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  • 特開-電動弁制御装置 図1
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  • 特開-電動弁制御装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171076
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】電動弁制御装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 31/04 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
F16K31/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087953
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000143949
【氏名又は名称】株式会社鷺宮製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100115048
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 康弘
(72)【発明者】
【氏名】河村 政則
(72)【発明者】
【氏名】萩坂 悠樹
【テーマコード(参考)】
3H062
【Fターム(参考)】
3H062BB30
3H062CC02
3H062CC15
3H062HH04
3H062HH08
3H062HH09
(57)【要約】
【課題】システムの小型化や低コスト化を図ることを目的とする。
【解決手段】パルスコンバータ1は、電子膨張弁10の弁開度を示す信号が入力されるアナログ入力部2と、電子膨張弁10の弁開度を示す信号を、電子膨張弁を駆動する駆動パルスに変換するマイコン3と、駆動パルスに基づき電子膨張弁10を駆動する電子膨張弁駆動回路4と、アナログ入力部2、マイコン3及び電子膨張弁駆動回路4を供給電源30から絶縁するとともに、供給電源30から供給される電圧に基づいて所定の電圧を生成し、アナログ入力部2、マイコン3及び電子膨張弁駆動回路4に供給する電源回路A5を備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電動弁の弁開度を示す信号が入力される入力回路部と、
前記電動弁の弁開度を示す信号を、前記電動弁を駆動するパルス信号に変換する制御部と、
前記パルス信号に基づき前記電動弁を駆動する駆動回路と、
前記入力回路部、前記制御部及び前記駆動回路を外部電源から絶縁するとともに、前記外部電源から供給される電圧に基づいて所定の電圧を生成し、前記入力回路部、前記制御部及び前記駆動回路に供給する絶縁型電源回路と、
を備えることを特徴とする電動弁制御装置。
【請求項2】
前記絶縁型電源回路は、絶縁型DC/DCコンバータで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動弁制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子膨張弁等の電動弁の弁開度を制御する電動弁制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、冷凍機や半導体製造装置用チラーなどには電子膨張弁などの電動弁が用いられている。この種の電動弁はステッピングモータを用いることで精密な開閉制御を行うことができる。
【0003】
そして、このような電動弁は、温度調節器等の制御装置から出力されるアナログ信号をパルス駆動装置(パルス出力ユニット、パルスコンバータともいう)でパルス信号に変換し駆動制御される(例えば特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011-220451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
例えば温度調節箇所が複数になる等により電動弁が複数必要となると、パルス駆動装置も複数必要となる。そこで、複数のパルス駆動装置に電源を供給するように外部電源を共通化することが考えられる。しかしながら、外部電源を共通化すると、外部電源で発生したノイズ等の外乱が全てのパルス駆動装置や電動弁に伝播して影響を与えてしまう。また、特定の電動弁やパルス駆動装置で発生した外乱が電源線を介して他のパルス駆動装置や他の電動弁に伝播して影響を与えてしまう。
【0006】
詳細を図面を参照して説明する。図3は、複数のパルス駆動装置に電源を供給するように外部電源を共通化した場合の構成例である。図3において、符号100A、100B、100Cはパルス駆動装置、符号101A、101B、101Cは電動弁(例えば電子膨張弁)である。パルス駆動装置100Aは電動弁101Aを駆動し、パルス駆動装置100Bは電動弁101Bを駆動し、パルス駆動装置100Cは電動弁101Cを駆動する。また、符号102は外部電源である。外部電源102は渡り配線によりパルス駆動装置100A、100B、100Cに接続されている。
【0007】
図3の構成において、外部電源102A側で外乱が発生すると、電源線を通してパルス駆動装置100A、100B、100C及び電動弁101A、101B、101Cに外乱が伝播する(図3左)。一方、負荷側(パルス駆動装置や電動弁)で外乱が発生すると、電源線を通して外部電源102や他のパルス駆動装置や電動弁に外乱が伝播する(図3右)。図3右側の図では、電動弁101Aで発生した外乱がパルス駆動装置100Aや他のパルス駆動装置、他の電動弁及び外部電源102に伝播することを示している。
【0008】
そこで、従来は、図4に示したように個別に外部電源を設けることで対処していた。図4では、外部電源102Aをパルス駆動装置100A専用とし、パルス駆動装置100Bには外部電源102Bを、パルス駆動装置100Cには外部電源102Cをそれぞれ設けている。このようにすることで、外部電源102A側で外乱が発生しても、パルス駆動装置100B、100C及び電動弁101B、101Cには影響しない(図4左)。一方、電動弁101Aで外乱が発生しても、パルス駆動装置100B、100Cや電動弁101B、101Cには影響しない(図4右)。
【0009】
しかしながら、図4に示したように個別に外部電源を設けると、電源装置の数が増加し、システムが大型化するとともにコストが増加してしまう。
【0010】
そこで、本発明は、システムの小型化や低コスト化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた発明は、電動弁の弁開度を示す信号が入力される入力回路部と、前記入力回路部を介して前記電動弁の開度信号に変換する制御部と、前記開度信号に基づき前記電動弁を駆動する駆動回路と、前記入力回路部、前記制御部及び前記駆動回路を外部電源から絶縁するとともに、前記外部電源から供給される電圧に基づいて所定の電圧を生成し、前記入力回路部、前記制御部及び前記駆動回路に供給する絶縁型電源回路と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、絶縁型電源回路により入力回路、制御部及び駆動回路が外部電源から絶縁されるため、外乱が電源線を介して他の電動弁制御装置や電動弁に伝播することがなくなる。したがって、外部電源を共通化して数を削減することができ、システムの小型化や低コスト化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態にかかる電動弁制御装置を備えるシステムの概略構成図である。
図2図1に示された電動弁制御装置を備えるシステムの作用の説明図である。
図3】従来の電動弁制御装置における課題の説明図である。
図4】従来の課題の解決方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施形態に係る電動弁制御装置を説明する。図1は、本実施形態にかかる電動弁制御装置を備える電動弁制御システムの概略構成図である。
【0015】
図1に示した電動弁制御システムは、パルスコンバータ1と、電子膨張弁10と、設定装置20と、供給電源30と、を備えている。図1では、パルスコンバータ1は符号1A、1Bの2つを示しているが3以上設けられていてもよい。電子膨張弁10は符号10A、10Bの2つを備えている。設定装置20は、符号20A、20Bの2つを備えている。電子膨張弁10や設定装置20もパルスコンバータ1と同様に3以上設けられていてもよい。
【0016】
パルスコンバータ1は、本実施形態にかかる電動弁制御装置として機能する。パルスコンバータ1は、アナログ入力部2と、マイコン3と、電子膨張弁駆動回路4と、電源回路A5と、電源回路B6と、電源回路C7と、を備えている。
【0017】
アナログ入力部2は、設定装置20から入力された電動弁の開度を示す信号電流を電圧に変換するI/V変換回路や、I/V変換回路で変換された電圧をマイコン3に適した電圧値に変換する演算増幅回路等を備えている。即ち、アナログ入力部2は、電子膨張弁10(電動弁)の弁開度を示す信号が入力される入力回路部として機能する。
【0018】
マイコン3は、A/D変換回路、CPU(Central Processing Unit)、I/O回路、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access memory)を備えたマイクロコンピュータである。マイコン3は、A/D変換回路でデジタル信号に変換された弁開度信号を、電子膨張弁10を駆動させるための駆動パルスに変換し、I/O回路、電子膨張弁駆動回路4を介して電子膨張弁10の弁開度の制御を行っている。即ち、マイコン3は、信号電流(電動弁の弁開度を示す信号)を、電子膨張弁10を駆動する駆動パルス(パルス信号)に変換する制御部として機能する。
【0019】
電子膨張弁駆動回路4は、マイコン3から出力された駆動パルスに基づいて、電子膨張弁10を駆動させ、弁開度の制御を行っている。即ち、電子膨張弁駆動回路4は、駆動パルス(パルス信号)に基づき電動弁を駆動する駆動回路として機能する。
【0020】
電源回路A5は、外部電源である供給電源30から供給されるDC24Vの電圧を電源回路B6や電源回路C7等に供給する。また、電源回路A5は、供給電源30側(1次側)と電源回路B6等の内部回路側(2次側)とを絶縁する絶縁型電源回路で構成されている。具体的には、電源回路A5は、絶縁型のDC/DCコンバータで構成することができる。
【0021】
即ち、電源回路A5は、アナログ入力部2(入力回路)、マイコン3(制御部)及び電子膨張弁駆動回路4(駆動回路)を供給電源30(外部電源)から絶縁するとともに、供給電源30(外部電源)から供給される電圧に基づいて所定の電圧を生成し、アナログ入力部2(入力回路)、マイコン3(制御部)及び電子膨張弁駆動回路4(駆動回路)に供給する絶縁型電源回路として機能する。
【0022】
電源回路B6は、電源回路A5から供給された電圧をDC12Vに変換して出力する。電源回路B6変換されたDC12Vは例えば電子膨張弁10に供給される。
【0023】
電源回路C7は、電源回路B6から供給された電圧をDC5Vに変換して出力する。電源回路C7変換されたDC5Vは例えばマイコン3等に供給される。
【0024】
電子膨張弁10は、本実施形態における電動弁の一形態である。電子膨張弁10は、例えば冷凍機や半導体製造装置用チラーなどに設けられている。電子膨張弁10は、上述したようにステッピングモータを有しており、パルスコンバータ1によって開閉制御される。
【0025】
設定装置20は、パルスコンバータ1に弁開度を設定する装置であり、電動弁の開度を示す信号電流を出力する。設定装置20は、例えば冷凍機や半導体製造装置用チラーなどの所定の部位で測定された温度に基づいて弁開度などの制御信号を出力する温度調節器として構成することができる。また、設定装置20は例えばPLC(Programmable Logic Controller)で構成することができる。
【0026】
供給電源30は、外部電源であり、DC24Vをパルスコンバータ1に供給する。供給電源30とパルスコンバータ1A、1Bとは、電源線PLにより渡り配線で接続されている。
【0027】
上述した構成の電動弁制御システムの作用について図2を参照して説明する。図2は、図1に示した構成を図3図4のように簡略化したものである。なお、図2に示したパルスコンバータ1Cは、図1に示したパルスコンバータ1A、1Bと同様の構成であり、図2に示した電子膨張弁10Cは、図1に示した電子膨張弁10A、10Bと同様の構成である。また、図1に示した設定装置20は図示を省略する。
【0028】
上述したように、パルスコンバータ1は、電源回路A5によって、1次側と2次側とが電気的に絶縁されている。そのため、供給電源30で外乱が発生しても2次側には伝播しない。したがって、アナログ入力部2、マイコン3及び電子膨張弁駆動回路4等のパルスコンバータ1の内部回路や、電子膨張弁10に外乱が伝播するのを防止できる(図2左)。
【0029】
一方、例えば電子膨張弁10Aで外乱が発生しても電源回路A5によって1次側には伝播しない。したがって、供給電源30や電源線PLで接続されたパルスコンバータ1B、1C、電子膨張弁10B、10Cに外乱が伝播するのを防止できる(図2右)。
【0030】
本実施形態によれば、パルスコンバータ1は、電子膨張弁10の弁開度を示す信号が入力されるアナログ入力部2と、電子膨張弁10の弁開度を示す信号を、電子膨張弁を駆動する駆動パルスに変換するマイコン3と、駆動パルスに基づき電子膨張弁10を駆動する電子膨張弁駆動回路4と、を備えている。さらに、パルスコンバータ1は、アナログ入力部2、マイコン3及び電子膨張弁駆動回路4を供給電源30から絶縁するとともに、供給電源30から供給される電圧に基づいて所定の電圧を生成し、アナログ入力部2、マイコン3及び電子膨張弁駆動回路4に供給する電源回路A5を備えている。
【0031】
パルスコンバータ1を上記のように構成することにより、電源回路A5によりアナログ入力部2、マイコン3及び電子膨張弁駆動回路4が供給電源30から絶縁されるため、外乱が電源線PLを介して他のパルスコンバータ1や電子膨張弁10に伝播することがなくなる。したがって、供給電源30を共通化して数を削減することができ、システムの小型化や低コスト化を図ることができる。
【0032】
また、絶縁型DC/DCコンバータで構成されているため、特別な回路を設計することなく、既存の部品を利用して低コスト化を図ることができる。
【0033】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の電動弁制御装置の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0034】
1 パルスコンバータ(電動弁制御装置)
2 アナログ入力部(入力回路部)
3 マイコン(制御部)
4 電子膨張弁駆動回路(駆動回路)
5 電源回路A(絶縁型電源回路、絶縁型DC/DCコンバータ)
10 電子膨張弁(電動弁)
図1
図2
図3
図4