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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171049
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】油圧ユニット
(51)【国際特許分類】
   E21B 19/02 20060101AFI20241204BHJP
   E02D 7/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
E21B19/02
E02D7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087909
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100128358
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 良彦
(74)【代理人】
【識別番号】100086210
【弁理士】
【氏名又は名称】木戸 一彦
(72)【発明者】
【氏名】内田 啓介
【テーマコード(参考)】
2D050
2D129
【Fターム(参考)】
2D050EE11
2D129DC01
2D129DC05
2D129EB35
(57)【要約】
【課題】現場作業やトラック輸送の目的に適う取扱性のよいホースハンガーを備えた油圧ユニットを提供する。
【解決手段】ホースハンガー17は、油圧ユニットにおけるボンネットの側面上部に取り付けられたベース部材22と、該ベース部材に第1回動ピン19を介して回動可能に連結され、回動端部に吊り治具取付部23を備えたアーム部材24と、該アーム部材に第2回動ピン20を介して回動可能に連結され、回動端部にベース部材と連結するための固定ピン21が挿抜可能な作業時固定用ピン孔25を備えたリンク部材26とを有し、固定ピンを作業時固定用ピン孔に挿した状態で、アーム部材をリンク部材で支持してボンネットの側面の外側に展開した作業位置と、固定ピンを作業時固定用ピン孔から抜いた状態で、アーム部材及びリンク部材をボンネットの側面に一体で垂下した輸送位置とに移動可能に構成されている。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状のボンネット内に、油圧式作業装置に対して油圧供給を行う油圧ポンプと、該油圧ポンプを駆動するエンジンとを収容し、前記ボンネットの側面に、油圧ホースが接続されるホース接続部と、前記油圧ホースの吊り治具が取り付けられるホースハンガーとを備えている油圧ユニットにおいて、
前記ホースハンガーは、前記ボンネットの側面上部に取り付けられたベース部材と、該ベース部材に第1回動ピンを介して回動可能に連結され、回動端部に吊り治具取付部を備えたアーム部材と、該アーム部材に第2回動ピンを介して回動可能に連結され、回動端部に前記ベース部材と連結するための固定ピンが挿抜可能な作業時固定用ピン孔を備えたリンク部材とを有し、前記固定ピンを前記作業時固定用ピン孔に挿した状態で、前記アーム部材を前記リンク部材で支持して前記ボンネットの側面の外側に展開した作業位置と、前記固定ピンを前記作業時固定用ピン孔から抜いた状態で、前記アーム部材及び前記リンク部材を前記ボンネットの側面に一体で垂下した輸送位置とに移動可能に構成されていることを特徴とする油圧ユニット。
【請求項2】
前記アーム部材は、前記輸送位置で前記作業時固定用ピン孔に代替し、前記固定ピンが挿抜可能な輸送時固定用ピン孔を備えていることを特徴とする請求項1記載の油圧ユニット。
【請求項3】
前記アーム部材は、横断面コ字形状を有していることを特徴とする請求項2記載の油圧ユニット。
【請求項4】
前記輸送位置で前記リンク部材と前記ボンネットとの間に介在し、前記リンク部材の前記ボンネット側への揺動を規制する突出部材を備えていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の油圧ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ユニットに関し、詳しくは、油圧式作業装置に油圧を供給するための油圧ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ポンプ及びこれを駆動するエンジンをボンネット(筐体、ケーシングなどともいう)の内部に収容した可搬式の油圧ユニットは、建設現場において、杭打機やチュービング装置などの各種油圧式作業装置の動力源として用いられ、特に、自前の動力発生手段を持たないチュービング装置の運転に不可欠なものとされている(例えば、特許文献1参照)。このような別置きとした油圧ユニットでは、送油先へと延びる油圧ホースを保護する観点から、油圧ホースが接地状態となるのを防止する吊り上げ装置を備えたものが知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-179603号公報
【特許文献2】特開2012-52298号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献2に記載された油圧ホース吊り上げ装置は、旋回や伸縮、吊りロープの巻取りが可能なブーム式のものであって、油圧ホースの吊り位置を調整して杭打機の走行に追従させることができる。一方、自走しないチュービング装置では、油圧ホースに追従性が求められることはないが、ホース接続部付近に生じる無理な曲げや圧迫を防止する必要があるため、従来から、ホースハンガーと呼ばれる簡易的な吊り手段が用いられている。
【0005】
具体的には、図13に示すように、現場の所定位置に油圧ユニット100を設置した後、アーム101aを備えたホースハンガー101をボンネット102の天板102aに取り付けた状態とし、アーム101aの先端部に装着した吊り治具(チェーンブロック)103の巻取り操作によって、接続状態の油圧ホース104の束をベルト105で一体的に吊り上げている。
【0006】
しかしながら、ホースハンガー101は、油圧ユニット100に取り付けた状態でボンネット102の側面の外側に突出することから、トラック輸送を前提とした油圧ユニット100の現場移動の際には事前に取り外し、次の現場で再度取り付けるという作業手順を踏まなければならず、その取り扱いが煩わしいものであった。
【0007】
そこで本発明は、現場作業やトラック輸送の目的に適う取扱性のよいホースハンガーを備えた油圧ユニットを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明の油圧ユニットは、直方体形状のボンネット内に、油圧式作業装置に対して油圧供給を行う油圧ポンプと、該油圧ポンプを駆動するエンジンとを収容し、前記ボンネットの側面に、油圧ホースが接続されるホース接続部と、前記油圧ホースの吊り治具が取り付けられるホースハンガーとを備えている油圧ユニットにおいて、前記ホースハンガーは、前記ボンネットの側面上部に取り付けられたベース部材と、該ベース部材に第1回動ピンを介して回動可能に連結され、回動端部に吊り治具取付部を備えたアーム部材と、該アーム部材に第2回動ピンを介して回動可能に連結され、回動端部に前記ベース部材と連結するための固定ピンが挿抜可能な作業時固定用ピン孔を備えたリンク部材とを有し、前記固定ピンを前記作業時固定用ピン孔に挿した状態で、前記アーム部材を前記リンク部材で支持して前記ボンネットの側面の外側に展開した作業位置と、前記固定ピンを前記作業時固定用ピン孔から抜いた状態で、前記アーム部材及び前記リンク部材を前記ボンネットの側面に一体で垂下した輸送位置とに移動可能に構成されていることを特徴としている。
【0009】
また、前記アーム部材は、前記輸送位置で前記作業時固定用ピン孔に代替し、前記固定ピンが挿抜可能な輸送時固定用ピン孔を備えていることを特徴としている。
【0010】
さらに、前記アーム部材は、横断面コ字形状を有していることを特徴としている。加えて、前記輸送位置で前記リンク部材と前記ボンネットとの間に介在し、前記リンク部材の前記ボンネット側への揺動を規制する突出部材を備えていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
本発明の油圧ユニットによれば、油圧ホースの吊り手段となるホースハンガーが、ボンネットの側面上部に取り付けたベース部材と、該ベース部材に第1回動ピンを介して回動可能に連結したアーム部材と、該アーム部材に第2回動ピンを介して回動可能に連結したリンク部材とを有し、該リンク部材の回動端部にベース部材と連結するための固定ピンが挿抜可能な作業時固定用ピン孔を備えているので、固定ピンを挿抜する簡単な操作で、ホースハンガーをその各部材の一体性を保ちながら、ボンネットの側面の外側に展開した作業位置と、ボンネットの側面に垂下した輸送位置とに移動できるようになり、現場作業やトラック輸送の目的に適う取扱性のよいホースハンガーを備えた油圧ユニットが達成される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一形態例を示す油圧ユニットの使用状態を示す図である。
図2】同じく作業位置に移動した状態のホースハンガーの正面図である。
図3】同じく側面図である。
図4】同じく平面図である。
図5図3のV-V断面図である。
図6図3のVI-VI断面図である。
図7図3のVII-VII断面図である。
図8】同じく輸送位置に移動した状態のホースハンガーの側面図である。
図9】同じく固定ピンを作業時固定用ピン孔から抜いた状態を示す取扱説明図である。
図10】同じくアーム部材を第1回動ピンまわりに、リンク部材を第2回動ピンまわりにそれぞれ回動した状態を示す取扱説明図である。
図11】同じくリンク部材の第2回動ピンまわりの回動を規制した状態でアーム部材とリンク部材とを第1回動ピンまわりに一体で回動した状態を示す取扱説明図である。
図12】同じく固定ピンを輸送時固定用ピン孔に挿してアーム部材の回動を規制する取扱説明図である。
図13】従来の油圧ユニットの使用状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1乃至図12は、本発明の油圧ユニットの一形態例を示している。本形態例に示す油圧ユニット11は、図1に示すように、防音構造を備えた直方体形状のボンネット12の内部に、油圧式作業装置の一例であるチュービング装置13に対して油圧供給を行う油圧ポンプ、該油圧ポンプを駆動するエンジン、作動油を貯留する作動油タンクなどの各種機器を収容したものであって、ボンネット12の正面(一側面)には、制御盤14や送油用の複数本の油圧ホース15を接続するためのホース接続部16、油圧ホース15の吊り手段となるホースハンガー17及び付属の吊り治具18などが設けられている。
【0014】
ホース接続部16とホースハンガー17とは、ボンネット12の正面に対して正対して見たときに、上下の位置関係になるように配置されている(図1)。吊り治具18は、図13の従来構成において示した周知のチェーンブロック103が採用され、その配置、つまり、吊り上げ対象物となる油圧ホース15の吊り点(ベルト105で吊る位置)も従来構成と同等の位置に設定されている。
【0015】
ホースハンガー17は、従来の同種ホースハンガー101と代替可能な取付互換性があり、水平方向に展開した使用状態(図2乃至図4)で、略直角三角形をなす3節リンク支持構造を有し、板材及びパイプ材(丸パイプ)で形成した3つの結合部(節点)がそれぞれピン19,20,21で結合されている。
【0016】
ホースハンガー17の具体的構成は、図2乃至図8に示すように、ボンネット12の側面(図1に表された正面)12aの上部に取り付けられたベース部材22と、該ベース部材22に第1回動ピン19を介して回動可能に連結され、回動端部(先端部)に吊り治具取付部23を備えたアーム部材24と、該アーム部材24に第2回動ピン20を介して回動可能に連結され、回動端部(先端部)にベース部材22と連結するための固定ピン21が挿抜可能な作業時固定用ピン孔25を備えたリンク部材26とを有しており、固定ピン21を作業時固定用ピン孔25に挿した状態で、アーム部材24をリンク部材26で水平に支持してボンネット12の側面12aの外側に展開した作業位置(図3)と、固定ピン21を作業時固定用ピン孔25から抜いた状態で、アーム部材24及びリンク部材26をボンネット12の側面12aに一体で垂下した輸送位置(図8)とに移動可能に構成されている。
【0017】
ベース部材22は、主に、ボンネット12の上面(天板面)12bに接する水平板とその端部からボンネットの側面12aに沿って垂下する鉛直板とで断面がL形状の取付板27と、該取付板27の外側面に突設された左右一対のリブ28,28とを有している。取付板27は、その内側面をボンネット12の上端角部に当接した状態で、ボンネット12の上面(天板面)12bに接する側が4本のボルト29によって取り付けられている。
【0018】
左右一対のリブ28,28は、ボンネット12の上面12bに沿って水平方向に延びる水平部28aと、ボンネット12の側面12aに沿って鉛直方向に延びる鉛直部28bとが一枚板で形成されており、鉛直部28bには第1回動ピン19及び固定ピン21を通す上段及び下段のピン孔30,31が設けられている(図5)。そして、互いに鉛直方向に離間したピン孔30,31の配置によって、第1回動ピン19と固定ピン21との間に鉛直方向のピン間距離(ピン中心間距離)L1が設定されている。また、第1回動ピン19のすぐ上には、リブ28,28の剛性を高める補強板32が設けられている。
【0019】
アーム部材24は、板面を立てて対向配置した2本のバー材33,33に第1、第2回動ピン19,20を通すピン孔34,35が設けられている(図5及び図6)。また、第1のピン孔34に対応するバー材33,33の基端部(回動基部)側同士の間にパイプ材36が設けられており、さらに、その反対側の先端部(回動端部)には、例えば、丸棒からなる吊り治具取付部23がバー材33,33上に載せ置く形で設けられている。
【0020】
また、第2回動ピン20の位置に対応する領域、つまり、第2回動ピン20のすぐ上の領域を含むアーム部材24の長手方向中間部から先端部(吊り治具取付部23)までの範囲にわたって補強板37が設けられており、吊り治具取付部23と一体化した補強板37と2本のバー材33,33とで、下方に開放した横断面コ字形状が形成されている(図6)。補強板37は、図4に示すように、吊り治具取付部23との接続部分を切除する形で切欠き部37aが設けられ、これにより、吊り治具取付部23に係止した吊りフック(図示せず)の掛かり具合が良好なものとなる。
【0021】
アーム部材24の長手方向中間部には、輸送位置でリンク部材26の作業時固定用ピン孔25に代替し、固定ピン21が挿抜可能な輸送時固定用ピン孔38が設けられている。換言すると、第1回動ピン19からの長手方向の距離が鉛直方向のピン間距離L1(第1回動ピン19と固定ピン21との間のピン間距離)と同一のピン間距離L2を設定する輸送時固定用ピン孔38が設けられている(図7)。そして、輸送時固定用ピン孔38に対応するバー材33,33同士の間には、基端部(回動基部)側の構成と同様の構成でパイプ材39が別途設けられている。
【0022】
リンク部材26は、アーム部材24と同様の形で対向配置した2本のバー材40,40を有し、該バー材40,40に第2回動ピン20を通すピン孔41が設けられている(図6)。また、ピン孔41に対応するバー材40,40の基端部(回動基部)側同士の間にパイプ材42が設けられており、さらに、その反対側の先端部(回動端部)には、例えば、2本のバー材40,40に設けられた下孔にパイプ材43を挿通して溶接固定した作業時固定用ピン孔25が設けられている(図5)。
【0023】
また、リンク部材26の長手方向中間部には、例えば、丸パイプからなる突出部材44がバー材40,40上に載せ置く形で設けられている。突出部材44は、輸送位置(図8)で、リンク部材26とボンネット12との間に介在し、この状態で形成された隙間Sを極力小さくして、リンク部材26のボンネット12側への揺動、つまり、リンク部材26の内側への揺動(振れ・ガタ付き)を規制している。
【0024】
以下では、ホースハンガー17を作業位置(図3)から輸送位置(図8)へと移動させる場合の取り扱い方法について、特に、アーム部材24及びリンク部材26の動きに注目して、図9乃至図12を参照しながら説明する。なお、ホースハンガー17を移動させる作業は、必要に応じて作業足場(例えば踏み台)が使用され、基本的に一人作業で行うものであるが、補助者を付けて二人作業で行う場合も想定される。
【0025】
まず、アーム部材24の先端部を支持して、固定ピン21とベース部材22のピン孔31との間に生じている摩擦力(摺動抵抗)を低減させ、図9に示すように、作業時固定用ピン孔25から固定ピン21を抜き取る。次いで、図10に示すように、アーム部材24を第1回動ピン19まわりに下方(矢印Aの方向)へ回動させながら、リンク部材26を第2回動ピン20まわりに下方(矢印Bの方向)へ回動させていくと、アーム部材24とリンク部材26とのなす角度が大きくなっていく。このとき、図3からも想像できるように、アーム部材24の下方への回動に従って、長さL2の回動半径を得た輸送時固定用ピン孔38が第1回動ピン19まわりに円弧移動される。
【0026】
更に回動を続けるアーム部材24及びリンク部材26は、図11に示すように、リンク部材26の基端部側がアーム部材24の横断面コ字形状の内部に収納された時点で、第2回動ピン20まわりのリンク部材26の回動のみが規制され、両部材24,26が地面に対して傾斜を保ったまま略一直線上に延びた状態となる。なお、図11に示すような中間姿勢は、ホースハンガー17の支持態様によって異なるものであり、例えば、アーム部材24のみが支持状態に置かれている場合、リンク部材26は地面に対して傾斜することなくその自重で垂下した状態に置かれる。
【0027】
ここで、第1回動ピン19の位置を基準に設定された2つのピン間距離L1,L2が等しい関係にあることから、アーム部材24の先端部が鉛直下方を向いた位置まで回動すると、図12に示すように、輸送時固定用ピン孔38がベース部材22のピン孔31に一致した状態で位置決めされる。すなわち、作業位置において存在していた作業時固定用ピン孔25が輸送時固定用ピン孔38に代替される。そして、互いに連通するピン孔31,38に固定ピン21を挿すと、アーム部材24の第1回動ピン19まわりの回動が規制された状態となる。
【0028】
そして、このようなホースハンガー17の輸送位置(図8)では、アーム部材24及びリンク部材26のそれぞれの自重が作用してボンネット12の側面12aに一体で垂下した静止安定状態が作られる。このようにして搭載性を確保した油圧ユニット11は、輸送トラックの荷台に吊り込まれて荷台寸法内(輸送幅)に収められる。
【0029】
ここで、輸送トラックの荷台上で油圧ユニット11に対して振動などが作用しても、固定ピン21で固定された状態のアーム部材24が外側に揺動することはなく、また、リンク部材26の外側への揺動はアーム部材24の横断面コ字形状で抑えられ、その逆の内側(ボンネット12側)への揺動は突出部材44で抑えられることから、リンク部材26が第2回動ピン20を中心として振り子のように振れてしまう不具合をなくすことができる。
【0030】
こうして、次の現場に搬入された油圧ユニット11は、上述と逆の操作手順でホースハンガー17を展開して油圧ホース15の吊り状態が作られ、エンジンを始動させることで油圧ポンプの油圧供給機能を発揮できる状態となる。
【0031】
このように、本発明の油圧ユニット11によれば、油圧ホース15の吊り手段となるホースハンガー17が、ボンネット12の側面上部に取り付けたベース部材22と、該ベース部材22に第1回動ピン19を介して回動可能に連結したアーム部材24と、該アーム部材24に第2回動ピン20を介して回動可能に連結したリンク部材26とを有し、該リンク部材26の回動端部にベース部材22と連結するための固定ピン21が挿抜可能な作業時固定用ピン孔25を備えているので、固定ピン21を挿抜する簡単な操作で、ホースハンガー17をその各部材22,24,26の一体性を保ちながら、ボンネット12の側面12aの外側に展開した作業位置(図3)と、ボンネット12の側面12aに垂下した輸送位置(図8)とに移動できるようになり、現場作業やトラック輸送の目的に適う取扱性のよいホースハンガー17を備えた油圧ユニット11が達成される。
【0032】
また、アーム部材24が、輸送位置で作業時固定用ピン孔25に代替し、固定ピン21が挿抜可能な輸送時固定用ピン孔38を備えているので、定位置にある1つのピン孔31に対して、作業時固定用ピン孔25と輸送時固定用ピン孔38とを選択的に使用できるようになり(図9及び図12)、ピン操作における作業条件が良好なものとなる。しかも、鉛直方向のピン間距離L1を設定しているので、各部材24,26が自重により垂下した状態(輸送位置)でピン孔31,38の同軸性が容易に得られることから、固定ピン21を挿抜する作業がより一層容易なものとなる(図12)。
【0033】
さらに、アーム部材24が横断面コ字形状を有しているので、吊り荷重が作用する作業位置でアーム部材24の剛性が高まり、一方、輸送位置ではリンク部材26の外側への揺動が抑えられるので、実用性に優れたアーム部材24とすることができる。加えて、輸送位置で、リンク部材26とボンネット12との間に介在し、リンク部材26のボンネット12側への揺動を規制する突出部材44を備えているので、リンク部材26の内側への揺動が抑えられ、しかも、上記横断面コ字形状との相互作用で、リンク部材26の振れ幅が大きくなるという不具合もなくすことができる。
【0034】
なお、本発明は、前記形態例に限定されるものではなく、ホースハンガーの構造や配置は、油圧ホースの吊り上げ機能を損なわない範囲で適宜変更することができる。例えば、第1、第2回動ピン及び固定ピンを結んで作られる三角形(3節リンク)の形状や大きさは必要な範囲で変更できるものとされ、補強の追加も任意である。また、突出部材は、市販の当てゴムなどを用いてもよく、これをボンネットの側面に取り付けることができる。さらに、油圧式作業装置として、チュービング装置を例に挙げて説明したが、他の作業装置でもよく、例えば、杭打機やアースドリル、クレーンのような自走式建設機械を対象とすることができる。
【符号の説明】
【0035】
11…油圧ユニット、12…ボンネット、12a…側面、12b…上面、13…チュービング装置、14…制御盤、15…油圧ホース、16…ホース接続部、17…ホースハンガー、18…吊り治具、19…第1回動ピン、20…第2回動ピン、21…固定ピン、22…ベース部材、23…吊り治具取付部、24…アーム部材、25…作業時固定用ピン孔、26…リンク部材、27…取付板、28…リブ、28a…水平部、28b…鉛直部、29…ボルト、30,31…ピン孔、32…補強板、33…バー材、34,35…ピン孔、36…パイプ材、37…補強板、37a…切欠き部、38…輸送時固定用ピン孔、39…パイプ材、40…バー材、41…ピン孔、42,43…パイプ材、44…突出部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13