる。
【0139】
[14] プロセッサが、乗物を受取者に引き渡す引渡者が乗物の引渡しに際して乗物に関して受取者に説明する引渡し時説明項目を、受取者が乗物の引渡し前に行う手続の内容に基づいて設定するステップを含む、業務支援方法。
上記[14]のように構成された業務支援方法によれば、引渡し時説明を含む乗物の引渡し業務を効率よく行うことができる。
【0140】
[15] プロセッサが読み取り可能なプログラムであって、プロセッサに、乗物を受取者に引き渡す引渡者が乗物の引渡しに際して乗物に関して受取者に説明する引渡し時説明項目を、受取者が乗物の引渡し前に行う手続の内容に基づいて設定させる、プログラム。
上記[15]のように構成されたプログラムがプロセッサにより読み取られて実行させることで、引渡し時説明を含む乗物の引渡し業務を効率よく行うことができる。
【符号の説明】
【0141】
10 コンピュータ
12 販売店端末
14 購入者端末
16 CAN通信ユニット
18 自動車メーカー用サーバ
21 プロセッサ
22 メモリ
23 ストレージ
24 通信用インタフェース
N 通信用ネットワーク