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  • -多層発泡シートおよびその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171208
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】多層発泡シートおよびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 27/32 20060101AFI20241204BHJP
   B32B 5/18 20060101ALI20241204BHJP
   B29C 48/21 20190101ALI20241204BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20241204BHJP
   B29C 48/88 20190101ALI20241204BHJP
   B29C 44/00 20060101ALI20241204BHJP
   C08J 9/04 20060101ALI20241204BHJP
【FI】
B32B27/32 E
B32B27/32 103
B32B5/18
B29C48/21
B29C48/08
B29C48/88
B29C44/00 E
C08J9/04 101
C08J9/04 CES
【審査請求】未請求
【請求項の数】16
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088166
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】597021842
【氏名又は名称】サンアロマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 規之
(72)【発明者】
【氏名】中島 武
(72)【発明者】
【氏名】栗山 稔
(72)【発明者】
【氏名】池田 正幸
(72)【発明者】
【氏名】木村 秀治
【テーマコード(参考)】
4F074
4F100
4F207
4F214
【Fターム(参考)】
4F074AA21
4F074AA24
4F074AA24B
4F074AB05
4F074BA03
4F074CA22
4F074CC04X
4F074CC04Y
4F074CC22X
4F074CC32X
4F074CC32Y
4F074DA02
4F074DA20
4F074DA24
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK07C
4F100AK62A
4F100AK62B
4F100AK62C
4F100AK66B
4F100AK66C
4F100BA03
4F100DJ01A
4F100EH20
4F100JA06A
4F100JA06B
4F100JA06C
4F100YY00A
4F100YY00B
4F100YY00C
4F207AA11
4F207AB02
4F207AG01
4F207AG03
4F207AG20
4F207KA01
4F207KA11
4F207KB26
4F207KK12
4F207KK64
4F214AA11
4F214AB02
4F214AG01
4F214AG03
4F214AG20
4F214UN12
4F214UN64
(57)【要約】
【課題】表面外観に優れたポリプロピレン(PP)系多層発泡シートを提供する。
【解決手段】PP系樹脂Bを含む発泡中間層と、
当該発泡中間層の少なくとも片側に設けられたPP系樹脂Aを含む非発泡の表面層と、を備える多層発泡シートであって、
前記中間層/前記表面層の厚さ比が3/1~50/1であり、
PP系樹脂AおよびBは、特定のプロピレン(コ)ポリマーおよび特定のエチレン-α-オレフィンコポリマーからなり、
PP系樹脂Aは
1)XIのMw/Mn≧7
2)XSIV≧4dl/g以上である
3)MFRa(温度230℃、荷重21.18N)=2.2~40g/10分
PP系樹脂Bは、
4XIのMw/Mn≧7
5)XSIV≧4dl/g
6)MFRb(同上)=2~15g/10分
7)(PP系樹脂Aまたは組成物のMFR)/(前記PP系樹脂Bまたは組成物のMFR)≧1.1を満たすシート。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリプロピレン系樹脂Bを含む発泡中間層と、
当該発泡中間層の少なくとも片側に設けられたポリプロピレン系樹脂Aを含む非発泡の表面層と、を備える多層発泡シートであって、
前記発泡中間層の厚さ(Tb)と前記表面層の1層の厚さ(Ta)との比率(Tb/Ta)が3/1~50/1であり、
前記ポリプロピレン系樹脂Aは、
(A1)0~5重量%のα-オレフィン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマー60~90重量%、および
(A2)20~40重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-α-オレフィンコポリマー10~40重量%からなり、
前記ポリプロピレン系樹脂Bは、
(B1)0~5重量%のα-オレフィン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマー60~90重量%、および
(B2)20~40重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-α-オレフィンコポリマー10~40重量%からなり、
以下の要件を満たす:
1)ポリプロピレン系樹脂Aのキシレン不溶分(XI)のMw/Mnが7以上である
2)ポリプロピレン系樹脂Aのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が4dl/g以上である
3)ポリプロピレン系樹脂AのMFRa(温度230℃、荷重21.18N)が2.2~40g/10分である
4)ポリプロピレン系樹脂Bのキシレン不溶分(XI)のMw/Mnが7以上である
5)ポリプロピレン系樹脂Bのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が4dl/g以上である
6)ポリプロピレン系樹脂BのMFRb(温度230℃、荷重21.18N)が2~15g/10分である
7)(前記ポリプロピレン系樹脂Aまたはこれを含む組成物のMFR)/(前記ポリプロピレン系樹脂Bまたはこれを含む組成物のMFR)が1.1以上である(ただし、MFRは、温度230℃、荷重21.18Nでの値であり、かつ組成物については発泡剤以外の成分を含む組成物の値である)
多層発泡シート。
【請求項2】
前記ポリプロピレン系樹脂A、前記ポリプロピレン系樹脂B、またはその双方が、(x)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;(y)有機アルミニウム化合物;ならびに(z)外部電子供与体化合物、を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合させて得たポリプロピレン系樹脂である、請求項1に記載のシート。
【請求項3】
前記ポリプロピレン系樹脂A中の成分(A2)の量が、15~35重量%である、請求項1または2に記載のシート。
【請求項4】
前記成分(A2)中のエチレン由来単位が25~35重量%である、請求項1または2に記載のシート。
【請求項5】
前記ポリプロピレン系樹脂Aのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が6~10dl/gである、請求項1または2に記載のシート。
【請求項6】
前記ポリプロピレン系樹脂B中の成分(B2)の量が、20~35重量%である、請求項1または2に記載のシート。
【請求項7】
前記成分(B2)中のエチレン由来単位が25~35重量%である、請求項1または2に記載のシート。
【請求項8】
前記ポリプロピレン系樹脂Bのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が6~10dl/gである、請求項1または2に記載のシート。
【請求項9】
前記MFRaとMFRbの比率(MFRa/MFRb)が1.1以上である(ただし、MFRbはポリプロピレン系樹脂BのMFR(温度230℃、荷重21.18N)である)、請求項1または2に記載のシート。
【請求項10】
前記ポリプロピレン系樹脂A、前記ポリプロピレン系樹脂B、またはその双方が、下記式(1)で定義される、1.8以上の溶融張力指数を有する、
log(溶融張力指数)=log(MT)+0.85log(MFR)-0.82・・・(1)
(MTは、長さ8.0mmかつ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けた溶融張力測定装置を用い、測定温度200℃、樹脂押出速度15mm/分、引取速度6.5m/分の条件で測定したポリプロピレン系樹脂の溶融張力(g重)である。)
請求項1または2に記載のシート。
【請求項11】
前記発泡中間層の両面に、前記非発泡層を備える、請求項1または2に記載のシート。
【請求項12】
前記ポリプロピレン系樹脂Aまたはこれを含む組成物、および前記ポリプロピレン系樹脂Bまたはこれを含む組成物を共押出して、ポリプロピレン系樹脂Bを含む発泡中間層と、当該発泡中間層の両側に設けられたポリプロピレン系樹脂Aを含む非発泡の表面層と、を備える多層発泡シートを形成する成形工程、ならびに
前記多層発泡シートの一方の面に空気を吹き付けることによって他方の面をロールの周面に密着させて、当該多層発泡シートを冷却する冷却工程、
を備える請求項1または2に記載の多層発泡シートの製造方法。
【請求項13】
前記成形工程において、前記ポリプロピレン系樹脂Bまたはこれを含む組成物を、発泡倍率1.30以上に発泡させる、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
成分(A1)の存在下で、成分(A2)に対応するモノマーを重合させて前記ポリプロピレン系樹脂Aを製造する工程をさらに含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項15】
成分(B1)の存在下で、成分(B2)に対応するモノマーを重合させて前記ポリプロピレン系樹脂Bを製造する工程をさらに含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項16】
請求項1または2に記載の多層発泡シートが熱成形されてなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリプロピレン系樹脂を主成分とする多層発泡シートおよびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリプロピレン樹脂は物性バランスやリサイクル性に優れ、しかも安価であることから、日用品、食品用容器、電気製品の部品や筐体、自動車用の内装材や外装材、建築部材等、幅広い産業分野で使用されている。軽量性、断熱性、または衝撃吸収性が求められる用途においては、ポリプロピレン樹脂の発泡シートが用いられることがある。ポリプロピレン系樹脂発泡シートとしては、発泡中間層と当該発泡中間層の両側に設けられた非発泡表面層とを備える多層発泡シートが知られている(特許文献1~3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-199644号公報
【特許文献2】特開2019-065235号公報
【特許文献3】特許第6673706号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献に記載された多層発泡シートは、表面外観において改善の余地があった。かかる事情に鑑み、本発明は、表面外観に優れたポリプロピレン系多層発泡シートを提供することを課題とする。
【0005】
前記課題は以下の本発明によって解決される。
態様1
ポリプロピレン系樹脂Bを含む発泡中間層と、
当該発泡中間層の少なくとも片側に設けられたポリプロピレン系樹脂Aを含む非発泡の表面層と、を備える多層発泡シートであって、
前記発泡中間層の厚さ(Tb)と前記表面層の1層の厚さ(Ta)との比率(Tb/Ta)が3/1~50/1であり、
前記ポリプロピレン系樹脂Aは、
(A1)0~5重量%のα-オレフィン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマー60~90重量%、および
(A2)20~40重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-α-オレフィンコポリマー10~40重量%からなり、
前記ポリプロピレン系樹脂Bは、
(B1)0~5重量%のα-オレフィン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマー60~90重量%、および
(B2)20~40重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-α-オレフィンコポリマー10~40重量%からなり、
以下の要件を満たす:
1)ポリプロピレン系樹脂Aのキシレン不溶分(XI)のMw/Mnが7以上である
2)ポリプロピレン系樹脂Aのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が4dl/g以上である
3)ポリプロピレン系樹脂AのMFRa(温度230℃、荷重21.18N)が2.2~40g/10分である
4)ポリプロピレン系樹脂Bのキシレン不溶分(XI)のMw/Mnが7以上である
5)ポリプロピレン系樹脂Bのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が4dl/g以上である
6)ポリプロピレン系樹脂BのMFRb(温度230℃、荷重21.18N)が2~15g/10分である
7)(前記ポリプロピレン系樹脂Aまたはこれを含む組成物のMFR)/(前記ポリプロピレン系樹脂Bまたはこれを含む組成物のMFR)が1.1以上である(ただし、MFRは、温度230℃、荷重21.18Nでの値であり、かつ組成物については発泡剤以外の成分を含む組成物の値である)
多層発泡シート。
態様2
前記ポリプロピレン系樹脂A、前記ポリプロピレン系樹脂B、またはその双方が、(x)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;(y)有機アルミニウム化合物;ならびに(z)外部電子供与体化合物、を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合させて得たポリプロピレン系樹脂である、態様1に記載のシート。
態様3
前記ポリプロピレン系樹脂A中の成分(A2)の量が、15~35重量%である、請求項1または2に記載のシート。
態様4
前記成分(A2)中のエチレン由来単位が25~35重量%である、請求項1~3のいずれかに記載のシート。
態様5
前記ポリプロピレン系樹脂Aのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が6~10dl/gである、態様1~4のいずれかに記載のシート。
態様6
前記ポリプロピレン系樹脂B中の成分(B2)の量が、20~35重量%である、態様1~5のいずれかに記載のシート。
態様7
前記成分(B2)中のエチレン由来単位が25~35重量%である、態様1~6のいずれかに記載のシート。
態様8
前記ポリプロピレン系樹脂Bのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)が6~10dl/gである、態様1~7のいずれかに記載のシート。
態様9
前記MFRaとMFRbの比率(MFRa/MFRb)が1.1以上である(ただし、MFRbはポリプロピレン系樹脂BのMFR(温度230℃、荷重21.18N)である)態様1~8のいずれかに記載のシート。
態様10
前記ポリプロピレン系樹脂A、前記ポリプロピレン系樹脂B、またはその双方が、下記式(1)で定義される、1.8以上の溶融張力指数を有する、
log(溶融張力指数)=log(MT)+0.85log(MFR)-0.82・・・(1)
(MTは、長さ8.0mmかつ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けた溶融張力測定装置を用い、測定温度200℃、樹脂押出速度15mm/分、引取速度6.5m/分の条件で測定したポリプロピレン系樹脂の溶融張力(g重)である。)
態様1~9のいずれかに記載のシート。
態様11
前記発泡中間層の両面に、前記非発泡層を備える、態様1~10のいずれかに記載のシート。
態様12
前記ポリプロピレン系樹脂Aまたはこれを含む組成物、および前記ポリプロピレン系樹脂Bまたはこれを含む組成物を共押出して、ポリプロピレン系樹脂Bを含む発泡中間層と、当該発泡中間層の両側に設けられたポリプロピレン系樹脂Aを含む非発泡の表面層と、を備える多層発泡シートを形成する成形工程、ならびに
前記多層発泡シートの一方の面に空気を吹き付けることによって他方の面をロールの周面に密着させて、当該多層発泡シートを冷却する冷却工程、
を備える態様1~11のいずれかに記載の多層発泡シートの製造方法。
態様13
前記成形工程において、前記ポリプロピレン系樹脂Bまたはこれを含む組成物を、発泡倍率1.30以上に発泡させる、態様12に記載の製造方法。
態様14
成分(A1)の存在下で、成分(A2)に対応するモノマーを重合させて前記ポリプロピレン系樹脂Aを製造する工程をさらに含む、態様12または13に記載の製造方法。
態様15
成分(B1)の存在下で、成分(B2)に対応するモノマーを重合させて前記ポリプロピレン系樹脂Bを製造する工程をさらに含む、態様12~14のいずれかに記載の製造方法。
態様16
態様1~11のいずれかに記載の多層発泡シートが熱成形されてなる成形体。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、表面外観に優れたポリプロピレン系多層発泡シートを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】汎用的な線形ホモポリプロピレンにおいて、230℃で測定したMT(g重)のMFR依存性を示す図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を詳細に説明する。本開示において「X~Y」はその端値であるXおよびYを含む。
【0009】
1.多層発泡シート
多層発泡シートは、発泡中間層と、その少なくとも片側に設けられた非発泡表面層を備える。片側に表面層を設けるとは、片面に表面層を設けることと同義である。多層発泡シートは一態様において1層の非発泡表面層を備え、別の態様において2層の非発泡表面層を備える。
【0010】
前記発泡中間層の厚さ(Tb)と前記表面層の1層の厚さ(Ta)との比率(Tb/Ta)は3/1~50/1であり、好ましくは5/1~30/1である。当該比率が過度に大きいと表面外観が損なわれる傾向にある。また当該比率が過度に小さいと前記発泡中間層が薄くなり、発泡体としての利点特性(軽量性、断熱性、衝撃吸収性)を発揮できないことがある。表面層が2つ存在する場合、両者の厚さは同じである必要はない。この場合、Taは薄い方の値を以て、前記比率(Tb/Ta)は定義される。ただし、発泡シートの製造のしやすさの観点から、一方の表面層の厚さに対して他方の表面層の厚さは0.8~1.2倍の範囲内であることが好ましい。
【0011】
(1)発泡中間層
発泡中間層はポリプロピレン系樹脂Bを含む。ポリプロピレン系樹脂Bは、(B1)0~5重量%のα-オレフィン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマー60~90重量%、および(B2)20~40重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-α-オレフィンコポリマー10~40重量%からなる。
【0012】
1)成分(B1)
0~5重量%のα-オレフィン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマーにおけるα-オレフィンの量が多いと、剛性が低下しうる。かかる観点から、当該量は好ましくは3重量%以下であり、より好ましくは1重量%以下、特に好ましくは0重量%である。前記α-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、および1-ドデセン等が挙げられる。当該プロピレン(コ)ポリマーは、ランダムコポリマーまたはプロピレン単独重合体であってよい。本発明において、成分(B1)中のα-オレフィン(例えばエチレン)由来単位の含有量は13C-NMR法で測定できる。
【0013】
2)成分(B2)
20~40重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-α-オレフィンコポリマーにおけるα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、および1-ドデセン等が挙げられるが、経済性の観点からプロピレンが好ましい。エチレン由来単位の量は20~40重量%であるが、当該量が上限値を超えるあるいは下限値未満であると多層発泡シートの表面外観が不良となる。かかる観点から、当該量の上限値は35重量%以下であることが好ましく、下限値は25重量%以上であることが好ましい。特に当該量の上限値が35重量%以下であると、多層発泡シートの表面外観がより良好となる。成分(B2)中のエチレン由来単位の含有量は13C-NMR法で測定できる。
【0014】
3)重量比
成分(B1)と成分(B2)の重量比は、60~90重量%:10~40重量%である。成分(B2)の量が過多であると多層発泡シートの剛性が低下し、過少であると多層発泡シートの表面外観が不良となる。かかる観点から、成分(B2)の量の上限値は好ましくは35重量%以下、より好ましくは33重量%以下である。その下限値は好ましくは20重量%以上、より好ましくは22重量%以上である。
【0015】
4)特性
[XIのMw/Mn]
ポリプロピレン系樹脂Bのキシレン不溶分(XI)のMw/Mnは7以上である。XIは結晶性成分であり、XIのMw/Mnが7以上であると多層発泡シートの表面外観が良好となる。しかし、当該値が過度に高いとポリプロピレン系樹脂Bの製造が困難となる傾向にある。かかる観点から、当該値の上限値は好ましくは35以下であり、下限値は好ましくは9以上である。
【0016】
XIは、公知の方法で取得できるが、例えば以下の方法で取得することが好ましい。
2.5gのポリプロピレン系樹脂Bを、o-キシレン(溶媒)を250ml入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、完全溶解させる。その後、冷却し(例えば25℃で1時間程度)、得られた溶液を、濾紙を用いて濾過し、濾液と、濾紙上の残留物に分離する。当該残留物を溶媒(アセトン等)で洗浄し、洗浄後の残留物を乾燥してXIを取得する。乾燥は、例えば80℃設定の真空乾燥オーブンにて実施できる。なお、前記濾液から溶媒を除去したものをキシレン可溶分(XS)とする。溶媒除去は、例えば、濾液を窒素気流下、140℃で乾燥して実施できる。
【0017】
XIのMw/Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(例えばポリマーラボラトリーズ株式会社製PL-GPC220)を用いて測定できる。
【0018】
[XSIV]
ポリプロピレン系樹脂Bのキシレン可溶分(XS)の極限粘度(XSIV)は4dl/g以上である。当該粘度が過度に高いと多層発泡シートの製造が困難となり、過度に低いと多層発泡シートの表面外観が不良となる。かかる観点から、当該粘度の上限値は10dl/g以下が好ましく、下限値は6dl/g以上が好ましい。XSは前述のとおりに取得できる。また、極限粘度(IV)は、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛管型粘度計、例えば毛細管自動粘度測定装置(SS-780-H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて測定できる。
【0019】
[MFRb]
ポリプロピレン系樹脂BのMFR(温度230℃、荷重21.18N)(以下、「MFRb」ともいう)は2~15g/10分である。当該MFRが過度に高いと発泡倍率が低下し、過度に低いと成形時のトルクが過大となり成形が困難となる。かかる観点から、当該MFRの上限値は、好ましくは12g/10分以下であり、下限値は5g/10分以上であることが好ましい。MFRはJIS K7210に従って温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定される。
【0020】
[溶融張力指数]
ポリプロピレン系樹脂Bの溶融張力指数は、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.0以上である。溶融張力指数は、下記式(1)で定義される。溶融張力指数が大きい程、樹脂の溶融張力が高いことを意味する。
log(溶融張力指数)=log(MT)+0.85log(MFR)-0.82(1)
【0021】
式(1)において、MTは、長さ8.0mmかつ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けた溶融張力測定装置を用い、測定温度200℃、樹脂押出速度15mm/分、引取速度6.5m/分の条件で測定したポリプロピレン系樹脂の溶融張力(メルトテンション、単位はg重)である。具体的には、長さ8.0mmかつ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けたキャピラリーレオメーターを用い、温度200℃でポリプロピレン系樹脂を溶融させる。その溶融させたポリプロピレン系樹脂を樹脂押出速度15mm/分でオリフィスより吐出させてストランドを形成する。そのストランドを、回転する引き取り手段を用いて、引き取り速度6.5m/分で引き取ると共に張力を測定する。MFRは、JIS K7210に従い、温度230℃、荷重21.18Nの条件で測定したポリプロピレン系樹脂のメルトフローレートである。
【0022】
式(1)の技術的な意味を補足説明する。図1は、汎用的な線形ホモポリプロピレンにおいて、230℃で測定したMT(g重)のMFR依存性を示す。MTはMFRが低いと高くなり、log(MT)はlog(MFR)の増加に対してほぼ直線的に減少する。より溶融張力の高いポリプロピレンおいても、同じタイプであれば、ほぼ同様の直線関係が成り立ち、直線の傾きもほぼ一定((1)式の0.85に-の符号が付いたもの)になる。したがって、直線のY切片の値(MFR=1(log(MFR)=0)での値)によりMFRに依存しない溶融張力の相対評価が可能となる。さらに式(1)においては、汎用的な線形ホモポリプロピレンにおいて溶融張力指数が1(log(溶融張力指数)=0)となるように、定数項を定めて規格化を行っている。
【0023】
ポリプロピレン系樹脂Bの前記溶融張力指数が前記範囲であると多層発泡シートの表面外観が良好となる。実用性の点から、溶融張力指数の上限値は10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
【0024】
5)その他
発泡中間層は、任意成分として、例えば、塩素吸収剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、結晶造核剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、架橋剤、過酸化物、油展および顔料(有機または無機)等の添加剤が含まれてもよい。
【0025】
(2)表面層
表面層はポリプロピレン系樹脂Aを含む。ポリプロピレン系樹脂Aは、(A1)0~5重量%のα-オレフィン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマー60~90重量%、および(A2)20~40重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-α-オレフィンコポリマー10~40重量%からなる。
【0026】
1)成分(A1)
0~5重量%のα-オレフィン由来単位を含むプロピレン(コ)ポリマーにおけるα-オレフィンの量が多いと、剛性が低下しうる。かかる観点から、当該量は好ましくは3重量%以下であり、より好ましくは0重量%である。前記α-オレフィンとしては、例えば、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、および1-ドデセン等が挙げられる。当該プロピレン(コ)ポリマーは、ランダムコポリマーまたはプロピレン単独重合体であってよい。成分(A1)中のα-オレフィン(例えばエチレン)由来単位の含有量は13C-NMR法で測定できる。
【0027】
2)成分(A2)
20~40重量%のエチレン由来単位を含むエチレン-α-オレフィンコポリマーにおけるα-オレフィンとしては、プロピレン、1-ブテン、4-メチル-1-ペンテン、1-ヘキセン、1-オクテン、および1-ドデセン等が挙げられるが、経済性の観点からプロピレンが好ましい。エチレン由来単位の量は20~40重量%であるが、当該量が上限値を超えるあるいは下限値未満であると多層発泡シートの表面外観が不良となる。かかる観点から、当該量の上限値は35重量%以下であることが好ましく、下限値は25重量%以上であることが好ましい。成分(A2)中のエチレン由来単位の含有量は13C-NMR法で測定できる。
【0028】
3)重量比
成分(A1)と成分(A2)の重量比は、60~90重量%:10~40重量%である。成分(A2)の量が過多であると多層発泡シートの剛性が低下し、過少であると多層発泡シートの表面外観が不良となる。かかる観点から、成分(A2)の量の上限値は好ましくは35重量%以下、より好ましくは25重量%以下である。その下限値は好ましくは15重量%以上、より好ましくは18重量%以上である。
【0029】
4)特性
[XIのMw/Mn]
ポリプロピレン系樹脂Aのキシレン不溶分(XI)のMw/Mnは7以上である。XIは高結晶成分であり、XIのMw/Mnが7以上であると多層発泡シートの表面外観が良好となる。しかし、当該値が過度に高いとポリプロピレン系樹脂Aの製造が困難となる傾向にある。かかる観点から、当該値の上限値は好ましくは35以下であり、下限値は好ましくは9以上である。
【0030】
[XSIV]
ポリプロピレン系樹脂Aのキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)は4dl/g以上である。当該粘度が過度に高いと多層発泡体の製造が困難となり、過度に低いと多層発泡シートの表面外観が低下する。かかる観点から、当該粘度の上限値は10dl/g以下であることが好ましく、下限値は6dl/g以上であることが好ましい。
【0031】
[MFRa]
ポリプロピレン系樹脂AのMFR(温度230℃、荷重21.18N)(以下、「MFRa」ともいう)は2.2~40g/10分である。当該MFRが過度に高いあるいは過度に低いと多層発泡シートの表面外観が低下する。かかる観点から、当該MFRの上限値は、好ましくは30g/10分以下であり、下限値は好ましくは6g/10分以上である。
【0032】
また、前記MFRaとMFRbは、比率(MFRa/MFRb)が1.1以上となるように調整されることが好ましい。この関係が満たされると多層発泡シートの表面外観が良好となる。当該比の上限値は好ましくは3以下であり、下限値は好ましくは1.3以上である。
【0033】
[溶融張力指数]
ポリプロピレン系樹脂Aの溶融張力指数は、好ましくは1.8以上、より好ましくは2.0以上である。溶融張力指数は、前記のとおりに定義される。ポリプロピレン系樹脂Aの溶融張力指数が前記範囲であると多層発泡シートの表面外観が良好となる。実用性の点から、溶融張力指数の上限値は10以下であることが好ましく、5以下であることがより好ましい。
【0034】
(3)特性等
前記表層はポリプロピレン系樹脂Aを含む組成物で構成されていてもよい。同様に、前記発泡中間層はポリプロピレン系樹脂Bを含む組成物で構成されていてもよい。当該組成物の前記MFRをそれぞれMFR(A)、MFR(B)とするとき、両者はMFR(A)/MFR(B)≧1.1の関係を満たす。ただし、MFR(B)は、発泡剤以外の成分を含む組成物のMFRとして定義される。この関係が満たされると多層発泡シートの表面外観が良好となる。かかる観点から、当該比の上限値は好ましくは3以下であり、下限値は好ましくは1.3以上である。ただし、MFR(B)は、発泡剤を除く組成物のMFRである。ポリプロピレン系樹脂Aを含む組成物およびポリプロピレン系樹脂Bを含む組成物は、樹脂以外の成分を含むが、その成分(発泡剤は除く)は、通常はMFRには影響を与えない。したがって、一態様において、MFR(A)とMFRaは等しく、MFR(B)とMFRbは等しい。
【0035】
上記組成物は、任意成分として、例えば、塩素吸収剤、耐熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、内部滑剤、外部滑剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、防曇剤、結晶造核剤、難燃剤、分散剤、銅害防止剤、中和剤、可塑剤、気泡防止剤、架橋剤、過酸化物、油展および顔料(有機または無機)等の添加剤を含んでいてもよい。
【0036】
前記ポリプロピレン系樹脂A、前記ポリプロピレン系樹脂B、またはその双方が、(x)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;(y)有機アルミニウム化合物;ならびに(z)外部電子供与体化合物、を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合させて得たポリプロピレン系樹脂であることが好ましい。スクシネート系化合物を電子供与体として含む触媒(スクシネート系触媒)を用いて重合して得た重合混合物を用いると、XIのMw/Mnを容易に前記範囲にでき、発泡成形性を付与するとともに、表面外観を良好にできる。スクシネート系触媒を用いて重合されたポリマーは、広分子量分布でありかつ高分子量成分と低分子量成分が均一に分散している。分子量分布(Mw/Mn)は物理量であり測定によって決定できる。しかしながらこの測定値では、高分子量成分と低分子量成分の分散度合いを表すことはできない。例えば、パウダーやペレット性状で与えられる高分子量成分と低分子量成分とを押出機等を用いて溶融混練する、あるいはスクシネート系触媒以外の触媒を用いて分子量の異なる成分の多段重合を行うことにより、一見、スクシネート系触媒を用いて重合して得たポリマーと同等のMw/Mn(測定値)を有するポリマーを得ることも可能である。しかしこのようにして得たポリマーと、スクシネート系触媒を用いて重合して得たポリマーでは高分子量成分と低分子量成分の分散度合いが異なり、後者は均一な分散度合いが達成されている。その差は、例えば剛性、耐衝撃性、加工性(溶融張力、溶融弾性)、外観等の性能において顕著である。これは、当該触媒を用いて製造した組成物は高分子量成分と低分子量成分が分子レベルに近い状態で一体となっているが、後者の樹脂組成物は分子レベルに近い状態では混ざり合ってはおらず見かけ上同一の分子量分布を示しているにすぎないためと考えられる。しかし、このことを請求項において言葉で表現することは現実的でない。
XIのMw/Mnが大きいことは、ポリプロピレン系樹脂を構成するプロピレン重合体とエチレン-αオレフィン共重合体の分子量分布が広いことを意味する。分子量分布が広いと、それぞれの成分の溶融張力指数が向上することに加えて、両成分間の分散性が向上する結果、ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数がさらに向上すると考えられる。当該触媒および重合方法については後述する。
【0037】
本実施形態にかかる多層発泡シートは優れた外観を有する。このメカニズムは限定されないが次のように推察される。
【0038】
主層である発泡層が形成されるとき、当該層は膨張しかつ溶融張力が膨張力よりも高くなるとしぼむような変形が起こっている。その主層の表面に薄く積層された表面層が、主層の変形に完全に追随してしまうと、主層の変形が表面に現れて、表面外観が不良となる。しかし、前記特性を有するポリプロピレン系樹脂AおよびBを用いると、表面層の主層側に近い部分が主層の変形を吸収する。その結果、表面層の空気側表面には変形が生じなくなる。すなわち、表面層が主層の変形をキャンセルするという現象が起こり、表面外観の良好な多層発泡シートが得られると考えられる。ポリプロピレン系樹脂Aにおいては成分(A1)の量が多い。同様に、ポリプロピレン系樹脂Bにおいては成分(B1)の量が多い。このため、表面層と発泡層の界面においてマトリックスとなる成分(A1)と成分(B1)との親和性が高まり、主層の変形が吸収される。さらに、分散相となる成分(A2)と成分(B2)の溶融弾性により、前記変形を抑制する効果がより高まると考えられる。
【0039】
2.製造方法
[多層発泡シートの製造方法]
多層発泡シートは、前記ポリプロピレン系樹脂Aまたはこれを含む組成物、および前記ポリプロピレン系樹脂Bまたはこれを含む組成物を共押出して、ポリプロピレン系樹脂Bまたはこれを含む発泡中間層と、当該発泡中間層の両側に設けられたポリプロピレン系樹脂Aまたはこれを含む非発泡の表面層と、を備える多層発泡シートを形成する成形工程、ならびに
前記多層発泡シートの一方の面に空気を吹き付けることによって他方の面をロールの周面に密着させて、当該多層発泡シートを冷却する冷却工程、
を備える方法で製造されることが好ましい。以下、当該方法について説明する。
【0040】
(1)成形工程
本工程においては、発泡中間層用の押出機と表層用の押出機と2層以上積層可能なTダイとを備えた2層以上の共押出成形機を用いることができる。また、2種3層のTダイを用い、発泡中間層の両面に1台の押出機で表面層を積層してもよい。好ましい態様では、1台の押出機を用いて、発泡中間層用のポリプロピレン系樹脂Bを含む組成物(以下「組成物B」ともいう)を溶融させる。また、2台の押出機を用いて、表面層用のポリプロピレン系樹脂Aを含む組成物(以下「組成物A」ともいう)を溶融させる。2台の押出機で異なる組成物Aを溶融してもよい。Tダイを用いて、溶融させた組成物Bをシート状にして発泡中間層を形成すると共に、溶融させた組成物Aをシート状にして表面層を形成する。さらに、Tダイの内部で、発泡中間層の両面側に表面層を積層する。Tダイから吐出されたたシートは、発泡中間層の両側に表面層が設けられた発泡シートとなる。組成物AおよびBを溶融させる際の温度は、160~350℃であることが好ましく、170~260℃であることがより好ましい。発泡方法は物理発泡、化学発泡等公知の技術で実施できる。
【0041】
発泡倍率は、好ましくは1.30以上、より好ましくは1.35以上であり、さらに好ましくは1.40以上である。発泡倍率が前記下限値以上であれば、発泡体としての特性を充分に発揮できる。一方、製造のしやすさの点から、前記発泡倍率は好ましくは5以下であり、より好ましくは3以下である。
【0042】
発泡倍率は、以下の方法により求められる。
JIS K7112に従って発泡体の密度D1を測定する。前記密度D1に対する発泡していないときの樹脂の密度D0の比(D0/D1)を求め、その値を発泡倍率とする。上記発泡倍率は、非発泡表面層を含めて求めた値である。
【0043】
組成物Bは、ポリプロピレン系樹脂Bと発泡剤を含有してもよい。また組成物Bは、本実施形態の多層発泡シートのリサイクル材を含んでいてもよい。発泡剤は、揮発型発泡剤であってもよいし、分解型発泡剤であってもよい。揮発性発泡剤としては、例えば、プロパン、ブタン、ペンタン、イソブタン、ネオペンタン、イソペンタン、ヘキサン、ヘプタンなどの脂肪族炭化水素;シクロブタン、シクロペンタンなどの環式脂肪族炭化水素;メチルクロライド、メチレンクロライド、ジクロロフルオロメタン、クロロトリフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン、クロロジフルオロメタン、ジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、モノクロロペンタフルオロエタン、1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1-クロロ-1,1-ジフルオロエタン、1,2-ジクロロ-2,2,2-トリフルオロエタン、1,1-ジクロロ-1-フルオロエタンなどのハロゲン化炭化水素が挙げられる。分解型発泡剤としては、アゾジカルボンアミド、ジニトロソペンタメチレンテトラミン、アゾビスイソブチロニトリル、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムなどが挙げられる。さらに他の発泡剤として、二酸化炭素、窒素、水なども使用できる。上記の発泡剤は2種以上を混合して用いることもできる。
【0044】
発泡剤の含有量は、ポリプロピレン系樹脂B100重量部に対して、0.1~6.0重量部であることが好ましく、0.5~2.0重量部であることがより好ましい。発泡剤の含有量が前記範囲内であれば、気泡径が均一でかつ気泡が均一分散した発泡層を容易に形成できる。
【0045】
(2)冷却工程
本工程では、多層発泡シートの一方の面に空気を吹き付けることによって、発泡シートの他方の面をロール(例えば金属ロールまたはゴムロール)の周面に密着させることにより、前記シートを冷却する。ロールの温度は、50℃以下にすることが好ましい。従来、ロールを用いた冷却においては、前記シートの表面外観が悪化する傾向が強かった。しかし、前記ポリプロピレン系樹脂を用いた多層発泡シートでは、このような冷却を行っても表面外観が良好である。
【0046】
[重合方法]
前述のとおりポリプロピレン系樹脂A、前記ポリプロピレン系樹脂B、またはその双方は、(x)マグネシウム、チタン、ハロゲン、およびスクシネート系化合物から選択される電子供与体化合物を必須成分として含有する固体触媒;(y)有機アルミニウム化合物;ならびに(z)外部電子供与体化合物、を含む触媒を用いて、対応するモノマーを重合させて得ることが好ましい。以下当該方法について説明する。
【0047】
1)固体触媒(成分(x))
成分(x)は、公知の方法、例えばマグネシウム化合物とチタン化合物と内部電子供与体化合物を相互接触させることにより調製できる。成分(x)の調製に用いられるチタン化合物として、一般式:Ti(OR)4-gで表される4価のチタン化合物が好適である。式中、Rは炭化水素基、Xはハロゲン、0≦g≦4である。チタン化合物として、より具体的には特開2020-063386号公報に記載されたものを使用できる。
【0048】
以下、内部電子供与体化合物について説明する。
[スクシネート系化合物]
内部電子供与体化合物として用いられるスクシネート系化合物は、コハク酸のジエステルまたは置換コハク酸のジエステルである。好ましいスクシネート系化合物は、以下の式(1)で表される。
【0049】
【化1】
【0050】
式中、基RおよびRは、互いに同一かまたは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C~C20の線状または分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基であり;基R~Rは、互いに同一かまたは異なり、水素、或いは場合によってはヘテロ原子を含む、C~C20の線状または分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基であり、同じ炭素原子または異なる炭素原子に結合している基R~Rは一緒に結合して環を形成してもよい。
【0051】
およびRは、好ましくは、C~Cのアルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、およびアルキルアリール基である。RおよびRが第1級アルキル、特に分岐第1級アルキルから選択される化合物が特に好ましい。好適なRおよびR基の例は、C~Cのアルキル基であり、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、イソブチル、ネオペンチル、2-エチルヘキシルである。エチル、イソブチル、およびネオペンチルが特に好ましい。
【0052】
式(1)によって示される化合物の好ましい群の1つは、R~Rが水素であり、Rが、3~10個の炭素原子を有する、分岐アルキル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基であるものである。このような単置換スクシネート化合物の好ましい具体例は、ジエチル-sec-ブチルスクシネート、ジエチルテキシルスクシネート、ジエチルシクロプロピルスクシネート、ジエチルノルボニルスクシネート、ジエチルペリヒドロスクシネート、ジエチルトリメチルシリルスクシネート、ジエチルメトキシスクシネート、ジエチル-p-メトキシフェニルスクシネート、ジエチル-p-クロロフェニルスクシネート、ジエチルフェニルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルスクシネート、ジエチルベンジルスクシネート、ジエチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル-t-ブチルスクシネート、ジエチルイソブチルスクシネート、ジエチルイソプロピルスクシネート、ジエチルネオペンチルスクシネート、ジエチルイソペンチルスクシネート、ジエチル(1-トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチルフルオレニルスクシネート、1-エトキシカルボジイソブチルフェニルスクシネート、ジイソブチル-sec-ブチルスクシネート、ジイソブチルテキシルスクシネート、ジイソブチルシクロプロピルスクシネート、ジイソブチルノルボニルスクシネート、ジイソブチルペリヒドロスクシネート、ジイソブチルトリメチルシリルスクシネート、ジイソブチルメトキシスクシネート、ジイソブチル-p-メトキシフェニルスクシネート、ジイソブチル-p-クロロフェニルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルスクシネート、ジイソブチルベンジルスクシネート、ジイソブチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル-t-ブチルスクシネート、ジイソブチルイソブチルスクシネート、ジイソブチルイソプロピルスクシネート、ジイソブチルネオペンチルスクシネート、ジイソブチルイソペンチルスクシネート、ジイソブチル(1-トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチルフルオレニルスクシネート、ジネオペンチル-sec-ブチルスクシネート、ジネオペンチルテキシルスクシネート、ジネオペンチルシクロプロピルスクシネート、ジネオペンチルノルボニルスクシネート、ジネオペンチルペリヒドロスクシネート、ジネオペンチルトリメチルシリルスクシネート、ジネオペンチルメトキシスクシネート、ジネオペンチル-p-メトキシフェニルスクシネート、ジネオペンチル-p-クロロフェニルスクシネート、ジネオペンチルフェニルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチルベンジルスクシネート、ジネオペンチルシクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル-t-ブチルスクシネート、ジネオペンチルイソブチルスクシネート、ジネオペンチルイソプロピルスクシネート、ジネオペンチルネオペンチルスクシネート、ジネオペンチルイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル(1-トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチルフルオレニルスクシネートである。
【0053】
式(1)の範囲内の化合物の他の好ましい群は、R~Rからの少なくとも2つの基が、水素とは異なり、場合によってはヘテロ原子を含む、C~C20の線状または分岐のアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アリールアルキル、またはアルキルアリール基から選択されるものである。水素とは異なる2つの基が同じ炭素原子に結合している化合物が特に好ましい。具体的には、RおよびRが水素とは異なる基であり、RおよびRが水素原子である化合物である。このような二置換スクシネート化合物の好ましい具体例は、ジエチル-2,2-ジメチルスクシネート、ジエチル-2-エチル-2-メチルスクシネート、ジエチル-2-ベンジル-2-イソプロピルスクシネート、ジエチル-2-シクロヘキシルメチル-2-イソブチルスクシネート、ジエチル-2-シクロペンチル-2-n-ブチルスクシネート、ジエチル-2、2-ジイソブチルスクシネート、ジエチル-2-シクロヘキシル-2-エチルスクシネート、ジエチル-2-イソプロピル-2-メチルスクシネート、ジエチル-2-テトラデシル-2-エチルスクシネート、ジエチル-2-イソブチル-2-エチルスクシネート、ジエチル-2-(1-トリフルオロメチルエチル)-2-メチルスクシネート、ジエチル-2-イソペンチル-2-イソブチルスクシネート、ジエチル-2-フェニル-2-n-ブチルスクシネート、ジイソブチル-2,2-ジメチルスクシネート、ジイソブチル-2-エチル-2-メチルスクシネート、ジイソブチル-2-ベンジル-2-イソプロピルスクシネート、ジイソブチル-2-シクロヘキシルメチル-2-イソブチルスクシネート、ジイソブチル-2-シクロペンチル-2-n-ブチルスクシネート、ジイソブチル-2,2-ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル-2-シクロヘキシル-2-エチルスクシネート、ジイソブチル-2-イソプロピル-2-メチルスクシネート、ジイソブチル-2-テトラデシル-2-エチルスクシネート、ジイソブチル-2-イソブチル-2-エチルスクシネート、ジイソブチル-2-(1-トリフルオロメチルエチル)-2-メチルスクシネート、ジイソブチル-2-イソペンチル-2-イソブチルスクシネート、ジイソブチル-2-フェニル-2-n-ブチルスクシネート、ジネオペンチル-2,2-ジメチルスクシネート、ジネオペンチル-2-エチル-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2-ベンジル-2-イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル-2-シクロヘキシルメチル-2-イソブチルスクシネート、ジネオペンチル-2-シクロペンチル-2-n-ブチルスクシネート、ジネオペンチル-2,2-ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル-2-シクロヘキシル-2-エチルスクシネート、ジネオペンチル-2-イソプロピル-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2-テトラデシル-2-エチルスクシネート、ジネオペンチル-2-イソブチル-2-エチルスクシネート、ジネオペンチル-2-(1-トリフルオロメチルエチル)-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2-イソペンチル-2-イソブチルスクシネート、ジネオペンチル-2-フェニル-2-n-ブチルスクシネートである。
【0054】
さらに、水素とは異なる少なくとも2つの基が異なる炭素原子に結合している化合物も特に好ましい。具体的にはRおよびRが水素と異なる基である化合物である。この場合、RおよびRは水素原子であってもよいし水素とは異なる基であってもよいが、いずれか一方が水素原子であること(三置換スクシネート)が好ましい。このような化合物の好ましい具体例は、ジエチル-2,3-ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジエチル-2,2-sec-ブチル-3-メチルスクシネート、ジエチル-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3-メチルスクシネート、ジエチル-2,3-ビス(2-エチルブチル)スクシネート、ジエチル-2,3-ジエチル-2-イソプロピルスクシネート、ジエチル-2,3-ジイソプロピル-2-メチルスクシネート、ジエチル-2,3-ジシクロヘキシル-2-メチルジエチル-2,3-ジベンジルスクシネート、ジエチル-2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジエチル-2,3-ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジエチル-2,3-ジ-t-ブチルスクシネート、ジエチル-2,3-ジイソブチルスクシネート、ジエチル-2,3-ジネオペンチルスクシネート、ジエチル-2,3-ジイソペンチルスクシネート、ジエチル-2,3-(1-トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジエチル-2,3-テトラデシルスクシネート、ジエチル-2,3-フルオレニルスクシネート、ジエチル-2-イソプロピル-3-イソブチルスクシネート、ジエチル-2-tert-ブチル-3-イソプロピルスクシネート、ジエチル-2-イソプロピル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジエチル-2-イソペンチル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジエチル-2-テトラデシル-3-シクロヘキシルメチルスクシネート、ジエチル-2-シクロヘキシル-3-シクロペンチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジエチル-2-イソプロピルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジイソプロピル-2-メチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジシクロヘキシル-2-メチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジベンジルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジイソブチル-2,3-ジ-t-ブチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジイソブチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジネオペンチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-ジイソペンチルスクシネート、ジイソブチル-2,3-(1-トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジイソブチル-2,3-テトラデシルスクシネート、ジイソブチル-2,3-フルオレニルスクシネート、ジイソブチル-2-イソプロピル-3-イソブチルスクシネート、ジイソブチル-2-tert-ブチル-3-イソプロピルスクシネート、ジイソブチル-2-イソプロピル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル-2-イソペンチル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジイソブチル-2-テトラデシル-3-シクロヘキシルメチルスクシネート、ジイソブチル-2-シクロヘキシル-3-シクロペンチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ビス(トリメチルシリル)スクシネート、ジネオペンチル-2,2-sec-ブチル-3-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2-(3,3,3-トリフルオロプロピル)-3-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ビス(2-エチルブチル)スクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジエチル-2-イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジイソプロピル-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジシクロヘキシル-2-メチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジベンジルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジイソプロピルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ビス(シクロヘキシルメチル)スクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジ-t-ブチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジイソブチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジネオペンチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-ジイソペンチルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-(1-トリフルオロメチルエチル)スクシネート、ジネオペンチル-2,3-テトラデシルスクシネート、ジネオペンチル-2,3-フルオレニルスクシネート、ジネオペンチル-2-イソプロピル-3-イソブチルスクシネート、ジネオペンチル-2-tert-ブチル-3-イソプロピルスクシネート、ジネオペンチル-2-イソプロピル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル-2-イソペンチル-3-シクロヘキシルスクシネート、ジネオペンチル-2-テトラデシル-3-シクロヘキシルメチルスクシネート、ジネオペンチル-2-シクロヘキシル-3―シクロペンチルスクシネートである。
【0055】
式(1)の化合物のうち、基R~Rのうちのいくつかが一緒に結合して環を形成している化合物も好ましく用いることができる。このような化合物として特表2002-542347に挙げられている化合物、例えば、1-(エトキシカルボニル)-1-(エトキシアセチル)-2,6-ジメチルシクロヘキサン、1-(エトキシカルボニル)-1-(エトキシアセチル)-2,5-ジメチルシクロペンタン、1-(エトキシカルボニル)-1-(エトキシアセチルメチル)-2-メチルシクロへキサン、1-(エトキシカルボニル)-1-(エトキシ(シクロヘキシル)アセチル)シクロヘキサンを挙げることができる。他には、例えば国際公開第2009/069483に開示されているような3,6-ジメチルシクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル、シクロヘキサン-1,2-ジカルボン酸ジイソブチル等の環状スクシネート化合物も好適に用いることができる。他の環状スクシネート化合物の例としては、国際公開2009/057747号に開示されている化合物も好ましい。
【0056】
式(1)の化合物のうち、基R~Rがヘテロ原子を含む場合、ヘテロ原子は窒素およびリン原子を含む第15族原子あるいは酸素およびイオウ原子を含む第16族原子であることが好ましい。基R~Rが第15族原子を含む化合物としては、特開2005-306910号に開示される化合物が挙げられる。一方、基R~Rが第16族原子を含む化合物としては、特開2004-131537号に開示される化合物が挙げられる。
【0057】
この他に、スクシネート系化合物と同等の分子量分布を与える内部電子供与体化合物を用いてもよい。そのような化合物としては、例えば特開2013-28704号公報に記載のジフェニルジカルボン酸エステル、特開2014-201602号公報に記載のシクロヘキセンジカルボン酸エステル、特開2013-28705号公報に記載のジシクロアルキルジカルボン酸エステル、特許第4959920号に記載のジオールジベンゾエート、国際公開第2010/078494に記載の1,2-フェニレンジベンゾエートが挙げられる。
【0058】
2)有機アルミニウム化合物(成分(y))
成分(y)の有機アルミニウム化合物としては、トリアルキルアルミニウム等の公知のものを使用できる。より具体的には特開2020-063386号公報に記載されたものを使用できる。
【0059】
3)電子供与体化合物(成分(z))
成分(z)の電子供与体化合物は、一般に「外部電子供与体化合物」と称される。このような化合物としては有機ケイ素化合物が好ましい。好ましい有機ケイ素化合物として特開2020-063386号公報に記載されたものを使用できる。
【0060】
4)重合
上記のとおりに調製した触媒に原料モノマーを接触させて重合する。この際、まず前記触媒を用いて予重合を行うことが好ましい。予重合とは、その後の原料モノマーの本重合の足がかりとなるポリマー鎖を固体触媒成分に形成させる工程である。予重合は公知の方法で行うことができる。予重合は、通常は40℃以下、好ましくは30℃以下、より好ましくは20℃以下で行われる。次いで、予重合した触媒(予重合触媒)を重合反応系内に導入して、原料モノマーの本重合を行う。重合は、液相中、気相中または液-気相中で実施してよい。重合温度は常温~150℃が好ましく、40℃~100℃がより好ましい。重合圧力は、液相中で行われる場合には好ましくは3.3~6.0MPaの範囲であり、気相中で行われる場合には好ましくは0.5~3.0MPaの範囲である。連鎖移動剤(たとえば、水素またはZnEt)などの当該分野で公知の慣用の分子量調節剤を用いてもよい。
【0061】
また、モノマー濃度や重合条件の勾配を有する重合器を用いてもよい。このような重合器では、例えば、少なくとも2つの重合領域が接続されたものを使用し、気相重合でモノマーを重合することができる。具体的には、触媒の存在下、上昇管からなる重合領域にてモノマーを供給して重合し、上昇管に接続された下降管にてモノマーを供給して重合し、上昇管と下降管とを循環しながら、ポリマー生成物を回収する。この方法は、上昇管中に存在する気体混合物が下降管に入るのを全面的または部分的に防止する手段を備える。また、上昇管中に存在する気体混合物とは異なる組成を有する気体または液体混合物を下降管中に導入する。上記の重合方法として、例えば、特表2002-520426号公報に記載された方法を適用することができる。
【0062】
一態様において、成分(A1)の存在下で、成分(A2)に対応するモノマーを重合させて前記ポリプロピレン系樹脂Aが製造される。別態様において、成分(B1)の存在下で、成分(B2)に対応するモノマーを重合させて前記ポリプロピレン系樹脂Bが製造される。
【0063】
3.用途
多層発泡シートは、公知の真空成形、真空圧空成形、熱成形などの二次成形方法で、容器やトレー等の成形体に容易に加工される。二次成形された成形体は、弁当容器、惣菜トレー、断熱容器などとして使用できる。
【実施例0064】
[重合体の製造]
1)ポリプロピレン系樹脂A1
特開2011-500907号の実施例に記載の調製法に従い、固体触媒成分を調製した。具体的には以下の通りである:
窒素でパージした500mLの4つ口丸底フラスコ中に、250mLのTiClを0℃において導入した。撹拌しながら、10.0gの微細球状MgCl・1.8COH、および9.1ミリモルのジエチル-2,3-(ジイソプロピル)スクシネートを加えた。微細球状MgCl・1.8COHは、米国特許4,399,054の実施例2に記載の方法にしたがって調製した。ただし、10000rpmに代えて3000rpmで運転して製造した。次いで、温度を100℃に上昇させ、120分間保持した。次に、撹拌を停止し、固体生成物を沈降させ、上澄み液を吸い出した。次に、以下の操作を2回繰り返した:250mLの新しいTiClを加え、混合物を120℃において60分間反応させ、上澄み液を吸い出した。固体を、60℃において無水ヘキサン(6×100mL)で6回洗浄した。
【0065】
上記固体触媒と、トリエチルアルミニウム(TEAL)およびジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を、固体触媒に対するTEALの質量比が18であり、TEAL/DCPMSの質量比が10となるような量で、室温において5分間接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃において5分間保持することによって予重合を行った。
【0066】
得られた予重合物を、1段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体(成分(A1))を得た後、得られた重合体を、未反応モノマー類をパージした後、2段目の重合反応器に導入して共重合体(エチレン・プロピレン共重合体)(成分(A2))を重合させた。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度が、それぞれ70℃、0.81モル%、二段目の反応器では、重合温度、水素濃度、C2/(C2+C3)が、それぞれ80℃、0.02モル%、0.25モル比であった。また、成分(A2)の含有量が20重量%となるように一段目と二段目の重合時間を調整した。得られたポリプロピレン重合体に、酸化防止剤として、BASF社製B225を0.2重量%、中和剤として、淡南化学株式会社製カルシウムステアレートを0.05重量%配合し、ヘンシェルミキサーで1分間攪拌、混合した後、スクリュー直径50mmの単軸押出機(株式会社池貝製FS50)で、シリンダ温度230℃で押出し、ストランドを水中で冷却した後、ペレタイザーでカットし、ペレット状のポリプロピレン系樹脂A1を製造した。
【0067】
2)ポリプロピレン系樹脂A2
一段目の反応器の水素濃度を0.59モル%に変更した以外は、ポリプロピレン系樹脂A1と同様にして、ペレット状のポリプロピレン系樹脂A2を製造した。
【0068】
3)ポリプロピレン系樹脂A3
二段目の反応器の水素濃度を0.01モル%に変更するとともに、成分(A2)の含有量が30重量%となるように一段目と二段目の重合時間を調整した以外は、ポリプロピレン系樹脂A1と同様にして、ペレット状のポリプロピレン系樹脂A3を製造した。
【0069】
4)ポリプロピレン系樹脂A4
特開2004-27218公報の段落0032の21~36行に記載の調製法に従い、固体触媒成分を調製した。具体的には以下の通りである:
窒素雰囲気下、120℃にて、無水塩化マグネシウム56.8gを、無水エタノール100g、出光興産株式会社製のワセリンオイル「CP15N」500mLおよび信越シリコーン株式会社製のシリコーン油「KF96」500mLに完全に溶解した。この溶液を、特殊機化工業株式会社製のTKホモミキサーを用いて120℃、5000回転/分で2分間撹拌した。撹拌を保持しながら、2Lの無水ヘプタン中に0℃を越えないようにして注いだ。得られた白色固体を無水ヘプタンで十分に洗浄し室温下で真空乾燥し、さらに窒素気流下で部分的に脱エタノール化し、MgCl・1.2COHの球状固体30gを得た後、無水ヘプタン200mL中に懸濁した。0℃で撹拌しながら、四塩化チタン500mLを1時間かけて滴下した。次に、加熱を始めて40℃になったところで、フタル酸ジイソブチル4.96gを加えて、100℃まで約1時間で昇温した。100℃で2時間反応した後、熱時濾過にて固体部分を採取した。その後、この反応物に四塩化チタン500mLを加え撹拌した後、120℃で1時間反応を行った。反応終了後、再度、熱時濾過にて固体部分を採取し、60℃のヘキサン1.0Lで7回、室温のヘキサン1.0Lで3回洗浄して固体触媒を得た。
【0070】
上記固体触媒と、有機アルミニウム化合物としてトリエチルアルミニウム(TEAL)と、外部電子供与体化合物としてジシクロペンチルジメトキシシラン(DCPMS)を用い、固体触媒に対するTEALの重量比が20、DCPMSに対するTEALの重量比が10となる量で、12℃において24分間これらを接触させた。得られた触媒系を、液体プロピレン中において懸濁状態で20℃にて5分間保持することによって予重合を行った。得られた予重合物を1段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を重合させた。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。重合温度と水素濃度は、それぞれ80℃、0.24モル%であった。得られたプロピレン単独重合体から、ポリプロピレン系樹脂A1と同様にして、ペレット状のポリプロピレン系樹脂A4を製造した。
【0071】
5)ポリプロピレン系樹脂A5
ポリプロピレン系樹脂A1の製造に使用した予重合物を1段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体を重合させた。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。重合温度と水素濃度は、それぞれ80℃、0.26モル%であった。得られたプロピレン単独重合体から、ポリプロピレン系樹脂A1と同様にして、ペレット状のポリプロピレン系樹脂A5を製造した。
【0072】
6)ポリプロピレン系樹脂B1
ポリプロピレン系樹脂A3を用いた。
7)ポリプロピレン系樹脂B2
ポリプロピレン系樹脂A4の製造に使用した予重合物を、1段目の重合反応器に導入してプロピレン単独重合体(成分(B1))を得た後、得られた重合体を、未反応モノマー類をパージした後、2段目の重合反応器に導入して共重合体(エチレン・プロピレン共重合体)(成分(B2))を重合させた。重合中は、温度と圧力を調整し、水素を分子量調整剤として用いた。重合温度と反応物の比率は、一段目の反応器では、重合温度、水素濃度が、それぞれ70℃、0.71モル%、二段目の反応器では、重合温度、水素濃度、C2/(C2+C3)が、それぞれ80℃、1.17モル%、0.25モル比であった。また、成分(B2)の含有量が30重量%となるように一段目と二段目の重合時間を調整した。得られたポリプロピレン重合体から、ポリプロピレン系樹脂A1と同様にして、ペレット状のポリプロピレン系樹脂B2を製造した。
【0073】
8)ポリプロピレン系樹脂B3
ポリプロピレン系樹脂A5を用いた。
【0074】
これらの重合体の物性を表1にまとめた。表1中、重合触媒における「Suc」はスクシネート系触媒、「Ph」はフタレート系触媒である。
ポリプロピレン系樹脂の種類における「HECO」は、ブロックポリプロピレン(プロピレン重合体とゴム成分を主体とするエチレン-αオレフィン共重合体の重合混合物)であり、「HOMO」はプロピレン単独重合体である。
ポリプロピレン系樹脂中のエチレン-αオレフィン共重合体の種類における「C2C3」はエチレン-プロピレン共重合体である。
【0075】
【表1】
【0076】
[実施例1]
スクリュー直径25mmの押出機を3台備え、3層積層可能なTダイが設けられた多層シート成形機(サーモ・プラスチック工業株式会社製)を用いて多層発泡シートを製造した。より具体的には、1台の押出機を用いて、ポリプロピレン系樹脂B1と化学発泡剤組成物(三協化成株式会社製セルマイクMB3064)を含む組成物Bを210℃で溶融させた。化学発泡剤組成物の量は、発泡倍率1.5倍程度になるように、ポリプロピレン系樹脂100重量部に対して1~3重量部の範囲内で調整した。
【0077】
また、2台の押出機を用いて、ポリプロピレン系樹脂A1を210℃で溶融させた。多層用Tダイを用いて発泡中間層を形成すると共に表面層を形成し、発泡中間層の両側に表面層を積層した後、Tダイから発泡シートを吐出させた。その際、表面層/発泡中間層/表面層の層厚の比率は1/8/1とした。当該シートの一方の面に空気を吹き付けることによって、発泡シートの他方の面を金属ロールの周面に密着させて発泡シートを冷却した。
【0078】
[他の実施例、比較例]
使用した樹脂および層厚比を表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にしてシートを得て評価した。結果を表2に示した。
実施例3ではB1とLDPEのドライブレンドがシート成形機の中間層用の押出機中で溶融混練された。実施例3に用いたLDPEは、分岐状低密度ポリエチレン(日本ポリエチレン株式会社製ノバテックLD400、JIS K7210に準拠し温度190℃、荷重:21.18Nの条件で測定したMFRが2.0g/10分)である。
実施例5ではA1とA4のドライブレンド(A1:A4=7:3の重量比率)がシート成形機の表層用の押出機中で溶融混練された。
単層の比較例2ではA1とB1のドライブレンド(A1:B1=2:8の重量比率)がシート成形機の中間層用の押出機中で溶融混練された。
【0079】
【表2-1】
【0080】
【表2-2】
【0081】
[評価]
下記方法により、多層発泡シートを評価した。
1)発泡倍率および密度
アルファーミラージュ株式会社製電子比重計MD-200Sを用い、JIS K7112に従い、発泡シートの比重を測定し、この比重を密度D1とした。前記密度D1に対するシートが発泡していないときの樹脂の密度D0の比(D0/D1)を求め、その値を発泡倍率とした。
【0082】
2)表面外観
シートの表面を目視観察し、以下の基準で評価した。
5:平滑である。
4:ほぼ平滑である。
3:筋状模様が見られる。
2:やや凹凸が目立つ。
1:凹凸が目立つ。
【0083】
3)表面光沢
JIS Z8741に従い、シートのキャストロール側の表面について入射角60°で測定した鏡面光沢度を表面光沢とした。表面光沢の値が大きい程、艶があり外観性に優れる。
4)表面粗さ
触針式表面粗さ表面粗さ計(HommelWerke(現Hemmel-Etamic)社製T1000)を用い、プローブはProbe T1Eを用いてJISB0601:2013に定義される算術平均表面粗さRaを表面粗さとした。
5)表面クレーター
シートの表面を目視観察し、4(良)~1(不良)の四段階で評価した。
【0084】
[分析および試験]
1)成分(A1)、(A2)または成分(B1)、(B2)中のエチレン由来単位の含有量、およびポリプロピレン系樹脂Aまたはポリプロピレン系樹脂B中の含有量
1,2,4-トリクロロベンゼン/重水素化ベンゼンの混合溶媒に溶解した試料について、Bruker社製AVANCEIII HD400(13C共鳴周波数100MHz)を用い、測定温度120℃、フリップ角45度、パルス間隔7秒、試料回転数20Hz、積算回数5000回の条件で13C-NMR法で測定した。
【0085】
<ポリプロピレン系樹脂Aまたはポリプロピレン系樹脂B中の総エチレン量>
上記で得られたスペクトルを用いて、Kakugo,Y.Naito、K.Mizunuma and T.Miyatake、M
acromolecules、15、1150-1152(1982)の文献に記載された方法により、ポリプロピレン組成物の総エチレン量(重量%)を求めた。なお、成分(A1)または成分(B1)中のエチレン由来単位の含有量は、1段目の重合反応器での重合後に採取した成分(A1)または成分(B1)中の総エチレン量より求められる。
【0086】
<成分(A2)または成分(B2)中のエチレン由来単位の含有量>
上記で得られたTββの積分強度の替わりに下記式で求めた積分強度を使用した以外は、総エチレン量と同様の方法で計算を行い、成分(A2)または成分(B2)中のエチレン由来単位の含有量を求めた。
T’ββ= 0.98×Sαγ×A/(1-0.98×A)
ここで、A= Sαγ/(Sαγ+Sαδ)
【0087】
<ポリプロピレン系樹脂A中の成分(A2)またはポリプロピレン系樹脂B中の成分(B2)の含有量>
以下の式で求めた。
コポリマーの量(重量%)=ポリプロピレン系樹脂Aまたはポリプロピレン系樹脂B中の総エチレン量/(成分(A2)または成分(B2)中のエチレン由来単位の含有量/100)
【0088】
2)ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分の極限粘度(XSIV)
ポリプロピレン系樹脂のキシレン可溶分(XS)は、以下の方法によって得た。
サンプル2.5gを、o-キシレン(溶媒)を250ml入れたフラスコに入れ、ホットプレートおよび還流装置を用いて、135℃で、窒素パージを行いながら、30分間撹拌し、ポリプロピレン系樹脂を完全溶解させた。その後、この溶液を25℃で1時間、冷却した。これにより得られた溶液を、濾紙を用いて濾過した。濾過後の濾液を100ml採取し、アルミニウムカップ等に移し、窒素パージを行いながら、140℃で蒸発乾固を行い、室温で30分間静置して、キシレン可溶分(XS)を得た。得られたXSを試料として用い、テトラヒドロナフタレン中、135℃において毛細管自動粘度測定装置(SS-780-H1、株式会社柴山科学器械製作所製)を用いて、極限粘度(IV)を測定した。
【0089】
3)ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分(XI)のMw/Mn:
ポリプロピレン系樹脂のキシレン不溶分(XI)の質量平均分子量Mwと数平均分子量Mnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(ポリマーラボラトリーズ株式会社製PL-GPC220)を用いて測定した。キシレン不溶分(XI)は次のようにして取得した。まず上述したようにキシレン可溶分を濾過し濾紙上に残留物(キシレン不溶成分と溶媒の混合物)を得た。次いで当該残留物にアセトンを加えて濾過した後、濾過されなかった成分を、80℃設定の真空乾燥オーブンにて、蒸発乾固させてキシレン不溶分(XI)を得た。
【0090】
XIのMw/Mnは以下のようにして測定した。
i)装置としてGPC(例えば、ポリマーラボラトリーズ社製PL GPC220)を使用した。
i i)移動相として酸化防止剤を含む1,2,4-トリクロロベンゼンを用いた。
i i i)カラムとして、例えば昭和電工社製UT-G(1本)、UT-807(1本)、UT-806M(2本)を直列に接続したものを使用した。
iv)検出器として示差屈折率計を使用した。
v)試料溶液の溶媒としては移動相と同じものを使用した。試料濃度は1mg/mLであった。試料溶液の調製方法は限定されないが、例えば150℃の温度で2時間撹拌または振とうしながら溶解することによって調整した。
vi)以下の条件で測定した。
試料溶液の注入量:500μL
流速:1.0mL/分
温度:145℃
データ取り込み間隔:1秒
vii)カラムの較正は、分子量580~745万のポリスチレン標準試料(Shodex STANDARD、昭和電工社製)を使用し、三次式近似で行った。Mark-Houwink-Sakuradaの係数は、ポリスチレン標準試料に関しては、K=1.21×10-4、α=0.707、ポリプロピレン単独重合体、プロピレンランダム共重合体、および他のポリプロピレン系重合体に関しては、K=1.37×10-4、α=0.75とした。
【0091】
4)MFR:
ポリプロピレン系樹脂のMFRは、JIS K7210に準拠して、温度230℃、荷重:21.18Nの条件で測定した。
【0092】
5)ポリプロピレン系樹脂の溶融張力指数
長さ8.0mmかつ直径2.095mmの上面が平面の円筒状のオリフィスを取り付けたキャピラリーレオメーター(株式会社東洋精機製作所製キャピログラフ1C)を用い、温度200℃でポリプロピレン系樹脂を溶融させた。その溶融させたポリプロピレン系樹脂を樹脂押出速度15mm/分でオリフィスより吐出させてストランドを形成した。そのストランドを、回転する引き取り手段を用い、引き取り速度6.5m/分で引き取ると共に張力(MT、単位はg重)を測定した。そして、log(溶融張力指数)=log(MT)+0.85log(MFR)-0.82の式より、溶融張力指数を求めた。
図1