(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171020
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】シート材包装体用蓋
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20241204BHJP
B65D 43/16 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B65D83/08 B
B65D43/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087857
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(72)【発明者】
【氏名】栗田 夏海
(72)【発明者】
【氏名】磯川 由美
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014LB03
3E084AA05
3E084AA13
3E084AA24
3E084AB10
3E084BA01
3E084CA02
3E084CB04
3E084CC03
3E084DA02
3E084DB13
3E084DC03
3E084FA02
3E084FC01
3E084GA06
3E084GB06
3E084HA03
3E084HB08
3E084HD01
3E084LD01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】シート材を1枚ずつ確実に引き出すことができるシート材包装体用蓋を提供する。
【解決手段】シート材包装体用蓋は裏面が平面状の本体部1と、この本体部1に回動部2を介して連結し、開閉自在の開閉部3とから構成されている。本体部1の引出孔部1bは、中央に配置された中央孔部1hと、この中央孔部1hの左右に配置された一対の線状の第1のスリット1iと、中央孔部1h及び一対の第1のスリット1iを連結する一対の円弧形状の第2のスリット1jとから構成されている。引き出されるシート材は第2のスリット1jを挟む押さえ片1q、1rの円弧状、逆円弧状の端縁に引っ掛かることで、取り出し抵抗力が大きくなる。最上位のシート材は、次のシート材を残留させたまま、第2のスリット1jの間隙を抜け出して、破断することなく、引き出すことができる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
裏面が平面状の本体部と、該本体部に回動部を介して連結し、開閉自在の開閉部とから構成され、シート材の積層体を収納した包装体の頂面に被着するシート材包装体用蓋であって、
前記本体部には、前記包装体の開口部と連通する引出孔部が設けられており、
前記引出孔部は、中央に配置された中央孔部と、該中央孔部の左右に配置された一対の線状の第1のスリットと、中央孔部及び前記一対の第1のスリットを連結する一対の円弧形状の第2のスリットとから構成されていることを特徴とするシート材包装体用蓋。
【請求項2】
前記中央孔部は、前記引出孔部を左右に二等分する中央線である内径を有し、
前記第1のスリットは前記中央線と平行しており、
前記第2のスリットは、前記内径の一端を始点として、前記中央線と直行する方向に延長し、前記第1のスリットの一端を終点とする、又は前記第1のスリットの一端から該第1のスリットに沿って外側方向に延長させた延長線とが交叉する交叉点を終点とする仮想線上の一点を中心点として、前記内径を直径とする円弧形状であり、
前記中心点の前記第2のスリットに対する中心角は、40度~80度であることを特徴とするシート材包装体用蓋。
【請求項3】
側方に前記中央孔部及び前記第1のスリット、先端に前記第2のスリットを配置し、該第2のスリットを挟むように配置した一対の押さえ片を有することを特徴とする請求項1又は2に記載されたシート材包装体用蓋。
【請求項4】
前記中央孔部は略矩形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載されたシート材包装体用蓋。
【請求項5】
前記第1のスリットの幅と、前記第2のスリットの幅は略一致していることを特徴とする請求項1又は2に記載されたシート材包装体用蓋。
【請求項6】
前記本体部には、前記引出孔部を取り囲むように、長溝が形成されている第1の壁部が立設されており、前記長溝内にはシール材が封入されていることを特徴とする請求項1又は2に記載されたシート材包装体用蓋。
【請求項7】
前記開閉部の裏面には、前記開閉部を閉止した際に前記長溝内の前記シール材に先端が当接する第2の壁部が立設していることを特徴とする請求項6に記載されたシート材包装体用蓋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェットティッシュ等のシート材を積層して収納した容器体から、シート材を1枚ずつ引き出すためのシート材包装体用蓋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、水分やアルコールを含浸したシート材の積層体を収納した容器体の周囲を囲む箱体に設けられた蓋体が開示されている。この蓋体は上部に取出口を有しており、包装体内で相互に積層されたシート材をこの取出口を介して引き出して使用する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の蓋体を用いて、容器体内のシート材を取出口から引き出す場合には、取出口に適度な抵抗力が発生しないと、1枚目を引き出した際に、続く2枚目も連なって引き出されてしまうという問題がある。
【0005】
また、シート材を1枚ずつ確実に引き出すために、包装体の開口部に連通して別個の取出口を取り付けて、引出時にこの取出口を潜らせることにより抵抗力を与えて1枚ずつ引き出すようにしたシート材包装体用蓋も知られている。
【0006】
しかし、このような取出口を付設する場合でも、取出口の形状や開口面積の大小により、シート材を1枚ずつ確実に引き出せなかったり、シート材に含浸している水分やアルコール分が蒸発し易くなるという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、シート材を1枚ずつ確実に引き出すことができ、また開口面積を小さくして、シート材に含浸している水分等の蒸発を少なくできるシート材包装体用蓋を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るシート材包装体用蓋は、裏面が平面状の本体部と、該本体部に回動部を介して連結し、開閉自在の開閉部とから構成され、シート材の積層体を収納した包装体の頂面に被着するシート材包装体用蓋であって、前記本体部には、前記包装体の開口部と連通する引出孔部が設けられており、前記引出孔部は、中央に配置された中央孔部と、該中央孔部の左右に配置された一対の線状の第1のスリットと、中央孔部及び前記一対の第1のスリットを連結する一対の円弧形状の第2のスリットとから構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係るシート材包装体用蓋によれば、円弧状の細幅のスリットを挟む押さえ片を形成することで、シート材を1枚ずつ引き出す際に、続く2枚目のシート材が1枚目のシート材と共に引き出されないようにすると共に、シート材の水分等の蒸発を少なくできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】開閉部を閉止した状態のシート材包装体用蓋の斜視図である。
【
図2】開閉部を開いた状態のシート材包装体用蓋の斜視図である。
【
図3】開閉部を開いた状態のシート材包装体用蓋の平面図である。
【
図4】容器体にシート材包装体用蓋を被着した状態の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は開閉部を閉止した状態のシート材包装体用蓋の斜視図、
図2は開閉部を開いた状態の斜視図、
図3は本体部の平面図である。
【0012】
シート材包装体用蓋は合成樹脂材から成り、裏面が平面状の本体部1と、この本体部1に回動部2を介して連結し、開閉自在の開閉部3とから構成されている。
図4に示すようなシート材Sの積層体を収納した包装体Bの頂面B1に、シート材包装体用蓋を被着することにより使用する。なお、包装体Bに収納されるシート材Sは、例えば水分やアルコールを含浸したウェットティッシュが用いられる。
【0013】
図示するように、開閉部3はヒンジ等の回動部2を介して本体部1に連結され、本体部1を覆うように構成されている。回動部2には開閉部3を開放方向に付勢するばね材2aが付設されている。開閉部3は例えばマスコットとしての動物の輪郭形状の平面部3aを有し、本体部1に対し錠止爪3bにより閉止状態が維持されるようにされている。錠止爪3bはばね材2aが配置される開閉部3の回動起点に対して、先端側に配置されている。
【0014】
本体部1の底面には薄板の底板1aが形成され、底板1aの中央には、左右方向に幅広い形状であって、底板1aから立ち上げた引出孔部1bが設けられている。
図4に示すように包装体Bの頂面B1に、シート材包装体用蓋を被着することで、引出孔部1bはシート材Sを取り出す包装体Bの開口部に連通することになる。
【0015】
この引出孔部1bの周縁には二重の第1の壁部1cが形成されており、この第1の壁部1cには、長溝1dが形成されている。この長溝1d内に、開閉部3の裏側に設けられた同形の第2の壁部3cが嵌入するように成っている。なお、長溝1d内には密封用の軟性合成樹脂材等から成るシール材1eが封入されている。
【0016】
また、本体部1の一部には開閉部3を係止するための可撓性を有する押圧片1fが設けられている。この押圧片1fは押圧によって上下に撓む薄板形状をしており、押圧片1fの裏面である係止部1gによって、開閉部3の錠止爪3bを係止する構造をしている。
【0017】
開閉部3は常時は係止部1g及び錠止爪3bにより係止状態が維持され、第2の壁部3cが長溝1d内に嵌入され、シール材1eにより本体部1と開閉部3との間が密封されるようになっている。
【0018】
シート材Sの取出時には、押圧片1fを押圧することで、押圧片1fが斜め手前側に沈み込み、錠止爪3bによる係止部1gとの係止状態が解除されて、ばね材2aにより開閉部3が開く。
【0019】
本体部1の引出孔部1bは、中央に配置された中央孔部1hと、この中央孔部1hの左右に配置された一対の線状の第1のスリット1iと、中央孔部1h及び一対の第1のスリット1iを連結する一対の円弧形状の第2のスリット1jとから構成されている。
【0020】
図5は引出孔部1bを拡大した平面図であり、中央孔部1hは、引出孔部1bを左右に二等分する中央線である内径1kを有しており、一対の第1のスリット1iはこの中央線と平行している。
【0021】
第2のスリット1jは、内径1kの一端1lを始点として、前述の中央線と直行する方向、つまり左右方向に延長し、第1のスリット1iの一端1mを終点とする、又は第1のスリット1iの一端1mから第1のスリット1iの長手方向に沿って外側方向に延長させた延長線とが交叉する交叉点を終点とする仮想線1n上の一点を中心点1oとして、内径1kを直径とする円弧形状をしている。
【0022】
そして、中心点1oの第2のスリット1jに対する中心角θは、40度~80度としている。また、第1、第2のスリット1i、1jは細幅とされ、略一致した幅とされている。
【0023】
中心点1oの位置は、正面図における上側である第1のスリット1iの一端1m近傍に設けて説明したが正面図における下側である第1のスリット1iの他端1p近傍に設けるようにしてもよい。また、円弧の向きは左右で異なるようにしてもよい。
【0024】
なお、内径1kの長さと第1のスリット1iの長さは略一致しているが、第1のスリット1iの長さを内径1kの長さの2/3程度まで短くすることも可能である。
【0025】
このようにして、底板1aに中央孔部1h、一対ずつの第1、第2のスリット1i、1jから成る引出孔部1bを形成することにより、中央孔部1hと両側の第1のスリット1i間に、第2のスリット1jを縁部とする円弧状の端縁を有する舌片状の押さえ片1q、逆円弧状の端縁を有する押さえ片1rが、左右両側に一対ずつ形成されることになる。
【0026】
これらの押さえ片1q、1rはシート材Sを引き出す際の抵抗となり、上下のシート材Sを分離して1枚ずつ引き出すことができる。特に、押さえ片1q、1rの縁部は細幅の第2のスリット1jにより円弧状、逆円弧状による長い端縁を有し、シート材Sの左右方向の両縁が引き出される際のシート材Sに与える抵抗力としての効果が十分に発揮される。
【0027】
また、第1、第2のスリット1i、1jを細幅とし、引出孔部1bの開口面積を必要な大きさまで小さくすることにより、シート材Sに含浸されている水分等の蒸発を抑止できる。
【0028】
シート材包装体用蓋を用いて、包装体Bのシート材Sを引き出すためには、先ず包装体Bの開口部を開封し、包装体B上にシート材包装体用蓋を載置し、包装体Bと本体部1の底板1aとを両面テープ等で接着すると、シート材包装体用蓋は包装体Bに固定され、包装体Bとシート材包装体用蓋の間は密封される。
【0029】
包装体Bからシート材Sを取り出すには、押圧片1fを押すと係止部1g及び錠止爪3bの係止状態が解除され、開閉部3がばね材2aにより持ち上げられるので、包装体Bの開口部に露出している最上位のシート材Sを、中央孔部1hを介して指で摘んで上方に引き出すことができる。
【0030】
取出口として中央孔部1hと第1のスリット1iとを連通する円弧状の第2のスリット1jを設けることで、上方向に弾性を有する押さえ片1q、1rが形成される。
【0031】
側方に中央孔部1h及び第1のスリット1i、先端に第2のスリット1jを配置した押さえ片1q、1rは、引き出されるシート材Sに対して、適度な抵抗力を与えることができる。つまり、引き出されるシート材Sは第2のスリット1jを挟む押さえ片1q、1rの円弧状、逆円弧状の端縁に引っ掛かることで、取り出し抵抗力が大きくなる。
【0032】
なお、第1のスリット1iを備えることで、押さえ片1q、1rは上方へ変形し易くしており、第1のスリット1iの横幅を狭くする、つまり線状にすることで、引出孔部1bの横幅を小さくすることができる。
【0033】
第2のスリット1jを円弧状にすることで直線にするよりも中央孔部1hの横幅を小さくすることができる。また、円弧状をU字状のようにより湾曲させた場合は、湾曲箇所にシート材Sが引っ掛かってしまい破断してしまう。
【0034】
このように、適度な抵抗力を与える押さえ片1q、1rによって、最上位のシート材Sは、次のシート材Sを残留させたまま、第2のスリット1jの間隙を抜け出して、破断することなく、引き出すことができる。
【0035】
なお、最上位のシート材Sを引き出す際は、中央孔部1hにおける上方に引き出す速度に比べて、第2のスリット1jにおける引き出す速度は、抵抗を有するために必然的に遅くなる。
【0036】
シート材Sの引き出し後は、開閉部3を閉止して錠止爪3bにより錠止しておけばよい。開閉部3の第2の壁部3cが長溝1d内のシール材1eに当接することにより、開閉部3は閉止時に本体部1に対して気密に結合され、シート材S中に含浸している水分やアルコール分の蒸発は少ない。
【0037】
また、使用中に開閉部3を開放している場合においても、中央孔部1h以外に大きな開口部はないので、シート材Sからの水分等の蒸発は少ない。
【0038】
このように、本発明に係るシート材包装体用蓋によれば、円弧状の細幅の第2のスリット1jを挟む押さえ片1q、1rを形成することで、シート材Sを1枚ずつ引き出す際に、続く2枚目のシート材Sが1枚目のシート材Sと共に引き出されないようにすると共に、シート材Sの水分等の蒸発を少なくできる。
【符号の説明】
【0039】
1 本体部
1b 引出孔部
1c 第1の壁部
1d 長溝
1e シール材
1h 中央孔部
1i 第1のスリット
1j 第2のスリット
1k 内径
1l、1m 一端
1n 仮想線
1o 中心点
1p 他端
1q、1r 押さえ片
2 回動部
3 開閉部
3c 第2の壁部
B 包装体
B1 頂面
S シート材
θ 中心角