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  • 特開-ヒンジキャップ 図1
  • 特開-ヒンジキャップ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017117
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】ヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/32 20060101AFI20240201BHJP
   B65D 47/08 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D47/32 300
B65D47/08 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022119553
(22)【出願日】2022-07-27
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100186358
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 信人
(74)【代理人】
【氏名又は名称】佐野 整博
(72)【発明者】
【氏名】山本 学
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA12
3E084AB01
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB13
3E084FA02
3E084FC07
3E084GA06
3E084GB06
3E084KA06
3E084LA18
3E084LD01
(57)【要約】
【課題】 リーク検査のための空気通路を外観上目立たないように形成することができるヒンジキャップを提供すること。
【解決手段】 キャップ本体Bと、キャップ本体Bにヒンジ部Cを介して連設される蓋体Dとからなるヒンジキャップであって、キャップ本体Bは、装着部3から立設される蓋係合部11と、上壁4と、上壁4から立設された注出筒5とを備え、蓋体Dは、頂壁30の周縁部から垂設される側周壁31と、密封筒32とを備え、側周壁31は、内周下部の周方向に形成され、蓋係合部11と係合する内周係止部36と、内周係止部36の周方向に形成され、閉蓋時に、蓋係合部11の上面と当接する段部35と、ヒンジ部Cの形成位置に凹設され、段部35の下面と内周係止部36の内面をくり抜いた凹溝37とを備え、蓋係合部11と凹溝37との間に空気通路αを形成することを特徴とする。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジ部を介して連設される蓋体とからなるヒンジキャップであって、
キャップ本体は、容器の口部に装着される装着部と、装着部から立設される蓋係合部と、装着部から内方に延設され、注出口が開口された上壁と、上壁から立設された注出筒とを備え、
蓋体は、頂壁と、頂壁の周縁部から垂設される側周壁と、頂壁の裏面から垂設され、キャップ本体の注出筒を密封する密封筒とを備え、
側周壁は、内周下部の周方向に形成され、蓋係合部と係合する内周係止部と、内周係止部の周方向に形成され、閉蓋時に、蓋係合部の上面と当接する段部と、ヒンジ部の形成位置に凹設され、段部の下面と内周係止部の内面をくり抜いた凹溝とを備え、
蓋係合部と凹溝との間に空気通路を形成することを特徴とするヒンジキャップ。
【請求項2】
ヒンジ部は、中央のヒンジと、ヒンジの両側に隣接するストラップとを備え、
凹溝は、ストラップの形成範囲に凹設されることを特徴とする請求項1に記載のヒンジキャップ。
【請求項3】
側周壁は、下面から上向きに凹設される周方向の肉抜き溝を備え、
肉抜き溝は、ヒンジ部の形成範囲を除く側周壁の下面から上向きに凹設されることを特徴とする請求項1または2に記載のヒンジキャップ。
【請求項4】
肉抜き溝は、段部の上端部の高さと同等の高さで上向きに凹設されることを特徴とする請求項3に記載のヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の口部に装着されるヒンジキャップに関し、とくにリーク検査のための空気通路が目立たないヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、容器の口部に装着されるキャップ本体に、ヒンジ部を介してキャップ本体の開口部を閉塞する蓋体が連設され、抜栓部の無いヒンジキャップにおいて、キャップ本体に設けられたノズル状の注出筒を蓋体の下面から垂設された密封筒で密閉するヒンジキャップが知られている。
【0003】
上記のような密封筒と注出筒を有するヒンジキャップにおいては、成形後に閉蓋し、密封筒と注出筒との間のシール部が密閉されているかを確認するためにリーク検査(密閉検査)が行われており、その場合、蓋体とキャップ本体との間の外周気密部分に空気通路となる隙間を設ける必要があった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-151402号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1記載のヒンジキャップでは、空気通路を形成するために、キャップ本体の蓋係合部の一部を切り欠いているため、ヒンジキャップを開蓋した際に、切り欠いた部分が外観上目立つという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題を解決することを課題とし、リーク検査のための空気通路を外観上目立たないように形成することができるヒンジキャップを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するため、ヒンジキャップとして、容器の口部に装着されるキャップ本体と、キャップ本体にヒンジ部を介して連設される蓋体とからなるヒンジキャップであって、キャップ本体は、容器の口部に装着される装着部と、装着部から立設される蓋係合部と、装着部から内方に延設され、注出口が開口された上壁と、上壁から立設された注出筒とを備え、蓋体は、頂壁と、頂壁の周縁部から垂設される側周壁と、頂壁の裏面から垂設され、キャップ本体の注出筒を密封する密封筒とを備え、側周壁は、内周下部の周方向に形成され、蓋係合部と係合する内周係止部と、内周係止部の周方向に形成され、閉蓋時に、蓋係合部の上面と当接する段部と、ヒンジ部の形成位置に凹設され、段部の下面と内周係止部の内面をくり抜いた凹溝とを備え、蓋係合部と凹溝との間に空気通路を形成することを特徴とする構成を採用する。
【0008】
ヒンジキャップの具体的実施形態として、ヒンジ部は、中央のヒンジと、ヒンジの両側に隣接するストラップとを備え、凹溝は、ストラップの形成範囲に凹設されることを特徴とする構成、また、側周壁は、下面から上向きに凹設される周方向の肉抜き溝を備え、肉抜き溝は、ヒンジ部の形成範囲を除く側周壁の下面から上向きに凹設されることを特徴とする構成、また、肉抜き溝は、段部の上端部の高さと同等の高さで上向きに凹設されることを特徴とする構成を採用する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のヒンジキャップは、上記構成を採用することにより、リーク検査用の空気通路を外観上目立たないように形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の実施例であるヒンジキャップを装着した容器の閉蓋状態を示す図であり、(a)は側面断面図で、(b)は凹溝付近の要部拡大断面図である。
図2】本発明の実施例であるヒンジキャップの開蓋状態を示す図であり、(a)は上面図で、(b)は側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明のヒンジキャップについて、実施例を示した図面を参照して説明する。
なお、以下の説明において、図1(a)でみて、左方向を「注出側」、右方向を「背面側」、上方向を「上」、下方向を「下」とする。
【実施例0012】
図1(a)において、Aは容器、Bは容器Aに装着されるキャップ本体、Dはキャップ本体Bにヒンジ部Cを介して開閉可能に取り付けられる蓋体である。
容器Aは、図示しない胴部がスクイズ変形可能で、上部に口部1を有し、口部1の外周面上部には、嵌合突条2が設けられている。
【0013】
図1に示すように、キャップ本体Bは、容器Aの口部1に打栓される装着部3と、装着部3の内縁から内方に延設され、口部1の開口を封鎖する上壁4と、上壁4を貫通する注出口4aと、注出口4aからわずかに拡径した径で上壁4の上面に立設される注出筒5とを備えている。
注出口4aは、キャップ本体Bの中心から注出側寄りに開口されている。
注出筒5は、内容液を注ぎ易くするために、本実施例では、注出側は、背面側よりも高く形成され、リップ部5aは、ラッパ状に広がっている。
【0014】
装着部3は、容器Aの口部1の上面に当接する環状の基壁部6と、基壁部6の内周側から垂設される内筒7と、基壁部6の外周側から垂設される外周壁部8とから構成されており、外周壁部8には、背面側上端にヒンジ部Cが連設され、内周下部に容器Aの口部1の嵌合突条2と係合する係合突部9が設けられている。
基壁部6は、上部に蓋係合部11が立設され、蓋係合部11の外周には係止突条12が周設されている。
【0015】
図2に示すように、外周壁部8の上部には、注出側に、ほぼ180°の円弧範囲で円弧状に上から所定の深さで外周から凹設された段凹部15が設けられ、残りの背面側は、上面8aが上壁4上面と面一の高さとなり、外周上端にヒンジ部Cが連設される。
段凹部15は、上面8aから下がった平坦面15aと、平坦面15aの内周縁から内側上方に傾斜する傾斜面15bと、平坦面15aの端部の両側から上面8aのそれぞれの両側に向って傾斜する傾斜側面15cとが形成されている。
外周壁部8の注出側には、段凹部15の平坦面15aから下方に向けて切り欠き凹部10が凹設されている。
【0016】
図2(a)に示すように、背面側から見てヒンジ部Cの左側近傍に、外周面に平面視で略V字状の外周切り込み部16が下端部に薄肉底壁17を残して上面8aから切り込まれている。
外周壁部8内周の係合突部9の外周切り込み部16に対応する位置には、図示しないが内周切り込み部が縦方向に刻設され、縦方向引き裂きラインが形成される。
【0017】
また、外周壁部8の背面側には、外周切り込み部16の内周側の上部の薄肉部を隔てた位置を起点としてヒンジ部C側を通り円弧状に延び、外周壁部8のヒンジ部Cから見て右側中央付近まで、スリット溝18が上方から凹設されており、縦方向引き裂きラインに隣接するスリット溝18の起点を引き裂き開始点として、スリット溝18の底面内方を周方向引き裂きラインとして引き裂き可能となっている。
【0018】
本実施例では、蓋体Dを引っ張ることで、ヒンジ部Cを介して、外周壁部8の縦方向引き裂きラインおよび周方向引き裂きラインを引き裂き開始点近傍の段凹部15まで(引き裂き不能部分)引き裂き、容器Aの口部1に装着されるキャップ本体Bの装着部3(引き裂き不能部分)の嵌合を外し、容器Aからキャップ本体Bを分別する分別機構としている。
なお、分別機構は、他の手法に基づくものであってもよく、なくても構わない。
【0019】
図1(a)に示すように、上壁4には、下面に、注出口4aの下方に配設される有底の整流筒20と、整流筒20に対して背面側に並んで配置されるとともに連通する整流筒20より大径かつ下方に長い垂下筒25とが垂設されている。
【0020】
整流筒20は、注出口4aからわずかに縮径されて下方に円筒状に延びる周壁21と、周壁21の背面側に垂下筒25まで連通する横穴22が開口され、周壁21の底部を塞ぐとともに上面23aが注出側から横穴22の下端に向かい下方に傾斜する底壁23とを備えている。
【0021】
垂下筒25は、注出側の内周上部が、整流筒20の横穴22に連通して開口し、該部分は、整流筒20と一体となり、垂下筒25の背面側は、切り欠き26により切り欠かれ、開口している。
【0022】
図2(a)に示すように、ヒンジ部Cは、キャップ本体Bおよび蓋体Dの背面側中央の円弧範囲θ1に連設されるヒンジ28と、円弧範囲θ1を挟んでそれぞれ周方向に延びる両側の円弧範囲θ2に連設される弾性変形するストラップ29とから構成されている。なお、ヒンジ部Cは、中央のヒンジ28を弾性変形するストラップ29とし、両側のストラップ29をヒンジ28とする構成にしても構わず、ヒンジキャップの形態に応じてヒンジ部Cの構造は適宜設定することができる。ヒンジ部Cは、開蓋後に蓋体Dを開蓋状態に維持することができる。
【0023】
図1および図2に示すように、蓋体Dは、キャップ本体Bの外周壁部8の背面側外周上端に、ヒンジ部Cを介して回動自在に取着されており、蓋体Dには、頂壁30と、頂壁30の周縁から垂設される側周壁31と、頂壁30の裏面から垂設され、注出筒5を密封する密封筒32とが設けられている。
頂壁30には、密封筒32の外周側に変形可能な薄肉部33が周設されている。
【0024】
図1(a)に示すように、密封筒32は、閉蓋時に注出筒5の内周面に挿入されて密封状態とする通常のシール部aが形成されるとともに、密封筒32の下部外周側が縮径された下部シール筒32aが設けられ、下部シール筒32aは、閉蓋時において、上壁4の注出口4aの内周面に近接あるいは当接するように形成されており、下部シール筒32aと注出口4aの内周面とで、シール部aの下にもう一つの仮シール部bが形成される。
【0025】
シール部aと仮シール部bとの二段のシールでヒンジキャップが密封されるので、衝撃により、片方のシール部が外れる場合にも、他方のシール部によりシールされ、内容液が漏れることがない。
また、シール部aと仮シール部bとの間に空間cが設けられ、容器Aの落下等による衝撃を受けて、仮シール部bに少量の内容液が侵入したときの空間cに内容液をとどめることができる。
【0026】
図1(b)および図2(a)に示すように、側周壁31の下端部内周には、蓋係合部11の係止突条12と係合して閉蓋状態を維持する内周係止部36が周設されている。
また、側周壁31の内周係止部36の上側に、閉蓋時に下面35aが蓋係合部11の上面と当接し、ヒンジキャップの打栓時に、側周壁31の座屈を防止する段部35が内方に向けて突設されている。
また、側周壁31のヒンジ部C側の円弧範囲θ2内には、それぞれ、段部35の下面35aと内周係止部36の内面を、所定の幅でくり抜いて連通し、閉蓋時に、蓋係合部11との間に空気通路αが形成される凹溝37が凹設されている。
【0027】
側周壁31の外周には、背面側の下端部にヒンジ部Cが連設され、注出側の下部に、周方向に円弧状の摘み部38が形成されている。
側周壁31下面の注出側外周縁には、摘み部38が形成された部分を除き、閉蓋時にキャップ本体Bの外周壁部8の段凹部15を覆うように、段凹部15の平坦面15aに、下端が近接あるいは当接するように形成された円弧状の被覆壁39が垂設されている。
【0028】
側周壁31の下部には、下面から周状に、円弧範囲θ2を除き、円弧範囲θ1も含んで、肉抜き溝40が凹設され、肉抜き溝40の内面側には周状に、薄肉の変形可能な係合筒部41を形成し、肉抜き溝40のない円弧範囲θ2は、外周面から内周面の肉厚部42となっている。
肉抜き溝40は、注出側の摘み部38が形成される円弧範囲に、段部35の下面35aの高さと同等の高さh2で上向きに凹設される低溝部40aと、低溝部40aの円弧範囲を除いて背面側に延び、段部35の上端の高さと同等の高さh1で上向きに凹設される高溝部40bとからなっている。なお、低溝部40aと高溝部40bの形成範囲と高さは適宜設定可能である。
【0029】
次に、本実施例の使用態様と作用効果について説明する。
本実施例のヒンジキャップは、図2に示す開蓋状態で一体成形される。
ヒンジキャップの一体成形では、金型の離型時、肉抜き溝40を抜いた後、側周壁31の内周側部分である係合筒部41が変形し、内周係止部36を抜くことになるので、無理抜きにならず、内周係止部36の形状をしっかり出すことができる。
【0030】
一体成形されたヒンジキャップは、蓋体Dをヒンジ部Cを介して回動し、キャップ本体Bに被せ、閉蓋する。
その際、蓋体Dの密封筒32の下部外周面が、キャップ本体Bの注出筒5の下部内周面に密着してシール部aとなる。
また、蓋体Dの側周壁31の段部35の下面35aがキャップ本体Bの蓋係合部11の上面と当接するとともに、側周壁31の内周係止部36が、蓋係合部11の係止突条12と係合し、閉蓋が維持される。
【0031】
本実施例の閉蓋したヒンジキャップは、閉蓋時の密封性をチェックするためにリーク検査を行う。リーク検査の際、キャップ本体Bの外周壁部8内方からリーク検査用の空気を吹き込むリーク検査治具を、外周壁部8内を密封するように装着した後、リーク検査治具からある程度の圧力の空気を吹き出し、空気をキャップ本体Bの垂下筒25の横穴22から、整流筒20内、上壁4の注出口4aを通し、注出筒5内に流す。
リーク検査の結果、問題なければ、蓋体Dの密封筒32とキャップ本体Bの注出筒5とのシール部aにより流路が封鎖され、空気が注出筒5から外にリークすることがない。
【0032】
しかしながら、蓋体Dの密封筒32とキャップ本体Bの注出筒5とのシールが不完全であると、シール部aから外方の蓋体D内に空気がリークし、図1(b)に示すように、キャップ本体Bの蓋係合部11と、蓋体Dの凹溝37との間に形成される空気通路αを介して蓋体Dの外にリークし続けることになり、リークを確実に発見できる。
【0033】
次に、図1(a)に示すように、閉蓋したヒンジキャップは、内容液が充填された容器Aの口部1に打栓して装着される。
打栓工程は、装着部3の内筒7と外周壁部8との間に形成された環状溝に容器Aの口部1を当てがい、蓋体Dの上から押圧力が加えられ、外周壁部8の係合突部9が容器Aの口部1の嵌合突条2を乗り越えて嵌合し、容器Aの口部1が内筒7の外周と外周壁部8の内周、および基壁部6とによって挟持されることで装着される。
【0034】
打栓の際には、蓋体Dの側周壁31が強く押圧されるため、係合筒部41は、下に押し付けられて外側に広がるおそれがあるが、本実施例では、段部35の下面35aが蓋係合部11の上面と当接することで、蓋体Dの座屈を防止することができる。
【0035】
また、閉蓋した状態で、倒立落下した際に、蓋体Dの頂壁30に衝撃力が加えられた場合でも、蓋体Dが受ける衝撃を薄肉部33が吸収し、密封筒32を注出筒5に対して押し込んだり、引き離したりしないので、密封筒32とキャップ本体Bの注出筒5との密着に影響を及ぼさず、密封筒32と注出筒5との密着が外れたり、密封筒32と注出筒5が互いに傷付け合ったりすることを防止している。
【0036】
容器A内の内容液を使用する際には、蓋体Dの摘み部38に手指を掛けて持ち上げると、注出側の側周壁31が持ち上げられ、係合筒部41が下部から肉抜き溝40側に変形し、その部分の内周係止部36と蓋係合部11の係止突条12との係合が外れ易くなるので、係合を外す力を弱くすることができる。
さらに摘み部38を持ち上げると、蓋体Dの密封筒32とキャップ本体Bの注出筒5とのシール部aが外され、蓋体Dが開蓋される。
【0037】
蓋体Dが開蓋された状態で、容器Aを倒したり、スクイズすると、容器A内の内容液は、垂下筒25の内部、整流筒20の横穴22、および整流筒20の内部を通過して注出口4aに到達し、その後、注出口4aを通じて注出筒5から注出される。
この過程で、内容液は、整流筒20の横穴22を通過することで、一度、上下方向に交差する方向に流れるものの、その後、整流筒20の内部を通過することで、上下方向に流れが整えられる。
【0038】
しかも、本実施例では、容器A内の内容液が整流筒20の横穴22に到達する前に、垂下筒25内を通過する。そのため、例えば、容器Aを急に倒したり、強くスクイズ変形する等しても、内容液の流れが乱れることが抑制され、これによって、内容液を所望の方向に注出し易くすることができる。
【0039】
蓋体Dをキャップ本体Bに再び閉蓋することで、蓋体Dの密封筒32は、外周がキャップ本体Bの注出筒5の内周に密着してシール部aが形成され、容器A内を密封することができ、ヒンジキャップは、繰り返し蓋体Dを開閉して使用することができる。
本実施例のヒンジキャップは、キャップ本体Bの外周壁部8の注出側に平坦面15aおよび傾斜面15bを形成した段凹部15を設けているので、内容液の使用中に容器Aを傾けた方向の注出筒5のリップ部5aから液が下の段凹部15に垂れても、傾斜面15bの傾斜により平坦面15aから切り欠き凹部10に流れるため、ティッシュ等で簡単に汚れを拭き取ることができる。
【0040】
次に、容器A内の内容液を全部使用した後、ヒンジキャップを分別廃棄する態様について説明する。
その際には、ヒンジキャップを開蓋し、蓋体Dを指で把持して外方に引っ張ると、ヒンジ部Cを介して外周壁部8の縦方向引き裂きラインおよび周方向引き裂きラインを引き裂き開始点近傍の段凹部15まで(引き裂き不能部分)引き裂き、容器Aの口部1に装着されるキャップ本体Bの装着部3(引き裂き不能部分)の嵌合を外し、容器Aからキャップ本体Bを分別することができる。
【0041】
本実施例では、蓋体Dの側周壁31の両側の円弧範囲θ2に、それぞれ凹溝37を凹設したが、閉蓋時に空気通路αを確保することができればよいので、凹溝37は、ヒンジ部Cの形成範囲に、少なくとも1個所凹設すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のヒンジキャップは、抜栓部がないタイプであっても、閉蓋状態でのリーク検査を簡単かつ確実に行うことができるので、食品用容器の口部に打栓するヒンジキャップとして好適である。
【符号の説明】
【0043】
A 容器
B キャップ本体
C ヒンジ部
D 蓋体
a シール部
b 仮シール部
c 空間
h1、h2 高さ
θ1、θ2 円弧範囲
α 空気通路
1 口部
2 嵌合突条
3 装着部
4 上壁
4a 注出口
5 注出筒
5a リップ部
6 基壁部
7 内筒
8 外周壁部
8a、23a 上面
9 係合突部
10 切り欠き凹部
11 蓋係合部
12 係止突条
15 段凹部
15a 平坦面
15b 傾斜面
15c 傾斜側面
16 外周切り込み部
17 薄肉底壁
18 スリット溝
20 整流筒
21 周壁
22 横穴
23 底壁
25 垂下筒
26 切り欠き
28 ヒンジ
29 ストラップ
30 頂壁
31 側周壁
32 密封筒
32a 下部シール筒
33 薄肉部
35 段部
35a 下面
36 内周係止部
37 凹溝
38 摘み部
39 被覆壁
40 肉抜き溝
40a 低溝部
40b 高溝部
41 係合筒部
42 肉厚部
図1
図2