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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171065
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】芳香制御システム
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/72 20180101AFI20241204BHJP
   F24F 1/0355 20190101ALI20241204BHJP
   F24F 3/044 20060101ALI20241204BHJP
   F24F 3/16 20210101ALI20241204BHJP
   F24F 8/50 20210101ALI20241204BHJP
【FI】
F24F11/72
F24F1/0355
F24F3/044
F24F3/16
F24F8/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087937
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】兼本 紘希
【テーマコード(参考)】
3L051
3L053
3L260
【Fターム(参考)】
3L051BC06
3L053BB02
3L053BB04
3L053BD10
3L260AA01
3L260BA09
3L260BA10
3L260CA03
3L260FC25
3L260FC26
(57)【要約】
【課題】人がいない室内に芳香が拡散されることを抑制できる芳香制御システムを提供する。
【解決手段】芳香制御システム80は、空調装置20と、一端が空調装置20に接続されると共に、他端に設けられた吹出口50Aが複数の室72のそれぞれに開口した複数の給気ダクト50と、複数の給気ダクト50ごとに設けられた芳香発生器30と、芳香発生器30の駆動を制御する制御装置10と、複数の室72にそれぞれ設けられたセンサ40と、を備え、制御装置10は、センサ40の感知情報を元に、室72内における人の存在を判定し、人が存在する室72へ開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を駆動させる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空調装置と、
一端が前記空調装置に接続されると共に、他端に設けられた吹出口が複数の室のそれぞれに開口した複数の給気ダクトと、
前記複数の給気ダクトごとに設けられた芳香発生器と、
前記芳香発生器の駆動を制御する制御装置と、
前記複数の室にそれぞれ設けられたセンサと、
を備え、
前記制御装置は、
前記センサの感知情報を元に、前記室内における人の存在を判定し、人が存在する室へ開口する前記給気ダクトに設けられた前記芳香発生器を駆動させる、
芳香制御システム。
【請求項2】
前記吹出口が、1つの室に複数設けられている場合において、
前記制御装置は、前記室内における人の位置を特定可能であり、前記人の位置に近い位置に開口する前記給気ダクトに設けられた前記芳香発生器を駆動させる、
請求項1に記載の芳香制御システム。
【請求項3】
前記芳香発生器は複数の芳香成分を保持可能であり、
前記制御装置は、
個人を特定可能であり、
前記芳香発生器に、特定された個人毎に異なる種類の芳香を発生させる、
請求項1に記載の芳香制御システム。
【請求項4】
前記センサは前記吹出口に設けられている、
請求項1に記載の芳香制御システム。
【請求項5】
前記複数の室を備えた建物の何れかの部分に設けられた吸込口から、前記空調装置へ還気する還気ダクトと、
前記還気ダクトに設けられた脱臭器と、
を備え、
前記制御装置は、
前記芳香発生器を稼働させた場合に、前記脱臭器を稼働させる、
請求項1に記載の芳香制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、芳香制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、芳香発生器を空調機器に付設して、室内へ芳香を拡散させる芳香発生装置が記載されている。この芳香発生装置では、芳香を付与する圧縮空気供給源を、室内機の送風手段に従動するように電気的に連動させている。これにより、芳香発生装置の切り忘れを抑制し、また、送風手段の停止中に、においの強い圧縮空気が出ることなどを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平6-23852号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1の技術では、室内機の送風手段に従動して芳香が拡散されるものの、送風手段が稼働していれば、人がいない室内にも芳香が拡散される。このため芳香成分を節約する観点からは改善の余地がある。また、例えば全館空調を採用した住宅等においては、人がいない部屋にも空調空気が供給されるため、人がいない室内にも芳香が拡散されることを抑制する効果が大きい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、人がいない室内に芳香が拡散されることを抑制できる芳香制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第一態様の芳香制御システムは、空調装置と、一端が前記空調装置に接続されると共に、他端に設けられた吹出口が複数の室のそれぞれに開口した複数の給気ダクトと、前記複数の給気ダクトごとに設けられた芳香発生器と、前記芳香発生器の駆動を制御する制御装置と、前記複数の室にそれぞれ設けられたセンサと、を備え、前記制御装置は、前記センサの感知情報を元に、前記室内における人の存在を判定し、人が存在する室へ開口する前記給気ダクトに設けられた前記芳香発生器を駆動させる。
【0007】
第一態様の芳香制御システムでは、空調装置の給気ダクトが複数の室に接続され、給気ダクトごとに芳香発生器が設けられている。これにより、複数の室に芳香を拡散させることができる。
【0008】
また、複数の室のそれぞれにはセンサが設けられている。そして、制御装置が、センサの感知情報を元に、室内における人の存在判定し、人が存在する室へ開口する給気ダクトに設けられた芳香発生器を駆動させる。このため、人がいない室内に芳香が拡散されることを抑制できる。これにより、人がいない室内に芳香が拡散される場合と比較して、芳香成分を節約できる。
【0009】
第二態様の芳香制御システムは、第一態様に記載の芳香制御システムにおいて、前記吹出口が、1つの室に複数設けられている場合において、前記制御装置は前記室内における人の位置を特定可能であり、前記制御装置は、前記人の位置に近い位置に開口する前記給気ダクトに設けられた前記芳香発生器を駆動させる。
【0010】
第二態様の芳香制御システムでは、制御装置が室内における人の位置を特定可能である。そして、制御装置は、1つの室に設けられた複数の芳香発生器のうち、人の位置に近い位置に開口する給気ダクトに設けられた芳香発生器を駆動させる。このため、室内の人が芳香を感得し易い。これにより、芳香成分を効率的に利用できる。
【0011】
第三態様の芳香制御システムは、第一態様に記載の芳香制御システムにおいて、前記芳香発生器は複数の芳香成分を保持可能であり、前記制御装置は個人を特定可能であり、前記芳香発生器に、特定された個人毎に異なる種類の芳香を発生させる。
【0012】
第三態様の芳香制御システムは、制御装置が、個人毎に異なる種類の芳香を発生させる。このため、個人の好みに応じた芳香を拡散させることができる。
【0013】
なお、第三態様の芳香制御システムは、第一態様又は第二態様に記載の芳香制御システムにおいて、前記芳香発生器は複数の芳香成分を保持可能であり、前記制御装置は個人を特定可能であり、前記芳香発生器に、特定された個人毎に異なる種類の芳香を発生させるものとしてもよい。
【0014】
第四態様の芳香制御システムは、第一態様に記載の芳香制御システムにおいて、前記センサは前記吹出口に設けられている。
【0015】
第四態様の芳香制御システムでは、センサが吹出口に設けられている。すなわち、芳香発生器とセンサとが同じ位置に設けられている。機械的要素が集約して配置されるため、システムが構築し易い。
【0016】
なお、第四態様の芳香制御システムは、第一態様~第三態様の何れか一態様に記載の芳香制御システムにおいて、前記センサは前記吹出口に設けられているものとしてもよい。
【0017】
第五態様の芳香制御システムは、第一態様に記載の芳香制御システムにおいて、前記複数の室を備えた建物の何れかの部分に設けられた吸込口から、前記空調装置へ還気する還気ダクトと、前記還気ダクトに設けられた脱臭器と、を備え、前記制御装置は、前記芳香発生器を稼働させた場合に、前記脱臭器を稼働させる。
【0018】
第五態様の芳香制御システムは、還気ダクトに脱臭機が設けられている。このため発生した芳香を脱臭できる。これにより、芳香が建物内に滞ることを抑制できる。
【0019】
なお、第五態様の芳香制御システムは、第一態様~第四態様の何れか一態様に記載の芳香制御システムにおいて、前記複数の室を備えた建物の何れかの部分に設けられた吸込口から、前記空調装置へ還気する還気ダクトと、前記還気ダクトに設けられた脱臭器と、を備え、前記制御装置は、前記芳香発生器を稼働させた場合に、前記脱臭器を稼働させるものとしてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によると、人がいない室内に芳香が拡散されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本実施形態に係る芳香制御システムの構成を示すブロック図である。
図2】本実施形態に係る制御装置の電気構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る制御装置の機能構成を示すブロック図である。
図4】本実施形態に係る芳香制御処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本開示の実施形態に係る芳香制御システムについて、図面を参照しながら説明する。各図面において同一の符号を用いて示される構成要素は、同一の構成要素であることを意味する。但し、明細書中に特段の断りが無い限り、各構成要素は一つに限定されず、複数存在してもよい。
【0023】
また、各図面において重複する構成及び符号については、説明を省略する場合がある。なお、本開示は以下の実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的の範囲内において構成を省略する又は異なる構成と入れ替える等、適宜変更を加えて実施することができる。
【0024】
<芳香制御システム>
図1に示すように、本発明の実施形態に係る芳香制御システム80は、制御装置10、空調装置20、芳香発生器30及びセンサ40を備えて形成されている。
【0025】
芳香制御システム80は、空調装置20から供給される空調空気に対して、芳香発生器30から発生した芳香を付与して、建物70の各室72(室72A~72Eのうちの任意の室)に芳香を拡散させるシステムである。この芳香制御システム80では、センサ40によって検知された各室72における人の在室状況に応じて、制御装置10が芳香発生器30を制御する。
【0026】
(空調装置)
空調装置20(空調装置20A及び20B)は、建物70の1階部分及び2階部分にそれぞれ設けられた空気調和設備であり、室内機22、室外機24及びリモコン26を備えている。空調装置20は、1台の室内機22及び室外機24で複数の居室を空調できる。室内機22及び室外機24は冷媒管(不図示)で接続されている。
【0027】
本実施形態においては、2階の空調装置20Aは、2階の室72A及び72Bを空調する。また、1階の空調装置20Bは、1階の室72C、72D及び72Eを空調する。
【0028】
室内機22には複数の給気ダクト50の一端がそれぞれ接続されている。2階の空調装置20Aの室内機22に接続された給気ダクト50の他端の吹出口50Aは、複数の室72A及び72Bのそれぞれに開口している。1階の空調装置20Bの室内機22に接続された給気ダクト50の他端の吹出口50Aは、複数の室72C、72D及び72Eのそれぞれに開口している。
【0029】
2階の室72Aには、2本の給気ダクト50が接続され、2つの吹出口50Aが設けられている。このように、本発明においては、1つの室に、複数の吹出口50Aを設けることができる。なお、各吹出口50Aには、図示しないガラリが設けられている。
【0030】
給気ダクト50は、2階の空調装置20Aのように、室内機22に直接接続してもよいし、1階の空調装置20Bのように、チャンバー54等を介して室内機22に接続してもよい。このように、本発明における「一端が空調装置に接続された給気ダクト」とは、チャンバー54等により集約及び分岐している給気ダクトも含む。
【0031】
2階の空調装置20Aのように、室内機22には還気ダクト52を接続してもよい。還気ダクト52は、建物70の何れかの部分に設けられた吸込口52Aから吸込まれた空気を室内機22へ戻すダクトである。還気ダクト52には、脱臭器60を設けてもよいし、設けなくてもよい。図1には、一例として脱臭器60を設けた例を示している。
【0032】
なお、1階の空調装置20Bのように、還気ダクト52を設けず、室内機22が建物70の室内空間から直接空気を吸込んでもよい。この場合においても、室内機22に脱臭器60を敷設してもよいししなくてもよい。あるいは、脱臭器60に代えて、動力を必要としないフィルタを設けてもよい。
【0033】
このような脱臭器60やフィルタを用いることで、後述する芳香発生器30の稼働により発生した芳香を脱臭できる。これにより、芳香が建物内に滞ることを抑制できる。
【0034】
なお、各室72との境界部や、各室72と廊下等との境界部には、図示しないガラリが設けられ、空気の循環経路とされている。このガラリは、建具のアンダーカットによって代用することもできる。
【0035】
リモコン26は、空調装置20A及び20B毎に設けられ、ユーザが、それぞれの空調装置20A、20Bの稼働及び停止を実行する指示や空調温度を入力できる。あるいは、本発明においては、空調装置20A及び20Bの双方を制御できるリモコンを用いてもよい。
【0036】
また、ユーザは、リモコン26を介して、制御装置10による芳香発生器30の制御の実行及び停止を指示できる。つまり、リモコン26では、芳香制御システム80を利用するユーザによって、芳香制御プログラム13Aを開始及び終了するための操作が実行される(後述する「指示情報」の入力)。
【0037】
また、ユーザは、リモコン26を介して、芳香制御プログラム13Aを適用する芳香発生器30を選択したり(後述する「選択情報」の入力)、ユーザ毎の好みの芳香を指定したり(後述する「嗜好情報」の入力)することもできる。
【0038】
また、リモコン26は表示画面を備えている。この表示画面には、上述した各種の入力を実施するための情報(文字やグラフィック、ボタン)が表示される。なお、指示情報、選択情報及び嗜好情報の入力は、リモコン26とは別のコントローラ(例えば制御装置10に組み込んだコントローラ)を介して実行するものとしてもよい。
【0039】
なお、空調装置20は、外気の給気ダクト、外気への排気ダクト及び熱交換器(不図示)などを備えていてもよい。この場合、ユーザはリモコン26を介して換気の実行及び停止も指示できる。
【0040】
(芳香発生器)
芳香発生器30は、複数の給気ダクト50ごとに設けられた装置であり、内部に芳香成分が封入及び保持されている。芳香発生器30が稼働することにより、給気ダクト50内に芳香成分が放出される。また、給気ダクト50に放出された芳香成分は、空調空気と共に室72内へ拡散する。
【0041】
芳香発生器30には、1つの芳香成分のみを保持させてもよいが、複数の芳香成分を保持させることができる。例えば建物70のユーザ(住人や客人)ごとに、それぞれの好みの芳香成分を封入しておくことができる。
【0042】
なお、芳香発生器30は、給気ダクト50の全てに設ける必要はない。例えば室72Dに接続された給気ダクト50には、芳香発生器30は設けられていない。また、芳香発生器30は、給気ダクト50の吹出口50Aに設けたガラリ(図示)と一体化して配置することもできる。
【0043】
(センサ)
センサ40は、芳香発生器30が設けられた給気ダクト50が接続された室72(室72A、72B、72C及び72E)にそれぞれ設けられた人感センサである。センサ40としては、一例として、赤外線によって物体の動きを感知する赤外線センサが用いられている。後述する制御装置10の感知情報取得部11Aは、センサ40の感知情報を元に、各室における人の存在を判定し、位置を特定することができる。
【0044】
なお、センサ40としては、超音波センサなどを用いてもよい。また、センサ40としては、画像を撮影可能な撮像装置としてもよい。このような装置を用いた場合、制御装置10の感知情報取得部11Aは、画像を元に個人を特定できる。
【0045】
また、センサ40は、給気ダクト50の吹出口50Aに一体的に設けてもよい。例えば2階の空調装置20Aのように、給気ダクト50が小屋裏に配置されている場合は、吹出口50Aが室72A、72Bの天井に形成される。このような場合は、センサ40を給気ダクト50の吹出口50Aに一体的に設けることで、機械的要素が集約して配置されるため、システムが構築し易い。
【0046】
<制御装置>
制御装置10は、センサ40の感知情報を元に、室72内における人の存在を判定し、人が存在する室72へ開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を駆動させる。なお、図1においては、制御装置10は、リモコン26と別体に設けられているが、これらを一体化してもよい。また、制御装置10は、建物70のHEMS(Home Energy Management System)コントローラ等に組み込んでもよい。
【0047】
(制御装置の電気的な構成)
図2に示すように、制御装置10は、CPU(Central Processing Unit:プロセッサ)11、一時記憶領域としてのメモリ12、不揮発性の記憶部13、媒体読み書き装置(R/W)16、通信インタフェース(I/F)部18及び外部I/F部19を備えている。CPU11、メモリ12、記憶部13、媒体読み書き装置16、通信I/F部18及び外部I/F部19はバスB1を介して互いに接続されている。媒体読み書き装置16は、記録媒体17に書き込まれている情報の読み出し及び記録媒体17への情報の書き込みを行う。
【0048】
(記憶部)
記憶部13はHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等によって実現される。記憶媒体としての記憶部13には、芳香制御プログラム13Aが記憶されている。芳香制御プログラム13Aは、芳香制御プログラム13Aが書き込まれた記録媒体17が媒体読み書き装置16にセットされ、媒体読み書き装置16が記録媒体17からの芳香制御プログラム13Aの読み出しを行うことで、記憶部13へ記憶される。CPU11は、芳香制御プログラム13Aを記憶部13から読み出してメモリ12に展開し、芳香制御プログラム13Aが有するプロセスを順次実行する。
【0049】
記憶部13には、芳香データベース13Bが記憶される。芳香データベース13Bには、各芳香発生器30に封入された芳香成分の種類及び残量が記憶されている。この芳香データベース13Bに記憶された情報は、リモコン26に表示させることができる。また、記憶部には、後述する「選択情報」を記憶させることもできる。また、芳香データベース13Bには、後述する「嗜好情報」を記憶させることもできる。
【0050】
(制御装置の機能的な構成)
次に、図3を参照して、本実施形態に係る制御装置10の機能的な構成について説明する。図2に示すように、制御装置10は、感知情報取得部11A、入力情報取得部11B及び制御部11Cを含む。制御装置10のCPU11は、芳香制御プログラム13Aを実行することで、感知情報取得部11A、入力情報取得部11B及び制御部11Cとして機能する。
【0051】
なお、図3において、制御装置10は、外部I/F部19を介してセンサ40、リモコン26、芳香発生器30及び脱臭器60と接続されている。制御装置10は、通信I/F部18を介してセンサ40、リモコン26、芳香発生器30及び脱臭器60と接続してもよい。
【0052】
(感知情報取得部)
感知情報取得部11Aは、各センサ40の感知情報を元に、室72における人の存在を判定し、「人の在室」及び「人の存在が感知された室」を、感知情報として取得する。また、感知情報取得部11Aは、各センサ40の感知情報を元に、室72における「人の位置」を、感知情報として取得する。
【0053】
さらに、センサ40として画像を撮影可能な撮像装置を用いた場合、感知情報取得部11Aは、各センサ40の感知情報を元に(画像を解析して)個人を特定し、特定した「在室者」を感知情報として取得する。
【0054】
さらに、感知情報取得部11Aは、各センサ40が人の動きを感知しなくなったことに伴い、「人の退室が感知された室」を、感知情報として取得する。
【0055】
(入力情報取得部)
入力情報取得部11Bは、ユーザがリモコン26を介して入力した入力情報を感知する。この入力情報には、芳香制御プログラム13Aを開始及び終了させるための「指示情報」が含まれる。
【0056】
また、入力情報には、芳香制御プログラム13Aを適用する芳香発生器30の「選択情報」が含まれる。つまり、ユーザは、芳香発生器30のそれぞれについて、個別に、芳香制御プログラム13Aを適用するか否かを選択できる。選択情報は、記憶部13の所定の記憶領域に記憶される。
【0057】
芳香制御プログラム13Aを適用する芳香発生器30は、後述する芳香制御処理に示すように、制御装置10によって稼働及び停止が制御される。芳香制御プログラム13Aが適用されない芳香発生器30は、ユーザのリモコン26を介した入力操作により、稼働及び停止させることができる。
【0058】
また、入力情報には、複数のユーザ毎に、好みの芳香を示す「嗜好情報」が含まれる。嗜好情報は、芳香データベース13Bに記憶される。具体的には、芳香データベース13Bには、記憶された芳香成分ごとに、その芳香を好むユーザが紐づけて記憶される。なお、嗜好情報は、センサ40として画像を撮影可能な撮像装置を用い、感知情報取得部11Aが個人を特定可能な場合に入力される。
【0059】
(制御部)
制御部11Cは、感知情報取得部11Aが取得した感知情報、及び、入力情報取得部11Bが取得した入力情報に応じて、各芳香発生器30の駆動を制御する。
【0060】
具体的には、制御部11Cは、感知情報取得部11Aが取得した「人の存在が感知された室」へ開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を駆動させる。そして、制御部11Cは、感知情報取得部11Aが「人の退室が感知された室」へ開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を停止させる。
【0061】
また、制御部11Cは、感知情報取得部11Aが取得した「人の位置」に近い位置に開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を駆動させる。
【0062】
さらに、制御部11Cは、感知情報取得部11Aが取得した「在室者」及び入力情報取得部11Bが取得した「嗜好情報」に応じて、当該在室者毎に異なる種類の芳香(すなわち、芳香データベース13Bにおいて、在室者と紐づけられた芳香)を発生させる。なお、制御部11Cは、センサ40として画像を撮影可能な撮像装置を用い、感知情報取得部11Aが個人を特定可能な場合に、在室者毎に異なる種類の芳香を発生させる。
【0063】
また、脱臭器60を設ける場合、制御部11Cは、脱臭器60を稼働及び停止させる。脱臭器60は、一例として、何れかの芳香発生器30が稼働している間は稼働して、全ての芳香発生器30が停止している間は停止する。
【0064】
<作用>
次に、図4を参照して、本実施形態に係る芳香制御システム80の作用を説明する。ユーザからのリモコン26を介した実行指示等に応じて、制御装置10のCPU11が芳香制御プログラム13Aを実行することにより、図4に示す芳香制御処理が実行される。
【0065】
錯綜を避けるため、ここでは、リモコン26を介した各種の入力情報が入力済で、芳香データベース13Bが構築されている場合について説明する。
【0066】
(芳香制御処理)
芳香制御処理が開始されると、ステップS102で、CPU11は、何れかの室72において新たに人の「在室」が感知されたか否かを判定する。ステップS102で肯定判定された場合、ステップS104へ移行する。一方、ステップS102で否定判定された場合、ステップS106へ移行する。
【0067】
ステップS104で、CPU11は、新たに人の在室が感知された室に開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を「稼働」させる。この際、CPU11は、感知された人の位置に近い位置に開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を駆動させることができる。また、CPU11は、芳香発生器30から、感知された個人毎に異なる芳香を発生させることができる。ステップS104の後は、ステップS106へ移行する。
【0068】
ステップS106で、CPU11は、何れかの室72において新たに人の「退室」が感知されたか否かを判定する。ステップS106で肯定判定された場合、ステップS108へ移行する。一方、ステップS106で否定判定された場合、ステップS110へ移行する。
【0069】
ステップS108で、CPU11は、新たに人の退室が感知された室に開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を「停止」させる。ステップS108の後は、ステップS110へ移行する。
【0070】
ステップS110で、CPU110は、CPU11は、芳香制御処理の終了タイミングが到来したか否かを判定し、肯定判定となった場合は芳香制御処理を終了する。この終了タイミングは、一例として、ユーザのリモコン26を介した入力(芳香制御処理の終了指示または空調装置20の空調制御の終了指示)によって到来する。ステップS110で否定判定となった場合はステップS102へ戻る。
【0071】
<効果>
本発明の実施形態に係る芳香制御システム80では、空調装置20の給気ダクト50が複数の室72に接続され、給気ダクト50ごとに芳香発生器30が設けられている。これにより、複数の室72に芳香を拡散させることができる。
【0072】
また、複数の室72のそれぞれには、センサ40が設けられている。そして、制御装置10が、センサ40の感知情報を元に、室72内における人の存在を判定した場合に、人が存在する室72へ開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を駆動させる。このため、人がいない室72内に芳香が拡散されることを抑制できる。これにより、人がいない室72内に芳香が拡散される場合と比較して、芳香成分を節約できる。
【0073】
また、芳香制御システム80では、制御装置10が、室内における人の位置を特定可能である。そして、制御装置10が、1つの室72(例えば室72A)に設けられた複数の芳香発生器30のうち、特定された人の位置に近い位置に開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を駆動させる。このため、室72内の人が芳香を感得し易い。これにより、芳香成分を効率的に利用できる。
【0074】
<その他の実施形態>
上記実施形態において、制御装置10が、センサ40の感知情報を元に、室内における人の位置を特定可能であり、特定された人の位置に近い位置に開口する給気ダクト50に設けられた芳香発生器30を駆動させるものとした。しかし、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0075】
例えば複数の給気ダクト50が開口する室72Aにセンサ40を設けた場合であっても、制御装置10は、センサ40の感知情報を元に、人の有無のみを特定し、人の位置は特定しないものであってもよい。この場合、それぞれの給気ダクト50に設けられた芳香発生器30は、同様に制御すればよい。
【0076】
また、上記実施形態においては、制御装置10が個人を特定可能であり、芳香発生器30が複数の芳香成分を保持可能であり、制御装置10が、芳香発生器30に、特定された個人毎に異なる種類の芳香を発生させる態様について説明した。しかし、本発明の実施形態はこれに限らない。
【0077】
例えば制御装置10は個人を特定することができなくてもよい。この場合、芳香発生器30に複数の芳香成分を保持させなくてもよい。あるいは、芳香発生器30に複数の芳香成分を保持させてもよいが、どの芳香成分を放出させるかは、ユーザがリモコン26を介して入力するものとする。
【0078】
また、上記実施形態において、例えば、感知情報取得部11A、入力情報取得部11B及び制御部11Cの各処理を実行する処理部(processing unit)のハードウェア的な構造としては、次に示す各種のプロセッサ(processor)を用いることができる。上記各種のプロセッサには、前述したように、ソフトウェア(プログラム)を実行して処理部として機能する汎用的なプロセッサであるCPUに加えて、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なプロセッサであるプログラマブルロジックデバイス(Programmable Logic Device:PLD)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が含まれる。
【0079】
処理部は、これらの各種のプロセッサのうちの1つで構成されてもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGAの組み合わせや、CPUとFPGAとの組み合わせ)で構成されてもよい。また、処理部を1つのプロセッサで構成してもよい。
【0080】
処理部を1つのプロセッサで構成する例としては、第1に、クライアント及びサーバ等のコンピュータに代表されるように、1つ以上のCPUとソフトウェアの組み合わせで1つのプロセッサを構成し、このプロセッサが処理部として機能する形態がある。第2に、システムオンチップ(System On Chip:SoC)等に代表されるように、処理部を含むシステム全体の機能を1つのIC(Integrated Circuit)チップで実現するプロセッサを使用する形態がある。このように、処理部は、ハードウェア的な構造として、上記各種のプロセッサの1つ以上を用いて構成される。
【0081】
更に、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造としては、より具体的には、半導体素子などの回路素子を組み合わせた電気回路(circuitry)を用いることができる。このように、本発明は様々な態様で実施することができる。
【符号の説明】
【0082】
20 空調装置
20A 空調装置
20B 空調装置
30 芳香発生器
40 センサ
50 給気ダクト
50A 吹出口
52 還気ダクト
52A 吸込口
60 脱臭器
72A 室
72B 室
72C 室
72E 室
80 芳香制御システム
図1
図2
図3
図4