(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171016
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】デバイス、その制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20241204BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241204BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H04N1/00 885
B41J29/38 104
G03G21/00 376
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087851
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】梅田 嘉伸
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
5C062
【Fターム(参考)】
2C061AP07
2C061AQ06
2C061BB08
2C061BB10
2C061CG15
2C061CQ04
2C061CQ24
2C061CQ34
2C061HH03
2C061HH11
2C061HJ07
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HT08
2H270KA59
2H270KA62
2H270LA58
2H270NC28
2H270ND02
2H270PA56
2H270QA02
2H270QA13
2H270ZC04
2H270ZD05
2H270ZD08
5C062AA02
5C062AA05
5C062AA12
5C062AA37
5C062AB02
5C062AB22
5C062AB23
5C062AB38
5C062AB40
5C062AB42
5C062AB49
5C062AC04
5C062AC05
5C062AC22
5C062AC34
5C062AC51
5C062AC58
5C062AE15
5C062AF12
(57)【要約】
【課題】省電力状態にあるデバイスを使用するユーザが近づいた際に当該デバイスを起動状態として、省電力効果の低下を抑制したデバイス等を提供すること。
【解決手段】ユーザが所持する携帯端末101と所要情報の通信を行うことが可能な画像形成装置104であって、携帯端末101の測位対象判定に用いる情報を取得する情報取得部(S1006)と、取得された情報に基づいて携帯端末が測位対象であるか否かを判定する対象判定部(S1007)と、測位対象と判定された携帯端末101に対して情報を用いた所定測位方式により測位を行う測位部(S1014)と、求められた携帯端末101の位置が設定された領域の内側であると判定された場合、省電力状態から起動状態に移行させる制御部(S1016)と、を備えたことを特徴とする。
【選択図】
図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末と所要情報の通信を行うことが可能なデバイスであって、
前記携帯端末の測位対象判定に用いる情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部より取得された情報に基づいて、前記携帯端末が測位対象であるか否かを判定する対象判定部と、
前記対象判定部により測位対象と判定された前記携帯端末に対して前記情報を用いた所定測位方式により測位を行う測位部と、
前記測位部により求められた前記携帯端末の位置が設定された領域の内側であると判定された場合、省電力状態から起動状態に移行させる制御部と、を備えたことを特徴とするデバイス。
【請求項2】
前記制御部は、
前記測位部により求められた前記携帯端末の位置が設定された領域の内側であると判定された場合、デバイス機能が休止される省電力状態から当該デバイス機能を発揮可能な起動状態に移行させることを特徴とする請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記所定測位方式はUWB方式であり、
前記情報取得部により取得した測位対象判定に用いる情報は、当該携帯端末の「UWBTag(UWBタグ)」を含む情報であることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項4】
少なくともユーザ名とUWBタグとが関連付けられたユーザアカウント情報と、少なくともユーザ名とタグ情報とジョブIDとが関連付けられたジョブ管理情報とを記憶する記憶部を更に備え、
前記対象判定部は更に、
前記記憶部の記憶内容を参照して、前記UWBタグと前記タグ情報とが対応し両タグに対するユーザ名に対してジョブIDが発行されている場合、当該ユーザ名のユーザの携帯端末を測位対象と判定することを特徴とする請求項3に記載のデバイス。
【請求項5】
前記対象判定部は更に、
前記携帯端末から受信したジョブが記憶部に記憶されている場合、当該携帯端末が測位対象であると判定することを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項6】
前記対象判定部は更に、
前記携帯端末のユーザ情報に基づいて、当該携帯端末が測位対象であるか否かを判定することを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項7】
前記ユーザ情報はユーザによるデバイス使用の履歴情報であることを特徴とする請求項6に記載のデバイス。
【請求項8】
前記対象判定部は更に、
前記履歴情報が示す最終ログインの月日が現時点より所定期間以前の場合、当該履歴情報に対するユーザの携帯端末を測位対象としないことを特徴とする請求項7に記載のデバイス。
【請求項9】
前記制御部は更に、
前記測位部により求められた前記携帯端末の位置が、設定された複数の異なる領域のいずれか一つ以上の領域の内側であると判定された場合、当該いずれか一つ以上の領域の夫々に対して指定された異なる処理を実行することを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項10】
前記設定された複数の異なる領域の一つの領域に対して指定された処理は、ログインする処理であることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記設定された複数の異なる領域の一つの領域に対して指定された処理は、デバイス操作部を操作可能に発光表示させる処理であることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記設定された複数の異なる領域の夫々はユーザ毎に設定されていることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
【請求項13】
前記領域を描画する描画ツールが表示された表示画面を表示部に表示するUI部を更に備えたことを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項14】
前記UI部は更に、
前記描画ツールのユーザによる使用によって、選択された定型形状の領域、および/または、描画された閉曲線の領域を前記表示部の表示画面に表示することを特徴とする請求項13に記載のデバイス。
【請求項15】
自デバイスは、プリンタ、スキャナおよび複合機の内のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載のデバイス。
【請求項16】
携帯端末と所要情報の通信を行うことが可能なデバイスの制御方法であって、
前記携帯端末の測位対象判定に用いる情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程より取得された情報に基づいて、前記携帯端末が測位対象であるか否かを判定する対象判定工程と、
前記対象判定工程により測位対象と判定された前記携帯端末に対して前記情報を用いた所定測位方式により測位を行う測位工程と、
前記測位工程により求められた前記携帯端末の位置が予め設定された領域の内側であると判定された場合、省電力状態から起動状態に移行させる制御工程と、を有することを特徴とするデバイスの制御方法。
【請求項17】
携帯端末と所要情報の通信を行うことが可能なデバイスの制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記制御方法は、
前記携帯端末の測位対象判定に用いる情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程より取得された情報に基づいて、前記携帯端末が測位対象であるか否かを判定する対象判定工程と、
前記対象判定工程により測位対象と判定された前記携帯端末に対して前記情報を用いた所定測位方式により測位を行う測位工程と、
前記測位工程により求められた前記携帯端末の位置が予め設定された領域の内側であると判定された場合、省電力状態から起動状態に移行させる制御工程と、を有することを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置等のデバイス、その制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷機能、スキャナ機能等の複数の機能を有する画像形成装置(以下、「複合機」とも称する)において、近年環境問題への意識が高まっており「省電力化」がクローズアップされている。そこで、印刷ジョブを送信した携帯端末と、当該携帯端末から送信された印刷ジョブを受信した複合機との距離に基づいて、スリープモードを解除して印刷実行するように制御する画像形成装置が提案されていた(特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載の画像形成装置にあっては、携帯端末と画像形成装置との距離に基づいて、携帯端末が画像形成装置に到着する所要時間を計測する。次いで、この計測時間と、「スリープモード」から「起動モード」に移行してから印刷処理を終了するまでの所要時間とを比較する。そして、この画像形成装置は、上述の計測時間と所要時間との比較結果に応じて「スリープモード」から「起動モード」へモードの切り替え制御やモード切り替えのタイミング制御を実行していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の技術にあっては、携帯端末から印刷ジョブを送信した当該携帯端末だけが、画像形成装置を「スリープモード」から「起動モード」へ移行させる対象となる。このため、画像形成装置においてコピー、スキャン等を行うユーザは、画像形成装置の近辺まで近寄った後に、当該装置に対して何らかの操作を行うことにより、当該装置を「スリープモード」から「起動モード」へ移行開始させることができる。したがって、ユーザは自身が希望するコピー、スキャン、FAX送信等を行う準備が完了するまで、複合機の前で待機する必要が生じユーザの待ち時間がある。
【0006】
また、人感センサを備えた複合機が廊下に面して配置されると、複合機の使用を望まないユーザが複合機の前面(人感センサ検出範囲)を通過すると、「スリープモード」から「起動モード」に移行されてしまうという問題もあった。さらに、複合機が壁際に設置されると、人感センサの検出範囲内にある壁を常時検出して「起動モード」になったり、人感センサの検出範囲内に何等かの物が置かれた場合にも同じ様に常時「起動モード」になったりする場合がある。このため、複合機の省電力化を図ることができないという問題があった。
【0007】
本発明の目的は、省電力状態にあるデバイスを使用するユーザが近づいた際に当該デバイスを起動状態として、省電力効果の低下を抑制したデバイス、その制御方法およびプログラムを提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は携帯端末と所要情報の通信を行うことが可能なデバイスであって、
前記携帯端末の測位対象判定に用いる情報を取得する情報取得部と、前記情報取得部より取得された情報に基づいて、前記携帯端末が測位対象であるか否かを判定する対象判定部と、前記対象判定部により測位対象と判定された前記携帯端末に対して前記情報を用いた所定測位方式により測位を行う測位部と、前記測位部により求められた前記携帯端末の位置が設定された領域の内側であると判定された場合、省電力状態から起動状態に移行させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、省電力状態にあるデバイスを使用するユーザが近づいた際に当該デバイスを起動状態として、省電力効果の低下を抑制することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態の画像処理システムの構成図である。
【
図2】携帯端末101の構成を示すブロック図である。
【
図3】画像形成装置104の構成を示すブロック図である。
【
図4】携帯端末101のソフトウェア等の構成を示すブロック図である。
【
図5】画像形成装置104のソフトウェア等の構成を示すブロック図である。
【
図6】画像形成装置104および携帯端末101の位置測定の測位方式の説明図である。
【
図8】画像形成装置104に対する携帯端末101の位置測定する他の測位方式の説明図である。
【
図9】画像形成装置104で領域設定を行う方法例の説明図である。
【
図10】本実施形態の動作を示すフローチャートである。
【
図11】複数領域に対する本発明の動作の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。しかしながら、以下の実施形態に記載される構成はあくまで例示に過ぎず、本発明の範囲は実施形態に記載される構成によって限定されることはない。また、本発明の実施形態においては、「デバイス」の一例として「画像形成装置(複合機):MFP」について説明するが、このことは本発明を限定するものではない。なお、本明細書において「測位」とは対象物(携帯端末)の現在位置を測定することを指し、「測位方式」のことを「測距方式」と記載する場合もある。
【0012】
<
図1:システム構成>
図1は本発明の実施形態の画像処理システムの構成図である。
図1を参照して、画像処理システムについて説明する。画像処理システムは、携帯端末101と、画像形成装置104(デバイス)と、無線LANターミナル102とを有する。携帯端末101は、画像形成装置104に対して印刷ジョブを送信することができるモバイル機器である。画像形成装置104は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクス送信機能等の多機能を有する複合機(MFP)である。
【0013】
LAN(Local Area Network)103には、携帯端末101、無線LANターミナル102、画像形成装置104等が接続されていて、当該LAN103に接続されている装置は互いに所要の情報を送受信可能になっている。無線LANターミナル102は、一般的なネットワーク・ルーター機能を有する無線LANの親機であって家庭内、事務所内等において「WiFi(登録商標)」を用いて無線LANを提供している。
【0014】
また、携帯端末101は「WiFi機能」を有効に使用することで、無線LANターミナル102を介してLAN103に接続しているものとする。携帯端末101は、無線LANターミナル102が提供する「無線LANエリア」に侵入すると、予め設定していた認証情報を利用して自動的にLAN103のネットワークに参加可能になっている。なお、LAN103はインターネットに接続されている。
【0015】
符号108、符号109は、携帯端末101、画像形成装置104が送受信するBLE(Bluetooth Low Energy:登録商標)による無線信号である。このBLEの無線信号が到達し合う装置間においては、WPAN(wireless personal area network)を形成することができる。また、符号121、符号122は、携帯端末101、画像形成装置104が送受信するUWB(Ultra Wide Band)による無線信号である。UWBの無線信号が到達し合う装置間においては、WPAN(wireless personal area network)を形成することができる。
【0016】
<
図2:携帯端末101の構成>
図2は携帯端末101の構成を示すブロック図である。携帯端末101は、例えばスマートフォン、タブレット端末等のモバイル端末であり、端末用OSや通話、データ通信を制御するプログラムがインストールされて動作している。システムバス201には、CPU202、ROM203、RAM204、NetworkController205(ネットワークコントローラ)が接続されている。
【0017】
ROM203は、携帯端末101におけるオペレーティングシステム(OS)および通話、データ通信を制御するアプリケーション等のソフトウェアが記録されている。RAM204は、各種プログラムを実行可能に展開するワークエリアとして機能する一時記憶用のメモリである。また、RAM204は、アプリケーションがプログラム実行時に一時的に保存しなければならないデータ等を一時記憶するためのメモリでもある。CPU202は、ROM203に記録されているアプリケーション等のプログラムをRAM204に展開して実行する。これにより本実施形態において必要な機能が実現される。なお、ROM203が記録する、データ通信を制御するアプリケーションとしては、印刷アプリケーション、Mailソフト、Webブラウザ等がある。
【0018】
NetworkController205には、UWB通信部218、BLE通信部213、無線LAN通信部211および携帯電話データ通信部212が、所要の情報を通信可能に接続されている。UWB通信部218は、UWB(UltraWideBand)による無線信号が到達し合う周辺の携帯端末101(コンピューターデバイス)間において測距(測位)、データ通信等を行うWPANを形成する。BLE通信部213は、BLEによる無線信号が到達し合う周辺の携帯端末101(コンピューターデバイス)間においてWPANを形成する。無線LAN通信部211は、無線LANターミナル102を介してLAN103のネットワークに参加するためのものである。携帯電話データ通信部212は、携帯キャリアが提供するネットワークに参加するためのものである。
【0019】
一般に装置が無線LANのネットワークに参加可能な時、NetworkController205は、無線LAN通信部211による無線LANへの接続を優先する。携帯端末101が無線LANのネットワークエリアから逸脱した場合、携帯キャリアが提供する無線通信ネットワークへ参加させるように排他制御される。だが、BLE通信部213、UWB通信部218が行うBLE通信、UWB通信においては通信目的を達するために独立して通信機能が制御可能になっている。
【0020】
また、システムバス201には、マイク・スピーカ214が接続された音声制御部206、ディスプレイ215が接続された表示制御部207、タッチパネル216が接続された入力制御部208および記憶装置209が接続されている。
【0021】
音声制御部206は、例えば通話アプリケーションが起動されてユーザが電話をしている際に駆動される。音声制御部206は、マイク・スピーカ214によって入出力された音声データと音声データ制御プログラムとの仲介を行う。表示制御部207は、携帯端末101のディスプレイ215において表示出力する情報の表示制御を行う。入力制御部208は、携帯端末101のボタンやタッチパネル216によってユーザが操作指示した情報の制御を行う。これら音声制御部206、表示制御部207、入力制御部208を利用することによって、携帯端末101のOS上で起動するアプリケーションはネットワーク通信情報や携帯端末101の各種情報をユーザに提供する。また、記憶装置209は、フラッシュメモリ等の不揮発性の記憶デバイスであり、携帯端末101の再起動後も保持する必要のある各種動作モード設定、稼働ログ等が不揮発的に記憶される。
【0022】
また、システムバス201には、GPSセンサ217が接続された位置検出制御部210、ジャイロセンサ221が接続された方向検出制御部219、および、加速度センサ222が接続された加速度検出制御部220が接続されている。
【0023】
位置検出制御部210は、GPSセンサ217から携帯端末101の位置情報を取得し、オペレーティングシステム(OS)に与える。方向検出制御部219は、ジャイロセンサ221から携帯端末101の方向情報を取得してOSに与える。加速度検出制御部220は、加速度センサ222から携帯端末101の加速度情報を取得してOSに与える。これらの制御部(位置検出制御部210、方向検出制御部219、加速度検出制御部220)は、CPU202が動作するOSによって制御される。
【0024】
<
図3:画像形成装置の構成>
図3は、
図1のシステムを構成する画像形成装置104の構成を示すブロック図である。画像形成装置104は、使用するユーザが各種の操作を行うための操作部140と、操作部140からの指示に従って画像情報を読み取るスキャナ部10と、画像データを用紙に印刷するプリンタ部20とを有する。スキャナ部10は、スキャナ部10を制御するスキャナ用CPUや原稿読取を行うための図示しない照明ランプ、走査ミラー等で構成される。プリンタ部20は、プリンタ部20の制御を行うプリンタ用CPU、画像形成・定着を行うための図示しない感光体ドラム、定着器等を有する。
【0025】
また、画像形成装置104は、LAN103や、無線LAN(106、109、122)等を介して接続されている携帯端末101やプリントサーバ150等の外部情報処理装置との通信を統括的に制御するコントローラ1200を備える。なお、操作部140は所要の情報を表示する表示部を兼ねていて、当該表示部に表示される各種操作項目等をユーザがタッチ操作することにより、対応する操作に対する動作が実行される。
【0026】
<
図3:画像形成装置の詳細説明>
次に、
図3を参照してコントローラ1200の内部について詳細に説明する。コントローラ1200は、外部の携帯端末101と無線通信が可能なWiFi通信部1271と、BLE通信部1272と、UWB通信部1273とを備える。また、コントローラ1200が有する画像バス2008には、RIP1260、スキャナ画像処理部1280、プリンタ画像処理部1290、画像回転部1230、画像圧縮部1240およびデバイスI/F1220が接続されている。
【0027】
RIP(ラスタイメージプロセッサ)1260は、無線通信を介して携帯端末101から受信した印刷ジョブに含まれるPDLコードをビットマップイメージに展開する。スキャナ画像処理部1280は、スキャナ部10から入力された画像データに対して補正、加工、編集等を行う。プリンタ画像処理部1290は、プリントする画像に対する各種の処理を実行する。画像回転部1230は、プリンタ部20で出力(印刷)される画像データに対して補正、解像度変換等を行う。画像圧縮部1240は、多値画像データはJPEG、2値画像データはJBIG、MMR、MHの圧縮伸張処理を行う。デバイスI/F1220は、スキャナ部10およびプリンタ部20と、コントローラ1200を接続して画像データの同期系/非同期系の変換を行う。画像バス2008はこれらを互いに接続して画像データを高速で転送するものである。
【0028】
コントローラ1200が有するシステムバス1207には、CPU1201、RAM1202、ROM1203、HDD1204、操作部I/F1206、ネットワーク部1210およびモデム部1211が接続されている。
【0029】
CPU1201は、画像形成装置104を統括的に制御する制御部として機能する。RAM1202は、画像データ等を一時記憶するための画像メモリとしても機能する。ROM1203は、CPU1201が実行するブートプログラム等を記録する。HDD(ハードディスクドライブ)1204は、システムソフトウェア、画像データ、ソフトウェアカウンタ値等を不揮発的に記憶する。操作部I/F1206は、操作部140から画像形成装置104を使用するユーザが入力した情報をCPU1201に伝える。操作部140を使用したユーザ操作を操作部I/F1206を介して受け取ってCPU1201に送るとともに、CPU1201からの所要の画像を操作部I/F1206を介して操作部140に送って画像表示されるように構成されている。
【0030】
また、ネットワーク部1210はLAN103に接続され、プリントサーバ150やLAN103上の図示しない他の情報処理装置等との通信を行う。モデム部1211は、公衆回線3001に接続され、図示しない外部のファクシミリ装置とのデータの通信を行う。また、ImageBusI/F1205が、システムバス1207と画像バス2008とを接続するように設けられている。ImageBusI/F1205はデータ構造を変換するバスブリッジとして機能する。
【0031】
また、コントローラ1200は、プリントやコピージョブ実行時における、ユーザ名、印刷部数、カラー印刷、出力属性情報等をジョブ実行時のジョブログ情報(履歴情報)としてHDD1204またはRAM1202に記憶管理する。また、コントローラ1200は、スキャナ部10およびプリンタ部20の夫々と通信を行うスキャナ・プリンタ通信I/F1208を備えている。スキャナ部10およびプリンタ部20の夫々と通信を行うスキャナ・プリンタ通信I/F1208はシステムバス1207に接続されている。
【0032】
<
図4:携帯端末101のソフトウェア構成>
図4は、
図1に示した携帯端末101のソフトウェアの構成等を示すブロック図である。「印刷アプリケーション401」は、携帯端末101のCPU202が実行する印刷のためのアプリケーションであり、ROM203にOS上で動作するソフトウェアとしてインストールされている。「ドキュメント409」はデータ領域を示す。このデータ領域はソフトウェアがRAM204に記憶して管理される。「プラットフォーム410」は、例えばGoogle社のAndroid(登録商標)、アップル社のiOS(登録商標)等のスマートフォン用のOSで構成できる。
【0033】
「プラットフォーム410」は、各種のハードウェアを制御するためのデバイスドライバ群を有しており、プラットフォーム410で動作するアプリケーションに対して各種のハードウェアを利用するためのAPIを提供する。例えば、「BLE(Bluetooth)通信」、「UWB(UltraWideBand)通信」に関しては、アップル社の「Neaby Interaction」がある。また、UWBの普及推進団体である「FiRa」コンソーシアムにおいて標準化されている「Common Service Management Layer (CSML) specification」に準拠したAPIが提供される。
【0034】
本実施形態においては、デバイスドライバ群として「BLE(Bluetooth)通信制御部405」、「UWB(UltraWideBand)通信制御部406」および「WiFi通信制御部411」を有する。例えば、「BLE(Bluetooth)通信制御部405」は、
図2に示すBLE通信部213を制御するためのデバイスドライバである。また、「WiFi通信制御部411」は、
図2には不図示のWiFi通信部を制御するためのデバイスドライバである。また、「UWB通信制御部406」は、
図2に示すUWB通信部218を制御するためのデバイスドライバである。
【0035】
また、「UI部402」は印刷アプリケーション401のユーザインターフェイスである。「UI部402」はアプリケーション固有の機能をユーザに設定させるためのユーザインターフェイスを提供する。「印刷処理装置探索部403」は携帯端末101が参加するLAN103上において、携帯端末101が「mDNS(multicast Domain Name System)」に対応するネットワーク機器を探索する。
【0036】
そして、LAN103上から到達可能な情報処理装置の中から携帯端末101が印刷指示可能であって、印刷アプリケーション401がサポートする画像形成装置104に対してIPP、IPPSによって画像形成装置104の詳細情報を取得する。なお、通信方式は「mDNS」、「IPP(internet printing protocol)」には限らない。
【0037】
印刷アプリケーション401内の「印刷制御部404」は、画像形成装置104に対して印刷制御を行うためのアプリケーションであり、「Webブラウザ407」は閲覧用ソフトである。また、「印刷アプリケーション401」以外の「その他のアプリケーション408」としては、例えば「LINE(登録商標)」等の通信アプリ、SNS用マップなどの様々なアプリが挙げられる。
【0038】
プラットフォーム410上に内在するUWB通信制御部406は、画像形成装置104が携帯端末101の位置を測位するために、携帯端末101から「測位信号」の発信を要求する「測位信号発信要求」を携帯端末101に送信する。これに対して、携帯端末101は、UWB通信制御部406に対して「測位信号」を発信する。これにより、携帯端末101が「測位信号」を発信することにより、画像形成装置104側では携帯端末101の位置検出が可能になる。
【0039】
<
図5:画像形成装置104のソフトウェア構成>
図5は、
図1に示した画像形成装置104のソフトウェア等の構成を示すブロック図である。また、図示のソフトウェアは、CPU1201がRAM1202に展開して実行される。「プリントジョブ508」、「ドキュメント511」および「ユーザアカウント509」の夫々は、夫々に関するデータを記憶するデータ領域である。これらのデータ領域は、ソフトウェアがRAM1202やHD1204に記憶して管理される。「印刷アプリケーション501」は、画像形成装置104上で実行する印刷のためのアプリケーションであり、ROM1203に記録されるOS上で動作するアプリケーションである。
【0040】
「プラットフォーム510」は、例えばLinux(登録商標)等のOS、JAVA(登録商標)のバーチャルマシンやOSGi(登録商標)フレームワーク、デバイスドライバ群を含むもので構成できる。「OSGiフレームワーク」は、「OSGi Alliance(標準化団体)」が定義したJAVAベースのサービスプラットフォームである。
【0041】
「プラットフォーム510」は、各種ハードウェアを制御するためのデバイスドライバ群を有しており、プラットフォーム510上で動作するアプリケーションに対してハードウェアを利用するためのAPIを提供する。例えば、「BLE(Bluetooth)通信制御部505」は、
図3に示すBLE通信部1272を制御するためのデバイスドライバである。また、「WiFi通信制御部512」は、
図3に示すWiFi通信部1271を制御するためのデバイスドライバである。「UWB通信制御部506」は、
図3に示すUWB通信部1273を制御するためのデバイスドライバである。「BLE(Bluetooth)通信」や「UWB(UltraWideBand)通信」を用いたプロトコル制御に関しては、アップル社の「Neaby Interaction」がある。また、「UWB普及推進団体」である「FiRaコンソーシアム」において標準化されている「Common Service Management Layer (CSML) specification」に準拠したAPIが提供される。
【0042】
その他、図示はしないが、プリンタ部20を制御する「プリンタモジュール」、スキャナ部10を制御する「スキャナモジュール」もプラットフォーム510上に存在する。また、プラットフォーム510は、プリントジョブ508、ユーザアカウント509のデータを読み書きするためのAPIをアプリケーションに提供する。また、「UI502」、「端末装置探索503」、「印刷504」、「コピー514」、「読み取り515」、「送信513」および「ログイン認証507」は、プラットフォーム510上で動作する印刷アプリケーション501である。印刷アプリケーション501に含まれるこれらのソフトは、操作部140に各種機能を提供するためのユーザインターフェイス(UI)となる。ユーザインターフェイスはユーザが使用可能に表示部を兼ねる操作部140に表示される。
【0043】
例えば「コピー514」は、プラットフォーム510を介して「読み取り515」と「印刷504」を制御してコピーを実行する。「印刷504」は「ドキュメント511」に記憶されたドキュメントデータやプリントジョブ508に保存されたプリントジョブを印刷する機能を提供する。「コピー514」や「印刷504」の出力は、プラットフォーム510のAPIを介して実行され、プラットフォーム510が印刷枚数を不図示のカウンタに記憶する。「送信513」は「読み取り515」から取得したドキュメントデータを外部に送信する機能を提供する。「UI502」は、操作部140からアプリケーション(例えばコピー、プリント、送信等)固有の機能を選択するためのメニュー画面等のユーザインターフェイスを提供するモジュールである。
【0044】
「ログイン認証507」は、ユーザが画像形成装置104を利用する際のログイン機能を提供するモジュールである。「端末装置探索503」は、画像形成装置104が参加するLAN103において、印刷ジョブを発行した携帯端末101や他の端末に登録された任意の「UWBTAG」を探索する。探索方法は、BLE通信制御部505、UWB通信制御部506、WiFi通信制御部512等の無線通信可能な端末を探索する。この際、「ログイン認証507」がその管理領域に管理しているユーザアカウント509と、UWB通信制御部506がその管理領域に記憶更新するプリントジョブ508との間で、ユーザアカウントと距離情報を共有して所定条件と比較して認証処理を実施する。
【0045】
「ログイン認証507」の管理領域のユーザアカウント509にはユーザを識別する「User_name」、パスワード「Pass_word」、ICカード番号「IC_card」およびメールアドレス「Mail_Address」が関連付けて記憶される。さらに、本実施形態の画像処理システムにおける画像形成装置104は、UWB通信制御部506において「UWBTAG」の識別情報を一以上記憶管理している。「USBTAG」には「UWB _Tag1」「UWB_Tag2」、「UWB_Tag3」の3種類のタグが関連付け可能になっている。
【0046】
さらに、ユーザ情報として各ユーザが画像形成装置104に最後にログインした日付である「最終ログイン履歴」も記憶管理されている。この「最終ログイン履歴」は、「User _name」で識別されるユーザが画像形成装置104にログインする度に日付が更新される。さらに「表1」においては、ユーザ情報としてユーザが在籍する場所である「居室」の名称も記憶されている。これは、ユーザが画像形成装置104を始めて使用する際にユーザ登録を行う時にユーザ情報として入力される一例である。なお、ユーザ登録時に入力したユーザ情報は、ユーザ登録した後からでも追加、修正が可能になっている。
【0047】
【0048】
上述したように、「ユーザアカウント一覧」におけるユーザ情報として、「表1」に示すように、ユーザが在籍する場所である「居室」を示す情報も関連付けて記憶されている。これと同様に、画像形成装置104は、画像形成装置104自身が設置されている場所の情報を記憶することもできる。画像形成装置104が設置されている場所情報は、操作部140を用いて入力されHDD1204に画像形成装置104の各種設定値とともに記憶される。
【0049】
画像形成装置104の設置場所情報は「ユーザアカウント一覧」に登録されたユーザの「居室」の情報と比較することにより、ユーザが使用する画像形成装置104であるか否かの判定に使用される。例えば、本実施形態においては、画像形成装置104の設置場所がユーザの「居室」と同一であれば、画像形成装置104は当該ユーザにより使用され画像形成装置であると判定される。一方、画像形成装置104の設置場所がユーザの「居室」と異なる場合、画像形成装置104は当該ユーザにより使用される画像形成装置でないと判定される。
【0050】
また、プラットフォーム510の管理領域であるプリントジョブ508には、随時ユーザから受け付けるジョブのデータやその内容が記憶管理されるように構成されている。そして「表2」に示すように、プリントジョブを発行した「User_name」に対応付けられ、アクセスコントロールを行う携帯端末101等の「UWBTAG」の情報がプリントジョブ508に記憶されるようになっている。
【0051】
例えば、以下の「表2」に示す「ジョブ管理情報一覧」においては各種の情報が関連付けてプリントジョブ508に記憶されている。各種の情報には、先ずジョブ固有の識別番号「JOBID」、ジョブの種類を示す「JOB_type」、ジョブの実行ステータスを示す「JOB_Status」、日付「Date」、ジョブ発行を行ったユーザを識別する「User_name」がある。また、測距アクセスコントロール対象の「UWBTAG情報」の「TAG」のパーソナルエリアネットワークID「TAG_panid」も関連付けて含まれる。さらに、「TAG」のアドレス「Tag_addr」、「UWBTag」の測距値「Ragng_Value」も関連付けて含まれる。その他、携帯端末101から受信したジョブに対応するアクセスコントロール制御パラメータとして例えばアクセスコントロールを行う距離条件「Rang_set(x)」、端末種別「terminal」等の情報も付加的属性として関連付けても良い。ここで、ログイン認証507とUWB通信制御部506は、相互の管理領域中における「User_name」で紐付けて「UWBTag」との測距情報を共有することができる。
【0052】
【0053】
<
図6:UWB測位方式>
図6は本実施形態の画像形成装置104および携帯端末101の位置を測定する測位方式例の説明図である。
図6において、携帯端末101の位置を検出するための位置検出サーバ601が設置されている。位置検出サーバ601は、後述するUWBの「アンカー」である各「UWBアクセスポイント(以下「UWB AP」)」とハブ608を介してLAN103で接続されている。画像形成装置104もLAN103で接続されている。携帯端末101と画像形成装置104も複数の「USB AP」にアクセス可能にネットワーク接続されている。
【0054】
「UWB AP602」、「UWB AP603」、「UWB AP604」、「UWB AP605」、「UWB AP606」、「UWB AP607」はUWB方式によるアクセスポイントである。これらは「UWB方式」による通信の「アンカー」となり「タグ」との通信を行う。また、本実施形態においては、後に説明する「TWR方式測距」により「TAG(タグ)」との距離を測定するターミナルとして利用する。
【0055】
図6においては「「UWB AP602」、「UWB AP603」、「UWB AP604」は、携帯端末101の測位をするための「アンカー」として利用している。また、「UWB AP605」、「UWB AP606」、「UWB AP607」は、画像形成装置104の測位をするための「アンカー」として利用している。なお、画像形成装置104は一度設置すると位置が変わることが滅多に無い。このため、画像形成装置104の位置が既に位置検出サーバ601に検出されている場合、「UWB AP605」、「UWB AP606」、「UWB AP607」は、本実施形態においては必ずしも必須ではない。なお、
図6に示すネットワーク例においては、位置検出サーバ601は、LAN103を介してハブ608に接続され、ハブ608は各「UWB AP」に接続されている。よって、位置検出サーバ601は各「UWB AP」にアクセス可能に接続されている。
【0056】
<
図7:UWBによる測距方式(測位方式)の説明図>
図7は、
図6において適応される「UWB AP602」、「UWB AP603」、「UWB AP604」と携帯端末101の距離を測定する測距方式であり「IEEE802.15.4グループ」によって規定されている。「TAG(タグ)」と「Anchor(アンカー)」との間の距離の測距方式の説明図である。ここで、一般には「Anchor(アンカー)」は固定機であるとともに「TAG(タグ)」は移動機である。この測距方式は、空間中を電波が伝わる速度に基づく単位距離あたりの「フレーム到達時間(ToA:Time Of Arrival)」を演算することにより距離計測を行う方式である。
図7は、「Anchor(アンカー)」、「TAG(タグ)」間を双方向でフレームを送信行う「TwoWayRainging(TWR)」の測距方式を示している。「TWR」においては、測距の主体を「Anchor(アンカー)」が担って「TAG(タグ)」が測距対象となる。
【0057】
「TAG」との距離を測距する場合、先ず、「Anchor(アンカー)」は「TAG(タグ)」に対して「POLLフレーム」を発行する。次に、「POLLフレーム」を受信した「TAG(タグ)」は自身宛のものであることを認識すると、受信した瞬間から予め定めておいた「時間(Treply)」経過した後に「RESPフレーム」を「Anchor(アンカー)」に対して送信する。この「RESPフレーム」には、「Header」に「Treply値」を結合されて成る。「RESPフレーム」を受信した「Anchor(アンカー)」は、POLLフレームの発行からRESPフレームを受信したまでの「時間(Tround)」と、「RESPフレーム」に含まれる「Treply値」を用いて次述の計算を実行する。
【0058】
つまり、「POLLフレーム」と「RESPフレーム」の伝達に要した「ToA」を計算し、この「ToA」と電波の伝搬速度(光速)から「Anchor(アンカー)」は「TAG(タグ))」までの距離を算出する。
図7を参照すると、具体的には「ToA=(T
round-T
reply)/2」となり、光速を「C」とすると「距離=C×ToA」となる。
【0059】
図6において夫々異なる位置にある「UWB AP602」、「UWB AP603」、「UWB AP604」から携帯端末101までの距離を、
図7で説明した「TWR方式」を用いて測定している。このように一個のタグ(携帯端末101)に対して複数のアンカー(「UWB AP602」、「UWB AP603」、「UWB AP604」)から測距を行うと、空間上で携帯端末101の位置を推定することができる。ここで、「UWB AP602」、「UWB AP603」「UWB AP604」の位置を位置検出サーバ601が予め把握しており、夫々の「UWB AP」から携帯端末101までの距離の測定結果を位置検出サーバ601が取得する。これにより、位置検出サーバ601は、携帯端末101が位置する1点を計算することができる。なお、このような測位方式のことを「3点測位」と称する。
【0060】
ここで、位置検出サーバ601が、画像形成装置104の位置を予め把握している場合、位置検出サーバ601は上記の「3点測位」の結果により、画像形成装置104に対する携帯端末101の相対位置を計算することができる。また、位置検出サーバ601が、画像形成装置104の位置を把握していない場合であっても、前述した携帯端末101の位置測定方式と同様な方式を用いることにより、画像形成装置104の位置を特定することができる。即ち、
図6における画像形成装置104を「TAG」とし「UWB AP605」、「UWB AP606」「UWB AP607」をアンカーとして画像形成装置104の位置を測位する。以上説明した方式によって位置検出サーバ601が携帯端末101と画像形成装置104の位置を把握することで、画像形成装置104に対する携帯端末101の相対位置を算出することができる。
【0061】
以上説明した測距方式により位置検出サーバ601が検出した携帯端末101の位置はLAN103を介して位置検出サーバ601から画像形成装置104に送信される。これにより、画像形成装置104は、画像形成装置104に対する携帯端末101の相対位置を把握することができる。なお、本実施形態においては、画像形成装置104や携帯端末101、「UWB AP602」「UWB AP603」、「UWB AP604」は、夫々が
図7の「TWR方式」による測距における「タグ」、「アンカー」のいずれになっても対応が可能である。
【0062】
<
図8:他の測距方式(測位方式)の説明図>
図8は、本実施形態における画像形成装置104に対する携帯端末101の相対位置を測定する測位方式の他の例を示す。
図8に示す方式においては、
図6で用いた位置検出サーバ601および「UWB AP」を使用せずに、画像形成装置104が携帯端末101の位置を検出する点に特徴がある。
【0063】
以下、
図8における測位の動作について説明する。先ず、画像形成装置104は、携帯端末101に対して、測位を行うための電波信号の発信を要求するために「測位信号発信要求801」を出力する。携帯端末101は「測位信号発信要求801」を受信したことに応じて「測位信号」の発信を行う。この時、携帯端末101が発信した「測位信号802」の電波は、図示するように携帯端末101を中心とした同心円状に空間を伝搬する。
【0064】
「測位信号」は携帯端末101から画像形成装置104に直接伝達する信号(
図8の符号「803」)の他にも発生する。つまり、例えば建物等の天井、床、壁等に反射して画像形成装置104に伝達する信号(符号「804」、符号「805」)等、複数のパスを通って画像形成装置104に到達する「測位信号」が存在する。画像形成装置104は、これら複数のパスで到達した「測位信号」に対して次述の処理を実行する。つまり、「測位信号」が到達するまでの「時間」および到達した「時間差」、および、「測位信号」が画像形成装置104に到達した「入射角」に基づいて、画像形成装置104に対する携帯端末101の「方角」と「距離」を算出する。これにより、携帯端末101の位置を把握することができる。
【0065】
図8に示した方式によれば基本的には最も早く画像形成装置104に到達する「測位信号」を利用して測位する。携帯端末101からの「測位信号」が反射されると、画像形成装置104に到達するには反射分だけの時間遅延を有するからである。なお、例えば「測位信号」を検出する検出部を画像形成装置104の正面幅方向に複数配列することにより、「測位信号」の入射角を検出することができる。
【0066】
幅方向に配列した検出部の内で中央に位置する検出部の検出値が最も高い場合には入射角は概ね「0度」であり、端部の検出部の検出値が最も高い場合には入射角は概ね「90度」となる。このように、検出値の最も高い検出部が中央から左右端になるに従って、入射角は「0度」から「90度」に徐々に変化する。かくして、検出値の最も高い検出部の位置と入射角とは対応する。以上のような手法によれば、位置検出サーバ601および「UWB AP」を使用せずとも、画像形成装置104は携帯端末101までの距離を測距できることになる。
【0067】
<
図9:画像形成装置104での領域設定方法例>
図9は本実施形態における画像形成装置104の「スリープモード」から「起動モード」に移行するための「領域設定」を行うUIの説明図である。符号910で示すものはタッチ操作等を行う指を示す。本実施形態においては、操作部140を用いて「領域設定」の操作を行う。
図9(a)は「領域設定」を行うための領域設定画面を表示した状態を示している。操作部140が表示部901を兼用した構成になっていて、表示部901はタッチパネル機能を有する。
【0068】
図9(a)において、ユーザが表示部901に対して接触、押下等の操作を操作部140において操作することにより、画像形成装置104に対する各種設定の入力が可能である。表示部901には、画像形成装置104を表すアイコン902(
図9中「MFP」)が表示されている。表示部901においては、アイコン902は、画像形成装置104を上から見た状態を表している。
図9(a)の例では横長矩形状のアイコン902が表示されている。
【0069】
表示部901に表示されたアイコン902の周辺に「領域」を設定する。ここで「領域」とは、画像形成装置104が「スリープモード」から「起動モード」に移行するためのエリアのことであり、ユーザはこの「領域」を設定する。なお、アイコン902に接するように、画像形成装置104の方向を示す矢印903が表示され、矢印903が示す「方向」が画像形成装置104の正面を示す。矢印903は、具体的には、画像形成装置104が備える操作部140の設置方向を示す。
【0070】
表示部901の右上隅には「領域」を設定するための「描画ツール904」が表示されている。
図9に示す「描画ツール904」は、「領域」の形状として「長方形」、「楕円」、「フリーハンド」の3種類で設定することが可能である。なお、「領域」の形状はこれらに限られない。表示部901の右下隅には、表示部901に表示する範囲を変更するためのツール905が表示されている。
【0071】
ツール905における「+」ボタン906を押下操作すると、表示部901に表示される「領域」の範囲が広くなる。換言すれば、画像形成装置104の周辺の設定領域が拡大表示される。一方、「-」ボタン907を押下操作すると、表示部901に表示される「領域」の範囲が狭くなる。換言すれば、画像形成装置104の周辺の設定領域が縮小表示される。符号「908」で示すものは、実際の縮尺を表示する表示部分であり、
図9(a)においては、矢印903で示される画像形成装置104の横幅が表示部901内の「1(m)」の長さであることを表現している。
【0072】
例えば、「+」ボタン906を押下操作した場合、表示部901内に表示される「領域」が拡大表示されるため、符号「908」で示される「縮尺」は「1(m)」より短い例えば「50(cm)」に変化する。また、「-」ボタン907を押下操作した場合、表示部901内に表示される「領域」が縮小表示されるため、符号「908」で示される「縮尺」は「1(m)」より長い例えば「5(m)」に変化する。
【0073】
図9(b)は、操作部140を用いて領域設定を行った場合の具体例の説明図である。
図9(b)においては、描画ツール904の中でフリーハンドでの領域設定を選択している。ユーザは表示部901において点線909で示すような閉曲線を描画することにより、「スリープモード」から「起動モード」に移行する「領域」を設定できる。なお、
図9によって設定した「領域」の情報は画像形成装置104のHDD1204等の記憶部に記憶される。また、表示部901の右側の各種ボタンは画像形成装置104の操作用のものである。
【0074】
<
図10:動作モード移行動作を示すフローチャート>
図10は本発明の実施形態の画像処理システムにおいて、画像形成装置104が携帯端末101を検知して「スリープモード」から「起動モード」へ移行するまでの動作を説明するためのフローチャートである。
図10のフローチャートに示す各動作(ステップ)は、CPU1201が、ROM1203やHDD1204に記録されている制御プログラムをRAM1202に展開して実行することにより実現される。また、以下の各処理は基本的に画像形成装置104が実行するように記載するが、具体的には画像形成装置104のCPU1201が実行する。
【0075】
先ず、S1001において、画像形成装置104は、周辺に携帯端末101が存在することを確認するためBLE方式によるアドバタイズ通信を行う。これにより、S1002において、画像形成装置104から携帯端末101に「アドバタイズパケット」が送信される。次いで、S1003において、「アドバタイズパケット」を受信した携帯端末(
図10の携帯端末101)が存在する場合、携帯端末101は画像形成装置104とデータ通信を行うための認証接続を確立するための「ペアリング要求」を行う。
【0076】
次に、S1004において、画像形成装置104はS1001においてアドバタイズ通信を行った後、所定時間内に「ペアリング要求」を受信したか否かを待つ。具体的には画像形成装置104は、携帯端末101から「ペアリング要求」が送信されてきたか否かを判定する。画像形成装置104は、「ペアリング要求」の送信が無いと判定した場合(No)、自装置の周辺に携帯端末101が存在しないと判定してS1001に戻って再度「アドバタイズパケット」の送信をトライする。一方、S1004において、画像形成装置104が、携帯端末101から「ペアリング要求」が送信されたと判定した場合(Yes)、S1006に進む。なお、S1005においては、画像形成装置104は、「ペアリング要求」を送信した携帯端末101と「GATT通信」を行う。S1006において、「GATT通信」により携帯端末101の情報(測位対象の判定に用いる情報)を取得する。S1006においては、携帯端末101の情報として「UWBTAG」の識別情報(UWBConfigデータ)を取得する。
【0077】
次に、S1007において、画像形成装置104は、取得した携帯端末101の情報を用いて携帯端末101が測位対象であるか否かの判定を行う。具体的には、S1006において情報を取得した携帯端末101のユーザが、画像形成装置104を使用するユーザであるか否かを下記に示す方法で判定する。つまり、ユーザの携帯端末101が測位対象であるか否かを判定する。画像形成装置104は、自装置を使用するユーザの携帯端末101であると判定した場合(Yes)(換言すればユーザの携帯端末101が測位対象であると判定した場合)、携帯端末101の位置が測定される。一方、画像形成装置104は、自装置を使用するユーザの携帯端末101では無いと判定した場合(No)、換言すればユーザの携帯端末101が測位対象でないと判定した場合、S1001に戻る。
【0078】
本実施形態においては、S1007において、携帯端末101が測位対象であるか否かを判定するために、「表1」の「ユーザアカウント一覧」および「表2」の「ジョブ管理情報一覧」を参照する。例えば、S1006において取得した「UWBTAG」の識別情報(UWB_Tag1)が「03CF145B」の場合、「表1」を参照して携帯端末101を使用しているユーザの「User_name」は「shimizu」と判定される。また、ジョブ管理情報一覧である「表2」を参照して、S1006で取得した「UWBTAG」のユーザがプリントジョブを発行している否かの確認を行う。
【0079】
「表2」において、「UWBTAG」の識別情報が「03CF145B」のユーザに対して、プラットフォーム510の管理領域であるプリントジョブ508におけるJOBID「234」のプリントジョブが記憶されていることが分かる。この場合、「UWBTAG」の識別情報が「03CF145B」の携帯端末101のユーザは画像形成装置104で印刷を行うと予想される。このため、携帯端末101は、画像形成装置104を「スリープモード」から「起動モード」に移行するための測位対象であると判定する。なお、「表2」における4桁の「TAG_panid」は、「表1」における「UWBTAG」の8桁の識別情報(UWB_Tag1)の上位4桁となっているが「User_name」が同一(shimizu)であるため他ユーザとの区別は可能である。この点は以下においても同様である。
【0080】
同様に、S1006において取得した「UWBTAG」の識別情報が「00AAC045」の場合、対応するユーザ(User_nameが「suzuki」)に対するJOBID「12348」のプリントジョブが記憶されている。このため、画像形成装置104で印刷を行うと予想して、当該ユーザ(User_nameが「suzuki」)の携帯端末1010測位対象と判定する。
【0081】
一方、S1006において取得した「UWBTAG」の識別情報が「052A5C5E」」の場合、「表1」、「表2」を参照すると、対応するユーザ(User_nameが「kato」)のプリントジョブは無い。また、「ユーザアカウント一覧」に記憶されている最終ログイン履歴の日付が所定期間(例えば1ヶ月以前)よりも古い場合に次述の処理を実行する。つまり、「UWBTAG」の識別情報が「052A5C5E」の携帯端末101のユーザは画像形成装置104を使用しないものと判定する。このように、S1007において、CPU1201(対象判定部)は、最終ログイン履歴(履歴情報)が示す最終のログイン月日が現時点より所定期間以前の場合、当該最終ログイン履歴に対するユーザの携帯端末101を測位対象とはしない。
【0082】
また、S1006において取得した「UWBTAG」の識別情報が「01F29B4A」の場合、「表1」、「表2」を参照すると、対応するユーザ(User_nameが「takahashi」)のプリントジョブは無い。また、ユーザアカウント一覧に記憶されている「居室」は「E15」である。ここで、画像形成装置104は、設置されている居室が「E15」ではない場合(例えば「E20」場合)、「UWBTAG」の識別情報が「01F29B4A」の携帯端末101のユーザに対して次述のように判定する。つまり、当該ユーザは設置されている「居室」以外に設置されている画像形成装置104は使用しないと判定し、S1007において、画像形成装置104はこの携帯端末101は測位対象ではないと判定する。
【0083】
以上説明したように、本実施形態においては、S1007において、取得した携帯端末101の情報を用い「表1」、「表2」を参照して携帯端末101が測位対象であるか否かを判定する。S1007において、携帯端末101が測位対象で無いと判定された場合、画像形成装置104はS1001に戻り、携帯端末101が存在することを確認するため、BLE方式による「アドバタイズパケット」の再度の送信をトライする。
【0084】
次に、S1007において、携帯端末101が測位対象であると判定された場合(S1007のYes)、S1008に進む。S1008において、画像形成装置104は、自装置を「スリープモード」から「起動モード」に移行するための「スリープ復帰領域」の情報をHDD1404から読み出してRAM1202に記憶する。なお、S1008においてRAM1202に記憶される「スリープ復帰領域」の情報は、
図9を参照して説明した領域設定方法等を用いて設定した「領域」の情報である。
【0085】
S1008において、「スリープ復帰領域」の情報がRAM1202に記憶されると、画像形成装置104は携帯端末101の位置検出を行う。本実施形態においては、
図8を参照して説明した測位方式により携帯端末101の測位を行う。このため、S1009において、携帯端末101に対して測位を行うための「測位信号」の発信要求を携帯端末101に送信する。これにより、S1010において、画像形成装置104から携帯端末101に対して「測位信号発信要求」が送信される。
【0086】
次に、S1011において、S1009において送信した「測位信号発信要求」に応答して携帯端末101から「測位信号」が出力され到着するのを待つ。ここで、所定時間経過しても「測位信号」が検出されない場合(S1011のNo)、画像形成装置104は、携帯端末101が「UWB通信」が可能な範囲から逸脱したと判定して動作を終了する。なお、S1008において指定した「スリープ復帰領域」は、一般に「UWB通信」が可能な範囲の内部で設定される。このため、S1011において、携帯端末101が「UWB通信」が可能な範囲から逸脱したと判定した場合(No)、画像形成装置104は、後述するS1017によって「スリープモード」の状態となる。
【0087】
一方、S1012において、携帯端末101が「測位信号発信要求(S1010)」に応答して「測位信号」を発信した場合、S1011において、画像形成装置104は「測位信号」を検出したと判定し(Yes)、S1013に進む。S1013において、画像形成装置104は「測位信号」を受信する。次に、S1014において、
図8を参照して説明した測位方式を用いて携帯端末101の位置を測位する。
【0088】
次に、S1015において、画像形成装置104はS1014にて測位した携帯端末101の位置と、S1008にてRAM1202に記憶した「スリープ復帰領域」とを比較し携帯端末101の位置が「スリープ復帰領域」の内側にあるか否かを判定する。次に、S1016において、画像形成装置104は、携帯端末101の位置が「スリープ復帰領域」の内側にあると判定した場合(S1015の「Yes」)、画像形成装置104は「起動モード」に移行する。一方、S1017において、画像形成装置104は、携帯端末101の位置が「スリープ復帰領域」の外側にあると判定した場合(S1015の「No」)、画像形成装置104は「スリープモード」に移行する。
【0089】
そして、S1016において「起動モード」に移行した場合、および、S1017において「スリープモード」に移行した場合、S1009に戻り、測位を行うための「測位信号発信要求」を携帯端末101に対して再度、送信する。
【0090】
なお、上述してきた実施形態においては、画像形成装置104が指定した領域内に携帯端末101にある場合、画像形成装置104が実行する制御として、画像形成装置104が「スリープモード」から「起動モード」へ移行する例を挙げて説明した。しかし、本発明において画像形成装置104が実行する制御内容は、モードの移行に限ったものではない。例えば、携帯端末101が指定した領域内にある場合に操作部140を操作可能に発光表示することや、プリンタ部20に対して電力供給を開始すること等の様々な制御としても良い。
【0091】
また、上述してきた実施形態においては、携帯端末101の位置と比較する領域は、
図9を参照して説明したUIにより指定した単一の領域を用いて説明したが、例えば携帯端末101毎に「スリープ復帰領域」を設定することも可能である。例えば、事前にユーザ毎に、
図9に示したUIにより「領域」を設定して設定領域の「情報」をHDD1204に記憶しておく。そして、
図10のS1008において、「スリープ復帰領域」を設定する際、携帯端末101の「情報」に基づいてユーザを特定して、ユーザに対応する「領域」をHDD1204から読み出してRAM1202に記憶する。このような処理を行うことにより、ユーザ毎に異なる「スリープ復帰領域」を設定することができる。
【0092】
また、上述してきた実施形態においては、携帯端末101の位置と比較する「領域」が一つである場合について説明してきた。だが、同時に複数の異なる「領域」の夫々に対して、携帯端末101がいずれの「領域」に含まれるか否かを判定し、いずれかの「領域」に含まれる場合、当該「領域」において指定した制御を行う構成とすることもできる。
【0093】
<画像形成装置104のCPU1201のメイン動作>
以上説明してきたように、本発明の実施形態によれば画像形成装置104のCPU1201は以下の動作を行う。先ず、CPU1201(情報取得部)は、携帯端末101の測位対象判定に用いる情報を取得し(S1006)、次に、CPU1201(対象判定部)は、取得された情報に基づいて、携帯端末101が測位対象であるか否かを判定する(S1007)。
【0094】
そして、CPU1201(測位部)は、測位対象と判定された携帯端末101に対して測位対象判定に用いる情報を用いた所定測位方式により測位を行う。次いでCPU1201(制御部)は、求められた携帯端末101の位置が設定された領域の内側であると判定された場合、省電力状態から起動状態に移行させる。
【0095】
以上のようにして、省電力状態にある画像形成装置104(デバイス)を使用するユーザが近づいた際にのみ画像形成装置104(デバイス)を起動状態として省電力効果の低下を抑制できる。なお、画像形成装置104はデバイスの一例に過ぎない。
【0096】
<
図11:複数設定された領域に対する動作説明図>
図11は、画像形成装置104の周辺に複数の領域1101、領域1102、領域1103が設定された場合の動作の説明図である。
図11において、領域1101は「長方形」の形状で設定された「領域」であり、例えば「スリープモード」から「起動モード」への移行を行う「領域」として設定されているものとする。また、領域1102は「楕円」の形状で設定された「領域」であり、例えば携帯端末101の情報を参照して画像形成装置104にログインする「領域」として設定されているものとする。
【0097】
さらに、領域1103はフリーハンドで設定した、閉じた「曲線」の形状で設定された「領域」であり、例えば画像形成装置104の操作部140を表示する「領域」として設定されているものとする。
図11に示す例の場合、
図10の「S1015」において、画像形成装置104は、領域1101、領域1102および領域1103に対して、携帯端末101が夫々の「領域」の内部にあるか否かの判定を行う。そして、その結果によって夫々の「領域」に予め指定された各種の制御を行うようにすることができる。
【0098】
例えば、携帯端末101が
図11に示した位置にある場合、携帯端末101は領域1101の内部に位置するため、画像形成装置104は領域1101に指定された「スリープモード」から「起動モード」への移行制御を行う。また、同時に領域1102の内部にも位置するため、画像形成装置104は領域1101に指定された画像形成装置104へのログイン制御も実行されることになる。なお、携帯端末101は、領域1103の領域内には位置しないため、領域1103に対して指定された操作部140を操作可能に発光表示する処理は実行されない。
【0099】
以上説明したように、本発明の画像形成処理システムにおいては、画像形成装置104を使用するユーザの携帯端末101を識別し、当該携帯端末101の位置を検出して「スリープモード」から「起動モード」に移行する構成となっている。これにより、画像形成装置104を使用しないユーザの携帯端末101が画像形成装置104の近傍に位置した場合であっても、画像形成装置104を「起動モード」に移行して画像形成装置104の省電力効果が低下することを抑制することができる。つまり、画像形成装置104を使用しないユーザが「領域」内に侵入しても「起動モード」には移行しないので不要な電力消費を大幅に削減可能になる。
【0100】
<実施形態の変形例>
(1)画像形成装置104が「起動モード」に移行させる「領域」をユーザがフリーハンドにより任意の形状に設定可能となる。このため、より木目細かに「領域」の設定を行うことができる。(2)また、一人のユーザに対して複数の「領域」を設定して、夫々の「領域」に対して固有の制御を実行する構成とすることができる。このため、ユーザにとって使い勝手の良い制御を実行することが可能になる。
【0101】
(3)また、複数のユーザが使用する場合、ユーザ毎に「領域」を設定することも可能である。このため、ユーザ個人に適合したタイミング等で制御を実行することができる。例えば複数のユーザが画像形成装置104を使用する場合にあっては、ユーザの歩速、画像形成装置104への近づき態様(近づき経路等)などが異なる。このため、よりユーザフレンドリーな装置構成とすることができる。(4)また、ユーザが有する印刷ジョブ等に応じて「領域」とその制御内容とを変更することもできる。例えば「第1の領域」にユーザが侵入した場合には「起動モード」に移行させ、「第1の領域」よりも狭い「第2の領域」に当該ユーザが侵入した場合、「起動モード」移行においてプリントエンジンを起動させること等もできる。
【0102】
<実施形態の特徴・効果>
以上のように本発明の実施形態の特徴は、画像形成装置104が携帯端末101から測位対象判定用の情報を取得し、取得した情報に基づいて携帯端末101のユーザが画像形成装置104を使用するユーザであるか否かを判別する。つまり、画像形成装置104は当該携帯端末101が測位対象であるか否かを判定する。次に、使用するユーザの携帯端末101が測位対象であると判定された場合、画像形成装置104が携帯端末101に対して測位を行い携帯端末101の位置を検出する。そして、携帯端末101の位置が画像形成装置104の設定領域内にある場合には「スリープモード」から「起動モード」への移行制御が実行される。
【0103】
これにより、画像形成装置104は、当該装置を使用するユーザに対しては設定領域内に侵入することで「スリープモード」から「起動モード」への移行を行う。一方、画像形成装置104は当該装置を使用しないユーザに対しては設定領域内に侵入しても「起動モード」への移行制御を行わない。これにより、画像形成装置104の省電力効果の低下を抑制することができるという効果が得られる。
【0104】
<その他>
(1)デバイスとしては各種の電子機器を挙げ得る。通常時には省エネ状態の「スリープモード」であり、使用時に「起動モード」に移行可能な電子機器であれば様々なデバイスが挙げられる。例えば、照明器具、TV、PC等の電子機器であっても良い。(2)本実施形態においては、ユーザの携帯端末を利用してモード制御を行うようにしているが、例えば社員証等に小型チップを埋め込んで小型チップが携帯端末同様のUWB通信機能を有するものとしても良い。(3)携帯端末101には、スマートフォン、タブレット端末等が含まれる。
【0105】
(4)また、所定サイトから携帯端末101にアプリをダウンロードしてインストールする。このアプリは、携帯端末101のディスプレイ215に表示される各種ボタンをユーザが操作することにより、設定情報が画像形成装置側(デバイス側)に送信される。当該設定情報を受信した画像形成装置側(デバイス側)は、ユーザが設定領域に侵入した場合、自身を「起動モード」に移行させプリントエンジンを起動させる。即ち、画像形成装置104の操作により実施形態に係る動作を行わせるように設定するのではなく、アプリを用いてこのような設定を携帯端末101が行えるようにしても良い。
【0106】
また、このアプリは画像形成装置104におけるプリントジョブの進行状態を携帯端末101のディスプレイ215に表示させるようにすることもできる。以上のような動作を両者間で行わせるためには、画像形成装置104(デバイス)と携帯端末101とがブルートゥース(登録商標)等の近距離通信が可能で所要の情報を送受信可能にしてく必要がある。また、携帯端末101のアプリは、所要の情報をディスプレイ215に表示させるため、画像形成装置104からのジョブ進行状態を示す情報等を受信して加工、編集等を実行する機能を有する。
【0107】
<追記>
本実施形態の開示は、以下の構成、方法およびプログラムを含む。
(構成1)
携帯端末と所要情報の通信を行うことが可能なデバイスであって、
前記携帯端末の測位対象判定に用いる情報を取得する情報取得部と、
前記情報取得部より取得された情報に基づいて、前記携帯端末が測位対象であるか否かを判定する対象判定部と、
前記対象判定部により測位対象と判定された前記携帯端末に対して前記情報を用いた所定測位方式により測位を行う測位部と、
前記測位部により求められた前記携帯端末の位置が設定された領域の内側であると判定された場合、省電力状態から起動状態に移行させる制御部と、を備えたことを特徴とするデバイス。
(構成2)
前記制御部は、前記測位部により求められた前記携帯端末の位置が設定された領域の内側であると判定された場合、デバイス機能が休止される省電力状態から当該デバイス機能を発揮可能な起動状態に移行させることを特徴とする構成1に記載のデバイス。
(構成3)
前記所定測位方式はUWB方式であり、前記情報取得部により取得した測位対象判定に用いる情報は、当該携帯端末の「UWBTag(UWBタグ)」を含む情報であることを特徴とする構成1または2に記載のデバイス。
(構成4)
少なくともユーザ名とUWBタグとが関連付けられたユーザアカウント情報と、少なくともユーザ名とタグ情報とジョブIDとが関連付けられたジョブ管理情報とを記憶する記憶部を更に備え、前記対象判定部は更に、前記記憶部の記憶内容を参照して、前記UWBタグと前記タグ情報とが対応し両タグに対するユーザ名に対してジョブIDが発行されている場合、当該ユーザ名のユーザの携帯端末を測位対象と判定することを特徴とする構成3に記載のデバイス。
(構成5)
前記対象判定部は更に、前記携帯端末から受信したジョブが記憶部に記憶されている場合、当該携帯端末が測位対象であると判定することを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載のデバイス。
(構成6)
前記対象判定部は更に、前記携帯端末のユーザ情報に基づいて、当該携帯端末が測位対象であるか否かを判定することを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載のデバイス。
(構成7)
前記ユーザ情報はユーザによるデバイス使用の履歴情報であることを特徴とする構成6に記載のデバイス。
(構成8)
前記対象判定部は更に、前記履歴情報が示す最終ログインの月日が現時点より所定期間以前の場合、当該履歴情報に対するユーザの携帯端末を測位対象としないことを特徴とする構成7に記載のデバイス。
(構成9)
前記制御部は更に、前記測位部により求められた前記携帯端末の位置が、設定された複数の異なる領域のいずれか一つ以上の領域の内側であると判定された場合、当該いずれか一つ以上の領域の夫々に対して指定された異なる処理を実行することを特徴とする構成1乃至8のいずれか一項に記載のデバイス。
(構成10)
前記設定された複数の異なる領域の一つの領域に対して指定された処理は、ログインする処理であることを特徴とする構成9に記載のデバイス。
(構成11)
前記設定された複数の異なる領域の一つの領域に対して指定された処理は、デバイス操作部を操作可能に発光表示させる処理であることを特徴とする請求項9に記載のデバイス。
(構成12)
前記設定された複数の異なる領域の夫々はユーザ毎に設定されていることを特徴とする構成9に記載のデバイス。
(構成13)
前記領域を描画する描画ツールが表示された表示画面を表示部に表示するUI部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一項に記載のデバイス。
(構成14)
前記UI部は更に、前記描画ツールのユーザによる使用によって、選択された定型形状の領域、および/または、描画された閉曲線の領域を前記表示部の表示画面に表示することを特徴とする請求項13に記載のデバイス。
(構成15)
自デバイスは、プリンタ、スキャナおよび複合機の内のいずれかであることを特徴とする構成1乃至14のいずれか一項に記載のデバイス。
(方法)
携帯端末と所要情報の通信を行うことが可能なデバイスの制御方法であって、
前記携帯端末の測位対象判定に用いる情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程より取得された情報に基づいて、前記携帯端末が測位対象であるか否かを判定する対象判定工程と、
前記対象判定工程により測位対象と判定された前記携帯端末に対して前記情報を用いた所定測位方式により測位を行う測位工程と、
前記測位工程により求められた前記携帯端末の位置が予め設定された領域の内側であると判定された場合、省電力状態から起動状態に移行させる制御工程と、を有することを特徴とするデバイスの制御方法。
(プログラム)
携帯端末と所要情報の通信を行うことが可能なデバイスの制御方法をコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記制御方法は、
前記携帯端末の測位対象判定に用いる情報を取得する情報取得工程と、
前記情報取得工程より取得された情報に基づいて、前記携帯端末が測位対象であるか否かを判定する対象判定工程と、
前記対象判定工程により測位対象と判定された前記携帯端末に対して前記情報を用いた所定測位方式により測位を行う測位工程と、
前記測位工程により求められた前記携帯端末の位置が予め設定された領域の内側であると判定された場合、省電力状態から起動状態に移行させる制御工程と、を有することを特徴とするプログラム。
【0108】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施の形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。例えば、本発明は、上述の実施の形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワークや記録媒体を介してシステムや装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータのプロセッサがプログラムを読みだして実行する処理でも実現可能である。また、本発明は1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0109】
10 スキャナ部
20 プリンタ部
101 携帯端末
102 無線LANターミナル
103 LAN
104 画像形成装置(デバイス)
108 BLE
121 UWB
140 操作部
202 CPU
203 ROM
204 RAM
209 記憶装置
213 BLE通信部
218 UWB通信部
1200 コントローラ
1201 CPU
1202 RAM
1203 ROM
1204 HDD
1272 BLE通信部
1273 UWB通信部