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特開2024-171089光電変換装置、光電変換システム、および移動体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171089
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】光電変換装置、光電変換システム、および移動体
(51)【国際特許分類】
   H01L 27/146 20060101AFI20241204BHJP
   H01L 21/3205 20060101ALI20241204BHJP
   H01L 21/822 20060101ALI20241204BHJP
   H01L 21/82 20060101ALI20241204BHJP
   H04N 25/70 20230101ALI20241204BHJP
【FI】
H01L27/146 A
H01L21/88 S
H01L21/88 Z
H01L27/04 D
H01L21/82 L
H04N25/70
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087970
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】白髭 大貴
(72)【発明者】
【氏名】三木 崇史
【テーマコード(参考)】
4M118
5C024
5F033
5F038
5F064
【Fターム(参考)】
4M118AA05
4M118AA10
4M118AB01
4M118BA06
4M118CA02
4M118DD04
4M118EA01
4M118EA20
4M118FA06
5C024CY47
5C024GX03
5C024GX07
5C024GX12
5C024GX16
5C024GX18
5C024GY31
5F033MM01
5F033MM22
5F033QQ48
5F033RR04
5F033RR06
5F033RR08
5F033UU03
5F033VV03
5F033XX01
5F033XX31
5F038BH10
5F038BH19
5F038CD03
5F064AA20
5F064BB35
5F064CC09
5F064DD19
5F064EE12
5F064EE16
5F064EE19
5F064EE22
5F064EE52
(57)【要約】
【課題】 フローティングディフュージョン(FD)に接続されていない配線の電位変動によるFDへの影響を抑制するためにメタル配線をシールドとして用いる場合の歩留まりを向上する。
【解決手段】 第1配線層に設けられ、フローティングディフュージョンと増幅トランジスタのゲートとを接続する第1配線と、第1配線層より上層の第2配線層に設けられ平面視において少なくとも一部が第1配線と重なるように配された金属からなるシールド部と、第2配線層より上層の第3配線層に設けられ平面視において少なくとも一部が第1配線と重なるように設けられた第2配線と、を有し、平面視において、シールド部の内部に複数の絶縁部を有する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光に基づく信号電荷を生成する光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷をフローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、
前記フローティングディフュージョンの電位に基づく信号が入力されるゲートを備える増幅トランジスタと、
少なくとも、第1配線層と、前記第1配線層よりも上層である第2配線層と、前記第2配線層よりも上層である第3配線層と、を有する配線構造体と、
前記第1配線層に設けられ、前記フローティングディフュージョンと前記ゲートとを接続する第1配線と、
前記第2配線層に設けられ、平面視において少なくとも一部が前記第1配線と重なるように配された金属からなるシールド部と、
前記第3配線層に設けられ、平面視において少なくとも一部が前記第1配線と重なるように設けられた第2配線と、を有し、
平面視において、前記シールド部の内部に複数の絶縁部を有すること
を特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記シールド部は、平面視において、前記第2配線に対して交差する方向に配されたパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記シールド部は、平面視において、前記第2配線に対して平行な方向に配されたパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記シールド部は、平面視において、前記第2配線に対して交差する方向および平行な方向に配されたパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記シールド部は、平面視において、一部が開口した形状になっていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記絶縁部は、平面視において、前記第2配線と重なる領域よりも、前記第2配線と重ならない領域の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第2配線は、前記増幅トランジスタに接続された出力線であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記第2配線は、前記光電変換装置が有する複数のトランジスタのうちの少なくともいずれかを制御する制御線であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記シールド部は、前記増幅トランジスタのソースと電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記複数の絶縁部は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、および酸窒化ケイ素のいずれかを少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて画像を生成する信号処理部と、を有することを特徴とする光電変換システム。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置を備える移動体であって、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて前記移動体の移動を制御する制御部を有することを特徴とする移動体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、光電変換装置、光電変換システム、および移動体に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトダイオードで光電変換された電荷をフローティングディフュージョン(FD)に転送し、電圧信号として信号を増幅させる光電変換装置が知られている。このような光電変換装置において、FDに接続されていない配線からの電位変動によるFDへの影響を抑制する目的で、メタル配線をシールドとして用いる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-9498号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
メタル配線をシールドとして用いる場合、例えば製造時の平坦化工程などにおいて、メタル配線部分がスクラッチやディッシングなどにより凹む懸念がある。凹みが発生したメタル配線部分により、メタル配線部分の上に配される層間膜にも凹部が形成されることになる。そのため、この後のダマシンプロセスにおいて、層間膜の凹部にも金属が充填されることにより、配線間のショートを引き起こすおそれがあり、歩留まり低下の要因となっていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一つの側面は、入射した光に基づく信号電荷を生成する光電変換部と、前記光電変換部で生成された電荷をフローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、前記フローティングディフュージョンの電位に基づく信号が入力されるゲートを備える増幅トランジスタと、少なくとも、第1配線層と、前記第1配線層よりも上層である第2配線層と、前記第2配線層よりも上層である第3配線層と、を有する配線構造体と、前記第1配線層に設けられ、前記フローティングディフュージョンと前記ゲートとを接続する第1配線と、前記第2配線層に設けられ、平面視において少なくとも一部が前記第1配線と重なるように配された金属からなるシールド部と、前記第3配線層に設けられ、平面視において少なくとも一部が前記第1配線と重なるように設けられた第2配線と、を有し、平面視において、前記シールド部の内部に複数の絶縁部を有することを特徴とする光電変換装置である。
【発明の効果】
【0006】
本開示の少なくとも一つの実施形態によれば、配線からのFDへの電位変動の影響を抑制しつつ、光電変換装置を製造する際の歩留まりの低下を抑制する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る光電変換装置の模式図である。
図2】第1の実施形態に係る画素の等価回路図である。
図3】第1の実施形態に係る画素の模式図である。
図4】第1の実施形態に係る画素の断面図である。
図5】従来構造に係る画素の模式図である。
図6】第2の実施形態に係る画素の模式図である。
図7】第3の実施形態に係る画素の模式図である。
図8】第4の実施形態に係る画素の模式図である。
図9】第5の実施形態に係る画素の模式図である。
図10】第6の実施形態に係る光電変換システムの模式図である。
図11】第7の実施形態に係る移動体の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付図面を参照して、本開示を実施するための形態を説明する。なお、以下の説明および図面において、複数の図面に渡って共通の構成の場合には、共通の符号を付している。そのため、複数の図面を相互に参照して共通する構成を説明して、共通の符号を有する構成に関しては、適宜説明を省略する。
【0009】
また、本明細書に記載される配線などの金属部材は、ある1つの元素の金属単体から構成されていても良いし、混合物(合金)であってもよい。例えば、配線は銅の単体によって構成されていても良いし、銅を主に含み、他の成分をさらに含んだ構成であっても良い。ここに示した銅配線は一例であり、種々の金属に変更することができる。
【0010】
また、以下の実施形態では、回路の素子同士の接続を述べることがある。この場合、注目する素子同士の間に別の素子が介在する場合であっても、特に断りのない限り、注目する素子同士は接続されているとして扱う。例えば、複数のノードを持つ容量素子Cの一方のノードに素子Aが接続され、他方のノードに素子Bが接続されているとする。このような場合であっても、素子Aと素子Bとは、特に断りのない限り、接続されているものとして扱う。
【0011】
また、本明細書において、平面視とは、半導体基板の光入射面又は光入射面とは反対側の面に対して垂直な方向から視た平面図のことであり、光電変換装置の各構成要素を半導体基板の面に投影することにより得られる2次元平面図に相当する。
【0012】
(第1の実施形態)
第1の実施形態について、図1から図4を用いて説明する。図1は光電変換装置の上面模式図である。光電変換装置101は、半導体基板内に複数の画素102を有する。画素102の各々は、入射した光を電気信号として出力する。図1では、垂直走査回路、水平走査回路、タイミングジェネレータ、アナログ・デジタル変換回路等については、省略している。また、複数の画素102が設けられた第1基板とは異なる第2基板に各回路を設け、第1基板と第2基板とを積層した光電変換装置としてもよい。
【0013】
図2は画素102の等価回路図である。簡略化のために光電変換部であるフォトダイオード(以下、PD)201が1つの画素102に1つだけ配置された構成になっているが、PD201の数はこれに限定されるものではない。また1つの画素102に含まれる素子や出力線の個数はこれに限定されるものではない。
【0014】
画素102はPD201、フローティングディフュージョン(以下、FD)203、PD201とFD203との間に設けられた転送トランジスタ202を含む。またFD203はリセットトランジスタ204のソースと、増幅トランジスタ205のゲートと、に接続されている。
【0015】
リセットトランジスタ204のドレインと、増幅トランジスタ205のドレインと、は電源に接続されている。選択トランジスタ206のドレインは増幅トランジスタ205のソースに接続されている。また、選択トランジスタ206のソースは出力線207に接続されている。
【0016】
画素102はアレイ状に配置されており、画素102のそれぞれの出力線207は他の画素102上にわたって配置されている。出力線207は、1つの画素に対して1つ以上接続される。図2では、1画素に対して1つの出力線207が接続された例を示している。
【0017】
PD201は画素102に入射した光を受け、その受光量に応じた電荷を発生させる。発生した電荷は転送トランジスタ202によってFD203に転送される。FD203はPD201から転送された電荷を一時的に保持するとともに、電荷を電圧信号に変換する。また、リセットトランジスタ204は、FD203が保持する電荷を電源に排出し、信号をリセットするために用いられる。
【0018】
FD203に保持された電荷により増幅トランジスタ205のゲート電位が変化し、増幅トランジスタ205のソース電位がこれに応じて変動する。この電位を選択トランジスタ206により順次出力線207に出力することで、光電変換装置101に入射した光量を電気信号として出力する。
【0019】
図3は本実施形態における画素102の平面図である。FD203は、増幅トランジスタ205のゲートにFD配線301によって接続されている。これにより、FD203へ転送された電荷による電位変動を増幅トランジスタ205のゲートに入力している。また、図4図3におけるA―A´断面図である。図4が示すように、画素102は、配線構造体400と、シリコン層500を備える。配線構造体400は、配線層401と、配線層401よりも上層である配線層402と、配線層402よりも上層である配線層403と、配線層403よりも上層である配線層404と、を備える。
【0020】
FD配線301は、配線層401および402に配され、増幅トランジスタ205と、FD配線301と、が配線層401にて接続されている。FD配線301は、FD203の容量を構成する成分の1つとなっている。よって、FD配線301と容量結合している周囲の配線などが電位変動した際には、FD203の電位にも影響するおそれがある。
【0021】
図3では、画素102の上層部分である配線層404に7本の出力線207が配された例を示している。この例においては、画素102a上に、当該画素からの電気信号を出力する出力線207aと、当該画素とは異なる行に設けられた画素からの電気信号を出力する出力線207b、c、d、e、f、gが存在している。
【0022】
画素102の信号は、選択トランジスタ206によって出力線207に順次出力される。このとき、異なる行に設けられた画素からの電気信号を出力する出力線207b、c、d、e、f、gの電位変動が、画素102aに設けられているFD配線301に影響するおそれがある。
【0023】
特に、出力線207とFD配線301との距離が近いほど、異なる行に設けられた出力線207の電位変動の影響をFD配線301が受けやすくなる。例えば、平面視でFD配線301と重なっている出力線207の影響をより強く受けることになる。電位変動の影響により、FD203では、増幅トランジスタ205に入力する電位が変化する。そのため、出力にはPD201への入射光量に依存する電位の変化とは異なる成分が重畳する。したがって、出力線207などの配線をFD配線301上に平面視で重なる位置に配置しない事が望ましいが、その場合はレイアウトの自由度が制限される。
【0024】
FDシールド配線302は、レイアウトの自由度を制限せずにFD配線301への電位変動の影響を低減するために設けられる配線である。FDシールド配線302は、FD配線301が配された配線層401と、出力線207が配された配線層403と、の間の配線層402に、FD配線301と平面視で少なくとも一部が重なるように設ける。これによりFD配線301と出力線207との容量結合を低減し、出力線207の電位変動によるFD配線301への影響を抑制することが出来る。なお、FDシールド配線302は、増幅トランジスタ205のソースと電気的に接続されていてもよい。
【0025】
また、以上の説明においては出力線207、FDシールド配線302、およびFD配線301との位置関係から、出力線207の電位変動による影響を説明しているが、必ずしも出力線207の電位変動のみがFD配線301の電位に影響するものではない。例えば、画素102の各トランジスタを駆動する配線の電位変動などもFD配線301の電位に影響を及ぼす可能性がある。よって、FDシールド配線302は、FD配線301が配された配線層と、各トランジスタを駆動する配線が配された配線層と、の間の配線層に、FD配線301と平面視で少なくとも一部が重なるように設けてもよい。
【0026】
図5は従来構造に係る画素の模式図である。図5に示すように、FDシールド配線302を広く配置させる場合、周囲の配線からの電位変動の影響は抑制することが出来るものの、下記の理由により、歩留まり低下の懸念がある。
【0027】
FDシールド配線302による歩留まり低下への影響について説明する。配線を形成する際には、CMP(Chemical Mechanical Polishing)などにより、配線層表面の平坦化を行う場合がある。
【0028】
平坦化の際、酸化ケイ素などが用いられる絶縁膜の領域と比べて、FDシールド配線302の材料であるメタルが配された領域にはスクラッチやディッシングなどによる凹みが生じるおそれがある。ここで、スクラッチとは研磨加工終了後に研磨面の表面上に残る引っ掻き傷であり、またディッシングとは研磨速度差がある2種の薄膜を研磨する際に発生する皿状の窪みである。このような凹みが生じた場合、その上層である層間膜にも凹みの形状がトレースされうる。そのため、この後のダマシンプロセスにおいて、層間膜の凹部にも金属が充填されることにより、配線間のショートが発生するおそれがあり、歩留まりが低下しうる。
【0029】
本実施形態においては、FDシールド配線302を広範囲に配置しながらも、歩留まりの低下を抑制するために、FDシールド配線302のパターン中にシールド配線が配されない領域(以下、絶縁部310)を含む構成となっている。絶縁部310は、例えば酸化ケイ素、窒化ケイ素、酸窒化ケイ素などの絶縁体により満たされていてもよい。
【0030】
このように構成することで、図5に示すようなFDシールド配線302パターンに対してCMPを行った際に、スクラッチやディッシングなどによる凹みが生じにくくなる。これにより、電位変動によるFD配線301への影響を抑制しながら、FDシールド配線302よりも上の配線層における配線間のショートによる歩留まりの低下を抑制することができる。
【0031】
(第2の実施形態)
図6を用いて第2の実施形態について説明する。本実施形態では、FDシールド配線302のパターンが第1の実施形態と異なる。
【0032】
第1の実施形態ではFDシールド配線302のパターンが、平面視において、出力線207の形成方向に対して垂直方向に配されている。一方、本実施形態では、FDシールド配線302のパターンが、平面視において、出力線207の形成方向に対して平行な方向に形成されている。なお、ここで「垂直」または「平行」とは、完全な垂直または平行な状態だけでなく、一定の誤差範囲内の実質的な垂直または平行である状態も含む。
【0033】
スクラッチやディッシングなどによって凹みが生じた際でも、出力線207間でショートが発生しなければ、歩留まりには影響が小さい。本実施形態ではFDシールド配線302のパターンを出力線207などの上層配線と平行である方向に形成している。このような構成により、スクラッチやディッシング起因の凹みが生じても、FDシールド配線302よりも上の配線層における配線間のショートによる歩留まりの低下を抑制することができる。
【0034】
(第3の実施形態)
図7を用いて第3の実施形態について説明する。本実施形態では、FDシールド配線302のパターンが第1、第2の実施形態と異なる。
【0035】
第1、第2の実施形態では、FDシールド配線302のパターンが、出力線207に対してそれぞれ平行、垂直方向となっていたが、本実施形態では格子状にパターンされている。格子状にFDシールド配線302が配されることで、スクラッチやディッシング起因によるFDシールド配線302よりも上の配線層における配線間のショートによる歩留まりの低下を抑制することができる。
【0036】
(第4の実施形態)
図8を用いて第4の実施形態について説明する。本実施形態では、FDシールド配線302のパターンが第1から第3の実施形態と異なる。
【0037】
本実施形態では、FDシールド配線302のパターンを、上層の出力線207などの配線間の領域に絶縁部を多く配置させているようにしている。言い換えると、平面視において、絶縁部は、出力線207と重なる領域よりも、出力線207と重ならない領域の方が大きい。
【0038】
このような構成にすることにより、上層配線のショートの原因になり得る位置にスクラッチやディッシングによる凹みが生じ難くなる。したがって、より効果的にFDシールド配線302よりも上の配線層における配線間のショートによる歩留まりの低下を抑制することができる。
【0039】
(第5の実施形態)
図8を用いて第5の実施形態について説明する。本実施形態では、FDシールド配線302のパターンが第1から第4の実施形態と異なる。
【0040】
第1から第4の実施形態では、FDシールド配線302は外縁を囲う形状に形成されているが、本実施形態では、一部が開口した形状になっている。このような形状にすることにより、外縁を囲う形状のパターンと比較してより微細なパターンを形成する事ができる。 本実施形態のような形状においても、FDシールド配線302よりも上の配線層における配線間のショートによる歩留まりの低下を抑制できる。
【0041】
(第6の実施形態)
本実施形態による光電変換システムについて、図10を用いて説明する。図10は、本実施形態による光電変換システムの概略構成を示すブロック図である。
【0042】
上記第1~第5の実施形態で述べた光電変換装置(撮像装置)は、種々の光電変換システムに適用可能である。適用可能な光電変換システムの例としては、デジタルスチルカメラ、デジタルカムコーダ、監視カメラ、複写機、ファックス、携帯電話、車載カメラ、観測衛星などが挙げられる。また、レンズなどの光学系と撮像装置とを備えるカメラモジュールも、光電変換システムに含まれる。図10には、これらのうちの一例として、デジタルスチルカメラのブロック図を例示している。
【0043】
図10に例示した光電変換システムは、光電変換装置の一例である撮像装置1004を有する。また、光電変換システムは被写体の光学像を撮像装置1004に結像させるレンズ1002、レンズ1002を通過する光量を可変にするための絞り1003、レンズ1002の保護のためのバリア1001を有する。レンズ1002及び絞り1003は、撮像装置1004に光を集光する光学系である。撮像装置1004は、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置(撮像装置)であって、レンズ1002により結像された光学像を電気信号に変換する。
【0044】
光電変換システムは、また、撮像装置1004より出力される出力信号の処理を行うことで画像を生成する画像生成部である信号処理部1007を有する。信号処理部1007は、必要に応じて各種の補正、圧縮を行って画像データを出力する動作を行う。信号処理部1007は、撮像装置1004が設けられた半導体基板に形成されていてもよいし、撮像装置1004とは別の半導体基板に形成されていてもよい。また、撮像装置1004と信号処理部1007とが同一の半導体基板に形成されていてもよい。
【0045】
光電変換システムは、更に、画像データを一時的に記憶するためのメモリ部1010、外部コンピュータ等と通信するための外部インターフェース部(外部I/F部)1013を有する。更に光電変換システムは、撮像データの記録又は読み出しを行うための半導体メモリ等の記録媒体1012、記録媒体1012に記録又は読み出しを行うための記録媒体制御インターフェース部(記録媒体制御I/F部)1011を有する。なお、記録媒体1012は、光電変換システムに内蔵されていてもよく、着脱可能であってもよい。
【0046】
更に光電変換システムは、各種演算とデジタルスチルカメラ全体を制御する全体制御・演算部1009、撮像装置1004と信号処理部1007に各種タイミング信号を出力するタイミング発生部1008を有する。ここで、タイミング信号などは外部から入力されてもよく、光電変換システムは少なくとも撮像装置1004と、撮像装置1004から出力された出力信号を処理する信号処理部1007とを有すればよい。
【0047】
撮像装置1004は、撮像信号を信号処理部1007に出力する。信号処理部1007は、撮像装置1004から出力される撮像信号に対して所定の信号処理を実施し、画像データを出力する。信号処理部1007は、撮像信号を用いて、画像を生成する。
【0048】
このように、本実施形態によれば、上記のいずれかの実施形態の光電変換装置(撮像装置)を適用した光電変換システムを実現することができる。
【0049】
(第7の実施形態)
本実施形態の光電変換システム及び移動体について、図11を用いて説明する。図11は、本実施形態の光電変換システム及び移動体の構成を示す図である。
【0050】
図11(a)は、車載カメラに関する光電変換システムの一例を示したものである。光電変換システム1300は、撮像装置1310を有する。撮像装置1310は、上記のいずれかの実施形態に記載の光電変換装置(撮像装置)である。
【0051】
光電変換システム1300は、撮像装置1310により取得された複数の画像データに対し、画像処理を行う画像処理部1312と、複数の画像データから視差(視差画像の位相差)の算出を行う視差取得部1314を有する。
【0052】
また、光電変換システム1300は、算出された視差に基づいて対象物までの距離を算出する距離取得部1316と、算出された距離に基づいて衝突可能性があるか否かを判定する衝突判定部1318と、を有する。
【0053】
ここで、視差取得部1314や距離取得部1316は、対象物までの距離情報を取得する距離情報取得手段の一例である。すなわち、距離情報とは、視差、デフォーカス量、対象物までの距離等に関する情報である。衝突判定部1318はこれらの距離情報のいずれかを用いて、衝突可能性を判定してもよい。
【0054】
距離情報取得手段は、専用に設計されたハードウェアによって実現されてもよいし、ソフトウェアモジュールによって実現されてもよい。また、FPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等によって実現されてもよいし、これらの組合せによって実現されてもよい。
【0055】
光電変換システム1300は車両情報取得装置1320と接続されており、車速、ヨーレート、舵角などの車両情報を取得することができる。また、光電変換システム1300は、衝突判定部1318での判定結果に基づいて、車両に対して制動力を発生させる制御信号を出力する制御装置である制御ECU1330が接続されている。
【0056】
また、光電変換システム1300は、衝突判定部1318での判定結果に基づいて、ドライバーへ警報を発する警報装置1340とも接続されている。例えば、衝突判定部1318の判定結果として衝突可能性が高い場合、制御ECU1330はブレーキをかける、アクセルを戻す、エンジン出力を抑制するなどして衝突を回避、被害を軽減する車両制御を行う。警報装置1340は音等の警報を鳴らす、カーナビゲーションシステムなどの画面に警報情報を表示する、シートベルトやステアリングに振動を与えるなどしてユーザに警告を行う。
【0057】
本実施形態では、車両の周囲、例えば前方又は後方を光電変換システム1300で撮像する。図11(b)に、車両前方(撮像範囲1350)を撮像する場合の光電変換システムを示した。車両情報取得装置1320が、光電変換システム1300ないしは撮像装置1310に指示を送る。このような構成により、測距の精度をより向上させることができる。
【0058】
上記では、他の車両と衝突しないように制御する例を説明したが、他の車両に追従して自動運転する制御や、車線からはみ出さないように自動運転する制御などにも適用可能である。更に、光電変換システムは、自車両等の車両に限らず、例えば、船舶、航空機あるいは産業用ロボットなどの移動体(移動装置)に適用することができる。加えて、移動体に限らず、高度道路交通システム(ITS)等、広く物体認識を利用する機器に適用することができる。
【0059】
[変形実施形態]
本発明は、上記実施形態に限らず種々の変形が可能である。例えば、いずれかの実施形態の一部の構成を他の実施形態に追加した例や、他の実施形態の一部の構成と置換した例も、本発明の実施形態に含まれる。
【0060】
また、上記第6の実施形態、第7の実施形態に示した光電変換システムは、光電変換装置を適用しうる光電変換システム例を示したものであって、本発明の光電変換装置を適用可能な光電変換システムは図10及び図11に示した構成に限定されるものではない。
【0061】
なお、上記実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0062】
以上、説明した実施形態は、技術思想を逸脱しない範囲において適宜変更が可能である。なお、本明細書の開示内容は、本明細書に記載したことのみならず、本明細書および本明細書に添付した図面から把握可能な全ての事項を含む。
【0063】
また、本明細書の開示内容は、本明細書に記載した概念の補集合を含んでいる。すなわち、本明細書に例えば「AはBよりも大きい」旨の記載があれば、「AはBよりも大きくない」旨の記載を省略しても、本明細書は「AはBよりも大きくない」旨を開示していると云える。なぜなら、「AはBよりも大きい」旨を記載している場合には、「AはBよりも大きくない」場合を考慮していることが前提だからである。
【0064】
本実施形態の開示は、以下の構成を含む。
【0065】
(構成1)
入射した光に基づく信号電荷を生成する光電変換部と、
前記光電変換部で生成された電荷をフローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、
前記フローティングディフュージョンの電位に基づく信号が入力されるゲートを備える増幅トランジスタと、
少なくとも、第1配線層と、前記第1配線層よりも上層である第2配線層と、前記第2配線層よりも上層である第3配線層と、を有する配線構造体と、
前記第1配線層に設けられ、前記フローティングディフュージョンと前記ゲートとを接続する第1配線と、
前記第2配線層に設けられ、平面視において少なくとも一部が前記第1配線と重なるように配された金属からなるシールド部と、
前記第3配線層に設けられ、平面視において少なくとも一部が前記第1配線と重なるように設けられた第2配線と、を有し、
平面視において、前記シールド部の内部に複数の絶縁部を有すること
を特徴とする光電変換装置。
【0066】
(構成2)
前記シールド部は、平面視において、前記第2配線に対して交差する方向に配されたパターンを含むことを特徴とする構成1に記載の光電変換装置。
【0067】
(構成3)
前記シールド部は、平面視において、前記第2配線に対して平行な方向に配されたパターンを含むことを特徴とする構成1に記載の光電変換装置。
【0068】
(構成4)
前記シールド部は、平面視において、前記第2配線に対して交差する方向および平行な方向に配されたパターンを含むことを特徴とする構成1に記載の光電変換装置。
【0069】
(構成5)
前記シールド部は、平面視において、一部が開口した形状になっていることを特徴とする構成1乃至4のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【0070】
(構成6)
前記絶縁部は、平面視において、前記第2配線と重なる領域よりも、前記第2配線と重ならない領域の方が大きいことを特徴とする構成1乃至5のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【0071】
(構成7)
前記第2配線は、前記増幅トランジスタに接続された出力線であることを特徴とする構成1乃至6のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【0072】
(構成8)
前記第2配線は、前記光電変換装置が有する複数のトランジスタのうちの少なくともいずれかを制御する制御線であることを特徴とする構成1乃至6のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【0073】
(構成9)
前記シールド部は、前記増幅トランジスタのソースと電気的に接続されていることを特徴とする構成1乃至8のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【0074】
(構成10)
前記複数の絶縁部は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、および酸窒化ケイ素のいずれかを少なくとも含むことを特徴とする構成1乃至9のいずれか一項に記載の光電変換装置。
【0075】
(構成11)
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて画像を生成する信号処理部と、を有することを特徴とする光電変換システム。
【0076】
(構成12)
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置を備える移動体であって、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて前記移動体の移動を制御する制御部を有することを特徴とする移動体。
【符号の説明】
【0077】
101 光電変換装置
201 PD(フォトダイオード)
202 転送トランジスタ
203 FD(フローティングディフュージョン)
205 増幅トランジスタ
207 出力線
301 第1配線
302 シールド部
310 絶縁部
400 配線構造体
410 第1配線層
420 第2配線層
430 第3配線層
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
【手続補正書】
【提出日】2024-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光に基づく信号電荷を生成する光電変換部と、
前記信号電荷をフローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、
前記フローティングディフュージョンの電位に基づく信号が入力されるゲートを備える増幅トランジスタと、
少なくとも、第1配線層と、前記第1配線層よりも上層である第2配線層と、前記第2配線層よりも上層である第3配線層と、を有する配線構造体と、
前記第1配線層に設けられ、前記フローティングディフュージョンと前記ゲートとを接続する第1配線と、
前記第2配線層に設けられ、平面視において少なくとも一部が前記第1配線と重なるように配された金属からなるシールド部と、
前記第3配線層に設けられ、前記平面視において少なくとも一部が前記第1配線と重なるように設けられた第2配線と、を有し、
前記平面視において、前記シールド部の内部に複数の絶縁部を有すること
を特徴とする光電変換装置。
【請求項2】
前記シールド部は、前記平面視において、前記第2配線が延在する方向に対して交差する方向に配されたパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項3】
前記シールド部は、前記平面視において、前記第2配線が延在する方向に対して平行な方向に配されたパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項4】
前記シールド部は、前記平面視において、前記第2配線が延在する方向に対して交差する方向および平行な方向に配されたパターンを含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項5】
前記シールド部は、前記平面視において、一部が開口した形状になっていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項6】
前記絶縁部は、前記平面視において、前記第2配線と重なる領域よりも、前記第2配線と重ならない領域の方が大きいことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項7】
前記第2配線は、前記増幅トランジスタに接続された出力線であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項8】
前記第2配線は、前記光電変換装置が有する複数のトランジスタのうちの少なくともいずれかを制御する制御線であることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項9】
前記シールド部は、前記増幅トランジスタのソースと電気的に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項10】
前記複数の絶縁部は、酸化ケイ素、窒化ケイ素、および酸窒化ケイ素のいずれかを少なくとも含むことを特徴とする請求項1に記載の光電変換装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置と、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて画像を生成する信号処理部と、を有することを特徴とする光電変換システム。
【請求項12】
請求項1乃至10のいずれか1項に記載の光電変換装置を備える移動体であって、
前記光電変換装置が出力する信号を用いて前記移動体の移動を制御する制御部を有することを特徴とする移動体。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0005】
本開示の一つの側面は、入射した光に基づく信号電荷を生成する光電変換部と、前記信号電荷をフローティングディフュージョンに転送する転送トランジスタと、前記フローティングディフュージョンの電位に基づく信号が入力されるゲートを備える増幅トランジスタと、少なくとも、第1配線層と、前記第1配線層よりも上層である第2配線層と、前記第2配線層よりも上層である第3配線層と、を有する配線構造体と、前記第1配線層に設けられ、前記フローティングディフュージョンと前記ゲートとを接続する第1配線と、前記第2配線層に設けられ、平面視において少なくとも一部が前記第1配線と重なるように配された金属からなるシールド部と、前記第3配線層に設けられ、前記平面視において少なくとも一部が前記第1配線と重なるように設けられた第2配線と、を有し、前記平面視において、前記シールド部の内部に複数の絶縁部を有することを特徴とする光電変換装置である。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0039
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0039】
(第5の実施形態)
を用いて第5の実施形態について説明する。本実施形態では、FDシールド配線302のパターンが第1から第4の実施形態と異なる。