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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171027
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】施解錠システム
(51)【国際特許分類】
   E05B 49/00 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
E05B49/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087865
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000147442
【氏名又は名称】株式会社WEST inx
(74)【代理人】
【識別番号】100100480
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 隆
(72)【発明者】
【氏名】勝部 博行
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA02
2E250AA05
2E250BB05
2E250DD01
2E250DD02
2E250EE15
2E250FF06
2E250GG06
(57)【要約】
【課題】防犯性が高く、且つ電池の消耗も少ない施解錠システムを提供する。
【解決手段】暗号選定装置と、錠を有する施解錠システムであって、前記錠は、暗号入力手段11と、暗号作成手段21を有し、当該暗号作成手段21は、一又は複数の解錠暗号を作成又は選択するものであり、前記暗号選定装置は、前記解錠暗号と重複する一又は複数の入力用暗号を作成又は選択するものであり、前記暗号入力手段11に暗号を入力し、当該入力された暗号が前記解錠暗号と一致したことを条件として前記錠を解錠することが可能となるものであり、前記解錠暗号は、一定の条件を満足することにより無効になることを特徴とする。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
暗号選定装置と、錠とを有する施解錠システムであって、
前記錠は、暗号入力手段と、解錠暗号作成手段を有し、当該解錠暗号作成手段は、一又は複数の解錠暗号を作成又は選択するものであり、
前記暗号選定装置は、入力暗号作成手段を有し、当該入力暗号作成手段は、前記解錠暗号と重複する一又は複数の入力用暗号を作成又は選択するものであり、
前記錠は、前記暗号入力手段に暗号を入力し、当該入力された暗号が前記解錠暗号と一致したことを条件として解錠することが可能となるものであり、
前記解錠暗号は、一定の条件を満足することにより無効になることを特徴とする施解錠システム。
【請求項2】
前記解錠暗号作成手段は、一定の条件で一又は複数の解錠暗号を作成又は選択するものであり、
前記入力暗号作成手段は、前記解錠暗号作成手段と同じ条件で入力用暗号を作成又は選択することによって前記解錠暗号と重複する一又は複数の入力用暗号を作成又は選択するものであることを特徴とする請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項3】
前記解錠暗号作成手段は、複数の暗号候補を記憶する錠側暗号記憶手段を有し、前記錠側暗号記憶手段に記憶された暗号候補の中から所定の順番で一又は複数の前記暗号候補を選択して前記解錠暗号とするものであり、
前記暗号選定装置は、選定装置側暗号記憶手段を有し、当該選定装置側暗号記憶手段には前記錠側暗号記憶手段と共通する複数の暗号候補が記憶されており、前記選定装置側暗号記憶手段に記憶された暗号候補の中から前記解錠暗号作成手段と同じ順番で一又は複数選択して前記入力用暗号とするものであることを特徴とする請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項4】
暗号選定装置と、錠を有する施解錠システムであって、
前記錠は、暗号入力手段と、複数の暗号候補を記憶する錠側暗号記憶手段を有し、前記錠側暗号記憶手段に記憶された暗号候補の中から所定の順番で一又は複数選択して解錠暗号とするものであり、
前記暗号選定装置は、選定装置側暗号記憶手段を有し、当該選定装置側暗号記憶手段には前記錠側暗号記憶手段と共通する暗号候補が記憶されており、前記選定装置側暗号記憶手段に記憶された暗号候補の中から前記錠と同じ順番で一又は複数選択して入力用暗号とするものであり、
前記入力手段に暗号を入力し、当該入力された暗号が前記解錠暗号と一致したことを条件として前記錠を解錠することが可能となるものであり、
前記解錠暗号は、一定の条件を満足することにより無効になることを特徴とする施解錠システム。
【請求項5】
前記解錠暗号作成手段は、複数の解錠暗号を作成又は選択するものであり、前記解錠暗号が無効になった場合は、新たに解錠暗号が作成又は選択されて補充されることを特徴とする請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項6】
前記暗号選定装置は、複数の前記入力用暗号を作成又は選択するものであり、特定の前記入力用暗号に対して所定の入力がなされた場合は、当該入力用暗号が使用不能になるか或いは所定の表示がなされるかの少なくともいずれかが実行されることを特徴とする請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項7】
前記暗号選定装置は、複数の前記入力用暗号を作成又は選択するものであり、前記暗号選定装置に前記解錠暗号が無効になったことが入力された場合は、新たに前記入力用暗号が作成又は選択されて補充されることを特徴とする請求項1に記載の施解錠システム。
【請求項8】
前記解錠暗号は、次の一又は複数の条件を満足した場合に無効となることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の施解錠システム。
(1)錠が人為的に施錠された場合。
(2)最初に解錠されてから一定時間が経過した場合。
(3)一定の時刻に到達した場合。
(4)所定の時期を基準としてそれから一定時間が経過した場合。
【請求項9】
前記錠は表示手段を有し、施錠された際に所定の表示がなされることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の施解錠システム。
【請求項10】
前記錠は所定の暗号を入力することにより施錠可能となることを特徴とする請求項9に記載の施解錠システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅や宿泊施設その他の施解錠システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
戸建て住宅の玄関やマンションの各戸の出入り口には錠が設置されており、錠を解錠して人が出入りする。また外出等の際には出入り口が施錠される。
住宅やマンションを販売したり、賃貸する際には、契約に先立って内覧が行われる。
空き室等の内覧には多くの場合不動産業者や管理会社の者が同行して、錠を施解錠する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第7250370号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
人手不足の影響で、空き室等の内覧に不動産業者等が立ち会わず、内覧希望者だけで内覧を行う場合がある。
例えば手動の鍵を使用する錠によって玄関が施錠されている場合には、内覧希望者が不動産業者等から鍵を預かり、当該鍵を自分で操作して施解錠することとなる。
しかしながら、この方法は内覧希望者に合い鍵を作られる懸念があり、防犯上の問題がある。
暗号式の電気錠や番号合わせのダイヤル錠を採用している場合も同様であり、暗号や番号が知られてしまうこととなり、防犯上の問題がある。
【0005】
防犯上の懸念を解消するものとして、暗証番号を変更可能な錠を採用する方策が考えられる。
当該錠は通信機能を備えており、管理会社等から当該錠に対して解錠用のパスワード(以下、ワンタイムパスワードと称する)を送信する。その結果、受信した錠はワンタイムパスワードのみで解錠可能な錠となる。
また内覧希望者には当該ワンタイムパスワードが通知される。内覧希望者は知らされたワンタイムパスワードを入力して解錠する。
内覧が終わると、管理会社等が通信手段を操作して当該錠の解錠用のワンタイムパスワードを無効にする。
【0006】
上記したワンタイムパスワードを採用する方策は防犯性が高い。また不動産業者等が内覧に同行する必要が無いので必要な人員も少なくて足りる。
しかしながら、前記したワンタイムパスワードを使用する錠は、消費電力が多く、電池の消耗が速いという問題がある。
即ちワンタイムパスワードを使用する錠は、錠の開閉だけでなく、通信にも電力を消費する。電気錠には商用電源により駆動するものもあるが、商用電源を使用する錠は配線が手間である。そのため電池で駆動する電気錠が重宝されているが、前記したワンタイムパスワードを使用する錠は、錠の開閉だけでなく、通信にも電力を消費するので電池の消耗が早く、電池の交換頻度が高いという不満がある。
【0007】
本発明は、上記した問題に注目し、防犯性が高く、且つ電池の消耗も少ない施解錠システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記した課題を解決するための態様は、暗号選定装置と、錠とを有する施解錠システムであって、前記錠は、暗号入力手段と、解錠暗号作成手段を有し、当該解錠暗号作成手段は、一又は複数の解錠暗号を作成又は選択するものであり、前記暗号選定装置は、入力暗号作成手段を有し、当該入力暗号作成手段は、前記解錠暗号と重複する一又は複数の入力用暗号を作成又は選択するものであり、前記錠は、前記暗号入力手段に暗号を入力し、当該入力された暗号が前記解錠暗号と一致したことを条件として解錠することが可能となるものであり、前記解錠暗号は、一定の条件を満足することにより無効になることを特徴とする施解錠システムである。
【0009】
本態様の施解錠システムは、暗号選定装置と、錠によって構成されている。錠は玄関扉等に取り付けられる。
これに対して暗号選定装置は、例えば管理会社等に設置される。要するに暗号選定装置は、錠から離れた位置にある。
本態様の施解錠システムでは、錠側に解錠暗号作成手段があり、当該解錠暗号作成手段は、一又は複数の解錠暗号を作成又は選択する。これに対して暗号選定装置は、前記した解錠暗号と重複する一又は複数の入力用暗号を作成又は選択する。
入力用暗号は、例えば内覧希望者に通知される。内覧希望者は、例えば空き室の錠に入力用暗号を入力する。入力用暗号は、解錠暗号と重複するものであるから、入力用暗号は、解錠暗号と一致し、解錠することができる。
解錠暗号は、一定の条件を満足することにより無効になるから、内覧希望者に通知された解錠暗号が悪用されることはない。
また本態様の施解錠システムでは、錠と暗号選定装置との間の通信が不要であり、錠は通信に要する待機電力が不要である。そのため錠は消費電力が少なく、電池の消耗が少ない。
【0010】
上記した態様において、前記解錠暗号作成手段は、一定の条件で一又は複数の解錠暗号を作成又は選択するものであり、前記入力暗号作成手段は、前記解錠暗号作成手段と同じ条件で入力用暗号を作成又は選択することによって前記解錠暗号と重複する一又は複数の入力用暗号を作成又は選択するものであることが望ましい。
【0011】
本態様の施解錠システムでは、一定の条件で解錠暗号が作成又は選択され、それと同じ条件で入力用暗号が作成又は選択される。そのため、錠と暗号選定装置の間で相互通信しなくても解錠暗号と入力用暗号を合致させることができる。
【0012】
上記した各態様において、前記解錠暗号作成手段は、複数の暗号候補を記憶する錠側暗号記憶手段を有し、前記錠側暗号記憶手段に記憶された暗号候補の中から所定の順番で一又は複数の前記暗号候補を選択して前記解錠暗号とするものであり、前記暗号選定装置は、選定装置側暗号記憶手段を有し、当該選定装置側暗号記憶手段には前記錠側暗号記憶手段と共通する複数の暗号候補が記憶されており、前記選定装置側暗号記憶手段に記憶された暗号候補の中から前記解錠暗号作成手段と同じ順番で一又は複数選択して前記入力用暗号とするものであることが望ましい。
【0013】
本態様によると、錠と暗号選定装置の間で相互通信しなくても解錠暗号と入力用暗号を合致させることができる。
【0014】
本態様の施解錠システムにおいても、暗号選定装置と、錠によって構成されている。錠は玄関扉等に取り付けられる。
これに対して暗号選定装置は、例えば管理会社等に設置される。
本態様の施解錠システムでは、錠側に複数の暗号候補を記憶する錠側暗号記憶手段があり、錠側暗号記憶手段に記憶された暗号候補の中から所定の順番で一又は複数選択して解錠暗号とされる。
一方、暗号選定装置は、選定装置側暗号記憶手段を有し、当該選定装置側暗号記憶手段には前記錠側暗号記憶手段と共通する暗号候補が記憶されており、前記選定装置側暗号記憶手段に記憶された暗号候補の中から前記錠と同じ順番で一又は複数選択して入力用暗号とする。
そのため入力用暗号は解錠暗号と同じものとなる。
入力用暗号は、例えば内覧希望者に通知される。内覧希望者は、例えば空き室の錠に入力用暗号を入力する。入力用暗号は、解錠暗号と同じものであるから、入力用暗号は、解錠暗号と一致し、解錠することができる。
解錠暗号は、一定の条件を満足することにより無効になるから、内覧希望者に通知された解錠暗号が悪用されることはない。
【0015】
上記した各態様において、前記解錠暗号作成手段は、複数の解錠暗号を作成又は選択するものであり、前記解錠暗号が無効になった場合は、新たに解錠暗号が作成又は選択されて補充されることが望ましい。
【0016】
本態様によると、新たに解錠暗号が作成又は選択されて補充されるので、多数の利用者が施解錠することができる。
【0017】
上記した各態様において、前記暗号選定装置は、複数の前記入力用暗号を作成又は選択するものであり、特定の前記入力用暗号に対して所定の入力がなされた場合は、当該入力用暗号が使用不能になるか或いは所定の表示がなされるかの少なくともいずれかが実行されることが望ましい。
【0018】
本態様の施解錠システムによると、無効となっている暗号を誤って知らしてしまうことを防ぐことができる。
【0019】
上記した各態様において、前記暗号選定装置は、複数の前記入力用暗号を作成又は選択するものであり、前記暗号選定装置に前記解錠暗号が無効になったことが入力された場合は、新たに前記入力用暗号が作成又は選択されて補充されることが望ましい。
【0020】
本態様の施解錠システムによると、無効となっている暗号を誤って知らしてしまうことを防ぐことができる。
【0021】
上記した各態様において、前記解錠暗号は、次の一又は複数の条件を満足した場合に無効となる施解錠システムであることが望ましい。
(1)錠が人為的に施錠された場合。
(2)最初に解錠されてから一定時間が経過した場合。
(3)一定の時刻に到達した場合。
(4)所定の時期を基準としてそれから一定時間が経過した場合。
【0022】
上記した各態様において、前記錠は表示手段を有し、施錠された際に所定の表示がなされることが望ましい。
【0023】
本態様によると、施錠されたことを確認することができる。また例えば内覧希望者が不動産の管理者に表示された内容を知らせることにより、不動産の管理者等が施錠されたことを確認することができる。
【0024】
上記した各態様において、前記錠は所定の暗号を入力することにより施錠可能となることが望ましい。
【0025】
例えば不動産の管理者から所定の暗号が知らされてもよい。また錠の表示手段に前記した暗号が表示されてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の施解錠システムは、防犯性が高く、且つ電池の消耗も少ない。そのため長期に渡って使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図1】本発明の実施形態の施解錠システムの構成図である。
図2図1の施解錠システムの錠の操作部の正面図である。
図3図1の施解錠システムの錠の制御装置のブロック図である。
図4図1の施解錠システムの暗号選定装置の制御装置のブロック図である。
図5】錠及び暗号選定装置に記憶される暗号候補のリストである。
図6】錠に記憶される施錠確認表示のリストである。
図7図1の施解錠システムの錠側の動作を説明する説明図である。
図8図1の施解錠システムの暗号選定装置側の動作を説明する説明図であって暗号受領者が一名である場合を示し、(a)は最初に4個の暗号候補が選択された状態、(b)は入力用暗号のいずれかが何人かに知らされたときの状態、(c)は受領者に入力用暗号が通知された後、一定時間経過したときの状態を示す。
図9図1の施解錠システムの暗号選定装置側の動作を説明する説明図であって暗号受領者が二名である場合を示し、(a)はB氏が暗号を使用し解錠したときの状態、(b)はB氏の後にA氏が暗号を使用し解錠したときの状態を示す。
図10図1の施解錠システムの暗号選定装置側の動作を説明する説明図であって暗号受領者が二名である場合を示し、(c)は、B氏が暗号を使用し、解錠した後24時間経過したときの状態、(d)はA氏が暗号を使用し、解錠した後24時間経過したときの状態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施形態について説明する。
本実施形態の施解錠システム1は、図1の様に、錠2と暗号選定装置3によって構成されている。また補助的部材として携帯電話等の携帯端末5がある。
錠2は、いわゆる電気錠であり、内部に図示しない駆動源があり、デッドボルト50が駆動源によって出没する。駆動源はモータやソレノイドであり、内蔵された電池(図示せず)によって駆動される。
また錠2にはハンドル51が取り付けられており、当該ハンドル51を操作することにより、ラッチ52が後退可能な状態となる。
【0029】
また錠2は、図2の様な操作部10を有している。
操作部10は、暗号入力手段11と表示手段12、施錠スイッチ13及び解錠スイッチ15を有している。
暗号入力手段11は、公知のテンキーである。暗号入力手段11は、タッチパネルでもよい。
表示手段12は、公知の液晶バネルや有機ELパネルであり、文字や記号等を表示することができる。
【0030】
本実施形態の錠2は、暗号入力手段11で暗号を入力する。入力した暗号は、表示手段12に表示される。入力した暗号が後記する解錠暗号と一致し、さらに解錠スイッチ15を操作すると図示しない駆動源が動作してデッドボルト50が後退して解錠状態となる。
また施錠スイッチ13を操作すると図示しない駆動源が動作してデッドボルト50が突出して施錠状態となる。
【0031】
操作部10内には、図3の様な制御装置(以下、錠側制御装置と称する)20が内蔵されている。錠側制御装置20は、公知のCPUやメモリーを有している。
錠側制御装置20は、解錠暗号作成手段21と、暗証番号照合手段22を有している。解錠暗号作成手段21は、錠側暗号記憶手段23と、錠側暗号選択手段25を有している。
暗証番号照合手段22は、暗号入力手段11から入力された暗証番号と、後記する解錠暗号とを比較するものである。
また錠側制御装置20には、タイマー26が内蔵されている。
【0032】
錠側制御装置20には施錠確認暗号記憶手段27を有している。施錠確認暗号記憶手段27には施錠確認暗号として、図6の様な覚えやすい番号が順に記憶されている。
本実施形態では、施錠が完了すると、表示手段12に施錠確認暗号が表示される。
また錠側制御装置20には切換え手段28がある。切換え手段は内覧モードと通常使用モードとを切り替えるものである。本実施形態で採用する切換え手段28はデップスイッチであるが、暗号入力手段11を操作して内覧モードと通常使用モードの切り替えを行ってもよい。
【0033】
錠側制御装置20には。前記した暗号入力手段11と、施錠スイッチ13及び解錠スイッチ15の信号が入力される。錠側制御装置20から前記した表示手段12と駆動源に対して信号が出力される。
【0034】
暗号選定装置3は公知のパーソナルコンピュータであり、CPUやメモリーを有している。暗号選定装置3はキーボード(入力手段)55と表示画面56を有している。
暗号選定装置3は、図4のように入力暗号作成手段31を有している。入力暗号作成手段31は、選定装置側暗号記憶手段33と、選定装置側暗号選択手段35を有している。また暗号選定装置3には、タイマー36が内蔵されている。
暗号選定装置3は、通信手段37を備えている。
【0035】
次に、錠側制御装置20と暗号選定装置3の機能について説明する。
前記した様に、錠側制御装置20は、解錠暗号作成手段21を有し、暗号選定装置3は、入力暗号作成手段31を備えている。本実施形態で採用する施解錠システム1では、解錠暗号作成手段21と入力暗号作成手段31の機能は実質的に同じである。
【0036】
前記した様に、錠側制御装置20には、錠側暗号記憶手段23と、錠側暗号選択手段25を備えている。一方、暗号選定装置3は選定装置側暗号記憶手段33と、選定装置側暗号選択手段35を有している。
錠側暗号記憶手段23と、選定装置側暗号記憶手段33には、図5の表に示す様な暗号候補が複数記憶されている。錠側暗号記憶手段23と、選定装置側暗号記憶手段33が記憶している暗号候補は同じものである。
限定するものではないが、本実施形態で採用する暗号候補は、6桁の数字である。限定するものではないが、本実施形態では暗号候補が10000件記憶されている。暗号候補は乱数であり、規則性のない数値群である。
本実施形態では、図5の表に示す様に暗号候補に順番がある。
【0037】
錠側暗号選択手段25は、解錠暗号を選択する暗号選択機能と、選択された解錠暗号を一定条件下で抹消する抹消機能を有している。
本実施形態では、錠側暗号選択手段25は、暗号候補のリストの順番に解錠暗号を選択する。限定するものではないが、本実施形態では図7に示す様に最初に順位1番から順位4番までの4個の暗号候補が選択されて解錠暗号となる。
【0038】
また錠2が解錠された場合は、解錠された時から一定時間が経過したときに、解錠に使用された解錠暗号が抹消され、次の順番の暗号候補が解錠暗号となる。
例えば図7に示す様に最初に順位1番から順位4番までの4個の暗号候補が選択されて解錠暗号となり、例えば順位1番の解錠暗号によって解錠され、その後一定時間が経過すると順位1番の解錠暗号が抹消されて使用不能となり、次の順位5番の暗号候補が選択されて解錠暗号となる。解錠暗号の使用順序は任意であり、順位2番以下が先に使用される場合もある。
【0039】
選定装置側暗号選択手段35は、入力用暗号を選択する暗号選択機能を有している。
本実施形態では選定装置側暗号選択手段35は、暗号候補のリストの順番に入力用暗号を選択する。限定するものではないが、本実施形態では図8に示す様に複数の暗号候補がリスト順に表示された一覧表が表示画面56に表示される。
また暗号候補の横に、「使用可」の欄、「使用済」の欄、「未使用期限切れ」の欄、「発行日」の欄、「受領者」の欄が表示される。
そして図8(a)のように、最初に順位1番から順位4番までの4個の暗号候補が選択されて表示画面の「使用可」の欄に有効な入力用暗号であることを示す丸印が付される。
また図8(b)のように、当該入力暗号のいずれかが何人かに知らされた場合は、「使用済」の欄に通知済みであることを示す丸印が付される。「使用済」への入力は、作業者の手によって行われる。
この様に、特定の入力用暗号に対して所定の入力がなされた場合は、所定の表示がなされ、重複使用が防がれる。入力用暗号を消去して使用不能とすることもできる。
また「発行日」の欄に通知された日時が具体的に表示される。「受領者」の欄には、受領者を具体的に特定する表示がなされる。例えば受領者の氏名やメールアドレスが表示される。「発行日」の欄及び「受領者」の欄に対する入力についても作業者の手によって行われる。
【0040】
受領者に入力用暗号が通知された後、一定時間が経過すると、図8(c)のように「使用可」の欄がバツ印に変わる。この変更は自動的に行われる。
「使用済」の欄は、キーボード55を使用して使用者が入力する。「未使用期限切」の欄は、「使用済」の欄に入力がなく、且つ入力用暗号を通知した時から一定時間が経過したときに自動的に丸印が入る。また「使用可」の欄がバツ印に変わる。
【0041】
「使用可」の欄がバツ印になると、次の順位5番の暗号候補が選択されて入力用暗号となり、次の順位5番の「使用可」の欄が丸印に変わる。
この様に本実施形態では、暗号選定装置3に入力用暗号が無効になったことが入力された場合は、新たに入力用暗号が作成又は選択されて補充される。
【0042】
本実施形態で採用する錠2は、動作モードとして通常使用モードと内覧モードがある。通常使用モードは、公知の電気錠と同じ使い方をする動作モードであり、予め設定された暗証番号を暗号入力手段11に入力することにより解錠することができる。
内覧モードは、錠2の解錠暗号作成手段21で選択された解錠暗号を入力された場合に限って解錠が可能となる動作モードである。内覧モードで使用する場合には通常の暗証番号を入力しても解錠することができない。
【0043】
次に、施解錠システム1の使用方法について説明する。
前記した様に、本実施形態の施解錠システム1は、内覧希望者だけで内覧を行うことを想定して作られたシステムである。内覧が予想される場合には、錠2の切換え手段28を内覧モードに切り替えておく。
内覧モードは、錠2の解錠暗号作成手段21で選択された施錠確認暗号を入力された場合に限って解錠が可能となる動作モードである。
【0044】
内覧希望者は不動産業者や建物の管理者(以下、業者と称する)に対して内覧を申し込む。
業者は内覧を希望された物件を調べ、暗号選定装置3を使用して表示画面56に当該物件の暗号候補をリスト順を表示する。そして「使用可」の欄が丸印である入力用暗号を内覧希望者に知らせる。例えば順位1番の入力用暗号を内覧希望者に知らせる。
入力用暗号の通知手段は限定されるものではなく、例えばメールで指定された携帯端末5に通知する。電話や直接面会して入力用暗号を知らせることもある。
またこのとき、施錠時の注意事項が知らされる。
即ち本実施形態の錠2では、施錠が完了すると、表示手段12に施錠確認暗号記憶手段27に記憶された施錠確認暗号が表示される。施錠が完了するとその施錠確認暗号を業者に知らせる必要があることを施錠時の注意事項として通知される。
【0045】
内覧希望者は、内覧する物件に赴き、錠2の操作部10の暗号入力手段11を操作して教えられた入力用暗号を暗号入力手段11で入力する。
錠2の暗証番号照合手段22は、暗号入力手段11から入力された暗証番号と、錠2が記憶している解錠暗号とを比較する。両者が同じであれば、図示しない駆動源が動作してデッドボルト50が後退して解錠状態となる。
【0046】
ここで前記した様に、解錠暗号作成手段21と入力暗号作成手段31の機能は実質的に同じであり、データとして同じ暗号候補が入力されており、同じ選定基準で入力用暗号と解錠暗号が選定されている。すなわち業者から教えられた入力用暗号は解錠暗号と同じである。従って、入力間違いがなければ、暗号入力手段11から入力された暗証番号は、解錠暗号であり、錠2は解錠する。
【0047】
内覧を終えると内覧希望者が自ら錠2の操作部10を操作して施錠を行う。
本実施形態では施錠が完了すると表示手段12に施錠確認暗号が表示される。内覧希望者は、携帯端末等で施錠確認暗号を業者に知らせる。この通知により、業者は施錠されたことを確認することができる。
なお施錠が行われなかった場合には、内覧希望者は、施錠確認暗号を知ることができないので、業者は施錠がなされなかったことを知ることもできる。
【0048】
以上説明した使用例は、内覧希望者が一名であった場合の例であるが、本施解錠システムは、同時期に複数の内覧希望者があった場合についても対応することができる。
例えばA氏とB氏の二名の内覧希望者があった場合の対応を図9で示す。先にB氏が内覧するために解錠をしたとする。図9(a)では、B氏に解錠のために発行された暗証番号は「895411」であった。B氏はこの暗証番号を使用して解錠したため、この暗証番号は使用済みとなる。次に図9(b)に示すように、B氏の後にA氏が内覧するために解錠した。そのとき発行された解錠のための暗証番号は「592336」であった。従って、この暗証番号も使用済みとなる。次に図10(c)に示すように、B氏が解錠してから24時間が経過したため、B氏が使用した暗証番号「895411」は使用できなくなる。このとき、今まで使用できなかった暗証番号「159874」が使用できるようになる。次に図10(d)に示すようにA氏が解錠してから24時間が経過し、A氏が使用した暗証番号「592336」は使えなくなり、新しい暗証番号「246932」が使用できるようになる。本実施例では、暗証番号は使用後24時間経過すると無効となったが、特に時間は限定しない。
【0049】
本実施形態では、解錠暗号として、常に4個の暗証番号が用意されている。そのため最大4人に対して異なる解錠暗号を入力用暗号として知らせることができる。
各内覧希望者は、自己に通知された入力用暗号を使用して解錠を行うことができる。
入力用暗号は、表示画面の「使用可」の欄に有効な入力用暗号であることを示す丸印が付されたものであり、且つ他の者に通知されていないものが選定される。
【0050】
内覧を終え、賃貸契約や売買契約が完了すると、動作モードを通常使用モードに切り替える。その結果、賃貸者等が設定した暗証番号で解錠することができる。
【0051】
以上説明した使用方法は、内覧を行う場合を想定したものであるが、賃貸者が退去する場合にも内覧モードが有効である。
例えば賃貸契約が終了し、退去が決まった場合には、動作モードを内覧モードに切り替える。そして管理者は前記と同様に、入力用暗号を退出者に知らせる。
退去が完了し、施錠が完了すると表示手段12に施錠確認暗号が表示される。退去者は、携帯端末等で施錠確認暗号を管理者に知らせる。この通知により、管理者は施錠されたことを確認することができる。
なお、施錠確認暗号を知らせなかった場合には何らかのペナルティを科すことも考えられる。例えば施錠確認暗号の通知を条件として敷金の返還を行うことも考えられる。
【0052】
以上説明した実施形態では、解錠暗号等は、数字であるが、アルファベットやかな文字等の文字や、他の記号が使われてもよい。またアルファベットやかな文字だけで解錠暗号等が構成されていてもよい。
【0053】
また変形例として、施錠用の暗証番号を設け、当該施錠用の暗証番号によってのみ施錠を行うことができる様にしてもよい。
施錠用の暗証番号は、前記した解錠暗号と同様の方法で作成することが望ましい。
即ち、錠側制御装置20に、施錠暗号作成手段を設け、解錠暗号と同様の方法で施錠用の暗証番号を作成する。暗号候補は、解錠暗号用のものを共用してもよく、別途のものであってもよい。
【0054】
例えば内覧を終えた時点で管理者等にその旨を伝え、施錠用の暗証番号を教えてもらう。内覧希望者はその施錠用の暗証番号を使用して施錠を行う。施錠が完了すると表示手段12に施錠確認暗号が表示される。
【0055】
以上説明した施解錠システム1は、錠2と暗号選定装置3との間の通信は不要であり。錠2は通信の要する待機電力が不要である。そのため錠2は消費電力が少なく、電池の消耗が少ない。
また施解錠システム1は、第三者が知りえない暗号によって錠2を解錠するものであるから安全性が高い。
【0056】
以上説明した実施形態では、解錠暗号等は予め記憶されていた暗号候補から順番に選択されるものであるが、本発明はこの選択方法に限定されるものではない。
例えば、予め記憶されていた暗号候補から例えば当日の日付に対応する番号の暗号候補を解錠暗号等として選択してもよい。例えば2023年4月1日であるならば、2341番目の暗号候補を解錠暗号等として選択する。
また解錠暗号と入力用暗号を同じ条件で新たに作成してもよい。
【0057】
以上説明した実施形態では、解錠された時から一定時間が経過したときに開錠に使用された解錠暗号が抹消されて元の解錠暗号が無効になるが、解錠暗号が無効になる条件はこれに限定されるものではない。
例えば解錠暗号が無効になる条件として次のものがある。
例えば、錠2が人為的に施錠された場合は、再度中に入る必要が無いので、解錠暗号を無効にしてもよい。
例えば夜の12時というような内覧者が来訪する可能性が無い時刻に到達すると解錠暗号を無効にしてもよい。即ち一定の時刻に到達した場合に解錠暗号を無効にする。
その他、所定の時期を基準としてそれから一定時間が経過した場合に解錠暗号を無効にすることもできる。
例えば施錠された時を基準として一定時間が経過した場合に解錠暗号を無効にしてもよい。
【0058】
以上説明した使用方法は、マンションや戸建て住宅の施解錠システムを利用したものであるが、宿泊施設にも本発明を使用することができる。この場合にはフロント等に暗号選定装置3を設置することとなる。
【符号の説明】
【0059】
1 施解錠システム
2 錠
3 暗号選定装置
10 操作部
11 暗号入力手段
12 表示手段
20 錠側制御装置
21 解錠暗号作成手段
22 暗証番号照合手段
23 錠側暗号記憶手段
25 錠側暗号選択手段
27 施錠確認暗号記憶手段
28 切換え手段
33 選定装置側暗号記憶手段
35 選定装置側暗号選択手段
図1
図2
図3
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