(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171098
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
A01D 67/00 20060101AFI20241204BHJP
A01F 12/46 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A01D67/00 G
A01F12/46
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087981
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002321
【氏名又は名称】弁理士法人永井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 龍太
(72)【発明者】
【氏名】田口 裕也
(72)【発明者】
【氏名】上加 郁朗
(72)【発明者】
【氏名】大原 一志
【テーマコード(参考)】
2B076
2B396
【Fターム(参考)】
2B076AA04
2B076BA07
2B076CD03
2B396JA04
2B396JC08
2B396JE01
2B396KA01
2B396PA02
2B396PA04
2B396PA12
2B396PA30
2B396PA47
(57)【要約】
【課題】穀粒を排出する張出位置に移動した排出オーガの排出部を上下方向と左右方向に容易に操作できるコンバインを提案する。
【解決手段】操縦部(5)の操縦席(10)の左側にサイドパネル(15)を設け、排出オーガ(8)を上下方向に延在する縦排出部(8A)と、縦排出部(8A)の上部から前後方向に延在する横排出部(8B)と、横排出部(8B)の前端部に設けられた排出部(8C)で形成し、側面視において、サイドパネル(15)における操縦席(10)よりも前側にコンバインの走行速度を増減速させる変速レバー(16)を設け、変速レバー(16)の前側に操作パネル(20)を設け、操作パネル(20)に、排出部(8C)を左右方向に移動させる左右スイッチ(21)と上下方向に移動させる上下スイッチ(22)を設けた。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンを搭載した機体フレーム(1)の上側に操縦部(5)を設け、該操縦部(5)の後側に脱穀処理された穀粒を貯留するグレンタンク(7)を設け、該グレンタンク(7)の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインにおいて、
前記操縦部(5)の操縦席(10)の左側にサイドパネル(15)を設け、
前記排出オーガ(8)を上下方向に延在する縦排出部(8A)と、該縦排出部(8A)の上部から前後方向に延在する横排出部(8B)と、該横排出部(8B)の前端部に設けられた排出部(8C)で形成し、
側面視において、前記サイドパネル(15)における操縦席(10)よりも前側にコンバインの走行速度を増減速させる変速レバー(16)を設け、該変速レバー(16)の前側に操作パネル(20)を設け、
該操作パネル(20)に、前記排出部(8C)を左右方向に移動させる左右スイッチ(21)と上下方向に移動させる上下スイッチ(22)を設けたことを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
前記操作パネル(20)を後下がりに形成した請求項1記載のコンバイン。
【請求項3】
前記操作パネル(20)を水平部(20A)と、該水平部(20A)の後端部から後下がりに形成された傾斜部(20B)で形成し、
前記水平部(20A)に左右スイッチ(21,23)を配置し、前記傾斜部(20B)に上下スイッチ(22,24)を配置した請求項1記載のコンバイン。
【請求項4】
平面視において、前記水平部(20A)の左部を傾斜部(20B)の左部よりも左側に延在し、前記水平部(20A)の右部を傾斜部(20B)の右部よりも右側に延在した請求項3記載のコンバイン。
【請求項5】
平面視において、前記操作パネル(20)の右部を、前記操作パネル(20)の左部よりも前側に位置させ、前記操作パネル(20)を操縦席(10)に対向させた請求項2又は3記載のコンバイン。
【請求項6】
平面視において、前記傾斜部(20B)の右部を、前記傾斜部(20B)の左部よりも前側に位置させ、前記傾斜部(20B)を操縦席(10)に対向させた請求項4記載のコンバイン。
【請求項7】
平面視において、前記張出位置を、前記縦排出部(8A)の軸心回りに横排出部(8B)を反時計方向に回転させて排出部(8C)を操縦部(5)の左側に位置させる左張出位置と、前記縦排出部(8A)の軸心回りに横排出部(8B)を時計方向に回転させて排出部(8C)を操縦部(5)の右側に位置させる右張出位置に移動させる構成とした請求項1記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀粒を排出する排出オーガを備えるコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、操縦部のサイドパネルの後部に張出位置に移動した排出オーガの先端部を上下方向に移動させる上下スイッチと左右方向に移動させる左右スイッチを配置する技術が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の技術では、作業者が身体を後方にひねって上下スイッチと左右スイッチを操作する必要があるために操作性の悪さが指摘されていた。
【0005】
そこで、本発明の主たる課題は、穀粒を排出する張出位置に移動した排出オーガの排出部を上下方向と左右方向に容易に操作できるコンバインを提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決した本発明は次のとおりである。
すなわち、請求項1記載の発明は、エンジンを搭載した機体フレーム(1)の上側に操縦部(5)を設け、該操縦部(5)の後側に脱穀処理された穀粒を貯留するグレンタンク(7)を設け、該グレンタンク(7)の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ(8)を設けたコンバインにおいて、
前記操縦部(5)の操縦席(10)の左側にサイドパネル(15)を設け、前記排出オーガ(8)を上下方向に延在する縦排出部(8A)と、該縦排出部(8A)の上部から前後方向に延在する横排出部(8B)と、該横排出部(8B)の前端部に設けられた排出部(8C)で形成し、側面視において、前記サイドパネル(15)における操縦席(10)よりも前側にコンバインの走行速度を増減速させる変速レバー(16)を設け、該変速レバー(16)の前側に操作パネル(20)を設け、該操作パネル(20)に、前記排出部(8C)を左右方向に移動させる左右スイッチ(21)と上下方向に移動させる上下スイッチ(22)を設けたことを特徴とするコンバインである。
【0007】
請求項2記載の発明は、前記操作パネル(20)を後下がりに形成した請求項1記載のコンバインである。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記操作パネル(20)を水平部(20A)と、該水平部(20A)の後端部から後下がりに形成された傾斜部(20B)で形成し、前記水平部(20A)に左右スイッチ(21,23)を配置し、前記傾斜部(20B)に上下スイッチ(22,24)を配置した請求項1記載のコンバインである。
【0009】
請求項4記載の発明は、平面視において、前記水平部(20A)の左部を傾斜部(20B)の左部よりも左側に延在し、前記水平部(20A)の右部を傾斜部(20B)の右部よりも右側に延在した請求項3記載のコンバインである。
【0010】
請求項5記載の発明は、平面視において、前記操作パネル(20)の右部を、前記操作パネル(20)の左部よりも前側に位置させ、前記操作パネル(20)を操縦席(10)に対向させた請求項2又は3記載のコンバインである。
【0011】
請求項6記載の発明は、平面視において、前記傾斜部(20B)の右部を、前記傾斜部(20B)の左部よりも前側に位置させ、前記傾斜部(20B)を操縦席(10)に対向させた請求項4記載のコンバインである。
【0012】
請求項7記載の発明は、平面視において、前記張出位置を、前記縦排出部(8A)の軸心回りに横排出部(8B)を反時計方向に回転させて排出部(8C)を操縦部(5)の左側に位置させる左張出位置と、前記縦排出部(8A)の軸心回りに横排出部(8B)を時計方向に回転させて排出部(8C)を操縦部(5)の右側に位置させる右張出位置に移動させる構成とした請求項1記載のコンバインである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載の発明によれば、操縦部(5)の操縦席(10)の左側にサイドパネル(15)を設け、排出オーガ(8)を上下方向に延在する縦排出部(8A)と、縦排出部(8A)の上部から前後方向に延在する横排出部(8B)と、横排出部(8B)の前端部に設けられた排出部(8C)で形成し、側面視において、サイドパネル(15)における操縦席(10)よりも前側にコンバインの走行速度を増減速させる変速レバー(16)を設け、変速レバー(16)の前側に操作パネル(20)を設け、操作パネル(20)に、排出部(8C)を左右方向に移動させる左右スイッチ(21)と上下方向に移動させる上下スイッチ(22)を設けたので、穀粒を排出する張出位置に移動した排出オーガ(8)の排出部(8C)を上下方向と左右方向に容易に操作できる。
【0014】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、操作パネル(20)を後下がりに形成したので、操縦席(10)に着席した作業者から操作パネル(20)に配置された左右スイッチ(21,23)と上下スイッチ(22,24)を容易に目視することができ、作業者の操作イメージと排出部(8C)の上下方向の移動が一致して誤操作を防止することができる。
【0015】
請求項3記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、操作パネル(20)を水平部(20A)と、水平部(20A)の後端部から後下がりに形成された傾斜部(20B)で形成し、水平部(20A)に左右スイッチ(21,23)を配置し、傾斜部(20B)に上下スイッチ(22,24)を配置したので、操縦席(10)に着席した作業者から操作パネル(20)に配置された左右スイッチ(21,23)と上下スイッチ(22,24)を容易に目視することができ、作業者の操作イメージと排出部(8C)の左右方向と上下方向の移動が一致して誤操作を防止することができる。
【0016】
請求項4記載の発明によれば、請求項3記載の発明による効果に加えて、平面視において、水平部(20A)の左部を傾斜部(20B)の左部よりも左側に延在し、水平部(20A)の右部を傾斜部(20B)の右部よりも右側に延在したので、作業者の操作イメージと排出部(8C)の左右方向がより一致して誤操作をより防止することができる。
【0017】
請求項5記載の発明によれば、請求項2又は3記載の発明による効果に加えて、平面視において、操作パネル(20)の右部を、操作パネル(20)の左部よりも前側に位置させ、操作パネル(20)を操縦席(10)に対向させたので、操縦席(10)に着席した作業者から操作パネル(20)に配置された左右スイッチ(21,23)と上下スイッチ(22,24)をより容易に目視することができる。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、請求項4記載の発明による効果に加えて、平面視において、傾斜部(20B)の右部を、傾斜部(20B)の左部よりも前側に位置させ、傾斜部(20B)を操縦席(10)に対向させたので、操縦席(10)に着席した作業者から操作パネル(20)に配置された左右スイッチ(21,23)と上下スイッチ(22,24)をより容易に目視することができる。
【0019】
請求項7記載の発明によれば、請求項1記載の発明による効果に加えて、平面視において、張出位置を、縦排出部(8A)の軸心回りに横排出部(8B)を反時計方向に回転させて排出部(8C)を操縦部(5)の左側に位置させる左張出位置と、縦排出部(8A)の軸心回りに横排出部(8B)を時計方向に回転させて排出部(8C)を操縦部(5)の右側に位置させる右張出位置に移動させる構成としたので、排出部(8C)をトラックの荷台の上方に速やかに移動することができる。また、操縦席(10)に着席した作業者が排出部(8C)を目視しながら左右スイッチ(21)と上下スイッチ(22)を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図3】排出オーガの旋回方法を説明するコンバインの平面図である。
【
図4】排出オーガの伸縮方法の説明するコンバインの平面図である。
【
図5】排出オーガのリモート操作機の平面図である。
【
図6】第1実施形態の操作パネルを説明する操縦部の平面図である。
【
図7】同操作パネルを説明する操縦部の左側面図である。
【
図8】同操作パネルを説明する操縦部の背面図である。
【
図9】第2実施形態の操作パネルを説明する操縦部の平面図である。
【
図10】同操作パネルを説明する操縦部の左側面図である。
【
図11】同操作パネルを説明する操縦部の背面図である。
【
図12】第3実施形態の操作パネルを説明する操縦部の平面図である。
【
図13】同排出オーガの操作パネルを説明する操縦部の左側面図である。
【
図14】同排出オーガの操作パネルを説明する操縦部の背面図である。
【
図16】第1実施形態の保護部材を説明するコンバインの右側面図である。
【
図17】同保護部材を説明するコンバインの背面図である。
【
図18】第2実施形態の保護部材を説明するコンバインの右側面図である。
【
図19】同保護部材を説明するコンバインの背面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1,2に示すように、汎用コンバインは、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対のクローラからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取前処理装置3が設けられ、刈取前処理装置3の後方左側に収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取前処理装置3の後方右側に操縦者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0022】
操縦部5の下側にエンジンを内装するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側に脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられ、グレンタンク7の後側に穀粒を外部に排出する排出オーガ8が設けられている。また、操縦部5はキャビン9で覆われている。
【0023】
刈取前処理装置3は、圃場の穀稈を起立させながら後側に搬送する掻込装置3Aと、掻込装置3Aの後方下部に搬送された穀稈の株元を切断する刈刃装置3Bと、掻込装置3Aの後側に搬送された穀稈を左側に寄せ集めるオーガ装置3Cと、寄せ集められた穀稈を脱穀装置4に搬送するフィーダハウス3Dから構成されている。
【0024】
排出オーガ8は、グレンタンク7の後側に設けられた上下方向に延在する縦排出部8Aと、縦排出部8Aの上部から前後方向に延在する横排出部8Bと、横排出部8Bの先端部の排出部8Cで形成されている。
【0025】
図3に示すように、
図5に図示したリモート操作機30の収納スイッチ31を押下すると排出オーガ8が収納位置P1に移動する。起動スイッチ32を押下すると排出オーガ8の横排出部8Bの前部が所定の距離上昇し、この状態で、左スイッチ33を押下すると縦排出部8Aの軸心を中心として横排出部8Bの前部が反時計方向に回動して左張出位置P2に移動し、右スイッチ34を押下すると縦排出部8Aの軸心を中心として横排出部8Bの前部が時計方向に回動して右張出位置P3に移動する。これにより、コンバインの進行方向の左側に停車したトラックの荷台に穀粒を排出する場合には、左スイッチ33を押下して左張出位置P2に排出オーガ8を移動し、右側に停車したトラックの荷台に穀粒を排出する場合には、右スイッチ34を押下して右張出位置P3に排出オーガ8を移動して速やかに穀粒を排出することができる。なお、リモート操作機30は、操縦部5に配置されたコントローラと有線で接続されているが無線で接続することもできる。
【0026】
排出オーガ8が収納位置P1に移動した場合には、前後方向に延在する仮想線と横排出部8Bの交差角度は反時計方向に20度、排出オーガ8が左張出位置P2に移動した場合には、前後方向に延在する仮想線と横排出部8Bの交差角度は反時計方向に35度、排出オーガ8が右張出位置P3に移動した場合には、前後方向に延在する仮想線と横排出部8Bの交差角度は時計方向に30度に設定されている。これにより、操縦部5に搭乗した作業者が、リモート操作機30を操作して排出オーガ8の排出部8Cを目視しながら操縦部の左側又は右側の近傍に停車したトラックの荷台の上方に排出部8Cを容易に移動させる。
【0027】
収納スイッチ31と起動スイッチ32の上部には、排出オーガ8に内装された搬送螺旋を起動して穀粒の排出と、搬送螺旋の駆動を停止して穀粒の排出を停止する排出スイッチ35が設けられている。
【0028】
図4に示すように、リモート操作機30の伸スイッチ36Aを押下すると横排出部8Bの長さが長くなり排出部8Cが前方に向かって移動し、縮スイッチ36Bを押下すると横排出部8Bの長さが短くなり排出部8Cが後方に向かって移動する。これにより、トラックの荷台に穀粒を均等に排出することができる。
【0029】
伸スイッチ36Aと縮スイッチ35Bの間には、排出部8Cを横排出部8Bの中心軸の周りに左揺動させる左揺動スイッチ37Lと、排出部8Cを横排出部8Bの中心軸の周りに右揺動させる右揺動スイッチ37Rが設けられている。これにより、トラックの荷台に穀粒をより均等に排出することができる。
【0030】
<第1実施形態の操作パネル>
図6に示すように、操縦部5の操縦席10の前側にはフロントパネル11が設けられている。フロントパネル11の中央部にはエンジンの出力回転数等を表示するモニタ12が設けられ、モニタ12の右側には走行装置2の旋回や掻込装置3Aの昇降を行う操作レバー13が設けられ、フロントパネル11の上方には作業者が作業姿勢を維持するために把持する左右方向に延在するパイプ状のハンドル14が設けられている。なお、リモート操作機30はハンドル14に吊下げられている。
【0031】
操縦席10の左側にはサイドパネル15が設けられている。サイドパネル15の前部にはエンジンの出力回転の増減速を行うアクセルダイヤル16Aが設けられ、アクセルダイヤル16Aの左側に前進方向と後進方向の切替とともに前進方向の変速と後進方向の変速を行う無段変速装置を操作する主変速レバー(請求項の「変速レバー」)16が設けられている。主変速レバー16の右側でアクセルダイヤル16Aの前側には無段変速装置から伝達されてきた出力回転の増減速を行うトランスミッションのギヤチェンジを行う副変速レバー17が設けられている。なお、無段変速装置の出力回転はトランスミッションを介して走行装置2に伝動される。
【0032】
主変速レバー16の後側にはエンジンの出力回転を刈取前処理装置3に伝動する刈取クラッチと脱穀装置4に伝動する脱穀クラッチを操作する刈脱レバー18が設けられ、刈脱レバー18の左側にはエンジンの出力回転を排出オーガ8に伝動する排出クラッチとを操作する排出レバー19が設けられている。
【0033】
主変速レバー16の前側には排出オーガ8の位置を微調整する操作パネル20が設けられている。操作パネル20の上部には、排出オーガ8を左右方向に旋回させるシーソ型の左右スイッチ21が設けられ、左右スイッチ21の下側には、排出オーガ8を上下方向に昇降させるシーソ型の上下スイッチ22が設けられている。これにより、操縦部5に搭乗した作業者が、排出オーガ8の排出部8Cを目視しながら左右スイッチ21と上下スイッチ22を操作してトラックの荷台の上方の好適な位置に排出部8Cを移動させる。なお、操作パネル20の上部に上下スイッチ22を設け、上下スイッチ22の下側に左右スイッチ21を設けることもできる。
【0034】
図7に示すように、側面視において、操作パネル20は後下がり傾斜に設けられ、操作パネル20の前部は操作レバー13上に位置し、操作パネル20の後部は主変速レバー16よりも前側に位置している。これにより、作業者が、操作パネル20に沿って上下スイッチ22を前側に揺動させた場合には排出オーガ8が上昇し、操作パネル20に沿って上下スイッチ22を後側に揺動させた場合には排出オーガ8が下降するので、作業者の操作イメージと排出オーガ8の昇降が一致して作業者による誤操作を防止することができる。 なお、前後方向に延在する仮想線と操作パネル20の交差角度は30~70度が好ましく、
図7には交差角度が60度の操作パネル20を図示している。
【0035】
図8に示すように、背面視において、操作パネル20は主変速レバー16よりも左側に位置し、左右スイッチ21と上下スイッチ22は排出レバー19上に位置している。これにより、主変速レバー16の操作中に、作業者が誤って左右スイッチ21や上下スイッチ22を操作するのを抑制することができる。
【0036】
<第2実施形態の操作パネル>
図9~11には、第2実施形態の操作パネル20が図示されている。なお、第1実施形態の操作パネル20と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
第2実施形態の操作パネル20は作業者が着席する操縦席10に向かって設けられている。これにより、操縦部5に搭乗した作業者が、操作パネル20の左右スイッチ21と上下スイッチ22を容易に目視することができるので、作業者による誤操作をより防止することができる。なお、前後方向に延在する仮想線と操作パネル20の交差角度は20~30度が好ましく、
図9には交差角度が30度の操作パネル20を図示している。
【0038】
<第3実施形態の操作パネル>
図12~14には、第3実施形態の操作パネル20が図示されている。なお、第1実施形態の操作パネル20と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0039】
第3実施形態の操作パネル20は水平部20Aと水平部20Aの後端部から後下がり傾斜に形成された傾斜部20Bから形成され、水平部20Aには左右スイッチ21が配置され、傾斜部20Bには上下スイッチ22が配置されている。これにより、傾斜部20Bには、上下スイッチ22のみが配置されているので、作業者による誤操作をさらに防止することができる。なお、前後方向に延在する仮想線と傾斜部20Bの交差角度は30~70度が好ましく、
図13には交差角度が60度の操作パネル20を図示している。
【0040】
図15には、第3実施形態の操作パネル20の変形例を図示している。平面視において操作パネル20の水平部20Aは、左右方向に長辺を有し、前後方向に短辺を有する矩形状に形成されている。また、水平部20Aの後端部から後下がり傾斜に形成された傾斜部20Bは、左右方向に短辺を有し、前後方向に長辺を有する矩形状に形成されている。これにより、作業者が、水平部20Aに沿って左右スイッチ21を左側に揺動させた場合には排出オーガ8が左側(反時計方向)に旋回し、水平部20Aに沿って左右スイッチ21を右側に揺動させた場合には排出オーガ8が右側(時計方向)に旋回するので、作業者の操作イメージと排出オーガ8の旋回方向が一致して作業者による誤操作を防止することができる。
【0041】
また、左右スイッチ21に替えて左右一対の左右スイッチ23を設け、上下スイッチ22に替えて上下一対の上下スイッチ24を設けている。
【0042】
<第1実施形態の保護部材>
図16,17に示すように、操縦部5を覆うキャビン9に替えて操縦部5の上側にサンバイザー40が設けられている。サンバイザー40の後部は、グレンタンク7の上壁の前部から前方上側に延在する左右一対の支持フレーム41の上部に回転自在に固定されている。
【0043】
支持フレーム41には、支持フレーム41の上下方向の中間部から後方上側に延在する保護フレーム42が設けられている。
【0044】
左右一対の保護フレーム42の上部の前面には、背面視においてサンバイザー40の後面を覆う略台形状の保護カバー43の両側部が固定されている。これにより、排出オーガ8の旋回時に、排出オーガ8の横排出部8Bがサンバイザー40に接触してサンバイザー40が破損するのを防止することができる。なお、本明細書では保護フレーム42と保護カバー43を合わせて保護部材44という。
【0045】
<第2実施形態の保護部材>
図18,19には、第2実施形態の保護部材44が図示されている。なお、第1実施形態の保護部材44と同一部材には同一符号を付して説明を省略する。
【0046】
グレンタンク7の上壁における支持フレーム41の基部の後側には、グレンタンク7の上壁から上側に向かって延在する保護部材44の保護フレーム42が設けられている。
【0047】
左右一対の保護フレーム42の上部の前面には、背面視においてサンバイザー40の後面を覆う略台形状の保護部材44の保護カバー43の両側部が固定されている。これにより、排出オーガ8の旋回時に、排出オーガ8の横排出部8Bがサンバイザー40に接触してサンバイザー40が破損するのを防止することができる。
【符号の説明】
【0048】
1 機体フレーム
5 操縦部
7 グレンタンク
8 排出オーガ
8A 縦排出部
8B 横排出部
8C 排出部
10 操縦席
15 サイドパネル
16 主変速レバー(変速レバー)
20 操作パネル
20A 水平部
20B 傾斜部
21 左右スイッチ
22 上下スイッチ
23 左右スイッチ
24 上下スイッチ