IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 三井化学株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-培養容器 図1
  • 特開-培養容器 図2A
  • 特開-培養容器 図2B
  • 特開-培養容器 図3
  • 特開-培養容器 図4
  • 特開-培養容器 図5
  • 特開-培養容器 図6
  • 特開-培養容器 図7
  • 特開-培養容器 図8
  • 特開-培養容器 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171033
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】培養容器
(51)【国際特許分類】
   C12M 3/00 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
C12M3/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087880
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005887
【氏名又は名称】三井化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 有香
(72)【発明者】
【氏名】江刺家 勝弘
【テーマコード(参考)】
4B029
【Fターム(参考)】
4B029AA08
4B029BB11
4B029GA03
4B029GB10
(57)【要約】
【課題】培養液を移動させる作業を効率よく行える培養容器を提供する。
【解決手段】培養容器は、支持部材の収容部に収容された状態で使用される培養容器であって、上端部に互いに対向する第一切欠部及び第二切欠部を有する筒状の本体部と、本体部の上端部に対向配置され、培養容器を支持部材に支持する第一支持部及び第二支持部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持部材の収容部に収容された状態で使用される培養容器であって、
上端部に互いに対向する第一切欠部及び第二切欠部を有する筒状の本体部と、
前記本体部の上端部に対向配置され、前記培養容器を前記支持部材に支持する第一支持部及び第二支持部と、を備える、
培養容器。
【請求項2】
前記第一支持部及び前記第二支持部は、前記第一切欠部と第二切欠部との間に設けられている、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項3】
前記第一支持部と前記第二支持部とは、前記上端部から互いに反対方向に延在する鍔状である、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項4】
前記第一支持部及び前記第二支持部の基端部の幅は、前記上端部の内径より大きく、前記上端部の外径よりも小さい、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項5】
前記上端部において前記第一支持部及び前記第二支持部が設けられた部分の長さは、前記上端部の周方向における長さの60%以上80%以下である、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項6】
前記第一切欠部の形状と前記第二切欠部の形状とは対称であり、
前記第一切欠部及び前記第二切欠部の深さは、前記本体部の高さの10%以上30%以下である、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項7】
前記上端部において前記第一切欠部及び前記第二切欠部が設けられた部分の長さは、前記上端部の周方向における長さの20%以上40%以下である、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項8】
前記上端部において前記第一支持部及び前記第二支持部が設けられた部分の、前記上端部の周方向における長さは、前記上端部において前記第一切欠部及び前記第二切欠部が設けられた部分の、前記周方向における長さよりも、大きい、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項9】
前記第一支持部と前記第二支持部とは、互いに対称な鍔状であり、
前記第一支持部及び前記第二支持部の前記上端部からの突出量は、前記上端部の外径の30%以上50%以下である、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項10】
前記第一支持部及び前記第二支持部はそれぞれ、鍔状であって、基端部の幅は、前記上端部の外径の80%以上95%以下である、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項11】
前記第一支持部及び前記第二支持部はそれぞれ、鍔状であり、使用状態において、前記支持部材に載置され、
前記第一支持部及び前記第二支持部の前記上端部からの突出量は、前記使用状態において前記本体部が前記収容部内で移動可能な移動量よりも大きい、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項12】
前記本体部は、ポリスチレン樹脂又は環状ポリオレフィン樹脂を含む、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項13】
JIS K 7218に規定される試験方法に準拠して測定した前記本体部の全光線透過率は、80%以上99%以下である、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項14】
前記本体部の下側開口部を閉塞する微細孔フィルムを、更に備え、
前記微細孔フィルムの有孔率は、3%以上18%以下である、
請求項1に記載の培養容器。
【請求項15】
前記微細孔フィルムは、厚さ寸法が5um以上15um以下の、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムである、
請求項14に記載の培養容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、培養容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示されたように、細胞を培養する収容部を有する培養容器を用いた細胞の培養が行われている。
【0003】
このような培養容器は、外側培養容器と、所謂インサート容器である内側培養容器と、を備える。外側培養容器は、筒状の外側収容部を有する。内側培養容器は、筒状の内側収容部を有する。そして、内側培養容器は、収容部に収容された状態で、上端部に設けられた4個の鍔状の支持部により、外側培養容器に支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7-75553号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような培養容器を用いて細胞を培養する際、外側培養容器の外側収容部と内側培養容器の内側収容部との間で、培養液を移動する作業を行うことがある。このような培養液を移動する作業は、例えば、ピペットにより行われる。
【0006】
ところで、上述のような特許文献1に開示された培養容器の場合、培養液を移動する作業の際、ピペットを外側収容部に挿入しにくい可能性がある。又、特許文献1に開示された培養容器の場合、培養液を移動させる作業の際、ピペットを内側収容部と外側収容部との間で移動させる際、内側培養容器の上端部がピペットの移動の邪魔になる可能性がある。
【0007】
本発明の目的は、培養液を移動させる作業を効率よく行える培養容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る培養容器の一態様は、
支持部材の収容部に収容された状態で使用される培養容器であって、
上端部に互いに対向する第一切欠部及び第二切欠部を有する筒状の本体部と、
本体部の上端部に対向配置され、培養容器を支持部材に支持する第一支持部及び第二支持部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、培養液を移動させる作業を効率よく行える培養容器を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態に係る培養容器セットの斜視図である。
図2A図2Aは、内側培養容器の平面図である。
図2B図2Bは、内側培養容器の第一領域、第二領域、第三領域、及び第四領域を説明するための内側培養容器の平面図である。
図3図3は、内側培養容器の底面図である。
図4図4は、図2Aに示す内側培養容器を図2Aの矢印A1が示す方向から見た側面図である。
図5図5は、図2Aに示す内側培養容器を図2Aの矢印A2が示す方向から見た側面図である。
図6図6は、使用状態の培養容器の断面図である。
図7図7は、使用状態の培養容器の平面図である。
図8図8は、使用状態の培養容器の断面図である。
図9図9は、使用状態の培養容器の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る培養容器について、図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下で説明する培養容器は、本発明に係る培養容器の一例であり、本発明は後述の実施形態により限定されない。
【0012】
[実施形態]
図1図8を参照して、本発明の実施形態に係る培養容器について説明する。
【0013】
図1は、培養容器1は、例えば、人に由来する細胞の培養に使用される。このような培養容器1は、細胞を収容する収容空間(具体的には、後述の外側収容部223及び内側収容部35)を有する。培養容器1は、収容空間に培養対象である細胞(以下、「対象細胞」と称する。)を収容した状態で、培養装置(例えば、インキュベータ)の培養空間に収容される。
【0014】
本実施形態の培養容器1は、例えば、対象細胞のスフェロイド(細胞凝集塊)の培養に使用できる。尚、培養容器1は、培養装置に収容された状態で使用される必要はない。培養容器1は、対象細胞に応じて、種々の状況で使用されてよい。又、培養容器の形状は、培養容器1の形状に限定されない。
【0015】
以下、培養容器1の具体的な構成について説明する。尚、以下の説明において、特に断ることなく内側又は外側といった場合には、内側は、培養容器1及び培養容器1を構成する部材の径方向における内側を意味する。又、外側は、培養容器1及び培養容器1を構成する部材の径方向における外側を意味する。
【0016】
培養容器1は、外側培養容器2、及び、内側培養容器3を有する。
【0017】
外側培養容器2は、支持部材の一例に該当し、枠部21、及び、複数の外側培養部22を有する。
【0018】
枠部21は、例えば、矩形枠状であって、複数の外側培養部22を支持する。枠部21は、例えば、合成樹脂製である。このような枠部21を構成する合成樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリオレフィンが挙げられる。ポリオレフィンは、環状オレフィン系(共)重合体、4―メチル―1―ペンテン系(共)重合体、ポリプロピレン、又はポリエチレンであってよい。ガス透過の観点からは、4―メチル―1―ペンテン系(共)重合体が好ましい。又、耐熱性の観点からは、ポリスチレン、ポリプロピレン、又は、環状オレフィン系(共)重合体が好ましい。
【0019】
外側培養部22は、筒部221と、底部222(図6図8参照)と、を有する。筒部221は、円筒状であって、上端部が開口している。底部222は、筒部221の下端部を閉塞している。外側培養部22は、筒部221の内周面と底部222の上面とにより画定される外側収容部223を有する。
【0020】
外側収容部223には、使用状態において、内側培養容器3が収容される(図6図8参照)。又、外側収容部223には、使用状態において、対象細胞及び/又は培養液等が収容される。尚、複数の外側培養部22は、互いに同じ構成を有している。外側培養部の形状は、上述の外側培養部22の形状に限定されない。
【0021】
内側培養容器3は、外側培養容器2の外側収容部223に収容された状態で使用される。このような外側収容部223を、培養容器と捉えることもできる。又、外側培養容器2(具体的には、外側培養部22)と内側培養容器3とを培養容器と捉えることもできる。培養容器1は、最大で、外側培養部22の数(本実施形態の場合、6個)と同数の内側培養容器3を備えることができる。尚、外側培養部22の数は、6個に限定されない。例えば、外側培養部22の数は、24個又は96個であってもよい。勿論、外側培養部22の数は、6個、24個及び96個以外であってもよい。
【0022】
内側培養容器3は、本体部31、支持部32、及び底部33を有する。
【0023】
本体部31は、筒状である。本体部31は、例えば、合成樹脂製である。このような本体部31を構成する合成樹脂は、例えば、ポリスチレン、ポリオレフィンが挙げられる。ポリオレフィンは、環状オレフィン系(共)重合体、4―メチル―1―ペンテン系(共)重合体、ポリプロピレン、又はポリエチレンであってよい。ガス透過の観点からは、4―メチル―1―ペンテン系(共)重合体が好ましい。又、耐熱性の観点からは、ポリスチレン、ポリプロピレン、又は、環状オレフィン系(共)重合体が好ましい。
【0024】
本体部31の全光線透過率は、80%以上99%以下である。尚、全光線透過率は、JIS K 7218に規定される試験方法に準拠して測定した全光線透過率である。
【0025】
本体部31は、下方に向かうほど外径及び内径が小さくなる円錐台筒状である。よって、本体部31の外周面は、下方に向かうほど外径が小さくなる円錐台面である。又、本体部31の内周面も、下方に向かうほど外径が小さくなる円錐台面である。このような構成は、本体部31の外周面の下端部と内側培養容器3の内周面との間の空間である培養空間を大きく確保できる。
【0026】
又、本体部31の外周面は、全周にわたり滑らかである。つまり、本体部31の外周面には、凸部又は凹部等が設けられていない。このような本体部31の外周面の構成は、内側培養容器3の製造効率の向上に寄与する。
【0027】
本体部31は、上端部の2箇所位置に、第一切欠部311a及び第二切欠部311bを有する。第一切欠部311aと第二切欠部311bとは、本体部31の径方向において対向している。
【0028】
第一切欠部311aは、本体部31の上端部における第一領域34aに設けられている。第一領域34aは、本体部31を平面視した場合に、図2Bにおいて黒塗りされた領域である。
【0029】
第二切欠部311bは、本体部31の上端部における第二領域34bに設けられている。第二領域34bは、本体部31を平面視した場合に、図2Bにおいて斜格子が付された領域である。
【0030】
よって、第一領域34aと第二領域34bとは、本体部31の径方向において対向している。第一領域34a(換言すれば、第一切欠部311a)と第二領域34b(換言すれば、第二切欠部311b)とが対向する方向を、第一方向とも称する(図2B参照)。又、第一方向及び本体部31の中心軸O31に平行は方向に直交する方向を、第二方向と称する(図2B参照)。第一領域34a(換言すれば、第一切欠部311a)と第二領域34b(換言すれば、第二切欠部311b)とは、本体部31の中心軸O31に関して、点対称の関係を有する。
【0031】
第一領域34a(換言すれば、第一切欠部311a)の周方向における長さは、本体部31の上端面の周方向における長さの10%以上20%以下(好ましくは15%以上18%以下)である。尚、特に断ることなく、周方向といった場合には、本体部31の周方向を意味する。本体部31の上端面の周方向における長さは、図2Bに示す平面視における本体部31の上端面の周方向における長さを意味する。
【0032】
第二領域34b(換言すれば、第二切欠部311b)の周方向における長さは、本体部31の上端面の周方向における長さの10%以上20%以下である。よって、第一領域34a(換言すれば、第一切欠部311a)及び第二領域34b(換言すれば、第二切欠部311b)の周方向における長さは、本体部31の上端面の周方向における長さの20%以上40%以下である。
【0033】
図5に示すように、第一切欠部311aと第二切欠部311bとは、側面視において、同じ形状を有する。具体的には、第一切欠部311aと第二切欠部311bとは、側面視において、略矩形状である。第一切欠部311a及び第二切欠部311bの深さD311は、本体部31の高さH31の10%以上30%以下(好ましくは、17%)である。
【0034】
支持部32は、内側培養容器3を外側培養容器2(具体的には、外側培養部22)に支持するための部分である。支持部32は、第一支持部321及び第二支持部322を有する。
【0035】
第一支持部321は、鍔状であって、本体部31の上端部から本体部31の径方向における外側に延在している。第一支持部321の上面及び下面は、水平方向に平行な平坦面である(図5参照)。
【0036】
第二支持部322は、鍔状であって、本体部31の上端部から本体部31の径方向における外側に延在している。第二支持部322の上面及び下面は、水平方向に平行な平坦面である(図5参照)。第一支持部321と第二支持部322とは、本体部31の上端部から互いに反対方向に延在している。
【0037】
第一支持部321の形状と第二支持部322の形状とは、本体部31の中心軸O31に関して、点対称の関係を有する。又、第一支持部321及び第二支持部322の本体部31の上端部からの突出量L1、L2(図2A参照)はそれぞれ、本体部31の上端部の外径D31の15%以上25%以下である。尚、本実施形態の場合、本体部31の上端部の外径D31は、13.5mmである。但し、外径D31は、13.5mmに限定される必要はない。又、本実施形態の場合、第一支持部321及び第二支持部322の突出量L1、L2は、3mmである。尚、第一支持部321及び第二支持部322の突出量L1、L2は、3mmに限定される必要はない。
【0038】
又、第一支持部321及び第二支持部322の本体部31の上端部からの突出量L1、L2(図2A参照)は、培養容器1の使用状態(図6図8参照)において、内側培養容器3が外側培養部22の外側収容部223内で、径方向に移動可能な移動量L図6参照)よりも大きい。尚、図6に示す状態において、内側培養容器3の中心軸Oと外側培養部22の中心軸O22とは、同軸上に位置している。
【0039】
このような構成は、内側培養容器3が外側培養部22から脱落することを防止できる。図8は、内側培養容器3が外側培養部22の外側収容部223内で、径方向に最大限に移動した状態を示す図である。図8に示すように、内側培養容器3が、外側収容部223内で最大限移動した場合でも、内側培養容器3は外側培養部22から脱落しない。このように、本実施形態の場合、第一支持部321及び第二支持部322の形状を工夫することにより、内側培養容器3の脱落を防止している。
【0040】
第一支持部321及び第二支持部322の基端部の幅W1a、W2a図2A参照)は、本体部31の上端部の内径d31より大きく、本体部31の上端部の外径D31よりも小さい。
【0041】
又、第一支持部321及び第二支持部322の基端部の幅W1a、W2aは、本体部31の上端部の外径D31の80%以上95%以下である。尚、本実施形態の場合、第一支持部321及び第二支持部322の基端部の幅W1a、W2aは、11.8mmである。但し、第一支持部321及び第二支持部322の基端部の幅W1a、W2aは、11.8mmに限定される必要はない。又、本実施形態の場合、本体部31の上端部の外径D31は、13.5mmである。但し、外径D31は、13.5mmに限定される必要はない。
【0042】
又、第一支持部321及び第二支持部322は、平面視において、略台形状である(図2A参照)。具体的には、第一支持部321及び第二支持部322の幅は、本体部31から離れるほど小さくなる。
【0043】
第一支持部321及び第二支持部322の先端部の幅W1b、W2b図2A参照)は、本体部31の上端部の内径d31より小さい。具体的には、第一支持部321及び第二支持部322の先端部の幅W1b、W2bは、本体部31の上端部の内径d31の75%以上85%以下である。尚、本実施形態の場合、第一支持部321及び第二支持部322の先端部の幅W1b、W2bは、9mmである。但し、第一支持部321及び第二支持部322の先端部の幅W1b、W2bは、9mmに限定される必要はない。
【0044】
又、第一支持部321及び第二支持部322の先端部の幅W1b、W2bは、第一支持部321及び第二支持部322の基端部の幅W1a、W2aの70%以上85%以下である。このような構成は、第一支持部321及び第二支持部322の先端部の幅W1b、W2bを、大きく確保しつつ、後述の開口部11a、11b(図7参照)の面積を大きくできる。尚、本実施形態の場合、第一支持部321及び第二支持部322の先端部の幅W1b、W2bは、11.8mmである。但し、第一支持部321及び第二支持部322の先端部の幅W1b、W2bは、11.8mmに限定される必要はない。
【0045】
第一支持部321及び第二支持部322の先端部の幅W1b、W2bが大きいと、図8に示すように、内側培養容器3が外側培養部22の外側収容部223内で、径方向に最大限に移動した状態であっても、第一支持部321及び第二支持部322と外側培養部22との接触面積を大きく確保できる。よって、図8に示す状態でも、内側培養容器3が、外側培養容器2に対して安定した状態で支持される。
【0046】
第一支持部321及び第二支持部322の先端縁は、外側培養部22の上端縁に沿う円弧状である。このような構成も、第一支持部321及び第二支持部322と外側培養部22との接触面積を大きくできる。
【0047】
第一支持部321は、本体部31の上端部における第三領域34cに設けられている。第三領域34cは、本体部31を平面視した場合に、図2Bにおいて粗いハッチングが付された領域である。
【0048】
第二支持部322は、本体部31の上端部における第四領域34dに設けられている。第四領域34dは、本体部31を平面視した場合に、図2Bにおいて細かいハッチングが付された領域である。
【0049】
第三領域34c(換言すれば、第一支持部321)と第四領域34d(換言すれば、第二支持部322)とは、本体部31の径方向(換言すれば、第二方向)において対向している。第三領域34c(換言すれば、第一支持部321)と第四領域34d(換言すれば、第二支持部322)とは、本体部31の中心軸O31に関して、点対称の関係を有する。
【0050】
第三領域34cは、周方向において、第一領域34aの第一端部と第二領域34bの第二端部との間の領域である。よって、第一支持部321は、周方向において、第一切欠部311aの第一端部と第二切欠部311bの第二端部との間に設けられている。
【0051】
尚、第一領域34a、第二領域34b、第三領域34c、及び第四領域34dの第一端部はそれぞれ、図2Bにおける時計回りの方向側の端部である。一方、第一領域34a、第二領域34b、第三領域34c、及び第四領域34dの第二端部はそれぞれ、図2Bにおける時計回りの方向と反対方向側の端部である。
【0052】
第四領域34dは、周方向において、第一領域34aの第二端部と第二領域34bの第一端部との間の領域である。よって、第二支持部322は、周方向において、第一切欠部311aの第二端部と第二切欠部311bの第一端部との間に設けられている。
【0053】
第三領域34cの周方向における長さは、本体部31の上端面の周方向における長さの30%以上40%以下である。第四領域34dの周方向における長さは、本体部31の上端面の周方向における長さの30%以上40%以下である。よって、第三領域34c及び第四領域34dの周方向における長さは、本体部31の上端面の周方向における長さの60%以上80%以下である。
【0054】
本体部31の上端部において第一支持部321及び第二支持部322が設けられた部分である第三領域34c及び第四領域34dの、周方向における長さは、本体部31の上端部において第一切欠部311a及び第二切欠部311bが設けられた部分である第一領域34a及び第二領域34bの、周方向における長さよりも、大きい。このような構成は、第一支持部321及び第二支持部322の幅を広くできる。この結果、培養容器1の使用状態(図6図8参照)において、内側培養容器3の外側培養容器2に対する傾斜を抑制できる。よって、内側培養容器3が、外側培養容器2に対して安定した状態で支持される。
【0055】
底部33は、微細孔フィルムの一例に該当し、円形のシート状である。底部33は、本体部31の下端部を閉塞している。換言すれば、底部33は、本体部31の下側開口部を閉塞している。底部33は、所謂トラックエッチドメンブレンであって、ポリエチレンテレフタレート樹脂フィルムである。底部33は、複数の微細孔(不図示)を有する。このような底部33は、接着剤により本体部31の下端面に固定されている。
【0056】
底部33の厚さ寸法W33は、5um以上15um以下である。又、底部33は、通液性を有する。底部33の有孔率は、3%以上18%以下である。尚、有孔率は、底部33の面積に対する微細孔の面積の比率である。底部33の面積及び微細孔の面積は、平面視における底部33の面積及び微細孔の面積を意味する。平面視は、上下方向から本体部31を見ることを意味する。
【0057】
本体部31の内周面と底部33とにより画定された空間は、内側収容部35である。培養容器1の使用状態(図6図8参照)において、内側収容部35には、対象細胞及び培養液が収容される。内側収容部35に収容された培養液は、底部33の微細孔を通って、外側収容部223に移動可能である。又、外側収容部223に収容された培養液は、底部33の微細孔を通って、内側収容部35に移動可能である。
【0058】
以下、本実施形態の培養容器1の使用方法について、図6図8を参照して説明する。又、本実施形態の培養容器1の使用方法の説明とともに、本実施形態の培養容器1から得られる作用・効果についても説明する。
【0059】
図6は、培養容器1の使用状態における培養容器1の断面図である。図6に示すように、内側培養容器3は、本体部31が外側培養容器2における外側培養部22の外側収容部223に収容される。
【0060】
内側培養容器3の底部33は、外側培養容器2の底部222よりも上方に配置されている。内側培養容器3の底部33と外側培養部22の底部222とは、所定距離離れている。
【0061】
図6に示すように、内側培養容器3の内側収容部35及び外側培養部22の外側収容部223には、培養液50が収容される。又、内側培養容器3の内側収容部35には、対象細胞51が収容される。外側培養部22の外側収容部223にも、対象細胞(不図示)が収容されてもよい。内側収容部35に収容される対象細胞51と、外側収容部223に収容される対象細胞とは、異なる細胞であってもよいし、同じ細胞であってもよい。尚、内側収容部35又は外側収容部223には、対象細胞は収容されなくてもよい。
【0062】
培養容器1の使用状態において、内側培養容器3の第一支持部321及び第二支持部322は、外側培養部22における筒部221の上端面224に載置されている。この状態で、内側培養容器3の上端部と外側培養部22の上端部との間の周方向における二箇所位置に、開口部11a、11bが設けられている。
【0063】
開口部11a、11bは、周方向において、第一切欠部311a及び第二切欠部311bに対応する位置に設けられている。図9に示すように、細胞培養作業を行う作業者は、開口部11a、11bから、ピペット4a、4bを外側収容部223に挿入できる。本実施形態の場合、内側培養容器3の開口部11a、11bと対応する位置に第一切欠部311a及び第二切欠部311bが設けられているため、ピペット4a、4bが傾いた場合でも、ピペット4a、4bと内側培養容器3とが干渉しにくい。この結果、作業者は、細胞培養作業を効率よく行うことができる。
【0064】
又、作業者は、細胞培養作業において、図9のピペット4aを、ピペット4a1の位置を通り、ピペット4a2の位置まで移動することがある。この際、内側培養容器3の開口部11aと対応する位置に第一切欠部311aが設けられているため、ピペット4aの先端部と内側培養容器3とが干渉しにくい。この結果、作業者は、細胞培養作業を効率よく行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明に係る培養容器は、種々の細胞の培養に適用できる。
【符号の説明】
【0066】
1 培養容器
11a、11b 開口部
2 外側培養容器
21 枠部
22 外側培養部
221 筒部
222 底部
223 外側収容部
224 上端面
3 内側培養容器
31 本体部
311a 第一切欠部
311b 第二切欠部
32 支持部
321 第一支持部
322 第二支持部
33 底部
34a 第一領域
34b 第二領域
34c 第三領域
34d 第四流域
35 内側収容部
4a、4b、4a1、4a2 ピペット
50 培養液
51 対象細胞
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9