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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171196
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20241204BHJP
   B65G 43/08 20060101ALI20241204BHJP
   B65G 54/02 20060101ALI20241204BHJP
   B65B 59/00 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B65G43/08 A
B65G54/02
B65B59/00
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088148
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】町田 芳信
【テーマコード(参考)】
3C100
3E056
3F021
3F027
【Fターム(参考)】
3C100AA22
3C100AA48
3C100AA59
3C100BB12
3C100BB21
3E056AA11
3E056BA01
3E056BA02
3E056BA20
3E056DA01
3E056EA05
3E056FA02
3E056FE15
3E056FH20
3E056GA01
3F021AA07
3F021BA01
3F021CA06
3F021DA02
3F027AA01
3F027CA03
3F027DA02
3F027EA01
3F027FA02
3F027FA18
(57)【要約】
【課題】多品種変量生産を効率的に行うことができる、物品の製造方法を提供すること。
【解決手段】本発明に係る製造方法は、搬送面25と、該搬送面25上を移動する複数の搬送体tとを備えた搬送装置を用いる。物品1は、複数の構成要素を含んでいる。搬送面25は、作業領域を有している。前記製造方法は、単数又は複数の搬送体tが、構成要素を作業領域に搬送する搬送工程と、作業領域において、搬送工程によって搬送される単数又は複数の構成要素に対して作業を行う作業工程とを具備している。作業工程は、単数の搬送体t又は別個の搬送体tによって搬送された複数の構成要素を組み合わせる工程、搬送体tによって搬送された構成要素の内部に内容物を収容する工程、及び搬送体tによって搬送された構成要素に対して加工を行う工程の少なくとも1以上の工程を具備する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面と、該搬送面上を移動する複数の搬送体とを備えた搬送装置を用いて、物品を製造する物品の製造方法であって、
前記物品は、複数の構成要素を含んでおり、
前記搬送面は、作業装置により作業を行う作業領域を有しており、
単数又は複数の前記搬送体が、前記構成要素を前記作業領域に搬送する搬送工程と、
前記作業領域において、前記搬送工程によって搬送される単数又は複数の前記構成要素に対して作業を行う作業工程とを具備し、
前記作業工程が、単数の前記搬送体又は別個の前記搬送体によって搬送された複数の前記構成要素を組み合わせる組み合わせ工程、前記搬送体によって搬送された前記構成要素の内部に、前記搬送体の搬送によらずに供給される供給内容物を収容する収容工程、及び前記搬送体によって搬送された前記構成要素に対して加工を行う加工工程の少なくとも1以上の工程を具備する、物品の製造方法。
【請求項2】
前記搬送工程は、平面的に広がりを有する前記搬送面において、前記搬送体を、該搬送体毎に設定された移動経路で移動させる、請求項1に記載の物品の製造方法。
【請求項3】
一又は複数の構成要素が相異なる複数種類の前記物品を製造する製造方法であって、
前記搬送工程は、前記搬送体が、前記物品の種類毎に異なる移動経路で搬送する、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項4】
前記搬送体は搬送面を自由移動可能になされており、
さらに前記搬送面における個々の前記搬送体の位置情報を取得する位置情報取得工程を具備している、請求項1~3の何れか1項に記載の物品の製造方法。
【請求項5】
前記搬送工程は、複数の前記構成要素を単数の前記搬送体が搬送する単数型搬送工程及び複数の前記構成要素を異なる複数の前記搬送体が搬送する複数型搬送工程の何れか一方又は双方を具備する、請求項4に記載の物品の製造方法。
【請求項6】
前記搬送工程は、前記作業装置の特定部位と前記構成要素の特定位置とを位置合わせする位置合わせを前記搬送体の移動により行う、請求項1~5の何れか1項に記載の物品の製造方法。
【請求項7】
前記作業工程は、別個の前記搬送体によって搬送された複数の前記構成要素を組み合わせる組み合わせ工程を含み、
前記組み合わせ工程において、単一の前記作業装置に対応する前記作業領域に、前記別個の前記搬送体に対応する複数の作業位置が設定されている、請求項1~6の何れか1項に記載の物品の製造方法。
【請求項8】
前記搬送工程において、一の前記搬送体が、前記作業領域内に設定された作業位置に一の前記構成要素を搬送した後、他の前記搬送体が、該作業位置に他の前記構成要素を搬送する、請求項1~7の何れか1項に記載の物品の製造方法。
【請求項9】
前記作業装置の作業に用いられ且つ該作業装置に装着される作業ツールを、前記構成要素とともに前記搬送体によって前記作業領域に搬送するか、又は前記作業ツールのみを前記搬送体によって前記作業領域に搬送する、ツール搬送工程を含む、請求項1~8の何れか1項に記載の物品の製造方法。
【請求項10】
前記作業工程において前記作業装置は、前記搬送体が搬送する前記構成要素又は前記搬送体の搬送経路外から供給される前記構成要素のうち、該作業装置の作業に用いる構成要素を選択して、該構成要素を該作業装置が行う作業に用いる、請求項1~9の何れか1項に記載の物品の製造方法。
【請求項11】
前記搬送体は、識別可能になされており、
個々の前記搬送体の識別情報と、該搬送体によって搬送される前記構成要素の情報とを関連付ける、構成要素情報取得工程を具備する、請求項1~10の何れか1項に記載の物品の製造方法。
【請求項12】
前記搬送装置は、前記搬送面を構成する搬送ステージを具備し、
前記搬送体は、磁石を有し、
前記搬送ステージは、磁力を発生させて、前記搬送体が備える前記磁石との相互作用により、前記搬送体を該搬送ステージから浮上させ且つ該搬送ステージ上を移動させる磁力発生部を有している、請求項1~11の何れか1項に記載の物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送面と、該搬送面上を移動する複数の搬送体とを備えた搬送装置を用いて、物品を製造する物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数の構成要素からなる物品は、該構成要素どうしを組み合わせることで製造される。斯かる物品は、搬送経路に沿って搬送される構成要素が、搬送経路の途中で他の構成要素を組付けられることで製造される。斯かる製造方法の一例として、特許文献1には、搬送ユニットによって複数の製造ステーション間で搬送されて製造される製品の製造方法であって、製品の構造と製造プロセスとをモデル化し、該製造プロセスを製造順に結びつけて製造設備を制御する、製造方法が開示されている。
【0003】
また特許文献2には、閉ループである一次搬送経路と、二次搬送経路と、複数の単位動作ステーションと、複数の運搬手段とを備え、該運搬手段の一部は、それぞれ第1及び第2物品を搭載した第1及び第2運搬手段を、少なくとも2つの単位動作ステーションの少なくとも1つに送るように、独立してルーティング可能であり、第1物品が、カスタマイズ製品を形成するようにルーティングでき、第2物品が、第1物品からは独立して、一連の大量生産製品の一部を形成するようにルーティング可能である、システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-068439号公報
【特許文献2】特開2021-108150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで化粧品、洗顔料、又は洗浄料等が収容された製品は、容量又は含有成分等が異なるシリーズで販売されることがあり、シリーズが異なる毎にその製品に特有の製造工程を要することがある。そのためシリーズ展開した製品、及び異なる種類の製品を製造する場合には、設置される製造設備の種類が多岐に及び、設備投資及び製造スペースの増大を招く虞がある。特許文献1及び特許文献2の技術は、効率的な多品種変量生産を行う点について改善の余地があった。
【0006】
本発明は、多品種変量生産を効率的に行うことができる、物品の製造方法を提供することに関する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、搬送面と、該搬送面上を移動する複数の搬送体とを備えた搬送装置を用いて、物品を製造する物品の製造方法に関する。
一実施形態として、前記物品は、複数の構成要素を含んでいることが好ましい。
一実施形態として、前記搬送面は、作業装置により作業を行う作業領域を有していることが好ましい。
一実施形態として、
単数又は複数の前記搬送体が、前記構成要素を前記作業領域に搬送する搬送工程と、
前記作業領域において、前記搬送工程によって搬送される単数又は複数の前記構成要素に対して作業を行う作業工程とを具備していることが好ましい。
一実施形態として、前記作業工程は、単数の前記搬送体又は別個の前記搬送体によって搬送された複数の前記構成要素を組み合わせる組み合わせ工程、前記搬送体によって搬送された前記構成要素の内部に、前記搬送体の搬送によらずに供給される供給内容物を収容する収容工程、及び前記搬送体によって搬送された前記構成要素に対して加工を行う加工工程の少なくとも1以上の工程を具備することが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の物品の製造方法によれば、多品種変量生産を効率的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明に係る物品の製造方法に用いられる製造装置の一部と、該製造装置によって製造される物品の一実施形態を示す斜視図である。
図2図2は、図1に示す製造装置をY方向から視た側面図である。
図3図3は、図1に示す製造装置の平面図である。
図4図4は、図1の搬送体を示す斜視図である。
図5図5は、図1に示す搬送体の内部を透視した斜視図である。
図6図6は、図1の搬送ステージを示す図であって、一部の区画を透視した状態で示す斜視図である。
図7図7は、図1に示す製造装置が具備する製造制御部のブロック図である。
図8図8は、図1に示す搬送ステージにおける搬送体の移動経路の一例を示す平面図である。
図9図9は、搬送体の別の搬送態様を示す図4相当図である。
図10図10は、図1に示す製造装置によって製造される別の物品を示す分解側面図である。
図11図11(a)~(d)は、図1に示す製造装置を用いて、図10に示す物品を製造する製造方法の一実施形態を示す側面図である。
図12図12は、図1に示す製造装置を用いて、図10に示す物品を製造する製造方法の別の実施形態を示す側面図である。
図13図13(a)及び(b)は、図1に示す製造装置を用いて、図10に示す物品を製造する製造方法のさらに別の実施形態を示す側面図である。
図14図14(a)~(c)は、図1に示す製造装置を用いて、図10に示す物品を製造する製造方法のさらに別の実施形態を示す側面図である。
図15図15は、搬送体の別の実施形態を示す斜視図である。
図16図16(a)~(d)は、図15に示す搬送体を用いた組み合わせ工程の一実施形態を示す側面図である。
図17図17は、図1に示す製造装置を用いて、図1に示す物品を製造する製造方法のフロー図である。
図18図18は、図1に示す製造装置を用いて、図1に示す物品を製造する別の製造方法のフロー図である。
図19図19は、本発明に係る搬送体の別の実施形態を示す斜視図である。
図20図20は、図19に示す搬送体に構成要素を供給する方法を示す概略平面図である。
図21図21(a)及び(b)は、二段階の位置合わせを説明するための平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の物品の製造方法(以下、単に「製造方法」ともいう。)を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。
本実施形態の製造方法は、図1及び図3に示す製造装置100を用いて、物品を製造する。物品は、複数の構成要素を含んでいる。構成要素は、物品を構成するパーツ、物品内部に収容される内容物等が挙げられる。本実施形態の製造方法における構成要素は、後述する搬送体tによって搬送される。
本実施形態の物品1は、液体洗浄料又は液体化粧料等の液体が収容されたボトル容器1である。このボトル容器1の構成要素は、液体の収容空間を有する容器本体1b、及び該容器本体1bの口首部に着脱自在に装着されるキャップ1cである。口首部は、液体を外部に吐出させる開口部を有した円筒状の部分であり、該容器本体1bの上端部に形成されている。また口首部の外周面には、螺条部が形成されており、キャップ1cの内周面に形成された螺条部(図示せず)と螺合することで、口首部にキャップ1cが装着される。
【0011】
本実施形態の製造方法は、複数のパーツにより構成された物品を好適に製造することができる。斯かる物品は、内部に液体、気体、粉体、固形物等の内容物が収容された容器であってもよい。容器としては、液体化粧料、液体洗浄料等の液体を収容したボトル容器、スクイズ容器、ペースト状の流動体を収容したチューブ容器、パウチ容器、ファンデーション、チーク、アイシャドウ等の粉末化粧料が収容されたコンパクトケース、固形石鹸が収容された箱等が挙げられる。ボトル容器やスクイズ容器等の液体を収容する容器は、液体の取り出し方法に応じてポンプディスペンサー、ディスペンサーを備えていてもよい。
【0012】
また物品は、複数種類の製品を詰め合わせたアソート製品であってもよい。アソート製品を構成する製品(以下、「構成製品」ともいう。)はそれぞれ独立しており、構成製品がアソート製品の構成要素となる。アソート製品としては、化粧水及び乳液のセット製品、各種メイクアップ化粧品のセット製品、香り違いの化粧料又は洗浄料等の製品のセット製品、シャンプーとコンディショナーのセット製品等が挙げられる。化粧水及び乳液のセット製品を物品として製造する場合、化粧水が収容されたボトル容器、乳液が収容されたボトル容器、及びこれら両ボトル容器を収容する箱等の梱包体が、構成要素となる。
【0013】
本実施形態の製造装置100は、搬送面25を構成する搬送ステージ20と、該搬送面25上を移動する複数の搬送体tとを備えた搬送装置を具備している。また製造装置100は、搬送面25上に作業領域を有する作業装置W1~W9と、搬送体t、搬送ステージ20及び作業装置W1~W9の動作を制御する製造制御部50(図1及び図3において図示せず)とを具備している。
搬送面25は、平面的に広がりを有する領域であって、搬送体tが移動する領域である。すなわち搬送体tの移動可能範囲である。斯かる搬送面25は、本実施形態においては搬送ステージ20の上面によって形成されている。
【0014】
本実施形態の製造装置100は、搬送ステージ20が水平面に接地されており、該搬送ステージ20が水平方向に延在している。本実施形態の搬送ステージ20は、X方向とこれに直交するY方向とを有し、X方向に長い矩形形状を有している(図1及び図3参照)。
本実施形態の搬送ステージ20は、複数のセグメント21によって構成されている。セグメント21は、個々に電力が供給されて磁力を発生させる最小単位のハードウェアである。搬送ステージ20は、単数又は複数のセグメント21で構成することができる。また、搬送ステージ20は、複数のセグメント21を任意に並べて、搬送面25を所望の平面形状とすることができる。搬送ステージ20において複数のセグメント21は、X方向及びY方向に隣り合うように配置され、隙間無く並べられている。
本実施形態の搬送ステージ20は、X方向及びY方向の双方に複数のセグメント21を並べて構成されている。各セグメント21は、該セグメント21の外形をなすセグメント本体22を具備している。セグメント本体22は、正方形の平面視形状を有している。各セグメント本体22の上面は、略同一平面をなしている。これにより、搬送ステージ20の上面、すなわち搬送面25は、実質的にフラットな状態となっている。
【0015】
本実施形態のセグメント21は、平板状のセグメント本体22と、該セグメント本体22内に設けられた磁力発生部23とを備えている(図6参照)。本実施形態の磁力発生部23は、セグメント本体22の4辺の周縁に沿って配されたコイル23a,23b,23c,23dを含んで構成されており、電力によって磁力を発生させる。平面視においてこれらコイル23a,23b,23c,23dは、略矩形環状に配置されている。セグメント21では、互いに対向する2個のコイル23a,23dが平行に配置されており、これらコイル23a,23dと直交する別の2個のコイル23b,23cが互いに対向し且つ平行に配置されている。
上記のように本実施形態の搬送ステージ20は、電力により磁力を発生させるものであるが、搬送ステージは、電力によらないで磁力を発生させるものであってもよい。
【0016】
本実施形態の搬送体tは、平板状の搬送本体tbと、該搬送本体tbの上面に設けられ且つ構成要素1b,1cを保持する保持部10,12とを有している(図2参照)。搬送本体tbは、図3及び図4に示すように丸みを帯びた角を有する略正方形の平面視形状を有している。搬送本体tbの平面視形状は、六角形又は円形等の形状であってもよい。
保持部10,12は、ボルト又は接着剤等の接合手段によって、搬送体tの上面に固定されている。保持部10,12は、位置決めピンや位置決めガイド部材によって、搬送体tの上面に固定されていることが好ましい。
複数の搬送体tは、搬送する構成要素の種類によって、保持部の種類を異ならせてもよい。特に単数の搬送体tが複数の構成要素を搬送する場合、それぞれの搬送体t上には種類の異なる複数の保持部を設けることが好ましい。この場合、それぞれの搬送体tに設けられた保持部は、該保持部の種類ごとに、搬送本体tb上面における配置位置が同一であることが好ましい。換言すると、同じ種類の保持部が設けられた搬送体tどうし間では、該保持部の搬送本体tb上面における配置位置が共通していることが好ましい。また、搬送体tが単数の構成要素を搬送する場合、種類が共通する保持部の搬送本体tb上面における該保持部の中心位置は、搬送体tを平面視したときの該上面の中心位置と重なることが好ましい。
【0017】
図4に示す保持部12は、構成要素である容器本体1bの底部を収容し得る筒部11bと、該筒部11bが立設された板部11aとを有し、該板部11aが搬送本体tbの上面に固定されている。説明の便宜上、図1では、保持部12の筒部11bの図示を省略している。
保持部の軽量化の観点から、構成要素(容器本体1b)を起立させた状態に保持する保持部12は、合成樹脂又はアルミ材等によって形成されていることが好ましい。
また本実施形態の搬送体tは、保持部12を具備するが、当該保持部12を具備していなくともよい。
搬送体tが具備する保持部は、構成要素を把持自在に保持するものであってもよい。斯かる保持部としては、搬送体tが具備するバッテリーの電力によって駆動可能なグリッパを備え、該グリッパによる把持で構成要素を保持するものが挙げられる。この保持部は、搬送体tの制御信号によってグリッパによる把持及びその解除が制御される。
【0018】
図2に示す保持部10は、搬送体tの上面に固定されたシート部材である。斯かる保持部10としては、ミクロ吸盤を有する吸着シートを用いることができる。ミクロ吸盤は、多数の微小な凹状の穴を有しており、ミクロ吸盤の上から構成要素の自重によって押圧力が加わると、押圧した該構成要素に対して吸着力を発揮するものである。
【0019】
本実施形態の搬送体tは、識別可能になされており、識別情報が付与されている。識別情報は、個々の搬送体tを識別するための情報であり、例えば文字、数字、記号やこれらの組み合わせによって表示されていてもよく、電子的に読み取り可能に表示されるものであってもよい。光学的又は電子的に読み取り可能な表示方式として、例えば、バーコードやQRコード(登録商標)等の2次元コード、RFID(Radio Frequency Identification)タグ等の電子情報媒体等が用いられる。RFIDタグは、RFIDリーダー(RFIDアンテナ)によって読み取ることができる。また、識別情報は、搬送体tが有する磁石アレイ33a,33b,33c,33dの配列であってもよく、搬送体tにおける特定の部分の形状(個々の搬送体tに固有の形状)等であってもよい。
前記の識別情報は、搬送ステージ20上の搬送体tの映像に基づいて、該搬送体tに付与されてもよい。例えば、搬送体tに関するビデオストリームの分析に基づき、搬送体tの挙動を監視且つ分析して、搬送体tに関する複数の特徴と該搬送体tの追跡とを関連付けた識別子(識別情報)を付与してもよい。
【0020】
搬送体tは、搬送本体tbの内部に磁石(永久磁石)を備えている。より詳細には、搬送本体tbの内部に、搬送本体tbの4辺の周縁に沿って配された磁石アレイ33a,33b,33c,33dを有している(図5参照)。
各磁石アレイ33a,33b,33c,33dは、略矩形環状に配置されている。搬送体tでは、互いに対向する2個の磁石アレイ33a,33dが平行に配置されており、これら磁石アレイ33a,33dと直交する別の2個の磁石アレイ33b,33cが互いに対向し且つ平行に配置されている。
搬送体tは、複数の磁石アレイに代えて、1個の磁石アレイを備えていてもよい。
【0021】
搬送ステージ20は、磁力を電力により発生させて、これら磁石アレイ33a,33b,33c,33dとの相互作用により、搬送体tを、搬送ステージ20から浮上させ且つ該搬送ステージ20上を移動させる磁力発生部23を有している。より詳細には、搬送ステージ20の各セグメント21が備える磁力発生部23に電力が供給されると、水平方向(X方向及びY方向)に磁力が発生する。この磁力によって、搬送体tを、搬送ステージ20(セグメント21)の上面から浮上させるとともに、水平方向(X方向及びY方向)に移動させることができる。
搬送ステージ20は、該ステージが具備する磁石の距離、角度、極性の向き又はこれらを組み合わせて変更することで、搬送体30を移動させてもよい。
【0022】
搬送体tの移動方向は、セグメント21が備える複数のコイル23a,23b,23c,23dへの電力の供給態様、例えば電力供給するコイルの組み合わせ等に応じて変化させることができる。これにより、各セグメント21上において、各搬送体tはX方向及びY方向の一方又は双方を組み合わせた方向に移動させることができる。例えば、Y方向を前後方向とし、X方向を左右方向としたとき、前、後、左、右、及びこれらの斜め方向のうち選択された所望の方向に、搬送体tを移動させることができる。本実施形態の搬送体tは、X方向又はY方向に直進移動する経路、及びX方向又はY方向に対して斜めの方向に直進移動する経路の何れか一方又は双方を組み合わせた移動経路C1~C4に沿って移動可能である(図8参照)。また搬送体tは、X方向若しくはY方向に対して斜めの方向に湾曲移動も可能であり、自転若しくは公転の回転移動も可能である。すなわち搬送体tは、平面視において任意の方向に直進移動、湾曲移動、回転移動、又はこれらを組み合わせた移動が可能である。このように、搬送体tは搬送面25上を自由移動可能になされている。移動経路の設定の詳細は後述する。
【0023】
本実施形態では、搬送体tを搬送面25から浮上させ且つ移動させることによって、搬送面25との機械的抵抗(摩擦)がゼロに近くなり、該搬送体tを高加速で移動させることが可能となる。すなわち、搬送体tが目標地点に到達するまでの移動時間を短縮できるので、効率化を図って生産性を向上させることが可能となる。
また本実施形態の搬送体tは、搬送面25から浮上して、水平方向に傾斜させることも可能である。例えば搬送体tは、進行方向の前側を後側よりも低く傾けた状態で移動させることができ、搬送体t上の構成要素が後方にずれたり落下したりすることを防止できる。これは、特に搬送体tの移動速度を加速するときに有効である。逆に、搬送体tは、進行方向の前側を後側よりも高く傾けた状態で移動させることができ、搬送体t上の構成要素が前方にずれたり落下したりすることを防止できる。これは、特に搬送体tの移動速度を減速するときに有効である。
【0024】
本実施形態の搬送体tは、前述したように、搬送ステージ20の搬送面25(各セグメント21)に対して法線方向に浮上する。本実施形態において各搬送体tは、搬送面25(各セグメント21)に対して鉛直方向Zの上方に浮上する。各搬送体tが搬送ステージ20(各セグメント21)から浮上する浮上量は、略同じである。浮上量は、搬送ステージ20の法線方向(以下、単に「法線方向」ともいう。)における搬送面25と搬送体tの底面との間の距離である。本実施形態では鉛直方向Zにおける搬送体tの底面と搬送ステージ20との間の距離が、搬送体tの浮上量である。搬送をより円滑化する観点から、搬送体tの浮上量は、好ましくは3mm以上20mm以下であり、より好ましくは10mm以上20mm以下である。
【0025】
搬送ステージ20の磁力発生部23によって搬送体tを浮上及び移動させる動作原理は、特表2014-531189号公報に開示の固定子ステージのコイルによって、複数の磁石アレイを備えた可動式ステージを浮上及び移動させる原理と同様である。
【0026】
複数のセグメント21の集合体である搬送ステージ20は、搬送体tよりも大きい面積(平面寸法)を有している。セグメント21の面積(平面寸法)は、搬送体tの面積(平面寸法)よりも大きくてもよく、同等でもよく、又は小さくてもよい。本実施形態のセグメント21は、搬送体tよりも大きい面積(平面寸法)を有している。搬送体tの移動をより高精度に制御する観点から、正方形であるセグメント21の一辺の長さは、略正方形である搬送体tの一辺の長さの好ましくは2倍以上4倍以下である。
【0027】
本実施形態の製造装置100は、単数又は複数の構成要素に対して作業を行う作業装置W1~W9を備えている(図8参照)。より詳細には、製造装置100は、搬送面25上の移動経路に構成要素を供給する供給装置W1、構成要素の内部に内容物を充填する充填装置W2,W3,W6,W8、構成要素を組み合わせる組み合わせ装置W4,W5,W7,W9を具備している。
供給装置W1は、吸着パッドを備えた作業保持部32と、該作業保持部32を昇降可能に支持する装置本体31とを具備している。図1に示すように、供給装置W1は、作業保持部32が、装置本体31によって鉛直方向Zに昇降するとともに、該装置本体31を軸として水平方向に回動することができる。これにより、搬送ステージ20外に配置された容器本体1bを、吸着パッドにより作業保持部32で把持し、これを搬送面25上まで移動させるとともに、搬送面25上の未積載の搬送体tに積載する。
作業保持部32による構成要素の保持は、吸着パッドによる吸着の他に、グリッパ等による把持又は挟持であってもよい。
【0028】
本実施形態の製造装置100は、複数の充填装置W2,W3,W6,W8を具備する。これら充填装置は、充填する内容物(液体)の組成が異なっている点以外は、共通の構成を具備している。ここでは充填装置W2の構成を説明する。充填装置W2の説明は、他の充填装置W3,W6,W8にも適用することができる。
図1及び図2に示すように、充填装置W2は、容器本体1bに液体を充填する充填ノズル35と、該充填ノズル35を把持するノズル可動支持部34とを具備する。充填ノズル35は、根本部に開閉機構を有し、液体が供給される供給ホースに接続されている。充填ノズル35の径や長さ等は充填する内容物に適したものを用いることができる。ノズル可動支持部34は、充填ノズル35を先端部(エンドエフェクタ)で把持するアームと、該アームの先端部を昇降及び/又は任意の方向(例えば水平方向)に回動し得る支持部とを具備しており、ロボットアームの形態となっている。
【0029】
本実施形態の製造装置100は、複数の組み合わせ装置W4,W5,W7,W9を具備する。これら組み合わせ装置は、共通の構成を具備している。ここでは組み合わせ装置W4の構成を説明する。組み合わせ装置W4の説明は、他の組み合わせ装置W5,W7,W9にも適用することができる。
組み合わせ装置W4は、ロボットアームの形態となっている。より具体的には、組み合わせ装置W4は、ロボットハンド38と、該ロボットハンド38を把持するハンド可動支持部37とを具備する。ハンド可動支持部37は、ロボットハンド38を先端部(エンドエフェクタ)で把持するアームと、該アームの先端部を昇降及び/又は任意の方向(例えば水平方向)に回動し得る支持部とを具備している。
【0030】
これら作業装置W1~W9は、搬送面25上でこれら装置W1~W9の作業動作を行う。搬送面25は、作業装置W1~W9が作業を行う作業領域を有している。
作業領域は、搬送面25において作業装置W1~W9の作業が実行される領域であり、ノズル可動支持部34又はハンド可動支持部37等の可動支持部(アーム)のエンドエフェクタの可動領域である。作業装置W1~W9が作業を行う作業位置を含む。作業位置は、搬送面25における作業装置W1~W9が作業を行うときの基準位置であり、搬送面25における座標位置(X,Y)として設定される。
【0031】
例えば、ボトル容器1の製造方法における供給装置W1の作業位置P1は、搬送面25において容器本体1bを搬送体tに積載するときの積載位置である。充填装置W2,W3の作業位置P2,P3は、搬送面25において充填ノズル35により容器本体1bに液体を供給する充填位置であり、充填時に充填ノズル35の吐出口の中心軸が配される位置である。組み合わせ装置W4の作業位置P4は、搬送面25において、ロボットハンド38がキャップ1cを把持する把持位置P4a及び該ロボットハンド38が容器本体1bにキャップ1cを取り付ける取り付け位置P4bである。
このように本実施形態の搬送面25は、作業の種類が異なる作業装置W1~W9に応じて、作業の種類が異なる複数の作業位置、及び該作業位置を含む作業領域を有している。
【0032】
搬送体tは、搬送ステージ20上において移動開始地点から目標地点に到達するまでの経路(道筋)を任意に設定することができ、当該経路を個々の搬送体tに応じて設定することができる。また前記経路は、必ずしも一義的に定められるものではなく、他の搬送体tの移動や配置等に応じて任意の経路に適宜変更できるようになされている。
経路の設定及び変更を含む、搬送面25上の搬送体tの移動は、製造制御部50によって制御される。製造制御部50は、ネットワークを介して、搬送ステージ20(セグメント21)と通信可能に接続されている。搬送ステージ20は、製造制御部50の制御によって、搬送体tの移動経路を設定又は変更する。製造制御部50は、搬送体tとも通信可能に接続されていてもよい。
【0033】
製造制御部50は、通信モジュール51、搬送情報取得部52、経路生成部53及び搬送制御部54を具備している(図7参照)。
通信モジュール51は、搬送ステージ20、搬送体t及び作業装置W1~W9と通信可能であり、搬送ステージ20及び作業装置W1~W9からの信号、並びに搬送体tの識別情報及び位置情報を受信する。また通信モジュール51は、経路生成部53が生成又は演算した各情報(後述する搬送体tの経路情報又は経路変更情報等)を搬送ステージ20(セグメント21)に送信する。通信モジュール51としては、例えば、LTE、4G、又は5Gに対応した通信モジュールや、IEEE802.11等の既存の規格に対応した通信モジュールを用いることができる。
【0034】
搬送情報取得部52は、搬送体tの識別情報及び位置情報を経時的に記録する。搬送体tの位置情報は、搬送ステージ20上の搬送体tの座標位置に関する情報であり、搬送体tが実際に位置した座標位置(以下、「実績座標位置」ともいう。)、及び予定される移動経路の座標位置(以下、「予定座標位置」ともいう。)の情報が含まれる。
本実施形態においてこれら座標位置は、搬送ステージ20を平面視した場合のX方向の位置とY方向の位置(X,Y)として示される。製造装置100の稼働中において搬送情報取得部52は、搬送体tの位置情報を、0.01~1秒毎に取得する。これにより、実績座標位置の経時的且つ連続的な変化(軌跡)を、搬送体tが実際に移動した経路として示すこと(マッピング)ができる。
予定座標位置の情報は、搬送体tの移動開始地点から目標地点までの予定経路を連続的に座標位置で示した情報である。移動開始地点及び目標開始地点それぞれは、搬送ステージ20における座標位置で示される。これにより、搬送面25上の予定経路中の実績座標位置(現在地)を把握することができる。
予定座標位置の情報は、経路生成部53によって生成される。また、作業装置W1~W9から受信した信号又は実績座標位置の情報に基づき、経路生成部53が予定座標位置の情報を変更して、搬送体tの予定経路を変更する。
【0035】
本実施形態の位置情報は、搬送ステージ20を構成する複数の区画毎に取得することが好ましい。当該区画は、搬送ステージ20のセグメント21又は2個以上の複数のセグメント21の集合体により構成される。例えば、正方形を形成する4個のセグメント21の集合体を1個の区画と設定することができる。より詳細な位置情報を取得する観点から、搬送ステージ20に設定される区画は、単数のセグメント21毎であることが好ましい。
【0036】
搬送情報取得部52は、搬送体tの識別情報と該搬送体tによって搬送される構成要素の情報とを関連付けて記録する。すなわち搬送体t毎に該搬送体tが搬送する構成要素を記録する。本実施形態の搬送情報取得部52は、搬送体tの識別情報と、該搬送体tに対応する位置情報と、該搬送体tによって搬送される構成要素の情報とを関連付けて記録する。識別情報、位置情報及び前記構成要素の情報は、製造制御部50の記録部(図示せず)に保存される。
【0037】
経路生成部53は、搬送ステージ20上における搬送体tの移動経路を生成又は変更する。すなわち予定座標位置(予定経路)を生成又は変更する。搬送ステージ20上の移動経路は、該ステージ20上の搬送体tの座標位置を連続させた軌道として設定することができる。
経路生成部53は、搬送面25において搬送体tが、物品を製造する製造工程の順に、個々の作業装置に対応した作業領域を移動する移動経路を生成する。この移動経路は、識別情報に基づき搬送体t毎に設定される。例えば、図8に示すように作業装置W1~W9を備える製造装置100において、下記の順に作業領域を移動させる移動経路C1~C4を設定することができる。下記の各移動経路において、移動開始地点を「21a」で、目標地点を「21b」でそれぞれ示す。図8に示す移動経路C1~C4は、収容工程の対象となる構成要素(例えば、容器本体1b,2b)を搬送する搬送体tの移動経路である。
移動経路C1:21a→W1→W2→W4→21b
移動経路C2:21a→W1→W3→W4→21b
移動経路C3:21a→W5→W6→W7→21b
移動経路C4:21a→W8→W9→21b
本実施形態の製造方法において複数の搬送体tそれぞれは、これらの移動経路C1~C4に沿った搬送(移動)を同時進行する。
【0038】
上記の移動経路C1~C4は、移動開始地点がセグメント21a内であり、且つ目標地点がセグメント21b内である点が共通している。これら移動経路C1~C4は、移動開始地点(セグメント21a)及び目標地点(セグメント21b)以外は、異なる作業領域に移動する経路となっている。斯かる形態において各作業装置が実行する作業の種類(工程の種類)が異なっている場合は、移動経路C1~C4毎に搬送体tを移動させることで、異なる種類の物品を製造することができる。
また複数の作業装置間で作業の種類が同じであっても、充填する内容物、組み合わせる構成要素、又は加工等を異ならせることで、移動経路C1~C4毎に異なる種類の物品を製造することができる。
したがって、搬送体t毎に移動経路C1~C4を異ならせることで、種類の異なる物品を製造することができる。
【0039】
経路生成部53は、作業装置の作業領域及び該領域に含まれる作業位置の情報に基づき、作業位置を含む作業領域に、搬送体tを移動させる移動経路を生成する。作業位置及びこれを含む作業領域は、作業装置毎に予め設定される。
経路生成部53による移動経路の生成又は変更の実行は、公知のアルゴリズムを用いることができ、例えば、ダイクストラ法、Aスターアルゴリズム等により実行される。経路生成部53は、一の搬送体tの移動経路に関し、他の搬送体tの現在位置、及び他の搬送体tの所定時間先行した移動領域(予定座標位置)を障害物として設定し、該他の搬送体tを回避する経路を生成又は変更可能になされている。
【0040】
搬送制御部54は、搬送体tの位置情報に基づき、作業装置W1~W9に作業開始の信号(作業開始指令)を発信する。また搬送制御部54は、作業装置W1~W9から発信される作業完了信号に基づき、搬送体tを次の作業位置に移動させる移動指令、搬送体tを目標地点に移動させる目標地点移動指令、又は搬送体tを移動開始地点に戻す帰還移動指令を搬送ステージ20に発信する。搬送ステージ20は、これらの移動指令に基づき、磁力を制御して、搬送体tを次の作業位置、目標地点、及び移動開始地点の何れかに移動させる。
【0041】
上述した製造制御部50は、CPU、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ、カメラ、表示部、及びユーザーが入力操作を行う入力装置等を含んで構成される。CPUは、画像表示のためのグラフィックスプロセッサ(Graphics Processing Unit(GPU))、High-Definition(HD)ビデオ等のエンコーディング及びデコーディングを行うマルチメディアプロセッサ、ディスプレイを制御するディスプレイコントローラ、及び給電及び充電を制御するためのパワーマネジメントIntegrated Circuit(IC)等を含んでもよい。製造制御部50が備える表示部は、表示と操作の機能を兼ねたタッチパネル等を用いてもよい。
また製造制御部50は、人為的に操作されてもよい。この場合、入力装置としては、タッチパネルやキーボード、キーパッド、タッチパッド、マウス、マイクロフォン等が挙げられる。
【0042】
製造制御部50の各部(搬送制御部54等)が行う処理は、CPUがROMやディスクなどに格納されたプログラムをRAMに展開して実行することにより実現される。前記処理は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)により実現されてもよく、ASICとFPGAの組み合わせにより実現されてもよい。
【0043】
次に本実施形態の製造方法について、図1に示すボトル容器1の製造方法を例に、図1図3を参照しながら説明する。
本実施形態の製造方法は、搬送情報を取得する搬送情報取得工程と、搬送体tによって構成要素を作業領域に搬送する搬送工程と、該作業領域において構成要素に対して作業を行う作業工程とを具備する。これら搬送情報取得工程、搬送工程及び作業工程は、上述した製造装置100により実行される。
【0044】
搬送情報取得工程は、搬送体tの搬送に関連する情報を取得する工程であり、位置情報を取得する位置情報取得工程と、搬送体t毎に搬送する構成要素を設定する構成要素情報取得工程とを具備する。
位置情報取得工程は、搬送面25における個々の搬送体tの位置情報、すなわち実績座標位置及び予定座標位置の情報を取得する。斯かる工程では、個々の搬送体t1,t2の識別情報と、該搬送体t1,t2の位置情報とが関連付けられる。搬送体tは、経路生成部53によって、識別情報毎に予定経路(予定座標位置)が予め設定されている。すなわち、搬送体t1,t2毎に移動経路が予め設定されている。本実施形態の位置情報取得工程は、搬送体tの搬送中、位置情報をリアルタイムで取得する。
構成要素情報取得工程は、個々の搬送体t1,t2の識別情報と、該搬送体t1,t2によって搬送される構成要素(容器本体1b,キャップ1c)の情報とを関連付ける。すなわち搬送体t1,t2の識別情報に基づき、搬送する構成要素の種類が設定される。
【0045】
上記の搬送情報取得工程によって、個々の搬送体tと、該搬送体tが実際に移動した移動経路、及び該搬送体tが搬送した構成要素を把握することできる。これにより、個々の搬送体tの搬送によって製造された物品の追跡(トレース)が可能となる。
本実施形態の搬送情報取得工程は、搬送情報取得部52により実行され、取得した情報を製造制御部50の保存部(図示せず)に記憶する。
【0046】
本実施形態の搬送工程は、単数又は複数の搬送体tが、構成要素を作業領域に搬送する。搬送工程では、搬送体t1,t2毎に設定された移動経路で搬送体t1,t2を移動させる。例えば、移動経路C1又は移動経路C2に沿って移動させる(図3及び図8参照)。各移動経路は、各作業装置W1~W4に対応する作業領域に搬送体t1を移動させる。また、搬送工程では別の搬送体t2について、移動開始地点(図3において図示せず)→組み合わせ装置W4→移動開始地点の順に、該組み合わせ装置W4に対応する作業領域に移動させる移動経路(図3の白矢印)に沿って、搬送体t2を移動させる。このように、容器本体1bを搬送する搬送体t1、及びキャップ1cを搬送する搬送体t2それぞれは、移動経路(図3参照)が異なっている。これらの移動経路が、物品(ボトル容器1)の製造ラインを構成している。
【0047】
図1及び図3に示す搬送工程では、単数の搬送体t1が容器本体1bを、単数の搬送体t2がキャップ1cをそれぞれ搬送している。このように本実施形態の搬送工程は、複数の構成要素1b,1cを異なる複数の搬送体t1,t2が搬送する複数型搬送工程を具備する。複数型搬送工程では、構成要素情報取得工程によって、搬送体tと該搬送体tに搬送される構成要素が1対1で対応している。
図1及び図3に示す実施形態において、複数型搬送工程は、1種類の物品1(ボトル容器1)を構成する複数の構成要素1b,1cそれぞれを、複数の搬送体t1,t2によって搬送する。
【0048】
本実施形態の製造方法は、作業領域に構成要素を積載した搬送体tが移動する搬送工程を作業工程毎に行う。例えば、充填工程及び組み合わせ工程それぞれを具備する場合、充填装置W2,W3の作業領域に搬送体tが移動する搬送工程と、組み合わせ装置W4の作業領域に搬送体tが移動する搬送工程とを具備する。このように、作業工程に対応させて、該作業工程の作業領域に搬送体を移動させる搬送工程を具備する。また、供給工程を具備する場合、供給装置W1の作業領域に、未積載の搬送体tが移動する供給移動工程を具備する。
【0049】
作業工程は、複数の構成要素を組み合わせる組み合わせ工程、構成要素の内部に内容物を収容する収容工程、及び構成要素に対して加工を行う加工工程の少なくとも1以上の工程を具備する。これらの工程に加え、作業工程は、搬送面25外から構成要素を移動経路に供給する供給工程を具備してもよい。
作業工程は、供給工程、収容工程、組み合わせ工程及び加工工程の何れかを具備していてもよく、これらのうち2以上の工程を組み合わせて具備していてもよい。図1及び図3に示す作業工程は、供給工程、収容工程及び組み合わせ工程の順にこれらの工程を具備する。より具体的には、供給装置W1による供給工程を行い、その後、充填装置W2,W3による収容工程を行い、さらにその後に、組み合わせ装置W4による組み合わせ工程を行う。この収容工程では、一の構成要素である容器本体1bの内部に内容物を収容し、続く組み合わせ工程において他の構成要素であるキャップ1cを容器本体1bに組み付ける。
本実施形態の作業工程は、組み合わせ工程の前に、供給工程、収容工程及び加工工程の何れか1以上の工程を具備していてもよく、組み合わせ工程の後に、供給工程、収容工程及び加工工程の何れか1以上の工程を具備していてもよい。
なお、供給工程、収容工程、組み合わせ工程及び加工工程の各作業工程は、搬送体tを移動させながら実行してもよい。例えば、各作業工程において、作業装置Wのアーム37又はロボットハンド38を搬送体tの移動に追従させながら作業を行ってもよい。この場合、前記追従に応じて複数の作業位置が連続して設定される。これにより、作業を全く行わない時間をより短縮でき、作業の効率性及び生産性をより向上できる。
【0050】
供給工程は、搬送面25外から構成要素を搬送体tに積載する。すなわち搬送体tの搬送によらずに、移動経路に構成要素を供給する。
本実施形態の供給工程は、供給装置W1が搬送面25上の搬送体t1に、容器本体1bを積載する(図1及び図3参照)。換言すると、供給装置W1の作業領域に移動した搬送体t1に容器本体1bを積載する。供給装置W1は、搬送面25において作業保持部32によって下降する容器本体1bの着地点が作業位置P1となっており、該作業位置P1に搬送体t1が移動する。これにより、搬送体t1上に容器本体1bを載置することができる。本実施形態の供給工程では、図3に示すように、保持部12の筒部11bに容器本体1bを挿入して、搬送体tに載置する。この供給工程後、容器本体1bが積載された搬送体t1は、2台の充填装置W2,W3の何れかの作業領域に移動する。
【0051】
本実施形態の製造方法では、別の供給装置が搬送面25上の搬送体t2に、キャップ1cを積載する供給工程を具備する(図示せず)。斯かる供給工程は、ロボットハンドを備えたロボットアームを具備する供給装置によって行われる。搬送面25外からのキャップ1cの供給は、搬送体t2の移動経路の移動開始地点で行われる。搬送面25上の搬送体t1,t2の移動開始地点(座標位置)は異なっていてもよい。
【0052】
収容工程は、搬送体tによって搬送された構成要素の内部に、内容物を収容する。搬送体tの搬送によらずに供給される内容物を、以下「供給内容物」ともいう。収容工程は、物品の内容物である供給内容物を搬送面25外から構成要素に供給する。収容工程は、供給内容物を構成要素の内部に収容し得る作業を行う。斯かる作業としては、気体、液体若しくは粉体である内容物の充填、固体の収容、等が挙げられる。
【0053】
本実施形態の収容工程は、充填装置W2,W3が、容器本体1bの内部に液体である供給内容物を充填する充填工程である(図3参照)。充填工程を行う2台の充填装置W2,W3は、供給内容物の組成が異なっている。充填工程は、充填装置W2,W3の何れか一方の作業領域に移動した搬送体t1上の容器本体1bに対し行われる。充填装置W2,W3は、搬送面25においてアーム(ノズル可動支持部)34により昇降する充填ノズル35の位置が作業位置P2,P3となっており、該作業位置P2,P3に搬送体t1が移動する。これにより充填装置W2,W3は、作業位置P2,P3(充填位置)にて搬送体t1上の容器本体1bの内部に、充填ノズル35を介して供給内容物を充填することができる。この収容工程(充填工程)後、内容物が充填された容器本体1bが積載された搬送体t1は、組み合わせ装置W4の作業領域に移動する。
【0054】
収容工程で用いられる充填装置W2,W3に対し、搬送体tの搬送によって、内容物が供給されてもよい。例えば搬送体tが、内容物を収容した容器を充填装置W2,W3の作業領域に搬送し、該充填装置W2,W3が該容器から内容物を補充してもよい。この場合、充填装置W2,W3の充填ノズル35は、吸引ノズルとしての機能も具備する。
【0055】
組み合わせ工程は、単数の搬送体t又は別個の搬送体tによって搬送された複数の構成要素を組み合わせる。組み合わせ工程は、複数の構成要素を組み合わせる作業を行う。斯かる作業としては、複数の構成要素の組み付け、複数の構成要素の接合等が挙げられる。組み付けには、特定の構成要素への他の構成要素の装着、取り付け、又は配置等の作業が含まれる。装着には、係合、嵌合、螺合等の作業が含まれる。嵌合には、隙間嵌め、締り嵌め(圧入)、中間嵌め等が含まれる。取り付けには、接着又は融着の接合等の作業が含まれる。配置は、挿入、載置等の作業が含まれ、構成要素どうし間の固定の有無を問わない。例えば載置には、構成要素の凹部に、他の構成要素を置く作業が含まれる。
【0056】
本実施形態の組み合わせ工程は、組み合わせ装置W4が、容器本体1bの口首部にキャップ1cを装着する装着工程である。この装着工程は、組み合わせ装置W4の作業領域に移動した搬送体t1上の容器本体1bに、該作業領域に移動した別個の搬送体t2上のキャップ1cを装着する。
本実施形態の組み合わせ工程では、搬送面25において、組み合わせ装置W4のアーム37により移動するロボットハンド38の把持位置P4a、及びロボットハンド38の回転位置P4bの2箇所の位置が、組み合わせ装置W4の作業位置P4となっている。把持位置P4aにキャップ1cを搬送する搬送体t2が移動し、回転位置P4bに内容物を充填した容器本体1bを搬送する搬送体t1が移動する。これにより組み合わせ装置W4は、把持位置P4aにて搬送体t2上のキャップ1cをロボットハンド38が把持し、回転位置P4bにおけるロボットハンド38の回転によりキャップ1cを搬送体t1上の容器本体1bの口首部に装着(螺合)することができる。
【0057】
このようにして、搬送体t1上でボトル容器1が完成する。組み合わせ工程(装着工程)後、搬送体t1は目標地点(セグメント21b)に移動することで、ボトル容器1を搬送する。またキャップ1cを搬送した搬送体t2は、製造制御部50の帰還移動指令信号に基づき、移動開始地点に移動する。移動開始地点に戻った搬送体t2は、搬送面25外からキャップ1cが供給された後、把持位置P4bに再移動する。搬送体t2は、移動開始地点と把持位置P4bとの往復移動を繰り返す。
【0058】
上記の組み合わせ工程のように、作業工程において、単一の作業装置W4に対応する作業領域に、別個の搬送体t1,t2に対応する複数の作業位置P4a,P4bが設定されていてもよい(図3参照)。この場合、同一の作業領域における複数の作業位置P4a,P4bは、搬送面25上の座標位置が異なっている。
また上記の充填工程のように、作業工程において、単一の作業装置W2,W3に対応する作業領域に、単一の搬送体t1に対応する単一の作業位置P2,P3が設定されていてもよい(図3参照)。この場合、作業装置W2,W3毎に、搬送面25上の座標位置が異なる作業領域が設定されるとともに、各作業領域内に作業位置P2,P3が設定される。
【0059】
さらに複数の作業装置を備える場合、これら複数の作業装置に対し、同一の作業領域内に同一又は異なる作業位置が設定されていてもよく、異なる作業領域どうしが重複する領域内に同一又は異なる作業位置が設定されていてもよい。例えば、複数の作業装置に対応する作業領域が、少なくとも部分的又は全域が重複しており、その作業領域どうしが重複する領域において、該複数の作業装置に対応する作業位置が一箇所又は二箇所以上の複数箇所設定されている形態が挙げられる。すなわち複数の作業装置が、単一又は複数の作業位置を共有するように、該作業位置が設定されている。斯かる形態において、重複する作業領域に対応する作業装置は、該装置が行う作業の種類が互いに異なっていてもよく、該装置が行う作業の種類が同じであってもよい。
例えば、同一の作業領域内で同一の作業位置を2台の充填装置が共有する形態が挙げられる。この場合、2台の充填装置が充填する内容物の組成をそれぞれ異ならせることで、搬送体tによって単一の作業位置に搬送された容器本体1bに組成の異なる内容物を充填することができ、さらに搬送体tが自転することによって、これらの内容物を容器本体1b内で混合することができる。
また、作業領域どうしが重複する領域内で複数の作業位置を複数の作業装置が共有してもよい。例えば、重複する領域内に設定された二箇所の作業位置それぞれにおいて、作業の種類が異なる2台の作業装置が作業を行ってもよい。この場合、二箇所の作業位置の一方に位置する搬送体t上の構成要素に対し、一方の作業装置及び他方の作業装置の順で作業を行いつつ、二箇所の作業位置の他方に位置する別の搬送体t上の構成要素に対し、他方の作業装置及び一方の作業装置の順で作業を行うことができる。換言すると、二箇所の作業位置それぞれに位置する2台の搬送体t上の各構成要素に対し、一方及び他方の作業装置に対応する作業を同時進行することができる。これにより、次の作業を行うための待ち時間を短縮することができ、生産効率をより向上することができる。
さらに複数の作業装置が、単一又は複数の作業位置を共有するように、該作業位置が設定されている場合、複数の作業装置に対応する作業を同じタイミングで行ってもよい。すなわち同一又は複数の作業位置に搬送された構成要素に対して、同じタイミングで2台の作業装置に対応する作業を行なってもよい。斯かる形態の例として、同一の作業位置に搬送された構成要素に対し、充填装置とラベル等の貼付装置とが充填及びラベルの貼付を同じタイミングで行う形態、充填装置と加飾装置とが充填及び加飾を同じタイミングで行う形態、構成要素の上面を加工する加工装置と該構成要素の側面を加工する加工装置とがこれら上面及び側面それぞれに対する加工を同じタイミングで行う形態等が挙げられる。
【0060】
本実施形態の製造方法は、搬送体tが複数の構成要素を搬送するので、搬送面25上の移動経路を異ならせることで、種類の異なる物品を効率的に製造することができる。
例えば図3に示すように、容器本体1bを搬送する搬送体t1を、充填装置W2及び充填装置W3の何れかの作業領域(作業位置P2,P3)に移動させることで、組成の種類が異なる内容物(供給内容物)を充填したボトル容器1を製造することができる。すなわち本実施形態の製造方法は、容器本体1bを搬送する搬送体t1の移動経路C1,C2を異ならせることで、内容物が異なる2種類のボトル容器1を製造することができる。さらに別の種類の物品を製造する場合に、大がかりな設備の変更をする必要がなく、搬送面25に作業領域(作業位置)を設定して、該別の種類の物品の製造に要する作業装置を増設又は変更(切り替え)するだけで、該別の種類の物品の製造が可能になる。また搬送工程において搬送面25上の搬送体tが構成要素を搬送するので、該構成要素の保管スペースの省スペース化を図ることができる。
斯かる本実施形態の製造方法は、特に多品種変量生産をする場合に、物品の種類の数又は生産数の変動に対してもフレキシブルに対応できる点で有効である。換言すると、製造物(物品)の種類に応じたカスタマイズを容易に行うことができ、設備投資及び製造スペースの増大を抑制することができる。
【0061】
また各充填装置W2,W3により充填された容器本体1bは、搬送体t1によって同じ組み合わせ装置W4の作業領域(作業位置P4)に移動される。このように共通する作業工程があり且つ異なる物品を製造する場合、移動経路C1,C2の一部経路に、共通する作業装置W4に対応する作業領域を含ませることで、種類が異なる物品の製造工程の一部を同じ作業装置W4の作業に集約させることができる。すなわち種類が異なる物品の製造に当たり、搬送体tの移動経路の一部を兼用させることができる。これにより、設備投資及び製造スペースの増大を抑制することができる。
したがって本実施形態の製造方法は、多品種変量生産を効率的に行うことができる。
【0062】
作業装置による作業精度をより向上させる観点から、搬送工程は、作業装置の特定部位と構成要素の特定位置とを位置合わせする位置合わせを搬送体tの移動により行うことが好ましい。
例えば充填装置W2,W3による作業工程を行う場合、位置合わせによって、充填ノズル35の開口の中心軸(作業装置の特定部位)の位置と、容器本体1bの口首部の開口の中心軸の位置(構成要素の特定位置)とが重なることで、充填工程の精度をより向上できる。この場合、搬送面25における充填時の充填ノズル35の開口の中心軸の位置を作業位置P2,P3とし、搬送工程において、平面視における作業位置P2,P3と、搬送体t1上の容器本体1bの口首部の開口の中心軸の位置とが一致するように、該搬送体t1を移動させる。
また組み合わせ装置W4による作業工程を行う場合、位置合わせによって、ロボットハンド38(作業装置の特定部位)の位置と、容器本体1bの外周面の位置(構成要素の特定位置)とが重なることで、組み合わせ工程の精度をより向上できる。この場合、搬送面25における組み合わせ時のロボットハンド38の位置を作業位置P4とし、搬送工程において、平面視における作業位置P4と、搬送体t1上の容器本体1bの外周面の位置とが一致するように、該搬送体t1を移動させる。
上記の位置合わせをする際、搬送体tを、平面視において任意の方向に直進移動、湾曲移動、回転移動、又はこれらを組み合わせて移動させる。位置合わせは、搬送制御部54によって実行される。
【0063】
上述した製造方法に関し、搬送工程は、複数型搬送工程であったが、斯かる搬送態様に限定されない。搬送工程は、複数の構成要素を単数の搬送体tが搬送する単数型搬送工程であってもよい。単数型搬送工程では、例えば図9に示すように、単数の搬送体t3に、容器本体1b及びキャップ1cが積載されて、搬送される。すなわち、単数型搬送工程においては、1種類の製品の構成要素の少なくとも2以上を単数の搬送体t3で搬送する。この場合、容器本体1b及びキャップ1cを搬送する個別の搬送体t1,t2がなくとも、容器本体1b及びキャップ1cを積載した搬送体t3が、移動経路C1(図3参照)に沿って移動することで、ボトル容器1を製造することができる。
単数型搬送工程では、構成要素情報取得工程によって、単数の搬送体t3と該搬送体t3に搬送される複数の構成要素が対応している。
搬送工程は、単数型搬送工程及び複数型搬送工程の何れか一方又は双方を具備する。すなわち単数型搬送工程及び複数型搬送工程を組み合わせて具備してもよい。
【0064】
単数型搬送工程を行う場合、複数の構成要素が、単数の搬送体t3上に載置される。単数型搬送工程後の作業工程において、複数の作業装置の作業対象の構成要素が搬送体t3上で異なっている場合、搬送体t3の移動による二段階の位置合わせをすることが好ましい。二段階の位置合わせは、第1位置合わせと第2位置合わせとを有する。第1位置合わせは、作業装置の特定部位と平面視における搬送体tの特定位置とを位置合わせする。換言すると、第1位置合わせは、平面視において、作業装置の特定部位の位置(作業位置P)と、搬送体tの特定位置とが重なるように、搬送体3tを移動させる。第2位置合わせは、作業装置の特定部位と搬送体t3上の特定の構成要素とを位置合わせする。換言すると、第2位置合わせは、平面視において、作業装置の特定部位(作業位置P)と、搬送体t3上の特定の構成要素の位置とが重なるように、搬送体t3を移動させる。
二段階の位置合わせの一例を図21に示す。この二段階の位置合わせは、先ず第1位置合わせとして、容器本体1b及びキャップ1cが積載された搬送体t3を移動させて、作業位置Pと、搬送体t3の中心位置とを位置合わせする〔図21(a)参照〕。次いで、第2位置合わせとして、搬送体t3を移動させて、作業位置Pと、搬送体t3上のキャップ1cの位置とを位置合わせする〔図21(b)参照〕。斯かる二段階の位置合わせによって、キャップ1cをより確実に作業対象とすることができ、作業精度をより向上することができる。
第1位置合わせ及び第2位置合わせをする際、搬送体t3を、平面視において任意の方向に直進移動、湾曲移動、回転移動、又はこれらを組み合わせて移動させる。
【0065】
第1位置合わせ及び第2位置合わせは、搬送制御部54によって実行してもよく、また第1位置合わせを搬送制御部54によって実行し、且つ作業装置が具備する画像認識装置と搬送制御部54とが協働して第2位置合わせを実行してもよい。画像認識装置は、カメラ等の撮像装置と、画像認識処理を行う画像処理部とを具備する。画像認識装置は、撮像装置によって、第1位置合わせが完了した搬送体t3の平面視画像を取得し、画像処理部によって該平面視画像に対し画像認識処理を行う。これにより、平面視画像から搬送体t3上の特定の構成要素の位置情報を取得し、該位置情報に基づく構成要素の位置と、作業装置の特定部位(作業位置P)とを合わせるように、搬送制御部54が搬送体t3を移動させる。特に保持部を有する搬送体t3は、該保持部に配された各構成要素が一定の位置となるので、第2位置合わせをより高精度に行うことができる。
【0066】
また上述した製造方法は、供給工程、収容工程及び組み合わせ工程の他に、加工工程を具備してもよい。加工工程は、搬送体tによって搬送された構成要素に対して加工を行う工程である。加工工程は、前記加工を行う作業装置によって行われる(図示せず)。加工工程の加工としては、印刷、ラベル等の貼付物の貼付、包装、切削、噴霧、レーザー刻印加工、型押し加工、曲げ加工等の塑性加工等が挙げられる。
例えば、加工工程が、ボトル容器1の容器本体1b表面に印刷を施す印刷工程である場合、該印刷工程を行う印刷装置を作業装置として増設し、該印刷装置の作業領域を搬送面25上に設定する。そして搬送体tの移動経路に、印刷装置の作業領域に移動させる経路を追加する。例えば組み合わせ工程後に印刷工程を行う場合、移動経路C1,C2を以下のように変更する。
移動経路C1:21a→W1→W2→W4→印刷装置の作業領域→21b
移動経路C2:21a→W1→W3→W4→印刷装置の作業領域→21b
【0067】
上述した製造方法により、完成したボトル容器1は、搬送体t1によって目標地点(セグメント21b)に搬送される。目標地点は、取り出し装置(図8において図示せず)の作業領域になっており、該取り出し装置が、完成した物品を搬送面25外に取り出し、段ボール箱等の梱包体に、物品を梱包する。取り出し装置は、物品を把持するロボットハンドを備えたロボットアームと、公知の梱包装置とを組み合わせた複合装置を用いることができる。また、取り出し装置に代えて、完成した物品の搬送面25外への取り出し及び梱包を、人為的に行ってもよい。
本実施形態では、搬送体tの移動開始地点(セグメント21a)及び目標地点(セグメント21b)が、搬送面25上においてY方向に隣り合っている。前記の梱包及び構成要素(容器本体1b)の供給を移動開始地点(セグメント21a)及び目標地点(セグメント21b)にて人為的に行う場合、これら移動開始地点及び目標地点が搬送面25上で近接していることが好ましい。斯かる構成により、前記の梱包及び構成要素の供給を同一人で行うことができるので、省人化を図ることができる。
【0068】
完成した物品(ボトル容器1)が取り出された搬送体t1は、製造制御部50の帰還移動指令信号に基づき、移動開始地点に移動する。移動開始地点に戻った搬送体t1は、移動経路C1,C2に沿った移動を繰り返し、ボトル容器1を製造する。
【0069】
本実施形態の製造方法は、上述した製造装置100を用いて、ボトル容器1以外の物品を製造することができる。以下の説明では、上述した実施形態と異なる部分を主として説明し、同様の構成部分は、同じ符号を付して説明を省略する。特に説明しない構成については、上述したボトル容器1を製造する実施形態についての説明が適宜適用される。
【0070】
本実施形態の製造方法は、日焼け止め化粧料等の液状化粧料を収容した包装容器2を製造することができる。
図10には、前記包装容器2が示されている。包装容器2は、内容物である液状化粧料を収容する容器本体2bと、該容器本体2bに対して着脱可能に装着されるキャップ2cと、液状化粧料とともに容器本体2bに収容される球体2aと、容器本体2bから液状化粧料を吐出させるノズル部2dとを具備している。容器本体2bは、液状化粧料を収容する収容空間を内部に有し、上端部にノズル部2dが装着される口首部が形成されている。キャップ2cは、内部に筒状のノズル収容部を有し、ノズル部2dの外周面に設けられた螺条部と螺合可能なキャップ側螺条部が、ノズル収容部の内周面に形成されている(図示せず)。キャップ2cを容器本体2bに装着する際に、ノズル部2dをキャップ2cのノズル収容部に収容した状態で、ノズル収容部とノズル部2dとを螺合し、ノズル部2dの開口を閉塞する(図示せず)。ノズル部2dは、液状化粧料を吐出させる流路を内部に有する筒状部材であり、先端が略円錐状となっている。
【0071】
包装容器2は、移動経路C3に沿って、容器本体1bを積載した搬送体t4が移動することで製造することができる(図8参照)。移動経路C3には、搬送面25上において、移動開始地点から、第1組み合わせ装置W5、充填装置W6、及び第2組み合わせ装置W7の順に、これら作業装置W5,W6,W7に対応する作業領域が含まれている。図11に、これら作業領域にて行われる作業の概略図を示す。
なお、図11に示す製造方法は、供給工程として、容器本体2bを搬送体t4に積載する工程、球体2aを搬送体t5に積載する工程、並びにキャップ2c及びノズル部2dを搬送体t6に積載する工程を具備する(図示せず)。斯かる供給工程は、組み合わせ装置W5,W7と同じ構成を具備する作業装置によって行うことができる。供給工程完了後の各搬送体t4,t5,t6は、移動開始地点(セグメント21a)に移動し、搬送工程及び作業工程を行う。
【0072】
図11に示す製造方法における搬送工程は、搬送体t4によって容器本体2bを搬送する搬送工程、搬送体t5によって球体2aを搬送する搬送工程、搬送体t6によってキャップ2c及びノズル部2dを搬送する搬送工程を具備する。また図11に示す製造方法における作業工程は、移動経路C3に基づき、第1組み合わせ工程、充填工程、及び第2組み合わせ工程をこの順で具備する〔図11(a)~(c)参照〕。そしてこれらの工程によって、液状化粧料を収容した包装容器2を製造する〔図11(d)参照〕。
【0073】
供給工程後、搬送体t4及び搬送体t5を移動開始地点(セグメント21a)から第1組み合わせ装置W5の作業領域に移動させる、搬送工程が行われ、その次に第1組み合わせ工程が行われる。
第1組み合わせ工程は、第1組み合わせ装置W5により行われ、該装置W5のロボットハンド38によって、球体2aを容器本体2bに収容する〔図11(a)参照〕。本工程では、搬送体t5によって搬送された球体2aをロボットハンド38で把持し、容器本体2bの口首部を介して、該容器本体2bの内部に球体2aを収容する。斯かる球体2aの収容は、ロボットハンド38による把持を解除し、球体2aを落下させて行う。平面視におけるロボットハンド38による球体2aの落下地点が、第1組み合わせ装置W5の作業位置となる。
【0074】
第1組み合わせ工程後、球体2aを収容した容器本体2bを積載した搬送体t4を、充填装置W6の作業領域に移動させる、搬送工程が行われ、その次に充填工程が行われる。
充填工程は、充填装置W5により行われ、充填ノズル35を介して、供給内容物である液状化粧料を容器本体2b内に充填する〔図11(b)参照〕。
【0075】
充填工程後、搬送体t4及び搬送体t6を第2組み合わせ装置W7の作業領域に移動させる、搬送工程が行われ、その次に第2組み合わせ工程が行われる。
第2組み合わせ工程は、第2組み合わせ装置W7により行われ、該装置W7のロボットハンド38によって、ノズル部2d及びキャップ2cを容器本体2bに取り付ける〔図11(c)参照〕。本工程では、搬送体t6によって搬送されたノズル部2d及びキャップ2cそれぞれをロボットハンド38で把持し、容器本体2bに取り付ける。
【0076】
より具体的には、ノズル部2dを容器本体2bの口首部に取り付けた後、キャップ2cを容器本体2bに取り付ける。斯かる取り付けは、螺合又は嵌合であり、第2組み合わせ装置W7が具備するロボットハンド38の昇降又は回転によって行われる。すなわち、組み合わせ装置W7は、搬送体t6が搬送する構成要素2c,2dのうち、第2組み合わせ装置W7の取り付け作業に用いる構成要素2c,2dを選択して把持する。このように作業装置は、搬送体t6が搬送する構成要素のうち、該作業装置の作業に用いる構成要素を選択して、該構成要素を該作業装置が行う作業に用いることが好ましい。斯かる構成により、製造スペース(搬送面25)をより省スペース化することができる。
【0077】
前記の作業装置による構成要素の選択は、搬送体t上の構成要素を搬送面25上の座標位置で特定すること、又は作業装置に公知の画像認識技術を搭載することで行うことができる。
作業装置は、搬送面25外において構成要素を選択してもよい。この場合、搬送体tの移動経路外から供給される構成要素のうち、作業装置の作業に用いる構成要素を選択する。またツール搬送工程に先立ち、搬送面25外において構成要素を選択し、作業ツールを搬送面25上の搬送体tに供給してもよい。ツール搬送工程については後述する。
【0078】
本実施形態の製造方法では、上述した第2組み合わせ工程が完了することで、内部に球体2a及び内容物(液状化粧料)を収容した包装容器2を製造することができる〔図11(d)参照〕。完成した包装容器2は、搬送体t4によって目標地点(セグメント21b)に搬送され後、取り出し装置等によって搬送面25外に取り出される。
【0079】
図11に示す搬送工程において、球体2a及び容器本体2bそれぞれは別個の搬送体t4,t5によって搬送され、ノズル部2d及びキャップ2cは単一の搬送体t6によって搬送される。前者は複数型搬送工程であり、後者は単数型搬送工程である。すなわち、図11に示す搬送工程は、単数型搬送工程と複数型搬送工程とを組み合わせて具備する。
【0080】
本実施形態の搬送工程は、包装容器2を構成する各構成要素2a,2b,2c,2dそれぞれが別個の搬送体t4,t9,t10,t11によって搬送されてもよい(図12参照)。図12に示す搬送工程は、容器本体2b、球体2a、キャップ2c、及びノズル部2dそれぞれを搬送する搬送体t4,t9,t10,t11が、組み合わせ装置W7の作業領域に移動する。この場合、組み合わせ装置W7は、球体2a、ノズル部2d及びキャップ2cそれぞれを選択して、組み合わせ工程に用いることが好ましい。斯かる構成により、第1組み合わせ工程及び第2組み合わせ工程それぞれの作業を、組み合わせ装置W7に集約することができる。
【0081】
搬送工程において、搬送体t4,t9,t10,t11は、作業装置W7の作業領域内に設定された作業位置P7と、一の構成要素の特定位置とが重なる位置に、該構成要素を搬送した後、該作業位置に他の構成要素を搬送することが好ましい。すなわち一の搬送体tが、作業位置P7に一の構成要素を搬送した後、他の搬送体tが、該作業位置P7に他の構成要素を搬送することが好ましい。斯かる構成を図12及び図13に示す搬送工程を例に説明する。包装容器2は、前述したように、第1組み合わせ工程及び第2組み合わせ工程によって、球体2a、ノズル部2d、及びキャップ2cの順に、これら部材(構成要素)が容器本体2bに組み付けられる。この第2組み合わせ工程では、例えば搬送体t10によって把持位置P7にキャップ2cが搬送されて、前述の位置合わせをした後、該把持位置P7にて組み合わせ装置W7のロボットハンド38が該キャップ2cを把持する〔図13(a)参照〕。キャップ2cが把持されると、該キャップ2cを搬送した搬送体t10は、組み合わせ装置W7の作業領域外に移動する。そして当該把持位置P7に、搬送体t4によって、ノズル部2dが取り付けられた容器本体2bが搬送されて、前述の位置合わせをした後、前記ロボットハンド38によって、把持したキャップ2cを容器本体2bに取り付ける〔図13(b)参照〕。これにより、単一の組み合わせ装置W7で、異なる構成要素を組み合わせる複数の組み合わせ工程をより容易に行うことができる。
【0082】
また本実施形態の製造方法は、搬送工程及び作業工程とともに、ツール搬送工程を含んでいてもよい。ツール搬送工程では、作業装置の作業に用いられ且つ該作業装置に装着される作業ツールを、構成要素とともに搬送体tによって作業領域に搬送するか、又は作業ツールのみを搬送体tによって作業領域に搬送する。作業ツールは、例えば作業装置が作業を行う際に構成要素と接触し得る部品であり、例えばロボットハンド38、キャッピングヘッド、充填ノズル35、切削工具(例えばエンドミル、ドリル、フライス)等が挙げられる。
【0083】
図14に示す製造方法は、ツール搬送工程を具備することで、容器本体2bを搬送する搬送体t4と、キャップ2c、球体2a、ノズル部2d及びロボットハンド38を搬送する搬送体t8とが、単一の組み合わせ装置W7の作業領域に移動し〔図14(a)参照〕、第1組み合わせ工程及び第2組み合わせ工程を行う。この場合、搬送工程とツール搬送工程とが、同じ搬送体t8によって同時に行われる。図14(a)に示す組み合わせ装置W7は、可動支持部37にロボットハンド38が取り付けられていない。
組み合わせ装置W7の作業領域に搬送体t8が移動すると、可動支持部37の先端部(エンドエフェクタ)が搬送体t8に向かって下降し、ロボットハンド38の基端部が該可動支持部37の挿入孔に挿入されて、取り付けられる〔図14(b)参照〕。ロボットハンド38が取り付けられると、組み合わせ装置W7は、第1組み合わせ工程及び第2組み合わせ工程を行う〔図14(c)参照〕。このようにツール搬送工程を具備することで、物品の製造毎に作業ツールを変更することができるので、多品種生産に用いられる作業装置をより集約化することができる。ツール搬送工程は、ロボットアームを具備する作業装置を用いた製造方法に好ましく適用することができる。
【0084】
本実施形態の製造方法がツール搬送工程を具備する場合、作業装置への作業ツールの取り付けをより容易にする観点から、作業装置は、ツールチェンジャーを介して、作業ツールが取り付けられることが好ましい。ツールチェンジャーは、作業装置のエンドエフェクタと作業ツールとの間に位置し、エンドエフェクタに対して作業ツールを着脱可能に取り付ける取り付け部材である。ツールチェンジャーは、作業ツールの取り付け位置を定める位置決め機構、又は磁石による取り付け機構を備えていてもよい。
【0085】
本実施形態の製造方法は、ポンプディスペンサー3cを備えた内容物入りのボトル容器3(以下、「ポンプ容器3」ともいう。)を製造することができる。このポンプ容器3は、キャップ1cに代えてポンプディスペンサー3cを具備する点以外は、前述のボトル容器1と同じ構成を具備する。ポンプ容器3は、移動経路C4に沿って、容器本体1bを積載した搬送体tが移動することで製造することができる(図8)。移動経路C4には、搬送面25上において、移動開始地点から、供給装置W1、充填装置W8、及び組み合わせ装置W9の順に、これら作業装置W1,W8,W9に対応する作業領域が含まれている。
【0086】
本実施形態におけるポンプ容器3の製造方法は、ボトル容器1の製造方法と同様に、作業工程として、供給工程、充填工程、及び組み合わせ工程を具備する。当該製造方法における作業工程は、充填工程において容器本体1bに充填される液体(内容物)が異なる点、及び組み合わせ工程においてポンプディスペンサー3cが容器本体1bに装着される点以外は、前述のボトル容器1の製造方法と同様の方法により行われる。
【0087】
本実施形態におけるポンプ容器3の製造方法は、ポンプディスペンサー3cを搬送する搬送工程において、図15に示す搬送体t11が用いられる。図15に示す搬送体t11は、構成要素を保持する保持部13が、底面部13aと、該底面部13aから起立した起立型保持部15,16,17とを有している。起立型保持部15は、ポンプディスペンサー3cが具備する液供給パイプが挿通される挿通孔を有した保持盤15bと、底面部13aから起立する棒状の一対の支持部15a,15aとを備えている。保持盤15bは、支持部15a,15a上に支持されており、鉛直方向Zにおける保持盤15bと底面部13aとの間の長さが、液供給パイプの長さよりも長い。保持盤15bに形成された挿通孔は、ポンプディスペンサー3cにおいて上下可能なポンプヘッドの外径よりも小さい内径を有し、且つ液供給パイプの外径よりも大きい内径を有している。これにより保持部13は、液供給パイプを挿通孔に挿通し且つポンプヘッドが保持盤15bに載置された状態で、ポンプディスペンサー3cを保持する(図15参照)。
【0088】
保持部13は、偏平状の構成要素4c,5cを保持する起立型保持部16,17を有している。これら起立型保持部16,17は、挿通孔に代えて、偏平状の構成要素4c,5cが載置される載置溝が保持盤16b,17bに形成されている点以外は、前述の起立型保持部15と同様の構成を具備している。すなわち、一対の支持部16a,16a,17a,17aにより、鉛直方向Zにおける底面部13aから保持盤16b,17bが離間した状態で支持されている。
これら起立型保持部16,17は、保持盤16b,17bの載置溝に構成要素4c,5cを配置して、該構成要素4c,5cを保持する。保持盤16b,17bからの構成要素4c,5cのピッキングをより容易にする観点から、載置溝の内径は、構成要素4c,5cの外径よりも大きいことが好ましい(載置溝の内径>構成要素4c,5cの外径)。斯かる大小関係において、物品が合成樹脂製の製品である場合、載置溝の内径と構成要素4c,5cの外径との差は、好ましくは0.1mm以上0.5mm以下である。また物品が精密部品である場合、載置溝の内径と構成要素4c,5cの外径との差は、好ましくは0.01mm以上0.05mm以下である。
【0089】
保持部13を備えた搬送体t11は、構成要素を底面部13aから離間して保持することで、該構成要素のピッキング作業等の作業を容易化できる。斯かるピッキング作業を含むキャッピング工程(組み合わせ工程)について、図16(a)~(d)を用いて説明する。
図16に示す組み合わせ工程は、キャッピングヘッド39をエンドエフェクタに取り付けた組み合わせ装置W9によって行われる。図16に示す搬送体t11の保持具は、説明の便宜上、ポンプディスペンサー3cを保持する起立型保持部15のみ図示し、組み合わせ装置W9は、キャッピングヘッド39のみ図示する。
【0090】
図16に示す組み合わせ工程では、先ず、組み合わせ装置W9(キャッピングヘッド39)の作業位置に、搬送体t11によってポンプディスペンサー3cを搬送する。この搬送工程では、ポンプディスペンサー3cのポンプヘッドと、組み合わせ装置W9(キャッピングヘッド39)の作業位置とに対し前述の位置合わせを行う。そして、キャッピングヘッド39を搬送体t11に向けて下降させ、ポンプヘッドを該キャッピングヘッド39で把持する〔図16(a)参照〕。次いで、キャッピングヘッド39を上昇させ、保持盤15bの挿通孔からポンプディスペンサー3cの液供給パイプを引き抜く〔図16(b)参照〕。続いて、容器本体1bを起立型保持部15で保持した搬送体t11が、組み合わせ装置W9の作業領域外に移動し、その後、搬送体t1によって容器本体1bが組み合わせ装置W9の作業位置に搬送される。この容器本体1bには、内容物が充填されている(図示せず)。容器本体1bが組み合わせ装置W9の作業位置に搬送されると、前述の位置合わせ(キャッピングヘッド39と容器本体1bとの位置合わせ)が行われる。続いて、ポンプディスペンサー3cを把持したキャッピングヘッド39が作業位置において下降し、容器本体1bの口首部の開口にポンプディスペンサー3cを挿入する〔図16(c)参照〕。このキャッピングヘッド39は、ポンプヘッドの基端部内周面に位置する螺条部と、容器本体1bの口首部外周面の螺条部との高さが略一致するまで、下降する。続いて、キャッピングヘッド39がその中心軸を中心に回転することで、ポンプヘッド及び口首部の螺条部どうしを螺合して、ポンプディスペンサー3cを容器本体1bにキャッピング(装着)する。
このように図16に示す組み合わせ工程は、ポンプヘッド及び容器本体1bを作業位置に合わせることで、キャッピングヘッド39の昇降により、ピッキング作業とキャッピング作業とをより容易に行うことができる。
【0091】
上述した本実施形態の製造方法は、搬送工程において各搬送体tが、物品の種類ごとに異なる移動経路で搬送する。斯かる搬送工程において、搬送体tの移動先となる作業装置W1~W9に対応する作業領域及び/又は作業領域の移動順序を異ならせることで、搬送面25上に複数種類の物品の製造ラインを設定することができる(図8参照)。これにより、一の構成要素又は複数の構成要素が相異なる複数種類の物品1,2,3を同時生産することができる。すなわち本実施形態の製造方法によれば、製造する物品の種類の変更、及び、製造する物品の生産量の変動に効率的に対応できる多品種変量生産が実現できる。
一方、一直線状の従来の製造ラインによって複数種類の物品を製造しようとすると、製造ラインを長くし、且つ該製造ラインに設けられた作業装置の作業時間のタイミングを合わせる必要がある。この場合、各作業装置の制御が煩雑化するとともに、一番作業時間が長い作業装置と他の作業装置とで作業工程を同期させることになるので、物品の生産効率の低下が生じ易い。
【0092】
次に、上述した実施形態の製造方法のフローを、図17及び図18を用いて説明する。図17及び図18に示すフローは、内容物入りのボトル容器1の製造方法に関する。
図17に示すフローでは、搬送工程において、容器本体1bとキャップ1cとがそれぞれ異なる搬送体t1,t2によって搬送される。すなわち複数型搬送工程を行う。
先ず、製造装置100を起動して、製造装置100によるボトル容器1の生産を開始する(ステップS1)。続くステップS2では、搬送制御部54から搬送ステージ20に、搬送体t1を作業位置P1に移動させる移動指令が発信される。これにより、搬送体t1が作業位置P1に移動する。続くステップS3では、搬送体t1が作業位置P1に到着したか否かを判定する。ステップS3の判定は、搬送体t1の実績座標位置が、作業位置P1と一致するか否かにより行われる。このステップS3は、搬送制御部54が行う。搬送体t1の実績座標位置が、作業位置P1と一致しない場合、ステップS3は1回/秒以上10000回/秒以下の頻度で繰り返し実行される。
【0093】
ステップS3において搬送体t1が作業位置P1に到着したと判定された場合、ステップS4に進む。ステップS4では、搬送制御部54が、供給装置W1に供給工程を開始させる作業開始指令を発信する。続くステップS5では、搬送制御部54が、供給装置W1による作業(供給工程)が完了したか否かを判定する。ステップS5の判定は、供給装置W1から発信される作業完了信号の有無によって行われる。ステップS5において作業完了信号を受信しない場合、ステップS5は1回/秒以上10000回/秒以下の頻度で繰り返し実行される。ステップS5において搬送制御部54が供給装置W1の作業完了信号を受信した場合、ステップS6に進む。
【0094】
ステップS6では、搬送制御部54から搬送ステージ20に、搬送体t1を作業位置P2に移動させる移動指令が発信される。これにより、搬送体t1が作業位置P2に移動する。続くステップS7では、搬送体t1が作業位置P2に到着したか否かを判定する。ステップS7の判定は、ステップS3と同様に、搬送体t1の実績座標位置が、作業位置P2と一致するか否かにより行われる。このステップS7は、搬送制御部54が行う。搬送体t1の実績座標位置が、作業位置P2と一致しない場合、ステップS7は1回/秒以上10000回/秒以下の頻度で繰り返し実行される。
【0095】
ステップS7において搬送体t1が作業位置P2に到着したと判定された場合、ステップS8に進む。ステップS8では、搬送制御部54が、充填装置W2に充填工程を開始させる作業開始指令を発信する。続くステップS9では、搬送制御部54が、充填装置W2による作業(充填工程)が完了したか否かを判定する。ステップS9の判定は、充填装置W2から発信される作業完了信号の有無によって行われる。ステップS9において作業完了信号を受信しない場合、ステップS9は1回/秒以上10000回/秒以下の頻度で繰り返し実行される。ステップS9において搬送制御部54が充填装置W2の作業完了信号を受信した場合、ステップS10に進む。
【0096】
ステップS10では、搬送制御部54から、容器本体1bを搬送する搬送体t1、及びキャップ1cを搬送する搬送体t2それぞれを、作業位置P4に移動させる移動指令が発信される。これにより、搬送体t1は作業位置P4bに、搬送体t2は作業位置P4aに移動する。続くステップS11では、搬送制御部54により、搬送体t1が作業位置P4bに、搬送体t2が作業位置P4aにそれぞれ到着したか否かが判定される。搬送体t1の実績座標位置が、作業位置P4bと一致しない場合、及び搬送体t2の実績座標位置が、作業位置P4aと一致しない場合の何れか一方又は双方であると、ステップS11は1回/秒以上10000回/秒以下の頻度で繰り返し実行される。
【0097】
ステップS11において、搬送体t1が作業位置P4bに到着し、且つ搬送体t2が作業位置P4aに到着したと判定された場合、ステップS12に進む。ステップS12では、搬送制御部54が、組み合わせ装置W4に組み合わせ工程を開始させる作業開始指令を発信する。続くステップS13では、搬送制御部54が、組み合わせ装置W4による作業(組み合わせ工程)が完了したか否かを判定する。ステップS13の判定は、組み合わせ装置W4から発信される作業完了信号の有無によって行われる。ステップS13において作業完了信号の受信しない場合、ステップS13は1回/秒以上10000回/秒以下の頻度で繰り返し実行される。ステップS13において搬送制御部54が組み合わせ装置W4の作業完了信号を受信した場合、ステップS14に進む。この時点で、ボトル容器1が完成する。
【0098】
ステップS14では、搬送制御部54が、搬送ステージ20に搬送体t2の帰還移動指令を発信する。これにより、搬送体t2は、作業位置P4aから搬送体t2の移動開始地点に戻る。続くステップS15では、搬送制御部54が、搬送ステージ20に搬送体t1の目標地点移動指令を発信する。これにより、搬送体t1は、作業位置P4bから搬送体t1の目標地点(セグメント21b)に移動し、該目標地点にボトル容器1を搬送する。
続くステップS16では、搬送制御部54によって、搬送体t1が目標地点に到着したか否かを判定する。ステップS16の判定は、搬送体t1の実績座標位置が、目標地点と一致するか否かにより行われる。搬送体t1の実績座標位置が、目標地点と一致しない場合、ステップS16は1回/秒以上10000回/秒以下の頻度で繰り返し実行される。
【0099】
ステップS16において、搬送体t1が目標地点に到着したと判定された場合、ステップS17に進む。ステップS17では、搬送体t1からボトル容器1が取り出され、積載が解除されたか否かを判定する。斯かる判定は、容器取り出し装置が行う搬送面25外への取り出しの作業完了信号の有無、ロードセルによる搬送体t1の重量の減少、又は搬送体t1の浮上量を維持するための電流値の変化によって行うことができる。さらに、前記判定を、各種センサ若しくは撮像装置等の外部処理装置による物体認識により行ってもよい。搬送体t1の積載が解除されていないと判定された場合、ステップS17は1回/秒以上10000回/秒以下の頻度で繰り返し実行される。
【0100】
前述の各種センサとしては、ボトル容器1の積載の解除を検知し得るものを特に制限なく用いることができる。例えば、搬送体t1上のボトル容器1の有無を検知し得る光学センサ又はファイバセンサ等を用いることができる。また取り出し装置が、その作業形態に応じたセンサを備えていてもよい。例えば、取り出し装置が、真空吸着によりボトル容器1を取り出す場合は、圧力センサによってボトル容器1の取り出し(前記積載の解除)を検知することができる。取り出し装置が、電動グリッパによりボトル容器1を取り出す場合は、力覚センサによって前記積載の解除を検知することができる。さらに取り出し装置が、空圧式のグリッパによりボトル容器1を取り出す場合は、近接センサによって前記積載の解除を検知することができる。
【0101】
ステップS17において、搬送体t1の積載が解除されたと判定された場合、ステップS18に進む。ステップS18では、搬送情報取得部52の搬送情報に基づき、製造装置100によるボトル容器1の製造(生産)を終了するか否かを判定する。より具体的には、ボトル容器1の製造数が、設定した生産予定数に到達したか否かにより判定する。ステップS18において、ボトル容器1の製造数が、設定した生産予定数に満たないと判定した場合、ステップS19に進む。ステップS19では、搬送ステージ20に搬送体t1の帰還移動指令を発信する。これにより、搬送体t1は、目標地点(セグメント21b)から移動開始地点(セグメント21a)に戻る。このステップS19の後、ステップS2に戻り、ステップS2~ステップS18を繰り返す。
ステップS18において、ボトル容器1の製造数が、設定した生産予定数に到達したと判定した場合、製造装置100によるボトル容器1の製造(生産)を終了する。
【0102】
図18に示すフローでは、搬送工程において、容器本体1b及びキャップ1cが同一の搬送体t3によって搬送される(図4参照)。すなわち単数型搬送工程を行う。
図18に示すフローにおけるステップS1~S9は、ステップS5において搬送体t3に容器本体1bとキャップ1cとを積載させる点以外は、図17に示すフローと同じである。図18に示すフローにおいて、図17に示すフローと共通するステップS1~S9の説明は省略する。
ステップS9において、搬送制御部54が充填装置W2の作業完了信号を受信した場合、ステップS20に進む。ステップS20では、搬送制御部54から、容器本体1b及びキャップ1cを搬送する搬送体t3を、作業位置P4に移動させる移動指令が発信される。これにより、搬送体t3は作業位置P4に移動する。続くステップS21では、搬送制御部54により、搬送体t3が作業位置P4に到着したか否かが判定される。搬送体t3の実績座標位置が、作業位置P4と一致しない場合、ステップS21は1回/秒以上10000回/秒以下の頻度で繰り返し実行される。
【0103】
ステップS21において、搬送体t3が作業位置P4に到着したと判定された場合、ステップS22に進む。ステップS22では、搬送制御部54が、組み合わせ装置W4に組み合わせ工程を開始させる作業開始指令を発信する。続くステップS23では、搬送制御部54が、組み合わせ装置W4による作業(組み合わせ工程)が完了したか否かを判定する。ステップS23の判定は、組み合わせ装置W4から発信される作業完了信号の有無によって行われる。ステップS23において作業完了信号の受信しない場合、ステップS23は1回/秒以上10000回/秒以下の頻度で繰り返し実行される。ステップS23において搬送制御部54が組み合わせ装置W4の作業完了信号を受信した場合、ステップS24に進む。この時点で、ボトル容器1が完成する。
図18においてステップS24~ステップS28は、ステップS15~ステップS19と同じである。
【0104】
また本実施形態の製造方法は、複合保持部110を具備した搬送体tに関し、該複合保持部110に保持される複数の構成要素5a,5b,5cの供給が正しく行われたか否かを判定する供給判定工程を具備してもよい。複合保持部110は、図19に示すように、複数の構成要素5a,5b,5cそれぞれを保持する複数の保持部111,112,113を具備している。より具体的には、各保持部111,112,113には、構成要素5a,5b,5cに対応する載置溝が形成されている。
【0105】
供給判定工程は、複合供給工程と、部品照合工程と、搬送工程と、修正搬送工程と、供給修正工程とを具備する(図20参照)。
複合供給工程は、空の複合保持部110を具備した搬送体t(図20において図示せず)を供給ステーション120に移動させ、該複合保持部110に構成要素5a,5b,5cを供給する。複合供給工程は、前述のロボットアームの形態の供給装置により実行される。
部品照合工程は、複合保持部110に供給された構成要素5a,5b,5cを照合する。部品照合工程は、カメラ等の撮像装置が、複合保持部110の平面視画像を取得し、該平面視画像に対し画像処理を用いた画像認識処理を行うことで、構成要素5a,5b,5cの供給が正しく行われたか否かを判定する。
搬送工程は、部品照合工程において複合保持部110に構成要素5a,5b,5cが正しく供給されたと判定された搬送体tを、作業装置W10に搬送する。
修正搬送工程は、部品照合工程において複合保持部110に構成要素5a,5b,5cが正しく供給されていないと判定された搬送体tを、供給修正部122に搬送する。
これら搬送工程及び修正搬送工程は、製造制御部50により行う。
供給修正工程は、部品照合工程における判定の情報に基づき、供給修正部122により構成要素5a,5b,5cを正しく供給する。供給修正部122は、前述のロボットアームの形態の供給装置により実行される。
【0106】
以上、本発明をその好ましい実施形態に基づき説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されない。
例えば、上述した実施形態の製造装置100は、搬送ステージ20と、該搬送ステージ20から浮上しながら移動する複数の搬送体tを備えた搬送装置を具備するものであったが、斯かる形態に限定されない。例えば、搬送装置は、床に設定された搬送面25と、該搬送面25上を電動車両によって自由移動する搬送体とを備えたものであってもよい。
また上述した搬送工程は、前記の位置合わせを行うものであったが、該位置合わせを行わないものであってもよい。この場合、作業装置が備える画像認識機能によって、作業装置のエンドエフェクタが移動し、作業領域内の搬送体t上の構成要素に対し位置合わせを行ってもよい。
また上述した実施形態の製造方法では、搬送体tの移動経路C1~C4毎に異なる種類の物品1,2,3を製造するものであったが、異なる移動経路で、同じ種類の物品を製造するものであってもよい。この場合、同じ種類の物品を効率的に大量生産することができる。
【符号の説明】
【0107】
1 ボトル容器(物品)
1b 容器本体
1c キャップ
2 包装容器(物品)
2a 球体
2b 容器本体
2c キャップ
2d ノズル部
3 ポンプ容器(物品)
3c ポンプディスペンサー
10,12 保持部
11b 筒部
13 保持部
15,16,17 起立型保持部
15a,16a,17a 支持部
15b,16b,17b 保持盤
20 搬送ステージ
21,21a,21b セグメント
22 セグメント本体
23 磁力発生部
23a,23b,23c,23d コイル
25 搬送面
31 装置本体
32 作業保持部
33a,33b,33c,33d 磁石アレイ
34 ノズル可動支持部(アーム)
35 充填ノズル
37 ハンド可動支持部(アーム)
38 ロボットハンド
39 キャッピングヘッド
50 製造制御部
51 通信モジュール
52 搬送情報取得部
53 経路生成部
54 搬送制御部
100 製造装置
110 複合保持部
120 供給ステーション
C1,C2,C3,C4 移動経路
t,t1,t2,t3,t4,t5,t6,t8,t9,t10,t11 搬送体
W1 供給装置
W2,W3,W6,W8 充填装置
W4,W5,W7,W9 組み合わせ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
【手続補正書】
【提出日】2024-09-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送面と、該搬送面上を移動する複数の搬送体とを備えた搬送装置を用いて、物品を製造する物品の製造方法であって、
前記物品は、複数の構成要素を含んでおり、
前記搬送面は、作業装置により作業を行う作業領域を有しており、
単数又は複数の前記搬送体が、前記構成要素を前記作業領域に搬送する搬送工程と、
前記作業領域において、前記搬送工程によって搬送される単数又は複数の前記構成要素に対して作業を行う作業工程とを具備し、
前記作業工程が、単数の前記搬送体又は別個の前記搬送体によって搬送された複数の前記構成要素を組み合わせる組み合わせ工程、前記搬送体によって搬送された前記構成要素の内部に、前記搬送体の搬送によらずに供給される供給内容物を収容する収容工程、及び前記搬送体によって搬送された前記構成要素に対して加工を行う加工工程の少なくとも1以上の工程を具備する、物品の製造方法。
【請求項2】
前記搬送工程は、平面的に広がりを有する前記搬送面において、前記搬送体を、該搬送体毎に設定された移動経路で移動させる、請求項1に記載の物品の製造方法。
【請求項3】
一又は複数の構成要素が相異なる複数種類の前記物品を製造する製造方法であって、
前記搬送工程は、前記搬送体が、前記物品の種類毎に異なる移動経路で搬送する、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項4】
前記搬送体は搬送面を自由移動可能になされており、
さらに前記搬送面における個々の前記搬送体の位置情報を取得する位置情報取得工程を具備している、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項5】
前記搬送工程は、複数の前記構成要素を単数の前記搬送体が搬送する単数型搬送工程及び複数の前記構成要素を異なる複数の前記搬送体が搬送する複数型搬送工程の何れか一方又は双方を具備する、請求項4に記載の物品の製造方法。
【請求項6】
前記搬送工程は、前記作業装置の特定部位と前記構成要素の特定位置とを位置合わせする位置合わせを前記搬送体の移動により行う、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項7】
前記作業工程は、別個の前記搬送体によって搬送された複数の前記構成要素を組み合わせる組み合わせ工程を含み、
前記組み合わせ工程において、単一の前記作業装置に対応する前記作業領域に、前記別個の前記搬送体に対応する複数の作業位置が設定されている、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項8】
前記搬送工程において、一の前記搬送体が、前記作業領域内に設定された作業位置に一の前記構成要素を搬送した後、他の前記搬送体が、該作業位置に他の前記構成要素を搬送する、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項9】
前記作業装置の作業に用いられ且つ該作業装置に装着される作業ツールを、前記構成要素とともに前記搬送体によって前記作業領域に搬送するか、又は前記作業ツールのみを前記搬送体によって前記作業領域に搬送する、ツール搬送工程を含む、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項10】
前記作業工程において前記作業装置は、前記搬送体が搬送する前記構成要素又は前記搬送体の搬送経路外から供給される前記構成要素のうち、該作業装置の作業に用いる構成要素を選択して、該構成要素を該作業装置が行う作業に用いる、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項11】
前記搬送体は、識別可能になされており、
個々の前記搬送体の識別情報と、該搬送体によって搬送される前記構成要素の情報とを関連付ける、構成要素情報取得工程を具備する、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。
【請求項12】
前記搬送装置は、前記搬送面を構成する搬送ステージを具備し、
前記搬送体は、磁石を有し、
前記搬送ステージは、磁力を発生させて、前記搬送体が備える前記磁石との相互作用により、前記搬送体を該搬送ステージから浮上させ且つ該搬送ステージ上を移動させる磁力発生部を有している、請求項1又は2に記載の物品の製造方法。