(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171185
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】内装レイアウトシステム
(51)【国際特許分類】
A47C 11/00 20060101AFI20241204BHJP
A47C 7/62 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
A47C11/00
A47C7/62 B
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088131
(22)【出願日】2023-05-29
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-11-30
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り (1)令和5年4月3日に株式会社イトーキ本社オフィスにおいて、本願発明が掲載されたITOKI TOKYO XORKリニューアルオープンの案内チラシを配布した。(2)令和5年4月25日に株式会社イトーキ本社オフィスにおいて、本願発明を展示により公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】000139780
【氏名又は名称】株式会社イトーキ
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】中村 晋也
【テーマコード(参考)】
3B084
3B095
【Fターム(参考)】
3B084JA10
3B095AA10
3B095AC10
(57)【要約】
【課題】エリアの境界部分に設置され、共用空間において多様な用途に対応できる環境を提供することができるベンチを含む内装レイアウトシステムを提供する。
【解決手段】内装レイアウトシステム(1)は、第1床面(10)と、前記第1床面より高い第2床面(20)と、前記第1床面と前記第2床面との境界に設置され、前記第1床面および前記第2床面のそれぞれから着座可能なベンチ(50)と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1床面と、
前記第1床面より高い第2床面と、
前記第1床面と前記第2床面との境界に設置され、前記第1床面および前記第2床面のそれぞれから着座可能なベンチと、
を備える、
内装レイアウトシステム。
【請求項2】
前記第1床面と前記第2床面との前記境界は、所定方向に沿って連続しており、
前記ベンチは、前記所定方向に沿って、所定の長さを有して延設されており、
前記第1床面から前記ベンチの座面までの高さは、前記第1床面から前記ベンチに着座する人にとって、前記座面をハイチェアの座面として利用できる高さである、
請求項1に記載の内装レイアウトシステム。
【請求項3】
前記第2床面から前記ベンチの座面までの高さは、前記第2床面から前記ベンチに着座する人が前記座面に腰掛けた場合に、足裏全体が床に接する高さである、
請求項2に記載の内装レイアウトシステム。
【請求項4】
前記第2床面を含むエリアは、前記ベンチを含む、平面視においてL字型の構造物によって、他のエリアから区切られており、
前記L字型の構造物における、L字を構成する2辺のうちの一方の辺に沿って延設する部分は、前記第1床面と前記第2床面との前記境界に沿っており、
前記L字型の構造物における、L字を構成する2辺のうちの他方の辺に沿って延設する部分は、前記第1床面から、前記第2床面を含むエリアへの出入り口までを繋ぐアプローチ部分と、前記第2床面を含むエリアとの境界に設置されている、
請求項1に記載の内装レイアウトシステム。
【請求項5】
前記第1床面を含むエリアは、人が往来する通路であり、
前記第1床面と前記第2床面との前記境界は、前記通路に沿っている、
請求項1に記載の内装レイアウトシステム。
【請求項6】
前記ベンチには、前記第1床面と前記第2床面との前記境界に沿って複数のテーブルが、固定部材を介して取り付けられており、
前記テーブルを上面視したときに、前記テーブルのテーブル面の一部の領域は、前記ベンチの座面に重なる位置にあり、前記テーブル面の残りの領域は、前記第1床面に重なる位置にある、
請求項1に記載の内装レイアウトシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は内装レイアウトシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
共用空間を複数のエリアに区分けすることによって、エリア毎に異なる目的で使用することがあり、区分けの方法の一例としてはパーティション等を用いた方法が知られている。特許文献1には、区分けの別の方法として、人が起立した状態の目線の高さよりも低い構造物によって、或るエリアの周囲を囲む態様が開示されている。このような構造物によって囲むだけでも、共用空間に居る者にとって、エリアが区分されていることを認識でき、且つ、高さが低い構造物を用いているため、共用空間を居る者に対して圧迫感を与え難く、視覚的な開放感を与えることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明の目的は、エリアの境界部分に設置され、共用空間において多様な用途に対応できる環境を提供することができる構造物を含む内装レイアウトシステムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る内装レイアウトシステムは、第1床面と、前記第1床面より高い第2床面と、前記第1床面と前記第2床面との境界に設置され、前記第1床面および前記第2床面のそれぞれから着座可能なベンチと、を備える。
【発明の効果】
【0006】
本発明の一態様によれば、エリアの境界部分に設置され、共用空間において多様な用途に対応できる環境を提供することができるベンチを含む内装レイアウトシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施形態1に係る内装レイアウトシステムおよびその周辺の構成を示す平面図である。
【
図2】
図1の内装レイアウトシステムおよびその周辺の構成を示す斜視図である。
【
図3】
図1の内装レイアウトシステムに含まれるベンチに人が着座している様子を示した側面図である。
【
図4】
図1の内装レイアウトシステムに含まれるベンチに取り付けられたテーブルの固定態様についての変形例を示す図である。
【
図5】
図1の内装レイアウトシステムに含まれるベンチの変形例を示す側面図である。
【
図6】
図1の内装レイアウトシステムに含まれるベンチの変形例を示す部分斜視図である。
【
図7】
図1の内装レイアウトシステムに含まれるベンチの変形例を示す部分斜視図である。
【
図8】
図1の内装レイアウトシステムに含まれるベンチの変形例を示す斜視図である。
【
図9】
図1の内装レイアウトシステムに含まれるベンチの変形例を示す側面図である。
【
図10】本発明の実施形態2に係る内装レイアウトシステムおよびその周辺の構成を示す平面図である。
【
図11】
図10の内装レイアウトシステムおよびその周辺の構成を示す斜視図である。
【
図12】
図11において矢印で示す方向から内装レイアウトシステムを見た部分側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施形態1〕
以下、本発明に係る内装レイアウトシステムの一実施形態について、詳細に説明する。
図1は、本実施形態に係る内装レイアウトシステムおよびその周辺の構成を示す平面図であり、
図2は斜視図である。本実施形態の内装レイアウトシステムは、例えばオフィスなどの室内に設置することにより、室内を異なる複数のエリアに区分けしつつ、区分けによる圧迫感をもたらさず、空間的な開放感を提供することができる。また、本実施形態の内装レイアウトシステムは、エリアの境界部分にベンチを設置することによって、共用空間において多様な用途に対応できる環境を提供することができる。
【0009】
なお、以下の説明においては、床面をXY平面とし、XY平面に対して鉛直方向に沿った軸をZ軸とするXYZ系の三次元座標を規定して、このXYZ系の三次元座標を用いて各構成要素を説明する。Z軸は、床面から天井(不図示)に向かう方向を正方向とする。X軸およびY軸は、室内の床面に沿って延びる方向を規定する。なお、XYZ系の三次元座標は、各図にも付記している。
【0010】
内装レイアウトシステム1は、第1床面10と、第1床面10より高い第2床面20と、第1床面10と第2床面20との境界に設置され、前記第1床面10および前記第2床面20のそれぞれから着座可能なベンチ50と、を備える。ここで、第1床面10の高さはオフィスのフロアの基準の高さである。第1床面10と第2床面20との床面の高低差は、一例として30cmとすることができるが、この限りではない。このように、内装レイアウトシステム1は、フロアの一部に、第2床面20によって構成されるステージ状のエリアが設けられている。そして、フロアには、第2床面20によって構成されるステージ状のエリア20A(
図2)のほかに、第1床面10によって構成される別のエリア10Aがある。
【0011】
図2に示すように、第2床面20によって構成されるステージ状のエリア20Aには、複数のテーブル、椅子、対面式ブースなどが設置され、小規模のフリーアドレス型のワークスペースとして実現することができる。しかしながら、用途や目的はワークスペースに限らないが、人が種々の理由で使用するスペースである。第2床面20によって構成されるステージ状のエリア20Aの利用者にとって、第1床面10に居る場合と比べて目線の高さが変わるため、新鮮な感覚で快適性を向上させることができる。
【0012】
第2床面20によって構成されるステージ状のエリア20Aは、
図1および
図2に示すように、平面視においてL字型の構造物40によって、第1床面10によって構成される別のエリア10Aを含む他のエリアから区切られている。第2床面20によって構成されるステージ状のエリア20Aは平面視において矩形(四角形)を有しており、L字型の構造物40は、この四角形の外縁の4辺の隣り合う2辺のうちの一方の辺に沿って延設する部分41と、他方の辺に沿って延設する部分42とを有する。一方の辺に沿って延設する部分41と、他方の辺に沿って延設する部分42とは、一方の辺と他方の辺との交点の近傍において繋がっている。これにより、L字型の構造物40は、全体を平面視すればL字型を有している。L字型の構造物40における一方の辺に沿って延設する部分41は、第1床面10と第2床面20との境界に沿っており、ベンチ50を構成している。すなわち、ベンチ50は、第2床面20によって構成されるステージ状のエリア20Aと、第1床面10によって構成される別のエリア10Aとの境界を構成していると換言できる。
【0013】
第2床面20によって構成されるステージ状のエリア20Aと、L字型の構造物40とは、一体的構成されていてもよく、分離可能に連結された構成であってもよい。なお、ステージ状のエリア20Aにおける第2床面20の下、いわゆる床下には、一例として電気配線等の各種配線を収納可能である空間、あるいはその他の物品を収納する空間が設けられていてもよい。ベンチ50を含むL字型の構造物40も同様に、内部に空間が設けられていてもよい。なお、ステージ状のエリア20Aと、L字型の構造物40とが一体的構成である場合に、ステージ状のエリア20Aの床下の空間、およびL字型の構造物40の内部空間とは繋がっていてもよい。
【0014】
ここで、ステージ状のエリア20AおよびL字型の構造物40は、フロア(第1床面10)の一部分に載置されるかたちで設置される。載置に関して、フロア(第1床面10)の一部分に対して固定具によって固定されていてもよいし、固定されていなくてもよい。また、ステージ状のエリア20AおよびL字型の構造物40は、フロア(第1床面10)上の載置領域に沿った領域の全面がフロア(第1床面10)に接している必要はなく、当該領域のうちの一部分に開口が設けられていて、当該開口が内部空間と連通していているような態様であってもよい。
【0015】
第2床面20によって構成されるステージ状のエリア20Aは、内部に空間が設けられている場合には、第2床面20が撓まないように、第2床面20の水平面を維持し、且つ第1床面10からの高さを維持するためのスペーサが設置されている。
【0016】
L字型の構造物40における一方の辺に沿って延設する部分41の延設方向(X軸方向)の長さは、ステージ状のエリア20AのX軸方向の長さよりも短い。そのため、当該部分41の端41aと、端41aに近いステージ状のエリア20AのY軸方向に沿った縁辺までの間に、L字型の構造物40(一方の辺に沿って延設する部分41)が無い領域がある。この領域には、第1床面10と第2床面20との高低差を利用して第1床面10のエリア10Aからステージ状のエリア20Aへ利用者が上がるための階段60が設けられている。
【0017】
L字型の構造物40における他方の辺に沿って延設する部分42の延設方向(Y軸方向)の長さは、ステージ状のエリア20AのY軸方向の長さよりも短い。そのため、当該部分42の端42aと、端42aに近いステージ状のエリア20AのX軸方向に沿った縁辺までの間に、L字型の構造物40(他方の辺に沿って延設する部分42)が無い領域がある。この領域は、ステージ状のエリア20Aへの出入り口20Eである。
【0018】
L字型の構造物40における他方の辺に沿って延設する部分42は、第1床面10から出入り口20Eまでを繋ぐアプローチ部分70と、第2床面20を含むステージ状のエリア20Aとの境界に設置されていると換言できる。
【0019】
アプローチ部分70は、第1床面10と第2床面20との高低差を補う構造であればよく、階段であってもよいが、一例としては、Y軸正方向に沿って緩やかな傾斜角度を有して昇るスロープであることが好ましい。アプローチ部分70をこのようなスロープによって構成することにより、第2床面20を含むステージ状のエリア20Aへの出入りがバリアフリー化される。
【0020】
L字型の構造物40における他方の辺に沿って延設する部分42には、
図2に示すようにプランターボックス42aが延設されている。プランターボックス42aには、観葉植物(疑似的観葉植物も含む)を配置することができる。本実施形態では、L字型の構造物40における他方の辺に沿って延設する部分42は、ベンチ50の機能を有していないが、部分42の上面に、第2床面20の側から人が着座することは可能である。なお、L字型の構造物40における他方の辺に沿って延設する部分42が、ベンチ50として構成され、第2床面20の側から人が着座できるだけでなく、アプローチ部分70の側から人が着座できる構成となっていてもよい。
【0021】
ベンチ50を構成するL字型の構造物40における一方の辺に沿って延設する部分41は、第1床面を含むエリア10Aによって構成される通路の延設方向(X軸方向)に沿っている。通路は、人が主にX軸方向に往来する。
【0022】
ベンチ50の上端を構成する座面は、L字型の構造物40における他方の辺に沿って延設する部分42側の端から、階段60が設けられている側の端41aまで一続きであり、Y軸方向に沿って略同一の幅を有している平面である。
【0023】
第1床面10からベンチ50の座面までの高さは、第1床面10の側からベンチ50に着座する人にとって、座面をハイチェアの座面として利用できる高さである。ここで、第1床面10よりも高い位置に構成された第2床面20側からすれば、第2床面20からベンチ50の座面までの高さは、第2床面20の側からベンチ50に着座する人が座面に腰掛けた場合に、その人の足裏全体が床に接する高さである。
【0024】
ここで、
図3は、
図2に示す一点破線によって示す位置において、ベンチ50に腰掛ける人の例を示した正面図である。第2床面20を含むステージ状のエリア20Aには、先述のようにテーブルや椅子が配置されており、第2床面20の側からベンチ50に着座する人P2は、座った状態で当該テーブルを無理なく利用できように構成されている。すなわち、第2床面20からベンチ50の座面までの高さは、既製品のテーブル(一具体例としてはデスク)と共に使用可能な椅子の座面の高さと略等しく構成されている。第2床面20からベンチ50の座面までの高さがこのように設定されていることにより、第2床面20の側からベンチ50に着座する人P2は、深く腰掛けることができ、長時間着座していても比較的疲労感をもつことなく、休息やデスクワークなどを行うことが可能である。
【0025】
図3に示すように、第1床面10の側からベンチ50に着座する人P1は、深く座ることもできるが、ベンチ50の座面に浅く腰掛けて、短時間の休息や他人とのコミュニケーションを図ることができる。なお、第1床面10の側からベンチ50に着座する人P1が、長時間着座してもよい。
【0026】
このように第1床面10の側および第2床面20の側の両側から人が着座する構成であることにより、第2床面20の側で着座している人P2と第1床面10の側で座っている人P1との目線の高さが近くなり、コミュニケーションが取りやすくなる。また、第2床面20の側のベンチの着座者P2に対して、第1床面10の側を通行する人P3が声をかけ、その人P3が第1床面10の側からベンチ50に浅く腰掛けてコミュニケーションを取るような状況も創出することができる。
【0027】
ベンチ50は、一例として外観が木目調である。なお、空間に滞在する利用者にとって、快適に、且つ安らぎを感じることができるよう、例えば第2床面およびベンチ50の表面は、木目調であることが好ましい。
【0028】
また、ベンチ50には、第1床面10の側から着座した人が使いやすい位置に、小型の丸テーブル80が取り付けられている。丸テーブル80は、第1床面10と第2床面20との境界に沿って複数設けられており、各丸テーブル80は、固定部材81を介して、ベンチ50に取り付けられている。丸テーブル80の設置態様についての一具体例を挙げれば、設置された丸テーブル80を上面視したときに、丸テーブル80のテーブル面の一部の領域がベンチ50の座面に重なる位置にあり、残りの領域が第1床面10に重なる位置にある。これにより、丸テーブル80のテーブル面は、第1床面10の側から着座した人の斜め前方に位置することになり、その人P1がより使いやすい位置にある。
【0029】
丸テーブル80が設置されていることにより、第1床面10に居る人(
図3に示す人P3)にとって、ベンチ50への着座が可能であることを視覚的に示すことができる。加えて、丸テーブル80が設置されていることにより、簡易な作業がしやすかったり、例えば第1床面で立っている人P3とベンチに座っている人P1でテーブルを共有して、飲み物や荷物を置いてカジュアルなコミュニケーションが取りやすい。
【0030】
各丸テーブル80をベンチ50に取り付けるための固定部材81は、
図2および
図3に示すように、ベンチ50における第1床面10側の側面に固定されたL字状に屈曲した円管状の部材から構成することができる。なお、丸テーブル80の安定性を高めるべく、L字状に屈曲した円管状の部材からなる固定部材81の別例として、
図4に示すように、ベンチ50の側面から上下2箇所から平行に延びた2本の円管状の部材が、鉛直方向に延びた1本の円管状の部材に連結していてもよい。
【0031】
なお、固定部材81は、例示した態様以外の態様によってベンチ50に丸テーブル80を固定するものであってもよい。例えば、固定部材は、ベンチ50の上面(座面)に固定されていてもよい。あるいは、丸テーブル80の下面が、ベンチ50の上面(座面)に直接固定された態様であってもよい。
【0032】
上述で例示したように丸テーブル80はベンチ50に固定部材81を介して、あるいはベンチ50に直接固定された態様となっている。これにより、ベンチ50とは独立したテーブルを第1床面10から脚部を延ばして設置する場合と比べて、第1床面10により構成された通路の妨げになり難く、コンパクトにテーブルを配置することができる。
【0033】
以上のように本実施形態の内装レイアウトシステム1によれば、第2床面20の側からベンチ50に着座する場合は、しっかり対話するためのミーティング等を実施し、第1床面10の側からベンチに着座する場合は短時間のミーティング等を実施するといったように、オフィス等の共用空間において多様な用途に対応できる環境を提供することができる。
【0034】
〔変形例1〕
本実施形態の内装レイアウトシステム1の変形例として、次のような構成が有り得る。
図5は、ベンチ50の変形例を示す。先述の実施形態では、
図3に示すように、ベンチ50の座面と側面との境界部が直角に構成されている。しかしながら、これに限らない。例えば、着座した際の脚などとの接触を考慮すれば、境界部55は面取りされているなど丸みを帯びた形状であることが好ましい。具体例としては、
図5に示す変形例のように、境界部55が湾曲していてもよい。これにより、ベンチ50自体が外観的に柔らかい印象を与える。
【0035】
〔変形例2〕
本実施形態の内装レイアウトシステム1の変形例として、次のような構成が有り得る。
図6は、ベンチ50の変形例を示す。なお、
図6では、ベンチ50の一部のみを示す。
図6の変形例では、ベンチ50の座面に、着座した人の身体のフォルムに沿うように窪み51が設けられている。窪み51は、主に、着座する人の臀部に沿った形状を有する。
【0036】
なお、
図6では、窪み51は、第1床面10の側からベンチ50に着座する人用に設けられているが、これに限らず、ベンチ50の座面における第2床面20の側からベンチ50に着座する人用に設けられていても良く、第1床面10の側および第2床面20の側の両方に設けられていても良い。
【0037】
〔変形例3〕
本実施形態の内装レイアウトシステム1の変形例として、次のような構成が有り得る。
図7は、ベンチ50の変形例を示す。なお、
図7では、ベンチ50の一部のみを示す。
図7の変形例では、ベンチ50の座面に、シート状のクッション材52が貼り付けられている。シート状のクッション材52は、第1床面10の側からベンチ50に着座する人用に設けられているだけでなく、第2床面20の側からベンチ50に着座する人用に設けられている。このように両側対称にシート状のクッション材52が設けられていることにより、外観性に優れたベンチ50を提供できる。
【0038】
〔変形例4〕
本実施形態の内装レイアウトシステム1の変形例として、次のような構成が有り得る。
図8は、ベンチ50の変形例を示す。
図8の変形例では、第1床面10と第2床面20との境界部に沿って延びたベンチ50が延設方向の途中において途切れた形状となっている。この途切れた部分には、第1床面10(通路)から第2床面20を含むステージ状のエリア20Aへの簡易の出入り口90として構成することが可能である。
【0039】
〔変形例5〕
本実施形態の内装レイアウトシステム1の変形例として、次のような構成が有り得る。
図9は、ベンチ50の変形例を示す。
図9の変形例では、ベンチ50の第1床面10側の側面に、第1床面10の側からベンチ50に着座する人用の足置き57が設けられている。先述のように第1床面10の側からベンチ50に着座する人は、ベンチ50をハイチェアのように使用して浅く腰掛けることを想定しているが、足置き57があることによって、仮に第1床面10の側からベンチ50に着座したときに足がしっかりと第1床面10に着かない場合であっても、足置き57に足を置くことができ、安定した着座姿勢を取ることができる。また、足置き57を、ベンチ50に着座する際のステップとして使用することもできる。
【0040】
なお、
図9の例では、ベンチ50の第1床面10側の側面に窪みを設けるとともに、当該側面から通路に向かって突出した態様で足置き57を実現しているが、これに限らず、当該側面に設けた窪み部分のみによって足置き57を構成してもよい。なお、当該側面に設けた窪み部分がなく、当該側面から通路に向かって突出した部分のみによって足置きを実現してもよい。
【0041】
〔変形例6〕
本実施形態の内装レイアウトシステム1の変形例として、次のような構成が有り得る。すなわち、上述の実施形態では第2床面20を含むステージ状のエリア20Aが平面視において四角形であり、エリアAの外形に沿ってL字型の構造物40が配置され、そのL字型の構造物40の一方の辺に沿ってベンチ50が構成されている。しかしながら、第2床面20を含むステージ状のエリア20Aは四角形でなくてもよく、一例として平面視における外形が湾曲した辺を有していてもよい。
【0042】
一具体例としては、平面視が円形のエリアを第2床面によって構成することが有り得る。この場合、この円形のエリアの外形に沿って、平面視が曲線状の構造物(L字型の構造物40に代わる構造物)が第2床面と第1床面との境界に設置され、当該曲線状の構造物の少なくとも一部分がベンチを構成してもよい。この場合、ベンチ50は、平面視において曲線状に構成されており、座面における第1床面の側の縁辺および第2床面の側の縁辺も曲線によって構成される。
【0043】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0044】
図10は、本発明に係る内装レイアウトシステムの他の実施形態について、その周辺とともに示す平面図であり、実施形態1の
図1に対応する。
図11は
図10に示す構成の斜視図であり、実施形態1の
図2に対応する。本実施形態と上述の実施形態1との相違点は、本実施形態では第2床面20を含むステージ状のエリア20Aの周縁に、第2床面20と略同じ高さの座面を有したソファー25が設けられている点にある。
【0045】
図12は、
図11に示す矢印方向からソファー25を見た様子を示す。ソファー25は、第2床面20を含むステージ状のエリア20AのX軸正側の周縁が切り欠かれてなる切り欠き部23に、座面用クッション部26が嵌め合わされている。
【0046】
切り欠き部23に設置された座面用クッション部26は、第2床面20の高さよりも僅かに高い(例えば10cm)に座面を有するような厚さのクッション部材である。また、切り欠き部23に設置された座面用クッション部26は、第1床面10側が、第2床面20の縁よりも出ている(
図12の幅Wで示す部分)。
【0047】
更にソファー25は、座面用クッション部26に、背もたれ用クッション部27が固定されている。
【0048】
なお、
図10に示すように、ソファー25の前方には、ソファー25に着座した人が使用できる移動型の簡易テーブルTを配することも可能である。なお、簡易テーブルTは、必要に応じてソファー25の前方から除くことができるように構成されていることにより、ソファー25の前方の側を通行する人の妨げになることを防ぐことができる。
【0049】
〔付記事項1〕
本発明の態様1に係る内装レイアウトシステムは、第1床面と、前記第1床面より高い第2床面と、前記第1床面と前記第2床面との境界に設置され、前記第1床面および前記第2床面のそれぞれから着座可能なベンチと、を備える。
【0050】
前記態様1によれば、第2床面が第1床面より高く設定されているので、第2床面側からベンチに着座すると、第1床面側からベンチに着座した場合よりも、ベンチにしっかり腰掛けた状態となる。したがって、例えば、第2床面側からベンチに着座する場合は、しっかり対話するためのミーティング等を実施し、第1床面側からベンチに着座する場合は短時間のミーティング等を実施するといったように、オフィス等の共用空間において多様な用途に対応できる環境を提供することができる。
【0051】
本発明の態様2に係る内装レイアウトシステムは、前記態様1において、前記第1床面と前記第2床面との前記境界は、所定方向に沿って連続しており、前記ベンチは、前記所定方向に沿って、所定の長さを有して延設されており、前記第1床面から前記ベンチの座面までの高さは、前記第1床面から前記ベンチに着座する人にとって、前記座面をハイチェアの座面として利用できる高さであってもよい。
【0052】
前記態様2によれば、第1床面側からベンチを利用する人にとっては、短時間の休息、または他者との短時間のコミュニケーションを実現するための、簡易的な着座姿勢を提供する環境を提供することができる。
【0053】
本発明の態様3に係る内装レイアウトシステムは、前記態様2において、前記第2床面から前記ベンチの座面までの高さは、前記第2床面から前記ベンチに着座する人が前記座面に腰掛けた場合に、足裏全体が床に接する高さであってもよい。
【0054】
前記態様3によれば、第2床面側からベンチを利用する人にとっては、長時間着座した状態を無理なく実現できる環境が提供されるため、休息のほか、デスクワークなどをするために適した環境を提供することができる。
【0055】
本発明の態様4に係る内装レイアウトシステムは、前記態様1から3において、前記第2床面を含むエリアは、前記ベンチを含む、平面視においてL字型の構造物によって、他のエリアから区切られており、前記L字型の構造物における、L字を構成する2辺のうちの一方の辺に沿って延設する部分は、前記第1床面と前記第2床面との前記境界に沿っており、前記L字型の構造物における、L字を構成する2辺のうちの他方の辺に沿って延設する部分は、前記第1床面から、前記第2床面を含むエリアへの出入り口までを繋ぐアプローチ部分と、前記第2床面を含むエリアとの境界に設置されていてもよい。
【0056】
前記態様4によれば、ベンチが第2床面をL字型に区切る部分を含むことにより、第2床面を含むエリアの周囲を一部囲むことができることで、エリアの区分けがスタイリッシュに実現されるとともに、エリアの出入り口までのアプローチ部分と、該エリアとの境界にベンチが設置されていることにより、視覚的な統一感をもたらすことができる。
【0057】
本発明の態様5に係る内装レイアウトシステムは、前記態様1から4において、前記第1床面を含むエリアは、人が往来する通路であり、前記第1床面と前記第2床面との前記境界は、前記通路に沿っている構成であってもよい。
【0058】
前記態様5によれば、通路に沿ってベンチが配置されている態様であるため、通路に居る人にベンチを利用してもらうことができるだけでなく、ベンチに座った人と、通路を往来する人とのコミュニケーションの場を提供することができる。
【0059】
本発明の態様6に係る内装レイアウトシステムは、前記態様1から4において、前記ベンチには、前記第1床面と前記第2床面との前記境界に沿って複数のテーブルが、固定部材を介して取り付けられており、前記テーブルを上面視したときに、前記テーブルのテーブル面の一部の領域は、前記ベンチの座面に重なる位置にあり、前記テーブル面の残りの領域は、前記第1床面に重なる位置にあってもよい。
【0060】
前記態様6によれば、簡易的な着座姿勢を提供することができる第1床面側のベンチに、テーブルが設けられていることで、第1床面に居る人にとって、ベンチへの着座が可能であることを視覚的に示すことができる。
【0061】
また、前記テーブルが設けられていることによって、簡易な作業を行い易い。また、例えば第1床面で立っている人とベンチに座っている人とによって前記テーブルを共有して、飲み物や荷物を置いてカジュアルなコミュニケーションが取りやすい。
【0062】
〔付記事項2〕
本発明は上述した各実施形態および変形例に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態および変形例にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【0063】
〔付記事項3〕
上述のように本発明の一態様に係る内装レイアウトシステムは、オフィス等の共用空間において多様な用途に対応できる環境を提供することができる。このような効果は、例えば、国連が提唱する持続可能な開発目的(SDGs)の目標8「働きがいも経済成長も」(安全・安心な労働環境を促進する)等の達成にも貢献するものである。
【符号の説明】
【0064】
1 内装レイアウトシステム
10 第1床面
20 第2床面
25 ソファー
26 座面用クッション部
27 背もたれ用クッション部
40 L字型の構造物
50 ベンチ
60 階段
70 アプローチ部分
80 丸テーブル(テーブル)
81 固定部材
【手続補正書】
【提出日】2023-09-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1床面と、
前記第1床面より高い第2床面と、
前記第1床面と前記第2床面との境界に設置され、前記第1床面および前記第2床面のそれぞれから着座可能なベンチと、
を備え、
前記第2床面は、前記第1床面の一部分に載置されたステージ状のエリアによって構成され、
前記第2床面で構成する前記エリアには、少なくともテーブルが設置されている、
内装レイアウトシステム。
【請求項2】
前記第2床面の床下には、空間が設けられている、
請求項1に記載の内装レイアウトシステム。
【請求項3】
前記ベンチの下に空間が設けられている、
請求項2に記載の内装レイアウトシステム。
【請求項4】
前記第2床面を含むエリアは、前記ベンチを含む、平面視においてL字型の構造物によって、他のエリアから区切られており、
前記L字型の構造物における、L字を構成する2辺のうちの一方の辺に沿って延設する部分は、前記第1床面と前記第2床面との前記境界に沿っている、
請求項1に記載の内装レイアウトシステム。
【請求項5】
前記第1床面を含むエリアは、人が往来する通路であり、
前記第1床面と前記第2床面との前記境界は、前記通路に沿っている、
請求項1に記載の内装レイアウトシステム。
【請求項6】
前記ベンチには、前記第1床面と前記第2床面との前記境界に沿って複数のテーブルが、固定部材を介して取り付けられており、
前記テーブルを上面視したときに、前記テーブルのテーブル面の一部の領域は、前記ベンチの座面に重なる位置にあり、前記テーブル面の残りの領域は、前記第1床面に重なる位置にある、
請求項1に記載の内装レイアウトシステム。
【請求項7】
第1床面と、
前記第1床面より高い第2床面と、
前記第1床面と前記第2床面との境界に設置され、前記第1床面および前記第2床面のそれぞれから着座可能なベンチと、
を備え、
前記第2床面を含むエリアは、前記ベンチを含む、平面視においてL字型の構造物によって、他のエリアから区切られており、
前記L字型の構造物における、L字を構成する2辺のうちの一方の辺に沿って延設する部分は、前記第1床面と前記第2床面との前記境界に沿っており、
前記L字型の構造物における、L字を構成する2辺のうちの他方の辺に沿って延設する部分は、前記第1床面から、前記第2床面を含むエリアへの出入り口までを繋ぐアプローチ部分と、前記第2床面を含むエリアとの境界に設置されている、
内装レイアウトシステム。