(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171242
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/26 20240101AFI20241204BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241204BHJP
G06T 19/00 20110101ALI20241204BHJP
【FI】
G06Q50/26
G06Q50/10
G06T19/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088214
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】神山 拓海
(72)【発明者】
【氏名】木島 憲一
(72)【発明者】
【氏名】田靡 哲也
(72)【発明者】
【氏名】徳見 栄一
(72)【発明者】
【氏名】水田 高弘
(72)【発明者】
【氏名】勢司 太一
(72)【発明者】
【氏名】野村 拓矢
【テーマコード(参考)】
5B050
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5B050AA07
5B050BA02
5B050BA09
5B050BA11
5B050BA13
5B050BA17
5B050CA01
5B050DA05
5B050EA26
5B050FA02
5B050FA17
5L049CC11
5L049CC35
5L050CC11
5L050CC35
(57)【要約】
【課題】対象地域における災害の状況を把握するための情報を提供する。
【解決手段】情報処理装置110は、測量データ取得部11、地図データ取得部12、評価部13および出力部14を有している。測量データ取得部11は、対象地域の測量データを取得する。地図データ取得部12は、対象地域における予め生成された地図データを取得する。評価部13は、測量データと前記地図データとに基づいて、前記対象地域における災害レベルを示す評価データを生成する。出力部14は、評価データを出力する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象地域の測量データを取得する測量データ取得部と、
前記対象地域における予め生成された地図データを取得する地図データ取得部と、
前記測量データと前記地図データとに基づいて、前記対象地域における災害レベルを示す評価データを生成する評価部と、
前記評価データを出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記測量データ取得部は、飛行体が上空から収集した地形の前記測量データを取得する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記測量データ取得部は、飛行体が上空から収集した前記地形の点群データを前記測量データとして取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記測量データ取得部は、前記対象地域における人工物の損壊状態を測定したデータを含む前記測量データを取得する、
請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記評価部は、前記測量データと前記地図データにおける形状差を抽出し、前記形状差に基づいて前記評価データを生成する、
請求項1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記評価部は、前記形状差と前記災害レベルとを教師データとして前記形状差から前記災害レベルを出力するよう学習した学習モデルに少なくとも前記形状差を入力することにより前記評価データを生成する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記評価部は、前記測量データにかかる状況が、災害発生前または災害発生後であること示す前記評価データを生成する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記評価部は、前記測量データにかかる状況と災害による被害の度合いとを関連付けた前記評価データを生成する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
対象地域の測量データを取得し、
前記対象地域における予め生成された地図データを取得し、
前記測量データと前記地図データとに基づいて、前記対象地域における災害発生の可能性を示す評価データを生成し、
前記評価データを出力する、
情報処理方法。
【請求項10】
対象地域の測量データを取得し、
前記対象地域における予め生成された地図データを取得し、
前記測量データと前記地図データとに基づいて、前記対象地域における災害発生の可能性を示す評価データを生成し、
前記評価データを出力する、
情報処理方法を、コンピュータに実行させる
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は情報処理装置、情報処理方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図データの作成には衛星写真や航空写真が利用されている。近年、デジタルデータ化した地図データの更新方法などに関しての提案が開示されている。
【0003】
例えば特許文献1に記載のプログラムは、移動体搭載カメラから取得した情報と学習済み数理モデルを用いて、物体の種類と位置を判定し、物体の大きさを計算し、これらを組み合わせて立体地図データを作成する手順をコンピュータに実行させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、地震や暴風雨など災害等が発生した場合に、これらに起因する地形や建造物の変化等に関する情報の処理を簡便に地図情報に反映させることは難しかった。
【0006】
本開示の目的は、上述した課題を鑑み、対象地域における災害の状況を把握するための情報を提供する情報処理装置等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示にかかる情報処理装置は、測量データ取得部、地図データ取得部、評価部および出力部を有している。測量データ取得部は、対象地域の測量データを取得する。地図データ取得部は、対象地域における予め生成された地図データを取得する。評価部は、測量データと前記地図データとに基づいて、前記対象地域における災害レベルを示す評価データを生成する。出力部は、評価データを出力する。
【0008】
本開示にかかる情報処理方法は、コンピュータが以下の処理を実行する。コンピュータは、対象地域の測量データを取得する。コンピュータは、対象地域における予め生成された地図データを取得する。コンピュータは、測量データと前記地図データとに基づいて、前記対象地域における災害発生の可能性を示す評価データを生成する。コンピュータは、評価データを出力する。
【0009】
本開示にかかるプログラムは、コンピュータに以下の情報処理方法を実行させる。コンピュータは、対象地域の測量データを取得する。コンピュータは、対象地域における予め生成された地図データを取得する。コンピュータは、測量データと前記地図データとに基づいて、前記対象地域における災害発生の可能性を示す評価データを生成する。コンピュータは、評価データを出力する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、対象地域における災害の状況を把握するための情報を提供する情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図9】学習モデルが学習後に行う処理を示す図である。
【
図10】評価部と学習モデルの処理を示す図である。
【
図11】情報処理システムの第2のブロック図である。
【
図14】コンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施形態に限定するものではない。また、実施形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載および図面は、適宜、省略、および簡略化がなされている。なお、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0013】
<実施の形態1>
以下、実施の形態1について説明する。
図1は、情報処理装置110のブロック図である。情報処理装置110は、対象地域における災害の可能性を把握するための評価データを出力する。情報処理装置110は例えば通信機能を有するコンピュータまたはサーバである。情報処理装置110は主な構成として、測量データ取得部11、地図データ取得部12、評価部13および出力部14を有している。
【0014】
測量データ取得部11は、対象地域の測量データを取得する。測量データは、対象地域における災害の可能性を把握するために取得されるデータである。すなわち測量データは、後述の地図データと比較されることを目的として取得される。
【0015】
本開示における測量データとは、対象地域における地形等を測量したデータを含む。なお、本開示において「地形等」とは、河川、海、山、丘陵、平地および森林等の自然物、並びに家屋、橋梁、道路およびトンネル等の人工物を含む。測量データは例えば、カメラにより撮影された画像データであってもよい。ただし測量データの形式は、形状が比較解析できる態様であることがより好ましい。測量データは例えば、LiDAR(Light Detection And Ranging)、ミリ波または超音波などを利用した測距センサにより測量されたデータである。測量データの形式は例えば点群データであってもよい。測量データは、上空から航空機により測量されたものであることが好ましい。
【0016】
測量データ取得部11は、例えば対象地域を飛行する飛行体が測量した測量データを取得する。対象地域を飛行する飛行体は例えばUAS(Unmanned Aircraft System)またはドローン等と称される無人航空機である。飛行体はヘリコプタや空飛ぶクルマ等の有人航空機であってもよい。
【0017】
地図データ取得部12は、対象地域における予め生成された地図データを取得する。地図データは、平常時すなわち災害が発せしていない状態における対象地域の地形等のデータを含む。地図データは上述の測量データとの差異が容易に比較可能な態様であることが好ましい。より具体的には例えば地図データは所定の規格に準拠した三次元データである。
【0018】
地図データ取得部12は情報処理装置110が予め地図データを記憶している場合には、情報処理装置110が記憶するデータベースから適宜対象地域の地図データを取得し得る。あるいは地図データ取得部12は、情報処理装置110が通信可能に接続する所定のデータベースから地図データを取得してもよい。
【0019】
評価部13は、測量データと地図データとに基づいて、対象地域における災害レベルを示す評価データを生成する。評価データは、平常時のデータである地図データと、測量データとを比較したうえで算出される。評価データは、対象地域における災害の可能性を示すデータである。評価部13は例えば、対象地域における災害の可能性をスコアとして算出する。評価部13が算出するスコアは、災害の深刻度であってもよい。評価部13はまた、対象地域において災害が発生している可能性がある領域を示すデータを評価データとして生成してもよい。
【0020】
出力部14は、評価部13が生成した評価データを出力する。出力部14は、評価データを、情報処理装置110が通信可能に接続している所定の出力先に出力してもよい。
【0021】
次に2を参照して、情報処理装置110が実行する処理について説明する。
図2は、情報処理方法のフローチャートである。
図2に示す処理は、例えば情報処理装置110が外部から測量データを取得することにより開始する。
【0022】
まず、測量データ取得部11は、対象地域の測量データを取得する(ステップS11)。測量データ取得部11は、測量データを取得すると、取得した測量データを評価部13に供給する。
【0023】
次に、地図データ取得部12は、対象地域における予め生成された地図データを取得する(ステップS12)。地図データ取得部12は、取得した地図データを評価部13に供給する。
【0024】
次に、評価部13は、測量データ取得部11から受け取った測量データと地図データ取得部12から受け取った地図データとを使って、対象地域における災害発生の可能性を示す評価データを生成する(ステップS13)。評価部13は生成した評価データを出力部14に供給する。
【0025】
次に、出力部14は、評価部13から受け取った評価データを出力する(ステップS14)。出力部14が評価データを出力すると、情報処理装置110は一連の処理を終了する。
【0026】
以上、情報処理装置110の構成および情報処理装置110が実行する処理について説明した。なお、情報処理装置110は、図示しない構成としてプロセッサ及び記憶装置を有しうる。情報処理装置110が有する記憶装置は、例えばフラッシュメモリやSSD(Solid State Drive)などの不揮発性メモリを含む記憶装置を含む。この場合に、情報処理装置110が有する記憶装置は、上述の画像処理方法を実行するためのコンピュータプログラム(以降、単にプログラムとも称する)を記憶している。またプロセッサは、記憶装置からコンピュータプログラムをDRAM(Dynamic Random Access Memory)等のバッファメモリへ読み込ませ、当該プログラムを実行する。
【0027】
情報処理装置110が有する各構成は、それぞれが専用のハードウェアで実現されていてもよい。また、各構成要素の一部又は全部は、汎用または専用の回路(circuitry)、プロセッサ等やこれらの組合せによって実現されてもよい。これらは、単一のチップによって構成されてもよいし、バスを介して接続される複数のチップによって構成されてもよい。各装置の各構成要素の一部又は全部は、上述した回路等とプログラムとの組合せによって実現されてもよい。また、プロセッサとして、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、FPGA(field-programmable gate array)等を用いることができる。なお、ここに説明した構成に関する説明は、本開示において以下に説明するその他の装置またはシステムにおいても、適用されうる。
【0028】
以上、本開示によれば、対象地域における災害の可能性を好適に把握可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することができる。
【0029】
<実施の形態2>
次に、実施の形態2について説明する。
図3は、情報処理システム1のブロック図である。情報処理システム1は、情報処理装置120、移動体200、制御装置300およびユーザ端末400を有している。
【0030】
情報処理装置120はネットワークN1を介して制御装置300およびユーザ端末400と通信可能に接続している。ネットワークN1は例えば公衆電話回線、インターネット回線等である。情報処理装置120は、制御装置300から測量データを受け取り、受け取った測量データを使って評価データを生成する。情報処理装置120はさらに、生成した評価データをユーザ端末400に出力する。
【0031】
移動体200は、対象地域で測量を行い、測量データを制御装置300に供給する。制御装置300は、ネットワークN1を介して移動体200の動作を制御する。また制御装置300は、ネットワークN1を介して情報処理装置120に測量データを供給する。制御装置300は地図データを情報処理装置120に供給してもよい。ユーザ端末400は、情報処理装置120から評価データを受け取る。
【0032】
ユーザ端末400は、情報処理装置120が出力する評価データを利用するユーザが管理する端末である。ユーザ端末400は例えば通信機能を有するコンピュータまたはサーバである。本開示のユーザとは、対象地域の災害状況を任意の活動に利用する者をいう。ユー-ザは例えば、対象地域の防災活動を行う自治体である。またユーザは、家屋や建築物の災害保険を運営する事業者であってもよい。
【0033】
図4を参照して、情報処理装置120についてさらに説明する。
図4は、情報処理装置120のブロック図である。情報処理装置120は主な構成として、測量データ取得部11、地図データ取得部12、評価部13、出力部14、通信部15、記憶部20および学習モデル131を有している。
【0034】
情報処理装置120の測量データ取得部11は、移動体200が収集した測量データを制御装置300から取得する。なお、移動体200は、飛行体であり得る。すなわち測量データ取得部11は、飛行体が上空から収集した地形の測量データを制御装置300から取得する。
【0035】
この場合、測量データ取得部11は、飛行体が上空から収集した地形の点群データを測量データとして取得する。この場合、移動体200は、測距センサを有する飛行体である。測量データ取得部11は、ネットワークN1を介して、制御装置300から点群データを取得し得る。
【0036】
測量データ取得部11は、対象地域における人工物の損壊状態を測定したデータを含む測量データを取得するものであってもよい。この場合、移動体200は、人工物の損壊状態を測定する手段を有する。人工物の損壊状体を測定する手段とは、例えば打音検査機である。また人工物の損壊状体を測定する手段とは、例えば熱画像データを撮影するための赤外線カメラである。人工物の損壊状体を測定する手段は、超音波センサ等であってもよい。
【0037】
情報処理装置120の評価部13は、測量データと地図データにおける形状差を抽出し、形状差に基づいて評価データを生成する。このとき評価部13が扱うデータは、二次元データであってもよいし、三次元データであってもよい。ただし、評価部13が扱うデータは三次元データであることが好ましい。
【0038】
また評価部13は、学習モデル131を利用して評価データを生成する。具体的には、評価部13は、学習モデル131に少なくとも形状差を入力することにより、評価データを生成する。学習モデルを利用することにより、評価部13は、災害の可能性という定量的な判断が難しい状態の判断を好適に行い得る。
【0039】
評価部13は、測量データにかかる状況が、災害発生前または災害発生後であること示す評価データを生成するものであってもよい。すなわちこの場合、評価部13は、測量データにかかる対象地域において災害が発生する前か、災害が発生した後か、という情報を評価データに含める。これにより、情報処理装置120は、評価データを受けとったユーザが次にどのようなアクションを取れば良いかの判断を行うための情報を提供できる。
【0040】
また評価部13は、測量データにかかる状況と災害による被害の度合いとを関連付けた評価データを生成するものであってもよい。すなわち、対象地域において災害は発生している場合において、評価部13は、その被害の度合いという情報を評価データに含める。
これにより情報処理装置120は例えば、保険会社が被害状況に応じた災害保険の適用等を迅速に行うことを補助するための情報を提供できる。
【0041】
学習モデル131は、地形等の形状差と災害発生の可能性とを教師データとして構築された学習モデルである。学習モデル131は、運用段階においては、地形等の形状差を入力データとして、その地形等の形状差から災害レベルを推定する。
【0042】
情報処理装置120の出力部14は、ネットワークN1を介してユーザ端末400に評価データを出力する。この際、出力部14は、通信部15を介してネットワークN1と通信する。通信部15は、情報処理装置120がネットワークN1に接続するためのインタフェースを含む。通信部15が行う通信は無線通信であってもよいし、有線通信であってもよい。
【0043】
記憶部20は、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)またはHDD(Hard Disk Drive)等の不揮発性メモリを含む。記憶部20は例えば対象地域の地図データを記憶している。この場合、地図データ取得部12は、適宜、記憶部20から地図データを読み取る。
【0044】
次に、
図5を参照して移動体200について説明する。
図5は、移動体200のブロック図である。移動体200は、空中を移動するドローンであって、本開示における移動体の一実施形態である。移動体200は、制御装置300による制御の下で、計画された運航経路に沿って空中を飛行する。なお、運航経路は、移動体200が測量を行う対象地域を含む。移動体200は主な構成として、位置情報取得部201、通信部202、カメラ203、測距センサ204、移動体制御部205、駆動部206および記憶部220を有している。
【0045】
位置情報取得部201は例えばGNSS(Global Navigation Satellite System)やWi-Fiの電波を利用した位置データ取得システム等を利用して、移動体200の位置データを取得する。通信部202は、ネットワークN1を介して制御装置300と通信を行うための機能を有している。すなわち通信部202は例えばアンテナ、変調回路、復調回路等を含みうる。カメラ203は、対物レンズや撮像素子等を含み、撮影した画像にかかる画像データを生成する。
【0046】
測距センサ204は、例えば点群データを収集するためのセンサである。測距センサ204は例えば、LiDARである。測距センサ204は、SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)を利用するものであってもよい。
【0047】
移動体制御部205は、CPUまたはMCU等の演算装置を含み、移動体200の各構成を制御する。すなわち例えば移動体制御部205は、通信部202を介して制御装置300と情報のやり取りを行い、これに応じて、移動体200の各構成に指示を出す。駆動部206は、移動体200の移動手段であるプロペラを回転させるためのモータを含む。記憶部220は、フラッシュメモリやSSD等の不揮発性メモリを含み、移動体200の認証データ等を記憶する。
【0048】
移動体200は、上記構成を有し、例えばカメラ203が撮影する画像の画像データを所定期間ごとに制御装置300に送信する。また移動体200は、測距センサ204が収集した測量データを、所定期間ごとに制御装置300に送信する。さらに移動体200は、記憶部220が記憶する識別信号を定期的に発信しながら移動する。移動体200は識別信号を、例えば数百ミリ秒毎に発信する。移動体200はこの時に例えばブルートゥース(登録商標)やWi-Fiの規格に準拠した方法によりこの発信を行う。
【0049】
なお、移動体200は、対象地域における人工物の損壊状態を測定するための打音検査装置や赤外線カメラ等を有していても良い。
【0050】
次に、
図6を参照して、制御装置300について説明する。
図6は、制御装置300のブロック図である。制御装置300は例えばコンピュータ、サーバ、タブレット端末、スマートフォン等である。制御装置300はネットワークN1を介して情報処理装置120と通信可能に接続している。また制御装置300はネットワークN1を介して移動体200と通信可能に接続し、移動体200を制御する。制御装置300は主な構成として、通信部301、移動体データ取得部302、運行管理部303、インタフェース部304および記憶部320を有している。
【0051】
通信部301は、ネットワークN1を介して情報処理装置120および移動体200と通信するためのインタフェースである。通信部301は信号の変調や復調を行う機能を含む。
【0052】
移動体データ取得部302は、移動体200が送信する移動体データを取得する。移動体データは、移動体200の位置情報、画像データ、測距データ等を含む。
【0053】
運行管理部303は、CPU等の演算装置を含み、移動体200の運航を管理する。運行管理部303は、制御装置300が有する各構成を制御する。また運行管理部303は、移動体200から受け取った種々のデータに応じて、移動体200に送信する指示を生成する。
【0054】
インタフェース部304は、制御装置300を管理する管理者が制御装置300を操作するための情報入出力装置を含む。例えば制御装置300が管理者の操作に応じて移動体200を制御する場合、インタフェース部304は、管理者の操作を受け付ける。より具体的には例えば、インタフェース部304は、情報入力用のボタン、スイッチ、キーボードまたはタッチパネルなどを有し得る。またインタフェース部304は、管理者に所定の情報を提示するためのディスプレイを有し得る。
【0055】
記憶部320は、不揮発性メモリを含む記憶装置であって、例えば地図データ、運航管理データ等を記憶している。地図データは、対象地域を含む。運航管理データは、移動体200の運航計画および移動体200の識別番号等を含む。また記憶部320は、移動体200から受け取った測量データ等の移動体データを一時的に記憶してもよい。
【0056】
次に、
図7を参照して、評価部13が実行する処理について説明する。
図7は、評価部13の処理を示す図である。
図7は、中央に評価部13が存在し、評価部13の左側に、測量データおよび地図データが示されている。測量データは、移動体200が測量した対象地域の測距データである。地図データは予め測量されていた平常時における対象地域の三次元データである。測量データと地図データとは、同じ場所の三次元データであって、高台のうえに樹木および家屋が存在している。しかし、測量データは、斜面の一部分が崩れ、落下している樹木が存在する。
【0057】
評価部13は、上述の測量データおよび地図データを受けとり、両者を比較する。これにより評価部13は、形状差を抽出する。
図7において、評価部13の右側には、形状差が示されている。形状差は、地図データと測量データとの差分として、崩れた斜面の部分が太線により示されている。
【0058】
このように、評価部13は測量データと地図データとの差分である形状差を抽出する。なお、形状差のデータは、測量データや地図データのような三次元データであることが好ましい。また形状差のデータは、測量データと地図データとの差がある部分だけではなく、差がない部分が識別可能な態様により含まれていてもよい。
【0059】
次に、
図8を参照して、学習モデル131の学習処理について説明する。
図8は、学習モデル131が行う学習処理を示す図である。
図8は、左側に教師データが示されており、右側に学習モデル131が示されている。
【0060】
学習モデル131は、複数の教師データを取り込んで学習する。教師データは、任意の地域の地図データと、その地図データに対応する災害状況データと、その災害状況データに対応する災害レベルと、をそれぞれ含む。ここで、地図データは、平常時の地形等のデータである。また災害状況データは、対応する地図データにおける災害が発生している場合の地形等のデータである。災害レベルは、対応する災害状況データに紐付く災害の深刻度等を示すデータである。
【0061】
学習モデル131は、上述の教師データを複数取り込んで学習する。これにより、学習モデル131は、任意の地図データおよび災害状況データと、その災害における災害レベルとを紐付ける機能を発揮できるように学習される。
【0062】
次に、学習済みの学習モデル131が実行する処理について説明する。
図9は、学習モデルが学習後に行う処理を示す図である。
図9は、中央に学習モデル131が示されている。学習モデル131の左側には、入力として、「地図データ」と「形状差」が示されている。学習モデル131の右側には、出力として、「災害レベル」が示されている。
【0063】
このように、学習済みの学習モデル131は、入力として地図データと、地図データに紐付く形状差とを受け付ける。学習モデル131は、受け付けたこれらのデータから、対象地域にかかる災害レベルを推定して、推定した災害レベルを出力する。
【0064】
図10を参照して、上述の評価部13と学習モデル131とが連携して行う処理について説明する。
図10は、評価部13と学習モデル131の処理を示す図である。
図10の中央上部には、評価部13が示されている。評価部13の下方には学習モデル131が示されている。評価部13の左側には、入力として「測量データ」と「地図データ」とが示されている。評価部13の右側には、出力として「評価データ」が示されている。
【0065】
図10に示すように、評価部13は、測量データ取得部11が取得した測量データと、地図データ取得部12が取得した地図データとを入力として受け取る。評価部13は、受け取ったこれらのデータから、形状差を抽出する。さらに評価部13は、抽出した形状差を少なくとも含むデータを学習モデル131に入力し、学習モデル131から災害レベルを出力として受け取る。評価部13は、学習モデル131から受け取った災害レベルを含む評価データを出力する。評価データは、災害タイプ等に関するデータを含んでいてもよい。
【0066】
以上、情報処理システム1について説明した。なお、上述の情報処理システム1において、移動体200は、制御装置300と直接無線通信をする構成であってもよい。また、情報処理装置120は、制御装置300と一体となった構成であってもよい。制御装置300とユーザ端末400とが一体となった構成であってもよい。さらに情報処理装置120、制御装置300およびユーザ端末400が言ったとなった構成であってもよい。
【0067】
本開示によれば、対象地域における災害の可能性を好適に把握可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することができる。
【0068】
<実施の形態3>
次に、実施の形態3について説明する。
図11は、情報処理システム2のブロック図である。情報処理システム2は、災害情報提供システム450を含む。
【0069】
災害情報提供システム450は、ネットワークN1を介して情報処理装置120に通信可能に接続している。災害情報提供システム450は、対象地域を含む地域の災害に関連する事象データを情報処理装置120に提供する。災害に関連する事象データとは例えば、地震、雷雨や台風などの荒天、降雪などを含み得る。
【0070】
情報処理システム2は、情報処理装置120に代えて情報処理装置130を有する点が、情報処理システム1と異なる。情報処理装置130は、制御装置300から地図データと測量データを受けとるのに加えて、災害情報提供システム450から上述の事象データを受けとる。情報処理装置130は事象データを加味して評価データを生成し、生成した事象データをユーザ端末400に出力する。
【0071】
図12を参照して、情報処理装置130について説明する。
図12は、情報処理装置の第3のブロック図である。情報処理装置130は、事象データ取得部16、属性データ取得部17およびユーザデータ受付部18を有する点が、上述の情報処理装置120と異なる。
【0072】
事象データ取得部16は、測量データにかかる測量が行われた地域および日時に紐付く災害に関連する事象データを災害情報提供システム450から取得する。事象データ取得部16は、受け取った事象データを評価部13に供給する。
【0073】
この場合、情報処理装置130の評価部13は、事象データを加味して評価データを生成する。事象データを加味することにより、評価部13は、災害レベルに重み付けを行う。これにより情報処理装置130は、災害の状況をユーザが好適に把握するための情報を提供できる。
【0074】
属性データ取得部17は、属性データを取得する。属性データは、対象地域における災害に紐付くデータである。より具体的には属性データは例えば、対象地域における土砂災害、洪水、津波等の災害が発生するリスクを含み得る。属性データは対象地域に予め設定されている。属性データ取得部17は地図データに含まれていてもよい。属性データ取得部17は、記憶部20から対象地域にかかる属性データを読み取る。
【0075】
属性データ取得部17は、対象地域における災害の履歴を含む属性データを取得するものであってもよい。すなわち属性データは、対象地域における災害の履歴を含むものであってもよい。これにより情報処理装置130は、対象地域における過去の実情に基づいて評価データを生成できる。
【0076】
情報処理装置130の評価部13は、上述の属性データを加味して評価データを生成する。属性データを加味することにより、評価部13は属性データに対応する種類の災害に対して重み付けを行う。これにより情報処理装置130は、災害の状況をユーザが好適に把握するための情報を提供できる。
【0077】
なお、情報処理装置130の評価部13は、少なくとも事象データに基づいて、対象地域と異なる他の地域の測量データを取得することを提示する評価データを生成するものであってもよい。これにより、情報処理システム2は、移動体200を他の地域に移動して測量データを取得し、広い地域の評価データを効率良く取得できる。
【0078】
情報処理装置130のユーザデータ受付部18は、ユーザ端末400から所定のユーザデータを受け付ける。ユーザデータとは、ユーザに関連する対象地域、災害の種類、および災害による被害の度合いの少なくとも1つを含むデータである。情報処理装置130の評価部13は、ユーザデータに関連する評価データを生成する。
【0079】
例えばユーザが所定の自治体である場合、ユーザデータ受付部18は、その自治体に対応する対象地域の位置情報を、ユーザデータとして取得し得る。この場合、評価部13は、そのユーザに対応する地域の評価データを、ユーザ端末400に出力する。また例えばユーザが複数存在する場合には、それぞれのユーザに対応する対象地域の評価データを、ユーザごとに出力する。
【0080】
また例えばユーザが保険会社である場合、ユーザデータ受付部18は、その保険会社が対象としている災害の種類を取得する。この場合、評価部13は、保険会社に対応する災害が発生している可能性がある場合に、評価データをユーザに出力する。
【0081】
記憶部20は、地図データに加えて属性データをさらに記憶している。記憶部20は、属性データ取得部17に対して、適宜、属性データを供給する。
【0082】
図13は、評価部13の処理を示す図である。
図13に示す評価部13は、入力として、記憶部20から地図データおよび属性データを受け取る。また評価部13は、測量データ取得部11が取得した測量データを受け取る。さらに評価部13は、災害情報提供システム450から受け取った事象データを受け取る。
【0083】
図13に示す評価部13は、属性データおよび事象データの少なくともいずれか一方を、学習モデル131に入力するものであってもよい。その場合、学習モデル131は、属性データまたは事象データを教師データとして学習されていてもよい。評価部13が出力する評価データに、測量データにかかる対象地域と異なる地域の測量を行う提案を提示するものであってもよい。
【0084】
以上、本開示によれば、対象地域における災害の可能性を好適に把握可能な情報処理装置、情報処理方法およびプログラムを提供することができる。
【0085】
<ハードウェア構成の例>
以下、本開示における更新情報生成装置および静的情報管理装置の各機能構成がハードウェアとソフトウェアとの組み合わせで実現される場合について説明する。
【0086】
図14は、コンピュータのハードウェア構成を例示するブロック図である。本開示における更新情報生成装置および静的情報管理装置は、図に示すハードウェア構成を含むコンピュータ500により上述の機能を実現できる。コンピュータ500は、スマートフォンやタブレット端末などといった可搬型のコンピュータであってもよいし、PCなどの据え置き型のコンピュータであってもよい。コンピュータ500は、各装置を実現するために設計された専用のコンピュータであってもよいし、汎用のコンピュータであってもよい。コンピュータ500は、所定のアプリケーションをインストールされることにより、所望の機能を実現できる。
【0087】
コンピュータ500は、バス502、プロセッサ504、メモリ506、ストレージデバイス508、入出力インタフェース510およびネットワークインタフェース512を有する。バス502は、プロセッサ504、メモリ506、ストレージデバイス508、入出力インタフェース510、及びネットワークインタフェース512が、相互にデータを送受信するためのデータ伝送路である。ただし、プロセッサ504などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0088】
プロセッサ504は、CPU、GPUまたはFPGAなどの種々のプロセッサである。メモリ506は、RAM(Random Access Memory)などを用いて実現される主記憶装置である。
【0089】
ストレージデバイス508は、ハードディスク、SSD、メモリカード、又はROM(Read Only Memory)などを用いて実現される補助記憶装置である。ストレージデバイス508は、所望の機能を実現するためのプログラムが格納されている。プロセッサ504は、このプログラムをメモリ506に読み出して実行することで、各装置の各機能構成部を実現する。
【0090】
入出力インタフェース510は、コンピュータ500と入出力デバイスとを接続するためのインタフェースである。例えば入出力インタフェース510には、キーボードなどの入力装置や、ディスプレイ装置などの出力装置が接続される。
【0091】
ネットワークインタフェース512は、コンピュータ500をネットワークに接続するためのインタフェースである。
【0092】
以上、実施の形態を参照して本願発明を説明したが、本願発明は上記によって限定されるものではない。本願発明の構成や詳細には、発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更をすることができる。
【0093】
上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
(付記1)
対象地域の測量データを取得する測量データ取得部と、
前記対象地域における予め生成された地図データを取得する地図データ取得部と、
前記測量データと前記地図データとに基づいて、前記対象地域における災害発生の可能性を示す評価データを生成する評価部と、
前記評価データを出力する出力部と、
を備える情報処理装置。
(付記2)
前記測量データ取得部は、飛行体が上空から収集した地形の前記測量データを取得する、
付記1に記載の情報処理装置。
(付記3)
前記測量データ取得部は、飛行体が上空から収集した前記地形の点群データを前記測量データとして取得する、
付記2に記載の情報処理装置。
(付記4)
前記測量データ取得部は、前記対象地域における人工物の損壊状態を測定したデータを含む前記測量データを取得する、
付記2に記載の情報処理装置。
(付記5)
前記評価部は、前記測量データと前記地図データにおける形状差を抽出し、前記形状差に基づいて前記評価データを生成する、
付記1~4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記6)
前記評価部は、前記形状差と前記災害レベルとを教師データとして前記形状差から前記災害レベルを出力するよう学習した学習モデルに少なくとも前記形状差を入力することにより前記評価データを生成する、
付記5に記載の情報処理装置。
(付記7)
前記評価部は、前記測量データにかかる状況が、災害発生前または災害発生後であること示す前記評価データを生成する、
付記5に記載の情報処理装置。
(付記8)
前記評価部は、前記測量データにかかる状況と災害による被害の度合いとを関連付けた前記評価データを生成する、
付記5に記載の情報処理装置。
(付記9)
前記測量データにかかる測量が行われた地域および日時に紐付く災害に関連する事象データをさらに取得する事象データ取得部をさらに備え、
前記評価部は、前記事象データを加味して前記評価データを生成する、
付記5~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記10)
前記対象地域における災害に紐付く属性データをさらに取得する属性データ取得部をさらに備え、
前記評価部は、前記属性データを加味して前記評価データを生成する、
付記5~8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記11)
前記属性データ取得部は、前記対象地域における災害の履歴を含む前記属性データを取得する、
付記10に記載の情報処理装置。
(付記12)
前記評価部は、少なくとも前記事象データに基づいて、前記対象地域と異なる他の地域の前記測量データを取得することを提示する前記評価データを生成する、
付記9に記載の情報処理装置。
(付記13)
ユーザに関連する前記対象地域、災害の種類、および災害による被害の度合いの少なくとも1つを含むユーザデータを受け付けるユーザデータ受付部をさらに備え、
前記評価部は、前記ユーザデータに関連する前記評価データを生成する、
付記5~12のいずれか一項に記載の情報処理装置。
(付記14)
コンピュータが、
対象地域の測量データを取得し、
前記対象地域における予め生成された地図データを取得し、
前記測量データと前記地図データとに基づいて、前記対象地域における災害発生の可能性を示す評価データを生成し、
前記評価データを出力する、
情報処理方法。
(付記15)
対象地域の測量データを取得し、
前記対象地域における予め生成された地図データを取得し、
前記測量データと前記地図データとに基づいて、前記対象地域における災害発生の可能性を示す評価データを生成し、
前記評価データを出力する、
情報処理方法を、コンピュータに実行させる
プログラム。
【符号の説明】
【0094】
1 情報処理システム
2 情報処理システム
11 測量データ取得部
12 地図データ取得部
13 評価部
14 出力部
15 通信部
16 事象データ取得部
17 属性データ取得部
18 ユーザデータ受付部
20 記憶部
110 情報処理装置
120 情報処理装置
130 情報処理装置
131 学習モデル
200 移動体
201 位置情報取得部
202 通信部
203 カメラ
204 測距センサ
205 移動体制御部
206 駆動部
220 記憶部
300 制御装置
301 通信部
302 移動体データ取得部
303 運行管理部
304 インタフェース部
320 記憶部
400 ユーザ端末
450 災害情報提供システム
500 コンピュータ
502 バス
504 プロセッサ
506 メモリ
508 ストレージデバイス
510 入出力インタフェース
512 ネットワークインタフェース
N1 ネットワーク