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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171112
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】表示装置およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/58 20100101AFI20241204BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20241204BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20241204BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H01L33/58
G09F9/33
G09F9/30 348A
G09F9/30 349Z
G09F9/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088003
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】武政 健一
(72)【発明者】
【氏名】山田 一幸
(72)【発明者】
【氏名】浅田 圭介
(72)【発明者】
【氏名】磯野 大樹
【テーマコード(参考)】
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
5C094AA10
5C094CA19
5C094ED01
5C094FA02
5C094FA04
5C094FB01
5C094FB15
5C094JA08
5F142AA02
5F142BA02
5F142BA32
5F142CA11
5F142CA13
5F142CB03
5F142CB23
5F142CD02
5F142CD16
5F142CD17
5F142CD25
5F142CD44
5F142DB02
5F142DB14
5F142DB24
5F142FA32
5F142GA02
5G435AA03
5G435BB04
5G435CC09
5G435GG02
5G435KK05
(57)【要約】
【課題】表示装置の性能を向上させる。
【解決手段】表示装置は、第1面を備えている第1基板と、第1基板の第1面上に搭載されている複数のLED素子20と、を有している。複数のLED素子20のそれぞれは、第1基板の第1面と対向する面20Bb、および面20Bbの反対側の面20Bfを備えている本体部と、本体部の面20Bbに設けられているアノード電極20EAおよびカソード電極20ECと、本体部の面20Bfに接着されている、有機膜20Fと、を有している。有機膜20Fは、面20Bfと対向し、かつ、面20Bfに接着されている面20Fbと、面20Fbの反対側の面20Ffと、を備えている。有機膜20Fの面20Ffは、複数の窪み部を備えている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1面を備えている第1基板と、
前記第1基板の前記第1面上に搭載されている複数の無機発光ダイオード素子と、
を有し、
前記複数の無機発光ダイオード素子のそれぞれは、
前記第1基板の前記第1面と対向する第2面、および前記第2面の反対側の第3面を備えている本体部と、
前記本体部の前記第2面に設けられている第1電極および第2電極と、
前記本体部の前記第3面に接着されている、第1有機膜と、
を有し、
前記第1有機膜は、前記第3面に接着されている第4面と、前記第4面の反対側の第5面と、を備え、
前記第1有機膜の前記第5面は、複数の窪み部を備えている、表示装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記複数の窪み部のそれぞれは、円錐形を成す、表示装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1有機膜は、ポリイミド樹脂から成る、表示装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記第1有機膜の前記第4面の面積は、前記第3面の面積以上であり、
前記本体部の前記第3面の全体が、前記第1有機膜の前記第4面に接着されている、表示装置。
【請求項5】
請求項3において、
前記第1有機膜の前記第4面の面積と、前記第3面の面積と、は互いに等しい、表示装置。
【請求項6】
請求項3において、
前記第5面の平坦度は、前記第3面の平坦度よりも低い、表示装置。
【請求項7】
(a)第1面を備えている第1基板を準備する工程、
(b)複数の無機発光ダイオード素子を準備する工程、
(c)前記第1基板の前記第1面上に前記複数の無機発光ダイオード素子を搭載する工程、
を有し、
前記(b)工程は、
(b1)素子形成用基板上に前記複数の無機発光ダイオード素子のそれぞれの本体部、第1電極、および第2電極を形成する工程と、
(b2)前記素子形成用基板に形成された複数の前記本体部を第1転写用基板に転写する工程と、
(b3)複数の前記本体部と、有機膜保持基板に保持された複数の第1有機膜と、をそれぞれ接着させる工程と、
(b4)前記有機膜保持基板と前記複数の第1有機膜との接着界面を剥離させる工程と、
を含み、
前記本体部は、前記(c)工程において前記第1基板の前記第1面と対向する第2面、および前記第2面の反対側の第3面を備え、
前記第1電極および前記第2電極のそれぞれは、前記(b1)工程において前記本体部の前記第2面に形成され、
前記第1有機膜は、前記(b3)工程において前記第3面に接着される第4面と、前記第4面の反対側の第5面と、を備え、
前記第1有機膜の前記第5面は、複数の窪み部を備えている、表示装置の製造方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記複数の窪み部のそれぞれは、円錐形を成す、表示装置の製造方法。
【請求項9】
請求項8において、
前記第1有機膜は、ポリイミド樹脂から成る、表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1(特開2020-167251号公報)には、転写用基板を用いたマイクロLED表示装置の製造方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-167251号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
発光素子として、複数のLED素子(無機発光素子)を用いたマイクロLED表示装置がある。本願発明者は、マイクロLED表示装置のように、複数のLED素子を用いた表示装置の性能を向上させる技術について検討している。
【0005】
本発明の目的は、表示装置の性能を向上させる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施の形態に係る表示装置は、第1面を備えている第1基板と、前記第1基板の前記第1面上に搭載されている複数の無機発光ダイオード素子と、を有している。前記複数の無機発光ダイオード素子のそれぞれは、前記第1基板の前記第1面と対向する第2面、および前記第2面の反対側の第3面を備えている本体部と、前記本体部の前記第2面に設けられている第1電極および第2電極と、前記本体部の前記第3面に接着されている、第1有機膜と、を有している。前記第1有機膜は、前記第3面に接着されている第4面と、前記第4面の反対側の第5面と、を備えている。前記第1有機膜の前記第5面は、複数の窪み部を備えている。
【0007】
他の実施の形態に係る表示装置の製造方法は、(a)第1面を備えている第1基板を準備する工程、(b)複数の無機発光ダイオード素子を準備する工程、(c)前記第1基板の前記第1面上に前記複数の無機発光ダイオード素子を搭載する工程を有している。前記(b)工程は、(b1)素子形成用基板上に前記複数の無機発光ダイオード素子のそれぞれの本体部、第1電極、および第2電極を形成する工程と、(b2)前記素子形成用基板に形成された複数の前記本体部を第1転写用基板に転写する工程と、(b3)複数の前記本体部と、有機膜保持基板に保持された複数の第1有機膜と、をそれぞれ接着させる工程と、(b4)前記有機膜保持基板と前記複数の第1有機膜との接着界面を剥離させる工程と、を含んでいる。前記本体部は、前記(c)工程において前記第1基板の前記第1面と対向する第2面、および前記第2面の反対側の第3面を備えている。前記第1電極および前記第2電極のそれぞれは、前記(b1)工程において前記本体部の前記第2面に形成される。前記第1有機膜は、前記(b3)工程において前記第3面に接着される第4面と、前記第4面の反対側の第5面と、を備えている。前記第1有機膜の前記第5面は、複数の窪み部を備えている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態であるマイクロLED表示装置の構成例を示す平面図である。
図2図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。
図3図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。
図4図3のA-A線に沿った拡大断面図である。
図5図4に示すLED素子の拡大断面図である。
図6図5に示す有機膜の一方の面の形状の一例を示す拡大斜視図である
図7図5に示すLED素子で発生した光の進行方向を模式的に示す説明図である。
図8】表示装置の製造方法の工程フローの一例を示す説明図である。
図9図8に示すLED形成工程を示す断面図である。
図10図8に示す本体部ピック工程を示す断面図である。
図11図8に示す有機膜接着工程を示す断面図である。
図12図8に示す有機膜保持基板分離工程を示す断面図である。
図13図8に示すLED素子保持工程を示す断面図である。
図14図8に示すLED素子転写工程を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一または関連する符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
<表示装置>
まず、本実施の形態の表示装置であるマイクロLED表示装置の構成例について説明する。図1は、一実施形態であるマイクロLED表示装置の構成例を示す平面図である。図1では、表示領域DAと周辺領域PFAとの境界、制御回路5、駆動回路6、および複数の画素PIXのそれぞれを二点鎖線で示している。図2は、図1に示す画素周辺の回路の構成例を示す回路図である。
【0011】
図1には、X方向およびY方向が示されている。X方向およびY方向は、互いに交差している。以下で説明する例においては、X方向はY方向に直交する。以下では、X方向およびY方向を含むX-Y平面を表示装置の表示面に対して平行な面として説明する。以下の説明において、特に異なる意味で解釈すべきことを明示した場合を除き、「平面視」とは、X-Y平面に対して平行な面を視た場合を意味する。また、後述するように、X-Y平面に対する法線方向のことを「Z方向」または厚さ方向として説明する。X方向、Y方向およびZ方向は、互いに交差する方向であり、より特定的には互いに直交する方向である。
【0012】
図1に示すように、本実施の形態の表示装置DSP1は、表示領域DAと、表示領域DAの周囲を枠状に囲む周辺領域PFAと、表示領域DA内に行列上に配列された複数の画素PIXと、を有している。また、表示装置DSP1は、基板10と、基板10上に形成された制御回路5と、基板10上に形成された駆動回路6と、を有している。基板10はガラスまたは樹脂から成る。図4に示すように、基板10は、面10fおよび面10fの反対側の面10bを備えている。
【0013】
制御回路5は、表示装置DSP1の表示機能の駆動を制御する制御回路である。例えば、制御回路5は、基板10上に実装されたドライバIC(Integrated Circuit)である。図1に示す例では、制御回路5は、基板10が備える4辺のうち、一つの短辺に沿って配置されている。また、本実施の形態の例では、制御回路5は、複数の画素PIXに接続される配線(映像信号配線)VL(図2参照)を駆動する信号線駆動回路を含んでいる。ただし、制御回路5の位置および構成例は、図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記したドライバICは、回路基板上に搭載されている場合がある。また例えば、配線VLを駆動する信号線駆動回路は、制御回路5とは別に形成されている場合がある。
【0014】
駆動回路6は、複数の画素PIXのうち、走査信号線GL(後述する図2参照)を駆動する回路を含む。また、駆動回路6は、複数の画素PIXのそれぞれに搭載されたLED素子に基準電位を供給する回路を含む。駆動回路6は、制御回路5からの制御信号に基づいて、複数の走査信号線GLを駆動する。図1に示す例では、駆動回路6は、基板10が備える4辺のうち、二つの長辺のそれぞれに沿って配置されている。ただし、駆動回路6の位置および構成例は、図1に示す例には限定されず、種々の変形例がある。例えば、図1において、制御回路5として示す位置に、フレキシブル基板などの回路基板が接続され、上記した駆動回路6が回路基板上に搭載されている場合がある。
【0015】
次に、図2を用いて画素PIXの回路構成例について説明する。なお、図2では、4個の画素PIXを代表的に取り上げて図示しているが、図1に示す複数の画素PIXのそれぞれが、図2に示す画素PIXと同様の回路を備えている。以下では、画素PIXが備えるスイッチ、およびLED素子20を含む回路について、画素回路と呼称する場合がある。画素回路は、制御回路5(図1参照)から供給される映像信号Vsgに応じてLED素子20の発光状態を制御する電圧信号方式の回路である。
【0016】
図2に示すように、画素PIXは、LED素子20を備えている。LED素子20は、上記したマイクロ発光ダイオードである。LED素子20はアノード電極20EAおよびカソード電極20ECを有している。LED素子20のカソード電極20ECは、基準電位(固定電位)PVSが供給される配線VSLに接続されている。LED素子20のアノード電極20EAは、配線31を介してスイッチング素子SWのドレイン電極EDと電気的に接続されている。
【0017】
画素PIXは、スイッチング素子SWを備えている。スイッチング素子SWは、制御信号Gsに応答して画素回路と配線VLとの接続状態(オンまたはオフの状態)を制御するトランジスタである。スイッチング素子SWは、例えば薄膜トランジスタである。スイッチング素子SWがオン状態の時、画素回路には、配線VLから映像信号Vsgが入力される。
【0018】
駆動回路6は、図示しないシフトレジスタ回路、出力バッファ回路等を含んでいる。駆動回路6は、制御回路5(図1参照)から伝送される水平走査スタートパルスに基づいてパルスを出力し、制御信号Gsを出力する。
【0019】
複数の走査信号線GLのそれぞれは、X方向に延びている。走査信号線GLは、スイッチング素子SWのゲート電極に接続されている。走査信号線GLに制御信号Gsが供給されると、スイッチング素子SWがオン状態となり、LED素子20に映像信号Vsgが供給される。
【0020】
<LED素子の周辺構造>
次に、図1に示す複数の画素PIXのそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造について説明する。図3は、図1に示す表示装置の複数の画素のそれぞれに配置されるLED素子の周辺構造の一例を示す透過拡大平面図である。図3では、図4に示す無機絶縁層14の図示を省略している。図3では、半導体層、電極、および走査信号線の輪郭を点線で示している。図4は、図3のA-A線に沿った拡大断面図である。
【0021】
図3に示すように、表示装置DSP1は、画素PIX1を含む複数の画素PIX(図3に示す例では画素PIX1、画素PIX2、および画素PIX3)を有している。複数の画素PIXのそれぞれは、スイッチング素子SWと、LED素子(発光素子)20と、配線31と、配線32と、を有している。
【0022】
なお、画素PIX1,PIX2,およびPIX3のそれぞれには、例えば赤、緑、および青のうち、いずれか一色の可視光を出射するLED素子20が搭載され、LED素子20を駆動するスイッチング素子SWが形成されている。画素PIX1,PIX2,およびPIX3のそれぞれが備えているLED素子20から出射される可視光の出力およびタイミングを制御することにより、カラー表示が可能となる。このように互いに異なる色の可視光を出射する複数の画素PIXを組み合わせる場合、各色用の画素PIXを副画素と呼び、複数の画素PIXのセットを画素と呼ぶ場合がある。本実施の形態では、上記副画素に相当する部分が画素PIXと呼ばれる。
【0023】
配線31は、スイッチング素子SWのドレイン電極EDおよびLED素子20のアノード電極20EAのそれぞれに電気的に接続されている。配線32は、スイッチング素子SWのソース電極ESに接続されている。図3に示す例では、配線32は屈曲した構造を備え、一方の端部がスイッチング素子SWのソース電極ESに接続され、他方の端部は、配線VLに接続されている。走査信号線GLは、スイッチング素子SWのゲート電極EGとして利用される。
【0024】
表示装置DSP1は、Y方向に沿って複数の画素PIX(図2参照)に亘って延び、かつ、配線32と電気的に接続される配線VLと、Y方向に交差(図3では直交)するX方向に沿って複数の画素PIXに亘って延び、かつ、LED素子20のカソード電極20ECに電気的に接続された配線VSLと、を更に有している。なお、図3に示すレイアウトは、一例であって、種々の変形例がある。例えば、図3に対する変形例の一つとして、スイッチング素子SWが図示しないゲート電極を有し、ゲート電極が走査信号線GLと接続された構造であってもよい。この変形例では、走査信号線GLが、半導体層50と重ならない位置に配置される場合がある。
【0025】
図4に示すように、表示装置DSP1は、ガラスまたは樹脂から成る基板10と、基板10上に積層された複数の絶縁層とを含む電子装置である。表示装置DSP1が有する複数の絶縁層は、基板10上に積層される無機絶縁層11、無機絶縁層12、無機絶縁層13、および無機絶縁層14を含む。基板10は面10fおよび面10fの反対側の面10bを有している。無機絶縁層11,12,13、および14のそれぞれは、基板10の面10f上に積層されている。
【0026】
スイッチング素子SWは、基板10上に形成された無機絶縁層12と、無機絶縁層12上に形成された半導体層50と、半導体層50のドレイン領域に接続されたドレイン電極EDと、半導体層50のソース領域に接続されたソース電極ESと、半導体層50を覆う無機絶縁層13と、を含んでいる。配線31および配線32のそれぞれは、例えば、チタンまたはチタン合金から成る導体層と、アルミニウムまたはアルミニウム合金から成る導体層と、の積層膜である。チタン層の間にアルミニウム層が挟まれた積層膜は、TAT積層膜と呼ばれる。
【0027】
図4に示す例は、ゲート電極EGが半導体層50と基板10との間にある、ボトムゲート方式の例である。ボトムゲート方式の場合、無機絶縁層12のうち、ゲート電極EGと半導体層50との間にある部分がゲート絶縁層として機能する。また、無機絶縁層12は、半導体層50を形成するための下地層としても機能する。なお、ゲート電極EGの位置は図4に示す例には限定されず、例えば変形例として後述するトップゲート方式であってもよい。
【0028】
無機絶縁層11,12,13,および14のそれぞれを構成する材料は特に限定されない。例えば、酸化ケイ素(SiO2)や窒化ケイ素(SiN)などを例示することができる。また、半導体層50は、例えばケイ素から成るシリコン膜にP型またはN型の導電型の不純物がドープされた半導体膜である。
【0029】
ソース電極ESおよびドレイン電極EDのそれぞれは、半導体層50のソース領域およびドレイン領域のいずれか一方との電気的なコンタクトをとるためのコンタクトプラグである。コンタクトプラグの材料は、例えばタングステンなどを例示できる。なお、図4に対する変形例として、無機絶縁層13に半導体層50のソース領域およびドレイン領域を露出させるコンタクトホールが形成され、コンタクトホール内に配線31の一部分および配線32の一部分がそれぞれ埋め込まれている場合がある。この場合、配線31および配線32のうち、コンタクトホール内に埋め込まれた部分が半導体層50に接触し、配線31および配線32と半導体層50との接触界面をドレイン電極EDおよびソース電極ESと見做すことができる。
【0030】
基板10と、基板10上に積層されている複数の絶縁層(図4に示す例では、無機絶縁層11,12,13、および14)の積層体のことを基板SUB1と定義する。基板SUB1は、面SUBfを有している。
【0031】
また、表示装置DSP1は、複数のバンプ電極33を備えている。バンプ電極33は、基板10上にLED素子20を実装するための端子である。このため、2個のバンプ電極33のうちの一方は、LED素子20のアノード電極20EAに接続され、他方はLED素子20のカソード電極20ECに接続されている。
【0032】
バンプ電極33は、無機絶縁層14に形成された開口部14Hと重なる位置で配線31に接続され、かつ、無機絶縁層14から突出している。また、バンプ電極33は、例えば、錫を含む半田から成る。あるいは、バンプ電極33は、銅など、半田よりも電気伝導度が高い金属材料からなる金属層と、半田層との積層体である場合がある。
【0033】
<LED素子>
次に、図3および図4に示すLED素子20について説明する。図5は、図4に示すLED素子の拡大断面図である。図6は、図5に示す有機膜の一方の面の形状の一例を示す拡大斜視図である。図7は、図5に示すLED素子で発生した光の進行方向を模式的に示す説明図である。
【0034】
図3に示す複数のLED素子20のそれぞれは、図4に示すように、本体部20Bと、透明な(言い換えれば可視光透過性の)有機膜20Fと、アノード電極20EAと、カソード電極20ECと、を有している。
【0035】
LED素子20の本体部20Bは、基板SUB1の面SUBfと対向する面20Bb、および面20Bbの反対側の面20Bfを備えている。アノード電極20EAおよびカソード電極20ECのそれぞれは、本体部20Bの面20Bbに設けられている。有機膜20Fは、本体部20Bの面20Bfに接着されている。有機膜20Fは、面20Bfと対向し、かつ、面20Bfに接着されている面20Fbと、面20Fbの反対側の面20Ffと、を備えている。
【0036】
LED素子20の詳細な構造は、例えば図5に例示されている。図5に示す例では、LED素子20の本体部20Bは、N型半導体層24と、N型半導体層24上に積層される活性層25と、活性層25上に積層されるP型半導体層26と、無機絶縁膜であるパッシベーション膜28と、を備えている。
【0037】
N型半導体層24は、アノード電極20EAおよびカソード電極20ECに共通の下地層として形成され、アノード電極20EA側に活性層25およびP型半導体層26が積層されている。アノード電極20EA側では、P型半導体層26上に透明電極層27aが形成されている。アノード電極20EA側の透明電極層27aおよびカソード電極20EC側のN型半導体層24は、無機絶縁膜であるパッシベーション膜28に覆われている。
【0038】
パッシベーション膜28には、アノード電極20EAおよびカソード電極20ECを形成する箇所に開口部が形成されている。各開口部にはシード層27bを介して金属電極層27cが積層されている。アノード電極20EAは、透明電極層27a、シード層27bおよび金属電極層27cの積層体である。一方、カソード電極20ECは、N型半導体層24上に積層されるシード層27bおよび金属電極層27cの積層体である。N型半導体層24と基板SS1との間には、例えば窒化ガリウムから成るバッファ層29が形成されている。
【0039】
なお、図5では、有機膜20FとN型半導体層24との間にバッファ層29が残っている例を図示している。ただし、LED素子20の製造工程において、バッファ層29は、レーザ照射されることにより改質され、除去される場合がある。この場合、有機膜20FとN型半導体層24との間にバッファ層29が残存せず、有機膜20Fの面20FbがN型半導体層24に接着されている場合がある。
【0040】
また、図5および図6に示すように、有機膜20Fの面20Ffは、複数の窪み部20Dを備えている。図6に示す例では、複数の窪み部20Dは格子状に整列されている。詳しくは、複数の窪み部20Dは、千鳥格子状に整列されている。
【0041】
図7に示すように、有機膜20Fの窪み部20Dは、LED素子20の発光層から出射された光20L1のうちの一部を屈折させることにより、LED素子20の厚さ方向であるZ方向に進行する出射光20L2の成分を増大させる光学素子としての機能を有している。Z方向は、LED素子20の本体部20Bの面20Bbの法線方向と一致する。
【0042】
本実施の形態のように、LED素子20から出射される光のうち、Z方向に進行する出射光20L2の成分を多くできれば、表示用の光として活用できる光の量を増大させることができる。この結果、表示装置の輝度を向上させることができる。言い換えれば、要求される輝度を得るために必要な電力を低減することができる。
【0043】
図6に示すように、複数の窪み部20Dのそれぞれは、円錐形を成す。図7に示すように、光20L1のうちの一部を屈折させることにより、Z方向に進行する出射光20L2の成分を増大させる光学素子としての機能を発揮できれば、窪み部20Dの形状は円錐形には限定されず、種々の変形例が適用できる。ただし、本願発明者の検討によれば、窪み部20Dの形状が円錐形であることが特に好ましい。
【0044】
有機膜20Fは、金属膜や金属酸化膜などの無機膜と比較して加工が容易である。このため、有機膜20Fに形成された複数の窪み部20Dの形状(例えば、図6に示す円錐の高さ、底面の半径、あるいは、側面の傾斜角度等)は、屈折の特性を考慮して最適な形状に加工し易い。
【0045】
本実施の形態の例では、有機膜20Fはポリイミド樹脂から成る。ポリイミド樹脂の可視光に対する屈折率は、LED素子20の本体部20Bの可視光に対する屈折率に近い値に調整し易い。例えば、本実施の形態の場合、ポリイミド樹脂から成る有機膜20Fの屈折率は、空気の屈折率より大きく、かつ、窒化ガリウム膜(例えば図5に示すバッファ層29)の屈折率よりも低い。より詳しくは、有機膜20Fと窒化ガリウム膜との屈折率の差は、有機膜20Fと空気との屈折率の差よりも小さい。このため、光学的な理由から有機膜20Fはポリイミド樹脂から成ることが好ましい。また、加工の容易性という観点において、有機膜20Fはポリイミド樹脂から成ることが特に好ましい。
【0046】
ところで、図5に示す例の場合、本体部20Bの面20Bfは、粗面化処理が施されていない。このため、有機膜20Fの面20Ffの平坦度は、複数の窪み部20Dが形成されている面20Bfの平坦度よりも低い。ただし、有機膜20Fの面20Fbと本体部20Bの面20Bfとの接着強度を向上させる観点から、本体部20Bの面20Bfに粗面化処理が施されている場合がある。この場合でも、有機膜20Fの面20Ffの平坦度は、本体部20Bの面20Bfの平坦度以下であることが好ましい。
【0047】
上記したように、有機膜20Fは、光学素子として機能する。このため、表示装置DSP1(図4参照)の輝度を向上させる観点からは、図7に示す光20L1の多くが、有機膜20Fの面20Ffを経由することが好ましい。本実施の形態の場合、有機膜20Fの面20Fbの面積は、面20Bfの面積以上である。また、本体部20Bの面20Bfの全体が、有機膜20Fの面20Fbに接着されている。これにより、本体部20B、有機膜20Fの順で経由して、面20Ffから出射される光20L1の量を最大化させることができる。
【0048】
ただし、有機膜20Fの面20Fbの面積が、面20Bfの面積よりも大きい場合、有機膜20Fの一部が本体部20Bから図3に示すX-Y平面に沿った方向に突出する。突出する部分の体積が大きくなると、例えば製造工程中に有機膜20Fに外力が印加された時に、面20Fbと面20Bfとの接着界面が剥離する場合がある。面20Fbと面20Bfとの接着界面の剥離を抑制する観点からは、有機膜20Fの面20Fbの面積と、面20Bfの面積と、が同程度であることが好ましい。
【0049】
本実施の形態の場合、有機膜20Fの面20Fbの面積と、面20Bfの面積と、は互いに等しい。この場合、本体部20Bの面20Bfのほぼ全体が、有機膜20Fの面20Fbに接着されている。また、仮に、製造工程上の位置精度等の影響により、面20Fbと面20Bfとの位置が完全に一致していない場合でも、有機膜20Fのうち、本体部20Bから突出している部分の体積は、実効上無視できる程度に小さくすることができる。
【0050】
<表示装置の製造方法>
次に、図3に示す表示装置DSP1の製造方法を代表例として、本実施の形態の表示装置の製造方法について説明する。図8は、表示装置の製造方法の工程フローの一例を示す説明図である。
【0051】
図8に示すように、本実施の形態の表示装置の製造方法は、基板準備工程と、LED素子準備工程と、LED素子保持工程と、LED素子転写工程と、を含んでいる。LED素子準備工程は、LED形成工程と、本体部ピック工程と、有機膜接着工程と、有機膜保持基板分離工程と、を含んでいる。以下、図8に示す各工程について説明する。
【0052】
図8に示す基板準備工程では、図4に示す基板SUB1を準備する。基板SUB1の構造は、既に説明した通りなので、重複する説明は省略する。本工程で準備する基板SUB1は、図4に示すLED素子20が搭載される前の状態である。したがって、バンプ電極33は、基板SUB1の面SUBf上に突出した状態である。
【0053】
図8に示すLED素子準備工程に含まれるLED形成工程では、図9に示すように、基板SS1の面SS1f上に、図5を用いて説明したLED素子20の本体部20B、アノード電極20EA、およびカソード電極20ECを形成する。基板SS1は、LED素子を形成するための素子形成用基板であって、例えば、サファイアから成るサファイア基板である。図9は、図8に示すLED形成工程を示す断面図である。
【0054】
本体部20Bは、基板SS1の面SS1fと対向する面20Bfと、面20Bfの反対側の面20Bbと、を有している。アノード電極20EAおよびカソード電極20ECのそれぞれは、面20Bbに形成される。
【0055】
本工程では、図5を用いて説明したバッファ層29、N型半導体層24、活性層25、P型半導体層26、透明電極層27aおよびパッシベーション膜28が順に積層される。パッシベーション膜28には開口部が形成され、開口部上にシード層27bおよび金属電極層27cが成膜される。
【0056】
また、本工程では、一つの基板SS1上に複数の本体部20Bが一括して形成される。アノード電極20EAおよびカソード電極20ECが形成された後、基板SS1上に積層されている積層膜は、複数の部分に個片化される(ダイシング工程、または個片化工程と呼ぶ)。このような製造方法の場合、複数の本体部20Bを一括して形成することができるので、製造効率が向上する。
【0057】
次に、図8に示すLED素子準備工程に含まれる本体部ピック工程では、図10に示すように、複数の本体部20Bのうちの一部または全部を転写用基板TS1に転写する。図10は、図8に示す本体部ピック工程を示す断面図である。図10に示す例では、5個の本体部20Bのうちの一部(3個)を転写している状態を示している。
【0058】
このように、複数の本体部20Bのうちの一部を転写するのは、例えば以下の理由による。第1の理由は、基板SS1に形成された複数の本体部20Bの配列ピッチと、図3に示す基板SUB1に搭載される複数のLED素子20の配列ピッチとが異なるからである。
【0059】
第2の理由は、以下である。すなわち、表示装置DSP1には、例えば青色用、赤色用、および緑色用など、複数種類のLED素子20が搭載される。一方、基板SS1に一括して形成される複数の本体部20Bのそれぞれは、同一種類である方が好ましい。このため、異なる種類のLED素子20が互いに隣り合うように搭載するためには、本工程において、複数の本体部20Bのうちの一部をピックアップすることが好ましい。
【0060】
ただし、本工程で転写基板TS1に転写される本体部20Bの数は、図10に示す数には限定されず、種々の変形例がある。例えば、本実施の形態に対する変形例として、複数の本体部20Bの全てを本工程でピックアップする場合がある。
【0061】
本工程では、図5に示すバッファ層29にレーザを照射することにより改質し、改質されたバッファ層を選択的にピックアップする、レーザリフトアップ法を用いることができる。
【0062】
図10に示す転写用基板TS1は、例えばガラスから成るガラス基板である。転写用基板TS1は、面TS1bを有している。転写用基板TS1の面TS1b上には、保持層HL1が形成されている。保持層HL1は、例えば、弾性変形可能な有機膜から成り、転写用基板TS1の面TS1bの全体を覆うように形成されている。保持層HL1は、転写用基板TS1の面TS1bと対向する面HL1f、および面HL1fの反対側の面HL1bを有している。少なくとも面HL1b、または、保持層HL1の全体は、粘着性材料から成り、本体部20Bを粘着保持することが可能である。
【0063】
本工程では、保持層HL1の面HL1bを本体部20Bに形成されたアノード電極20EAおよびカソード電極20ECに押し付けた状態で、複数の本体部20Bのうちの一部または全部のバッファ層29(図5参照)にレーザを照射して改質させる。その後、転写基板TS1と基板SS1との距離を離すことで、図10に示すように、本体部20Bを転写用基板TS1に転写することができる。
【0064】
次に、図8に示すLED素子準備工程に含まれる有機膜接着工程では、図11に示すように、複数の本体部20Bのそれぞれの面20Bfに有機膜20Fの面20Fbを接着する。図11は、図8に示す有機膜接着工程を示す断面図である。
【0065】
本工程で準備する有機膜保持基板60は、面60fと、面60f上に形成されている複数の有機膜20Fを有している。複数の有機膜20Fのそれぞれは互いに離間している。また、有機膜保持基板60の面60fには、複数の突起部60Pが形成されている。複数の突起部60Pのそれぞれは、図6に示す複数の窪み部20Dに対応する形状を成す。本実施の形態の場合、複数の突起部60Pのそれぞれは円錐形である。複数の有機膜20Fは、複数の突起部60Pを有する面60f上に形成されている。このため、有機膜20Fのうち、面60fと対向する面20Ffには、突起部60Pの形状に倣って窪み部20D(図6参照)が形成されている。
【0066】
本工程では、まず、本体部20Bの面20Bfと、有機膜20Fの面20Fbとが互いに対向するように転写用基板TS1と有機膜保持基板60との位置合わせを行う。次に、転写用基板TS1と有機膜保持基板60との距離を近づけて、図11に示すように、本体部20Bの面20Bfと、有機膜20Fの面20Fbとを接着させる。有機膜20Fは、例えばポリイミド樹脂から成り、少なくとも面20Fbは粘着性を有している。
【0067】
次に、図8に示すLED素子準備工程に含まれる有機膜保持基板分離工程では、図12に示すように、有機膜保持基板60側からレーザ光61を照射することにより、有機膜保持基板60の面60fと有機膜20Fの面20Ffとの接着界面を剥離させ、複数の有機膜20Fのそれぞれと、有機膜保持基板60とを分離させる。図12は、図8に示す有機膜保持基板分離工程を示す断面図である。
【0068】
レーザ光61は、レーザ光源62から出射される。レーザ光61が有機膜20Fに照射されると、有機膜20Fが急激に加熱されることにより膨張し、有機膜保持基板60の面60fと有機膜20Fの面20Ffとの界面が剥離する。図12に矢印を付して模式的に示すように、レーザ光61を照射した状態でレーザ光源62を連続的に移動させることにより、有機膜20Fの熱膨張の影響が本体部20Bと有機膜20Fとの接着界面に影響を及ぼす前に、有機膜20Fの温度を下げることができる。有機膜20Fの温度が下がれば、有機膜20Fは収縮し、図6を用いて説明した面20Ffが露出する。
【0069】
なお、本実施の形態では、転写用基板TS1に複数の本体部20Bが保持された状態で有機膜保持基板60の面60fと有機膜20Fの面20Ffとの界面を剥離させる方法を示している。ただし、変形例として、本工程の前に、転写基板TS1に形成された保持層HL1と本体部20Bとを分離させる場合がある。この場合、本工程では、図11に示す転写基板TS1とは別の転写基板に本体部20Bおよび有機膜20Fが転写される。
【0070】
以上の工程により、図8に示すLED素子準備工程が完了する。すなわち、図5を用いて説明したように、アノード電極20EA、カソード電極20EC、本体部20B、および有機膜20Fを備えたLED素子20が得られる。
【0071】
次に、図8に示すLED素子保持工程では、図13に示すように、保持層HL1を介して転写用基板TS1に保持されている複数のLED素子20のそれぞれを転写用基板TS2に転写する。図13は、図8に示すLED素子保持工程を示す断面図である。
【0072】
図13に示す転写用基板TS2は、例えばガラスから成るガラス基板である。転写用基板TS2は、面TS2bを有している。転写用基板TS2の面TS2b上には、保持層HL2が形成されている。保持層HL2は、例えば、弾性変形可能な有機膜から成り、転写用基板TS2の面TS2bの全体を覆うように形成されている。保持層HL2は、転写用基板TS2の面TS2bと対向する面HL2f、および面HL2fの反対側の面HL2bを有している。少なくとも面HL2b、または、保持層HL2の全体は、粘着性材料から成り、本体部20Bを粘着保持することが可能である。
【0073】
ただし、面HL2bの粘着保持力は、本体部20Bの面20Bfと有機膜20Fの面20Fbとの接着界面の接着強度よりも小さい。後述するLED素子転写工程で、本体部20Bの面20Bfと有機膜20Fの面20Fbとの接着界面の剥離を防止するためである。
【0074】
本工程では、保持層HL1の面HL1bと、LED素子20(詳しくは、アノード電極20EAおよびカソード電極20EC)との接触界面を剥離させる。接触界面を剥離させる方法として、図13ではレーザ光61を照射する方法を例示している。本工程では、レーザ光源62の動作が図12を用いて説明した有機膜保持基板分離工程と相違する。すなわち、本工程の場合、図13に示すように、レーザ光源62を断続的に移動させて保持層HL1の面HL1bとLED素子20との接触界面を剥離させる。また、レーザ光源62が移動している際には、レーザ光61の照射は停止されている。
【0075】
保持層HL1は、転写用基板TS1の面TS1bの全体を覆うように形成されている。このため、仮に、本工程において、レーザ光61の照射により、面TS1bと面HL1fとの接触界面の一部分が剥離したとしても、他の部分が接着されているので、保持層HL1の全体が剥離することを防止できる。
【0076】
図13に示す例では、転写用基板TS1から転写用基板TS2にLED素子20を転写する方法として、レーザ光61を照射する方法について説明した。ただし、転写用基板TS1から転写用基板TS2にLED素子20を転写する方法として、例えば、保持層HL2の接着強度と保持層HL1の接着強度の差を利用する方法を適用することができる。すなわち、図13に示す例において、保持層HL2の接着強度が保持層HL1の接着強度よりも大きくなっている。この場合、レーザ光61を照射しない状態で転写基板TS1と転写基板TS2とを引き離せば、相対的に接着強度が低い保持層HL1がLED素子20から剥離する。なお、この場合、本体部20Bと有機膜20Fとの接着強度は、少なくとも保持層HL1とLED素子20との接着強度よりも大きい必要がある。
【0077】
次に、図8に示すLED素子転写工程では、図14に示すように、保持層HL2を介して転写用基板TS2に保持されている複数のLED素子20のそれぞれを基板SUB1に転写する。図14は、図8に示すLED素子転写工程を示す断面図である。
【0078】
本工程では、複数のLED素子20のそれぞれが有しているアノード電極20EAおよびカソード電極20ECと、基板SUB1上に形成されているバンプ電極33とを接合した後、保持層HL2の面HL2bと有機膜20Fの面20Ffの接着界面を剥離させる。保持層HL2の面HL2bと有機膜20Fの面20Ffの接着界面の接着強度は、アノード電極20EAおよびカソード電極20ECとバンプ電極33との接合強度よりも小さい。また、上記したように、面HL2bの粘着保持力(言い換えれば接着強度)は、本体部20Bの面20Bfと有機膜20Fの面20Fbとの接着界面の接着強度よりも小さい。このため、バンプ電極33を電極に接合した後、転写基板TS2を引き離すことにより、保持層HL2の面HL2bと有機膜20Fの面20Ffの接着界面を剥離させることができる。
【0079】
以上の各工程により、図1から図4に示す表示装置DSP1が得られる。
【0080】
以上、実施の形態および代表的な変形例について説明したが、上記した技術は、例示した変形例以外の種々の変形例に適用可能である。例えば、上記した変形例同士を組み合わせてもよい。
【0081】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除若しくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、表示装置や表示装置が組み込まれた電子機器に利用可能である。
【符号の説明】
【0083】
5 制御回路
6 駆動回路
10,SS1,SUB1 基板
10b,10f,20Bb,20Bf,20Fb,20Ff,60f,HL1b,HL1f,HL2b,HL2f,SUBfTS1b,TS2b 面
11,12,13,14 無機絶縁層
14H 開口部
20 LED素子(無機発光素子)
20B 本体部
20D 窪み部
20EA アノード電極(電極)
20EC カソード電極(電極)
20F 有機膜
20L1,L1 光
20L2 出射光
24 N型半導体層
25 活性層
26 P型半導体層
27a 透明電極層
27b シード層
27c 金属電極層
28 パッシベーション膜
29 バッファ層
31,32,34,VL,VSL 配線
33 バンプ電極
50 半導体層
60 有機膜保持基板
DA 表示領域
DSP1 表示装置
ED ドレイン電極
EG ゲート電極
ES ソース電極
GL 走査信号線
Gs 制御信号
HL1,HL2 保持層(LED素子保持層)
PFA 周辺領域
PIX,PIX1,PIX2,PIX3 画素
PVS 基準電位(固定電位)
SUB1 基板
SW スイッチング素子
TS1,TS2 転写用基板
Vsg 映像信号
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14