(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170989
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】衣類乾燥機およびフィルタ清掃機構
(51)【国際特許分類】
D06F 58/02 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
D06F58/02 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087803
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】512128645
【氏名又は名称】青島海爾洗衣机有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER WASHING MACHINE CO.,LTD.
(71)【出願人】
【識別番号】307036856
【氏名又は名称】アクア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(74)【代理人】
【識別番号】100135356
【弁理士】
【氏名又は名称】若林 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100169694
【弁理士】
【氏名又は名称】荻野 彰広
(72)【発明者】
【氏名】黒川 和将
(72)【発明者】
【氏名】辻 貴裕
【テーマコード(参考)】
3B166
【Fターム(参考)】
3B166AA02
3B166AA05
3B166AB23
3B166AB24
3B166AB30
3B166AB32
3B166AE01
3B166AE02
3B166AE07
3B166BA73
3B166BA82
3B166CA01
3B166CB01
3B166CB11
3B166DB02
3B166DB18
3B166DC45
3B166DE04
3B166EA03
3B166EA12
3B166EA14
3B166EB17
3B166ED05
3B166GA02
3B166GA12
3B166GA27
(57)【要約】
【課題】フィルタのお掃除機能の性能を向上する衣類乾燥機を提供する。
【解決手段】衣類乾燥機1は、筐体2と、外槽3と、内層7と、循環路20と、送風部21と、加熱部22と、乾燥フィルタ42と、給水部50と、ワイパ70と、アクチュエータ63とを備える。ワイパ70は、乾燥フィルタ42の一方側辺に配置されており、乾燥フィルタ42の下辺から上辺に延びる長尺形状であり、乾燥フィルタ42の下辺側の端部の回動軸において、一方側辺から下辺に向けて回動可能であり、乾燥フィルタ42と対向する表面に被嵌合部を有するアームと、弾性部材で構成されており、アームに沿って延びる長尺形状であり、アームの被嵌合部と嵌合する嵌合部と、円筒形状の先端部とを有するブレードとを有する。ブレードの先端部の円筒形状の直径は、回動軸側の一端側から他端側に向けて次第に大きくなっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体によって支持された外槽と、
前記外槽内に回転可能に収容されており、衣類が収容される内層と、
前記外槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、
前記外槽内の空気を前記取出口から前記循環路内に取り出して前記戻し口から前記外槽内に戻すことによって循環させる送風部と、
前記循環路内に設けられ、前記循環路内の空気を加熱する加熱部と、
前記循環路内において前記加熱部よりも前記取出口側に配置された乾燥フィルタであって、前記循環路内で前記取出口から前記戻し口へ向かう空気から異物を捕獲する縦面部を有する乾燥フィルタと、
前記縦面部に上側から給水する給水部と、
前記縦面部に沿って移動可能なワイパと、
前記ワイパを移動させるアクチュエータと、
を備え、
前記乾燥フィルタは、平板形状であり、上辺、下辺、一方側辺および他方側辺を有し、
前記ワイパは、
前記乾燥フィルタの前記一方側辺に配置されており、前記乾燥フィルタの前記下辺から前記上辺に延びる長尺形状であり、前記乾燥フィルタの前記下辺側の端部の回動軸において、前記一方側辺から前記下辺に向けて回動可能であり、前記乾燥フィルタと対向する表面に被嵌合部を有するアームと、
弾性部材で構成されており、前記アームに沿って延びる長尺形状であり、前記アームの被嵌合部と嵌合する嵌合部と、円筒形状の先端部とを有するブレードと、
を有し、
前記ブレードの先端部の円筒形状の直径は、回動軸側の一端側から他端側に向けて次第に大きくなっている、
衣類乾燥機。
【請求項2】
前記ワイパが前記乾燥フィルタの前記一方側辺から前記下辺に向けて回動する場合を往路とし、前記往路の回動方向を前方とし、その反対方向を後方とすると、
前記アームは、後方側に、前記表面側に垂直に延び、前記ブレードの前記先端部を支持する支持壁を有する、
請求項1に記載の衣類乾燥機。
【請求項3】
前記ブレードは、前記嵌合部と前記先端部との間に介在するくびれ部を有する、請求項2に記載の衣類乾燥機。
【請求項4】
前記給水部および前記アクチュエータを制御する制御部をさらに備え、
前記制御部は、メンテナンス処理として、前記アクチュエータによって前記ワイパを前記縦面部の下部まで移動させて一時停止させ、前記給水部によって前記縦面部に上側から給水する、
請求項1~3のいずれか1項に記載の衣類乾燥機。
【請求項5】
前記制御部は、メンテナンス処理において、前記ワイパを、90度超過135度未満のいずれかの角度まで回動させて一時静止させる、請求項4に記載の衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣類乾燥機およびフィルタ清掃機構に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、乾燥機能に加え、洗濯機能を有する洗濯乾燥機が開示されている。この洗濯乾燥機は、筐体と、筐体によって支持された外槽と、外槽内に収容された洗濯槽(内層)と、外槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、外槽内の空気を取出口から循環路内に取り出して戻し口から外槽内に戻すことによって循環させる送風部と、循環路内の空気を加熱する加熱部とを備える。この洗濯乾燥機では、乾燥動作時、外槽内の空気は、送風部によって循環路を循環され、加熱部によって加熱される。これにより、乾燥機能が実現される。
【0003】
また、この洗濯乾燥機は、循環路内で取出口から戻し口へ向かう空気から異物を捕獲する縦面部を有する乾燥フィルタを備える。これにより、循環路を循環する空気に含まれるリントなどの異物が捕獲される。
【0004】
また、この洗濯乾燥機は、縦面部に上側から給水する給水部と、縦面部に沿って移動可能なワイパと、ワイパを移動させるアクチュエータとを備える(フィルタ清掃機構)。ワイパは、乾燥フィルタの縦面部と接する側にブラシを有し、回転駆動する。これにより、水による乾燥フィルタの自動お掃除機能と、ワイパ機構による乾燥フィルタの自動お掃除機能とが実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明者らの知見によれば、ワイパ機構による乾燥フィルタの自動お掃除機能において、ブラシを有するワイパを使用すると、例えば乾燥フィルタの表面に付着したリントがブラシに絡み付き、ブラシから除去されないことがあった。
【0007】
本開示は、フィルタのお掃除機能の性能を向上する衣類乾燥機およびフィルタ清掃機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本開示に係る衣類乾燥機は、筐体と、前記筐体によって支持された外槽と、前記外槽内に回転可能に収容されており、衣類が収容される内層と、前記外槽に接続された取出口および戻し口を有する循環路と、前記外槽内の空気を前記取出口から前記循環路内に取り出して前記戻し口から前記外槽内に戻すことによって循環させる送風部と、前記循環路内に設けられ、前記循環路内の空気を加熱する加熱部と、前記循環路内において前記加熱部よりも前記取出口側に配置された乾燥フィルタであって、前記循環路内で前記取出口から前記戻し口へ向かう空気から異物を捕獲する縦面部を有する乾燥フィルタと、前記縦面部に上側から給水する給水部と、前記縦面部に沿って移動可能なワイパと、前記ワイパを移動させるアクチュエータとを備える。前記乾燥フィルタは、平板形状であり、上辺、下辺、一方側辺および他方側辺を有する。前記ワイパは、前記乾燥フィルタの前記一方側辺に配置されており、前記乾燥フィルタの前記下辺から前記上辺に延びる長尺形状であり、前記乾燥フィルタの前記下辺側の端部の回動軸において、前記一方側辺から前記下辺に向けて回動可能であり、前記乾燥フィルタと対向する表面に被嵌合部を有するアームと、弾性部材で構成されており、前記アームに沿って延びる長尺形状であり、前記アームの被嵌合部と嵌合する嵌合部と、円筒形状の先端部とを有するブレードとを有する。前記ブレードの先端部の円筒形状の直径は、回動軸側の一端側から他端側に向けて次第に大きくなっている。
【0009】
本開示に係る衣類乾燥機によれば、給水部が乾燥フィルタの縦面部に上側から給水すると、捕獲されて縦面部に付着した異物が、縦面部を流れ落ちる水によって縦面部から剥がれされる。縦面部に付着した異物は、縦面部に沿って移動するワイパに拭き取られることによっても縦面部から剥がれされる。このように洗濯乾燥機が、水やワイパによる乾燥フィルタの自動お掃除機能を有する。
【0010】
また、本開示に係る衣類乾燥機によれば、ワイパが弾性部材で構成されたブレードを有し、ブレードの先端部が中空の円筒形状であるので、ブラシと比較して、乾燥フィルタの表面に付着したリント等の異物がブレードに絡み付くことを低減することができる。また、ブラシと比較して、ブレードに付着したリント等の異物を水で容易に洗い流すことができ、ブレードが水に濡れてもブレードを直ちに乾燥することができる。これにより、乾燥フィルタのお掃除機能の性能を向上することができる。
【0011】
また、ブレードの先端部が中空の円筒形状であるので、ブレードの先端部が乾燥フィルタの凹凸に合わせ柔軟に変形して接触する。これにより、乾燥フィルタのお掃除機能の性能を向上することができる。
【0012】
ここで、回動軸の一方端側のみでアームを支える場合、乾燥フィルタに対するブレードの接触量は、一方端側から他方端側に向けて次第に小さくなる。この点に関し、本開示によれば、ブレードの先端部の円筒形状の直径は、回動軸側の一端側から他端側に向けて次第に大きくなっている。これにより、乾燥フィルタに対するブレードの設計上の接触量を、一端側よりも他端側の方を大きくすることにより、乾燥フィルタに対するブレードの実際の接触量を、一方端側から他方端側に向けて均一にすることができる。また、円筒形状を形成する際の中空の型の抜き勾配を大きくすることができ、製造性を向上することができる。
【0013】
(2)(1)に記載の衣類乾燥機において、前記ワイパが前記乾燥フィルタの前記一方側辺から前記下辺に向けて回動する場合を往路とし、前記往路の回動方向を前方とし、その反対方向を後方とすると、前記アームは、後方側に、前記表面側に垂直に延び、前記ブレードの前記先端部を支持する支持壁を有していてもよい。
【0014】
この構成によれば、ワイパが乾燥フィルタの一方側辺から下辺に向けて回動する往路では、ブレードの先端部は、アームの後方の支持壁によって支持され、乾燥フィルタの縦面部に押し付けられる。これにより、乾燥フィルタのお掃除機能の性能を向上することができる。
【0015】
(3)(1)または(2)に記載の衣類乾燥機において、前記ブレードは、前記嵌合部と前記先端部との間に介在するくびれ部を有していてもよい。
【0016】
この構成によれば、ワイパが乾燥フィルタの下辺から一方側辺に向けて回動する復路では、ブレードの先端部は、くびれ部で折れ、乾燥フィルタの縦面部に比較的に押し付けられない。これにより、復路では、ブレードによって、乾燥フィルタの縦面部に付着した異物を比較的に除去しない。これにより、復路の終端側では、異物を回収する構造が必要ない。
【0017】
(4)(1)から(3)のいずれか1項に記載の衣類乾燥機において、前記給水部および前記アクチュエータを制御する制御部をさらに備え、前記制御部は、メンテナンス処理として、前記アクチュエータによって前記ワイパを前記縦面部の下部まで移動させて一時停止させ、前記給水部によって前記縦面部に上側から給水してもよい。
【0018】
ここで、ワイパが乾燥フィルタの縦面部から異物を拭き取ることにより、異物がワイパに付着することが想定される。この点に関し、本開示によれば、メンテナンス処理として、ワイパが縦面部の下部まで移動して一時停止した状態で縦面部に上側から給水される。これにより、ワイパに付着した異物を、縦面部を流れ落ちる水によってワイパから除去することができる。
【0019】
(5)(4)に記載の衣類乾燥機において、前記制御部は、メンテナンス処理において、前記ワイパを、90度超過135度未満のいずれかの角度まで回動させて一時静止させてもよい。
【0020】
これによれば、メンテナンス処理において、ワイパが傾斜した状態で一時静止するので、ワイパに付着した異物が流水によって流れ易くすることができる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、フィルタのお掃除機能の性能を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本開示の一実施形態に係る洗濯乾燥機の模式的な縦断面左側面図である。
【
図2】洗濯乾燥機内に配置された外槽および乾燥ユニットを後側から見た斜視図である。
【
図3】外槽および乾燥ユニットの分解斜視図である。
【
図4】乾燥ユニットを構成するダクトおよびフィルタ部材の斜視図である。
【
図5】ダクト、フィルタ部材およびワイパ機構の斜視図である。
【
図6】ダクト、フィルタ部材およびワイパ機構の背面図である。
【
図7】ワイパを表面および前方側から示す斜視図である。
【
図8】ワイパを表面および前方側から示す斜視図である。
【
図9】ワイパのアームを表面および前方側から示す斜視図である。
【
図10】ワイパのブレードを裏面および前方側から示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、添付の図面を参照して本開示の実施形態の一例について説明する。なお、各図面において同一または相当の部分に対しては同一の符号を附すこととする。
【0024】
また、以下では、本開示の実施形態として、洗濯機能および乾燥機能を備える洗濯乾燥機について例示するが、本開示はこれに限定されず、洗濯機能を備えず、乾燥機能のみを備える衣類乾燥機にも適用可能である。
【0025】
図1は、本開示の一実施形態に係る洗濯乾燥機1の模式的な縦断面左側面図である。
図1の紙面に直交する方向を洗濯乾燥機1の左右方向Xといい、
図1における左右方向を洗濯乾燥機1の前後方向Yといい、
図1における上下方向を洗濯乾燥機1の上下方向Zという。左右方向Xのうち、
図1の紙面における奥側を右側X1といい、
図1の紙面における手前側を左側X2という。前後方向Yのうち、
図1における左側を前側Y1といい、
図1における右側を後側Y2という。上下方向Zのうち、上側を上側Z1といい、下側を下側Z2という。
【0026】
洗濯乾燥機1は、いわゆるドラム式の洗濯乾燥機である。洗濯乾燥機1は、筐体2と、筐体2内に配置された外槽3と、外槽3に接続された給水路4および排水路5と、排水路5を通って外槽3から排出される水から異物を捕獲する排水フィルタ6とを含む。洗濯乾燥機1は、外槽3内に収容されて洗濯物(衣類)Lを収容する洗濯槽(内層)7と、洗濯槽7を回転させるモータ8と、洗濯槽7内の洗濯物Lを乾燥させる乾燥ユニット9とをさらに含む。
【0027】
筐体2は、ボックス状に形成される。筐体2の前面2Aは、例えば垂直面である。前面2Aには、筐体2の内外を連通させる開口2Bが形成される。前面2Aには、開口2Bを開閉する扉10が設けられる。
【0028】
外槽3は、吊り棒(図示せず)を介して、筐体2によって弾性支持される。外槽3は、水平方向Hに沿って前後方向Yに延びる軸線Jを中心とした円筒状の円周壁3Aと、円周壁3Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁3Bと、円周壁3Aの前端縁につながったリング状の正面壁3Cとを有する。背面壁3Bは、垂直に配置され、外周部3Dと、外周部3Dよりも後側Y2へ一段突出した中央部3Eとを有する。中央部3Eの中心には、軸線Jに沿って中央部3Eを前後方向Yに貫通した貫通孔3Fが形成される。正面壁3Cは、円周壁3Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第1部3Gと、第1部3Gの内周縁から前側Y1へ突出した円筒状の第2部3Hと、第2部3Hの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の第3部3Iとを有する。第3部3Iの内側には、円周壁3Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口3Jが形成される。出入口3Jは、筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向して連通する。
【0029】
給水路4は、蛇口(図示せず)に接続された一端(図示せず)と、外槽3の背面壁3Bにおける例えば中央部3Eに接続された他端4Aとを有する。給水時には、蛇口からの水が給水路4から外槽3内に供給される。外槽3内には、水道水や、水道水に洗剤が溶けた洗剤水などの水が溜められる。給水路4の途中には、給水を開始したり停止したりするために開閉される給水弁11が設けられる。
【0030】
排水路5は、外槽3の下端部、例えば正面壁3Cの第1部3Gの下端部に接続される。外槽3内の水は、排水路5から機外に排出される。排水路5の途中には、排水を開始したり停止したりするために開閉される排水弁12が設けられる。
【0031】
排水フィルタ6は、排水路5において排水弁12よりも外槽3に近い上流部に設けられる。排水フィルタ6の前端は、筐体2の前面2Aに露出されるので、使用者は、排水フィルタ6の前端を掴んで排水フィルタ6を筐体2に対して着脱させることができる。排水フィルタ6の構成として、公知の構成を用いることができる。
【0032】
洗濯槽(内層)7は、外槽3よりも一回り小さい。洗濯槽7は、外槽3の円周壁3Aと同軸上に配置された円筒状の円周壁7Aと、円周壁7Aの中空部分を後側Y2から塞いだ円盤状の背面壁7Bと、円周壁7Aの前端縁から軸線J側へ張り出した円環状の環状壁7Cとを有する。洗濯槽7において少なくとも円周壁7Aには、複数の貫通孔7Dが形成され、外槽3内の水は、貫通孔7Dを介して、外槽3と洗濯槽7との間で行き来する。そのため、外槽3内の水位と洗濯槽7内の水位とは、一致する。洗濯槽7の背面壁7Bの中心には、軸線Jに沿って後側Y2へ延びる支持軸13が設けられる。支持軸13の後端部は、外槽3の背面壁3Bの貫通孔3Fを通って背面壁3Bよりも後側Y2に配置される。
【0033】
環状壁7Cの内側には、円周壁7Aの中空部分に前側Y1から連通した出入口7Eが形成される。出入口7Eは、外槽3の出入口3Jおよび筐体2の開口2Bに対して後側Y2から対向して連通する。出入口3Jおよび出入口7Eは、開口2Bとともに、扉10によって一括開閉される。洗濯乾燥機1の使用者は、開放された開口2B、出入口3Jおよび出入口7Eを介して、洗濯槽7内に洗濯物Lを出し入れする。
【0034】
モータ8は、筐体2内において、外槽3の背面壁3Bの後側Y2に配置される。モータ8は、洗濯槽7に設けられた支持軸13に連結される。モータ8が発生した駆動力は、支持軸13に伝達され、洗濯槽7が、支持軸13を伴って軸線Jまわりに回転する。なお、モータ8と支持軸13と間には、モータ8の駆動力を支持軸13に伝達したり遮断したりするクラッチ機構(図示せず)が設けられてもよい。
【0035】
乾燥ユニット9は、循環路20と、送風部21と、加熱部22とを含む。循環路20は、筐体2内において外槽3の上側Z1に配置された流路である。循環路20は、前後方向Yに延びる途中部分20Aと、途中部分20Aの後端から下側Z2へ延びる後部分20Bと、途中部分20Aの前端から下側Z2へ延びる前部分20Cとを有する。後部分20Bの下端部の前端には、取出口20Dが形成される。取出口20Dは、外槽3の背面壁3Bの外周部3Dにおいて上限水位よりも高い部分に接続され、外槽3内に後側Y2から連通する。前部分20Cの下端には、戻し口20Eが形成される。戻し口20Eは、外槽3の正面壁3Cの第2部3Hの上端部に接続され、外槽3内に上側Z1から連通する。
【0036】
送風部21は、いわゆるブロアであり、循環路20内において取出口20Dに近い上流側の領域に配置された回転羽根23と、回転羽根23を回転させるモータ(図示せず)とを含む。回転羽根23が回転すると、外槽3内の空気、つまり外槽3内および洗濯槽7内の空気が、太い破線矢印で示すように、取出口20Dから循環路20内に取り出された後に、戻し口20Eから外槽3内に戻される。これにより、外槽3内の空気は、外槽3と循環路20とを順に流れるように循環する。
【0037】
加熱部22は、ヒートポンプにおける熱交換器または一般的なヒータなどであり、少なくとも一部が、循環路20内に設けられる。加熱部22において循環路20内に設けられた部分は、フィン状の放熱部22Aを複数有する。加熱部22が作動すると放熱部22Aが高温になるので、循環路20内を流れる空気が放熱部22Aの周囲を通過する際に加熱されて熱風になる。
【0038】
洗濯乾燥機1は、マイコンとして構成された制御部24をさらに含む。制御部24は、モータ8、給水弁11、排水弁12、送風部21および加熱部22の動作を制御することによって洗濯乾燥運転を実行する。洗濯乾燥運転は、洗い工程と、すすぎ工程と、脱水工程と、乾燥工程とを含む。
【0039】
洗い工程の開始に先立って、洗濯槽7内に洗剤が投入される。制御部24は、洗い工程では、排水弁12を閉じた状態で、給水弁11を所定時間開いて外槽3および洗濯槽7に給水してから、モータ8によって洗濯槽7を回転させる。これにより、洗濯槽7内の洗濯物Lが、たたき洗いされる。たたき洗いでは、洗濯物Lがある程度持ち上げられてから水面に自然落下するというタンブリングが繰り返される。タンブリングによる衝撃や、洗濯槽7に溜まった洗剤水に含まれる洗剤成分によって、洗濯物Lから汚れが取り除かれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部24が排水弁12を開いて排水すると、洗い工程が終了する。
【0040】
制御部24は、すすぎ工程では、排水弁12を閉じた状態で、給水弁11を所定時間開いて外槽3および洗濯槽7に給水してから、モータ8によって洗濯槽7を回転させる。すると、前述したタンブリングが繰り返されるので、洗濯物Lが洗濯槽7内の水道水によってすすがれる。タンブリングの開始から所定時間が経過した後に、制御部24が排水すると、すすぎ工程が終了する。すすぎ工程は、複数回繰り返されてもよい。制御部24は、脱水工程では、排水弁12を開いた状態で、洗濯槽7を脱水回転させる。洗濯槽7の脱水回転により生じた遠心力によって、洗濯槽7内の洗濯物Lが脱水される。脱水により洗濯物Lから染み出た水は、排水路5から機外に排出される。脱水工程は、すすぎ工程後だけでなく、洗い工程後にも実施されてもよい。
【0041】
制御部24は、乾燥工程では、送風部21および加熱部22によって熱風を発生させて洗濯槽7と循環路20との間で循環させ、洗濯槽7内の洗濯物Lに供給する。これにより、洗濯物Lが乾燥する。洗濯運転ではリントなどの異物が発生して、この異物が乾燥工程中において熱風に乗って流れる。異物が加熱部22の放熱部22Aに付着して蓄積すると、加熱部22での加熱効率の低下や循環路20における空気の流れの悪化に伴う性能低下が生じるおそれがあるので、この異物を捕獲する必要がある。そこで、乾燥ユニット9は、フィルタ部材25と、分岐路26と、注水弁27とをさらに含む。
【0042】
以下では、送風部21および循環路20について詳しく説明した後に、フィルタ部材25、分岐路26および注水弁27について説明する。
図2は、外槽3および乾燥ユニット9を後側Y2から見た斜視図である。送風部21は、回転羽根23を収容した中空円盤状のケーシング29を含む。ケーシング29は、循環路20の一部であり、筐体2に固定される。ケーシング29の内部空間は、循環路20内における途中部分20Aと後部分20Bとの接続部を構成する。
【0043】
図3は、外槽3および乾燥ユニット9の分解斜視図である。循環路20は、後部分20Bのほとんどを占めるダクト30と、ケーシング29とダクト30とをつないだ接続ホース31とを含む。ダクト30は、本体32と、カバー33(
図2参照)とを含む。
【0044】
本体32は、外槽3の円周壁3Aの左上部分に沿って左下側へ下降するように湾曲した湾曲壁32Aと、前側Y1へ膨出した略半円の板状であって湾曲壁32Aの右端から左側X2へ延びる天壁32Bとを有する。湾曲壁32Aと天壁32Bとの間には、右側X1へ向かうにつれて上下方向Zに狭くなった下流空間32Cが区画される。天壁32Bは、左側X2へ向かうにつれて下降するように、水平方向Hに対して傾斜して延びる。天壁32Bには、上側Z1へ突出した円筒状の上連結部32Dが設けられる。上連結部32Dの内部空間は、下流空間32Cに上側Z1から連通した状態にある。下流空間32Cおよび上連結部32Dの内部空間は、循環路20の後部分20Bの内部空間の一部を構成する。本体32は、下流空間32Cを前側Y1および左側X2から塞ぐように湾曲壁32Aおよび天壁32Bの端縁間に架設された側壁32Eを有する。
【0045】
本体32は、湾曲壁32Aの後端から下側Z2へ延びる第1縦壁32Fと、第1縦壁32Fの下端から後側Y2へ突出した横壁32Gとを有する。第1縦壁32Fの上端は、湾曲壁32Aに沿って円弧状に湾曲し、第1縦壁32Fの下端は、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜しながら直線状に延びる。横壁32Gは、帯状であり、第1縦壁32Fの下端に沿って水平方向Hに対して傾斜しながら延びる。側壁32Eの後端部は、下流空間32Cよりも後側Y2に配置され、側壁32Eの後端部の下部分は、第1縦壁32Fおよび横壁32Gのそれぞれの左端に接続される。
【0046】
本体32は、側壁32Eの後端部および横壁32Gを縁取った背面視L字形状の第2縦壁32Hを有する。第2縦壁32Hの下端部には、前述した取出口20Dが単数または複数形成される。この実施形態では、上下方向Zに長い長穴状の取出口20Dが、1つ形成され、第2縦壁32Hを前後方向Yに貫通する。第2縦壁32Hには、取出口20Dを縁取りつつ前側Y1へ突出した筒状の下連結部32Iが設けられる。外槽3の背面壁3Bの外周部3Dには、取出口20Dと同形状の貫通孔3Kが形成される。下連結部32Iは、貫通孔3Kに後側Y2から挿入される。これにより、取出口20Dは、背面壁3Bに接続されて外槽3内に連通する。
【0047】
本体32は、第1縦壁32Fの右縁、ならびに第2縦壁32Hの左縁、下縁および右縁を連続して縁取りつつ後側Y2へ突出した外壁32Jを有する。外壁32Jは、背面視で略U字状に形成され、外壁32Jの2つの上端部は、天壁32Bの後端部の左端および右端にそれぞれ接続される。外壁32Jにおいて天壁32Bの右端に接続された上端部には、前側Y1へ窪んだ切欠き32JAが形成される。外壁32Jの外周面において前寄りの領域には、当該外周面から突出した第1係止部32JBが複数設けられる。ボルトB1(
図2参照)が、各第1係止部32JBに形成された挿通穴に挿通され、外槽3の背面壁3Bにおいて対応する位置に設けられたねじ穴3Lに組み付けられる。これにより、本体32を含むダクト30の全体が外槽3に固定される。本体32には、側壁32Eの後端部と横壁32Gと天壁32Bと外壁32Jの右部分とによって区画された途中空間32Kが形成される。途中空間32Kは、背面視で略矩形状であり、前後方向Yに薄い空間であって、第1縦壁32Fに後側Y2から隣接して、下流空間32Cに後側Y2から連通する。
【0048】
本体32は、第2縦壁32Hから後側Y2へ突出した縦仕切り板32Lおよび横仕切り板32Mを有する。縦仕切り板32Lは、途中空間32Kに左側X2から隣接して配置され、天壁32Bの後端部から下側Z2に延びて、取出口20Dにおける上側Z1の縁につながる。横仕切り板32Mは、途中空間32Kよりも下側Z2かつ取出口20Dよりも上側Z1に配置され、縦仕切り板32Lの途中部と外壁32Jの右部分との間に架設される。横仕切り板32Mは、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜しながら、天壁32Bおよび横壁32Gと略平行に延びる。横仕切り板32Mの途中部には、横仕切り板32Mを左右方向Xにおいて二分するスリット32Pが形成される。スリット32P内における第2縦壁32Hの後面部には、ねじ穴32Qが形成される。
【0049】
本体32には、縦仕切り板32Lと横仕切り板32Mと天壁32Bと外壁32Jの右部分とによって区画された配置空間32Rが形成される。配置空間32Rは、背面視で略矩形状であり、前後方向Yに薄い空間であって、途中空間32Kに後側Y2から連通する。配置空間32Rにおいて横壁32Gよりも上側Z1の部分は、背面視で途中空間32Kの全域に重なる。配置空間32Rには、フィルタ部材25が配置される。本体32には、縦仕切り板32Lにおいて横仕切り板32Mよりも下側Z2の部分と、横仕切り板32Mと、外壁32Jの右部分および下部分とによって区画された上流空間32Sが形成される。上流空間32Sは、背面視で下側Z2へ膨出する略半円形状をなす空間であって、横仕切り板32Mを挟んで配置空間32Rの下側Z2に位置し、取出口20Dに後側Y2から連通する。
【0050】
本体32には、外壁32Jの左部分と縦仕切り板32Lとによって左右方向Xの両側から挟まれて上下方向Zに細長く延びる縦空間32Tが形成される。縦空間32Tは、第2縦壁32Hの左端部によって前側Y1から塞がれ、天壁32Bの左端部によって上側Z1から塞がれる。縦空間32Tの下端は、上流空間32Sに左側X2から連通する。
【0051】
カバー33(
図2参照)は、背面視において本体32の外壁32Jおよび天壁32Bとほぼ一致した輪郭を有し、下側Z2へ向かうにつれて幅狭になった板状に形成される。カバー33には、その外縁から張り出した複数の係止部33A(
図2参照)が設けられる。係止部33Aに対応して、本体32の外壁32Jの外周面において後寄りの領域には、当該外周面から突出した第2係止部32JCが複数設けられる。ボルト(図示せず)が、各係止部33Aに形成された挿通穴に挿通され、対応する第2係止部32JCの後端面に設けられたねじ穴32JDに組み付けられる。これにより、カバー33が本体32に後側Y2から固定されて、ダクト30が完成する(
図2参照)。
【0052】
完成したダクト30では、本体32の後面側に設けられた配置空間32R、上流空間32Sおよび縦空間32Tが、カバー33によって後側Y2から塞がれる。縦仕切り板32Lの後端がカバー33の前面部に接触する。そのため、縦仕切り板32Lを挟んで配置された配置空間32Rと縦空間32Tとは、遮断される。横仕切り板32Mの後端とカバー33の前面部との間には隙間Q(
図4参照)があるので、配置空間32Rと上流空間32Sとは、この隙間Qを介して連通する。
【0053】
接続ホース31は、例えばゴム製の円筒であり、その内部空間は、上側Z1および下側Z2に開放される。接続ホース31において上端部と下端部との間には、蛇腹部31Aが設けられる。接続ホース31の下端部は、ダクト30の上連結部32Dに対して外嵌される。接続ホース31の上端部は、送風部21のケーシング29に連結される。接続ホース31の内部空間は、循環路20の後部分20Bの内部空間の一部を構成する。洗濯乾燥運転中に外槽3の振動が送風部21へ伝達されることが、蛇腹部31Aの弾性変形によって抑制される。
【0054】
フィルタ部材25は、前後方向Yに薄い板状に形成される。背面視におけるフィルタ部材25の全体形状は、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜した二辺と、上下方向Zに沿って略垂直に延びる別の二辺とを有する矩形状、詳しくは平行四辺形状に形成される。
【0055】
フィルタ部材25は、フレーム41と、乾燥フィルタ42と、給水カバー43とを含む。フレーム41は、背面視で略矩形状の輪郭を有する本体部41Aと、本体部41Aから前側Y1へ突出した左右一対の縦壁41Bと、本体部41Aの下端から前側Y1へ突出した底壁41Cとを有し、例えば樹脂製である。本体部41Aの上縁および下縁は、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜する。本体部41Aの右縁および左縁は、上下方向Zに沿って略垂直に延びる。背面視における本体部41Aのほぼ全域には、本体部41Aを前後方向Yに貫通する開口41Dが設けられる。本体部41Aは、開口41Dを縦断する単数または複数の縦リブ41Eを有する。この実施形態では、2つの縦リブ41Eが左右方向Xに並んで設けられ、開口41Dは、これらの縦リブ41Eによって、左右方向Xに並ぶ3つの小開口41DAへと均等に区分される。各小開口41DAは、縦長の長方形状、厳密には、本体部41Aの上縁および下縁と平行になった二辺を有する平行四辺形状に形成される。
【0056】
本体部41Aの底壁41Cは、左右の縦壁41Bの下端間に架設され、本体部41Aの下縁に沿って、左側X2へ向かうにつれて下降するように水平方向Hに対して傾斜する。左右方向Xにおける底壁41Cの中央部には、底壁41Cから下側Z2へ突出した係止部41CAが設けられる。係止部41CAには、係止部41CAを前後方向Yに貫通する挿通穴41CBが形成される。
【0057】
図4は、ダクト30およびフィルタ部材25を後側Y2から見た斜視図である。
図4では、ダクト30のカバー33の図示が省略される(後述する
図5および
図6においても同様)。フレーム41は、本体部41Aの上縁から少なくとも後側Y2へ突出した天壁41Fをさらに有する。天壁41Fは、左右方向Xに長手の長方形板状であって本体部41Aの上縁に沿って左下へ傾斜して配置された本体部41FAと、本体部41FAよりも短い矩形板状であって本体41BAの右端から水平方向Hに沿って右側X1へ延びる延設部41FBとを有する。本体部41FAには、同一形状かつ同一寸法の給水口41Gが、複数形成される。この実施形態では、給水口41Gは、12個設けられる。それぞれの給水口41Gは、縦、つまり上下方向Zに直線状に延びて本体部41FAを貫通する。これらの給水口41Gは、本体部41Aの後面41ABの上端に沿って左右方向Xに等間隔で一列に並ぶ。
【0058】
乾燥フィルタ42は、本体部41Aの各小開口41DAの全域を覆った状態にある。乾燥フィルタ42は、各小開口41DAに応じて3つに分離して設けられるが、この実施形態では、分離した3つの乾燥フィルタ42を1枚の乾燥フィルタ42とみなす。この実施形態における乾燥フィルタ42は、本体部41Aに取り付けられたメッシュシートであるが、本体部41Aに一体形成された格子であってもよい。また、乾燥フィルタ42は、この実施形態では金属製だが、本体部41Aと同じ樹脂製であってもよい。乾燥フィルタ42において上下左右に沿って延びる後面部を、縦面部42Aという。乾燥フィルタ42の縦面部42Aは、本体部41Aの後面41ABと面一に配置される。フレーム41の天壁41Fに設けられた複数の給水口41Gは、乾燥フィルタ42の縦面部42Aに沿って横つまり左右方向Xに並び、縦面部42Aに上側Z1から臨む。
【0059】
給水カバー43は、左右方向Xに長手で中空の本体部43Aと、本体部43Aに右側X1から接続された中空の接続部43Bとを有する。本体部43Aの内部空間43AAと、接続部43Bの内部空間43BAとは連通した状態にある。接続部43Bには、接続部43Bから突出したパイプ状の管部43Cが設けられる。
図4では、後側Y2へ突出した管部43Cが図示されるが、管部43Cは、右側X1へ突出してもよい(
図5参照)。管部43Cの内部空間43CAは、接続部43Bの内部空間43BAに連通する。本体部43Aの内部空間43AAと、接続部43Bの内部空間43BAと、管部43Cの内部空間43CAとは、一体となって給水カバー43内の流路43Dを構成する。なお、管部43Cが給水カバー43の接続部43Bでなく、例えば、フレーム41の天壁41Fの延設部41FBに設けられてもよい(
図5参照)。
【0060】
給水カバー43は、フレーム41の天壁41Fを上側Z1から覆い、フレーム41に組み合わされる。このように完成したフィルタ部材25では、給水カバー43の本体部43Aの内部空間43AAが天壁41Fの本体部41FAによって下側Z2から塞がれた状態にあり、給水カバー43の接続部43Bの内部空間43BAが天壁41Fの延設部41FBによって下側Z2から塞がれた状態にある。給水カバー43内の流路43Dは、天壁41Fに形成された全ての給水口41Gに上側Z1から接続される。天壁41Fと、天壁41Fを上側Z1から覆う給水カバー43とは、給水部50を構成する。
【0061】
図4に示すように、フィルタ部材25は、ダクト30の配置空間32Rに後側Y2から嵌め込まれることによって、ダクト30内に収容される。フィルタ部材25のフレーム41の底壁41Cがダクト30の横仕切り板32Mに載ることによって、フィルタ部材25が配置空間32R内で位置決めされる。底壁41Cの係止部41CAが横仕切り板32Mのスリット32Pに嵌り、ボルトB2が係止部41CAの挿通穴41CBを通ってスリット32Pのねじ穴32Qに取り付けられる(
図3も参照)。これにより、配置空間32R内のフィルタ部材25は、ダクト30に固定される。なお、係止部41CAは、フレーム41において底壁41C以外の位置に設けられてもよい。
【0062】
ダクト30に固定されたフィルタ部材25のフレーム41では、底壁41C、右の縦壁41Bおよび左の縦壁41Bが、ダクト30の横仕切り板32M、外壁32Jおよび縦仕切り板32Lにそれぞれ接触する。また、フィルタ部材25の給水カバー43の本体部43Aがダクト30の天壁32Bに接触する。これにより、フィルタ部材25は、ダクト30の配置空間32Rのほぼ全域を占め、ダクト30内において下流空間32Cおよび途中空間32Kと、上流空間32Sとの間に位置する。循環路20全体で見ると、フィルタ部材25における乾燥フィルタ42は、循環路20内において加熱部22よりも取出口20D側に配置される(
図1参照)。フレーム41の天壁41Fの延設部41FBおよび給水カバー43の接続部43Bは、外壁32Jの切欠き32JA(
図3参照)を通って配置空間32Rよりも右側X1に配置される。
【0063】
分岐路26は、給水路4において給水弁11よりも蛇口に近い上流部から分岐し、給水カバー43の管部43Cに接続される。注水弁27は、分岐路26に設けられる(
図1参照)。注水弁27は、給水路4から分岐路26に流れる水を管部43Cに供給したり、その供給を停止したりするために開閉される。注水弁27の開閉は、制御部24(
図1参照)によって制御される。注水弁27は、前述した給水部50に含まれる。
【0064】
乾燥工程では、前述したように送風部21および加熱部22によって熱風が発生して循環する。この熱風は、循環路20内において取出口20Dから戻し口20Eへ向かい、その途中の後部分20Bでは上昇しながら送風部21に向かう(
図1の太い破線の矢印参照)。後部分20Bを構成するダクト30内において、熱風は、取出口20Dから上流空間32Sを経て上昇し、フィルタ部材25の乾燥フィルタ42を前側Y1へ通過する。そして、この熱風は、途中空間32Kを経由して下流空間32Cに到達し、接続ホース31の内部を上昇して送風部21のケーシング29内に流入する(
図2も参照)。
【0065】
乾燥フィルタ42の縦面部42Aは、循環路20の上流側を向くように配置されて、循環路20内の熱風からリントなどの異物Tを捕獲する。乾燥工程が進むにつれて、多くの異物Tが捕獲されて縦面部42Aに溜まっていく。これにより、循環路20内において乾燥フィルタ42よりも取出口20Dから下流側に離れて設けられた加熱部22に異物Tが付着することを抑制できる。
【0066】
制御部24は、乾燥工程後つまり洗濯乾燥運転終了後に、注水弁27を開く。なお、給水弁11が給水路4における分岐路26の分岐位置よりも蛇口に近い上流側に設けられてもよく、その場合には、制御部24は、給水弁11および注水弁27の両方を開く。蛇口からの水は、給水路4および分岐路26を経由して、給水カバー43の管部43Cから流路43D内に流入する。
【0067】
流路43D内に流入した水は、流路43D内から各給水口41Gに流出して各給水口41Gから下向きに噴射される。各給水口41Gから噴射された水は、太い破線の矢印で示すように、乾燥フィルタ42の縦面部42Aの上端に上側Z1から浴びせられて、縦面部42Aを伝って流れ落ちる。縦面部42Aに付着した異物Tは、縦面部42Aを流れ落ちる水によって縦面部42Aから剥がされて、そのままダクト30の上流空間32Sに落下し、取出口20Dに到達する。乾燥フィルタ42の周辺には、水や異物Tが落下する方向に延びる縦リブ41Eが設けられるので、異物Tは、縦リブ41Eに引っ掛かることなく円滑に落下する。ダクト30において上流空間32Sを区画する外壁32Jなどには、取出口20Dへ向けて傾斜したガイド部30Aが設けられる。ダクト30では、ガイド部30Aや、本体32の縦仕切り板32Lの下端部が、異物Tや水を取出口20Dへガイドする。取出口20Dに到達した異物Tは、取出口20Dから外槽3内に落下し、外槽3内に溜まる。各給水口41Gから縦面部42Aに浴びせられた水も、異物Tと同様に、ダクト30から外槽3内に落下し、外槽3内に溜まる。
【0068】
乾燥フィルタ42の縦面部42Aは、循環路20を構成する上流空間32S内に直接露出される。そのため、給水口41Gから縦面部42Aに給水されると、縦面部42Aに付着した異物Tは、縦面部42Aから剥がれた後に速やかに循環路20内を落下して取出口20Dから外槽3内に到達する。
【0069】
注水弁27が開いてから所定時間が経過すると、制御部24は、注水弁27を閉じることによって給水部50への給水を停止して、排水弁12を開く。なお、注水弁27の開いた状態において、排水弁12も常に開かれてもよい。排水弁12が開くと、外槽3内に溜まった水が、異物Tを乗せて排水路5に流れ込む。つまり、異物Tは、外槽3の排水時に
外槽3内から除去される。排水路5に流れ込んだ異物Tは、排水フィルタ6(
図1参照)によって捕獲される。排水フィルタ6によって捕獲された異物Tは、適当なタイミングにおいて使用者が排水フィルタ6を取り外してメンテナンスする際に除去される。
【0070】
以上のように、洗濯乾燥機1では、所定のタイミングにおいて、給水部50が、乾燥フィルタ42の縦面部42Aに上側Z1から給水する。つまり、洗濯乾燥機1が、水による乾燥フィルタ42の自動お掃除機能を有する。さらに、洗濯乾燥機1は、これから説明するワイパ機構60による乾燥フィルタ42の自動お掃除機能も有する。
図5は、ダクト30、フィルタ部材25およびワイパ機構60を右後側から見た斜視図である。ワイパ機構60は、ダクト30に固定されたステー61と、ステー61に取り付けられたワイパ70およびアクチュエータ63とを含む。
【0071】
ステー61は、板状であり、ダクト30の本体32において例えば外壁32Jの右部分に固定され、本体32から右側X1へ張り出すように配置される。ステー61の左端部は、乾燥フィルタ42の縦面部42Aの右端部における下端部に後側Y2から対向して配置される。
【0072】
ワイパ70は、長尺形状であり、前後方向Yにおいて乾燥フィルタ42の縦面部42Aとステー61の左端部との間に配置される。ワイパ70の前面部には、その長手方向のほぼ全域にわたって、弾性を有するブレード74が設けられる。
図5に示すワイパ70は、縦長になった待機位置にある。待機位置にあるワイパ70は、背面視において、乾燥フィルタ42の縦面部42Aの右端部と重なった状態にあり、ブレード74が、縦面部42Aの右端部に後側Y2から接触した状態にある。このときのブレード74の上下方向Zの寸法は、縦面部42Aの上下方向Zの寸法より少し小さい。待機位置にあるワイパ70は、背面視において、縦面部42Aに重ならないように、縦面部42Aの右端部よりも右側X1に配置されてもよい。いずれにせよ、待機位置にあるワイパ70は、縦面部42Aでの異物Tの捕獲を妨げない位置にある。待機位置のワイパ70において下端部をなす根元部は、前後方向Yに延びてステー61の左端部を貫通した回動軸65を介して、ステー61に連結される。ワイパ70は、回動軸65を伴って、回動軸65まわりに回動可能である。
【0073】
アクチュエータ63の一例は、電動モータである。アクチュエータ63の動作は、制御部24(
図1参照)によって制御される。アクチュエータ63は、ダクト30の本体32よりも右側X1、つまりダクト30の外に配置されて、ステー61の右端部に前側Y1から固定される。アクチュエータ63は、ステー61の右端部を貫通した出力軸66を有する。ワイパ機構60は、ワイパ70の回動軸65の後端部に固定された入力ギア67と、出力軸66の後端部に固定された出力ギア68とを含む。入力ギア67および出力ギア68は、平歯車であって、直接噛み合ってもよいし、
図5に示すように単数または複数の中継ギア69を介して連結されてもよい。アクチュエータ63が作動すると、出力軸66が出力ギア68を伴って回転し、その回転が中継ギア69を介して入力ギア67に伝達されることにより、入力ギア67は、ワイパ70および回動軸65を伴って回動軸65まわりに回動する。
【0074】
図6は、ダクト30の本体32、フィルタ部材25およびワイパ機構60の背面図である。ワイパ70は、実線で示す待機位置と、2点鎖線で示す拭取位置との間で回動可能である。拭取位置は、ワイパ70が待機位置から背面視で反時計回りに90度を超えて135度未満、例えば120度、回動したときの位置である。拭取位置にあるワイパ70は、背面視において、乾燥フィルタ42の縦面部42Aの下部と重なる。拭取位置にあるワイパ70は、乾燥フィルタ42の縦面部42Aよりも下側Z2に配置されてもよい。ワイパ70は、アクチュエータ63の駆動力を受けて待機位置と拭取位置との間で回動する際、乾燥フィルタ42の縦面部42Aのほぼ全域をブレード74で拭くように縦面部42Aに沿って移動する。本体32とカバー33とが組み合わさることによってダクト30が完成した状態において、ワイパ機構60では、少なくともワイパ70が、ダクト30内の配置空間32Rに配置される。
【0075】
制御部24は、乾燥工程中に、ワイパ70を待機位置と拭取位置との間で何度か往復移動させる。そのため、乾燥工程中に乾燥フィルタ42によって捕獲されて縦面部42Aに蓄積した異物Tは、縦面部42Aに沿って往復移動するワイパ70に拭き取られることによっても縦面部42Aから剥がれされる。縦面部42Aから剥がれされた異物Tは、前述したように循環路20内を落下して取出口20Dから外槽3内に到達し、外槽3の排水時に外槽3内から除去される。
【0076】
乾燥工程が終了すると、前述したように、制御部24は、給水部50によって乾燥フィルタ42の縦面部42Aに上側Z1から給水する。この給水は、例えば1分間継続される。縦面部42Aに付着した異物Tが、この給水によって縦面部42Aから剥がされる。
【0077】
乾燥工程中にワイパ70が往復移動して縦面部42Aから異物Tを拭き取ることにより、異物Tがワイパ70に付着すること、つまりワイパ70自体が汚れることが想定される。そこで、制御部24は、ワイパ70のメンテナンス処理として、乾燥工程終了後において給水部50による縦面部42Aへの給水を継続した状態で、アクチュエータ63によってワイパ70を拭取位置まで移動させて、拭取位置で静止させる。ここでのワイパ70の回動によって、縦面部42Aに残った異物Tが拭き取られる。そして、給水部50による給水により、ワイパ70に付着した異物Tを、縦面部42Aを流れ落ちる水(
図6の太い2点鎖線の矢印を参照)の勢いによってワイパ70から除去することができる。そのため、使用者は、乾燥フィルタ42のメンテナンスだけでなく、ワイパ70のメンテナンスもせずに済む。よって、メンテナンス性の向上を図れる。給水部50による1分間の給水が終了すると、制御部24は、ワイパ70を回動させて待機位置に戻す。これにより、メンテナンス処理が終了する。ワイパ70が待機位置から拭取位置まで回動して待機位置に戻るまでにかかる時間は、6秒程度である。
【0078】
このように洗濯乾燥機1が、水やワイパ70による乾燥フィルタ42の自動お掃除機能を有するので、使用者は、乾燥フィルタ42を取り外してメンテナンスをしなくてもよい。よって、乾燥フィルタ42に関するメンテナンス性の向上を図れる。乾燥フィルタ42は、取り外し可能でなくてもよいので、着脱式の乾燥フィルタよりも構造の簡素化やコストダウンを図れる。また、着脱式の乾燥フィルタの場合に使用者がメンテナンスを忘れると、前述した性能低下が生じ得るが、自動お掃除機能を有する洗濯乾燥機1では、メンテナンス忘れによる性能低下を回避できる。また、着脱式の乾燥フィルタの場合に必要な配置スペースを別の用途に活用できるので、例えば加熱部22や回転羽根23を大型化して性能向上を図れる。
【0079】
以下では、
図7~
図10を用いて、ワイパ機構60におけるワイパ70について詳細に説明する。
図7および
図8は、ワイパ70を表面FSおよび前方F側から示す斜視図である。
図9は、ワイパ70のアーム72を表面FSおよび前方F側から示す斜視図であり、
図10は、ワイパ70のブレード74を裏面RSおよび前方F側から示す斜視図である。
図7~
図10に示すように、ワイパ70は、アーム72とブレード74とを有する。
【0080】
アーム72は、乾燥フィルタ42の一方側辺(右端)に配置されており、乾燥フィルタ42の下辺(下端)から上辺(上端)に向けて延びる長尺形状を有し、乾燥フィルタ42の下辺側の端部に回動軸65を有する。アーム72は、アクチュエータ63によって駆動され、乾燥フィルタ42の縦面部42Aに沿って一方側辺から下辺に向けて回動可能である。
【0081】
アーム72は、ブレード74と嵌合する被嵌合部72Aを有する。アーム72において、乾燥フィルタ42と対向する面を表面FSとし、その反対側の面を裏面RSとすると、被嵌合部72Aは、アーム72の表面FSにおいて、長手方向に、回動軸65と反対側の端部まで延びる窪みを有する。窪みは、長手方向に交差する断面において、台形形状を有する。具体的には、被嵌合部72Aの内側面は、裏面RSから表面FSに向けて窪み幅が狭くなるテーパ形状を有する。これにより、被嵌合部72Aは、回動軸65と反対側の端部からスライドして挿入されるブレード74と嵌合する。
【0082】
アーム72は、ブレード74を固定する固定部72Bを有する。固定部72Bは、被嵌合部72Aの裏面RS側の底部における孔または窪みを有する。これにより、固定部72Bは、後述するブレード74の被固定部74D(突起)と嵌合してブレード74を固定する。
【0083】
アーム72において、乾燥フィルタ42の他方側辺(左端)の側を前方Fとし、その反対側を後方Rとすると、換言すれば、ワイパ70が乾燥フィルタ42の一方側辺から下辺に向けて回動する往路の回動方向を前方Fとし、その反対方向を後方Rとすると、アーム72の前方F側は、表面FSにおいて、後述するブレード74のくびれ部74Bよりも低い。一方、アーム72の後方R側は、表面FSにおいて、ブレード74のくびれ部74Bよりも高い。具体的には、アーム72の後方R側には、表面FSにおいて、ブレード74の先端部74Cまで垂直または略垂直に延び、ブレード74の先端部74Cを支持する支持壁72Cを有する。
【0084】
支持壁72Cは、後述する先端部74Cの円筒形状の半分の高さまで延びていてもよい。また、支持壁72Cの前方F側の面であって、ブレード74の先端部74Cと対抗する部分の面72Dは、後述する先端部74Cの円筒形状に沿う円弧形状(例えば、1/4円弧形状)であってもよい。
【0085】
これにより、ワイパ70が乾燥フィルタ42の一方側辺から下辺に向けて回動する往路では、後述するブレード74の先端部74Cは、アーム72の後方Rの支持壁72Cによって支持され、乾燥フィルタ42の縦面部42Aに押し付けられる。これにより、乾燥フィルタのお掃除機能の性能を向上することができる。なお、支持壁72Cの面72Dが円弧形状(例えば、1/4円弧形状)であるので、後述するように、ブレード74の先端部74Cが円筒形状であっても、ブレード74の先端部74Cは支持壁72Cによってしっかりと支持される。
【0086】
一方、ワイパ70が乾燥フィルタ42の下辺から一方側辺に向けて回動する復路では、後述するブレード74の先端部74Cは、くびれ部74Bで折れ、乾燥フィルタ42の縦面部42Aに比較的に押し付けられない。これにより、復路では、ブレード74によって、乾燥フィルタ42の縦面部42Aに付着した異物Tを比較的に除去しない。これにより、復路の終端側では、異物Tを回収する構造が必要ない。また、復路の終端側である初期位置で、異物Tが保持されたまま待機状態にならない。
【0087】
ブレード74は、軟性ゴム材料等の弾性部材で構成されており、弾性を有する。ブレード74は、アームに沿って延びる長尺形状であり、嵌合部74Aと、くびれ部74Bと、先端部74Cとを有する。
【0088】
嵌合部74Aは、長手方向に交差する断面において、台形形状を有する。具体的には、嵌合部74Aは、裏面RSから表面FSに向けて幅が狭くなるテーパ形状を有する。これにより、嵌合部74Aは、アーム72の被嵌合部72Aに、回動軸65と反対側の端部からスライドして挿入されて、アーム72の被嵌合部72Aと嵌合する。
【0089】
くびれ部74Bは、嵌合部74Aと先端部74Cとの間に介在しており、嵌合部74Aおよび先端部74Cよりも狭い幅を有する。これにより、上述したように、ワイパ70が乾燥フィルタ42の下辺から一方側辺に向けて回動する復路では、ブレード74の先端部74Cは、くびれ部74Bで折れ、乾燥フィルタ42の縦面部42Aに押し付けられない。例えば、くびれ部74Bの裏面RSから表面FSに向かう方向の長さL1は、後述する先端部74Cの円筒形状の内径R12,R22の半分以上である(例えば
図7、
図8参照)。これにより、より軽い負荷で、ブレード74の先端部74Cがくびれ部74Bで屈曲し、ブレード74の先端部74Cの、乾燥フィルタ42の縦面部42Aへの押し当て力が弱まる。そのため、復路において、ブレード74の先端部74Cによる塵埃の除去力を抑えることができる。
【0090】
先端部74Cは、長手方向に延びる中空の円筒形状を有する。これにより、ブラシと比較して、乾燥フィルタ42の縦面部42Aに付着したリント等の異物Tがブレード74に絡み付くことを低減することができる。また、ブラシと比較して、ブレード74に付着したリント等の異物Tを水で容易に洗い流すことができ、ブレード74が水に濡れてもブレード74を直ちに乾燥することができる。これにより、乾燥フィルタ42のお掃除機能の性能を向上することができる。
【0091】
また、ブレード74の先端部74Cが中空の円筒形状であるので、ブレード74の先端部74Cが乾燥フィルタ42の凹凸に合わせ柔軟に変形して接触する。これにより、乾燥フィルタ42のお掃除機能の性能を向上することができる。
【0092】
ここで、回動軸65の一方端側のみでアーム72を支える場合、乾燥フィルタ42に対するブレード74の接触量は、一方端側から他方端側に向けて次第に小さくなる。
【0093】
この点に関し、先端部74Cの円筒形状の直径は、回動軸65側の一端側から他端側に向けて次第に大きくなっている(例えば
図8参照)。例えば、先端部74Cの他端側の円筒形状の直径R21は、先端部74Cの一端側の円筒形状の直径R11よりも大きく、先端部74Cの他端側の円筒形状の内径R22は、先端部74Cの一端側の円筒形状の内径R12よりも大きい(例えば
図7、
図8参照)。これにより、乾燥フィルタ42に対するブレード74の設計上の接触量を、一端側よりも他端側の方を大きくすることにより、乾燥フィルタ42に対するブレード74の実際の接触量を、一方端側から他方端側に向けて均一にすることができる。また、円筒形状を形成する際の中空の型の抜き勾配を大きくすることができる。
【0094】
また、ブレード74は、被固定部74Dを有する。被固定部74Dは、嵌合部74Aの裏面RS側の一部に配置された突起である。被固定部74Dは、アーム72の被嵌合部72Aの底部の被固定部72Bと嵌合することにより、ブレード74をアーム72に固定する。
【0095】
この発明は、以上に説明した実施形態に限定されるものではなく、請求項に記載の範囲内において種々の変更が可能である。
【0096】
例えば、ワイパ70を移動させるアクチュエータ63として、前述した電動モータに限らず、ソレノイドなどを用いてもよい。また、アクチュエータ63が発生した駆動力をワイパ70に伝達する機構として、前述した入力ギア67、出力ギア68および中継ギア69を用いたギア伝達機構以外の構成が挙げられる。当該構成の一例として、ワイパ70の回動軸65およびアクチュエータ63の出力軸66のそれぞれにプーリを取り付けて、これらのプーリをワイヤで連結する。このワイヤは、ワイパ70の回動軸65のプーリに例えば半周程度巻き付けられた後に引き出されて、バネなどの付勢部材に連結される。アクチュエータ63が発生した駆動力がワイヤを介してワイパ70に伝達されることにより、ワイパ70が待機位置から拭取位置まで回動する。このときに伸ばされた付勢部材が縮もうとする付勢力によって、ワイパ70が拭取位置から待機位置まで回動する。
【0097】
前述した実施形態では、乾燥フィルタ42の縦面部42Aが循環路20の取出口20D側つまり上流側を向くように縦に配置されるが、縦面部42Aは、垂直方向に沿って配置されてもよいし、垂直方向に対して傾斜して配置されてもよい。
【0098】
乾燥フィルタ42の縦面部42Aから取り除かれた異物Tや、縦面部42Aに浴びせられた水は、前述した実施形態では、循環路20の取出口20Dから外槽3を経由して排水路5に向かう。これに代え、ダクト30の本体32の外壁32Jにおいて縦面部42Aよりも下側Z2の下端部に、逃がし穴32U(
図5参照)を設けて、排水路5において例えば排水フィルタ6よりも上流側の部分と逃がし穴32Uとを流路100によってつないでもよい。これにより、ダクト30内の異物Tや水を、外槽3を経由させずに、逃がし穴32Uおよび流路100から排水路5に到達させることができる。これにより、洗濯槽7内の洗濯物Lに異物Tや水が付着することを防止できる。
【0099】
洗濯乾燥機1では、排水フィルタ6が省略されてもよい。この場合には、各乾燥フィルタ42で捕獲されて外槽3に流された異物Tは、外槽3の排水時に排水路5(
図1参照)を通って機外に排出される。
【0100】
前述したメンテナンス処理の一環として、制御部24は、給水部50から乾燥フィルタ42への給水を停止した後に、送風部21によって外槽3内の空気を循環させてもよい。これにより、異物Tの除去のために先ほど水が噴射されて濡れた乾燥フィルタ42は、外槽3から循環路20に流れ込む空気が浴びせられることによって乾燥する。なお、加熱部22も作動することによって、熱風が循環してもよく、これにより、乾燥フィルタ42の乾燥が促進される。このように使用者が乾燥フィルタ42を乾燥させなくてもよいので、乾燥フィルタ42に関するメンテナンス性の一層の向上を図れる。
【0101】
前述した実施形態におけるドラム式の洗濯乾燥機1では、軸線Jが水平方向Hに傾斜するように洗濯槽7が配置されてもよい。また、洗濯乾燥機1は、軸線Jが縦に延びる縦型の洗濯乾燥機であってもよい。
【0102】
また、上述した実施形態では、ワイパ70のブレード74の先端部74Cの円筒形状の直径が、回動軸側の一端側から他端側に向けて次第に大きくなっている形態を例示した。しかし、本開示の特徴は、これに限定されず、ブレード74の先端部74Cの円筒形状の直径は、回動軸側の一端側から他端側に向けて同一であってもよい。
【0103】
また、上述した実施形態では、洗濯機能および乾燥機構を備える洗濯乾燥機について説明した。しかし、本開示の特徴は、これに限定されず、乾燥機能を備える衣類乾燥機等の種々の機器のフィルタ清掃機構にも適用可能である。
【0104】
この場合、フィルタ清掃機構は、
空気が通過する際に空気から異物を捕獲する面を有するフィルタであって、互いに対向する一方端辺および他方端辺と、これらの端辺と交差し互いに対向する一方側辺および他方側辺を有するフィルタと、
前記フィルタの前記一方側辺に配置されており、前記フィルタの面に沿って前記一方側辺から前記他方端辺に向けて回動可能であるワイパと、
前記ワイパを回動させるアクチュエータと、
を備え、
前記ワイパは、
前記乾燥フィルタの前記他方端辺から前記一方端辺に延びる長尺形状であり、前記フィルタの前記他方端辺側の端部に回動軸において、前記一方側辺から前記他方端辺に向けて回動可能であり、前記フィルタと対向する表面に被嵌合部を有するアームと、
弾性部材で構成されており、前記アームの被嵌合部と嵌合する嵌合部と、円筒形状の先端部とを有するブレードと、
を有し、
前記ブレードの先端部の円筒形状の直径は、回動軸側の一端側から他端側に向けて次第に大きくなっていればよい。
【0105】
また、上記したフィルタ清掃機構において、前記ワイパが前記フィルタの前記一方側辺から前記他方端辺に向けて回動する場合を往路とし、前記往路の回動方向を前方とし、その反対方向を後方とすると、前記アームは、後方側に、前記表面側に垂直に延び、前記ブレードの前記先端部を支持する支持壁を有していてもよい。
【0106】
また、上記したフィルタ清掃機構において、前記ブレードは、前記嵌合部と前記先端部との間に介在するくびれ部を有していてもよい。
【符号の説明】
【0107】
1 洗濯乾燥機
2 筐体
3 外槽
5 排水路
7 洗濯槽
20 循環路
20D 取出口
20E 戻し口
21 送風部
22 加熱部
24 制御部
30 ダクト
32U 逃がし穴
42 乾燥フィルタ
42A 縦面部
50 給水部
63 アクチュエータ
70 ワイパ
72 アーム
72A 被嵌合部
72B 固定部
72C 支持壁
74 ブレード
74A 嵌合部
74B くびれ部
74C 先端部
74D 被固定部
100 流路
L 洗濯物
T 異物
Z1 上側
Z2 下側