(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170955
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】フローティングコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 12/91 20110101AFI20241204BHJP
H01R 13/631 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H01R12/91
H01R13/631
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087747
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000105338
【氏名又は名称】ケル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115808
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 真司
(74)【代理人】
【識別番号】100113549
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 守
(74)【代理人】
【識別番号】100092897
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 正悟
(74)【代理人】
【識別番号】100157417
【弁理士】
【氏名又は名称】並木 敏章
(74)【代理人】
【識別番号】100218095
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 光雄
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA09
5E021FA14
5E021FA16
5E021FB02
5E021FC38
5E021HA05
5E223AB26
5E223AB60
5E223AB71
5E223BA01
5E223BA07
5E223BB01
5E223CB22
5E223CB38
5E223CD01
5E223DA13
5E223DB08
5E223DB09
5E223DB11
5E223EA02
(57)【要約】
【課題】可動ハウジングのフローティング移動時に上側及び下側の電源用コンタクトが適度に弾性変形することができ、上側及び下側の電源用コンタクトの各導体抵抗値が互いに同等となる構成の横方向嵌合タイプのフローティングコネクタを提供する。
【解決手段】上側電源用レセプタクルコンタクト50A及び下側電源用レセプタクルコンタクト50Bは、各々の全長の中間部分において各々の板厚方向に貫通して各々の長さ方向に延びるスリット59,69を有し、スリット59,69が形成された部分においてスリット59,69により左右方向に分割されている。上側電源用レセプタクルコンタクト50A及び下側電源用レセプタクルコンタクト50Bは、各々の全長が互いに同一長となるように形成されており、かつ各々のスリット59,69が形成された部分の長さが互いに同一長となるように形成されている。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下方向と垂直な基板面上に固定される固定ハウジングと、
前記固定ハウジングに左右方向に並んで設けられ、基端側が前記固定ハウジングに保持される複数のコンタクト部材と、
前記複数のコンタクト部材の先端側に取り付けられ、相手方コネクタと前後方向に嵌合する可動ハウジングとを備え、
前記複数のコンタクト部材の弾性変形により、前記可動ハウジングが前記固定ハウジングに対して相対移動可能に構成されたフローティングコネクタであって、
前記複数のコンタクト部材は、複数対の信号用コンタクトと、少なくとも一対の電源用コンタクトとを有し、
前記少なくとも一対の電源用コンタクトは、先端部同士が上下方向に並ぶように配置される上側電源用コンタクトと下側電源用コンタクトとのペアにより構成され、
前記上側電源用コンタクトおよび前記下側電源用コンタクトは、各々の全長の中間部分において各々の板厚方向に貫通して各々の長さ方向に延びる切込み部を有し、当該切込み部が形成された部分において当該切込み部により左右方向に分割されており、
前記上側電源用コンタクトおよび前記下側電源用コンタクトは、各々の全長が互いに同一長となるように形成されており、かつ各々の前記切込み部が形成された部分の長さが互いに同一長となるように形成されていることを特徴とするフローティングコネクタ。
【請求項2】
前記上側電源用コンタクトおよび前記下側電源用コンタクトは、前記基板面に接合される接合部を有し、
前記接合部には切欠き部が形成されており、当該切欠き部により前記接合部は、平面視において二股状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のフローティングコネクタ。
【請求項3】
前記複数対の信号用コンタクトは、先端部同士が上下方向に並ぶように配置される上側信号用コンタクトと下側信号用コンタクトとのペアによりそれぞれ構成され、
左右方向の側面視において、前記上側電源用コンタクトと前記上側信号用コンタクトとが互いに同一形状に形成されており、かつ前記下側信号用コンタクトと前記下側電源用コンタクトとが互いに同一形状に形成されていることを特徴とする請求項1もしくは2に記載のフローティングコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板間の電気的な接続に用いられるフローティングコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のフローティングコネクタは、例えば、基板(回路基板)上に固定される固定ハウジングと、相手方コネクタと嵌合可能な可動ハウジングと、固定ハウジングと可動ハウジングとの双方に跨って保持された複数のコンタクト部材を備えて構成される。そして、基板間のずれや相手コネクタとの嵌合位置のずれを吸収するため、コンタクト部材の弾性変形により、可動ハウジングが固定ハウジングに対して相対移動すること(「可動ハウジングのフローティング移動」とも称する)が可能に構成される。
【0003】
このような構成のフローティングコネクタとして、固定ハウジングが固定される基板面に垂直な方向に、可動ハウジングが相手方コネクタと嵌合するタイプのフローティングコネクタ(「縦方向嵌合タイプのフローティングコネクタ」とも称する)が知られている。また、固定ハウジングが固定される基板面に平行な方向に、可動ハウジングが相手方コネクタと嵌合するタイプのフローティングコネクタ(「横方向嵌合タイプのフローティングコネクタ」とも称する)も知られている。
【0004】
縦方向嵌合タイプのフローティングコネクタとして、信号伝送用の複数対の信号用コンタクトと、電源伝送用の複数対の電源用コンタクトとを備えたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。この縦方向嵌合タイプのフローティングコネクタでは、各対の信号用コンタクトが、互いにペアをなす2つのコンタクト部材(便宜的に、一方のコンタクト部材を「右側信号用コンタクト」、他方のコンタクト部材を「左側信号用コンタクト」と称する)により構成されている。また、各対の電源用コンタクトが、互いにペアをなす2つのコンタクト部材(便宜的に、一方のコンタクト部材を「右側電源用コンタクト」、他方のコンタクト部材を「左側電源用コンタクト」と称する)により構成されている。右側信号用コンタクトと左側信号用コンタクトとは互いに左右対称の形状に形成されており、右側電源用コンタクトと左側電源用コンタクトとは互いに左右対称の形状に形成されている。また、電源用コンタクトは、大電流が流れることから、大きな電気容量を有する構造とするため、信号用コンタクトと比較して幅広に形成されている。
【0005】
一方、横方向嵌合タイプのフローティングコネクタとして、複数対の信号用コンタクトを備えたものが知られている(例えば、特許文献2を参照)。この横方向嵌合タイプのフローティングコネクタでは、各対の信号用コンタクトが、互いにペアをなす2つのコンタクト部材(便宜的に、一方のコンタクト部材を「上側信号用コンタクト」、他方のコンタクト部材を「下側信号用コンタクト」と称する)により構成されており、上側信号用コンタクトと下側信号用コンタクトとは、互いに非対称の形状に形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2022-131161号公報
【特許文献2】特許第6192567号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、横方向嵌合タイプのフローティングコネクタにおいて、互いにペアをなす2つのコンタクト部材(便宜的に、一方のコンタクト部材を「上側電源用コンタクト」、他方の
コンタクト部材を「下側電源用コンタクト」と称する)により構成される電源用コンタクトを備えることが要望されている。このような電源用コンタクトでは、上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトの各導体抵抗値が互いに同等となるように構成することが望ましい。それぞれの導体抵抗値が異なっていると、通電時における上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトの各発熱量に偏りが生じ、コネクタ全体の発熱状態(発熱分布)が不均一になる虞がある。
【0008】
縦方向嵌合タイプのフローティングコネクタでは、右側電源用コンタクトと左側電源用コンタクトとが互いに対称形状に形成されるので、右側電源用コンタクトおよび左側電源用コンタクトの各導体抵抗値が互いに同等となるように構成することは比較的容易である。しかし、横方向嵌合タイプのフローティングコネクタでは、上側電源用コンタクトと下側電源用コンタクトとが互いに非対称の形状に形成されることになるので、上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトの各導体抵抗値が互いに同等となるように構成することが難しくなる。
【0009】
また、電源用コンタクトは、信号用コンタクトと比較して幅広に形成されるため、幅広に形成される分だけ弾性変形しにくくなり、可動ハウジングのフローティング移動に対する追従性や耐久性が低くなることが懸念される。そこで、横方向嵌合タイプのフローティングコネクタにおいて電源用コンタクト(上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクト)を設ける場合には、可動ハウジングのフローティング移動に対して上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトが適度に弾性変形できるように構成しつつ、上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトの各導体抵抗値が互いに同等となるように構成することが求められる。
【0010】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、可動ハウジングのフローティング移動時に上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトが適度に弾性変形できるように構成しつつ、上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトの各導体抵抗値が互いに同等となるように構成することが可能な横方向嵌合タイプのフローティングコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は、上下方向と垂直な基板面上に固定される固定ハウジングと、前記固定ハウジングに左右方向に並んで設けられ、基端側が前記固定ハウジングに保持される複数のコンタクト部材と、前記複数のコンタクト部材の先端側に取り付けられ、相手方コネクタと前後方向に嵌合する可動ハウジングとを備え、前記複数のコンタクト部材の弾性変形により、前記可動ハウジングが前記固定ハウジングに対して相対移動可能に構成されたフローティングコネクタであって、前記複数のコンタクト部材は、複数対の信号用コンタクトと、少なくとも一対の電源用コンタクトとを有し、前記少なくとも一対の電源用コンタクトは、先端部(例えば、実施形態における圧入接触部57,67)同士が上下方向に並ぶように配置される上側電源用コンタクトと下側電源用コンタクトとのペアにより構成され、前記上側電源用コンタクトおよび前記下側電源用コンタクトは、各々の全長の中間部分において各々の板厚方向に貫通して各々の長さ方向に延びる切込み部(例えば、実施形態におけるスリット59,69)を有し、当該切込み部が形成された部分において当該切込み部により左右方向に分割されており、前記上側電源用コンタクトおよび前記下側電源用コンタクトは、各々の全長が互いに同一長となるように形成されており、かつ各々の前記切込み部が形成された部分の長さが互いに同一長となるように形成されていることを特徴とする。
【0012】
本発明に係るフローティングコネクタにおいて、前記上側電源用コンタクトおよび前記下側電源用コンタクトは、前記基板面に接合される接合部を有し、前記接合部には切欠き
部が形成されており、当該切欠き部により前記接合部は、平面視において二股状に形成されていることが好ましい。
【0013】
また、発明に係るフローティングコネクタにおいて、前記複数対の信号用コンタクトは、先端部同士が上下方向に並ぶように配置される上側信号用コンタクトと下側信号用コンタクトとのペアによりそれぞれ構成され、左右方向の側面視において、前記上側電源用コンタクトと前記上側信号用コンタクトとが互いに同一形状に形成されており、かつ前記下側信号用コンタクトと前記下側電源用コンタクトとが互いに同一形状に形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るフローティングコネクタでは、上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトが、各々の全長の中間部分において各々の板厚方向に貫通して各々の長さ方向に延びる切込み部を有し、当該切込み部が形成された部分において当該切込み部により左右方向に分割されているので、この切込み部が形成された部分において上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトが弾性変形しやすくすることができる。そのため、可動ハウジングのフローティング移動時に上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトが適度に弾性変形できるように構成することが可能となる。また、上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトは、各々の全長が互いに同一長となるように形成されており、かつ各々の切込み部が形成された部分の長さが互いに同一長となるように形成されているので、上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトの各導体抵抗値が互いに同等となるように構成することが可能となる。
【0015】
本発明に係るフローティングコネクタにおいて、好ましくは、上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトが基板面に接合される接合部を有し、当該接合部には切欠き部が形成され、当該切欠き部により接合部は、平面視において二股状に形成される。このように構成することにより、接合部の外縁部に沿った長さ(周長)が長くなるので、接合部を基板面に接合するために半田付けする際の半田付け部の面積を増やすことができる。そのため、上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトで発生した熱量を、半田付け部を介して基板や空気中に効率良く逃がす(放熱する)ことが可能となる。
【0016】
本発明に係るフローティングコネクタにおいて、好ましくは、複数対の信号用コンタクトは、先端部同士が上下方向に並ぶように配置される上側信号用コンタクトと下側信号用コンタクトとのペアによりそれぞれ構成され、左右方向の側面視において、上側電源用コンタクトと上側信号用コンタクトとが互いに同一形状に形成され、かつ下側信号用コンタクトと下側電源用コンタクトとが互いに同一形状に形成される。このように構成することにより、上側信号用コンタクトおよび下側信号用コンタクトを固定ハウジングおよび可動ハウジングに組み付ける場合の作業態様(作業方法や作業手順)と同様の作業態様により、上側電源用コンタクトおよび下側電源用コンタクトを固定ハウジングおよび可動ハウジングに組み付けることができる。そのため、信号用コンタクトおよび電源用コンタクトを備えながら、フローティングコネクタを組み立てる際の作業性が低下することを抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の一実施形態に係るレセプタクルコネクタ(フローティングコネクタ)とプラグコネクタ(相手方コネクタ)とが嵌合した状態を示す平面図である。
【
図2】上記レセプタクルコネクタと上記プラグコネクタとが嵌合した状態を示す右側面図である。
【
図3】
図1における矢印A-Aに沿った断面図である。
【
図4】
図1における矢印B-Bに沿った断面図である。
【
図5】上記レセプタクルコネクタを示す図で、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図である。
【
図6】上記レセプタクルコネクタを示す図で、(A)は底面図、(B)は背面図である。
【
図7】上記レセプタクルコネクタの固定ハウジングを示す図で、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図である。
【
図8】上記固定ハウジングを示す図で、(A)は底面図、(B)は背面図である。
【
図9】上記レセプタクルコネクタの可動ハウジングを示す図で、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は右側面図である。
【
図10】上記可動ハウジングを示す図で、(A)は底面図、(B)は背面図である。
【
図11】上記嵌合コネクタアッセンブリにおけるプラグコネクタ(相手方コネクタ)を示す図で、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は左側面図である。
【
図12】上記プラグコネクタを示す図で、(A)は底面図、(B)は背面図である。
【
図13】上記プラグコネクタのハウジングを示す図で、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は左側面図である。
【
図14】上記プラグコネクタのハウジングを示す図で、(A)は底面図、(B)は背面図である。
【
図15】上記レセプタクルコネクタが有する電源用レセプタクルコンタクトを示す図で、(A)は上側電源用レセプタクルコンタクト及び下側電源用レセプタクルコンタクトの斜視図、(B)は上側電源用レセプタクルコンタクトの斜視図、(C)は下側電源用レセプタクルコンタクトの斜視図である。
【
図16】上記プラグコネクタが有する電源用プラグコンタクトを示す図で、(A)は上側電源用プラグコンタクト及び下側電源用プラグコンタクトの斜視図、(B)は上側電源用プラグコンタクトの斜視図、(C)は下側電源用プラグコンタクトの斜視図である。
【
図17】上記電源用レセプタクルコンタクトと上記電源用プラグコンタクトとが接続された状態を示す図で、(A)は斜視図、(B)は側面図である。
【
図18】(A)は上記レセプタクルコネクタが有する信号用レセプタクルコンタクト(上側信号用レセプタクルコンタクト及び下側信号用レセプタクルコンタクトの斜視図、(B)は上記プラグコネクタが有する信号用プラグコンタクト(上側信号用プラグコンタクト及び下側信号用プラグコンタクトの斜視図である。
【
図19】(A)は上記レセプタクルコネクタが有するレセプタクル側固定金具の正面図、(B)は上記プラグコネクタが有するプラグ側固定金具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
図1~
図4に、本発明の一実施形態に係るフローティングコネクタであるレセプタクルコネクタ1と、相手方コネクタであるプラグコネクタ100とが嵌合した状態を示している。以下では、互いに嵌合した状態のレセプタクルコネクタ1及びプラグコネクタ100のことを、嵌合コネクタアッセンブリASと称して説明する。また、以下の説明では、説明の便宜上、前後、左右及び上下の方向を、
図1~
図4等に示した矢印の向きにより規定しており、各矢印に付した前、後、左、右、上、下の方向に従って説明する。但し、これらの方向は説明の都合上で規定するだけのものである。まず、
図1~
図4を参照して、これらの図に示す嵌合コネクタアッセンブリASの全体構成について概略説明する。
【0019】
嵌合コネクタアッセンブリASは、第1基板CB1(
図3を参照)上に設けられるレセプタクルコネクタ1と、第2基板CB2(
図3を参照)上に設けられるプラグコネクタ100とから構成されており、両コネクタ1,100を各基板CB1,CB2の表面に対し
て平行な方向に嵌合させることにより、第1基板CB1と第2基板CB2とを電気的に接続するようになっている。すなわち、嵌合コネクタアッセンブリASは、基板対基板接続用のコネクタ装置として構成されている。なお、嵌合コネクタアッセンブリAS(レセプタクルコネクタ1及びプラグコネクタ100)の短手方向、長手方向及び高さ方向がそれぞれ、前後方向、左右方向及び上下方向に一致する。
【0020】
次に、
図5~
図10、
図15、
図17~
図19を追加参照してレセプタクルコネクタ1の全体構成について説明する。なお、
図5(A)では、レセプタクルコネクタ1を前方から見た状態の図を正面図として示している。
【0021】
レセプタクルコネクタ1は、横方向嵌合タイプのフローティングコネクタとして構成されており、第1基板CB1(
図3及び
図4を参照)上に固定される固定ハウジング10と、この固定ハウジング10に対して相対移動可能に配置される可動ハウジング20と、各ハウジング10,20の長手方向(左右方向)に整列して並ぶように設けられた複数対の信号用レセプタクルコンタクト30と、複数対の信号用レセプタクルコンタクト30の列の左右両側に一対ずつ設けられた二対の電源用レセプタクルコンタクト50と、固定ハウジング10の左右両端部に取り付けられたレセプタクル側固定金具70(
図19(A)を参照)とを有して構成される。なお、信号用レセプタクルコンタクト30は、形状が互いに異なる上側信号用レセプタクルコンタクト30Aと下側信号用レセプタクルコンタクト30Bとのペアにより構成される(
図18(A)を参照)。また、電源用レセプタクルコンタクト50は、形状が互いに異なる上側電源用レセプタクルコンタクト50Aと下側電源用レセプタクルコンタクト50Bとのペアにより構成される(
図15を参照)。
【0022】
固定ハウジング10は、電気絶縁性を有する樹脂材料等を用いて、
図7(A)に示すように正面視略コの字状に形成される。具体的には、固定ハウジング10は、略矩形平板状に形成されて左右に延びる固定側本体部11と、固定側本体部11の左右両端部において上方に向けて立設された左右一対の固定側移動規制部15と、固定側移動規制部15の左右内側において固定側移動規制部15よりも上方に突出して形成された左右一対の当接突起部16とを備えて構成される。
【0023】
固定側本体部11の後側縁部には、
図7(B)に示すように、上下方向に延びた複数の固定後側信号用圧入溝12Aが左右方向に整列して所定ピッチで並んで形成されており、固定後側信号用圧入溝12Aの列の左右両側には、上下方向に延びた固定後側電源用圧入溝13Aがそれぞれ形成されている。固定後側信号用圧入溝12Aは、上側信号用レセプタクルコンタクト30Aの固定側圧入部32(
図18(A)を参照)が圧入されるように構成されており、固定後側電源用圧入溝13Aは、上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの固定側圧入部52(
図15(B)を参照)が圧入されるように構成されている。一方、固定側本体部11の前側縁部には、上下方向に延びた複数の固定前側信号用圧入溝12Bが左右方向に整列して所定ピッチで並んで形成されており、固定前側信号用圧入溝12Bの列の左右両側には、上下方向に延びた固定前側電源用圧入溝13Bがそれぞれ形成されている。固定前側信号用圧入溝12Bは、下側信号用レセプタクルコンタクト30Bの固定側圧入部42(
図18(B)を参照)が圧入されるように構成されており、固定前側電源用圧入溝13Bは、下側電源用レセプタクルコンタクト50Bの固定側圧入部62(
図15(C)を参照)が圧入されるように構成されている。
【0024】
固定側本体部11の上面には、上方に向けて突出する接触規制突起14が左右方向に延びて形成されている。この接触規制突起14の後側部分には、各固定後側信号用圧入溝12Aに対応して左右方向に並ぶ後側整列溝部14aが形成されている(
図7(B)を参照)。上側信号用レセプタクルコンタクト30Aは、この後側整列溝部14a内に位置して、左右方向に整列された状態に保持される。一方、接触規制突起14の前側部分には、各
固定前側信号用圧入溝12Bに対応して左右方向に並ぶ前側整列溝部14b(
図7(B)を参照)が形成されている。下側信号用レセプタクルコンタクト30Bは、この前側整列溝部14b内に位置して、左右方向に整列された状態に保持される。
【0025】
固定側移動規制部15は、
図7(C)に示すように、側面視略コの字状に形成されており、上方に向けて開放された受容空間15aを有する。この受容空間15aは、前側に位置する前側当接面15bと、後側に位置する後側当接面15cと、下側に位置する下側当接面15dとに囲まれて形成される。また、
図7(A),(B)、
図8に示すように、固定側移動規制部15にはスリット状の金具挿入溝15eが形成されており、この金具挿入溝15eに対して上方からレセプタクル側固定金具70が圧入される。当接突起部16は、固定側本体部11と固定側移動規制部15との間における後側部分に、上方に突出して形成されている。
【0026】
可動ハウジング20は、電気絶縁性を有する樹脂材料等を用いて、
図9及び
図10に示すように略直方体状に形成される。具体的には、可動ハウジング20は、直方体状に形成された可動側本体部21と、可動側本体部21の左右両端部から左右外側に突出して形成された左右一対の可動側移動規制部26とを備えて構成される。可動側本体部21は、前後方向及び左右方向に延びた矩形板状の上壁部21aと、上壁部21aの左右の端部に設けられた側壁部21bと、上壁部21aの前後方向中間部において左右の側壁部21bを繋ぐように延びた隔壁部21cと、隔壁部21cよりも前側の部分において上壁部21aと対向するように設けられた底壁部21dとを有し、これらの壁部に囲まれて前方に開放された嵌合凹部22が形成されている。この嵌合凹部22内には、隔壁部21cから前方に突出する左右方向に長い矩形板状のレセプタクル側突起部23が形成されている。
【0027】
図9(A)に示すように、このレセプタクル側突起部23の上面部には、前後方向に延びて隔壁部21cを貫通する複数の可動上側信号用圧入溝24Aが左右方向に整列して所定ピッチで並んで形成されており(
図4も参照)、可動上側信号用圧入溝24Aの列の左右両側には、前後方向に延びて隔壁部21cを貫通する可動上側電源用圧入溝25Aがそれぞれ形成されている(
図3も参照)。可動上側信号用圧入溝24Aは、上側信号用レセプタクルコンタクト30Aの圧入接触部37(
図18(A)を参照)が圧入されるように構成されており、可動上側電源用圧入溝25Aは、上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの圧入接触部57(
図15(B)を参照)が圧入されるように構成されている。一方、
図9(A)に示すように、レセプタクル側突起部23の下面部には、前後方向に延びて隔壁部21cを貫通する複数の可動下側信号用圧入溝24Bが左右方向に整列して所定ピッチで並んで形成されており(
図4も参照)、可動下側信号用圧入溝24Bの列の左右両側には、前後方向に延びて隔壁部21cを貫通する可動下側電源用圧入溝25Bがそれぞれ形成されている(
図3も参照)。可動下側信号用圧入溝24Bは、下側信号用レセプタクルコンタクト30Bの圧入接触部47(
図18(A)を参照)が圧入されるように構成されており、可動下側電源用圧入溝25Bは、下側電源用レセプタクルコンタクト50Bの圧入接触部67(
図15(C)を参照)が圧入されるように構成されている。
【0028】
可動側移動規制部26は、
図9に示すように直方体状に形成されており、この可動側移動規制部26には、前後方向に延びて前後方向及び上方に向けて開放された金具受容凹部26が形成されている。この金具受容凹部26は、左右側方に位置する凹部側面と、下側に位置する凹部底面とに囲まれて形成される。可動側移動規制部26は、固定ハウジング10の固定側移動規制部15に形成された受容空間15aよりも小さな前後寸法を有しており、受容空間15a内に上方から挿入可能に形成されている。
【0029】
可動ハウジング20は、複数対の信号用レセプタクルコンタクト30(上側信号用レセプタクルコンタクト30Aと下側信号用レセプタクルコンタクト30Bとのペア)及び二
対の電源用レセプタクルコンタクト50(上側電源用レセプタクルコンタクト50Aと下側電源用レセプタクルコンタクト50Bとのペア)を介して固定ハウジング10の上方に浮いた状態で設けられる。そして、固定ハウジング10の上方に可動ハウジング20が設けられた状態において、可動ハウジング20と固定側ハウジング60との間には、固定ハウジング10及び可動ハウジング20に取り付けられる信号用レセプタクルコンタクト30及び電源用レセプタクルコンタクト50の弾性変形する部分が位置する、後方に向けて開放された弾性変形許容空間部90(
図3及び
図4を参照)が形成されるようになっている。
【0030】
信号用レセプタクルコンタクト30を構成するペアの一方である上側信号用レセプタクルコンタクト30Aは、弾性を有する導電性金属板にプレス加工(打ち抜き加工及び曲げ加工)を施して
図18(A)に示すように所定形状に形成されている。この上側信号用レセプタクルコンタクト30Aは、前後方向に延びて形成され第1基板CB1の信号配線パターンに半田接続される基端接合部31と、基端接合部31の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延び固定ハウジング10の固定後側信号用圧入溝12Aに圧入される固定側圧入部32と、可動ハウジング20の可動上側信号用圧入溝24Aに圧入される圧入接触部37と、固定側圧入部32と圧入接触部37とを繋ぐ上側中間部38とから構成される。
【0031】
上側中間部38は、固定側圧入部32の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びる第1中間部33と、第1中間部33の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びる第2中間部34と、第2中間部34の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びる第3中間部35と、第3中間部35の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びる第4中間部36とを有して構成される。圧入接触部37は、第4中間部36の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びて形成される。また、上側中間部38は、合計4つの屈曲部(第1中間部33と第2中間部34との間に形成された第1屈曲部33a、第2中間部34と第3中間部35との間に形成された第2屈曲部34a、第3中間部35と第4中間部36との間に形成された第3屈曲部35a、及び第4中間部36と圧入接触部37との間に形成された第4屈曲部36a)を備える。
【0032】
信号用レセプタクルコンタクト30を構成するペアの他方である下側信号用レセプタクルコンタクト30Bは、弾性を有する導電性金属板にプレス加工を施して
図18(A)に示すように所定形状に形成されている。この下側信号用レセプタクルコンタクト30Bは、前後方向に延びて形成され第2基板CB2の信号配線パターンに半田接続される基端接合部41と、基端接合部41の後端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延び固定ハウジング10の固定前側信号用圧入溝12Bに圧入される固定側圧入部42と、可動ハウジング20の可動下側信号用圧入溝24Bに圧入される圧入接触部47と、固定側圧入部42と圧入接触部47とを繋ぐ下側中間部48とから構成される。
【0033】
下側中間部48は、固定側圧入部42の上端部から後方にL字状に屈曲されて前後方向に延びる第1中間部43と、第1中間部43の後端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びる第2中間部44と、第2中間部44の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びる第3中間部45と、第3中間部45の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びる第4中間部46とを有して構成される。圧入接触部47は、第4中間部46の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びて形成される。また、下側中間部48は、合計4つの屈曲部(第1中間部43と第2中間部44との間に形成された第1屈曲部43a、第2中間部44と第3中間部45との間に形成された第2屈曲部44a、第3中間部45と第4中間部46との間に形成された第3屈曲部45a、及び第4中間部46と圧入接触部47との間に形成された第4屈曲部46a)を備える。
【0034】
固定ハウジング10及び可動ハウジング20に取り付けられた状態の上側信号用レセプタクルコンタクト30Aにおいて、圧入接触部37の後端側の一部と上側中間部38は弾性変形許容空間部90(
図4を参照)内に位置して弾性変形可能な部分となっている。同様に固定ハウジング10及び可動ハウジング20に取り付けられた状態の下側信号用レセプタクルコンタクト30Bにおいて、下側中間部48は弾性変形許容空間部90内に位置して弾性変形可能な部分となっている。
【0035】
電源用レセプタクルコンタクト50を構成するペアの一方である上側電源用レセプタクルコンタクト50Aは、弾性を有する導電性金属板にプレス加工を施して
図15(B)に示すように所定形状に形成されている。この上側電源用レセプタクルコンタクト50Aは、前後方向に延びて形成され第1基板CB1の電源配線パターンに半田接続される基端接合部51と、基端接合部51の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延び固定ハウジング10の固定後側電源用圧入溝13Aに圧入される固定側圧入部52と、可動ハウジング20の可動上側電源用圧入溝25Aに圧入される圧入接触部57と、固定側圧入部52と圧入接触部57とを繋ぐ上側中間部58とから構成される。
【0036】
上側中間部58は、固定側圧入部52の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びる第1中間部53と、第1中間部53の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びる第2中間部54と、第2中間部54の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びる第3中間部55と、第3中間部55の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びる第4中間部56とを有して構成される。圧入接触部57は、第4中間部56の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びて形成される。また、上側中間部58は、合計4つの屈曲部(第1中間部53と第2中間部54との間に形成された第1屈曲部53a、第2中間部54と第3中間部55との間に形成された第2屈曲部54a、第3中間部55と第4中間部56との間に形成された第3屈曲部55a、及び第4中間部56と圧入接触部57との間に形成された第4屈曲部56a)を備える。
【0037】
圧入接触部57は、詳細には、第4屈曲部56aから前方へと延びた圧入接触後部57aと、圧入接触後部57aの前端部からさらに前方へと延びた圧入接触前部57bとに区分される。圧入接触後部57aは、その板幅(左右方向の幅)の寸法が上側中間部58の板幅の寸法と同等となるように形成されており、圧入接触前部57bは、その板幅の寸法が圧入接触後部57aの板幅の寸法よりも少し大きくなるように形成されている。圧入接触前部57bの板幅方向の両端部には、外向き(左右方向外方)に張り出して可動上側電源用圧入溝25Aの内面に食い込んで抜け止めとして機能する圧入突起57cが形成されている。また、固定側圧入部52の板幅方向の両端部には、外向きに張り出して固定後側電源用圧入溝13Aの内面に食い込んで抜け止めとして機能する圧入突起52cが形成されている。
【0038】
電源用レセプタクルコンタクト50を構成するペアの他方である下側電源用レセプタクルコンタクト50Bは、弾性を有する導電性金属板にプレス加工を施して
図15(C)に示すように所定形状に形成されている。この下側電源用レセプタクルコンタクト50Bは、前後方向に延びて形成され第1基板CB1の電源配線パターンに半田接続される基端接合部61と、基端接合部61の後端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延び固定ハウジング10の固定前側電源用圧入溝13Bに圧入される固定側圧入部62と、可動ハウジング20の可動下側電源用圧入溝25Bに圧入される圧入接触部67と、固定側圧入部62と圧入接触部67とを繋ぐ下側中間部68とから構成される。
【0039】
下側中間部68は、固定側圧入部62の上端部から後方にL字状に屈曲されて前後方向に延びる第1中間部63と、第1中間部63の後端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びる第2中間部64と、第2中間部64の上端部から前方にL字状に屈曲されて
前後方向に延びる第3中間部65と、第3中間部65の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びる第4中間部66とを有して構成される。圧入接触部67は、第4中間部66の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びて形成される。また、下側中間部68は、合計4つの屈曲部(第1中間部63と第2中間部64との間に形成された第1屈曲部63a、第2中間部64と第3中間部65との間に形成された第2屈曲部64a、第3中間部65と第4中間部66との間に形成された第3屈曲部65a、及び第4中間部66と圧入接触部67との間に形成された第4屈曲部66a)を備える。
【0040】
圧入接触部67の板幅方向の両端部には、外向きに張り出して可動下側電源用圧入溝25Bの内面に食い込んで抜け止めとして機能する圧入突起67cが形成されている。また、固定側圧入部62の板幅方向の両端部には、同じく外向きに張り出して固定前側電源用圧入溝13Bの内面に食い込んで抜け止めとして機能する圧入突起62cが形成されている。
【0041】
電源用レセプタクルコンタクト50(上側電源用レセプタクルコンタクト50A及び下側電源用レセプタクルコンタクト50B)の板厚寸法は、信号用レセプタクルコンタクト30(上側信号用レセプタクルコンタクト30A及び下側信号用レセプタクルコンタクト30B)の板厚寸法と略同一に形成されている。その一方で、電源用レセプタクルコンタクト50の板幅寸法(左右方向の幅寸法)は、信号用レセプタクルコンタクト30の板幅寸法よりも大きく形成されている。これにより、電源用レセプタクルコンタクト50の断面積を大きく確保して、信号用レセプタクルコンタクト30に比して大きな電流を電源用レセプタクルコンタクト50に流すことができるようになっている。
【0042】
固定ハウジング10及び可動ハウジング20に取り付けられた状態の上側電源用レセプタクルコンタクト50Aにおいて、圧入接触部57の後端側の一部(圧入接触後部57a)と上側中間部58は弾性変形許容空間部90(
図4を参照)内に位置して弾性変形可能な部分となっている。同様に固定ハウジング10及び可動ハウジング20に取り付けられた状態の下側電源用レセプタクルコンタクト50Bにおいて、下側中間部68は弾性変形許容空間部90内に位置して弾性変形可能な部分となっている。上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの圧入接触部57を構成する圧入接触前部57b及び圧入接触後部57aのうち、可動上側電源用圧入溝25Aに圧入されるのは圧入接触前部57bのみであり、圧入接触後部57aは弾性変形許容空間部90内に位置して弾性変形可能な部分となっている。そこで、圧入接触後部57aを上側中間部58の一部として考えてもよい。
【0043】
上側電源用レセプタクルコンタクト50Aには、
図15(B)に示すように、当該上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの板厚方向に貫通して、当該上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの長さ方向(板面の長手方向)に沿って延びる切込み部としてのスリット59が形成されている。このスリット59は、第1中間部53の前後方向中間位置から、第1屈曲部53a、第2中間部54、第2屈曲部54a、第3中間部55、第3屈曲部55a、第4中間部56及び第4屈曲部56aを含んで、圧入接触部57の圧入接触後部57aと圧入接触前部57bとの境界位置まで連続して形成されている。このスリット59により上側電源用レセプタクルコンタクト50Aは、当該スリット59が形成された部分において左右方向に二分割されている。このように構成することで、スリット59が形成された部分において上側電源用レセプタクルコンタクト50Aが適度に弾性変形できるようになっている。そのため、可動ハウジング20のフローティング移動時に対する上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの追従性や耐久性を高めることが可能となっている。
【0044】
上側電源用レセプタクルコンタクト50Aと同様に下側電源用レセプタクルコンタクト50Bには、
図15(C)に示すように、当該下側電源用レセプタクルコンタクト50B
の板厚方向に貫通して、当該下側電源用レセプタクルコンタクト50Bの長さ方向に沿って延びるスリット69が形成されている。このスリット69は、第1中間部63の前後方向中間位置から、第1屈曲部63a、第2中間部64、第2屈曲部64a、第3中間部65、第3屈曲部65a及び第4中間部66を含んで、第4屈曲部66aまで連続して形成されている。このスリット69により下側電源用レセプタクルコンタクト50Bは、当該下側スリット69が形成された部分において左右方向に二分割されている。このように構成することで、スリット69が形成された部分において下側電源用レセプタクルコンタクト50Bが適度に弾性変形できるようになっている。そのため、可動ハウジング20のフローティング移動時に対する下側電源用レセプタクルコンタクト50Bの追従性や耐久性を高めることが可能となっている。
【0045】
上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの板厚、板幅及び全長の各寸法は、下側電源用レセプタクルコンタクト50Bの板厚、板幅及び全長の各寸法とそれぞれ略同一に形成されている。また、スリット59の左右方向の幅寸法は、スリット69の左右方向の幅寸法と略同一に形成されている。さらに、上側電源用レセプタクルコンタクト50Aにおけるスリット59が形成された部分の長さ寸法(上側スリット59の全長寸法と略等しい)は、下側電源用レセプタクルコンタクト50Bにおけるスリット69が形成された部分の長さ寸法(スリット69の全長寸法と略等しい)と略同一に形成されている。このように構成することで、上側電源用レセプタクルコンタクト50Aと下側電源用レセプタクルコンタクト50Bとにおけるそれぞれの導体抵抗値を互いに同等に設定することができる。そのため、通電時における上側電源用レセプタクルコンタクト50Aと下側電源用レセプタクルコンタクト50Bの各発熱量に偏りが生じることを抑制することができる。
【0046】
上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの基端接合部51には、
図15(B)に示すように、後方に向かって開放された切欠き部51aが形成されており、この切欠き部51aにより基端接合部51は、平面視において二股状(本例では基端接合部51の全体が略コの字状となる形状)に形成されている。このように構成することで、基端接合部51の外縁部に沿った長さ(周長)を、切欠き部51を形成しない場合に比して長くすることができるので、基端接合部51を第1基板CB1の電源配線パターンに接合するために半田付けする際の半田付け部の面積を増やすことができる。そのため、上側電源用レセプタクルコンタクト50Aで発生した熱量を、半田付け部を介して第1基板CB1や空気中に効率良く逃がすことが可能となっている。
【0047】
上側電源用レセプタクルコンタクト50Aと同様に下側電源用レセプタクルコンタクト50Bの基端接合部61には、
図15(C)に示すように、前方に向かって開放された切欠き部61aが形成されており、この切欠き部61aにより基端接合部61は、平面視において二股状(本例では基端接合部61の全体が略コの字状となる形状)に形成されている。このように構成することで、上側電源用レセプタクルコンタクト50Aと同様の効果を得ることが可能となっている。
【0048】
左右方向からの側面視における上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの形状は、同じく側面視における上側信号用レセプタクルコンタクト30Aの形状と同一に形成されている。同様に、左右方向からの側面視における下側電源用レセプタクルコンタクト50Bの形状は、同じく側面視における下側信号用レセプタクルコンタクト30Bの形状と同一に形成されている。
【0049】
上側信号用レセプタクルコンタクト30Aは、圧入接触部37が可動ハウジング20の可動上側信号用圧入溝24Aに圧入されることで可動ハウジング20に組み付けられるとともに、固定側圧入部32が固定ハウジング10の固定後側信号用圧入溝12Aに圧入されることで固定ハウジング10に組み付けられる。同様に上側電源用レセプタクルコンタ
クト50Aは、圧入接触部57が可動ハウジング20の可動上側電源用圧入溝25Aに圧入されることで可動ハウジング20に組み付けられるとともに、固定側圧入部52が固定ハウジング10の固定後側電源用圧入溝13Aに圧入されることで、固定ハウジング10に組み付けられる。側面視における上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの形状が、同じく側面視における上側信号用レセプタクルコンタクト30Aの形状と同一に形成されていることにより、上側信号用レセプタクルコンタクト30Aを可動ハウジング20及び固定ハウジング10に組み付ける場合の作業態様(作業方法や作業手順)と同様の作業態様により、上側電源用レセプタクルコンタクト50Aを可動ハウジング20及び固定ハウジング10に組み付けることができるので効率良く組付け作業を行うことが可能となっている。
【0050】
下側信号用レセプタクルコンタクト30Bは、圧入接触部47が可動ハウジング20の可動下側信号用圧入溝24Bに圧入されることで可動ハウジング20に組み付けられるとともに、固定側圧入部42が固定ハウジング10の固定前側信号用圧入溝12Bに圧入されることで固定ハウジング10に組み付けられる。同様に下側電源用レセプタクルコンタクト50Bは、圧入接触部67が可動ハウジング20の可動下側電源用圧入溝25Bに圧入されることで可動ハウジング20に組み付けられるとともに、固定側圧入部62が固定ハウジング10の固定前側電源用圧入溝13Bに圧入されることで、固定ハウジング10に組み付けられる。側面視における下側電源用レセプタクルコンタクト50Bの形状が、同じく側面視における下側信号用レセプタクルコンタクト30Bの形状と同一に形成されていることにより、下側信号用レセプタクルコンタクト30Bを可動ハウジング20及び固定ハウジング10に組み付ける場合の作業態様と同様の作業態様により、下側電源用レセプタクルコンタクト50Bを可動ハウジング20及び固定ハウジング10に組み付けることができるので効率良く組付け作業を行うことが可能となっている。
【0051】
上側信号用レセプタクルコンタクト30A、下側信号用レセプタクルコンタクト30B、上側電源用レセプタクルコンタクト50A及び下側電源用レセプタクルコンタクト50Bが可動ハウジング20及び固定ハウジング10に組み付けられることで、これら複数のレセプタクルコンタクト部材30A,30B,50A,50Bを介して、可動ハウジング20が固定ハウジング10に対して前後方向、左右方向及び上下方向に相対移動(フローティング移動)可能に連結される。
【0052】
レセプタクル側固定金具70は、金属板を
図19(A)に示すような略コの字状に打ち抜き加工して形成される。レセプタクル側固定金具70は、第1基板CB1に形成された固定用パターンに半田付けされて固定される一対の接合部71と、接合部71から上方に延びて固定ハウジング10の金具挿入溝15eに圧入される一対の圧入部72と、一対の圧入部72の上端部同士を繋ぐ中間部73とを備えて構成される。
【0053】
複数のレセプタクルコンタクト部材30A,30B,50A,50Bを介して連結された可動ハウジング20及び固定ハウジング10に対し、レセプタクル側固定金具70が固定ハウジング10の金具挿入溝15eに取り付けられることで、レセプタクルコネクタ1が組立てられる。金具挿入溝15eにレセプタクル側固定金具70が取り付けられた状態において、可動ハウジング20の可動側移動規制部26とレセプタクル側固定金具70の中間部73との間には所定の隙間が形成されるようになっている。これにより固定ハウジング10に対して可動ハウジング20がこの隙間に対応する分の上方へのフローティング移動することを可能としつつ、それ以上に移動することを規制する。
【0054】
組立てられたレセプタクルコネクタ1は、信号用レセプタクルコンタクト30(上側信号用レセプタクルコンタクト30A及び下側信号用レセプタクルコンタクト30B)の基端接合部31,41が第1基板CB1の信号配線パターンに半田接続されるとともに、電
源用レセプタクルコンタクト50(上側電源用レセプタクルコンタクト50A及び下側電源用レセプタクルコンタクト50B)の基端接合部51,61が第1基板CB1の電源配線パターンに半田接続され、さらにレセプタクル側固定金具70の接合部71が第1基板CB1の固定用パターンに半田付けされることで、第1基板CB1に表面実装される。
【0055】
次に、レセプタクルコネクタ1の嵌合相手であるプラグコネクタ100の全体構成について、
図11~
図14及び
図16を追加参照して説明する。なお、
図11(A)では、プラグコネクタ100を後方から見た状態の図を正面図として示している。
【0056】
プラグコネクタ100は、フローティングコネクタと嵌合接続される相手方コネクタであり、
図11及び
図12に示すように、第2基板CB2(
図3及び
図4を参照)に固定されるプラグハウジング110と、プラグハウジング110の長手方向(左右方向)に整列して並ぶように設けられた複数対の信号用プラグコンタクト130と、複数対の信号用プラグコンタクト130の列の左右両側に一対ずつ設けられた二対の電源用プラグコンタクト150と、プラグハウジング110の左右両端部に取り付けられたプラグ側固定金具170(
図19(B)を参照)とを有して構成される。なお、信号用プラグコンタクト130は、形状が互いに異なる上側信号用プラグコンタクト130Aと下側信号用プラグコンタクト130Bとのペアにより構成される(
図18(B)を参照)。また、電源用プラグコンタクト150は、形状が互いに異なる上側プラグコンタクト150Aと下側プラグコンタクト150Bとのペアにより構成される(
図16を参照)。
【0057】
プラグハウジング110は、電気絶縁性を有する樹脂材料等を用いて、
図13及び
図14に示すように略直方体状に形成される。具体的には、プラグハウジング110は、直方体状に形成されたハウジング本体部111と、ハウジング本体部111の左右両端部から左右外側に突出して形成された左右一対の固定金具取付部118とを備えて構成される。固定金具取付部118には、スリット状の金具取付溝118aが形成されている。ハウジング本体部111は、後方に突出して形成され、可動ハウジング20の嵌合凹部22内に挿入されて嵌合されるプラグ側嵌合部112と、プラグ側嵌合部112の前端下部に設けられて前後方向の縦断面形状がL字状に形成されたプラグ側下壁部113とを有する(
図3及び
図4も参照)。
【0058】
図3及び
図4に示すように、プラグ側嵌合部112は内部に受容空間を有し、この受容空間内に、レセプタクルコネクタ1のレセプタクル側突起部23、信号用レセプタクルコンタクト30の圧入接触部37,47及び電源用レセプタクルコンタクト50の圧入接触部57,67を前後方向に受容可能に構成される。
図14(B)に示すように、プラグ側嵌合部112の内側上壁面には、前後方向に延びる複数の上側信号用圧入溝114Aが左右方向に整列して所定ピッチで並んで形成されており(
図4も参照)、上側信号用圧入溝114Aの列の左右両側には、前後方向に延びる上側電源用圧入溝115Aがそれぞれ形成されている(
図3も参照)。上側信号用圧入溝114Aは、上側信号用プラグコンタクト130Aの水平圧入部133(
図18(B)を参照)が圧入されるように構成されており、上側電源用圧入溝115Aは、上側電源用プラグコンタクト150Aの水平圧入部153(
図16(B)を参照)が圧入されるように構成されている。一方、
図14(B)に示すように、プラグ側嵌合部112の内側下壁面には、前後方向に延びる複数の下側信号用圧入溝114Bが左右方向に整列して所定ピッチで並んで形成されており(
図4も参照)、下側信号用圧入溝114Bの列の左右両側には、前後方向に延びる下側電源用圧入溝115Bがそれぞれ形成されている(
図3も参照)。下側信号用圧入溝114Bは、下側信号用プラグコンタクト130Bの水平圧入部145(
図18(B)を参照)が圧入されるように構成されており、下側電源用圧入溝115Bは、下側電源用プラグコンタクト150Bの水平圧入部165(
図16(C)を参照)が圧入されるように構成されている。
【0059】
また、
図14(B)に示すように、プラグ側下壁部113の前面部には、上下方向に延びる複数の前側信号用圧入溝116Aが左右方向に整列して所定ピッチで並んで形成されており(
図4も参照)、前側信号用圧入溝116Aの列の左右両側には、上下方向に延びる前側電源用圧入溝116Bがそれぞれ形成されている(
図3も参照)。前側信号用圧入溝116Aは、上側信号用プラグコンタクト130Aの中間圧入部132及び下側信号用プラグコンタクト130Bの第3中間部144(
図18(B)を参照)が圧入されるように構成されており、前側電源用圧入溝116Bは、上側電源用プラグコンタクト150Aの中間圧入部152(
図16(B)を参照)及び下側電源用プラグコンタクト150Bの第3中間部164(
図16(C)を参照)が圧入されるように構成されている。
【0060】
さらに、
図14(B)に示すように、プラグ側下壁部113の下面部には、前後方向に延びる複数の後側信号用挿入溝117Aが左右方向に整列して所定ピッチで並んで形成されており(
図4も参照)、後側信号用挿入溝117Aの列の左右両側には、前後方向に延びる後側電源用挿入溝117Bがそれぞれ形成されている(
図3も参照)。後側信号用挿入溝117Aは、下側信号用プラグコンタクト130Bの第2中間部143(
図18(B)を参照)が挿入されるように構成されており、後側電源用挿入溝117Bは、下側電源用プラグコンタクト150Bの第2中間部163(
図16(C)を参照)が圧入されるように構成されている。
【0061】
信号用プラグコンタクト130を構成するペアの一方である上側信号用プラグコンタクト130Aは、弾性を有する導電性金属板にプレス加工を施して
図18(B)に示すように所定形状に形成されている。この上側信号用プラグコンタクト130Aは、前後方向に延びて形成され第2基板CB2の信号配線パターンに半田接続される基端接合部131と、基端接合部131の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びプラグハウジング110の前側信号用圧入溝116Aに圧入される中間圧入部132と、中間圧入部132の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びプラグハウジング110の上側信号用圧入溝114Aに圧入される水平圧入部133と、水平圧入部133の後端部からくの字状に屈曲されて斜め下方に延び更にその後端部が斜め上方に屈曲されて上下方向に弾性変形可能な接触部134とから構成される。
【0062】
信号用プラグコンタクト130を構成するペアの他方である下側信号用プラグコンタクト130Bは、弾性を有する導電性金属板にプレス加工を施して
図18(B)に示すように所定の形状に曲げ成形されて構成される。この下側信号用プラグコンタクト130Bは、前後方向に延びて形成され第2基板CB2の信号配線パターンに半田接続される基端接合部141と、基端接合部141の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びる第1中間部142と、第1中間部142の前端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びてプラグハウジング110の後側信号用挿入溝117Aに挿入される第2中間部143と、第2中間部143の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びてプラグハウジング110の前側信号用圧入溝116Aに圧入される第3中間部144と、第3中間部144の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びプラグハウジング110の下側信号用圧入溝114Bに圧入される水平圧入部145と、水平圧入部145の後端部からくの字状に屈曲されて斜め上方に延び更にその後端部が斜め下方に屈曲されて上下方向に弾性変形可能な接触部146とから構成される。
【0063】
電源用プラグコンタクト150を構成するペアの一方である上側電源用プラグコンタクト150Aは、弾性を有する導電性金属板にプレス加工を施して
図16(B)に示すように所定形状に形成されている。この上側電源用プラグコンタクト150Aは、前後方向に延びて形成され第2基板CB2の電源配線パターンに半田接続される基端接合部151と、基端接合部151の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びプラグハウジング110の前側電源用圧入溝116Bに圧入される中間圧入部152と、中間圧入部1
52の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びプラグハウジング110の上側電源用圧入溝115Aに圧入される水平圧入部153と、水平圧入部153の後端部からくの字状に屈曲されて斜め下方に延び更にその後端部が斜め上方に屈曲されて上下方向に弾性変形可能な接触部154とから構成される。
【0064】
電源用プラグコンタクト150を構成するペアの他方である下側電源用プラグコンタクト150Bは、弾性を有する導電性金属板にプレス加工を施して
図16(C)に示すように所定形状に形成されている。この下側電源用プラグコンタクト150Bは、前後方向に延びて形成され第2基板CB2の電源配線パターンに半田接続される基端接合部161と、基端接合部161の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びる第1中間部162と、第1中間部162の前端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びてプラグハウジング110の後側電源用挿入溝117Bに挿入される第2中間部163と、第2中間部163の前端部から上方にL字状に屈曲されて上下方向に延びてプラグハウジング110の前側電源用圧入溝116Bに圧入される第3中間部164と、第3中間部164の上端部から前方にL字状に屈曲されて前後方向に延びプラグハウジング110の下側電源用圧入溝115Bに圧入される水平圧入部165と、水平圧入部165の後端部からくの字状に屈曲されて斜め上方に延び更にその後端部が斜め下方に屈曲されて上下方向に弾性変形可能な接触部166とから構成される。
【0065】
上側電源用プラグコンタクト150Aには、
図16(B)に示すように、当該上側電源用プラグコンタクト150Aの板厚方向に貫通して、当該上側電源用プラグコンタクト150Aの長さ方向に沿って延びるスリット159が形成されている。このスリット159は、水平圧入部153と接触部154との境界位置から接触部154の長さ方向中間部まで連続して形成されている。同様に下側電源用プラグコンタクト150Bには、
図16(C)に示すように、当該下側電源用プラグコンタクト150Bの板厚方向に貫通して、水平圧入部165と接触部166との境界位置から接触部166の長さ方向中間部まで連続して延びるスリット169が形成されている。これにより、両電源用プラグコンタクト150A,150Bの接触部154,166は適度に弾性変形できるようになっている。
【0066】
プラグ側固定金具170は、金属板を
図19(B)に示すような略コの字状に打ち抜き加工して形成される。プラグ側固定金具170は、第2基板CB2に形成された固定用パターンに半田付けされて固定される一対の接合部171と、接合部171から上方に延びてプラグハウジング110の金具挿入溝118aに圧入される一対の圧入部172と、一対の圧入部172の上端部同士を繋ぐ中間部173とを備えて構成される。
【0067】
上側信号用プラグコンタクト130A、下側信号用プラグコンタクト130B、上側電源用プラグコンタクト150A及び下側電源用プラグコンタクト150Bがプラグハウジング110に組み付けられ、プラグ側固定金具170がプラグハウジング110の金具挿入溝118aに取り付けられることで、プラグコネクタ100が組立てられる。組立てられたプラグコネクタ100は、信号用プラグコンタクト130(上側信号用プラグコンタクト130A及び下側信号用プラグコンタクト130B)の基端接合部131,141が第2基板CB2の信号配線パターンに半田接続されるとともに、電源用プラグコンタクト150(上側電源用プラグコンタクト150A及び下側電源用プラグコンタクト150B)の基端接合部151,161が第2基板CB2の電源配線パターンに半田接続され、さらにプラグ側固定金具170の接合部171が第2基板CB2の固定用パターンに半田付けされることで、第2基板CB2に表面実装される。
【0068】
第1基板CB1に実装されたレセプタクルコネクタ1と第2基板CB2に実装されたプラグコネクタ100は、プラグコネクタ100のプラグ側嵌合部112を、レセプタクルコネクタ1の嵌合凹部22に対して前後方向に挿入することにより互いに嵌合される。両
コネクタ1,100が嵌合されると、信号用レセプタクルコンタクト30の圧入接触部37,47と信号用プラグコンタクト130の接触部134,146とが弾性的に接触するとともに、電源用レセプタクルコンタクト50の圧入接触部57,67と電源用プラグコンタクト150の接触部154,166とが弾性的に接触する(
図3、
図4及び
図17を参照)。これにより、両コネクタ1,100を介して、両基板CB1,CB2の信号配線パターン同士及び電源配線パターン同士が電気的に接続される。また、両コネクタ1,100が嵌合接続されることで、嵌合コネクタアッセンブリASが構成される。
【0069】
以上、本発明に係る実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲であれば適宜変更可能である。例えば、上記実施形態では、上側電源用レセプタクルコンタクト50Aにおけるスリット59が1つのみ形成されており、このスリット59により上側電源用レセプタクルコンタクト50Aは、当該スリット59が形成された部分において左右方向に二分割されているがこの態様に限定されるものではない。複数のスリット59を上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの板幅方向に沿って互いに平行に並ぶように形成し、これら複数のスリット59が形成された部分において上側電源用レセプタクルコンタクト50Aが板幅方向に3つ以上に分割されるように態様変更してもよい。下側電源用レセプタクルコンタクト50Bのスリット69についても同様の態様変更を行うことができる。
【0070】
上記実施形態では、上側電源用レセプタクルコンタクト50Aの上側中間部58が合計4つの屈曲部を有する形状とされているが、このような態様に替えて、上側中間部58が合計5つ以上の屈曲部を有する形状となるように態様変更してもよい。下側電源用レセプタクルコンタクト50Bの屈曲部についても同様の態様変更を行うことができる。また、上記実施形態では、レセプタクルコネクタをフローティングコネクタとして本発明を適用しているが、プラグコネクタをフローティングコネクタとして本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 プラグコネクタ(フローティングコネクタ)
10 固定ハウジング
20 可動ハウジング
30 信号用レセプタクルコンタクト
30A 上側信号用レセプタクルコンタクト
30B 下側信号用レセプタクルコンタクト
50 電源用レセプタクルコンタクト
50A 上側電源用レセプタクルコンタクト
50B 下側電源用レセプタクルコンタクト
52a 切欠き部
59,69 スリット(切込み部)
100 プラグコネクタ(相手方コネクタ)
110 プラグハウジング
130 信号用プラグコンタクト
150 電源用プラグコンタクト
AS 嵌合コネクタアッセンブリ
CB1 第1基板
CB2 第2基板