IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッドの特許一覧

<>
  • 特開-電子機器及び筐体部材 図1
  • 特開-電子機器及び筐体部材 図2
  • 特開-電子機器及び筐体部材 図3
  • 特開-電子機器及び筐体部材 図4
  • 特開-電子機器及び筐体部材 図5
  • 特開-電子機器及び筐体部材 図6
  • 特開-電子機器及び筐体部材 図7
  • 特開-電子機器及び筐体部材 図8
  • 特開-電子機器及び筐体部材 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171070
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】電子機器及び筐体部材
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/16 20060101AFI20241204BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20241204BHJP
   H05K 5/03 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
G06F1/16 312Z
G06F1/16 312E
H05K5/02 J
H05K5/03 B
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087945
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】梅島 一哉
(72)【発明者】
【氏名】土井畑 禅
(72)【発明者】
【氏名】潮田 達也
(72)【発明者】
【氏名】中西 爽
(72)【発明者】
【氏名】岡本 雅士
【テーマコード(参考)】
4E360
【Fターム(参考)】
4E360AA02
4E360AB04
4E360AB05
4E360AB06
4E360AB42
4E360AB51
4E360BA08
4E360BA11
4E360BB02
4E360BB12
4E360BB27
4E360BD02
4E360BD05
4E360EA14
4E360EA18
4E360EA24
4E360EC14
4E360ED02
4E360ED07
4E360ED28
4E360EE02
4E360FA02
4E360FA20
4E360GA51
4E360GA52
4E360GA53
4E360GB26
4E360GB46
4E360GC04
4E360GC08
4E360GC20
(57)【要約】
【課題】電子部品の設置スペースを確保できると共に、外観品質の低下を抑制することができる電子機器及び筐体部材を提供する。
【解決手段】電子機器は、炭素繊維強化樹脂で形成されたプレート部と、樹脂で形成され、前記プレート部の縁部に接合されたフレーム部と、を有する筐体部材と、前記筐体部材で支持された電子部品と、を備え、前記筐体部材の一縁部には、一部が外側に突出することで前記電子部品の設置スペースを形成した突出部が設けられ、前記突出部は、前記プレート部の縁部の一部を外側に突出させたプレート突出部と、該プレート突出部の内面に積層された前記フレーム部と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器であって、
炭素繊維強化樹脂で形成されたプレート部と、樹脂で形成され、前記プレート部の縁部に接合されたフレーム部と、を有する筐体部材と、
前記筐体部材で支持された電子部品と、
を備え、
前記筐体部材の一縁部には、一部が外側に突出することで前記電子部品の設置スペースを形成した突出部が設けられ、
前記突出部は、前記プレート部の縁部の一部を外側に突出させたプレート突出部と、該プレート突出部の内面に積層された前記フレーム部と、を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記フレーム部は、前記突出部の外縁に沿って起立する立壁を有し、
前記立壁は、前記突出部の突出方向に直交する幅方向で中央部よりも端部の壁厚を大きくした厚肉部を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の電子機器であって、
さらに、
前記突出部を含む部分に設けられ、前記筐体部材を板厚方向に貫通する孔部と、
前記プレート部の外面に固定され、前記孔部を塞ぐ蓋部材と、
を備え、
前記プレート部の外面は、湾曲した曲面を有し、
前記蓋部材は、前記プレート部の外面に対する固定面が前記曲面に沿って湾曲している
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記固定面は、円弧形状又は複数段のステップ形状を有する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項3に記載の電子機器であって、
前記電子部品は、カメラモジュールを含み、
前記カメラモジュールの一部が前記孔部に挿入されている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
炭素繊維強化樹脂で形成されたプレート部と、樹脂で形成され、前記プレート部の縁部に接合されたフレーム部と、を有し、電子機器の筐体に用いる筐体部材であって、
一縁部の一部が外側に突出した突出部を備え、
前記突出部は、前記プレート部の縁部の一部を外側に突出させたプレート突出部と、該プレート突出部の内面に積層された前記フレーム部と、を有する
ことを特徴とする筐体部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器及び筐体部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、例えばディスプレイを備えた筐体の一縁部にカメラモジュール等の電子部品が搭載される場合がある(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6728450号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような電子機器は、ベゼル幅の狭小化や薄型化に対する要望が強く、カメラモジュールのような電子部品の設置スペースの確保が難しい場合がある。一方で、例えばカメラモジュールは高性能化に対する要望が強く、高性能のカメラは大きさや厚みが拡大する傾向にある。従って、電子機器の筐体やこれに用いる筐体部材は、このような電子部品の設置スペースを十分に確保しつつも、ベゼルの狭小化或いは筐体の薄型化を損なわず、外観品質の低下を抑えることが望まれている。
【0005】
本発明は、上記従来技術の課題を考慮してなされたものであり、電子部品の設置スペースを確保できると共に、外観品質の低下を抑制することができる電子機器及び筐体部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様に係る電子機器は、炭素繊維強化樹脂で形成されたプレート部と、樹脂で形成され、前記プレート部の縁部に接合されたフレーム部と、を有する筐体部材と、前記筐体部材で支持された電子部品と、を備え、前記筐体部材の一縁部には、一部が外側に突出することで前記電子部品の設置スペースを形成した突出部が設けられ、前記突出部は、前記プレート部の縁部の一部を外側に突出させたプレート突出部と、該プレート突出部の内面に積層された前記フレーム部と、を有する。
【0007】
本発明の第2態様に係る筐体部材は、炭素繊維強化樹脂で形成されたプレート部と、樹脂で形成され、前記プレート部の縁部に接合されたフレーム部と、を有し、電子機器の筐体に用いる筐体部材であって、一縁部の一部が外側に突出した突出部を備え、前記突出部は、前記プレート部の縁部の一部を外側に突出させたプレート突出部と、該プレート突出部の内面に積層された前記フレーム部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の上記態様によれば、電子部品の設置スペースを確保できると共に、外観品質の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした模式的な平面図である。
図2図2は、筐体部材を外面側から見た模式的な背面図である。
図3図3は、筐体部材を内面側から見た模式的な正面図である。
図4図4は、図2に示す突出部及びその周辺部の拡大図である。
図5図5は、図3に示す突出部及びその周辺部の拡大図である。
図6図6は、図3に示す突出部及びその周辺部の斜視図である。
図7図7は、第1筐体の突出部及びその周辺部の側面図である。
図8図8は、図4中のVII-VII線に沿う模式的な断面図である。
図9図9は、蓋部材の固定面の変形例を示す模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る電子機器及び筐体部材について好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした模式的な平面図である。図1に示すように、本実施形態の電子機器10は、クラムシェル型のノート型PCであり、第1筐体11と第2筐体12とをヒンジ14によって相対的に回動可能に連結した構成である。本実施形態では、ノート型PCの電子機器10を例示しているが、電子機器はノート型PC以外、例えば単体のディスプレイ装置、タブレット型PC、スマートフォン、又は携帯用ゲーム機等でもよい。
【0012】
第2筐体12は、扁平な箱体であり、第1筐体11と隣接している。第2筐体12の内部には、CPU等を搭載したマザーボード、バッテリ装置、メモリ、アンテナ装置等の各種電子部品が収容されている。第2筐体12の上面には、キーボード16及びタッチパッド17が臨んでいる。
【0013】
第1筐体11は、第2筐体12よりも薄い扁平な箱体である。第1筐体11は、ディスプレイパネル18を搭載している。以下、第1筐体11及びこれに搭載された各構成要素について、ディスプレイパネル18の表示面18aを視認するユーザから見た方向を基準とし、左右方向をそれぞれX1,X2方向、上下方向をそれぞれY1,Y2方向、奥行方向をそれぞれZ1,Z2方向と呼んで説明する。X1,X2方向をまとめてX方向と呼ぶこともあり、Y1,Y2方向及びZ1,Z2方向についても同様にY方向、Z方向と呼ぶことがある。
【0014】
ディスプレイパネル18の表示面18aは、第1筐体11のZ1側表面を臨んでいる。第1筐体11は、Z2側表面を形成する筐体部材20と、Z1側表面の外周を形成するベゼル部材22とを有する。第1筐体11の上下左右の側面は、筐体部材20の四周縁部から起立した立壁23によって形成されている。ベゼル部材22は、ディスプレイパネル18の表示面18aの外周縁部を囲む枠状の薄いプレートである。ヒンジ14は、第1筐体11のY2側縁部に連結され、X方向に延在する棒状のヒンジカバーで覆われている。
【0015】
ディスプレイパネル18は、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイで構成される。ディスプレイパネル18は、例えばガラス、液晶層、及び導光板等を積層してそれぞれの層の外周縁部同士を両面テープや接着剤等で固定した構造である。ディスプレイパネル18は、筐体部材20の内面20aに対して両面粘着テープ等で固定される(図3参照)。
【0016】
図2は、筐体部材20を外面20b側から見た模式的な背面図である。図3は、筐体部材20を内面20a側から見た模式的な正面図である。図2では、ディスプレイパネル18の外形を2点鎖線で示している。
【0017】
図2及び図3に示すように、筐体部材20は、中央部を含む大部分を形成する矩形状のプレート部26と、プレート部26の外周縁部に接合された枠状のフレーム部27と、を有する。
【0018】
プレート部26は、炭素樹脂にマトリクス樹脂(例えばエポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂或いは熱可塑性樹脂)を含浸させたプリプレグを複数層積層した炭素繊維強化樹脂プレート(CFRPプレート)である。プレート部26はプリプレグ層間に発泡体等の中間材を挟んだ構成としてもよい。プレート部26は筐体部材20の外面20bの略全面を形成する。
【0019】
フレーム部27は、プレート部26の外周縁部に樹脂材を射出成形し、接合したものである。フレーム部27は、プレート部26の外周縁部の内面26aに積層され、プレート部26の外周端面を覆う部分が立壁23を形成する(図8も参照)。フレーム部27を形成する樹脂材は、例えばポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂等であり、これらの樹脂にガラス繊維等の強化繊維を含有させた繊維強化樹脂(例えばGFRP)を用いてもよい。炭素繊維強化樹脂で形成されたプレート部26は、軽く且つ高強度であるが、機械加工や形状加工の施工性に問題がある。そこで筐体部材20は、プレート部26の周囲に樹脂材で形成されたフレーム部27を設け、このフレーム部27に形成する立壁23やねじ穴等の各種形状を形成している。
【0020】
図2中の参照符号28は、ロゴである。ロゴ28は、文字列、図形若しくは標章、又はこれらの組合せによって当該電子機器10の製品名やメーカ名等を表示するものである。図3中の参照符号29は、ヒンジ14を筐体部材20に連結するための金属製のブラケットである。ブラケット29は、筐体部材20のY2側の縁部近傍で内面20aに固定され、例えば左右一対設けられる。
【0021】
本実施形態の筐体部材20は、外縁部から中央部に向かって滑らかに膨らんだドーム状の曲面20cを有する(図7及び図8参照)。曲面20cは、プレート部26の中央部を含む一部又は全部を外面20b側にドーム状に湾曲させることで、内面20aを皿状に窪ませたものである。
【0022】
図2及び図3に示すように、筐体部材20は、Y1側でX方向に延在する縁部20dの一部に外側(Y1方向)に突出した突出部30を備える。縁部20dは、ヒンジ14(ブラケット29)が連結されるY2側の縁部とは反対側(Y1側)の縁部である。突出部30は、ディスプレイパネル18のY1側の端面18bと縁部20dとの間のスペースを部分的に拡大し、筐体部材20で支持される電子部品の設置スペースを形成したものである。
【0023】
本実施形態の場合、突出部30に配置される電子部品はカメラモジュール31を含む。カメラモジュール31は、基板31aにIRLED31b、カメラレンズ31c、照度センサ31d及びステータスLED31e等を実装したものである(図1及び図4参照)。
【0024】
基板31aはプリント基板である。IRLED31bは顔認識等に用いることができる赤外線カメラである。カメラレンズ31cは動画撮影等に用いることができるカメラであり、中心に集光用のレンズを有し、レンズの裏側にイメージセンサが設けられている。照度センサ31dは周囲環境の明るさを検知することができるセンサである。ステータスLED31eは電子機器10の動作状態を表示することができるライトである。カメラモジュール31の構成はこれに限定されない。突出部30に設置される電子部品はカメラモジュール31以外でもよい。電子部品は、例えば所定のアイコン表示等が可能な幅狭なサブディスプレイ等でもよいし、当該サブディスプレイとカメラモジュールとの組合せでもよい。
【0025】
図4は、図2に示す突出部30及びその周辺部の拡大図である。図5は、図3に示す突出部30及びその周辺部の拡大図である。図6は、図3に示す突出部30及びその周辺部の斜視図である。図4図6では、プレート部26とフレーム部27を明確に区別するため、フレーム部27をドットパターンで表示している。図7は、第1筐体11の突出部30及びその周辺部の側面図である。図8は、図4中のVII-VII線に沿う模式的な断面図であり、第1筐体11の断面構造を模式的に示したものである。
【0026】
図4図8に示すように、突出部30は、筐体部材20の縁部20dの一部をY1側に膨出させたものである。突出部30は、縁部20dの一部をディスプレイパネル18の端面18bから離間する方向に張り出すように突出させた部分であるとも言える。突出部30は、例えば平面視で略台形状である。
【0027】
図4図6及び図8に示すように、突出部30は、プレート部26に形成したプレート突出部32の内面26aにフレーム部27を積層した構成である。
【0028】
プレート突出部32は、プレート部26のY1側の縁部26bの一部を外側(Y1方向)に突出させたものであり、その平面形状は突出部30の平面形状と略同一である(図4参照)。プレート突出部32は突出部30の強度及び剛性を高める補強部材である。プレート突出部32はプレート部26の縁部をプレート部26の面方向に沿って突出させたものである。換言すれば、プレート部26は外形を切り出す際、プレート突出部32を残して縁部20dを形成する縁部26bを切り出した構造である。これにより炭素繊維強化樹脂で形成され、複雑な形状加工が難しいプレート部26に容易にプレート突出部32を形成できる。
【0029】
フレーム部27は、プレート突出部32を含むプレート部26の内面26aに積層される。フレーム部27に設けた立壁23は、プレート突出部32の端面32aも他のプレート部26の端面と共に連続的に覆っている。以下、立壁23のうち、プレート突出部32の端面32aを覆う部分を立壁23aと呼ぶこともある。
【0030】
図5及び図6に示すように、立壁23aは、突出部30の外縁に沿って起立している。立壁23aは、突出部30の突出方向に直交する幅方向(X方向)で中央部よりも左右の端部30a,30bの壁厚をそれぞれ大きくした一対の厚肉部34を有する。厚肉部34は、突出部30の両端部30a,30bの根本部分の立壁23aの板厚を大きくしたものである。より具体的には、厚肉部34は、立壁23aを厚肉に形成した部分と、これと一体的に設けられ、ねじ穴34aが形成されたリブ状の突起とで構成されることができる。厚肉部34は突出部30の強度及び剛性を高める補強部である。ねじ穴34aは、例えばカメラモジュール31の基板31aの固定に利用される。厚肉化34は、立壁23aを厚肉に形成した部分のみで形成してもよく、この場合、ねじ穴34aが形成されたリブ状の突起部分は省略されてもよく、この逆でもよい。
【0031】
図2図8に示すように、第1筐体11は、さらに、突出部30を含む部分に設けられた孔部36と、孔部36の外面20b側の開口を塞ぐ蓋部材38とを備える。
【0032】
孔部36は、突出部30を含む部分で筐体部材20を板厚方向(Z方向)に貫通する貫通孔である。孔部36はプレート突出部32を含むプレート部26及びこれに積層されたフレーム部27を貫通している。孔部36は、例えば横長の矩形状である。孔部36は矩形以外の形状でもよい。孔部36は複数の孔部を突出部30の幅方向に並べた構成としてもよい。孔部36は、突出部30でのカメラモジュール31の設置スペースをZ方向に拡大するものである。当該設置スペースは孔部36によって少なくともプレート突出部32及びこれに積層されるフレーム部27の板厚分拡大される。図4では突出部30は、Y方向を基準として突出部30の根本部分を跨ぐように形成されているが、孔部36は突出部30の領域内のみに形成されてもよい。
【0033】
図8に示すように、カメラモジュール31は、Z方向にある程度の厚みを有するカメラレンズ31c等の一部が孔部36に挿入される。これによりカメラレンズ31cは、Z1側を臨む撮像面31fが第1筐体11の正面よりもZ1側に出っ張ることを防止でき、ベゼル部材22の内側に確実に収容することができる。換言すれば、突出部30は孔部36を備えることで、筐体部材20の厚みを抑えつつ、高性能のカメラレンズ31cの収納スペースを確保することができる。孔部36はIRLED36b等の収納スペースとしても利用できる。
【0034】
蓋部材38は、筐体部材20の外面20bに固定され、孔部36のZ2側開口を塞ぐカバー材である。蓋部材38は少なくとも孔部36を塞ぐことができる大きさを有する。蓋部材38は、例えば左右両端に円弧形状を有するタグ状のプレートである。蓋部材38は、例えばアルミニウム等の金属の削り出し部品や樹脂成形部品で形成することができる。
【0035】
ところで、本実施形態の筐体部材20は、外面20bに曲面20cが形成されている。曲面20cは突出部30にも及んでいる。つまり外面20bを形成するプレート部26は、プレート突出部32にも曲面20cが延在している。蓋部材38はこのように曲面20cが設けられたプレート突出部32を含めたプレート部26の外面20bに固定される。このため蓋部材38は、外面20bに対する固定面38aが湾曲した曲面20cに沿って湾曲している(図7及び図8参照)。これにより蓋部材38は固定面38aを外面20bに対して隙間なく密着して固定することができる。
【0036】
図8に示すように、固定面38aには浅い凹部38bが形成されている。凹部38bは固定面38aを僅かに窪ませて、両面粘着テープ等の粘着剤40の設置スペースを形成したものである。これにより蓋部材38は粘着剤40を用いて円滑に外面20bに固定できる。図2図6中の参照符号42は、プレート部26に貫通形成された複数の位置決め孔である。各位置決め孔42は、蓋部材38の固定面38aから突出した位置決めピン38cを嵌合するものである(図8参照)。
【0037】
図8に示すように、蓋部材38は、固定面38a側に凹部38bよりも深い凹状の逃げ部38dを有してもよい。逃げ部38dは孔部36とZ方向にオーバーラップする位置に設けられる。逃げ部38dは孔部36を実質的にZ2方向に延長する。これによりカメラレンズ31c等の電子部品は、孔部36だけでなく、逃げ部38dを含めた大きなZ方向スペースを利用して設置することが可能となる。
【0038】
本実施形態の蓋部材38は、固定面38aとは反対側の表面38eがXY方向に沿う平面で形成されている(図7及び図8参照)。これにより蓋部材38は、表面38eが曲面20cと略平行する曲面である場合と比べて、逃げ部38dのZ方向深さをより大きく確保することができる。表面38eは曲面20cと平行する曲面等で形成されてもよい。
【0039】
なお、蓋部材38は、樹脂の成形部品の場合、湾曲した曲面20cの曲率に追従するスロープ形状の固定面38aを容易に形成することができる。一方、蓋部材38は、アルミニウム等の金属を削り出した金属部品の場合、湾曲した曲面20cの曲率に追従する面形成が難しい。そこで、例えば金属製の蓋部材38では、固定面38aに代えて、図8中に2点鎖線で示す円弧形状の固定面38fを用いてもよい。また、例えば金属製の蓋部材38では、図9に示すようにそれぞれがX方向に延在すると共に、略Y方向に沿って並んだ複数段のステップ形状の固定面38gを用いてもよい。このような固定面38f,38gは、全体として湾曲した面形状を機械加工で容易に形成でき、湾曲した曲面20cの曲率に十分な精度で追従する面が得られる。このため、固定面38f,38gを用いた蓋部材38も、筐体部材20の外面20bに対して粘着剤40を利用して隙間なく固定することができる。
【0040】
以上のように、本実施形態の電子機器10は、炭素繊維強化樹脂で形成されたプレート部26と、樹脂で形成されたフレーム部27とを有する筐体部材20と、筐体部材20で支持された電子部品、例えばカメラモジュール31とを備える。筐体部材20の縁部20dには、一部が外側に突出することで電子部品の設置スペースを形成した突出部30が設けられている。突出部30は、プレート部26の縁部26bの一部を外側に突出させたプレート突出部32と、プレート突出部32の内面26aに積層されたフレーム部27とを有する。
【0041】
従って、当該電子機器10は、ディスプレイパネル18の端面18bと筐体部材20の縁部20dとの間の隙間の一部を突出部30によって拡大でき、この拡大した部分を電子部品の設置スペースとして利用できる。逆に言えば電子機器10は、突出部30以外の部分では端面18bと縁部20dとの間の隙間を可能な限り狭くしてベゼル部材22の幅を狭小化できる。このため電子機器10は外観品質の低下を抑制しつつ、電子部品の設置スペースを確保できる。
【0042】
ところで、筐体部材20は、炭素繊維強化樹脂製のプレート部26に樹脂製のフレーム部27を接合した構成である。ここで、仮に、突出部30が樹脂製のフレーム部27のみで形成された構成について考えてみる。この構成は、具体的には、プレート部26がプレート突出部32を有さず、プレート部26の縁部26bに接合されたフレーム部27のみで突出部30を形成した構成である。この構成では、突出部30がフレーム部27を形成する樹脂のみで構成されているため、突出部30自体の強度が不足する懸念がある。しかも強度と剛性の高い炭素繊維強化樹脂製のプレート部26の縁部26bと、これにより強度と剛性の低い樹脂製の突出部30との境界に応力集中を生じ易くなる。そのため、電子機器10の落下時等の衝撃により、突出部30が根本である上記境界で折れてしまう懸念もある。この点、本実施形態の電子機器10は、炭素繊維強化樹脂製のプレート部26を延長したプレート突出部32を突出部30に設けている。このため突出部30は強度と剛性の高い炭素繊維強化樹脂製のプレート突出部32によって補強され、上記のような問題の発生を抑制できる。
【0043】
またフレーム部27は突出部30の外縁に沿って起立する立壁23aを有する。立壁23aは、突出部30の突出方向に直交する幅方向で中央部よりも端部30a,30bの壁厚を大きくした厚肉部34を有してもよい。そうすると突出部30は、プレート突出部32のみならず、フレーム部27の厚肉部34によってさらに補強され、その強度と剛性が一層向上する。厚肉部34は端部30a,30bの一方のみに設けてもよいが、強度バランスを考慮すると両端部30a,30bに設けることが好ましい。
【0044】
電子機器10は、突出部30を貫通する孔部36と、プレート部26の外面20bに固定され、孔部36を塞ぐ蓋部材38とを備えてもよい。そうすると突出部30は、孔部36によってZ方向のスペースが拡大されるため、例えばZ方向での厚みを要するカメラモジュール31等の電子部品も収容できる。
【0045】
この際、プレート部26の外面20bは湾曲した曲面20cを有し、蓋部材38はプレート部26の外面20bに対する固定面38a,38f,38gが曲面20cに沿って湾曲している。このため蓋部材38は、炭素繊維強化樹脂製のプレート部26に切削等の形状加工を施すことなく曲面20cに密着することができる。すなわち、例えば蓋部材38の固定面38a,38f,38gが湾曲面ではなく平面で形成されている場合、プレート部26には蓋部材38を設置するために斜面を平面とする切欠き加工を施す必要がある。そうすると、プレート突出部32を含むプレート部26の強度が低下し、特に突出部30の強度低下が懸念される。この点、本実施形態の蓋部材38は外面20bに追従できる固定面38a,38f,38gを用いることでこのような問題の発生を回避できる。
【0046】
なお、本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0047】
10 電子機器
11 第1筐体
18 ディスプレイパネル
20 筐体部材
23,23a 立壁
26 プレート部
27 フレーム部
30 突出部
31 カメラモジュール
32 プレート突出部
34 厚肉部
36 孔部
38 蓋部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9