IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 日立アプライアンス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-洗濯機 図1
  • 特開-洗濯機 図2
  • 特開-洗濯機 図3
  • 特開-洗濯機 図4
  • 特開-洗濯機 図5
  • 特開-洗濯機 図6
  • 特開-洗濯機 図7
  • 特開-洗濯機 図8
  • 特開-洗濯機 図9A
  • 特開-洗濯機 図9B
  • 特開-洗濯機 図10
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171021
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】洗濯機
(51)【国際特許分類】
   D06F 33/06 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
D06F33/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087858
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000350
【氏名又は名称】ポレール弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】黒澤 真理
(72)【発明者】
【氏名】林 正二
(72)【発明者】
【氏名】松井 康博
(72)【発明者】
【氏名】根本 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】金内 優
(72)【発明者】
【氏名】傅 瀛申
【テーマコード(参考)】
3B167
【Fターム(参考)】
3B167AA02
3B167AA04
3B167AE03
3B167AE04
3B167AE05
3B167AE12
3B167BA87
3B167KA18
3B167KA78
3B167KB16
3B167LE01
3B167LF07
3B167LG11
3B167MA01
(57)【要約】
【課題】輸送時の異常の有無をリアルタイムに判定し、輸送中に異常を検出可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明の洗濯機は、上記目的を達成するために、加速度センサ(16)と、輸送監視モードを有し、前記輸送監視モードにおいて、前記加速度センサの計測する加速度に基づき、輸送時の異常を検出する制御装置(7)と、前記制御装置および前記加速度センサに電力を供給するバッテリー(7a)と、を備える。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサと、
輸送監視モードを有し、前記輸送監視モードにおいて、前記加速度センサの計測する加速度に基づき、輸送時の異常を検出する制御装置と、
前記制御装置および前記加速度センサに電力を供給するバッテリーと、を備える
ことを特徴とする洗濯機。
【請求項2】
請求項1に記載の洗濯機において、
前記加速度センサは、2軸以上の加速度を測定することが可能であり、
前記制御装置は、前記加速度センサの計測する加速度に基づき、落下、転倒、又は傾斜を輸送時の異常として検出することを特徴とする洗濯機。
【請求項3】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記制御装置は、電源に接続された場合、又は、試運転が開始された場合に、自動的に前記輸送監視モードを解除することを特徴とする洗濯機。
【請求項4】
請求項1に記載の洗濯機であって、
洗濯兼脱水槽を内包する外槽と、
前記外槽を収容する筐体と、を備え、
前記加速度センサは、前記外槽に設けられ、
前記外槽は、輸送時に、前記筐体に固定されることを特徴とする洗濯機。
【請求項5】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記輸送時の異常を報知する報知部を備えることを特徴とする洗濯機。
【請求項6】
請求項1に記載の洗濯機であって、
前記制御装置は、時計又は位置検出部の少なくとも一方と接続し、前記輸送時の異常を検出した際の時刻又は位置の少なくとも一方を前記輸送時の異常の原因とともに診断結果として記憶装置に記録することを特徴とする洗濯機。
【請求項7】
請求項6に記載の洗濯機であって、
前記診断結果を外部機器に伝達する通信部を備えることを特徴とする洗濯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗濯機の輸送時の異常をリアルタイムで診断可能な洗濯機に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯機が製造工場などから輸送される際に、洗濯機の落下や転倒により破損が生じることがある。このような輸送時の破損を防止するために、梱包箱と洗濯機本体の間には緩衝材を設けている。さらに、本体の外郭をなす筐体の中で水を溜める槽が輸送時に振動することを防止するために槽を筐体に固定するための固定用のボルトを設置している。しかし、落下や転倒による衝撃が大きい場合には、外観部品が損傷する恐れがある。
【0003】
そこで、このような輸送時の落下や転倒を検出するための技術として、特許文献1がある。同文献の請求項1には、「洗濯機本体内の所定部位に装着された加速度センサーと、書き換え可能な不揮発性のメモリと、前記加速度センサーの検出値を前記メモリに記憶させる記憶制御部とを備え、前記加速度センサー、前記メモリ及び前記記憶制御部は、電池を電源として動作するように構成されたことを特徴とする洗濯機」が記載されている。そして、同文献段落0024には、「加速度センサー、メモリ及び記憶制御部は、電池を電源として動作するように構成されているので、洗濯機が交流電源に接続されていない運送中であっても、衝撃等の発生の履歴を記憶することが可能である。従って、記憶された加速度検出値に基づき、落下衝撃の発生事実を知り、また、その原因を解析して、運送方法を改善して不具合の発生を防止することが可能となる」と記載されている。
【0004】
すなわち、同文献には、輸送中においても加速度センサとメモリを駆動させて、輸送中の加速度をメモリに記録し、輸送後に記録結果を分析することで、異常の原因を判断することが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-207391号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、同文献に記載の技術は、輸送後に輸送時の異常の有無を判定するため、輸送時に異常があった場合であっても輸送されてしまい、ユーザ宅にて修理や本体の交換が発生し、ユーザが使用するまでに時間を要してしまうという課題がある。
【0007】
そこで、本発明は、輸送時の異常の有無をリアルタイムに判定し、輸送中に異常を検出可能な洗濯機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の洗濯機は、加速度センサと、輸送監視モードを有し、前記輸送監視モードにおいて、前記加速度センサの計測する加速度に基づき、輸送時の異常を検出する制御装置と、前記制御装置および前記加速度センサに電力を供給するバッテリーと、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、輸送時の異常の有無をリアルタイムに判定し、輸送中に異常を検出可能な洗濯機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】ドラム式洗濯機を示す外観斜視図である。
図2】ドラム式洗濯機の右側面断面図である。
図3】制御装置を説明する図である。
図4】輸送監視の流れを示すフローチャートである。
図5】ドラム式洗濯乾燥機を内包した梱包箱の外観の一例を示す図である。
図6】落下時のy軸加速度の一例を示す図である。
図7】ドラム式洗濯乾燥機をz軸方向に倒した状態の一例を示す。
図8】転倒時のz軸加速度の一例を示す図である。
図9A】傾斜時のy軸加速度の一例を示す図である。
図9B】傾斜時のz軸加速度の一例を示す図である。
図10】輸送異常発生時の操作・表示部の表示の一例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本発明は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。これらの実施例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。また、以下の説明において使用する各図面において、共通する各装置、各機器には同一の符号を付しており、すでに説明した各装置、機器および動作の説明を省略する場合がある。
【0012】
<ドラム式洗濯乾燥機100>
図1および図2を用いて、ドラム式洗濯乾燥機100の構造を説明する。図1はドラム式洗濯乾燥機100を示す外観斜視図であり、図2はドラム式洗濯乾燥機100の内部構造を示すために筐体1の一部を切断して示した右側面断面図である。
【0013】
各図に示すように、ドラム式洗濯乾燥機100の外郭を構成する筐体1は、下部に位置するベース1a、左右の側板1b、前面カバー1c、背面カバー(不図示)、上面カバー1d、上面カバーパネル1e、前面下部カバー1fで構成されている。左右の側板1bはコの字型の上補強材、前補強材、後補強材に結合されており、ベース1aを含めて箱状の筐体1を形成し、十分な強度を有している。なお、ベース1aの4隅下部にはゴム製の脚1hが設けられている。ドア2は、前面カバー1cの略中央に設けた衣類を出し入れするための投入口を塞ぐためのもので、開閉可能に支持されている。図1に示すように、筐体1の上部中央には、操作・表示部3および電源スイッチ4を備える。操作・表示部3は、筐体1上部に設けた制御装置7(図2参照)に電気的に接続している。また、制御装置7には、バッテリー7a、時計7b(図3参照)、GPSなどの位置検出部7c(図3参照)が接続されている。
【0014】
図2に示すドラム8(内槽)は、外槽9に回転可能に支持されており、その外周壁および底壁に通水のための多数の貫通孔を有し、前側端面に衣類を出し入れするための開口部8aを設けている。開口部8aの外側にはドラム8と一体の流体バランサ8bを備えている。外周壁の内側には軸方向に延びるリフタ8cが複数個設けてあり、洗濯、乾燥時にドラム8が回転すると、衣類はリフタ8cと遠心力で外周壁に沿って持ち上がり、重力で落下する動きを繰り返す。ドラム8の回転軸Azは、略水平または開口部8a側がやや高くなるように傾斜している。
【0015】
円筒状の外槽9はドラム8を同軸上に内包し、後側端面の外側中央に駆動機構10を設けている。駆動機構10のシャフト10aは外槽9を貫通し、ドラム8と結合している。なお、外槽9は前側中央に衣類を出し入れするための開口部9aを有している。また、駆動機構10には回転速度を検出する回転速度センサ10bが設けられている。外槽9上部には前後方向に前補助ばね9c、後補助ばね9dが設けられており、外槽9が前後方向に倒れないように支持している。外槽9下部には外槽の重量の保持と、外槽の振動の抑制を行うための、防振支持構造20が設けられている。防振支持構造20は、ばね20aとダンパ20bで構成されている。
【0016】
外槽9の開口部9aと筐体1に設けた開口部は、ゴム製のベローズ11で接続しており、ドア2を閉じることで外槽9を水封する。排水口9bは外槽9の底面最下部に設けられており、内部排水ホース12と接続している。内部排水ホース12は糸くずを捕集するための糸くず捕集ボックス13を介して、外部排水ホース14に接続している。糸くず捕集ボックス13には、洗濯水を循環するための循環ポンプ15が設けられており、循環経路15aを介して水をドラム8内に散布する。外部排水ホース14には排水弁14aが設けてあり、排水弁14aを閉じて給水することで外槽9に水を溜め、排水弁14aを開いて外槽9内の水を機外へ排出する。外槽9の後方上部には加速度センサ16を設けており、外槽9の振幅を測定している。制御装置7は、少なくとも標準モードと、輸送監視モードを有している。標準モードでは、制御装置7は、加速度センサ16により測定した振幅の値と予め設定しているしきい値を比較し、振幅が大きい場合にはドラム8の回転を停止させて、振動がしきい値以下となった場合のみ回転速度を上昇させることで、過大な振動の発生を抑制している。輸送監視モードについては後述する。
【0017】
筐体の上部には、乾燥ユニットを設けており、筐体1背面に設けたダクトや外槽9の前面に接続されている。乾燥ユニットは乾燥用ファンやヒータを有しており、乾燥運転時にはヒータで空気を加熱し、乾燥用ファンを駆動させて衣類に温風を当てることで、衣類の乾燥を行う。
【0018】
輸送中に関しては、外槽9の背面と筐体1の背面をボルト等で固定することで、輸送時の振動で外槽9が加振して他の部品と接触し、破損することを防止するのが一般的である。輸送時の異常を検出する場合、筐体1の振動を検出することが望ましいが、加速度センサ16は脱水時の外槽9の振動を把握する目的で、外槽9に設けられることが多い。その場合、例えば、加速度センサ16を外槽後方に設けることで、外槽9と筐体1を固定した際に、筐体1との固定部付近の振動を検出することができるため、輸送時においては外槽9に加速度センサ16を設置した状態でありながら、筐体1の振動を予測しやすくなる。ただし、縦型洗濯機である場合や、外槽9と筐体1の固定位置が異なる場合は、加速度センサ16は、外槽9の異なる位置に設けられてもよい。
【0019】
<制御装置7の動作>
<<標準モード>>
図3は、本実施例の制御装置7を説明する図である。制御装置7は、操作・表示部3に入力された情報を元にドラム式洗濯乾燥機100の制御を行う。なお、操作・表示部3は洗濯などのコースや、洗い時間やすすぎ回数などの設定を入力する手段である。洗い、すすぎ、脱水、乾燥の各工程において、制御装置7は、回転速度センサ10bの出力を元に、駆動機構10の制御を行う。また、給排水に関しては、制御装置7は、給水弁17、排水弁14aを制御することにより行うが、給水の際には水位センサ21で水位を検出しながら、注水する量を制御している。また、洗いやすすぎ工程では、循環ポンプ15で洗濯水やすすぎ水を循環させながら、駆動機構10によりドラム8を回転させて運転を行う。さらに、脱水工程においては、振動が過大とならないよう加速度センサ16の出力と予め記憶されているしきい値を比較し、振動が大きいと判定した場合にはドラム8の回転を停止するよう制御している。ドラム式洗濯乾燥機100は、通信部31を有し、ソフトウェアの更新などを行うことが可能である。また、操作・表示部3以外に報知部32を有し、制御装置7で給水不良や乾燥不良などのエラーが発生した場合は、報知部32で使用者に伝えることが可能である。
【0020】
<<輸送監視モード>>
図4は、輸送監視の流れを示すフローチャートである。製造工場にて本体を製造した後、梱包者は、出荷前に、操作・表示部3を操作し、輸送監視モードに移行させ(ステップS101)、その後梱包する。輸送監視モードでは、バッテリー7aにより加速度センサ16や制御装置7、通信部31、報知部32を駆動させる。これにより、ドラム式洗濯乾燥機が電源に接続していない輸送中においても振動や姿勢を検出して、異常を検出したり、報知したりすることが可能である。輸送監視モードでは、制御装置7は、加速度センサ16の計測する加速度に基づき、輸送時の異常を検出する。
【0021】
ステップS102では、制御装置7は、輸送時の異常の有無を判定し、異常が無いと判定した場合はステップS103に進み、異常が有ると判定した場合はステップS105に進む。
【0022】
ステップS103では、制御装置7は、ドラム式洗濯乾燥機100が電源に接続しているかを判定する。電源に接続されている場合は、ステップS104に進み、電源に接続されていない場合はステップS102に戻る。
【0023】
ステップS104では、制御装置7は、輸送監視モードを解除し、ユーザが使用可能な標準モードに戻す。外槽9に設けられている加速度センサ16は、洗濯や乾燥時の外槽9の振動を検出するため、仮に、輸送監視モードのままドラム式洗濯乾燥機100が使用された場合、制御装置7は、通常の外槽9の振動を輸送異常として誤検出する恐れがある。そこで、本発明のように、輸送監視モード中に電源に接続された場合には自動的に輸送監視モードを解除することで、輸送時の異常の誤検出を防ぎ、ユーザ宅で報知部が誤鳴動すること等を防止できる。なお、本実施例では、輸送監視モードを解除するトリガーを電源接続としたが、これに限定されない。例えば、電源接続後の試運転開始をトリガーに輸送監視モードを解除してもよい。
【0024】
ステップS105では、制御装置7は、診断によって判明した異常の原因、時計7bで把握する時刻、位置検出部7cで検出した位置情報からなる診断結果を制御装置7内にある記憶装置に記録する。
【0025】
さらに、制御装置7は、報知部32で運搬者に異常があったことを報知する(ステップS106)。
【0026】
また、制御装置7は、通信部31を使って、外部サーバ等の外部機器に異常の原因、発生時刻、位置情報を送信し(ステップS107)、外部機器で診断結果を管理する。このようにすることで、仮に運搬者が報知部32による報知に気が付かない場合でも、外部機器で本体の異常を管理することができるため、異常があった本体が購入者宅に配送されることを防止することができる。また、異常発生後は、異常確認待ちとして、操作・表示部3などに異常があった可能性があることを表示する。
【0027】
なお、本実施例ではステップS106とステップS107の両方を行うものとして説明したが、いずれか一方のみを行ってもよい。
【0028】
また、ステップS107の後は、ステップS102に戻ることで、輸送時に複数回異常が発生した場合でも、漏れなく異常を検出することができる。
【0029】
<異常診断>
本実施例の制御装置7は、輸送監視モードにおいて、ドラム式洗濯乾燥機100の落下、転倒、及び、傾斜が発生した場合に、これらを輸送時の異常として検出する。以下では、まず、落下、転倒、及び傾斜時において加速度センサ16が計測する加速度について説明し、その後、制御装置7がドラム式洗濯乾燥機100の落下、転倒、及び、傾斜をどのように判定するかを説明する。
【0030】
図5は、ドラム式洗濯乾燥機100を内包した梱包箱の外観の一例を示す図である。ここで、ドラム式洗濯乾燥機100に設置された加速度センサ16は、図5に示すx軸、y軸、およびz軸の方向についての加速度を計測するものとする。なお、図5では、y軸方向が鉛直方向であるものとする。
【0031】
トラックの荷台などから図5の姿勢のまま落下した場合、y軸加速度に変化が生じる。図6は、落下時のy軸加速度の一例を示す図である。図5に示すような加速度センサ16のy軸と鉛直方向が一致している場合、加速度センサ16は、常にy軸加速度として重力加速度9.8[m/s]を計測する。そして、鉛直方向への落下があった場合、図6に示すように、y軸加速度が大きく振動する等のy軸加速度に変化が生じる。また、落下後も図5に示す姿勢のままで加速度センサ16のy軸と鉛直方向が一致している場合は、y軸加速度は重力加速度9.8[m/s]となる。
【0032】
図7は、ドラム式洗濯乾燥機100をz軸方向に倒した状態の一例を示す。なお、図7では、z軸方向が鉛直方向であるものとする。図5に示す姿勢から図7に示す姿勢へとドラム式洗濯乾燥機100が転倒した場合、z軸加速度に変化が生じる。図8は、転倒時のz軸加速度の一例を示す図である。転倒前は、加速度センサ16のy軸と鉛直方向が一致するため、z軸加速度は生じない。そして、図5に示す姿勢から図7に示す姿勢へとドラム式洗濯乾燥機100が転倒した場合、図8に示すように、z軸加速度が大きく振動する等のz軸加速度に変化が生じる。そして、転倒後は図7に示す姿勢になるため、z軸加速度は重力加速度9.8[m/s]となる。
【0033】
図5に示す姿勢から図7に示す姿勢へとドラム式洗濯乾燥機100を傾斜させた場合の加速度について説明する。図9Aは、傾斜時のy軸加速度の一例を示す図である。図9Bは、傾斜時のz軸加速度の一例を示す図である。輸送時にドラム式洗濯乾燥機100を傾斜させる場合、通常はゆっくり傾斜させるはずである。そのため、図9A及び図9Bでは、図6図8に示すような加速度の振動等の大きな変化は生じない。ただし、図5に示す姿勢から図7に示す姿勢にドラム式洗濯乾燥機100を傾斜させる場合は、鉛直方向がy軸からz軸に変わることになる。そのため、y軸加速度は、図9Aに示すように、傾斜の前後で重力加速度9.8[m/s]から0[m/s]に変化する。また、z軸加速度は、図9Bに示すように、傾斜の前後で0[m/s]から重力加速度9.8[m/s]に変化する。なお、ドラム式洗濯乾燥機100を図5に示す姿勢と図7に示す姿勢の間ぐらい、例えば45度ぐらい傾斜させた場合、傾斜後の重力加速度9.8[m/s]がy軸成分とz軸成分に分解して計測される。
【0034】
以上の説明した通り、ドラム式洗濯乾燥機100の落下、転倒、及び、傾斜の発生により加速度センサ16が計測する加速度に変化が生じる。そこで、制御装置7は、x軸加速度、y軸加速度又はz軸加速度の少なくとも1つにおいて、振幅が所定値より大きい振動が発生し、その振動の前後で重力加速度9.8[m/s]を計測する加速度センサ16の軸が変化しない場合は、ドラム式洗濯乾燥機100の落下が発生したと判定する。また、制御装置7は、x軸加速度、y軸加速度又はz軸加速度の少なくとも1つにおいて、振幅が所定値より大きい振動が発生し、その振動の前後で重力加速度9.8[m/s]を計測する加速度センサ16の軸が変化した場合は、ドラム式洗濯乾燥機100の転倒が発生したと判定する。また、制御装置7は、x軸加速度、y軸加速度およびz軸加速度のいずれにおいても振幅が所定値より大きい振動が発生せずに、重力加速度9.8[m/s]を計測する加速度センサ16の軸が変化した場合は、ドラム式洗濯乾燥機100の傾斜が発生したと判定する。
【0035】
なお、制御装置7は、重力加速度9.8[m/s]が加速度センサ16のどの軸で計測されるかにより、ドラム式洗濯乾燥機100の姿勢を判定してもよい。落下する姿勢によっては、多少の落下でも故障のリスクが高い場合もあるので、例えば、故障しやすい姿勢の場合には、加速度に振動が発生したか否かを判定する振幅の所定値の値を低くし、小さい振動でも検出するようにしてもよい。
【0036】
<表示画面>
図10に輸送異常発生時の操作・表示部3の表示の一例を示す。操作・表示部3に輸送中に異常な振動を検出したことや、発生日時、発生場所、診断した異常現象(発生事象)を表示することで、運搬者や販売者に点検を促すことができる。本表示は、輸送監視モード中に表示するだけでなく、輸送監視モードが解除された後も表示しても構わない。
【0037】
本実施例では、輸送時の異常を検出するセンサとして加速度センサを用いているが、必ずしも加速度センサではなく、それ以外の振動センサでも構わない。また、加速度センサを外槽に設けているが、筐体に設けても構わない。
【0038】
本実施例では、ドラム式洗濯乾燥機を例に説明したが、本発明はこれに限定されず、乾燥機能有しない洗濯機や、縦型洗濯機にも適用可能である。
【0039】
以上説明したように、本発明によれば、輸送時の異常の有無をリアルタイムに判定し、輸送中に異常を検出可能な洗濯機を提供することができる。これにより、輸送時に異常が発生した洗濯機がユーザ宅に配送されることを抑制できる。
【符号の説明】
【0040】
1 筐体
2 ドア
3 操作・表示部
3a 重視ポイント入力部
7 制御装置
7a バッテリー
7b 時計
7c 位置検出部
8 ドラム
9 外槽
31 通信部
32 報知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図10