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特開2024-171013冷却衣料器具、冷却衣料器具を有する冷却衣服セット及び冷却衣服セットの装着方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171013
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】冷却衣料器具、冷却衣料器具を有する冷却衣服セット及び冷却衣服セットの装着方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 13/005 20060101AFI20241204BHJP
   A41D 13/002 20060101ALI20241204BHJP
   A41D 13/05 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A41D13/005 103
A41D13/002 105
A41D13/05 131
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087845
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】399068694
【氏名又は名称】ビッグボーン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135839
【弁理士】
【氏名又は名称】大南 匡史
(72)【発明者】
【氏名】内田 隆之
【テーマコード(参考)】
3B211
【Fターム(参考)】
3B211AA01
3B211AC01
3B211AC02
3B211AC18
3B211AC21
(57)【要約】
【課題】本開示の冷却衣料器具は、冷却ユニットと人の背中とを密着させ、冷却ユニットの冷却能力の向上を図ることができる。
【解決手段】本開示に係る冷却衣料器具は、冷却ユニットと、人の背中側に配置される基体と、第1ベルトと、第2ベルトとを有する冷却衣料器具であって、冷却ユニットの金属板は、体に対して近い側に配置され、体を冷やすことが可能であり、基体は、冷却ユニットと接合され、体に対して最も近い内側に配置され、第1ベルトは、輪状であって、基体に接合され、人の一方の肩に通されるものであって、第2ベルトは、輪状であって、基体に接合され、人の他方の肩に通されるものである。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却部である金属板と、ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、人の背中側に配置される基体と、第1ベルトと、第2ベルトとを有する冷却衣料器具であって、
冷却ユニットの金属板は、体に対して近い側に配置され、体を冷やすことが可能であり、
基体は、冷却ユニットと接合され、体に対して最も近い内側に配置され、
第1ベルトは、輪状であって、基体に接合され、人の一方の肩に通されるものであって、
第2ベルトは、輪状であって、基体に接合され、人の他方の肩に通されるものである冷却衣料器具。
【請求項2】
基体は、人の背中の面積より小さく、金属板の面積より大きい請求項1に記載の冷却衣料器具。
【請求項3】
基体は、金属板と人の背中とを接触させる基体開口部を有する請求項1に記載の冷却衣料器具。
【請求項4】
第1ベルト及び第2ベルトは、人の体に対して遠い側の基体の表面で接合されている請求項3に記載の冷却衣料器具。
【請求項5】
体に装着された状態を基準として、体に近接して配置された請求項1に記載の冷却衣料器具と、当該冷却衣料器具の外側に、送風ファンを有する衣服とを有する冷却衣服セット。
【請求項6】
冷却衣料器具と送風ファンを有する衣服とを有する冷却衣服セットの装着方法であって、
冷却衣料器は、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却部である金属板と、ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、人の背中側に配置される基体と、第1ベルトと、第2ベルトとを有する冷却衣料器具であって、
冷却ユニットの金属板は、体に対して近い側に配置され、体を冷やすことが可能であり、
基体は、冷却ユニットと接合され、体に対して最も近い内側に配置され、
第1ベルトは、輪状であって、基体と接合され、人の一方の肩に通されるものであって、
第2ベルトは、輪状であって、基体と接合され、人の他方の肩に通されるものであって、
(i)冷却衣料器具を体に装着し、
(ii)当該冷却衣料器具の上に、送風ファンが停止した状態の前記衣服を重ね着した後、前記衣服の送風ファンを回転させる、又は、
(iii)当該冷却衣料器具の上に、送風ファンが回転している状態の前記衣服を重ね着する、
冷却衣服セットの装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ペルチェ素子を有する冷却衣料器具、冷却衣料器具を有する冷却衣服セット及び冷却衣服セットの装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術である特許文献1には、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却部である金属板と、ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニット5と、人の背中の腰の辺りに2つの送風ファン20とを有する衣服が記載されている(図12)。
特許文献1は、ペルチェ素子の冷却部(金属板)で、人の背中を冷やすとともに、2つの送風ファン20で外気を衣服の中に取り込み、体を冷却している。その際、冷却ユニットの排熱ファンは、熱交換プレートの熱を衣服から排熱するとともに、2つの送風ファン20で外気を衣服の中に取り込んだ空気を衣服の外へ排出している(図12)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3240865号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1において、冷却ユニット5を小型化、軽量化を図ると、2つの送風ファン20により取り込まれた空気により衣服が膨らむ。そして、冷却ユニット5の金属板と人の背中との間に空気層が形成され、金属板と人の背中とが非接触となり、冷却ユニット5が人の背中を冷却する能力が低下するという課題を有し、改善の余地がある。
本開示の一態様の冷却衣料器具、冷却衣料器具を有する冷却衣服セット及び冷却衣服セットの装着方法は、上記の課題を解決するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様に係る冷却衣料器具は、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却部である金属板と、ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、人の背中側に配置される基体と、第1ベルトと、第2ベルトとを有する冷却衣料器具であって、冷却ユニットの金属板は、体に対して近い側に配置され、体を冷やすことが可能であり、基体は、冷却ユニットと接合され、体に対して最も近い内側に配置され、第1ベルトは、輪状であって、基体に接合され、人の一方の肩に通されるものであって、第2ベルトは、輪状であって、基体に接合され、人の他方の肩に通されるものである。
【0006】
本開示の一態様に係る冷却衣服セットの装着方法は、冷却衣料器具と送風ファンを有する衣服とを有する冷却衣服セットの装着方法であって、冷却衣料器は、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却部である金属板と、ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、人の背中側に配置される基体と、第1ベルトと、第2ベルトとを有する冷却衣料器具であって、冷却ユニットの金属板は、体に対して近い側に配置され、体を冷やすことが可能であり、基体は、冷却ユニットと接合され、体に対して最も近い内側に配置され、第1ベルトは、輪状であって、基体と接合され、人の一方の肩に通されるものであって、第2ベルトは、輪状であって、基体と接合され、人の他方の肩に通されるものであって、(i)冷却衣料器具を体に装着し、(ii)当該冷却衣料器具の上に、送風ファンが停止した状態の前記衣服を重ね着した後、前記衣服の送風ファンを回転させる、又は、(iii)当該冷却衣料器具の上に、送風ファンが回転している状態の前記衣服を重ね着するものである。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様の冷却衣料器具1は、基体2が冷却ユニット5を保持し、基体2から延びる第1ベルト40及び第2ベルト50により、冷却ユニット5と人の背中とを密着させ、冷却ユニット5の冷却能力の向上を図る。
また、小型化、軽量化の冷却ユニット5を使用しても、冷却ユニット5が人の背中から離れることなく、冷却ユニット5と人の背中とを密着させることができる。
また、冷却衣料器具1を有する冷却衣服セット及び冷却衣服セットの装着方法も冷却衣料器具1と同様の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1における冷却衣料器具の前から見た概略の斜視図である。
図2】実施形態1における冷却衣料器具の後ろから見た概略の斜視図である。
図3】実施形態1における冷却衣料器具の概略の側面図である。
図4A】実施形態1における冷却ユニット、第1ベルト、第2ベルトの概略の平面図である。
図4B】実施形態1における冷却ユニット、第1ベルト、第2ベルトの概略の正面図である。
図5A】実施形態1における冷却ユニットの概略の斜視図である。
図5B】実施形態1における冷却ユニットの概略の分解斜視図である。
図6A】実施形態1における冷却衣料器具を体に装着した場合の概略の斜視図である。
図6B】実施形態1の冷却衣料器具と送風ファンを有する衣服とを重ね着した場合の概略の斜視図である。
図7】実施形態1における冷却衣料器具と送風ファンを有する衣服との重ね着の概略の側面図である。
図8】実施形態1におけるリモコンの動作を示す概略のフローチャートである。
図9A】変形例1における冷却ユニットの概略の平面図である。
図9B】変形例1における冷却ユニットの概略の側面図である。
図10】実施形態2におけるフルハーネス型墜落防止用器具の概略の図である。
図11】実施形態2における冷却衣料器具の概略の背面図である。
図12】従来技術における送風ファンを有する衣服の概略の背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示により具体的な実施形態を説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、発明者らは、当業者が本開示を十分に理解するために添付図面および以下の説明を提供するのであって、これらによって特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。以下の説明において、同一または類似する構成要素については、同じ参照符号を付している。
(実施形態1)
【0010】
まず、冷却衣料器具1の全体の概略の構成を説明してから、各構成要素の詳細について説明する。
【0011】
(冷却衣料器具の全体構成について)
以下、本開示の実施形態1における冷却衣料器具1の概略について図面を用いて説明する。
図1は実施形態1における冷却衣料器具1の前から見た概略の斜視図で、図2は冷却衣料器具1の後ろから見た概略の斜視図で、図3は冷却衣料器具1の概略の側面図である。
【0012】
まず、用語の定義について説明する。
冷却衣料器具1を人の体に装着したときの冷却衣料器具1の中心軸(人の中心軸)を中心線92と定義する。
また、冷却衣料器具1を人の体に装着したときを基準として、中心線92より左手側を左側、右手側を右側と定義する。また、冷却衣料器具1を人の体に装着したときを基準として、人の体に最も近い側を内側、人の体から最も離れている側を外側と定義する。
また、人の体とは、裸(皮膚そのもの)の状態と、人が衣服を着ている状態との両方の状態を含む用語である。
【0013】
図1-3に示す様に、冷却衣料器具1は、冷却ユニット5と、基体2と、第1ベルト40と、第2ベルト50とを備えている。
基体2と冷却ユニット5とは接合されており、基体2は人の背中と密着している。
第1ベルト40は基体2の左側で接合され、第2ベルト50は基体2の右側で接合されている。
第1ベルト40と第2ベルト50とは、あたかもリュックサックのベルトのように、第1ベルト40が人の左肩に通され、第2ベルト50が人の右肩に通される。そのことで、冷却衣料器具1の中で比較的重い冷却ユニット5を背負い、基体2と人の背中とを密着させることができる。
【0014】
図1に示す様に、第2ベルト50には、リモコン用ポケット23と、バッテリー用ポケット24とが設けられている。
リモコン用ポケット23にはリモコン70が収容され、バッテリー用ポケット24にはバッテリー80が収容されている。
バッテリー80とリモコン70とは、第1ケーブル81で接続されている。リモコン70と冷却ユニット5とは、第2ケーブル82で接続されている。
第1ケーブル81及び第2ケーブル82は、ケーブル止め25で第2ベルト50に沿うようになっている。
尚、第1ケーブル81及び第2ケーブル82は、ケーブル止め25で第1ベルト40に沿うようになっていてもよい。
【0015】
(ベルト)
図4Aは実施形態1における冷却ユニット5、第1ベルト40、第2ベルト50の概略の平面図(図2)で、図4Bは実施形態1における冷却ユニット5、第1ベルト40、第2ベルト50の概略の正面図である。
図4Aに示す様に、第2ベルト50は、第2上側ベルト51と第2下側ベルト52とを有する。第2上側ベルト51は第2凹状バッフル54を有し、第2下側ベルト52は第2凸状バッフル55を有している。第2凸状バッフル55と第2凹状バッフル54とが嵌合して、第2バッフル53を構成する。
尚、第2凹状バッフル54と第2凸状バッフル55とは、入れ替えて設けられてもよい。
【0016】
第1ベルト40は、第1上側ベルト41と第1下側ベルト42とを有する。第1上側ベルト41は第1凹状バッフル44を有し、第1下側ベルト42は第1凸状バッフル45を有している。第1凸状バッフル45と第1凹状バッフル44とが嵌合して、第1バッフル43を構成する。
尚、第1凹状バッフル44と第2凸状バッフル45とは、入れ替えて設けられてもよい。
【0017】
第3ベルト60は、第3右側ベルト61と第3左側ベルト62とを有する。
第3右側ベルト61は第3凸状バッフル65を有している。第3左側ベルト62は第3凹状バッフル64を有している。第3凸状バッフル65と第3凹状バッフル64とが嵌合して、第3バッフル63を構成する(図1)。
尚、第3凹状バッフル64と第3凸状バッフル65とは、入れ替えて設けられてもよい。
尚、図1-3、4Aの第1ベルト40、第2ベルト50、第3ベルト60は、伸ばしたり縮めたりして、長さを調整できる。
【0018】
(基体)
図4Bに示す様に、基体2は基体開口部3を有し、基体2と冷却ユニット5とは接合されている。
基体2は、人の背中に沿い、かつ冷却ユニット5を保持可能なように、薄い布製で作製されるのが好ましい。
基体開口部3を除く基体2と、冷却ユニット5の金属板12の一部(外縁部)とが、接着剤などで接合されている。この場合、基体開口部3を介して、金属板12を人の背中に当てることができる。
また、基体開口部3に金属板12を嵌め込んで、基体2と冷却ユニット5とを接合してもよい。この場合、金属板12の全面を人の背中に当てることができるので好ましい。
基体2は、人の背中の面積より小さく、金属板12の面積より大きい。基体2は、できるだけ小さい面積が好ましく、金属板12より一回り大きい面積(金属板12より10%~20%大きい面積)が好ましい。
【0019】
第1ベルト40及び第2ベルト50は、人の体に対して遠い側の基体2の表面で、縫い合わせなどで接合されている。
そのことにより、基体2と人の背中との間に隙間が介在せず、基体2と人の背中とを強く密着させることができる。
尚、第1ベルト40と第2ベルト50とのそれぞれと、基体2とを継ぎ目(段差)がないように連続して接合してもよい。
【0020】
図4Aに示す様に、冷却衣料器具1を人が装着した状態を基準として、第2上側ベルト51の一端と基体2の上側の右側とが、縫い合わせるなどして接合され、第2下側ベルト52の一端と基体2の下側の右側とが接合されている。また、第1上側ベルト41の一端と基体2の上側の左側とが、縫い合わせるなどして接合され、第1下側ベルト42の一端と基体2の下側の左側とが接合されている。
このようにすることで、適宜、第1ベルト40及び第2ベルト50の長さを調整して、基体2と人の背中を密着させることができる。また、金属板12と人の背中を密着させることができる。
【0021】
上記態様によれば、第1ベルト40が人の片方の肩に通され、第2ベルト50が人の他の肩に通されることで、衣服の中で比較的重い冷却ユニット5を背負うことができ、基体2と人の背中とを密着させることができる。
【0022】
(冷却ユニット)
図5Aは、実施形態1における冷却ユニット5の概略の斜視図で、図5Bは、実施形態1における冷却ユニット5の概略の分解斜視図である。
【0023】
図5A示す様に、冷却ユニット5は、冷却ユニット板14と収容部18とを有する。
冷却ユニット板14は、冷却ユニット5の外側に配置され、収容部18を保持するものである。冷却ユニット板14は、排気口とを有している。
【0024】
図5B示す様に、冷却ユニット5は、収容部18に、排熱ファン7、熱交換プレート8と、ペルチェ素子9と、金属板12とを有している。
ペルチェ素子9は、電流が流れることで、加熱部10が発熱し、冷却部11が冷却される。
【0025】
加熱部10と熱交換プレート8とは接触しており、熱交換プレート8の熱が排熱ファン7で冷やされ、排熱ファン7で熱交換プレート8の熱が体の外に排出される。
冷却部11とアルミニウム製の金属板12とは接触しており、冷却部11は金属板12を冷却し、冷却部11で冷却された金属板12と人の背中側の衣服とが接触して、人の背中を冷やすことができる。
尚、冷却ユニット板14の大きさと収容部18の大きさとが同じでもよい。
【0026】
(冷却衣料器具と送風ファンを有する衣服との重ね着)
図6Aは、実施形態1における冷却衣料器具1を体に装着した場合の概略の斜視図である。
図6Bは、実施形態1の冷却衣料器具1と送風ファンを有する衣服100(空調風神服、EFウェアとも称す)とを重ね着した場合の概略の斜視図である。
送風ファンを有する衣服100とは、実公平3-32487号、特許第6536674号に記載されているように、服に送風ファン20を取付けて、外気を服の内部に送り込み、その外気により体の汗の蒸発を促進させて、体の温度を下げるものである。
【0027】
冷却衣料器具1と送風ファンを有する衣服100との重ね着の動作について、説明する。
まず、図6Aに示す様に、冷却衣料器具1を体に装着する。
次に、図6Bに示す様に、冷却衣料器具1の上に、送風ファンを有する衣服100を重ね着し、送風ファンを有する衣服100のファスナーを留める。
最後に、送風ファンを有する衣服100の送風ファン20を回転させ、外気を服の内部に送り込む。
尚、送風ファンを有する衣服100を着てから送風ファン20を回転させたが、送風ファン20を回転させた状態の送風ファンを有する衣服100を冷却衣料器具1に重ね着してもよい。
重ね着した冷却衣料器具1と送風ファンを有する衣服100との組合せのことを冷却衣服セットと称す。
【0028】
図7は、実施形態1における冷却衣料器具1と送風ファンを有する衣服100との重ね着の概略の側面図である。
送風ファンを有する衣服100の送風ファン20により、人の腰の辺りから外気が送り込まれ、人の体へと外気(空気)が広がり、人の首周辺から空気が排出される。
冷却ユニット5の排熱ファン7より加熱された空気が外側(紙面右側)へ放出される。放出された空気は、送風ファン20によって送り込まれた空気により、上方に押し出され、排熱ファン7より加熱された空気が人の首周辺から空気が排出される。
【0029】
上記態様によれば、送風ファンを有する衣服100の送風ファン20により送り込まれた外気によって、排熱ファン7より加熱された空気が人の首周辺から空気が排出され、冷却ユニット5が冷やされるので、冷却ユニット5の冷却能力の向上が図られる。
【0030】
(電力制御)
図8は、実施形態1におけるリモコン(制御装置)70の動作を示す概略のフローチャートである。
リモコン70は、電源ボタン71と、ゆらぎボタン72と、第1冷却ランプ73と、第2冷却ランプ74と、第3冷却ランプ75とを有している。
バッテリー80は、電力を供給するもので、モバイルバッテリーが好ましい。
第1ケーブル81は、モバイルバッテリーと接続性のよいUSBケーブルが好ましい。
【0031】
図8を用いて、リモコンの動作について説明する。
(S1)
電源ボタン71を長押し(例えば、3秒以上)すると、バッテリー80から冷却ユニット5に電力が供給され、システムが起動する。
もう一度、電源ボタン71を長押し(例えば、3秒以上)すると、バッテリー80から冷却ユニット5への電力供給が停止される。
【0032】
(S2)
S2は、電源ボタン71を長押して、システムが起動した時の図である。
第1冷却ランプ73と、第2冷却ランプ74と、第3冷却ランプ75とが点灯する。
この時、冷却ユニット(ペルチェ素子)5への電力供給は、最大の「強」である。
【0033】
(S3)
電源ボタン71を1度押すと、第1冷却ランプ73が点灯し、第2冷却ランプ74が点灯し、第3冷却ランプ75が消灯する。
この時、冷却ユニット5への電力供給は、中間の「中」である。
【0034】
(S4)
電源ボタン71をもう1度押すと、第1冷却ランプ73が点灯し、第2冷却ランプ74が消灯し、第3冷却ランプ75が消灯する。
この時、冷却ユニット5への電力供給は、最小の「弱」である。
【0035】
(S5)
電源ボタン71をもう1度押すと、第1冷却ランプ73が消灯し、第2冷却ランプ74が消灯し、第3冷却ランプ75が消灯する。
この時、冷却ユニット5への電力供給は、停止される。
【0036】
電源ボタン71をもう1度押すと、S2の状態へ戻る。
【0037】
(ゆらぎモード)
ゆらぎボタン72について、説明する。ゆらぎボタン72は、S2、S3、S4で動作する。
ゆらぎモードとは、一定の所定の時間、冷却ユニット5に電力が供給される動作と、一定の所定の時間、冷却ユニット5への電力供給が停止される動作とを繰り返すモードである。このことにより、バッテリー80の電力を節約できる。
【0038】
S2、S3、S4において、ゆらぎボタン72が押されると、第1冷却ランプ73、第2冷却ランプ74、第3冷却ランプ75のいずれかが点滅する。
【0039】
上記態様によれば、制御装置70で、冷却ユニット5への電力供給を制御できる。
【0040】
(変形例1)
図9Aは変形例1における冷却ユニット105の概略の平面図で、図9Bは変形例1における冷却ユニット105の概略の側面図である。
図9A、9Bに示す様に、冷却ユニット105は、軽量、小型、薄型の冷却ユニット105である。冷却ユニット105の構成は、ほぼ図5Bと同じである。
冷却ユニット105を平面視した形状は、ほぼラクビーボールのような形状をしている。
熱交換プレート8は、排熱ファン7が挿入可能なように、中心に穴を有し、排熱ファン7の周囲に熱交換プレート8が配置されている。
【0041】
(実施形態2)
実施形態2は、人がフルハーネス型墜落防止用器具94を装着し、さらに冷却衣料器具30を重ね着する場合の態様である。
【0042】
図10は、実施形態2におけるフルハーネス型墜落防止用器具94の概略の図である。
【0043】
図10に示す様に、人が、フルハーネス型墜落防止用器具94を装着している。フルハーネス型墜落防止用器具94は、フック96とショックアブソーバ97とを備えたランヤード95と、連結ベルト98とを有する。
【0044】
図11は、実施形態2における冷却衣料器具30の概略の背面図である。
図11に示す様に、冷却衣料器具30は、1つの基体2と、2つの基体開口部3と、2つの冷却ユニット5と、第1ベルト40と、第2ベルト50と、を備えている。
基体2の幅は、ほぼ人の背中の幅と同じである。基体2の左側と右側には、それぞれ冷却ユニット5が隙間を有して、設けられている。
第2ケーブル82は、第2ベルト50に沿って基体2に侵入し、基体2に侵入したところで、第2ケーブル82aと第2ケーブル82bの2つに分岐する。
2つに分岐した2本の第2ケーブル82aと第2ケーブル82bのそれぞれと、2つの冷却ユニット5のそれぞれとを接続して、2つの冷却ユニット5に電力を供給する。
尚、リモコン70から直接出た2本の第2ケーブル82aと第2ケーブル82bで、2つの冷却ユニット5に電力を供給してもよい。
【0045】
冷却衣料器具30とフルハーネス型墜落防止用器具94とを重ねて装着する場合、ランヤード95または連結ベルト98は、冷却ユニット5の隙間を通る。
上記態様によれば、2つの冷却ユニット5の間に隙間を設けることで、フルハーネス型墜落防止用器具94のランヤード95または連結ベルト98と2つの冷却ユニット5との接触をさけることができる。
【0046】
尚、実施形態1~2では、冷却ユニット5の金属板12を冷却させて、人の体を冷やしている(冷却モード)。しかし、実施形態1~2のペルチェ素子9に流れる電流を逆にして、冷却部11を加熱させ金属板12を加熱させて、人の体を温めてもよい(温熱モード)。その場合、実施形態1~2の加熱部10が冷却され熱交換プレート8も冷却される。そして、熱交換プレート8の冷たい空気が排熱ファン7で排出される。
【0047】
尚、実施形態1~2に係る発明は、矛盾が生じない限り、置き換えたり、組合せたりすることができる。
【0048】
以上のように、本開示は、以下の項目に記載の衣服を含む。
【0049】
〔項目1〕
ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却部である金属板と、ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、人の背中側に配置される基体と、第1ベルトと、第2ベルトとを有する冷却衣料器具であって、
冷却ユニットの金属板は、体に対して近い側に配置され、体を冷やすことが可能であり、
基体は、冷却ユニットと接合され、体に対して最も近い内側に配置され、
第1ベルトは、輪状であって、基体に接合され、人の一方の肩に通されるものであって、
第2ベルトは、輪状であって、基体に接合され、人の他方の肩に通されるものである冷却衣料器具。
上記態様よれば、基体が冷却ユニットを保持し、基体から延びる第1ベルト及び第2ベルトにより、冷却ユニットと人の背中とを密着させ、冷却ユニットの冷却能力の向上を図ることができる。また、小型化、軽量化の冷却ユニットを使用しても、冷却ユニットが人の背中から離れることなく、冷却ユニットと人の背中とを密着させることができる。
【0050】
〔項目2〕
基体は、人の背中の面積より小さく、金属板の面積より大きい項目1に記載の衣服。
上記態様よれば、基体の大きさを、冷却ユニットが保持可能な最小限の大きさにすることで、冷却衣料器具の小型化、軽量化、薄型化を図ることができる。
【0051】
〔項目3〕
基体は、金属板と人の背中とを接触させる基体開口部を有する項目1または2に記載の冷却衣料器具。
上記態様よれば、基体開口部により、冷却ユニットの金属板と人の背中とを接触させることができ、冷却ユニットの冷却能力の向上を図ることができる。
【0052】
〔項目4〕
第1ベルト及び第2ベルトは、体に対して遠い側の基体の表面で接合されている項目1乃至3のいずれかに記載の冷却衣料器具。
上記態様よれば、第1ベルト及び第2ベルトが、体に対して遠い側の基体の表面で接合されていることで、基体と人の背中との間に隙間が介在せず、基体と人の背中とを強く密着させることができる。
【0053】
〔項目5〕
体に装着された状態を基準として、体に近接して配置された項目1乃至4のいずれかにに記載の冷却衣料器具と、当該冷却衣料器具の外側に、送風ファンを有する衣服とを有する冷却衣服セット。
上記態様よれば、当該衣服の送風ファンにより、排熱ファンから排気される熱風を人の首の周りから排出できるので、冷却ユニットの冷却能力を向上させることができる。
また、小型化、軽量化の冷却ユニットを使用しても、冷却ユニットが人の背中から離れることなく、冷却ユニットと人の背中とを密着させることができる。
【0054】
〔項目6〕
冷却衣料器具と送風ファンを有する衣服とを有する冷却衣服セットの装着方法であって、
冷却衣料器は、ペルチェ素子と、ペルチェ素子の冷却部である金属板と、ペルチェ素子の加熱部に設けられた熱交換プレートと、熱交換プレートの熱を排熱する排熱ファンとを備えた冷却ユニットと、人の背中側に配置される基体と、第1ベルトと、第2ベルトとを有する冷却衣料器具であって、
冷却ユニットの金属板は、体に対して近い側に配置され、体を冷やすことが可能であり、
基体は、冷却ユニットと接合され、体に対して最も近い内側に配置され、
第1ベルトは、輪状であって、基体と接合され、人の一方の肩に通されるものであって、
第2ベルトは、輪状であって、基体と接合され、人の他方の肩に通されるものであって、
(i)冷却衣料器具を体に装着し、
(ii)当該冷却衣料器具の上に、送風ファンが停止した状態の前記衣服を重ね着した後、前記衣服の送風ファンを回転させる、又は、
(iii)当該冷却衣料器具の上に、送風ファンが回転している状態の前記衣服を重ね着する、
冷却衣服セットの装着方法。
上記態様よれば、冷却衣料器具を体に装着した後に、送風ファンを有する衣服を重ね着することで、当該衣服の送風ファンにより、排熱ファンから排気される熱風を人の首の周りから排出できるので、冷却ユニットの冷却能力を向上させることができる。
また、小型化、軽量化の冷却ユニットを使用しても、冷却ユニットが人の背中から離れることなく、冷却ユニットと人の背中とを密着させることができる。
【符号の説明】
【0055】
1、30 冷却衣料器具
2 基体
3 基体開口部
5 冷却ユニット
7 排熱ファン
8 熱交換プレート
9 ペルチェ素子
10 加熱部
11 冷却部
12 金属板
20 送風ファン
40 第1ベルト
50 第2ベルト
70 リモコン(制御装置)
100 送風ファンを有する衣服
図1
図2
図3
図4A
図4B
図5A
図5B
図6A
図6B
図7
図8
図9A
図9B
図10
図11
図12