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特開2024-170952アタッチメント、吊り上げ補助治具および吊り上げ補助装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170952
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】アタッチメント、吊り上げ補助治具および吊り上げ補助装置
(51)【国際特許分類】
   B66C 1/12 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
B66C1/12 R
B66C1/12 L
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087744
(22)【出願日】2023-05-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109612
【弁理士】
【氏名又は名称】倉谷 泰孝
(74)【代理人】
【識別番号】100153176
【弁理士】
【氏名又は名称】松井 重明
(74)【代理人】
【識別番号】100116643
【弁理士】
【氏名又は名称】伊達 研郎
(72)【発明者】
【氏名】開 和洋
【テーマコード(参考)】
3F004
【Fターム(参考)】
3F004LA00
3F004LC08
(57)【要約】
【課題】被吊り上げ物の吊り上げに使用する治具の種類を低減できる。
【解決手段】被吊り上げ物に連結されるロッド15にロープを連結するためのアタッチメント12であって、アタッチメント12は、雄ネジが切られたロッド15を挿入可能であり、ロッド15の雄ネジと対応して締結可能な第一の雌ネジ穴16と、ロッド15の挿入口側から見て第一の雌ネジ穴16よりも奥側に形成され、第一の雌ネジ穴16の径よりも小さい径の第二の雌ネジ穴17と、が形成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被吊り上げ物に連結されるロッドにロープを連結するためのアタッチメントであって、
前記アタッチメントは、
雄ネジが切られた前記ロッドを挿入可能であり、前記ロッドの雄ネジと対応して締結可能な第一の雌ネジ穴と、
前記ロッドの挿入口側から見て前記第一の雌ネジ穴よりも奥側に形成され、前記第一の雌ネジ穴の径よりも小さい径の第二の雌ネジ穴と、
が形成されている
アタッチメント。
【請求項2】
前記ロッドを挿入する方向において前記挿入口側から前記第二の雌ネジ穴側に向かって前記アタッチメントの断面積が小さくなるように外周面が傾斜する
請求項1に記載のアタッチメント。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のアタッチメントと、
前記ロープと前記アタッチメントの間に設けられた回転補助部材と、
を備える吊り上げ補助治具であって、
前記回転補助部材は、
前記ロープが連結された第一の環状部材と、
前記アタッチメントが連結された第二の環状部材と、
前記第一の環状部材と前記第二の環状部材を回転可能に連結された連結部材
を有する
吊り上げ補助治具。
【請求項4】
被吊り上げ物に連結されるロッドと、
前記ロッドにロープを連結するためのアタッチメントと、
前記ロープと、
を備え、
前記アタッチメントは、
雄ネジが切られた前記ロッドを挿入可能であり、前記ロッドの雄ネジと対応して締結可能な第一の雌ネジ穴と、
前記ロッドの挿入口側から見て前記第一の雌ネジ穴よりも奥側に形成され、前記第一の雌ネジ穴の径よりも小さい径の第二の雌ネジ穴と、
が形成されている
吊り上げ補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、被吊り上げ物の吊り上げに使用するアタッチメント、吊り上げ補助治具、および吊り上げ補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のアタッチメントにロッドのようなネジを有する金具を連結する場合、アタッチメントと金具の間に連結部材を設け、アタッチメントに設けられた雌ネジ穴に連結部材の一端側に切られた雄ネジを締結し、連結部材の他端側に設けられた雌ネジ穴に金具に切られた雄ネジを締結することにより、アタッチメントと金具を連結する(例えば、非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】登録実用新案第3170442号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のアタッチメントでは、異なる径の金具を用いる場合、金具の径の大きさに対応して別個に連結部材を用意する必要があった。すなわち、異なる径の金具の数に対応して連結部材を複数用意する必要があり、被吊り上げ物の吊り上げに使用する治具の種類が多くなってしまうという課題があった。
【0005】
本開示は上記の課題を解決するためになされたものであり、被吊り上げ物の吊り上げに使用する治具の種類を低減できるアタッチメント、吊り上げ補助治具および吊り上げ補助装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るアタッチメントは、被吊り上げ物に連結されるロッドにロープを連結するためのアタッチメントであって、アタッチメントは、雄ネジが切られたロッドを挿入可能であり、ロッドの雄ネジと対応して締結可能な第一の雌ネジ穴と、ロッドの挿入口側から見て第一の雌ネジ穴よりも奥側に形成され、第一の雌ネジ穴の径よりも小さい径の第二の雌ネジ穴と、が形成されている。
【0007】
本開示に係る吊り上げ補助治具は、アタッチメントと、ロープとアタッチメントの間に設けられた回転補助部材と、を備える吊り上げ補助治具であって、回転補助部材は、ロープが連結された第一の環状部材と、アタッチメントが連結された第二の環状部材と、第一の環状部材と第二の環状部材を回転可能に連結された連結部材を有する。
【0008】
本開示に係る吊り上げ補助装置は、被吊り上げ物に連結されるロッドと、ロッドにロープを連結するためのアタッチメントと、ロープと、を備え、アタッチメントは、雄ネジが切られたロッドを挿入可能であり、ロッドの雄ネジと対応して締結可能な第一の雌ネジ穴と、ロッドの挿入口側から見て第一の雌ネジ穴よりも奥側に形成され、第一の雌ネジ穴の径よりも小さい径の第二の雌ネジ穴と、が形成されている。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、被吊り上げ物の吊り上げに使用する治具の種類を低減できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】実施の形態1におけるロープ掛けが完了した後のエレベータを示す図である。
図2】実施の形態1における吊り上げ補助治具を示す図である。
図3】実施の形態1におけるアタッチメントの断面図である。
図4】実施の形態1における吊り上げ補助治具を機械梁に巻き付けた状態を示す図である。
図5図4における機械梁周辺を示す図である。
図6】実施の形態1における吊り上げ補助治具、ロッドおよび主ロープを連結した状態を示す図である。
図7図6における機械梁周辺を示す図である。
図8】実施の形態1における主ロープの吊り上げ時にアタッチメントがロープ貫通穴を通る動作を示す図である。
図9】実施の形態1における主ロープをつり合いおもりシーブ、そらせ車、綱車およびかごシーブにロープ掛けした状態を示す図である。
図10】実施の形態1における主ロープの一端が機械梁に固定された状態において、吊り上げ補助治具、ロッドおよび主ロープの他端を連結した状態を示す図である。
図11】実施の形態2における吊り上げ補助治具を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1における機械室2を有するロープ式エレベータにおいて、ロープ掛けを行うときのエレベータ周辺の構成を説明する。ロープ掛けとは、新設工事および保守工事において、かご3及び釣合いおもり5を吊り下げる主ロープ7をそらせ車9及び綱車8に掛けることである。ローピング方式は、主に1:1ローピング方式と2:1ローピング方式の2種類がある。2:1ローピング方式では、かご3にかご3を吊り下げるためのかごシーブ4が設けられ、つり合いおもり5につり合いおもり5を吊り下げるつり合いおもりシーブ6が設けられている。そして、主ロープ7はそらせ車9及び綱車8だけでなく、かごシーブ4及びつり合いおもりシーブ6にも掛けられる。以後用いるエレベータは、機械室2を有する2:1ローピング方式でロープ掛けされるロープ式エレベータとする。
【0012】
図1は、ロープ掛けが完了した後のエレベータを示す図である。図1において、昇降路1の鉛直方向の上方には機械室2が設けられる。エレベータは、鉛直方向に移動するかご3及びかごシーブ4と、鉛直方向に移動するつり合いおもり5及びつり合いおもりシーブ6と、主ロープ7と、を備えている。また、機械室2には、綱車8と、そらせ車9と、綱車8を支持するための機械梁10と、エレベータの運転制御を行う図示しない制御装置と、が備えられる。
【0013】
主ロープ7は、つり合いおもりシーブ6、そらせ車9、綱車8、かごシーブ4の順にロープ掛けされ、両端部はそれぞれ機械室2内の機械梁10の端部に固定される。
【0014】
次に、主ロープ7をロープ掛けするときに使用するに吊り上げ補助治具11aについて説明する。図2は吊り上げ補助治具11aを示す図である。吊り上げ補助治具11aは、ロープ掛けを行うときに主ロープ7の端部を機械室2内の機械梁10に固定するときに用いる。図2において、吊り上げ補助治具11aは、ロッド15を挿入し締結するアタッチメント12と、機械梁10に巻き付けるための補助用ロープ13と、補助用ロープ13を機械梁10に仮止めするためのスプリングフック14と、を備える。
【0015】
図3はアタッチメント12の断面図である。図3において、アタッチメント12には、雄ネジが切られたロッド15を挿入可能であり、ロッド15の雄ネジと対応して締結可能な第一の雌ネジ穴16と、ロッド15の挿入口側から見て第一の雌ネジ穴16よりも奥側に形成され、第一の雌ネジ穴16の径よりも小さい径の第二の雌ネジ穴17と、が形成されている。例えば、第一の雌ネジ穴16を外径がM22のロッド15、第二の雌ネジ穴17を外径がM20のロッド15に対応するように各雌ネジ穴の内径が形成されたアタッチメント12であれば、M22のロッド15を使用するときには第一の雌ネジ穴16で締結可能であり、M20のロッド15を使用するときには第一の雌ネジ穴16を貫通して第二の雌ネジ穴17に締結可能である。
【0016】
また、アタッチメント12は、ロッド15を挿入する方向において挿入口側から第二の雌ネジ穴17側に向かって断面積が小さくなるように外周面が傾斜している。ここで断面積とは、アタッチメント12が、雌ネジ穴が設けられてない中身が詰まった部品と考えたときの仮想断面積のことを示す。
【0017】
次に、吊り上げ補助治具11aを用いて主ロープ7をロープ掛けするときの動作について説明する。図4は吊り上げ補助治具11aを機械梁10に巻き付けた状態を示す図であり、図5図4における機械梁10周辺を示す図である。なお、図4および図5において、かご3およびつり合いおもり5はそれぞれかごシーブ4およびつり合いおもりシーブ6に仮設のロープを掛けられ機械室2から昇降路1に吊り下げられているが、図示を省略する。
【0018】
図4図5に示すように、主ロープ7をロープ掛けするときには、最初に吊り上げ補助治具11aを機械梁10に仮止めする。具体的には、補助用ロープ13を機械梁10の端部に巻き付け、巻きつけられた補助用ロープ13をスプリングフック14によって仮止めする。ここでは、機械室2における水平方向の釣合いおもり5側の機械梁10の端部、すなわち図4における機械梁10の紙面右側の端部に仮止めする。仮止めが完了すると、機械梁10に設けられたロープ貫通穴19に補助用ロープ13のアタッチメント12が連結されている側の端部を貫通させる。
【0019】
次に、ロープ貫通穴19を貫通し機械室2から昇降路1に吊り下げられたアタッチメント12にロッド15を締結し、吊り上げ補助治具11a、ロッド15および主ロープ7を連結させる。図6は吊り上げ補助治具11a、ロッド15および主ロープ7を連結した状態を示す図であり、図7図6における機械梁10周辺を示す図である。なお、図6および図7において、かご3およびつり合いおもり5はそれぞれかごシーブ4およびつり合いおもりシーブ6に仮設のロープを掛けられ機械室2から昇降路1に吊り下げられているが、図示を省略する。主ロープ7は、図6に示すように最上階の乗場100に設置された回転台18の上に置かれ、回転台18を回転させて引き出される。また、ロッド15と主ロープ7は、図7に示すように例えばソケット20によって連結されてもよい。
【0020】
その後、連結した吊り上げ補助治具11a、ロッド15、および主ロープ7を昇降路1から機械室2に向けて吊り上げる。図8は主ロープ7の吊り上げ時にアタッチメント12がロープ貫通穴19を通る動作を示す図であり、図8(a)、図8(b)、図8(c)の順にアタッチメント12がロープ貫通穴19を通る動作を示す。図8(a)のようにアタッチメント12の外周面がロープ貫通穴19の内周面に一部が引っ掛かるように通ったときでも、アタッチメント12の外周が傾斜しているため、図8(b)、図8(c)のように傾斜に沿うようにしてスムーズにアタッチメント12がロープ貫通穴19を通ることができる。
【0021】
アタッチメント12およびロッド15がロープ貫通穴19を貫通し、主ロープ7がロープ貫通穴19を貫通して機械室に進入すると、機械室に進入した主ロープ7の端部を取り外し、主ロープ7の端部を機械梁10に固定する。その後、機械梁10に巻きつけられた吊り上げ補助治具11aの仮止めを外して、吊り上げ補助治具11aを回収する。
【0022】
主ロープ7を機械梁10に固定した後は、主ロープ7をつり合いおもりシーブ6、そらせ車9、綱車8およびかごシーブ4にロープ掛けする。図9は主ロープ7をつり合いおもりシーブ6、そらせ車9、綱車8およびかごシーブ4にロープ掛けした状態を示す図である。
【0023】
次に、機械梁10に固定されていない主ロープ7の端部は、機械室2における左右方向のかご3側の機械梁10の端部、すなわち図10における紙面左側の機械梁10の端部に仮止めされた吊り上げ補助治具11aのアタッチメント12に締結されたロッド15と連結させる。図10は主ロープ7の一端が機械梁10に固定された状態において、吊り上げ補助治具11a、ロッド15および主ロープ7の他端を連結した状態を示す図である。
【0024】
その後、図10における機械梁10の紙面右側の端部に主ロープ7の端部を固定した方法と同様にして、機械梁10に固定されていない主ロープ7の端部を機械梁10に固定する。最後に、かごシーブ4およびつり合いおもりシーブ6に掛けられた仮設のロープを外すことで、主ロープ7のロープ掛けが完了し、図1に示すような状態となる。
【0025】
以上より、被吊り上げ物である主ロープ7に連結されるロッド15と補助用ロープ13を連結するためのアタッチメント12において、雄ネジが切られたロッド15を挿入可能であり、ロッド15の雄ネジと対応して締結可能な第一の雌ネジ穴16と、ロッドの挿入口側から見て第一の雌ネジ穴16よりも奥側に形成され、第一の雌ネジ穴16の径よりも小さい径の第二の雌ネジ穴17と、が形成されていることにより、アタッチメント12とロッド15の間に連結部材を設ける必要がなく、さらに二種類のロッド15の外径に対応して締結可能な雌ネジ穴を有するアタッチメントを得ることができる。したがって、連結部材や、1つのロッド15の外径の大きさのみに対応して締結可能な雌ネジ穴を有するアタッチメント12を複数用意する必要がなく、被吊り上げ物の吊り上げに使用する治具の種類を低減できる。
【0026】
また、アタッチメント12のロッド15を挿入する方向において挿入口側から第二の雌ネジ穴17側に向かってアタッチメント12の断面積が小さくなるようにアタッチメント12の外周面を傾斜させている。それにより、アタッチメント12をロープ貫通穴19を通過させる場合、ロープ貫通穴19の内周面にアタッチメント12の外周面の傾斜部分を沿うようにスムーズにアタッチメント12を通過させることができる。
の外周面がロープ貫通穴19の内周面に一部が引っ掛かるように通ったときでも傾斜に沿うようにしてスムーズにロープ貫通穴19を通ることができる。
【0027】
また、主ロープ7に連結されるロッド15と、ロッド15に補助用ロープ13を連結するためのアタッチメント12と、補助用ロープ13を備えることで、被吊り上げ物の吊り上げに使用する治具の種類を低減できる吊り上げ補助装置を得ることができる。
【0028】
なお、実施の形態1ではエレベータのロープ掛け時にアタッチメント12を含む吊り上げ補助治具11aを用いる例を説明したが、アタッチメント12、および吊り上げ補助装置を使用する用途はこれに限定されない。例えば、建設現場や鉄道の設置現場で鉛直方向に被吊り上げ物を吊り上げる場合にも用いることができる。また、実施の形態1では被吊り上げ物は主ロープ7としたが、これに限定されない。また、実施の形態1ではアタッチメント12の一端はロッド15と連結し、他端は補助用ロープ13と連結させたが、アタッチメント12の他端に連結されるものはこれに限定されない。
【0029】
なお、実施の形態1ではエレベータのロープ掛け時に主ロープ7の端部を固定するために吊り上げ補助治具11aを用いたが、吊り上げ補助治具11aを使用する用途はこれに限定されず、主ロープ7を機械室2に吊り上げる場合にも使用できる。すなわち、2:1ローピング方式または1:1ローピング方式のロープ式エレベータにおいてそらせ車9や綱車8に主ロープ7をロープ掛けするときにも使用できる。
【0030】
実施の形態2.
実施の形態2におけるエレベータのロープ掛けを行うときに用いる吊り上げ補助治具11bの構成を説明する。図11は吊り上げ補助治具11bを示す図である。実施の形態2における吊り上げ補助治具11bは、アタッチメント12と補助用ロープ13の間に回転補助部材21を備える点が実施の形態1における吊り上げ補助治具11aと相違する。なお、実施の形態1と同一の構成には同一符号を付してその説明を省略する。
【0031】
図11において、回転補助部材21は補助用ロープ13が連結された第一の環状部材22と、アタッチメント12が連結された第二の環状部材23と、第一の環状部材22と第二の環状部材23を回転可能に連結された連結部材24と、を備える。
【0032】
次に、連結した吊り上げ補助治具11b、ロッド15、および主ロープ7を昇降路1から機械室2に向けて吊り上げるときの補助用ロープ13または主ロープ7の動作について説明する。昇降路1から機械室2に向けて吊り上げるとき、鉛直方向以外への力が加わることや、アタッチメント12、ロッド15またはソケット20がエレベータの機械梁10に当たることが原因で、補助用ロープ13または主ロープ7が捻る場合がある。ロープが捻ることで、ロープが捻った場合に生じる力がアタッチメント12またはロッド15に伝えられ、アタッチメント12に締結されたロッド15が緩む可能性がある。ここで、アタッチメント12と補助用ロープ13の間に回転補助部材21を備えることで、補助用ロープ13が捻った場合には第一の環状部材22が回転し、主ロープ7が捻った場合には第二の環状部材23が回転する。第一の環状部材22または第二の環状部材23が回転することにより、ロープの捻りによって生じる力は回転補助部材21にかかり、アタッチメント12またはロッド15に伝えられない。
【0033】
以上より、アタッチメント12と、補助用ロープ13とアタッチメント12の間に設けられた回転補助部材21と、を備える吊り上げ補助治具11bにおいて、回転補助部材21は、補助用ロープ13が連結された第一の環状部材22と、アタッチメント12が連結された第二の環状部材23と、第一の環状部材22と第二の環状部材23を回転可能に連結された連結部材24を有することで、ロープが捻った場合に生じる力は回転補助部材21にかかり、アタッチメント12またはロッド15に伝わらないため、アタッチメント12に締結されたロッド15が緩むことを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0034】
1 昇降路
2 機械室
3 かご
4 かごシーブ
5 つり合いおもり
6 つり合いおもりシーブ
7 主ロープ
8 綱車
9 そらせ車
10 機械梁
11a、11b 吊り上げ補助治具
12 アタッチメント
13 補助用ロープ
14 スプリングフック
15 ロッド
16 第一の雌ネジ穴
17 第二の雌ネジ穴
18 回転台
19 ロープ貫通穴
20 ソケット
21 回転補助部材
22 第一の環状部材
23 第二の環状部材
24 連結部材
100 乗場
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11