(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171109
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】泥落としステップ
(51)【国際特許分類】
A47L 23/24 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
A47L23/24 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023087996
(22)【出願日】2023-05-29
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】500047088
【氏名又は名称】株式会社トーケン
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】浅井 克則
(57)【要約】
【課題】高さ調節を可能とすると共に、地面との接地面積を大きくすることでより安全な泥落としステップを提供することを目的とする。
【解決手段】ステップ上面にて使用者の靴に付着した泥の除去を可能とした泥落としステップであって、泥落としマットを載置する天板部と、天板部の下方に設けられた接地部と、天板部と接地部との間に介在する長さ調節を可能とした調節脚部と、から構成し、天板部には、泥落としマットにより除去された泥を下方へ落下させるための開口部を設けていることにより課題を解決した。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステップ上面にて使用者の靴に付着した泥の除去を可能とした泥落としステップであって、
泥落としマットを載置可能とした天板部と、
前記天板部の下方に設けられた接地部と、
前記天板部と前記接地部との間に介在する長さ調節を可能とした調節脚部と、
から構成し、
前記天板部には、
前記泥落としマットにより除去された泥を下方へ落下させるための開口部を設けていることを特徴とする泥落としステップ。
【請求項2】
ステップ上面にて使用者の靴に付着した泥の除去を可能とした泥落としステップであって、
網目状の泥落とし部を備えた天板部と、
前記天板部の下方に設けられた接地部と、
前記天板部と前記接地部との間に介在する長さ調節を可能とした調節脚部と、
から構成し、
前記天板部には、
泥落とし部により除去された泥を下方へ落下させるための開口部を設けていることを特徴とする泥落としステップ。
【請求項3】
前記天板部と前記接地部との間には連結ガイド部を設け、
前記連結ガイド部は、
前記天板部又は前記接地部のいずれか一方に設けられた連結柱部と、
前記天板部又は前記接地部のいずれか他方に設けられたガイド部と、
前記連結柱部と前記ガイド部とを連結する留め具と、
から構成したことを特徴とする請求項1及び請求項2に記載の泥落としステップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、泥落としマットを載置して使用する泥落としステップに関する。
【背景技術】
【0002】
泥落としマットは、靴に付着した汚れを落とし建物内部が汚れるのを防ぐためのものであり、建物の出入口前の地面に敷設されることが一般的である。
【0003】
その中でも特に、建設現場や農業地や工場地等では、靴に汚れの付着しやすい環境での作業が多いため、方形状のフレームにブラシを有した形状の泥落としマットが用いられる。この泥落としマットは、固めの樹脂製のブラシに靴底を軽く擦るだけで容易に泥を落とし、さらに落とした泥をブラシの隙間から下方へ落としブラシの目詰まりを防止するような構成となっている。
【0004】
しかしながら、上述したように、建設現場や農業地や工場地等では、靴に汚れの付着しやすい環境での作業が多い。そのため、地面に敷設した泥落としマットでは、地面からマットの上面部までの高さが低く、マット内部にすぐに泥が堆積してしまう。マットの内部に泥が堆積すると、目詰まりを起こし上手く靴に付着した汚れを落とせないばかりか、かえって靴を汚す虞がある。そして、必然的に目詰まりを防止するためマット内部の泥の除去を行う頻度が高くなる問題点があった。
【0005】
ところで、建設現場や農業地や工場地等で泥落としマットが好適に用いられる仮設トイレの出入口や仮設の事務所や作業小屋等は、出入口に一定の高さを有していることが多い。
【0006】
そこで、特許文献1には脚部を有した、台に泥落としマットを載置し、マットにより取り除かれた靴に付着した汚れを受台の下方に落下させるような泥落とし用マットの受台が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1に記載された、泥落としマット受台は、方形状の受枠部と受枠部の枠内に設けられたマット受面部とからなる受台部と受台部の四隅に設けられた接地用脚部とから構成している。また、マット受面部には、マットが除去した靴の汚れを下方へ落とすための多穴部を備えている。
【0009】
そのため、泥落としマット受台は、載置した泥落とし用マットで靴に付着した汚れを除去すると、マット受面部に設けられた多穴部により受台部の下方へ泥を落下させることができる。泥を下方に落下させることで、泥落としマットの目詰まりを抑制すると共に、清掃時にマットを持ち上げることなく容易に溜まった泥を取り除くことができる。
【0010】
また、泥落としマット受台は、接地用脚部を設けることで、単にマット受台としてではなく建物の出入りを補助する踏み台としても使用することができる。
【0011】
しかしながら、特許文献1に記載された泥落としマット受台は、接地用脚部の長さを変えることができない構成となっている。すなわち、建物の出入口の段差の高さは様々であるため、特許文献1に記載された泥落としマット受台では、出入口の踏み台として高さが適切でない場合にかえって使用者を不便にする虞がある。
【0012】
また、泥落としマット受台の接地用脚部は、それぞれ独立した形状であり地面との接地面積がそれぞれに小さい。ところが、好適に用いられる建設現場や農業地等では、舗装されていない地面に設置する場合があり、地面が必ずしも固いとは限らない。すなわち、地面が水分を多く含み柔らかい場合に接地用脚部では、接地面積が小さいために地面に接地用脚部が沈み込む虞がある。したがって、泥落としマット受台は、接地用脚部が地面に沈み込むことで上面が傾き泥を落とすために人が乗る際に危険が伴うこととなる。
【0013】
本発明は、上記のような問題点に鑑みてなされたものであり、高さ調節を可能とすると共に、地面との接地面積を大きくすることでより安全な泥落としステップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記従来の課題を解決するために、泥落としマットを載置する天板部と、天板部の下方に設けた接地部と、天板部と接地部との間に介在する長さ調節を可能とした調節脚部と、から構成し、天板部には、泥落としマットにより除去された泥を下方へ落下させるための開口部を設けていることにある。
【0015】
また、網目状の泥落とし部を備えた天板部と、天板部の下方に設けた接地部と、天板部と接地部との間に介在する長さ調節を可能とした調節脚部と、から構成し、天板部には、泥落とし部により除去された泥を下方へ落下させるための開口部を設けていることにも特徴を有する。
【0016】
また、天板部と接地部との間には連結ガイド部を設け、連結ガイド部は、天板部又は接地部のいずれか一方に設けた連結柱部と、天板部又は接地部のいずれか他方に設けたガイド部と、連結柱部とガイド部とを連結する留め具と、から構成したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、天板部と接地部と調節脚部とより構成することにより、天板部と地面との間に空間を設けることができ、泥落としマット又は泥落とし部によって除去された泥を開口部から落下させ泥落としマット又は泥落とし部の目詰まりを防止することができる。
【0018】
また、調節脚部の長さを調節可能としていることにより、設置場所に適した高さに変更し、よりステップとして有効に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明の第一の実施形態に係る泥落としステップ全体を示す模式的斜視図である。
【
図2】本発明の第一の実施形態に係る泥落としステップを示す模式的正面図である。
【
図3】本発明の第一の実施形態に係る天板部を示す模式的平面図である。
【
図4】本発明の第一の実施形態に係る接地部を示す模式的平面図である。
【
図5】本発明の第一の実施形態に係る並列連結部の使用状態を説明する模式的部分拡大図である。
【
図6】本発明の第一の実施形態に係る上下固定部の使用状態を説明する模式的側面図である。
【
図7】本発明の第二の実施形態に係る泥落としステップ全体を示す模式的斜視図である。
【
図8】本発明の第二の実施形態に係る泥落とし部の構成を示す模式的部分拡大図及び模式的部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
この発明の要旨は、泥落としマットを載置する天板部と、天板部の下方に設けた接地部と、天板部と接地部との間に介在する長さ調節を可能とした調節脚部と、から構成し、天板部には、泥落としマットにより除去された泥を下方へ落下させるための開口部を設けていることにある。
【0021】
また、網目状の泥落とし部を備えた天板部と、天板部の下方に設けた接地部と、天板部と接地部との間に介在する長さ調節を可能とした調節脚部と、から構成し、天板部には、泥落とし部により除去された泥を下方へ落下させるための開口部を設けていることにも特徴を有する。
【0022】
また、天板部と接地部との間には連結ガイド部を設け、連結ガイド部は、天板部又は接地部のいずれか一方に設けた連結柱部と、天板部又は接地部のいずれか他方に設けたガイド部と、連結柱部とガイド部とを連結する留め具と、から構成したことにも特徴を有する。
【0023】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明に係る泥落としステップの一実施形態について説明する。以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0024】
(第一の実施形態)
まず、第一の実施形態に係る泥落としステップMについて説明する。
図1は、第一の実施形態に係る泥落としステップMの構成を説明するための斜視図である。
図2は、第一の実施形態に係る泥落としステップMの構成を説明するための正面図である。
図3は、第一の実施形態に係る天板部の構成を説明するための平面図である。
図4は、第一の実施形態に係る接地部の構成を説明するための平面図である。
図5は、第一の実施形態に係る並列連結部の使用状態を説明するための天板部100の拡大図である。
図6は、第一の実施形態に係る上下固定部の使用状態を説明するための側面図である。
【0025】
第一の実施形態に係る泥落としステップMは、
図1及び
図2に示すように、主に、泥落としマットAを載置する天板部100と、天板部100の下方に設けた接地部200と、天板部100と接地部200との間に介在する長さ調節を可能とした調節脚部300と、から構成している。
【0026】
第一の実施形態に係る天板部100は、
図3に示すように、方形状のマット受枠110とマット受枠110の内側に設けられる格子部120とより構成している。すなわち、天板部100は、マット受枠110と格子部120との上面に泥落としマットAを載置可能(
図1を参照)としている。
【0027】
マット受枠110は、平面視長方形の泥落としマットAの長辺に対応する二本の長手部111と短辺に対応する二本の短手部112とで形成している。具体的には、長手部111と短手部112とは互いに細板状の鋼材からなり、四本の鋼材を長方形となるように溶接することで形成する。
【0028】
また、長手部111と短手部112とは、マット受枠110の外周縁となる箇所を上方へ略90度折り曲げることで、載置した泥落としマットAがずれたり落下したりすることを防止する壁部113を形成している。長手部111及び短手部112は、壁部113を形成するために折曲することにより、マット受枠110全体の強度を高めることもできる。
【0029】
格子部120は、
図3に示すように、方形状のマット受枠110の枠内に複数の鋼材を交差させた状態で溶接して形成している。この格子部120は、マット受枠110の剛性を高めるための補強部材としての機能とマット受枠110と同様に泥落としマットAを載置可能とする機能とを有している。
【0030】
第一の実施形態の格子部120は、マット受枠110の長手部111を三等分するように短鋼材121を二本、短手部112を等分するように長鋼材122一本、の計三本をマット受枠110の枠内に溶接して設けている。
【0031】
格子部120は、短鋼材121及び長鋼材122を交差するようにマット受枠110の枠内に設けることで、枠内に六つの開口部123を形成している。この開口部123は、泥落としステップMを使用した際に、泥落としマットAにより除去された使用者の靴に付着した泥を天板部100の下方へ落下させることができる。これにより、泥落としマットA使用時の目詰まりを可及的に防止することができる。
【0032】
接地部200は、後述する調節脚部300を介して天板部100の下方に設けている。本実施形態に係る接地部200は、
図4に示すように、細板状の鋼材を平面視略H字状に溶接して形成している。
【0033】
具体的には、マット受枠110の短手部112下方にそれぞれ配設された脚受部210と二本の脚受部210の間に架けて設けられた架設部220とからなる。脚受部210と架設部220とは、互いに溶接し一体に形成している。
【0034】
接地部200は、泥落としステップMに係る荷重を広い接地面積により、分散し後述する調節脚部300の地面への埋没や偏奇荷重による変形等を可及的に防止することができる。具体的には、脚受部210と架設部220とにより形成された略H字状の接地部200の底面部分を地面との接地面として上方からの荷重を全体で受け止めることができる。
【0035】
また、第一の実施形態の接地部200を形成する細板状の鋼材は、
図1、
図2及び
図4に示すように、左右縁部を上方へ折曲した略コ字状としており、接地部200の全体剛性を高めるようにしている。
【0036】
調節脚部300は、天板部100と接地部200との間に介在し、本体筒部310と本体筒部310に挿入される調節ボルト320とからなる。第一の実施形態に係る調節脚部300は、
図1及び
図2に示すように、本体筒部310を天板部100の下部に設け、その本体筒部310に調節ボルト320を挿入するようにして設けている。
【0037】
より具体的に本体筒部310は、天板部100を形成するマット受枠110の四隅の下部に円筒状の鋼材を溶接して設けている。また、本体筒部310の下端側の内周面には、調節ボルト320が螺合可能とするため溶接されたナットからなる螺合連結部311を設けている。
【0038】
調節ボルト320は、一方端部に六角形状や円形状の所謂、頭を有したボルトであり、本体筒部310の螺合連結部311に螺合連結させる。そうすることで、
図1及び
図2に示すように、調節ボルト320のボルト頭321が最下端となるように構成している。
【0039】
調節脚部300は、天板部100と一体として、接地部200の上に載置される。すなわち、調節脚部300の最下端となる調節ボルト320のボルト頭321と接地部200の脚受部210とが当接した状態となる。
【0040】
調節脚部300は、本体筒部310から突出させた調節ボルト320の長さにより、泥落としステップMの高さ調節を行うことができる。具体的には、本体筒部310の螺合連結部311に螺合させた調節ボルト320を回転させることにより、本体筒部310の下部から突出する調節ボルト320の長さを変位させることができる。
【0041】
すなわち、突出する長さを長くするほどに天板部100と接地部200との距離を長くし、泥落としステップMの設置時の高さ高くすることができる。泥落としステップMの高さを低くしたいときには、調節ボルト320を逆に回転させ本体筒部310からの突出する長さを短くするとよい。
【0042】
調節脚部300を接地部200により受けることにより、調節脚部300から四点で係る荷重を、略H字状の接地面230全体で受けて荷重を分散させることができる。このような構成とすることで、工事現場や農業用地等の地面が水分を多く含み緩い土地での設置においても偏奇荷重による脚部の沈み込みを可及的に防止し、安定して使用することができる。
【0043】
また、第一の実施形態に係る調節脚部300の本体筒部310とマット受枠110とは、細板状の補強部材312を介しても溶接している。具体的には、
図1及び
図2に示すように、マット受枠110と本体筒部310の中途部とを斜めに配置した補強部材312で溶接している。このように補強部材312を設けることで、泥落としステップM全体の剛性を高め、使用時に係る偏奇荷重による変形等を可及的に防止することができる。
【0044】
また、天板部100と接地部200との間には、
図2に示すように、連結ガイド部400を設けている。連結ガイド部400は、天板部100の下部に設けた連結柱部410と、接地部200の上部に設けたガイド部420と、連結柱部410とガイド部420とを分離しないようにするための留め具430と、からなる。
【0045】
連結柱部410は、平面視コ字状の鋼材からなり、格子部120を形成する長鋼材122の下部に平面視コ字状の開口面を内側へ向けて二箇所溶接している。溶接箇所としては、長鋼材122の両端部よりやや中央寄りに溶接される。
【0046】
連結柱部410の長さは、調節脚部300の本体筒部310よりもやや短い長さとし、平面視コ字状の開口面に隣接する二つの面の下端部近傍に留め具430を挿通可能とした留め具挿通孔411を穿設している。
【0047】
ガイド部420は、連結柱部410と同様に平面視コ字状の鋼材からなり、接地部200を形成する架設部220の上部に平面視コ字状の開口面を外側へ向けて二箇所溶接されている。また、ガイド部420は、連結柱部410の平面視コ字状の内側空間部分に収容可能としている。すなわち、ガイド部420は、連結柱部410よりも一回り小さいものとし、連結柱部410の下方位置となるように架設部220に溶接されることとなる。
【0048】
ガイド部420の長さは、調節脚部300の本体筒部310よりもやや短い長さとし、平面視コ字状の開口面に隣接する二つの面には、上下方向に一定の長さを有した長孔421を設けている。長孔421の長さは調節ボルト320よりも短い長さとしている。
【0049】
留め具430は、連結柱部410の留め具挿通孔411とガイド部420の長孔421とに同時に挿通することで、連結柱部410及びガイド部420とが離れないようにすることができる。具体的には、連結柱部410の内側空間部分にガイド部420を収容し、一列に並ぶ留め具挿通孔411及び長孔421に留め具430を挿通し固定する。第一の実施形態において留め具430は、ボルトとナットとしているが、例えば、リベット等のその他の留め具を用いてもよい。
【0050】
また、ガイド部420の外周面には、調節脚部300による高さ調節時に天板部100が地面に対して水平になっているかを目で確認するための水平ガイド422を設けている。水平ガイド422は、一定間隔で目盛となる水平線をガイド部420に刻むことで設けている。
【0051】
このような水平ガイド422を設けることにより、調節脚部300による高さ調節の際に、連結柱部410の下端部が水平ガイド422と平行であるかを確認することで、地面に対して天板部100が水平であるかを視認でき、安定した設置状態を提供することができる。
【0052】
マット受枠110には、
図1及び
図3に示すように、泥落としステップMを複数台並べて使用する際に、隣り合う泥落としステップM同士を連結させるための並列連結部500を設けている。並列連結部500は、マット受枠110から外方に突出するように設けた連結ピン510と同じくマット受枠110に設けられ連結ピン510を挿入可能としたピン受部520とからなる。
【0053】
連結ピン510は、マット受枠110を形成する一対の長手部111と短手部112のそれぞれどちらか一方ずつに設けられる。連結ピン510の形状としては、円筒状の突起からなるピン本体部511とピン本体部511の一方端部に有した円形板状のピン頭部512とで形成され、平面視略T字状としている。
【0054】
第一の実施形態において連結ピン510は、マット受枠110を形成する長手部111を三等分する位置の二箇所と、短手部112を等分する位置の一箇所と、の計三か所にピン頭部512をマット受枠110の外方向へ向け溶接される。
【0055】
ピン受部520は、マット受枠110を形成する一対の長手部111と短手部112のそれぞれ連結ピン510が設けられていないもう一方側に設けられる。ピン受部520は、マット受枠110の下面部分を略T字状に切欠することで形成される。
【0056】
第一の実施形態においてピン受部520は、連結ピン510に対応するように、マット受枠110を形成する長手部111を三等分する位置の二箇所と、短手部112を等分する位置の一箇所と、の計三か所に設けている。
【0057】
並列連結部500の使用方法としては、
図5に示すように、泥落としステップMを前後もしくは左右に並べ、連結させたい泥落としステップMを地面に載置した被連結の泥落としステップMに設けた連結ピン510を上方からピン受部520へ挿入することで連結状態とする。
【0058】
ピン受部520は、マット受枠110の下面を略T字状に切欠していることで、
図5(b)平面視略T字状とした連結ピン510に対して上下方向への脱着は可能となっているものの左右前後には外れることなく強固に連結可能としている。
【0059】
複数の泥落としステップMを上述した並列連結部500により連結することで、例えば間口の広い建物の出入口へ設置するにあたって、複数の泥落としステップMを個別に配置するよりも、一体として全体に安定して設置できることから、設置時の安全性が高まる効果がある。
【0060】
また、マット受枠110には、
図1、
図3及び
図4に示すように、泥落としステップMを段積みした際に一体に固定可能とする上下固定部600を備えている。上下固定部600は、格子部120の長鋼材122の両端部近傍にそれぞれ設けた螺合溝を有するボルト保持孔610と、ボルト保持孔610に螺合することで取付け可能とした固定ボルト620と、接地部200の架設部220に穿設されたボルト挿通孔630と、よりなる。
【0061】
上下固定部600の使用方法としては、
図6に示すように、段積みする二台の泥落としステップMのうち一方の泥落としステップMに載置した泥落としマットAを取外す。泥落としマットAを取外した泥落としステップMの天板部100の上にもう一方の泥落としステップMを載置する。その際格子部120の長鋼材122に設けたボルト保持孔610と架設部220に設けたボルト挿通孔630とは、平面視において同じ位置となる。
【0062】
固定ボルト620は、
図6(a)に示すように、上部に配置した泥落としステップMのボルト挿通孔630に挿通させつつその直下に位置する下方の泥落としステップMに設けられたボルト保持孔610に螺合させ取付けを行う。このようにすることで、固定ボルト620が上下に重ねられた泥落としステップMを一体に固定することができる。
【0063】
泥落としステップMは、上述した調節脚部300により、設置場所に適した高さに変更可能としている。しかし、調節脚部300による高さ調節でも高さが足りず使用に不便な場合には、泥落としステップMを段積みしてより高く調節可能とし、ステップとしての機能向上に寄与できる。その際に上下固定部600により上下に重ねた泥落としステップMを互いに固定し一体とすることで、ぐらつきを抑え安全性を高めることができる。
【0064】
泥落としステップMを段積みせずに使用する際は、ボルト保持孔610の下方から固定ボルト620を螺合取付けし、固定ボルト620が紛失しないようにすると共に天板部100による泥落としマットAの載置に邪魔とならないようにすることができる。
【0065】
上述した第一の実施形態の説明は安価に製造が可能としつつ最適な効果を発揮できる一例であり、本発明は上述の実施形態に限定されることはない。例えば、天板部100は、鋼材を溶接して形成されたマット受枠110と格子部120とより主に構成しているが、泥落としマットAを載置可能で除去された泥を下方へ落下させることができればどのような形態であってよく、方形状の板材と板材に複数設けた泥落下用の開口部とを備えたものであってもよい。
【0066】
また、接地部200は、略H字状としているものの地面との接地面積が大きく泥落としステップMに係る荷重を分散させることができるものであればよく、例えば、方形状の板材や方形状に溶接された脚受部210と脚受部210に架設部220を設けたものといったような形態であってもよい。
【0067】
調節脚部300は、本体筒部310と天板部100に設けていると記載したが、上下を反転させ、本体筒部310を接地部200に設け調節ボルト320のボルト頭321を天板部100に当接させてもよい。また、調節脚部300は、天板部100を支持し天板部100の下方に泥を落下させることが可能な空間を形成できる形態且つ、泥落としステップMの高さを調節できる形態であればどのようなものでもよい。
【0068】
(第二の実施形態)
次に第二の実施形態に係る泥落としステップMについて説明する。
図7は、第二の実施形態に係る泥落としステップMの全体構成を説明するための模式的斜視図である。
図8は、天板部100の泥落とし部710の構成を説明するための図であり、(a)は模式的部分拡大図を、(b)は模式的部分断面図をそれぞれ示している。なお、以下の第二の実施形態に係る泥落としステップMの説明において、第一の実施形態と同一の構成となる箇所には同一の符号を付し、同一の構成の説明に関しては一部を省略する。
【0069】
第二の実施形態に係る泥落としステップMの天板部700は、
図7に示すように、線状の鋼材を網目状に形成した泥落とし部710と、泥落とし部710の四方を囲む方形枠720と、方形枠720の枠内且つ泥落とし部710の下部に設けた格子部730と、よりなる。
【0070】
泥落とし部710は、線状の鋼材を網目状とし、全体を略扁平方形状に形成している。泥落とし部710の網目を形成する線状鋼材711は、泥落としステップMを使用した際に、使用者の靴に付着した泥を掻き出し除去する役割を果たす。さらに、網目状に形成した際に生起する泥落とし開口部712は、線状鋼材711により除去された泥を泥落とし部710の下方へ落下させる効果がある。
【0071】
また、泥落とし部710を形成する線状鋼材711は、靴底にこびりついた泥を掻き出すべく、断面視において完全な扁平状ではなく一定の突出部713を形成する。例えば、完全に扁平状網目状に形成した泥落とし部710の線状鋼材711に別途突出部713を形成するようにしてもよい。
【0072】
ただし、第二の実施形態においては、網目状且つ理想的な突出形状を有した、所謂エキスパンドメタルによって形成した泥落とし部710としている。すなわち、
図8に示すように、泥落とし部710は、ジグザグ形状の線状鋼材711の頂点が半ピッチずつずれるように連続させた菱形状の泥落とし開口部712を形成した網体としている。
【0073】
泥落とし部710の断面は、
図8に示すように、エキスパンドメタルの特性上、ジグザグ形状の線状鋼材711が傾斜し、頂点部分で隣り合う線状鋼材711と上下に重複した形状となる。このような構成であるため、連続した菱形状を形成する線状鋼材711の各頂点部分が上方へやや突出し、泥落とし部710の突出部713を形成することになる。
【0074】
すなわち、泥落とし部710は、網目状に線状鋼材711を形成し、それにより生起する泥落とし開口部712により使用者の靴に付着した泥を除去し下方へ落下させる効果がある。さらに、突出部713は、泥落としマットAにおけるブラシ部分のように、靴裏に設けられた溝等に詰まった泥を掻き出すことができる効果がある。
【0075】
方形枠720は、平面視長方形の泥落とし部710の長辺に対応する二本の長手部721と短辺に対応する二本の短手部722とから形成している。具体的には、長手部721と短手部722とは互いに断面L字形状の鋼材からなる。四本の鋼材は、泥落とし部710を囲う長方形状、且つ枠の内側と下方にL字の開放部分が向くように溶接している。
【0076】
泥落とし部710は、方形枠720の裏側面、すなわち、方形枠720の上面部の裏側面及び外周縁部の裏側面に溶接固定される。
【0077】
格子部730は、方形枠720の枠内且つ泥落とし部710の下部に複数の鋼材を交差させた状態で溶接し形成する。第二の実施形態においては、方形枠720の長手部721を三等分するように短鋼材731を二本、短手部7222を等分するように長鋼材732を一本、の計三本を溶接して設けている。
【0078】
この格子部730は、方形枠720の剛性を高める補強部材としての効果がある。また、使用者が泥落としステップMに乗った際に、撓む泥落とし部710の補助として使用者の荷重を支持する効果もある。
【0079】
また、格子部730は、泥落とし部710の下部に設けている。そのため、各鋼材731、732の両端部では、泥落とし部710を方形枠730とで挟み込むように設けられ泥落とし部710の取付け強度を高めることもできる。
【0080】
格子部730は、二本の短鋼材731と一本の長鋼材732とを交差させることにより、方形枠720の枠内に六つの開口部733を形成している。この開口部733は、泥落とし部710により除去され、泥落とし開口部712から落下した泥をさらに下方へ落下させるために設けている。これにより泥落とし部710の目詰まりを防止することができる。
【0081】
第二の実施形態に係る接地部200は、第一の実施形態と同様に調節脚部300を介して天板部700の下方に設ける。接地部200は、
図7に示すように、細板状の鋼材を平面視において外周縁の大きさが天板部700と同一もしくはやや大きい長方形状に溶接して形成される。具体的には、方形枠720の短手部722の下方にそれぞれ配設された脚受部210と二本の脚受部210の両端部にそれぞれ対向する脚受部210に架けて設けられた架設部220とからなる。
【0082】
調節脚部300は、天板部700と接地部200との間に介在し、天板部700の四つの角部にそれぞれ溶接された本体筒部310と本体筒部310に挿入される調節ボルト320とからなる。調節脚部300の具体的な構成は、第一の実施形態と同様であるため、省略する。ただし、天板部700と接地部200との間に介在させ天板部700を地面から一定の高さで支持可能とし、さらに長さを調節可能な構造であればどのようなものであってもよい。
【0083】
第二の実施形態に係る泥落としステップMにも、第一の実施形態と同様に、連結ガイド部400を備えている。また、この連結ガイド部400そのものの構成は、第一の実施形態で説明した内容と同じで、連結ガイド部400は、天板部700の下部に設けた連結柱部410と、接地部200の上部に設けたガイド部420と、連結柱部410とガイド部420とを分離しないようにするための留め具430と、から構成している。
【0084】
しかしながら、連結ガイド部400は、接地部200の形状を方形状としていることにより、
図7に示すように、天板部700の方形枠720を形成する短手部722の下部に連結柱部410を、接地部200の脚受部210の上部にガイド部420をそれぞれ設けている。
【0085】
また、第二の実施形態に係る泥落としステップMは、第一の実施形態で説明した泥落としステップMと同様に、隣り合う泥落としステップM同士を連結させるための並列連結部500と、泥落としステップMの上にもう一台の泥落としステップMを段積みした際に一体に固定する上下固定部600と、を備えている。どちらも、第一の実施形態と同様の構成となるため説明は省略する。
【0086】
上述したように、第二の実施形態に係る泥落としステップMは、天板部700に泥の除去を可能とする泥落とし部710を備えることにより、別途泥落としマットAを必要としない構成としている。
【0087】
ただし、第二の実施形態に係る泥落としステップMのその他の構成は、第一の実施形態と同様であり、第一の実施形態と異なり別途説明をした構成である接地部200や連結ガイド部400の設ける位置に関しては、単なる同一の構成により考えられる構成を説明したに過ぎず、第一の実施形態に示した構成としてもよい。
【0088】
すなわち、本発明に係る技術的思想を逸脱しない範囲であれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、上述した各種効果は、本発明から生じる好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0089】
M 泥落としステップ
A 泥落としマット
100 天板部
110 マット受枠
111 長手部
112 短手部
113 壁部
120 格子部
121 短鋼材
122 長鋼材
123 開口部
200 接地部
210 脚受部
220 架設部
230 接地面
300 調節脚部
310 本体筒部
311 螺合連結部
312 補強部材
320 調節ボルト
321 ボルト頭
400 連結ガイド部
410 連結柱部
411 留め具挿通孔
420 ガイド部
421 長孔
422 水平ガイド
430 留め具
500 並列連結部
510 連結ピン
511 ピン本体部
512 ピン頭部
520 ピン受部
600 上下固定部
610 ボルト保持孔
620 固定ボルト
630 ボルト挿通孔
700 天板部
710 泥落とし部
711 線状鋼材
712 泥落とし開口部
713 突出部
720 方形枠
721 長手部
722 短手部
730 格子部
731 短鋼材
732 長鋼材