IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 福島工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-製氷機の貯氷検知装置 図1
  • 特開-製氷機の貯氷検知装置 図2
  • 特開-製氷機の貯氷検知装置 図3
  • 特開-製氷機の貯氷検知装置 図4
  • 特開-製氷機の貯氷検知装置 図5
  • 特開-製氷機の貯氷検知装置 図6
  • 特開-製氷機の貯氷検知装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171147
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】製氷機の貯氷検知装置
(51)【国際特許分類】
   F25C 5/187 20180101AFI20241204BHJP
【FI】
F25C5/187 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088064
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000239585
【氏名又は名称】フクシマガリレイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100148138
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡
(72)【発明者】
【氏名】富倉 拓也
(72)【発明者】
【氏名】松浦 洸嗣
(72)【発明者】
【氏名】熊谷 友佑
(57)【要約】
【課題】製氷機の貯氷検知装置において、検知レバーの周辺に氷塊が積み上がり、当該レバーの下端が自由に変位することができないような状態となった場合でも、貯氷状態を検知して、製氷機構による製氷動作を停止できるようにする。
【解決手段】検知レバー27を、第1~第3の軸33・35・37を介して揺動可能に枢支された第1~第3の計3つのアーム34・36・38を備えるものとする。そして、第3アーム38、或いは第2アーム36を右方向へ動かす力が作用されたとき、第2アーム36が右方向へ変位するとともに、第1アーム34が第1軸33を中心に右方向へ揺動することで、第1アーム34が非作動姿勢から作動姿勢へ変位するように構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製氷機構(3)から放出された氷塊(22)を貯蔵する貯氷室(1)に配されて、貯氷室(1)内の貯氷量が所定量に到達したことを検知する製氷機の貯氷検知装置であって、
製氷機構(3)の右方へ氷塊(22)が放出されるようになっており、貯氷検知装置(4)は当該製氷機構(3)の右側に配されており、
貯氷検知装置(4)は、検知レバー(27)と、検知レバー(27)によりオンオフ操作される検知スイッチ(28)とを備え、
検知レバー(27)は、
貯氷室(1)の上部に配されて前後方向に伸びる第1軸(33)と、
検知スイッチ(28)をオン操作する作動姿勢と、検知スイッチ(28)をオフとする非作動姿勢との間で、第1軸(33)を介して少なくとも作動姿勢となる右方向に揺動可能に枢支された第1アーム(34)と、
第1アーム(34)の下端に配されて前後方向に伸びる第2軸(35)と、
第2軸(35)を介して、第1アーム(34)に対して左右方向に揺動可能に枢支された第2アーム(36)と、
第2アーム(36)の下端に配されて前後方向に伸びる第3軸(37)と、
第3軸(37)を介して、第2アーム(36)に対して左右方向に揺動可能に枢支された第3アーム(38)と、
を備え、
第2アーム(36)には、第3アーム(38)の第3軸(37)を中心とした右方向への揺動を規制する規制体(53)が設けられており、
第3アーム(38)、或いは第2アーム(36)を右方向へ動かす力が作用されたとき、第2アーム(36)が右方向へ変位するとともに、第1アーム(34)が第1軸(33)を中心に右方向へ揺動することで、第1アーム(34)が非作動姿勢から作動姿勢へ変位するように構成されていることを特徴とする製氷機の貯氷検知装置。
【請求項2】
第2軸(35)は、第1アーム(34)の下端に設けられて前後方向に伸びる横軸であり、
第2アーム(36)の上端には、第2軸(35)に係止されるフック(51)が設けられており、
第2軸(35)にフック(51)の前後方向の遊動を規制する規制構造(44・45)が設けられている、請求項1に記載の製氷機の貯氷検知装置。
【請求項3】
第2軸(35)は、第1アーム(34)の下端に設けられて前後方向に伸びる横軸であり、
第2アーム(36)の上端には、第2軸(35)に係止されるフック(51)が設けられており、
第2軸(35)は、断面が四角形状の角軸で形成されており、
フック(51)の第2軸(35)に対向する内面が、左右のストレート面と、これらストレート面に連続する湾曲面とを備える断面逆U字面とされている、請求項1に記載の製氷機の貯氷検知装置。
【請求項4】
左右のストレート面に、フック(51)に対する第2軸(35)の下方への相対移動限界を規制する規制リブ(57)が形成されている、請求項3に記載の製氷機の貯氷検知装置。
【請求項5】
第1アーム(34)が、第1軸(33)を介して左右方向に揺動可能に枢支されている、請求項1に記載の製氷機の貯氷検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製氷機の貯氷庫内の貯氷量を検知するための貯氷検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明に係る貯氷検知装置は、貯氷庫の上部に配された検知レバーと、検知レバーによりオンオフ操作される検知スイッチとを備えるが、同様の構成を備える貯氷検知装置は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の貯氷検知装置を構成する検知レバーは、貯氷庫の上部に設けられた第1軸を中心に左右方向に揺動可能に枢支される可動主杆と、可動主杆の下端部に設けられた第2軸を中心に左右方向に揺動可能に結合されて、製氷機構部から落下する氷塊の落下軌道上に臨む補助杆とで構成される。可動主杆の上端部には、検知スイッチをオンオフ操作する作動部が設けられている。可動主杆の下端部には、可動主杆に対する補助杆の右方向への相対的傾動を規制するための屈曲阻止片が設けられている。貯氷庫の中央には製氷機構が設けられ、この製氷機構の右側に貯氷検知装置は配されている。
【0003】
通常状態においては、可動主杆と補助杆は、それぞれが自重により鉛直方向に指向し、検知レバーは、作動部が検知スイッチから離れる非作動姿勢にある。また、この状態から、可動主杆と補助杆の両者が反時計方向(右方向)に回転すると、検知レバーは、作動部が検知スイッチに近付く作動姿勢に変位する。より詳しくは、上記の屈曲阻止片により、補助杆は可動主杆の伸び方向に対して、第2軸を中心に時計方向(左方向)に傾動することは可能であるものの、第2軸を中心に反時計方向(右方向)には傾動不能となるように構成されている。このため、貯氷庫内の所定の高さ位置にまで貯留された氷塊により、補助杆の左側から当該補助杆を反時計方向(右方向)に回動させる力が作用した場合には、補助杆と共に可動主杆が第1軸を中心に反時計方向(右方向)に回動し、これにより作動部が上方に押し上げられて、検知レバーは非作動姿勢から作動姿勢に変位し、作動部が反時計方向(右方向)に回動して検知スイッチがオン操作され、貯氷庫内が満氷状態になったと検知されて、製氷機構による製氷動作は停止される。
【0004】
特許文献1と同様の構成の検知レバーを備える貯氷検知装置は、特許文献2~4にも開示されている。特許文献4の貯氷検知装置の検知レバーを構成する可動主杆は、上方側の回動レバーと、該回動レバーに対して着脱可能に構成された、下方側のスライドレバーとで構成されており、回動レバーに対するスライドレバーの装着位置を変更することで、可動主杆の全長を調整して、貯氷庫内の氷塊の最大貯留量を変更することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公平06-018162号公報
【特許文献2】特開2005-291621号公報
【特許文献3】特開昭51-126553号公報
【特許文献4】特開2000-193353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
製氷機のユーザーの中には、貯氷検知装置によって検知された満氷状態を超えて、貯氷庫内に貯氷されることを望むものがいる。具体的には、特許文献1の貯氷検知装置を備える製氷機において、可動主杆が作動姿勢に変位し、貯氷庫内が満氷となったことが検知されたにも拘わらず、スコップ(氷塊を掬い取るためのスコップ)を使って貯氷庫内の氷塊を均一にならし、可動主杆を作動姿勢から非作動姿勢に変位させて、製氷機構による製氷動作を継続させることがある。このように貯氷庫内の氷塊を均一にならす作業を行った結果、補助杆よりも右方に氷塊が積み上がると、補助杆の反時計方向(右方向)の変位が妨げられて、可動主杆の作動姿勢への変位が不可能となる場合がある。そうすると、貯氷検知装置による検知が不能となり、製氷機構による製氷動作が不適切に継続されるという問題が生じる。
【0007】
本発明の目的は、製氷機の貯氷検知装置において、検知レバーの周辺に氷塊が積み上がり、当該レバーの下端が自由に変位することができないような状態に陥った場合でも、当該レバーの上端が非作動姿勢から作動姿勢への変位できるようにして、製氷機構による製氷動作を適切に停止できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、製氷機構3から放出された氷塊22を貯蔵する貯氷室1に配されて、貯氷室1内の貯氷量が所定量に到達したことを検知する製氷機の貯氷検知装置を対象とする。製氷機構3の右方へ氷塊22が放出されるようになっており、貯氷検知装置4は当該製氷機構3の右側に配されている。貯氷検知装置4は、検知レバー27と、検知レバー27によりオンオフ操作される検知スイッチ28とを備える。検知レバー27は、貯氷室1の上部に配されて前後方向に伸びる第1軸33と、検知スイッチ28をオン操作する作動姿勢と、検知スイッチ28をオフとする作動姿勢との間で、第1軸33を介して少なくとも非作動姿勢となる右方向に揺動可能に枢支された第1アーム34と、第1アーム34の下端に配されて前後方向に伸びる第2軸35と、第2軸35を介して、第1アーム34に対して左右方向に揺動可能に枢支された第2アーム36と、第2アーム36の下端に配されて前後方向に伸びる第3軸37と、第3軸37を介して、第2アーム36に対して左右方向に揺動可能に枢支された第3アーム38とを備える。第2アーム36には、第3アーム38の第3軸37を中心とした右方向への揺動を規制する規制体53が設けられている。そして、第3アーム38、或いは第2アーム36を右方向へ動かす力が作用されたとき、第2アーム36が右方向へ変位するとともに、第1アーム34が第1軸33を中心に右方向へ揺動することで、第1アーム34が非作動姿勢から作動姿勢へ変位するように構成されていることを特徴とする。
【0009】
第2軸35は、第1アーム34の下端に設けられて前後方向に伸びる横軸とし、第2アーム36の上端には、第2軸35に係止されるフック51が設けられている。第2軸35にフック51の前後方向の遊動を規制する規制構造44・45が設けられている。
【0010】
第2軸35は、第1アーム34の下端に設けられて前後方向に伸びる横軸とし、第2アーム36の上端には、第2軸35に係止されるフック51が設けられている。第2軸35は、断面が四角形状の角軸で形成されている。フック51の第2軸35に対向する内面が、左右のストレート面と、これらストレート面に連続する湾曲面とを備える断面逆U字面とされている。
【0011】
左右のストレート面に、フック51に対する第2軸35の下方への相対移動限界を規制する規制リブ57が形成されている。
【0012】
第1アーム34が、第1軸33を介して左右方向に揺動可能に枢支されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明の貯氷検知装置においては、貯氷室1の上部に配された検知レバー27を、第1~第3の軸33・35・37を介して揺動可能に枢支された第1~第3の計3つのアーム34・36・38を備えるものとし、第2アーム36に第3アーム38の第3軸37まわりの右方向への揺動を規制する規制体53を設ける。そして、第3アーム38、或いは第2アーム36を右方向へ動かす力が作用されたとき、第2アーム36が右方向へ変位するとともに、第1アーム34が第1軸33を中心に右方向へ揺動することで、第1アーム34が非作動姿勢から作動姿勢へ変位するように構成する。
【0014】
以上のような構成からなる貯氷検知装置によれば、例えば製氷機構3から放出された氷塊22が第3アーム38に衝突して、第3アーム38を右方向へ動かす力が作用されたときには、規制体53の規制を受けて第3アーム38と第2アーム36とが一体的に右方向へ変位し、これにより第1アーム34が第1軸33を中心に右方向へ揺動し、第1アーム34が非作動姿勢から作動姿勢へ変位して検知スイッチ28をオンとする(図6参照)。加えて、第3アーム38が自由に揺動することができないような状態に陥った場合でも、製氷機構3から放出された氷塊22が第2アーム36に衝突して、第2アーム36を右方向へ動かす力が作用されたときには、第2アーム36は右方向へ変位可能であり、かかる第2アーム36の変位により、第1アーム34は非作動姿勢から作動姿勢へ変位し検知スイッチ28をオンとする。以上のように、本発明の貯氷検知装置によれば、例えば検知レバー27の周辺に氷塊22が積み上がり、検知レバー27の下端に位置する第3アーム38が自由に揺動することができないような状態に陥った場合でも、第2アーム36が右方向へ変位することで、第1アーム34を非作動姿勢から作動姿勢へ変位させることが可能であり、製氷機構3による製氷動作を適切に停止させることができる。また、本発明によれば、満氷状態であるにも拘わらず、製氷機構3による製氷動作が継続されるなどの不具合が生じることをより確実に防ぐことができる。
【0015】
例えば、第2軸が左右方向から見て円リング状であり、この第2軸に第2アームの上端のフックが係止されているような形態を採った場合には、円リング状の第2軸に沿う略周回状に第2アームが変位可能となるため、第2アームの可動範囲は広くなるものの、第2軸は摩耗しやすいものとなり、検知レバー27の耐久性が低下する。特に、貯氷室1内の氷塊22は、付属のスコップ18を使って掬い取られるが、当該スコップ18が検知レバー27に衝突して第2アームが前後方向に大きく変位されると、これら第2軸と第2アームとの摺動により、第2軸は摩耗しやすい。これに対して本発明のように、第2軸35が、第1アーム34の下端に設けられて前後方向に伸びる横軸で形成され、第2アーム36の上端には、第2軸35に係止されるフック51が設けられており、第2軸35にフック51の前後方向の遊動を規制する規制構造44・45が設けられていると、当該規制構造44・45により第2軸35の前後方向の長さ寸法を超えて、第2アーム36(フック51)が前後方向に変位することを防ぐことができるので、第2軸35の摩耗を抑えて、検知レバー27の耐久性の向上を図ることができる。
【0016】
例えば、第2軸を構成する横軸が、断面円形状の丸軸で形成されている場合には、第2軸に対して第2アームは左右方向に自由に揺動することが可能であり、第2アームが第2軸を中心に左右方向に揺動変位しただけでは第1アームは変位し難く、実質的に第2アームの上端が上下に変位した場合にのみ、第1アームは変位することとなり、容易に検知スイッチはオンとならず、貯氷検知装置の感度は低いものとなることが避けられない。これに対して、本発明のように、第2軸35を構成する横軸が断面四角形状の角軸で形成され、フック51の第2軸35に対向する内面が、左右のストレート面と、これらストレート面に連続する湾曲面とを備える断面逆U字面とされていると、第2軸35の左右の面をフック51の左右のストレート面で挟み込んで、フック51の左右のストレート面を第2軸35の左右の面に係合させることができる。このように第2軸35に第2アーム36のフック51を係合させることができると、第2アーム36の上端が上下に変位した場合だけでなく、第2アーム36が僅かに左右方向に変位したときにも、これら第2アーム36の変位に連動して、第1軸33を中心に第1アーム34を揺動変位させることができるため、貯氷検知装置4により適切な感度を付与することができる。
【0017】
左右のストレート面に、フック51に対する第2軸35の下方への相対移動限界を規制する規制リブ57が形成されていると、例えばスコップ18が衝突して第2アーム36が上方に移動された場合にも、第2軸35の下面に規制リブ57が係合することで、第2軸35がフック51から抜け外れることを防ぐことができる。以上より、不用意に第2軸35とフック51との係合状態が解除されることを防ぐことができるので、貯氷検知装置4の信頼性の向上を図ることができる。
【0018】
第1アーム34が、第1軸33を介して左右方向に揺動可能に枢支されていると、スコップ18が左方向から検知レバー27に接触する場合だけでなく、スコップ18が右方向から検知レバー27に接触する場合でも、第1アーム34が第1軸33を中心に揺動することで、検知レバー27に作用する衝撃を吸収させることができる。これにより、検知レバー27に衝撃が作用したときに、第1アーム34が変形や破損するなどの不具合の発生を抑えることができるので、貯氷検知装置4の信頼性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施形態に係る製氷機の貯氷検知装置の縦断正面図であり、検知レバーが非作動姿勢にある状態を示している。
図2】貯氷検知装置を備える製氷機の縦断正面図である。
図3】貯氷検知装置の正面図である。
図4】貯氷検知装置を側方から見た図である。
図5】貯氷検知装置の検知レバーの動きを説明する図であり、(a)は第2軸の動きを示す正面図であり、(b)は第3軸の動きを示す正面図である。
図6】貯氷検知装置の動作を示す縦断正面図であり、検知レバーが作動姿勢にある状態を示している。
図7】貯氷検知装置の動作を示す縦断正面図であり、実線は検知レバーが非作動姿勢にある状態を示し、想像線は検知レバーが作動姿勢にある状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施形態) 図1から図7に、本発明に係る製氷機の貯氷検知装置を示す。本実施形態における前後、左右、上下とは、図1図2図4に示す交差矢印と、各矢印の近傍に表記した前後、左右、上下の表示に従う。図2に示すように、製氷機は、断熱箱で区画される上側の貯氷室1と、貯氷室1の下側に区画される機械室2とを備える。貯氷室1の内面上部には、製氷ユニット(製氷機構)3と貯氷検知装置4とが配されている。機械室2の内部には、圧縮機5、凝縮器6、冷却ファン7などが配されている。図示していないが、貯氷室1の前方には、同室1の底部に貯留された氷塊を取り出すための取出し口が開口されており、この取出し口は揺動ドアにより開閉される。図2において符号8の想像線は取出し口の形成箇所を示し、符号9の想像線は揺動ドアの配設箇所を示す。
【0021】
図2に示すように、製氷ユニット3と貯氷検知装置4とは、貯氷室1の天上内面に固定されたユニットベース10に支持されている。製氷ユニット3は、ユニットベース10の下面に固定された製氷ケース11と、製氷ケース11に設けられた一群のセルに製氷水を噴出供給する給水トレー13と、給水トレー13の下面に設けられた給水タンク14などを主な構成部材にして構成される。製氷ユニット3は、先の部材以外に、給水トレー13と給水タンク14とを揺動操作する位置切換え構造15と、給水トレー13と給水タンク14に常温の製氷水を供給する給水部16と、製氷されずに給水タンク14内に残った製氷水が排水される排水パン17などを備える。図2において符号18は、貯氷室1内の氷塊を取り出す際に使用されるスコップを示す。このスコップ18は、貯氷室1の内面に設置されたスコップホルダー19に脱着可能に支持されている。
【0022】
給水トレー13と給水タンク14とは、トレーブラケット20に固定されており、同ブラケット20の上端に設けた傾斜軸21に揺動可能に軸支されている。これら給水トレー13と給水タンク14とは、給水トレー13が製氷ケース11の下面に正対する製氷位置(図2に示す位置)と、給水トレー13が製氷ケース11から離れて下り傾斜するトレー洗浄位置(図2に想像線で示す位置、図3に示す位置)との間で、位置切換え構造15により上下に傾動される。そして、給水トレー13が製氷位置からトレー洗浄位置に変位されることで、製氷ケース11に設けられたセルから氷塊22(図3参照)が給水トレー13上に落下され、さらに氷塊22は、下り傾斜している給水トレー13に沿って貯氷室1内に落下される。本実施形態の製氷機では、トレー洗浄位置となったとき、給水トレー13は、その右端が右斜め下方に下がる傾姿勢となり、製氷ユニット3で生成された氷塊22は貯氷室1内の右側に落下される。
【0023】
以上のような氷塊22が落下される貯氷室1の右側には、当該製氷ユニット3に隣接して貯氷検知装置4が配されている。図1および図2に示すように、貯氷検知装置4は、ユニットベース10の天井面に設置されて下方に伸びる棒状のセンサブラケット24と、センサブラケット24の下端にビス25により固定されたセンサケース26と、センサケース26に支持される検知レバー27と、センサケース26内に固定され検知レバー27によりオンオフ操作される検知スイッチ28とを備える。センサケース26は、中空の内部空間を有するとともに、下方に開口を備える箱体であり、検知スイッチ28は、センサケース26の上方を区画する上ケース壁29の内面から下方に垂下されるスイッチ支持片30に固定支持されている。スイッチ支持片30、および検知スイッチ28は、センサケース26の右寄りに設けられている。図1において、符号31は、検知レバー27を構成する第1アーム34の右方向(反時計方向)の揺動限界を規制する規制片を示す。検知スイッチ28は、磁気近接スイッチである。
【0024】
検知レバー27は、センサケース26の左寄りに設けられて、前後方向に伸びる丸軸である第1軸33と、第1軸33に左右方向に揺動可能に枢支された第1アーム34と、第1アーム34の下端に配されて前後方向に伸びる第2軸35と、第2軸35を介して第1アーム34に対して左右方向に揺動可能に枢支された第2アーム36と、第2アーム36の下端に配されて前後方向に伸びる第3軸37と、第3軸37を介して左右方向に揺動可能に枢支された第3アーム38とで構成される。
【0025】
上述のように、検知レバー27を構成する第1軸33は、センサケース26の左寄りに設けられている。この第1軸33に枢支される第1アーム34は、正面方向(前後方向)から見て、上方側に位置する作動片40と、下方側に位置する支持片41とからなる逆V字状に形成されている。両片40・41が連結される頭部42には、第1軸33が枢支される枢支孔43が開設されている。図4に示すように、左右方向から見て支持片41は、前後辺44・45と下辺46とを備え、中央部に四角形の開口47を有する中空長方形状に形成されている。また、下辺46が第2軸35とされている。作動片40には、磁気近接スイッチである検知スイッチ28の検出対象となる磁石48が埋設されている。この第1アーム34は、下方に存する第2アーム36と第3アーム38の変位に伴って、検知スイッチ28をオンオフ操作する。より詳しくは、第1アーム34は、第2・第3アーム36・38の変位に連動する支持片41の変位により、作動片40に埋設された磁石48が検知スイッチ28に近付き、当該検知スイッチ28をオン操作する作動姿勢(図6および図7の想像線参照)と、作動片40に埋設された磁石48が検知スイッチ28から遠ざかり、当該検知スイッチ28をオフ操作する非作動姿勢(図1および図7の実線参照)との間で、第1軸33を介してセンサケース26に対して左右方向に揺動可能に構成されている。第1アーム34は、図1に示す非作動姿勢から左方向にも揺動することができる。
【0026】
上述のように第2軸35は、第1アーム34の支持片41の下辺46、すなわち前後方向に伸びる横軸で形成されている。図1および図5に示すように、第2軸35を構成する横軸は、断面が正四角形状の角軸とされており、その前後端には上下方向に伸びるストレート状の前後辺44・45が連設されている。第1アーム34には、これら第2軸35(下辺46)、前後辺44・45、および頭部42に囲まれた四角形の開口47が形成されている。第2軸35に沿った第2アーム36の前後方向の移動限界は、前後辺44・45により規定されている。すなわち、これら前後辺44・45は、第2アーム36の前後方向の移動限界を規制する規制構造として作用する。
【0027】
図1に示すように、第2アーム36は、正面視(前後方向から見て)で略台形に形成された本体ブロック50と、本体ブロック50の上端に設けられて第2軸35に係止されるフック51と、本体ブロック50の下端の左側に形成された支持体52と、本体ブロック50の下端の右側に形成されて、第3アーム38の第3軸37まわりの右方向(反時計方向)の揺動を規制する規制体53とを備える。
【0028】
図5(a)に示すように、フック51は、本体ブロック50から上方に伸びる基端部54と、基端部54の上端に連続して右方に伸びる湾曲部55と、湾曲部55の下端に形成された遊端部56とにより、逆U字状に形成されている。基端部54と遊端部56の内面は、上下方向に亘って対向間隔が均一なストレート面で形成され、湾曲部55の内面は、これらストレート面に滑らかに連続する湾曲面で形成されている。これら左右のストレート面と湾曲面により、フック51の第2軸35に対向する内面は、断面逆U字面とされている。このように第2軸35を角軸で形成するとともに、この第2軸35に係合するフック51の内面を断面逆U字面としていると、第2軸35に対して第2アーム36は相対的に上下動させることが可能となる。左右のストレート面の下端のそれぞれには、フック51に対する第2軸35の下方への相対移動限界を規制する規制リブ57が突設されており、これにより第2軸35に対してフック51が上方に変位したときに、フック51と第2軸35との係合状態が解除されて、不用意にフック51が第2軸35から抜け外れることを防ぐことができる。また、フック51の内面と第2軸35の左右面とを係合させることができるので、第2アーム36が左右方向に揺動する際には、当該第2アーム36の揺動に応じて、第1アーム34を傾動させることができる。
【0029】
図4に示すように、左右方向から見て支持体52は、前後辺60・61と下辺62とを備え、中央部に上下方向に長い長円状の開口63を有する中空長方形状に形成されており、この下辺62が第3軸37とされている。第3軸37は、前後方向の中央部が前後端よりも下方に位置する湾曲体とされている。また第3軸37の断面は円状であり(図1参照)、当該第3軸37は丸軸で形成されている。
【0030】
左右方向から見て規制体53は、前後辺65・66と下辺67とを備え、中央部に略円状の開口68を有する中空の円リング状に形成されている。規制体53の外形形状は、支持体52の外形形状よりも大きく形成されている。
【0031】
図4に示すように、第3アーム38は、左右方向から見て四角形状に形成された検知板70と、検知板70の上端に設けられて第3軸37に係止されるフック71とを備える。図5(b)に示すように、フック71は、検知板70の上端の前後方向の中央部から上方に伸びる基端部72と、基端部72の上端に連続して右方に伸びる湾曲部73と、湾曲部73の下端に形成された遊端部74とにより、逆U字状に形成されている。基端部72と遊端部74の内面は、上下方向に亘って対向間隔が均一なストレート面で形成され、湾曲部73の内面は、これらストレート面に滑らかに連続する湾曲面で形成されている。左右のストレート面の下端のそれぞれには、フック71に対する第3軸37の下方への相対移動限界を規制する規制リブ75が突設されており、これにより第3軸37に対してフック71が上方に変位したときに、フック71と第3軸37との係合状態が解除されて、不用意にフック71が第3軸37から抜け外れることを防いでいる。
【0032】
図4に示すように、第3軸37にフック71が係止された状態において、検知板70は、第3軸37に沿って、前後方向に大きく揺動できるように構成されている。また、図5(b)に示すように、検知板70は、第3軸37まわりに左右方向に揺動可能に構成されている。但し、第3軸37まわりの検知板70の右方向への揺動限界は、フック71の遊端部74が第2アーム36の規制体53に接触することで規制される。
【0033】
次に、以上のように構成された貯氷検知装置4の動作について説明する。図1および図3に示すように、第2アーム36や第3アーム38に氷塊22が接触していない状態では、検知レバー27は、第2アーム36の支持体52および第3アーム38の検知板70が垂下する自由状態にある。この状態では、第1アーム34は非作動姿勢にあり、作動片40の磁石48は検知スイッチ28に近接対向しておらず、検知スイッチ28はオフとなる。このように検知スイッチ28がオフであるとき、製氷ユニット3による製氷動作は継続される。
【0034】
上記の状態から、貯氷検知装置4の左側に存する製氷ユニット3から氷塊22が生成・落下され、貯氷室1に氷塊22が貯まり、その山が大きくなると、図6に示すように、垂下していた第3アーム38の検知板70は、左側から供給される氷塊22により右側に揺動される。より具体的には、第3アーム38の検知板70に対して左側から氷塊22が衝突すると、第3アーム38は、第3軸37を中心に右方向(反時計方向)に揺動しようとするが、その揺動限界は第2アーム36の規制体53により規制されるため、結果として、第3アーム38の右方への揺動に連動して、当該第3アーム38と一体的に第2アーム36は右方向に揺動される。このとき第2アーム36のフック51の左右のストレート面と、角軸である第2軸35の左右の面との間には係合力が作用するため、第2アーム36の右方向の揺動変位に連動して、第1軸33を中心に第1アーム34も右方向に揺動変位する。そして、かかる第1アーム34の右方向への揺動変位により作動片40が上方に変位し、換言すれば第1アーム34が非作動姿勢から作動姿勢に変位し、作動片40に埋設された磁石48が検知スイッチ28に近付くと、検知スイッチ28はオンとされ、製氷ユニット3による製氷動作は停止される。
【0035】
加えて、第1アーム34が非作動姿勢にある状態から、第3アーム38の下端(検知板70)が氷塊22に埋まる、或いは第3アーム38の下端が氷塊22に引っ掛かるなどの事情により、第3アーム38が第3軸37を中心に右方向に変位できなくなった場合には、第2アーム36のみが右方向に変位し、これにより、先と同様に第1アーム34を作動姿勢に変位させて、製氷ユニット3による製氷動作を停止させることができる。図7は、ユーザーがスコップ18を使って貯氷室1内に貯氷された氷塊22の山を均し、その結果、検知板70の右側に氷塊22の山が形成されて、第3アーム38の検知板70が第3軸37を中心にして左方向(時計方向)に揺動し、さらに、検知板70の下端が氷塊22の山に引っ掛かって第3アーム38が第3軸37を中心に右方向に変位できなくなった状態を示している。以上のような状態から、図7の矢印に示すように、第2アーム36の支持体52、或いは本体ブロック50に左方向から氷塊22が衝突すると、第2アーム36は右方向に変位する。上記のように第2軸35の角軸と第2アーム36のフック51とは係合しているため、第2アーム36の右方向への変位に伴って第1アーム34は第1軸33を中心に右方向に揺動変位する。そして第1アーム34が作動姿勢に変位して、検知スイッチ28がオンとされると、製氷ユニット3による製氷動作は停止される。
【0036】
以上のように、本実施形態の貯氷検知装置4によれば、検知レバー27の周辺に氷塊22が積み上がり、第3アーム38が自由に揺動することができないような状態に陥った場合でも、第2アーム36が右方向へ変位するとともに、第1アーム34が第1軸33を中心に右方向へ揺動することで、第1アーム34を非作動姿勢から作動姿勢へ変位させて、製氷ユニット3による製氷動作を適切に停止させることができる。したがって、満氷状態であるにも拘わらず、製氷ユニット3による製氷動作が継続されるなどの不具合が生じることをより確実に防ぐことができる。
【0037】
第2軸35を、第1アーム34の下端に設けられて前後方向に伸びる横軸で形成し、第2アーム36の上端に、第2軸35に係止されるフック51を設け、第2軸35の前後に前後辺44・45を形成したので、これら前後辺44・45でフック51の前後方向の遊動を規制することができ、第2軸35の前後方向の長さ寸法を超えて、第2アーム36のフック51が前後方向に変位することを防ぐことができる。これによれば、第2軸35の摩耗を抑えて、検知レバー27の耐久性の向上を図ることができる。
【0038】
第2軸35を構成する横軸を断面四角形状の角軸で形成し、第2アーム36のフック51の第2軸35に対向する内面が、左右のストレート面と、これらストレート面に連続する湾曲面とを備える断面逆U字面としたので、第2軸35の左右の面をフック51の左右のストレート面で挟み込んで、フック51の左右のストレート面を第2軸35の左右の面に係合させることができる。このように第2軸35に第2アーム36のフック51を係合させることができると、第2アーム36の上端が上下に変位した場合だけでなく、第2アーム36が僅かな左右方向に変位したときにも、これら第2アーム36の変位に連動して、第1軸33を中心に第1アーム34を揺動変位させることができる。したがって、貯氷検知装置4に適切な感度を付与することができる。
【0039】
フック51の左右のストレート面に、フック51に対する第2軸35の下方への相対移動限界を規制する規制リブ57を形成したので、例えばスコップ18が衝突して第2アーム36が上方に変位された場合にも、第2軸35の下面に規制リブ57が係合して、第2軸35がフック51の開口から抜け外れることを防ぐことができる。これによれば、不用意に第2軸35とフック51との係合状態が解除されることを防ぐことができるので、貯氷検知装置4の信頼性を向上できる。
【0040】
第1アーム34を、第1軸33を介して左右方向に揺動可能に枢支したので、スコップ18が左方向から検知レバー27に接触する場合だけでなく、スコップ18が右方向から検知レバー27に接触した場合も、第1アーム34が第1軸33を中心に揺動することで、検知レバー27に作用する衝撃を吸収できる。以上のように、検知レバー27に衝撃が作用した際に、第1アーム34が変形や破損するなどの不具合が発生することを抑えることができるので、貯氷検知装置4の信頼性を向上できる。
【0041】
上記の実施形態では、第1アーム34は、非作動姿勢から左方向へと揺動できるように構成したが、第1アーム34の揺動を規制する規制体を設けて、第1アーム34が図1に示す非作動姿勢から右方向へのみ揺動するように構成することができる。
【符号の説明】
【0042】
1 貯氷室
3 製氷機構(製氷ユニット)
4 貯氷検知装置
27 検知レバー
28 検知スイッチ
33 第1軸
34 第1アーム
35 第2軸
36 第2アーム
37 第3軸
38 第3アーム
44 規制構造(前辺)
45 規制構造(後辺)
51 フック
53 規制体
57 規制リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7