(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171190
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】管理システム及び管理方法
(51)【国際特許分類】
B24C 1/10 20060101AFI20241204BHJP
B24C 5/06 20060101ALI20241204BHJP
B24C 5/02 20060101ALI20241204BHJP
B24C 9/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B24C1/10 G
B24C5/06 A
B24C5/02 C
B24C9/00 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088137
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】澁谷 紀仁
(72)【発明者】
【氏名】見城 維佐久
(72)【発明者】
【氏名】廣▲瀬▼ 将樹
(57)【要約】
【課題】ユーザの手間を低減させる。
【解決手段】管理システム(100)は、投射機構(21)から投射材(26)をワーク(W)に投射してワークの表面処理を行うショット処理装置(20)と管理装置(50)とを備える。管理装置は、投射条件に関する情報、投射時間に関する情報、及び在庫量の初期値に関する情報に基づいて、投射材又はショット処理によって消耗する部品の必要量を演算し、演算の結果に関する情報を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ショット処理を行う投射材又はショット処理装置を管理する管理システムであって、
投射機構から前記投射材を被処理品に投射して前記被処理品の表面処理を行うショット処理装置と、
前記投射材又は前記ショット処理装置に関する情報を処理可能なプロセッサと、
を備え、
前記プロセッサは、
前記投射材の投射条件に関する情報を取得し、
前記投射材の投射時間に関する情報を取得し、
前記投射材又は前記ショット処理によって消耗する部品の在庫量の初期値に関する情報を取得し、
前記投射条件に関する情報、前記投射時間に関する情報、及び前記在庫量の初期値に関する情報に基づいて、前記投射材又は前記部品の必要量を演算し、
前記演算の結果に関する情報を出力する、
管理システム。
【請求項2】
前記投射条件に関する情報は、前記投射材の投射速度及び投射量のうち少なくとも一方を含む、
請求項1に記載の管理システム。
【請求項3】
前記投射機構は、インペラ式の投射機構であり、
前記投射条件に関する情報は、インペラの回転速度に関する情報及び前記インペラの電力に関する情報のうち少なくとも一方を含む、
請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項4】
前記投射機構は、エア式の投射機構であり、
前記投射条件に関する情報は、ノズルから噴射される圧縮空気の噴射圧力に関する情報及び前記投射材の噴射量に関する情報のうち少なくとも一方を含む、
請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項5】
前記プロセッサは、
投射後の前記投射材を再利用するための回収条件に関する情報をさらに取得し、
前記投射条件に関する情報、前記投射時間に関する情報、前記在庫量の初期値に関する情報、及び前記回収条件に関する情報に基づいて、前記投射材又は前記部品の必要量を演算する、
請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項6】
前記投射時間に関する情報は、前記被処理品の処理数に基づく演算により得られる情報である、
請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項7】
前記プロセッサは、前記必要量に関する情報をディスプレイに表示する処理を行う、
請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項8】
前記プロセッサは、前記必要量に関する情報を遠隔地に通知する処理を行う、請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項9】
前記プロセッサは、前記必要量に関する情報に基づいて前記投射材又は前記部品を発注する処理を行う、
請求項1又は2に記載の管理システム。
【請求項10】
被処理品に投射材を投射して前記被処理品の表面処理を行うショット処理の投射材又はショット処理装置を管理する管理方法であって、
前記投射材の投射条件を設定する工程と、
投射機構から前記被処理品に前記投射材を投射する工程と、
前記投射材の投射条件に関する情報を取得する工程と、
前記投射材の投射時間に関する情報を取得する工程と、
前記投射材又は前記ショット処理によって消耗する部品の在庫量の初期値に関する情報を取得する工程と、
前記投射条件に関する情報、前記投射時間に関する情報、及び前記在庫量の初期値に関する情報に基づいて、前記投射材又は前記部品の必要量を演算する工程と、
前記演算の結果に関する情報を出力する工程と、
を含む管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理システム及び管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋼材の搬入、保管、発注などの管理を行う方法として、ICタグを用いた方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では、ICタグの取付け及び取外しが必要となり、ユーザの手間が発生する。
【0005】
本開示の一態様は、ユーザの手間を低減させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る管理システムは、ショット処理を行う投射材又はショット処理装置を管理する管理システムである。この管理システムは、ショット処理装置と、プロセッサと、を備える。ショット処理装置は、投射機構から投射材を被処理品に投射して被処理品の表面処理を行う。プロセッサは、投射材又はショット処理装置に関する情報を処理する。そして、このプロセッサは、投射材の投射条件に関する情報と、投射材の投射時間に関する情報と、投射材又はショット処理によって消耗する部品の在庫量の初期値に関する情報とをそれぞれ取得する。そして、プロセッサは、投射条件に関する情報、投射時間に関する情報、及び在庫量の初期値に関する情報に基づいて、投射材又は部品の必要量を演算し、演算の結果に関する情報を出力する。
【0007】
本開示の一態様に係る管理方法は、被処理品に投射材を投射して被処理品の表面処理を行うショット処理の投射材又はショット処理装置を管理する管理方法である。この管理方法は、次の(1)~(7)の工程を含む。
(1)投射材の投射条件を設定する工程
(2)投射機構から被処理品に投射材を投射する工程
(3)投射材の投射条件に関する情報を取得する工程
(4)投射材の投射時間に関する情報を取得する工程
(5)投射材又はショット処理によって消耗する部品の在庫量の初期値に関する情報を取得する工程
(6)投射条件に関する情報、投射時間に関する情報、及び在庫量の初期値に関する情報に基づいて、投射材又はショット処理によって消耗する部品の必要量を演算する工程
(7)演算の結果に関する情報を出力する工程
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様によれば、消耗品の不足による操業の停止を防ぐためのユーザの手間を低減させることが可能となり、ひいては生産性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本開示の実施形態1に係る管理システムの概略構成図である。
【
図2】ユーザ装置及び管理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【
図3】本開示の実施形態1に係る管理装置のプロセッサの機能ブロック図である。
【
図4】本開示の実施形態1に係る自動的な発注処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【
図5】本開示の実施形態1の変形例に係る管理装置のプロセッサの機能ブロック図である。
【
図7】エア式(吸引式)の投射機構の概略構成図である。
【
図8】エア式(直圧式)の投射機構の概略構成図である。
【
図9】ショット処理によって消耗する部品の必要量を演算する方法を説明する図である。
【
図10】ショット処理によって消耗する部品の必要量を演算する方法を説明する図である。
【
図11】ショット処理によって消耗する部品の必要量を演算する方法を説明するフローチャートである。
【
図12】本開示の実施形態3に係る管理システムの概略構成図である。
【
図13】本開示の実施形態3に係る自動的な発注処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【
図14】本開示の実施形態4に係る管理システムの概略構成図である。
【
図15】本開示の実施形態4に係る自動的な発注処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1に係る管理システム100について図面を参照しながら詳細に説明する。以下の説明で用いられる図面は模式的なものであり、必ずしも実物を反映していない。図示と理解のしやすさの便宜上、縮尺及び縦横の寸法比などが、実物から変更され、誇張されて示されることがある。図面の記載において同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
【0011】
(管理システム100の構成例)
図1は、管理システム100の一例を示す概略構成図である。
図1に示すように、管理システム100は、ショット処理を行うためのショット処理設備10と、ショット処理設備10に設置されているユーザ装置40と通信可能な管理装置50と、を含む。
【0012】
ショット処理設備10は、例えば、ショット処理を行う事業者の工場に設けられる。ショット処理設備10には、ショット処理装置20と、ショット処理で用いられる消耗品を保管する貯留庫30と、ユーザ装置40と、が設置されている。消耗品には、後述する「投射材26」と「ショット処理によって消耗する部品」が含まれる。「ショット処理によって消耗する部品」は、主に投射機構21を構成する部品が挙げられるが、投射材を搬送するコンベアの部品(例えば、スクリュ、バケット、ホースなどの配管)や処理対象である被処理品(以降、ワークWと称する)を載置するテーブル、などの消耗部品も含まれる。
【0013】
ショット処理は、ワークWに対して投射材26を投射機構21より投射してワークWに衝突させることで、ワークWの表面を加工するショット処理を行う処理である。「ショット処理」には、ブラスト処理及びショットピーニングが含まれる。「ブラスト処理」とは、ワークWのスケール除去、バリ取り、表面研磨、梨地の模様付けなどを行う処理である。「ショットピーニング」とは、ワークWの表面に圧縮残留応力を付与して、疲労強度、耐摩耗性、耐応力腐食割れ特性、放熱性などを向上させる処理である。
【0014】
投射機構21は、キャビネット22内のワークWに投射材26を投射する。投射機構21の種類として、例えばインペラ式の投射機構、エア式の投射機構などが挙げられる。実施形態1では、インペラ式の投射機構21aを有するショット処理装置20を例に説明する。インペラ式の投射機構21aは、高速回転するインペラの遠心力によって投射材26をワークWに投射する。エア式の投射機構は、コンプレッサなどにより圧縮された空気を利用して投射材26をワークWに噴射する。エア式の投射機構は、吸引式及び直圧式のうち、どちらであってもよい。
【0015】
ショット処理装置20は、ワークWに投射材26を投射するためのインペラ式の投射機構21aと、投射材26の投射速度などの投射条件を検知するセンサ27と、キャビネット22と、スクリューコンベア23と、バケットエレベータ24と、を備える。
【0016】
投射材26は、例えば、金属の微細粒子であるが、これに限定されず、非金属の微細粒子であってもよい。非金属の微細粒子とは、例えば、ガラス、セラミック、砂などの微細粒子である。
【0017】
ワークWは、通常、金属、セラミック、ガラス、又はプラスチックなどの硬質なものであるが、これに限定されず、例えばゴムのような弾性体に硬質の砥粒を担持させたものであってもよい。
【0018】
インペラ式の投射機構21aにより投射された投射材26は、ワークWに衝突した後に、キャビネット22の床部へと落下する。スクリューコンベア23は、上端がキャビネット22の床下に位置するように設けられている。スクリューコンベア23は、キャビネット22の床に落下した投射材26などをバケットエレベータ24へ搬送する。
【0019】
バケットエレベータ24は、複数のバケットを有する。バケットエレベータ24は、スクリューコンベア23によって搬送された投射材26及び粉粒体を、複数のバケットを用いて上方へ搬送する。バケットエレベータ24によって上方に搬送された投射材26は、投射機構21に供給されて再度投射される。しかし、バケットエレベータ24にて搬送される投射材26などには、再利用可能な投射材26の他にショット処理により割れや欠けの生じた投射材26やワークWの切削粉なども含まれる。その為、インペラ式の投射機構21aに再度供給する前に、選別機構(図示せず)によって再利用可能な投射材26を取り出し、再利用可能な投射材26をインペラ式の投射機構21aに供給する。選別機構は、例えば風力選別機や篩などがある。
【0020】
損耗した投射材26を取り除いた結果、ショット処理装置20内の投射材26が減少する。過度に減少するとショット処理能力に影響が出るので、一定量減少したら新たな投射材26をショット処理装置20に供給する。
【0021】
センサ27は、投射材26の投射速度などの投射条件を検知する。投射条件に関し、ワークWの形状、材質などの物性、処理目的などに応じて、ショット処理装置20ごと又はワークWごとに最適な条件が設定される。ショット処理装置20は、設定された投射条件にしたがって投射材26をワークWに投射する。
【0022】
投射材26の投射条件として、投射材26の投射速度、投射材26の投射量、インペラの回転速度、インペラを回転させるモータに流れる電流値などが挙げられる。
【0023】
なお、投射機構21がエア式の場合、投射材26の投射条件は、投射材26の噴射速度、投射材26の噴射量、圧縮空気の噴射圧力などが挙げられる。なお、エア式による投射を説明する際に「噴射」という表現を用いるが、「噴射」という表現は適宜「投射」と読み替えられてもよい。
【0024】
センサ27は、インペラ式の投射機構21aに接続され、上述した投射材26の投射速度、投射材26の投射量、インペラの回転速度、インペラを回転させるモータに流れる電流値などを検知する。ここで、投射材26の投射速度は、インペラの電流値に基づいて演算により算出してもよい。これらのデータを検知するセンサとして、速度センサ、光学式センサ、振動センサ、電流センサなどが挙げられる。なお、インペラを回転させるモータに流れる電流値の代わりに、モータに印加される電圧値又はモータに供給される電力値が検知されてもよい。
【0025】
なお、投射機構21がエア式の場合、投射機構21に接続されたセンサ27は、上述した投射材26の噴射速度、投射材26の噴射量、圧縮空気の噴射圧力などを検知する。ここで、投射材26の噴射速度は、圧縮空気の噴射速度に基づいて演算により算出してもよい。これらのデータを検知するセンサとして、フローセンサ、圧力センサ、振動センサ、加速度センサ、ジャイロセンサなどが挙げられる。
【0026】
センサ27は、検知したデータを電気信号に変換して、ユーザ装置40に送信する。
【0027】
なお、図示は省略するが、ショット処理装置20には投射材26の投射時間を計測するタイマが設けられている。タイマによって計測された投射時間は、電気信号に変換されユーザ装置40に送信される。
【0028】
貯留庫30は、ショット処理で用いられる消耗品、すなわち、投射材26及びショット処理によって消耗する部品を保管するための容器である。実施形態1では、管理システム100によって管理される消耗品が投射材26の場合を例に説明する。ショット処理によって消耗する部品の管理については実施形態2で説明する。貯留庫30を構成する容器30aには、保管されている投射材26の残量を検知するセンサ31が設けられている。投射材26の残量を検知するセンサとして、レベル計やレベルスイッチが挙げられる。センサ31は、パドル式、ピストン式、振子式、サウンジング式、静電容量式、振動式、超音波式、マイクロ波式、放射線式、などの方式があり、これらの中から、検知対象の投射材26の性状に合わせて適宜選択される。センサ31は、検知した残量データを電気信号に変換して、ユーザ装置40に送信する。在庫量は、容器30aの残量である場合、又は貯留庫30を構成する容器30aの残量と資材保管場所(図示せず)の残量との総和の場合、があるが、以下では、容器30a内の投射材26の残量を「在庫量」として説明する。
【0029】
ユーザ装置40は、ショット処理設備10に設置される装置であり、例えば、汎用のコンピュータである。
【0030】
ユーザ装置40は、センサ27,31から所定の通信方式を用いて投射材26の投射条件、投射時間、及び在庫量の初期値に関する情報を取得する。以下、これらのセンサを区別しない場合は、単に「各センサ」と称する。通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、通信方式は任意でよい。本実施形態では、各センサとユーザ装置40との通信は、Wi-Fi(登録商標)を用いて行われるものとして説明する。なお、投射材26の投射条件、投射時間、及び在庫量の初期値に関する情報とは、各センサによって検知されたデータが電気信号に変換されたものを意味する。したがって、投射材26の投射条件、投射時間、及び在庫量の初期値に関する情報は、投射材26の投射条件、投射時間、及び在庫量の初期値を示す情報と言い換えられてもよい。「在庫量の初期値」の一例は、在庫量を調整してからショット処理を開始したスタート時点における在庫量である。
【0031】
管理装置50は、ショット処理設備10で用いられる消耗品を管理するための装置であり、例えば、汎用のコンピュータである。管理装置50の設置場所は特に限定されないが、例えば管理装置50は消耗品の提供サービスを展開するサプライヤの管理センタに設置される。
【0032】
(ユーザ装置40及び管理装置50のハードウェア構成)
次に、
図2を参照してユーザ装置40及び管理装置50のハードウェア構成について説明する。
図2は、ユーザ装置40及び管理装置50のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0033】
最初に、ユーザ装置40のハードウェア構成について説明する。
図2に示すように、ユーザ装置40は、プロセッサ41、ROM(Read Only Memory)42、RAM(Random Access Memory)43、記憶装置44、通信I/F(インターフェース)46、及びディスプレイ47を備える。各構成は、バス45を介して相互に通信可能に接続されている。
【0034】
プロセッサ41は、各種プログラムを実行する演算ユニットであり、例えばCPU(Central Processing Unit)である。プロセッサ41は、ROM42又は記憶装置44からプログラムを読み出し、RAM43を作業領域として各種プログラムを実行する。
【0035】
ROM42は、各種プログラム及び各種データを記憶する。RAM43は、作業領域として一時的にプログラム又はデータを記憶する。なお、コンピュータが読み取り可能な記録媒体は、ROM42及びRAM43に限定されず、EPROM(Erasable Programmable ROM)、EEPROM(登録商標)(Electrically Erasable Programmable ROM)などが含まれてもよい。
【0036】
記憶装置44は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又はフラッシュメモリなどにより構成され、各種プログラム及び各種データを記憶する。記憶装置44には、各センサから送信された投射材26の投射条件、投射時間、及び在庫量の初期値に関する情報が記憶される。
【0037】
ディスプレイ47は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイなどで構成され、各種情報を表示する。
【0038】
通信I/F46は、ネットワークアダプタなどのハードウェア、通信用ソフトウェア、及びこれらの組み合わせとして実装され、各センサと通信を行ったり、管理装置50と通信を行ったりする。各センサとユーザ装置40との通信について上述した。ユーザ装置40と管理装置50との通信は、インターネットを用いて行われるものとして説明するが、他の通信方式が用いられてもよい。
【0039】
次に、管理装置50のハードウェア構成について説明する。
【0040】
図2に示すように、管理装置50は、プロセッサ51、ROM52、RAM53、記憶装置54、通信I/F56、及びディスプレイ57を備える。各構成は、バス55を介して相互に通信可能に接続されている。プロセッサ51、ROM52、RAM53、記憶装置54、通信I/F56、及びディスプレイ57の構成については、上述したユーザ装置40のプロセッサ41、ROM42、RAM43、記憶装置44、通信I/F46、及びディスプレイ47の構成と同様であるため、説明を省略する。
【0041】
(プロセッサ51の機能)
次に、
図3を参照して、管理装置50のプロセッサ51の機能について説明する。
図3は、管理装置50のプロセッサ51の機能ブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の管理装置50では、プロセッサ51が、特定のプログラムを実行することにより、データ取得部511、演算部512、及び自動発注部513として機能する。
【0042】
データ取得部511は、ユーザ装置40から投射材26の投射条件、投射時間、及び在庫量の初期値に関する情報を取得する。データ取得部511は、取得した情報を記憶装置54に記憶する。演算部512は、データ取得部511によって取得された情報に基づいて、投射材26の必要量を演算する。自動発注部513は、演算部512によって演算された必要量を自動的に発注する処理を行う。
【0043】
(自動的な発注処理の流れ)
次に、管理システム100で実行される自動的な発注処理の流れの一例について、
図4を参照して説明する。
図4は、自動的な発注処理の流れの一例を示すシーケンスチャートである。
【0044】
ステップS101において、ユーザ装置40のプロセッサ41は、センサ27から投射材26の投射速度などの投射条件に関する情報を取得し、記憶装置44に記憶する。
【0045】
処理はステップS102に進み、ユーザ装置40のプロセッサ41は、タイマから投射材26の投射時間に関する情報を取得し、記憶装置44に記憶する。
【0046】
処理はステップS103に進み、ユーザ装置40のプロセッサ41は、センサ31から投射材26の在庫量の初期値に関する情報を取得し、記憶装置44に記憶する。
【0047】
処理はステップS104に進み、ユーザ装置40のプロセッサ41は、ステップS101~S103の処理で取得された投射材26の投射条件、投射時間、及び在庫量の初期値に関する情報を管理装置50に送信する。
【0048】
ステップS105において、管理装置50のプロセッサ51は、ユーザ装置40から投射材26の投射条件、投射時間、及び在庫量の初期値に関する情報を取得する。
【0049】
ステップS106において、管理装置50のプロセッサ51は、ステップS105の処理で取得された投射材26の投射条件、投射時間、及び在庫量の初期値に関する情報に基づいて、投射材26の必要量を演算する。
【0050】
(投射材26の必要量を演算する方法)
ここで、投射材26の必要量を演算する方法の一例について説明する。
【0051】
管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の投射条件と投射材26の投射時間を用いてショット処理で使用される投射材26の使用量を演算する。次に、管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の在庫量の初期値から投射材26の使用量を減算して、現在の投射材26の在庫量を演算する。
【0052】
ここで、管理装置50のプロセッサ51は、変動する投射条件ごとの投射時間から投射材26の使用量を演算してもよい。ショット処理装置20内の投射材26の残量や集塵風量の変化などの様々な要因によって投射条件は時々刻々と変動しうる。これは例えば、投射条件が、ショット処理装置20内の投射材26の残量、集塵風量などに応じたテーブルで設定及び管理されている場合、これらの状態の変化によって投射条件は時々刻々と変動しうる。管理装置50のプロセッサ51は、変動する投射条件ごとの投射時間から特定の地点ごとの使用量を算出してもよい。
【0053】
また、管理装置50のプロセッサ51は、投射条件の平均値と投射時間の累積時間との関係から投射材26の全体の使用量を演算してもよい。「投射条件の平均値」とは、例えば、投射条件が投射材26の投射量である場合、集塵風量がAであるときの投射量と、集塵風量がBであるときの投射量と、集塵風量がCであるときの投射量との合計から求めた投射量の平均値を意味する。投射条件が投射材26の投射速度、インペラの回転速度などであっても投射条件の平均値は、同様の方法で求めることができる。
【0054】
また、管理装置50のプロセッサ51は、予め設定された投射条件と投射時間の累積時間との関係から投射材26の全体の使用量を演算してもよい。
【0055】
次に、管理装置50のプロセッサ51は、現在の投射材26の在庫量と閾値を比較する。この閾値は、予め実験、シミュレーションなどを通じて適宜設定される。
【0056】
比較の結果として、現在の投射材26の在庫量が閾値を下回った場合、管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の在庫量が閾値を超えるために必要な投射材26の量を演算する。このとき、管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の発注から納期までの期間を考慮して、投射材26の在庫量が閾値を超えるために必要な投射材26の量を演算してもよい。投射材26の発注から納期までの期間において、ショット処理が行われる場合、投射材26の在庫量は減少し続けるからである。
【0057】
なお、管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の投射時間ごとに投射材26の使用量をプロットし、プロットした軌跡を積分することによって投射時間全体における投射材26の使用量を演算してもよい。
【0058】
また、「管理装置50のプロセッサ51によって実行される演算」には、現在の投射材26の在庫量が閾値を下回った場合に、投射材26の在庫量が閾値を超えるために必要な投射材26の量を予測することや、現在の投射材26の在庫量が発注に必要なライン(閾値)に達しているか否かを判断することが含まれてもよい。
【0059】
管理装置50のプロセッサ51は、演算した投射材26の必要量を自動的に発注する処理を行う(ステップS107)。
【0060】
なお、
図4にて説明した処理の流れは、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において新たなステップを追加してもよい。また、ステップS101~S103の処理は同時に行われてもよい。
【0061】
〔実施形態1の変形例〕
次に、
図5を参照して、実施形態1の変形例について説明する。
図5は、管理装置50のプロセッサ51の機能ブロック図である。
図5に示すように、管理装置50のプロセッサ51は、自動発注部513の代わりにユーザ装置40への通知を行う通知部514として機能してもよい。
【0062】
上述では、演算された投射材26の必要量を自動的に発注する処理を行うと説明したが、このような自動発注処理の代わりとして、管理装置50のプロセッサ51は、ユーザ装置40に対し投射材26の必要量に関する情報を通知してもよい。投射材26の必要量に関する情報とは、例えば、現在の投射材26の在庫量を示す情報、投射材26の使用量を示す情報などである。ユーザ装置40のディスプレイ47には、現在の投射材26の在庫量を示す情報、投射材26の使用量を示す情報などが表示される。これにより、ショット処理設備10で従事するユーザは、自ら投射材26の在庫量を確認することなく、在庫量を把握することができ、在庫管理に関するユーザの手間が低減される。
【0063】
また、管理装置50のプロセッサ51は、LAN(Local Area Network)などを用いて有線又は無線で遠隔地に投射材26の必要量に関する情報を通知してもよい。通知先の一例としては、サプライヤの購買担当者、サプライヤの設備保全担当部署、納入先の購買担当者、納入先の保守点検サービス部署などが挙げられる。
【0064】
なお、管理装置50のプロセッサ51は、ユーザ装置40への通知と同時に、発注を提案してもよい。例えば、管理装置50のプロセッサ51は、「〇日後に投射材26の在庫量が少なくなります。発注を行いますか?」といったようにユーザ装置40のディスプレイ47に表示して提案してもよい。提案方法や通知方法は特に限定されず、ユーザごとの事情に合わせて適宜設定されてもよい。
【0065】
(作用効果)
以上説明したように、実施形態1に係る管理システム100によれば、以下の作用効果が得られる。
【0066】
管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の投射条件に関する情報を取得し、投射材26の投射時間に関する情報を取得し、投射材26の在庫量の初期値に関する情報を取得する。管理装置50のプロセッサ51は、投射条件に関する情報、投射時間に関する情報、及び在庫量の初期値に関する情報に基づいて、投射材26の必要量を演算する。管理装置50のプロセッサ51は、演算の結果に関する情報を出力する。
【0067】
演算の結果に関する情報の出力先がショット処理設備10に設置されたユーザ装置40である場合、ショット処理設備10で従事するユーザは、自ら投射材26の在庫を確認する必要がなくなり、在庫管理に関するユーザの手間が低減される。すなわち、上記構成によれば、消耗品(投射材26)の不足による操業の停止を防ぐためのユーザの手間を低減させることが可能となり、ひいては生産性が向上する。
【0068】
なお、管理システム100を用いる際には、前提として、投射材26の投射条件の設定が行われる。
【0069】
また、投射条件に関する情報は、投射材26の投射速度及び投射量のうち少なくとも一方を含む。管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の投射速度又は投射量を用いることにより、精度よく投射材26の必要量を演算することが可能となる。
【0070】
また、管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の必要量に関する情報をユーザ装置40のディスプレイ47に表示する処理を行ってもよい。これにより、ショット処理設備10で従事するユーザは、自ら投射材26の在庫を確認する必要がなくなり、在庫管理に関するユーザの手間が低減される。
【0071】
また、管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の必要量に関する情報を遠隔地に通知する処理を行ってもよい。これにより、ショット処理設備10が遠隔地に位置する場合であっても投射材26の必要量に関する情報を知らせることが可能となる。
【0072】
また、管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の必要量に関する情報に基づいて投射材26を発注する処理を行ってもよい。これにより、ショット処理設備10で従事するユーザは、投射材26の発注作業、サプライヤへの納期確認、及び投射材26が納入されるまでのショット処理装置20の維持管理を行う必要がなくなり、ユーザの手間が低減される。また、自動的に発注処理が行われることによりショット処理設備10の安定的な操業が実現しうる。
【0073】
〔実施形態2〕
次に、本開示の実施形態2について、以下に説明する。説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0074】
実施形態1では、ショット処理で用いられる消耗品として投射材26を取り上げ、投射材26を自動的に発注する処理について説明した。実施形態2では、ショット処理で用いられる消耗品として投射機構21を構成する部品を取り上げて説明する。上述したように、投射機構21は、インペラ式、エア式、のいずれであってもよい。
【0075】
図6は、インペラ式の投射機構21aを構成する部品のうち、交換対象となる部品の代表例として、投射材26を攪拌するディストリビュータ70と、投射材26を投射する方向を規制するコントロールケージ71と、ブレード72を示す。
【0076】
図7は、エア式の投射機構のうち、吸引式の投射機構21bにおいて、交換対象となる部品の代表例として、ノズル75と、エアジェット76と、ノズルボディ77を示す。
【0077】
図8は、エア式の投射機構のうち、直圧式の投射機構21cにおいて、交換対象となる部品の代表例として、ノズル80と、ノズルボディ81と、ノズルクランプ82を示す。
【0078】
以下、これらの部品を区別しない場合は、単に「各部品」と称する。各部品は、消耗品であるから、損耗量が大きくなれば交換する必要がある。各部品の在庫は、貯留庫30に保管されている。交換する際には、貯留庫30から取り出して交換することになる。
【0079】
管理装置50のプロセッサ51は、各部品の投射条件、投射時間、及び在庫量の初期値に関する情報に基づいて、各部品の必要量を演算する。各部品の投射条件の一例として、インペラであれば、インペラの回転速度、インペラを回転させるモータに流れる電流値などが挙げられ、ノズル75であれば、ノズル75から噴射される圧縮空気の噴射圧力などが挙げられる。
【0080】
(各部品の必要量を演算する方法)
各部品の必要量を演算する方法の一例について
図9を参照して説明する。
図9の横軸は時間を示し、縦軸はショット処理設備10の稼働の項目及び消耗品の手配の項目を示す。
【0081】
管理装置50のプロセッサ51は、次の2つの条件を満たしたときに、各部品の必要量をγとして演算してもよい。2つの条件とは、条件1:T1-(T3+(T2×α))≦0、条件2:β<γである。
図9においてβ及びγの図示は省略されている。
【0082】
図9に示すT1は、消耗品の寿命を示す。T1の入力条件の一例は、消耗品を交換したタイミングである。T1の入力条件は、消耗品を交換したタイミングに基づき設定された閾値であってもよい。ここでいう「入力条件」とは、ショット処理設備10で従事するユーザがユーザ装置40にデータを入力する際の条件である。
【0083】
T2は、消耗品の納期を示す。T2の入力条件は、所定値である。
【0084】
T3は、投射時間又は噴射時間を示す。消耗品がインペラ式の投射機構21aを構成する部品であれば、T3は投射時間となる。一方で、消耗品がエア式の投射機構21bの構成する部品であれば、T3は噴射時間となる。T3の入力条件は、消耗品の交換後からの投射時間又は噴射時間である。
【0085】
αは、納期の安全率を示す。「納期の安全率」とは、納入先の考え方、発送先から設備までの距離などに基づいて設定される指標である。αの入力条件は、納期の安全率である。
【0086】
βは、納入先の在庫量を示す。βの入力条件は、納入先の在庫量である。
【0087】
γは、予め取り決められた発注量を示す。
【0088】
図9において、t1からt2までの期間はT3を示し、t2からt3までの期間はT2’を示す。T2’=T2×αである。また、α>1である。条件1に示すように、T3+T2’がT1以上となる場合に消耗品の交換が行われる。このとき、条件2を満たせば、管理装置50のプロセッサ51は、必要量をγとして演算してもよい。この場合、管理装置50のプロセッサ51は、予め取り決められた量であるγを自動的に発注する処理を行ってもよい。
【0089】
次に、
図10を参照して、消耗品の1つであるブレード72を取り上げて説明する。
【0090】
図10に示すT1は、ブレード72の寿命(600h)を示す。T2は、ブレード72の納期(120h)を示す。T3は、投射時間(450h)を示す。
図10において、αは1.5で設定される。したがって、T2’は180hとなる。納入先の在庫量であるβは5セットとする。予め取り決められた発注量であるγは8セットとする。
【0091】
図10に示す例において、T1-(T3+(T2×α))は、-30となるから、条件1を満たす。また、条件2も満たすと仮定する。この場合、管理装置50のプロセッサ51は、ブレード72の必要量をγとして演算し、t4で示されるタイミングで自動的に発注する処理を行うことができる。
【0092】
次に、
図11を参照して、各部品の必要量を演算する方法の他の例を説明する。
図11に示すフローチャートでは、ユーザ装置40と管理装置50との間で行われるデータの授受に関するフローは省略している。また、
図11に示すフローチャートは、投射時間がリセットされた状態で開始するものとする。
【0093】
ステップS201において、ショット処理設備10にてショット処理が行われる。次に、管理装置50のプロセッサ51は、投射時間が所定値以上か否か判定する。ここでいう所定値は、
図9で説明した「T1-T2×α」である。ステップS202の判定結果がNOである場合、処理はステップS201に戻る。一方で、ステップS202の判定結果がYESである場合、処理はステップS203に進む。
【0094】
ステップS203において、管理装置50のプロセッサ51は、任意の部品の在庫量が交換必要量以下か否か判定する。ステップS203の判定結果がYESである場合、管理装置50のプロセッサ51は、任意の部品を自動的に発注する処理を行う。管理装置50のプロセッサ51は、在庫量と交換必要量との差を、任意の部品の必要量として演算することができる。ステップS203の判定結果がNOである場合、処理はステップS205に進む。
【0095】
ステップS205において、管理装置50のプロセッサ51は、投射時間がT1以上か否か判定する。投射時間がT1以上となるまで処理は待機する(ステップS205でNO)。投射時間がT1以上となったとき、処理はステップS206に進み、任意の部品の交換が行われる。
【0096】
ステップS207において、管理装置50のプロセッサ51は、任意の部品の在庫量が必要在庫量以下か否かを判定する。ステップS207の判定結果がYESである場合、管理装置50のプロセッサ51は、任意の部品を自動的に発注する処理を行う。管理装置50のプロセッサ51は、在庫量と必要在庫量との差を、任意の部品の必要量として演算することができる。ステップS207の判定結果がNOである場合、一連の処理は終了する。
【0097】
図11にて説明した処理の流れは、一例であり、主旨を逸脱しない範囲内において新たなステップを追加してもよい。また、ステップS207,S208の処理は省略されてもよい。
【0098】
なお、実施形態2においても、実施形態1と同様に、管理装置50のプロセッサ51は、自動発注処理の代わりとして、ユーザ装置40に対し各部品の必要量に関する情報を通知してもよい。
【0099】
(作用効果)
以上説明したように、実施形態2によれば、以下の作用効果が得られる。
【0100】
管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の投射条件に関する情報を取得し、投射材26の投射時間に関する情報を取得し、ショット処理によって消耗する部品の在庫量の初期値に関する情報を取得する。管理装置50のプロセッサ51は、投射条件に関する情報、投射時間に関する情報、及び在庫量の初期値に関する情報に基づいて、ショット処理によって消耗する部品の必要量を演算する。管理装置50のプロセッサ51は、演算の結果に関する情報を出力する。
【0101】
演算の結果に関する情報の出力先がショット処理設備10に設置されたユーザ装置40である場合、ショット処理設備10で従事するユーザは、自らショット処理によって消耗する部品の在庫を確認する必要がなくなり、在庫管理に関するユーザの手間が低減される。
【0102】
また、投射機構21は、インペラ式の投射機構21aであってもよい。この場合、投射条件に関する情報は、インペラの回転速度に関する情報及びインペラの電力に関する情報のうち少なくとも一方を含む。電力に関する情報とは、上述したインペラを回転させるモータに流れる電流値、モータに印加される電圧値又はモータに供給される電力値のいずれかである。管理装置50のプロセッサ51は、インペラの回転速度に関する情報又はインペラの電力に関する情報を用いることにより、ディストリビュータ70、コントロールケージ71、ブレード72などの必要量を演算することが可能となる。
【0103】
また、投射機構21は、エア式の投射機構21bであってもよい。この場合、投射条件に関する情報は、ノズル75から噴射される圧縮空気の噴射圧力に関する情報及び投射材26の噴射量に関する情報のうち少なくとも一方を含む。管理装置50のプロセッサ51は、噴射圧力に関する情報又は投射材26の噴射量に関する情報を用いることにより、ノズル75、エアジェット76、ノズルボディ77などの必要量を演算することが可能となる。
【0104】
〔実施形態3〕
次に、本開示の実施形態3について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0105】
図12は、実施形態3に係る管理システム200の一例を示す概略構成図である。実施形態3が実施形態1と異なるのは、バケットエレベータ24にセンサ28が接続されることである。
【0106】
センサ28は、例えば、バケットエレベータ24を駆動させるモータに流れる電流値を測定する電流センサである。センサ28は、検知した電流値を電気信号に変換して、ユーザ装置40に送信する。なお、センサ28は、電流センサに代えて、モータに印加される電圧値を測定する電圧センサとしてもよく、モータに供給される電力を測定する電力センサとしてもよい。
【0107】
投射材26を回収して再利用する際、回収量によってバケットエレベータ24を駆動させるモータに流れる電流の大きさは変化する。このため、電流値に基づいて投射材26の回収量を推定することが可能となる。ここで、投射材26の必要量を演算するには、投射材26を再使用可能として回収する量を設定する必要がある。すなわち、ショット処理によって損耗した投射材26の除去量を加味して設定する。除去量は、前述の選別機構の処理能力(風力選別における吸引風量、篩における目開きや振動力、など)を参照して演算してもよく、実験やシミュレーションに基づいて設定してもよい。管理装置50のプロセッサ51は、実施形態1で説明した情報に、さらに投射材26の回収条件に関する情報を加えることにより、精度よく投射材26の必要量を演算することが可能となる。
【0108】
(自動的な発注処理の流れ)
管理システム200で実行される自動的な発注処理の流れの一例について、
図13を参照して説明する。ただし、ステップS301~S303の処理は、
図4に示すステップS101~S103の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0109】
ステップS304において、ユーザ装置40のプロセッサ41は、センサ28から回収条件に関する情報を取得し、記憶装置44に記憶する。回収条件に関する情報とは、センサ28によって測定された電流値を示す情報である。
【0110】
ステップS305において、ユーザ装置40のプロセッサ41は、ステップS301~S304で取得された投射材26の投射条件、投射時間、在庫量の初期値、及び回収条件に関する情報を管理装置50に送信する。
【0111】
ステップS306において、管理装置50のプロセッサ51は、ユーザ装置40から、投射材26の投射条件、投射時間、在庫量の初期値、及び回収条件に関する情報を取得する。
【0112】
ステップS307において、管理装置50のプロセッサ51は、ステップS306で取得された投射材26の投射条件、投射時間、在庫量の初期値、及び回収条件に関する情報に基づいて、投射材26の必要量を演算する。
【0113】
ステップS308において、管理装置50のプロセッサ51は、ステップS307で演算された投射材26の必要量を自動的に発注する処理を行う。
【0114】
なお、実施形態3においても、実施形態1と同様に、管理装置50のプロセッサ51は、自動発注処理の代わりとして、ユーザ装置40に対し投射材26の必要量に関する情報を通知してもよい。
【0115】
(作用効果)
以上説明したように、実施形態3に係る管理システム200によれば、以下の作用効果が得られる。
【0116】
管理装置50のプロセッサ51は、投射後の投射材26を再利用するための回収条件に関する情報をさらに取得し、投射条件に関する情報、投射時間に関する情報、在庫量の初期値に関する情報、及び回収条件に関する情報に基づいて、投射材26の必要量を演算する。投射条件に関する情報、投射時間に関する情報、及び在庫量の初期値に関する情報に、回収条件に関する情報を加えることにより、精度よく投射材26の必要量を演算することが可能となる。
【0117】
なお、管理装置50のプロセッサ51は、実施形態2で説明した各部品の必要量を演算する際にも回収条件に関する情報を加えてもよい。
【0118】
また、管理装置50のプロセッサ51は、投射条件に関する情報及び回収条件に関する情報を組み合わせた乱数表から投射材26の使用量を演算してもよい。
【0119】
〔実施形態4〕
次に、本開示の実施形態4について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、実施形態1にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0120】
図14は、実施形態4に係る管理システム300の一例を示す概略構成図である。実施形態4が実施形態1と異なるのは、キャビネット22内に、ワークWの処理数を検出するためのセンサ29が設けられることである。
【0121】
センサ29は、例えば、赤外線センサである。センサ29は、キャビネット22内でショット処理されるワークWの処理数をカウントする。センサ29は、カウントしたワークWの処理数を電気信号に変換して、ユーザ装置40に送信する。実施形態4では、投射材26の投射時間の代わりに、ワークWの処理数を用いる。投射時間に関する情報は、ワークWの処理数に基づく演算により得られる情報だからである。
【0122】
(自動的な発注処理の流れ)
管理システム300で実行される自動的な発注処理の流れの一例について、
図15を参照して説明する。ただし、ステップS401,S403の処理は、
図4に示すステップS101,S103の処理と同様であるため、説明を省略する。
【0123】
ステップS402において、ユーザ装置40のプロセッサ41は、センサ29からワークWの処理数に関する情報を取得し、記憶装置44に記憶する。
【0124】
ステップS404において、ユーザ装置40のプロセッサ41は、ステップS401~S403で取得された投射材26の投射条件、ワークWの処理数、及び投射材26の在庫量の初期値を示す情報を管理装置50に送信する。
【0125】
ステップS405において、管理装置50のプロセッサ51は、ユーザ装置40から、投射材26の投射条件、ワークWの処理数、及び投射材26の在庫量の初期値を示す情報を取得する。
【0126】
ステップS406において、管理装置50のプロセッサ51は、ステップS405で取得された投射材26の投射条件、ワークWの処理数、及び投射材26の在庫量の初期値を示す情報に基づいて、投射材26の必要量を演算する。
【0127】
ステップS407において、管理装置50のプロセッサ51は、ステップS406で演算された投射材26の必要量を自動的に発注する処理を行う。
【0128】
なお、実施形態4においても、実施形態1と同様に、管理装置50のプロセッサ51は、自動発注処理の代わりとして、ユーザ装置40に対し投射材26の必要量に関する情報を通知してもよい。
【0129】
(作用効果)
以上説明したように、実施形態4によれば、以下の作用効果が得られる。
【0130】
管理装置50のプロセッサ51は、投射材26の投射時間の代わりに、ワークWの処理数を用いて投射材26の必要量を演算する。このようにして演算された必要量の出力先がショット処理設備10に設置されたユーザ装置40である場合、ショット処理設備10で従事するユーザは、自ら投射材26の在庫を確認する必要がなくなり、在庫管理に関するユーザの手間が低減される。
【0131】
なお、管理装置50のプロセッサ51は、実施形態2で説明した各部品の必要量を演算する際にも投射材26の投射時間の代わりにワークWの処理数を用いてもよい。
【0132】
〔ソフトウェアによる実現例〕
管理装置50としての機能は、管理装置50としてコンピュータを機能させるためのプログラムであって、管理装置50の各制御ブロックとしてコンピュータを機能させるためのプログラムにより実現することができる。
【0133】
この場合、管理装置50は、プログラムを実行するためのハードウェアとして、少なくとも1つの装置(例えばプロセッサ)と少なくとも1つの記憶装置(例えばメモリ)を有するコンピュータを備えている。コンピュータがプログラムを実行することにより、各実施形態で説明した各機能が実現される。
【0134】
プログラムは、一時的ではなく、コンピュータが読み取り可能な、1又は複数の記録媒体に記録されていてもよい。この記録媒体は、管理装置50が備えていてもよいし、備えていなくてもよい。後者の場合、プログラムは、有線又は無線の任意の伝送媒体を介して管理装置50に供給されてもよい。
【0135】
また、各制御ブロックの機能の一部又は全部は、論理回路により実現することも可能である。例えば、各制御ブロックとして機能する論理回路が形成された集積回路も本開示の範疇に含まれる。この他にも、例えば量子コンピュータにより各制御ブロックの機能を実現することも可能である。
【0136】
また、各実施形態で説明した各処理は、AI(Artificial Intelligence:人工知能)に実行させてもよい。この場合、AIは管理装置50で動作するものであってもよいし、他の装置(例えばエッジコンピュータ又はクラウドサーバなど)で動作するものであってもよい。
【0137】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【0138】
〔付記事項〕
また、本開示は下記のように表現する事もできる。
【0139】
本開示の態様1に係る管理システムは、ショット処理を行う投射材又はショット処理装置を管理する管理システムであって、投射機構から前記投射材を被処理品に投射して前記被処理品の表面処理を行うショット処理装置と、前記投射材又は前記ショット処理装置に関する情報を処理可能なプロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記投射材の投射条件に関する情報を取得し、前記投射材の投射時間に関する情報を取得し、前記投射材又は前記ショット処理によって消耗する部品の在庫量の初期値に関する情報を取得し、前記投射条件に関する情報、前記投射時間に関する情報、及び前記在庫量の初期値に関する情報に基づいて、前記投射材又は前記部品の必要量を演算し、前記演算の結果に関する情報を出力する、構成である。
【0140】
本開示の態様2に係る管理システムは、上記の態様1において、前記投射条件に関する情報は、前記投射材の投射速度及び投射量のうち少なくとも一方を含む構成としてもよい。
【0141】
本開示の態様3に係る管理システムは、上記の態様1又は2において、前記投射機構は、インペラ式の投射機構であり、前記投射条件に関する情報は、インペラの回転速度に関する情報及び前記インペラの電力に関する情報のうち少なくとも一方を含む構成としてもよい。
【0142】
本開示の態様4に係る管理システムは、上記の態様1又は2において、前記投射機構は、エア式の投射機構であり、前記投射条件に関する情報は、ノズルから噴射される圧縮空気の噴射圧力に関する情報及び前記投射材の噴射量に関する情報のうち少なくとも一方を含む構成としてもよい。
【0143】
本開示の態様5に係る管理システムは、上記の態様1~4のいずれかにおいて、前記プロセッサは、投射後の前記投射材を再利用するための回収条件に関する情報をさらに取得し、前記投射条件に関する情報、前記投射時間に関する情報、前記在庫量の初期値に関する情報、及び前記回収条件に関する情報に基づいて、前記投射材又は前記部品の必要量を演算する構成としてもよい。
【0144】
本開示の態様6に係る管理システムは、上記の態様1~5のいずれかにおいて、前記投射時間に関する情報は、前記被処理品の処理数に基づく演算により得られる情報である構成としてもよい。
【0145】
本開示の態様7に係る管理システムは、上記の態様1~6のいずれかにおいて、前記プロセッサは、前記必要量に関する情報をディスプレイに表示する処理を行う構成としてもよい。
【0146】
本開示の態様8に係る管理システムは、上記の態様1~7のいずれかにおいて、前記プロセッサは、前記必要量に関する情報を遠隔地に通知する処理を行う構成としてもよい。
【0147】
本開示の態様9に係る管理システムは、上記の態様1~8のいずれかにおいて、前記プロセッサは、前記必要量に関する情報に基づいて前記投射材又は前記部品を発注する処理を行う構成としてもよい。
【0148】
本開示の態様10に係る管理方法は、被処理品に投射材を投射して前記被処理品の表面処理を行うショット処理の投射材又はショット処理装置を管理する管理方法であって、前記投射材の投射条件を設定する工程と、投射機構から前記被処理品に前記投射材を投射する工程と、前記投射材の投射条件に関する情報を取得する工程と、前記投射材の投射時間に関する情報を取得する工程と、前記投射材又は前記ショット処理によって消耗する部品の在庫量の初期値に関する情報を取得する工程と、前記投射条件に関する情報、前記投射時間に関する情報、及び前記在庫量の初期値に関する情報に基づいて、前記投射材又は前記部品の必要量を演算する工程と、前記演算の結果に関する情報を出力する工程と、を含む構成である。
【符号の説明】
【0149】
100、200、300 管理システム、20 ショット処理装置、21 投射機構、26 投射材、51 プロセッサ、50 管理装置