(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171239
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】運搬用容器
(51)【国際特許分類】
B65D 6/02 20060101AFI20241204BHJP
【FI】
B65D6/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088208
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000010054
【氏名又は名称】岐阜プラスチック工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】名和 昌秀
【テーマコード(参考)】
3E061
【Fターム(参考)】
3E061AA01
3E061AB09
3E061CA04
3E061DA12
3E061DB11
(57)【要約】
【課題】蓋の上に溜まった水が容器本体の内部に浸入することを抑えることができる運搬用容器を提供する。
【解決手段】運搬用容器9は、長手方向D1及び短手方向D2を有する平面視長方形状の容器本体90と、容器本体90の上向きの開口905を開閉する蓋8と、を備える。蓋8は、蓋8の外周縁に連続するように蓋8の上面83に形成された排水溝84と、容器本体90に回転可能に連結されるヒンジ部85と、を有する。長手方向D1に伸びる蓋8の基端縁部811,821に、排水溝84とヒンジ部85が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向及び短手方向を有する平面視長方形状の容器本体と、
前記容器本体に回転可能に連結されるヒンジ部を有し、前記容器本体の上向きの開口を開閉するように構成された蓋と、を備え、
前記蓋は、前記蓋の外周縁に連続するように前記蓋の上面に形成された排水溝を有し、
前記長手方向に伸びる前記蓋の基端縁部に、前記ヒンジ部と、前記排水溝と、が設けられている、
運搬用容器。
【請求項2】
前記蓋は、互いの先端縁部が上下に重なった状態で前記容器本体の前記開口を閉じるように構成された第1蓋板及び第2蓋板を含み、
前記長手方向に伸びる前記第1蓋板及び第2蓋板の各々の基端縁部に、前記ヒンジ部と、前記排水溝と、が設けられている、
請求項1の運搬用容器。
【請求項3】
前記容器本体は、前記蓋の前記ヒンジ部が回転可能に連結する口枠を含み、
前記口枠は、前記口枠の外周縁に連続するように前記口枠の上面に形成された切り欠きを有し、
前記蓋が前記容器本体の前記開口を閉じた状態で、前記蓋の前記排水溝と、前記口枠の切り欠きと、が上下に重なるか又は連続して位置する、
請求項1の運搬用容器。
【請求項4】
前記蓋の前記上面は、前記排水溝に向けて下り傾斜した傾斜面を含み、
前記排水溝は、前記傾斜面よりも大きな角度で、前記蓋の前記外周縁に向けて下り傾斜している、
請求項1から3のいずれか一項の運搬用容器。
【請求項5】
前記蓋は、互いの先端縁部が上下に重なった状態で前記容器本体の前記開口を閉じるように構成された第1蓋板及び第2蓋板を含み、
前記第1蓋板の前記先端縁部には、前記第1蓋板の外周縁に連続する第1凹条部が設けられ、
前記第2蓋板の前記先端縁部には、前記第2蓋板の外周縁に連続する第2凹条部が設けられ、
前記第1蓋板及び前記第2蓋板が前記容器本体の前記開口を閉じた状態で、前記第1凹条部と前記第2凹条部とが上下に重なって位置する、
請求項1の運搬用容器。
【請求項6】
前記蓋は、互いの先端縁部が上下に重なった状態で前記容器本体の前記開口を閉じるように構成された第1蓋板及び第2蓋板を含み、
前記第1蓋板には、前記第1蓋板の外周縁に連続する第1凹条部が、前記第1蓋板の前記先端縁部に沿って設けられ、
前記第2蓋板には、前記第2蓋板の外周縁に連続する第2凹条部が、前記第2蓋板の前記先端縁部に沿って設けられており、
前記第1蓋板及び前記第2蓋板が前記容器本体の前記開口を閉じた状態で、前記第1凹条部と前記第2凹条部とが水平方向に互いに距離をあけて位置する、
請求項1の運搬用容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器本体と蓋を備えた運搬用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体と蓋を備えた運搬用容器が、従来公知である(例えば特許文献1を参照)。この種の運搬用容器において、蓋は、容器本体の上向きの開口を開閉するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記した従来の運搬用容器では、蓋の上に水が溜まったときに、その水が容器本体の内部に浸入しやすいというという問題があった。
【0005】
本開示が解決しようとする課題は、蓋の上に溜まった水が容器本体の内部に浸入することを抑えることができる運搬用容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一様態に係る運搬用容器は、長手方向及び短手方向を有する平面視長方形状の容器本体と、前記容器本体に回転可能に連結されるヒンジ部を有し、前記容器本体の上向きの開口を開閉するように構成された蓋と、を備える。前記蓋は、前記蓋の外周縁に連続するように前記蓋の上面に形成された排水溝を有する。前記長手方向に伸びる前記蓋の基端縁部に、前記ヒンジ部と、前記排水溝と、が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示は、蓋の上に溜まった水が容器本体の内部に浸入することを、抑えることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の運搬用容器の全体斜視図である。
【
図2】
図2は、同上の運搬用容器の蓋を開いた状態の全体斜視図である。
【
図3】
図3は、同上の運搬用容器が備える蓋及び口枠の平面図である。
【
図5】
図5は、同上の運搬用容器が備える口枠の斜視図である。
【
図6】
図6は、同上の運搬用容器が備える第1蓋板及び第2蓋板の斜視図である。
【
図7】
図7は、第1変形例の運搬用容器が備える蓋及び口枠の平面図である。
【
図9】
図9は、第2変形例の運搬用容器が備える第1蓋板及び第2蓋板の斜視図である。
【
図10】
図10は、第3変形例の運搬用容器が備える第1蓋板及び第2蓋板の斜視図である。
【
図11】
図11は、第4変形例の運搬用容器が備える第1蓋板及び第2蓋板の斜視図である。
【
図12】
図12は、第5変形例の運搬用容器が備える蓋及び口枠の平面図である。
【
図14】
図14は、第6変形例の運搬用容器の要部を示す鉛直断面図である。
【
図15】
図15は、第7変形例の運搬用容器の要部を示す鉛直断面図である。
【
図16】
図16は、第8変形例の運搬用容器の要部を示す鉛直断面図である。
【
図17】
図17は、第9変形例の運搬用容器の要部を示す鉛直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.一実施形態
(運搬用容器の全体)
図1及び
図2には、一実施形態の運搬用容器9が示されている。以下の説明で用いる上下方向等の各方向は、運搬用容器9が備える底壁1が、水平面上に置かれたときを基準とする。
【0010】
一実施形態の運搬用容器9は、長手方向D1及び短手方向D2を有する平面視長方形状の容器本体90と、容器本体90に対して回転可能に連結された蓋8と、を備える。長手方向D1及び短手方向D2は、それぞれ上下方向と直交する方向である。
【0011】
容器本体90は、上向きの開口905(
図2を参照)を有する。開口905は、長手方向D1及び短手方向D2を有する平面視長方形状の開口である。蓋8は、容器本体90に対して回転することで、容器本体90の上向きの開口905を開閉するように構成されている。
【0012】
(容器本体)
容器本体90は、底壁1と、底壁1の上に位置する口枠2と、底壁1及び口枠2の間で起立するように構成された複数の側壁7と、を備える。底壁1、口枠2、及び複数の側壁7は、いずれも樹脂成形品である。
【0013】
一実施形態の運搬用容器9において、容器本体90は折り畳み可能である。容器本体90を折り畳むことで、底壁1と口枠2が上下に重なる状態となり、容器本体90の減容化が図られる。
【0014】
(底壁)
図1及び
図2に示されるように、底壁1は、平面視において長方形状の板材である。底壁1の長手方向D1及び短手方向D2は、容器本体90の長手方向D1及び短手方向D2と一致する。
【0015】
底壁1の外周縁部には、起立片18が設けられている。起立片18は、底壁1の全周にわたって設けられている。
【0016】
(口枠)
図5等に示されるように、口枠2は、平面視において長方形枠状に形成されている。口枠2の上下に貫通した開口28が、容器本体90の開口905を構成する。
【0017】
口枠2は、長手方向D1に伸びる一対の第1直線部21と、短手方向D2に伸びる一対の第2直線部22と、を一体に有する。一対の第1直線部21は、短手方向D2に距離をあけて、互いに平行に位置する。一対の第2直線部22は、長手方向D1に距離をあけて、互いに平行に位置する。
【0018】
第1直線部21と第2直線部22は、口枠2の周方向において交互にかつ連続して位置する。長手方向D1における第1直線部21の長さは、短手方向D2における第2直線部22の長さよりも、長く設けられている。
【0019】
第2直線部22には、持ち手部225が形成されている(
図1及び
図2を参照)。持ち手部225は、第2直線部22の下端面のうち短手方向D2の中央部を、円弧状をなすように上方に凹ませることで形成されている。
【0020】
口枠2は、平面視において長方形枠状の上面23を有する。上面23は、一対の第1直線部21の上面213と、一対の第2直線部22の上面223と、を含む。一対の第1直線部21の上面213は、長手方向D1に伸びる直線状の面であり、一対の第2直線部22の上面223は、短手方向D2に伸びる直線状の面である。
【0021】
口枠2の上面23には、上面23の一部から下方に凹んだ切り欠き24と、蓋8を回転可能に連結させるためヒンジ部25と、が設けられている。
【0022】
切り欠き24は、一対の第1直線部21の各々において、上面213の長手方向D1の中間部に設けられている。切り欠き24は、上方に開放されるとともに、短手方向D2の両側に開放されている。以下においては、一対の第1直線部21の一方に設けられた切り欠き24の符号の末尾にAを付し、一対の第1直線部21の他方に設けられた切り欠き24の符号の末尾にBを付す。
【0023】
ヒンジ部25は、口枠2の上面23の一部から上方に突出するように設けられている。ヒンジ部25は、一対の第1直線部21の各々において、上面213の長手方向D1の中間部を挟んだ両側の部分に、設けられている。つまり、各第1直線部21のうち切り欠き24を挟んだ長手方向D1の両側の部分に、ヒンジ部25が設けられている。以下においては、一対の第1直線部21の一方に設けられたヒンジ部25の符号の末尾にAを付し、一対の第1直線部21の他方に設けられたヒンジ部25の符号の末尾にBを付す。
【0024】
口枠2の上面23には、蓋8を位置決めするための突起部26が更に設けられている。突起部26は、一対の第2直線部22の各々に2つ設けられている。各第2直線部22において、上面223の短手方向D2の中間部を挟んだ両側の部分に、それぞれ突起部26が設けられている。各第2直線部22の2つの突起部26は、短手方向D2において互いに距離をあけて位置する。以下では、各第2直線部22の2つの突起部26の一方においては符号の末尾にAを付し、他方においては符号の末尾にBを付す。
【0025】
(複数の側壁)
複数の側壁7は、4つの側壁7である。4つの側壁7は、底壁1及び口枠2の間で起立可能に構成された一対の揺動板73と、同じく底壁1及び口枠2の間で起立可能に構成された一対の折曲板74と、で構成されている。
【0026】
一対の揺動板73は、それぞれ矩形平板状の板材で構成されている。一対の揺動板73の基端縁部が、口枠2の一対の第2直線部22に対して回転可能に連結する。一対の揺動板73のそれぞれの先端縁部は、底壁1の周縁部分に対して、該周縁部分の内側から係脱可能に係合する。
【0027】
一対の揺動板73の先端縁部が底壁1に係合した状態で、一対の揺動板73は、底壁1及び口枠2の間で起立した姿勢となる。この姿勢にある一対の揺動板73を、互いの先端縁部が近づく向きに回転させることで、一対の揺動板73は組み立て状態から折り畳み状態に切り替わる。
【0028】
一対の折曲板74は、互いに回転可能に連結された上板741及び下板742で構成されている。一対の折曲板74の上端縁部(つまり上板741の上端縁部)が、口枠2の一対の第1直線部21に対して回転可能に連結されており、一対の折曲板74のそれぞれの下端縁部(つまり下板742の下端縁部)が、底壁1の周縁部分に対して回転可能に連結されている。各折曲板74において、上板741及び下板742は、内側に向けて「く」字状に折れ曲がるように構成されている。
【0029】
一対の折曲板74の各々の上板741及び下板742が、
図1及び
図2に示されるように上下に伸びた状態で、一対の折曲板74は、底壁1及び口枠2の間で起立した姿勢となる。この姿勢にある一対の折曲板74を「く」字状に折り曲げることで、一対の折曲板74は組み立て状態から折り畳み状態に切り替わる。
【0030】
容器本体90が折り畳まれたとき、折り畳み状態の一対の揺動板73は、折り畳み状態の一対の折曲板94の上に位置する。
【0031】
(蓋)
蓋8は、対をなす第1蓋板81及び第2蓋板82を含む。
【0032】
図6等に示されるように、第1蓋板81及び第2蓋板82は、ともに長手方向D1及び短手方向D2を有する平面視長方形状の板材である。第1蓋板81の長手方向D1及び短手方向D2は、第2蓋板82の長手方向D1及び短手方向D2と一致し、また、容器本体90の長手方向D1及び短手方向D2と一致する。
【0033】
第1蓋板81及び第2蓋板82は、それぞれ容器本体90に対して回転可能に連結されている。第1蓋板81及び第2蓋板82が、容器本体90に対して回転することで、容器本体90の上向きの開口905が開閉される。
【0034】
図1に示されるように、第1蓋板81の上面813と、第2蓋板82の上面823と、が短手方向D2において連続して位置することで、容器本体90の開口905を閉じる蓋8の上面83が構成される。言い換えると、容器本体90の開口905を閉じる閉姿勢にあるときの蓋8の上面83は、第1蓋板81の上面813と、第2蓋板82の上面823と、を含む。
【0035】
第1蓋板81及び第2蓋板82は、ともに排水溝84,ヒンジ部85、及び傾斜面86を備える。以下では、第1蓋板81が備える排水溝84,ヒンジ部85、及び傾斜面86の符号の末尾にAを付し、第2蓋板82が備える排水溝84,ヒンジ部85、及び傾斜面86の符号の末尾にBを付す。
【0036】
(第1蓋の詳細)
図6等に示されるように、第1蓋板81は、長手方向D1に伸びる基端縁部811及び先端縁部812を有する。基端縁部811及び先端縁部812はともに直線状であり、互いに平行である。
【0037】
第1蓋板81の基端縁部811には、第1蓋板81の上面813から下方に凹んだ形状を有する排水溝84Aと、口枠2に対して回転可能に連結するためのヒンジ部85Aと、が設けられている。
【0038】
排水溝84Aは、第1蓋板81の上面813のうち、第1蓋板81の基端縁部811の上面を構成する部分に、設けられている。排水溝84Aは、第1蓋板81の基端縁部811における長手方向D1の中間部に、位置している。排水溝84Aは、第1蓋板81の外周縁にまで連続するように形成され、かつ、この外周縁に向けて下り傾斜するように形成されている。
【0039】
排水溝84Aは、先端縁部812に近い部分ほど幅広となるように、間口を拡げて形成されている。一実施形態の運搬用容器9では、排水溝84Aのうち先端縁部812に近い一部領域を、上記のように先端縁部812に近い部分ほど幅広となるように形成しているが、排水溝84Aの全領域を、先端縁部812に近い部分ほど幅広となるように形成することも可能である。排水溝84Aのうち先端縁部812に近い一部領域を、先端縁部812に近い部分ほど幅狭となるように形成することも可能であるし、排水溝84Aの全領域を、先端縁部812に近い部分ほど幅狭となるように形成することも可能である。また、排水溝84Aの全領域を、均一の幅で形成することも可能である。
【0040】
ヒンジ部85Aは、第1蓋板81の基端縁部811において、長手方向D1の中間部を挟んだ両側の部分に、設けられている。つまり、第1蓋板81の基端縁部811のうち、排水溝84Aを挟んだ長手方向D1の両側の部分に、ヒンジ部85Aが設けられている。一実施形態の運搬用容器9では、第1蓋板81の基端縁部811に設けられた2つのヒンジ部85Aが、口枠2の第1直線部21に設けられた2つのヒンジ部25A(
図5を参照)に対して、一対一で回転可能に連結されることで、第1蓋板81の基端縁部811が口枠2の第1直線部21に対して回転可能に連結されている。
【0041】
第1蓋板81が水平な閉姿勢にあるとき、第1蓋板81の排水溝84Aは、口枠2の第1直線部21の切り欠き24Aの上に重なって位置する。
図6等に示されるように、第1蓋板81の基端縁部811には、突出部分814が設けられている。第1蓋板81が閉姿勢にあるとき、この突出部分814は、基端縁部811のうち突出部分814を除いた部分よりも、下方に突出して位置する。排水溝84Aは、突出部分814の上面から下方に凹むように形成されている。排水溝84Aは、突出部分814の短手方向D2の端縁にまで連続するように形成され、かつ、突出部分814のこの端縁に向けて下り傾斜するように形成されている。
【0042】
第1蓋板81が閉姿勢にあるときには、第1蓋板81の突出部分814が、口枠2の切り欠き24Aに対して上から嵌まり込む。この状態において、第1蓋板81の排水溝84Aと、口枠2の切り欠き24Aと、が上下に重る。排水溝84Aの最も低い部分(つまり、排水溝84Aのうち第1蓋板81の外周縁に位置する部分)は、基端縁部811の突出部分814を除いた部分よりも、下に位置する。排水溝84Aは、上方に開放されるとともに、短手方向D2において第2蓋板82が位置する側とは反対側に開放されている。
【0043】
更に、第1蓋板81には、傾斜面86Aが設けられている。
【0044】
傾斜面86Aは、第1蓋板81の上面813に含まれ、排水溝84Aに向けてその全体が下り傾斜している。傾斜面86Aは、第1蓋板81の基端縁部811と先端縁部812の間に設けられている。傾斜面86Aは、互いに異なる傾斜を有した複数の傾斜面861,862,863を含む。複数の傾斜面861,862,863は、第1傾斜面861と、第1傾斜面861を挟んだ長手方向D1の両側に位置する第2傾斜面862及び第3傾斜面863と、で構成されている。第1傾斜面861、第2傾斜面862、及び第3傾斜面863は、ともに排水溝84Aに向けて下り傾斜している。第2傾斜面862及び第3傾斜面863は、ともに第1傾斜面861に連続している。
【0045】
傾斜面86Aの傾斜角度(すなわち第1傾斜面861、第2傾斜面862、及び第3傾斜面863の傾斜角度)は、排水溝84Aの傾斜角度よりも小さい。言い換えると、第1蓋板81の排水溝84Aは、傾斜面86Aよりも大きな角度で、第1蓋板81の外周縁に向けて下り傾斜している。一実施形態の運搬用容器9では、第1蓋板81の排水溝84Aの下に、口枠2の切り欠き24Aが形成されているので、排水溝84Aの傾斜角度を上記のように大きく設定することが可能である。
【0046】
一実施形態の運搬用容器9では、第1蓋板81の傾斜面86Aに付着した水は、傾斜面86Aを伝って排水溝84Aに集められるとともに、排水溝84Aを伝って外部へと円滑に排出される。
【0047】
更に、第1蓋板81には、第1凹条部815と、2つの貫通孔817と、が設けられている。
【0048】
第1凹条部815は、第1蓋板81の先端縁部812の上面に設けられている。第1凹条部815は、長手方向D1に直線状に伸びるとともに、長手方向D1の両側が第1蓋板81の外周縁と連続するように形成されている。つまり、第1凹条部815における長手方向D1の第1側の端縁が、第1蓋板81における長手方向D1の第1側の端縁に連続し、第1凹条部815における長手方向D1の第2側の端縁が、第1蓋板81における長手方向D1の第2側の端縁に連続している。第1凹条部815は、上方に開放されるとともに、長手方向D1の両側に開放されている。
【0049】
第1凹条部815は、長手方向D1と直交する鉛直面で切った断面形状がV字状をなすように、形成されている(
図4を参照)。一実施形態の運搬用容器9では、第1蓋板81の先端縁部812の全体が、長手方向D1と直交する鉛直面で切った断面形状がV字状をなすように、形成されている。先端縁部812の上面と下面は、ともに断面V字状である。
【0050】
2つの貫通孔817は、第1蓋板81の長手方向D1の両端縁部に設けられている。2つの貫通孔817は、傾斜面86Aを挟んだ長手方向D1の両側の位置に設けられている。第1蓋板81が閉姿勢にあるときに、各貫通孔817には、口枠2の対応する突起部26Aが下方から嵌まり込む。
【0051】
(第2蓋の詳細)
図6等に示されるように、第2蓋板82は、短手方向D2と直交する鉛直面を基準として、第1蓋板81とは対称な構成を備える。
【0052】
第2蓋板82は、長手方向D1に伸びる基端縁部821及び先端縁部822を有する。基端縁部821及び先端縁部822はともに直線状であり、互いに平行である。
【0053】
第2蓋板82の基端縁部821には、第1蓋板81の排水溝84Aと同様の排水溝84Bと、第1蓋板81のヒンジ部85Aと同様のヒンジ部85Bと、が設けられている。
【0054】
第2蓋板82の排水溝84Bは、第2蓋板82の上面823から下方に凹んだ形状を有する。排水溝84Bは、第2蓋板82の上面823のうち、第2蓋板82の基端縁部821の上面を構成する部分に、設けられている。排水溝84Bは、第2蓋板82の基端縁部821における長手方向D1の中間部に、位置している。排水溝84Bは、第2蓋板82の外周縁にまで連続するように形成され、かつ、この外周縁に向けて下り傾斜するように形成されている。短手方向D2において、第2蓋板82の排水溝84Bが下り傾斜する向きと、第1蓋板81の排水溝84Bが下り傾斜する向きと、は互いに反対である。
【0055】
排水溝84Bは、先端縁部822に近い部分ほど幅広となるように、間口を拡げて形成されている。一実施形態の運搬用容器9では、排水溝84Bのうち先端縁部822に近い一部領域を、上記のように先端縁部822に近い部分ほど幅広となるように形成しているが、排水溝84Bの全領域を、先端縁部822に近い部分ほど幅広となるように形成することも可能である。排水溝84Bのうち先端縁部822に近い一部領域を、先端縁部822に近い部分ほど幅狭となるように形成することも可能であるし、排水溝84Bの全領域を、先端縁部822に近い部分ほど幅狭となるように形成することも可能である。また、排水溝84Bの全領域を、均一の幅で形成することも可能である。
【0056】
第2蓋板82のヒンジ部85Bは、第2蓋板82の基端縁部821において、長手方向D1の中間部を挟んだ両側の部分に、設けられている。つまり、第2蓋板82では、基端縁部821のうち、排水溝84Bを挟んだ長手方向D1の両側の部分に、ヒンジ部85Bが設けられている。一実施形態の運搬用容器9では、第2蓋板82の基端縁部821に設けられた2つのヒンジ部85Bが、口枠2の第1直線部21(詳細には、一対の第1直線部21のうち第1蓋板81が連結される第1直線部21とは別の第1直線部21)に設けられた2つのヒンジ部25B(
図5を参照)に対して、一対一で回転可能に連結されることで、第2蓋板82の基端縁部821が口枠2に対して回転可能に連結されている。
【0057】
第2蓋板82が水平な閉姿勢にあるとき、第2蓋板82の排水溝84Bは、口枠2の第1直線部21の切り欠き24Bの上に重なって位置する。第2蓋板82の基端縁部821には、第1蓋板81の突出部分814と同様の突出部分824が設けられている。第2蓋板82が閉姿勢にあるとき、この突出部分824は、基端縁部821のうち突出部分824を除いた部分よりも、下方に突出して位置する。排水溝84Bは、突出部分824の上面から下方に凹むように形成されている。排水溝84Bは、突出部分824の短手方向D2の端縁にまで連続するように形成され、かつ、突出部分824のこの端縁に向けて下り傾斜するように形成されている。
【0058】
第2蓋板82が閉姿勢にあるときには、第2蓋板82の突出部分824が、口枠2の切り欠き24Bに対して上から嵌まり込む。この状態において、第2蓋板82の排水溝84Bと、口枠2の切り欠き24Bと、が上下に重る。排水溝84Bの最も低い部分(つまり、排水溝84Bのうち第2蓋板82の外周縁に位置する部分)は、基端縁部821の突出部分824を除いた部分よりも、下に位置する。排水溝84Bは、上方に開放されるとともに、短手方向D2において第1蓋板81が位置する側とは反対側に開放されている。
【0059】
更に、第2蓋板82には、第1蓋板81の傾斜面86Aと同様の傾斜面86Bが設けられている。
【0060】
傾斜面86Bは、第2蓋板82の上面823に含まれ、第2蓋板82の排水溝84Bに向けてその全体が下り傾斜している。傾斜面86Bは、第2蓋板82の基端縁部821と先端縁部822の間に設けられている。傾斜面86Bは、互いに異なる傾斜を有した複数の傾斜面864,865,866を含む。複数の傾斜面864,865,866は、第4傾斜面864と、第4傾斜面864を挟んだ長手方向D1の両側に位置する第5傾斜面865及び第6傾斜面866と、で構成されている。第4傾斜面864、第5傾斜面865、及び第6傾斜面866は、ともに排水溝84Bに向けて下り傾斜している。第5傾斜面865及び第6傾斜面866は、ともに第4傾斜面864に連続している。
【0061】
第2蓋板82の傾斜面86Bの傾斜角度(すなわち第4傾斜面864、第5傾斜面865、及び第6傾斜面866の傾斜角度)は、第2蓋板82の排水溝84Bの傾斜角度よりも小さい。言い換えると、第2蓋板82の排水溝84Bは、傾斜面86Bよりも大きな角度で、第2蓋板82の外周縁に向けて下り傾斜している。一実施形態の運搬用容器9では、第2蓋板82の排水溝84Bの下に、口枠2の切り欠き24Bが形成されているので、排水溝84Bの傾斜角度を上記のように大きく設定することが可能である。
【0062】
一実施形態の運搬用容器9では、第2蓋板82の傾斜面86Bに付着した水は、傾斜面86Bを伝って排水溝84Bに集められるとともに、排水溝84Bを伝って外部へと円滑に排出される。
【0063】
更に、第2蓋板82には、第2凹条部825と、2つの貫通孔827と、が設けられている。
【0064】
第2凹条部825は、第2蓋板82の先端縁部822の上面に設けられている。第2凹条部825は、長手方向D1に直線状に伸びるとともに、長手方向D1の両側が第2蓋板82の外周縁と連続するように形成されている。つまり、第2凹条部825における長手方向D1の第1側の端縁が、第2蓋板82における長手方向D1の第1側の端縁に連続し、第2凹条部825における長手方向D1の第2側の端縁が、第2蓋板82における長手方向D1の第2側の端縁に連続している。第2凹条部825は、上方に開放されるとともに、長手方向D1の両側に開放されている。
【0065】
第2凹条部825は、長手方向D1と直交する鉛直面で切った断面形状がV字状をなすように、形成されている(
図4を参照)。一実施形態の運搬用容器9では、第2蓋板82の先端縁部822の全体が、長手方向D1と直交する鉛直面で切った断面形状がV字状をなすように、形成されている。先端縁部822の上面と下面は、ともに断面V字状である。
【0066】
2つの貫通孔827は、第2蓋板82の長手方向D1の両端縁部に設けられている。2つの貫通孔827は、第2蓋板82の傾斜面86Bを挟んだ長手方向D1の両側の位置に設けられている。第2蓋板82が閉姿勢にあるときに、各貫通孔827には、口枠2の対応する突起部26Bが下方から嵌まり込む。
【0067】
図4等に示されるように、第1蓋板81及び第2蓋板82が閉姿勢にあるとき、第1蓋板81の断面V字状の先端縁部812と、第2蓋板82の断面V字状の先端縁部822と、が上下に重なって位置する。第1蓋板81の先端縁部812と、第2蓋板82の先端縁部822と、は互いに沿った断面V字状の形状を有する。
【0068】
そのため、第1蓋板81及び第2蓋板82が閉姿勢にあるとき、第1蓋板81の第1凹条部815と、第2蓋板82の第2凹条部825と、は上下に重なって位置する。第1凹条部815と第2凹条部825は、互いに沿った断面V字状の形状を有する。
図1から
図6に示される一実施形態の運搬用容器9では、第2蓋板82の先端縁部822が、第1蓋板81の先端縁部812の上に重なり、第2凹条部825が第1凹条部815の上に重なっているが、これが上下逆でもよい。つまり、第1蓋板81の先端縁部812が、第2蓋板82の先端縁部822の上に重なり、第1凹条部815が第2凹条部825の上に重なってもよい。いずれの場合も、蓋8の中間部分に付着した水は、第2凹条部825又は第1凹条部815を伝って、蓋8の外周縁を通じて外部へと円滑に排出される。
【0069】
2.変形例
上記した一実施形態は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎず、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0070】
以下、各種の変形例を列挙する。以下に列挙する変形例は、適宜に組み合わせて適用することが可能である。変形例の説明において、上記した一実施形態と同様の構成については、同一符号を付して詳しい説明を省略する。
【0071】
(第1変形例)
図7及び
図8には、第1変形例の運搬用容器9の口枠2と、これに連結された第1蓋板81及び第2蓋板82と、が示されている。
【0072】
第1変形例では、第1蓋板81の第1凹条部815が、第1蓋板81の先端縁部812に設けられるのではなく、第1蓋板81のうち先端縁部812と隣接する部分818の上面に設けられている。第1凹条部815は、第1蓋板81の先端縁部812に沿って、長手方向D1に直線状に伸びるとともに、長手方向D1の両側が第1蓋板81の外周縁と連続するように形成されている。
【0073】
第1蓋板81の先端縁部812と隣接する部分818は、長手方向D1と直交する鉛直面で切った断面形状がV字状をなすように形成されており、部分818の上面が、断面V字状の第1凹条部815を構成している。
【0074】
同様に、第2蓋板82の第2凹条部825は、第2蓋板82の先端縁部822に設けられるのではなく、第2蓋板82のうち先端縁部822と隣接する部分828の上面に設けられている。第2凹条部825は、第2蓋板82の先端縁部822に沿って、長手方向D1に直線状に伸びるとともに、長手方向D1の両側が第2蓋板82の外周縁と連続するように形成されている。
【0075】
第2蓋板82の先端縁部822と隣接する部分828は、長手方向D1と直交する鉛直面で切った断面形状がV字状をなすように形成されており、部分828の上面が、断面V字状の第2凹条部825を構成している。
【0076】
第1変形例では、第1蓋板81及び第2蓋板82が閉姿勢にあるとき、第1蓋板81の平坦な先端縁部812と、第2蓋板82の平坦な先端縁部822と、が上下に重なって位置する。第1蓋板81の第1凹条部815と、第2蓋板82の第2凹条部825と、は短手方向D2に互いに距離をあけて位置する。第1蓋板81の第1凹条部815と、第2蓋板82の第2凹条部825と、は水平方向に互いに距離をあけて位置し、かつ、互いに平行に位置する。
【0077】
第1変形例では、蓋8の中間部分に付着した水は、第1凹条部815及び第2凹条部825を伝って、蓋8の外周縁を通じて外部へと円滑に排出される。
【0078】
(第2変形例)
図9には、第2変形例の運搬用容器9の蓋8を構成する第1蓋板81及び第2蓋板82が示されている。
【0079】
第2変形例では、蓋8の傾斜面86に、複数の溝87が形成されている。詳細には、第1蓋板81の傾斜面86Aに複数の溝87が形成され、第2蓋板82の傾斜面86Bに複数の溝87が形成されている。以下、傾斜面86Aの複数の溝87の符号の末尾にAを付し、傾斜面86Bの複数の溝87の符号の末尾にBを付す。
【0080】
第1蓋板81の傾斜面86Aの複数の溝87Aは、排水溝84Aから放射状に伸びた複数の細溝である。傾斜面86Aの各溝87Aは、排水溝84Aに向けて下り傾斜している。傾斜面86Aを構成する第1傾斜面861、第2傾斜面862、及び第3傾斜面863には、それぞれ1つ以上の溝87Aが形成されているが、溝87Aの数及び配置はこれに限定されず、第1傾斜面861、第2傾斜面862、及び第3傾斜面863の少なくとも1つにおいて、1つ以上の溝87Aが形成されていればよい。また、傾斜面86Aの溝87Aは直線状であるが、これに限定されず、例えば溝87Aの少なくとも一部が曲線状、折れ線状等の非直線状であってもよい。
【0081】
第2蓋板82の傾斜面86Bの複数の溝87Bは、第1蓋板81の複数の溝87Aと同様に、排水溝84Bから放射状に伸びた複数の細溝である。傾斜面86Bの各溝87Bは、排水溝84Bに向けて下り傾斜している。傾斜面86Bを構成する第4傾斜面864、第5傾斜面865、及び第6傾斜面866には、それぞれ1つ以上の溝87Bが形成されているが、溝87Bの数及び配置はこれに限定されず、第4傾斜面864、第5傾斜面865、及び第6傾斜面866の少なくとも1つにおいて、1つ以上の溝87Bが形成されていればよい。また、傾斜面86Bの溝87Bは直線状であるが、これに限定されず、例えば溝87Bの少なくとも一部が曲線状、折れ線状等の非直線状であってもよい。
【0082】
(第3変形例)
図10には、第3変形例の運搬用容器9の蓋8を構成する第1蓋板81及び第2蓋板82が示されている。
【0083】
第3変形例では、蓋8に、排水溝84の流路の少なくとも一部の上方を覆うアーチ状のカバー部88が設けられている。詳細には、第1蓋板81に、排水溝84Aの流路の下流端部の上方を覆うカバー部88が設けられ、第2蓋板82に、排水溝84Bの流路の下流端部の上方を覆うカバー部88が設けられている。以下、第1蓋板81のカバー部88の符号の末尾にAを付し、第2蓋板82のカバー部88の符号の末尾にBを付す。
【0084】
第1蓋板81がカバー部88Aを備えることで、第1蓋板81の排水溝84Aの下流端部は、トンネル状に形成されている。そのため、傾斜面86Aを通じて排水溝84Aに集められた水は、排水溝84Aのトンネル状の下流端部に引き寄せられるように流れ、外部に排出される。
【0085】
同様に、第2蓋板82がカバー部88Bを備えることで、第2蓋板82の排水溝84Bの下流端部は、トンネル状に形成されている。そのため、傾斜面86Bを通じて排水溝84Bに集められた水は、排水溝84Bのトンネル状の下流端部に引き寄せられるように流れ、外部に排出される。
【0086】
(第4変形例)
図11には、第4変形例の運搬用容器9の蓋8を構成する第1蓋板81及び第2蓋板82が示されている。
【0087】
第4変形例では、蓋8に、排水溝84の一部から上方に突出した突起89が設けられている。詳細には、第1蓋板81の排水溝84Aの下流端部に突起89が設けられ、第2蓋板82の排水溝84Bの下流端部に突起89が設けられている。以下、第1蓋板81の突起89の符号の末尾にAを付し、第2蓋板82の突起89の符号の末尾にBを付す。
【0088】
第4変形例では、第1蓋板81の傾斜面86Aを流れる水が、突起89Aの外面に沿うことで円滑に流れ、外部に排出される。同様に、第2蓋板82の傾斜面86Bを流れる水が、突起89Bの外面に沿うことで円滑に流れ、外部に排出される。
【0089】
第1蓋板81には、1つの柱状の突起89Aを設けているが、突起89Aの数及び形状はこれに限定されず、突起89Aを複数設けてもよいし、突起89Aをリブ状等の他の形状を有してもよい。同様に、第2蓋板82には、2つの柱状の突起89Bを設けているが、突起89Bの数及び形状はこれに限定されず、突起89Bを複数設けてもよいし、突起89Bがリブ状等の他の形状を有してもよい。
【0090】
(第5変形例)
図12及び
図13には、第5変形例の運搬用容器9の蓋8を構成する第1蓋板81及び第2蓋板82が示されている。
【0091】
第5変形例では、第1蓋板81の先端縁部812が平坦に形成され、先端縁部812とこれに隣接する部分818との間に、第1リブ819が設けられている。第1リブ819は、長手方向D1に伸びる直線状のリブである。第1リブ819は、第1蓋板81の長手方向D1の全長にわたって設けられている。
【0092】
第2蓋板82においては、その先端縁部822が平坦に形成され、先端縁部822とこれに隣接する部分828との間に、第2リブ829が設けられている。第2リブ829は、長手方向D1に伸びる直線状のリブである。第2リブ829は、第2蓋板82の長手方向D1の全長にわたって設けられている。
【0093】
第5変形例では、第1蓋板81及び第2蓋板82が閉姿勢にあるときに、第1リブ819と第2リブ829の間に、第1蓋板81の先端縁部812と、第2蓋板82の先端縁部822と、が上下に重なって位置する。第5変形例では、互いに平行に位置する第1リブ819及び第2リブ829が、蓋8の中央部に水が浸入することを抑え、ひいては、運搬用容器9の内部に水が浸入することを抑える。
【0094】
第5変形例においては、第1蓋板81に第1凹条部815が設けられていないが、先端縁部812に第1凹条部815が設けられてもよい。また、第2蓋板82には第2凹条部825が設けられていないが、先端縁部822に第2凹条部825が設けられてもよい。
【0095】
(第6変形例)
図14には、第6変形例の口枠2及び蓋8の要部の鉛直断面が示されている。
【0096】
第6変形例では、蓋8の外周端部に、下方に突出したリブ80が設けられている。口枠2の外周縁部には、蓋8のリブ80が上方から嵌まり込む凹部20が設けられている。凹部20は、上方に開放され、かつ口枠2の外側方に開放されている。蓋8の全周にわたってリブ80が形成され、口枠2の全周にわたって凹部20が形成されることで、蓋8と口枠2の間から水が浸入することが効果的に抑制される。
【0097】
上記した一実施形態のように、蓋8が第1蓋板81及び第2蓋板82を含む場合には、リブ80の半部が第1蓋板81に設けられ、リブ80の別の半部が第2蓋板82に設けられる。
【0098】
(第7変形例)
図15には、第7変形例の口枠2及び底壁1の要部の鉛直断面が示されている。
【0099】
第7変形例では、口枠2の外周端部に、下方に突出したリブ27が設けられている。底壁1の外周縁部を構成する起立片18には、凹部17が設けられている。凹部17は、口枠2及び底壁1が上下に重なる折り畳み状態で、口枠2のリブ27が上方から嵌まり込むように構成されている。
【0100】
凹部17は、上方に開放され、かつ底壁1の外側方に開放されている。口枠2の全周にわたってリブ27が形成され、底壁1の全周にわたって凹部17が形成されることで、折り畳み状態において口枠2と底壁1の間から水が浸入することが、効果的に抑制される。第7変形例のように、下方に突出するリブ27を口枠2の全周にわたって形成する場合には、上方に凹んだ持ち手部225を口枠2に設ける代わりに、口枠2の外周面に、適宜形状の持ち手部を設けることが好ましい。
【0101】
(第8変形例)
図16には、第8変形例の口枠2及び底壁1の要部の鉛直断面が示されている。
【0102】
口枠2及び底壁1が上下に重なる折り畳み状態において、口枠2に設けられた凹状の持ち手部225と、底壁1の起立片18と、の間には空所3が形成される。第8変形例では、空所3をその内側から塞ぐためのリブ19が、底壁1に設けられている。
【0103】
リブ19は、底壁1の起立片18から、更に上方に突出している。口枠2及び底壁1が上下に重なる折り畳み状態において、リブ19は空所3の内側方に位置し、空所3を通じて水が浸入することを抑制する。折り畳み状態において、リブ19の突先部は、口枠2の持ち手部225よりも上に位置している。リブ19を、その突先部が持ち手部225と同じ高さに位置するように設けることも可能であり、また、その突先部が持ち手部225よりも低い高さに位置するように設けることも可能である。
【0104】
(第9変形例)
図17には、第9変形例の口枠2及び底壁1の要部の鉛直断面が示されている。
【0105】
第9変形例において、口枠2には、上方に凹んだ持ち手部225が設けられておらず、口枠2の下面は全周にわたって平坦である。口枠2及び底壁1が上下に重なる折り畳み状態において、口枠2の下面と、底壁1の起立片18の上面と、は全周にわたって当接し、水の浸入を抑制する。第9変形例において、口枠2の外周面には、凹状の持ち手部227が形成されている。持ち手部227は、一対の第2直線部22のそれぞれの外周面に形成されることが好ましい。
【0106】
(他の変形例)
上記の第1変形例から第9変形例に示された以外の部分においても、適宜に構成を変更することが可能である。
【0107】
例えば、上記した一実施形態の運搬用容器9では、第1蓋板81及び第2蓋板82で蓋8が構成されているが、1つの蓋板で蓋8が構成されてもよい。この場合には、蓋8を構成する1つの蓋板の長手方向D1に伸びる基端縁部に、同様の排水溝84とヒンジ部85が設けられる。
【0108】
また、上記した一実施形態の運搬用容器9では、第1蓋板81の排水溝84Aと、口枠2の切り欠き24Aと、が上下に重なるように構成されているが、これに限定されず、第1蓋板81の排水溝84Aと、口枠2の切り欠き24Aと、が短手方向D2に連続して位置するように構成されてもよい。この場合、第1蓋板81の傾斜面86Aを通じて排水溝84Aに集められた水は、第1蓋板81の排水溝84Aを経て口枠2の切り欠き24Aに至り、口枠2の切り欠き24Aを通じて外部に排出される。口枠2の切り欠き24Aは、口枠2の外周縁に向けて下り傾斜することが好ましい。
【0109】
同様に、上記した一実施形態の運搬用容器9では、第2蓋板82の排水溝84Bと、口枠2の切り欠き24Bと、が上下に重なるように構成されているが、これに限定されず、第2蓋板82の排水溝84Bと、口枠2の切り欠き24Bと、が例えば短手方向D2において連続して位置するように構成されてもよい。この場合、第2蓋板82の傾斜面86Bを通じて排水溝84Bに集められた水は、第2蓋板82の排水溝84Bを経て口枠2の切り欠き24Bに至り、口枠2の切り欠き24Bを通じて外部に排出される。口枠2の切り欠き24Bは、口枠2の外周縁に向けて下り傾斜することが好ましい。
【0110】
また、一実施形態の運搬用容器9では、第1蓋板81の基端縁部811の中間部に1つの排水溝84Aが位置し、これを両側から挟むように2つのヒンジ部85Aが位置しているが、排水溝84Aとヒンジ部85Aの数及び配置は、これに限定されない。一例として、第1蓋板81の基端縁部811の中間部に1つのヒンジ部85Aが位置し、これを両側から挟むように2つの排水溝84Aが位置してもよい。
【0111】
同様に、一実施形態の運搬用容器9では、第2蓋板82の基端縁部821の中間部に1つの排水溝84Bが位置し、これを両側から挟むように2つのヒンジ部85Bが位置しているが、排水溝84Bとヒンジ部85Bの数及び配置は、これに限定されない。一例として、第2蓋板82の基端縁部821の中間部に1つのヒンジ部85Bが位置し、これを両側から挟むように2つの排水溝84Bが位置してもよい。
【0112】
また、上記した一実施形態の運搬用容器9では、第1蓋板81の第1凹条部815と、第2蓋板82の第2凹条部825と、が長手方向D1において傾斜を有していないが、第1凹条部815が蓋8の外周縁に向けて下り傾斜してもよいし、第2凹条部825が蓋8の外周縁に向けて下り傾斜してもよい。具体的には、第1凹条部815のうち長手方向D1の中央部が頂部を構成し、この頂部を起点として、第1凹条部815の半部が長手方向D1の第1側に向けて下り傾斜し、第1凹条部815の残り半部が、長手方向D1の第2側に向けて下り傾斜することが好ましい。同様に、第2凹条部825のうち長手方向D1の中央部が頂部を構成し、この頂部を起点として、第2凹条部825の半部が長手方向D1の第1側に向けて下り傾斜し、第2凹条部825の残り半部が、長手方向D1の第2側に向けて下り傾斜することが好ましい。
【0113】
また、上記した一実施形態の運搬用容器9において、蓋8の排水溝84の表面と、傾斜面86と、で水の接触角を相違させることも好ましい。詳細には、第1蓋板81の排水溝84Aの表面における水の接触角を、傾斜面86Aにおける水の接触角よりも小さく設定し、第2蓋板82の排水溝84Bの表面における水の接触角を、傾斜面86Bにおける水の接触角よりも小さく設定することが好ましい。この場合、排水溝84A,84Bの表面が濡れやすい性質を有するので、排水溝84A,84Bに集まった水が外部に排出されやすくなる。
【0114】
水の接触角は、表面の粗さによって設定することが可能である。例えば、第1蓋板81の排水溝84Aにだけシボ加工や梨地加工を施すことや、第2蓋板82の排水溝84Bにだけシボ加工や梨地加工を施すことが好ましい。また、第1蓋板81の傾斜面86Aと排水溝84Aの両方にシボ加工や梨地加工を施すととともに、傾斜面86Aと排水溝84Aの表面の粗さを互いに相違させることや、第2蓋板82の傾斜面86Bと排水溝84Bの両方にシボ加工や梨地加工を施すととともに、傾斜面86Bと排水溝84Bの表面の粗さを互いに相違させることも好ましい。
【0115】
3.まとめ
上記の実施形態及び各種の変形例に基づいて説明したように、本開示の第1態様に係る運搬用容器9は、長手方向D1及び短手方向D2を有する平面視長方形状の容器本体90と、容器本体90に回転可能に連結されるヒンジ部85を有し、容器本体90の上向きの開口905を開閉するように構成された蓋8と、を備える。蓋8は、蓋8の外周縁に連続するように蓋8の上面83に形成された排水溝84を有する。長手方向D1に伸びる蓋8の基端縁部811,821に、ヒンジ部85と、排水溝84と、が設けられている。
【0116】
この態様によれば、例えば、屋外において蓋8の上に雨が降った場合でも、蓋8の上の水は、ヒンジ部85に隣接した排水溝84を伝って、外部へと円滑に排出される。排水溝84は、蓋8の長手方向D1に伸びる蓋8の基端縁部811,821に設けられているので、蓋8の上の水は、排水溝84にまで速やかに至ることができる。この態様によれば、蓋8の上に溜まった水が容器本体90の内部に浸入することを、抑えることができる。
【0117】
本開示の第2態様に係る運搬用容器9では、第1態様に加えて、蓋8は、互いの先端縁部812,822が上下に重なった状態で容器本体90の開口905を閉じるように構成された第1蓋板81及び第2蓋板82を含む。長手方向D1に伸びる第1蓋板81及び第2蓋板82の各々の基端縁部811,821に、ヒンジ部85と、排水溝84と、が設けられている。
【0118】
この態様によれば、例えば、屋外において蓋8の上に雨が降った場合でも、第1蓋板81の上の水は、第1蓋板81の排水溝84を伝って外部へと円滑に排出され、第2蓋板82の上の水は、第2蓋板82の排水溝84を伝って外部へと円滑に排出される。第1蓋板81の排水溝84は、第1蓋板81の長手方向D1に伸びる基端縁部811に設けられているので、第1蓋板81の上の水は、第1蓋板81の排水溝84にまで速やかに至ることができる。同様に、第2蓋板82の排水溝84は、第2蓋板82の長手方向D1に伸びる基端縁部821に設けられているので、第2蓋板82の上の水は、第2蓋板82の排水溝84にまで速やかに至ることができる。
【0119】
本開示の第3態様に係る運搬用容器9では、第1態様に加えて、容器本体90は、蓋8のヒンジ部85が回転可能に連結する口枠2を含む。口枠2は、口枠2の外周縁に連続するように口枠2の上面23に形成された切り欠き24を有する。蓋8が容器本体90の開口905を閉じた状態で、蓋8の排水溝84と、口枠2の切り欠き24と、が上下に重なるか又は連続して位置する。
【0120】
この態様によれば、蓋8の排水溝84と、口枠2の切り欠き24と、を利用して蓋8の上の水を外部へと円滑に排出することができる。
【0121】
本開示の第4態様に係る運搬用容器9では、第1態様から第3態様のいずれか1つに加えて、蓋8の上面83は、排水溝84に向けて下り傾斜した傾斜面86を含む。排水溝84は、傾斜面86よりも大きな角度で、蓋8の外周縁に向けて下り傾斜している。
【0122】
この態様によれば、蓋8の傾斜面86と、傾斜面86よりも大きな角度で下り傾斜した排水溝84と、を利用して、蓋8の上の水を外部へと円滑に排出することができる。
【0123】
本開示の第5態様に係る運搬用容器9では、第1態様に加えて、蓋8は、互いの先端縁部812,822が上下に重なった状態で容器本体90の開口905を閉じるように構成された第1蓋板81及び第2蓋板82を含む。第1蓋板81の先端縁部812には、第1蓋板81の外周縁に連続する第1凹条部815が設けられている。第2蓋板82の先端縁部822には、第2蓋板82の外周縁に連続する第2凹条部825が設けられている。第1蓋板81及び第2蓋板82が容器本体90の開口905を閉じた状態で、第1凹条部815と第2凹条部825とが上下に重なって位置する。
【0124】
この態様によれば、蓋8の中間部分に付着した水は、第1凹条部815又は第2凹条部825を伝って、外部へと円滑に排出される。
【0125】
本開示の第6態様に係る運搬用容器9では、第1態様に加えて、蓋8は、互いの先端縁部812,822が上下に重なった状態で容器本体90の開口905を閉じるように構成された第1蓋板81及び第2蓋板82を含む。第1蓋板81には、第1蓋板81の外周縁に連続する第1凹条部815が、第1蓋板81の先端縁部812に沿って設けられている。第2蓋板82には、第2蓋板82の外周縁に連続する第2凹条部825が、第2蓋板82の先端縁部822に沿って設けられている。第1蓋板81及び第2蓋板82が容器本体90の開口905を閉じた状態で、第1凹条部815と第2凹条部825とが水平方向に互いに距離をあけて位置する。
【0126】
この態様によれば、蓋8の中間部分に付着した水は、第1凹条部815及び第2凹条部825を伝って、外部へと円滑に排出される。
【符号の説明】
【0127】
1 底壁
2 口枠
23 上面
24 切り欠き
8 蓋
81 第1蓋板
811 基端縁部
812 先端縁部
815 第1凹条部
82 第2蓋板
821 基端縁部
822 先端縁部
825 第2凹条部
83 上面
84 排水溝
85 ヒンジ部
86 傾斜面
9 運搬用容器
90 容器本体
905 開口
D1 長手方向
D2 短手方向