(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170950
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】食器洗浄機
(51)【国際特許分類】
A47L 15/46 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
A47L15/46 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087741
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000176866
【氏名又は名称】三菱電機ホーム機器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(74)【代理人】
【識別番号】100184022
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 美保
(72)【発明者】
【氏名】田仲 導生
(72)【発明者】
【氏名】川田 幸男
【テーマコード(参考)】
3B082
【Fターム(参考)】
3B082DB00
3B082DC05
(57)【要約】
【課題】地域によって水の硬度などの水質が異なり、水の硬度が高い地域では、マグネシウムやカルシウムなどの硬度成分によりが汚れの凝集や再付着を促進することとなり、食器に水垢やウォータースポットが残りやすくなることを抑制できる食器洗浄機を得ることを目的とする。
【解決手段】洗浄対象を洗浄する洗浄工程と、洗浄された前記洗浄対象を温水ですすぐすすぎ工程と、前記洗浄対象を乾燥させる乾燥工程とを行う食器洗浄機であって、前面または上面が開口する本体と、前記本体に収納され、前記洗浄対象を収容する洗浄槽と、設置された場所の住所情報を通信する通信手段と、前記住所情報を基に外部サーバーから当該地域の水の硬度などの水質情報を取得し、洗浄ポンプ等を含む洗浄機能部を駆動するための制御条件を、取得した水質情報を基に変更して動作制御プログラムを生成し、この動作制御プログラムで運転させる。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄工程と、すすぎ工程と、乾燥工程とを、第1の制御条件及び第2の制御条件の何れか一方に従って制御する制御部と、
設置地域を特定可能な住所情報を保有する住所情報取得部と、
前記住所情報を外部サーバーへ送信可能な通信部と、
前記住所情報に対応して前記外部サーバーから水質情報を取得し、当該水質情報から軟水であるか硬水であるかを判定する水質情報取得部と、を備え、
前記制御部は、前記水質情報取得部が軟水であると判定した場合には、前記第1の制御条件で運転し、硬水であると判明した場合には、前記第2の制御条件で運転する、ことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項2】
前記第2の制御条件は、前記第1の制御条件よりも、前記すすぎ工程における温水の温度が低く、前記乾燥工程における温風の温度が低いこと、を特徴とする請求項1に記載の食器洗浄機。
【請求項3】
前記第2の制御条件は、前記第1の制御条件よりも、前記乾燥工程における乾燥時間が長いこと、を特徴とする請求項2に記載の食器洗浄機。
【請求項4】
前面または上面が開口する本体と、
前記本体に収納され、前記洗浄対象物を収容する洗浄槽と、
ユーザーからの入力を受け付ける操作部と、を更に有し、
前記操作部からの入力に応じて前記住所情報が生成されること、を特徴とする請求項1に記載の食器洗浄機。
【請求項5】
前記制御部は、前記住所情報に対応して前記外部サーバーから水質情報を取得し、当該水質情報によって軟水であると判明し場合には、前記第1の制御条件で運転し、硬水であると判明した場合には、前記第2の条件で運転する、ことを特徴とする食器洗浄機。
【請求項6】
洗浄工程と、すすぎ工程と、乾燥工程とを、第1の制御条件及び第2の制御条件の何れか一方に従って制御する制御部と、
設置地域を特定可能な住所情報を保有する住所情報取得部と、
前記住所情報を外部サーバーへ送信可能な通信部と、
前記制御部に対して、前記第1の制御条件又は前記第2の制御条件の何れか一方の運転を定める信号を送信する制御情報取得部と、
を備え、
前記制御情報取得部は、前記外部サーバーから、前記第1の制御条件を指定する前記制御情報S3Aと、前記第2の制御条件を指定する前記制御情報S3Bと、をそれぞれ取得し、
前記制御部は、前記制御情報S3Aと前記制御情報S3Bとに従って運転すること、を特徴とする食器洗浄機。
【請求項7】
前記第2の制御条件は、前記第1の制御条件よりも、前記すすぎ工程における温水の温度が低く、前記乾燥工程における温風の温度が低いこと、を特徴とする請求項6に記載の食器洗浄機。
【請求項8】
前記第2の制御条件は、前記第1の制御条件よりも、前記乾燥工程における乾燥時間が長いこと、を特徴とする請求項7に記載の食器洗浄機。
【請求項9】
前面または上面が開口する本体と、
前記本体に収納され、前記洗浄対象物を収容する洗浄槽と、
ユーザーからの入力を受け付ける操作部と、を更に有し、
前記操作部からの入力に応じて前記住所情報が生成されること、を特徴とする請求項6に記載の食器洗浄機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、食器の洗浄を行う食器洗浄機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から食器の洗浄、乾燥を行う食器洗浄機において、洗浄水の濁度情報によりエコ運転をする食器洗浄機や、洗浄水の濁度情報により洗剤投入量を調整するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された食器洗浄機では、洗浄槽に収容された被洗浄物を洗浄する洗浄運転を実行するとともに、洗浄運転の初期に濁度検知手段から取得した汚れ状態情報に基づいて、洗浄運転に必要な洗剤の初期量を決定することが開示されている。
また、食器洗浄機は、洗浄運転中に新たな被洗浄物が洗浄槽内に追加的に収容された場合、追加収容事実の検知後を少なくとも含む所定期間内に、前記濁度検知手段から取得した汚れ状態情報に基づいて、洗剤の追加量を決定するなどの技術が開示されている。
【0005】
特許文献1に開示された従来の食器洗浄機を含め、洗浄水の濁度により洗浄時間を短くするエココースが設定されたり、洗剤の投入量を調整したりすることが、従来から提案されてきた。
【0006】
しかしながら、洗浄性能に係る技術はあったが、洗浄後の乾燥仕上がりについては十分に配慮されておらず、乾燥の仕上がり状態において不満が出ることがある。
【0007】
具体的な乾燥仕上がり状態での不満として、白くくもったり、白い水垢が残ったりする現象がある。
【0008】
これら現象は、地域によって食器洗浄で使用する水の硬度などの水質が異なることが原因となり、新たな問題となる。すなわち、水の硬度が高い地域では、マグネシウムやカルシウムなどの硬度成分により、汚れの凝集や再付着を促進することとなり、食器に水垢やウォータースポットが残りやすくなる。
【0009】
本開示は、上記課題を解決するためのものであり、食器洗浄機が使用される地域、場所における水質情報を活用し、水垢やウォータースポットの発生を抑制し、使い勝手の良い食器洗浄機を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の開示に係る食器洗浄機は、
洗浄工程と、すすぎ工程と、乾燥工程とを、制御条件1及び制御条件2の何れか一方に従って制御する制御部と、
設置地域を特定可能な住所情報を保有する住所情報取得部と、
前記住所情報を外部サーバーへ送信可能な通信部と、
前記住所情報に対応して前記外部サーバーから水質情報を取得し、当該水質情報から軟水であるか硬水であるかを判定する水質情報取得部と、を備え、
前記制御部は、前記水質情報取得部が軟水であると判定した場合には、前記制御条件1で運転し、硬水であると判明した場合には、前記制御条件2で運転する、ことを特徴とする構成である。
【0011】
第2の開示に係る食器洗浄機は、
洗浄工程と、すすぎ工程と、乾燥工程とを、第1の制御条件及び第2の制御条件の何れか一方に従って制御する制御部と、
設置地域を特定可能な住所情報を保有する住所情報取得部と、
前記住所情報を外部サーバーへ送信可能な通信部と、
前記外部サーバーから前記第1の制御条件を指定する制御情報1又は前記第2の制御条件を指定する制御情報2を取得し、これを前記制御部へ送信する制御情報取得部と、
を備え、
前記制御部は、前記制御情報1と前記制御情報2とに従って運転すること、を特徴とする構成である。
【発明の効果】
【0012】
水の硬度が高い地域では、温度制御および時間制御によって通常より時間をかけて水分を蒸発させるため、食器の水垢やウォータースポットを低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示1に係る実施の形態1を示す食器洗浄機と外部のネットワーク構成を示す説明図である。
【
図2】
図1に示した実施の形態1に係る食器洗浄機の、機能ブロック図である。
【
図3】
図1に示した実施の形態1に係る食器洗浄機の、動作ステップ説明図である。
【
図4】
図1に示した実施の形態1に係る食器洗浄機の、制御動作を示すフローチャートである。
【
図5】本開示2に係る実施の形態2を示す食器洗浄機の、機能ブロック図である。
【
図6】
図5に示した実施の形態2に係る食器洗浄機の、動作ステップ説明図である。
【
図7】
図5に示した食器洗浄機の、制御動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
実施の形態1.
<食器洗浄機1のネットワーク構成>
図1は、本開示1に係る実施の形態1を示す食器洗浄機1と外部のネットワーク構成とを示す説明図である。
図1において、1は、家庭用や店舗用の食器乾燥機であり、乾燥機能を有している。家庭においてはキッチン家具(図示せず)の内部に設置されるビルトインタイプのものと、キッチン家具等の上に置かれて使用される据置タイプのものがあるが、何れでの良い。
実施の形態1で示す食器洗浄機1は、主に家庭用の食器洗浄機であり、洗浄後の食器を、そのまま温風によって乾燥させる機能を備えたものであるが、レストラン等の店舗等で使用される業務用の食器類の洗浄装置も、ここでいう「食器洗浄機」に含むものとする。
【0015】
食器洗浄機1は、後述するネットワークNWと無線通信によってデータ(数値や画像を含む)の授受が行える通信部2を有している。
食器洗浄機1は、家庭や店舗等に設置してある水道設備に接続され、その水道からの給水(水道水)を使用して洗浄動作を行うものである。
【0016】
71は、家庭や店舗等の外部にある外部サーバーであり、複数のサーバー群を無線通信のネットワークNWで接続して構成されている。説明を簡単にするため、この外部サーバー71は、第1サーバー72と第2サーバー73で構成されているという前提で以下説明する。なお、ネットワークNWは、インターネット等の広域公衆ネットワークであり、スマートフォン等の携帯端末200との間でも無線通信でデータ(文字、音声、画像等)の授受ができる。
【0017】
前記第1サーバー72は、情報処理や洗剤の残量判定、水質データの取得等、機能別に分けた複数のサーバーで構成しても良いが、説明を簡単にするために、
図1では1つのハードウエア上に、各種の機能を備えたものとして1つの枠で図示している。
【0018】
前記第1サーバー72は、第2サーバー73が保有する水質データベース73Aの水質情報を、ネットワークNW経由で取得して、水質記憶部72Aに記憶させる。この第1サーバー72は、例えば、食器洗浄機1の製造業者又は販売業者(以下、「メーカー等」という)の専用サーバーであるが、食器洗浄用途の複数種類の洗剤を製造・販売している企業が運営しているサーバーでも良い。つまり、後者の場合、当該洗剤の用途や機能等の情報を発信しているサーバーを兼ねたものでも良い。
【0019】
前記第1サーバー72は、食器洗浄機1を使用するユーザーが、最初にユーザー登録を行う際の固有情報(食器洗浄機1の識別情報を含む)の送信を受けると、当該ユーザーの食器洗浄機1の固有情報Uを登録(記憶)するユーザー登録部(図示せず)を有している。第1サーバー72のパラメータ変更部72Cで生成される制御情報S3(後述する)は、前記ユーザー登録部で保有しているユーザー毎の、前記固有情報Uが反映されたものである。つまり、個々の食器洗浄機1の具体的な型式や構造に適合した制御情報S3が生成される。
【0020】
72Bは、第2サーバー73から提供される水質データの中に、硬水と軟水を識別するデータがない場合、水道水の水質データの中のカルシウムやマグネシウムの量から硬水と軟水を判定する水質判定部である。
【0021】
72Cは、パラメータ変更部である。このパラメータ変更部72Cは、前記水質判定部72Bから水質判定結果を受けて、個々の食器洗浄機1毎の運転制御用「パラメータ」を変更する制御情報S3を生成する。なお、「パラメータ」については後で説明する。
【0022】
前記第1サーバー72は、一般に「Webサーバー」(以下「ウェブサーバー」という)と呼ばれているものでも良い。ウェブサーバーは、HTTP(HTML文書や画像などのデータをWebサーバーとWebブラウザ間でやり取りするために使われるプロトコル)に則り、各種通信端末200や、ホーム・ゲートウエイ(図示せず)等のような、「情報を受け取る側」の情報処理機器(クライアント)側ソフトウエアのウェブ・ブラウザに対して、HTMLやオブジェクト(画像など)の表示情報を提供するサービスプログラム及び、そのサービスが動作するサーバーコンピュータを指す。
【0023】
前述したように、この形態1の説明では、特に明示がない限り、食器洗浄機1には家庭用又は業務用の食器洗い乾燥機を含む。
また、別の家庭や店舗等に設置された食器洗浄機1も、図示していないが、前記ネットワークNWを介して前記第1サーバー72にそれぞれ個別に接続されている。そして、第1サーバー72側では、個々の食器洗浄機1を識別するために、当該食器洗浄機の識別情報やユーザーの個人情報等を保有しており、第1サーバー72では、ネットワークNWを介して通信を行う場合、個々の食器洗浄機1を識別している。
なお、食器洗浄用の専用洗剤を販売する、「ネット通販サービス用」オンラインショップ等の電子商取引(EC)サイトが、前記ネットワークNWに接続されているが、図示を省略している。
【0024】
<制御部31>
図2は、実施の形態1に係る食器洗浄機1の制御部31を示すブロック図である。
図2に示すように、制御部31は、操作部32、表示部33、報知部34、加熱ヒータ35、洗浄ポンプ36、送風ファン37及び乾燥ヒータ38の制御を担う機能を有しており、1つ又は複数のマイクロコンピューターを有している。
前記制御部31は、外部サーバー71と通信可能であり、位置情報S2を生成し、これを外部サーバーに提供することで、該当住所の水質情報S1を取得することができる。なお、この
図2では、前記通信部2の図示を省略している。
前記位置情報S2は、食器洗浄機1を設置した際の試運転時に、操作部32によって、インプットできる情報であれば良い。あるいは、後日、食器洗浄機1から送信しても良い。通常の住所登録のように都道府県名や市町村名等の情報を直接インプットしたり、郵便番号や緯度・経度情報をインプットしたりしても良い。これら情報は、住所情報取得部61で保管され、ユーザー登録する際に第1サーバー72へ送信される。また、その後、第1サーバー72と情報の授受を行う際に第1サーバー72側において、ユーザー認証等で利用される。
【0025】
前記制御部31は、中央処理装置(CPU:図示せず)を有したマイクロコンピューターを中核として構成されており、半導体記憶装置(フラッシュメモリーやROM、RAM)などの記憶手段31Mと、時刻を計算する計時手段(時計回路)31Tとを内蔵している。なお、この計時手段31Tは、後述する主電源スイッチ(図示せず)を仮にOFFしても、電源供給が継続する構成(例えば、補助電源からの電源が供給される)になっている。
【0026】
51は、前記第1サーバー72から水道水の水質情報S1を取得する水質情報取得部である。
61は、食器洗浄機1の使用されている家屋の場所を示す位置情報S2を発信する位置情報取得部である。前記したようにビルトイン式の(家庭用)食器洗浄機1の場合には、設置されたキッチン家具の存在する住宅の所在地の情報が前記位置情報S2になり得る。据置式の(家庭用)食器洗浄機1でも同様に住宅の所在地情報が前記位置情報S2になり得る。但し、食器洗浄機1側で、例えば「東京都〇〇区〇〇町1丁目1番地」のような詳細な情報を提供せず、前記した携帯端末200等で食器洗浄機1を設置した住宅の緯度・経度情報を取得して、その情報を位置情報S2にしても良い。
【0027】
81は、制御情報取得部である。この実施の形態1における制御情報取得部81は、第1サーバー72から提供された制御情報S3を取得するものであり、この制御情報S3に従って制御部31が具体的な洗浄時間や乾燥温度等を決める。つまり、制御条件を決定する場合に必要となる。そのため、この制御情報S3を利用せず、制御部31自身が水質情報S1を利用して、洗浄運転を確定する洗浄プログラムと、乾燥運転時間や乾燥温度を確定する乾燥プログラムの、「パラメータ」を補正して、制御条件を確定し、それを実行する場合には、外部からの前記制御情報S3は必須ではない。
【0028】
前記「パラメータ」とは、例えば、加熱ヒータ35、洗浄ポンプ36、送風ファン37及び乾燥ヒータ38の制御を行う場合の、通電率や温度、洗浄ポンプ36の回転数等の制御で使用される制御用の変数である。例えば、温度制御用のデータテーブルがある場合、当該データテーブルにある個々の制御値(数値)をいう。
【0029】
前記水質情報取得部51、位置情報提供部61及び制御情報取得部81は、前記制御部31によって個々に制御される。
41は、洗浄機能部である。この洗浄機能部41とは、食器を洗浄し、乾燥する機能を達成するための構成が該当する。
具体的には、洗浄機能部41には、食器に対して温水等の洗浄水を噴射するシャワーノズル(図示せず)と、洗浄水を供給する洗浄ポンプ36が含まれる。更に、洗浄するための温水を作る加熱ヒータ35と、洗浄後の食器を乾燥させるための乾燥ヒータ38、洗浄槽(図示せず)の内部空間に熱気を対流させるための送風ファン37等が含まれている。
なお、前記洗浄槽(図示せず)の外側で、かつ前方側にある、専用の液体洗剤(図示せず)を投入する電磁ポンプ等の洗剤供給部(図示せず)も、洗浄機能部41の一部である。
【0030】
<食器洗浄機1の動作>
図3は、
図1に示した実施の形態1に係る食器洗浄機1の、動作ステップ説明図である。全体の理解を容易にするために前記第1サーバー72の動作についても示している。
【0031】
図3において、ステップSA1、SA2、SA6及びSA7が食器洗浄機1の動作を示している。ステップSA3~SA5は、第1サーバー72の動作を示している。なお、第2サーバー73の動作については、記載を省略している。
最初に操作部32にある主電源スイッチ(図示せず)の操作ボタンを押して、当該主電源スイッチをONにすると、商用電源からの電力が前記制御部31に印加される(ステップSA1)。
【0032】
制御部31が起動され、第1サーバー72に対して最新の水質情報S1の提供を要求する信号を通信部2経由で発信する(ステップSA2)。
第1サーバー72は、1つの食器洗浄機1から前記したような、最新の水質情報S1の提供を要求する信号を受ける際に、当該食器洗浄機1の識別情報と共に位置情報(住所情報)S2を受信する。但し、第1サーバー72で、個々の食器洗浄機1の識別情報と位置情報S2が対になって(紐づけされて)内部の記憶装置M(図示せず)に事前に格納されている場合には、食器洗浄機1から位置情報S2が届かない場合でも、前記記憶装置Mから位置情報を読み出し、これを第2サーバー73に送信して、特定の位置の水質情報S1の提供を要求することができる。以上がステップSA3の処理である。
【0033】
次のステップSA4では、第1サーバー72は第1サーバー73から水質データを取得し、これを水質記憶部72Aに一時的に格納する。そして水質判定部72Bによって、少なくとも硬水か軟水かの2つの区分で判定する。これ以外に「弱硬水」や「中硬水」等の区分で仕分けても良い。なお、第2サーバー73側において、硬水と軟水の一次判定を行っている場合には、水中に含まれる「カルシウム、マグネシウム」等の含有量の基礎データは不要であり、浄水場の一次判定情報を第1サーバー72が取得し、そのまま水質記憶部72Aに一時的に格納することでも良い。
【0034】
次に、第1サーバー72は水質記憶部72Aに記憶させた水質情報の判定結果を、水質情報S1として食器洗浄機1に送信する(ステップSA5)。なお、この場合、第1サーバー72に対して事前に接続設定を済ませてある前記通信端末200にも水質情報S1を送信しても良い。
次のステップSA6は、食器洗浄機1側の動作である。このステップSA6では、制御部31は、各種の制御条件を水質(硬水と軟水)に対応した制御内容(以下、「水質対応制御」という)に変更する。そして、操作部32からのユーザーによる運転開始指令の入力を待つ状態(待機状態)に移行する(ステップSA7)。この水質対応制御は、次の
図4で詳しく説明する。
【0035】
次に、
図4について説明する。
図4は、実施の形態1に係る食器洗浄機1の、制御部31の制御動作を示すフローチャートである。
ステップSP1は、前記「水質対応制御」の開始ステップである。水質を判定するステップである。
ステップSP1では、水質情報S1により取得した水の硬度が、軟水であればステップSP2Aに進み、通常の食器洗浄機1としての動作プログラムを適用して、食器洗浄と乾燥の動作を制御する。
ステップSP2Aは、高温(高温水)で「すすぎ工程」を実行し、高温で乾燥させるステップであり、その次のステップSP3Aでは、乾燥時間を通常モードに維持して乾燥を行う。
制御部31は、ステップSP2Aと、ステップSP3Aを順次実行するために、「制御条件1」を選択する(ステップSP1)。
【0036】
一方、ステップSP1では、水質情報S1により取得した水の硬度が、硬水である場合には、ステップSP2Bに進む。ステップSP2Bでは、ステップSP2Aの場合よりも低いお湯で「すすぎ工程」を実行する。そして、ステップSP2Aの場合よりも低温の温風で乾燥を行う。
このように、ステップSP2Bでは、軟水の時より乾燥工程での「温度T」を低く動作させるように、ステップSP1の判定結果により「制御条件2」を選択する。
この温度Tとは、例えば、食器を収容する洗浄槽(図示せず)の内部空間に供給する温風温度である。例えば、前記洗浄槽の内部に温風を循環させる温風供給手段を有している場合、その温風供給路からの温風を吹き出し温度をいう。あるいは、前記洗浄槽の別の位置に設けた温度センサーで洗浄槽の内部雰囲気を温度管理する目標温度でも良い。この目標温度になるように前記温風供給手段の熱源(電気ヒータ)の通電が制御される。
【0037】
次に、ステップSP3Bに進む。ステップSP3Bでは、ステップSP2Bが「低温乾燥」であったため、乾燥時間はステップSP3Aに比較して長くなる。つまり、制御部31は、ステップS2Bと、ステップSP3Bを順次実行するために、「制御条件2」を実行するが、制御部31は、乾燥時間が(前記「制御条件1」の場合に比較して)長くなるように、前記制御条件2では、運転時間条件が設定されている。
【0038】
第1サーバー72から水質情報取得部51が取得した水質情報S1には、硬水と軟水を識別する信号が含まれ、ステップSP1で2つに振り分けられるので、ステップSP2A、SP3A、SP2B及びSP3Bの段階では、制御部31において硬水と軟水の水質判定をその都度行う必要はない。
【0039】
また、ステップSP2Bでは、乾燥工程の前の「すすぎ工程」の温度を低くする(「低温すすぎ」にする)ことで、それに続く「乾燥工程」初期の温度を低く保っても良い。
【0040】
<実施の形態1の総括>
以上のように第1の開示に係る食器洗浄機1の、1つの実施形態は、
洗浄工程と、すすぎ工程と、乾燥工程とを、制御条件1及び制御条件2の何れか一方に従って制御する制御部31と、
設置地域を特定可能な住所情報S2を保有する住所情報取得部61と、
前記住所情報を外部サーバー71へ送信可能な通信部2と、
前記住所情報に対応して前記外部サーバー71から水質情報S1を取得し、当該水質情報S1から軟水であるか硬水であるかを判定する水質情報取得部51と、を備え、
前記制御部31は、前記水質情報取得部51が軟水であると判定した場合には、前記制御条件1(ステップSP2A、SP3A参照)で運転し、硬水であると判明した場合には、前記制御条件2(ステップSP2B、SP3B参照)で運転する、ことを特徴とする食器洗浄機である。
【0041】
この構成であるため、水の硬度が高い地域では、温度制御および時間制御によって通常より時間をかけて水分を蒸発させるため、食器の水垢やウォータースポットの発生を低減できる。
【0042】
実施の形態2.
<制御部31>
本開示2に係る実施の形態2について、
図5と
図6を用いて説明する。
図5は、実施の形態2における食器洗浄機1の、機能ブロック図である。
図6は、
図5に示した食器洗浄機の、動作ステップ説明図である。
図7は、
図5に示した食器洗浄機1の、制御部31の水質取得動作を示すフローチャートである。なお、
図1~
図4に説明した実施の形態1の構成と、同一又は相当部分は、同じ符号を付けている。
【0043】
図5について説明する。
この実施の形態2では、実施の形態1の
図2で説明した水質情報取得部51に相当する構成はない。つまり、食器洗浄機1自体では水質の中身について判定しないため、硬水であるか軟水であるかの判定機能はない。
72Dは、食器洗浄機1の制御情報データベースである。これは、食器洗浄機1の型名、モデル番号等の識別情報毎に、洗浄工程や乾燥工程を実行する制御情報が格納されている。
72Eは、制御情報生成部である。この制御情報生成部72Eは、個々の食器洗浄機1毎に、第2サーバー73から取得した(各地域別浄水場等の)水質データ又は第1サーバー72自体が直接取得した水質データを基礎にして、制御条件を確定するための制御情報S3を生成する。このため、この実施の形態2では、食器洗浄機1の制御情報取得部81においては、結果的に軟水と硬水の何れにも対応した制御情報S3を取得することができる。
【0044】
図5において、40は、カレンダー機能を有するカレンダー機能部であり、操作部32から開始指令を1回受けると、その時点の西暦の年、月日及び時刻情報をカレンダー情報部(図示せず)から読み出し、以後は計時動作を継続して自動的に現在時刻や経過時間等のデータを制御部31に対して提供できるものである。なお、このカレンダー機能部40は、独立した処理回路で構成される必要はない。例えば、制御部31を構成するマイクロコンピューター等のソフトウエアによってカレンダー機能部40を実現しても良く、ハードウエア上で個別に構成された(専用の)時計回路31T等でなくとも良い。
【0045】
前記制御情報S3には、洗浄から、すすぎ工程や乾燥工程までの一連の「制御条件」を確定する動作プログラム全体が含まれているケース(第1ケース)と、当該動作プログラムを構成する「温度」や「時間」等の個々のパラメータを変更する命令が含まれたケース(第2ケース)の、2つがある。なお、後者(第2ケース)の方が、データ通信時のデータ容量が少なくできる利点がある。なお、この実施の形態2では、説明を簡単にするための、第2のケースを採用して、実施の形態1と同様に、パラメータを変更するための「制御条件1」と「制御条件2」の2種類の設定指令が、第1サーバー72から提供される、という前提で以下説明する。
【0046】
<食器洗浄機1の動作>
この実施の形態2では、食器洗浄機1の制御部31の構成と、その動作プログラムが、実施の形態1と異なる。
図6について説明する。
図6は、
図5に示した食器洗浄機1の、動作ステップ説明図である
全体の理解を容易にするために前記第1サーバー72の動作についても示している。また、この
図6は、
図3に対応した図であるため、
図3と異なる部分を主体に説明する。
【0047】
図6において、ステップSA1、SA2A、SA6A及びSA7が食器洗浄機1の動作を示している。ステップSA3A~SA5Aは、第1サーバー72の動作を示している。なお、第2サーバー73の動作については、記載を省略している。
最初に操作部32にある主電源スイッチ(図示せず)の操作ボタンを押して、当該主電源スイッチをONにすると、商用電源からの電力が前記制御部31に印加される(ステップSA1)。
【0048】
制御部31が起動されると、第1サーバー72に対して最新の水質情報に対応した制御情報S3の提供を要求する信号を通信部2経由で発信する(ステップSA2A)。つまり、食器洗浄機1では、水道水の水質に関する情報(水道水に含まれる各種含有物質の量や、硬水・軟水という判定結果も含む)自体の提供は要求しない。
【0049】
第1サーバー72は、1つの食器洗浄機1から前記したような、最新の水質に対応した制御デ情報S3の提供を要求する信号を受ける際に、当該食器洗浄機1の識別情報と共に位置情報S2を受信する。但し、第1サーバー72で、個々の食器洗浄機1の識別情報と位置情報が対になって(紐づけされて)内部の記憶装置M(図示せず)に事前に格納されている場合には、食器洗浄機1から位置情報S2が届かない場合でも、前記記憶装置Mから(特定の食器洗浄機1に対応した)位置情報S2を読み出し、これを第2サーバー73に送信して、位置情報S2で特定される1つの住所(設置位置)の水質データの提供を要求することができる。以上がステップSA3Aの処理である。
【0050】
次のステップSA4Aでは、第1サーバー72は第1サーバー73から水質データを取得し、これを水質記憶部72Aに一時的に格納する。そして水質判定部72Bによって、少なくとも硬水か軟水かの2つの区分で判定する。これ以外に「弱硬水」や「中硬水」等の区分で仕分けても良い。なお、第2サーバー73側において、硬水と軟水の一次判定を行っている場合には、水中に含まれる「カルシウム、マグネシウム」等の含有量の基礎データは不要であり、浄水場の一次判定情報を第1サーバー72が取得し、そのまま水質記憶部72Aに一時的に格納することでも良い。
【0051】
次に、第1サーバー72では、水質記憶部72Aに記憶させた水質情報の判定結果を、制御情報生成部72Eに送信する。制御情報生成部72Eは、受信した水質情報に対応した、少なくとも2種類の制御情報S3(S3A、S3B)を生成し、これを食器洗浄機1に送信する(ステップSA5A)。なお、この場合、第1サーバー72に対して事前に接続設定を済ませてある前記通信端末200にも、水質情報の判定結果を送信しても良い。
【0052】
ここで、前記制御情報S3Aは、軟水の場合に制御情報生成部72Eで生成される第1の制御条件を指定する制御情報である。
また、前記制御情報S3Bは、硬水の場合に制御情報生成部72Eで生成される第2の制御条件を指定する制御情報である。
【0053】
次のステップSA6Aは、食器洗浄機1側の動作である。このステップSA6Aでは、制御部31は、「基準となっている制御条件」を、前記制御条件S3に従って変更する(変更しない場合もある)。つまり、制御部31では、制御条件を確定するための各種パラメータの内、その一部を前記制御条件S3によって変更し、水質に対応した1つの制御条件を確定する。なお、前記「基準となっている制御条件」は、例えば、軟水の場合の制御条件である。そして、操作部32からのユーザーによる運転開始指令の入力を待つ状態(待機状態)に移行する(ステップSA7)。
【0054】
次に、
図7について説明する。
図7は、
図5に示した食器洗浄機1の、制御部31の水質取得動作を示すフローチャートである。特に、第1サーバー72等の外部サーバー71に対する制御データS3の送信を求める動作に関したものである。
【0055】
図7において、ステップSB1~SB7は、制御部31の中の記憶装置M1(図示せず)に、データ要求処理のプログラムとして事前に格納されている。そして、食器洗浄機1の操作部32の入力を受けて、食器洗浄機1を使用する際には、必ずこのステップSB1のチェックを受ける。
従って、主電源スイッチをONにして使用を開始する場合、最初にステップSB1において、ユーザー登録をしたかどうかの判定が行われる。ユーザー登録情報には、この食器洗浄機1を使用するユーザーの識別情報(氏名等)と、設置場所を特定する住所情報とが必須である。
【0056】
前記住所情報やユーザーの識別情報は、操作部32を操作して「ユーザー登録」という項目を選択すると、表示部33に入力が必要な情報と入力方法(手順)が表示され、また報知部34によっても、音声によって対話形式で入力がガイドされる。
【0057】
食器洗浄機1を住宅や店舗に設置した際に、最初にステップSB6の前記「ユーザー登録」を終え、完了指令を操作部32で行うと、ステップSB7が「Yes」判定となる。つまり、ユーザー登録し、カレンダー機能が起動したことになる。
【0058】
そのため、食器洗浄機1を最初に設置した際に、最初に操作部32を操作して、設置業者や販売業者がテスト運転を開始する指令を与えると、ステップSB2は「Yes」判定となり、ユーザー登録情報が第1サーバー72へ通信部2経由で送信される。なお、第1サーバー72や通信端末200との間の相互認証手続については説明を省略する。
【0059】
ステップSB2の後、第1サーバー72では、特定の食器洗浄機1について、ユーザー情報を所定のユーザーデータベース(記憶部)に格納し、当該食器洗浄機1については、対応する住所情報とセットにして抽出できるようになる。
【0060】
その後、ユーザーが操作部32にある主電源スイッチ(図示せず)の操作ボタンを押して、当該主電源スイッチをONにし、制御部31が起動されると、第1サーバー72に対して最新の水質情報に対応した制御情報S3の提供を要求する信号を通信部2経由で発信するかどうかを判断する。そのステップが、ステップSB3とSB4である。
まず、テスト運転でない場合、ステップSB3では、前回の食器洗浄機1の使用からの経過時間(期間)を判定する。前回の使用日時の情報を、制御部31の中の記憶装置M1(図示せず)から読み出し、カレンダー機能部40からの現在日時情報と比較して、経過期間(日数)が30日を経過していない場合、「No」判定にし、ステップSB4に進む。
【0061】
ステップSB4では、カレンダー機能部40からの現在日時情報を利用し、例えば、年4回の季節(春・夏・秋・冬)の開始時期を、「4月、7月、10月、1月」の初日としている場合には、当該初日を経過しているときにこのステップSB4は「Yes」判定となる。
ステップSB3及びSB4の判定が「Yes」の場合、ステップSB5に進む。これによって、再び食器洗浄機1から住所情報が第1サーバー72に送信され、当該住所情報に示された住所に対応した浄水場や給水施設等、水道水の水質に関する情報を保有している情報提供サイトから、水質データを第1サーバーが取得することになる。
このため、第1サーバー72から提供される制御情報S3は、季節の変化も捉えた最新の水質データを考慮したものを生成できるから、これを受ける食器洗浄機1の制御も、実際の水質データに対応したものとすることが期待できる。
【0062】
<実施の形態2の総括>
以上のように第2の開示に係る食器洗浄機1の、1つの実施形態は、
洗浄工程と、すすぎ工程と、乾燥工程とを、第1の制御条件及び第2の制御条件の何れか一方に従って制御する制御部31と、
設置地域を特定可能な住所情報S2を保有する住所情報取得部61と、
前記住所情報S2を外部サーバー71へ送信可能な通信部2と、
前記外部サーバー71から前記第1の制御条件を指定する制御情報S3A又は前記第2の制御条件を指定する制御情報S3Bを取得し、これを前記制御部31へ送信する制御情報取得部81と、
を備え、
前記制御部31は、前記制御情報S3Aと前記制御情報S3Bとに従って運転すること、を特徴とする構成である。
【0063】
この構成であるため、水の硬度が高い地域では、温度制御および時間制御によって通常より時間をかけて水分を蒸発させるため、食器の水垢やウォータースポットの発生を低減できる。
しかも、前記住所情報S2に応じて前記外部サーバー71から提供される、水質に応じた前記第1の制御条件を指定する制御情報S3A又は前記第2の制御条件を指定する制御情報S3Bを取得して、洗浄工程と乾燥工程の制御条件の設定に利用できるので、食器洗浄機1側の構成を、実施の形態1に比較して簡略化できる。
【0064】
本開示の食器洗浄機1は、厨房家具(システムキッチン)に設置される食器洗浄機1だけでなく、移動可能な卓上型食器洗浄機にも適用可能である。
【0065】
卓上型食器洗浄機では、前記住所情報61が変更されたことに応じて、水質情報51を再取得し、動作制御を変更する。
【0066】
以上述べた実施の形態1と2では、第1サーバー72が水質情報を取得する方法について詳しく述べなかったので、以下に1例を説明する。
東京都水道局では、都内各地の住所情報をインプットすると、詳細な水質データと浄水所を特定する情報がインターネット上で公開されている。例えば、住所情報で「千代田区 鍛冶町1丁目」で検索すると、浄水所は朝霞浄水場であり、当該浄水場の給水出口における水質の内、硬度を判断する「カルシウム、マグネシウム等」は、1リットルあたり4月~6月では60.5mg、7~9月では65.0mg、10月~12月では、85.5mgと公表されている(2022年12月末時点)。
従って、第1サーバー72では、個々の食器洗浄機1から提供された前記固有情報Uの中に、食器洗浄機1の設置場所、つまり、ユーザーの住所情報があれば、個々の食器洗浄機1に対して、浄水場を特定し、当該浄水所の水質計測結果(基礎データ)を基礎にして、軟水と硬水を判別することが可能となる。なお、上述したように、食器洗浄機1側において、浄水場の水質計測結果(基礎データ)を基礎にして硬水と軟水の判別を行っても良い。
【0067】
更に、浄水場において河川等から取水した原水の水質は、季節によって変化することが知られているので、第1サーバー72と食器洗浄機1が取得する水質データは、食器洗浄機1を設置した時点や最初に使用を開始した時点の1回限りではなく、例えば、食器洗浄機1の運転を開始する都度や春・夏・秋・冬等の季節毎に取得することが望ましい。
この観点から、第1サーバー72は、毎月又は年4回(春・夏・秋・冬)等、定期的に第2サーバー73から個々の食器洗浄機1の設置地域に対応した水質情報S1を収集して、水質記憶部72Aに記憶させておくことでも良い。
【0068】
また、前述したように、一般的に水道水の水質の内、硬水と軟水の間の変化は、毎日発生している訳ではないので、食器洗浄機1は、水質データを必ずしも毎回取得する必要はない。そのため、食器洗浄機1を1回使用して水質情報S1を得た場合、その使用した日から1週間又は1ケ月以内は、水質情報S1を再度取得することなく、食器洗浄やすすぎ工程、乾燥工程等の一連の運転を行うようにしても良い。例えば、制御部31に(主電源スイッチをOFFにしても)経過時間を計測する計時機能やカレンダー機能を保有させ、1週間又は1ケ月単位で1回だけ、水質情報S1を取得するように動作させても良い。
【0069】
以上、好ましい実施の形態等について詳しく説明したが、本開示の諸態様を付記としてまとめて、以下の通り記載する。
【0070】
( 付記1 )
洗浄工程と、乾燥工程とを順次実行し、住所情報を入力可能な操作部32と、通信部2と、を備えた食器洗浄機1と、
前記通信部2と無線通信を行う外部サーバー71と、を備え、
前記食器洗浄機1は、前記外部サーバー71から前記住所情報に対応した地域の給水源の水質情報を取得し、当該水質情報に応じて硬水と軟水の2種類の制御情報S3を生成し、前記洗浄工程と前記乾燥工程を実行すること、
を特徴とする食器洗浄機の運転管理システム。
( 付記2 )
洗浄工程と、乾燥工程とを順次実行し、住所情報を入力可能な操作部32と、通信部2と、を備えた食器洗浄機1と、
前記通信部2と無線通信を行う外部サーバー71と、を備え、
前記外部サーバー71は、前記住所情報に対応した地域の給水源の水質情報を取得し、当該水質情報に応じて、硬水と軟水とにそれぞれ対応する2種類のコマンドデータを生成し、
前記食器洗浄機1は、前記洗浄工程の開始前に、前記外部サーバー71から前記コマンドデータを取得し、前記洗浄工程と前記乾燥工程を実行すること、
を特徴とする食器洗浄機の運転管理システム。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本開示に係る食器洗浄機1及び食器洗浄機の運転管理システムは、一般住宅の台所だけではなく、公共施設や店舗等の調理場等でも広く利用することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 食器洗浄機、2 通信部、31 制御部、32 操作部、33 表示部、34 報知部、35 加熱ヒータ、36 洗浄ポンプ、37 送風ファン、38 乾燥ヒータ、51 水質情報取得部、61 住所情報取得部、71 外部サーバー、72 第1サーバー、73 第2サーバー、81 制御情報取得部。