(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171144
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】リール保持装置および台車
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
H05K13/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088060
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】高田 力
(72)【発明者】
【氏名】礒端 美伯
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353GG01
5E353HH25
5E353HH26
5E353HH30
5E353HH32
5E353HH40
5E353HH71
5E353JJ21
5E353QQ01
5E353QQ05
(57)【要約】
【課題】リールの交換作業を容易に行うことができるリール保持装置および台車を提供する。
【解決手段】テープフィーダが設けられた台車15に着脱自在に取り付けられ、テープフィーダに供給する部品を収納したキャリアテープが巻き付けられたリール18B~18Dを保持するリール保持装置40は、台車15に取り付けられるアタッチメント部41と、アタッチメント部41から延びたアーム部42と、を有する。アーム部42は、リール18B~18Dを回転自在に保持するリール保持部材43A~43Cを支持する支持部42bを有する。支持部42bは、リール18B~18Dを保持している状態のリール保持部材43A~43Cを着脱可能である。
【選択図】
図15
【特許請求の範囲】
【請求項1】
テープフィーダが設けられた台車に着脱自在に取り付けられ、前記テープフィーダに供給する部品を収納したキャリアテープが巻き付けられたリールを保持するリール保持装置であって、
前記台車に取り付けられるアタッチメント部と、
前記アタッチメント部から延びたアーム部と、を有し、
前記アーム部は、前記リールを回転自在に保持するリール保持部材を支持する支持部を有し、
前記支持部は、前記リールを保持している状態の前記リール保持部材を着脱可能である、リール保持装置。
【請求項2】
前記支持部には、前記支持部の外周に開口し、前記リール保持部材を支持する支持スリットが形成されている、請求項1に記載のリール保持装置。
【請求項3】
前記支持スリットは、前記リール保持部材の端部に形成された溝に係合して前記リール保持部材を支持する、請求項2に記載のリール保持装置。
【請求項4】
前記支持部は、複数の支持スリットを有する、請求項1に記載のリール保持装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のリール保持装置を複数有する台車であって、
複数の前記リール保持装置は、前記リールの回転軸に沿って配置されており、
隣接する2つのリール保持装置の前記支持部が、1つの前記リール保持部材を支持する、台車。
【請求項6】
テープフィーダが設けられた台車に着脱自在に取り付けられ、前記テープフィーダに供給する部品を収納したキャリアテープが巻き付けられたリールを保持するリール保持装置であって、
前記台車に取り付けられるアタッチメント部と、
前記アタッチメント部から延びたアーム部と、を有し、
前記アタッチメント部は、前記アーム部を着脱自在に保持するアーム部保持部を有する、リール保持装置。
【請求項7】
前記アーム部保持部は、前記アタッチメント部に形成され、前記アーム部の下端部が挿入される隙間を備える、
請求項6に記載のリール保持装置。
【請求項8】
前記隙間にはピンが配置されており、
前記アーム部には、前記アーム部の外周に開口し、前記ピンに係合する係合スリットが形成されている、
請求項7に記載のリール保持装置。
【請求項9】
前記隙間には、複数の前記ピンが配置されている、
請求項8に記載のリール保持装置。
【請求項10】
前記アーム部は、前記リールを回転自在に保持するリール保持部材を支持する支持部を有し、
前記支持部は、前記リールを保持している状態の前記リール保持部材を着脱可能である、請求項6から9のいずれかに記載のリール保持装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キャリアテープが巻き付けられたリールを保持するリール保持装置および台車に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を装着する部品実装装置では、部品を収納するキャリアテープはリールに巻き付けられた状態で、部品を供給するテープフィーダが設けられた台車に設置される。また、テープフィーダの一種として、作業者によって先端部が挿入されたキャリアテープを自動で引き込み、ピッチ送りして部品を供給するオートロード型のテープフィーダが知られている。オートロード型のテープフィーダは、先行するキャリアテープが部品切れとなる前に後続のキャリアテープを挿入することで、キャリアテープをスプライシングすることなく部品を補給することができる。
【0003】
このようなオートロード型のテープフィーダを効率的に使用するには、後続のキャリアテープが巻き付けられたリールを予め台車に設置しておく必要がある。しかしながら、一般的に台車のリールを保持できるスペースは限られている。特許文献1には、リールを回転自在に保持する複数のリール保持部材を有し、複数のリールを同時に保持可能で、台車に着脱自在な拡張用のリール保持装置が開示されている。台車にリールの設置場所が不足している場合には、特許文献1のリール保持装置を台車に装着することで、リールの設置場所を増設することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1を含む従来技術では、リール保持装置に固定されたリール保持部材にリールが保持される構成であることに起因して、次の問題点があった。すなわち、作業者から見て手前側のリールに隠れた奥側のリールを交換する際は、作業の障害となる手前側のリールを一時的に移動させて奥側のリールを交換する必要が有る。しかし、手前側にリールが密集していたり幅が広いリールが保持されていたりする場合は、作業するための隙間を確保することが困難であり、奥側のリールの交換が困難になるという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、リールの交換作業を容易に行うことができるリール保持装置および台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のリール保持装置は、テープフィーダが設けられた台車に着脱自在に取り付けられ、前記テープフィーダに供給する部品を収納したキャリアテープが巻き付けられたリールを保持するリール保持装置であって、前記台車に取り付けられるアタッチメント部と、前記アタッチメント部から延びたアーム部と、を有し、前記アーム部は、前記リールを回転自在に保持するリール保持部材を支持する支持部を有し、前記支持部は、前記リールを保持している状態の前記リール保持部材を着脱可能である。
【0008】
本発明の台車は、請求項1から4のいずれかに記載のリール保持装置を複数有する台車であって、複数の前記リール保持装置は、前記リールの回転軸に沿って配置されており、隣接する2つのリール保持装置の前記支持部が、1つの前記リール保持部材を支持する。
【0009】
本発明の他のリール保持装置は、テープフィーダが設けられた台車に着脱自在に取り付けられ、前記テープフィーダに供給する部品を収納したキャリアテープが巻き付けられたリールを保持するリール保持装置であって、前記台車に取り付けられるアタッチメント部と、前記アタッチメント部から延びたアーム部と、を有し、前記アタッチメント部は、前記アーム部を着脱自在に保持するアーム部保持部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、リールの交換作業を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の一実施の形態のリール保持装置を含む部品実装装置の構成説明図
【
図2】本発明の一実施の形態のリール保持装置が連結された台車の斜視図
【
図3】本発明の一実施の形態のリール保持装置が保持するリールの斜視図
【
図4】本発明の一実施の形態のリール保持装置が連結される台車の斜視図
【
図5】本発明の一実施の形態のリール保持装置の斜視図
【
図6】本発明の一実施の形態のリール保持装置において(a)アーム部をアタッチメント部に装着した状態の部分断面側面図(b)アーム部をアタッチメント部から外した状態の側面図
【
図7】本発明の一実施の形態のリール保持装置に小径リールを保持させる状態を説明する(a)側面図(b)正面図
【
図8】本発明の一実施の形態のリール保持装置に大径リールを保持させる状態を説明する(a)側面図(b)正面図
【
図9】本発明の一実施の形態のリール保持装置にリール保持部材を着脱させる方法の説明図
【
図10】本発明の一実施の形態のリール保持装置にリール保持部材を装着させた状態の(a)正面図(b)拡大断面図
【
図11】本発明の一実施の形態の台車に装着した隣接するリール保持装置にリール保持部材を装着させた状態を説明する(a)正面図(b)拡大断面図
【
図12】本発明の一実施の形態のリール保持装置に装着する薄型リール用のリール保持部材の(a)分解図(b)断面図
【
図13】本発明の一実施の形態のリール保持装置に装着する幅広リール用のリール保持部材の(a)分解図(b)断面図
【
図14】本発明の一実施の形態のリール保持装置に装着する大幅広リール用のリール保持部材の(a)分解図(b)断面図
【
図15】(a)本発明の一実施の形態の台車にリール保持装置を装着してリールを保持させた状態の説明図(b)本発明の一実施の形態の台車にリール保持装置を装着してリールを保持させた状態において奥側のリールを交換する説明図
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に図面を用いて、本発明の一実施の形態を詳細に説明する。以下で述べる構成、形状等は説明のための例示であって、部品実装装置、台車、リール保持装置の仕様に応じ、適宜変更が可能である。以下では、全ての図面において対応する要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
図1、及び後述する一部では、水平面内で互いに直交する2軸として、基板搬送方向のX軸(
図1における紙面垂直方向)、基板搬送方向に直交するY軸(
図1における左右方向)が示される。
図1、及び後述する一部では、水平面と直交する高さ方向としてZ軸(
図1における上下方向)が示される。
【0013】
図1に示す部品実装装置1は基板PBに部品PTを装着する装置であり、基台11、基板搬送部12、部品装着部13及び部品供給部14を備えている。ここでは説明の便宜上、作業者OPから見た奥側を前方、手前側を後方とする。
【0014】
図1において、基板搬送部12は基台11上をX軸方向に延びる一対のコンベア12aを備えている。基板搬送部12は、一対のコンベア12aによって基板PBを下方から支持し、X軸方向に搬送する。部品装着部13は吸着ノズル13aを備えた装着ヘッド13Hを、ヘッド移動機構(図示省略)によって水平面内方向に移動させる。部品実装装置1の部品供給部14は、基台11に連結される台車15と、台車15に取り付けられた複数のテープフィーダ16を備えている。台車15には、各テープフィーダ16にキャリアテープ17を供給する複数のリール18がセットされている(
図2も参照)。
【0015】
ここで、
図3を参照して、キャリアテープ17とリール18の構造について説明する。キャリアテープ17は、ベーステープ21とカバーテープ22を有している。ベーステープ21には、複数の部品PTが一列に並んで収納されている。カバーテープ22は、ベーステープ21の上面に貼り付けられて各部品PTがベーステープ21から脱落するのを防止している。キャリアテープ17は、リール18に巻き付けられている。キャリアテープ17は、リール18から引き出されてテープフィーダ16に送り込まれる。リール18の中央部には、ピン挿入孔18Hがリール18の厚さ方向に貫通して設けられている。このように、リール18には、テープフィーダ16に供給する部品PTを収納したキャリアテープ17が巻き付けられている。
【0016】
図1、
図2において、テープフィーダ16は、オートロード型のテープフィーダであり、後端(作業者OP側の端部)側に挿入されたキャリアテープ17をリール18から引き出しながらピッチ送りし、前端側の部品供給口16Kに部品PTを供給する。ベーステープ21に貼り付けられたカバーテープ22は、テープフィーダ16の内部に設けられた剥離部材(図示省略)によってピッチ送りの途中で剥離され、ベーステープ21とともにテープフィーダ16の外部に排出される。
【0017】
図1、
図2において、台車15は、フィーダベース15Fと操作ハンドル15Hを有している。フィーダベース15Fには、Y軸方向に延びた複数のスロット15SがX軸方向に並んで設けられている。各スロット15Sには、通常サイズのテープフィーダ16が取り付けられるほか、薄型サイズのテープフィーダ16(
図2中に符号16Uで示す)、幅広サイズのテープフィーダ(図示省略)が取り付けられる。薄型サイズのテープフィーダ16は、1つのスロット15Sに2つ並んで取り付けられる。幅広サイズのテープフィーダは、複数のスロット15Sに跨って取り付けられる。
【0018】
台車15は、操作ハンドル15Hが作業者OPによって操作されることで床面YK上を移動し、部品実装装置1の基台11に結合される。台車15が基台11に結合されると、フィーダベース15Fに取り付けられた各テープフィーダ16の部品供給口16Kが部品実装装置1内の規定の位置(部品供給位置)に位置する。
【0019】
図4において、台車15の内部(フィーダベース15Fの下方の空間)には、第1ロッド31、第2ロッド32及び第3ロッド33がそれぞれX軸方向に延びて設けられている。第2ロッド32は、第1ロッド31の後下方に位置している。第3ロッド33は、第2ロッド32の後上方に位置している。
【0020】
第1ロッド31には、複数の上側リールホルダ34がX軸方向に並んで取り付けられている。上側リールホルダ34はスロット15Sに一対一で対応しており、対応するスロット15Sの下方に位置して設けられている。第2ロッド32には、複数の下側リールホルダ35がX軸方向に並んで取り付けられている。下側リールホルダ35は、上側リールホルダ34と同様にスロット15Sに一対一で対応しており、対応するスロット15Sの下方(更には対応する上側リールホルダ34の下方)に位置して設けられている。
【0021】
図2、
図4において、各上側リールホルダ34は第1ロッド31を軸として起伏(揺動)自在となっており、自由端側(後端側)を下げた倒伏姿勢の状態で、1つの小径のリール18(小径リール18Aと称する)を回転自在に保持(支持)する。各下側リールホルダ35は第2ロッド32を軸として起伏(揺動)自在となっており、自由端側(後端側)を上げた起仰姿勢の状態で、1つの小径リール18Aを回転自在に保持(支持)する。
【0022】
また、下側リールホルダ35は、1つの大径のリール18(大径リール18Bと称する)を回転自在に保持する。このとき下側リールホルダ35は、自由端側(後端側)を第3ロッド33に上方から当接させた倒伏姿勢で、下側リールホルダ35の下端部を保持する。
【0023】
上記のようにしてリール18は、台車15の内部において、上側リールホルダ34又は下側リールホルダ35によって回転自在に保持される。台車15の内部において保持された各リール18からはキャリアテープ17が引き出され、その上方に位置するテープフィーダ16に挿入される(
図1、
図2)。
【0024】
このような構成の部品実装装置1において、オートロード型のテープフィーダ16は、待機用のリール18を含めて2つのリール18の設置場所を必要とする。1つのスロット15Sに1つのオートロード型のテープフィーダ16が取り付けられる場合には、必要とするリール18は1つのスロット15S当たり2つである。小径リール18Aを用いる場合は、上側リールホルダ34と下側リールホルダ35とで待機用のリール18も含めてリール18の設置場所を確保できる。しかし、大径リール18Bを用いる場合や、1つのスロット15Sに薄型サイズのテープフィーダ16が2つ取り付けられる場合には、リール18の設置場所が不足する。
【0025】
このため本実施の形態における部品実装装置1は、リール18の設置場所としてのリール保持装置40を台車15に外付けし、その外付けしたリール保持装置40に小径リール18Aや大径リール18Bを回転自在に保持させることができるようになっている(
図1、
図2)。
【0026】
次に、
図5、
図6を参照して、リール保持装置40の構造について説明する。リール保持装置40は、台車15に取り付けられるアタッチメント部41と、台車15に取り付けられたアタッチメント部41の後端部から後斜め上方に延びるアーム部42と、を有して構成される。
【0027】
アーム部42は、全体として板状に形成された部材であり、アタッチメント部41に取付けられた状態で斜め上方に延びる長尺の幹部42aと、幹部42aから後側に延びる支持部42bを有している。幹部42aの下端部42cには、下端部42cの外周に開口する係合スリット42Sが形成されている。後述するように、アーム部42の所定の位置には、リール18を回転自在に保持するリール保持部材43が取り付けられる。リール18は、ピン挿入孔18Hにリール保持部材43が挿入されるように、アーム部42に取付けられる。リール保持部材43の先端には、取り付けられたリール18が抜け落ちないように薄型のフランジ43Fが形成されている。
【0028】
図6(a)、
図6(b)において、アーム部42の幹部42aには、アーム部42を厚さ方向に貫通する複数のピン取付け孔42Hが形成されている。本実施の形態では、幹部42aの先端部に1つ、幹部42aの根元部に1つのピン取付け孔42Hが設けられている。アーム部42の支持部42bには、支持部42bの外周に略上向きに開口する複数の支持スリット42Nが形成されている。本実施の形態では、支持部42bの高い位置に1つの支持スリット42N(上側支持スリット42N1)が、上側支持スリット42N1より低くて、後側の位置に1つの支持スリット42N(下側支持スリット42N2)が形成されている。すなわち、2つの支持スリット42Nは、Y軸方向(前後方向)とZ軸方向(上下方向)にオフセットした位置に設置されている。
【0029】
リール保持部材43は、これら複数のピン取付け孔42Hと複数の支持スリット42Nの中から選択した任意の位置に取り付けることができる。アーム部42に対するリール保持部材43の取付け位置及びアーム部42に取り付けられるリール保持部材43の数及び種類は、リール保持部材43に保持させるリール18の径の大きさ(小径リール18A、大径リール18B)や幅に応じて変更される(
図15参照)。このように、アーム部42は、リール18を回転自在に保持するリール保持部材43を支持する複数の支持スリット42Nが形成された支持部42bを有している。
図5は、2箇所のピン取付け孔42Hの右側と左側に、それぞれリール保持部材43を取り付けた状態を示している。
【0030】
図5、
図6において、アタッチメント部41は、後端部のX軸方向の中央にアーム部42を着脱自在(矢印a)に保持するアーム部保持部41Hを有している。アーム部保持部41Hは、アタッチメント部41に形成され、アーム部42の下端部42cが挿入される隙間41Gと、隙間41Gに配置された複数(ここでは、2つ)のピン41Pを備えている。
【0031】
アーム部保持部41Hにアーム部42の下端部42cが挿入されると、複数のピン41Pに下端部42cの係合スリット42Sが係合する。また、隙間41Gの内壁に下端部42cの外周が当接する(
図6(a))。アーム部42が重力に引かれて回動することで、係合スリット42Sが複数のピン41Pに押し付けられる力と、下端部42cの外周が隙間41Gに押し付けられる力が発生する。この力(摩擦力)により、アーム部42がアーム部保持部41Hに保持される。
【0032】
図5、
図6において、アタッチメント部41の前端側の上面には、凹状の第1の係合部41Aが設けられている。また、アタッチメント部41の前端と後端の間の下面には、凹状の第2の係合部41Bが設けられている。第1の係合部41Aは、台車15が有する第2ロッド32に下方から係合し得るようになっている。第2の係合部41Bは、台車15が有する第3ロッド33に上方から係合し得るようになっている。第1の係合部41Aを第2ロッド32に係合させ、第2の係合部41Bを第3ロッド33に係合させることで、リール保持装置40は台車15の下側に保持される(
図1、
図2参照)。
【0033】
このように、リール保持装置40は、テープフィーダ16が設けられた台車15に着脱自在に取り付けられる。また、複数のリール保持装置40は、リール18の回転軸(X軸方向)に沿って台車15に配置される。
【0034】
次に、
図7~
図11を参照して、リール保持装置40に多様なリール18を保持させる例について説明する。
図7は、リール保持装置40に小径リール18Aを4つ保持させる例を示している。アーム部42には、2箇所のピン取付け孔42Hの右側と左側に、それぞれリール保持部材43が取り付けられている。すなわち、アーム部42には、4つのリール保持部材43が取り付けられている。各々のリール保持部材43には、それぞれ小径リール18Aを保持させることができる。すなわち、アーム部42の右側に2つの小径リール18Aが保持され、左側に2つの小径リール18Aが保持される。
【0035】
図8は、リール保持装置40に大径リール18Bを2つ保持させる例を示している。アーム部42には、上側支持スリット42N1の左側と、下側支持スリット42N2の右側に、それぞれリール保持部材43が取り付けられている。すなわち、アーム部42には、2つのリール保持部材43が取り付けられている。各々のリール保持部材43には、それぞれ大径リール18Bを保持させることができる。
【0036】
すなわち、アーム部42の右側に1つの大径リール18Bが保持され、左側に1つの大径リール18Bが保持される。上側支持スリット42N1と下側支持スリット42N2の位置が前後と上下にオフセットしているため、リール保持装置40が保持する大径リール18Bを作業者OPが交換等する作業が容易となる(
図15も参照)。
【0037】
図9、
図10は、アーム部42の支持スリット42Nに着脱自在なリール保持部材43Aを装着させる例を示している。
図10(a)は、アーム部42の上側支持スリット42N1の左側と、下側支持スリット42N2の右側に、それぞれリール保持部材43Aが取り付けられた状態を示している。
図10(b)は、
図10(a)において矩形cで示す、上側支持スリット42N1と下側支持スリット42N2を含む領域の拡大断面を示している。
【0038】
リール保持部材43Aにおいて、アーム部42に取付けられる側の端部43ATには、支持スリット42Nに係合する溝43ASが形成されている。リール保持部材43Aの端部43ATとは反対側には、フランジ43AFが形成されている。リール保持部材43Aは、溝43ASが支持スリット42N(上側支持スリット42N1、下側支持スリット42N2)に沿うようにアーム部42に着脱される(
図9の矢印b)。すなわち、支持スリット42Nは、リール保持部材43Aの端部43ATに形成された溝43ASに係合してリール保持部材43Aを支持する。そして、アーム部42の支持部42bは、リール18を保持している状態のリール保持部材43Aを着脱可能である。
【0039】
図11は、リール保持装置40に大径で幅が広い大径幅広リール18Cを1つ保持させる例を示している。
図11(b)は、
図11(a)において矩形dで示す、上側支持スリット42N1と下側支持スリット42N2を含む領域の拡大断面を示している。大径幅広リール18Cを保持させる場合、台車15に配置された隣接する2つのリール保持装置40が使用される。また、両方の端部43BTにそれぞれ溝43BSが形成され、保持する大径幅広リール18Cの幅よりも長いリール保持部材43Bが使用される。
【0040】
具体的には、まず、リール保持部材43Bにピン挿入孔18Hを挿入して、リール保持部材43Bに大径幅広リール18Cを保持させる。次いで、大径幅広リール18Cを保持しているリール保持部材43Bの溝43BSを、隣接する2つのリール保持装置40のアーム部42の上側支持スリット42N1または下側支持スリット42N2に係合させて支持させる。すなわち、台車15において、隣接する2つのリール保持装置40の支持部42bが、1つのリール保持部材43Bを支持する。
図11は、リール保持部材43Bを下側支持スリット42N2に支持させた例である。
【0041】
次に、
図12~
図14を参照して、小径リール18Aや大径リール18Bなどの薄型リール用のリール保持部材43A、大径幅広リール18Cなどの幅広リール用のリール保持部材43B、大径大幅広リール18Dなどの大幅広リール用のリール保持部材43C(
図15参照)の詳細な構成について説明する。リール保持部材43A,43B,43Cは、ネジ50、ナット51、心棒52、ビス53などの構成部品を組み合わせて構成される。
【0042】
図12は、薄型リール用のリール保持部材43Aの構成を示している。リール保持部材43Aは、2つのネジ50、1つのナット51、1つの心棒52を組み合わせて構成される。ネジ50は、頭部50aと、頭部50aの一側面に形成されて頭部50aより径が小さな小径部50bと、小径部50bから延出する雄ネジ部50cを備えている。ナット51は、ネジ50の頭部50aと略同じ径の大径部51aと、大径部51aの一側面に形成されてネジ50の小径部50bと略同じ径の小径部51bを備えている。また、ナット51の中心には、ネジ50の雄ネジ部50cと結合する雌ネジ部51cが形成されている。心棒52は円筒形状であり、中心にネジ50の雄ネジ部50cと結合する雌ネジ部52aが形成されている。
【0043】
図12(a)において、リール保持部材43Aは、心棒52の一端にナット51の小径部51bとは反対側の面を当接させた状態で、ネジ50の雄ネジ部50cをナット51の雌ネジ部51cと心棒52の雌ネジ部52aにねじ込み、また、心棒52の他端から別のネジ50をねじ込んで構成される。
【0044】
図12(b)において、リール保持部材43Aの心棒52の一端側のネジ50とナット51は、端部43ATを構成する。また、ネジ50の頭部50a、小径部50b、ナット51の小径部51b、大径部51aで囲われた空間は、アーム部42の支持スリット42Nに係合する溝43ASを構成する。すなわち、小径部50b,51bの径は、支持スリット42Nの幅より小さく、頭部50aと大径部51aの径は、支持スリット42Nの幅より大きい。また、心棒52の他端側のネジ50の頭部50aは、リール保持部材43Aのフランジ43AFを構成する。
【0045】
図13は、幅広リール用のリール保持部材43Bの構成を示している。リール保持部材43Bは、2つのネジ50、2つのナット51、2つの心棒52、1つのビス53を組み合わせて構成される。ビス53は円柱形状であり、外周に心棒52の雌ネジ部52aと結合する雄ネジ部53aが形成され、両端面に六角穴53bがそれぞれ形成されている。
【0046】
図13(a)において、リール保持部材43Bは、心棒52の雌ネジ部52aにビス53の雄ネジ部53aを半分ねじ込み、残りの雄ネジ部53aに別の心棒52の雌ネジ部52aをねじ込むことで、2つの心棒52を結合させている。そして、リール保持部材43Bは、結合させた心棒52の両端に、それぞれナット51とネジ50を取り付けて構成される。
図13(b)において、リール保持部材43Bの両端のネジ50とナット51は、溝43BSを有する端部43BTを構成する。
【0047】
図14は、大幅広リール用のリール保持部材43Cの構成を示している。リール保持部材43Cは、2つのネジ50、2つのナット51、3つの心棒52、2つのビス53を組み合わせて構成される。
【0048】
図14(a)において、リール保持部材43Cは、2つのビス53で3つの心棒52を結合させている。そして、リール保持部材43Cは、結合させた心棒52の両端に、それぞれナット51とネジ50を取り付けて構成される。
図14(b)において、リール保持部材43Cの両端のネジ50とナット51は、溝43CSを有する端部43CTを構成する。
【0049】
このように、本実施の形態のリール保持部材43A~43Cは、構成部品(ネジ50、ナット51、心棒52、ビス53)の組み合わせを変えることで、様々な長さのリール保持部材43A~43Cを構成することができる。これによって、部品実装装置1で使用するリール18の種類や数が変更された場合に、必要なリール保持部材43A~43Cを生産現場で速やかに準備することができる。
【0050】
次に
図15を参照して、台車15に複数のリール保持装置40を配置して、多様なリール18を保持させる例を説明する。
図15(a)、
図15(b)は、複数のリール保持装置40を配置した台車15の一部を、作業者OPから見た状態を模式的に示している。ここでは、台車15に配置されたリール保持装置40を、左から順にリール保持装置40(1)、リール保持装置40(2)などと称する。
【0051】
図15(a)において、リール保持装置40(1)からリール保持装置40(3)には、アーム部42の2箇所のピン取付け孔42Hの右側と左側にリール保持部材43が取り付けられ、それぞれのリール保持部材43に小径リール18Aが保持されている。リール保持装置40(4)には、アーム部42の上側支持スリット42N1の左側と下側支持スリット42N2の右側にリール保持部材43が取り付けられ、それぞれのリール保持部材43に大径リール18Bが保持されている。リール保持装置40(5)には、アーム部42の上側支持スリット42N1の左側にリール保持部材43Aが取り付けられ、リール保持部材43Aに大径リール18Bが保持されている。
【0052】
リール保持装置40(5)とリール保持装置40(6)、リール保持装置40(7)とリール保持装置40(8)の下側支持スリット42N2には、大径幅広リール18Cを保持するリール保持部材43Bが支持されている。リール保持装置40(6)とリール保持装置40(7)の上側支持スリット42N1には、大径幅広リール18Cを保持するリール保持部材43Bが支持されている。すなわち、リール保持装置40(5)からリール保持装置40(8)の間には、3つの大径幅広リール18Cが前後と上下にオフセットして保持されている。
【0053】
図15(a)において、リール保持装置40(8)とリール保持装置40(9)の上側支持スリット42N1には、大径幅広リール18Cより幅が広い大径大幅広リール18Dを保持するリール保持部材43Cが支持されている。リール保持装置40(9)とリール保持装置40(10)の下側支持スリット42N2には、大径幅広リール18Cより幅が広い大径大幅広リール18Dを保持するリール保持部材43Cが支持されている。すなわち、リール保持装置40(8)からリール保持装置40(10)の間には、2つの大径大幅広リール18Dが前後と上下にオフセットして保持されている。
【0054】
各々のリール18(小径リール18A、大径リール18B、大径幅広リール18C、大径大幅広リール18D)に巻き付けられたキャリアテープ17は、台車15に取り付けられたテープフィーダ16に送り込まれている。このように、台車15には複数のリール保持装置40が配置され、多様なリール18(小径リール18A、大径リール18B、大径幅広リール18C、大径大幅広リール18D)が、隙間なく保持されている。そのため、台車15の下側リールホルダ35に保持されているリール18(小径リール18A)や、台車15に直接保持されているリール18(大径リール18B、大径幅広リール18C、大径大幅広リール18D)は、作業者OPから見るとリール保持装置40に保持されているリール18に隠れている。
【0055】
次に、
図15(b)を参照して、リール保持装置40に保持されているリール18に隠れているリール18を交換する作業について説明する。ここでは、リール保持装置40(2)の奥にある小径リール18A1,18A2と、リール保持装置40(6)とリール保持装置40(7)の間の奥にある大径幅広リール18C1を交換する例で説明する。
【0056】
最初に、上側リールホルダ34に保持されている小径リール18A1のキャリアテープ17が無くなった場合のリールの交換作業を例に説明する。作業者OPは、リール保持装置40(2)のアタッチメント部41から4つの小径リール18Aを保持しているアーム部42を取り外す。その際、作業者OPは、アーム部42が保持している4つの小径リール18Aに巻き付けられたキャリアテープ17はテープフィーダ16に送り込まれた状態のまま、アーム部42を小径リール18A1,18A2の交換作業を妨げない位置に退避させる。
【0057】
図15(b)において、作業者OPは、空になった小径リール18A1を上側リールホルダ34から取り除くとともに、下側リールホルダ35に保持されているキャリアテープ17を供給中の小径リール18A2を空席となった上側リールホルダ34へ移動させる。そして、補充用の新たな小径リール(図示省略)を下側リールホルダ35に配置するとともに補充用の小径リールのキャリアテープ17を、小径リール18A2から繰り出されたキャリアテープ17を使用しているテープフィーダ16に挿入する。リールの交換作業が完了したら、4つの小径リール18Aを保持しているアーム部42を元の位置であるリール保持装置40(2)のアタッチメント部41に保持させる。
【0058】
次に、台車15に直接保持されている大径幅広リール18C1のキャリアテープ17が無くなった場合のリールの交換作業を例に説明する。
図15(b)において、作業者OPは、リール保持装置40(6)とリール保持装置40(7)の間から、アーム部42に支持されていた大径幅広リール18Cを保持しているリール保持部材43Bを取り外す。その際、作業者OPは、リール保持部材43Bが保持している大径幅広リール18Cに巻き付けられたキャリアテープ17はテープフィーダ16に送り込まれた状態のまま、大径幅広リール18Cを保持しているリール保持部材43Bを小径リール18A1の交換作業を妨げない位置に退避させる。
【0059】
図15(b)において、次に、作業者OPは、台車15から空になった大径幅広リール18C1を取り除く。次に、作業者OPは、退避させた大径幅広リール18Cからリール保持部材43Bを取り外して大径幅広リール18C1が取り除かれて空席となった位置へ移動させる。そして補充用の新たな大径幅広リール(図示省略)のピン挿入孔18Hにリール保持部材43Bを挿入する。そして、補充用の大径幅広リールを保持しているリール保持部材43Bを元の位置であるリール保持装置40(6)とリール保持装置40(7)のアーム部42に支持させる。次に、補充用の大径幅広リールのキャリアテープ17を、大径幅広リール18Cから繰り出されたキャリアテープ17を使用しているテープフィーダ16に挿入する。これでリールの交換作業が完了する。
【0060】
このように、本実施の形態のリール保持装置40は、リール18を保持している状態のアーム部42やリール保持部材43A,43B,43Cを容易に着脱させることができる。そのため、リール18に巻き付けられたキャリアテープ17をテープフィーダ16から外すことなく、台車15の下側リールホルダ35等に保持されている他のリール18を交換することができる。また、アーム部42やリール保持部材43A,43B,43Cに保持されているリール18自身を交換する際も、アーム部42やリール保持部材43A,43B,43Cをリール保持装置40から取り外すことで容易に作業することができる。
【0061】
上記説明したように、本実施の形態のリール保持装置40は、台車15に取り付けられるアタッチメント部41と、アタッチメント部41から延びたアーム部42と、を有する。そして、アーム部42は、リール18を回転自在に保持するリール保持部材43A,43B,43Cを支持する支持部42bを有し、支持部42bは、リール18を保持している状態のリール保持部材43A,43B,43Cを着脱可能である。これによって、リール18の交換作業を容易に行うことができる。
【0062】
また、本実施の形態の他のリール保持装置40は、台車15に取り付けられるアタッチメント部41と、アタッチメント部41から延びたアーム部42と、を有する。そして、アタッチメント部41は、アーム部42を着脱自在に保持するアーム部保持部41Hを有する。これによって、リール18の交換作業を容易に行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明のリール保持装置および台車は、リールの交換作業を容易に行うことができるという効果を有し、部品を基板に実装する分野において有用である。
【符号の説明】
【0064】
15 台車
16 テープフィーダ
17 キャリアテープ
18 リール
40 リール保持装置
41 アタッチメント部
41G 隙間
41H アーム部保持部
41P ピン
42 アーム部
42b 支持部
42c 下端部
42N 支持スリット
42N1 上側支持スリット
42N2 下側支持スリット
42S 係合スリット
43、43A~43C リール保持部材
43AT、43BT、43CT 端部
43AS、43BS、43CS 溝
PT 部品