IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社オートネットワーク技術研究所の特許一覧 ▶ 住友電装株式会社の特許一覧 ▶ 住友電気工業株式会社の特許一覧

特開2024-171149車載装置、情報処理方法及びプログラム
<>
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図1
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図2
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図3
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図4
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図5
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図6
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図7
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図8
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図9
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図10
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図11
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図12
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図13
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図14
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図15
  • 特開-車載装置、情報処理方法及びプログラム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171149
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】車載装置、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241204BHJP
   B60R 16/02 20060101ALI20241204BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
H02J7/00 302B
B60R16/02 645A
H02J1/00 304C
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088066
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】澤田 凌兵
(72)【発明者】
【氏名】小田 康太
【テーマコード(参考)】
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G165CA01
5G165DA01
5G165EA02
5G165GA04
5G165GA09
5G165MA10
5G165NA05
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA17
5G503FA06
5G503GA01
5G503GD03
5G503GD06
(57)【要約】
【課題】接続された車載負荷の負荷情報に応じて、上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより車載負荷を駆動制御する車載装置等を提供する。
【解決手段】車載装置は、車載負荷が接続される車載装置であって、上流側半導体スイッチと下流側半導体スイッチとを有するハーフブリッジと、前記車載負荷の駆動制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、直列接続される前記上流側半導体スイッチと前記下流側半導体スイッチとの間に一端が接続される前記車載負荷に関する負荷情報を取得し、取得した負荷情報に応じて、前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチの開閉制御を行うことにより、前記車載負荷の駆動制御を行う。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車載負荷が接続される車載装置であって、
上流側半導体スイッチと下流側半導体スイッチとを有するハーフブリッジと、
前記車載負荷の駆動制御を行う制御部とを備え、
前記制御部は、
直列接続される前記上流側半導体スイッチと前記下流側半導体スイッチとの間に一端が接続される前記車載負荷に関する負荷情報を取得し、
取得した負荷情報に応じて、前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチの開閉制御を行うことにより、前記車載負荷の駆動制御を行う
車載装置。
【請求項2】
前記車載負荷に関する負荷情報は、前記車載負荷が前記ハーフブリッジに接続される際の態様に関する接続態様情報を含み、
前記接続態様情報は、ハイサイドスイッチ接続態様、ローサイドスイッチ接続態様、ハーフブリッジ接続態様、又は2つの前記ハーフブリッジに接続されるフルブリッジ接続態様を示し、
前記制御部は、
前記接続態様情報がハイサイドスイッチ接続態様を示す場合、前記下流側半導体スイッチを開に固定し、前記上流側半導体スイッチの開閉を行うことにより前記車載負荷を駆動制御し、
前記接続態様情報がローサイドスイッチ接続態様を示す場合、前記上流側半導体スイッチを開に固定し、前記下流側半導体スイッチの開閉を行うことにより前記車載負荷を駆動制御し、
前記接続態様情報がハーフブリッジ接続態様を示す場合、前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより前記車載負荷を駆動制御し、
前記接続態様情報がフルブリッジ接続態様を示す場合、前記車載負荷が接続される2つの前記ハーフブリッジが有する前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより前記車載負荷を駆動制御する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項3】
前記車載負荷に関する負荷情報は、負荷電流情報を含み、
前記制御部は、前記負荷電流情報に応じて、前記上流側半導体スイッチ又は前記下流側半導体スイッチのいずれかを半導体ヒューズとして機能させるための遮断特性を設定する
請求項2に記載の車載装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記遮断特性を設定するために、前記制御部がアクセス可能な記憶領域にて記憶されているパラメータを書き換える
請求項3に記載の車載装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記車載負荷の前記接続態様情報が、ハイサイドスイッチ接続態様又はローサイドスイッチ接続態様の場合、該車載負荷に流れる負荷電流に応じて遮断する遮断特性を設定し
前記車載負荷の前記接続態様情報が、フルブリッジ接続態様の場合、該車載負荷に流れる負荷電流に応じた遮断に加え、該車載負荷に含まれるモータのロック電流を検出した際に遮断する制御を考慮した遮断特性を設定する
請求項4に記載の車載装置。
【請求項6】
前記車載負荷に接続される判別用端子を備え、
前記制御部は、前記判別用端子を介して出力される出力値に基づき、前記車載負荷に関する負荷情報を導出する
請求項1に記載の車載装置。
【請求項7】
前記ハーフブリッジと前記車載負荷とを接続する出力端子には、前記車載負荷の接続態様を判別する際に用いられる判別回路が接続され、
前記判別回路は、プルアップスイッチを含み、
前記制御部は、前記プルアップスイッチを開閉した際、前記判別回路にて検出した電圧値に基づき、前記車載負荷の接続態様を判別する
請求項2に記載の車載装置。
【請求項8】
複数の前記ハーフブリッジを備え、
複数の前記ハーフブリッジにおけるいずれか2つのハーフブリッジは、フルブリッジとして用いられる際の組み合わせとして予め定められており、
前記接続態様情報がフルブリッジ接続態様である前記車載負荷は、前記フルブリッジとして予め定められた2つのハーフブリッジに接続される
請求項7に記載の車載装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記フルブリッジとして予め定められた2つのハーフブリッジ毎に、前記車載負荷の接続態様の判別を行い、
前記車載負荷がフルブリッジ接続態であるか否かの判別を行う際、前記フルブリッジとして予め定められた2つのハーフブリッジのうちのいずれかのハーフブリッジの前記下流側半導体スイッチを閉にした状態にし、前記判別回路にて検出した電圧値に基づき、前記車載負荷の接続態様を判別する
請求項8に記載の車載装置。
【請求項10】
前記制御部は、
前記ハーフブリッジそれぞれに接続される前記車載負荷が、ハイサイドスイッチ接続態様、又はローサイドスイッチ接続態様であるかを判別し、
前記車載負荷がハイサイドスイッチ接続態様及びローサイドスイッチ接続態様でないと判別した場合、前記車載負荷がフルブリッジ接続態様であるか否かを判別する
請求項9に記載の車載装置。
【請求項11】
車載負荷が接続され、上流側半導体スイッチと下流側半導体スイッチとを有するハーフブリッジを備えるコンピュータに、
直列接続される前記上流側半導体スイッチと前記下流側半導体スイッチとの間に一端が接続される前記車載負荷に関する負荷情報を取得し、
取得した負荷情報に応じて、前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチの開閉制御を行うことにより、前記車載負荷の駆動制御を行う
処理を実行させる情報処理方法。
【請求項12】
車載負荷が接続され、上流側半導体スイッチと下流側半導体スイッチとを有するハーフブリッジを備えるコンピュータに、
直列接続される前記上流側半導体スイッチと前記下流側半導体スイッチとの間に一端が接続される前記車載負荷に関する負荷情報を取得し、
取得した負荷情報に応じて、前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチの開閉制御を行うことにより、前記車載負荷の駆動制御を行う
処理を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、車載装置、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両には、バッテリから負荷への給電を制御する給電制御装置(例えば、特許文献1を参照)が搭載されている。特許文献1に記載の給電制御装置では、バッテリから負荷に流れる電流の電流経路に下流半導体ヒューズが設けられ、下流半導体ヒューズをオン又はオフに切替えることによって、バッテリから負荷への給電を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-143905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の給電制御装置では、接続された車載負荷の負荷情報に応じて、上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより車載負荷を駆動制御する点については考慮されていない。
【0005】
本開示は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、接続された車載負荷の負荷情報に応じて、上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより車載負荷を駆動制御することができる車載装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一実施形態に係る車載装置は、車載負荷が接続される車載装置であって、上流側半導体スイッチと下流側半導体スイッチとを有するハーフブリッジと、前記車載負荷の駆動制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、直列接続される前記上流側半導体スイッチと前記下流側半導体スイッチとの間に一端が接続される前記車載負荷に関する負荷情報を取得し、取得した負荷情報に応じて、前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチの開閉制御を行うことにより、前記車載負荷の駆動制御を行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、接続された車載負荷の負荷情報に応じて、上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより車載負荷を駆動制御する車載装置等を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係る車載装置等を含む車載システムの構成を例示する模式図である。
図2】車載装置の内部構成を例示するブロック図である。
図3】車載装置と車載負荷との接続態様を例示する模式図である。
図4】スイッチ制御テーブルを例示する説明図である。
図5】車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
図6】実施形態2(下流側半導体スイッチの突き合わせ構造)に係る車載装置と車載負荷との接続態様を例示する模式図である。
図7】実施形態3(上流側にPch半導体スイッチ)に係る車載装置と車載負荷との接続態様を例示する模式図である。
図8】実施形態4(判別用端子)に係る車載装置と車載負荷との接続態様を例示する模式図である。
図9】車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
図10】実施形態5(判別回路による自動判別)に係る車載装置と車載負荷との接続態様を例示する模式図である。
図11】車載装置と車載負荷との接続態様(フルブリッジ)を例示する模式図である。
図12】組み合わせテーブルを例示する説明図である。
図13】判別テーブルを例示する説明図である。
図14】車載装置の制御部の処理を例示するフローチャートである。
図15】車載装置の制御部の処理(ハーフブリッジ対応の判別)を例示するフローチャートである。
図16】車載装置の制御部の処理(フルブリッジ対応の判別)を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本発明の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。また、以下に記載する実施形態の少なくとも一部を任意に組み合わせてもよい。
【0010】
(1)本開示の一態様に係る車載装置は、車載負荷が接続される車載装置であって、上流側半導体スイッチと下流側半導体スイッチとを有するハーフブリッジと、前記車載負荷の駆動制御を行う制御部とを備え、前記制御部は、直列接続される前記上流側半導体スイッチと前記下流側半導体スイッチとの間に一端が接続される前記車載負荷に関する負荷情報を取得し、取得した負荷情報に応じて、前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチの開閉制御を行うことにより、前記車載負荷の駆動制御を行う。
【0011】
本態様にあたっては、車載装置は、1つ以上のハーフブリッジを備える。当該ハーフブリッジは、直列接続された上流側半導体スイッチと下流側半導体スイッチとを含む。上流側半導体スイッチには電源装置が接続され、下流側半導体スイッチにはグランドが接続される。車載装置に設けられた出力端子は、ハーフブリッジを構成する上流側半導体スイッチと下流側半導体スイッチとの間に接続されており、当該出力端子には、電力線を介して車載負荷が接続されている。制御部と、上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチそれぞれとは、信号線により直接的に接続され、又は、例えばブートストラップ回路等の駆動回路を介して間接的に接続されるものであってもよい。制御部は、出力端子に接続され車載負荷の負荷情報を取得する。例えば、車両の生産段階(生産工程)において、接続される車載負荷の製品仕様等の情報が車載装置の記憶部に書き込まれ、制御部は、当該記憶部を参照することにより、車載装置に接続される車載負荷の負荷情報を取得するものであってもよい。又は、車載負荷が、車両の生産出荷後に増設される場合、制御部は、当該負荷情報を取得するにあたり、例えば、車載装置に通信可能に接続されたダイアグ装置等から、車載装置に接続される車載負荷の製品仕様等の情報を、負荷情報として取得するものであってもよい。ハーフブリッジの出力端子に接続され車載負荷は、ハイサイドスイッチ接続態様、ローサイドスイッチ接続態様、又は2つのハーフブリッジに接続されるフルブリッジ接続態様のいずれかの接続態様であることが想定される。これに対し、制御部は、取得した負荷情報に応じて、出力端子に接続され車載負荷の接続態様を判別(特定)することができる。制御部は、当該判別(特定)した車載負荷の接続態様に応じて、ハーフブリッジを構成する上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチの開閉制御を行うことにより、車載装置の駆動制御を行うため、当該車載装置の接続態様に対する汎用性を担保することができる。これにより、種々の接続態様となる車載負荷それぞれに対し、汎用的に接続することができる車載装置を提供することができ、すなわち本態様による車載装置を用いることにより、部品の共通化を図ることができる。従って、車両の生産時、及び生産後の車載負荷の増設等に対し、柔軟に対応できる車載装置を提供することができる。
【0012】
(2)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載負荷に関する負荷情報は、前記車載負荷が前記ハーフブリッジに接続される際の態様に関する接続態様情報を含み、前記接続態様情報は、ハイサイドスイッチ接続態様、ローサイドスイッチ接続態様、ハーフブリッジ接続態様、又は2つの前記ハーフブリッジに接続されるフルブリッジ接続態様を示し、前記制御部は、前記接続態様情報がハイサイドスイッチ接続態様を示す場合、前記下流側半導体スイッチを開に固定し、前記上流側半導体スイッチの開閉を行うことにより前記車載負荷を駆動制御し、前記接続態様情報がローサイドスイッチ接続態様を示す場合、前記上流側半導体スイッチを開に固定し、前記下流側半導体スイッチの開閉を行うことにより前記車載負荷を駆動制御し、前記接続態様情報がハーフブリッジ接続態様を示す場合、前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより前記車載負荷を駆動制御し、
前記接続態様情報がフルブリッジ接続態様を示す場合、前記車載負荷が接続される2つの前記ハーフブリッジが有する前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより前記車載負荷を駆動制御する。
【0013】
本態様にあたっては、車載負荷に関する負荷情報は、車載負荷がハーフブリッジに接続される際の態様に関する接続態様情報を含む。当該接続態様情報は、例えば、ハイサイドスイッチ接続態様、ローサイドスイッチ接続態様、ハーフブリッジ接続態様、又は2つのハーフブリッジに接続されるフルブリッジ接続態様の内、いずれかの接続態様を示す。車載負荷がハイサイドスイッチ接続態様である場合、車載負荷の一端はハーフブリッジの出力端子に接続され、当該車載負荷の他端はグランドに接続(プルダウン接続)される。車載負荷がローサイドスイッチ接続態様である場合、車載負荷の一端はハーフブリッジの出力端子に接続され、当該車載負荷の他端は電源装置に接続(プルアップ接続)される。車載負荷がハーフブリッジ接続態様である場合、車載負荷の一端はハーフブリッジの出力端子に接続される。当該ハーフブリッジ接続態様の車載負荷がオン時は、ハーフブリッジを構成する上流側半導体スイッチをオン(閉)、下流側半導体スイッチをオフ(開)とする。ハーフブリッジ接続態様の車載負荷がオフ時は、ハーフブリッジを構成する上流側半導体スイッチをオフ(開)、下流側半導体スイッチオン(閉)をとする。車載負荷がフルブリッジ接続態様である場合、当該車載負荷の一端及び他端は、フルブリッジを構成する2つのハーフブリッジそれぞれの出力端子に接続される。制御部は、車載負荷が、ハイサイドスイッチ接続態様又はローサイドスイッチ接続態様であるかに応じて、上流側半導体スイッチ又は下流側半導体スイッチのいずれかを開に固定(オフ固定)し、他方の半導体スイッチの開閉を行うことにより車載負荷を駆動制御する。制御部は、車載負荷がフルブリッジ接続態様である場合、フルブリッジを構成する2つのハーフブリッジが有する上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより、車載負荷に流れる電流の向きを変更(極性を反転)させ、当該車載負荷を駆動制御する。車載装置の記憶部には、車載負荷の接続態様に応じた上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチの制御態様が、例えばテーブル形式(スイッチ制御テーブル)にて記憶されており、制御部は、当該スイッチ制御テーブルに応じて、上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチの開閉制御を行うものであってもよい。このように接続される車載負荷の接続態様に応じた上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチの制御態様(スイッチ制御テーブル)を予め定めることにより、種々の接続態様となる車載負荷それぞれに対し、汎用的に制御することができる車載装置を提供することができる。
【0014】
(3)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載負荷に関する負荷情報は、負荷電流情報を含み、前記制御部は、前記負荷電流情報に応じて、前記上流側半導体スイッチ又は前記下流側半導体スイッチのいずれかを半導体ヒューズとして機能させるための遮断特性を設定する。
【0015】
本態様にあたっては、車載負荷に関する負荷情報は、当該車載負荷を過電流から保護するための負荷電流情報を含む。制御部は、例えば車両の生産段階(生産工程)にて記憶部に書き込まれた車載負荷の製品仕様等の情報を、負荷電流情報として取得するものであってもよい。又は、制御部は、車両の生産出荷後にて車載負荷が増設される場合、正規ディーラーが用いるダイアグ装置等から、当該車載負荷を過電流から保護するための負荷電流情報を取得するものであってもよい。制御部は、車載負荷の接続態様情報に応じて、上流側半導体スイッチ又は下流側半導体スイッチのいずれかを半導体ヒューズとして機能させる。車載負荷の接続態様がハイサイドスイッチ接続態様である場合、制御部は、上流側半導体スイッチを半導体ヒューズとして機能させる。車載負荷の接続態様がローサイドスイッチ接続態様である場合、制御部は、下流側半導体スイッチを半導体ヒューズとして機能させる。車載負荷の接続態様がフルブリッジ接続態様である場合、制御部は、車載負荷に流れる電流の極性に応じて、通電されている上流側半導体スイッチを半導体ヒューズとして機能させる。更に制御部は、車載負荷の負荷電流情報に応じて、半導体ヒューズとして機能させる際の遮断特性を設定する。接続される車載負荷の負荷電流情報に応じて設定された遮断特性を用いることにより、制御部は、当該車載負荷が接続されたハーフブリッジに流れる電流値(過電流値)と過電流が流れた経過時間とに応じて、半導体ヒューズとして機能する上流側半導体スイッチ又は下流側半導体スイッチを開(オフ)にし、当該過電流を遮断することができる。これにより、種々の接続態様となる車載負荷それぞれに対し、汎用的に接続すると共に、当該車載負荷に対する保護機能を柔軟に発揮することができる車載装置を提供することができる。
【0016】
(4)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記遮断特性を設定するために、前記制御部がアクセス可能な記憶領域にて記憶されているパラメータを書き換える。
【0017】
本態様にあたっては、制御部は、前記上流側半導体スイッチ又は前記下流側半導体スイッチのいずれかを半導体ヒューズとして機能させるための遮断特性を設定するにあたり、例えば、車載装置が含む記憶部(マイコン内のメモリ等)に記憶されている半導体ヒューズパラメータ(電線抵抗、熱時定数)を書き換える(変更する)。このようにマイコン内のパラメータを書き換えることにより、半導体ヒューズの遮断特性を効率的に変更(設定)することができる。
【0018】
(5)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記車載負荷の前記接続態様情報が、ハイサイドスイッチ接続態様又はローサイドスイッチ接続態様の場合、該車載負荷に流れる負荷電流に応じて遮断する遮断特性を設定し前記車載負荷の前記接続態様情報が、フルブリッジ接続態様の場合、該車載負荷に流れる負荷電流に応じた遮断に加え、該車載負荷に含まれるモータのロック電流を検出した際に遮断する制御を考慮した遮断特性を設定する。
【0019】
本態様にあたっては、制御部は、車載負荷の接続態様情報が、ハイサイドスイッチ接続態様又はローサイドスイッチ接続態様の場合、該車載負荷に流れる負荷電流に応じて遮断する遮断特性を設定する。更に、制御部は、車載負荷の接続態様情報が、フルブリッジ接続態様の場合、該車載負荷に流れる負荷電流に応じた遮断に加え、該車載負荷に含まれるモータのロック電流を検出した際に遮断する制御を考慮した遮断特性を設定する。制御部は、これら負荷電流及びロック電流に関する情報は、当該制御部が取得する車載負荷の負荷情報に含まれている。このように車載負荷の種類(接続態様)に応じた、半導体ヒューズの変更範囲、及び変更する際の基準的事項(負荷電流のみ、又は、負荷電流及びロック電流)が定義された変更方法を実行することにより、半導体ヒューズの遮断特性を効率的に設定することができる。
【0020】
(6)本開示の一態様に係る車載装置は、前記車載負荷に接続される判別用端子を備え、前記制御部は、前記判別用端子を介して出力される出力値に基づき、前記車載負荷に関する負荷情報を導出する。
【0021】
本態様にあたっては、車載装置は、車載負荷に接続される判別用端子を備える。当該判別用端子は、ハーフブリッジそれぞれに対応して設けられているものであってもよい。すなわち、判別用端子と、ハーフブリッジの出力端子とは、一対の組み合わせとして配置されているものであってもよい。車載装置と車載負荷とは、ハーフブリッジの出力端子と、判別用端子とによって、導通可能に接続される。車載装置は、判別用端子を介して接続される車載負荷から出力される出力値を取得する。車載負荷には、判別用端子に導通する抵抗等の電気素子(判別用抵抗)が設けられており、制御部は、判別用端子を介して印加した電圧よって当該判別用端子から、車載負荷が有する抵抗に流れる電流の値(電流値)を、出力値として取得するものであってもよい。又は、制御部は、車載負荷の車載負荷側判別用端子と、車載装置に設けられた車載装置側判別用端子との分圧比に応じた電圧値を、出力値として取得するものであってもよい。車載負荷の判別用抵抗(車載負荷側判別用端子)の抵抗値に応じて、車載負荷の負荷情報、すなわち接続態様情報及び負荷電流情報が予め定義されており、当該定義(抵抗値と負荷情報との対応関係)は、車載装置の記憶部に予め記憶されている。車載装置は、判別用端子を介して印加した電圧値と、判別用端子から判別用端子に流れる電流値又は電圧値に基づき、車載負荷が備える判別用抵抗の抵抗値を算出し、記憶部に記憶されている抵抗値と負荷情報との対応関係を参照し、算出した抵抗値に対応する負荷情報を特定することにより当該負荷情報を取得する。又は、車載装置は、判別用端子を介して車載負荷と、例えばSPI(Serial Peripheral Interface)通信を行うことにより、当該車載負荷から、接続態様情報及び負荷電流情報を含む負荷情報を取得するものであってもよい。このように車載装置は、判別用端子を介して出力される出力値に基づき、車載負荷に関する負荷情報を導出することにより、種々の接続態様となる車載負荷それぞれに対し、当該車載負荷の種類又は仕様等を示す負荷情報を効率的に取得することができる。
【0022】
(7)本開示の一態様に係る車載装置は、前記ハーフブリッジと前記車載負荷とを接続する出力端子には、前記車載負荷の接続態様を判別する際に用いられる判別回路が接続され、前記判別回路は、プルアップスイッチを含み、前記制御部は、前記プルアップスイッチを開閉した際、前記判別回路にて検出した電圧値に基づき、前記車載負荷の接続態様を判別する。
【0023】
本態様にあたっては、車載装置には、車載負荷の接続態様を判別する際に用いられる判別回路が、設けられている。当該判別回路は、例えば、制御部等を構成するマイコンに備えられたLOD(低ドロップアウト・レギュレータ)等の判別用電源(Vcc)に接続され、当該判別用電源(Vcc)に接続されるリレー等のプルアップスイッチを含む。判別回路は、更に、第1抵抗(R1)、第2抵抗(R2)、及び第3抵抗(R3)を含む。第1抵抗及び第2抵抗は、判別用電源(Vcc)からの電流の流れ方向においてプルアップスイッチを最上流とし、第1抵抗(R1)及び第2抵抗(R2)の順番にてプルアップスイッチの下流側に直列接続され、第2抵抗(R2)はグランドに接続されている。第3抵抗(R3)は、第1抵抗(R1)と第2抵抗(R2)の間に位置する分岐点と、出力端子とを接続する電線上に配置されている。制御部は、プルアップスイッチを開閉した際、第1抵抗(R1)と第2抵抗(R2)の間(分岐点)における電圧値(Vad)を取得し、取得した電圧値に基づき、出力端子に接続されている車載負荷の接続態様を判別する。すなわち、判別回路が備える複数の抵抗、及び車載負荷の抵抗値(抵抗成分)に応じて決定される分圧比に基づき出力される電圧値を用いて、制御部は、車載負荷の接続態様を判別することができる。このような判別回路を備えることにより、制御部は、ハーフブリッジの出力端子に接続された車載負荷の負荷情報(接続態様情報)を外部装置等から取得することなく、自己完結的に導出(取得)することができる。
【0024】
(8)本開示の一態様に係る車載装置は、複数の前記ハーフブリッジを備え、複数の前記ハーフブリッジにおけるいずれか2つのハーフブリッジは、フルブリッジとして用いられる際の組み合わせとして予め定められており、前記接続態様情報がフルブリッジ接続態様である前記車載負荷は、前記フルブリッジとして予め定められた2つのハーフブリッジに接続される。
【0025】
本態様にあたっては、車載装置は、2つ以上となる複数のハーフブリッジを備える。これら複数のハーフブリッジにおいて、いずれか2つのハーフブリッジは、フルブリッジとして用いられる際の組み合わせとして予め定められている。車載装置が備える複数のハーフブリッジそれぞれには、当該ハーフブリッジを一意に示すデバイス番号(ユニットNo)が定義されている。更に、車載装置の記憶部には、2つのハーフブリッジがフルブリッジとして用いられる際、当該2つのハーフブリッジの組み合わせが、例えばテーブル形式(組み合わせテーブル)にて記憶されている。このようにフルブリッジとして用いられる際の2つのハーフブリッジの組み合わせが予め定義されていることにより、制御部は、複数のハーフブリッジそれぞれに接続された車載負荷の接続態様が、フルブリッジ接続態様であるか否かを効率的に判別することができる。
【0026】
(9)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記フルブリッジとして予め定められた2つのハーフブリッジ毎に、前記車載負荷の接続態様の判別を行い、前記車載負荷がフルブリッジ接続態であるか否かの判別を行う際、前記フルブリッジとして予め定められた2つのハーフブリッジのうちのいずれかのハーフブリッジの前記下流側半導体スイッチを閉にした状態にし、前記判別回路にて検出した電圧値に基づき、前記車載負荷の接続態様を判別する。
【0027】
本態様にあたっては、制御部は、フルブリッジとして予め定められた2つのハーフブリッジ毎に、車載負荷の接続態様の判別を行うため、当該判別を効率的に行うことができる。制御部は、車載負荷がフルブリッジ接続態であるか否かの判別を行う際、フルブリッジとして予め定められた2つのハーフブリッジのうちのいずれかのハーフブリッジの下流側半導体スイッチを閉(オン)にする。制御部は、いずれかのハーフブリッジの下流側半導体スイッチを閉(オン)にした状態にて、判別回路のプルアップスイッチを開閉し、判別回路にて検出した電圧値を取得する。制御部は、当該取得した電圧値に基づき、車載負荷の接続態様を判別することにより、当該車載負荷がフルブリッジ接続態であるか、又は下流側半導体スイッチを閉(オン)にしたハーフブリッジには、車載負荷が接続されていないもの(負荷未接続)であるかを判別することができる。
【0028】
(10)本開示の一態様に係る車載装置は、前記制御部は、前記ハーフブリッジそれぞれに接続される前記車載負荷が、ハイサイドスイッチ接続態様、又はローサイドスイッチ接続態様であるかを判別し、前記車載負荷がハイサイドスイッチ接続態様及びローサイドスイッチ接続態様でないと判別した場合、前記車載負荷がフルブリッジ接続態様であるか否かを判別する。
【0029】
本態様にあたっては、制御部は、全てのハーフブリッジそれぞれに対し、ハイサイドスイッチ接続態様又はローサイドスイッチ接続態様の車載負荷が、接続されているか否かを判別する。制御部は、ハイサイドスイッチ接続態様又はローサイドスイッチ接続態様のいずれの車載負荷が接続されていないハーフブリッジは、フルブリッジ接続態様の車載負荷が接続されている、又は、当該ハーフブリッジの出力端子には、車載負荷が接続されていない(負荷未接続)と判別する。制御部は、当該判別を行うにあたり、記憶部に記憶されている判別テーブルを参照するものであってもよい。制御部は、更に、これらフルブリッジ接続態様の車載負荷が接続、又は負荷未接続と判別されたハーフブリッジそれぞれに対し、フルブリッジとして用いられる際の組み合わせ(組み合わせとして予め定められた2つのハーフブリッジ)に応じて、当該2つのハーフブリッジにフルブリッジ接続態様の車載負荷が接続されているか、又は負荷未接続であるかを判別する。このようにハーフブリッジそれぞれの出力端子毎に、車載負荷の接続の有無、及び接続態様を順次に判別することにより、接続先の車載負荷の負荷種類(接続態様等)を効率的に自動判別することができる。
【0030】
(11)本開示の一態様に係る情報処理方法は、車載負荷が接続され、上流側半導体スイッチと下流側半導体スイッチとを有するハーフブリッジを備えるコンピュータに、直列接続される前記上流側半導体スイッチと前記下流側半導体スイッチとの間に一端が接続される前記車載負荷に関する負荷情報を取得し、取得した負荷情報に応じて、前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチの開閉制御を行うことにより、前記車載負荷の駆動制御を行う。
【0031】
本態様にあたっては、コンピュータを、接続された車載負荷の負荷情報に応じて、上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより車載負荷を駆動制御する車載装置として機能させる情報処理方法を提供することができる。
【0032】
(12)本開示の一態様に係るプログラムは、車載負荷が接続され、上流側半導体スイッチと下流側半導体スイッチとを有するハーフブリッジを備えるコンピュータに、直列接続される前記上流側半導体スイッチと前記下流側半導体スイッチとの間に一端が接続される前記車載負荷に関する負荷情報を取得し、取得した負荷情報に応じて、前記上流側半導体スイッチ及び前記下流側半導体スイッチの開閉制御を行うことにより、前記車載負荷の駆動制御を行う。
【0033】
本態様にあたっては、コンピュータを、接続された車載負荷の負荷情報に応じて、上流側半導体スイッチ及び下流側半導体スイッチそれぞれの開閉を行うことにより車載負荷を駆動制御する車載装置として機能させるプログラムを提供することができる。
【0034】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示をその実施の形態を示す図面に基づいて具体的に説明する。本開示の実施形態に係る車載装置1を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0035】
(実施形態1)
以下、実施の形態について図面に基づいて説明する。図1は、実施形態1に係る車載装置1等を含む車載システムSの構成を例示する模式図である。図2は、車載装置1の内部構成を例示するブロック図である。車載システムSは、車両Cに搭載される車載装置1、当該車載装置1に電力線51を介して接続される車載負荷4により構成される。車載装置1は、車載ネットワーク3を介して複数の車載ECU2と通信可能に接続され、これら車載ECU2から送信されるメッセージ又は各種センサー等からの出力信号に応じて、当該車載装置1に接続される車載負荷4の駆動(給電開始)又は停止(給電遮断)を行う。
【0036】
車両Cには、鉛バッテリ、オルタネータ又は二次電池等にて構成される電源装置5が搭載されている。電源装置5と車載装置1とは、電力線51にて接続されている。電源装置5と車載装置1とは、電力線51にて直接的に接続されている場合に限定されず、電源装置5と車載装置1との間にリレーボックス又はヒューズボックス等の電気箱(ジャンクションボックス)が介在し、間接的に接続されているものであってもよい。
【0037】
車載装置1と、複数の車載負荷4とは、電力線51にて接続されており、車載装置1は、これら複数の車載負荷4に対し、電力を分配する。すなわち、車載装置1は、電力線51を介して電源装置5から供給された電力を、電流の流れ方向にて下流側に配置される複数の車載負荷4に対し分配する電源分配装置として機能する。
【0038】
車載負荷4は、例えば、カーエアコン、ランプ、又は駆動モータ等のアクチュエータである。車載負荷4は、負荷種類に応じて接続態様が異なり、当該接続態様は、例えば、ハイサイドスイッチ接続態様、ローサイドスイッチ接続態様、又は2つのハーフブリッジ6に接続されるフルブリッジ60接続態様を含む。詳細は後述するが、車載装置1は、複数のハーフブリッジ6を備え、当該ハーフブリッジ6の出力端子63に車載負荷4を接続することにより、車載負荷4がいずれの接続態様であっても、対応することができる。車載負荷4が有するハーフブリッジ6は、車載負荷4の負荷種類にかかわらず、汎用的に接続することができるユニバーサルアウトプット回路(UO)として機能する。車載装置1は、接続された車載負荷4の負荷情報(接続態様)を取得し、取得した負荷情報に基づき、当該車載負荷4の接続態様を確定する。車載装置1は、確定した接続態様に応じて、車載負荷4の駆動制御を行うことにより、車載負荷4等の起動又は停止を制御する電源制御装置として機能する。
【0039】
車載装置1は、車載負荷4の駆動又は停止を制御する電源制御装置として機能し、例えばCANゲートウェイ等の中継機能を有する装置であってもよい。又は、車載装置1は、車両Cの全体を統合的に制御し、中継機能を有する統合ECU(ヴィークルコンピュータ)であってもよい。又は、車載装置1は、統合ECUの配下に接続され、車両Cの各エリアに配置される個別ECUであってもよい。又は、車載装置1は、車両Cのボディ系アクチュエータを制御するボディECU等として構成されるものであってもよい。又は、車載装置1は、通信に関する中継に加え、二次電池等の電源装置5から出力された電力を分配及び中継し、アクチュエータ等の車載器に電力を供給する電力分配装置としても機能するPLB(Power Lan Box)であってもよい。
【0040】
車載装置1は、制御部11、記憶部12、通信部13、及び入出力I/F14を含み、これらは例えば、マイコン10等によりパッケージ化されて構成されるものであってもよい。更に、車載装置1は、複数のハーフブリッジ6を含み、個々のハーフブリッジ6に含まれる上流側半導体スイッチ61及び下流側半導体スイッチ62は、信号線140にて入出力I/F14(マイコン10)に接続されている。
【0041】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等により構成してあり、記憶部12に予め記憶された制御プログラムP(プログラム製品)及びデータを読み出して実行することにより、種々の制御処理及び演算処理等を行うようにしてある。制御部11は、入出力I/F14及び信号線140を介して、デューティ等の制御信号を出力することにより、個々のハーフブリッジ6に含まれる上流側半導体スイッチ61及び下流側半導体スイッチ62の開閉制御を行う。
【0042】
記憶部12は、RAM(Random Access Memory)等の揮発性のメモリ素子又は、ROM(Read Only Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)若しくはフラッシュメモリ等の不揮発性のメモリ素子、又は、これら記憶デバイスの組み合わせにより構成してあり、制御プログラムP(プログラム製品)及び処理時に参照するデータが予め記憶してある。記憶部12に記憶された制御プログラムP(プログラム製品)は、車載装置1が読み取り可能な記録媒体Mから読み出された制御プログラムP(プログラム製品)を記憶したものであってもよい。また、図示しない通信網に接続されている図示しない外部コンピュータから制御プログラムP(プログラム製品)をダウンロードし、記憶部12に記憶させたものであってもよい。
【0043】
通信部13は、例えばCAN、CAN-FD又はイーサネット(Ethernet/登録商標)等の通信プロトコルを用いた入出力インターフェイスであり、制御部11は、通信部13を介して車載ネットワーク3に接続されている車載ECU2と相互に通信する。
車載装置1において、通信部13は、複数個、設けられているものであってもよい。
【0044】
入出力I/F14は、例えばシリアル通信するための通信インターフェイスである。入出力I/F14は、複数の端子(信号端子)を含み、端子それぞれには、個々のハーフブリッジ6に含まれる上流側半導体スイッチ61及び下流側半導体スイッチ62のゲート端子に延設される信号線140それぞれが、接続されている。信号線140は、例えば、シリアルケーブル、ワイヤーハーネス又は、一つの信号のみを送信する導電ケーブル(じか線)等により構成される。
【0045】
複数のハーフブリッジ6それぞれは、電源装置5に対し、並列となるように車載装置1内の配線(ランド等の回路基板に設けられた導電体)にて接続(並列接続)されている。個々のハーフブリッジ6は、直列接続された上流側半導体スイッチ61と下流側半導体スイッチ62とを含む。
【0046】
上流側半導体スイッチ61(上流IPD)は、例えば、NchFET(Field effect transistor)を含むIPD(Intelligent Power Device)にて構成される。下流側半導体スイッチ62(下流FET)は、例えば、NchFETにて構成される。個々のハーフブリッジ6それぞれは、当該ハーフブリッジ6を構成する上流側半導体スイッチ61と下流側半導体スイッチ62との間に接続される出力端子63を含む。すなわち、出力端子63は、上流側半導体スイッチ61と下流側半導体スイッチ62と接続する配線から分岐され、当該分岐点に接続されている。
【0047】
上流側半導体スイッチ61の一端は、電源装置5に接続される。上流側半導体スイッチ61の他端は、下流側半導体スイッチ62の一端に接続される。下流側半導体スイッチ62の他端は、例えば、車両Cのボディ等にて構成される共通グランド(GND)に接続される。
【0048】
ローサイドスイッチ接続態様の車載負荷4(ハイサイド負荷)は、一端が電源装置5に接続され、他端がハーフブリッジ6の出力端子63に接続される。ハイサイドスイッチ接続態様の車載負荷4(ローサイド負荷)は、一端がハーフブリッジ6の出力端子63に接続され、他端が共通グランド(GND)に接続される。フルブリッジ60接続態様の車載負荷4(フルブリッジ60負荷)は、当該フルブリッジ60を構成する2つのハーフブリッジ6それぞれの出力端子63それぞれに一端及び他端が接続される。
【0049】
図3は、車載装置1と車載負荷4との接続態様を例示する模式図である。ハーフブリッジ6(ユニバーサルアウトプット回路:UO)は、上流側半導体スイッチ61(上流IPD)及び下流側半導体スイッチ62(下流FET)を含み、これらスイッチそれぞれは、制御部11等を含むマイコン10と信号線140により接続されている。直列接続される上流側半導体スイッチ61及び下流側半導体スイッチ62は、共にドレインを電源装置5の側に向けて配置されている。
【0050】
本実施形態における図示にて、出力端子63に接続される車載負荷4の負荷種類は限定していないが、当該車載負荷4がローサイド負荷である場合、下流側半導体スイッチ62(下流FET)はオフ固定され、上流側半導体スイッチ61(上流IPD)が開閉制御されることにより、車載負荷4は駆動制御される。車載負荷4がハイサイド負荷である場合、上流側半導体スイッチ61(上流IPD)はオフ固定され、下流側半導体スイッチ62(下流FET)が開閉制御されることにより、車載負荷4は駆動制御される。マイコン10(制御部11)は、車載負荷4の負荷種類(負荷電流情報)に応じて、開閉制御する上流側半導体スイッチ61又は下流側半導体スイッチ62の遮断特性を設定し、当該上流側半導体スイッチ61又は下流側半導体スイッチ62を半導体ヒューズとして機能させるものであってもよい。
【0051】
図4は、スイッチ制御テーブルを例示する説明図である。車載装置1の記憶部12等、車載装置1の制御部11がアクセス可能な記憶領域には、車載負荷4の負荷種類(接続態様)に応じた上流側半導体スイッチ61(上流IPD)及び下流側半導体スイッチ62(下流FET)の開閉制御に関する情報が、例えばテーブル形式(スイッチ制御テーブル)にて記憶されている。スイッチ制御テーブルは、管理項目(フィールド)として、状況、タイミング、上流IPD、下流FET、上流IPD1、上流IPD2、下流FET1及び下流FET2を含む。
【0052】
状況の管理項目には、ハーフブリッジ6の使用形態(ハイサイドSWとして使う場合、ローサイドSWとして使う場合、又はフルブリッジ60として使う場合)が格納される。タイミングの管理項目には、車載負荷4の駆動(オン)又は停止(オフ)を示す事項が格納される。
【0053】
上流IPDの管理項目には、ハーフブリッジ6として用いる際の上流側半導体スイッチ61(上流IPD)の開閉制御を示す事項が格納される。下流FETの管理項目には、ハーフブリッジ6として用いる際の下流側半導体スイッチ62(下流FET)の開閉制御を示す事項が格納される。
【0054】
上流IPD1の管理項目には、2つのハーフブリッジ6をフルブリッジ60として用いる際の一方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD)の開閉制御を示す事項が格納される。上流IPD2の管理項目には、2つのハーフブリッジ6をフルブリッジ60として用いる際の他方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD)の開閉制御を示す事項が格納される。下流FET1の管理項目には、2つのハーフブリッジ6をフルブリッジ60として用いる際の一方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET)の開閉制御を示す事項が格納される。下流FET2の管理項目には、2つのハーフブリッジ6をフルブリッジ60として用いる際の他方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET)の開閉制御を示す事項が格納される。
【0055】
ハーフブリッジ6をハイサイドSWとして使う場合、すなわち車載負荷4がハイサイドスイッチ接続態様(ローサイド負荷)である場合、下流側半導体スイッチ62(下流FET)は、常時OFF(開)に固定される。その上で、車載負荷4を駆動(負荷ON)する際、上流側半導体スイッチ61(上流IPD)は、オフからオン(Off→On)にされる。車載負荷4を停止(負荷OFF)する際、上流側半導体スイッチ61(上流IPD)は、オンからオフ(On→Off)にされる。
【0056】
ハーフブリッジ6をローサイドSWとして使う場合、すなわち車載負荷4がローサイドスイッチ接続態様(ハイサイド負荷)である場合、上流側半導体スイッチ61(上流IPD)は、常時OFF(開)に固定される。その上で、車載負荷4を駆動(負荷ON)する際、下流側半導体スイッチ62(下流FET)は、オフからオン(Off→On)にされる。車載負荷4を停止(負荷OFF)する際、下流側半導体スイッチ62(下流FET)は、オンからオフ(On→Off)にされる。
【0057】
2つのハーフブリッジ6(一方のハーフブリッジ6と、他方のハーフブリッジ6)をフルブリッジ60として使う場合、すなわち車載負荷4がフルブリッジ60接続態様(フルブリッジ60負荷)である場合、初期状態においては、一方及び他方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD1及び上流IPD2)をオフにし、一方及び他方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET1及び下流FET2)をオンにする。
【0058】
フルブリッジ60に接続した車載負荷4を正転駆動(正転負荷ON)する際、一方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD1)を閉(OFF→ON)にし、他方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD2)を開(OFF)にし、一方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET1)を開(ON→OFF)にし、他方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET2)を閉(ON)にする。
【0059】
フルブリッジ60に接続した車載負荷4を正転停止(正転負荷OFF)する際、一方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD1)を開(ON→OFF)にし、他方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD2)を開(OFF)にし、一方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET1)を閉(OFF→ON)にし、他方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET2)を閉(ON)にする。
【0060】
フルブリッジ60に接続した車載負荷4を逆転駆動(逆転負荷ON)する際、一方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD1)を開(OFF)にし、他方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD2)を閉(OFF→ON)にし、一方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET1)を閉(ON)にし、他方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET2)を開(ON→OFF)にする。
【0061】
フルブリッジ60に接続した車載負荷4を逆転停止(逆転負荷OFF)する際、一方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD1)を開(OFF)にし、他方のハーフブリッジ6の上流側半導体スイッチ61(上流IPD2)を開(ON→OFF)にし、一方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET1)を閉(ON)にし、他方のハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62(下流FET2)を閉(OFF→ON)にする。
【0062】
図5は、車載装置1の制御部11の処理を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部11は、当該車載装置1に車載負荷4が接続された際、例えば入出力I/F14等から入力された操作信号に応じて、以下の処理を行う。
【0063】
車載装置1の制御部11は、接続された車載負荷4に関する負荷情報を取得する(S101)。車載装置1の制御部11は、例えば車両Cの生産段階(生産工程)において、記憶部12に書き込まれた車載負荷4の負荷情報(製品仕様等)を参照することにより、接続された車載負荷4の負荷情報を取得する。又は、車載負荷4が車両Cの生産出荷後に増設される場合、車載装置1の制御部11は、例えば車載装置1に通信可能に接続されたダイアグ装置等から、車載装置1に接続される車載負荷4の製品仕様等の情報を、負荷情報として取得するものであってもよい。
【0064】
車載装置1の制御部11は、取得した負荷情報に基づき、車載負荷4の接続態様を確定する(S102)。負荷情報には、接続された車載負荷4の接続態様が含まれており、取得した負荷情報によって、車載負荷4の負荷種類が、ハイサイドスイッチ接続態様、ローサイドスイッチ接続態様、又は2つのハーフブリッジ6に接続されるフルブリッジ60接続態様のいずれかの種類(接続態様)であるかが示される。車載装置1の制御部11は、取得した負荷情報に基づき確定した車載負荷4の接続態様を、当該車載負荷4が接続される出力端子63のハーフブリッジ6又はフルブリッジ60のデバイス番号(ユニットNo)と関連付けて、記憶部12に記憶する。
【0065】
車載装置1の制御部11は、取得した負荷情報に基づき、車載負荷4に応じた遮断特性を設定する(S103)。負荷情報には、接続された車載負荷4を過電流から保護するための負荷電流等の遮断特性(過電流値及び遮断まで経過時間)が含まれている。車載装置1の制御部11は、負荷情報に含まれる負荷電流等に応じて、当該車載負荷4が接続されるハーフブリッジ6又はフルブリッジ60の上流側半導体スイッチ61又は下流側半導体スイッチ62の半導体ヒューズパラメータ(電線抵抗、熱時定数)を変更することにより半導体ヒューズとして機能させる際の遮断特性を設定する。
【0066】
車載装置1の制御部11は、接続された全ての車載負荷4に対する処理を実行したか否かを判定する(S104)。記憶部12には、車載装置1が備えるハーフブリッジ6の個数に応じて、これら全てのハーフブリッジ6に対し付与されたユニットNoが記憶されている。車載装置1の制御部11は、例えば、当該ユニットNoが小さいハーフブリッジ6に対し、当該ハーフブリッジ6の出力端子63(フルブリッジ60の場合は2つのハーフブリッジ6の出力端子63それぞれ)に接続された車載負荷4に対し、順次に上記の処理を行う。車載装置1の制御部11は、今回処理した車載負荷4に接続される出力端子63のハーフブリッジ6のユニットNoが最大値である場合、全ての車載負荷4に対する処理を実行したと判定し、最大値でない場合、全ての車載負荷4に対する処理が実行していないと判定するものであってもよい。接続された全ての車載負荷4に対する処理を実行していない場合(S104:NO)、車載装置1の制御部11は、再度S101からの処理を実行すべくループ処理を行う。
【0067】
接続された全ての車載負荷4に対する処理を実行した場合(S104:YES)、
車載装置1の制御部11は、接続された車載負荷4それぞれに対する駆動制御を開始する(S105)。車載装置1の制御部11は、接続された車載負荷4それぞれに対し確定した接続態様に応じて、例えば記憶部12に記憶されているスイッチ制御テーブルを参照することにより、ハーフブリッジ6又はフルブリッジ60が有する上流側半導体スイッチ61及び下流側半導体スイッチ62の開閉制御を行い、車載負荷4それぞれに対する駆動制御を開始する。
【0068】
(実施形態2)
図6は、実施形態2(下流側半導体スイッチ62の突き合わせ構造)に係る車載装置1と車載負荷4との接続態様を例示する模式図である。本実施形態においては、ハーフブリッジ6は、1つの上流側半導体スイッチ61と、2つの下流側半導体スイッチ62とを備え、これら上流側半導体スイッチ61及び2つの下流側半導体スイッチ62は、直列接続される。これら2つの下流側半導体スイッチ62は、共にNchFETにて構成される。当該2つの下流側半導体スイッチ62は、例えば、それぞれのソース端子を向かい合わせて、直列に接続されている。2つの下流側半導体スイッチ62のゲート端子それぞれには、マイコン10から延設される単一の信号線140が、2つに分岐された信号線140それぞれが接続される。
【0069】
このように下流側半導体スイッチ62の同じ端子(ソース端子)同士を突き合わせて接続し、ハーフブリッジ6を構成することにより、例えば、ハーフブリッジ6に電源装置5が逆設された場合、突き合わせて接続された2つの下流側半導体スイッチ62によって、貫通電流が流れことを防止することができる。また、ハーフブリッジ6の下流側半導体スイッチ62が接続されるグランドの電位が上昇した(グランド浮きが発生した)場合であっても、ハーフブリッジ6に接続される車載負荷4(ローサイド負荷)に電流が流れることを防止することができる。
【0070】
(実施形態3)
図7は、実施形態3(上流側にPch半導体スイッチ)に係る車載装置1と車載負荷4との接続態様を例示する模式図である。本実施形態においては、ハーフブリッジ6は、2つの上流側半導体スイッチ61と、2つの下流側半導体スイッチ62とを備え、これら2つの上流側半導体スイッチ61及び2つの下流側半導体スイッチ62は、直列接続される。当該2つの下流側半導体スイッチ62の構成は、実施形態2と同様である。
【0071】
直列に接続される2つの上流側半導体スイッチ61において、上流側の上流側半導体スイッチ61は、PchFET(Pch上流側半導体スイッチ611)にて構成される。直列に接続される2つの上流側半導体スイッチ61において、下流側の上流側半導体スイッチ61は、実施形態1と同様にIPDにて構成される。
【0072】
2つの上流側半導体スイッチ61のゲート端子それぞれには、マイコン10から延設される単一の信号線140が、2つに分岐された信号線140それぞれが接続され、Pch上流側半導体スイッチ611に接続される信号線140(分岐された信号線140)には、論理否定演算子が配置され、マイコン10から出力された制御信号の値が反転する。これにより、マイコン10から上流側半導体スイッチ61(Nch)及びPch上流側半導体スイッチ611に対し、同一の制御信号を出力しつつ、これら上流側半導体スイッチ61(Nch)及びPch上流側半導体スイッチ611の開閉制御を同期させる。このようにPch上流側半導体スイッチ611(PchFET)と上流側半導体スイッチ61(IPD)とを直列接続して2台構成とすることにより、電源装置5が逆設された場合であっても、車載負荷4に電流が流れることを防止することができる。
【0073】
(実施形態4)
図8は、実施形態4(判別用端子7)に係る車載装置1と車載負荷4との接続態様を例示する模式図である。本実施形態においては、車載装置1は判別用端子7を備え、判別用端子7と、ハーフブリッジ6の出力端子63とは、一対の組み合わせとして配置されている。車載装置1と車載負荷4とは、ハーフブリッジ6の出力端子63と、判別用端子7とによって、導通可能に接続される。
【0074】
判別用端子7には、例えば、制御部11等を含むマイコン10に備えられたLOD(低ドロップアウト・レギュレータ)等の判別用電源71(Vcc)に接続されている。判別用電源71と判別用端子7との間には、判別用端子7に導通する抵抗等の電気素子が配置されている。
【0075】
車載負荷4には、判別用端子7に導通する抵抗等の電気素子(判別用抵抗41)が設けられている。マイコン10(制御部11)は、判別用電源71(Vcc)から判別用端子7に接続される車載負荷4に電圧を印加し、車載負荷4に設けられた判別用抵抗41による分圧比に応じた電圧値を取得する。車載負荷4の判別用抵抗41の抵抗値に応じて、車載負荷4の負荷情報、すなわち接続態様情報及び負荷電流情報が予め定義されており、当該定義(抵抗値と負荷情報との対応関係)は、車載装置1の記憶部12に予め記憶されている。車載装置1は、車載負荷4の判別用抵抗41が接続される判別用端子7を介して出力される出力値(電圧値)に基づき、車載負荷4に関する負荷情報を導出する。これにより、種々の接続態様となる車載負荷4それぞれに対し、当該車載負荷4の種類又は仕様等を示す負荷情報を効率的に取得することができる。
【0076】
図9は、車載装置1の制御部11の処理を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部11は、車載負荷4が接続された判別用端子7を介して出力される出力値を取得する(S201)。車載装置1の制御部11は、車載負荷4が接続された判別用端子7を介して出力される出力値を、当該車載負荷4の負荷情報として取得する。判別用端子7を介して出力される出力値は、例えば、判別用端子7に流れる電流値である。又は、判別用端子7を介して出力される出力値は、判別用端子7における電圧値であってもよい。
【0077】
車載負荷4は、当該車載負荷4の負荷種類に応じて定義される判別用抵抗41を備えている。判別用端子7を介して出力される出力値(電流値又は電圧値)は、当該判別用抵抗41に応じて、異なる値となる。出力値(電流値又は電圧値)に応じて、車載負荷4の負荷種類が予め定義された定義情報が記憶部12に記憶されている。車載装置1の制御部11は、取得(検出)した電流値又は電圧値等の出力値に基づき、記憶部12に記憶されている定義情報を参照することにより、判別用端子7に接続された車載負荷4の負荷情報を取得(導出)する。負荷情報には、車載負荷4の接続態様及び保護機能を発揮させる際の遮断特性が含まれている。従って、車載装置1の制御部11は、取得した負荷情報に基づき、車載負荷4の接続態様及び遮断特性を把握することができる。
【0078】
車載装置1の制御部11は、取得した負荷情報に基づき、車載負荷4の接続態様を確定する(S202)。車載装置1の制御部11は、取得した負荷情報に基づき、車載負荷4に応じた遮断特性を設定する(S203)。車載装置1の制御部11は、全てのハーフブリッジ6に対し判定処理を実行したか否かを判定する(S204)。車載装置1の制御部11は、接続された車載負荷4それぞれに対する駆動制御を開始する(S205)。車載装置1の制御部11は、実施形態1の処理S102からS105と同様にS202からS205の処理を行う。
【0079】
(実施形態5)
図10は、実施形態5(判別回路8による自動判別)に係る車載装置1と車載負荷4との接続態様を例示する模式図である。図11は、車載装置1と車載負荷4との接続態様(フルブリッジ60)を例示する模式図である。本実施形態における車載装置1は、個々のフルブリッジ60それぞれに接続される判別回路8それぞれを備える。
【0080】
判別回路8は、例えば、制御部11等を含むマイコン10に備えられたLOD(低ドロップアウト・レギュレータ)等の判別用電源71(Vcc)に接続され、当該判別用電源71(Vcc)に接続されるリレー等のプルアップスイッチSW、第1抵抗R1、第2抵抗R2、及び第3抵抗R3を含む。判別用電源71(Vcc)からの電流の流れ方向において、プルアップスイッチSWを最上流とし、第1抵抗R1及び第2抵抗R2の順番にて、これら第1抵抗R1及び第2抵抗R2が、直列接続されている。第2抵抗R2は、グランドに接続されている。
【0081】
第3抵抗R3は、第1抵抗R1と第2抵抗R2の間に位置する分岐点と、出力端子63とを接続する配線上に配置され、第3抵抗R3と第2抵抗R2とは、分岐点とグランドとの間にて並列接続されるものとなる。第1抵抗R1と第2抵抗R2の間に位置する分岐点からは、例えばマイコン10に含まれる電圧検出部81に配線が延設され、マイコン10(電圧検出部81)は、当該分岐点における電圧値を取得する。電圧検出部81は、例えばシャント抵抗等を含む電圧センサ及びAD変換回路にて構成される。
【0082】
マイコン10(入出力I/F14)とプルアップスイッチSWとは、信号線140にて接続され、マイコン10(制御部11)から出力された制御信号に応じて、プルアップスイッチSWは開閉(オン・オフ)制御がされる。マイコン10(制御部11)は、個々のハーフブリッジ6の出力端子63に接続された車載負荷4の負荷種類(接続態様)の判別(負荷種類の自動判別)を行う際、プルアップスイッチSWを開又は閉(オン又はオフ)し、その際における第1抵抗R1と第2抵抗R2の間に位置する分岐点の電圧値(Vad)を取得する。当該分岐点の電圧値(Vad)は、プルアップスイッチSWを開閉状態に応じて、判別回路8が含む第1抵抗R1、第2抵抗R2、及び第3抵抗R3と、車載負荷4の抵抗成分(RL)とによる分圧比に基づき定まるものとなる。
【0083】
個々の判別回路8に含まれるプルアップスイッチSWは、当該判別回路8に接続されるフルブリッジ60のユニットNo(UOx)に応じて、デバイス番号(スイッチ番号:SWx)が付与されているものであってもよい。すなわちフルブリッジ60のユニットNo(UOx)と、当該フルブリッジ60に接続される判別回路8のプルアップスイッチSWのスイッチ番号(SWx)とは、同じ値(x)となるように、ユニットNo(UOx)及びスイッチ番号(SWx)は設定されているものであってもよい。
【0084】
詳細は後述するが、車載負荷4がフルブリッジ60負荷である場合、当該車載負荷4は、フルブリッジ60を構成する2つのハーフブリッジ6(UO1,UO2)の出力端子63に接続される。この際、マイコン10(制御部11)は、当該2つのハーフブリッジ6(UO1,UO2)それぞれに接続される判別回路8のプルアップスイッチSW(SW1,Sw2)の開閉を行うものとなる。フルブリッジ60における判定については、後述するフローチャートにて説明する。
【0085】
図12は、組み合わせテーブルを例示する説明図である。車載装置1の記憶部12等、車載装置1の制御部11がアクセス可能な記憶領域には、当該車載装置1が有する全てのハーフブリッジ6(ユニバーサルアウトプット回路:UO)を一意に示すデバイス番号(ユニットNo)が、例えばテーブル形式(組み合わせテーブル)にて記憶されている。組み合わせテーブルは、管理項目(フィールド)として、ユニットNo、及び組み合わせNoを含む。
【0086】
ユニットNoの管理項目には、車載装置1が有する全てのハーフブリッジ6を一意に示すユニットNoが格納される。当該ユニットNoは、一例としてUOxにて示され、xは1から連番に付与されている。従って、xの最大値(本例示では10)が、車載装置1が有するハーフブリッジ6の個数を示す。
【0087】
組み合わせNoの管理項目には、2つのハーフブリッジ6により構成されるフルブリッジ60を一意に示すデバイス番号(組合せNo)が格納される。このようにフルブリッジ60として用いられる際の2つのハーフブリッジ6の組み合わせが予め定義されており、本実施形態においては、ユニットNoが奇数(x=2n-1:nは1以上の整数)及び偶数(x=2n)にて連続する2つのハーフブリッジ6により、フルブリッジ60が構成される。
【0088】
図13は、判別テーブルを例示する説明図である。車載装置1の記憶部12等、車載装置1の制御部11がアクセス可能な記憶領域には、判別回路8を用いて、出力端子63に接続された車載負荷4の負荷種類(接続態様)を自動判別する際、当該判別回路8にて検出される各電圧値に関する情報が、例えばテーブル形式(判別テーブル)にて記憶されている。判別テーブルは、管理項目(フィールド)として、状況、ハーフブリッジ6対応の判別でのSWxオフ時Vad、ハーフブリッジ6対応の判別でのSWxオン時Vad、及びフルブリッジ60対応の判別を実行でのUO(x+1)の下流FETオン時Vadを含む。
【0089】
状況の管理項目には、出力端子63に接続された車載負荷4の負荷種類(接続態様)又は、出力端子63と電源装置5又はグランドとの短絡(地絡、天絡)を示す接続状況に関する事項が格納される。当該接続状況に関する事項は、例えば、ハイサイド負荷、ローサイド負荷、フルブリッジ60負荷、負荷未接続、負荷地絡及び負荷天絡を含む。
【0090】
SWxオフ時Vad(ハーフブリッジ6対応の判別)の管理項目には、判定対象の車載負荷4が接続される出力端子63を含むフルブリッジ60(UOx)に接続される判別回路8のプルアップスイッチSW(SWx)がオフ時における、判別回路8の第1抵抗R1と第2抵抗R2の間における電圧値(Vad)が、格納される。SWxオン時Vad(ハーフブリッジ6対応の判別)の管理項目には、判定対象の車載負荷4が接続される出力端子63を含むフルブリッジ60(UOx)に接続される判別回路8のプルアップスイッチSW(SWx)がオン時における、判別回路8の第1抵抗R1と第2抵抗R2の間における電圧値(Vad)が、格納される。
【0091】
UO(x+1)の下流FETオン時Vad(フルブリッジ60対応の判別)の管理項目には、判定対象の車載負荷4が接続されると推定される2つの出力端子63それぞれのハーフブリッジ6(UOx,UO(x1))において、他方のハーフブリッジ6(UO(x1))の下流側半導体スイッチ62がオン時における、一方のハーフブリッジ6(UOx)の判別回路8の第1抵抗R1と第2抵抗R2の間における電圧値(Vad)が、格納される。
【0092】
これら状況(車載負荷4の負荷種類等)及び、プルアップスイッチSW等の開閉状態に対応した電圧値(Vad)それぞれに関しては、後述するフローチャートにおける処理にて説明する。車載装置1の制御部11は、判別回路8にて検出した電圧値(第1抵抗R1と第2抵抗R2の間における電圧値(Vad))と、判別テーブルにて定義されている電圧値とを対比し、当該電圧値それぞれにおける実質的な同一性(実質的に同一値であるか)の判別により、車載負荷4の負荷種類(接続態様)を導出することができる。
【0093】
図14は、車載装置1の制御部11の処理を例示するフローチャートである。図15は、車載装置1の制御部11の処理(ハーフブリッジ6対応の判別)を例示するフローチャートである。図16は、車載装置1の制御部11の処理(フルブリッジ60対応の判別)を例示するフローチャートである。車載装置1の制御部11は、当該車載装置1に車載負荷4が接続された際、例えば入出力I/F14等から入力された操作信号に応じて、以下の処理を行う。
【0094】
車載装置1の制御部11は、全てのハーフブリッジ6の出力端子63に対し、ハーフブリッジ6対応の判別を実行する(T1)。車載装置1の制御部11は、ハーフブリッジ6対応の判別を実行するにあたり、以下の一連の処理を行う。車載装置1の制御部11は、ハーフブリッジ6対応の判別を実行する際、判定対象のハーフブリッジ6が備える上流側半導体スイッチ61及び下流側半導体スイッチ62を共に、開(オフ)にしている。
【0095】
車載装置1の制御部11は、判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoのインクリメント処理(x=x+1)を行う(T101)。車載装置1の制御部11が本フローチャートにおける一連の処理を開始するにあたり、ユニットNoを示す変数(x)は、0に設定(初期値=0)されている。車載装置1が備えるハーフブリッジ6のユニットNoは、例えば組み合わせテーブルにて定義されているようにUO1からUO10等、連番(UOx:x=1から10)にて定義されている。車載装置1の制御部11は、初期値(0)に対し、1ずつ増加処理(インクリメント処理)を行うことにより、ユニットNoが最も小さいハーフブリッジ6(UO1)から順次に以下の処理を行う。
【0096】
車載装置1の制御部11は、判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoを確定(判定対象=UOx)する(T102)。車載装置1の制御部11は、今回の処理における判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoを確定し、記憶部12に記憶する。判定対象のハーフブリッジ6(UOx)に接続される判別回路8のプルアップスイッチSW(SWx)は、開(オフ)の状態(SWx=OFF)となっている。
【0097】
車載装置1の制御部11は、第1抵抗R1と第2抵抗R2の間に位置する分岐点の電圧(Vad)を確認(Vad確認)する。(T103)。車載装置1の制御部11は、判別回路8が備える第1抵抗R1と第2抵抗R2の間に位置する分岐点の電圧(Vad)を、例えば電圧検出部81を介して確認(取得)し、記憶部12に記憶する。
【0098】
車載装置1の制御部11は、分岐点の電圧(Vad)が、ハイサイド負荷電圧である場合、判定対象のハーフブリッジ6の出力端子63に接続されている車載負荷4は、ハイサイド負荷(UOx=ハイサイド負荷:ローサイドスイッチ接続態様)であると判定(判別)する(T104)。ハイサイド負荷電圧の値(電圧値)は、電源装置5からの車載負荷4に印加される電圧(+B)に第2抵抗R2の抵抗値を乗算した値を、車載負荷4の抵抗値(RL)、第2抵抗R2及び第3抵抗R3の抵抗値を合算した値にて除算した値(+B*R2/(RL+R3+R2))に相当する。なお、+Bは、車載負荷4の駆動電源となる電源装置5の出力電圧である。R1[Ω]は第1抵抗R1の抵抗値である。R2[Ω]は第2抵抗R2の抵抗値である。R3[Ω]は第3抵抗R3の抵抗値である。RL[Ω]は車載負荷4の抵抗値である。
【0099】
分岐点の電圧(Vad)がハイサイド負荷電圧である場合とは、分岐点の電圧の値と、ハイサイド負荷電圧の値とが完全一致される場合に限定されず、本実施形態における制御の精度上、許容される誤差等を加味した範囲によるものであってもよい。すなわち、分岐点の電圧の値が、例えばハイサイド負荷電圧の値の±10%の範囲内に収まる場合、分岐点の電圧(Vad)は、ハイサイド負荷電圧であると判定(判別)するものであってもよい。これら電圧値の一致に対する判定(判別)基準については、ハイサイド負荷電圧のみならず、後述する他の判定(判別)処理においても適用される。
【0100】
ハイサイド負荷電圧等の値(電圧値)は、記憶部12にテーブル形式(判別テーブル)で記憶されている。車載装置1の制御部11は、判別テーブルを参照することにより、ハイサイド負荷電圧等、自動判別に用いる値(電圧値)それぞれを取得することができる。
【0101】
車載装置1の制御部11は、分岐点の電圧(Vad)が、負荷天絡電圧である場合、判定対象のハーフブリッジ6の出力端子63は、天絡(UOx=負荷天絡)していると判定(判別)する(T105)。負荷天絡電圧の値(電圧値)は、電源装置5からの車載負荷4に印加される電圧(+B)に第2抵抗R2の抵抗値を乗算した値を、第2抵抗R2及び第3抵抗R3の抵抗値を合算した値にて除算した値(+B*R2/(R3+R2))に相当する。各抵抗値等については、上述のとおりである。なお、式内にて用いられる除算(/)は、切り捨て除算(//)を用いるものであってもよい。
【0102】
車載装置1の制御部11は、分岐点の電圧(Vad)が、0[V]である場合、判定対象のハーフブリッジ6(UOx)に接続される判別回路8のプルアップスイッチSW(SWx)を閉(SWx=ON)にする(T106)。判別回路8のプルアップスイッチSW(SWx)を閉(SWx=ON)にすることにより、判別回路8に対し、判別用電源71(Vcc)から出力電圧(Vcc)に応じた電流が流れる。
【0103】
車載装置1の制御部11は、第1抵抗R1と第2抵抗R2の間に位置する分岐点の電圧(Vad)を確認(Vad確認)する(T107)。車載装置1の制御部11は、処理T103と同様にT107の処理を行う。
【0104】
車載装置1の制御部11は、分岐点の電圧(Vad)が、ローサイド負荷電圧である場合、判定対象のハーフブリッジ6の出力端子63に接続されている車載負荷4は、ローサイド負荷(UOx=ローサイド負荷:ハイサイドスイッチ接続態様)であると判定(判別)する(T108)。ローサイド負荷電圧の値(電圧値)は、本式(Vcc*(R2/(R3+RL))/(R1+(R2/(R3+RL))))にて算出される値に相当する。なお、Vccは判別用電源71の出力電圧である。各抵抗値等については、上述のとおりである。なお、式内にて用いられる除算(/)は、切り捨て除算(//)を用いるものであってもよい。
【0105】
車載装置1の制御部11は、分岐点の電圧(Vad)が、負荷地絡電圧である場合、判定対象のハーフブリッジ6の出力端子63は、地絡(UOx=負荷地絡)していると判定(判別)する(T109)。負荷地絡電圧の値(電圧値)は、本式(Vcc*(R2/R3)/(R1+(R2/R3)))にて算出される値に相当する。各抵抗値等については、上述のとおりである。なお、式内にて用いられる除算(/)は、切り捨て除算(//)を用いるものであってもよい。
【0106】
車載装置1の制御部11は、分岐点の電圧(Vad)が、未決定電圧である場合、判定対象のハーフブリッジ6の出力端子63には、ハイサイドスイッチ接続態様又はローサイドスイッチ接続態様の車載負荷4が、接続されておらず、未決定(UOx=未決定)であると判定(判別)する(T110)。未決定電圧の値(電圧値)は、本式(Vcc*R2/(R1+R2))にて算出される値に相当する。各抵抗値等については、上述のとおりである。なお、式内にて用いられる除算(/)は、切り捨て除算(//)を用いるものであってもよい。
【0107】
車載装置1の制御部11は、処理、T104、T105、T108、T109、又はT110の実行後、判定対象のハーフブリッジ6(UOx)に接続される判別回路8のプルアップスイッチSW(SWx)を開(SWx=オフ)にする(T111)。判別回路8のプルアップスイッチSW(SWx)を開(SWx=オフ)にすることにより、判別用電源71(Vcc)から第1抵抗R1等に流れる電流が遮断される。
【0108】
車載装置1の制御部11は、全てのハーフブリッジ6に対し判定処理を実行したか否か(x=MAX)を判定する(T112)。ハーフブリッジ6(ユニバーサルアウトプット回路:UO)のユニットNoは、例えば1から10等の連番(UO1からUO10)にて設定(付与)され、記憶部12に記憶されている組み合わせテーブルにて管理されている。車載装置1の制御部11は、個々のハーフブリッジ6に対し判定処理を実行する都度、判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoを一つずつ増加(インクリメント処理)しており、今回判定処理を実行したユニットNo(x)が、ユニットNoの最大値(MAX)であるか否かを判定する。
【0109】
今回判定処理を実行したユニットNo(x)が最大値(MAX)である場合(x=MAX)、車載装置1の制御部11は、全てのハーフブリッジ6に対する判定処理を実行したと判定する。今回判定処理を実行したユニットNo(x)が最大値(MAX)でない場合(x≠MAX)、車載装置1の制御部11は、全てのハーフブリッジ6に対する判定処理を実行していないと判定する。全てのハーフブリッジ6に対し判定処理を実行していない場合(T112:NO)、車載装置1の制御部11は、再度T101からの処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0110】
全てのハーフブリッジ6に対し判定処理を実行した場合(T112:YES)、車載装置1の制御部11は、接続態様が未決定のハーフブリッジ6(出力端子63)があるか否かを判定する(T2)。車載装置1の制御部11は、処理T1の結果、すなわち全てのハーフブリッジ6の出力端子63それぞれに対し、当該出力端子63に接続されている車載負荷4の接続態様が、ハイサイドスイッチ接続態様又はローサイドスイッチ接続態様であるかを、判別回路8を用いて判別する。車載装置1の制御部11は、当該判別結果と対象となる出力端子63のハーフブリッジ6のユニットNoとを関連付けて、記憶部12に記憶している。
【0111】
ハイサイドスイッチ接続態様及びローサイドスイッチ接続態様いずれの接続態様でないと判定される場合、対象となる出力端子63は、フルブリッジ60接続態様の車載負荷4が接続、又は車載負荷4が未接続(負荷未接続)であることが想定される。この場合、当該出力端子63(ハーフブリッジ6のユニットNo)は、接続態様が未決定であるとして、記憶部12に記憶している。車載装置1の制御部11は、記憶部12に記憶されている出力端子63(ハーフブリッジ6のユニットNo)それぞれにおける判別結果を参照することにより、接続態様が未決定の出力端子63(ハーフブリッジ6のユニットNo)の有無を判定する。
【0112】
接続態様が未決定の出力端子63がない場合(T2:NO)、車載装置1の制御部11は、本フローチャートにおける処理を終了する。接続態様が未決定の出力端子63(ハーフブリッジ6のユニットNo)がない場合、全てのハーフブリッジ6(地絡又は天絡判定されたハーフブリッジ6以外)の出力端子63には、ハイサイドスイッチ接続態様又はローサイドスイッチ接続態様の車載負荷4(ハーフブリッジ6対応の車載負荷4)が接続されている。従って、車載装置1の制御部11は、本フローチャートによる車載負荷4の自動判別処理を終了し、判別結果に応じた車載負荷4の接続形態に従って、実施形態1と同様にスイッチ制御テーブルに基づき車載負荷4の駆動制御を開始する。
【0113】
接続態様が未決定の出力端子63がある場合(T2:YES)、車載装置1の制御部11は、接続態様が未決定の出力端子63に対し、フルブリッジ60対応の判別を実行する(T3)。車載装置1の制御部11は、フルブリッジ60対応の判別を実行するにあたり、以下の一連の処理を行う。
【0114】
車載装置1の制御部11は、判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoを初期化(x=0)する(T301)。車載装置1の制御部11は、ユニットNoを示す変数(x)の値を0に初期化(x=0)する。
【0115】
車載装置1の制御部11は、判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoのインクリメント処理(x=x+1)を行う(T302)。車載装置1の制御部11は、判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoを確定(判定対象=UOx)する(T303)。車載装置1の制御部11は、処理T101からT102と同様にT302からT303の処理を行う。
【0116】
車載装置1の制御部11は、判定対象のハーフブリッジ6(UOx)が未決定であるか否か(UOx=未決定)を判定する(T304)。車載装置1の制御部11は、記憶部12に記憶されている処理T1の結果を参照し、判定対象のハーフブリッジ6(UOx)が未決定であるか否か判定する。判定対象のハーフブリッジ6(UOx)が未決定でない場合(T304:NO)、車載装置1の制御部11は、再度T302からの処理を実行すべくループ処理を行う。
【0117】
判定対象のハーフブリッジ6(UOx)が未決定である場合(T304:YES)、車載装置1の制御部11は、判定対象のハーフブリッジ6のユニットNo(UOx)が奇数であるか否か(x=奇数)を判定する(T305)。
【0118】
判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoが奇数でない場合(T305:NO)、すなわち判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoが偶数である場合、車載装置1の制御部11は、判定対象のハーフブリッジ6(UOx)の出力端子63には、車載負荷4が接続されていない(UOx=未接続)と判定する(T308)。車載装置1の記憶部12には、2つのハーフブリッジ6がフルブリッジ60として用いられる際、当該2つのハーフブリッジ6の組み合わせ(ペア)が、例えばテーブル形式(組み合わせテーブル)にて記憶されている。この際、フルブリッジ60を構成する2つのハーフブリッジ6は、連番になっており、奇数のユニットNo(2n-1)及び偶数のユニットNo(2n)となっている(nは、1以上の自然数)。従って、判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoが偶数(2又は4など)の場合、先に判定されている組み合わせ(ペア)の奇数のユニットNo(1又は3など)が、ハーフブリッジ6として使用されているものとなり、当該偶数(2又は4など)のユニットNoのハーフブリッジ6が、フルブリッジ60として使用されることは、ないものとなる。
【0119】
判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoが奇数である場合(T305:YES)、車載装置1の制御部11は、当該判定対象のハーフブリッジ6(UOx)の次のユニットNo(x+1)のハーフブリッジ6(UO(x+1))が、未決定であるか否か(UO(x+1)=未決定)を判定する(T306)。車載装置1の制御部11は、記憶部12に記憶されている処理T1の結果を参照し、次のユニットNo(x+1)のハーフブリッジ6(UO(x+1))が未決定であるか否か判定する。
【0120】
次のユニットNo(x+1)のハーフブリッジ6(UO(x+1))が、未決定でない場合(T306:NO)、車載装置1の制御部11は、判定対象のハーフブリッジ6(UOx)の出力端子63には、車載負荷4が接続されていない(UOx=未接続)と判定する(T308)。判定対象のハーフブリッジ6(UOx)のユニットNoが奇数であっても、組み合わせ(ペア)となるハーフブリッジ6(UO(x+1))が、既にハーフブリッジ6として使用(車載負荷4が接続)されている場合、当該判定対象のハーフブリッジ6(UOx)が、フルブリッジ60として使用されることは、ないものとなる。
【0121】
次のユニットNo(x+1)のハーフブリッジ6(UO(x+1))が、未決定である場合(T306:YES)、車載装置1の制御部11は、ユニットNoが偶数のハーフブリッジ6(UO(x+1))の下流側半導体スイッチ62を閉(UO(x+1)の下流FETをオン)にする(T307)。車載装置1の制御部11は、ユニットNoが偶数のハーフブリッジ6(UO(x+1))、すなわち奇数のハーフブリッジ6(UOx)のペアとなるハーフブリッジ6(UO(x+1))の下流側半導体スイッチ62を閉(オン)にする。以降、判定対象のハーフブリッジ6は、予め組み合わせ(ペア)として定義された2つのハーフブリッジ6(UOx:ユニットNoが奇数、UO(x+1):ユニットNoが偶数)となる。当該判定対象となる2つのハーフブリッジ6のユニットNoは、奇数(x)及び偶数(x+1)にて連続している。車載装置1の制御部11は、更に、ユニットNoが奇数のハーフブリッジ6(UOx)に接続される判別回路8のプルアップスイッチSW(SWx)を閉(SWx=ON)にする。
【0122】
車載装置1の制御部11は、奇数のハーフブリッジ6(UOx)に接続される判別回路8が含む第1抵抗R1と第2抵抗R2の間に位置する分岐点の電圧(Vad)を確認(Vad確認)する(T309)。車載装置1の制御部11は、処理T103と同様にT309の処理を行う。
【0123】
車載装置1の制御部11は、分岐点の電圧(Vad)が、負荷未接続電圧である場合、判定対象である2つのハーフブリッジ6(フルブリッジ60)の出力端子63のいずれにも、車載負荷4は接続されていない(UOx=未接続、UO(x+1)=未接続)と判定する。(T310)。負荷未接続電圧の値(電圧値)は、本式(Vcc*R2/(R1+R2))にて算出される値に相当する。
【0124】
車載装置1の制御部11は、分岐点の電圧(Vad)が、フルブリッジ60負荷電圧である場合、判定対象である2つのハーフブリッジ6(フルブリッジ60)の出力端子63それぞれに接続されている車載負荷4は、フルブリッジ60負荷(フルブリッジ60接続態様)である(UOx=フルブリッジ60、UO(x+1)=フルブリッジ60)と判定(判別)する(T311)。フルブリッジ60負荷電圧の値(電圧値)は、本式(Vcc*(R2/R3)/(R1+R2/R3))にて算出される値に相当する。
【0125】
車載装置1の制御部11は、T310又はT311の処理の実行後、判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoのインクリメント処理(x=x+1)を行う(T312)。車載装置1の制御部11は、処理T302と同様にT312の処理を行う。
【0126】
車載装置1の制御部11は、T312又はT308の処理の実行後、全てのハーフブリッジ6に対し判定処理を実行したか否か(x=MAX)を判定する(T313)。車載装置1の制御部11は、処理T112と同様にT313の処理を行う。車載装置1の制御部11は、上述した判定処理の結果(判定結果)と、当該判別結果と対象となる出力端子63のハーフブリッジ6のユニットNoとを関連付けて、記憶部12に記憶する。全てのハーフブリッジ6に対し判定処理を実行していない場合(T313:NO)、車載装置1の制御部11は、再度T302からの処理を実行すべく、ループ処理を行う。
【0127】
全てのハーフブリッジ6に対し判定処理を実行した場合(T313:YES)、車載装置1の制御部11は、本フローチャートにおける処理を終了する。車載装置1の制御部11は、全てのハーフブリッジ6に対し判定処理を実行した場合のみならず、今回の判定対象のハーフブリッジ6のユニットNoよりも大きい番号のハーフブリッジ6において、処理T1において未決定と判別されたハーフブリッジ6がない場合、本フローチャートにおける処理を終了するものであってもよい。
【0128】
本実施形態において、車載装置1の制御部11は、全てのハーフブリッジ6に対し、ハーフブリッジ6対応の判別を実行した後、フルブリッジ60対応の判別を実行するとしたが、これに限定されない。車載装置1の制御部11は、例えば組み合わせテーブルにて予め定められた2つのハーフブリッジ6の組み合わせ(ペア)毎に、ハーフブリッジ6対応及びフルブリッジ60対応を行うものであってもよい。
【0129】
車載装置1の制御部11は、本フローチャートによる一連の処理を実行することにより、車載負荷4の自動判別を完了し、当該自動判別の結果を記憶部12に記憶する。車載装置1の制御部11は、車載負荷4の自動判別の結果に基づき、実施形態1と同様にハーフブリッジ6又はフルブリッジ60それぞれに含まれる上流側半導体スイッチ61及び下流側半導体スイッチ62の開閉制御を行うことにより、車載負荷4の駆動制御を行う。
【0130】
今回開示された実施形態は全ての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0131】
特許請求の範囲に記載されている複数の請求項に関して、引用形式に関わらず、相互に組み合わせることが可能である。特許請求の範囲では、複数の請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項を記載してもよい。多項従属請求項に従属する多項従属請求項が記載されていない場合であっても、これは、多項従属請求項に従属する多項従属請求項の記載を制限するものではない。
【符号の説明】
【0132】
C 車両
S 車載システム
1 車載装置
10 マイコン
11 制御部
12 記憶部
M 記録媒体
P 制御プログラム(プログラム製品)
13 通信部
14 入出力I/F
140 信号線
2 車載ECU
3 車載ネットワーク
4 車載負荷
41 判別用抵抗
5 電源装置
51電力線
6 ハーフブリッジ(ユニバーサルアウトプット回路:UO)
60 フルブリッジ
61 上流側半導体スイッチ(上流IPD)
611 Pch上流側半導体スイッチ
62 下流側半導体スイッチ(下流FET)
63 出力端子
7 判別用端子
71 判別用電源
8 判別回路
SW プルアップスイッチ
R1 第1抵抗
R2 第2抵抗
R3 第3抵抗
81 電圧検出部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16