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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024170997
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】成形システム
(51)【国際特許分類】
   B29C 49/22 20060101AFI20241204BHJP
   B29C 49/06 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B29C49/22
B29C49/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087819
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000104674
【氏名又は名称】キョーラク株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001139
【氏名又は名称】SK弁理士法人
(74)【代理人】
【識別番号】100130328
【弁理士】
【氏名又は名称】奥野 彰彦
(74)【代理人】
【識別番号】100130672
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 寛之
(72)【発明者】
【氏名】樽野 真輔
【テーマコード(参考)】
4F208
【Fターム(参考)】
4F208AG03
4F208AG07
4F208AH55
4F208LA04
4F208LA08
4F208LB01
4F208LB22
4F208LG03
4F208LG06
4F208LG28
4F208LG32
4F208LJ01
4F208LN23
(57)【要約】      (修正有)
【課題】二重容器の容器本体を効率的かつ省スペースで製造可能な成形システムを提供する。
【解決手段】成形システム50であって、前記成形システム50は、搬送装置51と、射出成形装置62と、プリフォーム供給装置53と、加熱装置35と、ブロー成形装置36と、容器取り出し装置54を備え、前記プリフォーム供給装置53は、外プリフォームを内プリフォーム14に被せて構成されたプリフォーム15を供給するように構成され、前記外プリフォームと前記内プリフォーム14の一方は前記射出成形装置62で射出成形され、前記外プリフォームと前記内プリフォーム14の他方は外部から供給され、前記ブロー成形装置36は、加熱後の前記プリフォーム15を二軸延伸ブロー成形して容器本体2を製造するように構成され、前記取り出し装置54は、前記容器本体2を搬送コア51aから取り外すように構成される、成形システム50が提供される。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
成形システムであって、
前記成形システムは、搬送装置と、射出成形装置と、プリフォーム供給装置と、加熱装置と、ブロー成形装置と、容器取り出し装置を備え、
前記搬送装置は、周回経路に沿って搬送コアを搬送するように構成され、
前記プリフォーム供給装置は、外プリフォームを内プリフォームに被せて構成されたプリフォームを前記搬送コアに供給するように構成され、
前記外プリフォームと前記内プリフォームの一方は前記射出成形装置で射出成形され、前記外プリフォームと前記内プリフォームの他方は外部から供給され、
前記プリフォーム供給装置と、前記加熱装置と、前記ブロー成形装置と、前記取り出し装置は、前記周回経路に沿って配置され、
前記加熱装置は、前記プリフォームを加熱するように構成され、
前記ブロー成形装置は、加熱後の前記プリフォームを二軸延伸ブロー成形して容器本体を製造するように構成され、
前記取り出し装置は、前記容器本体を前記搬送コアから取り外すように構成される、成形システム。
【請求項2】
請求項1に記載の成形システムであって、
前記プリフォーム供給装置は、内プリフォーム供給装置と、外プリフォーム供給装置を備え、
前記内プリフォーム供給装置は、前記容器本体が取り外された後の前記搬送コアに、外部から供給された前記内プリフォームを装着するように構成され、
前記外プリフォーム供給装置は、前記射出成形装置から受け取った前記外プリフォームを、前記搬送コアに装着された状態の前記内プリフォームに被せるように構成される、成形システム。
【請求項3】
請求項1に記載の成形システムであって、
前記プリフォーム供給装置は、内プリフォーム供給装置と、外プリフォーム供給装置を備え、
前記外プリフォーム供給装置は、前記射出成形装置から受け取った前記外プリフォームを保持するように構成され、
前記内プリフォーム供給装置は、前記外プリフォーム供給装置が保持している状態の前記外プリフォームに、外部から供給された前記内プリフォームを挿入することによって前記プリフォームを形成するように構成され、
前記外プリフォーム供給装置は、前記プリフォームを前記搬送コアに装着するように構成される、成形システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二重容器の容器本体の製造に適した成形システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外殻と内袋とを有する容器本体を備える二重容器が知られている。例えば、特許文献1には、内プリフォームに外プリフォームを被せて構成されるプリフォームを二軸延伸ブロー成形して、内袋とこれを覆う外殻を有する容器本体を製造する工程を備える二重容器の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-10741号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、別々に準備した内プリフォームと外プリフォームを重ね合わせ、それを加熱して二軸延伸ブロー成形しているが、このような工程を効率的かつ省スペースで行うことが容易ではない。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、二重容器の容器本体を効率的かつ省スペースで製造可能な成形システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、以下の発明が提供される。
[1]成形システムであって、前記成形システムは、搬送装置と、射出成形装置と、プリフォーム供給装置と、加熱装置と、ブロー成形装置と、容器取り出し装置を備え、前記搬送装置は、周回経路に沿って搬送コアを搬送するように構成され、前記プリフォーム供給装置は、外プリフォームを内プリフォームに被せて構成されたプリフォームを前記搬送コアに供給するように構成され、前記外プリフォームと前記内プリフォームの一方は前記射出成形装置で射出成形され、前記外プリフォームと前記内プリフォームの他方は外部から供給され、前記プリフォーム供給装置と、前記加熱装置と、前記ブロー成形装置と、前記取り出し装置は、前記周回経路に沿って配置され、前記加熱装置は、前記プリフォームを加熱するように構成され、前記ブロー成形装置は、加熱後の前記プリフォームを二軸延伸ブロー成形して容器本体を製造するように構成され、前記取り出し装置は、前記容器本体を前記搬送コアから取り外すように構成される、成形システム。
[2][1]に記載の成形システムであって、前記プリフォーム供給装置は、内プリフォーム供給装置と、外プリフォーム供給装置を備え、前記内プリフォーム供給装置は、前記容器本体が取り外された後の前記搬送コアに、外部から供給された前記内プリフォームを装着するように構成され、前記外プリフォーム供給装置は、前記射出成形装置から受け取った前記外プリフォームを、前記搬送コアに装着された状態の前記内プリフォームに被せるように構成される、成形システム。
[3][1]に記載の成形システムであって、前記プリフォーム供給装置は、内プリフォーム供給装置と、外プリフォーム供給装置を備え、前記外プリフォーム供給装置は、前記射出成形装置から受け取った前記外プリフォームを保持するように構成され、前記内プリフォーム供給装置は、前記外プリフォーム供給装置が保持している状態の前記外プリフォームに、外部から供給された前記内プリフォームを挿入することによって前記プリフォームを形成するように構成され、前記外プリフォーム供給装置は、前記プリフォームを前記搬送コアに装着するように構成される、成形システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明の成形システムでは、射出成形装置によって射出成形された外プリフォームを内プリフォームに被せて構成されたプリフォームを搬送コアに供給するように構成されているので、外プリフォームを外部から供給する必要がなく、効率的な製造が可能である。また、プリフォーム供給装置と、加熱装置と、ブロー成形装置と、取り出し装置を周回経路に沿って配置されているので、成形システムを省スペースで構成することができる。従って、本発明によれば、二重容器の容器本体を効率的かつ省スペースで製造可能な成形システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の第1実施形態の二重容器1の斜視図である。図中の一点鎖線は、表面形状を構成する面の曲率が変化する境界線を表す。図2図4図5についても同様である。
図2図1中の容器本体2の斜視図である。
図3図2の容器本体2の口部5近傍の縦断面図である。
図4】内プリフォーム14及び外プリフォーム13の斜視図である。
図5】プリフォーム15の斜視図である。
図6】本発明の第1実施形態の成形システム50の平面図である。図6図16を説明のための模式図であり、寸法や形状は、必ずしも正確ではない。
図7図7A及び図7Bは、取り出し装置54及び内プリフォーム供給装置57を含む部位を、搬送コア51aの搬送方向の前側から見た図であり、取り出し装置54が容器本体2を搬送コア51aから取り外す工程を示す。
図8図8A及び図8Bは、図7Aと同じ部位を同じ方向から見た図であり、内プリフォーム供給装置57が内プリフォーム14を搬送コア51aに装着する工程を示す。
図9図9A及び図9Bは、外プリフォーム供給装置58を含む部位を、搬送コア51aの搬送方向の後側から見た図であり、外プリフォーム供給装置58が射出成形装置52から外プリフォーム13を受け取る工程を示す。
図10図10A及び図10Bは、図9Aと同じ部位を同じ方向から見た図であり、外プリフォーム供給装置58から外プリフォーム13を搬送コア51aに装着する工程を示す。
図11図11A及び図11Bは、本発明の第2実施形態の成形システム50の内プリフォーム供給装置57を含む部位を、搬送コア51aの搬送方向の前側から見た図であり、内プリフォーム供給装置57が内プリフォーム14を搬送コア51aに装着する工程を示す。
図12】本発明の第3実施形態の成形システム50の平面図である。
図13図13A及び図13Bは、プリフォーム供給装置53を含む部位を、搬送コア51aの搬送方向の後側から見た図であり、外プリフォーム13に内プリフォーム14を挿入してプリフォーム15を形成する工程を示す。
図14図14A及び図14Bは、図13Aと同じ部位を同じ方向から見た図であり、プリフォーム15を搬送コア51aに装着する工程を示す。
図15図15A及び図15Bは、本発明の第4実施形態の成形システム50のプリフォーム供給装置53を含む部位を、搬送コア51aの搬送方向の後側から見た図であり、外プリフォーム13に内プリフォーム14を挿入してプリフォーム15を形成する工程を示す。
図16図16A及び図16Bは、図15Aと同じ部位を同じ方向から見た図であり、プリフォーム15を搬送コア51aに装着する工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について説明する。以下に示す実施形態中で示した各種特徴事項は、互いに組み合わせ可能である。また、各特徴について独立して発明が成立する。
【0010】
1.第1実施形態
図1図10を用いて、本発明の第1実施形態について説明する。まず、本実施形態の成形システム50によって製造可能な二重容器1について説明する。次に、成形システム50で用いるプリフォーム15に説明する。次に、成形システム50について詳細に説明する。
【0011】
1-1.二重容器1の構造
図1に示すように、二重容器1は、容器本体2と、口部装着部材8を備える。二重容器1は、成形システム50で製造可能な二重容器の一例であり、成形システム50によって別の形状の二重容器の容器本体を製造してもよい。例えば、内袋4は、容器本体2から引き抜き不能になっていてもよい。
【0012】
図2に示すように、容器本体2は、口部5と、胴部6と、底部7を備える。口部5は、開口端5cを有する筒状(好ましくは円筒状)部位である。口部5は、口部装着部材8を装着可能な係合部4mを備える。口部装着部材8は、本実施形態ではキャップ8aであるが、ポンプであってもよい。口部5には、フランジ5bが設けられている。フランジ5bは、口部5に口部装着部材8を装着する際に口部5を支持するために利用可能である。
【0013】
胴部6は、口部5よりも開口端5cから離れた側に口部5に隣接して配置される。胴部6は、口部5よりも外径(本明細書において、「外径」は、断面が円形でない場合は、円相当径を意味する。)が大きい。胴部6は筒状であり、底部7は、胴部6の下端に設けられ、胴部6の下端を閉塞する。胴部6は、口部5に近づくにつれて外径が小さくなる肩部6bを備える。また、胴部6は、肩部6bよりも底部7側に、胴部本体6cを備える。胴部本体6cは、例えば、底部7に向かって外径が略一定である部位、又は底部7に向かって縮径する部位を有する。
【0014】
図3に示すように、容器本体2は、内袋4と、内袋4を覆うように配置された外殻3を備える。内袋4は、突出部4c以外の内袋本体4dが外殻3内に収容されている。以下の説明では、内袋4のうち、容器本体2の口部5、胴部6、及び底部7に相当する部位をそれぞれ、内袋4の口部5、胴部6、及び底部7のように称する。外殻3についても同様である。
【0015】
口部装着部材8は、好ましくは、打栓式で容器本体2の口部5に装着可能に構成されており、口部装着部材8を口部5に被せた状態で、口部装着部材8を底部7の方向に押圧することによって、口部装着部材8を口部5に係合させて装着することができる。
【0016】
口部装着部材8は、内袋4の口部5に周方向及び軸方向に係合されており、口部装着部材8の回転に伴って内袋4が外殻3に対して回転するように構成されている。軸方向とは、口部5の中心軸C(図4に図示)の方向である。内袋4と外殻3の間に設けられたカム機構(不図示)の作用により、内袋4の回転に伴って内袋4が容器本体2から抜け出す方向に移動するように構成される。
【0017】
このような構成によれば、口部装着部材8を回転させることによって、内袋4を捻りながら容器本体2から抜け出る方向に移動させることができ、その後は、口部装着部材8を引っ張ることによって、内袋4を容器本体2から引き抜くことができる。
【0018】
1-2.プリフォーム15
図4図5を用いて、成形システム50で用いるプリフォーム15について説明する。
【0019】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13,プリフォーム15の構成>
プリフォーム15は、内袋4となる内プリフォーム14と、外殻3となる外プリフォーム13を備える。以下、内プリフォーム14と外プリフォーム13の構造の一例を示す。成形システム50は、別の構造を有する内プリフォーム14及び外プリフォーム13を用いて二重容器1の容器本体2を製造してもよい。
【0020】
図4に示すように、内プリフォーム14は、有底筒状であり、口部14aと、胴部14bと、底部14cを備える。口部14aの開口端には、突出部14dが設けられている。突出部14dは、成形時に変形せずにそのままの形状で突出部4cとなる。突出部14dには、係合部14mが設けられている。係合部14mは、成形後に係合部4mとなる。底部14cは、胴部14bの下端を閉じるように設けられる。
【0021】
図4に示すように、外プリフォーム13は、有底筒状であり、口部13aと、胴部13bと、底部13cを備える。底部13cは、胴部13bの下端を閉じるように設けられる。底部13cには、環状凸部13dが設けられている。口部13aには、フランジ部13eが設けられている。
【0022】
図5に示すように、内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せることによって、プリフォーム15を形成することができる。プリフォーム15では、口部14aと口部13aが対向し、胴部14bと胴部13bが対向する。
【0023】
口部13a,14aがプリフォーム15の口部15aとなり、胴部13b,14bがプリフォーム15の胴部15bとなり、底部13c,14cがプリフォーム15の底部15cとなる。胴部15b及び底部15cが、二軸延伸ブロー成形において主に延伸される。
【0024】
<内プリフォーム14、外プリフォーム13、プリフォーム15の材料・製造方法>
内プリフォーム14及び外プリフォーム13は、ポリエステル(例:PET)やポリオレフィン(例:ポリプロピレン、ポリエチレン)等の熱可塑性樹脂で形成することができる。内プリフォーム14は、ダイレクトブロー成形や射出成形等によって形成可能である。外プリフォーム13は、後述する射出成形装置52で射出成形によって形成される。一例では、内プリフォーム14がポリオレフィン(例:ポリプロピレン)で構成され、外プリフォーム13はPETで構成される。内プリフォーム14に用いられるポリオレフィンは、ポリエチレンよりもポリプロピレンが好ましい。ポリプロピレンの方が、ポリエチレンよりも、二軸延伸ブロー成形に適した温度がPETに近いからである。
【0025】
1-3.成形システム50
図6図10を用いて、本発明の第1実施形態の成形システム50について説明する。
【0026】
<成形システム50の概要>
成形システム50の構成と動作の概要を説明する。成形システム50は、プリフォーム15を二軸延伸ブロー成形することによって容器本体2を製造するためのシステムである。成形システム50は、搬送装置51と、射出成形装置52と、プリフォーム供給装置53と、加熱装置35と、ブロー成形装置36と、取り出し装置54を備える。搬送装置51は、周回経路Pに沿って搬送コア51aを搬送するように構成される。本実施形態では、搬送コア51aは反時計回りに搬送される。搬送装置51は、機台55上に配置されている。
【0027】
プリフォーム供給装置53は、外プリフォーム13を内プリフォーム14に被せて構成されたプリフォーム15を搬送コア51aに供給するように構成される。外プリフォーム13と内プリフォーム14の一方は射出成形装置52で射出成形され、外プリフォーム13と内プリフォーム14の他方は外部から供給される。本実施形態では、外プリフォーム13が射出成形装置52で射出成形され、内プリフォーム14が外部から供給される。
【0028】
プリフォーム供給装置53と、加熱装置35と、ブロー成形装置36と、取り出し装置54は、周回経路Pに沿って配置される。加熱装置35と、ブロー成形装置36と、取り出し装置54は、この順に配置される。プリフォーム供給装置53は、搬送コア51aが加熱装置35に到達する前に、搬送コア51aにプリフォーム15を供給するように構成される。加熱装置35は、プリフォーム15を加熱するように構成される。ブロー成形装置36は、加熱後のプリフォーム15を二軸延伸ブロー成形して容器本体2を製造するよう構成される。取り出し装置54は、容器本体2を搬送コア51aから取り外すように構成される。
【0029】
プリフォーム供給装置53が供給したプリフォーム15は、搬送コア51aに支持された状態で周回経路Pに沿って移動し、その途中にある加熱装置35で加熱された後に、ブロー成形装置36で二軸延伸ブロー成形されて容器本体2が製造される。
【0030】
容器本体2は、搬送コア51aに支持された状態で、ブロー成形装置36から取り出し装置54に移動し、取り出し装置54において搬送コア51aから取り外されて周回経路Pから外れた位置に搬出される。本実施形態では、取り出し装置54に隣接した位置に容器搬出コンベア56が設けられており、取り出し装置54は、容器本体2を搬送コア51aから取り外して、容器搬出コンベア56上に移動させる。この際に、容器本体2は、好ましくは、倒立状態から正立状態に反転される。容器搬出コンベア56は、容器本体2を図6の左方向に向かって移動させることによって、容器本体2を搬出して、二重容器1の製造の次工程に移動させることができる。
【0031】
本実施形態では、プリフォーム供給装置53は、内プリフォーム供給装置57と、外プリフォーム供給装置58を備える。内プリフォーム供給装置57は、容器本体2が取り外された後の搬送コア51aに、外部から供給された内プリフォーム14を装着するように構成される。外プリフォーム供給装置58は、射出成形装置52から受け取った外プリフォーム13を、搬送コア51aに装着された状態の内プリフォーム14に被せるように構成される。
【0032】
本実施形態では、容器本体2を取り外して空になった搬送コア51aに予め内プリフォーム14を装着しておき、搬送コア51aに支持された状態の内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せるように構成されている。このような構成によれば、一重容器の製造ラインに内プリフォーム供給装置57を追加することによって、二重容器の製造が可能となる。
【0033】
以下、成形システム50を構成する各装置について、より詳しく説明する。
【0034】
<取り出し装置54>
図7Aに示すように、取り出し装置54は、好ましくは、ベース54aと、把持部54bを備え、把持部54bは、回転軸54cを中心にベース54aに対して回転可能に構成されている。把持部54bは、例えば、一対のアームで構成されており、容器本体2の口部5を把持可能になっている。図7A図7Bに示すように、把持部54bは、180度回転が可能となっており、倒立状態で搬送コア51aに支持されている容器本体2を把持した状態で180度回転することによって、容器本体2を上下反転させて、正立状態で容器搬出コンベア56上に配置することができる。容器本体2は、搬送コア51aの挿入部51bに支持されているので、図7Bに示すように、容器本体2を搬送コア51aから外すと、挿入部51bが空の状態になる。
【0035】
<内プリフォーム供給装置57>
内プリフォーム供給装置57は、図6に示すように、平面視で取り出し装置54に重なるように設けられている。図7Aに示すように、内プリフォーム供給装置57は、好ましくは、スライド移動装置60を備える。スライド移動装置60は、スライドベース60aと、シリンダ60bと、ロッド60cと、ヘッド60dと、把持部60eを備える。シリンダ60bは、スライドベース60aに対してスライド移動可能になっている。ロッド60cは、シリンダ60bから突出量が可変になっている(つまり、伸縮可能になっている)。ヘッド60dは、ロッド60cの先端に設けられている。把持部60eは、内プリフォーム14を把持可能になっており、例えば、一対のアームで構成される。
【0036】
図6に示すように、内プリフォーム搬入コンベア59によって、内プリフォーム14がスライド移動装置60の直下の位置に搬入されると、図7Aに示すように、ロッド60cが伸びて把持部60eが倒立状態の内プリフォーム14を把持し、その後、図8Aに示すように、ロッド60cを縮めた状態で、シリンダ60bをスライドベース60aに沿って移動させて、内プリフォーム14を搬送コア51aの直上の位置にまで搬送する。その状態で、図8Bに示すように、ロッド60cを伸ばして挿入部51bを内プリフォーム14内に挿入することによって、内プリフォーム14を搬送コア51aに装着する。
【0037】
この後は、取り出し装置54及び内プリフォーム供給装置57を図7Aの状態に復帰させて、次の容器本体2の取り出し及び内プリフォーム14の装着を行う。
【0038】
内プリフォーム供給装置57は、空の状態の搬送コア51aに内プリフォーム14を装着可能な任意の位置に配置することができ、任意の構成とすることができる。内プリフォーム供給装置57は、例えば、平面視で、取り出し装置54と外プリフォーム供給装置58の間に配置することができる。
【0039】
<射出成形装置52>
射出成形装置52は、外プリフォーム13を射出成形するように構成される。図6に示すように、射出成形装置52は、射出装置62と、射出成形金型63と、回転板64を備える。図6及び図9に示すように、射出成形金型63は、射出コア型63aと、ネックキャビティ型63bと、射出キャビティ型63cを備える。射出コア型63aは、外プリフォーム13の内面形状を規定するコア部63a1を有し、ネックキャビティ型63bは、外プリフォーム13の口部13a及びフランジ部13eの外面形状を規定し、射出キャビティ型63cは、外プリフォーム13の胴部13b及び底部13cの外面形状を規定する。
【0040】
射出コア型63aと、ネックキャビティ型63b、射出キャビティ型63cによって、外プリフォーム13に対応した形状のキャビティが形成される。このキャビティ内に射出装置62が溶融樹脂を射出して冷却することによって、外プリフォーム13を形成することができる。本実施形態では、射出成形金型63は、射出コア型63aとネックキャビティ型63bのセットを2つと、射出キャビティ型63cを備えており、射出成形後に、回転板64を回転させることによって、成形直後の外プリフォーム13と共に成形に用いた射出コア型63a及びネックキャビティ型63bを成形位置Aから取出位置Bに移動させる。この際に、もう1つの射出コア型63a及びネックキャビティ型63bが取出位置Bから成形位置Aに移動する。次に、取出位置Bの外プリフォーム13が外プリフォーム供給装置58に渡されると共に、成形位置Aに移動した射出コア型63a及びネックキャビティ型63bと、射出キャビティ型63cを用いて、次サイクルの射出成形が行われる。このような構成によれば、外プリフォーム13を効率的に製造して外プリフォーム供給装置58に渡すことができる。射出成形金型63は、一度の射出成形で複数の(本実施形態では3つの)外プリフォーム13を同時に形成可能であることが好ましい。
【0041】
ネックキャビティ型63bは分割可能に構成されている。外プリフォーム13は、図9Aに示すように、ネックキャビティ型63bが離れる前は射出コア型63aから離脱不能になっており、図9Bに示すように、ネックキャビティ型63bが開いて外プリフォーム13から離れると、外プリフォーム13は、射出コア型63aから離脱可能になる。
【0042】
取出位置Bでは、ネックキャビティ型63bが開いて射出コア型63aから離脱可能となった外プリフォーム13が外プリフォーム供給装置58に渡される。射出コア型63a及びネックキャビティ型63bは、外プリフォーム13を外プリフォーム供給装置58に渡した後、外プリフォーム供給装置58の動作の邪魔にならない位置に退避する。
【0043】
<外プリフォーム供給装置58>
図9図10に示すように、外プリフォーム供給装置58は、射出成形装置52から受け取った外プリフォーム13を、搬送コア51aに装着された状態の内プリフォーム14に被せるように構成される。
【0044】
図9Aに示すように、外プリフォーム供給装置58は、一例では、反転移動装置61を備える。反転移動装置61は、シリンダ61aと、ロッド61bと、回転ベース61cと、延長部61dと、把持部61eを備える。ロッド61bは、シリンダ61aから突出量が可変になっている(つまり、伸縮可能になっている)。回転ベース61cは、ロッド61bの先端に設けられている。延長部61dは、回転軸61fを中心に、回転ベース61cに対して回転可能になっている。把持部61eは、延長部61dに設けられていて、内プリフォーム14を把持可能になっており、例えば、一対のアームで構成される。
【0045】
図9Bに示すように、ロッド61bが伸びた状態で把持部61eが外プリフォーム13を射出コア型63aから受け取って把持し、その状態で図10Aに示すように、延長部61dが180度回転すると共に、図10Bに示すように、ロッド61bが縮むことによって、搬送コア51aに支持された状態の内プリフォーム14に被せされる。次に、図10Cに示すように、把持部61eが外プリフォーム13から離れることによって、内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せて構成されるプリフォーム15が搬送コア51aに供給される。
【0046】
<加熱装置35>
加熱装置35は、プリフォーム15を加熱するように構成される。これによって、プリフォーム15が軟化されて、二軸延伸ブロー成形が可能になる。
【0047】
<ブロー成形装置36>
ブロー成形装置36は、加熱後のプリフォーム15を二軸延伸ブロー成形して容器本体2を製造するように構成される。この二軸延伸ブロー成形は、容器本体2の形状のキャビティを有する一対の分割金型23を用いて行うことができる。
【0048】
2.第2実施形態
図11を用いて、本発明の第2実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、第1実施形態で述べた内容は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも適用可能である。本実施形態は、内プリフォーム供給装置57の構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0049】
本実施形態では、内プリフォーム供給装置57は、図11Aに示すように、スライド移動装置60を用いて正立状態で搬送した内プリフォーム14を、反転移動装置61に渡し、図11Bに示すように、反転移動装置61が内プリフォーム14を反転させて、倒立状態で搬送コア51aに装着する。スライド移動装置60は、把持部60eの形状が正立状態での搬送に適したものである以外は、上述したものと同じ構成を有する。反転移動装置61は、外プリフォーム供給装置58の反転移動装置61と同じ構成を有する。
【0050】
図11Aに示すように、ロッド61bが伸びた状態で把持部61eが内プリフォーム14をスライド移動装置60から受け取って把持し、その状態で延長部61dが180度回転すると共に、ロッド61bが縮むことによって、内プリフォーム14が搬送コア51aに装着される。
【0051】
3.第3実施形態
図12図14を用いて、本発明の第3実施形態について説明する。本実施形態は、第1実施形態に類似しており、第1実施形態で述べた内容は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも適用可能である。本実施形態は、プリフォーム供給装置53の構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0052】
本実施形態では、プリフォーム供給装置53は、内プリフォーム14に外プリフォーム13を被せてプリフォーム15を予め形成し、このプリフォーム15を搬送コア51aに装着するように構成されている。
【0053】
プリフォーム供給装置53は、内プリフォーム供給装置57と、外プリフォーム供給装置58を備える。外プリフォーム供給装置58は、外プリフォーム13を保持するように構成される。内プリフォーム供給装置57は、外プリフォーム供給装置58が保持している状態の外プリフォーム13に内プリフォーム14を挿入することによってプリフォーム15を形成するように構成される。外プリフォーム供給装置58は、プリフォーム15を搬送コア51aに装着するように構成される。本実施形態では、外プリフォーム13が射出成形装置52で射出成形され、内プリフォーム14が外部から供給される。従って、外プリフォーム供給装置58は、射出成形装置52から受け取った外プリフォーム13を保持するように構成され、内プリフォーム供給装置57は、外プリフォーム供給装置58が保持している状態の外プリフォーム13に、外部から供給された内プリフォーム14を挿入することによってプリフォーム15を形成するように構成される。なお、外プリフォーム13が外部から供給され、内プリフォーム14が射出成形装置52で射出成形されるように構成してもよい。以下、各構成をより具体的に説明する。
【0054】
図13Aに示すように、外プリフォーム供給装置58は、第1実施形態と同様の構成の反転移動装置61を備えており、第1実施形態と同様の方法で、射出成形装置52から外プリフォーム13を受け取り、把持部61eで把持して保持することができる。
【0055】
図13A図13Bに示すように、内プリフォーム供給装置57は、第1実施形態と同様の構成のスライド移動装置60を備える。図13Aに示すように、スライド移動装置60は、第1実施形態と同様の方法で、内プリフォーム14を、外プリフォーム供給装置58によって保持されている外プリフォーム13の直上の位置にまで正立状態で搬送する。その状態で、図13Bに示すように、ロッド60cを伸ばして内プリフォーム14を外プリフォーム13内に挿入することによってプリフォーム15を形成する。
【0056】
次に、図14Aに示すように、延長部61dが180度回転すると共に、図14Bに示すように、ロッド61bが縮むことによって、プリフォーム15が搬送コア51aに装着される。
【0057】
4.第4実施形態
図15図16を用いて、本発明の第4実施形態について説明する。本実施形態は、第3実施形態に類似しており、第3実施形態で述べた内容は、その趣旨に反しない限り、本実施形態にも適用可能である。本実施形態は、外プリフォーム供給装置58の構成の違いが主な相違点である。以下、相違点を中心に説明する。
【0058】
図15Aに示すように、本実施形態では、外プリフォーム供給装置58は、反転移動装置61と、外プリフォーム搬送装置65を備える。外プリフォーム搬送装置65は、第1実施形態と同様の方法で、射出成形装置52から外プリフォーム13を受け取って保持する。次に、外プリフォーム搬送装置65は、外プリフォーム13を、内プリフォーム供給装置57によって搬送された内プリフォーム14の直下の位置に移動させる。次に、図15Bに示すように、ロッド60cを伸ばして内プリフォーム14を外プリフォーム13内に挿入することによってプリフォーム15を形成する。
【0059】
次に、図15B図16Aに示すように、外プリフォーム搬送装置65がプリフォーム15を移動させて、把持部61eで把持させる。
【0060】
次に、図16A図16Bに示すように、延長部61dが180度回転すると共に、ロッド61bが縮むことによって、プリフォーム15が搬送コア51aに装着される。
【符号の説明】
【0061】
1 :二重容器
2 :容器本体
3 :外殻
4 :内袋
4c :突出部
4d :内袋本体
4m :係合部
5 :口部
5b :フランジ
5c :開口端
6 :胴部
6b :肩部
6c :胴部本体
7 :底部
8 :口部装着部材
8a :キャップ
13 :外プリフォーム
13a :口部
13b :胴部
13c :底部
13d :環状凸部
13e :フランジ部
14 :内プリフォーム
14a :口部
14b :胴部
14c :底部
14d :突出部
14m :係合部
15 :プリフォーム
15a :口部
15b :胴部
15c :底部
23 :分割金型
35 :加熱装置
36 :ブロー成形装置
50 :成形システム
51 :搬送装置
51a :搬送コア
51b :挿入部
52 :射出成形装置
53 :プリフォーム供給装置
54 :取り出し装置
54a :ベース
54b :把持部
54c :回転軸
55 :機台
56 :容器搬出コンベア
57 :内プリフォーム供給装置
58 :外プリフォーム供給装置
59 :内プリフォーム搬入コンベア
60 :スライド移動装置
60a :スライドベース
60b :シリンダ
60c :ロッド
60d :ヘッド
60e :把持部
61 :反転移動装置
61a :シリンダ
61b :ロッド
61c :回転ベース
61d :延長部
61e :把持部
61f :回転軸
62 :射出装置
63 :射出成形金型
63a :射出コア型
63a1 :コア部
63b :ネックキャビティ型
63c :射出キャビティ型
64 :回転板
65 :外プリフォーム搬送装置
A :成形位置
B :取出位置
C :中心軸
P :周回経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16