(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171101
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F24C 1/00 20060101AFI20241204BHJP
F24C 7/02 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
F24C1/00 370A
F24C1/00 370B
F24C7/02 501B
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087988
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147304
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 知哉
(74)【代理人】
【識別番号】100148493
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 浩二
(74)【代理人】
【識別番号】100168583
【弁理士】
【氏名又は名称】前井 宏之
(72)【発明者】
【氏名】岸本 卓士
【テーマコード(参考)】
3L086
【Fターム(参考)】
3L086AA03
3L086DA06
3L086DA07
(57)【要約】
【課題】被加熱物の加熱が容易になる加熱調理器を提供する。
【解決手段】加熱調理器100は、加熱庫10と、吹出口15と、第1ダクト部40を備える。加熱庫10は、収容された被加熱物を加熱する。吹出口15は、加熱された空気を加熱庫10内に吹き出す。第1ダクト部40は、吹出口15から加熱庫10内に突出する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱された空気を吹き出す吹出口を有し、収容された被加熱物を加熱する加熱庫と、
前記吹出口から前記加熱庫内に突出するダクト部と
を備える、加熱調理器。
【請求項2】
前記ダクト部は、前記加熱された空気を加熱するヒータを収容する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項3】
前記ダクト部は、前記加熱された空気の進行方向を案内する案内部を収容する、請求項1に記載の加熱調理器。
【請求項4】
前記案内部は、
前記加熱された空気を第1方向に案内する第1案内部と、
前記加熱された空気を第2方向に案内する第2案内部と
を含み、
前記第1方向は、前記加熱庫の天板と底板とが向かい合う方向を示し、
前記第2方向は、前記加熱庫の開口部から前記加熱庫の内部に向かう方向と前記第1方向とに交差する方向を示す、請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項5】
前記案内部を駆動する駆動部をさらに備え、
前記駆動部は、前記案内部の姿勢を変更する、請求項3に記載の加熱調理器。
【請求項6】
前記加熱された空気を前記加熱庫内に循環させる遠心ファンをさらに備え、
前記案内部は、前記遠心ファンの回転方向に基づき姿勢が設定される、請求項3に記載の加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、加熱庫の後壁の外側に配置される熱風循環ユニットの一例が開示される。特許文献1の加熱調理器は、遠心ファンと、ヒータとを含む。遠心ファンは、後壁の吸込口から加熱庫内の空気を吸い込み、ヒータで加熱した空気を後壁の吹出口から加熱庫内に供給する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される加熱調理器では、空気は、吹出口から加熱庫内に供給された途端、加熱庫内に拡散する。従って、加熱庫内の温度を一様に昇温した後、被加熱物が加熱調理される。つまり、特許文献1に開示される加熱調理器は、被加熱物の加熱時間が長期化する虞がある。
【0005】
本開示の目的は、被加熱物の加熱が容易になる加熱調理器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の加熱調理器は、加熱庫と、ダクト部とを備える。前記加熱庫は、加熱された空気を吹き出す吹出口を有し、収容された被加熱物を加熱する。前記ダクト部は、前記吹出口から前記加熱庫内に突出する。
【発明の効果】
【0007】
本開示の加熱調理器によれば、被加熱物の加熱が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示の一実施形態に係る加熱調理器の斜視図である。
【
図8】本開示の一実施形態に係る加熱調理器の構成を示すブロック図である。
【
図9】本開示の一実施形態に係る制御部の送風処理におけるフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本開示に係る加熱調理器100の実施形態について説明する。なお、図中、同一または相当部分については同一の参照符号を付して説明を繰り返さない。
【0010】
図1から
図3を参照して、本実施形態に係る加熱調理器100について説明する。
図1は、本実施形態における加熱調理器100の斜視図である。
図2は、
図1のII-II線断面図である。
図3は、
図1のIII-III線断面図である。
【0011】
加熱調理器100は、被加熱物を加熱調理する。被加熱物は、例えば、食品である。加熱調理器100は、例えば、レンジ加熱機能と、オーブン加熱機能と、グリル加熱機能とを有する。レンジ加熱機能は、マイクロ波を用いて被加熱物を加熱する機能である。オーブン加熱機能は、対流加熱を用いて被加熱物を加熱する機能である。グリル加熱機能は、輻射加熱を用いて被加熱物を加熱する機能である。
図1に示すように、加熱調理器100は、加熱庫10と、筐体11と、扉12と、操作パネル部13とを備える。
【0012】
本実施形態では、加熱調理器100の正面に立ったユーザーから視て、加熱調理器100の操作パネル部13が配置される側を前方X1とし、その反対側を後方X2と規定する。また、加熱調理器100を前方X1から見たときの左側を左方Y1とし、その反対側を右方Y2と規定する。また、加熱調理器100の前後方向X及び左右方向Yと直交する上下方向Zにおいて、操作パネル部13が配置される側を上方Z1とし、その反対側を下方Z2と規定する。なお、これらの向きは、本発明の加熱調理器100の使用時の向きを限定するものではない。
【0013】
筐体11は、加熱庫10を収容する。筐体11は、前方X1が開口した直方体状物である。筐体11の開口は、扉12により閉じられる。扉12は、左方Y1側端部が鉛直軸回りに回転自在に支持される。
図1に示すように、筐体11は、上壁111、左壁112、右壁113、底壁114、前壁115及び後壁116を有する。
【0014】
図2及び
図3に示すように、筐体11の内部には、載置部122が配置される。載置部122は、被加熱物を載置する。
【0015】
加熱庫10は、加熱調理器100の収容空間を形成する。加熱庫10は、箱状部材である。加熱庫10は、加熱室10Aを内部に有する。加熱室10Aには、被加熱物が収容される。加熱庫10は、収容された被加熱物を加熱する。
【0016】
図1に示すように、操作パネル部13は、ユーザーからの操作を受け付ける。ユーザーは、レンジ加熱調理、オーブン加熱調理、グリル加熱調理の何れかを操作パネル部13によって選択する。操作パネル部13は、加熱室10Aよりも前方X1に配置される。つまり、操作パネル部13は、加熱庫10の前方X1に配置されている。操作パネル部13は、加熱調理器100の上方Z1側部分に位置する。
【0017】
図2に示すように、加熱庫10は、上壁101、左壁102、右壁103、底壁104及び後壁105を有する。加熱庫10は、上壁101、左壁102、右壁103及び底壁104の前方X1側の端部に開口部106を有する。加熱庫10は、第1収容部10Bを内部に有する。上壁101は、「天板」の一例に相当する。底壁104は、「底板」の一例に相当する。
【0018】
第1収容部10Bは、底壁104の下方Z2側に配置される。第1収容部10Bには、アンテナ21が収容される。第1収容部10Bは、上部が開放された、有底円筒材に構成される。第1収容部10Bの上方Z1側の開口は、トレイ24により塞がれる。トレイ24は、マイクロ波の透過性を考慮して、セラミックスまたはガラスを含む。
【0019】
図3に示すように、加熱調理器100は、マイクロ波供給部20と、コンベクションユニット30と、第1ダクト部40と、第2ダクト部50とを有する。
【0020】
マイクロ波供給部20は、マイクロ波を発生し、マイクロ波を加熱庫10に供給する。
図2に示すように、マイクロ波供給部20は、アンテナ21と、導波管22と、マグネトロン23とを有する。
【0021】
アンテナ21は、マイクロ波を攪拌する。アンテナ21は、加熱庫10に向けて均一なマイクロ波を放射する。アンテナ21の上部には、トレイ24が配置される。
【0022】
導波管22は、マイクロ波を加熱庫10の底壁104の中央部に導く。加熱庫10の底壁104の中央部には、例えば、給電孔部(図示略)が配置される。給電孔部は、アンテナ21に向かって開口する。導波管22は、マイクロ波を発生するマグネトロン23から加熱庫10に向けてマイクロ波を導く。マグネトロン23は、高周波のマイクロ波を発生する。
【0023】
コンベクションユニット30は、加熱室10Aに空気を循環させる。
図3に示すように、コンベクションユニット30は、ファン31と、ヒータ32と、カバー33とを有する。
【0024】
カバー33は、後壁105との間に、第2収容部10Cを形成する。第2収容部10Cは、ファン31とヒータ32とを収容する。カバー33は、後壁105の後方X2側の面に固定される。カバー33の後方X2側には、通電部321と、駆動部311とが配置される。
【0025】
ファン31は、遠心ファンである。ファン31は、吸込口14から空気を吸い込み、吹出口15及び吹出口16から空気を吹き出す。ファン31は、加熱された空気を加熱庫10内に循環させる。駆動部311は、ファン31を駆動する。
図2に示すように、ファン31は、例えば、駆動軸の回りにおいて回転方向W1に駆動される。
図3に示すように、駆動されたファン31は、吸込口14を介して、加熱室10A内の空気を第2収容部10C内に吸い込む。駆動されたファン31は、吹出口15及び吹出口16を介して、第2収容部10C内の空気を加熱室10Aに吹き出す。
【0026】
以上のように、加熱庫10は、後壁105を有する。後壁105は、吹出口15を有する。よって、加熱庫10は、加熱された空気を吹き出す吹出口15を有する。
【0027】
図2及び
図3に示すように、吸込口14は、後壁105の中央部分に配置される。吸込口14は、ファン31の前方X1側正面に位置する。吹出口15及び吹出口16は、吸込口14の外側に配置される。具体的には、吹出口15は、吸込口14の上方Z1に配置される。吹出口16は、吸込口14の下方Z2に配置される。吸込口14、吹出口15及び吹出口16は、後壁105をプレス加工により打ち抜いて形成される。
【0028】
ヒータ32は、上方Z1のヒータ32aと、下方Z2のヒータ32bとを含む。ヒータ32aは、第2収容部10Cの上方Z1側端部において吹出口15の後方X2側に配置される。ヒータ32bは、第2収容部10Cの下方Z2側端部において吹出口16の後方X2側に配置される。通電部321は、ヒータ32a及びヒータ32bを通電する。通電されたヒータ32a及びヒータ32bは、第2収容部10C内の空気を加熱する。
【0029】
第1ダクト部40は、空気を誘導する。具体的には、第1ダクト部40は、吹出口15から吹き出される空気を加熱室10A内に向けて誘導する。第1ダクト部40は、矩形筒状に形成され、前後方向Xに貫通される。第1ダクト部40は、吹出口15から加熱庫10内に突出する。第1ダクト部40は、吸込口14の上方Z1に位置する。第1ダクト部40は、左右方向Yに沿って直線状に延びる。従って、加熱された空気は、加熱庫10の内側まで第1ダクト部40によって案内される。よって、空気の熱が、分散され難い。その結果、被加熱物の加熱時間を短縮できる。第1ダクト部40は、「ダクト部」の一例に相当する。
【0030】
第2ダクト部50は、空気を誘導する。具体的には、第2ダクト部50は、吹出口16から吹き出される空気を加熱室10A内に向けて誘導する。第2ダクト部50は、矩形筒状に形成され、前後方向Xに貫通される。第2ダクト部50は、吹出口16から加熱庫10内に突出する。第2ダクト部50は、吸込口14の上方Z1に位置する。第2ダクト部50は、左右方向Yに沿って直線状に延びる。
【0031】
次に、
図4から
図7を参照して、第1ダクト部40及び第2ダクト部50についてさらに説明する。
図4は、第1ダクト部40の断面図である。
図5は、
図4のV-V線断面図である。
図6は、第2ダクト部50の断面図である。
図7は、
図6のVII-VII線断面図である。
【0032】
図2及び
図3に示すように、載置部122は、上下方向Zにおいて第1ダクト部40と第2ダクト部50との間に位置する。具体的には、載置部122は、上下方向Zにおいて吸込口14と第2ダクト部50との間に配置される。
【0033】
図4及び
図5に示すように、第1ダクト部40は、第1整風板41と、第2整風板42と、第1補助ヒータ43とを有する。
【0034】
第1ダクト部40は、加熱された空気を加熱する第1補助ヒータ43を収容する。従って、加熱庫10内に吹き出される直前に加熱されるため、高温の空気が被加熱物に供給される。その結果、被加熱物の加熱時間を一層短縮できる。また、被加熱物を輻射熱で調理できる。第1補助ヒータ43は、「加熱された空気を加熱するヒータ」の一例に相当する。
【0035】
第1補助ヒータ43は、吹出口15の前方X1に配置され、左右方向Yに沿って直線状に延びる。第1通電部431は、第1補助ヒータ43を通電する。通電された第1補助ヒータ43は、第1ダクト部40内の空気を加熱する。
【0036】
第1整風板41は、空気を上下方向Zに案内する。第1整風板41は、上下方向Zに交差する面部を有し、第1補助ヒータ43の上方Z1に位置する。第1整風板41は、後方X2側端部に、左右方向Yに延びる軸部41bを有する。第1整風板41は、軸部41bの回りに回転方向W2に回転駆動される。左右方向Yの端部において、第1整風板41の前後方向Xの中間部は、連結部41aを介して第1駆動部411に連結される。第1駆動部411が連結部41aを下方Z2に駆動すると、第1整風板41が回転方向W2に回転する。
図4に示すように、第1駆動部411が第1整風板41を回転方向W2に回転させた場合、加熱された空気は、第1整風板41を回転方向W2に回転させない場合に比べて、下方Z2に案内される。
【0037】
第2整風板42は、空気を左右方向Yに案内する。第2整風板42は、左右方向Yに交差する面部を有し、第1補助ヒータ43の前方X1に位置する。第2整風板42は、前後方向Xの中間部において上下方向Zに延びる軸部42bを有する。
図5に示すように、第2整風板42は、軸部42bの回りに回転方向W3、または回転方向W4に回転駆動される。上下方向Zの中間部において、第2整風板42の後方X2側端部は、連結部42aを介して第2駆動部421に連結される。第2駆動部421が連結部42aを右方Y2に駆動すると、第2整風板42が回転方向W3に回転する。第2駆動部421が連結部42aを左方Y1に駆動すると、第2整風板42が回転方向W4に回転する。
図5に示すように、第2駆動部421が第2整風板42を回転方向W3に回転させた場合、加熱された空気は、左方Y1に案内される。第2駆動部421が第2整風板42を回転方向W4に回転させた場合、加熱された空気は、右方Y2に案内される。
【0038】
第1ダクト部40は、加熱された空気の進行方向を案内する第1整風板41及び第2整風板42を収容する。従って、第1整風板41及び第2整風板42は、加熱された空気を所望の方向に案内することができる。その結果、加熱する領域を変更できる。また、加熱庫内の温度分布を均一化できる。なお、第1整風板41及び第2整風板42は、「加熱された空気の進行方向を案内する案内部」の一例に相当する。
【0039】
案内部は、加熱された空気を上下方向Zに案内する第1整風板41と、加熱された空気を左右方向Yに案内する第2整風板42とを含む。従って、案内部は、空気を上下方向Z及び左右方向Yに制御できる。その結果、加熱された空気を精度よく所望の方向に案内することができる。上下方向Zは、「第1方向」の一例に相当し、第1整風板41は、「第1案内部」の一例に相当する。左右方向Yは、「第2方向」の一例に相当し、第2整風板42は、「第2案内部」の一例に相当する。
【0040】
第1整風板41を駆動する第1駆動部411を有する。第1駆動部411は、第1整風板41の姿勢を変更する。また、第2整風板42を駆動する第2駆動部421を有する。第2駆動部421は、第2整風板42の姿勢を変更する。従って、第1整風板41及び第2整風板42は、加熱の途中において、第1整風板41及び第2整風板42の姿勢を変更できる。よって、加熱された空気の進行方向を加熱の途中であっても変更できる。その結果、被加熱物の形状等調理条件の変さらに関らず、高温の空気を被加熱物に供給できる。
【0041】
図6及び
図7に示すように、第2ダクト部50は、第3整風板51と、第2補助ヒータ53とを有する。
【0042】
第2補助ヒータ53は、吹出口16の前方X1に配置され、左右方向Yに沿って直線状に延びる。第2通電部531は、第2補助ヒータ53を通電する。通電された第2補助ヒータ53は、第2ダクト部50内の空気を加熱する。
【0043】
第3整風板51は、空気を左右方向Yに案内する。第3整風板51は、左右方向Yに交差する面部を有し、第2補助ヒータ53の前方X1に位置する。第3整風板51は、前後方向Xの中間部において上下方向Zに延びる軸部51bを有する。
図7に示すように、第3整風板51は、軸部51bの回りに回転方向W3、または回転方向W4に回転駆動される。上下方向Zの中間部において、第3整風板51の後方X2側端部は、連結部51aを介して第3駆動部511に連結される。第3駆動部511が連結部51aを右方Y2に駆動すると、第3整風板51が回転方向W3に回転する。第3駆動部511が第3整風板51を回転方向W3に回転させた場合、加熱された空気は、左方Y1に案内される。第3駆動部511が連結部51aを左方Y1に駆動すると、第3整風板51が回転方向W4に回転する。第2駆動部421が第2整風板42を回転方向W4に回転させた場合、加熱された空気は、右方Y2に案内される。
【0044】
次に、
図8を参照して、加熱調理器100の構成について、さらに説明する。
図8は、本開示の一実施形態における加熱調理器100の構成を示すブロック図である。
【0045】
図8に示すように、加熱調理器100は、制御部60と、記憶部61とをさらに有する。
【0046】
制御部60は、ハードウェア回路である。ハードウェア回路は、CPU(Central Processing Unit)のようなプロセッサーを含む。制御部60は、記憶部61に格納された制御プログラムを実行することにより、操作パネル部13、通電部321、第1通電部431、第2通電部531、駆動部311、第1駆動部411、第2駆動部421、第3駆動部511、マイクロ波供給部20、及び記憶部61を制御する。
【0047】
記憶部61は、RAM(Random Access Memory)、及びROM(Read Only Memory)によって構成される。記憶部61は、加熱調理器100の各部の動作を制御するための制御プログラムを記憶する。記憶部61は、操作パネル部13が操作されて入力された設定情報を記憶する。
【0048】
図8に示すように、制御部60は、姿勢制御部62を有する。姿勢制御部62は、加熱調理の種類に応じて、第1整風板41、第2整風板42、及び第3整風板51の姿勢を制御する。
【0049】
ユーザーがレンジ加熱調理またはオーブン加熱調理を選択した場合、姿勢制御部62は、加熱室10A内の温度分布を均一化する。制御部60は、例えば、ヒータ32をオン操作し、第1補助ヒータ43及び第2補助ヒータ53をオフ操作する。姿勢制御部62は、空気が水平方向に向けて前方X1に流れるように第1整風板41の姿勢を中立に制御する。
【0050】
図2に示すように、ファン31は駆動軸の回りにおいて回転方向W1に駆動される。従って、加熱室10Aの上方Z1では、加熱された空気は、左方Y1に集中する。加熱室10Aの下方Z2では、加熱された空気は、右方Y2に集中する。姿勢制御部62は、加熱室10Aの上方Z1において空気の集中を解消するため、第2整風板42を回転方向W4に回転させる。姿勢制御部62は、加熱室10Aの下方Z2において空気の集中を解消するため、第3整風板51を回転方向W3に回転させる。
【0051】
第2整風板42及び第3整風板51は、ファン31の回転方向に基づき姿勢が設定される。加熱庫10内において、空気を循環させるファン31を使用する場合、空気は、必然的にファン31の回転方向W1に起因して滞留する。第2整風板42及び第3整風板51は、空気を滞留する位置から反対方向に分散させることができる。その結果、第2整風板42及び第3整風板51は、加熱庫10内の温度分布の不均一を回避でき、加熱ムラを回避できる。
【0052】
ユーザーがグリル加熱調理を選択した場合、姿勢制御部62は、被加熱物に向けて熱を集中する。制御部60は、例えば、ヒータ32をオン操作し、第1補助ヒータ43及び第2補助ヒータ53をオン操作する。姿勢制御部62は、空気が被加熱物に向けて下方Z2に流れるように第1整風板41の姿勢を制御する。姿勢制御部62は、空気が被加熱物に向けて左右方向Yの中央に流れるように第2整風板42の姿勢及び第3整風板51の姿勢を中立に制御する。
【0053】
次に、
図9を参照して、制御部60が行う送風処理について説明する。
図9は、本開示の一実施形態に係る制御部60の送風処理におけるフローチャートである。
図9に示すように、制御部60の処理は、ステップS1からステップS6を含む。制御部60のプロセッサーがコンピュータプログラムを実行することによって、ステップS1からステップS6が実行される。
【0054】
図9に示すように、ステップS1において、制御部60は、各種データを読み込む。処理はステップS2に進む。
【0055】
ステップS2において、レンジ加熱調理、またはオーブン加熱調理が選択されたか否か制御部60が判定する。制御部60は、ユーザーによる操作パネル部13の操作により選択された加熱調理を判定する。レンジ加熱調理、またはオーブン加熱調理が選択されない場合(ステップS2のNo)、処理はステップS5に進む。レンジ加熱調理、またはオーブン加熱調理が選択されている場合(ステップS2のYes)、処理はステップS3に進む。
【0056】
ステップS3において、姿勢制御部62は、ファン31の回転方向W1に基づき、第1整風板41と、第2整風板42と、第3整風板51との姿勢を制御する。姿勢制御部62は、上下方向Zにおいて、空気が中立方向に進行するように第1駆動部411を制御する。姿勢制御部62は、左右方向Yにおいて、ファン31の回転方向W1に基づき空気が右方Y2に進行するように第2駆動部421を制御する。姿勢制御部62は、左右方向Yにおいて、空気が左方Y1に進行するように第3駆動部511を制御する。なお、ファン31の回転方向W1は、予め記憶部61に記憶されている。処理はステップS4に進む。
【0057】
ステップS4において、調理が終了したか否か制御部60が判定する。調理が終了した場合(ステップS4のYes)、処理は終了する。調理が終了しない場合(ステップS4のNo)、処理はステップS2にリターンする。
【0058】
ステップS2でNoの場合、ステップS5において、グリル加熱調理が選択されたか否か制御部60が判定する。グリル加熱調理が選択されていない場合(ステップS5のNo)、処理はステップS2にリターンする。グリル加熱調理が選択されている場合(ステップS5のYes)、処理はステップS6に進む。
【0059】
ステップS6において、姿勢制御部62は、第1整風板41と、第2整風板42と、第3整風板51との姿勢を制御する。姿勢制御部62は、上下方向Zにおいて、空気が下方Z2に進行するように第1駆動部411を制御する。姿勢制御部62は、左右方向Yにおいて、空気が中立方向に進行するように第2駆動部421を制御する。姿勢制御部62は、左右方向Yにおいて、空気が中立方向に進行するように第3駆動部511を制御する。処理はステップS4に進む。
【0060】
以上、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明した。但し、本発明は、上記の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の態様において実施することが可能である。図面は、理解しやすくするために、それぞれの構成要素を主体に模式的に示しており、図示された各構成要素の厚み、長さ、個数等は、図面作成の都合上から実際とは異なる。また、上記の実施形態で示す各構成要素の材質や形状、寸法等は一例であって、特に限定されるものではなく、本発明の効果から実質的に逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0061】
(1)
図1~
図9を参照して説明したように、本実施形態では、加熱調理器100は、第1ダクト部40と第2ダクト部50とを加熱室10Aの上方Z1の位置と加熱室10Aの下方Z2の位置とにそれぞれ配置した。本発明はこれに限定されない。加熱室10Aの上方Z1の位置と加熱室10Aの下方Z2の位置に加えて、上下方向Zの中間位置に第3のダクト部を設定しても良い。第3のダクト部の設置により、2段トレイを採用できる。以上の構成により、2段トレイに載置された2段積みの被加熱物に対して、それぞれ加熱空気を吹き付けることができる。
【0062】
(2)
図1~
図9を参照して説明したように、本実施形態では、加熱調理器100は、左右方向Yに沿って延びるダクト部を有する。本発明はこれに限定されない。
図10は、変形例に係る加熱調理器100Aの断面図である。
図10に示すように、加熱調理器100Aは、上下方向Zに沿って延びる第3ダクト部40A及び第4ダクト部50Aを有する。第3ダクト部40A及び第4ダクト部50Aは、吸込口14を挟んで左方Y1と右方Y2とに位置する。第3ダクト部40A及び第4ダクト部50Aは、加熱された空気を左右方向Yに案内する整風板(図示略)と上下方向Zに案内する整風板(図示略)とを有する。グリル加熱調理の場合、加熱された空気は被加熱物に向けて案内される。レンジ加熱調理、またはオーブン加熱調理の場合、ファン31の回転方向W1に基づき、第3ダクト部40Aは、加熱された空気を下方Z2に案内し、第4ダクト部50Aは、加熱された空気を上方Z1に案内する。その結果、加熱室10A内の温度分布の均一化を図っている。なお、ファン31の回転方向が、回転方向W1と反対方向の場合、空気が集中する領域が逆になるため、空気が集中する領域に応じて整風板の姿勢を制御する。
【0063】
(3)
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、加熱調理器100は、レンジ加熱調理、オーブン加熱調理及びグリル加熱調理を実行可能であるが、本発明はこれに限定されない。本発明における加熱調理器100は、少なくとも、加熱空気の循環機能を有していればよく、何れかの加熱調理機能を省略できる。また、レンジ加熱調理、オーブン加熱調理及びグリル加熱調理以外の調理機能を付加しても良い。
【0064】
(4)
図1~
図10を参照して説明したように、本実施形態では、扉12が鉛直軸回りに回転自在に支持された横開きタイプの扉を開示したが、本発明はこれに限定されない。扉12が水平軸回りに回転自在に支持された縦開きタイプの扉であっても良い。また、引き出しタイプの扉であっても良い。
【産業上の利用可能性】
【0065】
本発明は、例えば、加熱調理器の分野に有用である。
【符号の説明】
【0066】
10 :加熱庫
10A :加熱室
14 :吸込口
15 :吹出口
16 :吹出口
31 :ファン
32 :ヒータ
32a :ヒータ
32b :ヒータ
40 :第1ダクト部
40A :第3ダクト部
41 :第1整風板
42 :第2整風板
43 :第1補助ヒータ
50 :第2ダクト部
50A :第4ダクト部
51 :第3整風板
53 :第2補助ヒータ
60 :制御部
62 :姿勢制御部
100 :加熱調理器
100A :加熱調理器
106 :開口部
311 :駆動部
411 :第1駆動部
421 :第2駆動部
511 :第3駆動部