(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170956
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】着色用組成物
(51)【国際特許分類】
C09D 11/17 20140101AFI20241204BHJP
C09C 1/48 20060101ALI20241204BHJP
C09D 17/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
C09D11/17
C09C1/48
C09D17/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087748
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000142920
【氏名又は名称】株式会社呉竹
(74)【代理人】
【識別番号】110002734
【氏名又は名称】弁理士法人藤本パートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】大西 悟
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 将也
【テーマコード(参考)】
4J037
4J039
【Fターム(参考)】
4J037AA02
4J037CB04
4J037CC16
4J037DD05
4J037EE08
4J037FF03
4J037FF05
4J039AB01
4J039AD09
4J039BA04
4J039BC11
4J039BC19
4J039BE01
4J039BE23
4J039CA06
4J039EA33
4J039EA42
4J039EA44
4J039GA08
(57)【要約】
【課題】 塗布後の黒色度が比較的高く且つツヤ(表面反射)が抑えられる着色用組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】 表面pHが酸性範囲にある酸性カーボンブラックと、表面pHが中性範囲にある中性カーボンブラックと、溶媒と、アクリルポリマーとを含み、前記酸性カーボンブラックは、第1粉体と、該第1粉体よりも平均一次粒径が大きい第2粉体との混合物であり、前記中性カーボンブラックの平均一次粒径は、前記第2粉体の平均一次粒径よりも大きい、着色用組成物を提供する。
【選択図】 なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面pHが酸性範囲にある酸性カーボンブラックと、表面pHが中性範囲にある中性カーボンブラックと、溶媒と、アクリルポリマーとを含み、
前記酸性カーボンブラックは、第1粉体と、該第1粉体よりも平均一次粒径が大きい第2粉体との混合物であり、
前記中性カーボンブラックの平均一次粒径は、前記第2粉体の平均一次粒径よりも大きい、着色用組成物。
【請求項2】
アルギン酸塩をさらに含む、請求項1に記載の着色用組成物。
【請求項3】
前記第1粉体及び前記第2粉体の平均一次粒径は、いずれも10nm以上30nm未満であり、
前記中性カーボンブラックの平均一次粒径は、30nm以上50nm以下である、請求項1又は2に記載の着色用組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、カーボンブラックを含む着色用組成物が知られている。
【0003】
この種の着色用組成物は、黒色顔料としてカーボンブラックを含み、例えば塗料又はインクなどの用途で黒色を表すために使用される。
【0004】
この種の着色用組成物としては、複数種の特定のカーボンブラックと分散剤と溶媒とを含むカーボンブラック分散液が知られている。
具体的には、表面pHが7.0以下の第1カーボンブラックと表面pHが7.0超の第2カーボンブラックを含み、第2カーボンブラックの表面pHと第1カーボンブラックの表面pHとの差が2.0以上であり、且つ第1カーボンブラック及び第2カーボンブラックの合計量(100質量%)に対して、第2カーボンブラックの含有量が、50質量%未満である、カーボンブラック分散液が知られている(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の着色用組成物のように、表面pHが互いに異なる2種のカーボンブラックを単に組み合わせた着色用組成物は、塗布後の黒色度が比較的高くなり得るものの、塗布後にツヤ(表面反射)が生じる場合がある。ツヤが生じると黒色本来の色味が損なわれ得る。
【0007】
そこで、本発明は、塗布後の黒色度が比較的高く且つツヤ(表面反射)が抑えられる着色用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る着色用組成物は、表面pHが酸性範囲にある酸性カーボンブラックと、表面pHが中性範囲にある中性カーボンブラックと、溶媒と、アクリルポリマーとを含み、
前記酸性カーボンブラックは、第1粉体と、該第1粉体よりも平均一次粒径が大きい第2粉体との混合物であり、
前記中性カーボンブラックの平均一次粒径は、前記第2粉体の平均一次粒径よりも大きい。
【0009】
上記の着色用組成物は、アルギン酸塩をさらに含んでもよい。
【0010】
上記の着色用組成物では、前記第1粉体及び前記第2粉体の平均一次粒径は、いずれも10nm以上30nm未満であり、前記中性カーボンブラックの平均一次粒径は、30nm以上50nm以下であってもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明の着色用組成物によれば、塗布後の皮膜の黒色度を比較的高くすることができ、且つ、皮膜のツヤ(表面反射)を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明に係る着色用組成物の一実施形態について以下に説明する。
【0013】
本実施形態の着色用組成物は、少なくとも、カーボンブラックと、溶媒と、アクリルポリマーとを含む。本実施形態の着色用組成物は、着色用組成物を適度に増粘させるための増粘剤をさらに含むことが好ましい。
【0014】
カーボンブラックの種類としては、例えば、表面pHが酸性範囲にある酸性カーボンブラック、又は、表面pHが中性範囲にある中性カーボンブラックなどが挙げられる。上記の酸性カーボンブラックは、表面pHが6.0未満のカーボンブラックであり、上記の中性カーボンブラックは、表面pHが6.0以上8.0以下のカーボンブラックである。
【0015】
酸性カーボンブラックの表面pHは、5.0以下であってもよく、4.0以下であってもよい。中性カーボンブラックの表面pHは、6.5以上7.5以下であってもよい。
【0016】
カーボンブラックの表面pHは、以下のようにして測定される。具体的には、カーボンブラック数gを蒸留水(pH7.0)中に添加し、高周波出力160W程度の超音波洗浄機で1分間の超音波処理を施す。その後、カーボンブラックの分散液のpHをガラス電極pHメータで測定する。
【0017】
酸性カーボンブラックは、平均一次粒径がより小さい第1粉体と、平均一次粒径がより大きい第2粉体との混合物である。また、中性カーボンブラックの平均一次粒径は、第2粉体の平均一次粒径よりも大きい。
【0018】
第1粉体及び第2粉体の平均一次粒径は、いずれも10nm以上30nm未満であり、且つ、中性カーボンブラックの平均一次粒径は、30nm以上50nm以下であることが好ましい。これにより、着色用組成物を塗布した後の黒色度がより高くなり、ツヤ(表面反射)がより抑えられるという利点がある。
【0019】
上記の第1粉体、第2粉体、及び中性カーボンブラック(粉体)の各平均一次粒径は、電子顕微鏡の観察像から求められる。詳しくは、各粉体を電子顕微鏡によって観察したときの少なくとも10個の粒子の大きさをそれぞれ測定する。そして、測定値を算術平均することによって、平均一次粒径を算出する。なお、各粒子の最大径を粒子の大きさとして測定する。
【0020】
本実施形態の着色用組成物は、カーボンブラック(総量)を5質量%以上25質量%以下含むことが好ましく、20質量%以下含むことがより好ましい。これにより、着色用組成物を塗布した後の着色用組成物皮膜がより適度な黒色となり得る。
【0021】
本実施形態の着色用組成物において、カーボンブラックの総量に占める、酸性カーボンブラックの割合は、20質量%以上95質量%以下であることが好ましく、80質量%以上であることがより好ましい。酸性カーボンブラックの割合が上記の範囲内であることによって、着色用組成物を塗布した後のツヤ(表面反射)がより抑えられるという利点がある。
【0022】
本実施形態の着色用組成物において、上記の酸性カーボンブラックの総量を100質量部としたときに、上記の中性カーボンブラックの量比は、10質量部以上40質量部以下であることが好ましく、20質量部以上30質量部以下であることがより好ましい。斯かる量比が上記の範囲内であることによって、着色用組成物を塗布した後の黒色度がより高くなり、ツヤ(表面反射)がより抑えられるという利点がある。
【0023】
本実施形態の着色用組成物を製造するときに、平均一次粒径がより小さい酸性カーボンブラック(例えば平均一次粒径が10nm以上22nm未満)及び平均一次粒径がより大きい酸性カーボンブラック(例えば平均一次粒径が22nm以上26nm以下)の合計量に対する、平均一次粒径がより小さい酸性カーボンブラックの割合は、5質量%以上30質量%以下であることが好ましく、10質量%以上20質量%以下であることが好ましい。上記の範囲内であることによって、着色用組成物を塗布した後の黒色度がより高くなり、ツヤ(表面反射)がより抑えられるという利点がある。
【0024】
カーボンブラックとしては、チャンネルブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、又は、サーマルブラック等が挙げられる。カーボンブラックとしては、ファーネスブラックが好ましい。
【0025】
カーボンブラックとしては、市販のカーボンブラックを用いることができる。市販のカーボンブラックとしては、例えば、インキ若しくは塗料等の黒色着色剤用途向けの製品、又は、ゴム配合用途向けの製品などを採用できる。
【0026】
本実施形態の着色用組成物は、分散剤を含む。分散剤としては、アクリルポリマー又は一般的な界面活性剤などが挙げられる。
分散剤は、少なくともアクリルポリマーを含有する。本実施形態の着色用組成物が分散剤としてアクリルポリマーを含むことによって、カーボンブラックなどの顔料の経時的な分散安定性が良好になる。
【0027】
アクリルポリマーは、少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルが重合した重合体である。なお、本明細書において「(メタ)アクリル」との表記は、「アクリル」及び「メタクリル」の両方を包含する表記である。
【0028】
アクリルポリマーは、炭化水素で構成されたモノマー単位を分子中に含まない。換言すると、アクリルポリマーは、エチレン、プロピレン、又はスチレンといったC及びHのみで構成されたモノマーと(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの共重合体を包含しない。
【0029】
本実施形態の着色用組成物において、カーボンブラックの総量100質量部に対する(カーボンブラックの総量を100質量部としたときに)アクリルポリマー(固形分)の量比は、80質量部以上120質量部以下であることが好ましい。
【0030】
本実施形態の着色用組成物は、好ましくは増粘剤を含む。増粘剤としては、アルギン酸塩が好ましい。本実施形態の着色用組成物がアルギン酸塩を含むことによって、カーボンブラックなどの顔料の経時的な分散安定性がより良好になるという利点がある。
【0031】
アルギン酸塩は、例えば、アルギン酸ナトリウムであってもよく、又は、アルギン酸カリウムであってもよい。
【0032】
本実施形態の着色用組成物は、アルギン酸塩を0.05質量%以上0.50質量%以下含むことが好ましい。これにより、カーボンブラックなどの顔料の経時的な分散安定性がより良好になるという利点がある。
【0033】
本実施形態の着色用組成物は、溶媒を含む。溶媒としては、例えば、水、エタノール、又はグリコール類などが挙げられる。溶媒は、上記のうち1種のみを含んでもよく、複数種を含んでもよい。
溶媒としては、アクリルポリマーを分散させやすい、又は、アルギン酸塩を溶解させやすいという点で、水を含む溶媒が好ましい。
【0034】
本実施形態の着色用組成物は、溶媒を40質量%以上70質量%以下含んでもよい。斯かる範囲の量で溶媒を含む着色用組成物は、液状乃至粘稠なペースト状となり得る。
【0035】
本実施形態の着色用組成物の性状は、例えば液体状である。本実施形態の着色用組成物は、粘稠なペースト状であってもよく、固形状であってもよい。本実施形態の着色用組成物は、上述した成分以外に、防腐剤、香料などをさらに含んでもよい。
【0036】
本実施形態の着色用組成物は、一般的な方法によって製造される。
例えば、平均一次粒径がより小さい酸性カーボンブラックの粉体と、平均一次粒径がより大きい中性カーボンブラックの粉体と、水と、必要に応じて分散剤及び増粘剤とを混合する。酸性カーボンブラックの粉体として、平均一次粒径がより小さい酸性カーボンブラックの粉体と、平均一次粒径がより大きい酸性カーボンブラックの粉体とを用いる。混合は、一般的な撹拌混合機を用いて実施できる。
【0037】
本実施形態の着色用組成物の製造方法では、平均一次粒径が22nm以上26nm以下の酸性カーボンブラックの粉体を5.0質量%以上9.0質量%以下の含有率となるように配合し、平均一次粒径が18nm以上22nm未満の酸性カーボンブラックの粉体を0.5質量%以上3.0質量%以下の含有率となるように配合し、且つ、平均一次粒径が30nm以上50nm以下の中性カーボンブラックの粉体を0.9質量%以上8.0質量%以下の含有率となるように配合して、着色用組成物を調製することが好ましい。
上記のようにして製造された着色用組成物は、塗布後の黒色度がより高くなり、ツヤ(表面反射)がより抑えられるという利点を有する。
【0038】
本実施形態の着色用組成物は、例えば、筆記具用のインク、書道用の墨汁、印刷用のインク、絵画用絵の具若しくはインク、又は模型等塗布用の塗料などの用途で使用される。好ましくは、本実施形態の着色用組成物を筆にしみ込ませた後に、筆先で筆記又は筆先で着色用組成物を塗布することによって、着色用組成物が使用される。
【0039】
本実施形態の着色用組成物が塗布される対象物は、特に限定されないが、例えば文字、デザイン、又は絵画が表面に描かれる被描画体である。被描画体は、立体的であってもよく平面的であってもよい。被描画体としては、例えば紙などが挙げられる。紙の種類は、特に限定されないが、例えば、コピー紙、合成紙(ユポ紙)、又はコットン紙などが挙げられる。
被描画体に着色用組成物を塗布するための道具は、特に限定されないが、例えば、ボールペン又は筆などである。
【実施例0040】
次に、実施例によって本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0041】
以下の原料を用いて、表1及び表2に示す配合組成に従って複数の着色用組成物を製造した。また、これら着色用組成物のそれぞれを紙面などに塗布(塗工)して、それぞれ性能を評価した。
【0042】
<着色用組成物の原材料>
[カーボンブラック]
・酸性カーボンブラック
Ac1:製品名「プリンテックスUB」オリオン・エンジニアド・カーボンズ社製 平均一次粒径25nm
チャンネルブラック、表面pHは4.0
Ac2:製品名「#1000」三菱ケミカル社製 平均一次粒径18nm
ファーネスブラック、表面pHは3.5
Ac3:製品名「MA-100」三菱ケミカル社製 平均一次粒径24nm
ファーネスブラック、表面pHは3.5
Ac4:製品名「MA-220」三菱ケミカル社製 平均一次粒径55nm
ファーネスブラック、表面pHは3.0
Ac5:製品名「SUNBLACK X15」旭カーボン社製 平均一次粒径20nm
ファーネスブラック、表面pHは3.5
・中性カーボンブラック
Ne1:製品名「#40」三菱ケミカル社製 平均一次粒径24nm
ファーネスブラック、表面pHは7.5
Ne2:製品名「#900」三菱ケミカル社製 平均一次粒径16nm
ファーネスブラック、表面pHは7.5
Ne3:製品名「#60HN」旭カーボン社製 平均一次粒径41nm
ファーネスブラック、表面pHは7.0
[分散剤]
・アクリルポリマー
Py1:製品名「ジュリマーAT-510」 東亜合成社製(固形分30質量%)
少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルが重合した重合体
Py2:製品名「トークリル6210」 トーヨーケム社製(分散液)
少なくとも(メタ)アクリル酸アルキルエステルが重合した重合体
・(参考)非アクリルポリマー(スチレンとアクリルモノマーとの共重合体)
:製品名「ハイロスX-2010L」 星光PMC社製(分散液)
(メタ)アクリル酸アルキルエステル及びスチレンの共重合体
[増粘剤]
・アルギン酸ナトリウム
Th1:製品名「キミカアルギンB-8」 キミカ社製
・ポリビニルピロリドン
Th2:製品名「PVP」 アシュランド社製
[その他]
・ジエチレングリコール(市販製品)
【0043】
<着色用組成物の製造>
(実施例、比較例)
表1及び表2にそれぞれ示す配合組成に従って、配合成分を混合することにより、各実施例及び各比較例の着色用組成物を製造した。
【0044】
【0045】
【0046】
<各着色用組成物の黒さの評価>
バーコーターによって各着色用組成物を紙面に塗工した。塗工後の紙面を目視で観察し、以下の評価基準に沿って黒さを評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
◎:一般的な黒着色用組成物以上
○:一部の商品には劣る
△:一般的な黒着色用組成物以下
×:灰色
【0047】
<各着色用組成物のツヤ抑制(表面光沢の抑制)の評価>
上記と同様に各着色用組成物を紙面に塗工し、塗工後の紙面に光をあてて反射の有無を目視で観察した。以下の評価基準に沿ってツヤ抑制性能を評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
◎:どの角度でも一切反射しない
○:角度によっては反射がみられる
△:ほとんどの角度で反射が見られる
×:真上から以外では強い光沢がある
【0048】
<各着色用組成物の筆で筆記したときの運筆の軽さ・カスレの有無(筆感)の評価>
各着色用組成物をしみ込ませた筆で筆記し、以下の評価基準に沿って運筆の軽さ及びカスレの有無を評価した。評価結果を表1及び表2に示す。
◎:1文字ではカスレは無い
○:1文字書くうちにかすれる
△:2~3画目でかすれる
×:1画目からかすれる
【0049】
<各着色用組成物の製剤安定性の評価>
各着色用組成物の粘度変化及び沈殿物の有無について目視で観察し、以下の評価基準に沿って判断した。評価結果を表1及び表2に示す。
◎:粘度安定・柔らかい沈殿
○:やや硬い沈殿
△:粘度変化、硬い沈殿
×:翌日には分離
【0050】
<色差計による各着色用組成物の明度(L*)及び光沢(GU値)の評価>
各着色用組成物の着色用組成物皮膜について、色差計を用いて明度(L*)及び光沢(GU値)を測定した。評価結果を表1及び表2に示す。
【0051】
表1及び表2の評価結果から把握されるように、実施例の着色用組成物は、塗布後の黒色度が比較的高く且つツヤ(表面反射)を抑えることができた。一方、比較例の着色用組成物は、塗布後の黒色度が必ずしも高くないか、又は、塗布後のツヤを必ずしも抑えることができなかった。
増粘剤としてのアルギン酸塩を着色用組成物に配合することによって、ツヤ(表面反射)をより抑えることができた。
本発明の着色用組成物は、例えば、紙に文字や絵を描く目的で使用される。本発明の着色用組成物は、例えば墨汁、書道液、絵の具、インク(筆記用若しくは印刷用)、又は塗料などの用途で使用されてもよい。例えば本発明の着色用組成物を筆の穂先にしみ込ませたうえで、紙等の対象物に着色用組成物を塗布する(筆記する)ことによって好適に使用される。