(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171037
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】レンタル料金算出装置及びレンタル料金算出方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/04 20120101AFI20241204BHJP
G06Q 30/0645 20230101ALI20241204BHJP
G01C 21/34 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
G06Q30/04
G06Q30/0645
G01C21/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087888
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100111235
【弁理士】
【氏名又は名称】原 裕子
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【弁理士】
【氏名又は名称】森 太士
(72)【発明者】
【氏名】奥村 孝
(72)【発明者】
【氏名】望月 綾子
(72)【発明者】
【氏名】山崎 涼々
(72)【発明者】
【氏名】浜中 昌彦
(72)【発明者】
【氏名】笹川 祐一郎
【テーマコード(参考)】
2F129
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
2F129AA03
2F129BB03
2F129CC15
2F129CC16
2F129DD13
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2F129FF47
2F129FF57
2F129FF62
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2F129FF64
2F129FF72
2F129GG17
2F129HH13
5L030BB11
5L030BB68
5L049BB11
5L049BB68
(57)【要約】
【課題】利用者が乗車するレンタルモビリティの利用開始前又は利用中に想定されるリスクを考慮したレンタル料金を算出する。
【解決手段】演算部と入出力部とを有するサーバ30を備えたレンタル料金算出装置であって、入出力部は、利用者が乗車するレンタルモビリティ10の利用内容を含む貸し出し要求情報を取得する取得部31を有しており、演算部は、取得した貸し出し要求情報に含まれる利用内容について、利用者の乗車によりレンタルモビリティ10に生じるリスクを評価する評価部33と、利用内容についてのリスクの評価結果に基づいて、取得した貸し出し要求情報の利用内容によるレンタルモビリティ10のレンタル料金を算出する算出部35とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
演算部と入出力部とを有するレンタル料金算出装置であって、
前記入出力部は、利用者が乗車するレンタルモビリティの利用内容を含む貸し出し要求情報を取得する取得部を有しており、
前記演算部は、
取得した前記貸し出し要求情報に含まれる前記利用内容について、前記利用者の乗車により前記レンタルモビリティに生じるリスクを評価する評価部と、
前記利用内容についての前記リスクの評価結果に基づいて、取得した前記貸し出し要求情報の前記利用内容による前記レンタルモビリティのレンタル料金を算出する算出部と、
を備える
レンタル料金算出装置。
【請求項2】
前記利用内容は、前記レンタルモビリティの利用予定区間を含んでおり、前記評価部は、前記利用予定区間に対応する前記レンタルモビリティの走行ルートの走行安定性及び治安安定性のうち少なくとも一方の前記リスクを評価する請求項1に記載のレンタル料金算出装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記レンタルモビリティの保証金として、前記レンタル料金を前記レンタルモビリティの利用開始前に算出する請求項1に記載のレンタル料金算出装置。
【請求項4】
前記取得部は、前記利用者の利用中における前記レンタルモビリティの利用実績をさらに取得し、前記評価部は、取得した前記利用実績により更新した前記利用内容について前記リスクを再評価し、前記算出部は、更新した前記利用内容についての前記リスクの再評価の結果に基づいて前記レンタル料金を再算出する請求項1に記載のレンタル料金算出装置。
【請求項5】
演算部と入出力部とを備えるコントローラによるレンタル料金算出方法であって、
前記入出力部が、利用者が乗車するレンタルモビリティの利用内容を含む貸し出し要求情報を取得し、
前記演算部が、
取得した前記貸し出し要求情報に含まれる前記利用内容について、前記利用者の乗車により前記レンタルモビリティに生じるリスクを評価し、
前記利用内容についての前記リスクの評価結果に基づいて、取得した前記貸し出し要求情報の前記利用内容による前記レンタルモビリティのレンタル料金を算出する、
レンタル料金算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンタル料金算出装置及びレンタル料金算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、レンタル品の位置を示す位置情報を取得し、取得した位置情報と地図データとの照合によりレンタル品の使用環境を判別して、判別した使用環境を反映したレンタル料金を、レンタル品の返却時に算出する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の技術は、レンタル品の利用が終わった後に、レンタル品の利用実績に基づいて、確定したレンタル料金を算出するものである。本発明は、利用者が乗車するレンタルモビリティの利用開始前又は利用中に想定されるリスクを考慮したレンタル料金の算出を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本発明の1つの態様に係るレンタル料金算出装置及びレンタル料金算出方法では、
演算部と入出力部とを有するコントローラによるレンタル料金の算出を、
前記入出力部が、利用者が乗車するレンタルモビリティの利用内容を含む貸し出し要求情報を取得し、
前記演算部が、
取得した前記貸し出し要求情報に含まれる前記利用内容について、前記利用者の乗車により前記レンタルモビリティに生じるリスクを評価し、
前記利用内容についての前記リスクの評価結果に基づいて、取得した前記貸し出し要求情報の前記利用内容による前記レンタルモビリティのレンタル料金を算出する、
ことで実現する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、利用者が乗車するレンタルモビリティの利用開始前又は利用中に想定されるリスクを考慮したレンタル料金を算出できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の第1実施形態に係るレンタル料金算出装置を搭載したレンタルモビリティのレンタルシステムの構成の概略を示す図である。
【
図2】
図2は、
図1のレンタルモビリティの一例を示す図である。
【
図3】
図3は、
図1のレンタルシステムにおいて実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の第2実施形態に係るレンタル料金算出装置を搭載したレンタルモビリティのレンタルシステムの構成の概略を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4のレンタルシステムにおいて実行される処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。各図面を通じて同一あるいは同等の部位、または構成要素には、同一の符号を付している。
【0009】
以下に示す実施形態は、この発明の技術的思想を具体化するための装置等を例示するものである。この発明の技術的思想は、各構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。
【0010】
[第1実施形態]
図1に示すように、第1実施形態において説明するレンタルモビリティ10のレンタルシステムは、サーバ30と端末装置50とを用いて運用される。第1実施形態に係るレンタル料金算出装置はサーバ30に設けられる。サーバ30のレンタル料金算出装置は、本実施形態に係るレンタル料金算出方法を実行することができる。レンタルモビリティ10は、利用者が乗車する自走式の乗り物である。レンタルモビリティ10のレンタルシステムにおいて、レンタルモビリティ10の利用予定者は、サーバ30と無線又は有線により通信可能な端末装置50から必要事項を入力する。端末装置50は、スマートフォン、ウェアラブル端末等の携帯デバイスであってもよく、パーソナルコンピュータ等の固定端末であってもよい。サーバ30と端末装置50とは、例えば、インターネット回線網を利用して通信することができる。必要事項は、例えば、ユーザの特定情報、レンタルモビリティ10の利用内容を含む。ユーザの特定情報は、例えば、あらかじめ登録されたレンタルシステムの会員情報とすることができる。レンタルモビリティ10の利用内容は、レンタルモビリティ10の利用予定区間を含む。利用予定区間は、例えば、利用者がレンタルモビリティ10に乗車して移動する出発地及び目的地を含む。レンタルモビリティ10の利用内容は、レンタルモビリティ10の利用予定期間を含んでいてもよい。必要事項が入力された端末装置50は、入力された必要事項を含む貸し出し要求情報をサーバ30に送信する。端末装置50における必要事項の入力は、端末装置50において専用のアプリケーションプログラムを起動させて行ってもよく、端末装置50のディスプレイ(図示せず)に表示させたサーバ30のWebコンソール画面(図示せず)上で行ってもよい。以下の説明では、端末装置50としてスマートフォンを用いた場合について説明する。
【0011】
サーバ30は、端末装置50から取得した貸し出し要求情報の利用内容によるレンタルモビリティ10のレンタル料金を、レンタルモビリティ10の利用開始前及び利用中に算出する。サーバ30は、算出したレンタル料金の情報をレンタルモビリティ10の利用予定者又は利用者に提供する。サーバ30は、例えば、算出したレンタル料金の情報を端末装置50に送信し、端末装置50のディスプレイに表示させることで、レンタルモビリティ10の利用予定者又は利用者にレンタル料金を提供することができる。
【0012】
サーバ30は、例えば、汎用のマイクロコントローラを有している。マイクロコントローラは、CPU(Central Processing Unit )、入出力部及びメモリを備える。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。マイクロコントローラは、例えば、メモリに記憶させたプログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。複数の情報処理回路は、サーバ30の演算部を構成することができる。入出力部はサーバ30の後述する取得部31を構成し、演算部はサーバ30の後述する評価部33及び算出部35を構成することができる。本実施形態では、マイクロコントローラに構築される複数の情報処理回路をソフトウェアによって実現する例を示す。もちろん、各部31~35の後述する各情報処理を実行するための専用のハードウェアを用意して、情報処理回路を構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。専用のハードウェアは、各部31~35の機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC;Application Specific Integrated Circuit )、従来型の回路部品のような装置を含む。サーバ30は、例えば、インターネット回線網を利用して、レンタルモビリティ10及び端末装置50と個別に通信することができる。
【0013】
レンタルモビリティ10は、例えば、
図2に示す電動キックボードであってもよい。電動キックボードであるレンタルモビリティ10は、利用者が乗車するボード101を有する。ボード101は、前後に二輪ずつ設けた四輪のホイール103で支持されている。ホイール103の一部又は全部はホイールモータ(図示せず)を内蔵した駆動輪である。レンタルモビリティ10は、バッテリ(図示せず)を搭載している。駆動輪は、バッテリの電力により駆動輪に発生する推進力で走行することができる。
【0014】
ボード101の前輪側にはハンドルポスト105を介してハンドル107が取り付けられている。ボード101には、重量センサ109が設けられている。重量センサ109は、例えば、ロードセルを用いて構成することができる。重量センサ109は、ボード101の実積載量を検出する。ボード101の実積載量は、例えば、ボード101に乗った利用者の重量を含む。利用者と一緒に荷物(図示せず)をボード101に乗せた場合、実積載量には荷物の重量が加わる。ハンドル107の前部には、レンタルモビリティ10の前方を撮影するカメラ111が設けられている。ハンドル107の上部には、マルチディスプレイ113と、端末装置50であるスマートフォンのスタンド115とが設けられている。マルチディスプレイ113には、レンタルモビリティ10の走行速度、バッテリ残量、各種の案内画面等を表示することができる。ハンドルポスト105の内部にはコントロールユニット117が設けられている。
【0015】
コントロールユニット117は、
図1に示すように、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)センサ119、加速度センサ121、コントローラとしての汎用のマイクロコントローラ123を有している。GNSSセンサ119は、レンタルモビリティ10の位置を検出する。加速度センサ121は、レンタルモビリティ10の傾き、振動を検出する。
【0016】
マイクロコントローラ123は、CPU(Central Processing Unit )、入出力部及びメモリを備える。メモリは、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。マイクロコントローラ123は、例えば、メモリに記憶させたプログラムをCPUが実行することで、複数の情報処理回路を仮想的に構築することができる。マイクロコントローラ123の複数の情報処理回路は、もちろん、各情報処理回路の情報処理を実行するための専用のハードウェアによって構成することも可能である。また、複数の情報処理回路を個別のハードウェアにより構成してもよい。専用のハードウェアは、マイクロコントローラ123の機能を実行するようにアレンジされた特定用途向け集積回路(ASIC;Application Specific Integrated Circuit )、従来型の回路部品のような装置を含む。マイクロコントローラ123が行う処理については後述する。
【0017】
次に、本実施形態のレンタルシステムにおいて、レンタルモビリティ10のレンタル料金の算出のために実行される処理手順の一例を、
図3を参照して説明する。まず、サーバ30が、貸し出し情報取得処理を行う(ステップS101)。この処理では、サーバ30の取得部31が、端末装置50からの貸し出し要求情報を取得する。取得部31は、取得した貸し出し要求情報に含まれる利用内容に基づいて、貸し出すレンタルモビリティ10の車両を選択し、利用予定区間の出発地から目的地までの走行ルートを決定する。取得部31は、決定した走行ルートを、レンタルモビリティ10に通知する。レンタルモビリティ10のマイクロコントローラ123は、通知された走行ルートをメモリに記憶させる。マイクロコントローラ123は、通知された走行ルート、又は、走行ルートの案内画面を、マルチディスプレイ113に表示させてもよい。取得部31は、決定した走行ルートを、端末装置50に通知してもよい。端末装置50は、走行ルートが通知された場合、通知された走行ルート、又は、走行ルートの案内画面を、ディスプレイに表示させてもよい。
【0018】
貸し出し情報取得処理に続いて、サーバ30が、リスク評価処理を行う(ステップS103)。この処理では、取得部31が決定した走行ルートの走行安定性及び治安安定性のリスクを、サーバ30の評価部33が評価する。
【0019】
ステップS103のリスク評価処理は、レンタルモビリティ10の利用開始前に行われる。評価部33は、レンタルモビリティ10の利用開始前に、取得部31が決定した走行ルートの走行安定性のリスクを、例えば、サーバ30のメモリに記憶された地図データを利用して評価することができる。この地図データは、例えば、地図上の各地点の標高を含む位置情報を有している。評価部33は、例えば、平坦な走行ルートは走行安定性のリスクを「低い」と評価し、起伏がある走行ルートは走行安定性のリスクを「高い」と評価してもよい。評価部33は、例えば、路面状態が悪い道路を含まない走行ルートは走行安定性のリスクを「低い」と評価し、路面状態が悪い道路を含む走行ルートは走行安定性のリスクを「高い」と評価してもよい。路面状態が悪い道路とは、例えば、舗装されていない道路、砂浜を含む。舗装道路のみの走行ルートは、路面状態が悪い道路を含まないので、路面状態に関しては、評価部33によって走行安定性のリスクが「低い」と評価される。走行安定性のリスクは、例えば、走行ルートの数値化された傾斜が、傾斜に関する所定の閾値以上か所定の閾値未満かによって評価してもよい。走行安定性のリスクは、例えば、走行ルートの路面状態を数値化し、数値化した路面状態の値が、路面状態に関する所定の閾値以上か所定の閾値未満かによって評価してもよい。路面状態は、例えば、舗装されていない道路、砂浜等の、路面の種類毎に数値化することができる。走行安定性のリスクが「高い」と評価された走行ルートでは、走行安定性のリスクが「低い」と評価された走行ルートよりも、レンタルモビリティ10の消耗が大きくなる。レンタルモビリティ10の消耗は、例えば、レンタルモビリティ10のバッテリの消耗、不図示の部品の消耗を含む。
【0020】
評価部33は、治安安定性のリスクを、例えば、サーバ30のメモリに記憶された治安データを利用して評価することができる。この治安データは、例えば、盗難等の犯罪の発生率を地域毎にまとめたデータとすることができる。治安データは、例えば、第三者機関から提供されたデータに基づいて生成することができる。評価部33は、例えば、犯罪発生率が、犯罪発生率に関する所定の閾値以上の地域を通過する走行ルートを、治安安定性のリスクを「高い」と評価し、犯罪発生率が所定の閾値以上の地域を通過しない走行ルートを、治安安定性のリスクを「低い」と評価してもよい。治安安定性のリスクが「高い」と評価された走行ルートでは、治安安定性のリスクが「低い」と評価された走行ルートよりも、例えば、レンタルモビリティ10が駐車中に盗難、損傷等の被害を受ける可能性が大きくなる。評価部33は、走行安定性及び治安安定性の評価結果を、レンタルモビリティ10のマイクロコントローラ123に通知してもよい。評価結果が通知された場合、マイクロコントローラ123は、少なくとも、走行ルート上のリスクが「高い」と評価された地域の評価結果をメモリに記憶させてもよい。
【0021】
リスク評価処理に続いて、サーバ30は、レンタルモビリティ10の利用開始前におけるレンタル料金の算出処理を行う(ステップS105)。この処理では、サーバ30の算出部35が、取得部31が決定した走行ルートと、評価部33による走行ルートの走行安定性及び治安安定性のリスクの評価結果とに基づいて、レンタルモビリティ10の利用者が支払う予定のレンタル料金を算出する。例えば、走行ルートの走行安定性及び治安安定性のリスクの評価結果がいずれも「低い」の場合、算出部35は、走行ルートの距離に基づいて、通常のレンタル料金を算出することができる。走行ルートの距離の代わりに、レンタルモビリティ10の利用予定期間に基づいて、通常のレンタル料金を算出してもよく、走行ルートの距離及び利用予定期間の両方に基づいて、通常のレンタル料金を算出してもよい。例えば、走行ルートの走行安定性及び治安安定性のリスクの評価結果の少なくとも一方が「高い」の場合、算出部35は、通常のレンタル料金にリスクに対応する割り増し料金を加算した割り増し後のレンタル料金を算出することができる。算出部35は、割り増し料金を、リスクの種類別に設定された割増率を適用して算出してもよい。割増率は、例えば、走行安定性のリスクが「高い」の場合に通常のレンタル料金の10%増し、治安安定性のリスクが「高い」の場合に通常のレンタル料金の20%増しとすることができる。走行安定性のリスクの割増率を、治安安定性のリスクの割増率よりも高くしてもよく、割増率は、リスクの種類毎に任意の値に設定することができる。割増率は、一部の種類のリスクについて同じ値に設定してもよく、リスクの種類によらずに共通としてもよい。また、割増率の代わりに、予め定められた一定の金額を割り増し料金としてレンタル料金に加算してもよい。算出部35は、算出したレンタル料金を、レンタルモビリティ10及び端末装置50のどちらか一方又は両方に報知してもよい。レンタルモビリティ10のマイクロコントローラ123は、報知されたレンタル料金をマルチディスプレイ113に表示させてもよい。端末装置50は、報知されたレンタル料金を端末装置50の不図示のディスプレイに表示させてもよい。
【0022】
レンタルモビリティ10の利用開始前の料金算出処理に続いて、レンタルモビリティ10のマイクロコントローラ123は、レンタルモビリティ10の貸し出しを開始して、レンタルモビリティ10の状態の監視処理をスタートする(ステップS107)。この処理では、マイクロコントローラ123が、重量センサ109、GNSSセンサ119、加速度センサ121による、レンタルモビリティ10の実積載量、位置情報、傾き、振動の検出と、カメラ111による前方の撮影とを開始させる。重量センサ109、GNSSセンサ119、加速度センサ121は、レンタルモビリティ10の実積載量、位置情報、傾き、振動を繰り返し検出する。繰り返しの検出は、周期的に行ってもよく、所定の検出タイミングが到来する毎に行ってもよい。マイクロコントローラ123は、重量センサ109、GNSSセンサ119、加速度センサ121が繰り返し検出した結果と、カメラ111の撮影画像とを、メモリに記憶させてもよい。マイクロコントローラ123は、例えば、重量センサ109、GNSSセンサ119、加速度センサ121の検出に同期したタイミングで、カメラ111の撮影画像をメモリに記憶させてもよい。重量センサ109が最初に検出した実積載量は、荷物を含まない利用者のみの重量である。マイクロコントローラ123は、重量センサ109が最初に検出した実積載量を、デフォルトの実積載量としてメモリに記憶させる。
【0023】
続いて、レンタルモビリティ10のマイクロコントローラ123は、貸し出し中のレンタルモビリティ10に、レンタル料金を再算出するトリガとなるイベントが発生したか否かを、ステップS109~S115において確認する。ステップS109では、マイクロコントローラ123は、GNSSセンサ119が検出した位置に基づいて、レンタルモビリティ10が治安安定性のリスクが「高い」と評価された危険地域を通過したか否かを確認する。危険地域は、例えば、マイクロコントローラ123のメモリに記憶させた治安データを用いて確認してもよい。サーバ30の評価部33による治安安定性の評価結果がマイクロコントローラ123のメモリに記憶されている場合、危険地域は、例えば、メモリの評価結果を用いて、レンタルモビリティ10が危険地域を通過したか否かを確認してもよい。危険地域を通過した場合は(ステップS109でYES)、後述するステップS117に処理を移行する。危険地域を通過していない場合は(ステップS109でNO)、マイクロコントローラ123は、加速度センサ121が検出した傾き、振動に基づいて、レンタルモビリティ10が悪路走行し、又は、危険運転されたか否かを確認する(ステップS111)。
【0024】
レンタルモビリティ10が悪路走行し、又は、危険運転された場合は(ステップS111でYES)、レンタル料金を再算出するトリガとなるイベントが発生したものとして、ステップS117に処理を移行する。悪路走行及び危険運転されていない場合は(ステップS111でNO)、マイクロコントローラ123は、重量センサ109が検出したレンタルモビリティ10の実積載量が、メモリに記憶されたデフォルト値から変化したか否かを確認する(ステップS113)。例えば、レンタルモビリティ10のボード101に荷物が追加して載せられた場合は、重量センサ109が検出した実積載量が増えてメモリのデフォルト値から変化する。実積載量が変化した場合は(ステップS113でYES)、レンタル料金を再算出するトリガとなるイベントが発生したものとして、ステップS117に処理を移行する。実積載量がデフォルト値から変化していない場合は(ステップS113でNO)、マイクロコントローラ123は、レンタルモビリティ10が、サーバ30から通知された走行ルート通りに走行しているか否かを確認する(ステップS115)。マイクロコントローラ123は、レンタルモビリティ10が走行ルート通りに走行しているか否かを、例えば、GNSSセンサ119が検出した位置、又は、カメラ111の撮影画像に基づいて、確認することができる。レンタルモビリティ10が走行ルート通りに走行している場合は(ステップS115でYES)、後述するステップS119に処理を移行する。レンタルモビリティ10が走行ルート通りに走行していない場合は(ステップS115でNO)、レンタル料金を再算出するトリガとなるイベントが発生したものとして、ステップS117に処理を移行する。
【0025】
ステップS117では、情報送信・料金計算処理を行う。この処理の後は、ステップS109にリターンする。情報送信・料金計算処理では、マイクロコントローラ123が、レンタル料金を再算出するトリガとなるイベントの情報を含む情報信号をサーバ30に送信する。この情報信号は、直前のステップS109~S115でマイクロコントローラ123が、イベントが発生したと確認した、各センサ109、119、121の検出結果の情報、又は、カメラ111の撮影画像の情報を含む。この情報は、レンタル料金の再算出に必要なレンタルモビリティ10の利用実績の情報である。例えば、ステップS109で危険地域を通過したと確認した場合、マイクロコントローラ123は、通過した危険地域を利用実績の情報とする情報信号をサーバ30に送信する。例えば、ステップS111でレンタルモビリティ10が悪路走行し、又は、危険運転されたと確認した場合、マイクロコントローラ123は、悪路走行又は危険運転されたことを利用実績の情報とする情報信号をサーバ30に送信する。例えば、ステップS113で実積載量が変化したと確認した場合、マイクロコントローラ123は、変化後の実積載量を利用実績の情報とする情報信号をサーバ30に送信する。例えば、ステップS115でレンタルモビリティ10が走行ルート通りに走行していないと確認した場合、マイクロコントローラ123は、走行ルートから外れたレンタルモビリティ10の現在位置を利用実績の情報とする情報信号をサーバ30に送信する。
【0026】
ステップS117の情報送信・料金計算処理において、マイクロコントローラ123が送信した情報信号を受信したサーバ30は、受信した情報信号が示すレンタルモビリティ10の利用実績の情報を用いて、レンタルモビリティ10のレンタル料金を再算出する。
【0027】
ステップS117のレンタル料金の再算出は、レンタルモビリティ10の利用開始後に行われる。レンタルモビリティ10の利用開始後は、レンタルモビリティ10の走行安定性を、レンタルの開始前の要素に加えて、例えば、レンタルモビリティ10の重量センサ109が検出するレンタルモビリティ10の実積載量を利用して評価することができる。また、レンタルモビリティ10の利用開始後は、走行安定性を、加速度センサ121が検出するレンタルモビリティ10の傾き、振動を利用して評価することができる。例えば、レンタルモビリティ10の実積載量が、利用者の重量に対応するデフォルト値よりも多い場合、デフォルト値との差分が、実積載量に関する所定の閾値以上の場合には、走行安定性のリスクを「高い」としてもよい。デフォルト値との差分が所定の閾値未満の場合には、走行安定性のリスクを「低い」としてもよい。例えば、レンタルモビリティ10の傾きが、傾きに関する所定の閾値未満の場合に、起伏がある道路の走行中として走行安定性のリスクを「高い」とし、傾きが所定の閾値以上の場合に、平坦な道路の走行中として走行安定性のリスクを「低い」としてもよい。例えば、レンタルモビリティ10の振動が、振動に関する所定の閾値以上の場合には、路面状態が悪い道路の走行中、又は、急ブレーキ、急発進等の危険走行を行っているとして、走行安定性のリスクを「高い」としてもよい。振動が所定の閾値未満の場合には、路面状態がよい道路の走行中、又は、急ブレーキ、急発進等の危険走行を行っていないとして、走行安定性のリスクを「低い」としてもよい。
【0028】
利用開始後のレンタル料金の再算出に当たり、サーバ30のマイクロコントローラは、ステップS101で取得した貸し出し要求情報の利用内容を、受信した利用実績で更新する。例えば、ステップS117で、レンタルモビリティ10が通過した危険地域をマイクロコントローラ123から受信した場合、取得部31は、レンタルモビリティ10の走行ルートを、危険地域を通過する実際の走行ルートに更新する。取得部31は、走行ルートを更新した場合、更新した走行ルートをレンタルモビリティ10に通知する。取得部31は、更新後の走行ルートを、端末装置50に通知してもよい。評価部33は、更新後の実際の走行ルートについて、治安安定性のリスクを再評価し、通過した危険地域の犯罪発生率が所定の閾値以上である場合は、治安安定性のリスクを「高い」と再評価する。算出部35は、評価部33による再評価の結果が、走行ルートの治安安定性のリスクが「高い」の場合に、対応する割り増し料金を通常のレンタル料金に加算して、割り増し後のレンタル料金を再算出する。
【0029】
例えば、ステップS117で、レンタルモビリティ10が悪路走行し、又は、危険運転されたことをマイクロコントローラ123から受信した場合、評価部33は、悪路走行し、又は、危険運転された走行ルートの傾斜又は振動を数値化する。数値化した傾斜又は振動が、それらに関する所定の閾値以上である場合は、走行安定性のリスクを「高い」と再評価する。算出部35は、評価部33による再評価の結果が、走行ルートの走行安定性のリスクが「高い」の場合に、対応する割り増し料金を通常のレンタル料金に加算して、割り増し後のレンタル料金を再算出する。
【0030】
例えば、ステップS117で、レンタルモビリティ10の変化後の実積載量をマイクロコントローラ123から受信した場合、評価部33は、変化後の実積載量が、実積載量に関する所定の閾値以上である場合は、走行安定性のリスクを「高い」と再評価する。算出部35は、評価部33による再評価の結果が、走行ルートの走行安定性のリスクが「高い」の場合に、対応する割り増し料金を通常のレンタル料金に加算して、割り増し後のレンタル料金を再算出する。
【0031】
例えば、ステップS117で、取得部31が決定した走行ルートから外れたレンタルモビリティ10の現在の位置をマイクロコントローラ123から受信した場合、取得部31は、レンタルモビリティ10の走行ルートを、現在の位置を含むルートに更新する。評価部33は、更新後のレンタルモビリティ10の走行ルートについて、走行安定性及び治安安定性のリスクを再評価する。評価部33による再評価の結果が、走行安定性及び治安安定性の少なくとも一方のリスクが「高い」の場合に、算出部35は、対応する割り増し料金を通常のレンタル料金に加算して、割り増し後のレンタル料金を再算出する。
【0032】
評価部33は、走行安定性及び治安安定性の評価結果を、レンタルモビリティ10のマイクロコントローラ123に通知してもよい。評価結果が通知された場合、マイクロコントローラ123は、少なくとも、走行ルート上のリスクが「高い」と評価された地域の評価結果をメモリに記憶させてもよい。評価部33は、レンタルモビリティ10の実積載量の変化に対応してレンタルモビリティ10の走行安定性を再評価することで、レンタルモビリティ10のバッテリの消耗に関するリスクを、エネルギ消費量のリスクとして評価する。
【0033】
ステップS119では、マイクロコントローラ123は、GNSSセンサ119が検出した位置に基づいて、レンタルモビリティ10が目的地に到着したか否かを確認する。目的地に到着していない場合は(ステップS119でNO)、ステップS109にリターンする。目的地に到着した場合は(ステップS119でYES)、終了処理を行う(ステップS121)。終了処理では、マイクロコントローラ123は、目的地でのレンタルモビリティ10の返却確認処理と、返却完了情報のサーバ30への送信処理とを行う。返却確認処理は、例えば、目的地においてレンタルモビリティ10の返却スイッチ(図示せず)を操作し、操作信号を受信したサーバ30から送信された返却確認信号をマイクロコントローラ123が受信する処理とすることができる。マイクロコントローラ123は、例えば、返却確認信号の受信後に、返却完了情報をサーバ30に送信することができる。終了処理では、サーバ30の算出部35が、マイクロコントローラ123からの返却完了情報を受信して、利用者に請求するレンタルモビリティ10のレンタル料金の最終確定金額を算出する。サーバ30は、算出した最終確定金額のレンタル料金を利用者に課金する課金処理を行う。終了処理の実行によって、一連の手順が終了する。
【0034】
本実施形態では、サーバ30の取得部31が、利用予定者の端末装置50からの、レンタルモビリティ10の貸し出し要求情報を取得する。取得部31は、取得した貸し出し要求情報に含まれる利用内容に基づいて、レンタルモビリティ10の利用開始前に、レンタルモビリティ10の利用予定区間に対応する走行ルートを決定する。サーバ30の評価部33は、走行ルートの走行安定性及び治安安定性のリスクを評価する。サーバ30の算出部35は、評価部33の評価結果に基づいて、レンタルモビリティ10の利用内容によるリスクを考慮したレンタルモビリティ10のレンタル料金を算出する。以上により、レンタルモビリティ10の利用開始前に想定されるリスクを考慮したレンタル料金を算出できる。
【0035】
本実施形態では、レンタルモビリティ10の利用開始後に、レンタル料金を再算出するトリガとなるイベントが発生した場合に、レンタル料金の再算出に必要となる利用実績の情報を含む情報信号をレンタルモビリティ10からサーバ30に送信する。サーバ30の取得部31は、受信した情報信号の情報により、利用開始前に取得したレンタルモビリティ10の利用内容を更新し、利用中のレンタルモビリティ10の利用予定区間に対応する走行ルートを決定する。サーバ30の評価部33は、レンタルモビリティ10の更新された走行ルートの走行安定性及び治安安定性のリスクを評価する。サーバ30の算出部35は、評価部33の評価結果に基づいて、レンタルモビリティ10の更新された利用内容によるリスクを考慮したレンタルモビリティ10のレンタル料金を算出する。以上により、レンタルモビリティ10の利用中に想定されるリスクを考慮したレンタル料金を算出できる。
【0036】
[第2実施形態]
図4に示すように、第2実施形態において説明するレンタルモビリティ10のレンタルシステムは、第1実施形態と同じくサーバ30と端末装置50とを用いて運用される。第2実施形態に係るレンタル料金算出装置はサーバ30に設けられる。サーバ30のレンタル料金算出装置は、本実施形態に係るレンタル料金算出方法を実行することができる。第2実施形態では、サーバ30のマイクロコントローラの入出力部を構成する情報処理回路が、取得部31に加えて報知部37を構成している。第2実施形態において、レンタルモビリティ10のマイクロコントローラ123を除く構成、サーバ30の報知部37を除く構成、及び、端末装置50の構成は、第1実施形態のそれぞれの構成と同じである。
【0037】
図5に示すように、第2実施形態では、マイクロコントローラ123、サーバ30の各部31~35が、ステップS118を除いて、第1実施形態における
図3のステップS101~S115、S119、S121と同様の手順の処理を行う。第2実施形態では、ステップS109~S115において、貸し出し中のレンタルモビリティ10に、レンタル料金を再算出するトリガとなるイベントが発生した場合に、ステップS118に処理を移行する。
【0038】
ステップS118では、注意喚起・情報送信・料金計算処理を行う。この処理の後は、ステップS109にリターンする。注意喚起・情報送信・料金計算処理では、マイクロコントローラ123が、ステップS118の直前に実行した処理(ステップS109~S115のいずれか)で、レンタル料金を再算出するトリガとなるイベントが発生したと確認した回数をカウントする。マイクロコントローラ123は、カウントした回数が、イベント発生回数に関する所定の閾値未満である間、注意喚起のための表示をマルチディスプレイ113に表示させる。注意喚起のための表示は、例えば、発生したイベントを利用者に案内する内容とすることができる。マイクロコントローラ123は、イベント発生回数のカウントを、ステップS109~S115においてそれぞれ確認するイベントの種類別に行ってもよい。イベントの種類別に発生回数をカウントする場合、マイクロコントローラ123は、各種類のイベントの発生回数が、各種類に対応するイベント発生回数の所定の閾値未満である間、各種類の注意喚起のための表示をマルチディスプレイ113に表示させてもよい。
【0039】
ステップS118は、マイクロコントローラ123は、カウントした回数が、イベント発生回数に関する所定の閾値以上となった場合に、レンタルモビリティ10の利用実績の情報を含む情報信号をサーバ30に送信する。サーバ30に送信する情報信号は、第1実施形態のマイクロコントローラ123が
図3のステップS117でサーバ30に送信した情報信号と同じ内容である。ステップS118の注意喚起・情報送信・料金計算処理において、マイクロコントローラ123が送信したレンタルモビリティ10の利用実績の情報を受信したサーバ30は、レンタルモビリティ10のレンタル料金を再算出する。サーバ30がレンタルモビリティ10のレンタル料金を再算出する処理手順は、第1実施形態のサーバ30の取得部31、評価部33及び算出部35
図3のステップS117で行った、レンタル料金を再算出する際の処理手順と同じである。
【0040】
ステップS118の注意喚起・情報送信・料金計算処理において、報知部37は、算出部35が算出したレンタル料金を、レンタルモビリティ10及び端末装置50のどちらか一方又は両方に報知する。レンタルモビリティ10のマイクロコントローラ123は、報知されたレンタル料金をマルチディスプレイ113に表示させてもよい。端末装置50は、報知されたレンタル料金を端末装置50の不図示のディスプレイに表示させてもよい。取得部31は、走行ルートを更新した場合、更新した走行ルートをレンタルモビリティ10に通知する。取得部31は、更新後の走行ルートを、端末装置50に通知してもよい。
【0041】
本実施形態でも、第1実施形態と同様に、レンタルモビリティ10の利用開始前及び利用中に想定されるリスクを考慮したレンタル料金を算出できる。
【0042】
[変形例]
以上に説明した第1実施形態及び第2実施形態では、走行安定性及び治安安定性の少なくとも一方のリスクに基づいて割り増しするレンタル料金の対象を、レンタルモビリティ10の利用終了後に課金するレンタル料金の予想金額とした。割り増しするレンタル料金の対象は、レンタルモビリティ10の貸し出し時に利用者が預けるレンタルモビリティ10の保証金としてもよい。割り増しするレンタル料金の対象を保証金とする場合、レンタル料金の割り増し金額は、例えば、保証金を預ける利用開始前の時点で評価可能な走行安定性及び治安安定性の少なくとも一方のリスクの評価結果を用いて算出することができる。
【0043】
各実施形態では、レンタル料金を再算出するトリガとなるイベントが発生したか否かを、レンタルモビリティ10のマイクロコントローラ123で確認し、イベントが発生した場合に、そのイベントを利用実績の情報として含む情報信号をサーバ30に送信した。重量センサ109、GNSSセンサ119、加速度センサ121の検出結果の情報、又は、カメラ111の撮影画像の情報を含む情報信号をサーバ30に常時送信するよりも、情報信号のサーバ30への送信に係るマイクロコントローラ123の負担を軽減できる。
【0044】
レンタル料金を再算出するトリガとなるイベントがレンタルモビリティ10で発生したか否かは、サーバ30において確認してもよい。イベントの発生をサーバ30で確認する場合、マイクロコントローラ123は、重量センサ109、GNSSセンサ119、加速度センサ121の検出結果とカメラ111の撮影画像とを、情報信号としてサーバ30に送信する。サーバ30は、受信した情報信号の、重量センサ109、GNSSセンサ119、加速度センサ121の検出結果とカメラ111の撮影画像とに対して、
図3又は
図5のステップS109~115と同様の確認処理を行う。評価部33は、確認処理で確認したイベントに対応するレンタルモビリティ10の利用実績の情報を用いて、
図3のステップS117又は
図5のステップS118において、レンタルモビリティ10のレンタル料金を再算出することができる。
【0045】
以上の各実施形態では、走行ルートの走行安定性の指標として、走行ルートに起伏があるか否かの平坦性、路面状態の善し悪しを例示したが、それ以外の要素、例えば、交通の安全性を、走行安定性の指標に用いてもよい。交通の安全性に関する走行安定性のリスクは、例えば、交通事故の発生件数、交通量、道幅、車道と歩道とを区画する工作物の有無、を用いて評価することができる。これらを数値化して交通の安全性の値を求め、求めた値が、交通の安全性に関する所定の閾値以上か所定の閾値未満かによって、走行安定性のリスクを評価してもよい。走行ルートの治安安定性についても、走行安定性と同様に、以上の各実施形態で例示した犯罪発生率以外の要素を指標に用いてもよい。
【0046】
以上の各実施形態及び変形例では、本発明に係るレンタル料金算出装置をサーバ30に設けるものとしたが、本発明に係るレンタル料金算出装置をレンタルモビリティ10のマイクロコントローラ123に設けてもよい。また、本発明に係るレンタル料金算出方法は、サーバ30及びマイクロコントローラ123のどちらか一方において実行されてもよく、両方によって協働して実行されてもよい。
【0047】
以上に本発明の実施形態を説明したが、上記開示内容に基づいて実施形態の修正または変形をすることが可能である。上記実施形態のすべての構成要素、及び請求の範囲に記載されたすべての特徴は、それらが互いに矛盾しない限り、個々に抜き出して組み合わせてもよい。
【0048】
例えば、以上に説明した実施形態は、サーバ30の算出部35が、評価部33によるリスクの評価結果に基づいたレンタル料金を、リスクの種類別に設定された割増率を適用して算出するレンタル料金算出装置を開示する。また、以上に説明した実施形態は、リスクの再評価において、サーバ30の評価部33が、レンタルモビリティ10の実積載量に対応するレンタルモビリティ10のエネルギ消費量のリスクを評価するレンタル料金算出装置を開示する。さらに、以上に説明した実施形態は、リスクの再評価のために、サーバ30の取得部31が、レンタルモビリティ10のセンサで検出されたレンタルモビリティ10の利用実績を取得するレンタル料金算出装置を開示する。レンタルモビリティ10のセンサは、重量センサ109、GNSSセンサ119、加速度センサ121を含む。また、以上に説明した実施形態は、サーバ30の入出力部が、算出部35により算出したレンタル料金を利用者に報知する報知部37をさらに有するレンタル料金算出装置を開示する。
【符号の説明】
【0049】
10 レンタルモビリティ
30 サーバ(コントローラ)
31 取得部
33 評価部
35 算出部
37 報知部
109 重量センサ(センサ)
119 GNSSセンサ(センサ)
121 加速度センサ(センサ)