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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171132
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】板状部材及び電池スタック
(51)【国際特許分類】
   H01M 50/204 20210101AFI20241204BHJP
   H01M 50/502 20210101ALI20241204BHJP
   H01M 10/613 20140101ALI20241204BHJP
   H01M 50/588 20210101ALI20241204BHJP
   H01M 50/591 20210101ALI20241204BHJP
   H01G 11/12 20130101ALI20241204BHJP
   H01G 11/16 20130101ALI20241204BHJP
   H01G 11/78 20130101ALI20241204BHJP
   H01G 11/18 20130101ALI20241204BHJP
【FI】
H01M50/204 101
H01M50/502
H01M10/613
H01M50/588
H01M50/591
H01G11/12
H01G11/16
H01G11/78
H01G11/18
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088040
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】荻島 規宏
(72)【発明者】
【氏名】柳原 真一
(72)【発明者】
【氏名】岡▲崎▼ 裕太郎
(72)【発明者】
【氏名】村田 遼介
(72)【発明者】
【氏名】森岡 怜史
(72)【発明者】
【氏名】奥村 素宜
(72)【発明者】
【氏名】海谷 裕之
(72)【発明者】
【氏名】植田 浩生
(72)【発明者】
【氏名】宗 真平
(72)【発明者】
【氏名】守作 直人
(72)【発明者】
【氏名】川畑 佑太朗
【テーマコード(参考)】
5E078
5H031
5H040
5H043
【Fターム(参考)】
5E078AB02
5E078AB06
5E078HA21
5E078HA22
5E078JA02
5E078JA03
5E078JA06
5H031KK01
5H040AA03
5H040AA32
5H040AA33
5H040AY03
5H040NN03
5H043AA09
5H043AA19
5H043FA02
(57)【要約】
【課題】電池スタック用プレートの表裏面にシール材を容易に設けることができる板状部材及び電池スタックを提供する。
【解決手段】第1板状部材1120は、積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される導電性プレート1140と、嵌合溝1153が板側面に凹設された板状の絶縁ハウジング1151を有する電池スタック用プレートと、嵌合溝1153の延在方向に沿うように絶縁ハウジング1151の表裏面にそれぞれ設けられたシール材供給溝1103と、シール材供給溝1103と嵌合溝1153とを連通する貫通穴1104と、嵌合溝1153に予め充填され、導電性プレート1140の側縁部1142が嵌合溝1153に嵌合された際に、嵌合溝1153から貫通穴1104及びシール材供給溝1103を経て絶縁ハウジング1151の表裏面に押し出されるシール材1105と、を備える。
【選択図】図81
【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される導電性プレートと、
前記導電性プレートの側縁部に嵌合するための嵌合溝が板側面に凹設された板状の絶縁ハウジングを有する電池スタック用プレートと、
前記嵌合溝の延在方向に沿うように前記絶縁ハウジングの表裏面にそれぞれ設けられたシール材供給溝と、
前記シール材供給溝と前記嵌合溝とを連通する貫通穴と、
前記嵌合溝に予め充填され、前記導電性プレートの側縁部が前記嵌合溝に嵌合された際に、前記嵌合溝から前記貫通穴及び前記シール材供給溝を経て前記絶縁ハウジングの表裏面に押し出されるシール材と、を備え、
前記複数の蓄電モジュール間に挟装される、
板状部材。
【請求項2】
前記シール材供給溝が、前記嵌合溝の延在方向に沿って波形に蛇行するように連続して形成された、
請求項1に記載の板状部材。
【請求項3】
前記貫通穴が、波形に形成された前記シール材供給溝における前記嵌合溝側の各頂点に形成された、
請求項2に記載の板状部材。
【請求項4】
請求項1~3の何れか一項に記載の板状部材を備えた、
電池スタック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板状部材、及び板状部材を備えた電池スタックに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から各種の蓄電装置が提案されており、例えば、特許文献1に開示された蓄電装置は、積層される複数の蓄電モジュールと、蓄電モジュールの間に配置された複数の板状部材と、を備えている。
積層された複数の蓄電モジュール(電池セル)及び複数の板状部材は、一対の絶縁板の間に配置されると共に拘束具により拘束力が加えられることにより、略直方体形状に形成された積層体(電池スタック)を構成している。
【0003】
蓄電モジュールは、樹脂枠と、複数の電池セルと、複数の集電板とを有する。板状部材は、隣り合う蓄電モジュール同士を電気的に導通する導電部分(導電性プレート)と、外周に配置された絶縁部分(電池スタック用プレート)とを有する。板状部材は、電池スタック用プレートの絶縁部分が蓄電装置の外周面に位置することで、蓄電装置の周面から導電部分が露出する露出量を低減することができる。
【0004】
ところで、板厚方向に積層される複数の蓄電モジュールの板面と板状部材の板面との間には、隙間が生じることがある。そのため、従来構造では、隙間埋めを狙ったシール材が板状部材における絶縁部分の表裏面に予め塗布された後、複数の蓄電モジュールと板状部材とが積層されている。したがって、シール材を板状部材における絶縁部分の表裏面に塗布して積層体の隙間を埋めることによって、冷却板を兼ねている導電部分の冷却通路に冷却風を効率よく流したり、異物が蓄電モジュールの表面へ入ることを防いだりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2020-198211号公報
【特許文献2】特開2022-171469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来構造の板状部材では、電池スタック用プレートの表裏面にシール材を手作業で直接塗布しており、作業時間がかかるという問題があった。
【0007】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、電池スタック用プレートの表裏面にシール材を容易に設けることができる板状部材及び電池スタックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
(1) 積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される導電性プレートと、
前記導電性プレートの側縁部に嵌合するための嵌合溝が板側面に凹設された板状の絶縁ハウジングを有する電池スタック用プレートと、
前記嵌合溝の延在方向に沿うように前記絶縁ハウジングの表裏面にそれぞれ設けられたシール材供給溝と、
前記シール材供給溝と前記嵌合溝とを連通する貫通穴と、
前記嵌合溝に予め充填され、前記導電性プレートの側縁部が前記嵌合溝に嵌合された際に、前記嵌合溝から前記貫通穴及び前記シール材供給溝を経て前記絶縁ハウジングの表裏面に押し出されるシール材と、を備え、
前記複数の蓄電モジュール間に挟装される板状部材。
(2) 上記(1)に記載の板状部材を備えた電池スタック。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池スタック用プレートの表裏面にシール材を容易に設けることができる板状部材及び電池スタックを提供することができる。
【0010】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態(以下、「実施形態」という。特に、後述される第11実施形態)を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、第1実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図2図2は、図1の1A-1A断面図である。
図3図3は、図2の1B部の拡大図である。
図4図4は、電圧検知端子及び電圧用電線が収容されたハウジングと、カバーと、を示す上面図である。
図5図5は、温度検知ユニットにおける要部拡大断面図であって、図2に相当する図である。
図6図6は、ハウジングと、温度検知センサと、を示す上面図である。
図7図7は、温度検知センサの斜視図である。
図8図8は、図7の1C-1C断面図である。
図9図9は、第2実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図10図10は、図9の2A-2A断面図である。
図11図11は、図10の2B部の拡大図である。
図12図12は、電圧検知端子、電圧用電線、及び温度検知センサが収容されたハウジングと、カバーと、を示す上面図である。
図13図13は、温度検知センサの断面図であって図12の2C-2C断面図である。
図14図14は、温度検知センサが収容されたハウジングにおける図13に相当する図である。
図15図15は、温度検知センサの変形例を示す図であって、図13に相当する図である。
図16図16は、図15に示す温度検知センサの断面図であって、図12の2D-2D断面図である。
図17図17は、温度用電線の配策方法の変形例を示す図であって図12に相当する図である。
図18図18は、第3実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図19図19は、図18の3A-3A断面図である。
図20図20は、図19の3B部の拡大図である。
図21図21は、電圧検知端子及び電圧用電線が収容されたハウジングと、カバーと、を示す上面図である。
図22図22は、第4実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図23図23は、図22の4A-4A断面図である。
図24図24は、図23の4B部の拡大図である。
図25A図25Aは、電圧検知端子、電圧用電線、及び温度検知センサが収容されたハウジングと、カバーと、を示す上面図である。
図25B図25Bは、電圧検知端子及び電圧用電線が収容されたハウジングと、温度検知センサと、を示す上面図である。
図26A図26Aは、温度検知センサを有する電圧検知ユニットにおける図23に相当する図である。
図26B図26Bは、導電板におけるフランジ部の変形例を示す図であって図26Aの4C部拡大図である。
図27図27は、第5実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図28図28は、図27の5A-5A断面図である。
図29図29は、図28の5B部の拡大図である。
図30図30は、電圧検知端子が収容されたハウジングと、カバーと、を示す上面図である。
図31図31は、導電板と、温度検知センサと、を示す斜視図である。
図32図32は、第6実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図33図33は、電圧検知ユニットと、熱伝導シートと、を示す斜視図である。
図34図34は、図32の6A-6A断面図である。
図35図35は、図33の6B部の拡大図である。
図36図36は、電圧検知端子及び電圧用電線が収容されたハウジングと、カバーと、を示す上面図である。
図37図37は、温度検知ユニットにおける要部拡大断面図であって、図34に相当する図である。
図38図38は、第7実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図39図39は、図38の7A-7A断面図である。
図40図40は、図39の7B部の拡大図である。
図41図41は、電圧検知端子及び電圧用電線が収容されたハウジングと、カバーと、を示す上面図である。
図42図42は、ハウジングと、温度検知センサと、を示す斜視図である。
図43図43は、ハウジングにおける温度用電線の保持構造を示す断面図である。
図44図44は、第8実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図45図45は、図44の8A-8A断面図である。
図46図46は、図45の8B部の拡大図である。
図47図47は、図44に示す電圧検知ユニットの分解斜視図である。
図48図48は、電圧検知端子及び電線が収容されたハウジングと、カバーと、を示す上面図である。
図49図49は、電圧検知端子及び電線が収容されたハウジングと、カバーと、を示す下面図である。
図50図50は、カバーが第1仮係止位置にてハウジングに係止された状態を示す下面図である。
図51図51は、図50の8C-8C断面図である。
図52図52は、カバーが第2仮係止位置にてハウジングに係止された状態を示す下面図である。
図53図53は、図52の8D-8D断面図である。
図54図54は、カバーが本係止位置にてハウジングに係止された状態を示す下面図である。
図55図55は、図54の8E-8E断面図である。
図56図56は、第9実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図57図57は、図56の9A-9A断面図である。
図58図58は、図57の9B部の拡大図である。
図59図59は、図56に示す電圧検知ユニットの分解斜視図である。
図60図60は、カバーを下側からみた斜視図である。
図61図61は、カバーが仮係止位置にてハウジングに係止された状態を示す斜視図である。
図62図62は、カバーが仮係止位置にてハウジングに係止された状態を示す上面図である。
図63図63は、図62の9C-9C断面図である。
図64図64は、図62の9D-9D断面図である。
図65図65は、カバーが本係止位置にてハウジングに係止された状態を示す上面図である。
図66図66は、図65の9E-9E断面図である。
図67図67は、第10実施形態に係る電圧検知ユニットを含む積層型の蓄電装置を、その一部を分解して示す斜視図である。
図68図68は、図67の10A-10A断面図である。
図69図69は、図68の10B部の拡大図である。
図70図70は、図67に示す電圧検知ユニットの分解斜視図である。
図71図71は、カバー全体が開いた状態を示す上面図である。
図72図72は、カバーの仮係止状態を示す斜視図である。
図73図73は、図72の10C-10C断面図である。
図74図74は、カバーの本係止状態を示す斜視図である。
図75図75は、図74の10D-10D断面図である。
図76図76は、第11実施形態に係る電池スタックの要部分解斜視図である。
図77図77は、図76に示した第1板状部材の分解斜視図である。
図78図78は、図76に示した第2板状部材の分解斜視図である。
図79図79は、図78に示した接続端子を有する電池スタック用プレートの分解斜視図である。
図80図80は、図79に示した絶縁ハウジングの平面図である。
図81図81の(a)は図80に示した絶縁ハウジングを導電性プレートに組み付ける直前状態を示す要部拡大平面図であり、図81の(b)は図81の(a)における11A-11A断面矢視図である。
図82図82の(a)は図80に示した絶縁ハウジングを導電性プレートに組み付ける途中状態を示す要部拡大平面図であり、図82の(b)は図82の(a)における11B-11B断面矢視図である。
図83図83の(a)は図80に示した絶縁ハウジングを導電性プレートに組み付けた完了状態を示す要部拡大平面図であり、図83の(b)は図83の(a)における11C-11C断面矢視図である。
図84図84は、参考例に係る電池スタック用プレートの斜視図である。
図85図85は、第12実施形態に係る第1板状部材の斜視図である。
図86図86は、図85に示した電池用温度センサを有する電池スタック用プレートの分解斜視図である。
図87図87は、図86に示した絶縁ハウジングにサーミスタ素子を組み付ける途中状態を示す要部拡大水平断面図である。
図88図88は、図87に示した絶縁ハウジングのセンサ収容部にサーミスタ素子をポッティングした状態を示す要部拡大水平断面図である。
図89図89は、参考例に係る電池用温度センサを有する電池スタック用プレートの分解斜視図である。
図90図90は、図89に示した電池用温度センサのサーミスタケースにサーミスタ素子を組み付ける途中状態を示す水平断面図である。
図91図91は、図90に示したサーミスタケースにサーミスタ素子をポッティングした状態を示す水平断面図である。
図92図92は、図91に示した電池用温度センサを絶縁ハウジングのセンサ収容部に組み付けた完了状態を示す水平断面図である。
図93図93は、第13実施形態に係る接続端子を有する電池スタック用プレートの分解斜視図である。
図94図94は、図93に示した絶縁ハウジングの要部拡大正面図である。
図95図95は、図94に示した絶縁ハウジングの要部拡大斜視図である。
図96図96は、図93に示した絶縁ハウジングに接続端子を組み付ける途中状態を示す要部拡大斜視図である。
図97図97は、図96における13A-13A断面矢視図である。
図98図98は、図93に示した絶縁ハウジングに接続端子を組み付けた完了状態を示す要部拡大斜視図である。
図99図99は、図98における13B-13B断面矢視図である。
図100図100は、第14実施形態に係る第2板状部材の斜視図である。
図101図101は、図100に示したダミーの電池スタック用プレートにおける絶縁ハウジングが押し出し成型・切り出し加工により成形された状態を示す斜視図である。
図102図102は、図101における14A-14A断面矢視図である。
図103図103は、第15実施形態に係る接続端子を有する電池スタック用プレートの梱包輸送状態を説明する斜視図である。
図104図104は、図103に示した電池スタック用プレートの電線及びコネクタを絶縁ハウジングから取り外した状態の斜視図である。
図105図105は、図104に示した電池スタック用プレートのコネクタを絶縁ハウジングの反対側下方から視た斜視図である。
図106図106は、図103に示した電池スタック用プレートの電線収容部に収容された電線を示す水平断面図である。
図107図107は、図103における15A-15A断面矢視図である。
図108図108は、図103における15B-15B断面矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1実施形態>
第1実施形態として具体化される発明は、温度検知ユニット、及び、温度検知ユニットを備えた蓄電装置に関する。以下、図面を参照しながら、第1実施形態に係る温度検知ユニット(即ち、対向ユニット106)、及び、対向ユニット106と共に用いられる電圧検知ユニット105について、図1図8を参照して説明する。
【0013】
以下、説明の便宜上、図1等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。なお、左右方向は、「ハウジングにおける板側面が面する方向」に対応している。また、前後方向は、「交差方向」に対応している。
【0014】
電圧検知ユニット105は、典型的には、図1に示す積層型の蓄電装置101に使用される。蓄電装置101は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール102と、隣接する蓄電モジュール102の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール103と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置101では、複数の蓄電モジュール102が導電モジュール103を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール102は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール102全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0015】
導電モジュール103は、図1に示すように、矩形薄板状の導電板104(なお、導電板104は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板104の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット105と、導電板104の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット106とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図1図2に示すように、導電板104と電圧検知ユニット105とは、導電板104の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部104aと、電圧検知ユニット105の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部105aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板104と対向ユニット106とは、導電板104の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部104bと、対向ユニット106の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部106aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0016】
上下に隣接する蓄電モジュール102の間に位置する個々の導電モジュール103において、導電板104は、図2に示すように、上下の蓄電モジュール102と直接接触している。このため、導電板104は、上側の蓄電モジュール102の下面と下側の蓄電モジュール102の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール102から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0017】
上下に隣接する蓄電モジュール102の間に位置する個々の導電モジュール103において、電圧検知ユニット105は、導電板104に接触する後述する電圧検知端子110(図2等参照)を備える。電圧検知ユニット105は、この電圧検知端子110に接続された電圧用電線120(図1等参照)を介して、上下の蓄電モジュール102の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール102の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図1図3では電圧検知ユニット105が導電板104の左側に配置されているが、電圧検知ユニット105と同じ機能を有する電圧検知ユニットが導電板104の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット105と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット105の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット105のミラー品)が使用される。
【0018】
上下に隣接する蓄電モジュール102の間に位置する個々の導電モジュール103において、対向ユニット106としては、蓄電装置101の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0019】
対向ユニット106が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット106として、電圧検知ユニット105の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット105のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット105が導電板104の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット105のミラー品が導電板104の右側に配置される。対向ユニット106(電圧検知ユニット105のミラー品)は、電圧検知ユニット105と同じ機能を果たす。
【0020】
対向ユニット106がダミーユニットである場合、対向ユニット106として、図1に示すように、前後方向に延びる凹部106aを有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット106は、上下の蓄電モジュール102の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0021】
対向ユニット106が温度検知ユニットである場合、対向ユニット106として、図1に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度検知センサ107(サーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される(これについては後述する)。この場合、対向ユニット106は、温度検知センサ107に接続された温度用電線107b(図1参照)を介して、上下の蓄電モジュール102の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0022】
以下、第1実施形態に係る電圧検知ユニット105の具体的な構成について説明する。電圧検知ユニット105は、図4に示すように、ハウジング140と、ハウジング140に収容される電圧検知端子110と、電圧検知端子110に接続され且つハウジング140に収容される電圧用電線120と、ハウジング140に装着されるカバー130と、を備える。
【0023】
電圧検知端子110は、ハウジング140に形成された端子収容凹部(符号省略)に収容され、電圧用電線120は、ハウジング140に形成された後述する電線収容凹部146(図4参照)に収容され、カバー130は、ハウジング140に形成された後述するカバー装着凹部141(図4参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット105を構成する各部材について順に説明する。
【0024】
まず、電圧検知端子110について説明する。金属製の電圧検知端子110は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子110は、上方から、ハウジング140の端子収容凹部に収容される。電圧検知端子110は、図4に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分111と、第1部分111の前端部から右方に延びる矩形平板状の第2部分112と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0025】
第1部分111の先端部111a(即ち、後端側の端部)の下面には、電圧用電線120の一端部が電気的に接続されるように固定される。電圧用電線120の他端部は、蓄電装置101の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。第2部分112の先端部112a(即ち、右端側の端部)の下面には、導電板104のフランジ部104aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(図3参照)。
【0026】
第2部分112の前端縁には、前方に突出する突起部113が形成されている。電圧検知端子110のハウジング140への収容時、突起部113は、ハウジング140に形成された係止溝145(図4参照)に係止されることになる。
【0027】
次いで、カバー130について説明する。カバー130は、樹脂成形品であり、左方から、ハウジング140のカバー装着凹部141に装着される。カバー130は、対向部131と、対向部131から後方に延びる延出部132と、で構成される。対向部131は、主として電圧検知端子110を覆って保護する機能を果たし、延出部132は、主として電圧用電線120を覆って保護する機能を果たす。
【0028】
対向部131は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の同形の平板部133と、一対の平板部133の前後方向に延びる左端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部134と、で構成される。対向部131は、前後方向からみて、右方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部133は、連結部134から繋がる略正方形の平板状の基部133aと、基部133aの前端部から右方に延びる矩形平板状の延出部133bと、から構成され、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有している。延出部132は、対向部131を構成する一対の平板部133のうち上側の平板部133(より具体的には、上側の基部133a)の後端縁から面一で連続して後方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。
【0029】
延出部132には、左右方向に延びる一対の電線保持片135が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片135は、延出部132の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部132の左端縁から更に右方に向けて突出している。カバー130のハウジング140への装着時、電線保持片135は、ハウジング140に収容された電圧用電線120を保持する機能を果たす。
【0030】
対向部131を構成する一対の平板部133のうち下側の平板部133(より具体的には、下側の基部133a)の所定箇所には、上側の平板部133に向けて上方に突出する係止部(図示省略)が形成されている。この係止部は、ハウジング140に設けられた仮被係止部(図示省略)及び本被係止部(図示省略)との協働により、カバー130を、仮係止位置と、本係止位置と、に係止する機能を果たす。
【0031】
次いで、ハウジング140について説明する。ハウジング140は、樹脂成形品であり、図1等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング140の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部105aが形成されている。凹部105aには、導電板104のフランジ部104aが嵌合されることになる(図2及び図3等参照)。
【0032】
ハウジング140の上下面におけるカバー130が装着される箇所には、カバー130の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部141が形成されている(図4参照)。カバー装着凹部141の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー130(対向部131+延出部132)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー130のハウジング140への装着時、ハウジング140の表面とカバー130の表面とは、面一になる(図1参照)。
【0033】
ハウジング140の上面側のカバー装着凹部141の底面141aにおける電圧検知端子110が収容される箇所には、電圧検知端子110の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部が形成されている。端子収容凹部の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子110の板厚と等しい。よって、電圧検知端子110のハウジング140への装着時、電圧検知端子110の上面と、カバー装着凹部141の底面141aとは、面一になる。
【0034】
ハウジング140の右端縁における、電圧検知端子110の先端部112aが配置される前後方向位置には、左方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き143が形成されている。ハウジング140の右側端面にて前後方向に延びる凹部105aは、切欠き143によって分断されている。電圧検知端子110のハウジング140への収容時、電圧検知端子110の先端部112aの上下面が、切欠き143によって露出することになる。
【0035】
端子収容凹部における電圧検知端子110の先端部111aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔144が形成されている。電圧検知端子110のハウジング140への収容時、貫通孔144には、電圧検知端子110に接続された電圧用電線120の一端部(接点)が進入する。換言すれば、貫通孔144は、端子収容凹部の底面と電圧用電線120の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0036】
端子収容凹部における、電圧検知端子110の突起部113(図4参照)が配置される箇所の内壁面には、突起部113に対応して、前方へ窪み且つ凹部105aと連通する係止溝145が形成されている(図4参照)。
【0037】
ハウジング140の上面における電圧用電線120が収容される箇所には、電圧用電線120が収容される際の電圧用電線120の配索形態に対応する形状を有して窪む電線収容凹部146が形成されている(図4参照)。電線収容凹部146は、前後方向に一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部147と、一対のストレート部147を繋ぐと共に左方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部148と、で構成される一連の溝部である。電線収容凹部146(一対のストレート部147+屈曲部148)における、右側の溝側壁(左方を向いた壁)及び左側の溝側壁(右方を向いた壁)の各々は、電線収容凹部146の溝底壁から上下方向に平行に上方に向けて延びている。
【0038】
一対のストレート部147のうち前側のストレート部147の前端は、端子収容凹部と連通し、一対のストレート部147のうち後側のストレート部147の後端は、ハウジング140の後端縁から電圧用電線120が延出する電線引出口149を構成している。このように、電線収容凹部146が屈曲部148を有することで、電線収容凹部146がストレート部147のみで構成される場合に比べ、ハウジング140から引き出された電圧用電線120に意図しない外力が及んでも、屈曲部148と電圧用電線120との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子110と電圧用電線120との接点に大きな外力が及び難い。
【0039】
一対のストレート部147における屈曲部148との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部147より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部151が設けられている。幅狭凹部151の幅は、電圧用電線120の外径より僅かに小さい。このため、電圧用電線120を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部151に電圧用電線120を挟持することで、ハウジング140から引き出された電圧用電線120に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部151と電圧用電線120との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子110と電圧用電線120との接点に大きな外力が及び難い。更には、屈曲部148から電圧用電線120が抜け出して屈曲部148をまたぐ(即ち、屈曲部148をショートカットする)ように電圧用電線120が配索されることを、強力に抑制することができる。
【0040】
ハウジング140の上面側のカバー装着凹部141の底面141aにおける、カバー130の一対の電線保持片135が配置される箇所には、図4に示すように、一対の電線保持片135に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部152が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部152は、電線収容凹部146の屈曲部148の屈曲頂点148a(図4参照)を前後方向に挟むように、配置されている。一対の電線保持片凹部152の底面は、電線収容凹部146の底面より上側に位置している。
【0041】
各電線保持片凹部152は、ハウジング140の上面の右端縁から、電線収容凹部146を横断して、カバー装着凹部141の右端内壁141b(図4参照)まで、左右方向に延びている。カバー装着凹部141の右端内壁141bにおける一対の電線保持片凹部152が接続する箇所には、それぞれ、右方に向けて窪む格納穴153が形成されている(図4参照)。カバー130のハウジング140への装着時、一対の格納穴153には、カバー130の一対の電線保持片135の延出端部(即ち、右側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0042】
ハウジング140の下面側のカバー装着凹部141の底面141aにおける、カバー130の上記係止部が配置される箇所と同じ前後方向位置には、上方に向けて窪む凹部である、仮被係止部及び本被係止部が、この順に、左から右に間隔を空けて並ぶように形成されている。以上、電圧検知ユニット105を構成する各部材について説明した。
【0043】
次いで、電圧検知端子110及びカバー130をハウジング140へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電圧用電線120があらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された電圧検知端子110を、ハウジング140の端子収容凹部に収容する。このため、突起部113が係止溝145に進入し且つ電圧用電線120の一端部(接点)が貫通孔144に進入するように、電圧検知端子110が、上方から、ハウジング140の端子収容凹部に嵌め込まれる。電圧検知端子110のハウジング140への収容が完了した状態では、電圧検知端子110の先端部112aの上下面が、切欠き143によって露出している。
【0044】
次いで、ハウジング140に収容された電圧検知端子110から延びる電圧用電線120を、ハウジング140の電線収容凹部146(一対のストレート部147+屈曲部148)に収容する。このため、電圧用電線120が、上方から、一対のストレート部147及び屈曲部148から構成される電線収容凹部146に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部151の上部に位置する電圧用電線120の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電圧用電線120の一対の部分が一対の幅狭凹部151の内部に収容される。電圧用電線120のハウジング140への収容が完了した状態では、電圧用電線120は、電線引出口149から後方へ向けてハウジング140の外部に延出している。
【0045】
次いで、カバー130をハウジング140に装着する。このため、カバー130の対向部131がハウジング140の上下面のカバー装着凹部141を上下に挟むように、且つ、カバー130の延出部132がハウジング140の上面側のカバー装着凹部141を覆うように、且つ、カバー130の一対の電線保持片135がハウジング140の一対の電線保持片凹部152に収容されるように、カバー130が、左方から、ハウジング140のカバー装着凹部141に装着される。
【0046】
カバー130がハウジング140に装着される過程において、カバー130の上記係止部は、まず、ハウジング140に摺動しながら、仮被係止部の内部に進入して仮被係止部と係合すると共に仮被係止部の右側の側面に押し当てられる。これにより、カバー130が仮係止位置にてハウジング140に係止されて、カバー130のハウジング140への装着が完了し、電圧検知ユニット105が得られる。なお、後述するように、カバー130のハウジング140への装着が完了して(カバー130が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット105は、導電モジュール103(図1参照)の組み立てに供されることになる。
【0047】
カバー130が仮係止位置に係止された状態では、カバー130の対向部131(より具体的には、上下一対の延出部133b)が、電圧検知端子110の先端部112aを覆っていない。このため、電圧検知端子110の先端部112aの上下面が、なおも切欠き143によって露出している。
【0048】
更に、カバー130の一対の電線保持片135が電線収容凹部146のストレート部147及び屈曲部148の一部の開口上に配置される。これにより、電圧用電線120が電線収容凹部146から抜け出すことが抑制される。更に、一対の電線保持片135の延出端部が一対の格納穴153に受け入れられている。これにより、一対の電線保持片135の位置ズレや一対の電線保持片135が電線収容凹部146から離れるような意図しない変形を抑制できる。更に、カバー130の延出部132が電線収容凹部146の屈曲部148の屈曲頂点148aの開口上に配置される。これにより、電線収容凹部146から電圧用電線120が抜け出して屈曲部148をまたぐ(即ち、屈曲部148をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電圧用電線120が電線収容凹部146の屈曲部148から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0049】
カバー130が仮係止位置に係止された状態にて、ハウジング140に対してカバー130を更に左方に押し込むと、カバー130の一対の電線保持片135の延出端部が一対の格納穴153内に更に進入して格納されると共に、カバー130の上記係止部が、仮被係止部を乗り越え、その後、本被係止部の内部に進入して本被係止部と係合する。これにより、カバー130が本係止位置にてハウジング140に係止される。
【0050】
カバー130が本係止位置に係止された状態では、カバー装着凹部141の全域がカバー130によって覆われることで、電線収容凹部146の全体がカバー130の延出部132によって覆われている。これにより、電線収容凹部146から電圧用電線120が抜け出すことが抑制される。更に、カバー130の対向部131(より具体的には、上下一対の延出部133b)が、電圧検知端子110の先端部112aの上下面を覆っている。これにより、電圧検知端子110の全体がカバー130の対向部131によって覆われるので、電圧検知端子110が確実に保護され得る。
【0051】
以下、第1実施形態に係る対向ユニット106が温度検知ユニットである場合の具体的な構成について説明する。対向ユニット106は、図1に示すように、ハウジング160と、ハウジング160に収容される温度検知センサ107と、温度検知センサ107に接続される温度用電線107bと、を備える。温度検知センサ107は、ハウジング160に形成された後述するセンサ収容凹部161(図5及び図6参照)に収容される。以下、温度検知ユニットである対向ユニット106を構成する各部材について順に説明する。
【0052】
まず、ハウジング160について説明する。ハウジング160は、樹脂成形品であり、図1等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング160の左側端面には、右方に窪み且つ前後方向に延びる凹部106aが形成されている。凹部106aには、導電板104のフランジ部104bが嵌合されることになる(図5参照)。
【0053】
ハウジング160の後側端面の左右方向中央部には、温度検知センサ107の筐体170の全体形状に対応して、前方左側に向けて斜めに(顕現すれば、後方から前方に向かうにつれて導電板104に近付くように)延びて直方体状に窪む、センサ収容凹部161が形成されている(図6参照)。センサ収容凹部161は、上下方向に貫通している。したがって、センサ収容凹部161は、後方に向けて開口する第1開口部161aと、上下両方向に向けて開口する第2開口部161bとを有している(図6参照)
【0054】
センサ収容凹部161の左右方向に対向する一対の内壁面には、左右方向内側(互いに近づく側)に突出し且つ前後方向に延びる複数の突条部162(162a,162b)が形成されている(図6参照)。これら突条部162は、温度検知センサ107の後述する一対の溝部171(図5参照)に挿入されることになる。
【0055】
次いで、温度検知センサ107について説明する。温度検知センサ107は、典型的には、サーミスタである。温度検知センサ107は、前後方向に延びる直方体状の筐体170を有しており、その筐体170に設けられた素子収容部172にセンサ素子107a(図5及び図8参照)が収容され、筐体170の後端から後方に向けてセンサ素子107aに接続された温度用電線107bが延びている。温度検知センサ107は、後方から、ハウジング160のセンサ収容凹部161に収容される。温度用電線107bの延出端部は、蓄電装置101の外部において、温度計測装置(図示省略)に接続されることになる。
【0056】
筐体170の前後方向に延びる一対の左右側端面には、センサ収容凹部161の一対の突条部162に対応して、前後方向に貫通する一対の溝部171(171a,171b)が形成されている(図5及び図7図8参照)。左側の溝部171bは凹部106aと前後方向に連通するように形成され、左側の溝部171bには、導電板104のフランジ部104bが嵌合されることになる(図5参照)。
【0057】
筐体170の上下方向の厚さは、略矩形薄板状のハウジング160の板厚と等しい。よって、温度検知センサ107のハウジング160への装着時、ハウジング160の表面と温度検知センサ107の表面とは、面一になる(図5参照)。
【0058】
左側の溝部171bの底面における前端部(即ち、素子収容部172の前側左角部)には、後方から前方に向かうにつれて右側に傾斜する傾斜部170a(図8参照)が形成されている。換言すれば、傾斜部170aは、素子収容部172の前側左角部が面取り(いわゆるC面取り)された形状である。よって、温度検知センサ107のセンサ収容凹部161への装着時、傾斜部170aは前後方向に沿って延びることになる。また、センサ素子107aにおいても傾斜部170aに対応して前側左角部に傾斜部107aaが形成されている(図8参照)。以上、温度検知ユニットである対向ユニット106を構成する各部材について説明した。
【0059】
次いで、温度検知センサ107をハウジング160へ組み付ける際の手順について説明する。温度検知センサ107をハウジング160に装着するため、温度検知センサ107の筐体170に設けられた一対の溝部171にセンサ収容凹部161に設けられた一対の突条部162が挿入されるように、温度検知センサ107が、後方から、ハウジング160のセンサ収容凹部161に挿入される。温度検知センサ107のハウジング160への装着が完了した状態では、温度用電線107bは、センサ収容凹部161の第1開口部161aから後方へ向けて、ハウジング160の外部に延出している(図1参照)。筐体170の上下面(平面)は、センサ収容凹部161の上下の第2開口部161bから外部に露出している(図5参照)。また、温度検知センサ107のハウジング160への装着が完了した状態では、凹部106aと左側の溝部171bとが前後方向に連通している(図5参照)。
【0060】
次いで、導電モジュール103及び蓄電装置101(図1参照)の組み立てについて説明する。上述したように、カバー130のハウジング140への装着が完了して(カバー130が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット105は、導電モジュール103(図1参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、導電板104のフランジ部104aと電圧検知ユニット105の凹部105aとが嵌合されることで、導電板104の左側に電圧検知ユニット105が連結される。
【0061】
この状態では、導電板104のフランジ部104aの一部が電圧検知端子110の先端部112aの下側に重なるように配置されており(図3参照)、ハウジング140の切欠き143の存在に起因して、電圧検知端子110の先端部112aの上面が上方に露出し、且つ、導電板104のフランジ部104aの一部の下面が下方に露出している。
【0062】
次いで、上方に露出する電圧検知端子110の先端部112aの上面と、下方に露出する導電板104のフランジ部104aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子110の先端部112aと導電板104のフランジ部104aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー130が仮係止位置から本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット105と導電板104との組み付けが完了する。
【0063】
次いで、導電板104のフランジ部104bと対向ユニット106の凹部106a及び温度検知センサ107の溝部171bとが嵌合されることで(図5参照)、電圧検知ユニット105が組み付けられた導電板104の右側に対向ユニット106が連結される(図2等参照)。これにより、導電モジュール103の組み立てが完了する。
【0064】
このようにして得られた導電モジュール103は、図1に示す蓄電装置101の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール102と導電モジュール103とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置101が得られる。
【0065】
第1実施形態によれば、センサ収容凹部161が、後側から前側に向けて導電板104に近付くように斜めに延びる。これにより、温度検知センサ107の前端部(即ち、傾斜部170a)が、従来に比べて、導電板104の近くに配置されることになる。即ち、第1実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサ107が熱源(特に蓄電モジュール102(導電板104)の中心部)に近付くため測温性能に優れる。
【0066】
更に、第1実施形態によれば、ハウジング160の凹部106aと連通して導電板104のフランジ部104bに嵌合する溝部171bが筐体170に設けられている。これにより、導電板104(フランジ部104b)が温度検知センサ107に直接積層される。即ち、第1実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサ107への伝熱性が上がるため測温性能に優れる。
【0067】
更に、第1実施形態によれば、筐体170に傾斜部170aが設けられ且つセンサ素子107aに傾斜部107aaが設けられて、これら傾斜部170a,107aaが、対向ユニット106(温度検知ユニット)の導電板104への連結時、フランジ部104bと略平行になるように延びる。これにより、センサ素子107aにおけるフランジ部104bとの対向面積が増大するため、従来に比べて、測温性能に優れる。
【0068】
なお、第1実施形態として具体化される発明は、第1実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第1実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第1実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0069】
ここで、上述した温度検知ユニット、及び、蓄電装置の実施形態の特徴をそれぞれ以下[1-1]~[1-4]に簡潔に纏めて列記する。
【0070】
[1-1]
積層される複数の蓄電モジュール(102)間にそれぞれ配置される導電板(104)の側縁部(フランジ部104b)に嵌合することになる凹部(106a)が板側面(左側端面)に設けられた板状のハウジング(160)と、
前記ハウジング(160)に装着されて前記蓄電モジュール(102)を測温する温度検知センサ(107)と、
を備えた温度検知ユニット(対向ユニット106)であって、
前記ハウジング(160)には、前記温度検知センサ(107)が収容されるセンサ収容凹部(161)が設けられ、
前記ハウジング(160)における前記板側面が面する方向(左右方向)との交差方向(前後方向)に面する一方側の板端面(後側端面)には、前記温度検知センサ(107)に接続される温度用電線(107b)を外部に向けて延ばすための開口部(第1開口部161a)が設けられ、
前記センサ収容凹部(161)は、
前記交差方向の前記一方側(後側)から他方側(前側)に向けて前記導電板(104)に近付くように斜めに延びる、
温度検知ユニット(対向ユニット106)。
【0071】
上記[1-1]の構成によれば、温度検知センサが収容されるセンサ収容凹部が、交差方向の一方側から他方側に向けて導電板に近付くように斜めに延びる。これにより、温度検知センサの交差方向の他端部が、従来に比べて、導電板の近くに配置されることになる。即ち、上記構成によれば、従来に比べて、温度検知センサが熱源(特に、蓄電モジュール(導電板)の中心部)に近付くため測温性能に優れる。
【0072】
[1-2]
上記[1-1]に記載の温度検知ユニット(対向ユニット106)であって、
前記温度検知センサ(107)は、
前記温度用電線(107b)が接続されるセンサ素子(107a)と、
前記センサ素子(107a)が収容される素子収容部(172)、及び、前記凹部(106a)と連通して前記側縁部(フランジ部104b)に嵌合することになる溝部(171b)が設けられた筐体(170)と、を有する、
温度検知ユニット(対向ユニット106)。
【0073】
上記[1-2]の構成によれば、センサ素子が収容される素子収容部が設けられた筐体に、ハウジングの凹部と連通して導電板の側縁部に嵌合することになる溝部が設けられている。これにより、導電板(側縁部)が温度検知センサに直接積層される。即ち、上記構成によれば、従来に比べて、温度検知センサに伝熱し易くなるため測温性能に優れる。
【0074】
[1-3]
上記[1-2]に記載の温度検知ユニット(対向ユニット106)であって、
前記溝部(171)の底面における前記他方側の端部であって前記素子収容部(172)の前記他方側の角部には、前記一方側から前記他方側に向けて前記導電板(104)から遠ざかるように斜めに延びる第1傾斜部(傾斜部170a)が設けられ、
前記第1傾斜部(傾斜部170a)は、
当該温度検知ユニット(対向ユニット106)の前記導電板(104)への連結時、前記側縁部(フランジ部104b)と略平行になるように延び、
前記センサ素子(107a)の前記他方側の角部には、前記第1傾斜部(傾斜部170a)に対応して、第2傾斜部(傾斜部107aa)が設けられる、
温度検知ユニット(対向ユニット106)。
【0075】
上記[1-3]の構成によれば、筐体に第1傾斜部が設けられ且つセンサ素子に第2傾斜部が設けられて、第1傾斜部及び第2傾斜部が、温度検知ユニットの導電板への連結時、側縁部と略平行になるように延びる。これにより、センサ素子における側縁部との対向面積が増大するため、従来に比べて、測温性能に優れる。
【0076】
[1-4]
上記[1-1]から上記[1-3]の何れか一つに記載の温度検知ユニット(対向ユニット106)及び前記導電板(104)を有する導電モジュール(103)と、前記蓄電モジュール(102)と、を備えた蓄電装置(101)。
【0077】
上記[1-4]の構成によれば、上記[1-1]と同様の効果を奏する。
【0078】
<第2実施形態>
第2実施形態として具体化される発明は、電圧検知ユニットに関する。以下、図面を参照しながら、第2実施形態に係る電圧検知ユニット205について、図9図17を参照して説明する。
【0079】
第2実施形態に係る電圧検知ユニットは、下記を特徴としている。
積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される導電板の側縁部に嵌合することになる凹部が板側面に設けられた板状のハウジングと、
前記ハウジングに収容されて前記蓄電モジュールに導通接続されることになる電圧検知端子と、
前記ハウジングに装着されて前記蓄電モジュールを測温する温度検知センサと、
を備えた電圧検知ユニットであって、
前記ハウジングには、前記温度検知センサが組み付けられるセンサ組付部と、前記センサ組付部に連通して前記電圧検知端子が収容される端子収容凹部と、が設けられ、
前記温度検知センサは、
センサ素子と、
前記センサ素子に接続される集熱板と、
前記電圧検知端子の前記端子収容凹部への収容完了状態において、前記電圧検知端子の一部を前記集熱板に押し付ける押付部と、を有する、
電圧検知ユニット。
【0080】
第2実施形態よれば、電圧検知端子の端子収容凹部への収容完了状態において、電圧検知端子の一部が、押付部によって、センサ素子に接続された集熱板に押し付けられることになる。これにより、蓄電モジュールから発する熱が、電圧検知端子及び集熱板を介して温度検知センサに伝わる。即ち、第2実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサへの伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
【0081】
以下、説明の便宜上、図9等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0082】
電圧検知ユニット205は、典型的には、図9に示す積層型の蓄電装置201に使用される。蓄電装置201は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール202と、隣接する蓄電モジュール202の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール203と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置201では、複数の蓄電モジュール202が導電モジュール203を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール202は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール202全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0083】
導電モジュール203は、図9に示すように、矩形薄板状の導電板204(なお、導電板204は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板204の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット205と、導電板204の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット206とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図9図10に示すように、導電板204と電圧検知ユニット205とは、導電板204の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部204aと、電圧検知ユニット205の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部205aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板204と対向ユニット206とは、導電板204の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部204bと、対向ユニット206の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部206aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0084】
上下に隣接する蓄電モジュール202の間に位置する個々の導電モジュール203において、導電板204は、図10に示すように、上下の蓄電モジュール202と直接接触している。このため、導電板204は、上側の蓄電モジュール202の下面と下側の蓄電モジュール202の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール202から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0085】
上下に隣接する蓄電モジュール202の間に位置する個々の導電モジュール203において、電圧検知ユニット205は、導電板204に接触する後述する電圧検知端子210(図10等参照)を備える。電圧検知ユニット205は、この電圧検知端子210に接続された電圧用電線220(図9等参照)を介して、上下の蓄電モジュール202の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール202の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図9図11では電圧検知ユニット205が導電板204の左側に配置されているが、電圧検知ユニット205と同じ機能を有する電圧検知ユニットが導電板204の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット205と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット205の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット205のミラー品)が使用される。
【0086】
上下に隣接する蓄電モジュール202の間に位置する個々の導電モジュール203において、対向ユニット206としては、蓄電装置201の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0087】
対向ユニット206が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット206として、電圧検知ユニット205の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット205のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット205が導電板204の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット205のミラー品が導電板204の右側に配置される。対向ユニット206(電圧検知ユニット205のミラー品)は、電圧検知ユニット205と同じ機能を果たす。
【0088】
対向ユニット206がダミーユニットである場合、対向ユニット206として、図9に示すように、前後方向に延びる凹部206aを有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット206は、上下の蓄電モジュール202の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0089】
対向ユニット206が温度検知ユニットである場合、対向ユニット206として、図9に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度検知センサ(サーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される。この場合、対向ユニット206は、温度検知センサに接続された温度用電線を介して、上下の蓄電モジュール202の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0090】
以下、第2実施形態に係る電圧検知ユニット205の具体的な構成について説明する。電圧検知ユニット205は、図12に示すように、ハウジング240と、ハウジング240に収容される電圧検知端子210と、電圧検知端子210に接続され且つハウジング240に収容される電圧用電線220と、ハウジング240に組み付けられて電圧検知端子210に接続される温度検知センサ207と、温度検知センサ207のセンサ素子207aに接続され且つハウジング240に収容される温度用電線207bと、ハウジング240に装着されるカバー230と、を備える。
【0091】
電圧検知端子210は、ハウジング240に形成された端子収容凹部(符号省略)に収容され、電圧用電線220は、ハウジング240に形成された後述する電圧用電線収容凹部246(図12参照)に収容され、温度検知センサ207は、ハウジング240に形成された後述するセンサ組付部256(図12参照)に組み付けられ、温度用電線207bは、ハウジング240に形成された後述する温度用電線収容凹部254(図12参照)に収容され、カバー230は、ハウジング240に形成された後述するカバー装着凹部241(図12参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット205を構成する各部材について順に説明する。
【0092】
まず、電圧検知端子210について説明する。金属製の電圧検知端子210は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子210は、上方から、ハウジング240の端子収容凹部に収容される。電圧検知端子210は、図12に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分211と、第1部分211の前端部から右方に延びる矩形平板状の第2部分212と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0093】
第1部分211の先端部211a(即ち、後端側の端部)の下面には、電圧用電線220の一端部が、電気的に接続されるように固定される。電圧用電線220の他端部は、蓄電装置201の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。
【0094】
第2部分212の前端縁には、前方に突出する突起部213が形成されている。電圧検知端子210のハウジング240への収容時、突起部213は、ハウジング240に組み付けられた温度検知センサ207の後述する第2箱部272に挿入され、圧入突起274及び集熱板207c間に圧入されることになる(図14参照)。
【0095】
次いで、カバー230について説明する。カバー230は、樹脂成形品であり、左方から、ハウジング240のカバー装着凹部241に装着される。カバー230は、対向部231と、対向部231から後方に延びる延出部232と、で構成される。対向部231は、主として電圧検知端子210を覆って保護する機能を果たし、延出部232は、主として電圧用電線220を覆って保護する機能を果たす。
【0096】
対向部231は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の同形の平板部233と、一対の平板部233の前後方向に延びる左端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部234と、で構成される。対向部231は、前後方向からみて、右方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部233は、連結部234から繋がる略正方形の平板状の基部233aと、基部233aの前端部から右方に延びる矩形平板状の延出部233bと、から構成され、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有している。延出部232は、対向部231を構成する一対の平板部233のうち上側の平板部233(より具体的には、上側の基部233a)の後端縁から面一で連続して後方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。
【0097】
延出部232には、左右方向に延びる一対の電線保持片235が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片235は、延出部232の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部232の左端縁から更に右方に向けて突出している。カバー230のハウジング240への装着時、電線保持片235は、ハウジング240に収容された電圧用電線220及び温度用電線207bを保持する機能を果たす。
【0098】
対向部231を構成する一対の平板部233のうち下側の平板部233(より具体的には、下側の基部233a)の所定箇所には、上側の平板部233に向けて上方に突出する係止部(図示省略)が形成されている。この係止部は、ハウジング240に設けられた仮被係止部(図示省略)及び本被係止部(図示省略)との協働により、カバー230を、仮係止位置と、本係止位置と、に係止する機能を果たす。
【0099】
次いで、ハウジング240について説明する。ハウジング240は、樹脂成形品であり、図9等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング240の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部205aが形成されている。凹部205aには、導電板204のフランジ部204aが嵌合されることになる(図10等参照)。
【0100】
ハウジング240の上下面におけるカバー230が装着される箇所には、カバー230の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部241が形成されている(図12参照)。カバー装着凹部241の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー230(対向部231+延出部232)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー230のハウジング240への装着時、ハウジング240の表面とカバー230の表面とは、面一になる(図9参照)。
【0101】
ハウジング240の上面側のカバー装着凹部241の底面241aにおける電圧検知端子210が収容される箇所には、電圧検知端子210の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部が形成されている(図12参照)。端子収容凹部の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子210の板厚と等しい。よって、電圧検知端子210のハウジング240への装着時、電圧検知端子210の上面と、カバー装着凹部241の底面241aとは、面一になる。
【0102】
ハウジング240の右端縁における、電圧検知端子210の先端部212aが配置される前後方向位置には、左方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き243が形成されている。ハウジング240の左側端面にて前後方向に延びる凹部205aは、切欠き243によって分断されている。電圧検知端子210のハウジング240への収容時、電圧検知端子210の先端部212aの上下面が、切欠き243によって露出することになる。
【0103】
端子収容凹部における電圧検知端子210の先端部211aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔244が形成されている。電圧検知端子210のハウジング240への収容時、貫通孔244には、電圧検知端子210に接続された電圧用電線220の一端部(接点)が進入する。換言すれば、貫通孔244は、端子収容凹部の底面と電圧用電線220の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0104】
ハウジング240の左端縁における、温度検知センサ207が配置される前後方向位置には、温度検知センサ207の全体形状に対応する形状を有し且つ上下方向からみて略矩形状になるように右方に窪むセンサ組付部256が形成されている(図12参照)。センサ組付部256は、凹部205a及び端子収容凹部と連通して形成される。
【0105】
ハウジング240の上面における電圧用電線220が収容される箇所には、電圧用電線220が収容される際の電圧用電線220の配索形態に対応する形状を有して窪む電圧用電線収容凹部246が形成されている(図12参照)。電圧用電線収容凹部246は、前後方向に延びる一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部247と、一対のストレート部247を繋ぐと共に左方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部248と、で構成される一連の溝部である。電圧用電線収容凹部246(一対のストレート部247+屈曲部248)における、右側の溝側壁(左方を向いた壁)及び左側の溝側壁(右方を向いた壁)の各々は、電圧用電線収容凹部246の溝底壁から上下方向に平行に上方に向けて延びている。
【0106】
一対のストレート部247のうち前側のストレート部247の前端は、端子収容凹部と連通し、一対のストレート部247のうち後側のストレート部247の後端は、ハウジング240の後端縁から電圧用電線220が延出する電線引出口249を構成している。このように、電圧用電線収容凹部246が屈曲部248を有することで、電圧用電線収容凹部246がストレート部247のみで構成される場合に比べ、ハウジング240から引き出された電圧用電線220に意図しない外力が及んでも、屈曲部248と電圧用電線220との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子210と電圧用電線220との接点に大きな外力が及び難い。
【0107】
一対のストレート部247における屈曲部248との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部247より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部251が設けられている。幅狭凹部251の幅は、電圧用電線220の外径より僅かに小さい。このため、電圧用電線220を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部251に電圧用電線220を挟持することで、ハウジング240から引き出された電圧用電線220に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部251と電圧用電線220との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子210と電圧用電線220との接点に大きな外力が及び難い。更には、屈曲部248から電圧用電線220が抜け出して屈曲部248をまたぐ(即ち、屈曲部248をショートカットする)ように電圧用電線220が配索されることを、強力に抑制することができる。
【0108】
センサ組付部256よりも後側領域において、ハウジング240の上面における温度用電線207bが収容される箇所には、温度用電線207bが収容される際の温度用電線207bの配索形態に対応する形状を有して窪む温度用電線収容凹部254aが形成されている(図12参照)。温度用電線収容凹部254aは、電圧用電線収容凹部246の左側に位置して前後方向に延びる溝部である。温度用電線収容凹部254aにおける、右側の溝側壁(左方を向いた壁)及び左側の溝側壁(右方を向いた壁)の各々は、温度用電線収容凹部254の溝底壁から上下方向に平行に上方に向けて延びている。
【0109】
温度用電線収容凹部254aには、当該温度用電線収容凹部254aより幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である複数の幅狭凹部255が設けられている。幅狭凹部255の幅は、温度用電線207bの外径より僅かに小さい。このため、温度用電線207bを左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。
【0110】
更に、センサ組付部256よりも前側領域において、ハウジング240の左側端面には、右方に窪み且つ前後方向に延びる温度用電線収容凹部254bが形成されている(図12及び図17参照)。温度用電線収容凹部254bの上下方向に対向する一対の内壁面には、上下方向内側(互いに近づく側)に突出し且つ前後方向に延びる保持リブが形成されていてもよい。
【0111】
ハウジング240の上面側のカバー装着凹部241の底面241aにおける、カバー230の一対の電線保持片235が配置される箇所には、図12に示すように、一対の電線保持片235に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部252が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部252は、電圧用電線収容凹部246の屈曲部248の屈曲頂点248a(図12参照)を前後方向に挟むように、配置されている。一対の電線保持片凹部252の底面は、電圧用電線収容凹部246及び温度用電線収容凹部254aの底面より上側に位置している。
【0112】
各電線保持片凹部252は、ハウジング240の上面の右端縁から、電圧用電線収容凹部246及び温度用電線収容凹部254aを横断して、カバー装着凹部241の右端内壁241b(図12参照)まで、左右方向に延びている。カバー装着凹部241の右端内壁241bにおける一対の電線保持片凹部252が接続する箇所には、それぞれ、右方に向けて窪む格納穴253が形成されている(図12参照)。カバー230のハウジング240への装着時、一対の格納穴253には、カバー230の一対の電線保持片235の延出端部(即ち、右側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0113】
ハウジング240の下面側のカバー装着凹部241の底面241aにおける、カバー230の上記係止部が配置される箇所と同じ前後方向位置には、上方に向けて窪む凹部である、仮被係止部及び本被係止部が、この順に、左から右に間隔を空けて並ぶように形成されている。
【0114】
次いで、温度検知センサ207について説明する。温度検知センサ207は、典型的には、サーミスタである。温度検知センサ207は、図13に示すように、左右方向に延びる直方体状の筐体270を有している。筐体270は、センサ素子207aが収容される第1箱部271と、第1箱部271の右端壁の上側領域から右方に突出する第2箱部272と、が一体に構成されている。第2箱部272は、第1箱部271よりも上下方向の厚さが小さく、後方に開口して形成される。第2箱部272の下側内壁には、センサ素子207aと接触するように(又は接続されるように)集熱板207cが載置され、第2箱部の上側内壁273には、下方に突出する圧入突起274が形成されている。筐体270(具体的には、第1箱部271)の左側領域における前後側端面には、前後方向に貫通する温度用電線挿通口275が形成されており、温度用電線挿通口275から前方(図12参照)又は後方(図17参照)に向けてセンサ素子207aに接続された温度用電線207bが延びている(図12参照)。温度検知センサ207は、左方から、ハウジング240のセンサ組付部256に組み付けられる。温度用電線207bの延出端部は、蓄電装置201の外部において、温度計測装置(図示省略)に接続されることになる。以上、電圧検知ユニット205を構成する各部材について説明した。
【0115】
次いで、電圧検知端子210及びカバー230をハウジング240へ組み付ける際の手順について説明する。まず、センサ組付部256に左方から温度検知センサ207を組み付ける。そして、センサ素子207aにあらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された温度用電線207bを温度用電線収容凹部254a又は254bに嵌め込まれる(図12及び図17参照)。温度用電線207bのハウジング240への収容が完了した状態では、温度用電線207bは、前方又は後方へ向けてハウジング240の外部に延出している。温度用電線207bの引出方向は、適宜決定されるものである。
【0116】
その後、電圧用電線220があらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された電圧検知端子210を、ハウジング240の端子収容凹部に収容する。このため、突起部213が第2箱部272に進入し且つ電圧用電線220の一端部(接点)が貫通孔244に進入するように、電圧検知端子210が、上方から、ハウジング240の端子収容凹部に嵌め込まれる。電圧検知端子210のハウジング240への収容が完了した状態では、電圧検知端子210の先端部212aの上下面が、切欠き243によって露出している。また、この状態では、突起部213が圧入突起274及び集熱板207c間に圧入されて、圧入突起274によって、集熱板207cと直接接触されている(図14参照)。
【0117】
次いで、ハウジング240に収容された電圧検知端子210から延びる電圧用電線220を、ハウジング240の電圧用電線収容凹部246(一対のストレート部247+屈曲部248)に収容する。このため、電圧用電線220が、上方から、一対のストレート部247及び屈曲部248から構成される電圧用電線収容凹部246に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部251の上部に位置する電圧用電線220の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電圧用電線220の一対の部分が一対の幅狭凹部251の内部に収容される。電圧用電線220のハウジング240への収容が完了した状態では、電圧用電線220は、電線引出口249から後方へ向けてハウジング240の外部に延出している。
【0118】
次いで、カバー230をハウジング240に装着する。このため、カバー230の対向部231がハウジング240の上下面のカバー装着凹部241を上下に挟むように、且つ、カバー230の延出部232がハウジング240の上面側のカバー装着凹部241を覆うように、且つ、カバー230の一対の電線保持片235がハウジング240の一対の電線保持片凹部252に収容されるように、カバー230が、左方から、ハウジング240のカバー装着凹部241に装着される。
【0119】
カバー230がハウジング240に装着される過程において、カバー230の上記係止部は、まず、ハウジング240に摺動しながら、仮被係止部の内部に進入して仮被係止部と係合すると共に仮被係止部の右側の側面に押し当てられる。これにより、カバー230が仮係止位置にてハウジング240に係止されて、カバー230のハウジング240への装着が完了し、電圧検知ユニット205が得られる。なお、後述するように、カバー230のハウジング240への装着が完了して(カバー230が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット205は、導電モジュール203(図9参照)の組み立てに供されることになる。
【0120】
カバー230が仮係止位置に係止された状態では、カバー230の対向部231(より具体的には、上下一対の延出部233b)が、電圧検知端子210の先端部212aを覆っていない。このため、電圧検知端子210の先端部212aの上下面が、なおも切欠き243によって露出している。
【0121】
更に、カバー230の一対の電線保持片235が電圧用電線収容凹部246のストレート部247及び屈曲部248、並びに、温度用電線収容凹部254aの開口上に配置される。これにより、電圧用電線220が電圧用電線収容凹部246から抜け出す(温度用電線207bが温度用電線収容凹部254から抜け出す)ことが抑制される。更に、一対の電線保持片235の延出端部が一対の格納穴253に受け入れられている。これにより、一対の電線保持片235の位置ズレや一対の電線保持片235が電圧用電線収容凹部246及び温度用電線収容凹部254aから離れるような意図しない変形を抑制できる。更に、カバー230の延出部232が電圧用電線収容凹部246の屈曲部248の屈曲頂点248aの開口上に配置される。これにより、電圧用電線収容凹部246から電圧用電線220が抜け出して屈曲部248をまたぐ(即ち、屈曲部248をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電圧用電線220が電圧用電線収容凹部246の屈曲部248から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0122】
カバー230が仮係止位置に係止された状態にて、ハウジング240に対してカバー230を更に左方に押し込むと、カバー230の一対の電線保持片235の延出端部が一対の格納穴253内に更に進入して格納されると共に、カバー230の上記係止部が、仮被係止部を乗り越え、その後、本被係止部の内部に進入して本被係止部と係合する。これにより、カバー230が本係止位置にてハウジング240に係止される。
【0123】
カバー230が本係止位置に係止された状態では、カバー装着凹部241の全域がカバー230によって覆われることで、電圧用電線収容凹部246及び温度用電線収容凹部254aの全体がカバー230の延出部232によって覆われている。これにより、電圧用電線収容凹部246から電圧用電線220が抜け出す(温度用電線207bが温度用電線収容凹部254から抜け出す)ことが抑制される。更に、カバー230の対向部231(より具体的には、上下一対の延出部233b)が、電圧検知端子210の先端部212aの上下面を覆っている。これにより、電圧検知端子210の全体がカバー230の対向部231によって覆われるので、電圧検知端子210が確実に保護され得る。
【0124】
次いで、導電モジュール203及び蓄電装置201(図9参照)の組み立てについて説明する。上述したように、カバー230のハウジング240への装着が完了して(カバー230が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット205は、導電モジュール203(図9参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、導電板204のフランジ部204aと電圧検知ユニット205の凹部205aとが嵌合されることで、導電板204の左側に電圧検知ユニット205が連結される。
【0125】
この状態では、導電板204のフランジ部204aの一部が電圧検知端子210の先端部212aの下側に重なるように配置されており(図11参照)、ハウジング240の切欠き243の存在に起因して、電圧検知端子210の先端部212aの上面が上方に露出し、且つ、導電板204のフランジ部204aの一部の下面が下方に露出している。
【0126】
次いで、上方に露出する電圧検知端子210の先端部212aの上面と、下方に露出する導電板204のフランジ部204aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子210の先端部212aと導電板204のフランジ部204aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー230が仮係止位置から本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット205と導電板204との組み付けが完了する。
【0127】
次いで、導電板204のフランジ部204bと対向ユニット206の凹部206aが嵌合されることで、電圧検知ユニット205が組み付けられた導電板204の右側に対向ユニット206が連結される(図10等参照)。これにより、導電モジュール203の組み立てが完了する。
【0128】
このようにして得られた導電モジュール203は、図9に示す蓄電装置201の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール202と導電モジュール203とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置201が得られる。
【0129】
(温度検知センサの変形例)
以下、温度検知センサ207の変形例について説明する。温度検知センサ207の変形例としては、第2箱部272の上下方向の厚さが第1箱部271と同等に構成されると共に、圧入突起274に代わりばね部276が設けられている(図15参照)。即ち、電圧検知端子210のハウジング240への収容が完了した状態では、突起部213がばね部276及び集熱板207c間に挿入されて、ばね部276の弾性力によって集熱板207cと直接接触される(図16参照)。
【0130】
第2実施形態によれば、電圧検知端子210の端子収容凹部への収容完了状態において、突起部213が、圧入突起274(又はばね部276)によって、センサ素子207aに接続された集熱板207cに押し付けられることになる。これにより、蓄電モジュール202から発する熱が、電圧検知端子210及び集熱板207cを介して温度検知センサ207に伝わる。即ち、第2実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサ207への伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
【0131】
更に、第2実施形態によれば、温度用電線収容凹部254a,254bが設けられることで、温度用電線207bを前後方向の双方向から引き出し可能となる。
【0132】
なお、第2実施形態として具体化される発明は、第2実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第2実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第2実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0133】
ここで、上述した電圧検知ユニットの実施形態の特徴をそれぞれ以下[2-1]に簡潔に纏めて列記する。
【0134】
[2-1]
積層される複数の蓄電モジュール(202)間にそれぞれ配置される導電板(204)の側縁部(フランジ部204a)に嵌合することになる凹部(205a)が板側面に設けられた板状のハウジング(240)と、
前記ハウジング(240)に収容されて前記蓄電モジュール(202)に導通接続されることになる電圧検知端子(210)と、
前記ハウジング(240)に装着されて前記蓄電モジュール(202)を測温する温度検知センサ(207)と、
を備えた電圧検知ユニット(205)であって、
前記ハウジング(240)には、前記温度検知センサ(207)が組み付けられるセンサ組付部(256)と、前記センサ組付部(256)に連通して前記電圧検知端子(210)が収容される端子収容凹部と、が設けられ、
前記温度検知センサ(207)は、
センサ素子(207a)と、
前記センサ素子(207a)に接続される集熱板(207c)と、
前記電圧検知端子(210)の前記端子収容凹部への収容完了状態において、前記電圧検知端子(210)の一部(突起部213)を前記集熱板(207c)に押し付ける押付部(圧入突起274,ばね部276)と、を有する、
電圧検知ユニット(205)。
【0135】
上記[2-1]の構成によれば、電圧検知端子の端子収容凹部への収容完了状態において、電圧検知端子の一部が、押付部によって、センサ素子に接続された集熱板に押し付けられることになる。これにより、蓄電モジュールから発する熱が、電圧検知端子及び集熱板を介して温度検知センサに伝わる。即ち、上記構成によれば、従来に比べて、温度検知センサへの伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
【0136】
<第3実施形態>
第3実施形態として具体化される発明は、電圧検知ユニットに関する。以下、図面を参照しながら、第3実施形態に係る電圧検知ユニット305について、図18図21を参照して説明する。
【0137】
第3実施形態に係る電圧検知ユニットは、下記を特徴としている。
積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される導電板の側縁部に嵌合することになる凹部が短手方向の一側面に設けられた板状のハウジングと、
前記ハウジングに収容されて、前記導電板を介して前記蓄電モジュールに導通接続されることになる電圧検知端子と、
前記電圧検知端子に導通接続される電圧用電線と、
を備えた電圧検知ユニットであって、
前記電圧検知端子に導通接続される温度検知センサと、
前記温度検知センサに導通接続される温度用電線と、を更に備える、
電圧検知ユニットであること。
【0138】
第3実施形態よれば、導電板を介して蓄電モジュールに導通接続されることになる電圧検知端子に、温度検知センサ(温度用電線を含む)が接続される。これにより、温度検知センサが、伝熱性が高い電圧検知端子を介した測温ができる。即ち、第3実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサへの伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
また、第3実施形態によれば、電圧検知端子に温度検知センサが接続されることで、一のモジュールで電圧及び温度の検知が可能になる。
【0139】
以下、説明の便宜上、図18等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0140】
電圧検知ユニット305は、典型的には、図18に示す積層型の蓄電装置301に使用される。蓄電装置301は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール302と、隣接する蓄電モジュール302の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール303と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置301では、複数の蓄電モジュール302が導電モジュール303を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール302は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール302全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0141】
導電モジュール303は、図18に示すように、矩形薄板状の導電板304(なお、導電板304は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板304の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット305と、導電板304の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット306とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図18図19に示すように、導電板304と電圧検知ユニット305とは、導電板304の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部304aと、電圧検知ユニット305の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部305aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板304と対向ユニット306とは、導電板304の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部304bと、対向ユニット306の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部306aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0142】
上下に隣接する蓄電モジュール302の間に位置する個々の導電モジュール303において、導電板304は、図19に示すように、上下の蓄電モジュール302と直接接触している。このため、導電板304は、上側の蓄電モジュール302の下面と下側の蓄電モジュール302の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール302から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0143】
上下に隣接する蓄電モジュール302の間に位置する個々の導電モジュール303において、電圧検知ユニット305は、導電板304に接触する後述する電圧検知端子310(図19等参照)を備える。電圧検知ユニット305は、この電圧検知端子310に接続された電圧用電線320(図18等参照)を介して、上下の蓄電モジュール302の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール302の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図18図20では電圧検知ユニット305が導電板304の左側に配置されているが、電圧検知ユニット305と同じ機能を有する電圧検知ユニットが導電板304の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット305と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット305の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット305のミラー品)が使用される。
【0144】
上下に隣接する蓄電モジュール302の間に位置する個々の導電モジュール303において、対向ユニット306としては、蓄電装置301の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0145】
対向ユニット306が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット306として、電圧検知ユニット305の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット305のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット305が導電板304の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット305のミラー品が導電板304の右側に配置される。対向ユニット306(電圧検知ユニット305のミラー品)は、電圧検知ユニット305と同じ機能を果たす。
【0146】
対向ユニット306がダミーユニットである場合、対向ユニット306として、図18に示すように、前後方向に延びる凹部306aを有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット306は、上下の蓄電モジュール302の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0147】
対向ユニット306が温度検知ユニットである場合、対向ユニット306として、図18に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度検知センサ(サーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される。この場合、対向ユニット306は、温度検知センサに接続された温度用電線307b(図18参照)を介して、上下の蓄電モジュール302の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0148】
以下、第3実施形態に係る電圧検知ユニット305の具体的な構成について説明する。電圧検知ユニット305は、図21に示すように、ハウジング340と、ハウジング340に収容される電圧検知端子310と、電圧検知端子310に接続され且つハウジング340に収容される電圧用電線320と、電圧検知端子310に接続されるセンサ素子307a(温度検知センサであって、例えば、サーミスタ等の素子である。)と、センサ素子307aに接続され且つハウジング340に収容される温度用電線307bと、ハウジング340に装着されるカバー330と、を備える。
【0149】
電圧検知端子310は、ハウジング340に形成された端子収容凹部(符号省略)に収容され、電圧用電線320は、ハウジング340に形成された後述する電圧用電線収容凹部346(図21参照)に収容され、センサ素子307a(図21参照)は、電圧検知端子310の後述する第1部分311の先端部311aに接続され、温度用電線307bは、ハウジング340に形成された後述する温度用電線収容凹部354(図21参照)に収容され、カバー330は、ハウジング340に形成された後述するカバー装着凹部341(図21参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット305を構成する各部材について順に説明する。
【0150】
まず、電圧検知端子310について説明する。金属製の電圧検知端子310は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子310は、上方から、ハウジング340の端子収容凹部に収容される。電圧検知端子310は、図21に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分311と、第1部分311の前端部から右方に延びる矩形平板状の第2部分312と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0151】
第1部分311の先端部311a(即ち、後端側の端部)の上面には、電圧用電線320の一端部、及び、温度用電線307bの一端部が接続されたセンサ素子307aが、電気的に接続されるように固定され、封止部材380によって、電圧用電線320の一端部、及び、センサ素子307aが一体的に封止されている。電圧用電線320の他端部は、蓄電装置301の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。温度用電線307bの他端部は、蓄電装置301の外部において、温度計測装置(図示省略)に接続されることになる。封止部材380としては、例えば樹脂モールドやポッティング材等が採用される。
【0152】
第2部分312の先端部312a(即ち、右端側の端部)の下面には、導電板304のフランジ部304aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(図20参照)。
第2部分312の前端縁には、前方に突出する突起部313が形成されている。電圧検知端子310のハウジング340への収容時、突起部313は、ハウジング340に形成された係止溝345(図21参照)に係止されることになる。
【0153】
次いで、カバー330について説明する。カバー330は、樹脂成形品であり、左方から、ハウジング340のカバー装着凹部341に装着される。カバー330は、対向部331と、対向部331から後方に延びる延出部332と、で構成される。対向部331は、主として電圧検知端子310を覆って保護する機能を果たし、延出部332は、主として電圧用電線320を覆って保護する機能を果たす。
【0154】
対向部331は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の同形の平板部333と、一対の平板部333の前後方向に延びる左端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部334と、で構成される。対向部331は、前後方向からみて、右方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部333は、連結部334から繋がる略正方形の平板状の基部333aと、基部333aの前端部から右方に延びる矩形平板状の延出部333bと、から構成され、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有している。延出部332は、対向部331を構成する一対の平板部333のうち上側の平板部333(より具体的には、上側の基部333a)の後端縁から面一で連続して後方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。
【0155】
延出部332には、左右方向に延びる一対の電線保持片335が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片335は、延出部332の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部332の左端縁から更に右方に向けて突出している。カバー330のハウジング340への装着時、電線保持片335は、ハウジング340に収容された電圧用電線320及び温度用電線307bを保持する機能を果たす。
【0156】
対向部331を構成する一対の平板部333のうち下側の平板部333(より具体的には、下側の基部333a)の所定箇所には、上側の平板部333に向けて上方に突出する係止部(図示省略)が形成されている。この係止部は、ハウジング340に設けられた仮被係止部(図示省略)及び本被係止部(図示省略)との協働により、カバー330を、仮係止位置と、本係止位置と、に係止する機能を果たす。
【0157】
次いで、ハウジング340について説明する。ハウジング340は、樹脂成形品であり、図18等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング340の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部305aが形成されている。凹部305aには、導電板304のフランジ部304aが嵌合されることになる(図19及び図20等参照)。
【0158】
ハウジング340の上下面におけるカバー330が装着される箇所には、カバー330の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部341が形成されている(図21参照)。カバー装着凹部341の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー330(対向部331+延出部332)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー330のハウジング340への装着時、ハウジング340の表面とカバー330の表面とは、面一になる(図18参照)。
【0159】
ハウジング340の上面側のカバー装着凹部341の底面341aにおける電圧検知端子310が収容される箇所には、電圧検知端子310の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部が形成されている。端子収容凹部の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子310の板厚と等しい。よって、電圧検知端子310のハウジング340への装着時、電圧検知端子310の上面と、カバー装着凹部341の底面341aとは、面一になる。
【0160】
ハウジング340の右端縁における、電圧検知端子310の先端部312aが配置される前後方向位置には、左方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き343が形成されている。ハウジング340の右側端面にて前後方向に延びる凹部305aは、切欠き343によって分断されている。電圧検知端子310のハウジング340への収容時、電圧検知端子310の先端部312aの上下面が、切欠き343によって露出することになる。
【0161】
端子収容凹部における、電圧検知端子310の突起部313(図21参照)が配置される箇所の内壁面には、突起部313に対応して、前方へ窪み且つ凹部305aと連通する係止溝345が形成されている(図21参照)。
【0162】
ハウジング340の上面における電圧用電線320が収容される箇所には、電圧用電線320が収容される際の電圧用電線320の配索形態に対応する形状を有して窪む電圧用電線収容凹部346が形成されている(図21参照)。電圧用電線収容凹部346は、前後方向に一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部347と、一対のストレート部347を繋ぐと共に左方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部348と、で構成される一連の溝部である。電圧用電線収容凹部346(一対のストレート部347+屈曲部348)における、右側の溝側壁(左方を向いた壁)及び左側の溝側壁(右方を向いた壁)の各々は、電圧用電線収容凹部346の溝底壁から上下方向に平行に上方に向けて延びている。
【0163】
一対のストレート部347のうち前側のストレート部347の前端は、端子収容凹部と連通し、一対のストレート部347のうち後側のストレート部347の後端は、ハウジング340の後端縁から電圧用電線320が延出する電線引出口349を構成している。一対のストレート部347のうち前側のストレート部347は、後側のストレート部347に比べて、左右方向に幅広に形成されている。このように、電圧用電線収容凹部346が屈曲部348を有することで、電圧用電線収容凹部346がストレート部347のみで構成される場合に比べ、ハウジング340から引き出された電圧用電線320に意図しない外力が及んでも、屈曲部348と電圧用電線320との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子310と電圧用電線320との接点に大きな外力が及び難い。
【0164】
一対のストレート部347における屈曲部348との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部347より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部351が設けられている。幅狭凹部351の幅は、電圧用電線320の外径より僅かに小さい。このため、電圧用電線320を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部351に電圧用電線320を挟持することで、ハウジング340から引き出された電圧用電線320に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部351と電圧用電線320との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子310と電圧用電線320との接点に大きな外力が及び難い。更には、屈曲部348から電圧用電線320が抜け出して屈曲部348をまたぐ(即ち、屈曲部348をショートカットする)ように電圧用電線320が配索されることを、強力に抑制することができる。
【0165】
ハウジング340の上面における温度用電線307bが収容される箇所には、温度用電線307bが収容される際の温度用電線307bの配索形態に対応する形状を有して窪む温度用電線収容凹部354が形成されている(図21参照)。温度用電線収容凹部354は、センサ素子307aに対応して、一対のストレート部347のうち前側のストレート部347と、電圧用電線収容凹部346の右側に位置すると共に一対のストレート部347のうち前側のストレート部347の後側から前後方向に一直線状に延びる第2ストレート部355と、で構成される一連の溝部である。温度用電線収容凹部354(一対のストレート部347のうち前側のストレート部347+第2ストレート部355)における、右側の溝側壁(左方を向いた壁)及び左側の溝側壁(右方を向いた壁)の各々は、温度用電線収容凹部354の溝底壁から上下方向に平行に上方に向けて延びている。
【0166】
第2ストレート部355の前端は、一対のストレート部347のうち前側のストレート部347と連通し、第2ストレート部355の後端は、ハウジング340の後端縁から温度用電線307bが延出する電線引出口356を構成している。第2ストレート部355は、電圧用電線収容凹部346における一対のストレート部347のうち後側のストレート部347及び屈曲部348よりも右側に位置して、これらと左右方向に離間して配置される。
【0167】
ハウジング340の上面側のカバー装着凹部341の底面341aにおける、カバー330の一対の電線保持片335が配置される箇所には、図21に示すように、一対の電線保持片335に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部352が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部352は、電圧用電線収容凹部346の屈曲部348の屈曲頂点348a(図21参照)を前後方向に挟むように、配置されている。一対の電線保持片凹部352の底面は、電圧用電線収容凹部346及び温度用電線収容凹部354の底面より上側に位置している。
【0168】
各電線保持片凹部352は、ハウジング340の上面の右端縁から、電圧用電線収容凹部346及び温度用電線収容凹部354を横断して、カバー装着凹部341の右端内壁341b(図21参照)まで、左右方向に延びている。カバー装着凹部341の右端内壁341bにおける一対の電線保持片凹部352が接続する箇所には、それぞれ、右方に向けて窪む格納穴353が形成されている(図21参照)。カバー330のハウジング340への装着時、一対の格納穴353には、カバー330の一対の電線保持片335の延出端部(即ち、右側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0169】
ハウジング340の下面側のカバー装着凹部341の底面341aにおける、カバー330の上記係止部が配置される箇所と同じ前後方向位置には、上方に向けて窪む凹部である、仮被係止部及び本被係止部が、この順に、左から右に間隔を空けて並ぶように形成されている。以上、電圧検知ユニット305を構成する各部材について説明した。
【0170】
次いで、電圧検知端子310及びカバー330をハウジング340へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電圧用電線320及び温度用電線307bが接続されたセンサ素子307aを、超音波接合や溶接等の手法によって電圧検知端子310に接続し、その後、封止部材380によってこれらを一体的に封止する。そして、この電圧検知端子310を、ハウジング340の端子収容凹部に収容する。このため、突起部313が係止溝345に進入するように、電圧検知端子310が、上方から、ハウジング340の端子収容凹部に嵌め込まれる。電圧検知端子310のハウジング340への収容が完了した状態では、電圧検知端子310の先端部312aの上下面が、切欠き343によって露出している。
【0171】
次いで、ハウジング340に収容された電圧検知端子310から延びる電圧用電線320を、ハウジング340の電圧用電線収容凹部346(一対のストレート部347+屈曲部348)に収容する。このため、電圧用電線320が、上方から、一対のストレート部347及び屈曲部348から構成される電圧用電線収容凹部346に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部351の上部に位置する電圧用電線320の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電圧用電線320の一対の部分が一対の幅狭凹部351の内部に収容される。電圧用電線320のハウジング340への収容が完了した状態では、電圧用電線320は、電線引出口349から後方へ向けてハウジング340の外部に延出している。
【0172】
同様に、ハウジング340に収容された電圧検知端子310(具体的には、センサ素子307a)から延びる温度用電線307bを、ハウジング340の温度用電線収容凹部354(一対のストレート部347のうち前側のストレート部347+第2ストレート部355)に収容する。このため、温度用電線307bが、上方から、一対のストレート部347のうち前側のストレート部347及び第2ストレート部355から構成される温度用電線収容凹部354に沿って嵌め込まれる。温度用電線307bのハウジング340への収容が完了した状態では、温度用電線307bは、電線引出口356から後方へ向けてハウジング340の外部に延出している。
【0173】
次いで、カバー330をハウジング340に装着する。このため、カバー330の対向部331がハウジング340の上下面のカバー装着凹部341を上下に挟むように、且つ、カバー330の延出部332がハウジング340の上面側のカバー装着凹部341を覆うように、且つ、カバー330の一対の電線保持片335がハウジング340の一対の電線保持片凹部352に収容されるように、カバー330が、左方から、ハウジング340のカバー装着凹部341に装着される。
【0174】
カバー330がハウジング340に装着される過程において、カバー330の上記係止部は、まず、ハウジング340に摺動しながら、仮被係止部の内部に進入して仮被係止部と係合すると共に仮被係止部の右側の側面に押し当てられる。これにより、カバー330が仮係止位置にてハウジング340に係止されて、カバー330のハウジング340への装着が完了し、電圧検知ユニット305が得られる。なお、後述するように、カバー330のハウジング340への装着が完了して(カバー330が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット305は、導電モジュール303(図18参照)の組み立てに供されることになる。
【0175】
カバー330が仮係止位置に係止された状態では、カバー330の対向部331(より具体的には、上下一対の延出部333b)が、電圧検知端子310の先端部312aを覆っていない。このため、電圧検知端子310の先端部312aの上下面が、なおも切欠き343によって露出している。
【0176】
更に、カバー330の一対の電線保持片335が電圧用電線収容凹部346のストレート部347及び屈曲部348、並びに、温度用電線収容凹部354の第2ストレート部355の一部の開口上に配置される。これにより、電圧用電線320が電圧用電線収容凹部346から抜け出すこと、及び、温度用電線307bが温度用電線収容凹部354から抜け出すことが抑制される。更に、一対の電線保持片335の延出端部が一対の格納穴353に受け入れられている。これにより、一対の電線保持片335の位置ズレや一対の電線保持片335が電圧用電線収容凹部346及び温度用電線収容凹部354から離れるような意図しない変形を抑制できる。更に、カバー330の延出部332が電圧用電線収容凹部346の屈曲部348の屈曲頂点348aの開口上に配置される。これにより、電圧用電線収容凹部346から電圧用電線320が抜け出して屈曲部348をまたぐ(即ち、屈曲部348をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電圧用電線320が電圧用電線収容凹部346の屈曲部348から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0177】
カバー330が仮係止位置に係止された状態にて、ハウジング340に対してカバー330を更に左方に押し込むと、カバー330の一対の電線保持片335の延出端部が一対の格納穴353内に更に進入して格納されると共に、カバー330の上記係止部が、仮被係止部を乗り越え、その後、本被係止部の内部に進入して本被係止部と係合する。これにより、カバー330が本係止位置にてハウジング340に係止される。
【0178】
カバー330が本係止位置に係止された状態では、カバー装着凹部341の全域がカバー330によって覆われることで、電圧用電線収容凹部346及び温度用電線収容凹部354の全体がカバー330の延出部332によって覆われている。これにより、電圧用電線収容凹部346から電圧用電線320が抜け出すこと、及び、温度用電線307bが温度用電線収容凹部354から抜け出すことが抑制される。更に、カバー330の対向部331(より具体的には、上下一対の延出部333b)が、電圧検知端子310の先端部312aの上下面を覆っている。これにより、電圧検知端子310の全体がカバー330の対向部331によって覆われるので、電圧検知端子310が確実に保護され得る。
【0179】
次いで、導電モジュール303及び蓄電装置301(図18参照)の組み立てについて説明する。上述したように、カバー330のハウジング340への装着が完了して(カバー330が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット305は、導電モジュール303(図18参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、導電板304のフランジ部304aと電圧検知ユニット305の凹部305aとが嵌合されることで、導電板304の左側に電圧検知ユニット305が連結される。
【0180】
この状態では、導電板304のフランジ部304aの一部が電圧検知端子310の先端部312aの下側に重なるように配置されており(図20参照)、ハウジング340の切欠き343の存在に起因して、電圧検知端子310の先端部312aの上面が上方に露出し、且つ、導電板304のフランジ部304aの一部の下面が下方に露出している。
【0181】
次いで、上方に露出する電圧検知端子310の先端部312aの上面と、下方に露出する導電板304のフランジ部304aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子310の先端部312aと導電板304のフランジ部304aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー330が仮係止位置から本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット305と導電板304との組み付けが完了する。
【0182】
次いで、導電板304のフランジ部304bと対向ユニット306の凹部306aとが嵌合されることで、電圧検知ユニット305が組み付けられた導電板304の右側に対向ユニット306が連結される(図19等参照)。これにより、導電モジュール303の組み立てが完了する。
【0183】
このようにして得られた導電モジュール303は、図18に示す蓄電装置301の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール302と導電モジュール303とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置301が得られる。
【0184】
第3実施形態によれば、導電板304を介して蓄電モジュール302に導通接続されることになる電圧検知端子310に、温度検知センサであるセンサ素子307a(温度用電線307bを含む)が接続される。これにより、センサ素子307aが、伝熱性が高い電圧検知端子310を介した測温ができる。即ち、第3実施形態によれば、従来に比べて、センサ素子307a(温度検知センサ)への伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
【0185】
更に、第3実施形態によれば、電圧検知端子310にセンサ素子307aが接続されることで、一のモジュールで電圧及び温度の検知が可能になる。
【0186】
更に、第3実施形態によれば、電圧検知端子310に導通接続される電圧用電線320及びセンサ素子307aが、封止部材380によって一体的に封止されることで、電圧用電線320及び温度用電線307bが一体化される。これにより、これら両電線が一体化されない場合に比べて、これら両電線の引張強度に優れる。
【0187】
なお、第3実施形態として具体化される発明は、第3実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第3実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第3実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0188】
ここで、上述した電圧検知ユニットの実施形態の特徴をそれぞれ以下[3-1]~[3-2]に簡潔に纏めて列記する。
【0189】
[3-1]
積層される複数の蓄電モジュール(302)間にそれぞれ配置される導電板(304)の側縁部(フランジ部304b)に嵌合することになる凹部(305a)が短手方向の一側面に設けられた板状のハウジング(340)と、
前記ハウジング(340)に収容されて、前記導電板(304)を介して前記蓄電モジュール(302)に導通接続されることになる電圧検知端子(310)と、
前記電圧検知端子(310)に導通接続される電圧用電線(320)と、
を備えた電圧検知ユニット(305)であって、
前記電圧検知端子(310)に導通接続される温度検知センサ(センサ素子307a)と、
前記温度検知センサ(センサ素子307a)に導通接続される温度用電線(307b)と、を更に備える、
電圧検知ユニット(305)。
【0190】
上記[3-1]の構成によれば、導電板を介して蓄電モジュールに導通接続されることになる電圧検知端子に、温度検知センサ(温度用電線を含む)が接続される。これにより、温度検知センサが、伝熱性が高い電圧検知端子を介した測温ができる。即ち、上記構成によれば、従来に比べて、温度検知センサへの伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
また、上記構成によれば、電圧検知端子に温度検知センサが接続されることで、一のモジュールで電圧及び温度の検知が可能になる。
【0191】
[3-2]
上記[3-1]に記載の電圧検知ユニット(305)であって、
前記電圧検知端子(310)に導通接続される前記電圧用電線(320)及び前記温度検知センサ(センサ素子307a)は、封止部材(380)によって一体的に封止される、
電圧検知ユニット(305)。
【0192】
上記[3-2]の構成によれば、電圧検知端子に導通接続される電圧用電線及び温度検知センサが、封止部材によって一体的に封止されることで、電圧用電線及び温度用電線が一体化される。これにより、これら両電線が一体化されない場合に比べて、これら両電線の引張強度に優れる。
【0193】
<第4実施形態>
第4実施形態として具体化される発明は、電圧検知ユニット及び導電モジュールに関する。以下、図面を参照しながら、第4実施形態に係る電圧検知ユニット405及び導電モジュール403について、図22図26Bを参照して説明する。
【0194】
第4実施形態に係る電圧検知ユニットは、下記を特徴としている。
積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される導電板の側縁部に嵌合することになる凹部が板側面に設けられた板状のハウジングと、
前記蓄電モジュールの電圧検出用の電圧用電線と、
前記蓄電モジュールを測温する温度検知センサと、
前記温度検知センサに接続される温度用電線と、
を備えた電圧検知ユニットであって、
前記温度検知センサは、
前記ハウジングのセンサ組付部に組み付けられて、前記側縁部に嵌合することになる凹部が設けられた伝熱性を有する筐体と、
前記筐体の内部に収容されて前記温度用電線が接続されるセンサ素子と、を有し、
前記筐体には、前記電圧用電線が接続される延在結合部が設けられる、
電圧検知ユニットであること。
【0195】
更に、第4実施形態に係る導電モジュールは、下記を特徴としている。
上記電圧検知ユニットと、前記導電板と、を備えた導電モジュールであって、
前記導電板の前記側縁部には、前記筐体における前記凹部の内壁に接触する接触突部が設けられる、
導電モジュールであること。
【0196】
第4実施形態よれば、温度検知センサの筐体に設けられた凹部に、導電板の側縁部が嵌合されることで、伝熱性を有する筐体を介した測温ができる。即ち、第4実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサへの伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
また、第4実施形態によれば、筐体に設けられた延在接合部に、電圧用電線が接続されることで、一のモジュールで電圧及び温度の検知が可能になる。
【0197】
以下、説明の便宜上、図22等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0198】
電圧検知ユニット405は、典型的には、図22に示す積層型の蓄電装置401に使用される。蓄電装置401は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール402と、隣接する蓄電モジュール402の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール403と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置401では、複数の蓄電モジュール402が導電モジュール403を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール402は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール402全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0199】
導電モジュール403は、図22に示すように、矩形薄板状の導電板404(なお、導電板404は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板404の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット405と、導電板404の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット406とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図22図23に示すように、導電板404と電圧検知ユニット405とは、導電板404の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部404aと、電圧検知ユニット405の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部405aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板404と対向ユニット406とは、導電板404の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部404bと、対向ユニット406の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部406aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0200】
上下に隣接する蓄電モジュール402の間に位置する個々の導電モジュール403において、導電板404は、図23に示すように、上下の蓄電モジュール402と直接接触している。このため、導電板404は、上側の蓄電モジュール402の下面と下側の蓄電モジュール402の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール402から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0201】
上下に隣接する蓄電モジュール402の間に位置する個々の導電モジュール403において、電圧検知ユニット405は、導電板404に接触する温度検知センサ407の筐体470(図23等参照)を備える。電圧検知ユニット405は、この筐体470に接続された電圧用電線420(図22等参照)を介して、上下の蓄電モジュール402の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール402の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図22図24では電圧検知ユニット405が導電板404の左側に配置されているが、電圧検知ユニット405と同じ機能を有する電圧検知ユニットが導電板404の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット405と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット405の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット405のミラー品)が使用される。
【0202】
上下に隣接する蓄電モジュール402の間に位置する個々の導電モジュール403において、対向ユニット406としては、蓄電装置401の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0203】
対向ユニット406が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット406として、電圧検知ユニット405の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット405のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット405が導電板404の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット405のミラー品が導電板404の右側に配置される。対向ユニット406(電圧検知ユニット405のミラー品)は、電圧検知ユニット405と同じ機能を果たす。
【0204】
対向ユニット406がダミーユニットである場合、対向ユニット406として、図22に示すように、前後方向に延びる凹部406aを有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット406は、上下の蓄電モジュール402の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0205】
対向ユニット406が温度検知ユニットである場合、対向ユニット406として、図22に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度検知センサ(サーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される。この場合、対向ユニット406は、温度検知センサに接続された温度用電線を介して、上下の蓄電モジュール402の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0206】
以下、第4実施形態に係る電圧検知ユニット405の具体的な構成について説明する。電圧検知ユニット405は、図25に示すように、ハウジング440と、ハウジング440に組み付けられる温度検知センサ407と、温度検知センサ407の後述する筐体470の延在接合部476に接続され且つハウジング440に収容される電圧用電線420と、温度検知センサ407のセンサ素子407aに接続され且つハウジング440に収容される温度用電線407bと、ハウジング440に装着されるカバー430と、を備える。
【0207】
温度検知センサ407は、ハウジング440に形成された後述するセンサ組付部456(図25B参照)に組み付けられ、電圧用電線420は、ハウジング440に形成された後述する電圧用電線収容凹部446(図25参照)に収容され、温度用電線407bは、ハウジング440に形成された後述する温度用電線収容凹部454(図25参照)に収容され、カバー430は、ハウジング440に形成された後述するカバー装着凹部441(図25参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット405を構成する各部材について順に説明する。
【0208】
まず、温度検知センサ407について説明する。温度検知センサ407は、典型的には、サーミスタである。温度検知センサ407は、金属製等の伝熱性の高い材料等から構成されて前後方向に延びる直方体状の筐体470を有しており、その筐体470の内部にセンサ素子407a(図25B参照)が収容され、筐体470の後端から後方に向けてセンサ素子407aに接続された温度用電線407bが延びている。温度検知センサ407は、ハウジング440の後述するセンサ組付部456(図25B参照)に組み付けられる。温度用電線407bの延出端部は、蓄電装置401の外部において、温度計測装置(図示省略)に接続されることになる。
【0209】
筐体470の右側端面には、後述するハウジング440の凹部405aに対応して、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部471が形成されている。凹部471には、導電板404のフランジ部404aが嵌合されることになる(図26A参照)。
筐体470の前端面には、後述するハウジング440の係止凸部457に対応して、後方に窪む係止凹部(図示省略)が形成されている。
【0210】
温度検知センサ407は、筐体470の左側端面から左側に突出する延在接合部476が形成されている(図25B参照)。延在接合部476は、筐体470に対応して前後方向に延びる板状に形成されており、延在接合部476には、電圧用電線420の一端部が電気的に接続されるように固定される。電圧用電線420の他端部は、蓄電装置401の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。
【0211】
筐体470の上下方向の厚さは、略矩形薄板状のハウジング440の板厚と等しい。よって、温度検知センサ407のハウジング440への装着時、ハウジング440の表面と温度検知センサ407の表面とは、面一になる(図26A参照)。
【0212】
次いで、カバー430について説明する。カバー430は、樹脂成形品であり、左方から、ハウジング440のカバー装着凹部441に装着される。カバー430は、対向部431と、対向部431から後方に延びる延出部432と、で構成される。対向部431は、主として温度検知センサ407の延在接合部476を覆って保護する機能を果たし、延出部432は、主として電圧用電線420を覆って保護する機能を果たす。
【0213】
対向部431は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の同形の平板部433と、一対の平板部433の前後方向に延びる左端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部434と、で構成される。対向部431は、前後方向からみて、右方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部433は、連結部434から繋がる略矩形平板状に形成されている。延出部432は、対向部431を構成する一対の平板部433のうち上側の平板部433の後端縁から面一で連続して後方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。
【0214】
延出部432には、左右方向に延びる一対の電線保持片435が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片435は、延出部432の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部432の左端縁から更に右方に向けて突出している。カバー430のハウジング440への装着時、電線保持片435は、ハウジング440に収容された電圧用電線420及び温度用電線407bを保持する機能を果たす。
【0215】
対向部431を構成する一対の平板部433のうち下側の平板部433の所定箇所には、上側の平板部433に向けて上方に突出する係止部(図示省略)が形成されている。この係止部は、ハウジング440に設けられた本被係止部(図示省略)との協働により、カバー430を、本係止位置に係止する機能を果たす。
【0216】
次いで、ハウジング440について説明する。ハウジング440は、樹脂成形品であり、図22等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング440の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部405aが形成されている。凹部405aには、導電板404のフランジ部404aが嵌合されることになる(図23及び図24等参照)。
【0217】
ハウジング440の上下面におけるカバー430が装着される箇所には、カバー430の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部441が形成されている(図25参照)。カバー装着凹部441の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー430(対向部431+延出部432)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー430のハウジング440への装着時、ハウジング440の表面とカバー430の表面とは、面一になる(図22及び図26A参照)。
【0218】
ハウジング440の右端縁における、温度検知センサ407が配置される前後方向位置には、温度検知センサ407の全体形状に対応する形状を有し且つ上下方向からみて略矩形状になるように左方に窪むセンサ組付部456が形成されている(図25B参照)。センサ組付部456の前端縁には、後方に突出する係止凸部457が形成されている。ハウジング440の右側端面にて前後方向に延びる凹部405aは、センサ組付部456によって分断されている。温度検知センサ407のハウジング440への組付時、凹部405aと凹部471とが前後方向に連通される。
【0219】
ハウジング440の上面における電圧用電線420が収容される箇所には、電圧用電線420が収容される際の電圧用電線420の配索形態に対応する形状を有して窪む電圧用電線収容凹部446が形成されている(図25参照)。電圧用電線収容凹部446は、前後方向に延びる一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部447と、一対のストレート部447を繋ぐと共に左方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部448と、で構成される一連の溝部である。電圧用電線収容凹部446(一対のストレート部447+屈曲部448)における、右側の溝側壁(左方を向いた壁)及び左側の溝側壁(右方を向いた壁)の各々は、電圧用電線収容凹部446の溝底壁から上下方向に平行に上方に向けて延びている。
【0220】
一対のストレート部447のうち前側のストレート部447の前端は、センサ組付部456と連通し、一対のストレート部447のうち後側のストレート部447の後端は、ハウジング440の後端縁から電圧用電線420が延出する電線引出口449を構成している。このように、電圧用電線収容凹部446が屈曲部448を有することで、電圧用電線収容凹部446がストレート部447のみで構成される場合に比べ、ハウジング440から引き出された電圧用電線420に意図しない外力が及んでも、屈曲部448と電圧用電線420との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、温度検知センサ407と電圧用電線420との接点に大きな外力が及び難い。
【0221】
一対のストレート部447における屈曲部448との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部447より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部451が設けられている。幅狭凹部451の幅は、電圧用電線420の外径より僅かに小さい。このため、電圧用電線420を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部451に電圧用電線420を挟持することで、ハウジング440から引き出された電圧用電線420に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部451と電圧用電線420との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、筐体470の延在接合部476と電圧用電線420との接点に大きな外力が及び難い。更には、屈曲部448から電圧用電線420が抜け出して屈曲部448をまたぐ(即ち、屈曲部448をショートカットする)ように電圧用電線420が配索されることを、強力に抑制することができる。
【0222】
ハウジング440の上面における温度用電線407bが収容される箇所には、温度用電線407bが収容される際の温度用電線407bの配索形態に対応する形状を有して窪む温度用電線収容凹部454が形成されている(図25参照)。温度用電線収容凹部454は、前後方向に一直線上に延びる溝部である。温度用電線収容凹部454における、右側の溝側壁(左方を向いた壁)及び左側の溝側壁(右方を向いた壁)の各々は、温度用電線収容凹部454の溝底壁から上下方向に平行に上方に向けて延びている。
【0223】
温度用電線収容凹部454の前端は、センサ組付部456と連通し、温度用電線収容凹部454の後端は、ハウジング440の後端縁から温度用電線407bが延出する電線引出口455を構成している。温度用電線収容凹部454は、電圧用電線収容凹部446よりも右側に離間して、一対のストレート部447と左右方向に略平行に配置される。
【0224】
ハウジング440の上面側のカバー装着凹部441の底面441aにおける、カバー430の一対の電線保持片435が配置される箇所には、図25に示すように、一対の電線保持片435に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部452が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部452は、電圧用電線収容凹部446の屈曲部448の屈曲頂点448a(図25参照)を前後方向に挟むように、配置されている。一対の電線保持片凹部452の底面は、電圧用電線収容凹部446及び温度用電線収容凹部454の底面より上側に位置している。
【0225】
各電線保持片凹部452は、ハウジング440の上面の右端縁から、電圧用電線収容凹部446及び温度用電線収容凹部454を横断して、カバー装着凹部441の右端内壁441b(図25参照)まで、左右方向に延びている。カバー装着凹部441の右端内壁441bにおける一対の電線保持片凹部452が接続する箇所には、それぞれ、右方に向けて窪む格納穴453が形成されている(図26参照)。カバー430のハウジング440への装着時、一対の格納穴453には、カバー430の一対の電線保持片435の延出端部(即ち、右側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0226】
ハウジング440の下面側のカバー装着凹部441の底面441aにおける、カバー430の上記係止部が配置される箇所と同じ前後方向位置には、上方に向けて窪む凹部である本被係止部が形成されている。以上、電圧検知ユニット405を構成する各部材について説明した。
【0227】
次いで、温度検知センサ407及びカバー430をハウジング440へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電圧用電線420を超音波接合や溶接等の手法によって温度検知センサ407の延在接合部476に接続し、その後、この温度検知センサ407を、ハウジング440のセンサ組付部456に組み付ける。このため、ハウジング440の係止凸部457に温度検知センサ407の係止凹部(図示省略)を係止させるように、温度検知センサ407が、ハウジング440のセンサ組付部456に組み付けられる。温度検知センサ407のハウジング440への組み付けが完了した状態では、温度検知センサ407の凹部471が凹部405aと前後方向に連通する。
【0228】
次いで、ハウジング440に組み付けられた温度検知センサ407から延びる電圧用電線420を、ハウジング440の電圧用電線収容凹部446(一対のストレート部447+屈曲部448)に収容する。このため、電圧用電線420が、上方から、一対のストレート部447及び屈曲部448から構成される電圧用電線収容凹部446に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部451の上部に位置する電圧用電線420の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電圧用電線420の一対の部分が一対の幅狭凹部451の内部に収容される。電圧用電線420のハウジング440への収容が完了した状態では、電圧用電線420は、電線引出口449から後方へ向けてハウジング440の外部に延出している。
【0229】
同様に、ハウジング440に組み付けられた温度検知センサ407(具体的には、センサ素子407a)から延びる温度用電線407bを、ハウジング440の温度用電線収容凹部454に収容する。このため、温度用電線407bが、上方から、温度用電線収容凹部454に沿って嵌め込まれる。温度用電線407bのハウジング440への収容が完了した状態では、温度用電線407bは、電線引出口455から後方へ向けてハウジング440の外部に延出している。
【0230】
次いで、カバー430をハウジング440に装着する。このため、カバー430の対向部431がハウジング440の上下面のカバー装着凹部441を上下に挟むように、且つ、カバー430の延出部432がハウジング440の上面側のカバー装着凹部441を覆うように、且つ、カバー430の一対の電線保持片435がハウジング440の一対の電線保持片凹部452に収容されるように、カバー430が、左方から、ハウジング440のカバー装着凹部441に装着される。
【0231】
カバー430がハウジング440に装着される過程において、カバー430の一対の電線保持片435の延出端部が一対の格納穴453内に更に進入して格納されると共に、カバー430の上記係止部は、まず、ハウジング440に摺動しながら、本被係止部の内部に進入して本被係止部と係合すると共に本被係止部の右側の側面に押し当てられる。これにより、カバー430が本係止位置にてハウジング440に係止されて、カバー430のハウジング440への装着が完了し、電圧検知ユニット405が得られる。なお、後述するように、カバー430のハウジング440への装着が完了して得られた電圧検知ユニット405は、導電モジュール403(図22参照)の組み立てに供されることになる。
【0232】
カバー430が本係止位置に係止された状態では、カバー装着凹部441の全域がカバー430によって覆われることで、電圧用電線収容凹部446及び温度用電線収容凹部454の全体がカバー430の延出部432によって覆われている。これにより、電圧用電線収容凹部446から電圧用電線420が抜け出すこと、及び、温度用電線407bが温度用電線収容凹部454から抜け出すことが抑制される。更に、カバー430の対向部431が、温度検知センサ407の延在接合部476の上面を覆っている(図26A参照)。これにより、電圧用電線420がカバー430の対向部431によって確実に覆われる。なお、この状態では、温度検知センサ407は、延在接合部476を除いては、外部に露出される。
【0233】
次いで、導電モジュール403及び蓄電装置401(図22参照)の組み立てについて説明する。上述したように、カバー430のハウジング440への装着が完了して得られた電圧検知ユニット405は、導電モジュール403(図22参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、導電板404のフランジ部404aと電圧検知ユニット405の凹部405aとが嵌合されることで、導電板404の左側に電圧検知ユニット405が連結されて、電圧検知ユニット405と導電板404との組み付けが完了する。この状態では、導電板404のフランジ部404aと温度検知センサ407の凹部471とが嵌合される。
【0234】
次いで、導電板404のフランジ部404bと対向ユニット406の凹部406aとが嵌合されることで、電圧検知ユニット405が組み付けられた導電板404の右側に対向ユニット406が連結される(図23等参照)。これにより、導電モジュール403の組み立てが完了する。
【0235】
このようにして得られた導電モジュール403は、図22に示す蓄電装置401の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール402と導電モジュール403とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置401が得られる。
【0236】
第4実施形態によれば、温度検知センサ407の筐体470に設けられた凹部471に、導電板404のフランジ部404bが嵌合されることで、伝熱性を有する筐体470を介した測温ができる。即ち、第4実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサ407への伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
【0237】
更に、第4実施形態によれば、筐体470に設けられた延在接合部476に、電圧用電線420が接続されることで、一のモジュールで電圧及び温度の検知が可能になる。
【0238】
なお、第4実施形態として具体化される発明は、第4実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第4実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第4実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0239】
(変形例)
第4実施形態では、筐体470の凹部471に導電板404のフランジ部404bが圧入されて嵌合されているが、図26Bに示すように、フランジ部404bに接触突部404aaが設けられて、この接触突部404aaが凹部471の内壁に接触されることで嵌合されてもよい。
【0240】
ここで、上述した電圧検知ユニット、及び、導電モジュールの実施形態の特徴をそれぞれ以下[4-1]~[4-2]に簡潔に纏めて列記する。
【0241】
[4-1]
積層される複数の蓄電モジュール(402)間にそれぞれ配置される導電板(404)の側縁部(フランジ部404b)に嵌合することになる凹部(405a)が板側面に設けられた板状のハウジング(440)と、
前記蓄電モジュール(402)の電圧検出用の電圧用電線(420)と、
前記蓄電モジュール(402)を測温する温度検知センサ(407)と、
前記温度検知センサ(407)に接続される温度用電線(407b)と、
を備えた電圧検知ユニット(405)であって、
前記温度検知センサ(407)は、
前記ハウジング(440)のセンサ組付部(456)に組み付けられて、前記側縁部(フランジ部404b)に嵌合することになる凹部(471)が設けられた伝熱性を有する筐体(470)と、
前記筐体(470)の内部に収容されて前記温度用電線(407b)が接続されるセンサ素子(407a)と、を有し、
前記筐体(470)には、前記電圧用電線(420)が接続される延在接合部(476)が設けられる、
電圧検知ユニット(405)。
【0242】
上記[4-1]の構成によれば、温度検知センサの筐体に設けられた凹部に、導電板の側縁部が嵌合されることで、伝熱性を有する筐体を介した測温ができる。即ち、上記構成によれば、従来に比べて、温度検知センサへの伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
また、上記構成によれば、筐体に設けられた延在接合部に、電圧用電線が接続されることで、一のモジュールで電圧及び温度の検知が可能になる。
【0243】
[4-2]
上記[4-1]に記載の電圧検知ユニット(405)と、前記導電板(404)と、を備えた導電モジュール(403)であって、
前記導電板(404)の前記側縁部(フランジ部404b)には、前記筐体(470)における前記凹部(471)の内壁に接触する接触突部(404aa)が設けられる、
導電モジュール(403)。
【0244】
上記[4-2]の構成によれば、上記[4-1]と同様の効果を奏し得る。
【0245】
<第5実施形態>
第5実施形態として具体化される発明は、導電モジュールに関する。以下、図面を参照しながら、第5実施形態に係る導電モジュール503について、図27図31を参照して説明する。
【0246】
第5実施形態に係る導電モジュールは、下記を特徴としている。
積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される板状の導電板と、
前記蓄電モジュールを測温する温度検知センサと、
前記温度検知センサに導通接続される温度用電線と、
を備えた導電モジュールであって、
前記導電板における板厚方向と交差する第1方向の少なくとも一側面には、前記温度検知センサを収容可能な複数のセンサ収容部が設けられ、
前記複数のセンサ収容部は、
前記第1方向にそれぞれ延びて、前記板厚方向及び前記第1方向と交差する第2方向に並設される、
導電モジュールであること。
【0247】
第5実施形態よれば、温度検知センサを、導電板に設けられた複数のセンサ収容部に収容可能に構成される。これにより、温度検知センサは、蓄電モジュールから発して導電板に伝わる熱を導電板から直接測温できる。即ち、第5実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサへの伝熱性に優れると共に、温度検知センサが熱源となる蓄電モジュール(導電板)の中央部に近付くため測温性能に優れる。
【0248】
以下、説明の便宜上、図27等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。なお、前後方向は、「板厚方向」に対応している。また、前後方向は、「第1方向」に対応している。また、左右方向は、「第2方向」に対応している。
【0249】
電圧検知ユニット505は、典型的には、図27に示す積層型の蓄電装置501に使用される。蓄電装置501は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール502と、隣接する蓄電モジュール502の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール503と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置501では、複数の蓄電モジュール502が導電モジュール503を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール502は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール502全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0250】
導電モジュール503は、図27に示すように、矩形薄板状の導電板504(なお、導電板504は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板504の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット505と、導電板504の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット506とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図27及び図28に示すように、導電板504と電圧検知ユニット505とは、導電板504の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部504aと、電圧検知ユニット505の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部505aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板504と対向ユニット506とは、導電板504の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部504bと、対向ユニット506の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部506aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0251】
上下に隣接する蓄電モジュール502の間に位置する個々の導電モジュール503において、導電板504は、図28に示すように、上下の蓄電モジュール502と直接接触している。このため、導電板504は、上側の蓄電モジュール502の下面と下側の蓄電モジュール502の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール502から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0252】
上下に隣接する蓄電モジュール502の間に位置する個々の導電モジュール503において、電圧検知ユニット505は、導電板504に接触する後述する電圧検知端子510(図28等参照)を備える。電圧検知ユニット505は、この電圧検知端子510に接続された電圧用電線520(図28等参照)を介して、上下の蓄電モジュール502の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール502の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図27及び図28では電圧検知ユニット505が導電板504の左側に配置されているが、電圧検知ユニット505と同じ機能を有する電圧検知ユニットが導電板504の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット505と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット505の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット505のミラー品)が使用される。
【0253】
上下に隣接する蓄電モジュール502の間に位置する個々の導電モジュール503において、対向ユニット506としては、蓄電装置501の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0254】
対向ユニット506が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット506として、電圧検知ユニット505の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット505のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット505が導電板504の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット505のミラー品が導電板504の右側に配置される。対向ユニット506(電圧検知ユニット505のミラー品)は、電圧検知ユニット505と同じ機能を果たす。
【0255】
対向ユニット506がダミーユニットである場合、対向ユニット506として、図27に示すように、前後方向に延びる凹部506aを有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット506は、上下の蓄電モジュール502の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0256】
対向ユニット506が温度検知ユニットである場合、対向ユニット506として、図27に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度検知センサ(図示省略、例えばサーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される。この場合、対向ユニット506は、温度検知センサに接続された温度用電線を介して、上下の蓄電モジュール502の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0257】
以下、第5実施形態に係る電圧検知ユニット505の具体的な構成について説明する。電圧検知ユニット505は、図29に示すように、ハウジング540と、ハウジング540に収容される電圧検知端子510と、電圧検知端子510に接続され且つハウジング540に収容される電圧用電線520と、ハウジング540に装着されるカバー530と、を備える。
【0258】
電圧検知端子510は、ハウジング540に形成された端子収容凹部(符号省略)に収容され、電圧用電線520は、ハウジング540に形成された後述する電線収容凹部546(図30参照)に収容され、カバー530は、ハウジング540に形成された後述するカバー装着凹部541(図30参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット505を構成する各部材について順に説明する。
【0259】
まず、電圧検知端子510について説明する。金属製の電圧検知端子510は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子510は、上方から、ハウジング540の端子収容凹部に収容される。電圧検知端子510は、図30に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分511と、第1部分511の前端部から右方に延びる矩形平板状の第2部分512と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0260】
第1部分511の先端部511a(即ち、後端側の端部)の下面には、電圧用電線520の一端部が電気的に接続されるように固定される。電圧用電線520の他端部は、蓄電装置501の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。第2部分512の先端部512a(即ち、右端側の端部)の下面には、導電板504のフランジ部504aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(図29参照)。
【0261】
第2部分512の前端縁には、前方に突出する突起部513が形成されている。電圧検知端子510のハウジング540への収容時、突起部513は、ハウジング540に形成された係止溝545(図30参照)に係止されることになる。
【0262】
次いで、カバー530について説明する。カバー530は、樹脂成形品であり、左方から、ハウジング540のカバー装着凹部541に装着される。カバー530は、対向部531と、対向部531から後方に延びる延出部532と、で構成される。対向部531は、主として電圧検知端子510を覆って保護する機能を果たし、延出部532は、主として電圧用電線520を覆って保護する機能を果たす。
【0263】
対向部531は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の同形の平板部533と、一対の平板部533の前後方向に延びる左端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部534と、で構成される。対向部531は、前後方向からみて、右方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部533は、連結部534から繋がる略正方形の平板状の基部533aと、基部533aの前端部から右方に延びる矩形平板状の延出部533bと、から構成され、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有している。延出部532は、対向部531を構成する一対の平板部533のうち上側の平板部533(より具体的には、上側の基部533a)の後端縁から面一で連続して後方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。
【0264】
延出部532には、左右方向に延びる一対の電線保持片535が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片535は、延出部532の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部532の左端縁から更に右方に向けて突出している。カバー530のハウジング540への装着時、電線保持片535は、ハウジング540に収容された電圧用電線520を保持する機能を果たす。
【0265】
対向部531を構成する一対の平板部533のうち下側の平板部533(より具体的には、下側の基部533a)の所定箇所には、上側の平板部533に向けて上方に突出する係止部(図示省略)が形成されている。この係止部は、ハウジング540に設けられた仮被係止部(図示省略)及び本被係止部(図示省略)との協働により、カバー530を、仮係止位置と、本係止位置と、に係止する機能を果たす。
【0266】
次いで、ハウジング540について説明する。ハウジング540は、樹脂成形品であり、図27等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング540の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部505aが形成されている。凹部505aには、導電板504のフランジ部504aが嵌合されることになる(図29等参照)。
【0267】
ハウジング540の上下面におけるカバー530が装着される箇所には、カバー530の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部541が形成されている(図30参照)。カバー装着凹部541の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー530(対向部531+延出部532)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー530のハウジング540への装着時、ハウジング540の表面とカバー530の表面とは、面一になる(図27参照)。
【0268】
ハウジング540の上面側のカバー装着凹部541の底面541aにおける電圧検知端子510が収容される箇所には、電圧検知端子510の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部が形成されている(図30参照)。端子収容凹部の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子510の板厚と等しい。よって、電圧検知端子510のハウジング540への装着時、電圧検知端子510の上面と、カバー装着凹部541の底面541aとは、面一になる。
【0269】
ハウジング540の右端縁における、電圧検知端子510の先端部512aが配置される前後方向位置には、左方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き543が形成されている。ハウジング540の右側端面にて前後方向に延びる凹部505aは、切欠き543によって分断されている。電圧検知端子510のハウジング540への収容時、電圧検知端子510の先端部512aの上下面が、切欠き543によって露出することになる。
【0270】
端子収容凹部における電圧検知端子510の先端部511aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔544が形成されている。電圧検知端子510のハウジング540への収容時、貫通孔544には、電圧検知端子510に接続された電圧用電線520の一端部(接点)が進入する。換言すれば、貫通孔544は、端子収容凹部の底面と電圧用電線520の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0271】
端子収容凹部における、電圧検知端子510の突起部513(図30参照)が配置される箇所の内壁面には、突起部513に対応して、前方へ窪み且つ凹部505aと連通する係止溝545が形成されている(図30参照)。
【0272】
ハウジング540の上面における電圧用電線520が収容される箇所には、電圧用電線520が収容される際の電圧用電線520の配索形態に対応する形状を有して窪む電線収容凹部546が形成されている(図30参照)。電線収容凹部546は、前後方向に一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部547と、一対のストレート部547を繋ぐと共に左方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部548と、で構成される一連の溝部である。電線収容凹部546(一対のストレート部547+屈曲部548)における、右側の溝側壁(左方を向いた壁)及び左側の溝側壁(右方を向いた壁)の各々は、電線収容凹部546の溝底壁から上下方向に平行に上方に向けて延びている。
【0273】
一対のストレート部547のうち前側のストレート部547の前端は、端子収容凹部と連通し、一対のストレート部547のうち後側のストレート部547の後端は、ハウジング540の後端縁から電圧用電線520が延出する電線引出口549を構成している。このように、電線収容凹部546が屈曲部548を有することで、電線収容凹部546がストレート部547のみで構成される場合に比べ、ハウジング540から引き出された電圧用電線520に意図しない外力が及んでも、屈曲部548と電圧用電線520との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子510と電圧用電線520との接点に大きな外力が及び難い。
【0274】
一対のストレート部547における屈曲部548との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部547より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部551が設けられている。幅狭凹部551の幅は、電圧用電線520の外径より僅かに小さい。このため、電圧用電線520を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部551に電圧用電線520を挟持することで、ハウジング540から引き出された電圧用電線520に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部551と電圧用電線520との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子510と電圧用電線520との接点に大きな外力が及び難い。更には、屈曲部548から電圧用電線520が抜け出して屈曲部548をまたぐ(即ち、屈曲部548をショートカットする)ように電圧用電線520が配索されることを、強力に抑制することができる。
【0275】
ハウジング540の上面側のカバー装着凹部541の底面541aにおける、カバー530の一対の電線保持片535が配置される箇所には、図30に示すように、一対の電線保持片535に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部552が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部552は、電線収容凹部546の屈曲部548の屈曲頂点548a(図30参照)を前後方向に挟むように、配置されている。一対の電線保持片凹部552の底面は、電線収容凹部546の底面より上側に位置している。
【0276】
各電線保持片凹部552は、ハウジング540の上面の右端縁から、電線収容凹部546を横断して、カバー装着凹部541の右端内壁541b(図30参照)まで、左右方向に延びている。カバー装着凹部541の右端内壁541bにおける一対の電線保持片凹部552が接続する箇所には、それぞれ、右方に向けて窪む格納穴553が形成されている(図30参照)。カバー530のハウジング540への装着時、一対の格納穴553には、カバー530の一対の電線保持片535の延出端部(即ち、右側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0277】
ハウジング540の下面側のカバー装着凹部541の底面541aにおける、カバー530の上記係止部が配置される箇所と同じ前後方向位置には、上方に向けて窪む凹部である、仮被係止部及び本被係止部が、この順に、左から右に間隔を空けて並ぶように形成されている。以上、電圧検知ユニット505を構成する各部材について説明した。
【0278】
次いで、電圧検知端子510及びカバー530をハウジング540へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電圧用電線520があらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された電圧検知端子510を、ハウジング540の端子収容凹部に収容する。このため、突起部513が係止溝545に進入し且つ電圧用電線520の一端部(接点)が貫通孔544に進入するように、電圧検知端子510が、上方から、ハウジング540の端子収容凹部に嵌め込まれる。電圧検知端子510のハウジング540への収容が完了した状態では、電圧検知端子510の先端部512aの上下面が、切欠き543によって露出している。
【0279】
次いで、ハウジング540に収容された電圧検知端子510から延びる電圧用電線520を、ハウジング540の電線収容凹部546(一対のストレート部547+屈曲部548)に収容する。このため、電圧用電線520が、上方から、一対のストレート部547及び屈曲部548から構成される電線収容凹部546に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部551の上部に位置する電圧用電線520の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電圧用電線520の一対の部分が一対の幅狭凹部551の内部に収容される。電圧用電線520のハウジング540への収容が完了した状態では、電圧用電線520は、電線引出口549から後方へ向けてハウジング540の外部に延出している。
【0280】
次いで、カバー530をハウジング540に装着する。このため、カバー530の対向部531がハウジング540の上下面のカバー装着凹部541を上下に挟むように、且つ、カバー530の延出部532がハウジング540の上面側のカバー装着凹部541を覆うように、且つ、カバー530の一対の電線保持片535がハウジング540の一対の電線保持片凹部552に収容されるように、カバー530が、左方から、ハウジング540のカバー装着凹部541に装着される。
【0281】
カバー530がハウジング540に装着される過程において、カバー530の上記係止部は、まず、ハウジング540に摺動しながら、仮被係止部の内部に進入して仮被係止部と係合すると共に仮被係止部の右側の側面に押し当てられる。これにより、カバー530が仮係止位置にてハウジング540に係止されて、カバー530のハウジング540への装着が完了し、電圧検知ユニット505が得られる。なお、後述するように、カバー530のハウジング540への装着が完了して(カバー530が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット505は、導電モジュール503(図28参照)の組み立てに供されることになる。
【0282】
カバー530が仮係止位置に係止された状態では、カバー530の対向部531(より具体的には、上下一対の延出部533b)が、電圧検知端子510の先端部512aを覆っていない。このため、電圧検知端子510の先端部512aの上下面が、なおも切欠き543によって露出している。
【0283】
更に、カバー530の一対の電線保持片535が電線収容凹部546のストレート部547及び屈曲部548の一部の開口上に配置される。これにより、電圧用電線520が電線収容凹部546から抜け出すことが抑制される。更に、一対の電線保持片535の延出端部が一対の格納穴553に受け入れられている。これにより、一対の電線保持片535の位置ズレや一対の電線保持片535が電線収容凹部546から離れるような意図しない変形を抑制できる。更に、カバー530の延出部532が電線収容凹部546の屈曲部548の屈曲頂点548aの開口上に配置される。これにより、電線収容凹部546から電圧用電線520が抜け出して屈曲部548をまたぐ(即ち、屈曲部548をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電圧用電線520が電線収容凹部546の屈曲部548から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0284】
カバー530が仮係止位置に係止された状態にて、ハウジング540に対してカバー530を更に左方に押し込むと、カバー530の一対の電線保持片535の延出端部が一対の格納穴553内に更に進入して格納されると共に、カバー530の上記係止部が、仮被係止部を乗り越え、その後、本被係止部の内部に進入して本被係止部と係合する。これにより、カバー530が本係止位置にてハウジング540に係止される。
【0285】
カバー530が本係止位置に係止された状態では、カバー装着凹部541の全域がカバー530によって覆われることで、電線収容凹部546の全体がカバー530の延出部532によって覆われている。これにより、電線収容凹部546から電圧用電線520が抜け出すことが抑制される。更に、カバー530の対向部531(より具体的には、上下一対の延出部533b)が、電圧検知端子510の先端部512aの上下面を覆っている。これにより、電圧検知端子510の全体がカバー530の対向部531によって覆われるので、電圧検知端子510が確実に保護され得る。
【0286】
次いで、第5実施形態に係る導電板504に収容される温度検知センサ507について説明する。まず、導電板504のセンサ収容部504cについて説明する。導電板504の後端面には、温度検知センサ507を収容可能な複数のセンサ収容部504cが設けられている(図31参照)。複数のセンサ収容部504cは、前後方向に直線状にそれぞれ延びて、左右方向に並設されている。複数のセンサ収容部504cは、導電板504の後端面から前端面まで延びる貫通孔状に形成されていてもよいし、導電板504の後端面から前方に窪む溝状に形成されていてもよい。複数のセンサ収容部504cの内周形状は、温度検知センサ507の筐体570の外周形状に対応して形成される。
【0287】
次いで、温度検知センサ507について説明する。温度検知センサ507は、典型的には、サーミスタである。温度検知センサ507は、前後方向に延びる直方体状の筐体570を有しており(図31参照)、その筐体570の内部にセンサ素子507aが収容され、筐体570の後端から後方に向けてセンサ素子507aに接続された温度用電線507bが延びている。温度検知センサ507は、後方から、導電板504のセンサ収容部504cに収容される。温度用電線507bの延出端部は、蓄電装置501の外部において、温度計測装置(図示省略)に接続されることになる。以上、温度検知センサ507について説明した。
【0288】
次いで、導電モジュール503及び蓄電装置501(図27参照)の組み立てについて説明する。上述したように、カバー530のハウジング540への装着が完了して(カバー530が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット505は、導電モジュール503(図27参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、導電板504のフランジ部504aと電圧検知ユニット505の凹部505aとが嵌合されることで、導電板504の左側に電圧検知ユニット505が連結される。
【0289】
この状態では、導電板504のフランジ部504aの一部が電圧検知端子510の先端部512aの下側に重なるように配置されており(図29参照)、ハウジング540の切欠き543の存在に起因して、電圧検知端子510の先端部512aの上面が上方に露出し、且つ、導電板504のフランジ部504aの一部の下面が下方に露出している。
【0290】
次いで、上方に露出する電圧検知端子510の先端部512aの上面と、下方に露出する導電板504のフランジ部504aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子510の先端部512aと導電板504のフランジ部504aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー530が仮係止位置から本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット505と導電板504との組み付けが完了する。
【0291】
次いで、導電板504のフランジ部504bと対向ユニット506の凹部506aとが嵌合されることで、電圧検知ユニット505が組み付けられた導電板504の右側に対向ユニット506が連結される(図27等参照)。
【0292】
次いで、温度検知センサ507が、後方から、導電板504のセンサ収容部504cに圧入されることで、センサ収容部504cに温度検知センサ507が収容される。温度検知センサ507の数については適宜決定されると共に、温度検知センサ507が収容されるセンサ収容部504cの場所についても適宜決定されるものである。
【0293】
このようにして得られた導電モジュール503は、図27に示す蓄電装置501の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール502と導電モジュール503とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置501が得られる。
【0294】
第5実施形態によれば、温度検知センサ507を、導電板504に設けられた複数のセンサ収容部504cに収容可能に構成される。これにより、温度検知センサ507は、蓄電モジュール502から発して導電板504に伝わる熱を導電板504から直接測温できる。即ち、第5実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサ507への伝熱性に優れると共に、温度検知センサ507が熱源となる蓄電モジュール502(導電板504)の中央部に近付くため測温性能に優れる。
【0295】
なお、第5実施形態として具体化される発明は、第5実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第5実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第5実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0296】
ここで、上述した導電モジュールの実施形態の特徴をそれぞれ以下[5-1]~[5-2]に簡潔に纏めて列記する。
【0297】
[5-1]
積層される複数の蓄電モジュール(502)間にそれぞれ配置される板状の導電板(504)と、
前記蓄電モジュール(502)を測温する温度検知センサ(507)と、
前記温度検知センサ(507)に導通接続される温度用電線(507b)と、
を備えた導電モジュール(503)であって、
前記導電板(504)における板厚方向と交差する第1方向の少なくとも一側面には、前記温度検知センサ(507)を収容可能な複数のセンサ収容部(504c)が設けられ、
前記複数のセンサ収容部(504c)は、
前記第1方向にそれぞれ延びて、前記板厚方向及び前記第1方向と交差する第2方向に並設される、
導電モジュール(503)。
【0298】
上記[5-1]の構成によれば、温度検知センサを、導電板に設けられた複数のセンサ収容部に収容可能に構成される。これにより、温度検知センサは、蓄電モジュールから発して導電板に伝わる熱を導電板から直接測温できる。即ち、上記構成によれば、従来に比べて、温度検知センサへの伝熱性に優れると共に、温度検知センサが熱源となる蓄電モジュール(導電板)の中央部に近付くため測温性能に優れる。
【0299】
[5-2]
上記[5-1]に記載の導電モジュール(503)であって、
前記導電板(504)における前記第2方向の少なくとも一側縁部には、相手側ユニットと嵌合可能なフランジ部(504a,504b)が設けられる、
導電モジュール(503)。
【0300】
上記[5-2]の構成によれば、導電板にフランジ部が形成されることで、フランジ部によって電圧検知ユニットや温度検知ユニット等の相手側ユニットを導電板に連結することができる。
【0301】
<第6実施形態>
第6実施形態として具体化される発明は、導電モジュールに関する。以下、図面を参照しながら、第6実施形態に係る導電モジュール603について、図32図37を参照して説明する。
【0302】
第6実施形態に係る導電モジュールは、下記を特徴としている。
積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される板状の導電板と、
前記蓄電モジュールを測温する温度検知センサを有して、前記導電板の側縁部に連結される板状の温度検知ユニットと、
前記導電板及び前記温度検知ユニットと、前記蓄電モジュールと、の間に位置する熱伝導シートと、
を備えた導電モジュールであって、
前記熱伝導シートは、
前記導電板と前記温度検知ユニットとを跨ぐように、前記導電板及び前記温度検知ユニットの板表面に貼り付けられる、
導電モジュールであること。
【0303】
第6実施形態よれば、熱伝導シートが、導電板及び温度検知ユニットと、蓄電モジュールと、の間に位置して、導電板と温度検知ユニットとを跨ぐように、導電板及び温度検知ユニットの板表面に貼り付けられる。これにより、蓄電モジュールから発する熱が、熱伝導シートを介して温度検知ユニットの温度検知センサに伝わる。即ち、第6実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサへの伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
【0304】
以下、説明の便宜上、図32等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0305】
電圧検知ユニット605は、典型的には、図32に示す積層型の蓄電装置601に使用される。蓄電装置601は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール602と、隣接する蓄電モジュール602の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール603と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置601では、複数の蓄電モジュール602が導電モジュール603を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール602は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール602全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0306】
導電モジュール603は、図32に示すように、矩形薄板状の導電板604(なお、導電板604は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板604の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット605と、導電板604の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット606とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図32及び図34に示すように、導電板604と電圧検知ユニット605とは、導電板604の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部604aと、電圧検知ユニット605の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部605aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板604と対向ユニット606とは、導電板604の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部604bと、対向ユニット606の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部606aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0307】
上下に隣接する蓄電モジュール602の間に位置する個々の導電モジュール603において、導電板604は、図34に示すように、上下の蓄電モジュール602と直接接触している。このため、導電板604は、上側の蓄電モジュール602の下面と下側の蓄電モジュール602の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール602から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0308】
上下に隣接する蓄電モジュール602の間に位置する個々の導電モジュール603において、電圧検知ユニット605は、導電板604に接触する後述する電圧検知端子610(図33等参照)を備える。電圧検知ユニット605は、この電圧検知端子610に接続された電圧用電線620(図32等参照)を介して、上下の蓄電モジュール602の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール602の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図32図34では電圧検知ユニット605が導電板604の左側に配置されているが、電圧検知ユニット605と同じ機能を有する電圧検知ユニットが導電板604の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット605と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット605の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット605のミラー品)が使用される。
【0309】
上下に隣接する蓄電モジュール602の間に位置する個々の導電モジュール603において、対向ユニット606としては、蓄電装置601の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0310】
対向ユニット606が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット606として、電圧検知ユニット605の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット605のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット605が導電板604の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット605のミラー品が導電板604の右側に配置される。対向ユニット606(電圧検知ユニット605のミラー品)は、電圧検知ユニット605と同じ機能を果たす。
【0311】
対向ユニット606がダミーユニットである場合、対向ユニット606として、図32に示すように、前後方向に延びる凹部606aを有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット606は、上下の蓄電モジュール602の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0312】
対向ユニット606が温度検知ユニットである場合、対向ユニット606として、図32に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度検知センサ607(サーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される(これについては後述する)。この場合、対向ユニット606は、温度検知センサ607に接続された温度用電線607b(図32参照)を介して、上下の蓄電モジュール602の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0313】
上下に隣接する蓄電モジュール602の間に位置する個々の導電モジュール603において、対向ユニット606が温度検知ユニットである場合、導電モジュール603は、図33に示すように、導電板604及び対向ユニット606と、蓄電モジュール602と、の間に位置する熱伝導シート608を備えている。熱伝導シート608は、シリコンやアクリル等の樹脂に金属フィラー等が配合された公知の熱伝導シートであって、導電板604と対向ユニット606とを跨ぐように、これらの下端面に貼り付けられる。換言すれば、導電板604及び対向ユニット606と、蓄電モジュール602と、の間の隙間を埋めるように、熱伝導シート608が配される。このため、熱伝導シート608は、導電板604及び対向ユニット606や、蓄電モジュール602に密着することが好ましく、更には、これらの表面形状(微小な凹凸等)に追従するように形成されることが好ましい。
【0314】
以下、第6実施形態に係る電圧検知ユニット605の具体的な構成について説明する。電圧検知ユニット605は、図36に示すように、ハウジング640と、ハウジング640に収容される電圧検知端子610と、電圧検知端子610に接続され且つハウジング640に収容される電圧用電線620と、ハウジング640に装着されるカバー630と、を備える。
【0315】
電圧検知端子610は、ハウジング640に形成された端子収容凹部(符号省略)に収容され、電圧用電線620は、ハウジング640に形成された後述する電線収容凹部646(図36参照)に収容され、カバー630は、ハウジング640に形成された後述するカバー装着凹部641(図36参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット605を構成する各部材について順に説明する。
【0316】
まず、電圧検知端子610について説明する。金属製の電圧検知端子610は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子610は、上方から、ハウジング640の端子収容凹部に収容される。電圧検知端子610は、図36に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分611と、第1部分611の前端部から右方に延びる矩形平板状の第2部分612と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0317】
第1部分611の先端部611a(即ち、後端側の端部)の下面には、電圧用電線620の一端部が電気的に接続されるように固定される。電圧用電線620の他端部は、蓄電装置601の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。第2部分612の先端部612a(即ち、右端側の端部)の下面には、導電板604のフランジ部604aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(図34参照)。
【0318】
第2部分612の前端縁には、前方に突出する突起部613が形成されている。電圧検知端子610のハウジング640への収容時、突起部613は、ハウジング640に形成された係止溝645(図35参照)に係止されることになる。
【0319】
次いで、カバー630について説明する。カバー630は、樹脂成形品であり、左方から、ハウジング640のカバー装着凹部641に装着される。カバー630は、対向部631と、対向部631から後方に延びる延出部632と、で構成される。対向部631は、主として電圧検知端子610を覆って保護する機能を果たし、延出部632は、主として電圧用電線620を覆って保護する機能を果たす。
【0320】
対向部631は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の同形の平板部633と、一対の平板部633の前後方向に延びる左端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部634と、で構成される。対向部631は、前後方向からみて、右方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部633は、連結部634から繋がる略正方形の平板状の基部633aと、基部633aの前端部から右方に延びる矩形平板状の延出部633bと、から構成され、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有している。延出部632は、対向部631を構成する一対の平板部633のうち上側の平板部633(より具体的には、上側の基部633a)の後端縁から面一で連続して後方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。
【0321】
延出部632には、左右方向に延びる一対の電線保持片635が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片635は、延出部632の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部632の左端縁から更に右方に向けて突出している。カバー630のハウジング640への装着時、電線保持片635は、ハウジング640に収容された電圧用電線620を保持する機能を果たす。
【0322】
対向部631を構成する一対の平板部633のうち下側の平板部633(より具体的には、下側の基部633a)の所定箇所には、上側の平板部633に向けて上方に突出する係止部(図示省略)が形成されている。この係止部は、ハウジング640に設けられた仮被係止部(図示省略)及び本被係止部(図示省略)との協働により、カバー630を、仮係止位置と、本係止位置と、に係止する機能を果たす。
【0323】
次いで、ハウジング640について説明する。ハウジング640は、樹脂成形品であり、図32等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング640の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部605aが形成されている。凹部605aには、導電板604のフランジ部604aが嵌合されることになる(図34及び図35等参照)。
【0324】
ハウジング640の上下面におけるカバー630が装着される箇所には、カバー630の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部641が形成されている(図36参照)。カバー装着凹部641の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー630(対向部631+延出部632)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー630のハウジング640への装着時、ハウジング640の表面とカバー630の表面とは、面一になる(図32参照)。
【0325】
ハウジング640の上面側のカバー装着凹部641の底面641aにおける電圧検知端子610が収容される箇所には、電圧検知端子610の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部が形成されている(図36参照)。端子収容凹部の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子610の板厚と等しい。よって、電圧検知端子610のハウジング640への装着時、電圧検知端子610の上面と、カバー装着凹部641の底面641aとは、面一になる。
【0326】
ハウジング640の右端縁における、電圧検知端子610の先端部612aが配置される前後方向位置には、左方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き643が形成されている。ハウジング640の右側端面にて前後方向に延びる凹部605aは、切欠き643によって分断されている。電圧検知端子610のハウジング640への収容時、電圧検知端子610の先端部612aの上下面が、切欠き643によって露出することになる。
【0327】
端子収容凹部における電圧検知端子610の先端部611aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔644が形成されている。電圧検知端子610のハウジング640への収容時、貫通孔644には、電圧検知端子610に接続された電圧用電線620の一端部(接点)が進入する。換言すれば、貫通孔644は、端子収容凹部の底面と電圧用電線620の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0328】
端子収容凹部における、電圧検知端子610の突起部613(図36参照)が配置される箇所の内壁面には、突起部613に対応して、前方へ窪み且つ凹部605aと連通する係止溝645が形成されている(図35参照)。
【0329】
ハウジング640の上面における電圧用電線620が収容される箇所には、電圧用電線620が収容される際の電圧用電線620の配索形態に対応する形状を有して窪む電線収容凹部646が形成されている(図36参照)。電線収容凹部646は、前後方向に一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部647と、一対のストレート部647を繋ぐと共に左方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部648と、で構成される一連の溝部である。電線収容凹部646(一対のストレート部647+屈曲部648)における、右側の溝側壁(左方を向いた壁)及び左側の溝側壁(右方を向いた壁)の各々は、電線収容凹部646の溝底壁から上下方向に平行に上方に向けて延びている。
【0330】
一対のストレート部647のうち前側のストレート部647の前端は、端子収容凹部と連通し、一対のストレート部647のうち後側のストレート部647の後端は、ハウジング640の後端縁から電圧用電線620が延出する電線引出口649を構成している。このように、電線収容凹部646が屈曲部648を有することで、電線収容凹部646がストレート部647のみで構成される場合に比べ、ハウジング640から引き出された電圧用電線620に意図しない外力が及んでも、屈曲部648と電圧用電線620との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子610と電圧用電線620との接点に大きな外力が及び難い。
【0331】
一対のストレート部647における屈曲部648との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部647より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部651が設けられている。幅狭凹部651の幅は、電圧用電線620の外径より僅かに小さい。このため、電圧用電線620を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部651に電圧用電線620を挟持することで、ハウジング640から引き出された電圧用電線620に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部651と電圧用電線620との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子610と電圧用電線620との接点に大きな外力が及び難い。更には、屈曲部648から電圧用電線620が抜け出して屈曲部648をまたぐ(即ち、屈曲部648をショートカットする)ように電圧用電線620が配索されることを、強力に抑制することができる。
【0332】
ハウジング640の上面側のカバー装着凹部641の底面641aにおける、カバー630の一対の電線保持片635が配置される箇所には、図35に示すように、一対の電線保持片635に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部652が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部652は、電線収容凹部646の屈曲部648の屈曲頂点648a(図36参照)を前後方向に挟むように、配置されている。一対の電線保持片凹部652の底面は、電線収容凹部646の底面より上側に位置している。
【0333】
各電線保持片凹部652は、ハウジング640の上面の右端縁から、電線収容凹部646を横断して、カバー装着凹部641の右端内壁641b(図36参照)まで、左右方向に延びている。カバー装着凹部641の右端内壁641bにおける一対の電線保持片凹部652が接続する箇所には、それぞれ、右方に向けて窪む格納穴653が形成されている(図36参照)。カバー630のハウジング640への装着時、一対の格納穴653には、カバー630の一対の電線保持片635の延出端部(即ち、右側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0334】
ハウジング640の下面側のカバー装着凹部641の底面641aにおける、カバー630の上記係止部が配置される箇所と同じ前後方向位置には、上方に向けて窪む凹部である、仮被係止部及び本被係止部が、この順に、左から右に間隔を空けて並ぶように形成されている。以上、電圧検知ユニット605を構成する各部材について説明した。
【0335】
次いで、電圧検知端子610及びカバー630をハウジング640へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電圧用電線620があらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された電圧検知端子610を、ハウジング640の端子収容凹部に収容する。このため、突起部613が係止溝645に進入し且つ電圧用電線620の一端部(接点)が貫通孔644に進入するように、電圧検知端子610が、上方から、ハウジング640の端子収容凹部に嵌め込まれる。電圧検知端子610のハウジング640への収容が完了した状態では、電圧検知端子610の先端部612aの上下面が、切欠き643によって露出している。
【0336】
次いで、ハウジング640に収容された電圧検知端子610から延びる電圧用電線620を、ハウジング640の電線収容凹部646(一対のストレート部647+屈曲部648)に収容する。このため、電圧用電線620が、上方から、一対のストレート部647及び屈曲部648から構成される電線収容凹部646に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部651の上部に位置する電圧用電線620の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電圧用電線620の一対の部分が一対の幅狭凹部651の内部に収容される。電圧用電線620のハウジング640への収容が完了した状態では、電圧用電線620は、電線引出口649から後方へ向けてハウジング640の外部に延出している。
【0337】
次いで、カバー630をハウジング640に装着する。このため、カバー630の対向部631がハウジング640の上下面のカバー装着凹部641を上下に挟むように、且つ、カバー630の延出部632がハウジング640の上面側のカバー装着凹部641を覆うように、且つ、カバー630の一対の電線保持片635がハウジング640の一対の電線保持片凹部652に収容されるように、カバー630が、左方から、ハウジング640のカバー装着凹部641に装着される。
【0338】
カバー630がハウジング640に装着される過程において、カバー630の上記係止部は、まず、ハウジング640に摺動しながら、仮被係止部の内部に進入して仮被係止部と係合すると共に仮被係止部の右側の側面に押し当てられる。これにより、カバー630が仮係止位置にてハウジング640に係止されて、カバー630のハウジング640への装着が完了し、電圧検知ユニット605が得られる。なお、後述するように、カバー630のハウジング640への装着が完了して(カバー630が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット605は、導電モジュール603(図32参照)の組み立てに供されることになる。
【0339】
カバー630が仮係止位置に係止された状態では、カバー630の対向部631(より具体的には、上下一対の延出部633b)が、電圧検知端子610の先端部612aを覆っていない。このため、電圧検知端子610の先端部612aの上下面が、なおも切欠き643によって露出している。
【0340】
更に、カバー630の一対の電線保持片635が電線収容凹部646のストレート部647及び屈曲部648の一部の開口上に配置される。これにより、電圧用電線620が電線収容凹部646から抜け出すことが抑制される。更に、一対の電線保持片635の延出端部が一対の格納穴653に受け入れられている。これにより、一対の電線保持片635の位置ズレや一対の電線保持片635が電線収容凹部646から離れるような意図しない変形を抑制できる。更に、カバー630の延出部632が電線収容凹部646の屈曲部648の屈曲頂点648aの開口上に配置される。これにより、電線収容凹部646から電圧用電線620が抜け出して屈曲部648をまたぐ(即ち、屈曲部648をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電圧用電線620が電線収容凹部646の屈曲部648から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0341】
カバー630が仮係止位置に係止された状態にて、ハウジング640に対してカバー630を更に左方に押し込むと、カバー630の一対の電線保持片635の延出端部が一対の格納穴653内に更に進入して格納されると共に、カバー630の上記係止部が、仮被係止部を乗り越え、その後、本被係止部の内部に進入して本被係止部と係合する。これにより、カバー630が本係止位置にてハウジング640に係止される。
【0342】
カバー630が本係止位置に係止された状態では、カバー装着凹部641の全域がカバー630によって覆われることで、電線収容凹部646の全体がカバー630の延出部632によって覆われている。これにより、電線収容凹部646から電圧用電線620が抜け出すことが抑制される。更に、カバー630の対向部631(より具体的には、上下一対の延出部633b)が、電圧検知端子610の先端部612aの上下面を覆っている。これにより、電圧検知端子610の全体がカバー630の対向部631によって覆われるので、電圧検知端子610が確実に保護され得る。
【0343】
以下、第6実施形態に係る対向ユニット606が温度検知ユニットである場合の具体的な構成について説明する。対向ユニット606は、図32に示すように、ハウジング660と、ハウジング660に収容される温度検知センサ607と、温度検知センサ607に接続される温度用電線607bと、を備える。温度検知センサ607は、ハウジング660に形成された後述するセンサ収容凹部661(図37参照)に収容される。以下、温度検知ユニットである対向ユニット606を構成する各部材について順に説明する。
【0344】
まず、ハウジング660について説明する。ハウジング660は、樹脂成形品であり、図32等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング660の後側端面の左右方向中央部には、温度検知センサ607の筐体の全体形状に対応して、前後方向に延びる直方体状に前方に向けて窪む、センサ収容凹部661が形成されている。
【0345】
次いで、温度検知センサ607について説明する。温度検知センサ607は、典型的には、サーミスタである。温度検知センサ607は、前後方向に延びる直方体状の筐体を有しており、その筐体の内部にセンサ素子607a(図37参照)が収容され、筐体の後端から後方に向けてセンサ素子607aに接続された温度用電線607bが延びている。温度検知センサ607は、後方から、ハウジング660のセンサ収容凹部661に収容される。温度用電線607bの延出端部は、蓄電装置601の外部において、温度計測装置(図示省略)に接続されることになる。以上、温度検知ユニットである対向ユニット606を構成する各部材について説明した。
【0346】
次いで、温度検知センサ607をハウジング660へ組み付ける際の手順について説明する。温度検知センサ607をハウジング660に装着するため、温度検知センサ607が、後方から、ハウジング660のセンサ収容凹部661に挿入される。
【0347】
次いで、導電モジュール603及び蓄電装置601(図32参照)の組み立てについて説明する。上述したように、カバー630のハウジング640への装着が完了して(カバー630が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット605は、導電モジュール603(図32参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、導電板604のフランジ部604aと電圧検知ユニット605の凹部605aとが嵌合されることで、導電板604の左側に電圧検知ユニット605が連結される。
【0348】
この状態では、導電板604のフランジ部604aの一部が電圧検知端子610の先端部612aの下側に重なるように配置されており(図35参照)、ハウジング640の切欠き643の存在に起因して、電圧検知端子610の先端部612aの上面が上方に露出し、且つ、導電板604のフランジ部604aの一部の下面が下方に露出している。
【0349】
次いで、上方に露出する電圧検知端子610の先端部612aの上面と、下方に露出する導電板604のフランジ部604aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子610の先端部612aと導電板604のフランジ部604aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー630が仮係止位置から本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット605と導電板604との組み付けが完了する。
【0350】
次いで、導電板604のフランジ部604bと対向ユニット606の凹部606aとが嵌合されることで、電圧検知ユニット605が組み付けられた導電板604の右側に対向ユニット606が連結される(図34等参照)。
【0351】
次いで、導電板604及び温度検知ユニットである対向ユニット606を跨ぐように、これらの下端面に熱伝導シート608を貼り付ける。これにより、導電モジュール603の組み立てが完了する。
【0352】
このようにして得られた導電モジュール603は、図32に示す蓄電装置601の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール602と導電モジュール603とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置601が得られる。
【0353】
この状態では、熱伝導シート608が、導電板604及び温度検知ユニットである対向ユニット606と、蓄電モジュール602と、の間に位置して、蓄電モジュール602から発する熱が、温度検知センサ607に伝えられる。
【0354】
第6実施形態によれば、熱伝導シート608が、導電板604及び温度検知ユニットである対向ユニット606と、蓄電モジュール602と、の間に位置して、導電板604と温度検知ユニットである対向ユニット606とを跨ぐように、これらの板表面に貼り付けられる。これにより、蓄電モジュール602から発する熱が、導電板604や熱伝導シート608を介して温度検知ユニットである対向ユニット606の温度検知センサ607に伝わる。即ち、上記構成によれば、従来に比べて、温度検知センサ607への伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
【0355】
なお、第6実施形態として具体化される発明は、第6実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第6実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第6実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0356】
ここで、上述した導電モジュールの実施形態の特徴をそれぞれ以下[6-1]~[6-2]に簡潔に纏めて列記する。
【0357】
[6-1]
積層される複数の蓄電モジュール(602)間にそれぞれ配置される板状の導電板(604)と、
前記蓄電モジュール(602)を測温する温度検知センサ(607)を有して、前記導電板(604)の側縁部(フランジ部604b)に連結される板状の温度検知ユニット(対向ユニット606)と、
前記導電板(604)及び前記温度検知ユニット(対向ユニット606)と、前記蓄電モジュール(602)と、の間に位置する熱伝導シート(608)と、
を備えた導電モジュール(603)であって、
前記熱伝導シート(608)は、
前記導電板(604)と前記温度検知ユニット(対向ユニット606)とを跨ぐように、前記導電板(604)及び前記温度検知ユニット(対向ユニット606)の板表面に貼り付けられる、
導電モジュール(603)。
【0358】
上記[6-1]の構成によれば、熱伝導シートが、導電板及び温度検知ユニットと、蓄電モジュールと、の間に位置して、導電板と温度検知ユニットとを跨ぐように、導電板及び温度検知ユニットの板表面に貼り付けられる。これにより、蓄電モジュールから発する熱が、熱伝導シートを介して温度検知ユニットの温度検知センサに伝わる。即ち、上記構成によれば、従来に比べて、温度検知センサへの伝熱性に優れるため測温性能に優れる。
【0359】
[6-2]
上記[6-1]に記載の導電モジュール(603)であって、
前記導電板(604)を介して前記蓄電モジュール(602)に導通接続される電圧検知端子(610)を有する電圧検知ユニット(605)を更に備える、
導電モジュール(603)。
【0360】
上記[6-2]の構成によれば、導電モジュールが電圧検知ユニットを更に備えることで、蓄電モジュールの異常電圧を検知できる。
【0361】
<第7実施形態>
第7実施形態として具体化される発明は、温度検知ユニットに関する。以下、図面を参照しながら、第7実施形態に係る温度検知ユニット(例えば、対向ユニット706)について、図38図43を参照して説明する。
【0362】
第7実施形態に係る温度検知ユニットは、下記を特徴としている。
積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される導電板の側縁部に嵌合することになる凹部が短手方向の一側面に設けられた長板状のハウジングと、
前記ハウジングに装着されて前記蓄電モジュールを測温する温度検知センサと、
を備えた温度検知ユニットであって、
前記ハウジングの長手方向の略中央部には、前記温度検知センサが収容されるセンサ収容凹部が設けられる、
温度検知ユニットであること。
【0363】
第7実施形態よれば、ハウジングの長手方向の略中央部に温度検知センサが収容されるセンサ収容凹部が設けられる。これにより、温度検知センサが、従来に比べて、導電板の近くに配置されることになる。即ち、上記構成によれば、従来に比べて、温度検知センサが熱源となる蓄電モジュール(導電板)の中心部に近付くため測温性能に優れる。
【0364】
以下、説明の便宜上、図38等に示すように、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。なお、前後方向は、第7実施形態として具体化される発明の「長手方向」に対応している。また、左右方向は、第7実施形態として具体化される発明の「短手方向」に対応している。
【0365】
電圧検知ユニット705は、典型的には、図38に示す積層型の蓄電装置701に使用される。蓄電装置701は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール702と、隣接する蓄電モジュール702の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール703と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置701では、複数の蓄電モジュール702が導電モジュール703を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール702は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール702全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0366】
導電モジュール703は、図38に示すように、矩形薄板状の導電板704(なお、導電板704は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板704の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット705と、導電板704の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット706とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図38図39に示すように、導電板704と電圧検知ユニット705とは、導電板704の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部704aと、電圧検知ユニット705の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部705aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板704と対向ユニット706とは、導電板704の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部704bと、対向ユニット706の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部706aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0367】
上下に隣接する蓄電モジュール702の間に位置する個々の導電モジュール703において、導電板704は、図39に示すように、上下の蓄電モジュール702と直接接触している。このため、導電板704は、上側の蓄電モジュール702の下面と下側の蓄電モジュール702の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール702から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0368】
上下に隣接する蓄電モジュール702の間に位置する個々の導電モジュール703において、電圧検知ユニット705は、導電板704に接触する後述する電圧検知端子710(図39等参照)を備える。電圧検知ユニット705は、この電圧検知端子710に接続された電圧用電線720(図38等参照)を介して、上下の蓄電モジュール702の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール702の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図38図40では電圧検知ユニット705が導電板704の左側に配置されているが、電圧検知ユニット705と同じ機能を有する電圧検知ユニットが導電板704の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット705と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット705の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット705のミラー品)が使用される。
【0369】
上下に隣接する蓄電モジュール702の間に位置する個々の導電モジュール703において、対向ユニット706としては、蓄電装置701の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0370】
対向ユニット706が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット706として、電圧検知ユニット705の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット705のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット705が導電板704の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット705のミラー品が導電板704の右側に配置される。対向ユニット706(電圧検知ユニット705のミラー品)は、電圧検知ユニット705と同じ機能を果たす。
【0371】
対向ユニット706がダミーユニットである場合、対向ユニット706として、図38に示すように、前後方向に延びる凹部706aを有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット706は、上下の蓄電モジュール702の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0372】
対向ユニット706が温度検知ユニットである場合、対向ユニット706として、図38に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度検知センサ707(サーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される(これについては後述する)。この場合、対向ユニット706は、温度検知センサ707に接続された温度用電線707b(図38参照)を介して、上下の蓄電モジュール702の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0373】
以下、第7実施形態に係る電圧検知ユニット705の具体的な構成について説明する。電圧検知ユニット705は、図41に示すように、ハウジング740と、ハウジング740に収容される電圧検知端子710と、電圧検知端子710に接続され且つハウジング740に収容される電圧用電線720と、ハウジング740に装着されるカバー730と、を備える。
【0374】
電圧検知端子710は、ハウジング740に形成された端子収容凹部(符号省略)に収容され、電圧用電線720は、ハウジング740に形成された後述する電線収容凹部746(図41参照)に収容され、カバー730は、ハウジング740に形成された後述するカバー装着凹部741(図41参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット705を構成する各部材について順に説明する。
【0375】
まず、電圧検知端子710について説明する。金属製の電圧検知端子710は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子710は、上方から、ハウジング740の端子収容凹部に収容される。電圧検知端子710は、図41に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分711と、第1部分711の前端部から右方に延びる矩形平板状の第2部分712と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0376】
第1部分711の先端部711a(即ち、後端側の端部)の下面には、電圧用電線720の一端部が電気的に接続されるように固定される。電圧用電線720の他端部は、蓄電装置701の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。第2部分712の先端部712a(即ち、右端側の端部)の下面には、導電板704のフランジ部704aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(図40参照)。
【0377】
第2部分712の前端縁には、前方に突出する突起部713が形成されている。電圧検知端子710のハウジング740への収容時、突起部713は、ハウジング740に形成された係止溝745(図41参照)に係止されることになる。
【0378】
次いで、カバー730について説明する。カバー730は、樹脂成形品であり、左方から、ハウジング740のカバー装着凹部741に装着される。カバー730は、対向部731と、対向部731から後方に延びる延出部732と、で構成される。対向部731は、主として電圧検知端子710を覆って保護する機能を果たし、延出部732は、主として電圧用電線720を覆って保護する機能を果たす。
【0379】
対向部731は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の同形の平板部733と、一対の平板部733の前後方向に延びる左端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部734と、で構成される。対向部731は、前後方向からみて、右方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部733は、連結部734から繋がる略正方形の平板状の基部733aと、基部733aの前端部から右方に延びる矩形平板状の延出部733bと、から構成され、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有している。延出部732は、対向部731を構成する一対の平板部733のうち上側の平板部733(より具体的には、上側の基部733a)の後端縁から面一で連続して後方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。
【0380】
延出部732には、左右方向に延びる一対の電線保持片735が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片735は、延出部732の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部732の左端縁から更に右方に向けて突出している。カバー730のハウジング740への装着時、電線保持片735は、ハウジング740に収容された電圧用電線720を保持する機能を果たす。
【0381】
対向部731を構成する一対の平板部733のうち下側の平板部733(より具体的には、下側の基部733a)の所定箇所には、上側の平板部733に向けて上方に突出する係止部(図示省略)が形成されている。この係止部は、ハウジング740に設けられた仮被係止部(図示省略)及び本被係止部(図示省略)との協働により、カバー730を、仮係止位置と、本係止位置と、に係止する機能を果たす。
【0382】
次いで、ハウジング740について説明する。ハウジング740は、樹脂成形品であり、図38等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング740の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部705aが形成されている。凹部705aには、導電板704のフランジ部704aが嵌合されることになる(図39及び図40等参照)。
【0383】
ハウジング740の上下面におけるカバー730が装着される箇所には、カバー730の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部741が形成されている(図41参照)。カバー装着凹部741の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー730(対向部731+延出部732)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー730のハウジング740への装着時、ハウジング740の表面とカバー730の表面とは、面一になる(図38参照)。
【0384】
ハウジング740の上面側のカバー装着凹部741の底面741aにおける電圧検知端子710が収容される箇所には、電圧検知端子710の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部が形成されている(図41参照)。端子収容凹部の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子710の板厚と等しい。よって、電圧検知端子710のハウジング740への装着時、電圧検知端子710の上面と、カバー装着凹部741の底面741aとは、面一になる。
【0385】
ハウジング740の右端縁における、電圧検知端子710の先端部712aが配置される前後方向位置には、左方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き743が形成されている。ハウジング740の右側端面にて前後方向に延びる凹部705aは、切欠き743によって分断されている。電圧検知端子710のハウジング740への収容時、電圧検知端子710の先端部712aの上下面が、切欠き743によって露出することになる。
【0386】
端子収容凹部における電圧検知端子710の先端部711aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔744が形成されている。電圧検知端子710のハウジング740への収容時、貫通孔744には、電圧検知端子710に接続された電圧用電線720の一端部(接点)が進入する。換言すれば、貫通孔744は、端子収容凹部の底面と電圧用電線720の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0387】
端子収容凹部における、電圧検知端子710の突起部713(図41参照)が配置される箇所の内壁面には、突起部713に対応して、前方へ窪み且つ凹部705aと連通する係止溝745が形成されている(図41参照)。
【0388】
ハウジング740の上面における電圧用電線720が収容される箇所には、電圧用電線720が収容される際の電圧用電線720の配索形態に対応する形状を有して窪む電線収容凹部746が形成されている(図41参照)。電線収容凹部746は、前後方向に一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部747と、一対のストレート部747を繋ぐと共に左方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部748と、で構成される一連の溝部である。電線収容凹部746(一対のストレート部747+屈曲部748)における、右側の溝側壁(左方を向いた壁)及び左側の溝側壁(右方を向いた壁)の各々は、電線収容凹部746の溝底壁から上下方向に平行に上方に向けて延びている。
【0389】
一対のストレート部747のうち前側のストレート部747の前端は、端子収容凹部と連通し、一対のストレート部747のうち後側のストレート部747の後端は、ハウジング740の後端縁から電圧用電線720が延出する電線引出口749を構成している。このように、電線収容凹部746が屈曲部748を有することで、電線収容凹部746がストレート部747のみで構成される場合に比べ、ハウジング740から引き出された電圧用電線720に意図しない外力が及んでも、屈曲部748と電圧用電線720との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子710と電圧用電線720との接点に大きな外力が及び難い。
【0390】
一対のストレート部747における屈曲部748との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部747より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部751が設けられている。幅狭凹部751の幅は、電圧用電線720の外径より僅かに小さい。このため、電圧用電線720を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部751に電圧用電線720を挟持することで、ハウジング740から引き出された電圧用電線720に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部751と電圧用電線720との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子710と電圧用電線720との接点に大きな外力が及び難い。更には、屈曲部748から電圧用電線720が抜け出して屈曲部748をまたぐ(即ち、屈曲部748をショートカットする)ように電圧用電線720が配索されることを、強力に抑制することができる。
【0391】
ハウジング740の上面側のカバー装着凹部741の底面741aにおける、カバー730の一対の電線保持片735が配置される箇所には、図41に示すように、一対の電線保持片735に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部752が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部752は、電線収容凹部746の屈曲部748の屈曲頂点748a(図41参照)を前後方向に挟むように、配置されている。一対の電線保持片凹部752の底面は、電線収容凹部746の底面より上側に位置している。
【0392】
各電線保持片凹部752は、ハウジング740の上面の右端縁から、電線収容凹部746を横断して、カバー装着凹部741の右端内壁741b(図41参照)まで、左右方向に延びている。カバー装着凹部741の右端内壁741bにおける一対の電線保持片凹部752が接続する箇所には、それぞれ、右方に向けて窪む格納穴753が形成されている(図41参照)。カバー730のハウジング740への装着時、一対の格納穴753には、カバー730の一対の電線保持片735の延出端部(即ち、右側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0393】
ハウジング740の下面側のカバー装着凹部741の底面741aにおける、カバー730の上記係止部が配置される箇所と同じ前後方向位置には、上方に向けて窪む凹部である、仮被係止部及び本被係止部が、この順に、左から右に間隔を空けて並ぶように形成されている。以上、電圧検知ユニット705を構成する各部材について説明した。
【0394】
次いで、電圧検知端子710及びカバー730をハウジング740へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電圧用電線720があらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された電圧検知端子710を、ハウジング740の端子収容凹部に収容する。このため、突起部713が係止溝745に進入し且つ電圧用電線720の一端部(接点)が貫通孔744に進入するように、電圧検知端子710が、上方から、ハウジング740の端子収容凹部に嵌め込まれる。電圧検知端子710のハウジング740への収容が完了した状態では、電圧検知端子710の先端部712aの上下面が、切欠き743によって露出している。
【0395】
次いで、ハウジング740に収容された電圧検知端子710から延びる電圧用電線720を、ハウジング740の電線収容凹部746(一対のストレート部747+屈曲部748)に収容する。このため、電圧用電線720が、上方から、一対のストレート部747及び屈曲部748から構成される電線収容凹部746に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部751の上部に位置する電圧用電線720の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電圧用電線720の一対の部分が一対の幅狭凹部751の内部に収容される。電圧用電線720のハウジング740への収容が完了した状態では、電圧用電線720は、電線引出口749から後方へ向けてハウジング740の外部に延出している。
【0396】
次いで、カバー730をハウジング740に装着する。このため、カバー730の対向部731がハウジング740の上下面のカバー装着凹部741を上下に挟むように、且つ、カバー730の延出部732がハウジング740の上面側のカバー装着凹部741を覆うように、且つ、カバー730の一対の電線保持片735がハウジング740の一対の電線保持片凹部752に収容されるように、カバー730が、左方から、ハウジング740のカバー装着凹部741に装着される。
【0397】
カバー730がハウジング740に装着される過程において、カバー730の上記係止部は、まず、ハウジング740に摺動しながら、仮被係止部の内部に進入して仮被係止部と係合すると共に仮被係止部の右側の側面に押し当てられる。これにより、カバー730が仮係止位置にてハウジング740に係止されて、カバー730のハウジング740への装着が完了し、電圧検知ユニット705が得られる。なお、後述するように、カバー730のハウジング740への装着が完了して(カバー730が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット705は、導電モジュール703(図38参照)の組み立てに供されることになる。
【0398】
カバー730が仮係止位置に係止された状態では、カバー730の対向部731(より具体的には、上下一対の延出部733b)が、電圧検知端子710の先端部712aを覆っていない。このため、電圧検知端子710の先端部712aの上下面が、なおも切欠き743によって露出している。
【0399】
更に、カバー730の一対の電線保持片735が電線収容凹部746のストレート部747及び屈曲部748の一部の開口上に配置される。これにより、電圧用電線720が電線収容凹部746から抜け出すことが抑制される。更に、一対の電線保持片735の延出端部が一対の格納穴753に受け入れられている。これにより、一対の電線保持片735の位置ズレや一対の電線保持片735が電線収容凹部746から離れるような意図しない変形を抑制できる。更に、カバー730の延出部732が電線収容凹部746の屈曲部748の屈曲頂点748aの開口上に配置される。これにより、電線収容凹部746から電圧用電線720が抜け出して屈曲部748をまたぐ(即ち、屈曲部748をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電圧用電線720が電線収容凹部746の屈曲部748から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0400】
カバー730が仮係止位置に係止された状態にて、ハウジング740に対してカバー730を更に左方に押し込むと、カバー730の一対の電線保持片735の延出端部が一対の格納穴753内に更に進入して格納されると共に、カバー730の上記係止部が、仮被係止部を乗り越え、その後、本被係止部の内部に進入して本被係止部と係合する。これにより、カバー730が本係止位置にてハウジング740に係止される。
【0401】
カバー730が本係止位置に係止された状態では、カバー装着凹部741の全域がカバー730によって覆われることで、電線収容凹部746の全体がカバー730の延出部732によって覆われている。これにより、電線収容凹部746から電圧用電線720が抜け出すことが抑制される。更に、カバー730の対向部731(より具体的には、上下一対の延出部733b)が、電圧検知端子710の先端部712aの上下面を覆っている。これにより、電圧検知端子710の全体がカバー730の対向部731によって覆われるので、電圧検知端子710が確実に保護され得る。
【0402】
以下、第7実施形態に係る対向ユニット706が温度検知ユニットである場合の具体的な構成について説明する。対向ユニット706は、図38に示すように、ハウジング760と、ハウジング760に収容される温度検知センサ707と、温度検知センサ707に接続される温度用電線707bと、を備える。温度検知センサ707は、ハウジング760に形成された後述するセンサ収容凹部761(図42参照)に収容される。以下、温度検知ユニットである対向ユニット706を構成する各部材について順に説明する。
【0403】
まず、ハウジング760について説明する。ハウジング760は、樹脂成形品であり、図38等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング760の左側端面には、右方に窪み且つ前後方向に延びる凹部706aが形成されている。凹部706aには、導電板704のフランジ部704bが嵌合されることになる(図39参照)。
【0404】
ハウジング760の左側端面の前後方向中央部には、温度検知センサ707の筐体770の全体形状に対応して、ハウジング760の左右方向全域に亘って延びる直方体状に右方に向けて窪む、センサ収容凹部761が形成されている(図42参照)。センサ収容凹部761は、上下方向に貫通している。したがって、センサ収容凹部761は、上下両方向に向けて開口する開口部761bを有している(図42参照)。
【0405】
なお、ハウジング760には、センサ収容凹部761における右側領域の下側部分に、センサ収容凹部761によって前後に分断されたハウジング760を連結する連結部763が設けられている。換言すれば、センサ収容凹部761によって前後に分断されたハウジング760は、連結部763によって一体となっている(即ち、実質的にはハウジング760は前後に分断されていない)。
【0406】
センサ収容凹部761の左右方向に対向する一対の内壁面には、前後方向内側(互いに近づく側)に突出し且つ左右方向に延びる複数の突条部762が形成されている(図42参照)。これら突条部762は、温度検知センサ707の溝部(符号省略)に挿入されることになる。
【0407】
ハウジング760におけるセンサ収容凹部761よりも後側の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる電線収容凹部764が形成されている(図42及び図43参照)。電線収容凹部764の上下方向に対向する一対の内壁面には、上下方向内側(互いに近づく側)に突出し且つ前後方向に延びる保持リブ765が形成されている(図43参照)。
【0408】
次いで、温度検知センサ707について説明する。温度検知センサ707は、典型的には、サーミスタである。温度検知センサ707は、左右方向に延びる直方体状の筐体770を有しており、その筐体770の内部にセンサ素子(図示省略)が収容され、筐体770の右端から後方に向けてセンサ素子に接続された温度用電線707bが延びている。温度検知センサ707は、左方から、ハウジング760のセンサ収容凹部761に収容される。温度用電線707bの延出端部は、蓄電装置701の外部において、温度計測装置(図示省略)に接続されることになる。
【0409】
筐体770の下側壁部770bは、連結部763に対応して、上側壁部770aよりも左右方向に短く形成されている。温度検知センサ707のセンサ収容凹部761への装着時、下側壁部770bの右端面と連結部763の左端面とが突き合わされることになる。
【0410】
筐体770の左右方向に延びる一対の前後側端面には、センサ収容凹部761の一対の突条部762に対応して、左右方向に貫通する一対の溝部771が形成されている(図42参照)。
【0411】
筐体770の上下方向の厚さは、略矩形薄板状のハウジング760の板厚と等しい。よって、温度検知センサ707のハウジング760への装着時、ハウジング760の表面と温度検知センサ707の表面とは、面一になる(図38参照)。以上、温度検知ユニットである対向ユニット706を構成する各部材について説明した。
【0412】
次いで、温度検知センサ707をハウジング760へ組み付ける際の手順について説明する。温度検知センサ707をハウジング760に装着するためには、まず、ハウジング760の電線収容凹部764に、温度用電線707bを配策する。そして、温度検知センサ707の筐体770に設けられた一対の溝部にセンサ収容凹部761に設けられた一対の突条部762が挿入されるように、温度検知センサ707が、左方から、ハウジング760のセンサ収容凹部761に挿入される。
【0413】
温度検知センサ707のハウジング760への装着が完了した状態では、温度用電線707bは、電線収容凹部764の保持リブ765によって右方への飛び出しが規制されている。筐体770の上下面(平面)は、センサ収容凹部761の上下の開口部761bから外部に露出している(図38参照)。
【0414】
次いで、導電モジュール703及び蓄電装置701(図38参照)の組み立てについて説明する。上述したように、カバー730のハウジング740への装着が完了して(カバー730が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット705は、導電モジュール703(図38参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、導電板704のフランジ部704aと電圧検知ユニット705の凹部705aとが嵌合されることで、導電板704の左側に電圧検知ユニット705が連結される。
【0415】
この状態では、導電板704のフランジ部704aの一部が電圧検知端子710の先端部712aの下側に重なるように配置されており(図40参照)、ハウジング740の切欠き743の存在に起因して、電圧検知端子710の先端部712aの上面が上方に露出し、且つ、導電板704のフランジ部704aの一部の下面が下方に露出している。
【0416】
次いで、上方に露出する電圧検知端子710の先端部712aの上面と、下方に露出する導電板704のフランジ部704aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子710の先端部712aと導電板704のフランジ部704aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー730が仮係止位置から本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット705と導電板704との組み付けが完了する。
【0417】
次いで、導電板704のフランジ部704bと対向ユニット706の凹部706a及び温度検知センサ707の左端凹部(符号省略)とが嵌合されることで、電圧検知ユニット705が組み付けられた導電板704の右側に対向ユニット706が連結される(図39等参照)。これにより、導電モジュール703の組み立てが完了する。
【0418】
このようにして得られた導電モジュール703は、図38に示す蓄電装置701の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール702と導電モジュール703とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置701が得られる。
【0419】
第7実施形態によれば、ハウジング760の前後方向の略中央部に温度検知センサ707が収容されるセンサ収容凹部761が設けられる。これにより、温度検知センサ707が、従来に比べて、導電板704の近くに配置されることになる。即ち、第7実施形態によれば、従来に比べて、温度検知センサ707が熱源となる蓄電モジュール702(導電板704)の中心部に近付くため測温性能に優れる。
【0420】
更に、第7実施形態によれば、ハウジング760の右側端面に、前後方向に延びるように電線収容凹部764が設けられることで、温度用電線707bを左右方向から外部に向けて延ばす場合に比べて、対向ユニット706、ひいては蓄電装置701の左右方向の大型化を抑制できる。
【0421】
なお、第7実施形態として具体化される発明は、第7実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第7実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第7実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0422】
ここで、上述した温度検知ユニットの実施形態の特徴をそれぞれ以下[7-1]~[7-3]に簡潔に纏めて列記する。
【0423】
[7-1]
積層される複数の蓄電モジュール(702)間にそれぞれ配置される導電板(704)の側縁部(フランジ部704b)に嵌合することになる凹部(706a)が短手方向の一側面に設けられた長板状のハウジング(760)と、
前記ハウジング(760)に装着されて前記蓄電モジュール(702)を測温する温度検知センサ(707)と、
を備えた温度検知ユニット(対向ユニット706)であって、
前記ハウジング(760)の長手方向の略中央部には、前記温度検知センサ(707)が収容されるセンサ収容凹部(761)が設けられる、
温度検知ユニット(対向ユニット706)。
【0424】
上記[7-1]の構成によれば、ハウジングの長手方向の略中央部に温度検知センサが収容されるセンサ収容凹部が設けられる。これにより、温度検知センサが、従来に比べて、導電板の近くに配置されることになる。即ち、上記構成によれば、従来に比べて、温度検知センサが熱源となる蓄電モジュール(導電板)の中心部に近付くため測温性能に優れる。
【0425】
[7-2]
上記[7-1]に記載の温度検知ユニット(対向ユニット706)であって、
前記ハウジング(760)における前記短手方向の他側面には、前記長手方向に延びて前記温度検知センサ(707)に接続される温度用電線(707b)を外部に向けて延ばす電線収容凹部(764)が設けられる、
温度検知ユニット(対向ユニット706)。
【0426】
上記[7-2]の構成によれば、ハウジングにおける短手方向の他側面に、長手方向に延びて温度検知センサに接続される温度用電線を外部に向けて延ばす電線収容凹部が設けられる。これにより、温度用電線を短手方向から外部に向けて延ばす場合に比べて、温度検知ユニットの短手方向の大型化を抑制できる。
【0427】
[7-3]
上記[7-2]に記載の温度検知ユニット(対向ユニット706)であって、
前記電線収容凹部(764)には、前記温度用電線(707b)を保持する保持リブ(765)が設けられる、
温度検知ユニット(対向ユニット706)。
【0428】
上記[7-3]の構成によれば、電線収容凹部に保持リブが設けられることで、温度用電線の電線収容凹部からの飛び出しを規制できる。
【0429】
<第8実施形態>
第8実施形態として具体化される発明は、検知対象に導通接続されることになる電圧検知端子が板状のハウジングに収容されるように構成される電圧検知ユニット、及び、蓄電装置に関する。以下、図44図55を参照しながら、第8実施形態に係る電圧検知ユニット805、及び、蓄電装置801について説明する。以下、説明の便宜上、図44等に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0430】
電圧検知ユニット805は、典型的には、図44に示す積層型の蓄電装置801に使用される。蓄電装置801は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール802と、隣接する蓄電モジュール802の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール803と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置801では、複数の蓄電モジュール802が導電モジュール803を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール802は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール802全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0431】
導電モジュール803は、図44に示すように、矩形薄板状の導電板804(なお、導電板804は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板804の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット805と、導電板804の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット806とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図44図46(特に、図45参照)に示すように、導電板804と電圧検知ユニット805とは、導電板804の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部804aと、電圧検知ユニット805の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部805aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板804と対向ユニット806とは、導電板804の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部804bと、対向ユニット806の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部806aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0432】
上下に隣接する蓄電モジュール802の間に位置する個々の導電モジュール803において、導電板804は、図45に示すように、上下の蓄電モジュール802と直接接触している。このため、導電板804は、上側の蓄電モジュール802の下面と下側の蓄電モジュール802の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール802から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0433】
上下に隣接する蓄電モジュール802の間に位置する個々の導電モジュール803において、電圧検知ユニット805は、導電板804に接触する後述する電圧検知端子810(図45参照)を備える。電圧検知ユニット805は、この電圧検知端子810に接続された電線820(図44等参照)を介して、上下の蓄電モジュール802の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール802の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図44図46では電圧検知ユニット805が導電板804の左側に配置されているが、電圧検知ユニット805と同じ機能を有する電圧検知ユニットが、導電板804の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット805と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット805の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット805のミラー品)が使用される。
【0434】
上下に隣接する蓄電モジュール802の間に位置する個々の導電モジュール803において、対向ユニット806としては、蓄電装置801の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0435】
対向ユニット806が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット806として、電圧検知ユニット805の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット805のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット805が導電板804の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット805のミラー品が導電板804の右側に配置される。対向ユニット806(電圧検知ユニット805のミラー品)は、電圧検知ユニット805と同じ機能を果たす。
【0436】
対向ユニット806がダミーユニットである場合、対向ユニット806として、前後方向に延びる凹部806a(図45参照)を有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット806は、上下の蓄電モジュール802の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0437】
対向ユニット806が温度検知ユニットである場合、対向ユニット806として、図44に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度センサ807(サーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される。この場合、対向ユニット806は、温度センサ807に接続された電線807a(図44参照)を介して、上下の蓄電モジュール802の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0438】
以下、第8実施形態に係る電圧検知ユニット805の具体的な構成について、図47図55を参照しながら説明する。電圧検知ユニット805は、図47に示すように、ハウジング840と、ハウジング840に収容される電圧検知端子810と、電圧検知端子810に接続され且つハウジング840に収容される電線820と、ハウジング840に装着されるカバー830と、を備える。
【0439】
電圧検知端子810は、ハウジング840に形成された後述する端子収容凹部842(図47参照)に収容され、電線820は、ハウジング840に形成された後述する電線収容凹部846(図47参照)に収容され、カバー830は、ハウジング840に形成された後述するカバー装着凹部841(図47参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット805を構成する各部材について順に説明する。
【0440】
まず、電圧検知端子810について説明する。金属製の電圧検知端子810は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子810は、上方から、ハウジング840の端子収容凹部842に収容される。電圧検知端子810は、図47に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分811と、第1部分811の後端部から右方に延びる矩形平板状の第2部分812と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0441】
第1部分811の先端部811a(即ち、前端側の端部)の下面には、電線820の一端部が電気的に接続されるように固定される(図49も参照)。電線820の他端部は、蓄電装置801の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。第2部分812の先端部812a(即ち、右端側の端部)の下面には、導電板804のフランジ部804aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(図46参照)。
【0442】
第2部分812の後端縁には、後方に突出する突起部813が形成されている。電圧検知端子810のハウジング840への収容時、突起部813は、ハウジング840に形成された係止溝845(図48参照)に係止されることになる。
【0443】
次いで、カバー830について説明する。カバー830は、樹脂成形品であり、左方から、ハウジング840のカバー装着凹部841に装着される。カバー830は、対向部831と、対向部831から前方に延びる延出部832と、で構成される。対向部831は、主として電圧検知端子810を覆って保護する機能を果たし、延出部832は、主として電線820を覆って保護する機能を果たす。
【0444】
対向部831は、上下方向に間隔を空けて互いに対向する一対の平板部833と、一対の平板部833の前後方向に延びる左端縁同士を前後方向全域に亘って上下方向に連結する連結部834と、で構成される。対向部831は、前後方向からみて、右方に開口する略U字状の形状を有する。各平板部833の右端縁は、前方に向かうほど左側に移動する向きに傾斜する階段状(ステップ状)の形状を有している。延出部832は、対向部831を構成する一対の平板部833のうち上側の平板部833の前端縁から面一で連続して前方に延びており、略矩形平板状の形状を有している。本例では、上側の平板部833及び延出部832で構成される右端縁(カバー830の上側の右端縁830b)は、右方を向き(前後方向に延び)且つ左右方向の位置が異なる4つの端面a1~a4を有しており(図48参照)、下側の平板部833で構成される右端縁(カバー830の下側の右端縁830b)は、右方を向き(前後方向に延び)且つ左右方向の位置が異なる5つの端面b1~b5を有している(図49参照)。
【0445】
延出部832には、左右方向に延びる一対の電線保持片835が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片835は、図49から理解できるように、延出部832の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、延出部832の右端縁から更に右方に向けて突出している。カバー830のハウジング840への装着時、電線保持片835は、ハウジング840に収容された電線820を保持する機能を果たす。更に、延出部832の前端部には、延出部832に前端縁から下方に延出し且つ左右方向に延びる壁状の押し壁858が、形成されている。
【0446】
対向部831を構成する一対の平板部833のうち下側の平板部833の所定箇所には、上側の平板部833に向けて上方に突出する係止部836が形成されている(図50図55参照)。係止部836は、ハウジング840に設けられた後述する第1仮被係止部855、第2仮被係止部856及び本被係止部857との協働により、カバー830を、第1仮係止位置(図50参照)と、第2仮係止位置(図52参照)と、本係止位置(図54参照)と、に係止する機能を果たす。
【0447】
次いで、ハウジング840について説明する。ハウジング840は、樹脂成形品であり、図44等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング840の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部805aが形成されている。凹部805aには、導電板804のフランジ部804aが嵌合されることになる(図45参照)。
【0448】
ハウジング840の上下面におけるカバー830が装着される箇所には、カバー830の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部841が形成されている(図47図49参照)。上下一対のカバー装着凹部841の右端を画成する右端内壁841bのうち、上側の右端内壁841bは、カバー830の上側の右端縁830bの3つの端面a2~a4に対応して、左方を向き(前後方向に延び)且つ左右方向の位置が異なる3つの端面c2~c4を有しており(図48参照)、下側の右端内壁841bは、カバー830の下側の右端縁830bの4つの端面b2~b5に対応して、左方を向き(前後方向に延び)且つ左右方向の位置が異なる4つの端面d2~d5を有している(図49参照)。カバー装着凹部841の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー830(対向部831+延出部832)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー830のハウジング840への装着時、ハウジング840の表面とカバー830の表面とは、面一になる(図44及び図54参照)。
【0449】
ハウジング840の上側のカバー装着凹部841の底面841aにおける電圧検知端子810が収容される箇所には、電圧検知端子810の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部842が形成されている(図47参照)。端子収容凹部842の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子810の板厚と等しい。よって、電圧検知端子810のハウジング840への装着時、電圧検知端子810の上面と、カバー装着凹部841の底面841aとは、面一になる(図51図53及び図55参照)。
【0450】
ハウジング840の右端縁における、電圧検知端子810の先端部812aが配置される前後方向位置には、左方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き843が形成されている。ハウジング840の右側端面にて前後方向に延びる凹部805aは、切欠き843によって分断されている。電圧検知端子810のハウジング840への収容時、電圧検知端子810の先端部812aの上下面が、切欠き843によって露出することになる(図53参照)。
【0451】
端子収容凹部842における電圧検知端子810の先端部811aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔844が形成されている(図47等参照)。電圧検知端子810のハウジング840への収容時、貫通孔844には、電圧検知端子810に接続された電線820の一端部(接点)が進入する(図49参照)。換言すれば、貫通孔844は、端子収容凹部842の底面842aと電線820の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0452】
端子収容凹部842における、電圧検知端子810の突起部813(図47参照)が配置される箇所の内壁面には、突起部813に対応して、後方へ窪み且つ凹部805aと連通する係止溝845が形成されている(図48参照)。
【0453】
ハウジング840の上側のカバー装着凹部841の底面841aにおける電線820が収容される箇所には、電線820が収容される際の電線820の配索形態に対応する形状を有して窪む電線収容凹部846が形成されている(図47参照)。電線収容凹部846は、前後方向に延びる一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部847と、一対のストレート部847を繋ぐと共に左方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部848と、で構成される一連の溝部である。一対のストレート部847のうち後側のストレート部847の後端は、端子収容凹部842と連通し、一対のストレート部847のうち前側のストレート部847の前端は、ハウジング840の前端縁から電線820が延出する電線引出口849を構成している。このように、電線収容凹部846が屈曲部848を有することで、電線収容凹部846がストレート部847のみで構成される場合に比べ、ハウジング840から引き出された電線820に意図しない外力が及んでも、屈曲部848と電線820との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子810と電線820との接点に大きな外力が及び難い。
【0454】
一対のストレート部847における屈曲部848との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部847より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部851が設けられている。幅狭凹部851の幅は、電線820の外径より僅かに小さい。このため、電線820を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部851に電線820を挟持することで、ハウジング840から引き出された電線820に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部851と電線820との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子810と電線820との接点に大きな外力が及び難い。
【0455】
ハウジング840の上側のカバー装着凹部841の底面841aにおける、カバー830の一対の電線保持片835が配置される箇所には、図47に示すように、一対の電線保持片835に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部852が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部852は、電線収容凹部846の屈曲部848の屈曲頂点を前後方向に挟むように、配置されている。
【0456】
各電線保持片凹部852は、ハウジング840の上面の左端縁から、電線収容凹部846を横断して、上側のカバー装着凹部841の右端内壁841b(図47参照)まで、左右方向に延びている。上側のカバー装着凹部841の右端内壁841bにおける一対の電線保持片凹部852が接続する箇所には、それぞれ、右方に向けて窪む格納穴853が形成されている(図47参照)。カバー830のハウジング840への装着時、一対の格納穴853には、カバー830の一対の電線保持片835の延出端部(即ち、右側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0457】
ハウジング840の下側のカバー装着凹部841の底面841aには、図49に示すように、上方に向けて窪む凹部である、案内部854、第1仮被係止部855、第2仮被係止部856及び本被係止部857が形成されている(図51図53及び図55も参照)。第1仮被係止部855、第2仮被係止部856及び本被係止部857は、それぞれ、第1仮係止位置(図50参照)、第2仮係止位置(図52参照)及び本係止位置(図54参照)にあるカバー830の係止部836が位置する箇所に、設けられている。具体的には、第1仮被係止部855と第2仮被係止部856とは、第2仮被係止部856が第1仮被係止部855の後側に位置して前後方向に並ぶように配置され、第2仮被係止部856と本被係止部857とは、本被係止部857が第2仮被係止部856の右側に位置して左右方向に並ぶように配置されている。案内部854は、ハウジング840の左端部における第1仮被係止部855と同じ前後方向位置に設けられている。図51に示すように、案内部854は、ハウジング840の左端縁から連続する凹部である。以上、電圧検知ユニット805を構成する各部材について説明した。
【0458】
次いで、電圧検知端子810及びカバー830をハウジング840へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電線820があらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された電圧検知端子810を、ハウジング840の端子収容凹部842に収容する。このため、突起部813が係止溝845に進入し且つ電線820の一端部(接点)が貫通孔844に進入するように、電圧検知端子810が、上方から、ハウジング840の端子収容凹部842に嵌め込まれる。電圧検知端子810のハウジング840への収容が完了した状態では、電圧検知端子810の先端部812aの上下面が、切欠き843によって露出している(図53参照)。
【0459】
次いで、ハウジング840に収容された電圧検知端子810から延びる電線820を、ハウジング840の電線収容凹部846に収容する。このため、電線820が、上方から、一対のストレート部847及び屈曲部848から構成される電線収容凹部846に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部851の上部に位置する電線820の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電線820の一対の部分が一対の幅狭凹部851の内部に収容される。電線820のハウジング840への収容が完了した状態では、電線820は、電線引出口849から前方へ向けてハウジング840の外部に延出している。
【0460】
次いで、カバー830を、第1仮係止位置(図50参照)にてハウジング840に係止させることで、ハウジング840に装着する。このため、まず、カバー830の係止部836がハウジング840の案内部854と係合するように、カバー830が、ハウジング840に対して左側から配置される。これにより、カバー830の係止部836の前後方向位置とハウジング840の第1仮被係止部855の前後方向位置とが一致する状態が得られる。換言すれば、案内部854は、カバー830の係止部836をハウジング840の第1仮被係止部855へ案内する機能を果たす。次いで、カバー830の対向部831がハウジング840の上下のカバー装着凹部841を上下に挟むように、且つ、カバー830の延出部832がハウジング840の上側のカバー装着凹部841を覆うように、且つ、カバー830の一対の電線保持片835がハウジング840の一対の電線保持片凹部852を覆うように、カバー830が、右向きに押し込まれる(図50の白矢印を参照)。
【0461】
カバー830がハウジング840に対して右向きに移動する過程において、カバー830の係止部836は、案内部854を乗り越え、カバー装着凹部841の底面841a上を摺動する。その後、係止部836が第1仮被係止部855の内部に進入して第1仮被係止部855と係合すると共に、カバー830の上下の右端縁830bがハウジング840の上下の右端内壁841bにそれぞれ当接する。より具体的には、カバー830の上側の端面a1,a2がハウジング840の上側の端面c2,c3にそれぞれ当接すると共に、カバー830の下側の端面b1,b2,b3,b4がハウジング840の下側の端面d2,d3,d4,d5にそれぞれ当接する(図50参照)。このように、係止部836を案内部854から第1仮被係止部855に移動させるとき(即ち、カバー830を第1仮係止位置に移動させるとき)、カバー830の右端縁830bがハウジング840の右端内壁841bに当接することで、カバー830が第1仮係止位置を超えて過剰に移動することが抑制される。以上により、カバー830が第1仮係止位置にてハウジング840に係止されて、カバー830のハウジング840への装着が完了し(図50及び図51参照)、電圧検知ユニット805(図44参照)が得られる。なお、後述するように、カバー830のハウジング840への装着が完了して(カバー830が第1仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット805は、導電モジュール803(図44参照)の組み立てに供されることになる。
【0462】
カバー830が第1仮係止位置に係止された状態では、図50に示すように、カバー830の対向部831(より具体的には、上下一対の平板部833の右端部833a)が、電圧検知端子810の先端部812aを覆っていない。このため、電圧検知端子810の先端部812aの上下面が、なおも切欠き843によって露出している。
【0463】
更に、カバー830の一対の電線保持片835が電線収容凹部846のストレート部847及び屈曲部848の一部の開口上に配置される。これにより、電線820が電線収容凹部846から抜け出すことが抑制される。更に、一対の電線保持片835の延出端部が一対の格納穴853に受け入れられている。これにより、一対の電線保持片835の位置ズレや一対の電線保持片835が電線収容凹部846から離れるような意図しない変形を抑制できる。更に、カバー830の延出部832が電線収容凹部846の屈曲部848の屈曲頂点の開口上に配置される。これにより、電線収容凹部846から電線820が抜け出して屈曲部848をまたぐ(即ち、屈曲部848をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電線820が電線収容凹部846の屈曲部848から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0464】
以下、第1仮係止位置(図50参照)に係止されているカバー830を本係止位置(図54参照)に移動する際の手順について説明する。第1仮係止位置にあるカバー830は、第2仮係止位置(図52参照)を経て、本係止位置に移動される。具体的には、まず、第1仮係止位置に係止されたカバー830が、押し壁858に後向きの外力を及ぼすことで、後向きに押し込まれる(図52の白矢印を参照)。カバー830がハウジング840に対して後向きに移動する過程において、カバー830の係止部836は、第1仮被係止部855を乗り越え、カバー装着凹部841の底面841a上を摺動する。その後、係止部836が第2仮被係止部856の内部に進入して第2仮被係止部856と係合すると共に、カバー830の左右方向に延びる上下一対の後端縁830aが、ハウジング840の上下一対のカバー装着凹部841の後端を画成する左右方向に延びる上下一対の後端内壁841cにそれぞれ当接する。これにより、カバー830が、第2仮係止位置にてハウジング840に係止される(図52及び図53参照)。
【0465】
カバー830が第2仮係止位置に係止された状態でも、図52に示すように、カバー830の対向部831(より具体的には、上下一対の平板部833の右端部833a)は、電圧検知端子810の先端部812aを覆っていない。このように、係止部836を第1仮被係止部855から第2仮被係止部856に移動させるとき(即ち、カバー830を第1仮係止位置から第2仮係止位置に移動させるとき)、カバー830の後端縁830aがハウジング840の後端内壁841cに当接することで、カバー830が第2係止位置を超えて過剰に移動することが抑制される。このように、カバー830を、第1仮係止位置、第2仮係止位置、及び、本係止位置の順に多段階に移動させる場合であっても、ハウジング840の右端内壁841b及び後端内壁841cの働きにより、カバー830を容易かつ適正に第1仮係止位置及び第2仮係止位置に配置することができる。
【0466】
次いで、第2仮係止位置に係止されたカバー830が、右向きに押し込まれる(図54の白矢印を参照)。カバー830がハウジング840に対して右向きに移動する過程において、カバー830の一対の電線保持片835の延出端部が一対の格納穴853内に更に進入して格納されると共に、カバー830の係止部836が、第2仮被係止部856を乗り越え、カバー装着凹部841の底面841a上を摺動する。その後、係止部836が本被係止部857の内部に進入して本被係止部857と係合すると共に、カバー830の上下の右端縁830bがハウジング840の上下の右端内壁841bにそれぞれ当接する。より具体的には、カバー830の上側の端面a2,a3,a4がハウジング840の上側の端面c2,c3,c4にそれぞれ当接すると共に、カバー830の下側の端面b2,b3,b4,b5がハウジング840の下側の端面d2,d3,d4,d5にそれぞれ当接する(図54参照)。これにより、カバー830が本係止位置にてハウジング840に係止される(図54及び図55参照)。
【0467】
カバー830が本係止位置に係止された状態では、図54に示すように、カバー装着凹部841の全域がカバー830によって隙間なく覆われることで、電線収容凹部846の全体がカバー830の延出部832によって覆われている。これにより、電線収容凹部846から電線820が抜け出すことが抑制される。更に、図55に示すように、カバー830の対向部831(より具体的には、上下一対の平板部833の右端部833a)が、電圧検知端子810の先端部812aの上下面を覆っている。これにより、電圧検知端子810の全体がカバー830の対向部831によって覆われるので、電圧検知端子810が確実に保護され得る。
【0468】
上述したように、カバー830のハウジング840への装着が完了して(カバー830が第1仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット805は、導電モジュール803(図44参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、図45に示すように、導電板804のフランジ部804aと電圧検知ユニット805の凹部805aとが嵌合されることで、導電板804の左側に電圧検知ユニット805が連結される。
【0469】
この状態では、図46から理解できるように、導電板804のフランジ部804aの一部が電圧検知端子810の先端部812aの下側に重なるように配置されており、ハウジング840の切欠き843の存在に起因して、電圧検知端子810の先端部812aの上面が上方に露出し、且つ、導電板804のフランジ部804aの一部の下面が下方に露出している。
【0470】
次いで、上方に露出する電圧検知端子810の先端部812aの上面と、下方に露出する導電板804のフランジ部804aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子810の先端部812aと導電板804のフランジ部804aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー830が第1仮係止位置から第2仮係止位置を経て本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット805と導電板804との組み付けが完了する。
【0471】
次いで、導電板804のフランジ部804bと対向ユニット806の凹部806aとが嵌合されることで、電圧検知ユニット805が組み付けられた導電板804の右側に対向ユニット806が連結される(図45等参照)。これにより、導電モジュール803の組み立てが完了する。
【0472】
このようにして得られた導電モジュール803は、図44に示す蓄電装置801の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール802と導電モジュール803とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置801が得られる。
【0473】
以上、第8実施形態に係る電圧検知ユニット805、及び、電圧検知ユニット805を用いた蓄電装置801によれば、電線820が先端部811aに接続された電圧検知端子810をハウジング840の端子収容凹部842に収容し、電圧検知端子810の先端部812aを露出させた状態でカバー830をハウジング840に係止させることができる。そのため、電圧検知ユニット805を導電板804(積層型の蓄電装置801の導電板804)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニット805を導電板804に組み付けた上で、露出している電圧検知端子810の先端部812aを導電板804に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、導電板804と電圧検知端子810との接続の後、カバー830を本係止位置に配置すれば、電圧検知端子810の先端部812a(即ち、両者の接点)をカバー830で覆って保護することができる。
【0474】
カバー830をハウジング840に取り付けるにあたり、第8実施形態の電圧検知ユニット805では、例えば、カバー830をハウジング840の外部から案内部854を経て第1仮係止位置に配置し、カバー830が第1仮係止位置にある状態で導電板804と電圧検知端子810との接続を行った後、カバー830を、第1仮係止位置から本係止位置に移動させることができる。ここで、案内部854から第1仮係止位置にカバー830を移動させるとき、カバー830がハウジング840の右端内壁841bに当接することで、カバー830が第1仮係止位置を超えて過剰に移動することが抑制される。よって、例えば、本来は第1仮係止位置に配置するべきカバー830を誤って本係止位置にまで移動させてしまうことで、カバー830が導電板804と電圧検知端子810との接続の妨げになることを、防ぐことができる。
【0475】
更に、カバー830を、第1仮係止位置から第2仮係止位置を経て本係止位置に、移動させる。カバー830を仮係止できる位置を複数設けることで、例えば、電圧検知ユニット805に求められる仕様等に応じて、最適な位置にカバー830を仮係止することができる。更に、第1仮係止位置から第2仮係止位置にカバー830を移動させるとき、カバー830がハウジング840の後端内壁841cに当接することで、カバー830が第2仮係止位置を超えて過剰に移動することが抑制される。よって、カバー830を多段階に(即ち、第1仮係止位置、第2仮係止位置、及び、本係止位置の順に)移動させる場合であっても、右端内壁841b及び後端内壁841cの働きにより、カバー830を容易かつ適正に第1仮係止位置及び第2仮係止位置に配置することができる。
【0476】
更に、カバー830が第2仮係止位置から本係止位置に向けて移動するとき、カバー830が本係止位置に到達すると、カバー830は右端内壁841bに当接することになる。カバー830がハウジング840の右端内壁841bに当接することで、カバー830が本係止位置を超えて過剰に移動することが抑制される。よって、カバー830を容易かつ適正に本係止位置に配置することができる。更に、カバー830を第1仮係止位置に配置するための右端内壁841bを、カバー830を本係止位置に配置するために兼用することで、ハウジング840の小型化を図ることができる。
【0477】
なお、第8実施形態として具体化される発明は、第8実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第8実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第8実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0478】
ここで、上述した電圧検知ユニット805の実施形態の特徴をそれぞれ以下[8-1]~[8-4]に簡潔に纏めて列記する。
【0479】
[8-1]
検知対象(804)に導通接続されることになる第1箇所(812a)を有する電圧検知端子(810)と、
前記電圧検知端子(810)が収容される端子収容凹部(842)を有する板状のハウジング(840)と、
前記端子収容凹部(842)に収容されている前記電圧検知端子(810)の前記第1箇所(812a)を覆わない第1仮係止位置と、前記第1箇所(812a)を覆う本係止位置と、にて前記ハウジング(840)に係止可能なカバー(830)と、
前記電圧検知端子(810)の第2箇所(811a)に導通接続され且つ前記ハウジング(840)の外部に向けて引き出される電線(820)と、
を備える電圧検知ユニット(805)であって、
前記ハウジング(840)は、
前記カバー(830)を外部から前記第1仮係止位置に向けて案内する案内部(854)と、
前記案内部(854)から前記第1仮係止位置に向けて前記カバー(830)を移動させる移動向きにおいて、前記カバー(830)が前記第1仮係止位置にあるときに前記カバー(830)が当接可能な第1壁部(841b)と、を有する、
電圧検知ユニット(805)。
【0480】
上記[8-1]の構成の電圧検知ユニットよれば、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができる。そのため、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を検知対象に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、検知対象と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止位置に配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0481】
カバーをハウジングに取り付けるにあたり、本構成の電圧検知ユニットでは、例えば、カバーをハウジングの外部から案内部を経て第1仮係止位置に向けて移動させて第1仮係止位置に係止させ、カバーが第1仮係止位置にある状態で検知対象と電圧検知端子との接続を行った後、カバーを、本係止位置に移動させることができる。ここで、カバーが案内部に案内されて第1仮係止位置に向けて移動するとき、カバーが第1仮係止位置に到達すると、カバーは第1壁部に当接することになる。カバーがハウジングの第1壁部に当接することで、カバーが第1仮係止位置を超えて過剰に移動することが抑制される。よって、例えば、本来は第1仮係止位置に配置するべきカバーを誤って他の位置(例えば、本係止位置)にまで移動させてしまうことで、カバーが検知対象と電圧検知端子との接続の妨げになることを、避けることができる。
【0482】
したがって、本構成の電圧検知ユニットは、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の電圧検知ユニットは、上述した従来の蓄電装置に比べ、検知対象や電圧検知端子の製造公差に起因した両者の接点での接触抵抗のバラツキが生じ難いことから、電圧の検知精度にも優れている。
【0483】
[8-2]
上記[8-1]に記載の電圧検知ユニット(805)において、
前記カバー(830)は、
前記第1仮係止位置とは異なり且つ前記第1箇所(812a)を覆わない第2仮係止位置にて、前記ハウジング(840)に係止可能であり、
前記ハウジング(840)は、
前記第1仮係止位置から前記第2仮係止位置に向けて前記カバー(830)を移動するときの移動向きにおいて、前記カバー(830)が前記第2仮係止位置にあるときに前記カバー(830)が当接可能な第2壁部(841c)、を有する、
電圧検知ユニット(805)。
【0484】
上記[8-2]の構成の電圧検知ユニットによれば、例えば、カバーを、第1仮係止位置、第2仮係止位置、及び、本係止位置の順に移動させることができる。カバーを仮係止できる複数の箇所を設けることで、例えば、電圧検知ユニットに求められる仕様等に応じた最適な位置にカバーを仮係止することができる。更に、カバーが第1仮係止位置から第2仮係止位置に向けて移動するとき、カバーが第2仮係止位置に到達すると、カバーは第2壁部に当接することになる。カバーがハウジングの第2壁部に当接することで、カバーが第2仮係止位置を超えて過剰に移動することが抑制される。よって、カバーを多段階に(即ち、第1仮係止位置、第2仮係止位置、及び、本係止位置の順に)移動させる場合であっても、第1壁部及び第2壁部の働きにより、カバーを容易かつ適正に第1仮係止位置及び第2仮係止位置に配置することができる。
【0485】
[8-3]
上記[8-2]に記載の電圧検知ユニットにおいて、
前記ハウジング(840)は、
前記第2仮係止位置から前記本係止位置に向けて前記カバー(830)を移動するときの移動向きにおいて、前記カバー(830)が前記本係止位置にあるとき、前記カバーが前記第1壁部(841b)に当接可能である、
電圧検知ユニット(805)。
【0486】
上記[8-3]の構成の電圧検知ユニットによれば、カバーが第2仮係止位置から本係止位置に向けて移動するとき、カバーが本係止位置に到達すると、カバーは第1壁部に当接することになる。カバーがハウジングの第1壁部に当接することで、カバーが本係止位置を超えて過剰に移動することが抑制される。よって、カバーを容易かつ適正に本係止位置に配置することができる。更に、カバーを第1仮係止位置に配置するための第1壁部を、カバーを本係止位置に配置するために兼用することで、ハウジングの小型化を図ることができる。
【0487】
[8-4]
上記[8-1]~上記[8-3]の何れか一つに記載の電圧検知ユニット(805)と、前記電圧検知端子(810)が導通接続される検知対象としての導電板(804)と、を有する板状の導電モジュール(803)と、
前記導電モジュール(803)が積層される充放電可能な蓄電モジュール(802)と、
を備える、蓄電装置(801)。
【0488】
上記[8-4]の構成の蓄電装置では、この蓄電装置に用いられる電圧検知ユニットが、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができるように構成されている。そのため、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を検知対象に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、検知対象と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止位置に配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0489】
カバーをハウジングに取り付けるにあたり、上述した電圧検知ユニットでは、例えば、カバーをハウジングの外部から案内部を経て第1仮係止位置に向けて移動させて第1仮係止位置に係止させ、カバーが第1仮係止位置にある状態で検知対象と電圧検知端子との接続を行った後、カバーを、本係止位置に移動させることができる。ここで、カバーが案内部に案内されて第1仮係止位置に向けて移動するとき、カバーが第1仮係止位置に到達すると、カバーは第1壁部に当接することになる。カバーがハウジングの第1壁部に当接することで、カバーが第1仮係止位置を超えて過剰に移動することが抑制される。よって、例えば、本来は第1仮係止位置に配置するべきカバーを誤って他の位置(例えば、本係止位置)にまで移動させてしまうことで、カバーが検知対象と電圧検知端子との接続の妨げになることを、避けることができる。
【0490】
したがって、本構成の蓄電装置は、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の蓄電装置は、上述した従来の蓄電装置に比べ、検知対象や電圧検知端子の製造公差に起因した両者の接点での接触抵抗のバラツキが生じ難いことから、電圧の検知精度にも優れている。
【0491】
<第9実施形態>
第9実施形態として具体化される発明は、検知対象に導通接続されることになる電圧検知端子が板状のハウジングに収容されるように構成される電圧検知ユニット、及び、蓄電装置に関する。
【0492】
従来から、充放電可能な薄板状の蓄電モジュールと導電板とを交互に並べて繰り返し積層することで、複数の蓄電モジュールを導電板を介して直列接続するように構成された、積層型の蓄電装置が提案されている。この種の蓄電装置に用いられる蓄電モジュールは、一般に、その内部に複数の電池セルが内蔵された構造を有し、充放電可能な一つの電池として機能する。従来の蓄電装置の一つでは、個々の蓄電モジュールの出力状態(即ち、基準となるゼロ電位に対する個々の蓄電モジュールの出力面の電位。以下、単に「蓄電モジュールの電圧」ともいう。)を監視するべく、個々の蓄電モジュールの出力面に接触している導電板にバスバ等の検知用端子を接続し、この検知用端子を介して個々の蓄電モジュールの電圧を測定するようになっている(例えば、特開2020-161340号公報を参照)。
【0493】
ところで、上述したような構造を有する蓄電装置内の導電板に実際にバスバ等を接続するにあたっては、蓄電モジュールや導電板が薄板状の形状を有することから接続用の他の部品(例えば、ボルト締結用のボルト等)を設置するスペースを確保することが難しい。そこで、上述した従来の蓄電装置では、導電板の側縁部に検知用端子を挿し込むための挿入穴を設け、蓄電モジュールと導電板を積層した積層体の側方から個々の導電板の挿入穴に検知用端子を挿し込むことで、導電板と検知用端子とを接続するようになっている。しかし、この従来の接続法では、検知用端子の挿し込みにあたって導電板の挿入穴と検知用端子との位置合わせが煩雑であることから、接続作業の作業性を向上させ難い。
【0494】
第9実施形態として具体化される発明の目的の一つは、検知対象との導電接続における作業性に優れた電圧検知ユニット、及び、その電圧検知ユニットを用いた蓄電装置の提供である。
【0495】
以下、図56図66を参照しながら、第9実施形態に係る電圧検知ユニット905、及び、蓄電装置901について説明する。以下、説明の便宜上、図56等に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0496】
電圧検知ユニット905は、典型的には、図56に示す積層型の蓄電装置901に使用される。蓄電装置901は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール902と、隣接する蓄電モジュール902の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール903と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置901では、複数の蓄電モジュール902が導電モジュール903を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール902は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール902全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0497】
導電モジュール903は、図56に示すように、矩形薄板状の導電板904(なお、導電板904は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板904の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット905と、導電板904の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット906とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図56図58(特に、図57参照)に示すように、導電板904と電圧検知ユニット905とは、導電板904の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部904aと、電圧検知ユニット905の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部905aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板904と対向ユニット906とは、導電板904の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部904bと、対向ユニット906の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部906aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0498】
上下に隣接する蓄電モジュール902の間に位置する個々の導電モジュール903において、導電板904は、図57に示すように、上下の蓄電モジュール902と直接接触している。このため、導電板904は、上側の蓄電モジュール902の下面と下側の蓄電モジュール902の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール902から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0499】
上下に隣接する蓄電モジュール902の間に位置する個々の導電モジュール903において、電圧検知ユニット905は、導電板904に接触する後述する電圧検知端子910(図57参照)を備える。電圧検知ユニット905は、この電圧検知端子910に接続された電線920(図56等参照)を介して、上下の蓄電モジュール902の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール902の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図56図58では電圧検知ユニット905が導電板904の左側に配置されているが、電圧検知ユニット905と同じ機能を有する電圧検知ユニットが、導電板904の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット905と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット905の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット905のミラー品)が使用される。
【0500】
上下に隣接する蓄電モジュール902の間に位置する個々の導電モジュール903において、対向ユニット906としては、蓄電装置901の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0501】
対向ユニット906が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット906として、電圧検知ユニット905の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット905のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット905が導電板904の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット905のミラー品が導電板904の右側に配置される。対向ユニット906(電圧検知ユニット905のミラー品)は、電圧検知ユニット905と同じ機能を果たす。
【0502】
対向ユニット906がダミーユニットである場合、対向ユニット906として、前後方向に延びる凹部906a(図57参照)を有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット906は、上下の蓄電モジュール902の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0503】
対向ユニット906が温度検知ユニットである場合、対向ユニット906として、図56に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度センサ907(サーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される。この場合、対向ユニット906は、温度センサ907に接続された電線907a(図56参照)を介して、上下の蓄電モジュール902の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0504】
以下、第9実施形態に係る電圧検知ユニット905の具体的な構成について、図59図66を参照しながら説明する。電圧検知ユニット905は、図59に示すように、ハウジング940と、ハウジング940に収容される電圧検知端子910と、電圧検知端子910に接続され且つハウジング940に収容される電線920と、ハウジング940に装着されるカバー930と、を備える。
【0505】
電圧検知端子910は、ハウジング940に形成された後述する端子収容凹部942(図59参照)に収容され、電線920は、ハウジング940に形成された後述する電線収容凹部946(図59参照)に収容され、カバー930は、ハウジング940に形成された後述するカバー装着凹部941(図59参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット905を構成する各部材について順に説明する。
【0506】
まず、電圧検知端子910について説明する。金属製の電圧検知端子910は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子910は、上方から、ハウジング940の端子収容凹部942に収容される。電圧検知端子910は、図59に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1部分911と、第1部分911の後端部から右方に延びる矩形平板状の第2部分912と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0507】
第1部分911の先端部911a(即ち、前端側の端部)の下面には、電線920の一端部が電気的に接続されるように固定される。電線920の他端部は、蓄電装置901の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。第2部分912の先端部912a(即ち、右端側の端部)の下面には、導電板904のフランジ部904aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(図58参照)。
【0508】
第2部分912の後端縁には、後方に突出する突起部913が形成されている。電圧検知端子910のハウジング940への収容時、突起部913は、ハウジング940に形成された係止溝(図示省略)に係止されることになる。
【0509】
次いで、カバー930について説明する。カバー930は、樹脂成形品であり、上方から、ハウジング940のカバー装着凹部941に装着される。カバー930は、前後方向に延びる略矩形平板状の本体部931と、本体部931の後端部の右端縁から面一で連続して右方に延びる略矩形平板状の延出部932と、で構成される。本体部931は、主として電線920を覆って保護する機能を果たし、延出部932は、主として電圧検知端子910を覆って保護する機能を果たす。
【0510】
本体部931には、左右方向に延びる一対の電線保持片935が、前後方向に間隔を空けて並ぶように一体に形成されている。各電線保持片935は、図60から理解できるように、本体部931の下面にて下方に隆起して左右方向に延びて、本体部931の右端縁から更に右方に向けて突出している。カバー930のハウジング940への装着時、電線保持片935は、ハウジング940に収容された電線920を保持する機能を果たす。
【0511】
本体部931の下面の所定箇所には、図60に示すように、下方に向けて突出する係止部936が形成されている(図60等参照)。係止部936は、ハウジング940に設けられた後述する仮被係止部956及び本被係止部957(図59参照)との協働により、カバー930を、仮係止位置(図61及び図62参照)と、本係止位置(図65参照)と、に係止する機能を果たす。本体部931の下面の前後両端部には、図60に示すように、下方に向けて突出する前後一対の係合突起933が形成されている。前後一対の係合突起933は、ハウジング940に設けられた後述する前後一対の係合孔954(図59参照)との協働により、カバー930を、仮係止位置と本係止位置(図65参照)との間で左右方向に移動可能且つハウジング940から上方へ分離不能に、支持する機能を果たす。
【0512】
次いで、ハウジング940について説明する。ハウジング940は、樹脂成形品であり、図56等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング940の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部905aが形成されている。凹部905aには、導電板904のフランジ部904aが嵌合されることになる(図57参照)。
【0513】
ハウジング940の上面におけるカバー930が装着される箇所には、カバー930の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部941が形成されている(図59参照)。カバー装着凹部941の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー930(本体部931+延出部932)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー930のハウジング940への装着時、ハウジング940の上面とカバー930の上面とは、面一になる(図56及び図65参照)。
【0514】
ハウジング940のカバー装着凹部941の底面941aにおける電圧検知端子910が収容される箇所には、電圧検知端子910の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部942が形成されている(図59参照)。端子収容凹部942の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子910の板厚と等しい。よって、電圧検知端子910のハウジング940への装着時、電圧検知端子910の上面と、カバー装着凹部941の底面941aとは、面一になる。
【0515】
ハウジング940の右端縁における、電圧検知端子910の先端部912aが配置される前後方向位置には、左方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き943が形成されている。ハウジング940の右側端面にて前後方向に延びる凹部905aは、切欠き943によって分断されている。電圧検知端子910のハウジング940への収容時、電圧検知端子910の先端部912aの上下面が、切欠き943によって露出することになる(図61及び図62参照)。
【0516】
端子収容凹部942における電圧検知端子910の先端部911aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔944が形成されている(図59等参照)。電圧検知端子910のハウジング940への収容時、貫通孔944には、電圧検知端子910に接続された電線920の一端部(接点)が進入する。換言すれば、貫通孔944は、端子収容凹部942の底面942aと電線920の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0517】
端子収容凹部942における、電圧検知端子910の突起部913(図59参照)が配置される箇所の内壁面には、突起部913に対応して、後方へ窪み且つ凹部905aと連通する係止溝(図示省略)が形成されている。
【0518】
ハウジング940のカバー装着凹部941の底面941aにおける電線920が収容される箇所には、電線920が収容される際の電線920の配索形態に対応する形状を有して窪む電線収容凹部946が形成されている(図59参照)。電線収容凹部946は、前後方向に延びる一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部947と、一対のストレート部947を繋ぐと共に左方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部948と、で構成される一連の溝部である。一対のストレート部947のうち後側のストレート部947の後端は、端子収容凹部942と連通し、一対のストレート部947のうち前側のストレート部947の前端は、ハウジング940の前端縁から電線920が延出する電線引出口949を構成している。このように、電線収容凹部946が屈曲部948を有することで、電線収容凹部946がストレート部947のみで構成される場合に比べ、ハウジング940から引き出された電線920に意図しない外力が及んでも、屈曲部948と電線920との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子910と電線920との接点に大きな外力が及び難い。
【0519】
一対のストレート部947における屈曲部948との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部947より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部951が設けられている。幅狭凹部951の幅は、電線920の外径より僅かに小さい。このため、電線920を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部951に電線920を挟持することで、ハウジング940から引き出された電線920に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部951と電線920との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子910と電線920との接点に大きな外力が及び難い。
【0520】
ハウジング940のカバー装着凹部941の底面941aにおける、カバー930の一対の電線保持片935が配置される箇所には、図59に示すように、一対の電線保持片935に対応して、左右方向に延びる一対の電線保持片凹部952が、前後方向に間隔を空けて並ぶように形成されている。一対の電線保持片凹部952は、電線収容凹部946の屈曲部948の屈曲頂点を前後方向に挟むように、配置されている。
【0521】
各電線保持片凹部952は、ハウジング940の上面の左端縁から、電線収容凹部946を横断して、カバー装着凹部941の右端内壁941b(図59参照)まで、左右方向に延びている。カバー装着凹部941の右端内壁941bにおける一対の電線保持片凹部952が接続する箇所には、それぞれ、右方に向けて窪む格納穴953が形成されている(図59参照)。カバー930のハウジング940への装着時、一対の格納穴953には、カバー930の一対の電線保持片935の延出端部(即ち、右側の端部)が挿入されて格納されることになる。
【0522】
ハウジング940のカバー装着凹部941の底面941aには、図59に示すように、下方に向けて窪む凹部である、仮被係止部956及び本被係止部957が形成されている(図64及び図66も参照)。仮被係止部956及び本被係止部957は、それぞれ、仮係止位置(図62参照)及び本係止位置(図65参照)にあるカバー930の係止部936が位置する箇所に、設けられている。具体的には、仮被係止部956と本被係止部957とは、本被係止部957が仮被係止部956の右側に位置して左右方向に並ぶように配置されている。
【0523】
ハウジング940のカバー装着凹部941の底面941aには、図59に示すように、カバー930の前後一対の係合突起933に対応して、前後一対の係合孔954が形成されている。各係合孔954は、上下方向に貫通する貫通孔であり、且つ、係合孔954に挿通且つ係合された係合突起933が左右方向に移動可能となるように、左右方向に延びる長孔状の形状を有している。以上、電圧検知ユニット905を構成する各部材について説明した。
【0524】
次いで、電圧検知端子910及びカバー930をハウジング940へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電線920があらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された電圧検知端子910を、ハウジング940の端子収容凹部942に収容する。このため、突起部913が係止溝(図示省略)に進入し且つ電線920の一端部(接点)が貫通孔944に進入するように、電圧検知端子910が、上方から、ハウジング940の端子収容凹部942に嵌め込まれる。電圧検知端子910のハウジング940への収容が完了した状態では、電圧検知端子910の先端部912aの上下面が、切欠き943によって露出している(図61及び図62参照)。
【0525】
次いで、ハウジング940に収容された電圧検知端子910から延びる電線920を、ハウジング940の電線収容凹部946に収容する。このため、電線920が、上方から、一対のストレート部947及び屈曲部948から構成される電線収容凹部946に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部951の上部に位置する電線920の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電線920の一対の部分が一対の幅狭凹部951の内部に収容される。電線920のハウジング940への収容が完了した状態では、電線920は、電線引出口949から前方へ向けてハウジング940の外部に延出している。
【0526】
次いで、カバー930を、仮係止位置(図61及び図62参照)にてハウジング940に係止させることで、ハウジング940に装着する。このため、まず、図61に破線で示すように、カバー930がハウジング940のカバー装着凹部941の上方に配置される。次いで、カバー930の一対の電線保持片935がハウジング940の一対の電線保持片凹部952を覆うように、且つ、カバー930の係止部936がハウジング940の仮被係止部956の内部に進入するように、且つ、カバー930の前後一対の係合突起933がハウジング940の前後一対の係合孔954に挿通且つ係合されるように、カバー930が、ハウジング940に対して下向き(カバー930及びハウジング940の板厚方向)に押し込まれる(図61の白矢印を参照)。
【0527】
以上により、カバー930が仮係止位置にてハウジング940に係止されて、カバー930のハウジング940への装着が完了し(図62図64参照)、電圧検知ユニット905(図56参照)が得られる。なお、後述するように、カバー930のハウジング940への装着が完了して(カバー930が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット905は、導電モジュール903(図56参照)の組み立てに供されることになる。
【0528】
カバー930が仮係止位置に係止された状態では、前後一対の係合突起933及び前後一対の係合孔954の係合によって、カバー930がハウジング940から上方へ分離不能に支持されている(図63参照)。カバー930が仮係止位置に係止された状態では、図61及び図62に示すように、カバー930(より具体的には、延出部932)が、電圧検知端子910の先端部912aを覆っていない。このため、電圧検知端子910の先端部912aの上下面が、なおも切欠き943によって露出している。
【0529】
カバー930が仮係止位置に係止された状態では、カバー930の一対の電線保持片935が電線収容凹部946のストレート部947及び屈曲部948の一部の開口上に配置される。これにより、電線920が電線収容凹部946から抜け出すことが抑制される。更に、カバー930の本体部931が電線収容凹部946の屈曲部948の屈曲頂点の開口上に配置される(図61参照)。これにより、電線収容凹部946から電線920が抜け出して屈曲部948をまたぐ(即ち、屈曲部948をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電線920が電線収容凹部946の屈曲部948から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0530】
仮係止位置に係止されているカバー930を本係止位置(図65参照)に移動させるためには、カバー930が、ハウジング940に対して右向き(カバー930及びハウジング940の板面方向)に押し込まれる(図65の白矢印を参照)。カバー930がハウジング940に対して右向きに移動する過程において、前後一対の係合突起933が前後一対の係合孔954内を右方に移動し、カバー930の一対の電線保持片935の延出端部がハウジング940の一対の格納穴953内に進入して格納されると共に、カバー930の係止部936は、仮被係止部956を乗り越え、カバー装着凹部941の底面941a上を摺動し、その後、本被係止部957の内部に進入して本被係止部957と係合する。これにより、カバー930が、本係止位置にてハウジング940に係止される(図65及び図66参照)。ここで、外部から仮係止位置にカバー930を移動させるハウジング940の板厚方向(上下方向)と、仮係止位置から本係止位置にカバー930を移動させるハウジング940の板面方向(左右方向)とは、異なる。よって、例えば、本来は仮係止位置に配置するべきカバー930を誤って本係止位置にまで移動させてしまうことを防ぐことができる。
【0531】
カバー930が本係止位置に係止された状態では、前後一対の係合突起933及び前後一対の係合孔954の係合によって、カバー930がハウジング940から上方へ分離不能に支持された状態が維持されている。カバー930が本係止位置に係止された状態では、図65に示すように、カバー装着凹部941の全域がカバー930によって隙間なく覆われることで、電線収容凹部946の全体がカバー930の本体部931によって覆われている。これにより、電線収容凹部946から電線920が抜け出すことが抑制される。更に、図65に示すように、カバー930の延出部932が、電圧検知端子910の先端部912aの上面を覆っている。これにより、電圧検知端子910の全体がカバー930の本体部931及び延出部932によって覆われるので、電圧検知端子910が確実に保護され得る。
【0532】
上述したように、カバー930のハウジング940への装着が完了して(カバー930が仮係止位置で係止された状態で)得られた電圧検知ユニット905は、導電モジュール903(図56参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、図57に示すように、導電板904のフランジ部904aと電圧検知ユニット905の凹部905aとが嵌合されることで、導電板904の左側に電圧検知ユニット905が連結される。
【0533】
この状態では、図58から理解できるように、導電板904のフランジ部904aの一部が電圧検知端子910の先端部912aの下側に重なるように配置されており、ハウジング940の切欠き943の存在に起因して、電圧検知端子910の先端部912aの上面が上方に露出し、且つ、導電板904のフランジ部904aの一部の下面が下方に露出している。
【0534】
次いで、上方に露出する電圧検知端子910の先端部912aの上面と、下方に露出する導電板904のフランジ部904aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子910の先端部912aと導電板904のフランジ部904aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー930が仮係止位置から本係止位置に移動されて、電圧検知ユニット905と導電板904との組み付けが完了する。
【0535】
次いで、導電板904のフランジ部904bと対向ユニット906の凹部906aとが嵌合されることで、電圧検知ユニット905が組み付けられた導電板904の右側に対向ユニット906が連結される(図57等参照)。これにより、導電モジュール903の組み立てが完了する。
【0536】
このようにして得られた導電モジュール903は、図56に示す蓄電装置901の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール902と導電モジュール903とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置901が得られる。
【0537】
以上、第9実施形態に係る電圧検知ユニット905によれば、電線920が先端部911aに接続された電圧検知端子910をハウジング940の端子収容凹部942に収容し、電圧検知端子910の先端部912aを露出させた状態でカバー930をハウジング940に係止させることができる。そのため、電圧検知ユニット905を導電板904(積層型の蓄電装置901の導電板904)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニット905を導電板904に組み付けた上で、露出している電圧検知端子910の先端部912aを導電板904に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、導電板904と電圧検知端子910との接続の後、カバー930を本係止位置に配置すれば、電圧検知端子910の先端部912a(即ち、両者の接点)をカバー930で覆って保護することができる。
【0538】
カバー930をハウジング940に取り付けるにあたり、第9実施形態の電圧検知ユニット905では、例えば、カバー930をハウジング940の外部から仮係止位置に配置し、カバー930が仮係止位置にある状態で導電板904と電圧検知端子910との接続を行った後、カバー930を、仮係止位置から本係止位置に移動させることができる。ここで、外部から仮係止位置にカバー930を移動させるハウジング940の板厚方向と、仮係止位置から本係止位置にカバー930を移動させるハウジング940の板面方向とは、異なる。よって、例えば、本来は仮係止位置に配置するべきカバー930を誤って本係止位置にまで移動させてしまうことで、カバー930が導電板904と電圧検知端子910との接続の妨げになることを、防ぐことができる。
【0539】
なお、第9実施形態として具体化される発明は、第9実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第9実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第9実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0540】
ここで、上述した電圧検知ユニット905及び蓄電装置901の実施形態の特徴を以下[9-1]~[9-2]に簡潔に纏めて列記する。
【0541】
[9-1]
検知対象(904)に導通接続されることになる第1箇所(912a)を有する電圧検知端子(910)と、
前記電圧検知端子(910)が収容される端子収容凹部(942)を有する板状のハウジング(940)と、
前記端子収容凹部(942)に収容されている前記電圧検知端子(910)の前記第1箇所(912a)を覆わない仮係止位置と、前記第1箇所(912a)を覆う本係止位置と、にて前記ハウジング(940)に係止可能なカバー(930)と、
前記電圧検知端子(910)の第2箇所(911a)に導通接続され且つ前記ハウジング(940)の外部に向けて引き出される電線(920)と、
を備える電圧検知ユニット(905)であって、
前記ハウジング(940)は、
当該ハウジング(940)の板厚方向に当該ハウジングを穿つように設けられる係合部(954)を有し、
前記カバー(930)は、
前記係合部(954)に挿し込まれて前記係合部(954)に係合可能な突起部(933)を有し、当該カバー(930)を外部から前記板厚方向に移動させて前記突起部(933)を前記係合部(954)に挿し込むことによって前記仮係止位置に配置するとともに、当該カバー(930)を前記仮係止位置から前記ハウジング(940)の板面に沿った板面方向に移動させて前記本係止位置に配置する、ように構成される、
電圧検知ユニット(905)。
【0542】
上記[9-1]の構成の電圧検知ユニットによれば、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができる。そのため、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を検知対象に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、検知対象と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止位置に配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0543】
カバーをハウジングに取り付けるにあたり、本構成の電圧検知ユニットでは、例えば、カバーをハウジングの外部から板厚方向に移動させて仮係止位置に係止させ、カバーが仮係止位置にある状態で検知対象と電圧検知端子との接続を行った後、カバーを、仮係止位置から本係止位置に板面方向に移動させることができる。ここで、外部から仮係止位置にカバーを移動させる板厚方向と、仮係止位置から本係止位置にカバーを移動させる板面方向とは、異なる。よって、例えば、本来は仮係止位置に配置するべきカバーを誤って本係止位置にまで移動させてしまうことで、カバーが検知対象と電圧検知端子との接続の妨げになることを、避けることができる。
【0544】
したがって、本構成の電圧検知ユニットは、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の電圧検知ユニットは、上述した従来の蓄電装置に比べ、検知対象や電圧検知端子の製造公差に起因した両者の接点での接触抵抗のバラツキが生じ難いことから、電圧の検知精度にも優れている。
【0545】
[9-2]
上記[9-1]に記載の電圧検知ユニット(905)と、前記電圧検知端子(910)が導通接続される検知対象としての導電板(904)と、を有する板状の導電モジュール(903)と、
前記導電モジュール(903)が積層される充放電可能な蓄電モジュール(902)と、
を備える、蓄電装置(901)。
【0546】
上記[9-2]の構成の蓄電装置では、この蓄電装置に用いられる電圧検知ユニットが、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができるように構成されている。そのため、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を検知対象に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、検知対象と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止位置に配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0547】
カバーをハウジングに取り付けるにあたり、本構成の電圧検知ユニットでは、例えば、カバーをハウジングの外部から板厚方向に移動させて仮係止位置に係止させ、カバーが仮係止位置にある状態で検知対象と電圧検知端子との接続を行った後、カバーを、仮係止位置から本係止位置に板面方向に移動させることができる。ここで、外部から仮係止位置にカバーを移動させる板厚方向と、仮係止位置から本係止位置にカバーを移動させる板面方向とは、異なる。よって、例えば、本来は仮係止位置に配置するべきカバーを誤って本係止位置にまで移動させてしまうことで、カバーが検知対象と電圧検知端子との接続の妨げになることを、避けることができる。
【0548】
したがって、本構成の蓄電装置は、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の蓄電装置は、上述した従来の蓄電装置に比べ、検知対象や電圧検知端子の製造公差に起因した両者の接点での接触抵抗のバラツキが生じ難いことから、電圧の検知精度にも優れている。
【0549】
<第10実施形態>
第10実施形態として具体化される発明は、検知対象に導通接続されることになる電圧検知端子が板状のハウジングに収容されるように構成される電圧検知ユニット、及び、蓄電装置に関する。
【0550】
従来から、充放電可能な薄板状の蓄電モジュールと導電板とを交互に並べて繰り返し積層することで、複数の蓄電モジュールを導電板を介して直列接続するように構成された、積層型の蓄電装置が提案されている。この種の蓄電装置に用いられる蓄電モジュールは、一般に、その内部に複数の電池セルが内蔵された構造を有し、充放電可能な一つの電池として機能する。従来の蓄電装置の一つでは、個々の蓄電モジュールの出力状態(即ち、基準となるゼロ電位に対する個々の蓄電モジュールの出力面の電位。以下、単に「蓄電モジュールの電圧」ともいう。)を監視するべく、個々の蓄電モジュールの出力面に接触している導電板にバスバ等の検知用端子を接続し、この検知用端子を介して個々の蓄電モジュールの電圧を測定するようになっている(例えば、特開2020-161340号公報を参照)。
【0551】
ところで、上述したような構造を有する蓄電装置内の導電板に実際にバスバ等を接続するにあたっては、蓄電モジュールや導電板が薄板状の形状を有することから接続用の他の部品(例えば、ボルト締結用のボルト等)を設置するスペースを確保することが難しい。そこで、上述した従来の蓄電装置では、導電板の側縁部に検知用端子を挿し込むための挿入穴を設け、蓄電モジュールと導電板を積層した積層体の側方から個々の導電板の挿入穴に検知用端子を挿し込むことで、導電板と検知用端子とを接続するようになっている。しかし、この従来の接続法では、検知用端子の挿し込みにあたって導電板の挿入穴と検知用端子との位置合わせが煩雑であることから、接続作業の作業性を向上させ難い。
【0552】
第10実施形態として具体化される発明の目的の一つは、検知対象との導電接続における作業性に優れた電圧検知ユニット、及び、その電圧検知ユニットを用いた蓄電装置の提供である。
【0553】
以下、図67図75を参照しながら、第10実施形態に係る電圧検知ユニット1005、及び、蓄電装置1001について説明する。以下、説明の便宜上、図67等に示すように、「前後方向」、「左右方向」、「上下方向」、「前」、「後」、「左」、「右」、「上」、及び「下」を定義する。「前後方向」、「左右方向」及び「上下方向」は、互いに直交している。
【0554】
電圧検知ユニット1005は、典型的には、図67に示す積層型の蓄電装置1001に使用される。蓄電装置1001は、矩形薄板状の充放電可能な蓄電モジュール1002と、隣接する蓄電モジュール1002の間を電気的に接続可能な矩形薄板状の導電モジュール1003と、を上下方向に交互に積層して構成される。蓄電装置1001では、複数の蓄電モジュール1002が導電モジュール1003を介して電気的に直列に接続されている。蓄電モジュール1002は、内部に複数の電池セル(図示省略)が内蔵された構造を有し、蓄電モジュール1002全体として、充放電可能な一つの電池として機能する。
【0555】
導電モジュール1003は、図67に示すように、矩形薄板状の導電板1004(なお、導電板1004は、後述するように、ヒートシンクとしての機能も有する。)と、導電板1004の左側に連結された矩形薄板状の電圧検知ユニット1005と、導電板1004の右側に連結された矩形薄板状の対向ユニット1006とで、全体として矩形薄板状の形状を有するように構成される。図67図69(特に、図68参照)に示すように、導電板1004と電圧検知ユニット1005とは、導電板1004の左側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部1004aと、電圧検知ユニット1005の右側端面に設けられた前後方向に延びる凹部1005aとが嵌合することで、互いに連結される。導電板1004と対向ユニット1006とは、導電板1004の右側端面に設けられた前後方向に延びるフランジ部1004bと、対向ユニット1006の左側端面に設けられた前後方向に延びる凹部1006aとが嵌合することで、互いに連結されている。
【0556】
上下に隣接する蓄電モジュール1002の間に位置する個々の導電モジュール1003において、導電板1004は、図68に示すように、上下の蓄電モジュール1002と直接接触している。このため、導電板1004は、上側の蓄電モジュール1002の下面と下側の蓄電モジュール1002の上面とを導通する機能、並びに、上下の蓄電モジュール1002から発生する熱を外部に放出するヒートシンクとしての機能を果たす。
【0557】
上下に隣接する蓄電モジュール1002の間に位置する個々の導電モジュール1003において、電圧検知ユニット1005は、導電板1004に接触する後述する電圧検知端子1010(図68参照)を備える。電圧検知ユニット1005は、この電圧検知端子1010に接続された電線1020(図67等参照)を介して、上下の蓄電モジュール1002の間の電圧(具体的には、基準となるゼロ電位に対する、下側の蓄電モジュール1002の上面(出力面)の電位)を示す信号を出力する機能を果たす。なお、図67図69では電圧検知ユニット1005が導電板1004の左側に配置されているが、電圧検知ユニット1005と同じ機能を有する電圧検知ユニットが、導電板1004の右側に配置されてもよい。この場合、電圧検知ユニット1005と同じ機能を有する電圧検知ユニットとして、電圧検知ユニット1005の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、電圧検知ユニット1005のミラー品)が使用される。
【0558】
上下に隣接する蓄電モジュール1002の間に位置する個々の導電モジュール1003において、対向ユニット1006としては、蓄電装置1001の仕様に応じて、電圧検知ユニット、ダミーユニット、及び、温度検知ユニットのうち、何れか一つが適用される。
【0559】
対向ユニット1006が電圧検知ユニットである場合、対向ユニット1006として、電圧検知ユニット1005の全体構成を左右逆にして得られる電圧検知ユニット(即ち、上述した電圧検知ユニット1005のミラー品)が使用される。この場合、電圧検知ユニット1005が導電板1004の左側に配置され、且つ、電圧検知ユニット1005のミラー品が導電板1004の右側に配置される。対向ユニット1006(電圧検知ユニット1005のミラー品)は、電圧検知ユニット1005と同じ機能を果たす。
【0560】
対向ユニット1006がダミーユニットである場合、対向ユニット1006として、前後方向に延びる凹部1006a(図68参照)を有する単なる樹脂板が使用される。この場合、対向ユニット1006は、上下の蓄電モジュール1002の間の隙間を埋める機能のみを果たす。
【0561】
対向ユニット1006が温度検知ユニットである場合、対向ユニット1006として、図67に示すように、ダミーユニットとして使用される樹脂板に温度センサ1007(サーミスタ)が組み込まれた構造のものが使用される。この場合、対向ユニット1006は、温度センサ1007に接続された電線1007a(図67参照)を介して、上下の蓄電モジュール1002の温度を示す信号を出力する機能を果たす。
【0562】
以下、第10実施形態に係る電圧検知ユニット1005の具体的な構成について、図70図75を参照しながら説明する。電圧検知ユニット1005は、図70に示すように、ハウジング1040と、ハウジング1040に収容される電圧検知端子1010と、電圧検知端子1010に接続され且つハウジング1040に収容される電線1020と、ハウジング1040に装着されるカバー1030と、を備える。
【0563】
電圧検知端子1010は、ハウジング1040に形成された後述する端子収容凹部1042(図70参照)に収容され、電線1020は、ハウジング1040に形成された後述する電線収容凹部1046(図70参照)に収容され、カバー1030は、ハウジング1040に形成された後述するカバー装着凹部1041(図70参照)に装着される。以下、電圧検知ユニット1005を構成する各部材について順に説明する。
【0564】
まず、電圧検知端子1010について説明する。金属製の電圧検知端子1010は、1枚の金属板に対してプレス加工等の加工を施すことで形成される。電圧検知端子1010は、上方から、ハウジング1040の端子収容凹部1042に収容される。電圧検知端子1010は、図70に示すように、前後方向に延びる矩形平板状の第1カバー部1011と、第1カバー部1011の後端部から右方に延びる矩形平板状の第2カバー部1012と、を有し、全体として上下方向からみて略L字状の形状を有する平板状の形状を有している。
【0565】
第1カバー部1011の先端部1011a(即ち、前端側の端部)の下面には、電線1020の一端部が電気的に接続されるように固定される。電線1020の他端部は、蓄電装置1001の外部において、電圧計測装置(図示省略)に接続されることになる。第2カバー部1012の先端部1012a(即ち、右端側の端部)の下面には、導電板1004のフランジ部1004aの一部が、超音波接合や溶接等の手法によって固定されることになる(図69参照)。
【0566】
第2カバー部1012の後端縁には、後方に突出する突起部1013が形成されている。電圧検知端子1010のハウジング1040への収容時、突起部1013は、ハウジング1040に形成された係止溝1045(図71参照)に係止されることになる。
【0567】
次いで、カバー1030について説明する。カバー1030は、樹脂成形品であり、ハウジング1040のカバー装着凹部1041に装着される。カバー1030は、ヒンジ状に湾曲可能な第1連結部1033を介してハウジング940の前後方向に延びる左端縁に連結される第1カバー部1031と、ヒンジ状に湾曲可能な第2連結部1034を介して第1カバー部1031に連結される第2カバー部1032と、で構成される。以下、説明の便宜上、図70に示すカバー1030の状態を、「カバー1030が開いた状態」と呼ぶ。
【0568】
カバー1030が開いた状態において、第1カバー部1031は、ハウジング1040の左端縁から第1連結部1033を介して左方に延び且つ前後方向に長い略矩形平板状の形状を有し、第2カバー部1032は、第1カバー部1031の後端部の左端縁から第2連結部1034を介して左方に延出する略矩形平板状の形状を有している。第1カバー部1031は、主として電線1020を覆って保護する機能を果たし、第2カバー部1032は、主として電圧検知端子1010を覆って保護する機能を果たす。
【0569】
カバー1030が開いた状態において、第1カバー部1031の上面には、図70に示すように、上方に向けて突出する3つの仮係止部1035が、前後方向に間隔を開けて並ぶように形成されている。3つの仮係止部1035は、ハウジング1040に設けられた後述する3つの仮被係止部1054(図70参照)との協働により、カバー1030の第1カバー部1031をハウジング1040に係止してカバー1030を仮係止状態(図72及び図73参照)とする機能を果たす。同様に、カバー1030が開いた状態において、第2カバー部1032の上面には、図70に示すように、上方に向けて突出する本係止部1036が形成されている。本係止部1036は、ハウジング1040に設けられた後述する本被係止部1055(図70参照)との協働により、カバー1030の第2カバー部1032をハウジング1040に係止してカバー1030を本係止状態(図74及び図75参照)とする機能を果たす。
【0570】
次いで、ハウジング1040について説明する。ハウジング1040は、樹脂成形品であり、図67等に示すように、前後方向に延びる略矩形薄板状の形状を有する。ハウジング1040の右側端面には、左方に窪み且つ前後方向に延びる凹部1005aが形成されている。凹部1005aには、導電板1004のフランジ部1004aが嵌合されることになる(図68参照)。
【0571】
ハウジング1040の上面におけるカバー1030が装着される箇所には、カバー1030の全体形状に対応する形状を有して窪むカバー装着凹部1041が形成されている(図70参照)。カバー装着凹部1041の窪み深さ(上下方向の深さ)は、カバー1030(第1カバー部1031+第2カバー部1032)を構成する樹脂材料の板厚と等しい。よって、カバー1030のハウジング1040への装着時、ハウジング1040の上面とカバー1030の上面とは、面一になる(図67及び図74参照)。
【0572】
ハウジング1040のカバー装着凹部1041の底面1041aにおける電圧検知端子1010が収容される箇所には、電圧検知端子1010の全体形状に対応する形状を有して更に窪む端子収容凹部1042が形成されている(図70参照)。端子収容凹部1042の窪み深さ(上下方向の深さ)は、電圧検知端子1010の板厚と等しい。よって、電圧検知端子1010のハウジング1040への装着時、電圧検知端子1010の上面と、カバー装着凹部1041の底面1041aとは、面一になる。
【0573】
ハウジング1040の右端縁における、電圧検知端子1010の先端部1012aが配置される前後方向位置には、左方に向けて上下方向からみて略矩形状に窪む切欠き1043が形成されている。ハウジング1040の右側端面にて前後方向に延びる凹部1005aは、切欠き1043によって分断されている。電圧検知端子1010のハウジング1040への収容時、電圧検知端子1010の先端部1012aの上下面が、切欠き1043によって露出することになる(図71及び図72参照)。
【0574】
端子収容凹部1042における電圧検知端子1010の先端部1011aが配置される箇所には、前後方向に延び且つ上下方向に貫通する貫通孔1044が形成されている(図70参照)。電圧検知端子1010のハウジング1040への収容時、貫通孔1044には、電圧検知端子1010に接続された電線1020の一端部(接点)が進入する。換言すれば、貫通孔1044は、端子収容凹部1042の底面1042aと電線1020の一端部との干渉を避けるための逃げ部として機能する。
【0575】
端子収容凹部1042における、電圧検知端子1010の突起部1013(図70参照)が配置される箇所の内壁面には、突起部1013に対応して、後方へ窪み且つ凹部1005aと連通する係止溝1045(図71参照)が形成されている。
【0576】
ハウジング1040のカバー装着凹部1041の底面1041aにおける電線1020が収容される箇所には、電線1020が収容される際の電線1020の配索形態に対応する形状を有して窪む電線収容凹部1046が形成されている(図70参照)。電線収容凹部1046は、前後方向に延びる一直線状に延び且つ前後方向に間隔を空けて並ぶ一対のストレート部1047と、一対のストレート部1047を繋ぐと共に左方に突出するように屈曲しながら延びる屈曲部1048と、で構成される一連の溝部である。一対のストレート部1047のうち後側のストレート部1047の後端は、端子収容凹部1042と連通し、一対のストレート部1047のうち前側のストレート部1047の前端は、ハウジング1040の前端縁から電線1020が延出する電線引出口1049を構成している。このように、電線収容凹部1046が屈曲部1048を有することで、電線収容凹部1046がストレート部1047のみで構成される場合に比べ、ハウジング1040から引き出された電線1020に意図しない外力が及んでも、屈曲部1048と電線1020との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子1010と電線1020との接点に大きな外力が及び難い。
【0577】
一対のストレート部1047における屈曲部1048との境界の近傍箇所には、それぞれ、ストレート部1047より幅(左右方向の間隔)が狭い凹部である幅狭凹部1051が設けられている。幅狭凹部1051の幅は、電線1020の外径より僅かに小さい。このため、電線1020を左右方向に押圧しながら挟持する機能を果たす。一対の幅狭凹部1051に電線1020を挟持することで、ハウジング1040から引き出された電線1020に意図しない外力が及んでも、幅狭凹部1051と電線1020との摩擦によってその外力に抗することができる。このため、電圧検知端子1010と電線1020との接点に大きな外力が及び難い。
【0578】
ハウジング1040のカバー装着凹部1041の底面1041aには、図70に示すように、カバー1030の3つの仮係止部1035に対応して、下方に向けて窪む凹部である3つの仮被係止部1054が、前後方向に間隔を開けて並ぶように形成されている。同様に、カバー1030の本係止部1036に対応して、下方に向けて窪む凹部である本被係止部1055が形成されている。以上、電圧検知ユニット1005を構成する各部材について説明した。
【0579】
次いで、電圧検知端子1010及びカバー1030をハウジング1040へ組み付ける際の手順について説明する。まず、電線1020があらかじめ超音波接合や溶接等の手法で接続された電圧検知端子1010を、ハウジング1040の端子収容凹部1042に収容する。このため、突起部1013が係止溝1045(図71参照)に進入し且つ電線1020の一端部(接点)が貫通孔1044に進入するように、電圧検知端子1010が、上方から、ハウジング1040の端子収容凹部1042に嵌め込まれる。電圧検知端子1010のハウジング1040への収容が完了した状態では、電圧検知端子1010の先端部1012aの上下面が、切欠き1043によって露出している(図71及び図72参照)。
【0580】
次いで、ハウジング1040に収容された電圧検知端子1010から延びる電線1020を、ハウジング1040の電線収容凹部1046に収容する。このため、電線1020が、上方から、一対のストレート部1047及び屈曲部1048から構成される電線収容凹部1046に沿って嵌め込まれる。このとき、一対の幅狭凹部1051の上部に位置する電線1020の一対の部分を下方に押し込むことで、当該電線1020の一対の部分が一対の幅狭凹部1051の内部に収容される。電線1020のハウジング1040への収容が完了した状態では、電線1020は、電線引出口1049から前方へ向けてハウジング1040の外部に延出している。
【0581】
次いで、カバー1030を、仮係止状態(図72及び図73)とする。このため、カバー1030が開いた状態から、第1連結部1033を湾曲させてカバー1030の第1カバー部1031が上側に折り返されることで、第1カバー部1031がハウジング1040のカバー装着凹部1041の上方に位置する状態とされる。次いで、カバー1030の3つの仮係止部1035がハウジング1040の3つの仮被係止部1054の内部にそれぞれ進入するように、カバー1030の第1カバー部1031が、ハウジング1040に対して下向きに押し込まれる。
【0582】
以上により、カバー1030の第1カバー部1031がハウジング1040に係止されることで、カバー1030が仮係止状態とされる(図72及び図73参照)。カバー1030の仮係止状態では、カバー1030の第2カバー部1032はハウジング1040に係止されていない。よって、第2連結部1034を湾曲させることで、ハウジング1040に対する第2カバー部1032の向きを任意に調整可能である。図72に示す例では、第2カバー部1032は、略上方に向けて立った状態となっている。カバー1030が仮係止状態とされることで、カバー1030のハウジング1040への装着が完了し、電圧検知ユニット1005(図67参照)が得られる。なお、後述するように、カバー1030のハウジング1040への装着が完了してカバー1030が仮係止状態とされた電圧検知ユニット1005は、導電モジュール1003(図67参照)の組み立てに供されることになる。
【0583】
カバー1030の仮係止状態では、図72に示すように、カバー1030(より具体的には、第2カバー部1032)が、電圧検知端子1010の先端部1012aを覆っていない。このため、電圧検知端子1010の先端部1012aの上下面が、なおも切欠き1043によって露出している。
【0584】
カバー1030の仮係止状態では、カバー1030の第1カバー部1031が電線収容凹部1046の屈曲部1048の屈曲頂点の開口上に配置される(図72参照)。これにより、電線収容凹部1046から電線1020が抜け出して屈曲部1048をまたぐ(即ち、屈曲部1048をショートカットする)ように配索されることを、強力に抑制することができる。このように、電線1020が電線収容凹部1046の屈曲部1048から抜け出すことによる特有の不具合が生じる可能性を低くすることができる。
【0585】
仮係止状態にあるカバー1030を本係止状態(図74参照)に移行させるためには、カバー1030の本係止部1036がハウジング1040の本被係止部1055の内部に進入するように、カバー1030の第2カバー部1032が、ハウジング1040に対して下向きに押し込まれる。これにより、カバー1030の第2カバー部1032がハウジング1040に係止されることで、カバー1030が本係止状態とされる(図74及び図75参照)。このように、多段階(即ち、仮係止状態、及び、本係止状態)を経てカバー1030をハウジング1040に取り付けるため、例えば、本来は仮係止状態にするべきカバー1030を誤って本係止状態にしてしまうことを防ぐことができる。
【0586】
カバー1030の本係止状態では、図74に示すように、カバー装着凹部1041の全域がカバー1030によって隙間なく覆われることで、電線収容凹部1046の全体がカバー1030によって覆われている。これにより、電線収容凹部1046から電線1020が抜け出すことが抑制される。更に、図74及び図75に示すように、カバー1030の第2カバー部1032が、電圧検知端子1010の先端部1012aの上面を覆っている。これにより、電圧検知端子1010の全体がカバー1030の第1カバー部1031及び第2カバー部1032によって覆われるので、電圧検知端子1010が確実に保護され得る。
【0587】
上述したように、カバー1030のハウジング1040への装着が完了してカバー1030が仮係止状態とされた電圧検知ユニット1005は、導電モジュール1003(図67参照)の組み立てに供される。具体的には、まず、図68に示すように、導電板1004のフランジ部1004aと電圧検知ユニット1005の凹部1005aとが嵌合されることで、導電板1004の左側に電圧検知ユニット1005が連結される。
【0588】
この状態では、図69から理解できるように、導電板1004のフランジ部1004aの一部が電圧検知端子1010の先端部1012aの下側に重なるように配置されており、ハウジング1040の切欠き1043の存在に起因して、電圧検知端子1010の先端部1012aの上面が上方に露出し、且つ、導電板1004のフランジ部1004aの一部の下面が下方に露出している。
【0589】
次いで、上方に露出する電圧検知端子1010の先端部1012aの上面と、下方に露出する導電板1004のフランジ部1004aの一部の下面とを利用して、電圧検知端子1010の先端部1012aと導電板1004のフランジ部1004aの一部とが、超音波接合や溶接等の手法によって固定される。その後、カバー1030が仮係止状態から本係止状態に移行されて、電圧検知ユニット1005と導電板1004との組み付けが完了する。
【0590】
次いで、導電板1004のフランジ部1004bと対向ユニット1006の凹部1006aとが嵌合されることで、電圧検知ユニット1005が組み付けられた導電板1004の右側に対向ユニット1006が連結される(図68等参照)。これにより、導電モジュール1003の組み立てが完了する。
【0591】
このようにして得られた導電モジュール1003は、図67に示す蓄電装置1001の組み立てに供される。具体的には、蓄電モジュール1002と導電モジュール1003とが上下方向に交互に積層されて、これらの積層体を所定の金具等で固定することで、蓄電装置1001が得られる。
【0592】
以上、第10実施形態に係る電圧検知ユニット1005によれば、電線1020が先端部1011aに接続された電圧検知端子1010をハウジング1040の端子収容凹部1042に収容し、電圧検知端子1010の先端部1012aを露出させた状態でカバー1030をハウジング1040に係止させることができる。そのため、電圧検知ユニット1005を導電板1004(積層型の蓄電装置1001の導電板1004)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニット1005を導電板1004に組み付けた上で、露出している電圧検知端子1010の先端部1012aを導電板1004に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、導電板1004と電圧検知端子1010との接続の後、カバー1030を本係止状態となるように配置すれば、電圧検知端子1010の先端部1012a(即ち、両者の接点)をカバー1030で覆って保護することができる。
【0593】
カバー1030をハウジング1040に取り付けるにあたり、第10実施形態の電圧検知ユニット1005では、例えば、カバー1030の第1カバー部1031を第1連結部1033でヒンジ状に湾曲させてハウジング1040に係止して仮係止状態とし、カバー1030が仮係止状態にあるときに導電板1004と電圧検知端子1010との接続を行った後、カバー1030の第2カバー部1032を第2連結部1034でヒンジ状に湾曲させてハウジング1040に係止して本係止状態とすることができる。ここで、多段階(即ち、仮係止状態、及び、本係止状態)を経てカバー1030をハウジング1040に取り付けるため、例えば、本来は仮係止状態にするべきカバー1030を誤って本係止状態にしてしまうことで、カバー1030が導電板1004と電圧検知端子1010との接続の妨げになることを、防ぐことができる。
【0594】
なお、第10実施形態として具体化される発明は、第10実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第10実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第10実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0595】
ここで、上述した電圧検知ユニット1005及び蓄電装置1001の実施形態の特徴を以下[10-1]~[10-2]に簡潔に纏めて列記する。
【0596】
[10-1]
検知対象(1004)に導通接続されることになる第1箇所(1012a)を有する電圧検知端子(1010)と、
前記電圧検知端子(1010)が収容される端子収容凹部(1042)を有する板状のハウジング(1040)と、
前記端子収容凹部(1042)に収容されている前記電圧検知端子(1010)の前記第1箇所(1012a)を覆わない仮係止状態と、前記第1箇所(1012a)を覆う本係止状態と、にて前記ハウジング(1040)に係止可能なカバー(1030)と、
前記電圧検知端子(1010)の第2箇所(1011a)に導通接続され且つ前記ハウジング(1040)の外部に向けて引き出される電線(1020)と、を備え、
前記カバー(1030)は、
ヒンジ状に湾曲可能な第1連結部(1033)を介して前記ハウジング(1040)に連結される第1カバー部(1031)と、ヒンジ状に湾曲可能な第2連結部(1034)を介して前記第1カバー部(1031)に連結される第2カバー部(1032)と、を有し、前記第1連結部(1033)を湾曲させながら当該カバー(1030)の前記第1カバー部(1031)を前記ハウジング(1040)に係止させることによって前記仮係止状態にするとともに、前記第2連結部(1034)を湾曲させながら当該カバー(1030)の前記第2カバー部(1032)を前記ハウジング(1040)に係止させることによって前記本係止状態にする、ように構成される、
電圧検知ユニット(1005)。
【0597】
上記[10-1]の構成の電圧検知ユニットによれば、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができる。そのため、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を検知対象に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、検知対象と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止状態となるように配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0598】
カバーをハウジングに取り付けるにあたり、本構成の電圧検知ユニットでは、例えば、カバーの第1カバー部を第1連結部でヒンジ状に湾曲させてハウジングに係止して仮係止状態とし、カバーが仮係止状態にあるときに検知対象と電圧検知端子との接続を行った後、カバーの第2カバー部を第2連結部でヒンジ状に湾曲させてハウジングに係止して本係止状態とすることができる。ここで、仮係止状態を経てから本係止状態に至るようにカバーをハウジングに取り付けるにあたり、第1カバー部と第2カバー部とが湾曲可能な第2連結部で繋がることで、第1カバー部をハウジングに係止させるときに誤って第2カバー部がハウジングに係止してしまうことを避けられる。換言すると、第1カバー部と第2カバー部とが互いに独立してハウジングに係止可能であるため、例えば、本来は仮係止状態にするべきカバーを誤って本係止状態にしてしまうことで、カバーが検知対象と電圧検知端子との接続の妨げになることを、避けることができる。
【0599】
したがって、本構成の電圧検知ユニットは、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の電圧検知ユニットは、上述した従来の蓄電装置に比べ、検知対象や電圧検知端子の製造公差に起因した両者の接点での接触抵抗のバラツキが生じ難いことから、電圧の検知精度にも優れている。
【0600】
[10-2]
上記[10-1]に記載の電圧検知ユニット(1005)と、前記電圧検知端子(1010)が導通接続される検知対象としての導電板(1004)と、を有する板状の導電モジュール(1003)と、
前記導電モジュール(1003)が積層される充放電可能な蓄電モジュール(1002)と、
を備える、蓄電装置(1001)。
【0601】
上記[10-2]の構成の蓄電装置では、この蓄電装置に用いられる電圧検知ユニットが、電線が第2箇所に接続された電圧検知端子をハウジングの端子収容凹部に収容し、電圧検知端子の第1箇所を露出させた状態でカバーをハウジングに係止させることができるように構成されている。そのため、電圧検知ユニットを検知対象(例えば、積層型の蓄電装置に用いられる導電板等)に電気的に接続する際、例えば、電圧検知ユニットを検知対象に組み付けた上で、露出している電圧検知端子の第1箇所を検知対象に超音波接合や溶接等の手法を用いて固定することができる。これにより、典型的なボルト締結等に比べ、接続用の他の部品を要することなく、且つ、上述した従来の接続法に比べ、両者の位置合わせが容易であり且つ接点での接触抵抗を低減させることができる。更に、検知対象と電圧検知端子との接続の後、カバーを本係止状態となるように配置すれば、電圧検知端子の第1箇所(即ち、両者の接点)をカバーで覆って保護することができる。
【0602】
カバーをハウジングに取り付けるにあたり、本構成の電圧検知ユニットでは、例えば、カバーの第1カバー部を第1連結部でヒンジ状に湾曲させてハウジングに係止して仮係止状態とし、カバーが仮係止状態にあるときに検知対象と電圧検知端子との接続を行った後、カバーの第2カバー部を第2連結部でヒンジ状に湾曲させてハウジングに係止して本係止状態とすることができる。ここで、仮係止状態を経てから本係止状態に至るようにカバーをハウジングに取り付けるにあたり、第1カバー部と第2カバー部とが湾曲可能な第2連結部で繋がることで、第1カバー部をハウジングに係止させるときに誤って第2カバー部がハウジングに係止してしまうことを避けられる。換言すると、第1カバー部と第2カバー部とが互いに独立してハウジングに係止可能であるため、例えば、本来は仮係止状態にするべきカバーを誤って本係止状態にしてしまうことで、カバーが検知対象と電圧検知端子との接続の妨げになることを、避けることができる。
【0603】
したがって、本構成の蓄電装置は、検知対象との導電接続における作業性に優れる。更に、本構成の蓄電装置は、上述した従来の蓄電装置に比べ、検知対象や電圧検知端子の製造公差に起因した両者の接点での接触抵抗のバラツキが生じ難いことから、電圧の検知精度にも優れている。
【0604】
<第11実施形態>
第11実施形態として具体化される発明は、板状部材及び電池スタックに関する。図76は、第11実施形態に係る電池スタック1101の要部分解斜視図である。図77図76に示した第1板状部材1120の分解斜視図であり、図78図76に示した第2板状部材1130の分解斜視図である。
【0605】
図76に示すように、第11実施形態に係る電池スタック1101は、積層される複数枚(第11実施形態では4枚)の蓄電モジュール1110と、複数の蓄電モジュール1110の間にそれぞれ配置される第1及び第2板状部材(板状部材)1120,1130とを備える。そして、電池スタック1101は、一対の絶縁板(図示省略)の間に配置されると共に拘束具(図示省略)によって略直方体形状に構成される。
【0606】
蓄電モジュール1110は、例えば複数の電池セルと、複数の集電板と、樹脂枠とを有した矩形平板状に構成されている。電池セルは、水酸化ニッケルなどによって形成された正極合材層と、水素吸着合金などによって形成された負極合材層と、ポリオレフィン系樹脂から形成された多孔質フィルムなどから形成されたセパレータと、電解液とを有して構成されている。
【0607】
なお、蓄電モジュール1110は、単体の電池セルにより構成することもでき、電池セルの構成も上記構成に限らずに公知の種々の電池構成を採り得ることは云うまでもない。
【0608】
図76及び図77に示すように、第11実施形態の第1板状部材1120は、導電性プレート1140と、導電性プレート1140の両側縁部1142にそれぞれ嵌合された電池スタック用プレート1150及び電池スタック用プレート1160と、を備えた矩形平板状に構成されている。
【0609】
図78に示すように、第11実施形態の第2板状部材1130は、導電性プレート1140と、導電性プレート1140の両側縁部1142にそれぞれ嵌合された電池スタック用プレート1150及び電池スタック用プレート1170と、を備えた矩形平板状に構成されている。
【0610】
導電性プレート1140は、アルミニウム合金や銅などの導電金属によって細長い矩形板状に形成され、長手方向の両側縁部1142が薄い板厚の凸片状とされている。導電性プレート1140の両側縁部1142は、電池スタック用プレート1150,1160,1170の嵌合溝1153,1163,1173にそれぞれ嵌合される。
【0611】
また、導電性プレート1140は、隣り合う蓄電モジュール1110同士を電気的に導通する導電部であり、隣接する蓄電モジュール1110を冷却するヒートシンク(冷却板)を兼ねている。
【0612】
図79は、図77図78に示した接続端子1180を有する電池スタック用プレート1150の分解斜視図である。図80は、図79に示した絶縁ハウジング1151の平面図である。
第11実施形態に係る電池スタック用プレート1150は、図79に示すように、細長い矩形板状の絶縁ハウジング1151と、接続端子1180と、接続端子1180が一方の端末に接続される電線1185と、絶縁カバー1152と、を備えた構成とされる。
【0613】
接続端子1180は、銅または銅合金等の導電性金属材料からなるもので、L字形状の板状に形成されている。この接続端子1180は、L字形状の一端に電線接続部1181を有しており、L字形状の他端に電気接続部1183を有している。
【0614】
電線接続部1181は、電線1185の一方の端末に、溶接等により電気的に接続される。電線1185の他方の端末は、コネクタ等を介して図示しない温度検出回路に電気的に接続される。また、電気接続部1183は、導電性プレート1140の側縁部1142に、溶接等により電気的に接続される。
【0615】
絶縁ハウジング1151は、絶縁樹脂材料により所定の板厚tを有する細長い矩形板状に射出成形される。
絶縁ハウジング1151の長手方向に沿う一方の板側面には、図79及び図80に示すように、導電性プレート1140の側縁部1142に嵌合するための嵌合溝1153が凹設されている。嵌合溝1153が導電性プレート1140の側縁部1142に嵌合した絶縁ハウジング1151の板面の表面は、導電性プレート1140の板面の表面に対して面一になるように構成されている。
【0616】
絶縁ハウジング1151の長手方向の一端部側における板面の表面(図79中、上面)には、図79に示すように、電線1185の一方の端末及び接続端子1180を収容するための収容凹部1156が設けられている。収容凹部1156は、接続端子1180を収容する端子収容部1156aと、電線1185の一方の端末を収容する電線収容部1156bと、を有する。
【0617】
端子収容部1156aには、嵌合溝1153に嵌合された導電性プレート1140の側縁部1142に対して接続端子1180の電気接続部1183を当接させるための切欠き部1157が形成されている。そこで、接続端子1180は、端子収容部1156aに収容されることで、電気接続部1183が導電性プレート1140の側縁部1142に当接した状態となり、溶接作業が容易となる。
【0618】
電線収容部1156bには、V字状に屈曲された電線1185の一方の端末が収容されることで、電線1185の他方の端末に引張り力が作用した際、電線接続部1181との接続部に引張り力が作用するのを防止できる。
【0619】
また、絶縁ハウジング1151における板面の表裏面(図79中、上下面)には、図79及び図80に示すように、嵌合溝1153の延在方向に沿うようにシール材供給溝1103がそれぞれ設けられている。シール材供給溝1103は、絶縁ハウジング1151の長手方向に延びる嵌合溝1153の延在方向(図80中、左右方向)に沿って、波形に蛇行するように連続して形成されている。
【0620】
更に、絶縁ハウジング1151における表裏面に形成された各シール材供給溝1103と、一方の板側面に形成された嵌合溝1153とは、複数の貫通穴1104によって連通されている。これら複数の貫通穴1104は、波形に形成されたシール材供給溝1103における嵌合溝1153側の各頂点にそれぞれ形成されている。
【0621】
また、絶縁ハウジング1151の長手方向に沿う他方の板側面(図80中、下方の板側面)には、図81の(b)に示すように、他方の板側面から板厚方向と直交する方向(図80中、上方向)に向かって並んで複数の肉ぬすみ穴1155が形成されている。複数の肉ぬすみ穴1155は、所定の開口幅を有して所定間隔で他方の板側面に並んで略直方体状に形成された有底の穴である。
【0622】
図77図79に示すように、絶縁樹脂材料により射出成形された絶縁カバー1152は、収容凹部1156に収容された電線1185の一方の端末及び接続端子1180を覆うため、絶縁ハウジング1151を板厚方向から挟持するように装着される。そして、絶縁カバー1152は、絶縁ハウジング1151の板面の表面に対して面一に収容凹部1156を覆う。
【0623】
絶縁カバー1152は、絶縁ハウジング1151に対する仮係止位置と本係止位置の間で移動可能に絶縁ハウジング1151に装着される。仮係止位置における絶縁カバー1152は、収容凹部1156に収容された接続端子1180の電気接続部1183を覆わずに露出させた状態とする。また、本係止位置における絶縁カバー1152は、収容凹部1156に収容された接続端子1180を完全に覆った状態とする。
【0624】
第11実施形態の第1板状部材1120に係る電池スタック用プレート1160は、図77に示すように、細長い矩形板状の絶縁ハウジング1161と、絶縁ハウジング1161のセンサ収容部1167に収容される電池用温度センサ(図示省略)と、電池用温度センサが一方の端末に接続される電線1195と、を備えた構成とされる。
【0625】
電池用温度センサは、絶縁ハウジング1161に装着されて隣り合う蓄電モジュール1110の板面の間に介装されることで、これら蓄電モジュール1110の温度を検知するものである。一方の端末が電池用温度センサに接続された電線1195の他方の端末は、コネクタ等を介して図示しない温度検出回路に電気的に接続される。
【0626】
絶縁ハウジング1161は、絶縁樹脂材料により所定の板厚を有する細長い矩形板状に射出成形される。
絶縁ハウジング1161の長手方向に沿う一方の板側面には、図77に示すように、導電性プレート1140の側縁部1142に嵌合するための嵌合溝1163が凹設されている。嵌合溝1163が導電性プレート1140の側縁部1142に嵌合した絶縁ハウジング1161の板面の表面は、導電性プレート1140の板面の表面に対して面一になるように構成されている。
【0627】
また、絶縁ハウジング1161における板面の表裏面には、上記絶縁ハウジング1151と同様に、嵌合溝1163の延在方向に沿うようにシール材供給溝1103がそれぞれ設けられている。シール材供給溝1103は、絶縁ハウジング1161の長手方向に延びる嵌合溝1163の延在方向に沿って、波形に蛇行するように連続して形成されている。
【0628】
更に、絶縁ハウジング1161における表裏面に形成された各シール材供給溝1103と、一方の板側面に形成された嵌合溝1163とは、複数の貫通穴1104によって連通されている。これら複数の貫通穴1104は、波形に形成されたシール材供給溝1103における嵌合溝1153側の各頂点にそれぞれ形成されている。
【0629】
また、絶縁ハウジング1161の長手方向に沿う他方の板側面には、図77に示すように、他方の板側面から板厚方向と直交する方向に向かって並んで複数の肉ぬすみ穴1165が形成されている。複数の肉ぬすみ穴1165は、所定の開口幅を有して所定間隔で他方の板側面に並んで略直方体状に形成された有底の穴である。
【0630】
第11実施形態の第2板状部材1130に係るダミーの電池スタック用プレート1170は、図78に示すように、細長い矩形板状の絶縁ハウジング1171を備えた構成とされる。電池スタック用プレート1170は、隣り合う蓄電モジュール1110の板面の間に介装されることで、これら蓄電モジュール1110の間隔を所定間隔に保持するためのダミープレートであり、接続端子1180や電池用温度センサ等の機能部品は設けられていない。
【0631】
絶縁ハウジング1171は、絶縁樹脂材料により所定の板厚を有する細長い矩形板状に射出成形される。
絶縁ハウジング1171の長手方向に沿う一方の板側面には、導電性プレート1140の側縁部1142に嵌合するための嵌合溝1173が凹設されている。嵌合溝1173が導電性プレート1140の側縁部1142に嵌合した絶縁ハウジング1171の板面の表面は、導電性プレート1140の板面の表面に対して面一になるように構成されている。
【0632】
また、絶縁ハウジング1161における板面の表裏面には、上記絶縁ハウジング1151と同様に、嵌合溝1163の延在方向に沿うようにシール材供給溝1103がそれぞれ設けられている。シール材供給溝1103は、絶縁ハウジング1161の長手方向に延びる嵌合溝1163の延在方向に沿って、波形に蛇行するように連続して形成されている。
【0633】
更に、絶縁ハウジング1161における表裏面に形成された各シール材供給溝1103と、一方の板側面に形成された嵌合溝1163とは、複数の貫通穴1104によって連通されている。これら複数の貫通穴1104は、波形に形成されたシール材供給溝1103における嵌合溝1153側の各頂点にそれぞれ形成されている。
【0634】
また、絶縁ハウジング1171の長手方向に沿う他方の板側面には、他方の板側面から板厚方向と直交する方向に向かって並んで複数の肉ぬすみ穴1175が形成されている。複数の肉ぬすみ穴1175は、所定の開口幅を有して所定間隔で他方の板側面に並んで略直方体状に形成された有底の穴である。
【0635】
上述したように、第11実施形態の電池スタック用プレート1150,1160,1170に係る絶縁ハウジング1151,1161,1171の表裏面には、シール材供給溝1103がそれぞれ設けられている。更に、各シール材供給溝1103と、それぞれの嵌合溝1153,1163,1173とは、複数の貫通穴1104によって連通されている。
【0636】
なお、シール材供給溝1103の形状は波形に限るものではなく、絶縁ハウジング1151,1161,1171の長手方向に延びる嵌合溝1153,1163,1173の延在方向に沿って連続して延びる形状であれば、種々の形状を採り得ることは云うまでもない。
【0637】
次いで、第11実施形態に係る電池スタック用プレート1150における絶縁ハウジング1151を例に、シール材供給溝1103と貫通穴1104の作用を説明する。
図81図83は、絶縁ハウジング1151を導電性プレート1140に組み付ける直前状態、途中状態、及び完了状態を示す要部拡大平面図及び断面図である。
【0638】
絶縁ハウジング1151を導電性プレート1140に組み付ける際、図81の(a),(b)に示すように、導電性プレート1140に組み付ける直前の絶縁ハウジング1151の嵌合溝1153には、シール材1105が充填される(シール材充填工程)。シール材1105は、適度な粘度を有しており、嵌合溝1153内に留まることができる。
【0639】
なお、シール材1105の充填時、嵌合溝1153の長手方向両端部には、必要に応じてシール材1105の漏れ出しを防止する堰き止め部材1107が配置されることが望ましい。
【0640】
次いで、導電性プレート1140の一方の側縁部1142が上方から絶縁ハウジング1151の嵌合溝1153に嵌合されると、図82の(a),(b)に示すように、側縁部1142に押されたシール材1105が嵌合溝1153から複数の貫通穴1104にそれぞれ押し出される(嵌合工程)。そして、複数の貫通穴1104から押し出されたシール材1105は、絶縁ハウジング1151の表裏面にそれぞれ押し出される。
【0641】
更に、導電性プレート1140が絶縁ハウジング1151に組み付けられた完了状態では、図83の(a),(b)に示すように、絶縁ハウジング1151の表裏面に押し出されたシール材1105が、シール材供給溝1103の全体に行き渡る。そこで、絶縁ハウジング1151の表裏面には、長手方向に沿って波形に蛇行するように連続してシール材1105が配設される(図76、参照)。
【0642】
即ち、絶縁ハウジング1151の嵌合溝1153にシール材1105を予め充填した後、嵌合溝1153に導電性プレート1140の側縁部1142を嵌合するだけで、絶縁ハウジング1151の表裏面に設けたシール材供給溝1103に沿った所定範囲に、シール材1105を誘導しながら容易に配設することができる。
【0643】
そして、電池スタック用プレート1160の絶縁ハウジング1161の嵌合溝1163にシール材1105を予め充填した後、嵌合溝1163に導電性プレート1140の他方の側縁部1142を嵌合することで、絶縁ハウジング1161の表裏面に設けたシール材供給溝1103に沿った所定範囲に、シール材1105を誘導しながら同様に配設することができる。
【0644】
その結果、図76に示したように、電池スタック用プレート1150の表裏面と、電池スタック用プレート1160の表裏面とに、シール材1105がそれぞれ配置された第1板状部材1120を容易に構成することができる。
【0645】
また、電池スタック用プレート1150の表裏面と、電池スタック用プレート1170の表裏面とに、シール材1105がそれぞれ配置された第2板状部材1130も同様に構成することができる。
【0646】
よって、これら第1板状部材1120及び第2板状部材1130と、複数の蓄電モジュール1110とが積層されて構成された電池スタック1101は、シール材1105が第1板状部材1120及び第2板状部材1130の表裏面にそれぞれ良好に設けられて積層体の隙間を埋めることによって、冷却風を効率よく流したり、異物が蓄電モジュール1110の表面へ入ることを防いだりすることができる。
【0647】
図84は、参考例に係る電池スタック用プレート1150Aの斜視図である。なお、電池スタック用プレート1150Aは、絶縁ハウジング1151に代えて絶縁ハウジング1151Aを用いた以外は、上記電池スタック用プレート1150と同様の構成であり、同様の構成部材には同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0648】
図84に示すように、絶縁ハウジング1151Aにおける板面の表裏面(図84中、上下面)には、シール材供給溝1103が設けられておらず、シール材供給溝1103と嵌合溝1153とを連通する貫通穴1104も設けられていない。
【0649】
そこで、参考例に係る電池スタック用プレート1150Aの表裏面における所定範囲には、シール材1105を手作業で直接塗布しなければならず、作業時間がかかってしまう。
【0650】
これに対し、上述した第11実施形態に係る第1及び第2板状部材1120,1130及び電池スタック1101によれば、電池スタック用プレート1150,1160,1170の表裏面にシール材1105を容易に設けることができる。
【0651】
なお、第11実施形態として具体化される発明は、第11実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第11実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第11実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0652】
ここで、上述した第11実施形態に係る板状部材及び電池スタックの実施形態の特徴をそれぞれ以下[11-1]~[11-4]に簡潔に纏めて列記する。
【0653】
[11-1] 積層される複数の蓄電モジュール(1110)間にそれぞれ配置される導電性プレート(1140)と、
前記導電性プレート(1140)の側縁部(1142)に嵌合するための嵌合溝(1153,1163,1173)が板側面に凹設された板状の絶縁ハウジング(1151,1161,1171)を有する電池スタック用プレート(1150,1160,1170)と、
前記嵌合溝(1153,1163,1173)の延在方向に沿うように前記絶縁ハウジング(1151,1161,1171)の表裏面にそれぞれ設けられたシール材供給溝(1103)と、
前記シール材供給溝(1103)と前記嵌合溝(1153)とを連通する貫通穴(1104)と、
前記嵌合溝(1153,1163,1173)に予め充填され、前記導電性プレート(1140)の側縁部(1142)が前記嵌合溝(1153,1163,1173)に嵌合された際に、前記嵌合溝(1153,1163,1173)から前記貫通穴(1104)及び前記シール材供給溝(1103)を経て前記絶縁ハウジング(1151,1161,1171)の表裏面に押し出されるシール材(1105)と、を備え、
前記複数の蓄電モジュール(1110)間に挟装される、
板状部材(第1板状部材1120,第2板状部材1130)。
【0654】
[11-2] 前記シール材供給溝(1103)が、前記嵌合溝(1153,1163,1173)の延在方向に沿って波形に蛇行するように連続して形成された、
上記[11-1]に記載の板状部材(第1板状部材1120,第2板状部材1130)。
【0655】
[11-3] 前記貫通穴(1104)が、波形に形成された前記シール材供給溝(1103)における前記嵌合溝(1153)側の各頂点に形成された、
上記[11-2]に記載の板状部材(第1板状部材1120,第2板状部材1130)。
【0656】
[11-4] 上記[11-1]~[11-3]の何れか一つに記載の板状部材(第1板状部材1120,第2板状部材1130)を備えた、
電池スタック(1101)。
【0657】
[11-5] 積層される複数の蓄電モジュール(1110)間にそれぞれ配置される導電性プレート(1140)と、
前記導電性プレート(1140)の側縁部(1142)に嵌合するための嵌合溝(1153)が板側面に凹設された板状の絶縁ハウジング(1151)と、
前記嵌合溝(1153)の延在方向に沿うように前記絶縁ハウジング(1151)の表裏面にそれぞれ設けられたシール材供給溝(1103)と、
前記シール材供給溝(1103)と前記嵌合溝(1153)とを連通する貫通穴(1104)と、
を備えた電池スタック用プレート(1150)の表裏面にシール材(1105)を供給するためのシール材供給方法であって、
前記嵌合溝(1153)に前記シール材(1105)を充填するシール材充填工程と、
前記シール材充填工程に後に、前記嵌合溝(1153)に前記導電性プレート(1140)の側縁部(1142)を嵌合する嵌合工程と、
を含むシール材供給方法。
【0658】
<第12実施形態>
第12実施形態として具体化される発明は、電池スタック用プレートに関する。図85は、第12実施形態に係る第1板状部材1220の斜視図である。図86は、図85に示した電池用温度センサを有する電池スタック用プレート1260の分解斜視図である。
【0659】
図85に示すように、第1板状部材(板状部材)1220は、導電性プレート1240と、導電性プレート1240の両側縁部1242にそれぞれ嵌合された電池スタック用プレート1250及び電池スタック用プレート1260と、を備えた矩形平板状に構成されている。第1板状部材1220は、上記第11実施形態の第1板状部材1120と同様に、積層される複数枚の蓄電モジュール(図示省略)の間に配置されて、蓄電モジュールを構成する。
【0660】
導電性プレート1240は、上記第11実施形態の導電性プレート1140と同様に、アルミニウム合金や銅などの導電金属によって細長い矩形板状に形成され、長手方向の両側縁部1242が薄い板厚の凸片状とされている。
電池スタック用プレート1250は、上記第11実施形態の電池スタック用プレート1150と同様に、細長い矩形板状の絶縁ハウジング1251と、図示しない接続端子が一方の端末に接続される電線1285と、絶縁カバー1252と、を備えた構成とされる。
【0661】
第12実施形態の第1板状部材1220に係る電池スタック用プレート1260は、図86に示すように、細長い矩形板状の絶縁ハウジング1261と、絶縁ハウジング1261のセンサ収容穴1267に収容される電池用温度センサであるサーミスタ素子1290と、サーミスタ素子1290が一方の端末に接続される電線1295と、を備えた構成とされる。
【0662】
サーミスタ素子1290は、絶縁ハウジング1261に装着されて隣り合う蓄電モジュール(図示省略)の板面の間に介装されることで、これら蓄電モジュールの温度を検知するものである。一方の端末がサーミスタ素子1290に接続された電線1295の他方の端末は、コネクタ等を介して図示しない温度検出回路に電気的に接続される。
【0663】
絶縁ハウジング1261は、絶縁樹脂材料により所定の板厚を有する細長い矩形板状に射出成形される。
絶縁ハウジング1261の長手方向に沿う一方の板側面には、導電性プレート1240の側縁部1242に嵌合するための嵌合溝1263が凹設されている。嵌合溝1263が導電性プレート1240の側縁部1242に嵌合した絶縁ハウジング1261の板面の表面は、導電性プレート1240の板面の表面に対して面一になるように構成されている。
【0664】
また、絶縁ハウジング1261の長手方向に沿う他方の板側面には、他方の板側面から板厚方向と直交する方向に向かって並んで複数の肉ぬすみ穴1265が形成されている。複数の肉ぬすみ穴1265は、所定の開口幅を有して所定間隔で他方の板側面に並んで略直方体状に形成された有底の穴である(図87、参照)。
【0665】
図87は、図86に示した絶縁ハウジング1261にサーミスタ素子1290を組み付ける途中状態を示す要部拡大水平断面図である。図88は、図87に示した絶縁ハウジング1261のセンサ収容穴1267にサーミスタ素子1290をポッティングした状態を示す要部拡大水平断面図である。
【0666】
絶縁ハウジング1261の長手方向端部(端部)における一方の板側面には、図86及び図87に示すように、サーミスタ素子1290を収容するためのセンサ収容穴1267が凹設されている。センサ収容穴1267は、絶縁ハウジング1261の一方の板側面に略直方体状に形成された有底の穴である。
【0667】
サーミスタ素子1290は、図87に示すように、先端からセンサ収容穴1267に直接挿入される。そして、図88に示すように、センサ収容穴1267に充填したポッティング材1206によって、サーミスタ素子1290がセンサ収容穴1267にポッティングされる。ポッティング材1206としては、例えば、エポキシ樹脂やウレタン樹脂等を用いることができる。
【0668】
第12実施形態の第1板状部材1220に係る電池スタック用プレート1260によれば、センサ収容穴1267に直接挿入されたサーミスタ素子1290が、ポッティングによって電池スタック用プレート1260に直接固定される。そこで、サーミスタ素子1290が収容されるサーミスタケースを廃止することができ、サーミスタケースの組付け工程が廃止される。
その結果、電池スタック用プレート1260の部品点数削減によるコスト削減が可能となり、電池用温度センサの組付け作業時間の短縮が可能となる。
【0669】
図89は、参考例に係る電池用温度センサを有する電池スタック用プレート1260Aの分解斜視図である。図90図92は、サーミスタ素子1290がポティングされたサーミスタケース1293を絶縁ハウジング1261のセンサ収容部1267Aに組み付ける手順を説明する水平断面図である。なお、電池スタック用プレート1260Aは、絶縁ハウジング1261に代えて絶縁ハウジング1261Aを用いると共に、サーミスタ素子1290がサーミスタケース1293に収容された電池用温度センサ1294を用いた以外は、上記電池スタック用プレート1260と同様の構成であり、同様の構成部材には同符号を付して詳細な説明を省略する。
【0670】
絶縁ハウジング1261Aの長手方向端部における一方の板側面には、図89に示すように、電池用温度センサ1294を収容するためのセンサ収容部1267Aが凹設されている。センサ収容部1267Aは、絶縁ハウジング1261Aを板厚方向に貫通するように一方の板側面に切欠き形成された凹部である。センサ収容部1267Aの両側壁には、ガイドリブ1267a及び係止凹部1267bが設けられている。
【0671】
サーミスタ素子1290は、図90に示すように、先端からサーミスタケース1293に挿入される。そして、図91に示すように、サーミスタケース1293に充填したポッティング材1206によって、サーミスタ素子1290がサーミスタケース1293にポッティングされることにより、電池用温度センサ1294が構成される。
【0672】
電池用温度センサ1294は、図92に示すように、絶縁ハウジング1261のセンサ収容部1267Aに挿入される。サーミスタケース1293の両側面に形成したガイド溝1291がセンサ収容部1267Aの両側壁に突設されたガイドリブ1267aに挿入案内される。そして、サーミスタケース1293の係止凸部1292が係止凹部1267bに係止されることで、電池用温度センサ1294がセンサ収容部1267Aに保持される。
【0673】
このように、参考例の電池スタック用プレート1260Aでは、サーミスタ素子1290をサーミスタケース1293にポッティングした電池用温度センサ1294を絶縁ハウジング1261のセンサ収容部1267Aに組み付ける従来構造となっている。
そのため、電池スタック用プレート1260Aの部品点数増加によるコスト増となり、電池用温度センサの組付け作業時間の延長が生じる。
【0674】
これに対し、上述した第12実施形態に係る電池スタック用プレート1260によれば、部品点数削減によるコスト削減と、電池用温度センサの組付け作業時間の短縮とが可能となる。
【0675】
なお、第12実施形態として具体化される発明は、第12実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第12実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第12実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0676】
ここで、上述した第12実施形態に係る電池スタック用プレートの実施形態の特徴をそれぞれ以下[12-1]に簡潔に纏めて列記する。
【0677】
[12-1] 板状の絶縁ハウジング(1261)と、
前記絶縁ハウジング(1261)の端部における板側面に凹設されたセンサ収容穴(1267)と、
電線(1295)の端末に接続されて前記センサ収容穴(1267)に直接挿入されるサーミスタ素子(1290)と、
前記サーミスタ素子1290を前記センサ収容穴(1267)にポッティングするポッティング材(1206)と、
を備えた電池スタック用プレート(1260)。
【0678】
<第13実施形態>
第13実施形態として具体化される発明は、電池スタック用プレートに関する。図93は、第13実施形態に係る接続端子1380を有する電池スタック用プレート1350の分解斜視図である。図94及び図95は、図93に示した絶縁ハウジング1351の要部拡大正面図及び要部拡大斜視図である。
【0679】
第13実施形態に係る電池スタック用プレート1350は、図93に示すように、細長い矩形板状の絶縁ハウジング1351と、接続端子1380と、接続端子1380が一方の端末に接続される電線1385と、絶縁カバー1352と、を備えた構成とされる。
【0680】
接続端子1380は、銅または銅合金等の導電性金属材料からなるもので、L字形状の板状に形成されている。この接続端子1380は、L字形状の一端に電線接続部1381を有しており、L字形状の他端に電気接続部1383を有している。
【0681】
電線接続部1381は、電線1385の一方の端末に、溶接等により電気的に接続される。電線1385の他方の端末は、コネクタ等を介して図示しない温度検出回路に電気的に接続される。
【0682】
また、電気接続部1383は、導電性プレート1140の側縁部1142に、溶接等により電気的に接続される。更に、電気接続部1383の両側縁には、互いに離れる方向に突出した一対の突起部1382が設けられている。
【0683】
第13実施形態に係る絶縁ハウジング1351は、絶縁樹脂材料により所定の板厚を有する細長い矩形板状に射出成形される。
絶縁ハウジング1351の長手方向に沿う一方の板側面には、図93に示すように、図示しない導電性プレートの側縁部に嵌合するための嵌合溝1353が凹設されている。嵌合溝1353が導電性プレートの側縁部に嵌合した絶縁ハウジング1351の板面の表面は、導電性プレートの板面の表面に対して面一になるように構成されている。
【0684】
絶縁ハウジング1351の長手方向の一端部側における板面の表面には、図93に示すように、電線1385の一方の端末及び接続端子1380を収容するための収容凹部1356が設けられている。収容凹部1356は、接続端子1380を収容する端子収容部1356aと、電線1385の一方の端末を収容する電線収容部1356bと、を有する。
【0685】
電線収容部1356bには、V字状に屈曲された電線1385の一方の端末が収容されることで、電線1385の他方の端末に引張り力が作用した際、電線接続部1381との接続部に引張り力が作用するのを防止できる。
【0686】
端子収容部1356aは、L字形状の接続端子1380の外周形状に対応する形状を有している。端子収容部1356aには、嵌合溝1353に嵌合された導電性プレートの側縁部に対して接続端子1380の電気接続部1383を当接させるための切欠き部1357が形成されている。
【0687】
切欠き部1357は、絶縁ハウジング1351の長手方向に沿う一方の板側面から板厚方向と直交する方向(図93中、右方向)に向かって切欠き形成されている。そこで、接続端子1380は、端子収容部1356aに収容されることで、電気接続部1383が導電性プレートの側縁部(相手側部材)に当接した状態となり、溶接作業が容易となる。
【0688】
更に、切欠き部1357の両側から端子収容部1356aへ延びる一対の立壁部には、図94及び図95に示すように、絶縁ハウジング1351の短手方向(幅方向)に延びる一対の端子挿入溝1355が互いに対向するように形成されている。一対の端子挿入溝1355は、接続端子1380に突設された一対の突起部1382をそれぞれ挿入案内するガイド溝である。
【0689】
そして、絶縁ハウジング1351の長手方向に沿う切欠き部1357の開口幅は、接続端子1380における電気接続部1383の幅よりも若干広く、一対の突起部1382における先端の間隔よりも狭くされている。そこで、一対の突起部1382が一対の端子挿入溝1355に挿入された接続端子1380は、上方への変位が規制されて絶縁ハウジング1351から脱落することが抑制される。
【0690】
端子収容部1356aの底壁に連続する切欠き部1357の端縁には、先端に向かって板厚が小さくなるように傾斜しているテーパ面1354が形成されている。そして、端子挿入溝1355を画成する下面には、図95に示すように、端子収容部1356aの底壁に連続する水平部1359と、水平部1359から先端に向かって延びるテーパ部1358とが形成されている。
【0691】
図93に示すように、絶縁樹脂材料により射出成形された絶縁カバー1352は、収容凹部1356に収容された電線1385の一方の端末及び接続端子1380を覆うため、絶縁ハウジング1351を板厚方向から挟持するように装着される。そして、絶縁カバー1352は、絶縁ハウジング1351の板面の表面に対して面一に収容凹部1356を覆う。
【0692】
絶縁カバー1352は、絶縁ハウジング1351に対する仮係止位置と本係止位置の間で移動可能に絶縁ハウジング1351に装着される。仮係止位置における絶縁カバー1352は、収容凹部1356に収容された接続端子1380の電気接続部1383を覆わずに露出させた状態とする。また、本係止位置における絶縁カバー1352は、収容凹部1356に収容された接続端子1380を完全に覆った状態とする。
【0693】
次いで、第13実施形態に係る電池スタック用プレート1350の絶縁ハウジング1351に接続端子1380を組み付ける手順について説明する。
図96及び図97は、絶縁ハウジング1351に接続端子1380を組み付ける途中状態を示す要部拡大斜視図及び断面図である。図98及び図99は、絶縁ハウジング1351に接続端子1380を組み付けた完了状態を示す要部拡大斜視図及び断面図である。
【0694】
電線1385の端末に接続された接続端子1380を絶縁ハウジング1351の収容凹部1356に収容する際には、接続端子1380が絶縁ハウジング1351の長手方向に沿う一方の板側面側から収容凹部1356に向かって移動される。
【0695】
この時、電線接続部1381側が若干持ち上げられて傾いた状態の接続端子1380は、図96に示すように、電線接続部1381が絶縁ハウジング1351の板面の表面上を通過し、電気接続部1383の一対の突起部1382が一対の端子挿入溝1355にそれぞれ挿入される。
【0696】
接続端子1380は、電気接続部1383の挿入方向に沿う両側縁に互いに離れる方向に突出した一対の突起部1382が、両側に配置された一対の端子挿入溝1355にそれぞれ挿入されてテーパ部1358に拾われることで、端子収容部1356aの正規位置へ誘導される。
【0697】
そして、接続端子1380が更に挿入されると、図98及び図99に示すように、一対の突起部1382が水平部1359に達して水平に規制されるので、接続端子1380の挿入方向に沿った傾きを規制することができる。そこで、端子収容部1356aの正規位置に達して傾きが規制された接続端子1380は、絶縁ハウジング1351の板面の表面への乗り上げが防止される。
【0698】
上述した第13実施形態に係る電池スタック用プレート1360によれば、絶縁ハウジング1351に接続端子1380を組み付ける際、接続端子1380が絶縁ハウジング1351の板面の表面へ乗り上げるのを防止できる。そこで、接続端子1380が絶縁ハウジング1351の板面の表面へ乗り上げてしまい、端子収容部1356aへの組付けが出来なくなることはない。
【0699】
なお、第13実施形態として具体化される発明は、第13実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第13実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第13実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0700】
ここで、上述した第13実施形態に係る電池スタック用プレートの実施形態の特徴をそれぞれ以下[13-1]~[13-3]に簡潔に纏めて列記する。
【0701】
[13-1] 電線(1385)が接続される板状の端子(接続端子1380)と、
前記端子(接続端子1380)が収容される収容凹部(1356)を有する板状の絶縁ハウジング(1351)と、
前記収容凹部(1356)に連続して形成されて相手側部材(導電性プレートの側縁部)に対して前記端子(接続端子1380)の電気接続部(1383)を当接させるための切欠き部(1357)と、
前記切欠き部(1357)の両側に延びる一対の立壁部に互いに対向するように形成された一対の端子挿入溝(1355)と、
前記電気接続部(1383)の両側縁において互いに離れる方向に突出した一対の突起部(1382)と、を備え、
前記端子(接続端子1380)が前記収容凹部(1356)に収容される際、前記一対の突起部(1382)が前記一対の端子挿入溝(1355)にそれぞれ挿入案内される、
電池スタック用プレート(1360)。
【0702】
[13-2] 前記切欠き部(1357)の端縁には、先端に向かって板厚が小さくなるように傾斜しているテーパ面(1354)が形成されており、
前記端子挿入溝(1355)を画成する下面には、前記収容凹部(1356)の底壁に連続する水平部(1359)と、前記水平部(1359)から先端に向かって延びるテーパ部(1358)と、が形成されている、
上記[13-1]に記載の電池スタック用プレート(1360)。
【0703】
[13-3] L字形状の板状に形成され前記端子(接続端子1380)は、
L字形状の一端が、前記電線(1385)の端末に電気的に接続される電線接続部(1381)とされ、
L字形状の他端が、前記相手側部材(導電性プレートの側縁部)に電気的に接続される電気接続部(1383)とされ、
前記一対の突起部(1382)が、前記電気接続部(1383)の両側縁に設けられている、
上記[13-1]又は[13-2]に記載の電池スタック用プレート(1360)。
【0704】
<第14実施形態>
第14実施形態として具体化される発明は、電池スタック用プレートに関する。図100は、第14実施形態に係る第2板状部材1430の斜視図である。図101は、図100に示したダミーの電池スタック用プレート1470における絶縁ハウジング1471が押し出し成型・切り出し加工により成形された状態を示す斜視図である。図102は、図101における14A-14A断面矢視図である。
【0705】
図100に示すように、第2板状部材(板状部材)1430は、導電性プレート1440と、導電性プレート1440の両側縁部1442にそれぞれ嵌合された電池スタック用プレート1450及び電池スタック用プレート1470と、を備えた矩形平板状に構成されている。第2板状部材1430は、上記第11実施形態の第2板状部材1130と同様に、積層される複数枚の蓄電モジュール(図示省略)の間に配置されて、蓄電モジュールを構成する。
【0706】
導電性プレート1440は、上記第11実施形態の導電性プレート1140と同様に、アルミニウム合金や銅などの導電金属によって細長い矩形板状に形成され、長手方向の両側縁部1442が薄い板厚の凸片状とされている。
電池スタック用プレート1450は、上記第11実施形態の電池スタック用プレート1150と同様に、細長い矩形板状の絶縁ハウジング1451と、図示しない接続端子が一方の端末に接続される電線1485と、絶縁カバー1452と、を備えた構成とされる。
【0707】
第14実施形態の第2板状部材1430に係るダミーの電池スタック用プレート1470は、細長い矩形板状の絶縁ハウジング1471を備えた構成とされる。電池スタック用プレート1470は、隣り合う蓄電モジュールの板面の間に介装されることで、これら蓄電モジュールの間隔を所定間隔に保持するためのダミープレートであり、接続端子や電池用温度センサ等の機能部品は設けられていない。
【0708】
絶縁ハウジング1471は、図101に示すように、絶縁樹脂材料により所定の板厚を有する長尺の矩形板状に押し出し成形された後、所定の長さに切り出し加工される。
図102に示すように、絶縁ハウジング1471の長手方向に沿う両方の板側面(図102中、左右方向の板側面)には、導電性プレート1440の側縁部1442に嵌合するための嵌合溝1473が凹設されている。絶縁ハウジング1471は、左右対称構造とされることで、左右どちらの嵌合溝1473も導電性プレート1440の側縁部1442に嵌合可能とされている。
【0709】
図100に示したように、嵌合溝1473が導電性プレート1440の側縁部1442に嵌合した絶縁ハウジング1471の板面の表面は、導電性プレート1440の板面の表面に対して面一になるように構成されている。
【0710】
また、押し出し成形された絶縁ハウジング1471の内部には、長手方向に沿って並んで複数本(第14実施形態では2本)の肉ぬすみ穴1475が形成されている。肉ぬすみ穴1475は、所定の開口幅を有して所定間隔で短手方向(図102中、左右方向)に並んで略直方体状に形成された複数本の貫通穴である。
【0711】
そして、これら嵌合溝1473及び肉ぬすみ穴1475は、絶縁ハウジング1471を押し出し成形する際に同時に一括成形される。また、これら嵌合溝1473及び肉ぬすみ穴1475を有する長尺の矩形板状は、断面積が減らされることで、切り出し加工する際に低荷重でカットすることができる。また、中空の肉ぬすみ穴1475が形成されて断面積が減らされた絶縁ハウジング1471は、従来の絶縁ハウジングに比べて軽量化が可能となる。
【0712】
よって、第14実施形態に係る電池スタック用プレート1470の絶縁ハウジング1471によれば、射出成型されていた従来の絶縁ハウジングに比べて生産出来高を上げることができる。
【0713】
なお、第14実施形態として具体化される発明は、第14実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第14実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第14実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0714】
ここで、上述した第14実施形態に係る電池スタック用プレートの実施形態の特徴をそれぞれ以下[14-1]に簡潔に纏めて列記する。
【0715】
[14-1] 細長い矩形板状に押し出し成形された絶縁ハウジング(1471)と、
積層される複数の蓄電モジュール間にそれぞれ配置される導電性プレートの側縁部に嵌合するために前記絶縁ハウジング(1471)の長手方向に沿う両方の板側面に凹設された嵌合溝(1473)と、
前記絶縁ハウジング(1471)の長手方向に沿って内部に設けられた貫通穴(肉ぬすみ穴1475)と、
を備えた、電池スタック用プレート(1470)。
【0716】
<第15実施形態>
第15実施形態として具体化される発明は、電池スタック用プレートに関する。図103は、第15実施形態に係る接続端子を有する電池スタック用プレート1550の梱包輸送状態を説明する斜視図である。図104は、図103に示した電池スタック用プレート1550の電線1585及びコネクタ1587を絶縁ハウジング1551から取り外した状態の斜視図である。図105は、図104に示した電池スタック用プレート1550のコネクタ1587を絶縁ハウジング1551の反対側下方から視た斜視図である。図106は、電池スタック用プレート1550の電線収容溝1554に収容された電線1585を示す水平断面図である。
【0717】
第15実施形態に係る電池スタック用プレート1550は、図103及び図104に示すように、細長い矩形板状の絶縁ハウジング1551と、接続端子1580と、接続端子1580が一方の端末に接続される電線1585と、電線1585の他方の端末に接続されるコネクタ1587と、絶縁カバー1552と、を備えた構成とされる。
【0718】
絶縁ハウジング1551は、絶縁樹脂材料により所定の板厚を有する細長い矩形板状に射出成形される。
絶縁ハウジング1551の長手方向に沿う一方の板側面には、図103及び図105に示すように、導電性プレート(図示省略)の側縁部に嵌合するための嵌合溝1553が凹設されている。
【0719】
絶縁ハウジング1551の長手方向の一端部側における板面の表面には、電線1585の一方の端末及び接続端子1580を収容するための収容凹部1556が設けられており、絶縁樹脂材料により射出成形された絶縁カバー1552により覆われている。
【0720】
絶縁ハウジング1551の長手方向に沿う他方の板側面と、長手方向の他端部側における板面とには、図106に示すように、電線収容溝1554が凹設されている。電線収容溝1554は、対向する溝側壁の間隔が電線1585の直径と略同寸法とされ、溝底壁の深さが電線1585の直径の2倍以上とされている(図107、参照)。
【0721】
また、絶縁ハウジング1551の長手方向に沿う他方の板側面に凹設された電線収容溝1554の溝底壁には、他方の板側面から板厚方向と直交する方向(図106中、上方向)に向かって並んで複数の肉ぬすみ穴1557が形成されている。複数の肉ぬすみ穴1557は、所定の開口幅を有して所定間隔で他方の板側面に並んで略直方体状に形成された有底の穴と貫通穴とで構成されている。
【0722】
更に、嵌合溝1553及び電線収容溝1554における対向する溝側壁の開口端には、互いに対向する方向に突出する一対の電線圧入部1555が所定間隔を空けて複数対設けられている。電線圧入部1555は、溝側壁の開口端に沿って所定長さ延設された断面半円状のリブ突起である。
対向する一対の電線圧入部1555は、電線1585の直径よりも狭く、且つ、電線1585を圧入可能な間隙を画成している。そこで、嵌合溝1553及び電線収容溝1554に収容された電線1585は、不用意に抜け出すことがない。
【0723】
コネクタ1587は、図104に示すように、例えば2枚の電池スタック用プレート1550からそれぞれ導出された電線1585の他方の端末に接続された図示しない2個の接続端子を樹脂ハウジング内に収容し、温度検出回路側のコネクタにおけるそれぞれの相手端子に各接続端子を電気的に接続するためのコネクタである。コネクタ1587の樹脂ハウジングには、電線収容溝1554に圧入される圧入突起1588が突設されている。そこで、図105に示すように、電線収容溝1554における一対の電線圧入部1555が設けられていない箇所に圧入突起1588を圧入することで、コネクタ1587を絶縁ハウジング1551に保持させることができる。
【0724】
そして、上述したようにコネクタ1587に電線1585の他方の端末が接続された2枚の電池スタック用プレート1550は、梱包輸送時にセット状態で梱包輸送される。
そこで、出荷時に、2枚の電池スタック用プレート1550からそれぞれ導出された2本の電線1585を絶縁ハウジング1551の電線収容溝1554に収容保持する手順について説明する。
【0725】
図107及び図108は、図103における15A-15A断面矢視図及び15B-15B断面矢視図である。
先ず、図104に示すように、各々の電線1585の他方の端末がコネクタ1587に接続された2枚の電池スタック用プレート1550を重ね合わせる。そして、図106に示すように、まとめた2本の電線1585を一方の端末側から順次、下側の電池スタック用プレート1550の電線収容溝1554に収容する。
【0726】
この際、電線1585は、一対の電線圧入部1555の間に圧入されながら、絶縁ハウジング1551の電線収容溝1554内に挿入される。そこで、電線収容溝1554内に収容された電線1585は、一対の電線圧入部1555により保持されて不所望に抜け出すことがない。
電線収容溝1554に収容された2本の電線1585は、図107に示すように、溝底壁の深さ方向(図107中、左右方向)に並んで電線収容溝1554内に収容される。
【0727】
そして、絶縁ハウジング1551の電線収容溝1554内への2本の電線1585の収容作業が完了した後、図108に示すように、圧入突起1588を電線収容溝1554に圧入し、絶縁ハウジング1551にコネクタ1587を保持固定する。
【0728】
すると、2本の電線1585は、図103に示したように、下側の電池スタック用プレート1550における絶縁ハウジング1551の嵌合溝1553及び電線収容溝1554に略全長が収容された状態となり、梱包輸送時に電線1585が不所望に抜け出してしまうことがない。
【0729】
そして、電池スタック用プレート1550を導電性プレートの側縁部に嵌合する組付け作業時、梱包輸送状態の電線1585を取り外す際には、コネクタ1587を電線収容溝1554から先ず取り外す。すると、2本の電線1585を他方の端末側から順次、電線収容溝1554から引き出すことができるので、電線1585が絡まりを生じることがない。
【0730】
なお、このように2本の電線1585をまとめて1つの電池スタック用プレート1550の電線収容溝1554に収容することで、作業性を高めることができる。即ち、2本の電線1585の他方の端末は、1つのコネクタ1587に接続されているので、2本の電線1585を1本にまとめて取り扱った方が収容する作業がし易くなる。また、電池スタック用プレート1550の電線収容溝1554から電線1585を取り出す作業も、2本の電線1585がまとめて収容されていた方が解きやすくなる。例えば、電線1585を1本ずつそれぞれの電池スタック用プレート1550の電線収容溝1554に収容することもできるが、2本分の作業工数が発生してしまい、収容作業中に他方の電線1585が絡まってしまうリスクも発生する。
【0731】
上述した第15実施形態に係る電池スタック用プレート1550によれば、出荷時や組付け作業時の電線1585の絡まりを防止して作業性向上を図ることができる。
【0732】
なお、第15実施形態として具体化される発明は、第15実施形態に限定されることはなく、この発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、この発明は、第15実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、第15実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等はこの発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0733】
ここで、上述した第15実施形態に係る電池スタック用プレートの実施形態の特徴をそれぞれ以下[15-1]~[15-2]に簡潔に纏めて列記する。
【0734】
[15-1] 電線(1585)が接続される板状の端子(接続端子1580)と、
前記端子(接続端子1580)が収容される収容凹部(1556)が長手方向の一端部側における板面の表面に設けられた矩形板状の絶縁ハウジング(1351)と、
導電性プレートの側縁部に嵌合するため前記絶縁ハウジング(1551)の長手方向に沿う一方の板側面に凹設された嵌合溝(1553)と、
前記電線(1585)の端末に接続されるコネクタ(1587)と、
前記電線(1585)を収容するために前記絶縁ハウジング(1551)の長手方向に沿う他方の板側面と、前記絶縁ハウジング(1551)の長手方向の他端部側における板面とに凹設された電線収容溝(1554)と、
前記電線収容溝(1554)に圧入するため前記コネクタ(1587)に突設された圧入突起(1588)と、
を備える電池スタック用プレート(1550)。
【0735】
[15-2] 前記嵌合溝(1553)及び前記電線収容溝(1554)における対向する溝側壁の開口端には、互いに対向する方向に突出する一対の電線圧入部(1555)が所定間隔を空けて複数対設けられている、
上記[15-1]に記載の電池スタック用プレート(1550)。
【符号の説明】
【0736】
1101…電池スタック
1103…シール材供給溝
1104…貫通穴
1105…シール材
1110…蓄電モジュール
1120…第1板状部材(板状部材)
1130…第2板状部材(板状部材)
1140…導電性プレート
1142…側縁部
1150…電池スタック用プレート
1151…絶縁ハウジング
1153…嵌合溝
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25A
図25B
図26A
図26B
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54
図55
図56
図57
図58
図59
図60
図61
図62
図63
図64
図65
図66
図67
図68
図69
図70
図71
図72
図73
図74
図75
図76
図77
図78
図79
図80
図81
図82
図83
図84
図85
図86
図87
図88
図89
図90
図91
図92
図93
図94
図95
図96
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図98
図99
図100
図101
図102
図103
図104
図105
図106
図107
図108