(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171086
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】シミュレーション装置およびシミュレーション方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20241204BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20241204BHJP
【FI】
G06F30/13
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087967
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】中薗 淳
【テーマコード(参考)】
5B146
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146AA17
5B146DJ11
5B146DJ15
5B146EC04
5B146EC05
5B146EC06
5B146EC08
5B146EC09
5B146FA02
5L049CC04
5L049DD02
5L050CC04
5L050DD02
(57)【要約】
【課題】生産フロアのフロアレイアウトの設計を効率化し、さらにフロア構築後の修正あるいは再設計の手戻りを抑制する。
【解決手段】シミュレーション装置1は、三次元仮想空間内に、対象生産装置101Aを含む複数の生産装置101と、対象生産装置101Aが利用する部材が保管される保管エリア103と、が配置された生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成するフロアレイアウト生成部12と、生産フロアの生産計画に係る生産計画情報と、第1のロボットが部材を対象生産装置101Aへ運搬する段取り計画に係る段取り計画情報と、に基づいて、三次元フロアレイアウトにおける、保管エリアから取り出された部材を対象生産装置101Aに運搬する第1のロボットの動作をシミュレートするシミュレーションを行うシミュレート部32と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
三次元仮想空間内に、対象生産装置を含む複数の生産装置と、前記対象生産装置が利用する部材が保管される保管エリアと、が配置された生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成するフロアレイアウト生成部と、
前記生産フロアの生産計画に係る生産計画情報と、第1のロボットが前記部材を前記対象生産装置へ運搬する段取り計画に係る段取り計画情報と、に基づいて、前記三次元フロアレイアウトにおける、前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬する前記第1のロボットの動作をシミュレートするシミュレーションを行うシミュレート部と、を備える
シミュレーション装置。
【請求項2】
さらに、前記三次元フロアレイアウトに基づいて、前記第1のロボットが前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬することが可能か否かを判定する第1の判定を行うレイアウト判定部を備え、
前記シミュレート部は、前記レイアウト判定部が、前記第1の判定において、前記第1のロボットが前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬することが可能であると判定した場合に限って、前記シミュレーションを行う
請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項3】
前記レイアウト判定部は、前記第1のロボットが前記複数の生産装置の間を通って、前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬することが可能か否かに基づいて、前記第1の判定を行う
請求項2に記載のシミュレーション装置。
【請求項4】
前記レイアウト判定部は、前記三次元フロアレイアウトにおける前記複数の生産装置の間隔の少なくとも1つに基づいて、前記第1の判定を行う
請求項3に記載のシミュレーション装置。
【請求項5】
前記三次元フロアレイアウトにおいて、前記保管エリアには、前記部材を保管する保管棚が配置され、
前記レイアウト判定部は、さらに、前記三次元フロアレイアウトに基づいて、第2のロボットが前記保管棚から前記部材を取り出すことができるか否かを判定する第2の判定を行い、
前記シミュレート部は、前記レイアウト判定部が、前記第2の判定において、前記第2のロボットが前記保管棚から前記部材を取り出すことができると判定した場合に限って、前記シミュレーションを行う
請求項2に記載のシミュレーション装置。
【請求項6】
前記レイアウト判定部は、前記三次元フロアレイアウトにおける、前記保管棚に保管された前記部材の高さに基づいて、前記第2の判定を行う
請求項5に記載のシミュレーション装置。
【請求項7】
前記三次元フロアレイアウトにおいて、前記保管エリアには、前記部材を保管する保管棚が配置され、
前記レイアウト判定部は、さらに、前記三次元フロアレイアウトに基づいて、前記第1のロボットが前記保管棚から前記部材を取り出すことができるか否かを判定する第2の判定を行い、
前記シミュレート部は、前記レイアウト判定部が、前記第2の判定において、前記第1のロボットが前記保管棚から前記部材を取り出すことができると判定した場合に限って、前記シミュレーションを行う
請求項2に記載のシミュレーション装置。
【請求項8】
前記レイアウト判定部は、前記三次元フロアレイアウトにおける、前記保管棚に保管された前記部材の高さに基づいて、前記第2の判定を行う
請求項7に記載のシミュレーション装置。
【請求項9】
さらに、
前記レイアウト判定部が、前記第1の判定において、前記第1のロボットが前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬することが可能でないと判定した場合に、前記第1のロボットが前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬することが可能でない状況を示す三次元画像を生成する三次元画像生成部と、
前記三次元画像をディスプレイに出力する出力部と、を備える
請求項2に記載のシミュレーション装置。
【請求項10】
前記シミュレート部は、さらに、前記シミュレーションの結果に基づいて、前記生産計画に対して、前記生産フロアで行う生産に遅れが生じるか否かを判定する第3の判定を行う
請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項11】
さらに、
前記シミュレート部が、前記第3の判定において、前記生産計画に対して、前記生産フロアで行う生産に遅れが生じると判定した場合に、前記生産計画に対して、前記生産フロアで行う生産に遅れが生じる状況を示す三次元画像を生成する三次元画像生成部と、
前記三次元画像をディスプレイに出力する出力部と、を備える
請求項10に記載のシミュレーション装置。
【請求項12】
さらに、
前記シミュレーションの結果に基づいて、前記三次元仮想空間内の予め定められた複数のビュースポットから選択された1つのビュースポットから観測される、前記シミュレーションにおける前記第1のロボットの動作を示す三次元映像を生成する三次元映像生成部と、
前記三次元映像をディスプレイに出力する出力部と、を備える
請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項13】
さらに、
前記シミュレーションの結果に基づいて、前記生産フロアを俯瞰するビュースポットから観測される、前記シミュレーションにおける前記第1のロボットの動作を示す三次元映像を生成する三次元映像生成部と、
前記三次元映像をディスプレイに出力する出力部と、を備える
請求項1に記載のシミュレーション装置。
【請求項14】
前記ディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイであり、
前記三次元映像生成部は、前記ヘッドマウントディスプレイの向きに基づいて、前記三次元映像を生成する
請求項13に記載のシミュレーション装置。
【請求項15】
前記三次元映像は、前記ヘッドマウントディスプレイを装着する人物のアバターの映像を含む
請求項14に記載のシミュレーション装置。
【請求項16】
三次元仮想空間内に、対象生産装置を含む複数の生産装置と、前記対象生産装置が利用する部材が保管される保管エリアと、が配置された生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成し、
前記生産フロアの生産計画に係る生産計画情報と、第1のロボットが前記部材を前記対象生産装置へ運搬する段取り計画に係る段取り計画情報と、に基づいて、前記三次元フロアレイアウトにおける、前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬する前記第1のロボットの動作をシミュレートするシミュレーションを行う
シミュレーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットの動作をシミュレートするシミュレーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生産フロアに、生産装置、生産装置が利用する部材が保管される保管エリア等が配置されたフロアレイアウトを生成するフロアレイアウト生成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産技術者等の人手によって設計された生産フロアのフロアレイアウト、あるいは、フロアレイアウト生成装置により生成されたフロアレイアウトに基づいて生産フロアに生産装置、保管エリア等を配置した後に、その生産フロアでは生産計画通りに生産できないことが判明する場合がある。
【0005】
このような場合には、フロアレイアウトを修正したり、場合によっては再設計するといった手戻りが発生する。そして、この手戻りにより、生産計画の遅延が発生する。
【0006】
そこで本願は、フロアレイアウトに基づいて生産フロアに生産装置、保管エリア等を配置した後における、フロアレイアウトを修正あるいは再設計する手戻りの発生を抑制することができるシミュレーション装置およびシミュレーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るシミュレーション装置は、三次元仮想空間内に、対象生産装置を含む複数の生産装置と、前記対象生産装置が利用する部材が保管される保管エリアと、が配置された生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成するフロアレイアウト生成部と、前記生産フロアの生産計画に係る生産計画情報と、第1のロボットが前記部材を前記対象生産装置へ運搬する段取り計画に係る段取り計画情報と、に基づいて、前記三次元フロアレイアウトにおける、前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬する前記第1のロボットの動作をシミュレートするシミュレーションを行うシミュレート部と、を備える。
【0008】
本開示の一態様に係るシミュレーション方法は、三次元仮想空間内に、対象生産装置を含む複数の生産装置と、前記対象生産装置が利用する部材が保管される保管エリアと、が配置された生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成し、前記生産フロアの生産計画に係る生産計画情報と、第1のロボットが前記部材を前記対象生産装置へ運搬する段取り計画に係る段取り計画情報と、に基づいて、前記三次元フロアレイアウトにおける、前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬する前記第1のロボットの動作をシミュレートするシミュレーションを行う。
【発明の効果】
【0009】
本開示の一態様に係るシミュレーション装置およびシミュレーション方法によると、フロアレイアウトに基づいて生産フロアに生産装置、保管エリア等を配置した後における、フロアレイアウトを修正あるいは再設計する手戻りの発生を抑制することができる
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施の形態に係るシミュレーション装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係るフロアレイアウト生成部が生成する生産フロアの三次元レイアウトの一例を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係るレイアウト警告一覧画像の一例を示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る第1の三次元画像生成部が生成する三次元画像の一例を示す模式図である。
【
図5】
図5は、実施の形態に係る段取り警告一覧画像の一例を示す模式図である。
【
図6】
図6は、実施の形態に係る第2の三次元画像生成部が生成する三次元画像の一例を示す模式図である。
【
図7】
図7は、実施の形態に係るビュースポット選択部が生成するビュースポット選択画像の一例を示す模式図である。
【
図8】
図8は、実施の形態に係るシミュレーション処理の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(本開示の一態様を得るに至った経緯)
上述したように、生産フロアに生産装置、保管エリア等を配置した後に、その生産フロアでは生産計画通りに生産できないことが判明してしまうと、フロアレイアウトを再作成する手戻りによる、生産ロスが発生する。
【0012】
発明者らは、このような生産ロスをなくすために、生産フロアに生産装置、保管エリア等を配置した後に、その生産フロアでは生産計画通りに生産できないことが判明するという事態の発生を抑制する方法について、鋭意実験、検討を繰り返し行った。
【0013】
その結果、発明者らは、下記本開示に係るシミュレーション装置およびシミュレーション方法に想到した。
【0014】
本開示の一態様に係るシミュレーション装置は、三次元仮想空間内に、対象生産装置を含む複数の生産装置と、前記対象生産装置が利用する部材が保管される保管エリアと、が配置された生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成するフロアレイアウト生成部と、前記生産フロアの生産計画に係る生産計画情報と、第1のロボットが前記部材を前記対象生産装置へ運搬する段取り計画に係る段取り計画情報と、に基づいて、前記三次元フロアレイアウトにおける、前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬する前記第1のロボットの動作をシミュレートするシミュレーションを行うシミュレート部と、を備える。
【0015】
上記構成のシミュレーション装置によると、シミュレーション装置を利用するユーザは、生産フロアに実際に生産装置、保管エリア等を配置するよりも前に、シミュレーションにおける第1のロボットの動作を確認して、生産フロアの三次元フロアレイアウトにおける問題点を洗い出すことができる。
【0016】
このため、上記構成のシミュレーション装置を利用するユーザは、洗い出された問題点に基づいて、生産フロアに実際に生産装置、保管エリア等を配置するよりも前に、洗い出された問題点を解消する、より優れた生産フロアの三次元フロアレイアウトを再生成することができる。
【0017】
したがって、上記構成のシミュレーション装置によると、フロアレイアウトに基づいて生産フロアに生産装置、保管エリア等を配置した後における、フロアレイアウトを修正あるいは再設計する手戻りの発生を抑制することができる。
【0018】
また、さらに、前記三次元フロアレイアウトに基づいて、前記第1のロボットが前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬することが可能か否かを判定する第1の判定を行うレイアウト判定部を備え、前記シミュレート部は、前記レイアウト判定部が、前記第1の判定において、前記第1のロボットが前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬することが可能であると判定した場合に限って、前記シミュレーションを行うとしてもよい。
【0019】
一般に、保管エリアから取り出された部材を対象生産装置に運搬することができない生産フロアの三次元フロアプランレイアウトでは、シミュレーションを実行するまでもなく、その生産フロアの生産計画通りに生産できないことが明らかである。
【0020】
上記構成のシミュレーション装置によると、シミュレーションを実行するまでもなく明らかに生産計画通りに生産できない上記生産フロアの三次元フロアレイアウトに対して、シミュレーションを実行することを抑制することができる。
【0021】
また、前記レイアウト判定部は、前記第1のロボットが前記複数の生産装置の間を通って、前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬することが可能か否かに基づいて、前記第1の判定を行うとしてもよい。
【0022】
これにより、第1のロボットが複数の生産装置の間を通って部位材を対象生産装置に運搬することができない場合に、第1のロボットが部材を対象生産装置に運搬することができないと判定することができる。
【0023】
また、前記レイアウト判定部は、前記三次元フロアレイアウトにおける前記複数の生産装置の間隔の少なくとも1つに基づいて、前記第1の判定を行うとしてもよい。
【0024】
これにより、複数の生産装置の間隔の少なくとも1つに基づいて、第1のロボットが複数の生産装置の間を通って部位材を対象生産装置に運搬することができるか否かを判定することができる。
【0025】
また、前記三次元フロアレイアウトにおいて、前記保管エリアには、前記部材を保管する保管棚が配置され、前記レイアウト判定部は、さらに、前記三次元フロアレイアウトに基づいて、第2のロボットが前記保管棚から前記部材を取り出すことができるか否かを判定する第2の判定を行い、前記シミュレート部は、前記レイアウト判定部が、前記第2の判定において、前記第2のロボットが前記保管棚から前記部材を取り出すことができると判定した場合に限って、前記シミュレーションを行うとしてもよい。
【0026】
一般に、保管棚から部材を取り出すことができない生産フロアの三次元フロアプランレイアウトでは、シミュレーションを実行するまでもなく、その生産フロアの生産計画通りに生産できないことが明らかである。
【0027】
上記構成のシミュレーション装置によると、シミュレーションを実行するまでもなく明らかに生産計画通りに生産できない上記生産フロアの三次元フロアレイアウトに対して、シミュレーションを実行することを抑制することができる。
【0028】
また、前記レイアウト判定部は、前記三次元フロアレイアウトにおける、前記保管棚に保管された前記部材の高さに基づいて、前記第2の判定を行うとしてもよい。
【0029】
これにより、保管棚に保管された部材の高さに基づいて、第2のロボットが管理棚から部材を取り出すことができるか否かを判定することができる。
【0030】
また、前記三次元フロアレイアウトにおいて、前記保管エリアには、前記部材を保管する保管棚が配置され、前記レイアウト判定部は、さらに、前記三次元フロアレイアウトに基づいて、前記第1のロボットが前記保管棚から前記部材を取り出すことができるか否かを判定する第2の判定を行い、前記シミュレート部は、前記レイアウト判定部が、前記第2の判定において、前記第1のロボットが前記保管棚から前記部材を取り出すことができると判定した場合に限って、前記シミュレーションを行うとしてもよい。
【0031】
一般に、保管棚から部材を取り出すことができない生産フロアの三次元フロアプランレイアウトでは、シミュレーションを実行するまでもなく、その生産フロアの生産計画通りに生産できないことが明らかである。
【0032】
上記構成のシミュレーション装置によると、シミュレーションを実行するまでもなく明らかに生産計画通りに生産できない上記生産フロアの三次元フロアレイアウトに対して、シミュレーションを実行することを抑制することができる。
【0033】
また、前記レイアウト判定部は、前記三次元フロアレイアウトにおける、前記保管棚に保管された前記部材の高さに基づいて、前記第2の判定を行うとしてもよい。
【0034】
これにより、保管棚に保管された部材の高さに基づいて、第1のロボットが管理棚から部材を取り出すことができるか否かを判定することができる。
【0035】
また、さらに、前記レイアウト判定部が、前記第1の判定において、前記第1のロボットが前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬することが可能でないと判定した場合に、前記第1のロボットが前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬することが可能でない状況を示す三次元画像を生成する三次元画像生成部と、前記三次元画像をディスプレイに出力する出力部と、を備えるとしてもよい。
【0036】
これにより、上記構成のシミュレーション装置を利用するユーザは、視覚的に、第1のロボットが部材を対象生産装置に運搬することができない状況を確認することができる。
【0037】
また、前記シミュレート部は、さらに、前記シミュレーションの結果に基づいて、前記生産計画に対して、前記生産フロアで行う生産に遅れが生じるか否かを判定する第3の判定を行うとしてもよい。
【0038】
これにより、上記構成のシミュレーション装置を利用するユーザは、生産フロアに実際に生産装置、保管エリア等を配置するよりも前に、生産計画に対して、その生産フロアで行う生産に遅れが生じるか否かを知ることができる。
【0039】
また、さらに、前記シミュレート部が、前記第3の判定において、前記生産計画に対して、前記生産フロアで行う生産に遅れが生じると判定した場合に、前記生産計画に対して、前記生産フロアで行う生産に遅れが生じる状況を示す三次元画像を生成する三次元画像生成部と、前記三次元画像をディスプレイに出力する出力部と、を備えるとしてもよい。
【0040】
これにより、上記構成のシミュレーション装置を利用するユーザは、視覚的に、生産計画に対して、その生産フロアで行う生産に遅れが生じる状況を把握することができる。
【0041】
また、さらに、前記シミュレーションの結果に基づいて、前記三次元仮想空間内の予め定められた複数のビュースポットから選択された1つのビュースポットから観測される、前記シミュレーションにおける前記第1のロボットの動作を示す三次元映像を生成する三次元映像生成部と、前記三次元映像をディスプレイに出力する出力部と、を備えるとしてもよい。
【0042】
これにより、上記構成のシミュレーション装置を利用するユーザは、あたかも自分自身が仮想三次元空間に入り込んで観測しているかのごとく、視覚的に、第1のロボットの動作を把握することができる。
【0043】
また、さらに、前記シミュレーションの結果に基づいて、前記生産フロアを俯瞰するビュースポットから観測される、前記シミュレーションにおける前記第1のロボットの動作を示す三次元映像を生成する三次元映像生成部と、前記三次元映像をディスプレイに出力する出力部と、を備えるとしてもよい。
【0044】
これにより、上記構成のシミュレーション装置を利用するユーザは、あたかも自分自身が仮想三次元空間に入り込んで観測しているかのごとく、視覚的に、第1のロボットの動作を把握することができる。
【0045】
また、前記ディスプレイは、ヘッドマウントディスプレイであり、前記三次元映像生成部は、前記ヘッドマウントディスプレイの向きに基づいて、前記三次元映像を生成するとしてもよい。
【0046】
これにより、上記構成のシミュレーション装置を利用するユーザは、あたかも自分の頭を動かしながら観測しているかのごとく、視覚的に、第1のロボットの動作を把握することができる。
【0047】
また、前記三次元映像は、前記ヘッドマウントディスプレイを装着する人物のアバターの映像を含むとしてもよい。
【0048】
これにより、上記構成のシミュレーション装置を利用するユーザは、よりリアリティをもって、視覚的に、第1のロボットの動作を把握することができる。
【0049】
本開示の一態様に係るシミュレーション方法は、三次元仮想空間内に、対象生産装置を含む複数の生産装置と、前記対象生産装置が利用する部材が保管される保管エリアと、が配置された生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成し、前記生産フロアの生産計画に係る生産計画情報と、第1のロボットが前記部材を前記対象生産装置へ運搬する段取り計画に係る段取り計画情報と、に基づいて、前記三次元フロアレイアウトにおける、前記保管エリアから取り出された前記部材を前記対象生産装置に運搬する前記第1のロボットの動作をシミュレートするシミュレーションを行う。
【0050】
上記シミュレーション方法によると、シミュレーション方法を利用するユーザは、生産フロアに実際に生産装置、保管エリア等を配置するよりも前に、シミュレーションにおける第1のロボットの動作を確認して、生産フロアの三次元フロアレイアウトにおける問題点を洗い出すことができる。
【0051】
このため、上記シミュレーション方法を利用するユーザは、洗い出された問題点に基づいて、生産フロアに実際に生産装置、保管エリア等を配置するよりも前に、洗い出された問題点を解消する、より優れた生産フロアの三次元フロアレイアウトを再生成することができる。
【0052】
したがって、上記シミュレーション方法によると、フロアレイアウトに基づいて生産フロアに生産装置、保管エリア等を配置した後における、フロアレイアウトを修正あるいは再設計する手戻りの発生を抑制することができる。
【0053】
以下、本開示の一態様に係るシミュレーション装置の具体例について、図面を参照しながら説明する。ここで示す実施の形態は、いずれも本開示の一具体例を示すものである。従って、以下の実施の形態で示される数値、形状、構成要素、構成要素の配置および接続形態、ならびに、ステップ(工程)およびステップの順序等は、一例であって本開示を限定する趣旨ではない。また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。各図において、実質的に同一の構成に対しては同一の符号を付しており、重複する説明は省略または簡略化する。
【0054】
(実施の形態)
<構成>
図1は、実施の形態に係るシミュレーション装置1の構成を示すブロック図である。
【0055】
図1に示すように、シミュレーション装置1は、フロアレイアウトエディタ10と、稼働シナリオエディタ20と、仮想フロアシミュレータ30と、出力部40と、を備える。
【0056】
シミュレーション装置1は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、メモリと、入出力インターフェースとを備えるコンピュータ装置において、CPUがメモリに記憶されたプログラムを実行することで実現される。
【0057】
フロアレイアウトエディタ10は、生産フロアの三次元フロアレイアウトを、三次元仮想空間内に構築するためのエディタである。
【0058】
図1に示すように、フロアレイアウトエディタ10は、モデル記憶部11と、フロアレイアウト生成部12と、レイアウト判定部13と、第1の三次元画像生成部14とを備える。
【0059】
モデル記憶部11は、三次元仮想空間内に配置するオブジェクトの三次元モデルを記憶する。モデル記憶部11が記憶する三次元モデルには、例えば、生産フロアに配置される設備、生産フロアに配置される生産装置、生産装置が利用する部材、部材を保管する保管棚、保管棚から部材を取り出すためのロボット、保管棚から取り出された部材を生産装置に運搬するためのロボット等の三次元モデルが含まれる。ここで、ロボットとは、例えば、AMR(Autonomous Mobile Robot)や、ロボットアーム等である。
【0060】
また、モデル記憶部11は、ロボットの三次元モデルに加えて、人間のオペレータの三次元モデルを記憶するとしてもよい。
【0061】
本実施の形態においては、ロボットの運用方法として、1つのロボット(第1のロボット)が、保管棚からの部材の取り出しと、保管棚から取り出された部材の運搬とを双方を行う第1の運用方法と、1つのロボット(第2のロボット)が、保管棚からの部材の取り出しを行い、別の1つのロボット(第1のロボット)が、保管棚から取り出された部材の運搬を行う第2の運用方法とが想定されるとして説明する。
【0062】
なお、第2の運用方法では、例えば、取り出しロボット(第2のロボット)は、ロボットアームを有し、移動可能に構成され、部材(例えばリール)を取り出して、取り出した部材を自ら移動して中継地点に集め、運搬ロボット(第1のロボット)は、中継地点に集められた部材を生産装置まで運搬するとしてもよい。ここで、例えば、取り出しロボット(第2のロボット)は、移動可能でないとしてもよい。この場合、取り出しロボット(第2のロボット)は、取り出しのみを行い、運搬ロボット(第1のロボット)は、運搬を全て担当するとしてもよい。
【0063】
フロアレイアウト生成部12は、フロアレイアウトエディタ10を利用するユーザによるフロアレイアウトエディタ10への操作に基づいて、三次元仮想空間内に、対象生産装置を含む複数の生産装置と、対象生産装置が利用する部材が保管される保管エリアと、が配置された生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成する。
【0064】
フロアレイアウト生成部12が生成した生産フロアの三次元フロアレイアウトは、例えば、後述する出力部40により、外部装置であるディスプレイ100に、三次元ビューア画像として出力される。
【0065】
図2は、フロアレイアウト生成部12が生成する生産フロアの三次元フロアレイアウトの一例を示す模式図である。
【0066】
図2に示すように、フロアレイアウト生成部12は、例えば、対象生産装置101Aと、対象生産装置101A以外の生産装置である生産装置101Bと、対象生産装置101Aおよび生産装置101Bが利用する部材が保管される保管エリア103と、が配置された生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成する。例えば、保管エリア103には、部材を保管するための保管棚が配置されている。
【0067】
なお、以下、対象生産装置101Aと生産装置101Bとを区別して表記する必要が無い場合は、対象生産装置101Aと生産装置101Bとを生産装置101と称することもある。
【0068】
再び
図1に戻って、シミュレーション装置1の説明を続ける。
【0069】
レイアウト判定部13は、フロアレイアウト生成部12が生成した生産フロアの三次元フロアレイアウトにおける、空間上の干渉の有無を判定する。
【0070】
レイアウト判定部13は、例えば、三次元仮想空間内に配置されたオブジェクトの形状、オブジェクトの位置、オブジェクトの仕様等に基づいて、三次元仮想空間における静的な干渉の有無を判定する。
【0071】
レイアウト判定部13は、例えば、フロアレイアウト生成部12が生成した生産フロアの三次元フロアレイアウトに基づいて、その生産フロアの三次元フロアレイアウトに配置されたロボットが、その生産フロアの三次元フロアレイアウトに配置された保管棚に保管された、対象生産装置が利用する部材を取り出すことができるか否かを判定する(本願において、この判定のことを「第2の判定」とも称する)。そして、レイアウト判定部13は、例えば、部材を取り出すことができないと判定した場合に、三次元仮想空間における干渉があると判定する。
【0072】
ここで、レイアウト判定部13は、例えば、第1のロボットが保管棚から部材を取り出して、保管棚から取り出された部材を対象生産装置101Aに運搬する場合には、第1のロボットが保管棚から部材を取り出すことができるか否かを判定するとしてもよい。
【0073】
また、レイアウト判定部13は、例えば、第2のロボットが保管棚から部材を取り出して、第2のロボットにより保管棚から取り出された部材を、第1のロボットが対象生産装置101Aに運搬する場合には、第2のロボットが保管棚から部材を取り出すことができるか否かを判定するとしてもよい。
【0074】
レイアウト判定部13は、例えば、保管棚に保管された部材の高さに基づいて、ロボットが保管棚から部材を取り出すことができるか否かを判定してもよい。
【0075】
レイアウト判定部13は、例えば、フロアレイアウト生成部12が生成した生産フロアの三次元フロアレイアウトに基づいて、ロボットが、保管エリア103から取り出された部材を対象生産装置101Aに運搬することが可能か否かを判定する(本願において、この判定のことを「第1の判定」とも称する)。そして、レイアウト判定部13は、例えば、保管エリア103から取り出された部材を対象生産装置101Aに運搬するロボットが、複数の生産装置101の間を通って、その部材を対象生産装置101Aに運搬することができないと判定した場合に、三次元仮想空間における干渉があると判定する。
【0076】
ここで、レイアウト判定部13は、例えば、保管エリア103から取り出された部材を対象生産装置101Aに運搬するロボットが、複数の生産装置101の間を通って、その部材を対象生産装置101Aに運搬することが可能であるか否かに基づいて第1の判定を行うとしてもよい。
【0077】
この際、レイアウト判定部13は、例えば、フロアレイアウトエディタ10が生成した生産フロアの三次元フロアレイアウトにおける複数の生産装置101の間隔の少なくとも1つに基づいて、保管エリア103から取り出された部材を対象生産装置101Aに運搬するロボットが、複数の生産装置101の間を通って、その部材を対象生産装置101Aに運搬することが可能であるか否かを判定するとしてもよい。より詳細には、レイアウト判定部13は、複数の生産装置101の間隔のうち最も小さい間隔に基づいて、上記判定を行うとしてもよい。
【0078】
レイアウト判定部13は、三次元仮想空間における静的な干渉があると判定した場合に、判定した干渉のそれぞれを項目化して一覧表示するレイアウト警告一覧画像を生成する。
【0079】
図3は、レイアウト判定部13が生成するレイアウト警告一覧画像の一例を示す模式図である。
【0080】
図3に示すように、レイアウト警告一覧画像は、レイアウト判定部13が判定した干渉のそれぞれを示す1以上の項目110(図中の第1の項目110A、第2の項目110B、第3の項目110C、第4の項目110D、第5の項目110E、第6の項目110Fが対応)を一覧表示する画像である。
【0081】
再び
図1に戻って、シミュレーション装置1の説明を続ける。
【0082】
第1の三次元画像生成部14は、フロアレイアウトエディタ10を利用するユーザにより、レイアウト警告画面に表示された1以上の項目110の内の1つが選択された場合に、その選択された項目に対応する、三次元仮想空間における静的な干渉の様子を示す三次元画像を生成する。
【0083】
第1の三次元画像生成部14が生成した三次元画像は、例えば、後述する出力部40により、外部装置であるディスプレイ100に、三次元ビューア画像に重畳して表示させるように出力される。
【0084】
図4は、第1の三次元画像生成部14が生成する三次元画像の一例を示す模式図である。
【0085】
図4に示すように、第1の三次元画像生成部14は、例えば、生産フロアの三次元フロアレイアウトに配置されたロボットが、その生産フロアの三次元フロアレイアウトに配置された保管棚に保管された、対象生産装置が利用する部材を取り出すことができない状況を示す三次元画像を生成する。
【0086】
図4に示すように、第1の三次元画像生成部14が生成する三次元画像には、例えば、生成する3次元画像に対して、干渉が生じている状況を説明する文字が付加されているとしてもよい。
【0087】
フロアレイアウトエディタ10を利用するユーザは、レイアウト判定部13が行う判定の結果に基づいて、生成する生産フロアの三次元フロアレイアウトを変更することができる。
【0088】
または、フロアレイアウトエディタ10を利用するユーザは、レイアウト判定部13が行う判定の結果に基づいて、生成する生産フロアの三次元フロアレイアウトを変更せずに、配置するロボットを変更してもよい。この際、フロアレイアウト生成部12は、ユーザが、ロボットのメーカ名、または、型番のリストから配置するロボットを変更できるような処理を行ってもよいし、ロボットのスペック(例えば、移動速度、ロボットアーム長等)のリストから配置するロボットを変更できるような処理を行ってもよいし、異なるロボット間で判定結果を比較できるような処理を行ってもよいし、ユーザが新たなスペックのロボットを登録して新たに登録したロボットにロボットを変更できるような処理を行ってもよい。
【0089】
再び
図1に戻って、シミュレーション装置1の説明を続ける。
【0090】
稼働シナリオエディタ20は、フロアレイアウトエディタ10が生成の対象とした生産フロアについての、その生産フロアの生産計画を示す生産計画情報と、その生産フロアに配置する1以上のロボットが、その生産フロアの保管エリアに保管される部材を複数の生産装置のそれぞれへ運搬する段取り計画を示す段取り計画情報とに基づいて、各ロボットの移動経路、把持動作等を決定するためのエディタである。
【0091】
生産計画情報は、例えば、どの生産装置(例えば生産ライン)で、どのロットを、どの順番で、いつまでに生産するという情報、各ロットを生産するためには、どの部材が、何個必要であるかという情報等である。
【0092】
段取り計画情報は、例えば、どのロボットが、どの部材を、どの生産装置に、いつまでに、何個供給するかという情報等である。
【0093】
稼働シナリオエディタ20は、レイアウト判定部13により、空間上の干渉がないと判定された生産フロアの三次元フロアレイアウトに限って、生産計画情報と段取り計画情報とに基づいて、各ロボットの移動経路、把持動作等を決定する。
【0094】
図1に示すように、稼働シナリオエディタ20は、シナリオ生成部22と、シミュレート部23と、第2の三次元画像生成部24とを備える。
【0095】
シナリオ生成部22は、稼働シナリオエディタ20を利用するユーザによる稼働シナリオエディタ20への操作に基づいて、生産計画情報と段取り計画情報とを取得する。
【0096】
シミュレート部23は、シナリオ生成部22が取得した生産計画情報および段取り計画情報に基づいて、フロアレイアウト生成部12が生成した生産フロアの三次元フロアレイアウトにおける、保管エリア103から取り出された部材を対象生産装置101Aに運搬するロボットの動作をシミュレートするシミュレーションを行う。
【0097】
ここで、シミュレート部23は、必ずしも、ロボットが行う動作の全工程をシミュレートする構成に限定される必要はない。例えば、シミュレート部23は、ロボットが行う動作の全工程のうち、保管エリア103内において保管棚から部材が取り出された後においてロボットが行う動作の工程をシミュレートする構成であってもよい。
【0098】
シミュレート部23は、さらに、シミュレーションの結果に基づいて、生産フロアで、生産計画情報が示す生産計画通りに生産できるか否かを判定する、すなわち、生産計画に対して生産に遅れが生じるか否かを判定する(本願において、この判定のことを「第3の判定」とも称する)。ここで、シミュレート部23が行ったシミュレーションの結果には、例えば、シミュレーションにおけるロボットの動作を示す時系列データが含まれていてもよい。この場合、シミュレート部23は、シミュレーションにおけるロボットの動作を示す時系列データに基づいて、生産計画に対して生産に遅れが生じるか否かを判定する。
【0099】
シミュレート部23は、さらに、生産計画の妥当性、または/および、段取り計画の妥当性を判定するとしてもよい。
【0100】
シミュレート部23は、さらに、生産フロアの三次元フロアレイアウトに配置可能な設備、または/および、ロボットが複数種類存在する場合には、それら設備、または/および、ロボットの種類ごとに、生産計画の妥当性、または/および、段取り計画の妥当性を判定するとしてもよい。
【0101】
第2の三次元画像生成部24は、シミュレート部23が、生産計画に対して生産に遅れが生じると判定した場合に、生産計画に対して、生産フロアで行う生産に遅れが生じる状況を示す三次元画像を生成する。
【0102】
第2の三次元画像生成部24は、例えば、生産が遅れる状況のそれぞれを項目化して一覧表示する段取り警告一覧画像を生成するとしてもよい。
【0103】
図5は、第2の三次元画像生成部24が生成する段取り警告一覧画像の一例を示す模式図である。
【0104】
図5に示すように、段取り警告一覧画像は、生産が遅れる状況のそれぞれを示す1以上の項目210(図中の第1の項目210A、第2の項目210B、第3の項目210C、第4の項目210D、第5の項目210E、第6の項目210Fが対応)を一覧表示する画像である。
【0105】
第2の三次元画像生成部24は、例えば、フロアレイアウトエディタ10を利用するユーザにより、段取り警告画面に表示された1以上の項目210の内の1つが選択された場合に、その選択された項目に対応する、生産が遅れると判定した原因を示す三次元画像を生成する。
【0106】
第2の三次元画像生成部24が生成した三次元画像は、例えば、後述する出力部40により、外部装置であるディスプレイ100に、三次元ビューア画像に重畳して表示させるように出力される。
【0107】
図6は、第2の三次元画像生成部24が生成する三次元画像の一例を示す模式図である。
【0108】
図6に示すように、第2の三次元画像生成部24は、例えば、生産フロアの三次元フロアレイアウトに配置されたロボットの台数が足りないことが原因で生産が遅れる状況を示す三次元画像を生成する。
【0109】
図6に示すように、第2の三次元画像生成部24が生成する三次元画像には、例えば、生産が遅れると判定した原因を説明する文字が付加されているとしてもよい。
【0110】
また、第2の三次元画像生成部24は、フロアレイアウトエディタ10を利用するユーザにより、段取り警告画面に表示された1以上の項目210の内の1つが選択された場合に、その選択された項目に対応する、生産が遅れている状況を示す三次元画像または三次元映像を生成するとしてもよい。
【0111】
例えば、第2の三次元画像生成部24は、部材が届かないために生産装置101のアラームが点滅している状況を示す三次元映像を生成するとしてもよい。
【0112】
稼働シナリオエディタ20を利用するユーザは、シミュレート部23が行う判定の結果に基づいて、生産計画情報、および/または、段取り計画情報を変更することができる。
【0113】
再び
図1に戻って、シミュレーション装置1の説明を続ける。
【0114】
仮想フロアシミュレータ30は、シミュレート部23によるシミュレーションの結果に基づく三次元映像を生成する。
【0115】
図1に示すように、仮想フロアシミュレータ30は、ビュースポット選択部33と、三次元映像生成部34とを備える。
【0116】
ビュースポット選択部33は、仮想フロアシミュレータ30を利用するユーザによる仮想フロアシミュレータへの操作に基づいて、三次元仮想空間内の予め定められた複数のビュースポットのうちの1つのビュースポットを選択する。
【0117】
ビュースポット選択部33は、例えば、ユーザに対して、複数のビュースポットの中から1つのビュースポットを選択させるためのビュースポット選択画像を生成し、生成したビュースポット選択画像が、後述する出力部40により、外部装置であるディスプレイ100に表示させるように出力されるとしてもよい。
【0118】
図7は、ビュースポット選択部33が生成するビュースポット選択画像の一例を示す模式図である。
【0119】
図7に示すように、ビュースポット選択部33は、例えば、予め定められた11個のビュースポット200の中から1つのビュースポット200を選択させるためのビュースポット選択画像を生成する。
【0120】
再び
図1に戻って、シミュレーション装置1の説明を続ける。
【0121】
三次元映像生成部34は、シミュレート部23が行ったシミュレーションの結果に基づいて、ビュースポット選択部33により選択されたビュースポットから観察される、そのシミュレーションにおけるロボットの動作を示す三次元映像を生成する。ここで、シミュレート部23が行ったシミュレーションの結果には、例えば、シミュレーションにおけるロボットの動作を示す時系列データが含まれていてもよい。この場合、三次元映像生成部34は、シミュレート部23から出力される、シミュレーションにおけるロボットの動作を示す時系列データに基づいて、そのシミュレーションにおけるロボットの動作を示す三次元映像を生成する。
【0122】
また、三次元映像生成部34は、シミュレート部23が行ったシミュレーションの結果に基づいて、生産フロアを俯瞰するビュースポットから観測される、そのシミュレーションにおけるロボットの動作を示す三次元映像を生成するとしてもよい。
【0123】
三次元映像生成部34が生成した三次元映像は、後述する出力部40により、外部装置であるディスプレイ100に出力される。
【0124】
ディスプレイ100が、ヘッドマウントディスプレイである場合には、三次元映像生成部34は、例えば、そのヘッドマウントディスプレイの向きに基づいて、三次元映像を生成するとしてもよいし、例えば、そのヘッドマウントディスプレイを装着する人物のアバターの映像を含む三次元画像を生成するとしてもよい。
【0125】
また、例えば、ビュースポット選択部33により選択されたビュースポットに、移動可能な範囲が設定されている場合には、三次元映像生成部34は、生成する三次元映像に、設定された移動可能な範囲を示す映像を含ませるとしてもよいし、設定された移動可能な範囲を逸脱しそうになった場合に、移動可能な範囲からの逸脱を警告する画像を含ませるとしてもよい。
【0126】
これにより、ヘッドマウントディスプレイを装着する人物が、実世界の空間における安全でない領域(例えば、実世界の空間が屋内の部屋である場合における、その部屋の壁が存在する領域)に移動してしまう恐れを抑制することができる。
【0127】
また、三次元映像生成部34は、例えば、シミュレーションの対象となるロボットが複数ある場合には、複数のロボットのそれぞれに対応する複数の三次元映像を生成するとしてもよい。この場合、ビュースポット選択部33は、生成するビュースポット選択画像に、複数のビュースポットそれぞれに対して、そのビュースポットからロボットの動きを観察することができる三次元映像の一覧を重畳して表示するとしてもよい。
【0128】
出力部40は、シミュレート部23が行ったシミュレーションの結果を出力する。より具体的には、出力部40は、三次元映像生成部34が生成した三次元映像を、外部装置であるディスプレイ100に表示させるように出力する。
【0129】
出力部40は、さらに、フロアレイアウト生成部12が生成した生産フロアの三次元フロアレイアウトを示す三次元ビューア画像を、ディスプレイ100に表示させるように出力する。
【0130】
また、出力部40は、第1の三次元画像生成部14が三次元画像を生成した場合には、ディスプレイ100に、その三次元画像を三次元ビューア画像に重畳して表示させるように出力する。
【0131】
また、出力部40は、第2の三次元画像生成部24が三次元画像を生成した場合には、ディスプレイ100に、その三次元画像を三次元ビューア画像に重畳して表示させるように出力する。
【0132】
また、出力部40は、ビュースポット選択部33がビュースポット選択画像を生成した場合には、ディスプレイ100に、そのビュースポット選択画像を三次元ビューア画像に重畳して表示させるように出力する。
【0133】
<動作>
以下、上記構成のシミュレーション装置1が行う動作について説明する。
【0134】
シミュレーション装置1は、シミュレーション装置1を利用するユーザからの操作に基づいて、三次元仮想空間内に生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成し、生成した生産フロアの三次元フロアレイアウトに基づくシミュレーションを行うシミュレーション処理を行う。
【0135】
シミュレーション処理は、例えば、シミュレーション装置を利用するユーザが、シミュレーション装置1に対して、シミュレーション処理を開始する旨の操作を行うことで開始される。
【0136】
図8は、シミュレーション処理のフローチャートである。
【0137】
図8に示すように、シミュレーション処理が開始されると、フロアレイアウト生成部12は、フロアレイアウトエディタ10を利用するユーザによるフロアレイアウトエディタ10への操作に基づいて、三次元仮想空間内に、対象生産装置を含む複数の生産装置と、対象生産装置が利用する部材が保管される保管エリアと、が配置された生産フロアの三次元フロアレイアウトを生成する(ステップS100)。
【0138】
生産フロアの三次元フロアレイアウトが生成されると、レイアウト判定部13は、生成された生産フロアの三次元フロアレイアウトにおける、空間上の干渉の有無を判定する(ステップS110)。すなわち、レイアウト判定部13は、第1の判定、および/または、第2の判定を行う。
【0139】
レイアウト判定部13が空間上の干渉ありと判定した場合に(ステップS120:Yes)、再び、ステップS100の処理に進む。
【0140】
レイアウト判定部13が空間上の干渉なしと判定した場合に(ステップS120:No)、シナリオ生成部22は、稼働シナリオエディタ20を利用するユーザによる稼働シナリオエディタ20への操作に基づいて、生産計画情報と段取り計画情報とを取得する(ステップS130)。
【0141】
生産計画情報と段取り計画情報とが取得されると、シミュレート部23は、シナリオ生成部22が取得した生産計画情報および段取り計画情報に基づいて、フロアレイアウト生成部12が生成した生産フロアの三次元フロアレイアウトにおける、保管エリア103から取り出された部材を対象生産装置101Aに運搬するロボットの動作をシミュレートするシミュレーションを行い、その生産フロアで、その生産計画情報が示す生産計画通りに生産できるか否かを判定する、すなわち、生産計画に対して生産に遅れが生じるか否かを判定する(ステップS140)。すなわち、シミュレート部23は、第3の判定を行う。
【0142】
シミュレート部23が生産計画に対して生産に遅れが生じると判定した場合に(ステップS150:Yes)、第2の三次元画像生成部24は、生産計画に対して、生産フロアで行う生産に遅れが生じる状況を示す三次元画像を生成する(ステップS160)。
【0143】
三次元画像が生成されると、出力部40は、生成された三次元画像をディスプレイ100に表示させるように出力する。
【0144】
出力部40が三次元画像を出力すると、再び、ステップS130の処理に進む。
【0145】
シミュレート部23が生産計画に対して生産に遅れが生じないと判定した場合に(ステップS150:No)、ビュースポット選択部33は、仮想フロアシミュレータ30を利用するユーザによる仮想フロアシミュレータへの操作に基づいて、三次元仮想空間内の予め定められた複数のビュースポットのうちの1つのビュースポットを選択すし、三次元映像生成部34は、シミュレート部23が行ったシミュレーションの結果に基づいて、ビュースポット選択部33により選択されたビュースポットから観察される、そのシミュレーションにおけるロボットの動作を示す三次元映像を生成する(ステップS170)。なお、ステップS170の処理において、ビュースポット選択部33は、選択されたビュースポットではなく、生産フロアを俯瞰する固定されたビュースポットから観察されるロボットの動作を示す三次元映像を生成するとしてもよい。
【0146】
三次元映像が生成されると、出力部40は、生成された三次元映像をディスプレイ100に表示させるように出力する(ステップS180)。
【0147】
<考察>
上記構成のシミュレーション装置1によると、シミュレーション装置1を利用するユーザは、生産フロアに実際に生産装置、保管エリア等を配置するよりも前に、シミュレーションにおけるロボットの動作を確認して、生産フロアの三次元フロアレイアウトにおける問題点を洗い出すことができる。
【0148】
このため、上記構成のシミュレーション装置1を利用するユーザは、洗い出された問題点に基づいて、生産フロアに実際に生産装置、保管エリア等を配置するよりも前に、洗い出された問題点を解消する、より優れた生産フロアの三次元フロアレイアウトを再生成することができる。
【0149】
したがって、上記構成のシミュレーション装置1によると、フロアレイアウトに基づいて生産フロアに生産装置、保管エリア等を配置した後における、フロアレイアウトを修正あるいは再設計する手戻りの発生を抑制することができる。
【0150】
(補足)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態に基づいて説明した。しかしながら、本開示は、実施の形態に限定されるものではない。本開示の趣旨を逸脱しない限り、当業者が思いつく各種変形を本実施の形態に施したものや、実施の形態または変形例における構成要素を組み合わせて構築される形態も、本開示の1つまたは複数の態様の範囲内に含まれてもよい。
【0151】
(本開示の包括的または具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、プログラムまたはコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの非一時的な記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、プログラムおよび非一時的な記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本開示は、シミュレーション装置1が行う処理をコンピュータ装置に実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0152】
本開示は、ロボットの動作をシミュレートするシミュレーション装置等に広く利用可能である。
【符号の説明】
【0153】
1 シミュレーション装置
10 フロアレイアウトエディタ
11 モデル記憶部
12 フロアレイアウト生成部
13 レイアウト判定部
14 第1の三次元画像生成部
20 稼働シナリオエディタ
22 シナリオ生成部
23 シミュレート部
24 第2の三次元画像生成部
30 仮想フロアシミュレータ
33 ビュースポット選択部
34 三次元映像生成部
40 出力部
100 ディスプレイ
101、101B 生産装置
101A 対象生産装置
103 保管エリア
110、210 項目
110A、210A 第1の項目
110B、210B 第2の項目
110C、210C 第3の項目
110D、210D 第4の項目
110E、210E 第5の項目
110F、210F 第6の項目
200 ビュースポット