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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170957
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】卸電力取引システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/06 20240101AFI20241204BHJP
   H02J 3/32 20060101ALI20241204BHJP
   H02J 3/14 20060101ALI20241204BHJP
   H02J 3/00 20060101ALI20241204BHJP
   G16Y 10/35 20200101ALI20241204BHJP
   G16Y 20/30 20200101ALI20241204BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20241204BHJP
   G16Y 40/20 20200101ALI20241204BHJP
   G16Y 40/30 20200101ALI20241204BHJP
【FI】
G06Q50/06
H02J3/32
H02J3/14 160
H02J3/00 170
H02J3/00 130
G16Y10/35
G16Y20/30
G16Y40/10
G16Y40/20
G16Y40/30
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087749
(22)【出願日】2023-05-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.JAVA
(71)【出願人】
【識別番号】508047071
【氏名又は名称】株式会社ブルーマウステクノロジー
(71)【出願人】
【識別番号】507173872
【氏名又は名称】株式会社リミックスポイント
(74)【代理人】
【識別番号】100079832
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 誠
(72)【発明者】
【氏名】三浦 武
【テーマコード(参考)】
5G066
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G066AA02
5G066AA03
5G066AA04
5G066HB09
5G066JA01
5G066JB03
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】卸電力取引所が発表する翌日の電力市場価格に基づいて、翌日の取引スケジュールをあらかじめ設定し、最小限の労力で常に有利な運用を実現する卸電力取引システムを提供する。
【解決手段】インターネット環境(インターネットクラウド)3000にLTE通信等で接続された制御ユニット(制御用コンピュータ)1050と、クラウド内に設けられて、インターネット環境を介して制御ユニットに接続されたサーバー1010とを備える卸電力取引システム1000において、制御ユニットは、日本卸電力取引所2000が発表する翌日の電力市場価格データEPDを取得し、電力市場価格が所定の第1の基準値PT1より安いときに電力を購入し、所定の第2の基準値PT2よりも高いときに放電するスケジュールを設定し、購入した電力を蓄電池1030に充電して蓄える。PT1、PT2は、PT1<PT2あるいは、PT1≦PT2の関係にある。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を保持する電力保持手段と、
卸電力取引所が発表する翌日の電力市場価格を取得する電力市場価格取得手段と、
前記電力市場価格に基づいて、電力の充電と放電のスケジュールを設定するスケジュール設定手段と、
前記スケジュールに基づいて、電力充電時には、電力を購入して前記電力保持手段に充電し、電力放電時に、前記電力保持手段からの電力の放電を実行する電力充放電手段と、
を備え、
前記スケジュール設定手段は、電力市場価格が所定の第1の基準値より安いときに電力を購入して充電し、第2の基準値よりも高いときに放電するスケジュールを設定する、
卸電力取引システム。
【請求項2】
前記第1、第2の基準値は、前記電力市場価格の平均値であることを特徴とする請求項1記載の卸電力取引システム。
【請求項3】
前記スケジュールにかかわらず、前記電力保持手段の状態や、電力需要の状況に応じて、電力充放電手段の動作を設定する電力充放電最終決定手段をさらに備えた、請求項1記載の卸電力取引システム。
【請求項4】
電力需要およびその変化を計測する電力需要計測手段をさらに備えた請求項3記載の卸電力取引システム。
【請求項5】
電力保持手段に接続する負荷を、あらかじめ設定された特定の負荷のみ制限する特定負荷限定手段をさらに備えた、請求項1記載の卸電力取引システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、日本卸電力取引所等との電力取引のための卸電力取引システムに関する。
【背景技術】
【0002】
電力の自由化により、発電、送電、小売は独立した事業となり、事業者は自己保有電力による収益、不足電力補完経費の節減の可能性が生じた。
【0003】
例えば、特許文献1記載の電力取引システムでは、電動車両で使用する電力を電力取引によって入手するための電力取引システムに関するものであり、時々刻々と変化する取引価格をユーザーが表示画面において観察し、運用内容を決定するものである。しかし、表示画面を観察し続ける作業は重労働であり、常に有利な運用を実現することは容易ではない。
【0004】
また、特許文献1では1台の電動車両の電力に関わるもので、電力の用途が多岐に渡る事業者の卸電力取引には適用が難しい。
【0005】
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2021-149331号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、事業者が取引価格の観察の作業を要することなく、常に有利な運用を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る卸電力取引システムは、卸電力取引所が発表する翌日の電力市場価格を取得し、電力市場価格が所定の第1の基準値より安いときに電力を購入し、第2の基準値よりも高いときに放電するスケジュールを設定し、購入した電力は蓄電池に充電し保有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、卸電力取引所が発表する翌日の電力市場価格に基づいて、翌日の取引スケジュールをあらかじめ設定し得るので、最小限の労力で、常に有利な運用を実現し得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明に係る卸電力取引システムと蓄電池への充電と放電の一実施例を示すブロック図である。
図2図1の卸電力取引システムにおけるスケジュール設定の処理を示すフローチャートである。
図3図2で作成されたスケジュールに基づく取引に対応した充放電運用を示すフローチャートである。
図4】電力市場価格(前日発表)と充放電運用の関係を示すグラフである。明確に価格の安い時間と高い時間のある例である。
図5】蓄電池のBCP(Business Continuity Plan)対策に配慮した充電運用を示すグラフである。価格の安い時間帯と高い時間帯が明確でない電力市場価格の例を引用している。
図6】ある1日の電力市場価格の変化を示すグラフである。
図7図6の電力市場価格における、ある市場連動型電力契約需要者の電力料金明細を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明に係る卸電力取引システムの実施例を、図面に基づいて説明する。
【実施例0012】
図1に示すように、卸電力取引システム1000は、インターネット環境3000にLTE通信等で接続された制御ユニット(制御用コンピュータ)1050と、クラウド内に設けられて、インターネット環境(インターネットクラウド)3000を介して制御ユニット1050に接続されたサーバー1010とを備える。インターネット環境3000には日本卸電力取引所(JEPX)2000が接続され、サーバー1010は、JEPX2000が提供している市場において電力市場価格を取得するとともに、電力取引を実行する。すなわち、サーバー1010は電力市場価格取得手段として機能する。
【0013】
JEPX2000の市場には、「一日前スポット市場」、「時間前市場」、「分散型・グリーン売電市場」が存在するが、本発明は、特に「一日前スポット市場」に焦点をあてたものである。一日前スポット市場は、翌日の電力を、30分を1単位に計48商品に分けて取引するもので、翌日の電力市場価格を前日に知ることができる。電力市場価格は、日本国内の北海道、東北、東京、中部、北陸、関西、中国、四国、九州の地域ごとに、エリアプライスとして発表され、CSV(Conma Separated Value)のフォーマットのデータ(以下、EPDという。)で取得できる。
【0014】
サーバー1010は、卸電力取引を実行する地域(例えば、卸電力取引システム1000が存在する地域)における翌日の電力市場価格のデータEPDを、JEPX2000から取得し、30分ごとの48商品の市場価格PP1~PP48について、第1の基準値PT1、第2の基準値PT2と比較する。
【0015】
サーバー1010は、市場価格PP1~PP48をPT1と比較した結果、PPi(i=1~48)がPT1よりも安いときは、電力を購入して蓄電池1030(後述する。)に充電し、PPi(i=1~48)がPT2よりも高いときは、電力を放電するというスケジュール(以下、SCHという。)を設定する。すなわち、サーバー1010は、スケジュール設定手段として機能する。ここに放電する電力は事業所内で使用してもよいし、他の需要者や電力会社に販売してもよい。
【0016】
第1の基準値PT1には、例えば、データEPDの電力市場価格の平均値が採用され、あるいは、なんらかの特定の市場価格を採用し得る。これは、第2の基準値PT2においても同様である。PT1、PT2は、PT1<PT2あるいは、PT1≦PT2の関係にある。
【0017】
制御ユニット1050には、RS485等のインターフェースで電力充放電手段であるパワーコンディショナー1040が接続され、購入した電力(交流)PAIは、電力系統4000から充電系統4010を通ってパワーコンディショナー1040に充電され、販売された電力(交流)PAOは、パワーコンディショナー1040から放電系統4020を通って電力系統4000に放電されて需要者負荷に届けられる。そして、電力計測部4030が設けられ、購入電力、販売電力の電力量が計測される。
【0018】
パワーコンディショナー1040には、電力保持手段である蓄電池1030が接続され、充電された電力PAIは電力(直流)PDIとして蓄電池1030に蓄えられ、また放電された電力PAOは蓄電池1030から放電された電力(直流)PDOである。すなわち、パワーコンディショナー1040は、交流電力PAIを直流電力PDIに変換するコンバータ機能、直流電力PDOを交流電力PAOに変換するインバータ機能を有する。
【0019】
制御ユニット1050はパワーコンディショナー1040における蓄電池1030への充電電力を監視し、これによって、サーバー1010は蓄電池1030の充電量(以下、CHという。)を常時把握することができる。
【0020】
さらに、制御ユニット1050には、電力需要計測手段であるデマンド電力計測部1060が設けられ、デマンド電力計測部1060は現状の電力需要(以下、DMという。)およびその変化量(以下、DDMという。)を計測している。サーバー1010は制御ユニット1050を通じて、その電力需要DM、変化量DDMを取得する。この電力需要DMが少ない時は、蓄電池1030からの放電のメリットは少ない。また、電力需要が急激に減少しているときは、需要者への電力が供給過多となり、逆潮流の現象が生じる可能性があるので、放電は停止すべきである。
【0021】
すなわち、サーバー1010は、データEPDに基づくスケジュールSCHのみならず、蓄電池の充電量CH、電力需要DM、電力需要変化量DDMにも配慮して、電力取引を運用する。
【0022】
また、制御ユニット1050には特定負荷切替スイッチ1070が接続され、卸電力取引システム1000が設置された事業所における特定の負荷に対する、蓄電池1030からの給電が可能である。例えば、事業所で使用している一般電力が停電したとき、非常用電源として蓄電池1030を使用する必要があるが、電源回復まで蓄電池1030の電力のみで業務を遂行するために、必須の特定負荷のみに限定した給電を行う必要がある。サーバー1010は制御ユニット1050を介して特定負荷切替スイッチ1070を操作し、特定負荷のみに限定した給電を行う。
【0023】
なお、パワーコンディショナー1040には太陽光パネル1090も接続可能であり、太陽光パネル1090で発電した電力を充電電力PDI、放電電力PAOとして活用し得る。
【0024】
サーバー1010はインターネットクラウド3000とつながっており、パソコンから一般的なインターネットブラウザを使って操作できる。またスマートフォン1020の画面からも操作できる。なお、サーバー1010にはhtmlやJavaスクリプトなどの言語で書かれたソフトウエアがおかれ、また、データを蓄積するためのデータベースもおかれる。
【0025】
図2に示すように、サーバー1010におけるスケジュールSCHの作成に際しては、以下の処理を実行する。
ステップS201:JEPX2000から、翌日の、電力市場価格データEPDを取得する。
ステップS202:電力市場価格データEPDにおける、30分ごとの48商品の市場価格PP1~PP48の平均値を算出し、PT1、PT2の値とするが、管理者によって変更することができる。
ステップS203:48商品の市場価格PP1~PP48と比較するため、商品番号「i」を「1」に初期化する。
ステップS204:PP1<PT1か否か判定し、PP1<PT1であればステップS205に進み、PP1<PT1でなければステップS206に進む。
ステップS205:スケジュールに充電プロンプトを記入する。これによって、スケジュールSCHにおいては商品1(最初の時間区分の電力)に関して充電を実行することになる。
ステップS206:PP1>PT2か否か判定し、PP1>PT2であればステップS207に進み、PP1>PT2でなければステップS208に進む。
ステップS207:スケジュールに放電プロンプトを記入する。これによって、スケジュールSCHにおいては商品1(最初の時間区分の電力)に関して放電を実行することになる。
ステップS208:商品番号iが最終の48であるか判断し、最終商品まで完了したときは、処理を終了し、i<48のときはステップS209に進む。
ステップS209:商品番号iを「1」加算しステップS204に戻る。
以後、ステップS204~S207において、i=2~48の判断処理(ステップS204、S206)、プロンプト処理(S205、S207)を繰り返し、ステップS208で終了判断したときに、処理を終了する。
以上によって、スケジュールSCHにおいて充放電いずれを実行すべきか明記されることになる。
【0026】
図3に示すように、サーバー1010における充放電運用の処理は、以下のように実行される。
ステップS301:まず、蓄電池1030がBCP対策における最低充電レベルより低いか否かを判断し、低い場合にはステップS302に進み、低くない場合にはステップS303に進む。
ステップS302:パワーコンディショナー1040に電力PAIを充電し、ステップS301に戻る。すなわち、蓄電池1030がBCP対策における最低充電レベルに達するまで、充電が実行される。
ステップS303:サーバー1010に内蔵されている時計を参照し、ステップS304に進む。
ステップS304:スケジュール実行開始時刻の午前0時であったときは、実行を開始し、ステップS305に進む。午前0時前であったときはステップS303に戻る。
ステップS305:スケジュールSCHに充電プロンプトが記載されているか否かを判断し、記載されていればステップS306に進み、記載されていなければステップS308に進む。
ステップS306:蓄電池1030が満充電か否か判断し、満充電であればステップS312に進み、満充電でなければステップS307に進む。
ステップS307:パワーコンディショナー1040に電力PAIを充電し、ステップS312に進む。
ステップS308:スケジュールSCHに放電プロンプトが記載されているか否かを判断し、記載されていればステップS309に進み、記載されていなければステップS312に進む。
ステップS309:現在の電力需要(デマンド)DMが所定値より多いか否か判断し、多い場合にはステップS310に進み、多くない場合はステップS312に進む。
ステップS310:現在の電力需要(デマンド)の減少量が所定値より少ないか否か判断し、少ない場合にはステップS311に進み、少なくない場合はステップS312に進む。
ステップS311:パワーコンディショナー1040から電力PAOを放電し、ステップS312に進む。
ステップS312:サーバー1010に内蔵されている時計を参照し、ステップS313に進む。
ステップS313:充放電運用の終了時刻24時以降になったか否か判断し、24時以降であれば処理を終了し、24時以前であればステップS313に進む。
ステップS314:スケジュールSCHの実行内容を現在の時刻に合わせ、ステップS305に戻る。
以上によって、スケジュールSCHに基づいた充放電運用と、それにかかわらず、電力需要DM、電力需要減少量DDM、蓄電池1030の充電量CHに配慮した柔軟な充放電運用とが実行される。すなわち、サーバー1010は、スケジュールSCHにかかわらず、前記電力保持手段の状態や、電力需要の状況に応じて、電力充放電手段の動作を設定する電力充放電最終決定手段として機能する。
【0027】
図4は、スケジュールSCHに基づく充放電運用の状況を、電力市場価格の24時間の変化との関連で示すグラフである。
グラフ上では、充電の基準値PT1と放電の基準値PT2が8円/kwhで等しく設定され、市場価格がこれより高い0時~7時30分において放電を行い、市場価格がこれより低い7時30分~15時において充電を行い、市場価格がこれより高い15時~24時において放電を行っている。このような充放電はスケジュールに基づいてサーバー1010が自動的に実行するので、作業者には何らの負担もない。
【0028】
図5は、電力市場の次の日の価格が、例えば、その電力市場のエリアが次の日に曇りや雨の予報で天気が悪く、通常価格が安くなる昼間の時間帯でも、その地域の太陽光発電量が低く、結果として、需要が高めとなり、電気代の価格は昼でも高めとなるケースである。逆に、明確に価格の安い時間と高い時間の差が大きい電力市場価格つまり、天気が良く、太陽光発電量が多い時は、昼の電気代は安くなるので、その時間帯に、蓄電池へ十分電気を充電できるからBCP用の電力は、直ちに充電できる。
図5のグラフにおいては、スケジュールSCHに基づく充放電運用と、蓄電池1030の充電量CHに配慮した充放電運用とが実行された状況を示す。
グラフ上では、0時30分ころに市場価格が基準値PT1よりも低くなり、充電が開始されたが、充電実行中に、蓄電池1030の充電量CHがBCP対策における最低充電レベルより低かったため、12時に市場価格が基準値PT1よりも高くなったにもかかわらず、充電を続行し、充電量がBCP対策の最低充電レベルを越える16時30分まで充電を行っている。すなわち、全体の充電時間のうち、前半はスケジュールSCHに基づく充電であるが、その後はBCP対応の最低充電量を確保するための充電である。このような柔軟な充放電運用により、健全な卸電力取引事業が実現される。
【0029】
図6は、JEPX2000が実際に発表した2023年4月26日の「一日前スポット市場」の電力価格のグラフであり、図7はある需要家のこの電力価格に対する運用例を示す。
【0030】
図7の表1に示すように、ある需要家は電力会社と契約電力90KWの契約をし、2023年4月に11,177KWHの電力量を使用した。そして、図7の表2に示すように、2023年4月の電力料金は287,611円であった。
【0031】
図6のグラフでは、0時から7時までは電力価格は6円/KWH~15円/KWHで推移し、その後14時まで0.1円/KWHに低下し、その後、最高18円程度まで上昇し、24時には12円/KWH程度に落ち着いた。すなわち、価格が明瞭に低下する時間が現れており、充放電のスケジュールが立てやすい。
この、価格推移に対し、需要家は8時から14時に電力を購入して蓄電池に充電し、その他の時間は蓄電池から放電して、事業所内で使用した。表1に示すように、蓄電池は20KWである。
【0032】
表2の基本料金、託送料金(昼)、託送料金(夜)、KW上乗せ、電力料金、再生エネルギ賦課金は一般需要家が市場連動型電力で電気を購入するときの価格明細であり、その合計452,927円は、変動相場型で計算された電力料金287,611円の約63%に達している。そして、図6のような、充放電タイミングが明瞭な価格変動推移、つまり価格の極端に安い時間帯と高い時間帯が発生する確率を1ヶ月間に50%発生したとすると、電力ユーザーにおける蓄電池放電による電力量削減効果は16%に相当し、前述した63%を掛け合わせると1か月間の電力価格節減効果は0.16×0.63=0.1、すなわち約10%となる。
ここで、電力量削減効果の16%は、上記の電力料金の一般需要家において、20KWのパワーコンディショナーで120KWHの蓄電池を設置し、15日間つまり1ヶ月で50%、毎日6時間で満充電とし、その充電をほぼ0.1円/KWHの価格でおこなうことを想定している。従って毎月の充電量は累積で20KW×6h×15日=1800KWHとなり、これは、1ヶ月の全電力使用量である11,177KWHの16%となる。
【0033】
図6に示したように、電気代が安い時に、蓄電池1030を充電し、高い時に放電することは、従来の、蓄電池ではお金を生まないという考えを覆し、蓄電池1030の充放電によって、実質的に電気使用量を減らして、電気代を節減し得るので、蓄電池1030は、BCP対策、省エネ、電気代の節減の有力な武器である。これによって、需要家は、自家用消費の太陽光発電パネルを設置しなくても、蓄電池だけで太陽光発電パネルを設置したような経済的な利益を生むことができる。
【産業上の利用可能性】
【0034】
以上の実施例は事業所で使用する電力に関するものであったが、特許文献1のような電動車両のための電力運用に本願発明を適用し得ることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0035】
CH 充電量
DM 電力需要
DDM 電力需要変化量
EPD エリアプライスデータ
PAI 交流充電
PAI 購入した電力(交流)
PAO 販売した電力(交流)
PDI 充電電力(直流)
PDO 放電電力(直流)
PP1~PP48 商品市場価格
PT1 第1の基準値
PT2 第2の基準値
SCH スケジュール
1000 卸電力取引システム
1010 サーバー
1020 スマートフォン
1030 蓄電池
1040 パワーコンディショナー
1050 制御ユニット
1060 デマンド電力計測部
1070 特定負荷切替スイッチ
1080A~1080N 負荷
1090 太陽光パネル
2000 日本卸電力取引所
3000 インターネット環境(インターネットクラウド)
4000 電力系統
4010 充電系統
4020 放電系統
4030 電力計測部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7