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特開2024-171087インプリント装置、インプリント方法、および物品の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171087
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】インプリント装置、インプリント方法、および物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20241204BHJP
   B29C 59/02 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H01L21/30 502D
B29C59/02 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087968
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】西田 敏彦
(72)【発明者】
【氏名】木村 淳
(72)【発明者】
【氏名】小林 謙一
【テーマコード(参考)】
4F209
5F146
【Fターム(参考)】
4F209AA44
4F209AF01
4F209AG05
4F209AH33
4F209AR12
4F209PA02
4F209PB01
4F209PN09
4F209PN13
4F209PN20
4F209PQ11
4F209PQ20
5F146AA31
(57)【要約】
【課題】 重ね合せ精度、歩留まりを向上させることができるインプリント装置、インプリント方法および物品の製造方法を提供する。
【解決手段】 型を用いて基板上にパターンを形成するインプリント装置であって、型を保持する型保持部と、基板を保持する基板保持部と、前記基板保持部に保持された前記基板の一部を前記型に近接または離間する方向に変形させる基板変形機構と、前記基板上のインプリント材を硬化させる硬化部と、前記型保持部、前記基板保持部、前記基板変形機構および前記硬化部の駆動を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記基板上の前記インプリント材と前記型とを接触させた状態での前記基板と前記型との位置合わせ、および前記位置合わせ後に前記硬化部による前記基板上の前記インプリント材の硬化、を制御するとともに、前記基板変形機構により、前記位置合わせと前記硬化とで前記基板の一部の変形状態を変更する、ことを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型を用いて基板上にパターンを形成するインプリント装置であって、
型を保持する型保持部と、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の一部を前記型に近接または離間する方向に変形させる基板変形機構と、
前記基板上のインプリント材を硬化させる硬化部と、
前記型保持部、前記基板保持部、前記基板変形機構および前記硬化部の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記基板上の前記インプリント材と前記型とを接触させた状態での前記基板と前記型との位置合わせ、および前記位置合わせ後に前記硬化部による前記基板上の前記インプリント材の硬化、を制御するとともに、
前記基板変形機構により、前記位置合わせと前記硬化とで前記基板の一部の変形状態を変更する、ことを特徴とするインプリント装置。
【請求項2】
前記型を前記インプリント材に接触させる前記基板上のショット領域として、前記型の一部が前記基板の外周端部からはみ出た状態で接触させる欠けショット領域を含み、
前記制御部は、
前記基板変形機構により、前記欠けショット領域において、前記位置合わせと前記硬化とで前記基板の一部の変形状態を変更する、
請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記欠けショット領域における前記位置合わせと前記硬化に際し、
前記位置合わせにおいては、前記基板変形機構により前記外周端部と前記型とが離間する方向に変形させた状態とし、
前記硬化においては、前記基板変形機構により前記外周端部と前記型とが近接する方向に変形させた状態とする、請求項2に記載のインプリント装置。
【請求項4】
前記型を前記インプリント材に接触させる前記基板上のショット領域として、前記型が前記基板の部分領域に全て接触する完全ショット領域を含み、
前記制御部は、前記完全ショット領域における前記位置合わせと前記硬化に際しては、
前記位置合わせと前記硬化とで前記基板の一部の変形状態を変更しない、
請求項3に記載のインプリント装置。
【請求項5】
あらかじめ取得された硬化時に発生するアライメント誤差量に基づいて前記位置合わせを行う請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項6】
前記基板変形機構が、基板の裏面を吸着保持する前記基板保持部の保持圧力によるものであることを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項7】
前記基板変形機構が、複数のアクチュエータ機構、基板裏面に圧力を印加する圧力印加機構、または基板裏面の複数の領域に区分けして静電吸着が可能な複数の静電吸着機構、のいずれかである請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項8】
前記位置合わせにおいて、計測されるアライメント計測値に基づいて、前記基板の変形量をリアルタイム制御することを特徴とする請求項1に記載のインプリント装置。
【請求項9】
型を用いて基板上にパターンを形成するインプリント方法であって、
前記基板上のインプリント材と前記型とを接触させた状態で前記基板と前記型との位置合わせを行う工程と、
前記位置合わせ工程の後に前記基板上の前記インプリント材を硬化させる工程と、
前記基板の一部を前記型に近接または離間する方向に変形させる工程と、
を有し、
前記位置合わせ工程と、前記硬化させる工程とで前記基板の一部の変形状態を変更する
ことを特徴とするインプリント方法。
【請求項10】
前記型を前記インプリント材に接触させる前記基板上のショット領域として、前記型の一部が前記基板の外周端部からはみ出た状態で接触させる欠けショット領域を含み、
前記欠けショット領域において、前記位置合わせ工程と、前記硬化させる工程とで前記基板の一部の変形状態を変更する
請求項9に記載のインプリント方法。
【請求項11】
前記欠けショット領域における前記位置合わせ工程と前記硬化させる工程に際し、
前記位置合わせ工程においては、前記外周端部と前記型とが離間する方向に変形させた状態とし、
前記硬化させる工程においては、前記外周端部と前記型とが近接する方向に変形させた状態とする、請求項10に記載のインプリント方法。
【請求項12】
前記型を前記インプリント材に接触させる前記基板上のショット領域として、前記型が前記基板の部分領域に全て接触する完全ショット領域を含み、
前記完全ショット領域における前記位置合わせと前記硬化に際しては、
前記位置合わせと前記硬化とで前記基板の一部の変形状態を変更しない、
請求項11に記載のインプリント方法。
【請求項13】
請求項1から8のいずれか一項に記載のインプリント装置を用いて基板上にパターンを形成する工程と、
前記パターンを用いて前記基板を加工する工程と、
加工された前記基板から物品を製造する工程と、
を含むことを特徴とする物品の製造方法。
【請求項14】
請求項9から12のいずれか一項に記載のインプリント方法を用いて基板上にパターンを形成する工程と、
前記パターンを用いて前記基板を加工する工程と、
加工された前記基板から物品を製造する工程と、
を含むことを特徴とする物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インプリント装置、インプリント方法、および物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスなどを製造するためのリソグラフィ技術として、モールド(型)を用いて基板上のインプリント材(硬化性組成物)を成形するインプリント技術が知られている。インプリント技術を用いたインプリント装置では、モールドと基板上のインプリント材とを接触させた状態でインプリント材を硬化させ、硬化したインプリント材から型を引き離すことで、基板上にインプリント材のパターンを形成することができる。
【0003】
インプリント装置では、型のパターンが形成されたパターン領域を、基板の転写領域(ショット領域)に高精度に位置合わせするとともに、パターン転写の欠落が無いように転写することが要求されている。これは特に基板外周部の欠けショット領域において、多くの課題を発生させている。
【0004】
そこで特許文献1は、基板外周の欠けショット領域での型と基板の接触時において、基板保持部の圧力を変化させ、基板外周部を変形させることで、型と基板の接触不良を低減し、パターン転写精度を向上させる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第6313840号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術では、型と基板外周部の欠けショット領域の重ね合わせを調整する際、基板最外周部から所定幅の領域においてインプリント材が配置されていない、あるいは、その内側の領域よりも配置される量が少ない場合がある。このような場合、型と基板を位置合わせする際の摩擦抵抗が増大し、これにより重ね合わせ精度が悪化する場合があった。
【0007】
また、基板外周部に塗布されたインプリント材の最外周部において、型と基板を離型する際に、最外周部のインプリント材が基板から剥がれ型に付着することで、次ショット以降に転写異常を発生させる可能性があった。
【0008】
本発明は上記課題に鑑み、重ね合せ精度と転写異常抑制の点で有利なインプリント方法、インプリント装置および物品の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
その目的を達成するために、本発明の一側面としてのインプリント装置は、
型を用いて基板上にインプリント材のパターンを形成するインプリント装置であって、
型を保持する型保持部と、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された基板の一部を型に近接または離間する方向に変形させる基板変形機構と、
前記基板上のインプリント材を硬化させる硬化部と、
前記型保持部、前記基板保持部、前記基板変形機構および前記硬化部の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記基板上の前記インプリント材と前記型とを接触させた状態での前記基板と前記型との位置合わせ、および前記硬化部による前記基板上の前記インプリント材の硬化、を制御するとともに、
前記基板変形機構により、前記位置合わせと前記硬化とで前記基板の一部の変形状態を変更する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、重ね合せ精度と転写異常抑制の点で有利なインプリント方法、インプリント装置および物品の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一側面としてのインプリント装置の構成を示す概略図である。
図2】第一の実施形態の基板保持部、インプリント方法を説明する図である。
図3】従来技術の課題を説明する図である。
図4】第一の実施形態のインプリント方法を説明する図である。
図5】インプリント装置の動作を説明するためのフローチャートである。
図6】第二の実施形態の基板保持部を上面から示す図である。
図7】物品の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。更に、添付図面においては、同一もしくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0013】
(第一の実施形態)
図1は、本発明の一側面としてのインプリント装置100の構成を示す概略図である。インプリント装置100は、物品としての半導体素子、液晶表示素子、磁気記憶媒体などのデバイスの製造工程であるリソグラフィ工程に採用され、基板にパターンを形成するリソグラフィ装置の一種である。インプリント装置100は、型(モールド)を用いて基板上にインプリント材のパターンを形成するインプリント処理を行う。具体的には、インプリント装置100は、基板上に供給(配置)された未硬化のインプリント材と型とを接触させ、インプリント材に硬化用のエネルギーを与えることにより、型のパターンが転写された硬化物のパターンを形成する。
【0014】
インプリント材としては、硬化用のエネルギーが与えられることにより硬化する硬化性組成物が材料として使用される。硬化用のエネルギーとしては、電磁波や熱などが用いられる。電磁波は、例えば、その波長が10nm以上1mm以下の範囲から選択される光、具体的には、赤外線、可視光線、紫外線などを含む。
【0015】
硬化性組成物は、光の照射、或いは、加熱により硬化する組成物である。光の照射により硬化する光硬化性組成物は、少なくとも重合性化合物と光重合開始剤とを含有し、必要に応じて、非重合性化合物又は溶剤を更に含有してもよい。非重合性化合物は、増感剤、水素供与体、内添型離型剤、界面活性剤、酸化防止剤、ポリマー成分などの群から選択される少なくとも一種である。
【0016】
インプリント材は、スピンコーターやスリットコーターによって基板上に膜状に付与されてもよい。また、インプリント材は、液体噴射ヘッドによって、液滴状、或いは、複数の液滴が繋がって形成された島状又は膜状で基板上に付与されてもよい。インプリント材の粘度(25℃における粘度)は、例えば、1mPa・s以上100mPa・s以下である。
【0017】
基板には、ガラス、セラミックス、金属、半導体、樹脂などが用いられ、必要に応じて、その表面に基板とは別の材料からなる部材が形成されていてもよい。具体的には、基板は、シリコンウエハ、化合物半導体ウエハ、石英ガラスなどを含む。
【0018】
本明細書及び添付図面では、基板が配置される面に平行な方向をXY平面とするXYZ座標系で方向を示す。XYZ座標系におけるX軸、Y軸及びZ軸のそれぞれに平行な方向をX方向、Y方向及びZ方向とし、X軸周りの回転、Y軸周りの回転及びZ軸周りの回転のそれぞれをθX、θY及びθZとする。
【0019】
インプリント装置100は、本実施形態では、インプリント材の硬化部として、光を照射することでインプリント材を硬化させる光照射部を有する構成を採用するが、これに限定されるものではない。例えば、インプリント装置100は、インプリント材の硬化法として、熱を与えることでインプリント材を硬化させる熱硬化法を採用することも可能である。
【0020】
インプリント装置100は、図1に示すように、プリアライメント部7と、ディスペンサ8と、オフアクシスアライメント計測系9と、アライメント計測系10と、を有する。また、インプリント装置100は、光透過部材13と、制御部14と、コンソール部15と、インプリント材を硬化させる硬化部としての照射部16と、充填モニタ17と、型ステージ5と、基板ステージ60と、を有する。
【0021】
照射部16は、型(モールド)3を介して、基板上のインプリント材に光(例えば、紫外線)を照射する。照射部16は、例えば、基板上のインプリント材を硬化させる光を射出する光源部161と、光源部161から射出された光を基板上のインプリント材に導くための光学部材162と、を含む。光学部材162は、光源部161から射出された光をインプリント処理に適切な光に調整するための光学素子を含む。
【0022】
型3は、矩形の外周形状を有する。型3の基板1に対向する面(パターン面)には、3次元状のパターン3aが形成されている。型3は、照射部16からの光(紫外線)を透過させることが可能な材質、例えば、石英ガラスなどで構成される。型3は、パターン3aの変形を容易にするためのキャビティ(凹部)3bを含む。キャビティ3bは、円形の平面形状を有し、その深さ(厚さ)は、型3の形状や材質に応じて適宜設定される。
【0023】
キャビティ3bの上方には、光透過部材13が配置されている。光透過部材13は、キャビティ3bと、型ステージ5に設けられた開口領域の一部とで囲まれる空間12を密閉空間とするための部材である。空間12に接続された圧力調整装置(不図示)を介して空間12の圧力を調整することで、型3のパターン3aを変形させること、例えば、型3のパターン3aを基板側に凸形状に変形させることができる。
【0024】
型ステージ5は、真空吸引力や静電力によって型3を保持する型保持部51と、型保持部51をZ方向(図1の上下方向)に駆動する型駆動部52と、型変形機構53と、を含む。型保持部51、型駆動部52、および型ステージ5は、その中心部に、照射部16からの光を基板上のインプリント材に照射するための開口領域が設けられている。
【0025】
型駆動部52は、例えば、ボイスコイルモータやエアシリンダなどのアクチュエータを含む。型駆動部52は、基板上のインプリント材に型3を接触させたり、基板上のインプリント材から型3を引き離したりするために、型保持部51(に保持された型3)をZ方向に駆動する。なお、型駆動部52は、Z方向だけではなく、X方向やY方向に型保持部51を駆動する機能(即ち、型3のX方向やY方向の位置を調整する機能)を有していてもよい。更に、型駆動部52は、型保持部51のθZ方向の位置を調整する機能や型保持部51の傾き(チルト)を調整するための機能を有していてもよい。
【0026】
型変形機構53は、型保持部51に保持された型3の側面に外力又は変位を与えることで、型3を変形させる。すなわち、型3のパターン3aを変形させ、型3の形状を補正することができる。型変形機構53は、例えば、複数のアクチュエータを含み、型3の各側面の複数の箇所を加圧するように構成されている。
【0027】
基板1には、複数のショット領域がマトリクス状に配列されている。ここで、ショット領域とは、1回のインプリント処理で型3のパターン3aが転写される領域(転写領域)を意味する。本実施形態では、基板1の有効面積(型3のパターン3aが転写される領域の総面積)を最大にするために、基板1の内側のショット領域だけではなく、基板1の外周を含む周辺ショット領域にもインプリント処理を行う。周辺ショット領域とは、一部が欠けている(基板1の外周からはみ出す)ショット領域であって、欠けショット領域とも称される。
【0028】
基板ステージ60は、基板1を保持する基板保持部2と、基板保持部2(に保持された基板1)をX方向及びY方向に駆動する基板駆動部61と、を含む。基板駆動部61は、例えば、リニアモータを含み、粗動駆動系や微動駆動系などの複数の駆動系から構成されていてもよい。また、基板駆動部61は、X方向及びY方向だけではなく、Z方向に基板保持部2を駆動する機能(即ち、基板1のZ方向の位置を調整する機能)を有していてもよい。更に、基板駆動部61は、基板保持部2のθZ方向の位置を調整する機能や基板保持部2の傾き(チルト)を調整するための機能を有していてもよい。
【0029】
プリアライメント部7は、基板1を搭載するプリアライメントステージ(不図示)と、プリアライメントステージに搭載された基板1の位置を計測するプリアライメントセンサ(不図示)と、を含む。プリアライメントセンサは、基板1に設けられたノッチやオリエンテーションフラットを検出することで、基板1の位置を計測する。プリアライメントセンサの計測結果に基づいてプリアライメントステージが駆動され、その位置で、プリアライメントステージに搭載された基板1を搬送ハンド(不図示)に渡す。そして、搬送ハンドは、基板1を基板保持部2に配置する。なお、プリアライメントステージを駆動する代わりに、プリアライメントセンサの計測結果に基づいて、プリアライメントステージから基板1を受け取る搬送ハンドの位置(受け取り位置)や搬送ハンドから基板1を受け取る基板保持部2の位置を変更してもよい。
【0030】
基板ステージ60の位置は、本実施形態では、筐体に設けられたスケールと、基板駆動部61に設けられたヘッド(光学機器)と、を含むエンコーダシステムを用いて計測されるが、これに限定されるものではない。例えば、基板ステージ60の位置は、筐体に設けられたレーザ干渉計と、基板駆動部61に設けられた反射ミラーと、を含む干渉計システムを用いて計測されてもよい。
【0031】
オフアクシスアライメント計測系9及びアライメント計測系10は、型3と基板1(の各ショット領域)との相対位置を計測するための事前アライメント計測に用いられる。オフアクシスアライメント計測系9及びアライメント計測系10は、それぞれ、制御部14の制御下において、装置座標を基準として基板1及び型3の位置を個別に計測する。アライメント計測系10は、型3に設けられたマークを検出(観察)することで、アライメント計測系10の位置基準で型3の位置を計測する。一方、オフアクシスアライメント計測系9は、基板保持部2に保持された基板1に設けられた複数のマークを検出することで、基板保持部2の位置基準で基板1(の各ショット領域)の位置を計測する。そして、基板1の全てのショット領域の位置座標を推定するための統計計算処理(グローバルアライメント)が実施される。
【0032】
更に、アライメント計測系10は、基板1に設けられたアライメントマークと型3に設けられたアライメントマークとのX方向及びY方向の位置ずれ(即ち、基板1と型3との位置ずれ)を計測する。制御部14の制御下において、アライメント計測系10で計測された位置ずれに基づいて基板ステージ60の位置を調整することで、型3(のパターン3a)と基板1(のショット領域)とを重ね合わせる(位置合わせする)。
【0033】
ディスペンサ8は、基板上にインプリント材を配置(供給)する機能を有する。ディスペンサ8は、例えば、基板上の各ショット領域に対して、インプリント材の液滴を吐出する。ディスペンサ8は、基板上の複数のショット領域に対して、各ショット領域にインプリント材を個々に配置してもよいし、幾つかのショット領域にインプリント材を一括して配置してもよい。
【0034】
充填モニタ17(スプレッドカメラ)は、基板上(のショット領域)に配置(供給)されたインプリント材と型3との接触状態を観察する。充填モニタ17で基板上のインプリント材と型3との接触状態を観察することで、パーティクルやインプリント材の未充填による欠陥箇所を特定することが可能となる。充填モニタ17は、例えば、光源と、撮像素子と、光学系と、を含む。光源には、インプリント材が感光しない波長の光を発するLEDなどが用いられ、撮像素子には、CCDセンサなどの2次元センサが用いられる。光学系は、光源からの光で基板1(のショット領域)を均一に照明する照明系と、基板1と撮像素子とを光学的に共役にする結像系と、を含む。
【0035】
制御部14は、例えば、CPUやメモリなどを含むコンピュータで構成され、メモリに格納されたプログラムに従ってインプリント装置100の各部を統括的に制御してインプリント装置100を動作させる。
【0036】
制御部14は、本実施形態では、型3を用いて基板上にインプリント材のパターンを形成する(型3のパターン3aを基板上のインプリント材に転写する)インプリント処理及びそれに関連する処理を制御する。ここで、インプリント処理は、典型的には、配置工程と、接触工程と、充填工程と、硬化工程と、離型工程と、を含む。配置工程は、基板上にインプリント材を配置(供給)する工程である。接触工程は、基板上のインプリント材と型3とを接触させる工程である。充填工程は、基板上のインプリント材と型3とを接触させた状態で、型3のパターン3aにインプリント材を充填させる工程である。硬化工程は、基板上のインプリント材と型3とを接触させた状態で、インプリント材を硬化させる工程である。離型工程は、基板上の硬化したインプリント材から型3を引き離す工程である。
【0037】
コンソール部15は、キーボードやマウスなどの入力装置及びディスプレイを備えるコンピュータを含み、インプリント装置100(制御部14)とユーザとの間で情報を共有するためのインタフェースである。コンソール部15は、ユーザによって入力されたインプリント処理に関する情報を、制御部14に出力(送信)する。コンソール部15に入力されたインプリント処理に関する情報は、ログとしてインプリント装置100に記録され、インプリント処理の前後で確認することが可能である。ここで、インプリント処理に関する情報は、基板上にインプリント材のパターンを形成する際の種々のインプリント条件が記述されたインプリントレシピを含む。インプリントレシピは、例えば、型3と基板上のインプリント材とを接触させる際に型3に与える力(押付力(押印力))、基板上のショット領域の配列を示すショットレイアウト、基板上に配置すべきインプリント材の液滴の配列を示すドロップパターンなどを含む。
【0038】
図2(c)乃至図2(e)は、図2(b)に示す基板保持部2のA-A断面図であって、基板上のショット領域11に対応する部分のみを示している。基板保持部2が有する基板変形機構として、複数の保持領域22a、22b及び22cが設けられ、それぞれ、管23a、23b及び23cを介して、圧力調整部26に接続されている。圧力調整部26は、複数の保持領域22a、22b及び22cのそれぞれと基板1(のショット領域11)との間の空間SPa、SPb及びSPcの圧力を調整する機能を有する。換言すれば、圧力調整部26は、複数の保持領域22a、22b及び22cのそれぞれにおいて、基板1の裏面に作用させる圧力を調整する機能を有する。本実施形態では、複数の保持領域22a、22b及び22cのそれぞれと基板1との間の空間SPa、SPb及びSpcの圧力は、制御部14の制御下において、圧力調整部26を介して独立に制御される。
【0039】
例えば、図2(d)は、基板1がフラットになるように、複数の保持領域22a、22b及び22cのそれぞれと基板1との間の空間SPa、SPb及びSpcの圧力が制御されている状態を示している。また、図2(e)は、図2(d)に示す状態から、保持領域22aと基板1との間の空間SPaの圧力を陽圧側に変化させ、基板1の一部(端部)を上向きに変形させた状態を示している。図2(c)は、図2(d)に示す状態から、保持領域22aと基板1との間の空間SPaの圧力を負圧側に変化させ、基板1の一部(端部)を下向きに変形させた状態を示している。
【0040】
このように、基板保持部2における複数の保持領域22a、22b及び22cのそれぞれと基板1との間の空間SPa、SPb及びSpcの圧力を制御することで、基板1の部分的な形状を比較的自由に変化させることが可能である。そこで、本実施形態では、このような機能を用いて、型3(のパターン3a)と基板1(のショット領域11)との重ね合わせ精度の向上と転写異常の抑制を実現させる。すなわち、制御部14は、基板上のインプリント材と型とを接触させた状態で位置合わせを行う際において、基板変形機構によって基板の一部を変形させる制御を行う。なお、型3と基板1との重ね合わせ精度は、例えば、アライメント計測系10を用いて計測することも可能であるし、インプリント装置100の外部装置である重ね合わせ検査装置を用いて計測することも可能である。パターン転写異常についても同様に、例えば、充填モニタ17を用いて計測することも可能であるし、インプリント装置100の外部装置である欠陥検査装置を用いて計測することも可能である。
【0041】
次に、図3を用いて従来技術のインプリント方法における課題を説明する。図3(a1)(a2)(a3)は従来技術での重ね合わせ精度が悪化する状態を、図3(b1)(b2)(b3)は、従来技術でのパターン転写異常が発生する状態を説明する。
【0042】
図3(a1)は型3と基板1の外周部がインプリント材4を介して接触した状態を示し、4aは基板1の周辺領域において基板1と型3とが通常よりも接近している領域を示している。また、基板1の周辺領域4aにおいては、インプリント材が薄膜化、あるいはインプリント材が無い状況も発生しうる。図3(a2)は、型3と基板1を離型した状態を示す。
【0043】
図3(a3)は、図3(a1)の状態でアライメント制御を行った場合の各時間での型3のアライメントマークと基板1のアライメントマークの相対位置誤差量を示す。
【0044】
図3(a1)では、領域4aにおいて、基板1と型3との接近、インプリント材が薄膜化、あるいはインプリント材が無い状況、などが発生することにより型3と基板1間の摩擦抵抗が増大し、この結果、基板ステージ60が型3に対して通常のステージ駆動力では相対移動できない状況が発生する。それにより、図3(a3)のように、アライメントマークの相対位置誤差量の振動平均値を3から0に低減できず、重ね合わせ精度が悪化する。
【0045】
なお、図3(a3)で振動波形が発生する理由は、型3と基板1の位置制御上の残差振動を意味する。これはインプリント材を硬化させること等で低減させることができる。
【0046】
一方、図3(b1)(b2)(b3)はパターン転写異常が発生する要因を示す。
【0047】
図3(b1)は型3と基板1の外周部がインプリント材4を介して接触した状態を示し、図3(a2)は型3と基板1を離型した状態を示す。図3(b3)は、図3(b1)の状態での、各時間での型3のアライメントマークと基板1のアライメントマークの相対位置誤差量を示す。図3(b1)にように、基板1の外周部にインプリント材4が十分に充填された場合は、インプリント材4と基板1間の摩擦抵抗が小さく、基板ステージ60が型3に対して相対移動できる。それにより、図3(b3)のように、アライメントマークの相対位置誤差量を低減でき、重ね合わせ精度が向上する。しかし、(b2)での離型時において、基板1外周部のインプリント材の一部4bが剥がれ、型3に付着している。これは、基板外周部の形状や基板、型の表面状態、基板、型のパターン構造、インプリント材の特性、インプリント材と基板間の密着性、基板保持部の基板の支持構造に依存するインプリント材の型への充填不良によって生じる。この剥がれが発生すると、次ショットの基板上に剥がれた余分なインプリント材が付着、転写され、このショットが転写異常ショットとなる。型に付着したインプリント材が次ショットで剥がれない場合、剥がれるまでパターン転写異常のショットが継続することになる。これは歩留まりを大きく悪化させる要因となる。
【0048】
図4(c1)から(c5)は、本実施形態の一例を説明するための図である。図4(c1)は、基板外周部にて、型と基板間の摩擦抵抗が大きくならないよう、基板変形機構の形状制御機能を用いて基板を下側(型と離間する方向)に曲げるように形状を制御している。これにより、(c4)のように、型と基板間の相対位置合わせが可能となる。図4(c2)は、基板外周部を型に近づける方向に変形させた状態を示し、図4(c4)の横軸5の相対位置誤差が任意の閾値を満たした時点から動作を開始する。すなわち、基板変形機構により、位置合わせ中にリアルタイムに変形制御させている。この結果、位置合わせと硬化とで基板の一部の変形状態を変更している。本動作により、インプリント材の型への充填不良を抑制し、剥がれによるパターン転写異常を改善できる。
【0049】
更に図4(c5)では、アライメント波形の振幅に応じて、基板変形量を制御する場合を説明する。アライメント開始時点では、型と基板間の摩擦抵抗が小さくなるよう、基板を曲げ(c1)、誤差が低減するにしたがって、基板を型に近づけるよう形状制御を行い、誤差が閾値に達した時点で更に基板を型に近づける方向に変形させ、誤差をより小さくする。これにより、重ね合わせ精度とパターン転写を高い水準で実現できる。
【0050】
また、基板の変形により発生するアライメント誤差をあらかじめ取得しておくことも好ましい。この場合、別基板を用いたインプリントによって硬化前の位置合わせ時のアライメント誤差量と、硬化後に測定したアライメント誤差量を計測しておき、あらかじめ得られたアライメント誤差量に基づいて位置合わせを行っても良い。
【0051】
次に、図5を用いて、本実施形態のインプリントシーケンスを説明する。S101にて、型(モールド)を、S102にて基板をインプリント装置に搬入する。S103にてインプリントするショットレイアウト、インプリント条件等の情報を、また、S104にて各ショットに対する基板変形制御情報を取得する。S104の情報は、ショットレイアウト情報から一意に決定されても、事前のインプリントやシミュレーション等の結果データを用いても良い。S105にて型と基板上のインプリント材を接触させ、インプリント材を型に充填させる。S106では、型と基板のアライメントマークの相対位置誤差が小さくなるようアライメントを行い、所望のアライメント閾値に達した時点から基板変形制御を行う。
【0052】
S107では型と基板外周部を近づける方向に基板外周部を変形させる。これにより、基板外周部までインプリント材が充填され、離型時のインプリント材の剥がれを抑制できる。その後、S108にてインプリント材を光硬化させ、S109にて離型する。S110にて、基板全面へのインプリントを完了したのちにS111にて基板を搬出する。
【0053】
上述のインプリントシーケンスは、型をインプリント材に接触させる基板上のショット領域として、型の一部が基板の外周端部からはみ出た状態で接触させる欠けショット領域を含むインプリントを行う際に有効である。すなわち、欠けショット領域において、位置合わせ工程と、硬化させる工程とで基板の一部の変形状態を変更するインプリント方法であると好ましい。
【0054】
また、欠けショット領域における位置合わせ工程と硬化させる工程に際し、位置合わせ工程においては、外周端部と型とが離間する方向に変形させた状態とし、硬化させる工程においては、外周端部と型とが近接する方向に変形させた状態とする、ことで位置合わせ時の摩擦抵抗を低減し、離型時の硬化物剥離を低減させることができる。
【0055】
また、型をインプリント材に接触させる基板上のショット領域として、型が基板の部分領域に全て接触する完全ショット領域を含む、すなわちインプリントを実施する基板上の複数のショット領域において、欠けショット領域と完全ショット領域の両方が存在する構成が好ましく、この場合、完全ショット領域における位置合わせと硬化に際しては、位置合わせと硬化とで基板の一部の変形状態を変更せず、欠けショット領域のみに本発明の変形状態の変更を行う、構成であることが好ましい。
【0056】
(第二の実施形態)
次に、図6に基づいて第二の実施形態を説明する。図6(a)および(b)はそれぞれ基板保持部の上面図であり、基板保持部構造の一例を示す。図6(a)は基板の形状を細かく制御できるよう、制御領域がショット領域よりも細分化されている。これにより、欠けショット領域内の所望の範囲のみの基板形状を精密に制御できる。
【0057】
図6(b)は、基板中心から放射状、かつ輪帯形状に分割されており、図2(b)よりも細分化されている。これにより、より精密な形状制御が可能となるとともに、圧力等を利用した制御方法の場合の形状制御応答性を高めることが可能となる。
【0058】
本実施形態の基板制御方法は、基板保持部から供給させる圧力や静電力に限定するものではなく、基板保持部自体が圧力等で変形することで、基板形状を変化させる方法や、アクチュエータ駆動による変形制御等でも構わない。
【0059】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は、これらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【0060】
(第三の実施形態、物品の製造方法)
インプリント装置を用いて成形した硬化物のパターンは、各種物品の少なくとも一部に恒久的に、或いは各種物品を製造する際に一時的に、用いられる。物品とは、電気回路素子、光学素子、MEMS、記録素子、センサ、或いは、モールド等である。電気回路素子としては、DRAM、SRAM、フラッシュメモリ、MRAMのような、揮発性或いは不揮発性の半導体メモリや、LSI、CCD、イメージセンサ、FPGAのような半導体素子等が挙げられる。モールドとしては、インプリント用のモールド等が挙げられる。
【0061】
硬化物のパターンは、上記物品の少なくとも一部の構成部材として、そのまま用いられるか、或いは、レジストパターンとして一時的に用いられる。基板の加工工程においてエッチング又はイオン注入等が行われた後、レジストパターンは除去される。
【0062】
次に、物品の具体的な製造方法について説明する。図7(a)に示すように、絶縁体等の被加工材2zが表面に成形されたシリコンウエハ等の基板1zを用意し、続いて、インクジェット法等により、被加工材2zの表面に光硬化材料3zを付与する。ここでは、複数の液滴状になった光硬化材料3zが基板上に付与された様子を示している。
【0063】
図7(b)に示すように、インプリント用のモールド4zを、その凹凸パターンが成形された側を基板上の光硬化材料3zに向け、対向させる。図7(c)に示すように、光硬化材料3zが付与された基板1zとモールド4zとを接触させ、圧力を加える。光硬化材料3zはモールド4zと被加工材2zとの隙間に充填される。この状態で硬化用のエネルギーとして光を、モールド4zを透して照射すると光硬化材料3zは硬化する。
【0064】
図7(d)に示すように、光硬化材料3zを硬化させた後、モールド4zと基板1zを引き離すと、基板1z上に光硬化材料3zの硬化物のパターンが成形される。この硬化物のパターンは、モールドの凹部が硬化物の凸部に、モールドの凹部が硬化物の凸部に対応した形状になっており、即ち、インプリント材3zにモールド4zの凹凸パターンが転写されたことになる。
【0065】
図7(e)に示すように、硬化物のパターンを耐エッチングパターンとしてエッチングを行うと、被加工材2zの表面のうち、硬化物が無いか或いは薄く残存した部分が除去され、溝5zとなる。図7(f)に示すように、硬化物のパターンを除去すると、被加工材2zの表面に溝5zが成形された物品を得ることができる。ここでは硬化物のパターンを除去したが、加工後も除去せずに、例えば、半導体素子等に含まれる層間絶縁用の膜、つまり、物品の構成部材として利用してもよい。
【0066】
<実施形態のまとめ>
本明細書の開示は、インプリント装置、インプリント方法、および物品製造方法を含む。
【0067】
(項目1)
型を用いて基板上にパターンを形成するインプリント装置であって、
型を保持する型保持部と、
基板を保持する基板保持部と、
前記基板保持部に保持された前記基板の一部を前記型に近接または離間する方向に変形させる基板変形機構と、
前記基板上のインプリント材を硬化させる硬化部と、
前記型保持部、前記基板保持部、前記基板変形機構および前記硬化部の駆動を制御する制御部と、を有し、
前記制御部は、
前記基板上の前記インプリント材と前記型とを接触させた状態での前記基板と前記型との位置合わせ、および前記位置合わせ後に前記硬化部による前記基板上の前記インプリント材の硬化、を制御するとともに、
前記基板変形機構により、前記位置合わせと前記硬化とで前記基板の一部の変形状態を変更する、ことを特徴とするインプリント装置。
【0068】
(項目2)
前記型を前記インプリント材に接触させる前記基板上のショット領域として、前記型の一部が前記基板の外周端部からはみ出た状態で接触させる欠けショット領域を含み、
前記制御部は、
前記基板変形機構により、前記欠けショット領域において、前記位置合わせと前記硬化とで前記基板の一部の変形状態を変更する、
項目1に記載のインプリント装置。
【0069】
(項目3)
前記制御部は、前記欠けショット領域における前記位置合わせと前記硬化に際し、
前記位置合わせにおいては、前記基板変形機構により前記外周端部と前記型とが離間する方向に変形させた状態とし、
前記硬化においては、前記基板変形機構により前記外周端部と前記型とが近接する方向に変形させた状態とする、項目2に記載のインプリント装置。
【0070】
(項目4)
前記型を前記インプリント材に接触させる前記基板上のショット領域として、前記型が前記基板の部分領域に全て接触する完全ショット領域を含み、
前記制御部は、前記完全ショット領域における前記位置合わせと前記硬化に際しては、
前記位置合わせと前記硬化とで前記基板の一部の変形状態を変更しない、
項目3に記載のインプリント装置。
【0071】
(項目5)
あらかじめ取得された硬化時に発生するアライメント誤差量に基づいて前記位置合わせを行う項目1から4のいずれかに記載のインプリント装置。
【0072】
(項目6)
前記基板変形機構が、基板の裏面を吸着保持する前記基板保持部の保持圧力によるものであることを特徴とする項目1から5のいずれかに記載のインプリント装置。
【0073】
(項目7)
前記基板変形機構が、複数のアクチュエータ機構、基板裏面に圧力を印加する圧力印加機構、または基板裏面の複数の領域に区分けして静電吸着が可能な複数の静電吸着機構、のいずれかである項目1から6のいずれかに記載のインプリント装置。
【0074】
(項目8)
前記位置合わせにおいて、計測されるアライメント計測値に基づいて、前記基板の変形量をリアルタイム制御することを特徴とする項目1から7のいずれかに記載のインプリント装置。
【0075】
(項目9)
型を用いて基板上にパターンを形成するインプリント方法であって、
前記基板上の前記インプリント材と前記型とを接触させた状態で前記基板と前記型との位置合わせを行う工程と、
前記位置合わせ工程の後に前記基板上の前記インプリント材を硬化させる工程と、
前記基板の一部を前記型に近接または離間する方向に変形させる工程と、
を有し、
前記位置合わせ工程と、前記硬化させる工程とで前記基板の一部の変形状態を変更する
ことを特徴とするインプリント方法。
【0076】
(項目10)
前記型を前記インプリント材に接触させる前記基板上のショット領域として、前記型の一部が前記基板の外周端部からはみ出た状態で接触させる欠けショット領域を含み、
前記欠けショット領域において、前記位置合わせ工程と、前記硬化させる工程とで前記基板の一部の変形状態を変更する
項目9に記載のインプリント方法。
【0077】
(項目11)
前記欠けショット領域における前記位置合わせ工程と前記硬化させる工程に際し、
前記位置合わせ工程においては、前記外周端部と前記型とが離間する方向に変形させた状態とし、
前記硬化させる工程においては、前記外周端部と前記型とが近接する方向に変形させた状態とする、項目10に記載のインプリント方法。
【0078】
(項目12)
前記型を前記インプリント材に接触させる前記基板上のショット領域として、前記型が前記基板の部分領域に全て接触する完全ショット領域を含み、
前記完全ショット領域における前記位置合わせと前記硬化に際しては、
前記位置合わせと前記硬化とで前記基板の一部の変形状態を変更しない、
項目11に記載のインプリント方法。
【0079】
(項目13)
項目1から8のいずれか一項に記載のインプリント装置を用いて基板上にパターンを形成する工程と、
前記パターンを用いて前記基板を加工する工程と、
加工された前記基板から物品を製造する工程と、
を含むことを特徴とする物品の製造方法。
【0080】
(項目14)
項目9から12のいずれか一項に記載のインプリント方法を用いて基板上にパターンを形成する工程と、
前記パターンを用いて前記基板を加工する工程と、
加工された前記基板から物品を製造する工程と、
を含むことを特徴とする物品の製造方法。
【符号の説明】
【0081】
1 基板
2 基板保持部
3 型
4 インプリント材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7