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特開2024-171060サプライチェーン管理装置、サプライチェーン管理システム及びサプライチェーン管理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171060
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】サプライチェーン管理装置、サプライチェーン管理システム及びサプライチェーン管理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/06 20230101AFI20241204BHJP
【FI】
G06Q10/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087927
(22)【出願日】2023-05-29
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
(71)【出願人】
【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000062
【氏名又は名称】弁理士法人第一国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グントゥパリ ジェーエシュ ラヴィンドラ
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】サプライチェーンにおいて配送される配送物について、関連する親子配送物との関係や、各配送物のリアルタイムの状態を容易に把握することができるサプライチェーン管理手段を提供すること。
【解決手段】サプライチェーンにおいて配送される第1の配送物について、第1の配送物に関する第1のメタデータを対応付けた第1のデータトークンを分散型台帳において生成する第1のトークン生成部と、第1のデータトークンに対応付けられている第1のメタデータを取得するメタデータ取得部と、第1の配送物に関連する第2の配送物を配送する配送工程を判定する配送管理部と、第2の配送物について、第2のメタデータを対応付けた第2のデータトークンを分散型台帳において生成する第2のトークン生成部と、第1及び第2のメタデータに基づいて第1及び第2の配送物の関係を示す配送物関係図を生成し、出力する追跡管理部とを含むサプライチェーン管理装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
サプライチェーン管理装置であって、
プロセッサとメモリとを備え、
前記メモリは、
サプライチェーンにおいて第1の配送工程で配送される第1の配送物について、前記第1の配送物に関する第1のメタデータを対応付けた第1のデータトークンを所定の分散型台帳において生成する第1のトークン生成部と、
前記第1の配送物が所定の配送先で受領されたことを検出した場合、前記第1のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第1のデータトークンに対応付けられている前記第1のメタデータを取得するメタデータ取得部と、
所定の配送計画に基づいて、前記第1の配送物に関連する第2の配送物を配送するための第2の配送工程を判定する配送管理部と、
前記第1のメタデータに基づいて、前記第2の配送物に関する第2のメタデータを対応付けた第2のデータトークンを前記分散型台帳において生成する第2のトークン生成部と、
前記第1のデータトークン及び前記第2のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第1のデータトークンに対応付けられている前記第1のメタデータと、前記第2のデータトークンに対応付けられている前記第2のメタデータとに基づいて、前記第1の配送物及び前記第2の配送物の関係を示す配送物関係図を生成し、出力する追跡管理部、
として前記プロセッサを機能させるための処理命令を含むことを特徴とするサプライチェーン管理装置。
【請求項2】
前記第1のメタデータは、
前記第1の配送物を識別する第1の配送物ID、前記第1の配送物の状態を示す第1の状態情報、前記第1の配送物の位置を示す第1の位置情報及び前記第1の配送工程を特徴付ける第1の配送情報を含む、
ことを特徴とする、請求項1に記載のサプライチェーン管理装置。
【請求項3】
前記サプライチェーン管理装置は、
前記第1の配送物を監視するセンサから、前記第1の配送物に関するセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報と、前記第1のメタデータとを比較した結果、前記センサ情報は前記第1のメタデータに対する類似度基準を満たさない場合、前記分散型台帳における前記第1のデータトークンに対応付けられている前記第1のメタデータを前記センサ情報に基づいて更新するトークン更新部と、
を更に含むことを特徴とする、請求項2に記載のサプライチェーン管理装置。
【請求項4】
前記配送計画は、前記第1の配送物を、前記第2の配送工程で配送される前記第2の配送物及び第3の配送工程で配送される第3の配送物に分割することを規定する場合、
前記第2のトークン生成部は、
前記第2の配送物について、前記第2の配送物を識別する第2の配送物IDに加えて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDを親配送物IDとして含む前記第2のメタデータに対応付けた前記第2のデータトークンを前記分散型台帳において生成し、
前記第3の配送物について、前記第3の配送物を識別する第3の配送物IDに加えて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDを親配送物IDとして含む第3のメタデータに対応付けた第3のデータトークンを前記分散型台帳において生成する、
ことを特徴とする請求項2に記載のサプライチェーン管理装置。
【請求項5】
前記追跡管理部は、
前記第1のデータトークン、前記第2のデータトークン及び前記第3のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第2のデータトークンに対応付けられている前記第2のメタデータ及び前記第3のデータトークンに対応付けられている前記第3のメタデータにおいて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDが親配送物IDとして含まれている場合、前記第2の配送物及び前記第3の配送物が前記第1の配送物から派生した子配送物であることを示す配送物関係図を生成し、出力する、
ことを特徴とする、請求項4に記載のサプライチェーン管理装置。
【請求項6】
前記配送計画は、前記第1の配送物を、第0の配送物と組み合わせて前記第2の配送工程で配送される前記第2の配送物とすることを規定する場合、
前記第2のトークン生成部は、
前記第2の配送物について、前記第2の配送物を識別する第2の配送物IDに加えて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物ID及び前記第0の配送物を識別する第0の配送物IDを親配送物IDとして含む前記第2のメタデータに対応付けた前記第2のデータトークンを前記分散型台帳において生成する、
ことを特徴とする請求項2に記載のサプライチェーン管理装置。
【請求項7】
前記追跡管理部は、
前記第0の配送物に対応する第0のデータトークン、前記第1のデータトークン及び前記第2のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第2のデータトークンに対応付けられている前記第2のメタデータにおいて、前記第0の配送物を識別する前記第0の配送物ID及び前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDが親配送物IDとして含まれている場合、前記第2の配送物が前記第0の配送物及び前記第1の配送物から派生した子配送物であることを示す配送物関係図を生成し、出力する、
ことを特徴とする、請求項6に記載のサプライチェーン管理装置。
【請求項8】
前記配送物関係図は、
前記第1の配送物及び前記第2の配送物の関係に加えて、前記第1の配送物及び前記第2の配送物の状態を示す、
ことを特徴とする、請求項1に記載のサプライチェーン管理装置。
【請求項9】
前記第1のデータトークン及び前記第2のデータトークンは、
Dynamic non-fungible Tokenである、
ことを特徴とする請求項1に記載のサプライチェーン管理装置。
【請求項10】
サプライチェーンを管理するサプライチェーン管理装置と、
サプライチェーンにおいて配送される配送物に関するデータトークンを記録する分散型台帳と、
クライアント端末とが通信ネットワークを介して接続されるサプライチェーン管理システムであって、
前記サプライチェーン管理装置は、
プロセッサとメモリとを備え、
前記メモリは、
サプライチェーンにおいて第1の配送工程で配送される第1の配送物について、前記第1の配送物に関する第1のメタデータを対応付けた第1のデータトークンを前記分散型台帳において生成する第1のトークン生成部と、
前記第1の配送物が所定の届け先で受領されたことを検出した場合、前記第1のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第1のデータトークンに対応付けられている前記第1のメタデータを取得するメタデータ取得部と、
所定の配送計画に基づいて、前記第1の配送物に関連する第2の配送物を配送するための第2の配送工程を判定する配送管理部と、
前記第1のメタデータに基づいて、前記第2の配送物に関する第2のメタデータを対応付けた第2のデータトークンを前記分散型台帳において生成する第2のトークン生成部と、
前記第1のデータトークン及び前記第2のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第1のデータトークンに対応付けられている前記第1のメタデータと、前記第2のデータトークンに対応付けられている前記第2のメタデータとに基づいて、前記第1の配送物及び前記第2の配送物の関係を示す配送物関係図を生成し、前記クライアント端末に出力する追跡管理部、
として前記プロセッサを機能させるための処理命令を含むことを特徴とするサプライチェーン管理システム。
【請求項11】
サプライチェーン管理方法であって、
サプライチェーンにおいて第1の配送工程で配送される第1の配送物について、前記第1の配送物に関する第1のメタデータを対応付けた第1のdNFTを所定の分散型台帳において生成する工程と、
前記第1の配送物が発送された後、前記第1の配送物を監視するセンサから、前記第1の配送物に関するセンサ情報を取得する工程と、
前記センサ情報と、前記第1のメタデータとを比較した結果、前記センサ情報は前記第1のメタデータに対する類似度基準を満たさない場合、前記分散型台帳における前記第1のdNFTに対応付けられている前記第1のメタデータを前記センサ情報に基づいて更新する工程と、
前記第1の配送物が所定の配送先で受領されたことを検出した場合、前記第1のdNFTを前記分散型台帳において特定し、前記第1のdNFTに対応付けられている前記第1のメタデータを取得する工程と、
所定の配送計画に基づいて、前記第1の配送物に関連する第2の配送物を配送するための第2の配送工程を判定する工程と、
前記第1のメタデータに基づいて、前記第2の配送物に関する第2のメタデータを対応付けた第2のdNFTを前記分散型台帳において生成する工程と、
前記第1のdNFT及び前記第2のdNFTを前記分散型台帳において特定し、前記第1のdNFTに対応付けられている前記第1のメタデータと、前記第2のdNFTに対応付けられている前記第2のメタデータとに基づいて、前記第1の配送物及び前記第2の配送物の関係を示す配送物関係図を生成し、出力する工程と、
前記配送計画は、前記第1の配送物を、前記第2の配送工程で配送される前記第2の配送物及び第3の配送工程で配送される第3の配送物に分割することを規定する場合、前記第2の配送物について、前記第2の配送物を識別する第2の配送物IDに加えて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDを親配送物IDとして含む前記第2のメタデータに対応付けた前記第2のdNFTを前記分散型台帳において生成する工程と、
前記第3の配送物について、前記第3の配送物を識別する第3の配送物IDに加えて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDを親配送物IDとして含む第3のメタデータに対応付けた第3のdNFTを前記分散型台帳において生成する工程と、
前記第1のdNFT、前記第2のdNFT及び前記第3のdNFTを前記分散型台帳において特定し、前記第2のdNFTに対応付けられている前記第2のメタデータ及び前記第3のdNFTに対応付けられている前記第3のメタデータにおいて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDが親配送物IDとして含まれている場合、前記第2の配送物及び前記第3の配送物が前記第1の配送物から派生した子配送物であることを示す配送物関係図を生成し、出力する工程と、
を含むことを特徴とするサプライチェーン管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、サプライチェーン管理装置、サプライチェーン管理システム及びサプライチェーン管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
企業が事業を推進する上で、その企業単独では事業を実施することができず、企業間ネットワークを形成することがある。このような企業間ネットワークの代表的なものには、サプライチェーンがある。
【0003】
サプライチェーンは、実際に商取引を行う、サプライヤー、アセンブラー、マニュファクチュア、メーカー、リセラー、バイヤーなどの事業体で構成され、各企業での調達と出荷が連続的に連なり、原材料採取から最終製品販売までを進めるためのネットワークである。サプライチェーンは、製造物のような物理的な物品や、インターネット等を介して提供されるサービスに関連するデータや原材料の調達・生産管理・開発・物流・配信・販売までを一つに連続したシステムとして把握できる。サプライチェーンにおいて、取引先との受発注や社内部門の業務を、コンピュータを使って統合管理する経営手法として、サプライチェーンマネジメント(サプライチェーン管理)がある。
【0004】
サプライチェーン管理とは、商品、サービス及び情報の流れを、原産地から消費地まで計画、調整、及び管理することを意味し、調達、輸送、倉庫保管、在庫管理、流通など、商品やサービスの生産と配送に関連する様々な活動の管理を含む。サプライチェーン管理は、製品を適切な品質、適切なコストで時間通りに顧客に届けるために不可欠である。
【0005】
一方、近年では、サプライチェーン管理に対して、ブロックチェーン、IoT(Internet of Things)、人工知能などの技術の適用が検討されている。これらの技術によれば、透明性の向上、詐欺の削減、サプライチェーンの運用の効率化などを期待することができる。
【0006】
サプライチェーン管理においてブロックチェーン技術を用いる手法の1つとして、米国特許出願公開第2018/0285810号明細書(特許文献1)が存在する。
特許文献1には、「本明細書で開示される実施形態は、ブロックチェーンを使用し、モノのインターネットの概念をフードシステムに適用して、データのプライバシーとセキュリティを維持しながらデータを記録、共有、及び検証できるインフラストラクチャを提供するシステム、方法、及びコンピュータプログラム製品を提供する。このデータの収集により、出荷の仮想履歴を作成することができる。これを用いることで、効率を高め、新しいビジネス慣行を促し、市場を再構築することができる。全体として、このソリューションは、食品を理解するための斬新で新しい方法を提供する。」
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2018/0285810号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記の特許文献1には、食品の生産過程に関する情報をブロックチェーンに記録することで、食品の追跡及び状態管理を効率化する手段が記載されている。
【0009】
ところで、サプライチェーンにおいて配送される配送物は、材料調達、製造、出荷、販売、消費などの段階を進むにつれて、複数の配送物に分割されたり、他の配送物と組み合わせたりすることがあるため、特定の配送物に関連する「親子」配送物との関係が複雑となり、把握することが難しいという課題が存在する。
特許文献1には、ブロックチェーン技術を用いることで、特定の食品の生産過程の透明性を向上させる手段が開示されているものの、サプライチェーンにおいて配送される配送物に関連する親子配送物との関係の管理や、各配送物のリアルタイム状態の管理をサプライチェーンの段階毎に行う手段が提供されていない。
【0010】
そこで、本開示は、サプライチェーンにおいて配送される配送物について、当該配送物に対応付けられているデータトークンをブロックチェーンにおいて記録することで、関連する親子配送物との関係や、各配送物のリアルタイムの状態などを管理することができるサプライチェーン管理手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、代表的な本発明のサプライチェーン管理装置の一つは、サプライチェーンにおいて第1の配送工程で配送される第1の配送物について、前記第1の配送物に関する第1のメタデータを対応付けた第1のデータトークンを所定の分散型台帳において生成する第1のトークン生成部と、前記第1の配送物が所定の配送先で受領されたことを検出した場合、前記第1のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第1のデータトークンに対応付けられている前記第1のメタデータを取得するメタデータ取得部と、所定の配送計画に基づいて、前記第1の配送物に関連する第2の配送物を配送するための第2の配送工程を判定する配送管理部と、前記第1のメタデータに基づいて、前記第2の配送物に関する第2のメタデータを対応付けた第2のデータトークンを前記分散型台帳において生成する第2のトークン生成部と、前記第1のデータトークン及び前記第2のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第1のデータトークンに対応付けられている前記第1のメタデータと、前記第2のデータトークンに対応付けられている前記第2のメタデータとに基づいて、前記第1の配送物及び前記第2の配送物の関係を示す配送物関係図を生成し、出力する追跡管理部とを含む。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、サプライチェーンにおいて配送される配送物について、当該配送物に対応付けられているデータトークンをブロックチェーンにおいて記録することで、関連する親子配送物との関係や、各配送物のリアルタイムの状態などを管理することができるサプライチェーン管理手段を提供することができる。
上記以外の課題、構成及び効果は、以下の発明を実施するための形態における説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本開示の実施形態を実施するためのコンピュータシステムを示す図である。
図2図2は、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システムの構成の一例を示す図である。
図3図3は、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システムにおける処理の流れの一例を示す図である。
図4図4は、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システムにおけるデータトークンの生成及び更新の流れの一例を示す図である。
図5図5は、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理における配送物分割及び配送物組み合わせの一例を示す図である。
図6図6は、本開示の実施形態に係る配送物関係図の例を示す図である。
図7図7は、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理手段において、親子配送物を関連付ける処理の流れの一例を示す図である。
図8図8は、本開示の実施形態に係る配送物メタデータの構成の一例を示す図である。
図9図9は、本開示の実施形態に係る配送物管理テーブルの構成の一例を示す図である。
図10図10は、本開示の実施形態に係る配送物メタデータテーブルの構成の一例を示す図である。
図11図11は、本開示の実施形態に係る配送物メタデータ取得処理の流れの一例を示す図である。
図12図12は、本開示の実施形態に係る配送物管理処理の流れの一例を示す図である。
図13図13は、本開示の実施形態に係るデータトークン更新処理の流れの一例を示す図である。
図14図14は、本開示の実施形態に係る配送物追跡処理の流れの一例を示す図である。
図15図15は、本開示の実施形態に係る管理者インターフェースの一例を示す図である。
図16図16は、本開示の実施形態に係るクライアントインターフェースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではない。また、図面の記載において、同一部分には同一の符号を付して示している。
また、「第1」、「第2」、「第3」等の用語は、本開示において様々な要素又は構成要素を説明するのに用いられる場合があるが、これらの要素又は構成要素はこれらの用語によって限定されるべきでないことが理解されるであろう。これらの用語は、或る要素又は構成要素を別の要素又は構成要素と区別するためにのみ用いられる。従って、以下で論述する第1の要素又は構成要素は、本発明概念の教示から逸脱することなく第2の要素又は構成要素と呼ぶこともできる。
【0015】
まず、図1を参照して、本開示の実施形態を実施するためのコンピュータシステム100について説明する。本明細書で開示される様々な実施形態の機構及び装置は、任意の適切なコンピューティングシステムに適用されてもよい。コンピュータシステム100の主要コンポーネントは、1つ以上のプロセッサ102、メモリ104、端末インターフェース112、ストレージインタフェース113、I/O(入出力)デバイスインタフェース114、及びネットワークインターフェース115を含む。これらのコンポーネントは、メモリバス106、I/Oバス108、バスインターフェースユニット109、及びI/Oバスインターフェースユニット110を介して、相互的に接続されてもよい。
【0016】
コンピュータシステム100は、プロセッサ102と総称される1つ又は複数の汎用プログラマブル中央処理装置(CPU)102A及び102Bを含んでもよい。ある実施形態では、コンピュータシステム100は複数のプロセッサを備えてもよく、また別の実施形態では、コンピュータシステム100は単一のCPUシステムであってもよい。各プロセッサ102は、メモリ104に格納された命令を実行し、オンボードキャッシュを含んでもよい。
【0017】
ある実施形態では、メモリ104は、データ及びプログラムを記憶するためのランダムアクセス半導体メモリ、記憶装置、又は記憶媒体(揮発性又は不揮発性のいずれか)を含んでもよい。メモリ104は、本明細書で説明する機能を実施するプログラム、モジュール、及びデータ構造のすべて又は一部を格納してもよい。例えば、メモリ104は、サプライチェーン管理アプリケーション150を格納していてもよい。ある実施形態では、サプライチェーン管理アプリケーション150は、後述する機能をプロセッサ102上で実行する命令又は記述を含んでもよい。
【0018】
ある実施形態では、サプライチェーン管理アプリケーション150は、プロセッサベースのシステムの代わりに、又はプロセッサベースのシステムに加えて、半導体デバイス、チップ、論理ゲート、回路、回路カード、及び/又は他の物理ハードウェアデバイスを介してハードウェアで実施されてもよい。ある実施形態では、サプライチェーン管理アプリケーション150は、命令又は記述以外のデータを含んでもよい。ある実施形態では、カメラ、センサ、又は他のデータ入力デバイス(図示せず)が、バスインターフェースユニット109、プロセッサ102、又はコンピュータシステム100の他のハードウェアと直接通信するように提供されてもよい。
【0019】
コンピュータシステム100は、プロセッサ102、メモリ104、表示システム124、及びI/Oバスインターフェースユニット110間の通信を行うバスインターフェースユニット109を含んでもよい。I/Oバスインターフェースユニット110は、様々なI/Oユニットとの間でデータを転送するためのI/Oバス108と連結していてもよい。I/Oバスインターフェースユニット110は、I/Oバス108を介して、I/Oプロセッサ(IOP)又はI/Oアダプタ(IOA)としても知られる複数のI/Oインタフェースユニット112,113,114、及び115と通信してもよい。
【0020】
表示システム124は、表示コントローラ、表示メモリ、又はその両方を含んでもよい。表示コントローラは、ビデオ、オーディオ、又はその両方のデータを表示装置126に提供することができる。また、コンピュータシステム100は、データを収集し、プロセッサ102に当該データを提供するように構成された1つ又は複数のセンサ等のデバイスを含んでもよい。
【0021】
例えば、コンピュータシステム100は、心拍数データやストレスレベルデータ等を収集するバイオメトリックセンサ、湿度データ、温度データ、圧力データ等を収集する環境センサ、及び加速度データ、運動データ等を収集するモーションセンサ等を含んでもよい。これ以外のタイプのセンサも使用可能である。表示システム124は、単独のディスプレイ画面、テレビ、タブレット、又は携帯型デバイスなどの表示装置126に接続されてもよい。
【0022】
I/Oインタフェースユニットは、様々なストレージ又はI/Oデバイスと通信する機能を備える。例えば、端末インタフェースユニット112は、ビデオ表示装置、スピーカテレビ等のユーザ出力デバイスや、キーボード、マウス、キーパッド、タッチパッド、トラックボール、ボタン、ライトペン、又は他のポインティングデバイス等のユーザ入力デバイスのようなユーザI/Oデバイス116の取り付けが可能である。ユーザは、ユーザインターフェースを使用して、ユーザ入力デバイスを操作することで、ユーザI/Oデバイス116及びコンピュータシステム100に対して入力データや指示を入力し、コンピュータシステム100からの出力データを受け取ってもよい。ユーザインターフェースは例えば、ユーザI/Oデバイス116を介して、表示装置に表示されたり、スピーカによって再生されたり、プリンタを介して印刷されたりしてもよい。
【0023】
ストレージインタフェース113は、1つ又は複数のディスクドライブや直接アクセスストレージ装置117(通常は磁気ディスクドライブストレージ装置であるが、単一のディスクドライブとして見えるように構成されたディスクドライブのアレイ又は他のストレージ装置であってもよい)の取り付けが可能である。ある実施形態では、ストレージ装置117は、任意の二次記憶装置として実装されてもよい。メモリ104の内容は、ストレージ装置117に記憶され、必要に応じてストレージ装置117から読み出されてもよい。I/Oデバイスインタフェース114は、プリンタ、ファックスマシン等の他のI/Oデバイスに対するインターフェースを提供してもよい。ネットワークインターフェース115は、コンピュータシステム100と他のデバイスが相互的に通信できるように、通信経路を提供してもよい。この通信経路は、例えば、ネットワーク130であってもよい。
【0024】
ある実施形態では、コンピュータシステム100は、マルチユーザメインフレームコンピュータシステム、シングルユーザシステム、又はサーバコンピュータ等の、直接的ユーザインターフェースを有しない、他のコンピュータシステム(クライアント)からの要求を受信するデバイスであってもよい。他の実施形態では、コンピュータシステム100は、デスクトップコンピュータ、携帯型コンピュータ、ノートパソコン、タブレットコンピュータ、ポケットコンピュータ、電話、スマートフォン、又は任意の他の適切な電子機器であってもよい。
【0025】
次に、図2を参照して、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システムの構成について説明する。
【0026】
図2は、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システム1000の構成の一例を示す図である。本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システム1000は、サプライチェーンにおいて配送される配送物について、当該配送物に対応付けられているデータトークンをブロックチェーンにおいて記録することで、関連する親子配送物との関係や、各配送物のリアルタイムの状態などを管理するためのシステムであり、図2に示すように、クライアント端末1100、サプライチェーン管理装置1200、通信ネットワーク1300及び分散型台帳1400を主に含む。サプライチェーン管理システム1000におけるクライアント端末1100、サプライチェーン管理装置1200及び分散型台帳1400は、通信ネットワーク1300を介して互いに通信可能に接続されている。
【0027】
クライアント端末1100は、サプライチェーン管理装置1200のユーザによって利用される端末であり、例えばパソコン、スマートフォン、タブレット等、任意のコンピューティングデバイスであってもよい。ここでのユーザとは、サプライチェーンの管理者であってもよく、サプライチェーンにおいて配送される配送物を配送又は受領する者であってもよい。クライアント端末1100を用いることで、ユーザは、配送物について生成される配送物関係図を確認したり、配送物を管理するための配送計画を入力したりすることができる。;
【0028】
サプライチェーン管理装置1200は、サプライチェーンにおいて配送される配送物について、当該配送物に対応付けられているデータトークンをブロックチェーンにおいて記録することで、関連する親子配送物との関係や、各配送物のリアルタイムの状態などの管理を行うための各機能や処理を実施するための装置であり、図2に示すように、制御部1210、トークン生成部1220、メタデータ取得部1230、配送管理部1240、追跡管理部1250、センサ情報取得部1260、トークン更新部1270、配送計画DB1280及び配送物情報DB1290を含んでもよい。
【0029】
制御部1210は、サプライチェーンにおける各サプライチェーン段階での動作を管理するための機能部である。ある実施形態では、制御部1210は、図15に示すサプライチェーン管理者インターフェースG1000を例えばクライアント端末1100を介してサプライチェーンの管理者に提供し、サプライチェーンやサプライチェーンにおいて配送される配送物に関する情報を表示してもよい。また、ある実施形態では、制御部1210は、後述する配送計画DB1280に格納され、配送物の配送工程を規定する配送計画を設定するために用いられてもよい。
【0030】
トークン生成部1220(第1のトークン生成部及び第2のトークン生成部とも言う)は、後述するスマートコントラクト1440を用いて、所定の配送物について、当該配送物に関するメタデータを対応付けたデータトークンの生成をブロックチェーン1420において行うための機能部である。
【0031】
メタデータ取得部1230は、所定の配送物に対応するデータトークンをブロックチェーン1420において特定し、特定したデータトークンから、当該配送物に関するメタデータを取得するための機能部である。
【0032】
配送管理部1240は、配送物の配送を、後述する配送計画DB1280に格納される配送計画に基づいて管理するための機能部である。配送管理部1240は、例えば、一つの配送物を複数の配送物に分割したり、複数の配送物をまとめたりした後に特定の配送工程で配送する処理を規定する配送管理動作を判定してもよい。
【0033】
追跡管理部1250は、複数の配送物(例えば、第1の配送物及び第2の配送物)に対応するデータトークンから取得したメタデータから、これらの複数の配送物の関係を示す配送物関係図を生成し、例えばクライアント端末1100等を介して出力するための機能部である。
【0034】
センサ情報取得部1260は、配送物を監視するために構成されているセンサ(図2では図示せず)から、配送物に関するセンサ情報を取得するための機能部である。ここでのセンサ情報は、例えば、配送物の状態(温度、湿度など)に関する情報、配送物の位置に関する情報(緯度、経度など)、配送物の配送工程(配送元や配送先など)に関する情報を含んでもよい。
【0035】
トークン更新部1270は、センサ情報取得部1260によって取得されたセンサ情報に基づいて、データトークンに格納される配送物のメタデータを更新するための機能部である。
【0036】
配送計画DB1280は、サプライチェーンにおいて配送される各配送物の配送工程を規定する配送計画を格納するデータベースである。ここで、「配送工程」との表現は、配送物を所定の配送元から所定の配送先まで配送する作業を意味する。また、上述したように、この配送計画は、例えば制御部1210を用いて、サプライチェーン管理者によって設定されてもよい
【0037】
配送物情報DB1290は、配送物に関する情報を格納するデータベースである。この配送情報DB1290は、例えば、上述したセンサ情報取得部1260によって取得されるセンサ情報や、後述する配送物管理テーブルT2000や配送物メタデータテーブルT3000を格納してもよい。
【0038】
通信ネットワーク1300は、例えばローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)、衛星ネットワーク、ケーブルネットワーク、WiFiネットワーク、又はそれらの任意の組み合わせを含むものであってもよい。
【0039】
分散型台帳1400は、地理的に異なる複数の場所、国、機関などにまたがって複製され、共有され、同期されるよう合意されたデータストアである。図2に示すように、分散型台帳1400は、ブロックチェーン1420、スマートコントラクト1440及びデータトークン1460を含んでもよい。
【0040】
ブロックチェーン1420は、情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースである。本開示において、配送物に関するメタデータを記録するデータトークンは、ブロックチェーン1420において記録される。
スマートコントラクト1440は、ブロックチェーン1420上で契約を自動的に実行する仕組みである。本開示において、スマートコントラクト1440は、トークン生成部1220やトークン更新部1270からの要求に応じて、ブロックチェーン1420におけるデータトークンの生成及び更新を実施する。
データトークン1460は、配送物に関するメタデータを記録し、ブロックチェーン1420上で記録されるデータオブジェクトである。ある実施形態では、このデータトークンは、いわゆるdynamic non-fungible token(dNFT)であってもよい。
【0041】
図2に示すサプライチェーン管理システム1000によれば、サプライチェーンにおいて配送される配送物について、当該配送物に対応付けられているデータトークンをブロックチェーンにおいて記録することで、関連する親子配送物との関係や、各配送物のリアルタイムの状態などを管理することができるサプライチェーン管理手段を提供することが可能となる。
【0042】
次に、図3を参照して、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システムにおける処理の流れについて説明する。
【0043】
図3は、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システム1000における処理の流れの一例を示す図である。図3では、サプライチェーン管理システム1000における処理の流れは、所定のサプライチェーン2100を参照して説明する。
なお、サプライチェーン管理システム1000の構成は、図2を参照して説明したため、ここではその説明を省略する。
【0044】
図3に示すサプライチェーン2100は、商取引を行う、サプライヤー、アセンブラー、マニュファクチュア、メーカー、リセラー、バイヤーなどの事業体で構成され、各企業での調達と出荷が連続的に連なり、原材料採取から最終製品販売までを進めるためのネットワークである。図3に示すように、サプライチェーン2100は、材料調達を行う第1の段階2110、第1の段階2110で調達した材料を用いて製造を行う第2の段階2120、第2の段階2120で製造した製品の出荷を行う第3の段階2130、第3の段階2130で出荷した製品の販売を行う第4の段階2140、及び第4の段階2140で販売した製品を消費する第5の段階2150の5つのサプライチェーン段階からなる。
なお、ここでは、5つの代表的なサプライチェーン段階からなるサプライチェーン2100を一例として示しているが、本開示はこれに限定されず、より多くのサプライチェーン段階、よる少ないサプライチェーン段階、異なるサプライチェーン段階からなるサプライチェーンにも適用可能である。
【0045】
各段階では、特定の製造やサービスを提供するための処理が行われる。特定のサプライチェーン段階で処理を終えた物品は、次のサプライチェーン段階の処理が行われる場所へと配送される。本開示において、1つのサプライチェーン段階から次のサプライチェーン段階へと配送される物品は、「配送物」という。
【0046】
また、サプライチェーン2100には、配送される配送物を監視するセンサネットワークが設置されている。このセンサネットワークに設置される各センサ2160は、配送物に関するセンサ情報を取得する。このセンサ2160は、温度計、湿度計、加速度計、GPSなど、任意の情報を取得するために構成されている機器であってもよい。これらのセンサ2160によって取得されるセンサ情報は、センサ情報取得部1260によって収集され、配送物情報DB1290に格納される。
【0047】
サプライチェーン2100の管理者などのユーザは、制御部1210を用いて、サプライチェーン2100において配送される各配送物の配送工程(どこからどこまでどのような配送手段で配送するか)を規定する配送計画を策定する。制御部1210で策定される配送計画は、配送計画DB1280に格納される。
【0048】
特定の配送物(例えば、第1の配送物)が初めてサプライチェーン2100において配送される際、トークン生成部1220は、この第1の配送物について、第1の配送物に関する第1のメタデータを対応付けた第1のデータトークンをブロックチェーン1420において生成する処理をブロックチェーンAPI2250を介してスマートコントラクト1440に対して要求する。これにより、第1の配送物に対応する第1のデータトークンがブロックチェーン1420において生成される。この第1のデータトークンに対応付けられる第1のメタデータは、例えば、第1の配送物を識別する第1の配送物ID、第1の配送物の状態を示す第1の状態情報、第1の配送物の位置を示す第1の位置情報及び第1の配送工程を特徴付ける第1の配送情報を含んでもよいが、本開示はこれに限定されず、第1の配送物を特徴付けるそれ以外の情報も第1のメタデータに含めてもよい。
【0049】
次に、この第1の配送物が所定の届け先(例えば、次のサプライチェーン段階)で受領されたことを検出した場合、メタデータ取得部1230は、ブロックチェーンAPI2250を介して、この第1の配送物に対応する第1のデータトークンをブロックチェーン1420において特定し、この第1のデータトークンに対応付けられている第1のメタデータを取得する。その後、メタデータ取得部1230は、このように取得した第1のメタデータを配送物情報DB1290に格納されている配送物メタデータテーブルT3000に保存する。
【0050】
また、このとき、配送管理部1240は、配送計画DB1280に格納されている配送計画に基づいて、受領された第1の配送物に対して実施する処理や配送工程を規定する配送管理動作を判定する。ここで、配送管理部1240は、一つの配送物を複数の配送物に分割したり、複数の配送物をまとめたりした後に、どのような配送手段でどこへと配送されるべきかを定める配送工程を示す配送管理動作を判定してもよい。
また、ここで、配送管理部1240は、判定した配送工程などの情報を配送物情報DB1290に格納されている配送物管理テーブルT2000及び配送物メタデータテーブルT3000に保存してもよい。
本開示において、配送物の分割や組み合わせなどにより、配送物の量、数、性質又は状態が変更される場合、元となった配送物を「親配送物」と言い、当該親配送物から新たに派生した配送物を「子配送物」という。
【0051】
次に、トークン生成部1220は、配送管理部1240によって判定された配送管理動作によって、第1の配送物の量、数、性質又は状態が変更される場合、各物品を新たな配送物として、ブロックチェーン1420において新たなデータトークンの生成をブロックチェーンAPI2250を介してスマートコントラクト1440に要求する。
【0052】
例えば、配送管理部1240によって判定された配送管理動作によって、第1の配送物が複数の配送物(例えば、第2の配送物及び第3配送物)に分割される場合、トークン生成部1220は、これらの第2の配送物及び第3配送物のそれぞれについて、メタデータを対応付けた新たなデータトークン(例えば、第2のデータトークン及び第3データトークン)をブロックチェーン1420において生成する。この場合、トークン生成部1220は、第2のデータトークン及び第3データトークンのメタデータには、親配送物である第1の配送物を識別する情報(配送物ID)を含む。後述するように、これにより、親子配送物の関係を示す配送物関係図の作成が可能となる。
【0053】
もう一例として、配送管理部1240によって判定された配送管理動作によって、複数の配送物(例えば、第0の配送物及び第1の配送物)が組み合わされて新たな配送物(第2の配送物)となった場合、トークン生成部1220は、この第2の配送物について、メタデータを対応付けた新たなデータトークン(例えば、第2のデータトークン)をブロックチェーン1420において生成する。この場合、トークン生成部1220は、第2のデータトークンのメタデータには、親配送物である第0の配送物及び第1の配送物を識別する情報(配送物ID)を含む。後述するように、これにより、親子配送物の関係を示す配送物関係図の作成が可能となる。
【0054】
トークン更新部1270は、配送物情報DB1290に格納され、特定の配送物(例えば、第1の配送物)に関するセンサ情報と、配送物メタデータテーブルT3000に格納される第1の配送物に関する第1のメタデータを比較した結果、センサ情報は第1のメタデータに対する類似度基準を満たさない場合、ブロックチェーン1420における第1のデータトークンに対応付けられている第1のメタデータをセンサ情報に基づいて更新する。この処理は、例えば所定の時間(1分、2分、5分、10分、1時間)毎に行われてもよい。これにより、サプライチェーン2100において配送される各配送物について、状態情報をリアルタイムでブロックチェーンに反映させることが可能となる。
【0055】
追跡管理部1250は、ブロックチェーンAPI2250を介して、サプライチェーン2100において配送される所定の配送物のデータトークンをブロックチェーン1420で特定し、当該配送物のデータトークンに対応付けられているメタデータに基づいて、当該配送物に関連する各配送物(例えば、親子配送物)の関係を示す配送物関係図を生成する。次に、追跡管理部1250は、生成した配送物関係図をクライアント端末に出力する。
なお、配送物関係図を生成する処理の詳細については後述するため、ここではその説明を省略する。
【0056】
図3に示すサプライチェーン管理システム1000の処理によれば、サプライチェーンにおいて配送される配送物について、当該配送物に対応付けられているデータトークンをブロックチェーンにおいて記録することで、関連する親子配送物との関係や、各配送物のリアルタイムの状態などを管理することができるサプライチェーン管理手段を提供することが可能となる。
【0057】
次に、図4を参照して、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システムにおけるデータトークンの生成及び更新の概要について説明する。
【0058】
上述したように、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システム1000は、新たに発生した配送物について、当該配送物を特徴付けるメタデータを格納するデータトークンをブロックチェーンにおいて生成すると共に、既存のデータトークンのメタデータを、対応する配送物の最新の状態に基づいて更新することができる。図4は、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理システム1000におけるデータトークンの生成及び更新の流れの一例を示す図である。図4において、新たなデータトークンを生成する処理を実線で表し、既存のデータトークンを更新する処理を点線で示す。
なお、サプライチェーン管理システム1000の構成は、図2を参照して説明したため、ここではその説明を省略する。
【0059】
まず、図4に示すサプライチェーン2100において、第1の配送物410が一つのサプライチェーン段階(例えば、第1の段階)から次のサプライチェーン段階(例えば、第2の段階)に配送され、配送管理部1240によって判定される配送管理動作により、第2の配送物420及び第3の配送物430に分割された場合、第2の配送物420及び第3の配送物430が新たな配送物としてセンサ2160によって検出され、第2の配送物420及び第3の配送物430に関する情報がセンサ情報取得部1260を介して配送物情報DB1290に格納される。その後、トークン生成部1220は、新たな第2の配送物420及び第3の配送物430を特徴付けるメタデータを格納するデータトークン450、460を、スマートコントラクト1440を介して、分散型台帳1400のブロックチェーンにおいて生成する。
なお、新たな配送物に対応するデータトークンを生成する処理の詳細については、図12を参照して後述するため、ここではその説明を省略する。
【0060】
一方、トークン更新部1270は、配送中の第4の配送物440について、センサ2160によって取得され、センサ情報取得部1260を介して配送物情報DB1290に格納されたセンサ情報と、配送物情報DB1290の配送物メタデータテーブルT3000に格納される第4の配送物440に関する第4のメタデータを比較した結果、センサ情報は第4のメタデータに対する類似度基準を満たさない場合、当該第4の配送物440に対応し、ブロックチェーン上で記録されている第4のデータトークン470のメタデータを、スマートコントラクト1440を介して、センサ情報に基づいて更新する。
このように、新たに発生した配送物について新たなデータトークンを生成し、既存の配送物にデータトークンのメタデータを更新することで、サプライチェーンにおいて配送される各配送物について、最新の状態を反映する、一意のデータトークンをブロックチェーンにおいて維持することができる。なお、配送中の配送物に対応する既存のデータトークンを更新する処理の詳細については、図13を参照して後述するため、ここではその説明を省略する。
【0061】
次に、図5を参照して、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理における配送物分割及び配送物組み合わせについて説明する。
【0062】
上述したように、サプライチェーン2100において配送される配送物は、材料調達、製造、出荷、販売、消費の段階を進むにつれて、複数の配送物に分割されたり、他の配送物と組み合わせたりすることがある。本開示において、配送物の分割や組み合わせなどにより、配送物の量、数、性質又は状態が変更される場合、元となった配送物を「親配送物」と言い、当該親配送物から新たに派生した配送物を「子配送物」という。図5は、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理における配送物分割5200及び配送物組み合わせ5300の一例を示す図である。
【0063】
まず、上述した配送管理部によって判定された処理や配送工程によって、1つの配送物が複数の配送物に分割される配送物分割5200の一例について説明する。
図5に示すように、配送物分割5200では、例えば第1の段階にある、配送物ID「1a」に対応付けられている配送物は、第2の段階では、配送物ID「2a」、配送物ID「2b」及び配送物ID「2c」のそれぞれに対応付けられている3つの配送物に分割されるとする。この場合、配送物ID「2a」、配送物ID「2b」及び配送物ID「2c」の配送物は、配送物ID「1a」の親配送物から派生した子配送物となる。本開示において、親配送物から子配送物が派生した場合、それぞれの子配送物について、親配送物の配送物IDを含むメタデータに対応付けられているデータトークンがブロックチェーン上で生成される。これにより、親子配送物の関係を示す配送物関係図の作成が可能となる。
また、図5に示すように、第3の段階や第4の段階では、それぞれの配送物が更に分割されたり、組み合わされたりしてもよい。
【0064】
次に、上述した配送管理部によって判定された配送管理動作によって、複数の配送物が組み合わされて新たな配送物となる配送物組み合わせ5300について説明する。
図5に示すように、配送物組み合わせ5300では、例えば第1の段階にある、配送物ID「1b」に対応付けられている配送物及び配送物ID「1c」に対応付けられている配送物は、第2の段階では、配送物ID「2d」に対応付けられている配送物に組み合わされる。この場合、配送物ID「2d」に対応付けられている配送物は、配送物ID「1b」に対応付けられている親配送物及び配送物ID「1c」に対応付けられている親配送物の子配送物となる。この配送物ID「2d」に対応付けられている子配送物について生成されるデータトークンのメタデータには、親配送物となった配送物の配送物ID「1b」及び「1c」が含まれる。これにより、親子配送物の関係を示す配送物関係図の作成が可能となる。
【0065】
次に、図6を参照して、本開示の実施形態に係る配送物関係図について説明する。
【0066】
上述したように、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理手段は、特定の配送物について、サプライチェーンにおける関連配送物との関係を示す配送物関係図を生成し、提供することに関する。ここでの「関連配送物」とは、特定の配送物の生産に用いられた先祖配送物(親配送物、祖親配送物、曾祖親配送物など)や、特定の配送物から派生した子孫配送物(子配送物、孫配送物など)を含む。
【0067】
図6は、本開示の実施形態に係る配送物関係図の例6100、6200を示す図である。配送物関係図6100は、図5に示す配送物分割5200の例に対応する配送物関係図であり、配送物関係図6200は、図5に示す配送物組み合わせ5300に対応する配送物関係図である。図6に示すように、配送物関係図6100及び配送物関係図6200は、特定の配送物の関連配送物の配送物IDを、サプライチェーン段階が前のものを上に示し、サプライチェーン段階が後のものを下に示す階層形式で表示されている。また、各親配送物は、その子配送物へと向かう矢印で接続されている。
【0068】
これにより、サプライチェーンにおける任意の配送物について、当該配送物の関連配送物との関係を容易に把握することができる。また、ある実施形態では、配送物関係図6100及び6200は、配送物IDに加えて、それぞれの配送物に関する特定のメタデータ(位置情報、状態情報等)を示してもよい。これにより、配送物の関連配送物との関係に加えて、各配送物の状態や位置などの情報を容易に把握することが可能となる。
【0069】
次に、図7を参照して、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理手段において、親子配送物を関連付ける処理の流れについて説明する。
【0070】
上述したように、本開示の一態様は、サプライチェーンにおける関連配送物の関係を示す配送物関係図を作成することに関する。この配送物関係図を作成するに当たって、関連する配送物を互いに関連付ける必要がある。この、関連配送物を関連付ける処理は、配送物のメタデータに含まれ、特定の配送物を一意に識別する配送物IDに基づいて行われる。この配送物IDは、配送物自体を識別するIDであってもよく、配送物に対応付けられているデータトークンを識別するID(例えば、dNFTID)であってもよい。
図7は、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理手段において、親子配送物を関連付ける関連付け処理P700の流れの一例を示す図である。
【0071】
まず、サプライチェーンの第2の段階において、第1のメタデータに対応する第1の配送物は、配送管理部1240によって判定される配送管理動作により、第2の配送物720及び第3の配送物730に分割される場合を検討する。この場合、上述した配送管理部1240は、ステップP710では、第1の配送物710の第1のメタデータ715から、第1の配送物を識別する第1の配送物IDを取得する。次に、配送管理部1240は、ステップP720では、第2の配送物720の第2のメタデータ725及び第3の配送物730の第3のメタデータ735を取得する。ここで、配送管理部1240は、各配送物のメタデータを、配送物情報DB1290に格納されている配送物メタデータテーブルT3000や、ブロックチェーンから取得してもよい。
【0072】
次に、ステップP7300では、配送管理部1240は、第1の配送物710の第1のメタデータ715から取得した第1の配送物IDを、親配送物IDとして、第2の配送物720の第2のメタデータ725及び第3の配送物730の第3のメタデータ735に追加する。
【0073】
このように、配送管理動作による配送物分割や処理により、新たな子配送物が親配送物から派生した場合、各子配送物のメタデータにおいて、親配送物となる配送物を識別する配送物IDの情報を含めることで、親子配送物の対応関係を把握しやすい形で管理することができ、配送物関係図の作成が可能となる。
【0074】
次に、図8を参照して、本開示の実施形態に係るデータトークンに格納される配送物メタデータについて説明する。
【0075】
図8は、本開示の実施形態に係る配送物メタデータ8000の構成の一例を示す図である。図8に示す配送物メタデータ8000は、特定の配送物に対応付けられているデータトークンにおいて格納されているメタデータである。本開示で説明するように、この配送物メタデータ8000は、配送物を監視するために構成されているセンサによって取得されるセンサ情報や、配送物が発生した際に割り当てられた情報等に基づいて生成されてもよい。
【0076】
配送物メタデータ8000は、配送物を特徴付ける様々な属性や情報を含んでもよい。例えば、図8に示すように、配送物メタデータ8000は、配送物の大きさ、形状、製造後日数、製造者、温度、湿度、腐食状態、現在位置、配送物ID、配送元、配送先、親配送物IDなどを含んでもよい。
【0077】
本開示で説明するように、この配送物メタデータ8000は、上述したブロックチェーン上で記録され、特定の配送物に対応付けられるデータトークンに格納されてもよい。また、例えば図11に示す配送物受領処理P1000において、配送物が受領された場合、当該配送物に対応付けられているデータトークンから、格納されている配送物メタデータ8000が取得され、配送物メタデータテーブルT3000を生成するために用いられる。
【0078】
次に、図9を参照して、本開示の実施形態に係る配送管理テーブルについて説明する。
【0079】
図9は、本開示の実施形態に係る配送物管理テーブルT2000の構成の一例を示す図である。上述したように、配送物管理テーブルT2000は、関連する配送物の関係に関する配送物関係情報を格納するテーブルであり、図12に示す配送管理処理P2000において生成される。
【0080】
図9に示すように、配送物管理テーブルT2000は、番号T2100、配送物IDT2200、サプライチェーン段階T2300、親配送物IDT2400及び子配送物IDT2500を含む。
【0081】
番号T2100は、配送物管理テーブルT2000に格納される各エントリを識別する情報である。
【0082】
配送物IDT2200は、特定の配送物を一意に識別する情報である。ある実施形態では、図9に示すように、配送物ID2200は、例えば「1a」や「2b」等の文字列で表現してもよい。上述したように、この配送物ID2200は、配送物自体を識別する情報であってもよく、配送物に対応付けられているデータトークンを識別する情報(dNFTID)であってもよい。
【0083】
サプライチェーン段階T2300は、配送物の現在のサプライチェーン段階を示す情報である。ある実施形態では、図9に示すように、配送段階2300は、「材料調達」を意味する「第1の段階」を示す「1」、「製造」を意味する「第2の段階」を示す「2」、「出荷」を意味する「第3の段階」を示す「3」や「販売」を意味する「第4の段階」を示す「4」であってもよい。
なお、配送中の配送物は、次のサプライチェーン段階で受領されるまで、配送元のサプライチェーン段階と見なされる。
【0084】
親配送物IDT2400は、特定の配送物の元となった親配送物を一意に識別する情報である。例えば、図9に示すように、配送物IDが「2a」の配送物の親配送物を識別する親配送物IDは、「1a」である。
なお、サプライチェーンにおいて最初に配送される配送物は、親配送物がないため、例えば図9において配送物IDが「1a」の配送物に関して示すように、親配送物IDが「null」となる。
【0085】
子配送物IDT2500は、特定の配送物から派生した子配送物を一意に識別する情報である。例えば、図9に示すように、配送物IDが「2a」の配送物の子配送物を識別する子配送物IDは、「3a」である。
なお、子配送物がない配送物は、例えば図9において配送物IDが「4b」の配送物に関して示すように、子配送物IDが「null」となる。
【0086】
以上説明した配送物管理テーブルT2000によれば、サプライチェーンにおいて配送される配送物の親配送物及び子配送物に関する情報を容易に管理することができる。また、後述するように、この配送物管理テーブルT2000は、図14に示す配送物追跡処理P5000において、配送物関係図を生成するために用いられる。
【0087】
次に、図10を参照して、本開示の実施形態に係る配送物メタデータテーブルについて説明する。
【0088】
図10は、本開示の実施形態に係る配送物メタデータテーブルT3000の構成の一例を示す図である。上述したように、配送物メタデータテーブルT3000は、サプライチェーンにおける各配送物に関するメタデータを格納するテーブルであり、図11に示す配送物受領処理P1000において生成される。
【0089】
図10に示すように、配送物メタデータテーブルT3000は、番号T3100及び配送物メタデータT3200を主に含む。
【0090】
番号T3100は、配送物メタデータテーブルT3000に格納される各エントリを識別する情報である。
【0091】
配送物メタデータT3200は、特定の配送物に対応付けられているデータトークンに格納される情報である。図10に示すように、配送物メタデータT3200は、追跡情報T3300及び状態情報T3400を含んでもよい。
【0092】
追跡情報T3300は、特定の配送物を追跡するための情報であり、図10に示すように、例えば配送物IDT3310、親配送物IDT3320、配送元T3330及び配送先T3340を含んでもよい。
配送物IDT3310は、サプライチェーンにおける特定の配送物を一意に識別する情報である。ある実施形態では、図10に示すように、配送物ID2200は、例えば「1a」や「2b」等の文字列で表現してもよい。
親配送物IDT3320は、特定の配送物の元となった親配送物を一意に識別する情報である。
配送元T3330は、配送物が配送された場所を識別する情報である。
配送先T3340は、配送物が配送される宛先を識別する情報である。
【0093】
状態情報T3400は、配送物の状態を特徴付ける情報であり、図10に示すように、温度T3410及び湿度T3420を含んでもよい。この状態情報T3400は、例えば配送物を監視するためのセンサによって取得されてもよい。また、この状態情報T3400に含まれる情報の種類は、配送物によって設定されてもよい。
温度T3410は、配送物の温度を示す情報である。
湿度T3420は、配送物の湿度を示す情報である。
なお、図10では、温度T3410及び湿度T3420からなる状態情報T3400を一例として示すが、本開示はこれに限定されず、状態情報T3400は、配送物の状態を特徴付ける任意の情報を含んでもよい。
【0094】
以上説明した配送物メタデータテーブルT3000によれば、サプライチェーンにおいて配送される各配送物に関するメタデータを容易に管理することができる。
【0095】
次に、図11を参照して、本開示の実施形態に係る配送物受領処理の流れについて説明する。
【0096】
図11は、本開示の実施形態に係る配送物メタデータ取得処理P1000の流れの一例を示す図である。図11に示す配送物メタデータ取得処理P1000は、1つのサプライチェーン段階から次のサプライチェーン段階へと配送される配送物が届け先で受領された場合に実行され、受領された配送物に関する配送物メタデータをブロックチェーンに記録されているデータトークンから取得するための処理である。この配送物メタデータ取得処理P1000は、例えば図2に示すメタデータ取得部1230によって実施されてもよい。図11に示すように、配送物メタデータ取得処理P1000は、ステップP1100で開始し、ステップP1700で終了する。
【0097】
まず、ステップP1200では、メタデータ取得部1230は、1つのサプライチェーン段階から次のサプライチェーン段階へと配送される配送物が届け先で受領されたことを検出する。ある実施形態では、サプライチェーンにおいて設置されているセンサ(例えば、図3に示すセンサ2160)は、配送物が受領される度に、当該配送物に付されているQRコードや追跡番号などをスキャンすることで、当該配送物が受領された時刻、場所、状態などを示すセンサ情報を取得する。このように取得されたセンサ情報は、センサ情報取得部1260によって収集され、配送物情報DB1290に格納される。従って、メタデータ取得部1230は、配送物情報DB1290を監視し、配送物が新たに受領されたことを示すセンサ情報が追加される場合、当該配送物の受領を検出してもよい。
【0098】
次に、ステップP1300では、メタデータ取得部1230は、ステップP1200で受領が検出された配送物について、ブロックチェーンに記録されているデータトークンに対応付けられているメタデータを取得するためのブロックチェーンAPIを呼び出す。ここでのブロックチェーンAPIは、ブロックチェーンとの通信を行うためのソフトウエアモジュールであり、ここでは、任意の既存のAPIを用いてもよい。ある実施形態では、メタデータ取得部1230は、配送物に付されているQRコードや追跡番号などに基づいて、当該配送物に対応するデータトークンをブロックチェーン上で特定するAPIを用いてもよい。
【0099】
次に、ステップP1400では、メタデータ取得部1230は、ステップP1300で呼び出したブロックチェーンAPIを介して、ステップP1200で届け先で受領されたと検出した配送物について特定したデータトークンから、当該データトークンに対応付けられている配送物メタデータをダウンロードし、取得する。
【0100】
次に、ステップP1500では、メタデータ取得部1230は、ステップP1400で取得したメタデータに基づいて、配送部情報DB1290に格納されている配送物メタデータテーブルT3000を更新する。これにより、ステップP1200で届け先で受領されたと検出した配送物に関する最新のメタデータが配送物メタデータテーブルT3000に保存される。
【0101】
次に、ステップP1600では、メタデータ取得部1230は、新たな配送物が届け先で受領されたか否かを判定する。ここで、新たな配送物が届け先で受領されたか否かを判定する処理は、ステップP1200で説明したと同様に、センサ情報取得部1260によって収集されるセンサデータに基づいて行われてもよい。新たな配送物届け先で受領されたと判定された場合、本処理はステップP1300へ戻る。一方、新たな配送物届け先で受領されていないと判定された場合、本処理はステップP1700へ進み、終了する。
【0102】
図11に示すメタデータ取得処理P1000によれば、届け先で受領された配送物に関する最新のメタデータは、ブロックチェーン上で当該配送物について記録されているデータトークンから取得される。このように取得した配送物メタデータは、図13に示すデータトークン更新処理P3000において、データトークンを更新するために用いられる。
【0103】
次に、図12を参照して、本開示の実施形態に係る配送物管理処理の流れについて説明する。
【0104】
図12は、本開示の実施形態に係る配送物管理処理P2000の流れの一例を示す図である。図12に示す配送物管理処理P2000は、1つのサプライチェーン段階から次のサプライチェーン段階へと配送される配送物が届け先で受領された場合に実行され、受領された配送物対して適切な配送管理動作を判定し、実行するための処理である。この配送物管理処理P2000は、例えば図2に示す配送管理部1240及びトークン生成部1220によって実施されてもよい。図12に示すように、配送物管理処理P2000は、ステップP2100で開始し、ステップP2700で終了する。
【0105】
まず、ステップP2200では、配送管理部1240は、1つのサプライチェーン段階から次のサプライチェーン段階へと配送される配送物が届け先で受領されたことを検出する。ある実施形態では、サプライチェーンにおいて設置されているセンサ(例えば、図3に示すセンサ2160)は、配送物が受領される度に、当該配送物に付されているQRコードや追跡番号などをスキャンすることで、当該配送物が受領された時刻、場所、状態などを示すセンサ情報を取得する。このように取得されたセンサ情報は、センサ情報取得部1260によって収集され、配送物情報DB1290に格納される。従って、配送管理部1240は、配送物情報DB1290を監視し、配送物が新たに受領されたことを示すセンサ情報が追加される場合、当該配送物の受領を検出してもよい。
【0106】
次に、ステップP2300では、配送管理部1240は、配送計画DB1280に格納される配送計画に基づいて、ステップP2200で受領が検出された配送物に対する配送管理動作を判定し、実施する。ここでの配送管理動作とは、配送物を次のサプライチェーン段階に配送する前に配送物に対して実施する処理や、配送物を次にサプライチェーン段階に配送するための配送工程を規定する情報である。ある実施形態では、配送管理部1240は、配送管理動作として、配送物を加工したり、梱包したり、複数の配送物に分割したり、他の配送物と組み合わせたりした後、所定の配送工程で配送することを含んでもよい。
なお、上述したように、どの配送物に対してどのような配送管理動作を実施するかは、サプライチェーン管理者によって策定される配送計画に示される。
【0107】
次に、ステップP2400では、トークン生成部1220は、ステップP2300で判定した配送管理動作によって子配送物(例えば、第2の配送物)がステップP2200で受領された配送物(例えば、親配送物である第1の配送物)から派生した場合、この新たに派生した子配送物について、ブロックチェーンにおいて新たなデータトークンの生成をスマートコントラクトに要求する。この新たに生成されるデータトークンは、例えば図8に示す、子配送物に関するメタデータ(第2のメタデータ)に対応付けられてもよい。
なお、上述したように、ここでは、「新たに派生した子配送物」との表現は、親配送物である第1の配送物に対して実施された配送管理動作により、第1の配送物の量、数、性質又は状態が変更されることによって派生し、新たな配送物として扱われる物品を意味する。
【0108】
次に、ステップP2500では、配送管理部1240及びトークン生成部1220は、ステップP2200で受領された親配送物と、ステップP2300で実施した配送管理動作によって新たに派生した子配送物とを関連付ける。ここで、親配送物と子配送物を関連付けることは、子配送物に対して、親配送物を識別する配送物IDをメタデータとして付すことを含んでもよい。ある実施形態では、トークン生成部1220は、親配送物を識別する配送物IDを、ブロックチェーン上で子配送物について生成したデータトークンのメタデータに含めてもよい。また、配送管理部1240は、親配送物を識別する配送物IDを、配送物管理テーブルT2000において、子配送物の配送物IDに紐づけてもよい。
このように、ブロックチェーン上で記録されているデータトークンにおいても、サプライチェーン管理システム1000の配送物情報DB1290においても、親配送物及び子配送物の対応関係を示す情報が格納される。これにより、親子配送物の関係を示す配送物関係図の作成が可能となる。
【0109】
次に、ステップP2600では、配送管理部1240は、ステップP2500で親配送物及び子配送物を関連付けた配送物管理テーブルT2000を出力し、配送物情報DB1290に格納する。
【0110】
図12に示す配送物管理処理P2000によれば、所定のサプライチェーン段階で受領された配送物に対する適切な配送管理動作を判定し、実施した上で、当該配送管理動作によって派生する子配送物に対応するデータトークンをブロックチェーン上で記録することができる。
【0111】
次に、図13を参照して、本開示の実施形態に係るトークン更新処理の流れについて説明する。
【0112】
図13は、本開示の実施形態に係るトークン更新処理の流れの一例を示す図である。図13に示すデータトークン更新処理P3000は、サプライチェーンにおいて配送中の配送物について、ブロックチェーン上でデータトークンに格納されているメタデータを、当該配送物の最新の状態を反映するように更新するための処理であり、例えば図2に示すトークン更新部1270によって実施されてもよい。このデータトークン更新処理P3000は、例えば所定の時間(1分、2分、5分、10分、1時間)毎に行われてもよい。
図13に示すように、データトークン更新処理P3000は、ステップP3110で開始し、ステップP3220で終了する。
なお、以下では、説明の便宜上、第1の配送物についてデータトークンを更新する場合を一例として説明するが、実際には、トークン更新部1270は、サプライチェーンにおいて配送中の各配送物についてデータトークンを更新する処理を実施してもよい。
【0113】
まず、ステップP3120では、トークン更新部1270は、サプライチェーンにおいて配送中の第1の配送物について、センサ情報取得部1260によってセンサから収集され、配送物情報DB1290に格納されているセンサ情報を取得する。配送中の配送物は、一つのサプライチェーン段階から発送され、届け先にはまだ到着していない配送物を意味し、例えば配送物情報DB1290に格納されている情報(配送物メタデータテーブルT3000等)に基づいて特定されてもよい。また、上述したように、このセンサ情報は、例えば、配送物の状態(温度、湿度など)に関する情報、配送物の位置に関する情報(緯度、経度など)、配送物の配送工程(配送元や配送先など)に関する情報を含んでもよい。
【0114】
次に、ステップP3130では、トークン更新部1270は、配送物情報DB1290に格納されている配送物メタデータテーブルT3000から、ステップP3120でセンサ情報が取得された配送中の第1の配送物に関する第1のメタデータを取得する。この第1のメタデータは、図8に示すように、第1の配送物の大きさ、形状、製造後日数、製造者、温度、湿度、腐食状態、現在位置、配送物ID、配送元、配送先、親配送物IDなどを含んでもよい。
【0115】
次に、ステップP3140では、トークン更新部1270は、ステップP3120で取得した第1の配送物に関するセンサ情報と、ステップP3130で配送物メタデータテーブルT3000から取得した第1のメタデータとを比較する。より具体的には、トークン更新部1270は、センサ情報と、第1のメタデータとにおいて共通しているデータ項目を、所定の類似度判定アルゴリズム(ユークリッド距離、文字列比較、ユークリッド距離、コサイン類似度)に基づいて比較してもよい。
【0116】
次に、ステップP3150では、トークン更新部1270は、第1の配送物に関するセンサ情報と第1のメタデータとを比較した結果、センサ情報が第1のメタデータに対する類似度基準を満たすか否かを判定する。ここでの類似度基準とは、データトークンを更新する必要がある類似度の閾値を示す情報であり、例えば所定の類似度値(パーセントなど)で表現してもよい。センサ情報が第1のメタデータに対する類似度基準を満たすと判定した場合、トークン更新部は、センサ情報及び第1のメタデータが実質的に類似しているため、データトークンのメタデータを更新する必要がないと判定し、本処理はステップP3160へ進む。一方、センサ情報が第1のメタデータに対する類似度基準を満たさないと判定した場合、トークン更新部は、センサ情報が第1のメタデータと相違しているため、データトークンのメタデータを更新する必要があると判定し、本処理はステップP3180へ進む。
【0117】
ステップP3160では、トークン更新部1270は、所定の時間を待機する。これは、新たな配送物が発送されると予想される時間まで待機するためであり、待機する時間は、例えば5分、10分、1時間、2時間等、サプライチェーンにおいて配送物が配送される頻度(平均時間)に応じて設定されてもよい。
【0118】
次に、ステップP3170では、トークン更新部1270は、配送中の配送物があるか否かを判定する。ここで、トークン更新部1270は、例えば配送物情報DB1290に格納されている情報(配送物メタデータテーブルT3000等)を参照することで、配送中の配送物があるか否かを判定してもよい。配送中の配送物があると判定した場合、本処理はステップP3120へ戻り、配送中の配送物がないと判定した場合、本処理はステップP3230へ進み、終了する。
【0119】
ステップP3180では、トークン更新部1270は、配送物情報DB1290に格納されている配送物メタデータテーブルT3000を、ステップP3120で取得したセンサ情報に基づいて更新する。これにより、配送物メタデータテーブルT3000に格納されている第1の配送物に関する第1のメタデータは、第1の配送物の最新状態を反映するように更新される。
【0120】
次に、ステップP3190では、トークン更新部1270は、スマートコントラクトによるデータトークンの更新を行うためのブロックチェーンAPIを呼び出す。
【0121】
次に、ステップP3200では、トークン更新部1270は、ブロックチェーン上で記録だれている、第1の配送物に対応する第1のデータトークンに格納されている第1のメタデータを、ステップP3120で取得したセンサ情報に基づいて更新する処理をスマートコントラクトに要求する。これにより、スマートコントラクトは、ブロックチェーン上で記録されている第1のデータトークンに格納されている第1のメタデータを、第1の配送物の最新状態を反映するように、センサ情報に一致するように更新する。
【0122】
次に、ステップP3210では、ステップP3200で行われた第1のデータトークンの第1のメタデータの更新は、ブロックチェーンで認証される。その後、本処理はステップP3230へ進み、終了する。
【0123】
図13に示すデータトークン更新処理P3000により、ブロックチェーンで記録されている、サプライチェーンにおいて配送中の配送物に対応するデータトークンのメタデータは、配送物の最新状態を反映するようにリアルタイムで更新することが可能となる。
【0124】
次に、図14を参照して、本開示の実施形態に係る配送物追跡処理の流れについて説明する。
【0125】
図14は、本開示の実施形態に係る配送物追跡処理P5000の流れの一例を示す図である。図14に示す配送物追跡処理P5000は、特定の配送物について、サプライチェーンにおける関連配送物との関係を示す配送物関係図を生成し、ユーザに提供するための処理であり、例えば図2に示す追跡管理部1250によって実施されてもよい。
図14に示すように、配送物追跡処理P5000は、ステップP5100で開始し、ステップP5700で終了する。
なお、以下では、説明の便宜上、第1の配送物について配送物関係図を生成する場合を一例として説明する。
【0126】
まず、ステップP5200では、追跡管理部1250は、配送物情報DB1290に格納されている配送物管理テーブルT2000から、第1の配送物に関連する関連配送物(親配送物、子配送物など)の関係を示す配送物管理情報を取得する。上述したように、この配送物管理情報は、配送物関係図を生成するために用いられる。
【0127】
次に、ステップP5300では、追跡管理部1250は、ステップP5200で配送物管理テーブルT2000から取得した配送物管理情報に基づいて、配送物関係図を生成する。ここで、追跡管理部1250は、配送物管理情報に記録されている配送物IDを、サプライチェーン段階が前のものを上に示し、サプライチェーン段階が後のものを下に示す階層形式で表示する図を作成した後、親配送物の配送物IDからその子配送物の配送物IDへ向かう矢印で繋げることで、図6に示すような配送物関係図を生成してもよい。
また、ある実施形態では、追跡管理部1250は、配送物関係図において、配送物IDに加えて、それぞれの配送物に関する特定のメタデータ(位置情報、状態情報等)を示してもよい。これにより、配送物の関連配送物との関係に加えて、各配送物に関する位置や状態を容易に把握することが可能となる。
【0128】
次に、ステップP5400では、追跡管理部1250は、ステップP5300で生成した配送物関係図を、例えば図2に示すクライアント端末1100を介して、図15に示す管理者インターフェースG1000やクライアントインターフェースG2000に表示してもよい。
【0129】
次に、ステップP5500では、追跡管理部1250は、配送物情報DB1290に格納されている配送物メタデータテーブルT3000から、配送物メタデータを取得する。
【0130】
次に、ステップP5600では、追跡管理部1250は、追跡管理部1250は、ステップP5500で取得した配送物メタデータに基づいて、第1の配送物に関連する新たな関連配送物が発生したか否かを判定する。ここで、追跡管理部1250は、第1の配送物の配送物IDや、第1の配送物の親子配送物の配送物IDのいずれかをメタデータに含む新たな配送物の情報が配送物メタデータに追加されたか否かによって、新たな関連配送物の有無を判定してもよい。
第1の配送物に関連する新たな関連配送物が発生したと判定した場合、本処理はステップP5200へ戻る。
一方、第1の配送物に関連する新たな関連配送物が発生していないと判定した場合、本処理はステップP5700へ進み、終了する。
【0131】
図14に示す配送物追跡処理P5000により、サプライチェーンにおける任意の配送物について、当該配送物の関連配送物との関係を示す配送物関係図を生成することができ、配送物の関係を容易に把握することが可能となる。
【0132】
次に、図15図16を参照して、本開示の実施形態に係るユーザインターフェースについて説明する。
【0133】
図15は、本開示の実施形態に係る管理者インターフェースG1000の一例を示す図である。図15に示す管理者インターフェースG1000は、サプライチェーンの管理者によって利用されるユーザインターフェースであり、例えばパソコン、タブレット端末、スマートフォンなどのコンピューティングデバイスを介して提供されてもよい。
【0134】
図15に示すように、管理者インターフェースG1000は、配送追跡ウインドウG1100、配送物メタデータ表示ウインドウG1200及び分散型台帳表示ウインドウG1400を含む。
【0135】
配送追跡ウインドウG1100は、追跡対象の配送物を選択すると共に、追跡対象の配送物に関する追跡結果を示すためのインターフェースウインドウである。図15に示すように、配送追跡ウインドウG1100は、配送物選択メニュG1120及び配送物関係図G1140を含んでもよい。
配送物選択メニュG1120は、追跡対象の配送物を識別する配送物IDを選択するためのインターフェースウインドウである。
配送物関係図表示ウインドウG1140は、配送物選択メニュG1120で選択された配送物に対応する親配送物及び子配送物との関係を示す配送物関係図を表示するインターフェースウインドウである。この配送物関係図は、例えば図14を参照して上述した配送物追跡処理P5000によって生成されてもよい。
【0136】
配送物メタデータ表示ウインドウG1200は、サプライチェーンにおける各配送物に関するメタデータを格納する配送物メタデータテーブルT3000を表示するためのインターフェースウインドウである。配送物メタデータ表示ウインドウG1200によれば、サプライチェーンの管理者等のユーザは、サプライチェーンにおける各配送物に関するメタデータを容易に確認することができる。
【0137】
分散型台帳表示ウインドウG1400は、サプライチェーンにおける配送物に対応付けられ、ブロックチェーン上で記録されているデータトークンに関する情報を表示するためのインターフェースウインドウである。図15に示すように、分散型台帳表示ウインドウG1400は、データトークン総数G1420、ブロックチェーン取引表示ウインドウG1440、配送物選択メニュG1460及び配送物メタデータ表示ウインドウG1470を含んでもよい。
データトークン総数G1420は、ブロックチェーン上、サプライチェーンにおける配送物について発行されているデータトークンの総数を示す情報である。
ブロックチェーン取引表示ウインドウG1440は、サプライチェーンにおける配送物について発行されているデータトークンについて、ブロックチェーン上での取引(新規のデータトークンの発行、既存のデータトークンの更新など)を示すインターフェースウインドウである。
配送物選択メニュG1460は、メタデータ取得対象の配送物を識別する配送物IDを選択するためのインターフェースウインドウである。
配送物メタデータ表示ウインドウG1470は、配送物選択メニュG1460で選択された配送物について取得したメタデータを表示するインターフェースウインドウである。
【0138】
図15に示す管理者インターフェースG1000によれば、サプライチェーンの管理者は、サプライチェーンにおいて配送される任意の配送物の状況を把握すると共に、配送物を管理することができる。
【0139】
次に、図16を参照して、本開示の実施形態に係るクライアントインターフェースG2000の一例について説明する。図16に示すクライアントインターフェースG2000は、サプライチェーンにおいて配送物を受領するクライアントによって利用されるユーザインターフェースであり、例えばパソコン、タブレット端末、スマートフォンなどのコンピューティングデバイスを介して提供されてもよい。
【0140】
図16に示すように、クライアントインターフェースG2000は、配送追跡ウインドウG2200、配送物メタデータ表示ウインドウG2400及び配送物追跡結果表示ウインドウG2600を含む。
【0141】
配送追跡ウインドウG2200は、追跡対象の配送物を選択すると共に、追跡対象の配送物に関する配送物関係図を示すためのインターフェースウインドウである。図16に示すように、配送追跡ウインドウG2200は、配送物選択メニュG2220及び配送物関係図G2240を含んでもよい。
配送物選択メニュG2220は、追跡対象の配送物を識別する配送物IDを選択するためのインターフェースウインドウである。
配送物関係図表示ウインドウG2240は、配送物選択メニュG2220で選択された配送物に対応する親配送物及び子配送物との関係を表現する配送物関係図を表示するインターフェースウインドウである。この配送物関係図は、例えば図14を参照して上述した配送物追跡処理P5000によって生成されてもよい。
【0142】
配送物メタデータ表示ウインドウG2400は、配送物選択メニュG2220で選択された配送物に関するメタデータを表示するためのインターフェースウインドウである。
【0143】
配送物追跡結果表示ウインドウG2600は、配送物選択メニュG2220で選択された配送物について生成した配送物追跡結果を表示するためのインターフェースウインドウである。配送物追跡結果表示ウインドウG2600に表示される配送物追跡結果は、例えば、配送物を識別する配送物ID、配送元、配送先、経由地、状態などの情報を含み、配送物メタデータに基づいて生成されてもよい。
【0144】
図16を参照して説明したクライアントインターフェースG2000によれば、サプライチェーンにおいて配送物を受領するクライアントは、配達される配送物の配送状況を容易に確認することができる。
【0145】
以上説明したように、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理手段では、サプライチェーンにおいて配送される各配送物について、当該配送物を特徴付けるメタデータに対応付けられたデータトークンが生成され、ブロックチェーンに記録されている。これにより、各配送物を表す一意なデジタル記録がブロックチェーンに保存されるため、サプライチェーンにおける配送物の動きや状態を追跡することが可能となる。
ある実施形態では、このデータトークンは、dNFTであってもよい。dNFTは、リアルタイムの動的な更新が可能なため、データトークンとしてdNFTを用いることで、配送中の配送物の最新の状態(位置、温度、品質など)をリアルタイムでデータトークンのメタデータに対して反映させることができる。このように、配送中の配送物についても、最新の状態がブロックチェーンに記録される。
【0146】
また、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理手段では、サプライチェーン段階の処理により、1つの配送物が複数の配送物に分割されたり、複数の配送物がまとめられたりした場合、新たに派生する子配送物について、親配送物となった配送物を識別する配送物IDを含むメタデータに対応付けられるデータトークンがブロックチェーンに記録される。その後、各配送物のメタデータに記録されている親配送物IDを用いて、親子配送物の関連付けを行うことで、特定の配送物に関連する関連配送物(親子配送物)との関係を示す配送物関係図の生成が可能となる。このように、サプライチェーンにおける配送物分割や配送物組み合わせにより配送物の関係が複雑となった場合でも、関連配送物の関係を容易に把握することができる。
【0147】
従って、本開示によれば、サプライチェーンにおいて配送される配送物について、当該配送物に対応付けられているデータトークンをブロックチェーンにおいて記録することで、関連する親子配送物との関係や、各配送物のリアルタイムの状態などを管理することができるサプライチェーン管理手段を提供することができる。
また、これにより、サプライチェーンを管理する企業などのユーザは、配送中の配送物の関係を容易に把握することで、サプライチェーンに対して適切な判断を行い、サプライチェーン管理の効率化を図ることができる。
更に、サプライチェーンから配送物を受領する消費者などのユーザは、配送物が受領されるまでに受けた処理や配送工程をブロックチェーンの記録で確認することができるため、安心して配送物を用いることができる。
【0148】
上述したように、本開示の実施形態に係るサプライチェーン管理手段は、以下の態様に関する。
【0149】
(態様1)
サプライチェーン管理装置であって、
プロセッサとメモリとを備え、
前記メモリは、
サプライチェーンにおいて第1の配送工程で配送される第1の配送物について、前記第1の配送物に関する第1のメタデータを対応付けた第1のデータトークンを所定の分散型台帳において生成する第1のトークン生成部と、
前記第1の配送物が所定の配送先で受領されたことを検出した場合、前記第1のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第1のデータトークンに対応付けられている前記第1のメタデータを取得するメタデータ取得部と、
所定の配送計画に基づいて、前記第1の配送物に関連する第2の配送物を配送するための第2の配送工程を判定する配送管理部と、
前記第1のメタデータに基づいて、前記第2の配送物に関する第2のメタデータを対応付けた第2のデータトークンを前記分散型台帳において生成する第2のトークン生成部と、
前記第1のデータトークン及び前記第2のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第1のデータトークンに対応付けられている前記第1のメタデータと、前記第2のデータトークンに対応付けられている前記第2のメタデータとに基づいて、前記第1の配送物及び前記第2の配送物の関係を示す配送物関係図を生成し、出力する追跡管理部、
として前記プロセッサを機能させるための処理命令を含むことを特徴とするサプライチェーン管理装置。
【0150】
(態様2)
前記第1のメタデータは、
前記第1の配送物を識別する第1の配送物ID、前記第1の配送物の状態を示す第1の状態情報、前記第1の配送物の位置を示す第1の位置情報及び前記第1の配送工程を特徴付ける第1の配送情報を含む、
ことを特徴とする、態様1に記載のサプライチェーン管理装置。
【0151】
(態様3)
前記サプライチェーン管理装置は、
前記第1の配送物を監視するセンサから、前記第1の配送物に関するセンサ情報を取得するセンサ情報取得部と、
前記センサ情報と、前記第1のメタデータとを比較した結果、前記センサ情報は前記第1のメタデータに対する類似度基準を満たさない場合、前記分散型台帳における前記第1のデータトークンに対応付けられている前記第1のメタデータを前記センサ情報に基づいて更新するトークン更新部と、
を更に含むことを特徴とする、態様2に記載のサプライチェーン管理装置。
【0152】
(態様4)
前記配送計画は、前記第1の配送物を、前記第2の配送工程で配送される前記第2の配送物及び第3の配送工程で配送される第3の配送物に分割することを規定する場合、
前記第2のトークン生成部は、
前記第2の配送物について、前記第2の配送物を識別する第2の配送物IDに加えて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDを親配送物IDとして含む前記第2のメタデータに対応付けた前記第2のデータトークンを前記分散型台帳において生成し、
前記第3の配送物について、前記第3の配送物を識別する第3の配送物IDに加えて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDを親配送物IDとして含む第3のメタデータに対応付けた第3のデータトークンを前記分散型台帳において生成する、
ことを特徴とする態様2又は3に記載のサプライチェーン管理装置。
【0153】
(態様5)
前記追跡管理部は、
前記第1のデータトークン、前記第2のデータトークン及び前記第3のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第2のデータトークンに対応付けられている前記第2のメタデータ及び前記第3のデータトークンに対応付けられている前記第3のメタデータにおいて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDが親配送物IDとして含まれている場合、前記第2の配送物及び前記第3の配送物が前記第1の配送物から派生した子配送物であることを示す配送物関係図を生成し、出力する、
ことを特徴とする、態様4に記載のサプライチェーン管理装置。
【0154】
(態様6)
前記配送計画は、前記第1の配送物を、第0の配送物と組み合わせて前記第2の配送工程で配送される前記第2の配送物とすることを規定する場合、
前記第2のトークン生成部は、
前記第2の配送物について、前記第2の配送物を識別する第2の配送物IDに加えて、前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物ID及び前記第0の配送物を識別する第0の配送物IDを親配送物IDとして含む前記第2のメタデータに対応付けた前記第2のデータトークンを前記分散型台帳において生成する、
ことを特徴とする態様2乃至5に記載のサプライチェーン管理装置。
【0155】
(態様7)
前記追跡管理部は、
前記第0の配送物に対応する第0のデータトークン、前記第1のデータトークン及び前記第2のデータトークンを前記分散型台帳において特定し、前記第2のデータトークンに対応付けられている前記第2のメタデータにおいて、前記第0の配送物を識別する前記第0の配送物ID及び前記第1の配送物を識別する前記第1の配送物IDが親配送物IDとして含まれている場合、前記第2の配送物が前記第0の配送物及び前記第1の配送物から派生した子配送物であることを示す配送物関係図を生成し、出力する、
ことを特徴とする、態様6に記載のサプライチェーン管理装置。
【0156】
(態様8)
前記配送物関係図は、
前記第1の配送物及び前記第2の配送物の関係に加えて、前記第1の配送物及び前記第2の配送物の状態を示す、
ことを特徴とする、態様1乃至7に記載のサプライチェーン管理装置。
【0157】
(態様9)
前記第1のデータトークン及び前記第2のデータトークンは、
Dynamic non-fungible Tokenである、
ことを特徴とする態様1乃至8に記載のサプライチェーン管理装置。
【0158】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更が可能である。
【符号の説明】
【0159】
1000 サプライチェーン管理システム
1100 クライアント端末
1200 サプライチェーン管理装置
1210 制御部
1220 トークン生成部
1230 メタデータ取得部
1240 配送管理部
1250 追跡管理部
1260 センサ情報取得部
1270 トークン更新部
1280 配送計画DB
1290 配送物情報DB
1300 通信ネットワーク
1400 分散型台帳
1420 ブロックチェーン
1440 スマートコントラクト
1460 データトークン
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