IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社タカゾノの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171160
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】薬剤供給装置
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20241204BHJP
   B65B 1/30 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
B65B1/30 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088081
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】593129342
【氏名又は名称】株式会社タカゾノ
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】増田 知世
(72)【発明者】
【氏名】和田 弘史
【テーマコード(参考)】
3E118
4C047
【Fターム(参考)】
3E118AA07
3E118AB07
3E118BA03
3E118BA10
3E118BB02
3E118DA02
3E118EA08
3E118FA06
4C047CC15
4C047CC16
4C047JJ01
4C047JJ06
4C047JJ12
4C047JJ31
4C047JJ40
4C047KK25
4C047KK40
(57)【要約】
【課題】薬剤を収容する収容部をメンテナンスするときの待ち時間を減らす。
【解決手段】薬剤供給装置は、回動部と、制御部とを備えている。回動部は、薬剤を収容する複数の収容部を備えている。複数の収容部が、軸線を中心とする円筒面に沿って配置されている。回動部は、軸線を中心として回動可能である。制御部は、収容部からの薬剤の供給、および回動部の回動を制御する。制御部は、収容部から薬剤を供給する処理中に、供給対象の薬剤を収容する収容部をメンテナンス位置へ移動させるための回動部の回動を実行する。
【選択図】図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を収容する複数の収容部を備え、前記複数の収容部が軸線を中心とする円筒面に沿って配置され、前記軸線を中心として回動可能な回動部と、
前記収容部からの前記薬剤の供給、および前記回動部の回動を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記収容部から前記薬剤を供給する処理中に、供給対象の前記薬剤を収容する前記収容部をメンテナンス位置へ移動させるための前記回動部の回動を実行する、薬剤供給装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記収容部から前記薬剤を供給できるか否かを判断し、
前記制御部は、前記収容部から前記薬剤が供給できないと判断される前に、前記回動部の回動を実行する、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記収容部から前記薬剤を供給するための所定の動作を実行しても前記収容部から前記薬剤が供給されなかったとき、前記収容部から前記薬剤が供給できないと判断する、請求項2に記載の薬剤供給装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記収容部に収容されている前記薬剤の残量を記憶し、前記薬剤ごとに残量の閾値を設定可能であり、供給対象の前記薬剤を収容する前記収容部のうち、前記薬剤の残量が前記残量の閾値よりも少ない前記収容部を、前記メンテナンス位置へ移動させる、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記収容部に収容されている前記薬剤の残量を記憶し、供給対象の前記薬剤を収容する前記収容部のうち、前記薬剤の残量が少ない前記収容部を、前記メンテナンス位置へ移動させる、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項6】
前記制御部は、複数の前記収容部の各々からの薬剤供給履歴に基づいて、ひとまとまりとして供給される複数種類の前記薬剤を収容する前記収容部が近くに配置されるように、前記収容部の配置を決定する、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記回動部の回動範囲の中間位置を前記メンテナンス位置へ移動させる、請求項1に記載の薬剤供給装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、薬剤供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平9-216601号公報(特許文献1)には、薬剤収納取出装置が開示されている。薬剤収納取出装置は、ドラムを備えている。ドラムの外周には、周方向と上下方向とに複数の薬剤フィーダが設けられている。薬剤の取り出しによって薬剤フィーダが空になり、あるいは薬剤の収納量が少量になると、ドラムの周囲から薬剤フィーダの薬剤収納ケースを取外して内部に薬剤を補給する。この場合、駆動装置の作動によりドラムを回転して所定位置で停止し、ドラムの周囲1箇所より薬剤収納ケースの着脱を行なう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9-216601号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
薬剤を収容する収容部が空になる、収容部の内部で薬剤の詰まりが発生する、収容部から薬剤を排出するための駆動力を発生する駆動機構に不具合が発生する、などの理由により、収容部から薬剤が取り出せなくなることがある。その場合、収容部をドラムから取り外して、薬剤を補充したり、薬剤の詰まりを解消したり、収容部を交換したりする、収容部のメンテナンスが行なわれる。メンテナンス対象の収容部は、ドラムを回転させることにより、所定のメンテナンス位置に移動する。収容部がメンテナンス位置に到達するまで、待ち時間が発生することがある。
【0005】
本開示では、収容部をメンテナンスするときの待ち時間を減らすことができる、薬剤供給装置が提案される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る薬剤供給装置は、回動部と、制御部とを備えている。回動部は、薬剤を収容する複数の収容部を備えている。複数の収容部が、軸線を中心とする円筒面に沿って配置されている。回動部は、軸線を中心として回動可能である。制御部は、収容部からの薬剤の供給、および回動部の回動を制御する。制御部は、収容部から薬剤を供給する処理中に、供給対象の薬剤を収容する収容部をメンテナンス位置へ移動させるための回動部の回動を実行する。
【0007】
上記の薬剤供給装置において、制御部は、収容部から薬剤を供給できるか否かを判断し、制御部は、収容部から薬剤が供給できないと判断される前に、回動部の回動を実行してもよい。
【0008】
上記の薬剤供給装置において、制御部は、収容部から薬剤を供給するための所定の動作を実行しても収容部から薬剤が供給されなかったとき、収容部から薬剤が供給できないと判断してもよい。
【0009】
上記の薬剤供給装置において、制御部は、収容部に収容されている薬剤の残量を記憶し、薬剤ごとに残量の閾値を設定可能であり、供給対象の薬剤を収容する収容部のうち、薬剤の残量が残量の閾値よりも少ない収容部を、メンテナンス位置へ移動させてもよい。
【0010】
上記の薬剤供給装置において、制御部は、収容部に収容されている薬剤の残量を記憶し、供給対象の薬剤を収容する収容部のうち、薬剤の残量が少ない収容部を、メンテナンス位置へ移動させてもよい。
【0011】
上記の薬剤供給装置において、制御部は、複数の収容部の各々からの薬剤供給履歴に基づいて、ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤を収容する収容部が近くに配置されるように、収容部の配置を決定してもよい。
【0012】
上記の薬剤供給装置において、制御部は、回動部の回動範囲の中間位置をメンテナンス位置へ移動させてもよい。
【発明の効果】
【0013】
本開示の薬剤供給装置によると、収容部をメンテナンスするときの待ち時間を減らすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】薬剤供給装置の全体構成を示す斜視図である。
図2】薬剤供給装置の一方の扉を開けた状態の斜視図である。
図3】薬剤供給装置の内部の構成を模式的に示す図である。
図4】ホッパ部材の近傍の動作中の様子を示す説明図である。
図5】ドラムの模式的な斜視図である。
図6】分割体の斜視図である。
図7】蓋部が開いた状態の薬剤収容部を示す斜視図である。
図8図7の薬剤収容部を矢印VIII方向から見た平面図である。
図9図7の薬剤収容部を矢印IX方向から見た底面図である。
図10】薬剤収容部の一部をカットして示す斜視図である。
図11】ロータおよび仕切部の位置関係を示す側面図である。
図12】部分周壁に取り付けられた仕切部を示す斜視図である。
図13】薬剤供給装置のシステム構成を示すブロック図である。
図14】薬剤供給装置の制御の一例を示す第1の図である。
図15】薬剤供給装置の制御の一例を示す第2の図である。
図16】薬剤供給装置の制御の一例を示す第3の図である。
図17】第二実施形態における薬剤供給装置の制御の一例を示す図である。
図18】調剤履歴を示すテーブルである。
図19】薬剤収容部の配置の第一の例を示す模式図である。
図20】薬剤収容部の配置の第二の例を示す模式図である。
図21】複数種類の薬剤の各々の残量の一例を示す表である。
図22】ドラムの回動範囲を説明する第1の模式図である。
図23】ドラムの回動範囲を説明する第2の模式図である。
図24】ドラムの回動範囲を説明する第3の模式図である。
図25】ドラムの回動範囲を説明する第4の模式図である。
図26】ドラムの回動範囲の中間位置をメンテナンス位置に配置した状態を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、実施形態について図に基づいて説明する。以下の説明では、同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同じである。したがって、これらについての詳細な説明は繰り返さない。実施形態から任意の構成が抽出され、それらが任意に組み合わされることも、当初から予定されている。
【0016】
[第一実施形態]
(薬剤供給装置101の全体構成)
図1は、薬剤供給装置101の全体構成を示す斜視図である。薬剤供給装置101は、処方箋に基づいて薬剤を供給する。処方箋は、医師が患者に交付する。処方箋には、処方情報が記載されている。処方情報は薬剤情報を含む。薬剤情報は、薬名、分量、用法および用量を含む。薬剤供給装置101は、薬剤として、固形の薬剤を供給する。固形の薬剤としては、錠剤、丸剤、カプセル剤などが挙げられる。
【0017】
薬剤供給装置101は、包装ユニット81と、供給ユニット82とを備えている。薬剤供給装置101において、包装ユニット81が下側に、供給ユニット82が上側に配置されている。包装ユニット81は、扉7a,7b,7cを備えている。供給ユニット82は、扉6a,6bを備えている。扉6aは、取っ手8aを有している。扉6bは、取っ手8bを有している。薬剤供給装置101を使用する使用者は、取っ手8aを持って扉6aを開閉することができ、取っ手8bを持って扉6bを開閉することができる。
【0018】
薬剤供給装置101は、筐体2を備えている。包装ユニット81の扉7a,7b,7c、および供給ユニット82の扉6a,6bは、筐体2の前面の一部を構成している。
【0019】
薬剤供給装置101は、筐体2の前面の中央部に操作部51を備えている。薬剤供給装置101を使用する使用者は、操作部51を操作することにより、薬剤供給装置101に対する各種指示を入力することができる。操作部51はタッチパネルにより実現されていてもよく、この場合は操作部51はディスプレイを兼ねており、使用者はディスプレイを見ることで薬剤供給装置101の各種状態を確認することができる。
【0020】
図2は、薬剤供給装置101の一方の扉6aを開けた状態の斜視図である。薬剤供給装置101、より詳細には供給ユニット82は、内部に円筒形のドラム20を備えている。図2においては、扉6aを開けたことによって、開口部3を通じてドラム20が見えている。ドラム20には、各々が薬剤を収容する複数の薬剤収容部が着脱可能に設けられている。ドラム20の構成の詳細は後述する。
【0021】
(薬剤供給装置101の内部構成)
図3は、薬剤供給装置101の内部の構成を模式的に示す図である。供給ユニット82の内部には、一対のドラム20a,20bが配置されている。各ドラム20a,20bは、薬剤収容部が複数個集められて円筒形状に配設され、回動自在に支持されているものである。各ドラム20a,20bに設けられた複数の薬剤収容部の各々から、各薬剤収容部に収容された薬剤が排出される。排出された薬剤は、重力で落下する。
【0022】
ドラム20a,20bの下方に、ホッパシュート11が配置されている。ホッパシュート11は、包装ユニット81の上部に配置されている。ホッパシュート11は、薬剤収容部から排出され重力で落下する薬剤を受ける。ホッパシュート11は、下端に出口11bを有している。ホッパシュート11によって受けられた薬剤は、出口11bを通って、ホッパシュート11から下方へ落下する。
【0023】
包装ユニット81の内部には、ホッパ部材12が配置されている。ホッパ部材12は、ホッパシュート11の下方に配置されている。ホッパシュート11を通過した薬剤は、ホッパ部材12へと落下する。図3では、ホッパシュート11の下端がホッパ部材12の上部に挿入されているが、必ずしもこのように挿入されていなくてもよく、ホッパシュート11の出口11bから落下する薬剤がホッパ部材12に受けられるのであればどのような構成であってもよい。
【0024】
包装ユニット81の内部にはまた、包装シート10のロール13が回転可能な状態で支持されている。包装シート10は、矢印91で示されるようにロール13から引き出され、図示しないガイド部材などによって導かれて、矢印92に示されるようにシール機構14に送られる。包装シート10は、第1の側93に進行する。
【0025】
包装シート10は、いわゆる分包紙であってもよい。包装シート10は、加熱することで融着させることが可能な材料と、融着不可能な材料との2層構造を有している。包装シート10は、たとえばポリエチレンを主材料とする層とセロハンを主材料とする2層構造であってもよい。
【0026】
図4は、ホッパ部材12の近傍の動作中の様子を示す説明図である。包装シート10は、融着可能な材料の層が内側になるように、2つ折りになっている。底部10cが折り目である。包装シート10の折り目は、包装シート10の長手方向と平行である。包装シート10の折り目は、包装シート10の進行方向と平行である。
【0027】
包装シート10は、第1の側93に向かって送られる。包装シート10は、第1の側93に向かうときに左側に位置する左側部10aと、右側に位置する右側部10bとを含んでいる。左側部10aと右側部10bとは、底部10cを介してつながっている。包装シート10は、一枚物のシートを2つ折りにしたものであってもよい。包装シート10は、2枚の別々のシートを重ね合わせて、底部10cに相当する辺を熱融着などの任意の方法で接合したことによってV字形としたものであってもよい。
【0028】
ホッパ部材12は、上端に入口12aを有し、下端に出口12bを有している。入口12aは、ホッパ部材12の上端に開口している。出口12bは、ホッパ部材12の下端に開口している。ホッパ部材12は、大まかに見れば筒状であり、上方から下方に向けて断面積が小さくなる形状を有している。ホッパ部材12の出口12bを含む下端部は、包装シート10の内側に配置されており、左側部10aと右側部10bとによって挟まれている。
【0029】
入口12aは、ホッパシュート11によってホッパ部材12に導かれた薬剤1を受け入れるための開口部である。出口12bは下方を向いている。出口12bは、薬剤1を包装シート10の内側に向けて放出するための開口部である。ホッパ部材12は、上方から落下する薬剤1を受け入れて、包装シート10の左側部10aと右側部10bとの間に薬剤1を導く。
【0030】
送りロール16は、矢印92に示されるように包装シート10を進行させ、第1の側93に包装シート10を送る。包装シート10の搬送方向におけるホッパ部材12よりも下流側に、シール機構14が配置されている。シール機構14は、包装シート10を両側から挟み込む構造を有している。シール機構14は、包装シート10を加圧および加熱することによって、包装シート10の融着可能な材料を熱融着させ、薬剤1を収容する部分を密封する。
【0031】
図5は、ドラム20の模式的な斜視図である。図5に示されるように、1つのドラム20は、4つの弧状の分割体30が組み合わされて中空円筒形を成している。ドラム20は、上下方向に延びる中心線CLを中心として両方向に回転可能に、供給ユニット82内に支持されている。ドラム20は、回動部の一例に対応する。中心線CLは、ドラム20の軸線の一例に対応する。
【0032】
図5に示されるドラム20は90°ごとの合計4つの分割体30の組み合わせであるが、この例に限られず、ドラム20はn(nは2以上の整数)個の分割体の組み合わせであってもよい。分割体30の1個当たりの中心角は、nの値に従って変わる。分割体30の1個当たりの中心角は、たとえば360°をn等分した角度であってもよい。ドラム20はn個の分割体30を含み、さらに、これらの分割体30を互いにつなぎ止める機構、またはこれらの分割体30を保持する機構を備えていてもよい。
【0033】
図6は、分割体30の斜視図である。図6に示される分割体30は、図5に示されるドラム20を構成する1つの分割体30を取り出したものである。図6に示される軸方向Zは、ドラム20の中心線CL(図5)に平行に延びる方向である。図6に示される周方向θは、ドラム20の中心線CLを中心とする周方向である。
【0034】
分割体30は、上部34と、下部35とを備えている。上部34と下部35との間に、薬剤収容部31が配列されている。薬剤収容部31は、軸方向Zに並べられており、かつ、周方向θに並べられている。薬剤収容部31は、中心線CLを中心とする円筒面に沿って配置されている。薬剤収容部31は、支持部32によって、それぞれ位置決めされて支持されている。分割体30は、複数の薬剤収容部31と、薬剤収容部31と同数の支持部32とを有している。
【0035】
複数の薬剤収容部31の各々には、薬剤1が複数個収容されている。薬剤1が錠剤である場合には、薬剤収容部31には複数個の錠剤が収容されている。複数の薬剤収容部31のうちいずれか1つの薬剤収容部31に注目した場合、1つの薬剤収容部31には基本的に同じ種類の薬剤1のみが収容されている。異なる薬剤収容部31には、基本的に異なる種類の薬剤1が収容されているが、使用頻度が高い薬剤1が複数個の薬剤収容部31に収容されていてもよい。
【0036】
複数の薬剤収容部31の各々は、それぞれの内部に収容している薬剤1を適宜排出することができる。実施形態の薬剤供給装置101は、薬剤収容部31から排出された一種類または複数種類の薬剤1を包装ユニット81で分包して供給する装置である。
【0037】
各々の支持部32は、板状に形成されている。支持部32は、軸方向Zおよび周方向θに、互いに間隔を空けて並べられている。薬剤収容部31は、上下の支持部32間に、着脱可能に取り付けられている。各々の薬剤収容部31は、支持部32に装着および支持部32からの取り外しが可能な、カセットとして設けられている。
【0038】
(薬剤収容部31の詳細構成)
次に、カセットである薬剤収容部31について説明する。図7は、蓋部130が開いた状態の薬剤収容部31を示す斜視図である。図8は、図7の薬剤収容部31を矢印VIII方向から見た平面図である。図9は、図7の薬剤収容部31を矢印IX方向から見た底面図である。図10は、薬剤収容部31の一部をカットして示す斜視図である。図10には、蓋部130が取り外された状態の薬剤収容部31の内部を透視した図が示されている。
【0039】
薬剤収容部31は、収容部本体110と、ロータ120と、駆動軸150とを備えている。薬剤収容部31は、蓋部130と、仕切部140とをさらに備えている。
【0040】
収容部本体110は、周壁111および排出口112を有し、周壁111の内側の中空空間に薬剤1を収容するとともに、排出口112から薬剤1を排出する。周壁111の内面は、円筒状である。排出口112は、収容部本体110の底面に形成されている。排出口112は、周壁111の内面に対して径方向内側に形成されている。
【0041】
図9に示されるように、収容部本体110の底面において、周壁111の中心軸上の位置に、円形の開口113が形成されている。開口113に、駆動軸150が挿通されている。駆動軸150は、周壁111の内側に配置されている。駆動軸150は、図示しない駆動モータと接続されており、駆動モータの回転駆動力を受けて収容部本体110に対して相対回転可能である。駆動軸150は、ロータ120と同軸に配置されている。ロータ120は、駆動軸150に対して、駆動軸150の軸方向に着脱可能である。駆動軸150は、装着されたロータ120を回転駆動する。ロータ120および駆動軸150の各々は、樹脂で構成されていてもよい。
【0042】
ロータ120は、収容部本体110の内部に設けられている。ロータ120は、収容部本体110の周壁111の内側に配置されている。ロータ120は、収容部本体110の内部の中空空間の底面上に配置されている。ロータ120が回転することで、収容部本体110の内部の中空空間に収容されている薬剤1が、排出口112に向かって搬送される。ロータ120は、図8の矢印Aで示されるように、ロータ120の周方向の一方側(図8においては時計回り方向)に向かって回転する正転、および、図3の矢印Bで示されるように、ロータ120の周方向の他方側(図8においては反時計回り方向)に向かって回転する逆転の両方が可能に構成されている。
【0043】
蓋部130は、収容部本体110の内側の中空空間を開閉するように、収容部本体110に回動可能に取り付けられている。
【0044】
図11は、ロータ120および仕切部140の位置関係を示す側面図である。図11には、ロータ120が駆動軸150に装着された状態を図示している。
【0045】
ロータ120は、上側に凸状に傾斜した天面126と、天面126の周縁につながる周面121を有している。天面126には、放射状に複数の溝部127が設けられている。天面126の中央部から、円柱状の中央突出部128が突出している。中央突出部128の上端に、キャップ部160が取り付けられている。ロータ120が駆動軸150に装着された状態のキャップ部160と、閉じた状態の蓋部130とは、隙間をあけて互いに対向している。
【0046】
図10および図11に示されるように、周面121の下部には、複数の第1突出部122および複数の第2突出部123が設けられている。第1突出部122と第2突出部123とは、隙間125を空けて、ロータ120の周方向に交互に並んで配置されている。複数の第1突出部122および複数の第2突出部123の各々は、ロータ120の径方向に見て、略長方形状の形状を有している。ロータ120の径方向における複数の第1突出部122および複数の第2突出部123の各々の先端は、周壁111の内面とわずかに間隔をあけて対向している。
【0047】
隙間125は、排出口112と連通している。複数の第1突出部122および複数の第2突出部123の各々は、ロータ120が回転した際に、隙間125に収容された薬剤1を押圧して薬剤1をロータ120の周方向に排出口112に搬送可能に形成されている。具体的には、隙間125内に収容された薬剤1は、ロータ120の回転に伴って、第1突出部122または第2突出部123に押圧されながらロータ120の周方向に搬送されて排出口112に落下する。
【0048】
周面121には、少なくとも2つの第3突出部124がさらに設けられている。図10および図11に示されるように、複数の第2突出部123の各々の上方に1つずつ、第3突出部124が配置されている。ロータ120の径方向における第3突出部124の各々の先端は、周壁111の内面とわずかに間隔をあけて対向している。
【0049】
図11に示されるように、上下方向に並んで位置する第2突出部123と第3突出部124との間には、ロータ120の回転時に仕切部140が通過する通路が設けられている。この通路の上下方向における寸法は、仕切部140の上下方向における寸法よりわずかに大きい。第3突出部124は、ロータ120が回転した際に、仕切部140上に位置する薬剤1を押圧して仕切部140上から移動可能に形成されている。仕切部140は、可撓性部材で構成されている。可撓性部材は、たとえば、軟質合成樹脂からなる。
【0050】
図11に示されるように、複数の第1突出部122の各々の上面の一部は、上方に突出している。複数の第2突出部123の各々の上面全体は、平坦面である。
【0051】
仕切部140は、ロータ120の周面121における複数の第1突出部122および複数の第2突出部123より上方の位置に向けて、周壁111の内面から延設されている。図8に示されるように、仕切部140は、排出口112の上方に配置されている。隙間125は仕切部140によって上方から覆われており、上方から薬剤1が隙間125に進入することが防止されている。
【0052】
図12は、部分周壁111aに取り付けられた仕切部140を示す斜視図である。仕切部140は、円弧状の基材141に対してこの円弧に沿って互いに間隔をあけて複数の可撓性部材が接合されて構成されている。仕切部140は、図12に示されるブラシ状に限られず、板状であってもよい。
【0053】
部分周壁111aは、収容部本体110の周壁111の一部を構成する。部分周壁111aには、孔部が形成されている。基材141は、部分周壁111aの孔部に取り付けられている。図12に示されるように、部分周壁111aは、周壁111の残部に対して着脱可能に接続されてもよい。具体的には、部分周壁111aは、スナップフィット構造によって、収容部本体110に装着されてもよい。
【0054】
薬剤収容部31の動作の一例について説明する。収容部本体110内に薬剤1が収容された状態で、ロータ120が、矢印Aで示される正転または矢印Bで示される逆転をする。ロータ120の天面126上に位置する薬剤1は、収容部本体110の周壁111の内面とロータ120の周面121との間の空間に向かって移動する。天面126に形成されている複数の溝部127は、ロータ120の回転に伴って天面126上に位置する薬剤1を撹拌することにより、上記空間に薬剤1を移動させやすくする。
【0055】
上記空間に移動した薬剤1のうちの一部の薬剤1が、各隙間125に1つずつ収容される。隙間125内に収容された薬剤1は、ロータ120の回転に伴って、第1突出部122または第2突出部123に押圧されながら、ロータ120の周方向に搬送される。排出口112上に位置して排出口112と連通した隙間125に収容されている薬剤1は、隙間125内から排出口112に落下して、排出口112から排出される。
【0056】
このとき、排出口112と連通している隙間125は、仕切部140によって上方から覆われており、当該隙間125に上方から薬剤1が進入することを防止されている。その結果、薬剤1を1つずつ排出口112から払い出すことができる。
【0057】
(薬剤供給装置101のシステム構成)
図13は、薬剤供給装置101のシステム構成を示すブロック図である。図13に示されるブロック図は、薬剤供給装置101の構成のうち、以下に説明する薬剤収容部31からの薬剤1の供給に関連付けたドラム20の回転に関連する一部構成の機能ブロックのみを図示したものであり、薬剤供給装置101の全ての構成の機能ブロックを図示するものではない点、留意すべきである。
【0058】
薬剤供給装置101は、制御部270を備えている。制御部270は、各種演算処理および制御を実行する。制御部270は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random access memory)、ROM(Read Only Memory)およびEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)などを有する。制御部270は、ASIC(application specific integrated circuit)またはDSP(digital signal processor)などの集積回路であってもよい。
【0059】
制御部270は、記憶部271を有している。記憶部271は、各種のデータを記憶するハードディスク装置またはSSD(Solid State Drive)などである。記憶部271は、薬剤供給装置101の各種の動作を実行するためのプログラムを格納するとともに、必要な情報を記憶する領域として設けられている。制御部270は、記憶部271に格納されているプログラムおよび情報に基づいて、薬剤供給装置101の全体の動作を制御する。制御部270は、タイマ272を有している。タイマ272は、時刻を計時する。
【0060】
制御部270は、薬剤供給部220および薬剤包装部260の各々と電気的に接続されている。制御部270は、後述する制御装置300の制御部340と電気的に接続されている。
【0061】
薬剤供給部220は、薬剤収容部31を駆動する駆動部231を含んでいる。駆動部231は、薬剤収容部31の駆動軸150を駆動する駆動モータを含んでいる。駆動モータは、制御部270によって駆動制御される。複数の駆動部231の各々は、ドラム20に装着された複数の薬剤収容部31の各々を駆動する。制御部270は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31に対応する駆動部231を駆動する。これにより、薬剤収容部31に収容された供給対象の薬剤1が、薬剤収容部31から払い出されて、包装ユニット81に投入される。制御部270は、薬剤収容部31からの薬剤1の供給を制御する。
【0062】
薬剤供給部220は、RFID(Radio Frequency Identification)リーダライタ232を含んでいる。複数の薬剤収容部31の各々には、RFIDタグが付されている。RFIDタグは、各薬剤収容部31の識別情報を記憶している。RFIDリーダライタ232は、薬剤収容部31に付されているRFIDタグの情報を読み出す。RFIDリーダライタ232によって読み出された情報は、制御部270に入力される。
【0063】
薬剤供給部220は、ドラム駆動部241を含んでいる。ドラム駆動部241は、ドラム20を回転駆動するドラム駆動モータを含んでいる。ドラム駆動モータは、制御部270によって駆動制御される。ドラム駆動部241が発生した回転駆動力がドラム20に伝達されることにより、ドラム20は中心線CLを中心として両方向に回動する。制御部270は、ドラム20の回動を制御する。
【0064】
薬剤包装部260は、制御部270によって作動制御される。薬剤包装部260は、図4に示されるシール機構14および送りロール16を適宜駆動して、薬剤1を1回の服用分ずつ包装する。
【0065】
制御装置300は、操作部310と、表示部320と、制御部340とを有している。制御部340は、操作部310および表示部320の各々と電気的に接続されている。制御部340は、記憶部341を有している。
【0066】
制御部340は、CPU、RAM、ROMおよびEEPROMなどを有する。制御部340は、ASICまたはDSPなどの集積回路であってもよい。記憶部341は、各種のデータを記憶するハードディスク装置またはSSDなどである。
【0067】
操作部310は、ユーザー操作を受け付けるキーボード、マウスおよびタッチパネルなどである。操作部310で受け付けられた操作は、制御部340に入力される。
【0068】
表示部320は、液晶モニタなどである。表示部320は、情報を表示可能である。表示部320は、制御部340からの信号に基づいて画面を表示する。制御部340から表示部320に対して、表示部320に表示されるべき情報が出力される。表示部320は、操作部310と一体になった操作パネルであってもよい。
【0069】
(薬剤供給装置101の制御)
図14は、薬剤供給装置101の制御の一例を示す第1の図である。図15は、薬剤供給装置101の制御の一例を示す第2の図である。図16は、薬剤供給装置101の制御の一例を示す第3の図である。図14~16を参照して、薬剤供給装置101の第一実施形態の制御について説明する。具体的に、薬剤収容部31から薬剤1を供給する処理について説明する。第一実施形態では、薬剤収容部31から薬剤1を供給できるか否かの判断と、その判断に関連付けられたドラム20の回転とについて、説明する。
【0070】
制御部270は、処方箋に基づく処方データの入力を受ける。処方データは、少なくとも1種類の薬剤1を含んでいる。制御部270に入力された処方データに含まれる薬剤1が、供給対象の薬剤1である。制御部270は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31から薬剤1を供給する処理をする。
【0071】
薬剤収容部31のロータ120は、図8に示される矢印A方向の回転である正転、および矢印B方向の回転である逆転が可能に構成されている。薬剤収容部31から薬剤1を供給する処理を開始する際には、ロータ120の正転がまず行なわれる。ロータ120を正転しても薬剤収容部31内の薬剤1が薬剤収容部31から排出されなければ、ロータ120の回転方向が切り換えられ、ロータ120の逆転が行なわれる。
【0072】
図14に示されるように、まずステップS1において、制御部270は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31のロータ120の逆転回数をリセットする。つまり制御部270は、ステップS1の処理において、ロータ120の逆転回数をゼロに設定する。ロータ120の逆転回数は、記憶部271に記憶される。
【0073】
ステップS2において、制御部270は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31のロータ120の正転を開始する。制御部270は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31の駆動軸150を回転させることにより、ロータ120を正転させるように、駆動部231を駆動制御する。
【0074】
ステップS3において、制御部270は、タイマ272をセットする。制御部270は、タイマ272による計時を開始する。ステップS3の時点で、タイマ272の計時時刻はゼロとされ、タイマ272は、ステップS3でセットされてからの時間の経過を計測する。
【0075】
ステップS4において、制御部270は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31から薬剤1が落下したか否かを判断する。薬剤収容部31の排出口112には、薬剤検出センサが設けられている。薬剤検出センサは、排出口112を通って落下する薬剤1を検出することが可能である。薬剤検出センサは、たとえばフォトセンサである。薬剤検出センサの検出結果は、制御部270に入力される。制御部270は、薬剤検出センサの検出結果に基づいて、薬剤収容部31から薬剤1が落下したか否かを判断する。
【0076】
薬剤収容部31から薬剤1が落下していれば(ステップS4の判断において「YES」)、ステップS5において、制御部270は、ロータ120の正転を停止する。制御部270は、記憶部271に、薬剤収容部31から落下した薬剤1の数を記憶させる。
【0077】
ステップS6において、制御部270は、薬剤収容部31から所定数の薬剤1が落下したか否かを判断する。この場合の所定数とは、処方データに従った、対象の薬剤1を供給すべき数量である。所定数の薬剤1が未だ供給されていなければ(ステップS6の判断において「NO」)、処理はステップS1に戻り、ロータ120を正転させて薬剤収容部31から薬剤1を供給する処理が、再度行なわれる。
【0078】
ステップS4において、薬剤収容部31から薬剤が落下していなければ(ステップS4の判断において「NO」)、ステップS7において、制御部270は、時間T11が経過したか否かを判断する。タイマ272は、ステップS3でセットされてからの時間の経過を計測している。制御部270は、タイマ272から時間の経過を読み出し、時間T11との比較を実行する。時間T11は、時間の経過に関する閾値であり、記憶部271に記憶されている。時間T11は、たとえば、ロータ120が所定の角度回転する所要時間として設定される。
【0079】
時間T11が未だ経過していなければ(ステップS7の判断において「NO」)、処理はステップS4に戻り、薬剤収容部31から薬剤1が落下したか否かを再度判断する。この間、ロータ120は正転を継続している。ロータ120を正転しても薬剤収容部31から薬剤1が落下しない時間が時間T11継続すると、ステップS7において「YES」と判断されて、ステップS8において、制御部270は、駆動軸150を停止させることにより、ロータ120の正転を停止する。
【0080】
ステップS9において、制御部270は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させる指示を出力する。具体的に、制御部270は、ドラム駆動部241に対して、ドラム20を回転させる制御信号を出力する。薬剤収容部31のメンテナンス位置は、たとえば、筐体2の前面に向く位置である。薬剤収容部31のメンテナンス位置は、たとえば、開口部3(図2)に向く方向である。薬剤収容部31のメンテナンス位置は、たとえば、扉6a,6b(図1,2)を開けた状態で開口部3を通じて薬剤供給装置101の前方から容易にアクセス可能な位置である。
【0081】
薬剤供給装置101を使用する使用者は、メンテナンス位置にある薬剤収容部31を容易にドラム20から取り外すことが可能である。使用者は、ドラム20から取り外された薬剤収容部31の蓋部130を開いて、収容部本体110の内部の状況を確認することができる。使用者は、収容部本体110に薬剤1が収容されておらず空の状態であれば、薬剤1を薬剤収容部31に補給することができる。使用者は、収容部本体110の内部で薬剤1の詰まりが発生していれば、詰まりを解消する作業を行なうことができる。使用者は、ロータ120が空回りするなどの不具合が発生していれば、新たな薬剤収容部31と交換することができる。
【0082】
続いてステップS10において、制御部270は、ロータ120の逆転回数が閾値を超過したか否かを判断する。この閾値は、記憶部271に記憶されている。閾値は、ゼロよりも大きい任意の整数である。ステップS10の判断が、薬剤1を供給する処理を開始してから1回目の判断であれば、逆転回数はゼロであり、逆転回数が閾値よりも小さい。そのため、ステップS10の判断では「NO」と判断され、処理は結合子(1)を介して、図15に示されるステップS11へ進む。
【0083】
ステップS11において、制御部270は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31のロータ120の逆転を開始する。制御部270は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31の駆動軸150を回転させることにより、ロータ120を逆転させるように、駆動部231を駆動制御する。
【0084】
ステップS12において、制御部270は、タイマ272をセットする。制御部270は、タイマ272による計時を開始する。ステップS12の時点で、タイマ272の計時時刻はゼロとされ、タイマ272は、ステップS12でセットされてからの時間の経過を計測する。
【0085】
ステップS13において、制御部270は、薬剤検出センサの検出結果に基づいて、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31から薬剤1が落下したか否かを判断する。ステップS4においてロータ120の正転で薬剤1が落下していないと判断された場合、収容部本体110の内部で薬剤1の詰まりが発生しており、その詰まりのために薬剤1が落下できない状況である可能性がある。薬剤1の詰まりを、ロータ120の回転方向を変えることで解消できる可能性がある。
【0086】
ステップS13で薬剤収容部31から薬剤1が落下していれば(ステップS13の判断において「YES」)、ロータ120を逆転させたことで薬剤1の詰まりが解消されたと推測できる。ステップS14において、制御部270は、ロータ120の逆転を停止する。制御部270は、記憶部271に、薬剤収容部31から落下した薬剤1の数を記憶させる。処理は結合子(2)を介して、図14のステップS6に進み、薬剤収容部31から落下した薬剤1の数量の判断が行なわれる。
【0087】
ステップS13において、薬剤収容部31から薬剤が落下していなければ(ステップS13の判断において「NO」)、ステップS15において、制御部270は、時間T12が経過したか否かを判断する。タイマ272は、ステップS12でセットされてからの時間の経過を計測している。制御部270は、タイマ272から時間の経過を読み出し、時間T12との比較を実行する。時間T12は、時間の経過に関する閾値であり、記憶部271に記憶されている。時間T12は、たとえば、ロータ120が所定の角度回転する所要時間として設定される。時間T12は、時間T11と同じ時間であってもよく、時間T11と異なる時間であってもよい。
【0088】
時間T12が未だ経過していなければ(ステップS15の判断において「NO」)、処理はステップS13に戻り、薬剤収容部31から薬剤1が落下したか否かを再度判断する。この間、ロータ120は逆転を継続している。ロータ120を逆転しても薬剤収容部31から薬剤1が落下しない時間が時間T12継続すると、ステップS15において「YES」と判断されて、ステップS16において、制御部270は、駆動軸150を停止させることにより、ロータ120の逆転を停止する。
【0089】
ステップS17において、制御部270は、逆転回数をインクリメントする。すなわち、制御部270は、逆転回数に1を加える処理をする。制御部270は、インクリメントした逆転回数を、記憶部271に記憶させる。
【0090】
処理は結合子(3)を介して、図16に示されるステップS18へ進む。ステップS18において、制御部270は、ロータ120の正転を開始する。ステップS19において、制御部270は、タイマ272をセットする。ステップS20において、制御部270は、薬剤収容部31から薬剤1が落下したか否かを判断する。ステップS18~S20の処理は、図14を参照して説明したステップS2~S4と同様に行なわれる。
【0091】
ステップS20で薬剤収容部31から薬剤1が落下していれば(ステップS20の判断において「YES」)、ロータ120の回転方向を正転から逆転に切り換え、逆転から正転にさらに切り換えたことで、薬剤収容部31内の薬剤1の詰まりが解消されたと推測できる。ステップS21において、制御部270は、駆動軸150を停止させることにより、ロータ120の正転を停止する。制御部270は、記憶部271に、薬剤収容部31から落下した薬剤1の数を記憶させる。処理は結合子(2)を介して、図14のステップS6に進み、薬剤収容部31から落下した薬剤1の数量の判断が行なわれる。
【0092】
ステップS20において、薬剤収容部31から薬剤が落下していなければ(ステップS20の判断において「NO」)、ステップS22において、制御部270は、時間T13が経過したか否かを判断する。タイマ272は、ステップS19でセットされてからの時間の経過を計測している。制御部270は、タイマ272から時間の経過を読み出し、時間T13との比較を実行する。時間T13は、時間の経過に関する閾値であり、記憶部271に記憶されている。時間T13は、たとえば、ロータ120が所定の角度回転する所要時間として設定される。時間T13は、時間T11,T12のいずれか一方または両方と同じ時間であってもよく、時間T11,T12と異なる時間であってもよい。
【0093】
時間T13が未だ経過していなければ(ステップS22の判断において「NO」)、処理はステップS20に戻り、薬剤収容部31から薬剤1が落下したか否かを再度判断する。この間、ロータ120は正転を継続している。ロータ120を正転しても薬剤収容部31から薬剤1が落下しない時間が時間T13継続すると、ステップS22において「YES」と判断されて、ステップS23において、制御部270は、駆動軸150を停止させることにより、ロータ120の正転を停止する。
【0094】
処理は結合子(4)を介して、図14のステップS10へ進み、制御部270は、ステップS17でインクリメントした後の逆転回数が閾値を超過したか否かを判断する。インクリメントした後の逆転回数が閾値よりも小さければ、図15に示されるロータ120を逆転させる一連の処理が、再度実行される。
【0095】
ステップS10でロータ120の逆転回数が閾値を超過したと判断されれば(ステップS10において「YES」)、ステップS24において、制御部270は、取り出しエラーの処理をする。ステップS24に進んだ時点では、ロータ120は停止している。制御部270は、ロータ120を停止したままとして、薬剤収容部31から供給対象の薬剤1を取り出せなかったことを、薬剤供給装置101の使用者に通知する。通知は、ディスプレイである操作部51および/または表示部320に情報を表示する視覚的な通知であってもよく、音声を発する聴覚的な通知であってもよく、それら両方であってもよい。
【0096】
通知によって取り出しエラーを認識した使用者は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31を、ドラム20から取り外す。使用者は、薬剤収容部31への薬剤1の補給、薬剤収容部31内における薬剤1の詰まりの解消、薬剤収容部31の交換、などの、所定のメンテナンス作業をする。ステップS9の処理によって、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31がメンテナンス位置へ移動しているので、薬剤収容部31をドラム20から、容易にかつ待ち時間なく取り外すことが可能になっている。
【0097】
メンテナンス作業を終えると、作業者は、エラー解除ボタンを押下するなど、取り出しエラーをリセットする入力をする。作業者は、操作部51を操作してもよく、操作部310を操作してもよい。このリセットの入力を受けると、結合子(5)を介して処理はステップS1に戻る。そして、ロータ120を正転させて薬剤収容部31から薬剤1を取り出す処理が再開される。
【0098】
ステップS6の判断で、薬剤収容部31から所定数の薬剤1が落下したと判断されると(ステップS6において「YES」)、処方データに従った数量の薬剤1の供給が完了したことになる。そして、処理を終了する(図14の「終了」)。
【0099】
(作用および効果)
上述した説明と一部重複する記載もあるが、本実施形態の特徴的な構成および作用効果についてまとめて記載すると、以下の通りである。
【0100】
図14~16に示されるように、制御部270は、ステップS1~S24の薬剤収容部31から薬剤1を供給する一連の処理中に、ステップS9において、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させるための、ドラム20の回動を実行する。ステップS24で取り出しエラーが実際に出る前の、1回目のステップS4,S7の判断で、ロータ120の正転で薬剤収容部31から薬剤1が供給できないと判断されたときに、取り出しエラーが出る可能性が高いと判断して、対象の薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させる。
【0101】
これにより、取り出しエラーが実際に出るときには、対象の薬剤収容部31がメンテナンス位置へ既に移動しているか、メンテナンス位置への移動中であってもメンテナンス位置までの距離が移動開始前よりも短くなっている。薬剤供給装置101を使用する使用者は、メンテナンス位置へ到達した対象の薬剤収容部31をメンテナンスして、取り出しエラーを解消する。取り出しエラーが実際に出る時刻から薬剤収容部31がメンテナンス可能となる時刻までの時間を短くでき、理想的には時間をゼロにできるので、薬剤収容部31をメンテナンスするときの待ち時間を減らすことができる。
【0102】
取り出しエラーを短時間で解消でき、供給対象の薬剤1を供給する処理を迅速に再開できるので、薬剤供給装置101が薬剤を供給する全体の時間を短縮することができる。これにより、薬剤供給装置101の生産性を向上することができる。
【0103】
図14に示されるように、ステップS10において、制御部270は、薬剤収容部31から供給対象の薬剤1を供給できるか否かを判断する。制御部270は、薬剤収容部31から薬剤1を供給できないと判断される前のステップS9において、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させるための、ドラム20の回動を実行する。
【0104】
ステップS10において薬剤収容部31から薬剤を供給できないと判断される(ステップS10の判断で「YES」)前の、ステップS9において、対象の薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させる。これにより、薬剤収容部31から薬剤を供給できないと判断される時刻から薬剤収容部31がメンテナンス可能となる時刻までの時間を短くでき、理想的には時間をゼロにできるので、薬剤収容部31をメンテナンスするときの待ち時間を減らすことができる。
【0105】
図14~16に示されるように、ステップS4,S13,S20で、薬剤収容部31から薬剤1を供給するための、ロータ120を正転および逆転させる動作を実行しても、薬剤収容部31から薬剤1が供給されなかったとき、制御部270は、薬剤収容部31から薬剤1が供給できないと判断する。これにより、薬剤収容部31から薬剤を供給できないとの判断を精度よく行なうことができる。
【0106】
[第二実施形態]
図17は、第二実施形態における薬剤供給装置101の制御の一例を示す図である。第二実施形態における薬剤供給装置101の制御は、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させる処理を実行する順序において、第一実施形態とは異なっている。具体的には、図17に示されるように、第二実施形態では、制御部270は、薬剤収容部31から薬剤1を供給する処理を開始すると直ちに、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させるステップS09の処理を実行する。つまり、第二実施形態では、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31を、薬剤収容部31から薬剤1が供給できないと判断されるか否かに関係なく、メンテナンス位置へ移動させる。
【0107】
薬剤収容部31の移動を開始するタイミングを早めることにより、取り出しエラーが実際に出るときに、対象の薬剤収容部31がメンテナンス位置へ既に移動している状況が実現されやすくなる。取り出しエラーが実際に出ると直ちに薬剤収容部31をメンテナンスすることができ、メンテナンスの待ち時間を確実に減らすことができる。
【0108】
処方データに複数種類の薬剤1が含まれている場合の処理の例について、以下に説明する。図18は、調剤履歴を示すテーブルである。図18に示される調剤履歴は、記憶部271に記憶されている。記憶部271は、薬剤供給装置101が薬剤を供給した過去の履歴を記憶している。図18に示される調剤履歴は、過去に制御部270に入力された処方データに基づく薬剤の供給の履歴であってもよい。または、他の薬剤供給装置が実行した薬剤供給の履歴を一括して制御部270に入力して、記憶部271に記憶させてもよい。処方データが新たに制御部270に入力されると、調剤履歴は更新される。
【0109】
図18に示される薬剤A~Fは、それぞれ異なる種類の薬剤を示す。薬剤A~Fは、それぞれ異なる薬剤収容部31に収容されている。図18には、1包目から10包目までの包装袋に、薬剤A~Fのうちどの薬剤が分包されたのかの履歴が示されている。
【0110】
具体的に、1包目、4包目、5包目、7包目および10包目の包装袋には、1錠の薬剤Aと1錠の薬剤Bとが分包されている。2包目、6包目および9包目の包装袋には、1錠の薬剤Cと1錠の薬剤Dとが分包されている。3包目および8包目の包装袋には、1錠の薬剤Eと1錠の薬剤Fとが分包されている。
【0111】
各々の薬剤収容部31からの薬剤供給履歴において、薬剤Aと薬剤B、薬剤Cと薬剤D、および、薬剤Eと薬剤Fは、それぞれ、ひとまとまりとして供給される。制御部270は、過去の薬剤供給履歴に基づいて、薬剤収容部31の配置を決定する。制御部270は、ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤1を収容する薬剤収容部31が近くに配置されるように、薬剤収容部31の配置を決定する。
【0112】
図19は、薬剤収容部31の配置の第一の例を示す模式図である。図19には、ドラム20の一部分が模式的に図示されている。図7に示される分割体30が周方向θに4つの薬剤収容部31を有しており、軸方向Zに8つの薬剤収容部31を有しており、4つの分割体30の組み合わせでドラム20が構成されている。ドラム20は実際には同じ高さに4×4=16個の薬剤収容部31を含んでいる。図19では、説明の簡略化のため、上下方向に8列の薬剤収容部31が並べられて配置され、同じ高さに4つの薬剤収容部31が並べられて配置されている。図19および後続の図20においては、図中の左右方向が周方向θであり、図中の上下方向が軸方向Zである。
【0113】
ホッパシュート11は、ドラム20の下方に配置されている。そのためホッパシュート11の出口11bは、薬剤収容部31の下方に配置されている。
【0114】
図19に示される薬剤収容部31Aは、薬剤Aを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部31Bは、薬剤Bを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部31Cは、薬剤Cを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部31Dは、薬剤Dを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部31Eは、薬剤Eを収容する薬剤収容部である。薬剤収容部31Fは、薬剤Fを収容する薬剤収容部である。
【0115】
薬剤収容部31A,31Bは、同じ高さに、周方向θに隣り合って配置されている。薬剤収容部31C,31Dは、同じ高さに、周方向θに隣り合って配置されている。薬剤収容部31E,31Fは、同じ高さに、周方向θに隣り合って配置されている。
【0116】
ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤1を収容する薬剤収容部31が隣り合って配置されているので、供給対象の薬剤1を収容する一方の薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させることにより、他方の薬剤収容部31もメンテナンス位置に配置することができる。これにより、複数種類の薬剤1のいずれか一方に関して取り出しエラーが出たときに、その薬剤を収容する薬剤収容部31は既にメンテナンス位置にあることになる。取り出しエラーが実際に出ると直ちに薬剤収容部31をメンテナンスすることができ、メンテナンスの待ち時間を確実に減らすことができる。
【0117】
図20は、薬剤収容部31の配置の第二の例を示す模式図である。図20に示される例においては、薬剤収容部31A,31Bは、周方向θに同じ位置に、軸方向Zに隣り合って配置されている。薬剤収容部31C,31Dは、周方向θに同じ位置に、軸方向Zに隣り合って配置されている。薬剤収容部31E,31Fは、周方向θに同じ位置に、軸方向Zに隣り合って配置されている。
【0118】
ドラム20は全体として円筒状の形状を有しているので、軸方向Zに並ぶ複数の薬剤収容部31は、周方向θに同じ位置に配置される。ひとまとまりとして供給される複数種類の薬剤1を収容する薬剤収容部31が周方向θに同じ位置に配置されているので、供給対象の薬剤1を収容する複数の薬剤収容部31のうちの一方をメンテナンス位置へ移動させることにより、他方も確実にメンテナンス位置に配置することができる。
【0119】
図21は、複数種類の薬剤1の各々の残量の一例を示す表である。制御部270は、過去の薬剤供給履歴により、各々の薬剤収容部31に収容されている薬剤1の残量を計算することができる。各々の薬剤収容部31に薬剤1が補給されたときに、補給された薬剤1の数量が手入力されたり、補給された薬剤1の重量を計測することで薬剤1の数量を計算したりする。補給された薬剤1の数量が制御部270に入力されて、制御部270は薬剤1が補給された時点で薬剤収容部31に収容されている薬剤1の数量を計算する。制御部270は、計算した薬剤収容部31に収容されている薬剤1の数量を、薬剤収容部31毎に記憶部271に記憶する。
【0120】
薬剤収容部31の排出口112から落下する薬剤1を、薬剤検出センサが検出する。薬剤検出センサが薬剤1の落下を検出する度に、制御部270は、薬剤収容部31に収容されている薬剤1の数量を、1ずつ減算する。このようにして制御部270は、薬剤収容部31内の薬剤1の残量を計算できる。制御部270は、計算した薬剤1の残量を、記憶部271に記憶する。
【0121】
または、処方データには供給対象の薬剤1の供給される数量が含まれている。制御部270は、入力された処方データに含まれている薬剤1の数量を、薬剤収容部31に収容されている薬剤1の数量から、減算する。このようにしても、制御部270は、薬剤収容部31内の薬剤1の残量を計算できる。制御部270は、計算した薬剤1の残量を、記憶部271に記憶する。
【0122】
図21に示される例では、過去の履歴において、薬剤A,Bは、ひとまとまりとして供給される頻度が高い。同じ処方データに、薬剤Aと薬剤Bとの両方が含まれている頻度が高い。薬剤A,Bのうち、薬剤Aの残量が少なく、薬剤Bの残量が多い。そのため、薬剤Bを収容する薬剤収容部31Bが空になるよりも前に、薬剤Aを収容する薬剤収容部31Aが空になる可能性が高い。
【0123】
図19に示される薬剤収容部31A,31Bが周方向θに並べられる配置の場合、制御部270は、薬剤Aを収容する薬剤収容部31Aを薬剤収容部31Bよりも優先してメンテナンス位置へ移動させるように、ステップS09で薬剤収容部31を移動させる処理を実行することができる。薬剤1の残量が少ない薬剤収容部31をメンテナンス位置へ予め移動させておくことで、薬剤収容部31が空になって取り出しエラーが出たときに、直ちに薬剤を補給することができる。したがって、薬剤収容部31に薬剤1を補給するときの待ち時間を確実に減らすことができる。薬剤供給装置101が薬剤を供給する全体の時間を短縮することができ、生産性を向上することができる。
【0124】
薬剤1の残量が少ない薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させた場合に、薬剤1を供給する処理中に取り出しエラーが出なければ、薬剤1を供給する処理が終了した後に、制御部270は、使用者に薬剤の補給を促す通知をしてもよい。
【0125】
制御部270は、薬剤1の残量の閾値を設定可能であってもよい。この場合、制御部270は、ステップS09で、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31のうち、薬剤1の残量が残量の閾値よりも少ない薬剤収容部31を、メンテナンス位置へ移動させてもよい。また、制御部270は、薬剤収容部31から薬剤1を供給する処理中に、薬剤1の残量が残量の閾値よりも少なくなった時点で、その薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させてもよい。
【0126】
残量の閾値は、共通の値に設定されてもよく、または、薬剤1の種類ごとに異なる値に設定されてもよい。薬剤1の種類によっては、処方データに含まれる薬剤1の数量が多いものや、少ないものがある。この点を考慮すると、残量の閾値は、薬剤1の種類ごとに異なる値に設定されるのが好ましい。たとえば1日1回1錠で90日分の処方が多い薬剤1は、残量の閾値を100に設定し、1日1回1錠で21日分の処方が多い薬剤1は、残量の閾値を30に設定してもよい。これによって、空になる可能性が高い薬剤収容部31を優先的にメンテナンス位置へ移動させておくことができる。
【0127】
図22~25は、ドラム20の回動範囲を説明する模式図である。図22~25および後続の図26に示される例では、図5と同様に、ドラム20は、4つの弧状の分割体30が組み合わされて形成されている。A,B,C,Dの分割体30がこの順にそれぞれ第1~第4の分割体30であるとする。扉6a,6b(図1,2)を開けた状態で開口部3(図2)を通じて薬剤供給装置101の前方(図22~26においては、図中の下方)から容易にアクセス可能な位置が、メンテナンス位置21である。
【0128】
ドラム20にはたとえば各種配線が接続されている。そのような構造では、ドラム20が一方の方向にあまりに多くの角度を回転すると、配線がねじれて配線またはその周辺の部品に過度の負荷がかかってしまう。したがって、そのような事態を避けるためにドラム20の回動範囲に制限が設けられている。回動範囲に制限を設ける理由は、配線のねじれ以外の理由であってもよい。
【0129】
図22に示す状態では、第1の分割体30がメンテナンス位置21にある。この状態でドラム20を中心線CLを中心として反時計回りに90°回転させることによって、図22の状態から図23の状態に遷移することが可能である。図23では、第2の分割体30であるBの分割体30がメンテナンス位置21にある。
【0130】
図23の状態でドラム20をさらに反時計回りに90°回転させることによって、図24の状態に遷移することが可能である。図24では、第3の分割体30であるCの分割体30がメンテナンス位置21にある。
【0131】
図24の状態でドラム20をさらに反時計回りに90°回転させることによって、図25の状態に遷移することが可能である。図25では、第4の分割体30であるDの分割体30がメンテナンス位置21にある。
【0132】
図25の状態では、ドラム20をさらに反時計回りに90°回転させることで図22の状態に遷移することができるかのように見えるが、回動範囲の制限のために、ドラム20はもはやこれ以上反時計回りに回転することができない。図25に示される第4の分割体30がメンテナンス位置21にある状態において、図22に示される第1の分割体30がメンテナンス位置21にある状態へと遷移しようとする場合には、ドラム20を反時計回りに90°回転させるのではなく、ドラム20を中心線CLを中心として時計回りに270°回転させる。すなわち、図25の状態から、図24の状態、図23の状態を順に経由して、図22の状態に至ることができる。
【0133】
このようにドラム20の回動範囲が制限されている場合には、図17に示される、薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させるステップS09の処理においては、ドラム20の回動範囲の中間位置をメンテナンス位置21へ移動させることができる。図26は、ドラム20の回動範囲の中間位置をメンテナンス位置に配置した状態を示す模式図である。図22~25を参照して説明した例では、第2の分割体30と第3の分割体30との間の位置がドラム20の回動範囲の中間位置であるので、図26においては、第2の分割体30と第3の分割体30との間の位置がメンテナンス位置21に配置されている。
【0134】
このように、薬剤収容部31から薬剤1を供給する処理を開始すると直ちに、ドラム20の回動範囲の中間位置をメンテナンス位置21へ移動させることで、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31をメンテナンス位置21へ移動させる移動時間を短くすることができる。
【0135】
すなわち、図25に示される状態で第1の分割体30であるAの分割体30に含まれる薬剤収容部31が供給対象の薬剤1を収容している場合においては、当該薬剤収容部31に対して取り出しエラーが出ると、ドラム20を時計回りに270°回転させて、その薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させることになる。ドラム20の回動範囲の中間位置を予めメンテナンス位置へ移動させておくことで、図26に示されるように、供給対象の薬剤1を収容する薬剤収容部31をメンテナンス位置へ移動させるためのドラム20の回転角度を、180°より小さくすることができる。ドラム20の回転角度を小さくでき、ドラム20を回転させる時間を短くすることができる。したがって、薬剤収容部31に薬剤1を補給するときの待ち時間を確実に減らすことができる。
【0136】
今回開示された実施形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0137】
1 薬剤、2 筐体、3 開口部、10 包装シート、20,20a,20b ドラム、21 メンテナンス位置、30 分割体、31,31A,31B,31C,31D,31E,31F 薬剤収容部(カセット)、32 支持部、51 操作部、81 包装ユニット、82 供給ユニット、101 薬剤包装装置、110 収容部本体、111 周壁、112 排出口、120 ロータ、150 駆動軸、220 薬剤供給部、231 駆動部、241 ドラム駆動部、260 薬剤包装部、270 制御部、271 記憶部、272 タイマ、CL 中心線、Z 軸方向、θ 周方向。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26