(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171062
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】ポンプ式吐出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
B65D47/34 110
B65D47/34 BRH
B65D47/34 BRL
B65D47/34 BSF
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087931
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100156867
【弁理士】
【氏名又は名称】上村 欣浩
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA02
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB03
3E084HC03
3E084HD01
3E084KB01
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD25
(57)【要約】
【課題】従来と同じようにして内容液を吐出することが可能であって、更にリサイクル性にも優れるポンプ式吐出器を提案する。
【解決手段】ポンプ式吐出器100は、ステム7aが進退移動することによって駆動するポンプと、吐出口12dを有するとともにステム7aに連結するヘッド12と、を備え、ヘッド12及びポンプの何れか一方に延出部12eが設けられ、ヘッド12及びポンプの何れか他方に、ヘッド12をキャップに向けて前進させた際に延出部12eによって中心軸線Oから離れる向きに撓む外倒れ弾性片8cが設けられ、キャップに、外倒れ弾性片8cが中心軸線Oから離れる向きに撓んだ際に外倒れ弾性片8cによって中心軸線Oから離れる向きに撓んで外倒れ弾性片8cに弾性力を付与する補助弾性片10eが設けられる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容液を収容する容器の口部に装着されるキャップと、該キャップにより該口部に保持されステムが進退移動することによって駆動するポンプと、内容液を外界に吐出させる吐出口を有するとともに該ステムに連結するヘッドと、を備え、該ヘッドを該キャップに向けて移動させることによって該容器内の内容液を該吐出口から吐出させるポンプ式吐出器において、
前記ヘッド及び前記ポンプの何れか一方に、該ヘッド及び該ポンプの何れか他方に向けて延出された延出部が設けられ、
前記ヘッド及び前記ポンプの何れか他方に、該ヘッドを前記キャップに向けて前進させた際に前記延出部によって前記ステムの中心軸線から離れる向きに撓む外倒れ弾性片が設けられ、
前記キャップに、前記外倒れ弾性片が前記ステムの中心軸線から離れる向きに撓んだ際に該外倒れ弾性片によって該ステムの中心軸線から離れる向きに撓んで該外倒れ弾性片に弾性力を付与する補助弾性片が設けられたポンプ式吐出器。
【請求項2】
前記補助弾性片は、前記ステムの中心軸線に沿って延在する縦部分と、該縦部分から該ステムの中心軸線に近づく向きに延在する横部分とにより構成される請求項1に記載のポンプ式吐出器。
【請求項3】
前記キャップは、前記補助弾性片を、前記ステムの中心軸線を周回する方向に等間隔で複数備える請求項1に記載のポンプ式吐出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ式吐出器に関する。
【背景技術】
【0002】
ポンプ式吐出器として、容器の口部に装着されるキャップと、キャップにより口部に保持されステムが進退移動することによって駆動するポンプと、ステムに連結するヘッドとを備え、ヘッドをキャップに向けて移動させることによって容器内の内容液をヘッドの吐出口から吐出させるものが既知である(例えば特許文献1参照)。
【0003】
このようなポンプ式吐出器の内部には、特許文献1に示されているように、キャップに向けて移動させたヘッドを初期位置に復帰させるためにコイルスプリングが設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところでこのようなポンプ式吐出器は、大部分の部材は合成樹脂製であるものの、コイルスプリングは金属製である。このため使用後に廃棄するにあたって、このままの状態では樹脂品としてリサイクルすることができない。また一般にこの種のポンプ式吐出器では、通常の使用時において部材が外れてしまうことを避けるべく、例えば嵌合等によって部材同士は強固に固定されている。従って、ポンプ式吐出器を分解してコイルスプリングと他の部材とに分別するにも手間を要することとなる。
【0006】
本発明はこのような問題点を解決することを課題とするものであって、従来と同じようにして内容液を吐出することが可能であって、更にリサイクル性にも優れるポンプ式吐出器を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内容液を収容する容器の口部に装着されるキャップと、該キャップにより該口部に保持されステムが進退移動することによって駆動するポンプと、内容液を外界に吐出させる吐出口を有するとともに該ステムに連結するヘッドと、を備え、該ヘッドを該キャップに向けて移動させることによって該容器内の内容液を該吐出口から吐出させるポンプ式吐出器において、
前記ヘッド及び前記ポンプの何れか一方に、該ヘッド及び該ポンプの何れか他方に向けて延出された延出部が設けられ、
前記ヘッド及び前記ポンプの何れか他方に、該ヘッドを前記キャップに向けて前進させた際に前記延出部によって前記ステムの中心軸線から離れる向きに撓む外倒れ弾性片が設けられ、
前記キャップに、前記外倒れ弾性片が前記ステムの中心軸線から離れる向きに撓んだ際に該外倒れ弾性片によって該ステムの中心軸線から離れる向きに撓んで該外倒れ弾性片に弾性力を付与する補助弾性片が設けられたポンプ式吐出器である。
【0008】
前記補助弾性片は、前記ステムの中心軸線に沿って延在する縦部分と、該縦部分から該ステムの中心軸線に近づく向きに延在する横部分とにより構成されることが好ましい。
【0009】
前記キャップは、前記補助弾性片を、前記ステムの中心軸線を周回する方向に等間隔で複数備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明のポンプ式吐出器によれば、ヘッドをキャップに向けて移動させた際、延出部によって外倒れ弾性片がステムの中心軸線から離れる向きに撓むため、撓んだ外倒れ弾性片が復元する際にヘッドを初期位置に復帰させることができる。また延出部又は外倒れ弾性片をポンプに設けていることから、これらの位置を、キャップに設ける場合に比してステムの中心軸線に近づけることができる。従って、延出部又は外倒れ弾性片をキャップに設ける場合に比して、ポンプ式吐出器の外形が小さくなって小型化を図ることができる。また本発明のポンプ式吐出器は、キャップに補助弾性片を設けていて、補助弾性片は、外倒れ弾性片が撓んだ際にステムの中心軸線から離れる向きに撓み、これにより外倒れ弾性片に弾性力を付与することができる。すなわちヘッドが復帰する際には、外倒れ弾性片の弾性力と補助弾性片の弾性力の両方が作用するため、ヘッドをより確実に復帰させることができる。なお、外倒れ弾性片の如き撓み変形可能な弾性片は、比較的大きな負荷でもって繰り返し撓ませるとへたりが生じて復元性が低下することがあるが、本発明のポンプ式吐出器では、外倒れ弾性片と補助弾性片の両方でヘッドを復帰させることによって外倒れ弾性片が受ける負荷を減らすことができるため、へたりの影響を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明に係るポンプ式吐出器の一実施形態における外倒れ弾性片が撓む前の状態を示した側面視での縦断面図である。
【
図3】
図1の状態からヘッドを押圧して外倒れ弾性片が撓んだ状態を示した側面視での縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら本発明に係るポンプ式吐出器の一実施形態であるポンプ式吐出器100について説明する。なお、本明細書等において上下方向とは、図示した中心軸線O(後述するステム7aの中心軸線)に沿う向きであって、パイプ4が位置する側が「下」であり、ヘッド12が位置する側が「上」である。また径方向とは、中心軸線Oに対して垂直な面内で中心軸線Oと直交する方向であり、周方向とは、この面内で中心軸線Oを中心として周回する方向である。また正面側とは、後述するノズル12cが指向する側(
図1、
図2における左側)であり、背面側とは、その逆側(
図1、
図2における右側)である。また左側、右側とは、正面側から背面側に向かって視る際の左右方向である。
【0013】
本実施形態のポンプ式吐出器100は、ボトル状をなす不図示の容器の口部に装着して使用される。ポンプ式吐出器100で吐出させる内容液は、例えば化粧料(一例として乳液や化粧水)、シャンプー、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料等である。
【0014】
ポンプ式吐出器100は、シリンダー1、弁部材2、パイプ4、内部部材5、ピストン6、筒状部材7、ホルダー8、パッキン9、キャップ本体10、キャップカバー11、ヘッド12で構成されている。ここでシリンダー1、弁部材2、内部部材5、ピストン6、筒状部材7、及びホルダー8は、本明細書等における「ポンプ」を構成する部材であり、キャップ本体10とキャップカバー11は、本明細書等における「キャップ」を構成する部材である。また上記の部材のうち、弁部材2、ピストン6、パッキン9は、弾性を有する軟質の合成樹脂(例えばポリエチレン(LDPE、HDPE、発泡PE))により形成されていて、その他の部材は、硬質の合成樹脂(例えばポリプロピレン(PP)・ポリブチレンテレフタレート(PBT)・ポリアセタール(POM)・ポリケトン(POK)樹脂等)で形成されている。そしてポンプ式吐出器100を構成する各部材は、基本的に中心軸線Oを中心とする形状で形作られている。
【0015】
シリンダー1は、円板状をなしていて中央部が上方に突出する底壁部1aと、底壁部1aの外縁部から起立する円筒状の筒壁部1bと、筒壁部1bの上部から径方向外側に向けて延在するフランジ壁1cを備えている。底壁部1aにおける中央部の突出する部位には、貫通孔(吸込口1d)が設けられている。また底壁部1aの下面には、吸込口1dを取り囲んで下方に向けて延在し、パイプ4を保持する筒状の保持筒1eが設けられている。そして筒壁部1bには、貫通孔(通気口1f)が設けられている。
【0016】
弁部材2は、基部2aと、吸込口1dを覆って底壁部1aの上面に着座する弁体部2bと、基部2aと弁体部2bとを連結する弾性変形可能な連結片2cとを備えている。弁部材2は逆止弁として機能するものであって、シリンダー1内が減圧状態になると、吸込口1dを閉鎖していた弁体部2bが底壁部1aから離反して吸込口1dを開放させることができる。
【0017】
基部2aは、本実施形態では有蓋筒状をなしていて、吸込口1dを通過した内容液が通過する不図示の開口を備えている。基部2aは、筒壁部1bの内周面に嵌合保持されるものであり、これにより弁部材2は、シリンダー1内で保持される。
【0018】
パイプ4は、中空状をなすものであって、上端部は保持筒1eに挿入されてこれに嵌合保持されている。
【0019】
内部部材5は、シリンダー1の内部に配置され、シリンダー1に対して上下動する部材である。内部部材5は、円筒状をなす連結筒5aと、連結筒5aの下端部を閉鎖するとともに径方向外側に延在する底部5bとを備えている。また連結筒5aには、これを貫通する孔(連通口5c)が設けられていて、底部5bの上面には、連結筒5aとの連結部よりも径方向外側に位置する環状部5dが設けられている。
【0020】
ピストン6は、連結筒5aに挿通されて底部5bの上方に配置される。本実施形態のピストン6は、円環状の基部6aを備えている。基部6aの外縁部には、基部6aから上方及び下方に向けて延在する外側摺動片6bが設けられている。外側摺動片6bは、筒壁部1bの内周面に対して摺動可能に液密に当接するものである。そして基部6aの内縁部には、基部6aから上方及び下方に向けて延在する内側摺動片6cが設けられている。内側摺動片6cは、その下部は環状部5dの内周面に対して摺動可能に液密に当接し、その上部は筒状部材7における後述する拡径部7bの内周面に対して摺動可能に液密に当接する。
【0021】
筒状部材7は、全体的に筒状をなす部材である。筒状部材7は、円筒状をなすステム7aと、ステム7aの下端部に連結するとともにステム7aよりも大径になる拡径部7bを備えている。ステム7aに連結筒5aが挿入されると両者は嵌合されるため、内部部材5と筒状部材7は、シリンダー1に対して一体的に移動する。
【0022】
ホルダー8は、ステム7aの径方向外側に位置する部位と拡径部7bの径方向外側に位置する部位を持ち、筒壁部1bの内側に挿入されるホルダー基部8aを備えている。ホルダー基部8aの外周面は、筒壁部1bの内周面に嵌合保持されるように構成されていて、ホルダー基部8aを筒壁部1bに嵌合させることによって、内部部材5、ピストン6、筒状部材7のシリンダー1からの抜け出しを防止している。なお、ホルダー基部8aの上端部には径方向外側に向けて延在するフランジ8bが設けられていて、ホルダー基部8aを筒壁部1bの内側に挿入した際、フランジ8bはフランジ壁1cの上面に接触するため、ホルダー基部8aが過剰に挿入されることはない。
【0023】
またホルダー8は、ホルダー基部8aの上端部から上方に向けて延在し、径方向外側に向けて弾性変形可能な板状の外倒れ弾性片8cを備えている。
図1、
図3に示すように外倒れ弾性片8cの上端部は、上方に向かうにつれて径方向外側に広がるように傾斜している。また本実施形態の外倒れ弾性片8cは、
図2に示すようにA-Aに沿う断面視において中心軸線Oを中心とする円弧状であって、周方向に等間隔で合計4つ設けられている。
【0024】
パッキン9は、円環板状をなすものであって、シリンダー1の筒壁部1bに挿通されてこれに嵌合保持されている。ポンプ式吐出器100を不図示の容器に取り付けた際、パッキン9は容器の口部とフランジ壁1cに挟持される。これにより、例えば容器を倒した際に内容液が口部から溢れる等の不具合が防止される。
【0025】
キャップ本体10は、円板状をなしていて中央部に貫通孔を備える天壁10aを備えている。天壁10aの貫通孔には、フランジ8bが収まっている。そして天壁10aの外縁部には、下方に向けて延在する内側周壁10bが設けられている。内側周壁10bの内周面における上部は、径方向内側に向けて膨出してフランジ壁1cを嵌合保持することが可能であって、これによりシリンダー1は、キャップ本体10に保持される。なお本実施形態において、シリンダー1とキャップ本体10との間に周方向の位置決め手段は設けられておらず、それ故、キャップ本体10をシリンダー1に取り付けるにあたり、周方向の位置合わせは不要である。また内側周壁10bの内周面には、容器の口部に設けた雄ねじ部に螺合する雌ねじ部10cが設けられていて、雄ねじ部と雌ねじ部10cとを螺合させることにより、キャップ本体10を容器に装着することができる。そして内側周壁10bの外周面には、
図1の部分拡大図に示すように、上下方向に延在する回り止め凹部10dが設けられている。回り止め凹部10dは、周方向に間隔をあけて複数設けられている。
【0026】
またキャップ本体10は、
図1に示すように、天壁10aの上面につながる補助弾性片10eを備えている。本実施形態の補助弾性片10eは、天壁10aの中央部に位置する貫通孔の外縁部から上方に向けて延在する縦部分10fと、縦部分10fの上端部から径方向内側に向けて延在する横部分10gで構成されている。縦部分10fは、径方向外側に向けて弾性変形可能である。そして横部分10gの内縁部は、外倒れ弾性片8cの外周面に近接又は接触している。なお横部分10gは、フランジ8bの上方に位置している。すなわち、補助弾性片10eを縦部分10fと横部分10gで構成することにより、本実施形態のように外倒れ弾性片8cの径方向外側に何らかの部位(本実施形態ではフランジ8b)があっても、横部分10gでこの部位との干渉を避けつつ外倒れ弾性片8cと補助弾性片10eとを近接又は接触させることができる結果、ポンプ式吐出器100の径方向のサイズを小さくすることができる。
【0027】
また補助弾性片10eは、
図2に示すように周方向に等間隔で複数設けられている。本実施形態においては、合計18個の補助弾性片10eが設けられている。また外倒れ弾性片8cと補助弾性片10eとの周方向の位置関係は、
図2に示すように正面側(後述するノズル12cが位置する側)と背面側の外倒れ弾性片8cに対しては、その径方向外側に3つの補助弾性片10eが位置し、正面側から背面側に向かって視る際の右側と左側の外倒れ弾性片8cに対しては、その径方向外側に4つの補助弾性片10eが位置するように配置されているものとする。
【0028】
キャップカバー11は、円筒状になる外側周壁11aを備えている。外側周壁11aの内周面には、上下方向に延在する回り止め凸部11bが設けられている(
図1の部分拡大図参照)。回り止め凸部11bは回り止め凹部10dに係合するものであり、これらによってキャップカバー11は、キャップ本体10に回り止め保持される。そして外側周壁11aの下端部には、径方向内側に向けて突出して内側周壁10bの下端部に係合する係合突起11cが設けられている。キャップカバー11をキャップ本体10に取り付けた際に係合突起11cが外側周壁11aの下端部に係合することによって、キャップカバー11はキャップ本体10に抜け止め保持される。外側周壁11aの上端部には、径方向内側に向けて延在する内向きフランジ11dが設けられている。
図1に示すようにキャップカバー11をキャップ本体10に取り付けた際、外側周壁11aは外倒れ弾性片8cと補助弾性片10eを取り囲んでいて、これにより外倒れ弾性片8cや補助弾性片10eは側方から直接視認できなくなるため、見栄えを良くすることができる。また外倒れ弾性片8cと補助弾性片10eは、上述した内向きフランジ11dによって上方からも直接視認できないため、見栄えを更に良くすることができる。
【0029】
ヘッド12は、円筒状をなし、ステム7aが挿入されてこれに嵌合保持される筒状部12aを備えている。筒状部12aの上部には、上面が下方に凹むように形作られ、内部に筒状部12aに通じる通路を有する頂部12bが設けられている。頂部12bには、円筒状をなしていて径方向外側に向けて延在し、頂部12bの内部に設けた通路に通じるノズル12cが設けられている。ノズル12cの先端には、ポンプ式吐出器100によって内容液が吐出される吐出口12dが設けられている。
【0030】
またヘッド12は、頂部12b及びノズル12cから下方に向けて延出された延出部12eを備えている。本実施形態の延出部12eは、中心軸線Oを中心とする円筒状である。また延出部12eの下端部(先端部)は、
図1、
図3に示すように、概ね下方に向かうにつれて径方向内側に狭まるように傾斜している。なお、
図1では、外倒れ弾性片8cは垂直方向に延在し、外倒れ弾性片8cの上端部に対して延出部12eの下端部が重なるように図示したが、実際にはこの重なりが解消されるように、外倒れ弾性片8cは径方向外側に向けて若干傾いた状態にあって、ヘッド12は、
図1に示した押圧する前の状態においては、キャップ本体10に対して最も上昇した上昇限(キャップ本体10に対して最も後退した後退限)まで移動している。
【0031】
このような部材によって構成されるポンプ式吐出器100は、ヘッド12を上方から押圧してヘッド12を下降させる(ヘッド12をキャップ本体10に向けて前進させる)と、
図3に示すように、ステム7aがヘッド12とともに押し下げられる(中心軸線Oに沿ってステム7aがキャップ本体10に向けて移動する)。またステム7aが押し下げられるに伴い、連結筒5aを介して底部5bも下降するため、環状部5dと内側摺動片6cの下部との液密な当接が解除される。そしてヘッド12を更に押し下げていくと、筒状部材7及び内部部材5とともにピストン6も下降して、シリンダー1の内部が加圧される。このためシリンダー1内の内容液は、連通口5cを通過し、連結筒5a、ステム7a、筒状部12a、頂部12bの内部に設けた通路、及びノズル12cの内側を通って吐出口12dから外界に吐出される。なお、ヘッド12を押圧してピストン6が通気口1fよりも下降すると、不図示の容器は、通気口1fを介して外界と連通する。これにより容器に収容した内容液が減っても容器内は負圧化されず、容器がつぶれるように変形する不具合が防止される。
【0032】
またヘッド12が押し下げられると、延出部12eが外倒れ弾性片8cに押圧力を付与するため、外倒れ弾性片8cは径方向外側に撓んでいく。また、外倒れ弾性片8cの径方向外側に位置する補助弾性片10eは、
図3に示すように径方向外側に撓む外倒れ弾性片8cによって径方向外側に撓んだ状態になる。なお、外倒れ弾性片8cの径方向外側に位置する補助弾性片10eのうち、外倒れ弾性片8cの周方向外側端部付近に位置する補助弾性片10e(
図2において、正面側(ノズル12cが位置する側)から背面側に向かって視る際の右側と左側の外倒れ弾性片8cに対して径方向外側に位置する4つの補助弾性片10e中、この外倒れ弾性片8cの周方向外側端部付近に位置する2つの補助弾性片10e)は、
図4に示すように外倒れ弾性片8cが径方向外側に撓むと周方向に撓んで径方向外側には殆ど撓まないことがあるが、外倒れ弾性片8cにおける周方向中央部にも補助弾性片10eが配置されているため、径方向外側に撓む外倒れ弾性片8cによってこの補助弾性片10eを径方向外側に撓ませることができる。本実施形態における補助弾性片10eの配置は、1つの外倒れ弾性片8cに対して複数の補助弾性片10eが径方向外側に撓むように設定されている。具体的には、
図4に示すように、正面側から背面側に向かって視る際の右側と左側の外倒れ弾性片8cに対しては径方向外側に撓む補助弾性片10eが2つ配置されるように設定され、正面側と背面側の外倒れ弾性片8cに対しては径方向外側に撓む補助弾性片10eが3つ配置される、というように設定されている。なお本実施形態では、上述したようにシリンダー1とキャップ本体10との間に周方向の位置決め手段は設けられておらず、それ故、キャップ本体10とシリンダー1との周方向の位置関係は図示した状態から変わることがあるが、何れの位置においても、1つの外倒れ弾性片8cに対して径方向外側に撓む補助弾性片10eが少なくとも2つ配置されるように設定されている。
【0033】
その後、ヘッド12への押圧を解除すると、弾性変形していた外倒れ弾性片8cと補助弾性片10eの弾性力がヘッド12に作用し、ヘッド12は上昇し始める。これに伴い、環状部5dに対して内側摺動片6cの下部が再び液密に当接しつつ、ピストン6が内部部材5とともに上昇するため、シリンダー1の内部が減圧される。これにより、弁体部2bが底壁部1aから離反して吸込口1dが開放されて、パイプ4を通して容器内の内容液をシリンダー1内に吸引させることができる。
【0034】
このように本実施形態のポンプ式吐出器100によれば、金属製のコイルスプリングを用いずとも、内容液を吐出させた後のヘッド12を復帰させることができ、従来のポンプ式吐出器と同じように使用することができる。また、外倒れ弾性片8cや補助弾性片10eの如き撓み変形可能な弾性片は、比較的大きな負荷でもって繰り返し撓ませるとへたりが生じて復元性が低下することがあるが、ポンプ式吐出器100では、2種の弾性片で負荷を分担して各弾性片に作用する負荷を減らすことができるため、へたりの影響を抑えることができる。特に本実施形態においては、上述したように1つの外倒れ弾性片8cが撓むと複数の補助弾性片10eが撓むように設定されているため、各弾性片に作用する負荷をより減らすことができ、へたりの影響をより抑えることができる。
【0035】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、上記の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。例えば上述した実施形態の構成は、適宜追加、削除が可能であり、また一の実施形態の構成を他の実施形態に設けることも可能である。また、上記の実施形態における効果は、本発明から生じる効果を例示したに過ぎず、本発明による効果が上記の効果に限定されることを意味するものではない。
【0036】
例えば上述したポンプは一例であって、他の形式のポンプを採用した場合も本発明に含まれる。そして、外倒れ弾性片8cと補助弾性片10eの数やこれらを設ける位置は、上述した実施形態に限られるものではなく、適宜変更可能である。更に外倒れ弾性片8cは、図示したように平面視で円弧状になるものに限られず、例えば平面視で直線状になるものでもよい。また延出部12eは円筒状になるものに限られず、例えば角筒状になるものでもよい。
【0037】
また外倒れ弾性片8cは、本実施形態ではホルダー8に設けたが、ポンプを構成する他の部材(例えばシリンダー1)に設けてもよい。また外倒れ弾性片8cをヘッド12に設け、ポンプを構成する何れかの部材に延出部12eを設けてもよい。
【符号の説明】
【0038】
1:シリンダー
1a:底壁部
1b:筒壁部
1c:フランジ壁
1d:吸込口
1e:保持筒
1f:通気口
2:弁部材
2a:基部
2b:弁体部
2c:連結片
4:パイプ
5:内部部材
5a:連結筒
5b:底部
5c:連通口
5d:環状部
6:ピストン
6a:基部
6b:外側摺動片
6c:内側摺動片
7:筒状部材
7a:ステム
7b:拡径部
8:ホルダー
8a:ホルダー基部
8b:フランジ
8c:外倒れ弾性片
9:パッキン
10:キャップ本体
10a:天壁
10b:内側周壁
10c:雌ねじ部
10d:回り止め凹部
10e:補助弾性片
10f:縦部分
10g:横部分
11:キャップカバー
11a:外側周壁
11b:回り止め凸部
11c:係合突起
11d:内向きフランジ
12:ヘッド
12a:筒状部
12b:頂部
12c:ノズル
12d:吐出口
12e:延出部
100:ポンプ式吐出器
O:中心軸線