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特開2024-171110情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171110
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/015 20230101AFI20241204BHJP
【FI】
G06Q30/015
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088000
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】501138622
【氏名又は名称】エムスリー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100154748
【弁理士】
【氏名又は名称】菅沼 和弘
(72)【発明者】
【氏名】谷村 格
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA02
(57)【要約】
【課題】所定分野に属する人を顧客として商品又はサービスを提供する者に対しての支援をより良くする技術を提供すること。
【解決手段】実データ取得部51は、所定分野に属する複数の人のうち少なくとも一部に関する実際の内容を示す実データを取得する。ファネル推計部52は、実データに基づいて、所定分野に属する1以上の特定の人の夫々について、商品又はサービスの認知、享受、及び使用までの多段階のうち何れの段階であるのかを推計し、その推計結果を含むデータをファネルデータとして生成する。売上予測部53は、ファネルデータに基づいて、商品又はサービスに関する所定処理を実行する。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定分野に属する人を顧客として商品又はサービスの提供者を支援する情報処理装置において、
前記所定分野に属する複数の人のうち少なくとも一部に関する実際の内容を示す実データを取得する実データ取得手段と、
前記実データに基づいて、前記所定分野に属する1以上の特定の人の夫々について、前記商品又はサービスの認知、享受、及び使用までの多段階のうち何れの段階であるのかを推計し、その推計結果を含むデータをファネルデータとして生成するファネル推計手段と、
前記ファネルデータに基づいて、前記商品又はサービスに関する所定処理を実行する所定処理実行手段と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記所定処理実行手段は、前記所定処理として、前記商品又はサービスの売上の予測をする、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定処理実行手段は、前記所定処理としてさらに、前記商品又はサービスの前記売上の予測に基づいて、当該商品又はサービスの前記提供者について、当該商品又はサービスに関する職務のPDCAを支援する処理を実行する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記所定分野に属する人は、医師であり、
前記商品又はサービスは、前記医師が患者に処方する薬剤である、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
所定分野に属する人を顧客として商品又はサービスの提供者を支援する情報処理装置が実行する情報処理方法において、
前記所定分野に属する複数の人のうち少なくとも一部に関する実際の内容を示す実データを取得する実データ取得ステップと、
前記実データに基づいて、前記所定分野に属する1以上の特定の人の夫々について、前記商品又はサービスの認知、享受、及び使用までの多段階のうち何れの段階であるのかを推計し、その推計結果を含むデータをファネルデータとして生成するファネル推計ステップと、
前記ファネルデータに基づいて、前記商品又はサービスに関する所定処理を実行する所定処理実行ステップと、
を含む情報処理方法。
【請求項6】
所定分野に属する人を顧客として商品又はサービスの提供者を支援するコンピュータに、
前記所定分野に属する複数の人のうち少なくとも一部に関する実際の内容を示す実データを取得する実データ取得ステップと、
前記実データに基づいて、前記所定分野に属する1以上の特定の人の夫々について、前記商品又はサービスの認知、享受、及び使用までの多段階のうち何れの段階であるのかを推計し、その推計結果を含むデータをファネルデータとして生成するファネル推計ステップと、
前記ファネルデータに基づいて、前記商品又はサービスに関する所定処理を実行する所定処理実行ステップと、
を含む制御処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、例えば製薬会社などに所属して医師や薬剤師などの医療関係者に対し自社の医薬品の販売・情報伝達をするMR(Medical Representatives)担当者(医療情報担当者)の営業活動を支援するシステムとしては、下記特許文献1に開示された技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-56103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、MR担当者のような、所定分野に属する人を顧客として商品又はサービスを提供する者に対しての支援をより良くしたいという要望が挙げられている。
しかしながら、特許文献1を含む従来の技術を単に適用しても、上記要望に十分に応えることができていたとは言えない状況であった。
【0005】
本発明は、このような状況を鑑みてなされたものであり、所定分野に属する人を顧客として商品又はサービスを提供する者に対しての支援をより良くする技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の情報処理装置は、
所定分野に属する人を顧客として商品又はサービスの提供者を支援する情報処理装置において、
前記所定分野に属する複数の人のうち少なくとも一部に関する実際の内容を示す実データを取得する実データ取得手段と、
前記実データに基づいて、前記所定分野に属する1以上の特定の人の夫々について、前記商品又はサービスの認知、享受、及び使用までの多段階のうち何れの段階であるのかを推計し、その推計結果を含むデータをファネルデータとして生成するファネル推計手段と、
前記ファネルデータに基づいて、前記商品又はサービスに関する所定処理を実行する所定処理実行手段と、
を備える。
本発明の一態様の上記情報処理装置に対応する情報処理方法及びプログラムも、本発明の一態様の情報処理方及びプログラムとして提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、所定分野に属する人を顧客として商品又はサービスを提供する者に対しての支援をより良くする技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の情報処理装置を用いて提供されるサービスの概要の一例を示す模式図である。
図2】本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む情報処理システムの構成を示すブロック図である。
図3図2のサーバのハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
図4図2のサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
図5】進捗管理の変化の一例を示す図である。
図6】ファネルの定義の一例を示す図である。
図7】ユーザインターフェースの統合による変化の一例を示す図である。
図8】ファネルデータを元に医師の売上を予測する際の一例を示す図である。
図9】PDCAサイクルについての一例を示す図である。
図10】医師個別での活動目標の設定の変化の一例を示す図である。
図11】サービス提供フロー及びMR担当者のユースケースイメージの一例を示す図である。
図12】ユースケースイメージ(累計粗利のグラフ)の一例を示す図である。
図13】ユースケースイメージ(ファネルスコア推移のグラフ)の一例を示す図である。
図14】ユースケースイメージ(月別粗利のグラフ)の一例を示す図である。
図15】ユースケースイメージ(医師スコア進捗のグラフ)の一例を示す図である。
図16】ユースケースイメージ(表)の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0010】
図1は、本発明の情報処理装置を用いて提供されるサービス(以下、本サービスと呼ぶ)の概要の一例を示す模式図である。
【0011】
本サービスは、医師を顧客として薬剤(製品)を提供する例えば製薬会社及びMR(Medical Representatives)担当者がユーザとなり、そのMR担当者を支援することができるようにしたサービスである。
【0012】
より具体的には、売上に対して適切な先行指標となる、医師のファネルデータを生成すると共に、その生成されたファネルデータに基づいて医師へ提供する薬剤に関しての所定処理を実行することで、MR担当者のアクションの遂行を支援することができるようにしたサービスである。
なお、「ファネル」や「ファネルデータ」については後述する。
【0013】
本サービスは、上記の他、製薬会社において効率的な営業体制を構築するために好適なサービスでもある。
【0014】
ここで、医師は所定分野に属する人であって、その数は特に限定されないものとする。本サービスでは、例えば数百から数万人となる規模の数になる。
【0015】
また、医師の数ほどではないが、本サービスのユーザとなるMR担当者も複数になる。なお、特に図示しないが、例えばマーケティング担当者や営業推進担当者も本サービスのユーザとなり得る。
【0016】
本サービスは、当該本サービスのサービス提供者(図示省略)により管理されている。
本サービスのサービス提供者は、数多くの医師を会員として、当該会員に使用させる医師情報システムも運営しているものとする。
医師情報システムは、医療活動に従事する上で有用な情報を記事として掲載して、会員に閲覧させる機能を有している。また、医師情報システムは、各種アンケートや質問等を会員に提示して、会員からの回答を受け付ける機能を有している。
【0017】
本サービスのサービス提供者は、医師情報システムが有する各種機能を会員(医師)が利用する行為(医師情報システムにおける活動)のログを、会員毎に取得して管理することができる。
【0018】
本サービスに関し、本サービスでは、図1(a)のステップS1で示すように、先ず、ファクトベースでのデータ収集を行う。
【0019】
具体的には、例えば既存医師DB71に記憶された医師データFd1や定期的なアンケートの情報(以下、アンケートデータFd2と呼ぶ)に基づき、「ファクト」ベースで医師毎の患者数等のプロファイル・処方実績等の、医師のアクション(行動)に係るデータを収集(取得)する。
【0020】
なお、上記医師データFd1には、本サービスに関連するサイト閲覧ログ等が含まれるものとする。また、上記及び図中の「ファクトベースでのデータ」とは、「事実(ファクト)に基づいたデータ」、「実際の内容を示す実データ」を意味するものとする。
【0021】
次に、図1(b)のステップS2で示すように、AIエンジン(後述するファネル推計部52)によるファネルデータ等の推計を行う。
【0022】
具体的には、AIエンジンで、ステップS1で収集したファクトを基に、ファクトのない医師についても患者数等のプロファイル・処方実績等の医師のアクションの推計を実施し、全医師個別のファネルを特定して例えば一覧化した推計データ(以下、全医師個別の情報として一覧化推計データFn11と呼ぶ)を生成する。
なお、このステップS2での各種データ等はファネルDB61に記憶されているものとする。
【0023】
次に、図1(c)のステップS3で示すように、ファネルデータを元にした売上予測を行う。
【0024】
具体的には、ファネルDB61に記憶されたデータに加え、製薬会社DB81に記憶された活動・実績データも組み合わせて推計を更に高度化させる。そして、一覧化推計データFn11におけるファネルを元に売上を予測すると共に、製薬会社のMR担当者やマーケティング担当者等への推奨アクション(推奨行動)を提示する。
【0025】
本サービスでは、売上予測や推奨アクション等を可視化して製薬会社やMR担当者、マーケティング担当者等に提供する。
【0026】
なお、ステップS3が終了した後には、必要に応じて再度ステップS1に移行する。
【0027】
以上、図1を参照しながら説明してきたように、本サービスによれば、ファクトの収集とAIエンジンによる推計とで生成された全医師個別の情報(一覧化推計データFn11)をMR担当者やマーケティング担当者等へ提示することができる。
更に製薬会社DB81に記憶されたデータも組み合わせて推計を高度化させ、売上予測を行うこともできる。
【0028】
本サービスでは、アンケートデータFd2等のログを元に医師のファネルを特定する。その際に、AIエンジンを用い、ファクトがない医師についても、医師のアクションの推計を行うことができる。
【0029】
本サービスによれば、MR担当者やマーケティング担当者等に対しての支援を従来よりもより良くすることができるという効果を奏することができる。
【0030】
続いて、図2を参照して本発明の一実施形態に係るサーバを含む情報処理システムについて説明をする。
図2は、本発明の情報処理装置の一実施形態に係るサーバを含む情報処理システムの構成を示すブロック図である。
【0031】
図2の情報処理システムは、図示しないサービス提供者が管理するサーバ1と、同じくサービス提供者が管理する医師情報システム2と、例えば製薬会社Mが管理する製薬会社システム3と、例えば製薬会社Mに属するMR担当者Uが操作するMR担当者端末4と、図示しないマーケティング担当者等が操作するマーケティング担当者等端末と、を含むように構成されている。
【0032】
サーバ1と、医師情報システム2と、製薬会社システム3と、MR担当者端末4と、マーケティング担当者等端末は、インターネット等の所定のネットワークNを介して相互に通信可能に接続されている。
【0033】
なお、ネットワークNは、その形態は特に限定されず、インターネットの他、例えば、Bluetooth(登録商標)、やWi-Fi、LAN(Local Area Network)等を採用してもよい。
【0034】
サーバ1は、本サービスのサービス提供者により管理される情報処理装置である。サーバ1は、医師情報システム2、製薬会社システム3、及びMR担当者端末4と適宜通信をしながら、各種処理を実行する。なお、サービス提供者としての業務を行う者は特に限定されないものとする。
【0035】
サーバ1が各種各様な処理を実行するために備えている機能の具体的内容については、図4を参照しながら後述する。
【0036】
MR担当者端末4は、MR担当者Uにより操作される情報処理装置である。具体的には、例えばMR担当者端末4は、例えばタブレット、スマートフォン、ノート型パーソナルコンピュータ等であり、ディスプレイと、入力デバイスと、サーバ1との通信機能とが備えられている。
なお、図示しないマーケティング担当者等端末は、ここではMR担当者端末4と同じ情報処理装置であるものとする。
【0037】
図3は、図2のサーバのハードウェアの構成の一例を示すブロック図である。
【0038】
サーバ1は、CPU(Central Processing Unit)11と、ROM(Read Only Memory)12と、RAM(Random Access Memoy)13と、バス14と、入出力インターフェース15と、入力部16と、出力部17と、記憶部18と、通信部19と、ドライブ20と、を備えている。
【0039】
CPU11は、ROM12に記録されているプログラム、又は記憶部18からRAM13にロードされたプログラムに従って各種の処理を実行する。
RAM13には、CPU11が各種の処理を実行する上において必要なデータ等も適宜記憶される。
【0040】
CPU11、ROM12及びRAM13は、バス14を介して相互に接続されている。このバス14にはまた、入出力インターフェース15も接続されている。入出力インターフェース15には、入力部16、出力部17、記憶部18、通信部19及びドライブ20が接続されている。
【0041】
入力部16は、各種ハードウェア釦等で構成され、操作者の指示操作に応じて各種情報を入力する。
出力部17は、液晶等のディスプレイにより構成され、各種画像を表示する。
【0042】
記憶部18は、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等で構成され、各種データを記憶する。
通信部19は、インターネットを含むネットワークNWを介して他の装置(例えば図2の医師情報システム2と、製薬会社システム3と、MR担当者端末4等)との間で行う通信を制御する。
【0043】
ドライブ20は、必要に応じて設けられる。ドライブ20には、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、或いは半導体メモリ等よりなる、リムーバブルメディア40が適宜装着される。ドライブ20によってリムーバブルメディア40から読み出されたプログラムは、必要に応じて記憶部18にインストールされる。また、リムーバブルメディア40は、記憶部18に記憶されている各種データも、記憶部18と同様に記憶することができる。
【0044】
なお、図示はしないが、図2の医師情報システム2、製薬会社システム3、MR担当者端末4、及びマーケティング担当者等端末も、図3のハードウェア構成と基本的に同様の構成を有することができる。従って、医師情報システム2、製薬会社システム3、MR担当者端末4、及びマーケティング担当者等端末の構成の説明については省略する。
【0045】
以上のような図3のサーバ1の各種ハードウェアと各種ソフトウェアとの協働により、サーバ1において、後述する各種処理を実行することが可能になる。その結果、サービス提供者は、MR担当者U等に対し、後述する各種サービスを提供することができる。
【0046】
続いて、図4を参照しながら図2のサーバの機能的構成について説明をする。
図4は、図2のサーバの機能的構成の一例を示す機能ブロック図である。
【0047】
図4に示すように、サーバ1のCPU11においては、実データ取得部51と、ファネル推計部52と、売上予測部53と、UI制御部54と、が機能する。
また、サーバ1の記憶部18の一領域には、ファネルDB61が設けられている。
【0048】
ファネルDB61には、製品(例えば薬剤)毎にファネルを定義するためのファネル定義に係るデータと、医師のファネルを含むファネルデータ等とが記憶されている。
【0049】
また、ファネルDB61には、ファネルデータに基づいて推計された売上予測のデータや、売上予測のデータに基づく売り上げ目標のデータ、医師のファネルの目標に係るデータ、活動目標に係るデータ等も記憶されている。
【0050】
なお、特に限定するものではないが、医師情報システム2の記憶部の一領域に既存医師DB71が設けられている。また、製薬会社システム3の記憶部の一領域には、製薬会社DB81が設けられている。
【0051】
既存医師DB71には、医師個人の属性データ(年齢・性別・所属施設等)や、医師情報システム2上で取得した医師のアンケート回答データ、医師情報システム2上で取得した自社・他社の薬剤の情報提供データ、医師情報システム2上で取得したその他アクティビティデータ(ニュース等のコンテンツの閲覧データ等)、製薬会社のMR担当者Uから取得した薬剤の情報提供データ及び薬剤の売上データ等が記憶されている。
【0052】
一方、製薬会社DB81には、製薬会社のMR担当者Uから取得した薬剤の情報提供データ及び薬剤の売上データや、MR担当者Uから報告された医師の処方意向等のデータ等が記憶されている。
【0053】
CPU11における実データ取得部51は、医師情報システム2の既存医師DB71に記憶された医師に関する実データ、及び、製薬会社システム3の製薬会社DB81に記憶された実データを夫々取得する。
【0054】
具体的には、例えば、既存医師DB71から医師個人の属性データ、医師のアンケート回答データ、薬剤の情報提供データ、及びその他アクティビティデータ等を、また、製薬会社DB81から薬剤の情報提供データ、薬剤の売上データ、及び医師の処方意向等のデータ等を、実データ取得部51は通信部19を介して取得する。
【0055】
実データ取得部51が取得する上記各種の実データは、医師のファネルデータ及び売上データの推計に利用される。
【0056】
実データ取得部51は、既存医師DB71から、医師毎の患者数等のプロファイル・処方実績等の、医師のアクション(行動)に係るデータを取得する。
【0057】
ファネル推計部52は、実データ取得部51が取得した実データに基づいて、数多くの医師の夫々について、薬剤の認知、享受、及び使用までの多段階のうち何れの段階であるのかを推計し、その推計結果を含むデータをファネルデータとして生成する。
【0058】
また、ファネル推計部52は、実データが取得できない医師についても、患者数等のプロファイル・処方実績等の、医師のアクション(行動)の推計を実施し、全医師個別のファネルを特定することができるようにファネルデータを生成する。
【0059】
ファネル推計部52は、既存医師DB71のデータ及び製薬会社DBのデータを組み合わせることで上記推計の高度化を図ることも行う。
【0060】
売上予測部53は、ファネルデータに基づいて売上の予測、MR担当者Uやマーケティング担当者等への推奨アクション(推奨行動)の提示、売上予測及び推奨アクション等の可視化、活動目標の導出、1ディティールあたりの価値の算出、職務のPDCA(PDCAサイクル(PDCA:Plan-Do-Check-Act))の支援等、様々な所定処理を実行する。
【0061】
UI制御部54は、ユーザインターフェース(UI)の統合に係り、ユーザインターフェースを制御する。言い換えれば、UI制御部54は、情報の統合を図る。
【0062】
続いて、図5を参照しながら進捗管理の変化について説明をする。
図5は、進捗管理の変化の一例を示す図である。
【0063】
本サービスは、以下の説明で分かるようになるが、効率的な営業体制の構築を実現することができるようになるサービスである。即ち、今までの進捗管理P1は、バックミラー型であったが、本サービスにより、これからの進捗管理P11は、フォーキャスト型にすることができるようになる。そのため本サービスは、効率的な営業体制の構築を実現することができるようなサービスである。
【0064】
営業体制の更なる効率化には、売上からバックミラー的に振り返る進捗管理(今までの進捗管理P1)から、売上をフォーキャストし、高速でPDCAを回していく必要性がある。
製薬業界が売上に対して適切な先行指標を持てていないようであれば、本サービスが適切な先行指標である医師のファネルデータを提供することにより、高速でPDCAを回していくことができる。その根拠となるものについて以下説明をする。
【0065】
図6を参照しながらファネルの定義について説明をする。
図6は、ファネルの定義の一例を示す図である。
【0066】
ファネルDB61に記憶されたファネルの定義に係るデータ(以下、ファネル定義データFn1と呼ぶ)は、薬剤(製品)毎に異なるものである。ファネル定義データFn1は、本サービスにより適切に定義されている。
【0067】
ここで示すファネル定義データFn1は、薬剤の「認知」乃至「対象者全員への処方」をステージ毎に定義したものになる(認知、享受、及び使用までの多段階で定義したものになる)。図6の例では、「0」乃至「5」の6段階で定義されている。
【0068】
続いて、図7を参照しながらユーザインターフェースの統合による変化について説明をする。
図7は、ユーザインターフェースの統合による変化の一例を示す図である。
【0069】
従来のデータベースによる情報管理P2によれば、活動情報P2aが散在し、医師個別で連続性のあるディティールを取りづらいという問題点が生じていた。
【0070】
これに対し、本サービスによる情報管理P12では、UI制御部54によりユーザインターフェースの統合が図られ、その結果、ファネルデータ以外も含めて活動情報P12aを一元集約することができる。これにより、MR担当者Uは、例えば活動情報P12aを見るだけで済むことになる。
【0071】
ユーザインターフェースの統合が図られたことにより、合わせて推奨アクションも表示することができるため、医師にとって連続性のある情報提供活動を展開することが可能になる。
【0072】
このように本サービスでは、医師別のファネルデータと合わせて他チャンネルのデータも表示させることができる。
【0073】
なお、アクションに移しやすいようにするため、推奨アクション・アラート等を表示させるようにしてもよい。
【0074】
続いて、図8を参照しながら売上シミュレーションのイメージについて説明をする。
図8は、ファネルデータを元に医師の売上を予測する際の一例を示す図である。
【0075】
売上シミュレーションP13において、ファネルデータに対するファネルが示されている。また、夫々のファネルに対しては、対応する医師数(Xは整数値)が示されている。
このような売上シミュレーションP13に基づいて、施策インパクトの試算P13a及びXカ月後の売上シミュレーションP13bをファネル推計部52が実施することになる。
【0076】
施策インパクトの試算P13aは、例えば図示のようにステージが引きあがった場合に、X百万円のインパクトを想定するものである(各医師のポテンシャルを踏まえて処方割合の変化を処方数に換算し、インパクトを試算する)。
【0077】
Xカ月後の売上シミュレーションP13bは、現在のステージよりXカ月後の売上を予測するものである(各ステージの医師別のポテンシャル・処方割合より各ステージの処方数を算出し、これを合算して売上を予測する)。
【0078】
従って、本サービスによれば、ファネルデータに基づいて医師の売上を予測することができる。医師のファネルデータに基づいて売上を予測することは、本サービスならではの特長である。
【0079】
続いて、図9を参照しながら本サービスで回すPDCAサイクルについて説明をする。
図9は、PDCAサイクルについての一例を示す図である。
【0080】
ステップS11で示すPDCAサイクルのPlanにおいては、売上目標の設定、医師ファネル目標の設定、活動目標の設定等を売上予測部53が実施する。
これにより、各種データを統合し、成果達成に向けて医師個別に例えばデイリー/ウィークリーで必要なアクションを具体化することができる。
【0081】
ステップS12で示すPDCAサイクルのDoにおいては、MR担当者Uと医師D(ここでは医師を総称する場合に符号Dを付す)との間で上記具体化されたアクションの遂行を行う。
【0082】
ステップS13で示すPDCAサイクルのCheckにおいては、デイリー/ウィークリーで行動進捗に紐づく売上シミュレーションを売上予測部53の機能によって確認することができる。また、MR担当者Uやマーケティング担当者等の過不足も把握することができる。
【0083】
例えば、医師D-A乃至D-Dのうち、医師D-Aの目標活動量と実績活動量との差分を確認し、これがマイナスであれば、医師D-Aに対してフォローが必要である旨のアラートを出すことができる。
【0084】
ステップS14で示すPDCAサイクルのActにおいては、上記過不足に対してMR担当者Uが即座に医師Dにアクションを遂行する。
【0085】
本サービスによれば、シミュレーションされた売上に関する表示を見ながらアクションの過不足を確認することができ、以て即座にアクションに移していくことができるようになる。
【0086】
続いて、図10を参照しながら医師個別での活動目標の設定の変化について説明をする。
図10は、医師個別での活動目標の設定の変化の一例を示す図である。
【0087】
従来のデータベースに基づく活動目標の設定P3においては、例えば医師D-A乃至D-Dに対するあるべき水準が分からず、その状態で全体の活動目標が設定されてしまっていた。そのため個別性が考慮されておらず、あるべき水準と実績との間で過不足が生じてしまっていた。
【0088】
これに対し、本サービスによる活動目標の設定P14においては、売上予測から導出された医師個別のあるべき水準を活動目標として、その達成率(水準を満たしている医師数/ターゲット医師数)を追うことができる。
【0089】
本サービスによれば、適切な先行指標があることにより、あるべき水準を医師毎に導出して進捗を管理することができ、以てより正確な活動状況の把握をすることができるようになる。
【0090】
続いて、図11を参照しながらサービス提供フロー及びMR担当者のユースケースイメージについて説明をする。
図11は、サービス提供フロー及びMR担当者のユースケースイメージの一例を示す図である。
【0091】
サービス提供フローにおいて、先ずステップS21では、全ターゲット医師の状況把握を実施する。次に、ステップS22では、医師のファネルの向上要件の特定を実施する。次に、ステップS23では、期待インパクトシミュレーションを実施する。
【0092】
このようなサービス提供フローにより、ユースケースP15がMR担当者Uに提示され、MR担当者Uは、例えば「インパクトの高い医師に優先的に対応をしよう」、「各医師の嗜好に合ったチャンネルで、ステージに沿ったコンテンツでアプローチしよう」等の意思決定をすることができるようになる。
即ち、「とりあえず会える医師に会いに行こう」、「ひとまず本社から指示されたとおりにやろう」等ではない意思決定をすることができるようになる。
【0093】
本サービスによれば、ファネルデータ及び売上予測データを活用することにより、MR担当者Uの動き方をより精緻なインパクトベースのものへと変換することができるようになる。
【0094】
続いて、図12乃至図16を参照しながらファネルデータ・売上予測データのサマリデータをシステム上に可視化したユースケースについて説明をする。
図12は、ユースケースイメージ(累計粗利のグラフ)の一例を示す図である。
また、図13は、ユースケースイメージ(ファネルスコア推移のグラフ)の一例を示す図である。
また、図14は、ユースケースイメージ(月別粗利のグラフ)の一例を示す図である。
また、図15は、ユースケースイメージ(医師スコア進捗のグラフ)の一例を示す図である。
また、図16は、ユースケースイメージ(表)の一例を示す図である。
【0095】
本サービスによれば、図12乃至図15の夫々のグラフに示すように、例えば累計粗利やファネルスコア推移、月別粗利、医師スコア進捗を可視化することができるようになる。また、図16に示すような表にて可視化することもできるようになる。
【0096】
以上、図12までを参照しながら説明してきたように、本サービスによれば、実データ取得部51と、ファネル推計部52と、売上予測部53とが機能することにより、全医師個別の情報をMR担当者Uやマーケティング担当者等へ提示することができる。
【0097】
また、本サービスによれば、製薬会社DB81に記憶されたデータも組み合わせて推計を高度化させることで、売上予測を行うこともできる。
【0098】
また、本サービスによれば、ファネル推計部52が機能することにより、ファクトがない医師についても、医師のアクションの推計を行うことができる。
【0099】
本サービスは、MR担当者Uやマーケティング担当者等が本サービスを活用することにより、医師別のファネルを把握することができることから、以て効率的・効果的な情報提供をすることができる。
【0100】
本サービスは、図5のこれからの進捗管理P11で示すように、進捗管理をフォーキャスト型にすることができ、以て効率的な営業体制の構築を実現することができる。
【0101】
具体的には、PDCAサイクルのPlanにおいて、売上の先行指標となるものを目標として設定することから、必要な行動量を設定することができる。そして、PDCAサイクルのDoを遂行した後のPDCAサイクルのCheckにおいては、行動実績を基に更新される売上シミュレーションに基づき振り返りを行うことができる。また、目標比較で低位な活動にテコ入れすることができる。
【0102】
本サービスは、このようなPDCAサイクルを回し続けることができ、以て効率的な営業体制の構築を実現することができる。
MR担当者Uは、図5に示すように、例えば「活動Bが目標未達成、特に課題のある地域Aにテコ入れしよう」というような意思決定をすることができる。また、売上予測を基に現在の進捗を評価することもできる。
【0103】
従って、以上のように本サービスによれば、MR担当者Uやマーケティング担当者等に対しての支援を従来に比べより良くすることができるという効果を奏することができる。
【0104】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限るものではない。また、本実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0105】
上記の実施形態においては、売上予測部53が、ファネルデータに基づいて売上の予測、MR担当者Uやマーケティング担当者等への推奨アクション(推奨行動)の提示、売上予測及び推奨アクション等の可視化、活動目標の導出、1ディティールあたりの価値の算出、職務のPDCA(PDCAサイクル(PDCA:Plan-Do-Check-Act))の支援等、様々な所定処理を実行するが、これに限定されるものではない。
【0106】
上記の実施形態において説明はしていないが、本サービスを通じて、医師に対するプロモーションサービスも実施することができるようにしてもよい。
【0107】
例えば、上記の一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。
換言すると、図4に示した機能的構成は例示に過ぎず、図4の機能的構成のみに特に限定されるものではない。
即ち、上記の一連の処理を全体として実行できる機能が備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に図1乃至図16の例に限定されない。また、機能ブロックの存在場所も、図1乃至図16に特に限定されず、任意でよい。例えば、サーバ1の機能ブロック及びデータベースを医師情報システム2やMR担当者端末4等に移譲させてもよい。逆に医師情報システム2やMR担当者端末4の機能ブロック及びデータベースをサーバ等に移譲させてもよい。
また、一つの機能ブロック及びデータベースは、ハードウェア単体で構成してもよいし、ソフトウェア単体で構成してもよいし、それらの組み合わせで構成してもよい。
【0108】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。
また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えばサーバの他汎用のスマートフォンやパーソナルコンピュータであってもよい。
【0109】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザ等にプログラムを提供するために装置本体とは別に配布される図示せぬリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザ等に提供される記録媒体等で構成される。
【0110】
なお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理をも含むものである。
また、本明細書において、システムの用語は、複数の装置や複数の手段等より構成される全体的な装置を意味するものとする。
【0111】
以上を換言すると、本発明が適用される情報処理装置は、次のような構成を有していれば足り、各種各様な実施の形態を取ることができる。
即ち、本発明が適用される情報処理装置は、
所定分野に属する人(例えば図9の医師D等)を顧客として商品(例えば図6のファネル定義データFn1に記載された薬剤等)又はサービスの提供者(例えば図9のMR担当者U等)を支援する情報処理装置(例えば図2のサーバ1等)において、
前記所定分野に属する複数の人のうち少なくとも一部に関する実際の内容を示す実データ(例えば図4の既存医師DB71に記憶された実データ等)を取得する実データ取得手段(例えば図4の実データ取得部51等)と、
前記実データに基づいて、前記所定分野に属する1以上の特定の人の夫々について、前記商品又はサービスの認知、享受、及び使用までの多段階(例えば図6のファネル定義データFn1が示す多段階等)のうち何れの段階であるのかを推計し、その推計結果を含むデータをファネルデータ(例えば図8の売上シミュレーションP13のファネルデータ等)として生成するファネル推計手段(例えば図4のファネル推計部52等)と、
前記ファネルデータに基づいて、前記商品又はサービスに関する所定処理(例えば図8の売上シミュレーションP13等)を実行する所定処理実行手段(例えば図4の売上予測部53等)と、
を備える。
本発明によれば、ファネルデータに基づいて商品又はサービスに関する所定処理を実行することができる。
従って、所定分野に属する人を顧客として商品又はサービスを提供する者に対しての支援をより良くすることができる。
【0112】
上記情報処理装置(例えば図2のサーバ1等)において、
前記所定処理実行手段は、前記所定処理として、前記商品又はサービスの売上の予測(例えば図16に示す売上予測等)をする。
本発明によれば、ファネルデータに基づいて商品又はサービスに関する売上予測を実行することができる。
【0113】
上記情報処理装置(例えば図2のサーバ1等)において、
前記所定処理実行手段は、前記所定処理としてさらに、前記商品又はサービスの前記売上の予測に基づいて、当該商品又はサービスの前記提供者について、当該商品又はサービスに関する職務のPDCA(例えば図5のこれからの進捗管理P11に示すPDCA等)を支援する処理を実行する。
本発明によれば、売上予測に基づいて、商品又はサービスに関する職務のPDCAを支援することができる。
【0114】
上記情報処理装置(例えば図2のサーバ1等)において、
前記所定分野に属する人は、医師であり、
前記商品又はサービスは、前記医師が患者に処方する薬剤である。
本発明によれば、医師のファネルデータに基づいて薬剤に関する所定処理を実行することができる。
【符号の説明】
【0115】
1・・・サーバ、2・・・医師情報システム、3・・・製薬会社システム、4・・・MR担当者端末、11・・・CPU、18・・・記憶部、19・・・通信部、51・・・実データ取得部、52・・・ファネル推計部、53・・・売上予測部、54・・・UI制御部、61・・・ファネルDB、71・・・既存医師DB、81・・・製薬会社DB
図1
図2
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図10
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図16