(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171223
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】システム、サーバ、ルータ装置、制御方法、及び制御プログラム
(51)【国際特許分類】
G06F 11/07 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
G06F11/07 157
G06F11/07 140A
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088185
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】110002505
【氏名又は名称】弁理士法人航栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】中山 聡
【テーマコード(参考)】
5B042
【Fターム(参考)】
5B042JJ15
5B042JJ29
5B042MA08
5B042MC27
5B042MC29
(57)【要約】
【課題】ウェブサービスの負荷を抑制しつつ、障害の発生を迅速に検出することが可能なシステム、サーバ、ルータ装置、制御方法、及び制御プログラムを提供すること。
【解決手段】システム1は、管理サーバ30と、少なくとも1つの無線LANルータ10と、を含む。管理サーバ30(第1サーバ)は、所定のウェブサービスの稼働状況の確認を指示する。無線LANルータ10は、管理サーバ30からの指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けたウェブサービスの稼働状況の確認を行い、その確認の結果を送信する。管理サーバ30(第2サーバ)は、無線LANルータ10から受信した確認の結果に基づいて、ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のウェブサービスの稼働状況の確認を指示する第1サーバと、
前記第1サーバからの指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行い、前記確認の結果を送信する少なくとも1つのルータ装置と、
前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する第2サーバと、
を含むシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のシステムであって、
前記第2サーバは、前記第1サーバである、
システム。
【請求項3】
請求項1に記載のシステムであって、
前記上限は、前記ルータ装置が前記確認を行う周期によって設定される、
システム。
【請求項4】
請求項3に記載のシステムであって、
前記ルータ装置は、前記確認の結果に応じて前記確認を行う周期を変化させる、
システム。
【請求項5】
請求項1に記載のシステムであって、
前記稼働状況は、前記ウェブサービスを提供するサーバの稼働状況を含む、
システム。
【請求項6】
請求項1に記載のシステムであって、
前記確認は、前記ルータ装置が前記ウェブサービスへWebコンテンツ要求を行い、前記Webコンテンツ要求に対する応答に基づいて行われる、
システム。
【請求項7】
請求項1に記載のシステムであって、
前記ルータ装置は、複数のルータ装置であり、
前記第1サーバは、前記複数のルータ装置へ前記確認を指示し、
前記第2サーバは、前記複数のルータ装置からの前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する、
システム。
【請求項8】
請求項7に記載のシステムであって、
前記第1サーバは、管理対象のルータ装置の中から、設置地域が異なるルータ装置を含む前記複数のルータ装置を選択する、
システム。
【請求項9】
請求項8に記載のシステムであって、
前記第1サーバは、ルータ装置の個体情報とユーザ住所との対応情報に基づいて、前記設置地域を判定する、
システム。
【請求項10】
請求項8に記載のシステムであって、
前記第1サーバは、ルータ装置の論理アドレスと地域との対応情報に基づいて、前記設置地域を判定する、
システム。
【請求項11】
請求項8から10のいずれか1項に記載のシステムであって、
前記第2サーバは、前記ウェブサービスの前記設置地域ごとの稼働状況を示す情報を出力する、
システム。
【請求項12】
所定のウェブサービスの稼働状況の確認を少なくとも1つのルータ装置に指示する制御部と、
前記ルータ装置による、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認の結果を受信する受信部と、
前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する出力部と、
を備えるサーバ。
【請求項13】
サーバの制御方法であって、
前記サーバのプロセッサが、
所定のウェブサービスの稼働状況の確認を少なくとも1つのルータ装置に指示し、
前記ルータ装置による、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認の結果を受信し、
前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する、
制御方法。
【請求項14】
サーバの制御プログラムであって、
前記サーバのプロセッサに、
所定のウェブサービスの稼働状況の確認を少なくとも1つのルータ装置に指示し、
前記ルータ装置による、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認の結果を受信し、
前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【請求項15】
所定のウェブサービスの稼働状況の確認の指示を受け付ける受付部と、
前記指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行う確認制御部と、
前記確認の結果を送信する送信部と、
を備えるルータ装置。
【請求項16】
ルータ装置の制御方法であって、
前記ルータ装置のプロセッサが、
所定のウェブサービスの稼働状況の確認の指示を受け付け、
前記指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行い、
前記確認の結果を送信する、
制御方法。
【請求項17】
ルータ装置の制御プログラムであって、
前記ルータ装置のプロセッサに、
所定のウェブサービスの稼働状況の確認の指示を受け付け、
前記指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行い、
前記確認の結果を送信する、
処理を実行させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、システム、サーバ、ルータ装置、制御方法、及び制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、端末をサーバに接続させるキャリアの障害発生を検出することにより、アクセス先となるサーバの障害と、上流ネットワークのキャリアの障害と、を切り分けるネットワーク障害検出装置が知られている(例えば、下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ISP(Internet Service Provider)事業者が顧客のLAN(Local Area Network)環境の不調を事前に検知するためには、その不調の要因を特定する必要がある。不調の要因の一つとして、SNS(Social Networking Service)、動画サービス、検索サービスなど各種ウェブコンテンツのサービスの障害が考えられる。ところが、サービスに障害が発生した場合であっても、顧客にとってはインターネットの不調であり、ISP事業者への問い合わせにつながる場合が多い。このため、ISP事業者の負担が増大している。この点、ウェブサービスの稼働状況を監視する手段として、実際に顧客が所持しているルータから各サービスのサーバに応答確認を実施する方法がある。しかし、各顧客のルータから個別に応答確認を実施した場合、サービス側にとって過剰な負荷となる。このサービス側の負荷を抑制する対策として、応答確認の間隔を長く・頻度を少なくすることが考えられるが、その場合、障害の発生を素早く検出することができないこともある。
【0005】
特許文献1に記載のネットワーク障害検出装置は、端末からサーバへのリクエストとそのレスポンスに基づいてキャリア(プロバイダ)の障害を検出するものであり、例えばウェブサービス自体の障害検出を想定するものではない。したがって、インターネット上におけるウェブサービスの障害を検出する方法については改良の余地がある。
【0006】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、ウェブサービスの負荷を抑制しつつ、障害の発生を迅速に検出することが可能なシステム、サーバ、ルータ装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のシステムは、所定のウェブサービスの稼働状況の確認を指示する第1サーバと、
前記第1サーバからの指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行い、前記確認の結果を送信する少なくとも1つのルータ装置と、
前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する第2サーバと、
を含むものである。
【0008】
本発明のサーバは、所定のウェブサービスの稼働状況の確認を少なくとも1つのルータ装置に指示する制御部と、
前記ルータ装置による、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認の結果を受信する受信部と、
前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する出力部と、
を備えるものである。
【0009】
本発明の制御方法は、サーバの制御方法であって、
前記サーバのプロセッサが、
所定のウェブサービスの稼働状況の確認を少なくとも1つのルータ装置に指示し、
前記ルータ装置による、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認の結果を受信し、
前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力するものである。
【0010】
本発明の制御プログラムは、サーバの制御プログラムであって、
前記サーバのプロセッサに、
所定のウェブサービスの稼働状況の確認を少なくとも1つのルータ装置に指示し、
前記ルータ装置による、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認の結果を受信し、
前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する、
処理を実行させるためのものである。
【0011】
本発明のルータ装置は、所定のウェブサービスの稼働状況の確認の指示を受け付ける受付部と、
前記指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行う確認制御部と、
前記確認の結果を送信する送信部と、
を備えるものである。
【0012】
本発明の制御方法は、ルータ装置の制御方法であって、
前記ルータ装置のプロセッサが、
所定のウェブサービスの稼働状況の確認の指示を受け付け、
前記指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行い、
前記確認の結果を送信するものである。
【0013】
本発明の制御プログラムは、ルータ装置の制御プログラムであって、
前記ルータ装置のプロセッサに、
所定のウェブサービスの稼働状況の確認の指示を受け付け、
前記指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行い、
前記確認の結果を送信する、
処理を実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ウェブサービスの負荷を抑制しつつ、障害の発生を迅速に検出することが可能なシステム、サーバ、ルータ装置、制御方法、及び制御プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明のルータ装置及びサーバが適用されるシステムの一例を示す図である。
【
図2】無線LANルータ10の構成の一例を示す図である。
【
図3】管理サーバ30の構成の一例を示す図である。
【
図4】システム1における管理サーバ30と無線LANルータ10とウェブサービスサーバ40と情報端末50の動作の一例を示すシーケンス図である。
【
図5】管理サーバ30のプロセッサ31による第1の処理を示すフローチャートである。
【
図6】管理サーバ30のプロセッサ31による第2の処理を示すフローチャートである。
【
図7】無線LANルータ10のプロセッサ11による処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】確認間隔を設定する複数の時間範囲と、それらの時間範囲における確認間隔の上限時間と下限時間と、を示す確認間隔表60である。
【
図9】無線LANルータ10がウェブサービスの稼働状況を確認する確認間隔の変化を示す図である。
【
図10】情報端末50の表示画面51に表示される障害集計情報の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0017】
(実施形態)
<本発明のルータ装置及びサーバが適用されるシステム>
図1は、本発明のルータ装置及びサーバが適用されるシステムの一例を示す図である。
図1に示すシステム1は、例えば、複数の無線LANルータ10と、通信端末21,24と、管理サーバ30と、ウェブサービスサーバ40と、情報端末50と、を含む。
【0018】
無線LAN(Local Area Network)ルータ10は、本発明の「ルータ装置」の一例である。無線LANルータ10は、無線LANルータ10に接続した情報端末(例えば通信端末21,24)とネットワーク2との通信を中継するルータ機能を有する。また、無線LANルータ10は、無線LANアクセスポイントとしての機能を有する。さらに、無線LANルータ10は、スイッチングハブ等の機能を有していてもよい。ネットワーク2は、例えばインターネットなどのWAN(Wide Area Network)であり、接続方式を判別した後に接続可能となる。無線LANルータ10は、例えばISP(Internet Service Provider)が契約ユーザに配布するルータである。
【0019】
通信端末21,24は、無線LANルータ10が形成する無線LANに接続することにより、無線LANルータ10との間で無線通信を行うことが可能な情報端末である。
図1に示す例では、通信端末21はノート型パーソナルコンピュータであり、通信端末24はスマートフォンである。
【0020】
管理サーバ30は、本発明の「第1サーバ」及び「第2サーバ」の一例である。本例では「第1サーバ」及び「第2サーバ」が1つの「管理サーバ30」により構成されているが、これに限定されない。例えば「第1サーバ」及び「第2サーバ」がそれぞれ別の管理サーバによって構成されてもよい。管理サーバ30は、ネットワーク2への接続が可能である。管理サーバ30は、例えばルータ(例えば無線LANルータ10)が取得したウェブサービスサーバ40の稼働状況に関する情報を収集するサーバである。管理サーバ30は、例えば無線LANルータ10のメーカーが管理するサーバである。管理サーバ30は、物理的サーバであってもよいし、クラウド上の仮想サーバであってもよい。また、管理サーバ30は、無線LANルータ10に接続可能な情報端末(パーソナルコンピュータ(PC),スマートフォン等)であってもよい。
【0021】
ウェブサービスサーバ40は、ユーザからのリクエストに応えてインターネット上でサービスを提供することが可能なサーバである。
【0022】
情報端末50は、管理サーバ30にアクセス可能な端末である。情報端末50は、管理サーバ30が収集するウェブサービスサーバ40の稼働状況に関する情報の例えば障害集計情報を、管理サーバ30から受信する。情報端末50は、管理サーバ30から受信した障害集計情報を表示画面51に表示する。具体的には、情報端末50は、ISPの端末である。また、情報端末50は、無線LANルータ10のユーザの端末などであってもよい。
【0023】
<無線LANルータ10の構成>
図2は、無線LANルータ10の構成の一例を示す図である。
図2に示すように、無線LANルータ10は、プロセッサ11と、メインメモリ12と、補助メモリ13と、無線LAN通信I/F14と、WAN通信I/F15と、有線LAN通信I/F16と、を備える。
【0024】
プロセッサ11は、信号処理を行う回路であり、例えば無線LANルータ10の全体の制御を司るCPU(Central Processing Unit)である。なお、プロセッサ11は、FPGA(Field Programmable Gate Array)やDSP(Digital Signal Processor)などの他のデジタル回路により実現されてもよい。また、プロセッサ11は、複数のデジタル回路を組み合わせて実現されてもよい。
【0025】
メインメモリ12は、例えばRAM(Random Access Memory)である。メインメモリ12は、プロセッサ11のワークエリアとして使用される。補助メモリ13は、例えば磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。補助メモリ13には、無線LANルータ10を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリ13に記憶されたプログラムは、メインメモリ12にロードされてプロセッサ11によって実行される。また、補助メモリ13には、確認したウェブサービスサーバ40の稼働状況に関する情報が記憶されている。また、補助メモリ13には、ネットワーク内の通信端末の識別情報と、通信端末の通信に関するステータスと、の対応情報が記憶されている。「ネットワーク」とは、無線LANルータ10が形成する有線・無線のローカルエリアネットワークのことである。
【0026】
無線LAN通信I/F14は、LANに接続し、LANを介して無線通信端末(例えば、通信端末24,25等)との無線通信を行う通信インターフェースである。無線LAN通信I/F14は、2.4GHzのバンド(周波数帯)、5GHzのバンド、及び6GHzのバンドを使用して無線通信を行うことが可能である。WAN通信I/F15は、インターネット等のWAN(Wide Area Network)に接続し、WANを介して通信装置(例えば、管理サーバ30、ウェブサービスサーバ40等)との通信を行う通信インターフェースである。有線LAN通信I/F16は、LANに接続し、LANを介して通信端末(例えば、通信端末21,22,23等)との通信を行う通信インターフェースである。
【0027】
例えば、無線LANルータ10は、無線LAN通信I/F14によりLAN側の通信端末24,25等と通信を行い、WAN通信I/F15によりWAN側の通信装置と通信を行うことで、通信端末24,25等とWAN側の通信装置との間のデータ通信を中継する。また、無線LANルータ10は、無線LAN通信I/F14を用いて、無線通信端末(例えば、通信端末24,25等)との間で、複数のバンドでの同時接続(例えばMLO:Multi-Link Operatin)が可能である。また、無線LANルータ10は、有線LAN通信I/F16によりLAN側の通信端末21,22,23等と通信を行い、WAN通信I/F15によりWAN側の通信装置と通信を行うことで、LAN側の通信端末21,22,23等とWAN側の通信装置との間のデータ通信を中継する。
【0028】
また、無線LANルータ10は、管理サーバ30からの指示に基づいて、所定のウェブサービスの稼働状況の確認を行う。稼働状況の確認は、例えばウェブサービス自体の稼働状況の確認であってもよいし、ウェブサービスを提供するサーバ(例えば、ウェブサービスサーバ40等)の稼働状況の確認であってもよい。サーバの稼働状況とは、例えばサーバの死活状態、応答速度等が含まれる。ウェブサービス自体の稼働状況の確認は、例えばウェブサービスへHTTP(Hypertext Transfer Protocol)リクエストによりWebコンテンツの要求を行い、その要求に対するウェブサービスからの応答に基づいて行う。ウェブサービスを提供するサーバの稼働状況の確認は、例えば、ウェブサービス自体の稼働状況の確認と同様に、ウェブサービスへHTTPリクエストによりWebコンテンツの要求を行い、その要求に対するウェブサービスからの応答に基づいて行う。又は、ウェブサービスを提供するサーバの稼働状況の確認は、PING(Packet INternet Groper)によりサーバからの応答を確認することにより行ってもよい。また、無線LANルータ10は、確認したウェブサービスの稼働状況の結果を、管理サーバ30へ送信する。無線LANルータ10のプロセッサ11及び無線LAN通信I/F14とWAN通信I/F15と有線LAN通信I/F16は、本発明の「受信部」及び「送信部」の一例である。プロセッサ11は、本発明の「確認制御部」の一例である。
【0029】
<管理サーバ30の構成>
図3は、管理サーバ30の構成の一例を示す図である。
図3に示すように、管理サーバ30は、プロセッサ31と、メインメモリ32と、補助メモリ33と、WAN通信I/F34と、を備える。
【0030】
プロセッサ31は、信号処理を行う回路であり、例えば管理サーバ30の全体の制御を司るCPUである。なお、プロセッサ31は、FPGAやDSPなどの他のデジタル回路により実現されてもよい。また、プロセッサ31は、複数のデジタル回路を組み合わせて実現されてもよい。
【0031】
メインメモリ32は、例えばRAMである。メインメモリ32は、プロセッサ31のワークエリアとして使用される。補助メモリ33は、例えば磁気ディスク、光ディスク、フラッシュメモリなどの不揮発性メモリである。補助メモリ33には、管理サーバ30を動作させる各種のプログラムが記憶されている。補助メモリ33に記憶されたプログラムは、メインメモリ32にロードされてプロセッサ31によって実行される。また、補助メモリ33には、無線LANルータ10の個体情報(例えば、シリアル番号等)と、そのユーザの住所と、の対応情報が記憶されている。また、補助メモリ33には、無線LANルータ10の論理アドレス(グローバルIP(Internet Protocol)アドレス)と、その無線LANルータ10が設置されている地域と、の対応情報が記憶されている。また、補助メモリ33には、管理サーバ30から受信したウェブサービスサーバ40の稼働状況に関する情報が記憶されている。
【0032】
WAN通信I/F34は、インターネット等のWANに接続し、WANを介して他の通信装置との通信を行う。
【0033】
例えば、管理サーバ30は、所定のウェブサービスの稼働状況の確認を少なくとも1つのルータ装置に指示する。管理サーバ30は、管理対象のルータ装置の中から、設置地域が異なるルータ装置を含む複数のルータ装置を選択し、その選択したルータ装置にウェブサービスの稼働状況の確認の指示を行う。管理対象のルータとは、例えばISPと契約しているユーザ宅に設置されたルータのことである。管理サーバ30は、ルータ装置の個体情報とユーザの住所との対応情報に基づいてルータ装置の設置地域を判定する。また、管理サーバ30は、ルータ装置の論理アドレスと地域との対応情報に基づいてルータ装置の設置地域を判定する。また、管理サーバ30は、選択したルータ装置から、ウェブサービスの稼働状況の確認の結果を受信する。管理サーバ30は、ルータ装置から受信したウェブサービスの稼働状況の確認の結果を集計し、例えばウェブサービスの設置地域ごとの稼働状況に関する情報を情報端末50等へ送信する。管理サーバ30のプロセッサ31は、本発明の「制御部」の一例である。また、プロセッサ31及びWAN通信I/F34は、本発明の「受信部」及び「出力部」の一例である。
【0034】
<システム1の動作>
次に、
図4を参照して、システム1の動作を説明する。
図4は、システム1における管理サーバ30と無線LANルータ10とウェブサービスサーバ40と情報端末50の動作の一例を示すシーケンス図である。
【0035】
まず、管理サーバ30が、ウェブサービスサーバ40の稼働状況を確認するために使用するルータを選出する(ステップS11)。確認に使用するルータは、例えば無線LANルータ10を含む複数のルータである。管理サーバ30は、ウェブサービスサーバ40の稼働状況の確認を指示する「確認指示」を無線LANルータ10へ送信する(ステップS12)。
【0036】
次に、無線LANルータ10は、管理サーバ30からの確認指示を受信すると、Webサービスのコンテンツを要求するWebコンテンツ要求をウェブサービスサーバ40に対して送信する(ステップS13)。ウェブサービスサーバ40は、無線LANルータ10が要求する所定のサービスを提供可能なサーバである。所定のサービスは、管理サーバ30側で予め決めたサービスである。Webコンテンツ要求は、HTTPリクエストのことである。無線LANルータ10は、HTTPリクエストを送信して、ウェブサービス自体の稼働状況を確認する。
【0037】
次に、ウェブサービスサーバ40が、無線LANルータ10からのWebコンテンツ要求に対してWebコンテンツ応答を無線LANルータ10へ送信する(ステップS14)。ウェブサービスサーバ40は、HTTPリクエストに対して例えばHTTP Statusを送信する。
【0038】
次に、無線LANルータ10が、ウェブサービスサーバ40からのWebコンテンツ応答に基づいて、ウェブサービスの稼働状況に障害があるか否かを判定する(ステップS15)。無線LANルータ10は、要求したWebコンテンツを受信することができたか否かによりウェブサービスの稼働状況の障害の有無を判定する。無線LANルータ10は、稼働状況の判定の結果を「障害情報」として管理サーバ30へ送信する(ステップS16)。「障害情報」には、ウェブサービスに障害がある場合の判定情報のみを含んでもよいし、障害がある場合及びない場合の判定情報を含んでもよい。
【0039】
次に、管理サーバ30が、無線LANルータ10から受信した「障害情報」を集計する(ステップS17)。管理サーバ30は、集計した障害情報を「障害集計情報」として情報端末50へ送信する(ステップS18)。
【0040】
次に、情報端末50が、管理サーバ30から受信した「障害集計情報」を出力し、例えば情報端末50の表示画面51に「障害集計情報」を表示する(ステップS19)。
【0041】
<管理サーバ30のプロセッサ31による処理(第1の処理)>
次に、
図5を参照して、管理サーバ30のプロセッサ31による第1の処理について説明する。
図5は、管理サーバ30のプロセッサ31による第1の処理を示すフローチャートである。プロセッサ31による第1の処理は、所定のウェブサービスの稼働状況をルータ装置に確認させる確認指示の処理である。
【0042】
まず、プロセッサ31は、管理サーバ30に登録されているルータの設置地域を取得する(ステップS21)。登録されているルータとは、例えばISPと契約しているユーザに配布されるルータのことである。プロセッサ31は、例えばルータのグローバルIPアドレス等からルータの設置地域を取得する。また、プロセッサ31は、例えばISPから提供されて、補助メモリ33に登録されているユーザの住所情報を併用してルータの設置地域を取得してもよい。
【0043】
次に、プロセッサ31は、ステップS21で取得した設置地域に基づいて、登録ルータを設置地域でグループ分けする(ステップS22)。プロセッサ31は、取得した設置地域に基づき、例えば一定の範囲(例えば、市町村、区、東日本/西日本、国等)ごとにグループ分けする。
【0044】
次に、プロセッサ31は、ステップS22で分けた設置地域のグループに基づいて、そのグループごとにウェブサービスの稼働状況を確認するために使用するルータを選出する(ステップS23)。使用するルータとしては、グループごとに例えば無線LANルータ10を含む複数台(例えば、10台、100台等)のルータが選出される。選出されるルータの台数は、設置地域の広さに応じて適宜決定する。
【0045】
次に、プロセッサ31は、ステップS23で選出したルータに、ウェブサービスの稼働状況を確認させるための「確認指示」を送信する(ステップS24)。プロセッサ31は、ルータに例えばHTTPリクエストを送信させて、ウェブサービス自体の稼働状況を確認させる「確認指示」を送信する。
【0046】
次に、プロセッサ31は、上記選出したルータにより確認処理を行うための一定時間が経過したか否かを判定する(ステップS25)。一定時間は、例えば1日、1週間、1月等である。一定時間が経過していない場合(ステップS25:No)、プロセッサ31は、一定時間が経過するまでステップS25の処理を繰り返す。
【0047】
ステップS25において一定時間が経過した場合(ステップS25:Yes)には、プロセッサ31は、ステップS23で選出し、ステップS24によって「確認指示」を送信したルータに、ウェブサービスの稼働状況の確認の停止を指示する確認停止指示を送信する(ステップS26)。そして、プロセッサ31は、確認に使用するルータを選出し直すためにステップS21に戻って本処理を繰り返す。
【0048】
なお、上記処理例では、ステップS25で一定時間が経過した場合、ステップS21に戻るように構成されているが、これに限定されない。例えば、プロセッサ31は、ステップS25で一定時間が経過した場合、ステップS23あるいはステップS24に戻って各処理を繰り返すようにしてもよい。また、プロセッサ31は、ウェブサービスごとにこの処理を実行(ウェブサービスごとにルータを選出)してもよい。また、プロセッサ31は、選出したルータによって各ウェブサービスの確認を行わせるようにしてもよい。
【0049】
<管理サーバ30のプロセッサ31による処理(第2の処理)>
次に、
図6を参照して、管理サーバ30のプロセッサ31による第2の処理について説明する。
図6は、管理サーバ30のプロセッサ31による第2の処理を示すフローチャートである。プロセッサ31による第2の処理は、ルータから受信したウェブサービスに関する障害情報を集計等する処理である。
【0050】
まず、プロセッサ31は、ウェブサービスの稼働状況を確認するために選出したルータから、ウェブサービスの稼働状況に関する障害情報を受信したか否かを判定する(ステップS31)。障害情報を受信していない場合(ステップS31:No)には、プロセッサ31は、ステップS31の受信判定処理を繰り返す。
【0051】
ステップS31において障害情報を受信した場合(ステップS31:Yes)には、プロセッサ31は、障害情報を送信したルータに関する情報に基づいて、障害発生に該当する地域を特定する(ステップS32)。例えば、プロセッサ31は、
図5の第1の処理においてグループ分けした登録ルータの設置地域の情報に基づいて、該当する地域を特定する。
【0052】
次に、プロセッサ31は、補助メモリ33に設けられる例えば障害発生数をカウントするテーブルにおいて、該当する地域の障害発生数をインクリメントする処理を行う(ステップS33)。障害発生数は、例えば所定の時間ごと(例えば、30分ごと、1時間ごと等)にその時間内に発生した数をカウントするように構成されている。
【0053】
次に、プロセッサ31は、地域ごとの障害発生数を示す「障害集計情報」を情報端末50へ送信する(ステップS34)。情報端末50は、上述したように管理サーバ30にアクセス可能な端末である。プロセッサ31は、「障害集計情報」を情報端末50へ送信した後、ステップS31に戻って本処理を繰り返す。
【0054】
なお、上述した例ではプロセッサ31がルータから障害情報を受信する度に、情報端末50へ「障害集計情報」を送信している(ステップS34)が、これに限定されない。例えば、プロセッサ31は、情報端末50からリクエストがあった場合に、「障害集計情報」を情報端末50へ送信するようにしてもよい。また、上述した例では管理サーバ30が第1の処理及び第2の処理を行っているが、これに限定されず、例えば第1の処理と第2の処理をそれぞれ異なるサーバが行うようにしてもよい。
【0055】
<無線LANルータ10のプロセッサ11による処理>
次に、
図7を参照して、無線LANルータ10のプロセッサ11による処理について説明する。
図7は、無線LANルータ10のプロセッサ11による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサ11は、管理サーバ30からウェブサービスの稼働状況の確認の指示を受信すると本処理を開始する。また、プロセッサ11は、管理サーバ30から確認停止の指示を受信すると本処理を終了する。
【0056】
まず、プロセッサ11は、管理サーバ30からの確認指示に該当するウェブサービスへWebコンテンツを要求するHTTPリクエストを送信する(ステップS41)。
【0057】
次に、プロセッサ11は、ステップS41で送信したHTTPリクエストに対するウェブサービスからの応答を待機する(ステップS42)。
【0058】
次に、プロセッサ11は、ウェブサービスとの通信が正常であるか否かを判定する(ステップS43)。例えばHTTPリクエストを送信した後の所定時間(例えば、300秒)内に、通信が正常とみなせる正常応答メッセージ(例えばHTTP Status=200)を受信した場合、プロセッサ11は、通信が正常であると判定する。なお、正常応答メッセージは、例えばHTTP Status=200であるが、これに限らず、HTTP Status=201、HTTP Status=202、HTTP Status=304など、通信が正常とみなせる各種の応答メッセージを含んでもよい。
【0059】
ステップS43において通信が正常である場合(ステップS43:Yes)には、プロセッサ11は、通信異常の未発生(正常な通信)が連続しているか否かを判定する(ステップS44)。「通信異常」とは、例えば所定時間内にウェブサービスから応答がない状態、あるいは正常応答メッセージ以外の応答を受信した状態のことをいう。
【0060】
ステップS44において通信異常の未発生が連続していると判定した場合(ステップS44:Yes)には、プロセッサ11は、予め設定されている長時間範囲(
図8で後述する)から、プロセッサ11がウェブサービスの稼働状況の確認を行う確認間隔をランダムに設定する(ステップS45)。
【0061】
次に、プロセッサ11は、ステップS45で長時間範囲から設定した確認間隔が経過するまでその時間分待機する(ステップS46)。プロセッサ11は、確認間隔の時間分待機した後、ステップS41に戻りウェブサービスへの次のHTTPリクエストの送信の処理を実行する。
【0062】
一方、ステップS44において通信異常の未発生が連続していないと判定した場合(ステップS44:No)には、プロセッサ11は、予め設定されている基準時間範囲(
図8で後述する)から、プロセッサ11がウェブサービスの稼働状況の確認を行う確認間隔をランダムに設定する(ステップS47)。通信異常の未発生が連続していないとは、通信異常の未発生(正常な通信)の状態ではあるが、その正常な通信であると判定した回数が2回連続しておらず1回目であることをいう。
【0063】
次に、プロセッサ11は、ステップS47で基準時間範囲から設定した確認間隔が経過するまでその時間分待機する(ステップS46)。プロセッサ11は、確認間隔の時間分待機した後、上記と同様に、ステップS41に戻る。
【0064】
一方、ステップS43において通信が正常ではない場合(ステップS43:No)には、プロセッサ11は、通信異常が発生したと判定して、その通信異常の発生を記録する(ステップS48)。
【0065】
次に、プロセッサ11は、予め設定されている短時間範囲(
図8で後述する)から、プロセッサ11がウェブサービスの稼働状況の確認を行う確認間隔をランダムに設定する(ステップS49)。
【0066】
次に、プロセッサ11は、通信異常の発生が連続しているか否かを判定する(ステップS50)。
【0067】
ステップS50において通信異常の発生が連続していないと判定した場合(ステップS50:No)には、プロセッサ11は、ステップS49で短時間範囲から設定した確認間隔が経過するまでその時間分待機する(ステップS46)。プロセッサ11は、確認間隔の時間分待機した後、上記と同様に、ステップS41に戻る。
【0068】
ステップS50において通信異常の発生が連続していると判定した場合(ステップS50:Yes)には、プロセッサ11は、無線LANルータ10で確認したウェブサービスに異常が発生していることを報知する「障害情報」を管理サーバ30へ送信する(ステップS51)。プロセッサ11は、障害情報を管理サーバ30へ送信した後、ステップS49で短時間範囲から設定した確認間隔が経過するまでその時間分待機する(ステップS46)。プロセッサ11は、確認間隔の時間分待機した後、上記と同様に、ステップS41に戻る。
【0069】
本例では通信異常の発生が連続、すなわち2回続いているか否かの判定を行ったが、これに限定されない。例えば3回以上続いているか否かを判定するようにしてもよい。また、ステップS44において判定する通信異常の未発生の回数も、2回(連続)に限定されず、例えば3回以上であってもよい。
【0070】
<ウェブサービスの稼働状況の確認間隔>
次に、
図8及び
図9を参照し、無線LANルータ10がウェブサービスの稼働状況を確認する確認間隔について説明する。
【0071】
図8は、確認間隔を設定する複数の時間範囲と、それらの時間範囲における確認間隔の上限時間と下限時間と、を示す確認間隔表60である。確認間隔表60に示すように、確認間隔を設定する時間範囲には、「短時間範囲」、「基準時間範囲」、及び「長時間範囲」が含まれる。
【0072】
「基準時間範囲」は、基準となる時間範囲のことであり、その上限時間が「TU_R」に設定され、下限時間が「TL_R」に設定されている。上限時間「TU_R」は、基準時間範囲における短い時間間隔のことである。下限時間「TL_R」は、基準時間範囲における長い時間間隔のことである。
【0073】
「短時間範囲」は、基準時間範囲と比較して短い時間範囲のことであり、その上限時間が「TU_S」に設定され、下限時間が「TL_S」に設定されている。上限時間「TU_S」は、短時間範囲における短い時間間隔のことである。下限時間「TL_S」は、短時間範囲における長い時間間隔のことである。
【0074】
「長時間範囲」は、基準時間範囲と比較して長い時間範囲のことであり、その上限時間が「TU_L」に設定され、下限時間が「TL_L」に設定されている。上限時間「TU_L」は、長時間範囲における短い時間間隔のことである。下限時間「TL_L」は、長時間範囲における長い時間間隔のことである。
【0075】
例えば、短時間範囲と基準時間範囲における上限時間と下限時間の関係は、(「TU_S≦TU_R」and「TL_S≦TL_R」)and(「TU_S<TU_R」and/or「TL_S<TL_R」)となるように設定される。また、長時間範囲と基準時間範囲における上限時間と下限時間の関係は、(「TU_L≧TU_R」and「TL_L≧TL_R」)and(「TU_L>TU_R」and/or(「TL_L>TL_R」)となるように設定される。
【0076】
具体的には、短時間範囲のTU_S=10分、TL_S=20分に設定され、基準時間範囲のTU_R=20分、TL_R=40分に設定され、長時間範囲のTU_L=20分、TL_L=120分に設定される。ウェブサービスの稼働状況を確認する時間あたりの確認回数は、無線LANルータ10がその確認を行う周期によって設定される。また、ウェブサービスの稼働状況を確認する時間あたりの確認回数は、無線LANルータ10がウェブサービスの稼働状況を確認するルータとして選出するそのルータ選出数によっても設定することが可能である。その場合、全体の確認回数は、ルータ1台あたりの確認回数×ルータ台数となる。
【0077】
なお、各時間範囲における稼働状況の具体的な確認間隔(確認を行う周期)の設定は、例えば
図7で説明したように無線LANルータ10のプロセッサ11が設定しているが、これに限定されない。例えば、管理サーバ30が、ウェブサービスの稼働状況を確認するためのルータを選出する際に、そのルータが行う稼働状況の確認の具体的な確認間隔を設定するようにしてもよい。
【0078】
図9は、無線LANルータ10がウェブサービスの稼働状況を確認する確認間隔の変化を示す図である。
【0079】
まず、無線LANルータ10が最初(1回目)のウェブサービスの稼働状況の確認を行う。例えば1回目の確認時にはウェブサービスに通信障害が発生してなく、無線LANルータ10とウェブサービスとの間の通信が正常であったとする。この場合、無線LANルータ10は、ウェブサービスを確認する確認間隔を基準時間範囲(例えば20分~40分)からランダムに設定する。そして、その設定した間隔が例えば「確認間隔T1」であるとする。
【0080】
次に、設定した「確認間隔T1」が経過して、無線LANルータ10がウェブサービスの稼働状況の2回目の確認を行う。例えば2回目の確認時においてもウェブサービスに通信障害が発生していなかった(通信が正常)とする。この場合、通信障害が発生していない確認が連続したので、無線LANルータ10は、ウェブサービスを確認する確認間隔を長時間範囲(例えば20分~120分)からランダムに例えば「確認間隔T2」に設定する。「確認間隔T2」は、「確認間隔T1」よりも長い間隔に設定する。
【0081】
次に、設定した「確認間隔T2」が経過して、無線LANルータ10がウェブサービスの稼働状況の3回目の確認を行う。3回目の確認時は、ウェブサービスに通信障害が発生している例えば「障害発生期間70」であったとする。この場合、3回目の確認で通信障害の発生が確認されるため、無線LANルータ10は、ウェブサービスを確認する確認間隔を短時間範囲(例えば10分~20分)からランダムに例えば「確認間隔T3」に設定する。「確認間隔T3」は、「確認間隔T1」よりも短い間隔に設定する。
【0082】
次に、設定した「確認間隔T3」が経過して、無線LANルータ10がウェブサービスの稼働状況の4回目の確認を行う。例えば4回目の確認時においてもウェブサービスに通信障害が発生している「障害発生期間70」であったとする。この場合、4回目の確認でも通信障害の発生が確認されるため、無線LANルータ10は、ウェブサービスの確認間隔を短時間範囲(例えば10分~20分)からランダムに例えば「確認間隔T4」に設定する。「確認間隔T4」は、「確認間隔T3」以下の間隔に設定する。この場合、4回目の確認時の通信障害の確認は、3回目の確認時の通信障害の確認に連続する通信障害の確認である。このため、無線LANルータ10は、ウェブサービスに異常が発生していることを報知する「障害情報」を管理サーバ30へ送信する。
【0083】
次に、設定した「確認間隔T4」が経過して、無線LANルータ10がウェブサービスの稼働状況の5回目の確認を行う。例えば5回目の確認時にはウェブサービスの「障害発生期間70」が終了し、ウェブサービスに通信障害が発生していなかった(通信が正常)とする。この場合、無線LANルータ10は、5回目の確認で通信障害の未発生を確認するが、この未発生の確認は連続する未発生の確認ではないので、ウェブサービスの確認間隔を基準時間範囲からランダムに例えば「確認間隔T5」に設定する。「確認間隔T5」は、「確認間隔T4」よりも長い間隔に設定する。
【0084】
次に、設定した「確認間隔T5」が経過すると、無線LANルータ10がウェブサービスの稼働状況の6回目の確認を行い、次のウェブサービスの確認間隔を設定する。
【0085】
<情報端末50に表示される障害集計情報>
次に、
図10を参照して、管理サーバ30から情報端末50に送信され、情報端末50に表示される障害集計情報について説明する。
図10は、情報端末50の表示画面51に表示される障害集計情報の一例を示す図である。
【0086】
図10に示すように、障害集計情報は、例えば過去24時間において所定の地域(例えば、地域XXX)で確認されたウェブサービス(例えば、サービスYYY)の障害発生数として表示画面51に表示される。本例においては現在時刻13:00から過去24時間に発生した障害発生数hの推移として表示されている。障害発生数は、例えば30分ごとにその30分間に発生した数としてカウントされる。
【0087】
図10に示すように、本例の障害発生数hの推移では、10:00以降の障害発生数が急激に増加している。これにより、地域XXXにおいて10:00からサービスYYYに障害が生じていると推定することが可能である。なお、本例では所定の地域(地域XXX)における所定のウェブサービス(サービスYYY)の障害発生数hの推移を表示しているが、これに限定されない。例えば、地域を限定せずに、全体における所定のウェブサービス(例えば、サービスYYY)の障害発生数hの推移として表示してもよい。
【0088】
図10の例では、障害集計情報の一例として、障害発生数の推移を示すグラフについて説明したが、障害集計情報はこれに限らない。例えば、障害集計情報は、現在の(例えば現在から遡って一定時間内の)障害発生数をマッピングした地図などであってもよい。このような地図において、障害発生数は、数字で示されていてもよいし、数に応じた長さや大きさの図形で示されていてもよいし、ヒートマップのように数に応じた濃さの色で示されていてもよい。
【0089】
以上に説明したように本実施形態のシステム1は、管理サーバ30が管理対象のルータ装置の中から、設置地域が異なるルータ装置を含む複数のルータ装置(例えば、無線LANルータ10)を選択し、その選択した無線LANルータ10に所定のウェブサービスの稼働状況の確認の指示を行う。このため、地域ごとにインターネット上のウェブサービスの稼働状況を監視することができる。また、地域ごとに選択する所定台数のルータ装置によりインターネット上のウェブサービスにアクセスさせその稼働状況を確認させるので、アクセスによるウェブサービス側に掛かる負荷の増大を抑制することができる。また、ウェブサービスの稼働状況を確認するために使用するルータ装置を、一定時間(例えば、1日)ごとに選択し直すので、同じルータ装置による偏った確認を防ぐことが可能であり、さらに正確に稼働状況を監視することができる。
【0090】
また、無線LANルータ10が管理サーバ30からの確認指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けたウェブサービスの稼働状況の確認を行う。このため、インターネット上のウェブサービスにアクセスする回数の上限を抑えることができ、稼働状況の確認におけるウェブサービス側に掛かる負荷をさらに確実に抑制することができる。また、無線LANルータ10が、ウェブサービスとの間の通信状況に応じて、ウェブサービスに対する稼働状況の確認の間隔を長時間範囲、基準時間範囲、及び短時間範囲に変更する。このため、通信状況が正常な期間においては確認間隔を長くすることでウェブサービス側に掛かる負荷を抑制することができ、通信状況に異常が発生している可能性が高い期間においては確認間隔を短くすることでウェブサービス側の障害の発生を早期に検出することができる。
【0091】
また、管理サーバ30が無線LANルータ10から受信したウェブサービスの稼働状況の確認の結果を集計し、設置地域ごとのウェブサービスの稼働状況に関する情報を例えばISPの情報端末50へ送信する。このため、特定の地域のウェブサービスサーバ40にのみ障害が発生しているような状況の場合、障害が発生している地域を精度高く絞り込むことが可能である。これにより、契約ユーザからの問い合わせに対して適切なサポート情報を提供することができる。さらに、ウェブサービスの運営側が発表する情報の正確性にも寄与することが可能である。
【0092】
(制御プログラムについて)
前述した実施形態で説明したサーバ又はルータ装置の制御方法は、予め用意された制御プログラムをコンピュータで実行することにより実現できる。本制御プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記憶媒体に記録され、記憶媒体から読み出されることによって実行される。また、本制御プログラムは、フラッシュメモリ等の非一過性の記憶媒体に記憶された形で提供されてもよいし、インターネット等のネットワークを介して提供されてもよい。本制御プログラムを実行するコンピュータは、サーバ、及びルータ装置に含まれるものであってもよいし、サーバ、及びルータ装置と通信可能なスマートフォン、タブレット端末、又はパーソナルコンピュータ等の電子機器に含まれるものでもあってもよいし、これらサーバ、ルータ装置、及び電子機器と通信可能なサーバ装置に含まれるものであってもよい。
【0093】
以上のように本明細書には以下の事項が開示されている。
【0094】
開示されたシステムは、所定のウェブサービスの稼働状況の確認を指示する第1サーバと、前記第1サーバからの指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行い、前記確認の結果を送信する少なくとも1つのルータ装置と、前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する第2サーバと、を含むものである。
【0095】
開示されたシステムは、前記第2サーバが、前記第1サーバであるものである。
【0096】
開示されたシステムは、前記上限が、前記ルータ装置が前記確認を行う周期によって設定されるものである。
【0097】
開示されたシステムは、前記ルータ装置が、前記確認の結果に応じて前記確認を行う周期を変化させるものである。
【0098】
開示されたシステムは、前記稼働状況が、前記ウェブサービスを提供するサーバの稼働状況を含むものである。
【0099】
開示されたシステムは、前記確認が、前記ルータ装置が前記ウェブサービスへWebコンテンツ要求を行い、前記Webコンテンツ要求に対する応答に基づいて行われるものである。
【0100】
開示されたシステムは、前記ルータ装置が、複数のルータ装置であり、前記第1サーバが、前記複数のルータ装置へ前記確認を指示し、前記第2サーバが、前記複数のルータ装置からの前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力するものである。
【0101】
開示されたシステムは、前記第1サーバが、管理対象のルータ装置の中から、設置地域が異なるルータ装置を含む前記複数のルータ装置を選択するものである。
【0102】
開示されたシステムは、前記第1サーバが、ルータ装置の個体情報とユーザ住所との対応情報に基づいて、前記設置地域を判定するものである。
【0103】
開示されたシステムは、前記第1サーバが、ルータ装置の論理アドレスと地域との対応情報に基づいて、前記設置地域を判定するものである。
【0104】
開示されたシステムは、前記第2サーバが、前記ウェブサービスの前記設置地域ごとの稼働状況を示す情報を出力するものである。
【0105】
開示されたサーバは、所定のウェブサービスの稼働状況の確認を少なくとも1つのルータ装置に指示する制御部と、前記ルータ装置による、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認の結果を受信する受信部と、前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する出力部と、を備えるものである。
【0106】
開示された制御方法は、サーバの制御方法であって、前記サーバのプロセッサが、所定のウェブサービスの稼働状況の確認を少なくとも1つのルータ装置に指示し、前記ルータ装置による、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認の結果を受信し、前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力するものである。
【0107】
開示された制御プログラムは、サーバの制御プログラムであって、前記サーバのプロセッサに、所定のウェブサービスの稼働状況の確認を少なくとも1つのルータ装置に指示し、前記ルータ装置による、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認の結果を受信し、前記確認の結果に基づいて前記ウェブサービスの稼働状況に関する情報を出力する、処理を実行させるためのものである。
【0108】
開示されたルータ装置は、所定のウェブサービスの稼働状況の確認の指示を受け付ける受付部と、前記指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行う確認制御部と、前記確認の結果を送信する送信部と、を備えるものである。
【0109】
開示された制御方法は、ルータ装置の制御方法であって、前記ルータ装置のプロセッサが、所定のウェブサービスの稼働状況の確認の指示を受け付け、前記指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行い、前記確認の結果を送信するものである。
【0110】
開示された制御プログラムは、ルータ装置の制御プログラムであって、前記ルータ装置のプロセッサに、所定のウェブサービスの稼働状況の確認の指示を受け付け、前記指示に基づいて、時間あたりの確認回数の上限を設けた前記確認を行い、前記確認の結果を送信する、処理を実行させるためのものである。
【符号の説明】
【0111】
1 システム
2 ネットワーク
10 無線LANルータ
11,31 プロセッサ
12,32 メインメモリ
13,33 補助メモリ
14 無線LAN通信I/F
15,34 WAN通信I/F
16 有線LAN通信I/F
21,22,24 通信端末
30 管理サーバ
40 ウェブサービスサーバ
50 情報端末
51 表示画面
60 確認間隔表
70 障害発生期間
T1~T5 確認間隔