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特開2024-171090制御装置、画像投射システム、画像投射装置、制御方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171090
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】制御装置、画像投射システム、画像投射装置、制御方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/74 20060101AFI20241204BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241204BHJP
   G03B 21/14 20060101ALI20241204BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H04N5/74 D
G03B21/00 D
G03B21/14 Z
G09G5/00 510B
G09G5/00 510V
G09G5/00 555D
G09G5/00 555G
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087971
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】長浜 大作
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C182
【Fターム(参考)】
2K203FA62
2K203FA82
2K203FA93
2K203FB04
2K203KA28
2K203KA29
2K203KA82
2K203KA83
2K203KA84
2K203MA23
5C058BA23
5C058EA03
5C182AA03
5C182AA04
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA14
5C182BB04
5C182BB05
5C182BB14
5C182BC26
5C182CA01
5C182CA02
5C182CB11
5C182CB55
(57)【要約】
【課題】 本発明は、マルチ投射システムにおいて、一部のプロジェクタを交換した後のマルチ投射システムの調整を簡便に行うことができる投射制御装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明は、複数の画像投射装置を制御する制御装置であって、前記複数の画像投射装置と通信し、マルチ投射のレイアウトに関するマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置から取得する通信部と、前記複数の画像投射装置から取得したマルチ投射情報のうち最も多数のマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定する設定部とを有することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の画像投射装置を制御する制御装置であって、
前記複数の画像投射装置と通信し、マルチ投射のレイアウトに関するマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置から取得する通信部と、
前記複数の画像投射装置から取得したマルチ投射情報のうち最も多数のマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定する設定部とを有することを特徴とする制御装置。
【請求項2】
複数の画像投射装置を制御する制御装置であって、
前記複数の画像投射装置と通信し、マルチ投射のレイアウトに関するマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置から取得する通信部と、
複数の画像投射装置に対して設定されたマルチ投射情報を記憶する記憶部を有し、
前記複数の画像投射装置から取得したマルチ投射情報および前記記憶部が記憶するマルチ投射情報のうち最も多数のマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定する設定部とを有することを特徴とする投射制御装置。
【請求項3】
ユーザの入力操作を受け付ける入力部を有し、
最も多数のマルチ投射情報が複数ある場合には、該複数のマルチ投射情報から前記入力部によって選択されたマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定することを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記設定部は、前記最も多数のマルチ投射情報を、前記複数の画像投射装置のそれぞれに記憶させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項5】
複数の画像投射装置に対して設定されたマルチ投射情報を記憶する記憶部を有し、
前記設定部は、前記最も多数のマルチ投射情報を、前記記憶部に記憶させることを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項6】
前記マルチ投射情報は、スタック台数、ブレンド幅の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
複数の画像投射装置と、
請求項1乃至6のいずれか一項に記載の制御装置を備えることを特徴とする画像投射システム。
【請求項8】
複数の画像投射装置を含む画像投射システムを構成する画像投射装置であって、
前記画像投射システムを構成する他の画像投射装置と通信し、マルチ投射のレイアウトに関するマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置から取得する通信部と、
前記複数の画像投射装置から取得したマルチ投射情報のうち最も多数のマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定する設定部とを有することを特徴とする画像投射装置。
【請求項9】
複数の画像投射装置を制御する制御方法であって、
前記複数の画像投射装置と通信し、マルチ投射のレイアウトに関するマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置から取得する通信工程と、
前記複数の画像投射装置から取得したマルチ投射情報のうち最も多数のマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定する設定工程とを有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、画像投射システム、画像投射装置、制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプロジェクタ(画像投射装置)を使って、複数の投射画像を繋ぎ合わせることで1つの大きな画像を投射(タイル投射)したり、複数の投射画像を重ね合わせて明るい画像を投射(スタック投射)したりするマルチ投射システムが知られている。マルチ投射システムを設置する際、複数の投射画像の位置調整など操作が複雑である。
【0003】
そこで、ユーザがマルチ投射システムを簡単に設置しやすくするために、特許文献1には、複数の投写装置の設置位置を適切に調整できるようにする投写制御装置およびその制御方法が開示されている。また、特許文献2には、マルチ投射システムを構成しているプロジェクタが故障や劣化により投射ができなくなった場合に、そのプロジェクタを交換した際の制御方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-88691号公報
【特許文献2】特開2019-193215号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献2に開示されたマルチ投射システムの制御方法は、マスターとして動作しているプロジェクタが、新しくマルチ投射システムに参加するプロジェクタの設定を行う。そのため、マスターとして動作しているプロジェクタが故障や劣化により投射ができなくなった場合は、新しくマルチ投射システムに参加するプロジェクタの設定が煩雑である。
【0006】
そこで本発明は、マルチ投射システムにおいて、一部のプロジェクタを交換した後のマルチ投射システムの調整を簡便に行うことができる投射制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の制御装置は、複数の画像投射装置を制御する制御装置であって、前記複数の画像投射装置と通信し、マルチ投射のレイアウトに関するマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置から取得する通信部と、前記複数の画像投射装置から取得したマルチ投射情報のうち最も多数のマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定する設定部とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、マルチ投射システムにおいて、一部のプロジェクタを交換した後のマルチ投射システムの調整を簡便に行うことができる投射制御装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1実施形態のマルチ投射システムのブロック図
図2】第1実施形態の投射制御装置のブロック図
図3】第1実施形態の画像投射装置のブロック図
図4】第1実施形態の投射制御装置に関するフローチャート
図5】第1実施形態の画像投射装置に記憶されているマルチ投射情報を示す模式図
図6】第1実施形態の投射制御装置に記憶されているマルチ投射情報を示す模式図
図7】第1実施形態の画像投射装置に記憶されている更新後のマルチ投射情報を示す模式図
図8】第1実施形態の投射制御装置に記憶されている更新後のマルチ投射情報を示す模式図
図9】第2実施形態のマルチ投射システムのブロック図
図10】第2実施形態の画像投射装置のブロック図
図11】第2実施形態の画像投射装置に関するフローチャート
図12】第2実施形態の画像投射装置に記憶されているマルチ投射情報を示す模式図
図13】第2実施形態の画像投射装置に記憶されているマルチ投射情報を示す模式図
図14】第2実施形態の画像投射装置に記憶されている更新後のマルチ投射情報を示す模式図
図15】第2実施形態の画像投射装置に記憶されている更新後のマルチ投射情報を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好ましい実施形態を添付の図面に基づいて詳細に説明する。なお、各図において、同一の部材については同一の参照番号を付し、重複する説明は省略する。
【0011】
(第1実施形態)
図1のブロック図を参照して、第1実施形態のマルチ投射システム1000について説明する。第1実施形態のマルチ投射システム1000は、複数のプロジェクタ(画像投射装置)PJ11、PJ12、PJ13、PJ14、投射制御装置PCを有する。プロジェクタPJ11、PJ12、PJ13、PJ14は、それぞれ画像S11、S12、S13、S14を被投射面(スクリーン等)に投射する。マルチ投射システム1000は、これら複数のプロジェクタから投射された画像によりマルチ投射画像(タイル投射・スタック投射)を形成する。
【0012】
第1実施形態のマルチ投射システム1000は、説明の簡単化のためプロジェクタの台数を4台としたが、本発明のマルチ投射システムを構成するプロジェクタは何台でもよい。また、第1実施形態のマルチ投射画像の配列は2行×2列としたが、1行×4列や、その他の配列でもよい。プロジェクタから投射された画像S11~S14は、それぞれ隣接する画像と一部が重複する領域(図示せず)を有する。これにより、投射された画像同士のつなぎ目を目立ちにくくすることができる。
【0013】
プロジェクタPJ11~PJ14と投射制御装置PC(以下、制御装置と呼ぶ)は、ネットワークハブHUBを介して接続されている。プロジェクタPJ11~PJ14はネットワークに接続されており、投射制御装置PCによりネットワーク経由で制御可能に構成される。ネットワークは、LAN(Local Area Network)、インターネット、WAN(Wide Area Network)等とすることができる。投射制御装置PCはネットワークハブHUBを介してプロジェクタPJ11~PJ14と通信でき、制御指令の送信や、プロジェクタPJ11~PJ14に記憶されているデータを受信することができる。投射制御装置PCは、被投射面に投射されたマルチ投射画像を撮像するカメラCAM(撮像装置)を備えていてもよい。投射制御装置PCは、スクリーン上でマルチ投射画像を形成するために、カメラCAMから取得した撮像画像に基づいてプロジェクタPJ11~PJ14から投射される画像の移動や変形させる調整(以下、マルチ投射画像調整と呼ぶ)を行うことができる。マルチ投射画像調整後は、投射制御装置PCとカメラCAMを取り外すことができる。
【0014】
(投射制御装置について)
図2のブロック図を参照して、第1実施形態に関する投射制御装置PCについて説明する。投射制御装置PCは、入力部101、MPU102、通信部103、撮像画像入力部104、記憶部105、表示部106を有する。
【0015】
入力部101は、ユーザからの各種入力を受け付ける不図示のスイッチ、ダイヤル、ボタン、リモコン受光部などから構成される。MPU102は、入力部101から入力された入力信号にもとづいた動作を行う。通信部103は、プロジェクタPJ11~PJ14と通信を行うためのインターフェースである。MPU102は、通信部103を介して制御指令の送信や、プロジェクタPJ11~PJ14に記憶されているデータを受信することができる。
【0016】
撮像画像入力部104は、カメラCAMが撮像した画像のデータを取得できる。取得した撮像画像データはMPU102に出力される。MPU102は、後述するマルチ投射情報を比較することが可能な比較部としての機能を有する。これについては後述のフローチャートにて具体例を説明する。また、MPU102は、マルチ投射情報およびカメラCAMによる撮像画像にもとづいて、マルチ投射画面調整を行うことが可能な設定部としての機能も有する。
【0017】
記憶部105は、マルチ投射画像調整に関する情報(マルチ投射情報)を記憶できる。マルチ投射情報としては例えば以下のような情報が含まれる。複数の投射画像を連続した複数個所に並べて1つの大きな画像を形成するタイル投射や、複数のプロジェクタによる複数の表示画面を1か所に重ねて明るい画面を形成するスタック投射といったマルチ投射形態に関する情報。タイル投射の場合に投射面上の投射画像の配置に関する情報。スタック投射の場合に投射画像を重ね合わせる数の情報。マルチ投射画像を形成する投射画像各々と複数のプロジェクタとの対応付けに関する情報。タイル投射の場合に隣り合う投射画像同士の重なり合う領域を示すブレンド量に関する情報。また、これら以外のマルチ投射画像調整に関する情報を記憶してもよい。
【0018】
表示部106は、ユーザに対してさまざまな表示を行うことができるグラフィカルユーザインターフェース(GUI)である。例えば、ユーザがマルチ投射画像調整する際、調整用のメニューを表示部106に表示することで、ユーザは表示を確認しながら入力部101による操作が可能になる。
【0019】
(画像投射装置・プロジェクタについて)
図3のブロック図を参照して、第1実施形態に関するプロジェクタPJ11~PJ14について説明する。プロジェクタPJ11~PJ14は同一なので、プロジェクタPJ11を代表として説明する。
【0020】
画像信号入力部201は、外部から画像信号を入力するためのインターフェースである。画像信号入力部201は、入力された画像信号を、後段の画像信号処理部202で処理可能な形式に変換した後、画像信号処理部202へ画像信号を出力する。
【0021】
画像信号処理部202は、入力された画像信号に対して、タイル投射の際の隣接する投射画像同士を一部重複させるためのエッジブレンディング補正や。明るさ補正、コントラスト補正、色補正、幾何学補正、アスペクト比変換、などの各種画像信号処理を行う。画像信号処理部202は、画像表示パネル駆動部203へ画像信号処理された画像信号を出力する。画像表示パネル駆動部203は、入力された画像信号にもとづいて、画像表示パネル204を駆動する。
【0022】
画像表示パネル204(画像形成素子)は、プロジェクタPJが投影する映像を表示する。画像表示パネル204は、液晶パネル(LCD:Liquid Crystal Display、もしくはLCOS:Liquid Crystal On Silicon)から構成される。また、表示部103は、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD:Digital Micro-mirror Device)等の光変調素子から構成される。
【0023】
光源駆動部205は、MPU206による光源制御信号にもとづいて、光源207を駆動する。プロジェクタPJ11は、光源207から出射された光を画像表示パネル204に照射する。画像表示パネル204によって変調された画像光は、レンズ208を通過し、被投射面に投射される。
【0024】
ズーム部209は、投射レンズ208を駆動することにより、被投射面に投射されている投射画像を拡大縮小できる。MPU206はズーム部209へズーム制御指令を出力することで投射レンズ208を制御できる。
【0025】
レンズシフト部210は、投射レンズ208を光軸対して直交する方向へ移動することができる。レンズシフト部210により投射レンズ208を移動することで、投射する画像を水平・垂直にシフトするように調整可能である。
【0026】
操作部211は、ユーザからの各種操作を受け付ける不図示のスイッチ、ダイヤル、ボタン、リモコン受光部などから構成される。MPU206は、操作部211から入力された操作信号にもとづいた動作を行う。通信部212は、投射制御装置PCと通信を行うための通信インターフェースである。MPU206は、通信部212を介して各種制御指令やデータの送受信を行う。記憶部213は、投射制御装置PCの記憶部105と同様にマルチ投射情報を記憶できる。
【0027】
(投射制御装置のフローチャートについて)
図4のフローチャートを参照して、第1実施形態の投射制御装置PCによるマルチ投射システムの制御方法について説明する。
【0028】
マルチ投射システムの制御が開始されると、ステップS101でユーザが入力部101によりマルチ投射画像調整を開始したか否かを判定する。マルチ投射画像調整の開始を検知した場合はステップS102に移行し、そうでない場合はステップS101へ戻る。
【0029】
ステップS102では、通信部103によりプロジェクタPJ11~PJ14に対して各々が記憶しているマルチ投射情報を送信するよう要求する。例えば、プロジェクタPJ11~PJ14には、図5(A)~(D)に示すようなマルチ投射情報が記憶されているものとする。ここでは、プロジェクタPJ11、PJ13には2行×2列のタイル投射に関する情報が、プロジェクタPJ12には1行×2列のタイル投射に関する情報が、プロジェクタPJ14には2台のスタック投射に関する情報が記憶されているものとする。
【0030】
ステップS103で、投射制御装置PCがすべてのプロジェクタのマルチ投射情報を受信したか判定する。受信した場合はステップS104へ移行し、そうでない場合はステップS103へ戻る。
【0031】
ステップS104で、比較部として機能するMPU102により、プロジェクタPJ11~PJ14から受信したマルチ投射情報、および、記憶部105に記憶されているマルチ投射情報を比較し、多数派のマルチ投射情報を選出する。ここでは、記憶部105には、図6に示すように1行×2列のタイル投射に関するマルチ投射情報が記憶されているものとする。
【0032】
実際にそれぞれのマルチ投射情報を比較すると、プロジェクタPJ11、PJ13には2行×2列のタイル投射に関する情報が、プロジェクタPJ12、投射制御装置PCには1行×2列のタイル投射に関する情報が記憶されている。そのため、この2つのマルチ投射情報が多数派となるため、これらを多数派のマルチ投射情報として選出する。ここでは、マルチ投射情報のうちブレンド幅や割当について考慮していないが、ブレンド幅や割当について考慮して比較してもよい。
【0033】
ステップS105で、多数派のマルチ投射情報が1つに決まるか否かを判定する。多数派のマルチ投射情報が1つに決まらない場合は、ステップS106へ移行し、マルチ投射情報が1つに決まる場合は、ステップS108へ移行する。今回の例では、多数派のマルチ投射情報が2つあるため、ステップS106へ移行する。
【0034】
ステップS106では、ステップS104で選出された多数派のマルチ投射情報を表示部105に表示し、ユーザが入力部101を使って、いずれか1つのマルチ投射情報を選択可能な状態にする。
【0035】
ステップS107で、ユーザの入力が完了し、マルチ投射情報が選択されたか否かを判定する。ユーザの入力が完了し、マルチ投射情報が選択された場合はステップS108へ移行し、入力が完了していない場合はステップS106へ戻る。ここでは仮に、ユーザにより、プロジェクタPJ11、PJ13に記憶されていた2行×2列のタイル投射に関するマルチ投射情報が選択されたものとする。
【0036】
ステップS108では、ステップS105もしくはステップS107で1つに決まったマルチ投射情報を、マルチ投射画像調整を行う際に必要なパラメータの初期値として設定する。このように複数のマルチ投射情報から多数派の情報を利用するため、マスター装置のようなシステム全体を代表して情報を記憶している装置を必要としない。そのため、マスター装置の故障にともなう情報の消失といったリスクを低減することができる。
【0037】
ステップS109で、設定部として機能するMPU102により、マルチ投射画像調整のサブプロセスを実行する。このサブプロセス自体は、例えば、特許文献1に開示されるように、従来から知られた方法でマルチ投射画像を調整することができる。特許文献1ではユーザ操作によって、マルチ投射画面調整に必要なパラメータを設定し、その後に調整を行う。第1実施形態では、すでにステップS108で多数派のマルチ投射情報をパラメータとして設定しているため、ユーザは設定されているパラメータに問題がなければ、パラメータ設定の操作を行うことなく調整を開始することができる。マルチ投射画像調整のパラメータ初期値として、多数派のマルチ投射情報を採用することで、故障等の理由により投射制御装置PCやプロジェクタを交換した場合、マルチ投射画像調整を再び行う際、ユーザの調整の手間軽減や、誤設定防止につなげられる。マルチ投射画像調整が完了した後、ステップS110へ移行する。
【0038】
ステップS110で、通信部103によりプロジェクタPJ11~PJ14に対してマルチ投射画像調整に使用したマルチ投射情報を送信し、それぞれに記録されているマルチ投射情報を更新する。今回の例の場合、マルチ投射情報を更新した後のプロジェクタPJ11~PJ14には、図7(A)~(D)それぞれに対応したマルチ投射情報が記憶された状態となる。
【0039】
ステップS111で、記憶部105にマルチ投射画像調整に使用したマルチ投射情報を記憶する。今回の例の場合、記憶部105には図8に示すマルチ投射情報が記憶された状態となる。
【0040】
このように、本実施形態はマルチ投射システムの投射制御装置、画像投射装置、投射システムおよびマルチ投射システムの制御方法に関するものである。本実施形態の投射制御装置を用いてマルチ投射画像調整を行うことにより、マルチ投射システムに含まれる一部のプロジェクタを交換した後のマルチ投射システムの調整を行うユーザの負荷を軽減することができる。
【0041】
(第2実施形態)
図9のブロック図を参照して、第2実施形態のマルチ投射システム2000について説明する。第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付与し説明は省略する。第2実施形態のマルチ投射システム2000は、複数のプロジェクタPJ21、PJ22、PJ23、PJ24を有する。プロジェクタPJ21、PJ22、PJ23、PJ24は、それぞれ画像S11、S12、S13、S14を被投射面に投射する。マルチ投射システム2000は、これら複数のプロジェクタから投射された画像によりマルチ投射画像を形成する。
【0042】
第2実施形態のマルチ投射システム2000は、説明の簡単化のためプロジェクタの台数を4台としたが、本発明のマルチ投射システムを構成するプロジェクタは何台でもよい。また、第2実施形態のマルチ投射画像の配列は2行×2列としたが、1行×4列や、その他の配列でもよい。プロジェクタから投射された画像S11~S14は、それぞれ隣接する画像と一部が重複する領域(図示せず)を有する。これにより、投射された画像同士のつなぎ目を目立ちにくくすることができる。
【0043】
プロジェクタPJ21~PJ24は、ネットワークハブHUBを介して接続されている。プロジェクタPJ21~PJ24は、ネットワークハブHUBを介して相互に通信可能である。第2実施形態のプロジェクタPJ21~PJ24はいずれも、マルチ投射画像調整を行うことができる。今回は例として、プロジェクタPJ21が代表してマルチ投射画像調整を行う場合について説明する。プロジェクタPJ21は、被投射面に投射されたマルチ投射画像を撮像するカメラCAM(撮像装置)を備えていてもよい。プロジェクタPJ21は、被投射面上でマルチ投射画像を形成するために、カメラCAMから取得した撮像画像に基づいてプロジェクタPJ21~PJ24から投射される画像の移動や変形させる調整(以下、マルチ投射画像調整と呼ぶ)を行うことができる。マルチ投射画像調整後は、カメラCAMを取り外すことができる。
【0044】
(画像投射装置・プロジェクタについて)
図10のブロック図を参照して、第2実施形態に関するプロジェクタPJ21~PJ24について説明する。プロジェクタPJ21~PJ24は同一なので、プロジェクタPJ21を代表として説明する。第1実施形態と同じ構成については同じ符号を付与し、説明は省略する。
【0045】
撮像画像入力部214は、カメラCAM(図9)が撮像した画像のデータを取得できる。取得した撮像画像データはMPU215に出力される。MPU215は、後述するマルチ投射情報を比較することが可能な比較部としての機能を有する。これについては後述のフローチャートにて具体例を説明する。また、MPU215は、マルチ投射情報およびカメラCAMによる撮像画像にもとづいて、マルチ投射画面調整を行うことが可能な設定部としての機能も有する。
【0046】
(画像投射装置のフローチャートについて)
図11のフローチャートを参照して、第2実施形態のプロジェクタPJ21~PJ24によるマルチ投射システムの制御方法について説明する。プロジェクタPJ21~PJ24は同一なので、プロジェクタPJ21がマルチ投射画像調整を行う場合を例にして説明する。
【0047】
マルチ投射システムの制御が開始されると、ステップS201でユーザが操作部211によりマルチ投射画像調整を開始したか否かを判定する。マルチ投射画像調整の開始を検知した場合はステップS202へ移行し、そうでない場合はステップS201へ戻る。
【0048】
ステップS202では、通信部212によりプロジェクタPJ22~PJ24に対して各々が記憶しているマルチ投射情報を送信するよう要求する。例えば、プロジェクタPJ22~PJ24には、図12(A)~(C)に示すようなマルチ投射情報が記憶されているものとする。ここでは、プロジェクタPJ22、PJ23には2行×2列のタイル投射に関する情報が、プロジェクタPJ24には1行×2列のタイル投射に関する情報が記憶されているものとする。
【0049】
ステップS203で、プロジェクタPJ21がすべてのプロジェクタのマルチ投射情報を受信したか判定する。受信した場合はステップS204へ移行し、そうでない場合はステップS203へ戻る。
【0050】
ステップS204で、比較部として機能するMPU215により、プロジェクタPJ22~PJ24から受信したマルチ投射情報、および、プロジェクタPJ21の記憶部213に記憶されているマルチ投射情報を比較し、多数派のマルチ投射情報を選出する。ここでは、記憶部213には、図13に示すように1行×2列のタイル投射に関するマルチ投射情報が記憶されているものとする。
【0051】
実際にそれぞれのマルチ投射情報を比較すると、プロジェクタPJ22、PJ23には2行×2列のタイル投射に関する情報が、プロジェクタPJ21、PJ24には1行×2列のタイル投射に関する情報が記憶されている。そのため、この2つのマルチ投射情報が多数派となるため、これらを多数派のマルチ投射情報として選出する。ここでは、マルチ投射情報のうちブレンド幅や割当について考慮していないが、ブレンド幅や割当について考慮して比較してもよい。
【0052】
ステップS205で、多数派のマルチ投射情報が1つに決まるか否かを判定する。多数派のマルチ投射情報が1つに決まらない場合は、ステップS206へ移行し、マルチ投射情報が1つに決まる場合は、ステップS208へ移行する。今回の例では、多数派のマルチ投射情報が2つあるため、ステップS206へ移行する。
【0053】
ステップS206では、ステップS204で選出された多数派のマルチ投射情報を投射表示し、ユーザが操作部211を使って、いずれか1つのマルチ投射情報を選択可能な状態にする。
【0054】
ステップS207で、ユーザの入力が完了し、マルチ投射情報が選択されたか否かを判定する。ユーザの入力が完了し、マルチ投射情報が選択された場合はステップS208へ移行し、入力が完了していない場合はステップS206へ戻る。ここでは仮に、ユーザにより、プロジェクタPJ22、PJ23に記憶されていた2行×2列のタイル投射に関するマルチ投射情報が選択されたものとする。
【0055】
ステップS208では、ステップS205もしくはステップS207で1つに決まったマルチ投射情報を、マルチ投射画像調整を行う際に必要なパラメータの初期値として設定する。
【0056】
ステップS209で、設定部として機能するMPU215により、マルチ投射画像調整のサブプロセスを実行する。このサブプロセス自体は、例えば、第1実施形態のステップS109に記載した先行技術で実現可能である。第2実施形態では、すでにステップS208で多数派のマルチ投射情報をパラメータとして設定しているため、ユーザは設定されているパラメータに問題がなければ、パラメータ設定の操作を行うことなく調整を開始することができる。マルチ投射画像調整のパラメータ初期値として、多数派のマルチ投射情報を採用することで、故障等の理由により投射制御装置PCやプロジェクタを交換した場合、マルチ投射画像調整を再び行う際、ユーザの調整の手間軽減や、誤設定防止につなげられる。マルチ投射画像調整が完了した後、ステップS210へ移行する。
【0057】
ステップS210で、通信部212によりプロジェクタPJ22~PJ24に対してマルチ投射画像調整に使用したマルチ投射情報を送信し、それぞれに記憶されているマルチ投射情報を更新する。今回の例の場合、マルチ投射情報を更新した後のプロジェクタPJ22~PJ24には、図14(A)~(C)それぞれに対応したマルチ投射情報が記憶された状態となる。
【0058】
ステップS211で、プロジェクタPJ21自身の記憶部215にマルチ投射画像調整に使用したマルチ投射情報を記憶する。今回の例の場合、プロジェクタPJ21の記憶部215には図15に示すマルチ投射情報が記憶された状態となる。
【0059】
このように、本実施形態はマルチ投射システムの画像投射装置、投射システムおよびマルチ投射システムの制御方法に関するものである。本実施形態の画像投射装置を用いてマルチ投射画像調整を行うことにより、マルチ投射システムに含まれる一部のプロジェクタを交換した後のマルチ投射システムの調整を行うユーザの負荷を軽減することができる。
【0060】
各実施形態の開示は、以下の構成および方法を含む。
【0061】
(構成1)
複数の画像投射装置を制御する制御装置であって、
前記複数の画像投射装置と通信し、マルチ投射のレイアウトに関するマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置から取得する通信部と、
前記複数の画像投射装置から取得したマルチ投射情報のうち最も多数のマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定する設定部とを有することを特徴とする制御装置。
【0062】
(構成2)
複数の画像投射装置を制御する制御装置であって、
前記複数の画像投射装置と通信し、マルチ投射のレイアウトに関するマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置から取得する通信部と、
複数の画像投射装置に対して設定されたマルチ投射情報を記憶する記憶部を有し、
前記複数の画像投射装置から取得したマルチ投射情報および前記記憶部が記憶するマルチ投射情報のうち最も多数のマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定する設定部とを有することを特徴とする投射制御装置。
【0063】
(構成3)
ユーザの入力操作を受け付ける入力部を有し、
最も多数のマルチ投射情報が複数ある場合には、該複数のマルチ投射情報から前記入力部によって選択されたマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定することを特徴とする構成1または2に記載の制御装置。
【0064】
(構成4)
前記設定部は、前記最も多数のマルチ投射情報を、前記複数の画像投射装置のそれぞれに記憶させることを特徴とする構成1乃至3のいずれかに記載の制御装置。
【0065】
(構成5)
複数の画像投射装置に対して設定されたマルチ投射情報を記憶する記憶部を有し、
前記設定部は、前記最も多数のマルチ投射情報を、前記記憶部に記憶させることを特徴とする構成1に記載の制御装置。
【0066】
(構成6)
前記マルチ投射情報は、スタック台数、ブレンド幅の少なくとも1つを含むことを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の制御装置。
【0067】
(構成7)
複数の画像投射装置と、
構成1乃至6のいずれかに記載の制御装置を備えることを特徴とする画像投射システム。
【0068】
(構成8)
複数の画像投射装置を含む画像投射システムを構成する画像投射装置であって、
前記画像投射システムを構成する他の画像投射装置と通信し、マルチ投射のレイアウトに関するマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置から取得する通信部と、
前記複数の画像投射装置から取得したマルチ投射情報のうち最も多数のマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定する設定部とを有することを特徴とする画像投射装置。
【0069】
(方法1)
複数の画像投射装置を制御する制御方法であって、
前記複数の画像投射装置と通信し、マルチ投射のレイアウトに関するマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置から取得する通信工程と、
前記複数の画像投射装置から取得したマルチ投射情報のうち最も多数のマルチ投射情報を前記複数の画像投射装置に設定する設定工程とを有することを特徴とする制御方法。
【0070】
(構成9)
方法1に記載の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【0071】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0072】
PC 投射制御装置
1000、2000 マルチ投射システム
PJ11、PJ12、PJ13、PJ14 プロジェクタ(画像投射装置)
PJ21、PJ22、PJ23、PJ24 プロジェクタ(画像投射装置)
CAM カメラ(撮像装置)
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