(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170963
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】粉体供給用ホッパー、粉体供給用ホッパー用の円錐内壁の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65G 65/40 20060101AFI20241204BHJP
B65B 39/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B65G65/40 Z
B65B39/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087758
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】593051205
【氏名又は名称】MONOVATE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001184
【氏名又は名称】弁理士法人むつきパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】山上 隆幸
(72)【発明者】
【氏名】宮路 貴之
(72)【発明者】
【氏名】石井(▲高▼橋) 素子
【テーマコード(参考)】
3E055
3F075
【Fターム(参考)】
3E055AA03
3E055BB01
3E055BB08
3E055CA09
3F075AA08
3F075BA01
3F075BB01
3F075DA13
(57)【要約】 (修正有)
【課題】微多孔性層を摩耗しづらく洗浄しやすいものとすることで、使い勝手のよい供給用ホッパーを提供する。
【解決手段】粉体を直接収容する円錐内壁3と、円錐内壁3の全周を囲む円錐外壁5と、を備え、円錐内壁3と円錐外壁5との間には、エア供給孔を介して供給された圧縮エアを充満させるためのエア充満室9が形成されており、円錐内壁3の少なくとも一部が、エア充満室9に供給された圧縮エアを透過させて円錐内壁3内の粉体Pに対してエアレーションを行うための微多孔性材によって構成されており、微多孔性材は、金属によって構成されており、層厚方向に貫通する複数の貫通孔を有する、粉体供給用ホッパーである。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を直接収容する円錐内壁と、
当該円錐内壁の全周を囲む円錐外壁と、
を備え、
当該円錐内壁と当該円錐外壁との間には、エア供給孔を介して供給された圧縮エアを充満させるためのエア充満室が形成されており、
当該円錐内壁の少なくとも一部が、当該エア充満室に供給された圧縮エアを透過させて当該円錐内壁内の粉体に対してエアレーションを行うための微多孔性材によって構成されており、
前記微多孔性材は、金属によって構成されており、層厚方向に貫通する複数の貫通孔を有する、
粉体供給用ホッパー。
【請求項2】
前記微多孔性材は、積層された複数の微多孔性層を含んで構成されている、
請求項1に記載の粉体供給用ホッパー。
【請求項3】
前記複数の微多孔性層のそれぞれは金属薄板によって構成されている、
請求項2記載の粉体供給用ホッパー。
【請求項4】
前記微多孔性材は、前記エア充満室と接する側の第1面と当該エア充満室に接しない側の第2面とを有しており、
前記複数の貫通孔のそれぞれは、前記第2面での孔径よりも前記第1面での孔径のほうが大きく設定されている、
請求項1~3の何れかに記載の粉体供給用ホッパー。
【請求項5】
前記微多孔性材の内側面は、略全体が電解研磨によって形成された平滑電解研磨面である、
請求項1記載の粉体供給用ホッパー。
【請求項6】
金属で構成された微多孔性材を用いて構成された扇形環片を用意する第1工程と、
前記扇形環片の端部同士を溶接して円錐内壁を形成する第2工程と、
前記円錐内壁の内壁を電解研磨する第3工程と、
を含む、粉体供給用ホッパー用の円錐内壁の製造方法。
【請求項7】
前記第3工程において、前記電解研磨に用いる作用電極は、前記円錐内壁から略一定距離で配置された電極面を有する、
請求項6に記載の粉体供給用ホッパー用の円錐内壁の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、粉体を収容供給するためのホッパーに関し、より詳しくは、収容した粉体を流動化するためのエアレーションを可能とする粉体供給用ホッパー(以下、単に「供給用ホッパーという」に関する。
【背景技術】
【0002】
供給用ホッパーとして、たとえば、特許文献1や特許文献2に記載されたものがある。特許文献1のエアレーション手段(以下、「第1の先行手段」という)には、高密度の樹脂製、より具体的にはポリエチレン製の微多孔性層が用いられている。特許文献2のエアレーション手段(以下、「第2の先行手段」という)も上記同様に樹脂製の微多孔性層が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-261163号公報
【特許文献2】特開2002-68369号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、第1の先行手段や第2の先行手段が有する樹脂製の微多孔性層には、孔の摩耗拡大による粉体詰まりやそれ自身の洗浄性の低下という点で改良の余地がある。
【0005】
そこで、本開示は、微多孔性層を摩耗しづらく洗浄しやすいものとすることで、使い勝手のよい供給用ホッパーを提供することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
[1]本開示に係る一態様の粉体供給用ホッパーは、
粉体を直接収容する円錐内壁と、
当該円錐内壁の全周を囲む円錐外壁と、
を備え、
当該円錐内壁と当該円錐外壁との間には、エア供給孔を介して供給された圧縮エアを充満させるためのエア充満室が形成されており、
当該円錐内壁の少なくとも一部が、当該エア充満室に供給された圧縮エアを透過させて当該円錐内壁内の粉体に対してエアレーションを行うための微多孔性材によって構成されており、
前記微多孔性材は、金属によって構成されており、層厚方向に貫通する複数の貫通孔を有する、粉体供給用ホッパーである。
[2]本開示に係る一態様の粉体供給用ホッパー用の円錐内壁の製造方法は、
金属で構成された微多孔性材を用いて構成された扇形環片を用意する第1工程と、
前記扇形環片の端部同士を溶接して円錐内壁を形成する第2工程と、
前記円錐内壁の内壁を電解研磨する第3工程と、
を含む、粉体供給用ホッパー用の円錐内壁の製造方法である。
【発明の効果】
【0007】
上記構成によれば、供給用ホッパーに用いる微多孔性層を摩耗しづらく洗浄しやすいものとすることで、使い勝手のよい供給用ホッパーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図3】
図1に示す円錐内壁3bの一部切り取り拡大図である。
【
図4】微多孔性材(積層した微多孔性層)の拡大断面図である。
【
図5】円錐内壁(ホッパー)の製造工程を示すフローチャートである。
【
図6】円錐内壁(ホッパー)の製造工程を示す図である。
【
図7】作用電極の構造と設置方法を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施の形態(以下、適宜「本実施形態」という)について図面を参照しながら説明する。
【0010】
(ホッパーの概略構造)
図1及び
図2に示す供給用ホッパー1は、主要な構成として、粉体Pを直接的に収容する円錐内壁3と、円錐内壁3の全周を囲む円錐外壁5と、円錐内壁3及び円錐外壁5の上方に配置されて粉体Pの投入口として用いられる上部ホッパー(上フランジ)7と、円錐内壁3及び円錐外壁5と上部ホッパー7との間に配置されてこれらの間を封止する環状のパッキン(ガスケット)8を備える。円錐内壁3及び円錐外壁5と上部ホッパー7は図示しないクランプ等の固定手段によって固定される。円錐内壁3と円錐外壁5は
図2に示すように二重構造に構成されている。供給用ホッパー1は、例えば図示のように基台11によって下支えされることで上部ホッパー7の開口が上に向いた状態で保持される。基台11の形態は、貯蔵供給する粉体の種類や、供給形態・供給先の状態などに応じて適宜選択してよい。円錐内壁3に直接収容される粉体Pとしては、たとえば、小麦粉のような食品粉体、各種の化学品粉体や医薬品粉体、さらには化粧パウダーのような化粧品粉体、さらには、これらを混合した混合粉体などが挙げられる。用途に合致する限り、粉体の粒径などの制限はなく、一般に粉粒体と称されるものも本実施形態における粉体の一種として含んでよい。なお、必要に応じて基台11に加振装置(図示を省略)を設け、これにより供給用ホッパー1を振動させて粉体Pのブリッジを補助的に防止するようにすることもできる。また、供給用ホッパー1は、上方に配置されるタンク等から釣り下げるようにして固定されていてもよい。
【0011】
(円錐外壁の構造)
説明の都合上、円錐外壁5について先に説明する。
図1および
図2に示すように円錐外壁5は、所望寸法半径の水平環状のフランジ5aと、上部が開口しており下方の基台11に向かって底部5cまで所望長さに渡り先細りする逆さ円錐台の形状をなす円錐壁5bと、底部5cの略中央から下方に突き出し円錐壁5bの内外を連通する所望半径の円筒部5dと、を有している。これら円錐外壁5を構成する各部位は、たとえば、ステンレス鋼板などのレーザ切断と曲げ加工と溶接により形成することができる。ステンレス鋼板以外の金属板や合成樹脂によって円錐外壁5が形成されていてもよい。好ましい一例として、フランジ5aは、中心側に段部を介して所定寸法(後述するフランジ3aの厚みと略同じ寸法)薄くなった環状凹部5aaを備えている。エア供給ノズル6は、圧縮エア供給装置101から受けた圧縮エアAを後述するエア充満室9に供給するために用いられる。
【0012】
(円錐内壁の構造)
円錐内壁3は、水平環状のフランジ3aと、上部が開口しており下方に向かって先細りする円錐壁3bと、円錐壁3bの下端から下方に突き出し円錐内壁3の内外を連通する円筒部3cと、を有している。円筒内壁3は、円錐外壁5の中に全体がすっぽりと差し入れできる形態に形成されている。差し入れた際の円錐内壁3は円錐外壁5内に収まり、同じくフランジ3aはフランジ5aの環状凹部5aaに遊びが少なく収まるようになっている。フランジ3aの環状凹部5aaへの遊びの少ない収まりと円筒部3cの円筒部5dへの挿入により、円錐内壁3が円錐外壁5の中に安定して設置される。この設置を念のため補強したいのであれば、環状凹部5aaに収まったフランジ3aをネジのような固定部材(図示を省略)によってフランジ5aに補強固定するとよい。
【0013】
(円錐内壁の構成素材)
円錐内壁3は、溶接部位(後述)などを除いた全体が、微多孔性材によって構成されている。微多孔性材は、円錐内壁3と円錐外壁5との間に画定された空間であってパッキン8並びにOリング10によって気密が保たれるエア充満室9に供給された圧縮エアAを圧力通過させ(
図3、矢印の破線部分は通過を示す)、やがて円錐内壁3内にある粉体P内を圧縮エアAが通り抜けることで流動化させ、これにより粉体Pのブリッジなどを防ぐことを可能とする。本実施形態の微多孔性材は、ポリエチレンのような合成樹脂ではなく、金属製の微多孔性層(金属薄板)を数層~20層ほどに積層したものを用いている。金属性の微多孔性層を採用したのは、ポリエチレン製の内壁を用いた場合などに生じる摩耗や異物の発生などの不具合を解消することができるからである。
【0014】
それぞれの微多孔性層には、好ましい態様として、厚み方向に貫通する孔径50μm~200μm程度の微細孔が、孔径に応じて例えば1mm~10mm程度の間隔で形成されている。本実施形態で用いた微多孔性層のそれぞれは、例えば厚みが25μm~100μm程度のものであり、圧縮エアAのための全体貫通のために孔径や孔位置などを調整しつつ13層に積層している。より具体的には、一例としての微多孔性材は、厚みが25μmの微多孔性層を3層と厚みが100μmの微多孔性層を10層重ね合わせて構成されている。一般に、各微多孔性層に微細孔を設ける際には、微細孔の孔径をより小さくするには微多孔性層の厚さを小さくすることが望まれる。他方で、円錐内壁3を形成するには、必要な機械的強度や加工性の観点から、ある程度の板厚が必要となる。このため、本実施形態では微多孔性層を複数層に重ねた微多孔性材を用いて円錐内壁3を形成している。
【0015】
微多孔性層の有する各微細孔の孔径について、好ましい設定の一例を説明する。
図4に示すように、たとえば粉体Pに一番近い微多孔性層3m1の貫通孔3h1の孔径を一番小さい70μmとし、粉体Pから一番遠い微多孔性層3mn(本実施形態では13番目)の貫通孔3hnの孔径を一番大きい200μmに、それぞれ設定することができる。その上で微多孔性層3mnから微多孔性層3m1に向かって隣り合わせ順に孔径を小さく若しくは同じく設定してある。つまり、微多孔性層3m4の貫通孔3mhの孔径より微多孔性層3m3の貫通孔3mhの孔径を小さく、また、微多孔性層3m3の貫通孔3mhの孔径を微多孔性層3m2の貫通孔3mhの孔径と同じく設定してある。
【0016】
別言すれば、微多孔性材は、円錐内壁3の内側(粉体Pが収容される側)、すなわちエア充満室9と接しない側の面(第2面)に配置された微多孔性層の微細孔の孔径が相対的に小さく、円錐内壁3の外側、すなわちエア充満室9に接する側の面(第1面)における微多孔性層の微細孔の孔径が相対的に大きくなるように構成されている。円錐内壁3において最も内側の微多孔性層の微細孔と最も外側の微多孔性層の微細孔との間は、
図4に例示するように段階的に孔径が狭まっていてもよいし、連続的に孔径が狭まっていてもよい。また、孔径は、第1面と第2面との間で略一定であってもよい。
【0017】
微細孔の孔径を上記のように設定したのは、粉体Pに一番近い貫通孔3h1の孔径は粉体Pの粒径より小さい必要がある一方、圧縮エアAを注入し易くするため一番遠い貫通孔3hnを大きくすることが好ましいからである。なお、圧縮エアAの流通に差し支えない範囲であれば、組み合わせは上記以外であってもよい。
【0018】
(円錐内壁の製造方法)
図5および
図6を参照しながら円錐内壁の製造方法について説明する。まず、扇形環片53を用意する。例えば、適宜厚さの金属薄板に対して扇形環片53に対応する範囲にフォトエッチングで微細な貫通孔を多数形成し、それらの各金属薄板の貫通孔同士を位置合わせしながら所定枚数(本実施形態では13枚)を重ね、拡散結合技術を用いて各薄板同士を接合させることで微多孔性材51を得る。そして、
図6(a)に示すように、微多孔性材51から扇形環片53を切り出す(ステップS1)。扇形環とは、扇形から半径の小さな扇形を抜いた形状であり、円錐内壁3を形成する部位である。切り出しは、たとえばプレスで行うと効率がよい。次に扇形環片53を、たとえばロールプレスなどで丸めて端部53aと端部53b同士を突き合わせる(ステップS3)。
【0019】
次に、
図6(b)に示すように、端部53aと端部53b同士を突き合わせてそれらを溶接して互いに固定するとともに(ステップS5)、円錐内壁3に別途製造したフランジ3aと円筒部3cを、それぞれ円錐内壁3の上部と下部に溶接固定する(ステップS7)。上記以外にも必要な部位があるなら、この工程において円錐内壁3に溶接固定しておくとよい。
【0020】
この段階で円錐内壁3の大凡の形が形成される。このため以下では、扇形環片53と円錐内壁3それぞれの部材番号を「53(3)」のように併記する。なお、溶接部位は金属溶融によりエアレーションできない部位であるが、扇型環片53(すなわち、円錐内壁3)全体に比べると面積的に僅かであり周辺に噴出した圧縮エアAによって十分にカバーされる。このことから円錐内壁3全体が微多孔性材によって実質的構成されていると見做すことができる。
【0021】
次に、
図6(c)に示すように、円錐内壁3の内壁を電解研磨する(ステップS9)。ここでは、フランジ3aと円筒部3cの溶接固定を終えた円錐内壁3に対して、この円錐内壁3の内壁と対向するようにして円錐内壁3の中に作用電極105を配置し、これら円錐内壁3と作用電極105を電解研磨液Rに浸漬させる。その上で、円錐内壁3をプラス側に、作用電極105をマイナス側にして直流電流を流すと作用電極105と対向する部位が溶解して研磨効果が得られる。つまり磨きのかかった円錐内壁3の内壁の表面が得られ、露出面の円滑性が高まる。これによって、収容した粉体Pの円筒部3cに向かう滑りがよくなる。換言すると、エアレーションの効果を補助的に高めて粉体Pのブリッジなどを効果的防止する。滑りを良くするということは、粉体Pとの衝突や摺動による負荷が減ることでもあるから、その分、円錐内壁3の内壁(露出面)が摩耗しづらくなる、という効果も得られる。作用電極105の形状的な特徴については、後ほど改めて説明する。
【0022】
製造工程の最後は、電解研磨液Rから円錐内壁3(固定されたフランジ3aや円筒部3cも一緒)を取り出す。この取出工程は、必要であるなら、取り出した円錐内壁3を洗浄液で洗浄した後、乾燥させる工程をも含む概念である(ステップS11)。以上により、円錐内壁3(供給用ホッパー1)の製造を完了する。
【0023】
(作用電極の形状)
電解研磨に用いる作用電極105の構成について
図7を用いて説明する。研磨工程で使用する作用電極105は、図示のように円錐内壁3から略一定距離で配置された電極面を有する円錐台電極であることが好ましい。このような作用電極105は、たとえば、銅板やステンレス板のような金属板を、たとえば円錐内壁3の製造における切り出し工程、丸め工程、そして形成工程と同一もしくは類似の工程を経て形成することができる。
【0024】
円錐台電極105は、その中心線が
図7に示す円錐内壁3の中心線Lcと略一致するように配置される(すなわち、同心配置する)。そして、円錐台電極105は、その外壁と円錐内壁3の内壁との距離Dが周方向に略一定(遊びに基づく誤差を含む)となるように
に構成される。また、円錐台電極105は、その母線Ltが円錐内壁3の母線Lwと同じ若しくは長くなるように設定されていることが好ましい。
【0025】
まず距離Dを周方向略一定としたことにより、円錐内壁3の内壁の何れの個所においても作用電極105と円錐内壁3の内壁とが略等距離(同条件)で対向することになる。この結果、円錐内壁3の内壁全体の表面がより均質に研磨され、非均一な表面と比べて円滑性が高まるからである。また、母線Ltが円錐内壁3の母線Lwと同じ若しくは長くなるように設定することで、円錐内壁3の内壁全体を余すことなく作用電極105と対向させて当該内壁の全体を漏れなく研磨することができる。
【0026】
以上のような実施形態によれば、微多孔性層を摩耗しづらく洗浄しやすいものとすることで、使い勝手のよい供給用ホッパーを提供することが可能となる。詳細には、たとえば高密度ポリエチレン樹脂などを用いて円錐内壁を構成した場合には摩耗による異物混入が懸念され、また洗浄性にも劣る。また、焼結金網などを用いて円錐内壁を構成した場合には、金網の目に入り込んだ粉体の洗浄が確実にできたか不明確となりやすい。これらに対して本実施形態では、微多孔性材を用いて円錐内壁を構成していることで上記の不都合を解決し得る。
【0027】
また、円錐内壁に対して円錐台電極を用いた電解研磨を施した場合には、円錐内壁の表面(露出面)が全体に渡り均一平滑に研磨される結果、収容した粉体が円筒部に向かって滑りやすくなるので、エアレーションの効果を補助的もしくは相互作用的に高めることができる。その結果、粉体のブリッジ等を有効に切り崩すことがきるし、円錐内壁の摩耗に起因する貫通孔の目詰まりを有効防止することができる。加えて、洗浄も容易になる。つまり、使い勝手のよい供給用ホッパーを提供することができる。
【0028】
なお、本発明は上記した実施形態の内容に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々に変形して実施をすることが可能である。たとえば、供給用ホッパー1の用途によっては上記した製造工程において電解研磨の工程を省略してもよい。また、上記した実施形態では複数層の微多孔性層を有する微多孔性材を用いて円錐内壁3を形成していたが、用途に応じた機械的強度や加工性を得られるのであれば単層の微多孔性材を用いて円錐内壁3を形成してもよい。
【符号の説明】
【0029】
1:供給用ホッパー、3:円錐内壁、3a:フランジ、3b:円錐壁、3c:円筒部、3m1~3mn:微多孔性層、3h1~3hn:貫通孔、5:円錐外壁、5a:フランジ、5aa:環状凹部、5b:円錐壁、5c:底部、5d:円筒部、6:エア供給ノズル、9:エア充満室、11:基台、51:微多孔性材、53:扇形環片、101:圧縮エア供給装置、103:電解研磨液槽、105:作用電極、A:圧縮エア、P:粉体、R:電解研磨液
【手続補正書】
【提出日】2024-11-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉体を直接収容する円錐内壁と、
当該円錐内壁の全周を囲む円錐外壁と、
を備え、
当該円錐内壁と当該円錐外壁との間には、エア供給孔を介して供給された圧縮エアを充
満させるためのエア充満室が形成されており、
当該円錐内壁の少なくとも一部が、当該エア充満室に供給された圧縮エアを透過させて
当該円錐内壁内の粉体に対してエアレーションを行うための微多孔性材によって構成され
ており、
前記微多孔性材は、金属によって構成されており、層厚方向に貫通する複数の貫通孔を
有するものであり、
前記微多孔性材は、前記エア充満室と接する側の第1面と当該エア充満室に接しない側
の第2面とを有しており、
前記複数の貫通孔のそれぞれは、前記第2面での孔径よりも前記第1面での孔径のほう
が大きく設定されている、
粉体供給用ホッパー。
【請求項2】
前記微多孔性材は、積層された複数の微多孔性層を含んで構成されている、
請求項1に記載の粉体供給用ホッパー。
【請求項3】
前記複数の微多孔性層のそれぞれは金属薄板によって構成されている、
請求項2に記載の粉体供給用ホッパー。
【請求項4】
前記微多孔性材の内側面は、略全体が電解研磨によって形成された平滑電解研磨面であ
る、
請求項1記載の粉体供給用ホッパー。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0006
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0006】
本開示に係る一態様の粉体供給用ホッパーは、
粉体を直接収容する円錐内壁と、
当該円錐内壁の全周を囲む円錐外壁と、
を備え、
当該円錐内壁と当該円錐外壁との間には、エア供給孔を介して供給された圧縮エアを充
満させるためのエア充満室が形成されており、
当該円錐内壁の少なくとも一部が、当該エア充満室に供給された圧縮エアを透過させて
当該円錐内壁内の粉体に対してエアレーションを行うための微多孔性材によって構成され
ており、
前記微多孔性材は、金属によって構成されており、層厚方向に貫通する複数の貫通孔を
有するものであり、
前記微多孔性材は、前記エア充満室と接する側の第1面と当該エア充満室に接しない側
の第2面とを有しており、
前記複数の貫通孔のそれぞれは、前記第2面での孔径よりも前記第1面での孔径のほう
が大きく設定されている、
粉体供給用ホッパーである。