(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170937
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】竪型ミル粉砕システム
(51)【国際特許分類】
B02C 15/04 20060101AFI20241204BHJP
B02C 25/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B02C15/04
B02C25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087714
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】弁理士法人有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池田 光毅
(72)【発明者】
【氏名】笠井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】川▲崎▼ 敬
(72)【発明者】
【氏名】青松 慎之介
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
【Fターム(参考)】
4D063EE03
4D063EE12
4D063GC32
4D063GD03
4D063GD04
4D063GD13
4D063GD20
4D067FF03
4D067FF04
4D067FF16
4D067GB02
(57)【要約】
【課題】 粉砕原料の粉砕性に応じて粉砕物の排出方法を変更した制御として適切に処理できる竪型ミル粉砕システムを提供する。
【解決手段】 粉砕原料を粉砕する竪型ミルと、竪型ミルに熱ガスを供給する熱ガス供給機と、を備え、竪型ミルは、粉砕原料を粉砕した粉砕物を熱ガスとともに上方から排出する上部排出口と、粉砕した粉砕物を下方から排出する下部排出口と、を有し、竪型ミルの運転を、粉砕原料の粉砕性に応じて、熱ガスで粉砕物を気流搬送して粉砕物を上部排出口から排出し回収する第1制御と、前記熱ガスで前記粉砕物を気流搬送せずに粉砕物を下部排出口から排出し回収する第2制御と、に切り替えることが可能である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉砕原料を粉砕する竪型ミルと、前記竪型ミルに熱ガスを供給する熱ガス供給機と、を備え、
前記竪型ミルは、前記粉砕原料を粉砕した粉砕物を前記熱ガスとともに上方から排出する上部排出口と、粉砕した前記粉砕物を下方から排出する下部排出口と、を有し、
前記竪型ミルの運転を、前記粉砕原料の粉砕性に応じて、前記熱ガスで前記粉砕物を気流搬送して前記粉砕物を前記上部排出口から排出し回収する第1制御と、前記熱ガスで前記粉砕物を気流搬送せずに前記粉砕物を前記下部排出口から排出し回収する第2制御と、に切り替えることが可能である、竪型ミル粉砕システム。
【請求項2】
前記第2制御では、前記第1制御における前記竪型ミルの粉砕機のミルテーブル回転速度に対して前記ミルテーブル回転速度を遅くする、請求項1に記載の竪型ミル粉砕システム。
【請求項3】
前記第2制御では、前記第1制御において前記熱ガス供給機から前記竪型ミルに供給する前記熱ガスの供給量に対して少ない所定量の前記熱ガスを前記熱ガス供給機から前記竪型ミルに供給する、もしくは前記熱ガスを前記熱ガス供給器から供給しない、請求項1または2に記載の竪型ミル粉砕システム。
【請求項4】
前記熱ガス供給機と前記竪型ミルとの間にガス量調整器を備え、
前記ガス量調整器の開度を制御して前記第1制御と前記第2制御とを切り替える、請求項1に記載の竪型ミル粉砕システム。
【請求項5】
前記熱ガス供給機と前記竪型ミルの間のガス供給路と、前記上部排出口の下流方向における流路と、の間にバイパス路を備え、
前記バイパス路は、開閉器を有し、
前記第2制御では、前記ガス量調整器を閉鎖して前記開閉器を開放する、請求項4に記載の竪型ミル粉砕システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、竪型ミルを用いた粉砕システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、竪型ミルは、石灰石などの原料、石炭などの燃料の粉砕に用いられている。また、竪型ミルは、木質のバイオマス燃料の粉砕にも用いられている。以下の説明では、「石灰石」、「石炭」、「バイオマス燃料」などを総称して「粉砕原料」という。竪型ミルは、石灰石、石炭などは細かく粉砕できるが、バイオマス燃料は細かく粉砕し難く、被処理物に応じて竪型ミルの運転方法を変更する文献がある。
【0003】
この種の文献として、複数の羽根を具備する回転式分級機の回転方向を変更できるようにした粉砕機がある(例えば、特許文献1参照)。この粉砕機は、粉砕原料に応じて回転式分級機の回転方向を変更することで、傾斜して設けられた複数の羽根による粉砕物の排出性を変更している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、竪型ミルを用いて粉砕原料を粉砕する粉砕システムは、竪型ミルに熱ガス供給機から熱ガスを供給し、この熱ガスで粉砕した粉砕物を竪型ミルの上部から気流搬送する構成が一般的である。このため、粉砕性の悪い粉砕原料の場合、細かく粉砕できない粉砕物を熱ガスで気流搬送すると竪ミル上方に備えられた分級部から抜き出すことが難しく、電力消費増大に繋がる場合がある。
【0006】
上記した文献の場合も、粉砕原料を粉砕部で粉砕して上方に備えられた分級部で分級する構成であるため、粉砕性が悪く細かく粉砕できない粉砕物は粉砕部に残ってしまう。
【0007】
そこで、本出願は、粉砕原料の粉砕性に応じて粉砕物の排出方法を変更できる竪型ミル粉砕システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本出願の一態様に係る竪型ミル粉砕システムは、粉砕原料を粉砕する竪型ミルと、前記竪型ミルに熱ガスを供給する熱ガス供給機を備え、前記竪型ミルは、前記粉砕原料を粉砕した粉砕物を前記熱ガスとともに上方から排出する上部排出口と、粉砕した前記粉砕物を下方から排出する下部排出口と、を有し、前記竪型ミルの運転を、前記粉砕原料の粉砕性に応じて、前記熱ガスで前記粉砕物を気流搬送して前記粉砕物を前記上部排出口から排出し回収する第1制御と、前記熱ガスで前記粉砕物を気流搬送せずに前記粉砕物を前記下部排出口から排出し回収する第2制御と、に切り替えることが可能である。
【発明の効果】
【0009】
本出願によれば、粉砕原料の粉砕性に応じて粉砕物の排出方法を変更することで適切に処理できる竪型ミル粉砕システムを提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本出願の一実施形態に係る竪型ミル粉砕システムの構成を示す全体図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す竪型ミル粉砕システムの竪型ミルで粉砕性の良い粉砕原料を粉砕する場合を示す全体図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す竪型ミル粉砕システムの竪型ミルで粉砕性の悪い粉砕原料を粉砕する場合を示す全体図である。
【
図4】
図4は、
図3示す粉砕性の悪い粉砕原料を粉砕する場合の異なる例を示す全体図である。
【
図5】
図5は、
図1に示す竪型ミル粉砕システムとは一部の構成が異なる例を示す全体図である。
【
図6】
図6は、
図1に示す竪型ミル粉砕システムとは異なる形式の竪型ミル粉砕システムの例を示す全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本出願の一実施形態を図面に基づいて説明する。この実施形態の竪型ミル粉砕システム1は、粉砕原料としてセメント製造設備などで用いる燃料を粉砕する負圧ミルを例にして説明する。以下の実施形態における竪型ミル粉砕システム1は、好ましい構成の例を説明するが、以下の構成に限定されない。以下の実施形態は、フローの切り替え制御に際し、制御装置を用いて電気的に機器の制御を行う場合の図である。この明細書および特許請求の範囲の書類中における上下左右方向の概念は、
図1に示す上下左右方向の概念と一致するものとする。
【0012】
<竪型ミル粉砕システムの構成>
図1は、一実施形態に係る竪型ミル粉砕システム1の構成を示す全体図である。この実施形態の竪型ミル粉砕システム1は、粉砕原料を粉砕する竪型ミル10と、竪型ミル10にガス供給路22から熱ガス21を供給する熱ガス供給機20と、竪型ミル10に粉砕原料を供給する原料供給機30とを備えている。熱ガス供給機20は、自ら熱ガス21を製造するものでも、工場から排出される排ガスを熱ガス21として利用するものでもよい。ガス供給路22は、熱ガス21の流量を調整するガス量調整器であるガス量調整ダンパ23を有している。熱ガス21の供給量は、熱ガス供給機20で調整するようにしてもよい。この実施形態の原料供給機30は、粉砕性の良い粉砕原料である第1原料41を供給する第1原料供給機31と、粉砕性の悪い粉砕原料である第2原料42を供給する第2原料供給機32とを備えている。第1原料供給機31は、例えば、第1原料ホッパ33から所定量の第1原料41を切り出すフィーダを用いることができる。第2原料供給機32は、例えば、第2原料ホッパ34から所定量の第2原料42を切り出すフィーダを用いることができる。熱ガス供給機20の熱ガスは、工場から排出される排ガスであってもよい。原料供給機や原料ホッパの個数は、投入原料の種類によって増えることがある。
【0013】
竪型ミル10は、粉砕原料を粉砕する粉砕機11を下部に有し、粉砕機11で粉砕した粉砕物を分級する分級機12を上部に有している。竪型ミル10は、分級機12が別構成となったものでもよい。竪型ミル10は、粉砕原料が粉砕性の良い第1原料41の場合、粉砕機11で粉砕した粉砕物を熱ガス供給機20から供給する熱ガス21とともに上方から排出する上部排出口15を有している。粉砕性の良い第1原料41は、粉砕物を熱ガス21とともに気流搬送する原料であり、上部排出口15は粉砕性の良い原料の粉砕物を熱ガス21とともに気流搬送で排出する出口である。また、竪型ミル10は、粉砕原料が粉砕性の悪い第2原料42の場合、粉砕機11で粉砕した粉砕物を下方から排出する下部排出口16を有している。粉砕性の悪い第2原料42は、粉砕物を熱ガス21とともに上部排出口15から気流搬送しない原料であり、下部排出口16は粉砕性が悪く熱ガス21とともに上部排出口15から気流搬送しない粉砕物を排出する出口である。
【0014】
粉砕原料の粉砕性は、例えば、鉱物原料を粉砕性が良い原料とし、非鉱物原料を粉砕性が悪い原料として決めることができる。粉砕性の良い粉砕原料である第1原料41は、粉砕物を熱ガス供給機20から供給する熱ガス21とともに排出する原料である。第1原料41は、例えば、石炭の他、石灰石、粘土、珪石などがある。粉砕性の悪い粉砕原料である第2原料42は、粉砕物を熱ガス供給機20から供給する熱ガス21とともに排出しない原料である。第2原料42は、例えば、木質のバイオマス燃料などがある。木質のバイオマス燃料は、繊維質を含み、細かな粒度にすることが難しい原料である。
【0015】
この実施形態の竪型ミル粉砕システム1は、竪型ミル10の上部排出口15の下流に集塵機60と第1製品ホッパ61とを有している。上部排出口15から排出された粉砕物は、熱ガス21とともに集塵機60に入り、捕集される。集塵機60から出た気体は、ファン62を介して大気放出される。集塵機60で分離された粉砕物は、第1コンベヤ63によって第1製品ホッパ61に送られて貯留される。この実施形態の竪型ミル粉砕システム1は、集塵機60の上流とガス供給路22との間にバイパス路24を有している。バイパス路24は、流路を開閉する開閉器たる開閉ダンパ25を有している。開閉ダンパ25は、開度を調整できるものでもよい。
【0016】
一方、この実施形態の竪型ミル粉砕システム1は、竪型ミル10の下部排出口16の下流に第2製品ホッパ71を有している。下部排出口16から排出される粉砕物は、第2コンベヤ72によって第2製品ホッパ71に送られて貯留される。この実施形態では、竪型ミル10の下部排出口16から排出された粉砕物の移送にコンベヤ72を用いているが、粉砕物は空気搬送などで移送するようにしてもよい。
【0017】
そして、竪型ミル粉砕システム1は、粉砕性の良い原料を竪型ミル10で粉砕し、上部排出口15から気流搬送で排出して回収するフローと、粉砕性の悪い原料を竪型ミル10で粉砕し、下部排出口16から排出して回収するフローとを切り替えることができる。この明細書及び特許請求の範囲の書類中では、上部排出口15から排出して回収するフローを「第1制御」といい、下部排出口16から排出して回収するフローを「第2制御」という。第1制御と第2制御の切り替えは、人間が手動で行ってもよいし、制御装置80により切り替えてもよい。
【0018】
制御装置80は、第1原料供給機31および第2原料供給機32と、竪型ミル10と、熱ガス供給機20とファン62に電気的に接続されている。
図1は、これらの主要な構成との接続を図示している。制御装置80は、ガス供給路22のガス量調整ダンパ23、バイパス路24の開閉ダンパ25、第1コンベヤ63、第2コンベヤ72とも電気的に接続されている。制御装置80は、熱ガス供給機20の熱ガス供給量やダンパ23、24の開度等を制御することで、粉砕性の良い原料の粉砕・回収する第1制御と、粉砕性の悪い原料の粉砕・回収する第2制御を切り替える。制御を切り替える際には、必要な機器を制御する。制御を行う際は、オペレータが手動で作業してもよいし、制御装置80を用いて電気的に制御してもよい。
【0019】
<粉砕性の良い粉砕原料の粉砕>
図2は、
図1に示す竪型ミル粉砕システム1の竪型ミル10で粉砕性の良い粉砕原料である第1原料41を粉砕する場合を示す全体図である。
【0020】
制御装置80は、竪型ミル10に粉砕性の良い粉砕原料41を投入する場合、粉砕物を竪型ミル10の上部排出口15から排出する第1制御に切り替える。制御装置80は、竪型ミル10で粉砕した粉砕物を必要な熱ガス21を熱ガス供給機20から供給する。そして、制御装置80は、第1原料ホッパ33の第1原料41を第1原料供給機31から投入コンベヤ35に切り出し、投入コンベヤ35からロータリーバルブ36を介して竪型ミル10に供給する。竪型ミル10に供給された第1原料41は、竪型ミル10の粉砕機11で粉砕される。第1原料41は、粉砕器11で所定の大きさまで粉砕されて第1粉砕物51となる。第1粉砕物51は、竪型ミル10の上部に備えられた分級機12を介して熱ガス21とともに上部排出口15から気流搬送によって排出される。上部排出口15から排出された第1粉砕物51は、集塵機60で捕集され、集塵機60で捕集された第1粉砕物51は第1コンベヤ63で第1製品ホッパ61に搬送されて貯留される。熱ガス21は、ファン62を介して大気放出される。
【0021】
<粉砕性の悪い粉砕原料の粉砕>
図3は、
図1に示す竪型ミル粉砕システム1の竪型ミル10で粉砕性の悪い粉砕原料である第2原料42を粉砕する場合を示す全体図である。
図4は、
図3示す粉砕性の悪い粉砕原料である第2原料42を粉砕する場合の異なる例を示す全体図である。
【0022】
図3に示す例は、制御装置80は、竪型ミル10の下部排出口16から粉砕物を排出する第2制御に切り替える。熱ガス供給機20から竪型ミル10に熱ガス21を供給する状態を保つ場合、制御装置80は、熱ガス供給機20から竪型ミル10に熱ガス21を供給するガス供給路22のガス量調整ダンパ23を閉鎖し、バイパス路24の開閉ダンパ25を開放する。これにより、ガス供給機から供給される熱ガス21は、竪型ミル10の上部排出口15の下流に流し、集塵機60とファン62を介して大気放出される。なお、熱ガス21は、熱ガス供給機20から竪型ミル10に供給するのを止めて、供給しないようにしてもよい。
【0023】
そして、制御装置80は、第2原料ホッパ34の第2原料42を第2原料供給機32で投入コンベヤ35に切り出し、投入コンベヤ35からロータリーバルブ36を介して竪型ミル10に供給する。竪型ミル10に供給された第2原料42は、竪型ミル10の粉砕機11で粉砕される。粉砕機11は、粉砕性が悪い第2原料42を粉砕する場合、ミルテーブル13の回転速度を落として第2原料42の粉砕時間を長くしてもよいし、ローラ加圧力を上げて運転してもよい。
【0024】
第2原料42は、粉砕機11で所定の大きさまで粉砕されて第2粉砕物52となる。第2粉砕物52は、竪型ミル10の下部に備えられた下部排出口16から第2コンベヤ72に排出され、第2コンベヤ72によって第2製品ホッパ71に搬送されて貯留される。第2製品ホッパ71に貯留された第2粉砕物52は、バーナ100の燃料として使用される。
【0025】
図4に示す例は、竪型ミル10の上部排出口15の下流にサイクロン65と集塵機60とが設けられている。サイクロン65で捕集された製品は、第3コンベヤ66で第1製品ホッパ61に貯留される。集塵機60で捕集された製品は、第1コンベヤ63で第1製品ホッパ61に貯留される。
【0026】
図4に示す例は、制御装置80により竪型ミル10の下部排出口16から粉砕物を排出する第2制御に切り替え、熱ガス供給機20から竪型ミル10に供給される熱ガス21の量を、ガス供給路22のガス量調整ダンパ23の開度で調整する例である。この実施形態では、ガス供給機22が工場からの排ガスを熱ガス21として利用する場合である。バイパス路24の開閉ダンパ25は閉鎖した状態である。この実施形態の竪型ミル粉砕システム1は、制御装置80によりガス供給路22のガス量調整ダンパ23の開度調整をして、熱ガス供給機20から竪型ミル10に供給する熱ガス21の量を所定量に調整している。熱ガス21の供給量は、熱ガス21によって竪型ミル10の内部における第2原料42の乾燥のため、必要な所定量に調整してもよい。第2制御の場合、竪型ミル10への熱ガス導入有無にかかわらず、竪型ミル10の内部で発生する粉塵を集塵機90で捕集してもよい。第2制御における熱ガス21の所定量は、
図2示す第1制御における気流搬送の量より少ない所定量である。また集塵機90で捕集された第二原料は、分級機70やホッパ71に合流させてもよい。
【0027】
そして、制御装置80は、第2原料ホッパ34の第2原料42を第2原料供給機32で投入コンベヤ35に切り出し、投入コンベヤ35からロータリーバルブ36を介して竪型ミル10に供給する。竪型ミル10に供給された第2原料42は、竪型ミル10の粉砕機11で粉砕される。粉砕機11は、粉砕性が悪い第2原料42を粉砕する場合、ミルテーブル13の回転速度を落として第2原料42の粉砕時間を長くしてもよいし、ローラ加圧力を上げて運転してもよい。
【0028】
第2原料42は、粉砕機11で所定の大きさまで粉砕されて第2粉砕物52となる。第2粉砕物52は、竪型ミル10の下部に備えられた下部排出口16から第2コンベヤ72に排出される。この実施形態では、第2粉砕物52は、第2コンベヤ72からバケットエレベータ73に投入され、バケットエレベータ73から分級機70に投入される。分級機70は、第2粉砕物52を所定の大きさで分級し、所定の大きさよりも小さい第2粉砕物52は第2製品ホッパ71に貯留される。第2製品ホッパ71に貯留された第2粉砕物52は、バーナ100の燃料として使用される。また、分級機70で分級されて所定の大きさよりも大きい第2粉砕物52は、投入コンベヤ35に戻され、竪型ミル10に再び投入されて粉砕機11で粉砕される。
【0029】
一方、竪型ミル10には、熱ガス供給機20から所定量の熱ガス21が供給されている。この熱ガス21は、竪型ミル10の内部で、第2原料42の乾燥に用いられる。粉砕性の悪い第2原料42が、例えば、バイオマス燃料である場合、粉砕と同時に熱ガス21の熱で乾燥してもよい。また、粉砕時に生じる粉塵は、集塵機90で捕集してもよい。
【0030】
<その他の実施形態>
図5は、
図1に示す竪型ミル粉砕システム1とは一部の構成が異なる例を示す全体図である。
図5の竪型ミル粉砕システム1は、
図1に示す竪型ミル粉砕システム1とは異なる構成のみを説明し、同一の構成には同一符号を付して説明は省略する。
図5に示す竪型ミル粉砕システム1は、ガス供給路22にガス量調整器であるガス量調整ダンパ23がなく、バイパス路24がない構成である。この構成の場合、熱ガス供給機20から竪型ミル10に供給される熱ガス21の供給量は、熱ガス供給機20において所定量に調整、もしくは熱ガス供給機20から供給しないように制御される。
【0031】
図6は、
図1に示す竪型ミル粉砕システム1とは異なる形式の竪型ミル粉砕システムの例を示す全体図である。
図6の竪型ミル粉砕システム1は、
図1に示す竪型ミル粉砕システム1とは異なる構成のみを説明し、同一の構成には同一符号を付して説明は省略する。
図6に示す竪型ミル粉砕システム1は、竪型ミル10の上部排出口15から排出した粉砕物をバーナ100の燃料として利用する例である。竪型ミル粉砕システム1は、発電所設備などで用いる燃料を粉砕する正圧ミルにも適用でき、上記した実施形態のようなセメント製造設備などで用いる燃料を粉砕する負圧ミルに限定されない。
【0032】
また、上記した実施形態では、粉砕性が良い粉砕原料として石炭を例にし、粉砕性が悪い粉砕原料として木質のバイオマス燃料を例に説明した。しかし、粉砕性が良い粉砕原料は石灰石、などでもよく、粉砕性が悪い粉砕原料は木質のバイオマス燃料に限定されるものではなく、粉砕原料は上記した原料に限定されない。
【0033】
また、上記した実施形態は好ましい構成の一例を示しており、竪型ミル10の下部排出口16から排出された粉砕物の処理は、上記した実施形態に限定されない。例えば、分級機70を含まない構成とすることも可能であり、本出願の要旨を損なわない範囲で種々の構成を変更してもよく、本出願は上記した実施形態に限定されない。
【0034】
以上のように、上記竪型ミル粉砕システム1によれば、粉砕原料が粉砕性の良い第1原料41の場合には、竪型ミル10で粉砕した第1粉砕物51を上部排出口15から排出し回収する第1制御に切り替える。また、上記竪型ミル粉砕システム1によれば、粉砕原料が粉砕性の悪い第2原料42の場合には、竪型ミル10で粉砕した第2粉砕物52を下部排出口16から排出して回収する第2制御に切り替える。よって、上記竪型ミル粉砕システム1は、粉砕性の良い第1原料41も悪い第2原料42も1つの竪型ミルの粉砕システム1で適切に処理することが可能となる。
【0035】
以下の項目のそれぞれは、好ましい実施形態の開示である。
[項目1]
粉砕原料を粉砕する竪型ミルと、前記竪型ミルに熱ガスを供給する熱ガス供給機と、を備え、前記竪型ミルは、前記粉砕原料を粉砕した粉砕物を前記熱ガスとともに上方から排出する上部排出口と、粉砕した前記粉砕物を下方から排出する下部排出口と、を有し、前記竪型ミルの運転を、前記粉砕原料の粉砕性に応じて、前記熱ガスで前記粉砕物を気流搬送して前記粉砕物を前記上部排出口から排出し回収する第1制御と、前記熱ガスで前記粉砕物を気流搬送せずに前記粉砕物を前記下部排出口から排出し回収する第2制御と、に切り替えることが可能である、竪型ミル粉砕システム。
【0036】
この構成により、竪型ミルに粉砕性が良い粉砕原料を供給する場合は、粉砕物の排出方向を上部排出口に切り替えた第1制御として、熱ガス供給機から竪型ミルに供給する熱ガスとともに粉砕物を上部排出口から排出して回収できる。竪型ミルに粉砕性が悪い粉砕原料を供給する場合は、粉砕物の排出方向を下部排出口に切り替えた第2制御として、粉砕物を下部排出口から排出して回収できる。よって、竪型ミルは、供給する粉砕原料の粉砕性の良し悪しに応じて粉砕物を適切に回収することができる。
【0037】
[項目2]
前記第2制御では、前記第1制御における前記竪型ミルの粉砕機のミルテーブル回転速度に対して前記ミルテーブル回転速度を遅くする、項目1に記載の竪型ミル粉砕システム。
【0038】
このように構成すれば、粉砕性の悪い粉砕原料を粉砕する場合、粉砕機のミルテーブル回転速度を遅くして粉砕時間を長くすることができる。
【0039】
[項目3]
前記第2制御では、前記第1制御において前記熱ガス供給機から前記竪型ミルに供給する前記熱ガスの供給量に対して少ない所定量の前記熱ガスを前記熱ガス供給機から前記竪型ミルに供給する、もしくは前記熱ガスを前記熱ガス供給器から供給しない、項目1または2に記載の竪型ミル粉砕システム。
【0040】
このように構成すれば、粉砕性の悪い粉砕原料を粉砕する第2制御のときに、第1制御のときの熱ガスの量より少ない所定量の熱ガスを竪型ミルに供給し、熱ガスによって粉砕原料の乾燥などができる。
【0041】
[項目4]
前記熱ガス供給機と前記竪型ミルとの間にガス量調整器を備え、前記ガス量調整器の開度を制御して前記第1制御と前記第2制御とを切り替える、項目1乃至3のいずれかに記載の竪型ミル粉砕システム。
【0042】
このように構成すれば、粉砕性が良い粉砕原料を粉砕するときはガス量調整器の開度を大きくして粉砕物を上部排出口から排出し、粉砕性の悪い粉砕原料を粉砕するときはガス量調整器の開度を小さく又は閉鎖して粉砕物を下部排出口から排出するようにできる。
【0043】
[項目5]
前記熱ガス供給機と前記竪型ミルの間のガス供給路と、前記上部排出口の下流方向における流路と、の間にバイパス路を備え、前記バイパス路は、開閉器を有し、前記制御装置は、前記第2制御では、前記ガス量調整器を閉鎖して前記開閉器を開放する、項目4に記載の竪型ミル粉砕システム。
【0044】
このように構成すれば、粉砕性の悪い粉砕原料を粉砕するときに竪型ミルに所定量の熱ガスを供給し、熱ガスによる粉砕原料の乾燥、粉砕原料の排出などを行うことができる。熱ガスの所定量は、制御装置によるガス量調整器の開度と開閉機の開度調整によって適切な量に制御できる。
【符号の説明】
【0045】
1 竪型ミル粉砕システム
10 竪型ミル
11 粉砕機
12 分級機
13 ミルテーブル
15 上部排出口
16 下部排出口
20 熱ガス供給機
21 熱ガス
22 ガス供給路
23 ガス量調整ダンパ(ガス量調整器)
24 バイパス路
25 開閉ダンパ(開閉器)
30 原料供給機
31 第1原料供給機
32 第2原料供給機
36 投入ホッパ
41 第1原料
42 第2原料
51 第1粉砕物
52 第2粉砕物
60 サイクロン
61 第1製品ホッパ
70 分級機
71 第2製品ホッパ
80 制御装置
90 集塵機
100 バーナ