(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024171245
(43)【公開日】2024-12-11
(54)【発明の名称】設計支援装置、設計支援プログラム及び設計支援方法
(51)【国際特許分類】
G06F 30/13 20200101AFI20241204BHJP
G06F 30/12 20200101ALI20241204BHJP
【FI】
G06F30/13
G06F30/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023088217
(22)【出願日】2023-05-29
(71)【出願人】
【識別番号】523201627
【氏名又は名称】株式会社エムテイシー
(74)【代理人】
【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫
(72)【発明者】
【氏名】堀井 裕信
(72)【発明者】
【氏名】市野 洋平
【テーマコード(参考)】
5B146
【Fターム(参考)】
5B146AA04
5B146BA01
5B146DC06
5B146DG01
5B146DG07
5B146EC05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】設計モデルの法面を容易に設計変更できる設計支援装置、設計支援プログラム及び設計支援方法を提供することである。
【解決手段】設計支援装置は、法面を有する道路の三次元設計モデルの設計平面図を表示させ、設計平面図上で法面の領域が指定されると選択法面して受け付け、選択法面の領域を強調表示させ、選択法面を擁壁に置換及び/又は選択法面の勾配を修正するように三次元設計モデルを設計変更する。設計支援装置はまた、三次元設計モデルの二次元投影画像を表示させ、この二次元投影画像について道路の平面視方向から選択法面の傾斜方向を含む面で選択法面を切断する横断面図を表示させ、選択法面に対する設計変更が実行された後には、設計変更後の横断面図を表示させる。
【選択図】
図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置であって、
法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画部と、
表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付部と、
前記選択法面を擁壁に置換するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更部と、
前記設計平面図描画部に前記土工構造物の平面図を表示させ、前記選択法面受付部で前記選択法面を受け付けると、前記設計変更部に受け付けた前記選択法面を前記設計変更させる動作を制御する制御部とを備えることを特徴とする設計支援装置。
【請求項2】
土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置であって、
法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画部と、
表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付部と、
前記選択法面の変更後の勾配である変更勾配を受け付ける変更勾配受付部と、
前記選択法面の勾配を前記変更勾配に変更するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更部と、
前記設計平面図描画部に前記土工構造物の平面図を表示させ、前記選択法面受付部で前記選択法面を受け付け前記変更勾配受付部で前記変更勾配を受け付けると、前記設計変更部に受け付けた前記選択法面を前記設計変更させる動作を制御する制御部とを備えることを特徴とする設計支援装置。
【請求項3】
前記三次元設計モデルを任意の投影点から見た該三次元設計モデルの二次元投影画像を表示させる投影画像描画部と、
前記投影点の三次元座標である投影点座標を受け付ける投影点座標受付部と、
表示される前記二次元投影画像について前記土工構造物の平面視方向から前記選択法面の傾斜方向を含む面で前記選択法面を切断するように設定される横断線を受け付ける横断線受付部と、
前記土工構造物の平面視方向から前記横断線に沿って前記選択法面を切断する横断面図を表示させる横断面図描画部とを有し、
前記制御部は、
前記投影点座標受付部で前記投影点座標を受け付けると、受け付けた前記投影点座標から見た前記三次元設計モデルの前記二次元投影画像を前記投影画像描画部に表示させ、前記横断線受付部で前記横断線を受け付けると、前記横断面図描画部に前記横断面図を表示させるように制御し、
前記設計変更部により前記選択法面の前記設計変更が実行された後には、該設計変更後の前記横断面図が表示されることを特徴とする請求項1又は2に記載の設計支援装置。
【請求項4】
表示される前記土工構造物の平面図において前記選択法面の領域を強調表示させる選択法面強調部と、
前記選択法面の前記設計変更を開始させる設計変更開始指示を受け付ける変更開始指示受付部とを有し、
前記制御部は、
前記選択法面受付部が前記選択法面を受け付けると、前記選択法面強調部が前記選択法面の領域を強調表示させ、
該強調表示させた後、前記変更開始指示受付部が前記設計変更開始指示を受け付けると、前記設計変更部が前記選択法面を前記設計変更させるように制御することを特徴とする請求項3に記載の設計支援装置。
【請求項5】
前記選択法面を前記設計変更させる前の前記三次元設計モデルに復元する選択法面復元部と、
復元指示を受け付ける復元指示受付部とを有し、
前記制御部は、
前記復元指示受付部が前記復元指示を受け付けると、前記選択法面復元部が前記設計変更前の前記選択法面に戻すように前記三次元設計モデルを復元させることを特徴とする請求項4に記載の設計支援装置。
【請求項6】
土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置で動作する設計支援プログラムであって、
法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画処理と、
表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付処理と、
前記選択法面を擁壁に置換するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更処理とを含み、
前記設計平面図描画処理で前記土工構造物の平面図を表示させた後に、前記選択法面受付処理で前記選択法面を受け付けると、前記設計変更処理により受け付けた前記選択法面を前記設計変更することを特徴とする設計支援プログラム。
【請求項7】
土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置で動作する設計支援プログラムであって、
法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画処理と、
表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付処理と、
前記選択法面の変更後の勾配である変更勾配を受け付ける変更勾配受付処理と、
前記選択法面の勾配を前記変更勾配に変更するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更処理とを含み、
前記設計平面図描画処理で前記土工構造物の平面図を表示させた後に、前記選択法面受付処理で前記選択法面を受け付け前記変更勾配受付処理で前記変更勾配を受け付けると、前記設計変更処理により受け付けた前記選択法面を前記設計変更することを特徴とする設計支援プログラム。
【請求項8】
前記三次元設計モデルを任意の投影点から見た該三次元設計モデルの二次元投影画像を表示させる投影画像描画処理と、
前記投影点の三次元座標である投影点座標を受け付ける投影点座標受付処理と、
表示される前記二次元投影画像について前記土工構造物の平面視方向から前記選択法面の傾斜方向を含む面で前記選択法面を切断するように設定される横断線を受け付ける横断線受付処理と、
前記土工構造物の平面視方向から前記横断線に沿って前記選択法面を切断する横断面図を表示させる横断面図描画処理とを含み、
前記投影点座標受付処理で前記投影点座標を受け付けると、受け付けた前記投影点座標から見た前記三次元設計モデルの前記二次元投影画像を前記投影画像描画処理により表示させ、前記横断線受付処理で前記横断線を受け付けると、前記横断面図描画処理により前記横断面図を表示させるように動作し、
前記設計変更処理で前記選択法面の前記設計変更が実行された後には、該設計変更後の前記横断面図が表示されることを特徴とする請求項6又は7に記載の設計支援プログラム。
【請求項9】
表示される前記土工構造物の平面図において前記選択法面の領域を強調表示させる選択法面強調処理と、
前記選択法面の前記設計変更を開始させる設計変更開始指示を受け付ける変更開始指示受付処理とを有し、
前記選択法面受付処理で前記選択法面を受け付けると、前記選択法面強調処理により前記選択法面の領域を強調表示させ、
該強調表示させた後、前記変更開始指示受付処理で前記設計変更開始指示を受け付けると、前記設計変更処理により前記選択法面を前記設計変更することを特徴とする請求項8に記載の設計支援プログラム。
【請求項10】
前記選択法面を前記設計変更する前の前記三次元設計モデルに復元する選択法面復元処理と、
復元指示を受け付ける復元指示受付処理とを有し、
前記復元指示受付処理で前記復元指示を受け付けると、前記選択法面復元処理により前記設計変更前の前記選択法面に戻すように前記三次元設計モデルを復元することを特徴とする請求項9に記載の設計支援プログラム。
【請求項11】
土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置に用いられる設計支援方法であって、
法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画ステップと、
表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付ステップと、
前記選択法面を擁壁に置換するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更ステップとを含み、
前記設計平面図描画ステップで前記土工構造物の平面図を表示させた後に、前記選択法面受付ステップで前記選択法面を受け付けると、前記設計変更ステップにより受け付けた前記選択法面を前記設計変更することを特徴とする設計支援方法。
【請求項12】
土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置に用いられる設計支援方法であって、
法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画ステップと、
表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付ステップと、
前記選択法面の変更後の勾配である変更勾配を受け付ける変更勾配受付ステップと、
前記選択法面の勾配を前記変更勾配に変更するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更ステップとを含み、
前記設計平面図描画ステップで前記土工構造物の平面図を表示させた後に、前記選択法面受付ステップで前記選択法面を受け付け前記変更勾配受付ステップで前記変更勾配を受け付けると、前記設計変更ステップにより受け付けた前記選択法面を前記設計変更することを特徴とする設計支援方法。
【請求項13】
前記三次元設計モデルを任意の投影点から見た該三次元設計モデルの二次元投影画像を表示させる投影画像描画ステップと、
前記投影点の三次元座標である投影点座標を受け付ける投影点座標受付ステップと、
表示される前記二次元投影画像について前記土工構造物の平面視方向から前記選択法面の傾斜方向を含む面で前記選択法面を切断するように設定される横断線を受け付ける横断線受付ステップと、
前記土工構造物の平面視方向から前記横断線に沿って前記選択法面を切断する横断面図を表示させる横断面図描画ステップとを含み、
前記投影点座標受付ステップで前記投影点座標を受け付けると、受け付けた前記投影点座標から見た前記三次元設計モデルの前記二次元投影画像を前記投影画像描画ステップにより表示させ、前記横断線受付ステップで前記横断線を受け付けると、前記横断面図描画ステップが前記横断面図を表示させ、
前記設計変更ステップにより前記選択法面の前記設計変更が実行された後には、該設計変更後の前記横断面図が表示されることを特徴とする請求項11又は12に記載の設計支援方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置、設計支援プログラム及び設計支援方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
道路、鉄道の線路、堤防などの土工構造物が現況地形よりも高い位置に構築される場合には、現況地形に土を盛るいわゆる盛土がされ、その盛土の上に土工構造物が建設される。また、土工構造物が現況地形よりも低い位置に構築される場合、現況地形を掘削するいわゆる切土がされ、掘削された部分に土工構造物が造られる。盛土の施工には土を購入して運搬する費用が発生し、切土の施工には切り出した土を運搬し廃棄する費用が発生する。このように、盛土及び切土のいずれの施工もコストを押し上げる要因となる。現況地形と高低差のある場所に道路などの土工構造物が建設される場合、その土工構造物の側方には傾斜面の法面が設けられ、この法面を介して現況地形と接続する構造を採用することが多い。土工構造物の設計の際、法面の範囲が広くなると盛土あるいは切土の領域が広がり施工費用の上昇につながるため、設計した法面を擁壁に置き換えたり、法面の勾配を変更したりして、擁壁や勾配変更後の法面が現況地形と接続するように設計変更する作業が行われる。擁壁は壁状の構造をしており、高低差のある土地で側面の土が崩れるのを防ぐために設置される。
【0003】
土工構造物の設計には、設計支援ソフトウェアが用いられており、法面を擁壁に設計変更する従来の手法として、法面と現況地形との接続位置となる図面上のすべての設計点を、擁壁と現況地形の接続位置に移動させるように数値変更する作業が行われている。しかし、この手法では、設計変更に要する作業量が多く、手間がかかるため、擁壁を効率的に設計できる下記特許文献1に記載の擁壁設計装置や擁壁設計プログラムが提案され知られている。
【0004】
この擁壁設計装置では、まず、三次元道路モデルにおいて法面から擁壁に設計変更する擁壁の配置区間を特定し、その後、この配置区間を対象として擁壁を配置するための基準線を設定する。このような設定を行うことにより、その基準線に沿って擁壁が設計される仕組みになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
設計者からの要望として、どの法面を設計変更するかの選択にあたり、法面を有する土工構造物の設計モデルの平面図を参照して、用地が広すぎるなどと感じる法面を直接的に選択して擁壁に変更したり、その法面の勾配を変更したりしたいという要望がある。しかしながら、特許文献1に記載の擁壁設計装置や擁壁設計プログラムでは、擁壁の配置区間を特定し、擁壁を配置するための基準線を設定する必要があり、法面を直接選択して擁壁に変更したいという設計者の要望に対応できていなかった。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、設計モデルの法面を容易に設計変更できる設計支援装置、設計支援プログラム及び設計支援方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
かかる課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置であって、法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画部と、表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付部と、前記選択法面を擁壁に置換するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更部と、前記設計平面図描画部に前記土工構造物の平面図を表示させ、前記選択法面受付部で前記選択法面を受け付けると、前記設計変更部に受け付けた前記選択法面を前記設計変更させる動作を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
請求項2に係る発明は、土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置であって、法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画部と、表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付部と、前記選択法面の変更後の勾配である変更勾配を受け付ける変更勾配受付部と、前記選択法面の勾配を前記変更勾配に変更するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更部と、前記設計平面図描画部に前記土工構造物の平面図を表示させ、前記選択法面受付部で前記選択法面を受け付け前記変更勾配受付部で前記変更勾配を受け付けると、前記設計変更部に受け付けた前記選択法面を前記設計変更させる動作を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載の構成に加えて、前記三次元設計モデルを任意の投影点から見た該三次元設計モデルの二次元投影画像を表示させる投影画像描画部と、前記投影点の三次元座標である投影点座標を受け付ける投影点座標受付部と、表示される前記二次元投影画像について前記土工構造物の平面視方向から前記選択法面の傾斜方向を含む面で前記選択法面を切断するように設定される横断線を受け付ける横断線受付部と、前記土工構造物の平面視方向から前記横断線に沿って前記選択法面を切断する横断面図を表示させる横断面図描画部とを有し、前記制御部は、前記投影点座標受付部で前記投影点座標を受け付けると、受け付けた前記投影点座標から見た前記三次元設計モデルの前記二次元投影画像を前記投影画像描画部に表示させ、前記横断線受付部で前記横断線を受け付けると、前記横断面図描画部に前記横断面図を表示させるように制御し、前記設計変更部により前記選択法面の前記設計変更が実行された後には、該設計変更後の前記横断面図が表示されることを特徴とする。
【0011】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の構成に加えて、表示される前記土工構造物の平面図において前記選択法面の領域を強調表示させる選択法面強調部と、前記選択法面の前記設計変更を開始させる設計変更開始指示を受け付ける変更開始指示受付部とを有し、前記制御部は、前記選択法面受付部が前記選択法面を受け付けると、前記選択法面強調部が前記選択法面の領域を強調表示させ、該強調表示させた後、前記変更開始指示受付部が前記設計変更開始指示を受け付けると、前記設計変更部が前記選択法面を前記設計変更させるように制御することを特徴とする。
【0012】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の構成に加えて、前記選択法面を前記設計変更させる前の前記三次元設計モデルに復元する選択法面復元部と、復元指示を受け付ける復元指示受付部とを有し、前記制御部は、前記復元指示受付部が前記復元指示を受け付けると、前記選択法面復元部が前記設計変更前の前記選択法面に戻すように前記三次元設計モデルを復元させることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置で動作する設計支援プログラムであって、法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画処理と、表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付処理と、前記選択法面を擁壁に置換するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更処理とを含み、前記設計平面図描画処理で前記土工構造物の平面図を表示させた後に、前記選択法面受付処理で前記選択法面を受け付けると、前記設計変更処理により受け付けた前記選択法面を前記設計変更することを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置で動作する設計支援プログラムであって、法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画処理と、表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付処理と、前記選択法面の変更後の勾配である変更勾配を受け付ける変更勾配受付処理と、前記選択法面の勾配を前記変更勾配に変更するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更処理とを含み、前記設計平面図描画処理で前記土工構造物の平面図を表示させた後に、前記選択法面受付処理で前記選択法面を受け付け前記変更勾配受付処理で前記変更勾配を受け付けると、前記設計変更処理により受け付けた前記選択法面を前記設計変更することを特徴とする。
【0015】
請求項8に係る発明は、請求項6又は7に記載の構成に加えて、前記三次元設計モデルを任意の投影点から見た該三次元設計モデルの二次元投影画像を表示させる投影画像描画処理と、前記投影点の三次元座標である投影点座標を受け付ける投影点座標受付処理と、表示される前記二次元投影画像について前記土工構造物の平面視方向から前記選択法面の傾斜方向を含む面で前記選択法面を切断するように設定される横断線を受け付ける横断線受付処理と、前記土工構造物の平面視方向から前記横断線に沿って前記選択法面を切断する横断面図を表示させる横断面図描画処理とを含み、前記投影点座標受付処理で前記投影点座標を受け付けると、受け付けた前記投影点座標から見た前記三次元設計モデルの前記二次元投影画像を前記投影画像描画処理により表示させ、前記横断線受付処理で前記横断線を受け付けると、前記横断面図描画処理により前記横断面図を表示させるように動作し、前記設計変更処理で前記選択法面の前記設計変更が実行された後には、該設計変更後の前記横断面図が表示されることを特徴とする。
【0016】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の構成に加えて、表示される前記土工構造物の平面図において前記選択法面の領域を強調表示させる選択法面強調処理と、前記選択法面の前記設計変更を開始させる設計変更開始指示を受け付ける変更開始指示受付処理とを有し、前記選択法面受付処理で前記選択法面を受け付けると、前記選択法面強調処理により前記選択法面の領域を強調表示させ、該強調表示させた後、前記変更開始指示受付処理で前記設計変更開始指示を受け付けると、前記設計変更処理により前記選択法面を前記設計変更することを特徴とする。
【0017】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の構成に加えて、前記選択法面を前記設計変更する前の前記三次元設計モデルに復元する選択法面復元処理と、復元指示を受け付ける復元指示受付処理とを有し、前記復元指示受付処理で前記復元指示を受け付けると、前記選択法面復元処理により前記設計変更前の前記選択法面に戻すように前記三次元設計モデルを復元することを特徴とする。
【0018】
請求項11に記載の発明は、土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置に用いられる設計支援方法であって、法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画ステップと、表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付ステップと、前記選択法面を擁壁に置換するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更ステップとを含み、前記設計平面図描画ステップで前記土工構造物の平面図を表示させた後に、前記選択法面受付ステップで前記選択法面を受け付けると、前記設計変更ステップにより受け付けた前記選択法面を前記設計変更することを特徴とする。
【0019】
請求項12に記載の発明は、土工構造物の三次元設計モデルを設計する設計支援装置に用いられる設計支援方法であって、法面を有する土工構造物の三次元設計モデルを用いて前記土工構造物の平面図を表示させる設計平面図描画ステップと、表示される前記土工構造物の平面図上で前記法面の領域が指定されることにより選択される選択法面を受け付ける選択法面受付ステップと、前記選択法面の変更後の勾配である変更勾配を受け付ける変更勾配受付ステップと、前記選択法面の勾配を前記変更勾配に変更するように前記三次元設計モデルを設計変更する設計変更ステップとを含み、前記設計平面図描画ステップで前記土工構造物の平面図を表示させた後に、前記選択法面受付ステップで前記選択法面を受け付け前記変更勾配受付ステップで前記変更勾配を受け付けると、前記設計変更ステップにより受け付けた前記選択法面を前記設計変更することを特徴とする。
【0020】
請求項13に係る発明は、請求項11又は12に記載の構成に加えて、前記三次元設計モデルを任意の投影点から見た該三次元設計モデルの二次元投影画像を表示させる投影画像描画ステップと、前記投影点の三次元座標である投影点座標を受け付ける投影点座標受付ステップと、表示される前記二次元投影画像について前記土工構造物の平面視方向から前記選択法面の傾斜方向を含む面で前記選択法面を切断するように設定される横断線を受け付ける横断線受付ステップと、前記土工構造物の平面視方向から前記横断線に沿って前記選択法面を切断する横断面図を表示させる横断面図描画ステップとを含み、前記投影点座標受付ステップで前記投影点座標を受け付けると、受け付けた前記投影点座標から見た前記三次元設計モデルの前記二次元投影画像を前記投影画像描画ステップにより表示させ、前記横断線受付ステップで前記横断線を受け付けると、前記横断面図描画ステップが前記横断面図を表示させ、前記設計変更ステップにより前記選択法面の前記設計変更が実行された後には、該設計変更後の前記横断面図が表示されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
請求項1、6及び11の発明によれば、土工構造物の三次元設計モデルを用いて土工構造物の平面図が表示され、その平面図上で選択される法面が擁壁に置換されるように三次元設計モデルが変更される。このように、三次元設計モデルの法面を直接的に選択して容易に擁壁に設計変更できる。
【0022】
請求項2、7及び12の発明によれば、土工構造物の三次元設計モデルを用いて土工構造物の平面図が表示され、その平面図上で選択される法面の勾配が変更勾配に修正されるように三次元設計モデルが変更される。このように、三次元設計モデルの法面を直接的に選択して容易に勾配を設計変更できる。
【0023】
請求項3、8及び13の発明によれば、三次元設計モデルの二次元投影画像が表示され、二次元投影画像上で法面を切断する横断線を設定すると、その横断線に沿って横断面図が表示される。このように、三次元設計モデルの横断面図を容易に表示させることができる。また、法面が設計変更された後には、設計変更後の横断面図が表示できる。
【0024】
請求項4及び9の発明によれば、変更される法面が強調表示されるため、目視で容易に確認でき、誤った設計変更を防止できる。
【0025】
請求項5及び10の発明によれば、設計変更した後でも変更前の法面に復元できるため、設計者は、設計変更をやり直すことできるという安心感を持って設計できる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】この発明の実施の形態に係る設計支援装置と数値地図提供サーバが通信回線で接続された構成を示すシステム概略図である。
【
図2】同実施の形態に係る設計支援装置の機能ブロック概略図である。
【
図3】同実施の形態に係る設計支援装置による道路の設計過程を示す図であり、(a)は現況地形に道路線形を設定した概略図、(b)は車道、路肩、歩道を設定した概略図である。
【
図4】同実施の形態に係る設計支援装置による道路の設計過程を示す図であり、(a)は現況縦断面図に縦断線形を設定した概略図、(b)は法面を設定した概略図である。
【
図5】同実施の形態に係る設計支援装置による道路の設計過程における概略横断面図である。
【
図6】同実施の形態に係る設計支援装置による道路の設計過程において、法面を含む三次元設計モデルの作成方法の一例を説明する図である。
【
図7】同実施の形態に係る設計支援装置による道路の設計過程において、道路の三次元設計モデルを二次元投影画像で表示した概略図である。
【
図8】同実施の形態に係る設計支援装置による道路の設計過程を示す図であり、(a)は二次元投影画像に設定された横断線を示す概略図、(b)は横断線に沿って切断した道路の横断面図を示す概略図である。
【
図9】同実施の形態に係る設計支援装置による道路の設計過程において、選択法面が強調表示されている道路の平面図(設計平面図)を示す概略図である。
【
図10】同実施の形態に係る設計支援装置による道路の設計過程において、選択法面の設計変更入力画面を示す概略図である。
【
図11】同実施の形態に係る設計支援装置による道路の設計過程を示す図であり、(a)は選択法面が擁壁に設計変更された三次元設計モデルの二次元投影画像の概略図、(b)は横断線に沿って切断した道路の横断面図を示す概略図である。
【
図12】同実施の形態に係る設計支援装置において道路の三次元設計モデルを作成する流れを説明する概略図である。
【
図13】同実施の形態に係る設計支援装置において道路の三次元設計モデルの法面を選択して擁壁に設計変更する流れを説明する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
この発明の実施の形態について、
図1~
図13を用いて説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施の形態に係る設計支援装置1と数値地図提供サーバ2が通信回線9で接続された構成を示すシステム概略図である。
【0029】
設計支援装置1は、道路、鉄道の線路、堤防などの土工構造物の設計に用いられ、設計される土工構造物の設計データに基づいて三次元設計モデル82を設計及び構成する装置である。道路などの土工構造物は、数値地図提供サーバ2から取得される数値地
図60を用いて構成される現況地形72の上に設計される。本実施の形態では、道路の設計を例にとって説明するが、この形態に限定されることなく適宜変更可能である。例えば、線路や堤防、トンネルの出入口、橋梁の土台部分などの土工構造物の設計にも適用可能である。
【0030】
数値地図提供サーバ2は、国土地理院などが作成した数値地
図60を購入できるサーバであり、設計支援装置1に限らず、誰でも数値地図提供サーバ2にアクセスして数値地
図60の提供を受けることができる。数値地
図60には、地図情報、メッシュ標高情報、地名情報などがデジタル形式の情報として含まれる。地図情報は高精度の地理空間情報を含み、メッシュ標高情報は、例えば、5mメッシュ標高、10mメッシュ標高の情報を含み、地名情報には、居住地名、自然地名、公共施設、信号交差点などのデータが含まれる。また、数値地
図60は、数値地図提供サーバ2において最新の情報に更新が繰り返される。この数値地
図60には、地図情報と地図上の各点の標高情報が含まれるため、これらのデータを用いて、数値地
図60作成時点の地形図である現況地形72が三次元デジタルデータとして構成される。
【0031】
設計支援装置1と数値地図提供サーバ2とを接続する通信回線9には、インターネット等が用いられる。
【0032】
なお、
図1には、設計者が使用するPC(Personal Computer)に設計支援プログラムをインストールして設計支援装置1を構成する例を示しているが、このような実施形態に限定されず、設計支援装置1をサーバとして構成し、設計者がこのサーバにアクセスして土工構造物の設計を行うようにしてもよい。
【0033】
図2は、設計支援装置1の機能ブロック概略図である。設計支援装置1で道路を設計する際には、設計支援プログラムを動作させて、路面71や法面69などの道路の横断面形状を設定し、現況地形72の上に道路の経路(道路線形61)を設定する。続いて、道路の経路(道路線形61)に沿う縦断面の高さを設定する。このような設定を行うことにより、道路が設計され、その設計データに基づいて三次元設計モデル82が構成される。
【0034】
この設計支援装置1は、制御部10、補助記憶手段12、入力部14、数値地図要求部16、数値地図受付部18、表示部20、路面法面情報受付部22、道路線形受付部24、縦断線形受付部26、道路設計データ構成部27、三次元設計モデル構成部28、三次元設計モデル記憶部30、投影点座標受付部32、投影画像描画部34、横断線受付部36、横断面図描画部38、設計平面図描画部40、選択法面受付部42、選択法面強調部43、変更種別受付部44、変更勾配受付部45、変更開始指示受付部46、設計変更前設計モデル記憶部48、設計変更部50、復元指示受付部52、選択法面復元部54、通信部56を含むように構成されている。
【0035】
制御部10は、図示しないCPU(Central Processing Unit)、揮発性メモリのRAM(Random Access Memory)を含むように構成される。CPUは、設計支援プログラムやその他のプログラムの実行、演算処理、この設計支援装置1を構成する各要素の制御などを行う。RAMは、CPUによるプログラムの実行や演算処理のワークエリアとして使用される。
【0036】
補助記憶手段12には、道路を設計しその道路の三次元設計モデル82を構成する設計支援プログラムやCPUが実行するその他のプログラム、それらのプログラムで用いられる登録データ、設計支援プログラムを用いて設計された道路の設計データなどが記憶される。補助記憶手段12には、不揮発性記憶装置で構成され、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などが用いられる。
【0037】
入力部14は、設計者が設計支援装置1に入力を行うための入力装置で構成され、キーボードやマウス、タッチパネルなどが用いられる。
【0038】
数値地図要求部16は、制御部10の制御に基づいて、数値地図提供サーバ2に向けて道路を設計する領域の数値地
図60を要求する。数値地図受付部18は、数値地図提供サーバ2から提供される数値地
図60を構成するデータを受け付ける。受け付けた数値地
図60のデータは、補助記憶手段12に記憶され、制御部10により、この数値地
図60のデータに基づいて地形図である現況地形72が三次元デジタルデータとして構成される。
【0039】
なお、この数値地図要求部16と数値地図受付部18を、設計支援装置1の機能ブロック図に含めない構成を採用してもよい。この場合、あらかじめ、PCのウェブブラウザ(PC等を利用してWebサーバに接続するためのソフトウェア)を用いて数値地図提供サーバ2にアクセスし数値地
図60のデータを取得したり、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)等の記録媒体に記録されている数値地
図60のデータをPCに接続される光ディスクドライブで読み取ったりして、補助記憶手段12に記憶させておく。また、測量業務や紙の地形図から数値地
図60のデータを作成して、補助記憶手段12に記憶させるようにしてもよい。その後、設計支援装置1では補助記憶手段12に記憶されている数値地
図60のデータが用いられて設計が行われることになる。
【0040】
表示部20は、設計データや三次元設計モデル82などを表示するための表示装置で構成され、タッチパネル付きLCD(Liquid Crystal Display)や有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの表示デバイスが用いられる。
【0041】
路面法面情報受付部22は、制御部10の制御に基づいて、設計者が入力部14から入力する道路の横断面形状の設定値を受け付ける。道路の横断面形状の設定値として、例えば、道路の左右の車道64の幅員、左右の路肩65の幅員、左右の歩道66の幅員、道路の側方に設けられる左右の法面69の勾配、法面69の一段の高さ(直高)、高さの高い位置から低い位置へと複数段の法面69が建設される際の法面69間を接続する水平部である小段70の幅などが入力される。
【0042】
道路線形受付部24は、設計者が入力部14から入力する道路の設計経路である道路線形61を受け付ける。設計者は、表示部20に現況地形72の平面図を表示させて、その平面図上で道路線形61を設定する。
【0043】
図3(a)は、現況地形72に道路線形61を設定した概略図である。道路線形61には、No.17、No.18、No.19などの番号が割り振られた測点62と呼ばれる設計管理点が所定間隔で自動的に設定される。測点62の間隔は、あらかじめ設定されており、例えば、20m間隔となる。測点62の間隔の設定は、変更可能であり、また、道路線形61の曲率半径に応じて間隔を変化させることもできる。例えば、曲率半径が1000m以上のとき20m、曲率半径が1000m~200mのとき20m、曲率半径が200m~100mのとき10m、曲率半径が100m~50mのとき5m、曲率半径が50m~20mのとき2m、曲率半径が20m以上のとき1mとなるように、測点62の間隔を変化させるようにしてもよい。道路線形61と直交して測点62を通過する直線を管理断面線63とし、設計した道路の平面視方向からこの管理断面線63に沿って切断した横断面図を管理断面図として発注元に納入する場合がある。
【0044】
図3(b)は、道路線形61を中心線として車道64、路肩65及び歩道66を追加するように設計された概略図である。車道64や歩道66等は、路面法面情報受付部22で受け付けられた道路の横断面形状の設定値に基づいて自動的に設計される。また、この図には、測点62ごとに管理断面線63が表示されている。
【0045】
図2に示す縦断線形受付部26は、設計者が入力部14から入力する道路の高さの設計値となる縦断線形68を受け付ける。縦断線形68は、道路線形61に沿って現況地形72の平面視方向から切断したときの縦断面として表示される道路の高さの設計値を結ぶ線である。
【0046】
図4(a)は、現況縦断面
図67に縦断線形68を設定した概略図である。現況縦断面
図67は、道路線形61に沿って現況地形72の平面視方向から現況地形72を切断した断面図である。縦断線形68が、現況縦断面
図67より高い位置にある部分では現況地形72に盛土がされて道路が建設される。また、縦断線形68が、現況縦断面
図67より低い部分では現況地形72を掘削して道路が建設される。
【0047】
縦断線形68が設定されると、道路の高さの設計値が決定されるため、道路の側方に現況地形72に接続するように設けられる法面69の設計も行われる。この法面69の設計は、道路の横断面形状の設定値に基づいて自動的に行われる。
【0048】
図4(b)は、法面69を追加するように設計された概略図である。左右の歩道66の両側に法面69が設けられており、道路の路面71と現況地形72との高さの差が、設定されている法面69の一段の高さ(直高)よりも高い区間では複数段の法面69が設計される。また、複数段の法面69を接続するように小段70が設計される。
【0049】
図5は、管理断面線63に沿って切断した管理断面図の概略図である。路面71の両側の側方に法面69が設計されており、高さ方向に複数段設計されている法面69が小段70を介して接続されている。なお、設計された道路の横断面は計画横断面73と呼ばれ、現況地形72の横断面は現況横断面74と呼ばれる。
【0050】
図2に示す道路設計データ構成部27は、路面法面情報受付部22、道路線形受付部24及び縦断線形受付部26で受け付けた設定データに基づいて、道路の設計データを構成する。構成された道路の設計データは補助記憶手段12に記憶される。
【0051】
三次元設計モデル構成部28は、道路の設計データに基づいて三次元設計モデル82を構成する。
【0052】
図6は、法面69を含む道路の三次元設計モデル82の作成方法の一例を説明する図である。この図では、道路の路面71の左右両側に法面69が設計される様子が示されており、紙面に向かって右側の法面69が現況地形72を切土して建設され、紙面に向かって左側の法面69が現況地形72に盛土をして建設されるように設計されている。
【0053】
まず、測点62を通過して道路線形61と直交する直線である管理断面線63を土工構造物である道路に投影し、投影されたこの管理断面線63で路面71や法面69を仮想的な平面として分割する。
【0054】
路面71については、この仮想的に分割した平面を三次元設計モデル82の路面71を構成する要素として用いる。
【0055】
法面69については、管理断面線63により仮想的に分割された平面ごとに、この平面を法面69の傾斜方向と直交する方向に所定幅の細長い短冊形状となる小平面に分割する。以下、この仮想的に分割された小平面を法面構成小平面80と称する。すなわち、複数の法面構成小平面80を法面69の傾斜方向に沿って配列することにより、管理断面線63によって仮想的に分割された法面69が形成される。この法面構成小平面80を三次元設計モデル82の法面69を構成する要素として用いる。また、法面69と現況地形72との境界部分を構成するために、法面69の傾斜方向に沿って法面69が延伸するように法面構成小平面80を追加して配列させた延伸法面のデータを作成する。
【0056】
次に、道路設計前の現況地形72をメッシュ状に分割して平面を当てはめていく。この現況地形72に当てはめたメッシュ状の平面を、以下、現況地形メッシュ平面81と称する。このような処理を行うことにより、現況地形72が現況地形メッシュ平面81からなる複数の平面の集合として表現される。この現況地形メッシュ平面81を三次元設計モデル82の現況地形72を構成する要素として用いる。
【0057】
そして、作成した延伸法面のデータに含まれる法面構成小平面80と現況地形72の現況地形メッシュ平面81との交線を算出し、この交線を三次元設計モデル82の法面69と現況地形72との境界を構成する要素として用いる。
【0058】
最後に、現況地形72の上に道路が設計されている部分では、路面71と法面69を構成する要素を採用し、道路が設計されていない部分では、現況地形72を示す現況地形メッシュ平面81を採用するようにして、三次元設計モデル82を構成する。
【0059】
また、三次元設計モデル82の法面69を構成する法面構成小平面80などの各要素は、法面69ごとに対応付けがされ、各要素にはどの法面69を構成しているかの情報が付加される。要素を法面69に紐づけるこの情報により、ある法面69が指定されると、その法面69を構成する三次元設計モデル82のすべての要素を抽出できるようになっている。
【0060】
図2に示す三次元設計モデル記憶部30は、三次元設計モデル構成部28で構成された三次元設計モデル82の構成データを記憶する。
【0061】
投影点座標受付部32は、三次元設計モデル82を二次元投影画像83として表示部20に表示させる際の投影点の座標を受け付ける。この投影点の三次元座標は、設計者により入力部14から入力される。
【0062】
投影画像描画部34は、投影点座標受付部32で受け付けた投影点座標から見た三次元設計モデル82の二次元投影画像83を表示部20に表示させる。
図7は道路の三次元設計モデル82を二次元投影画像83で表示した概略図である。投影点座標を任意に変化させることにより、任意の投影点から見た三次元設計モデル82の二次元投影画像83が表示される。
【0063】
横断線受付部36は、道路の横断面の表示位置を指定する横断線75を受け付ける。横断線75の入力は、設計者により入力部14から行われる。横断線75は、表示される二次元投影画像83について道路の平面視方向から選択法面85の傾斜方向を含む面で選択法面85を切断するように設定される。
図8(a)は、二次元投影画像83に設定された横断線75を示す概略図である。横断線75は、道路線形61と直交して測点62を通過する直線である管理断面線63と平行になる。このため、この横断線75として、測点62や管理断面線63を指定するようにしてもよい。また、道路の任意の断面が表示されるように、任意の方向の横断線75を指定するようにしてもよい。
【0064】
横断面図描画部38は、横断線受付部36で受け付けた横断線75に沿って道路の平面視方向から切断した横断面を表示部20に表示させる。
図8(b)は、
図8(a)に示した横断線75に沿って切断した道路の横断面図を示す概略図である。路面71、法面69、小段70により構成される計画横断面73と現況地形72により構成される現況横断面74が表示されている。
【0065】
制御部10は、投影点座標受付部32で投影点座標を受け付けると、投影画像描画部34に受け付けた投影点座標から見た三次元設計モデル82の二次元投影画像83を表示させ、横断線受付部36で横断線75を受け付けると、横断面図描画部38に横断面図を表示させるように制御する。
【0066】
設計平面図描画部40は、法面69を有する道路の三次元設計モデル82を用いてその道路の平面図を表示部20に表示させる。このように三次元設計モデル82を用いて表示される道路の平面図を、以下、設計平面
図84と称する。設計者が、設計平面
図84を表示させる指示を入力部14に入力したり、投影点座標受付部32に設計平面
図84を表示させる座標が受け付けられたりすると、制御部10の制御に基づいて、設計平面図描画部40が設計平面
図84を表示する。
【0067】
選択法面受付部42は、設計平面図描画部40により表示される道路の設計平面
図84上で法面69の領域が指定されることにより選択される選択法面85を受け付ける。設計者は、法面69を擁壁86に変更したり、その法面69の勾配を変更したりする領域について設計平面
図84上をクリックするなどして指定する。このように指定された法面69が選択法面85となる。
【0068】
選択法面強調部43は、選択法面受付部42で受け付けた選択法面85の設計平面
図84上の領域を強調表示する。強調表示の態様として、例えば、選択法面85の領域を太線の縁取りで表示したり、その選択法面85の領域を黒色で縁取り表示したり、その領域をハッチング表示したり、その領域に赤色などの色彩を付したり、その領域を周囲に比べて拡大して表示したりする等、選択法面85の領域がその周囲の領域に比べて視覚的に明確に識別できるような表示方法として実現される。
【0069】
図9は、選択法面85が強調表示されている道路の設計平面
図84を示す概略図である。設計平面図描画部40により表示される道路の設計平面
図84には、図中の路面71の下側の領域に三段の法面69が設計されている。現況地形72に接続する法面69を1段目、小段70を介して路面71側に設計されている法面69を2段目、さらに小段70を介して路面71に接続する法面69を3段目とすると、選択法面受付部42により2段目の法面69が選択法面85として受け付けられた状態が示されている。この例では、この選択法面85が黒色の太線で縁取りすることにより強調表示されている。
【0070】
上述のように、三次元設計モデル82の法面69を構成する各要素は、法面69に紐づく情報を保持しているため、選択法面85が指定されると、その法面69を構成する三次元設計モデル82のすべての要素を取り出すことができ、選択法面85の領域が決定される。また、擁壁86等に設計変更する際には、選択法面85を構成するすべての要素が一括して擁壁86等に設計変更される。
【0071】
この選択法面85が擁壁86等に設計変更されることになるが、
図9に示すように選択法面85の全体を擁壁86等に変更する指定方法のほかに、道路線形61の延びる方向に沿って、区間を指定して選択法面85の一部区間を擁壁86等に変更するような指定方法を適用できるようにしてもよい。
【0072】
選択法面85が指定されると、制御部10の制御に基づいて、表示部20に設計変更入力画面90が表示される。
図10(a)は、選択法面85の設計変更入力画面90を示す概略図の一例である。この画面90の上部には、設計変更種別選択部91が設けられており、「擁壁に変更」選択ボタン92と「法面勾配の変更」選択ボタン93のいずれかを選択できる。「擁壁に変更」選択ボタン92が選択されると、選択法面85が擁壁86に置換されるように三次元設計モデル82が設計変更される。もう一方の「法面勾配の変更」選択ボタン93が選択されると、選択法面85の勾配が、変更勾配入力ボックス94に入力される勾配に修正されるように三次元設計モデル82が設計変更される。
【0073】
変更勾配入力ボックス94には、選択法面85の設計変更後の勾配である変更勾配が入力される。法面69を斜辺とする直角三角形を想定すると、鉛直方向の辺と水平方向の辺のなす角が直角となり、この直角に対向する斜辺が法面69となる。そして、この直角三角形の鉛直方向(高さ方向)の辺の長さを基準としたときの、水平方向の辺の長さの比率により、法面69の勾配が規定される。すなわち、鉛直方向の辺の長さを「1」(数字の1)、水平方向の辺の長さを「n」とすると、鉛直方向の辺の長さ:水平方向の辺の長さ=1:nとなり、この「n」が法面69の勾配となる。例えば、変更勾配入力ボックス94に「1.5」が入力される場合、鉛直方向の辺の長さ:水平方向の辺の長さ=1:1.5となる法面69の勾配が変更勾配として設定されることになる。
【0074】
この設計変更入力画面90の下部には、「設計変更」開始ボタン95と「キャンセル」ボタン96が配置されている。設計変更種別選択部91で変更種別が選択された後に、「設計変更」開始ボタン95が押下されると、選択法面85に対する設計変更が実行される。一方、「キャンセル」ボタン96が押下されると、選択法面85に対する設計変更は実行されず、選択法面85の選択が解除される。
【0075】
図2に示す変更種別受付部44は、選択法面85を擁壁86に置換するか、または、選択法面85の勾配を変更勾配に変更するかを示す設計変更種別を受け付ける。また、変更勾配受付部45は、制御部10の制御に基づいて、変更勾配を受け付ける。変更勾配は、選択法面85の勾配を設計変更する際の変更後の勾配である。変更開始指示受付部46は、選択法面85の設計変更を開始させる設計変更開始指示を受け付ける。
【0076】
図10(a)に示した選択法面85の設計変更入力画面90上で、設計者が設計変更種別選択部91の「擁壁に変更」選択ボタン92、または、「法面勾配の変更」選択ボタン93を選択すると、変更種別受付部44に設計変更種別が受け付けられる。また、変更勾配入力ボックス94に変更勾配が入力されると、変更勾配受付部45に受け付けられる。設計者が入力部14を操作して「設計変更」開始ボタン95を押下することにより、設計変更開始指示が入力され変更開始指示受付部46で受け付けられる。設計変更開始指示とは、選択法面85を擁壁86に置換したり、選択法面85の勾配を変更したりする設計変更を開始させる指示のことである。
【0077】
図10(b)は、選択法面85の設計変更入力画面98の別の例である。この設計変更入力画面98には、変更勾配入力ボックス99のみが設けられている。
【0078】
この変更勾配入力ボックス99には、変更勾配が入力されるが、入力される数値により、選択法面85を擁壁86に置換するか、または、選択法面85の勾配を変更勾配に変更するかを示す設計変更種別が選択されるようになっている。具体的には、変更勾配入力ボックス99に0以上1.0未満の数値が入力されると、選択法面85を擁壁86に置換する選択となり、1.0以上の数値が入力されると選択法面85の勾配を変更勾配に変更する選択となる。選択されたこの設計変更種別は、変更種別受付部44に受け付けられる。
【0079】
また、変更勾配入力ボックス99に1.0以上の数値となる変更勾配が入力されると、入力された変更勾配が変更勾配受付部45に受け付けられる。
【0080】
さらに、この変更勾配入力ボックス99に数値が入力されると、設計変更開始指示が発生するようになっており、この設計変更開始指示が変更開始指示受付部46に受け付けられ、選択法面85に対する設計変更が実行される。
【0081】
このように、変更勾配入力ボックス99に数値を入力するという一つの動作により、設計変更種別の選択、変更勾配の入力、及び、設計変更開始指示の入力がまとめて同時に行われる。設計者は、設計平面
図84上で選択法面85を指定して、変更勾配入力ボックス99に数値を入力する操作だけで、その選択法面85に対する設計変更を実行することができ、入力動作が削減され作業性が向上する。
【0082】
設計変更により三次元設計モデル82に変更を加える前に、変更前の三次元設計モデル82の構成データを
図2に示す設計変更前設計モデル記憶部48に記憶させる。設計変更後でも、元の三次元設計モデル82の状態に復元できるようにするための措置である。
【0083】
設計変更部50は、制御部10の制御に基づいて、選択法面85を擁壁86に置換したり、選択法面85の勾配を変更勾配に変更したりするように三次元設計モデル82を設計変更する。
【0084】
図11(a)は、選択法面85が擁壁86に設計変更された後の三次元設計モデル82を用いた二次元投影画像83の概略図である。この図では、選択法面85である2段目の法面69が削除され、代わりに擁壁86が設計されている。すなわち、選択法面85の路面71側の小段70との境界が擁壁86に変更されている。また、2段目の法面69が選択法面85に指定されているため、擁壁86への設計変更により、現況地形72側の1段目の法面69が削除され、1段目の法面69の領域には現況地形72が表示されている。
【0085】
三次元設計モデル82の選択法面85を擁壁86に変更する処理は以下に示すように、鉛直方向に延びる擁壁86が現況地形72に接続するように構成される。
【0086】
まず、選択法面85と小段70との境界から鉛直方向に延びる平面を求める。この平面を、隣り合う管理断面線63(
図6参照)の幅で仮想的に分割し、分割された平面ごとに、水平方向に所定幅の細長い短冊形状となる小平面に分割する。以下、この仮想的に分割された小平面を擁壁構成小平面87と称する。この擁壁構成小平面87を三次元設計モデル82の擁壁86を構成する要素として用いる。また、擁壁86と現況地形72との境界部分を構成するために、鉛直方向に擁壁86が延伸するように擁壁構成小平面87を追加して配列させた延伸擁壁のデータを作成する。
【0087】
次に、この延伸擁壁のデータに含まれる擁壁構成小平面87と現況地形72の現況地形メッシュ平面81との交線を算出し、この交線を三次元設計モデル82の擁壁86と現況地形72との境界を構成する要素として用いる。
【0088】
また、選択法面85が設計されていた領域では、現況地形72を示す現況地形メッシュ平面81を用いて三次元設計モデル82が構成される。
【0089】
三次元設計モデル82の擁壁86を構成する擁壁構成小平面87などの各要素は、擁壁86ごとに対応付けがされ、各要素にはどの擁壁86を構成しているかの情報が付加される。
【0090】
制御部10は、道路の三次元設計モデル82の設計平面
図84を設計平面図描画部40に表示させ、設計者の入力により選択法面受付部42で選択法面85を受け付けると、選択法面強調部43がその選択法面85の領域を強調表示させるように制御し、その後、変更開始指示受付部46が設計変更開始指示を受け付けると、設計変更部50が選択法面85を擁壁86に置換するように三次元設計モデル82を設計変更するように制御する。このようにして設計変更された三次元設計モデル82の構成データは、三次元設計モデル記憶部30に記憶される。また、選択法面85を擁壁86に設計変更した結果は、道路の設計データにも反映される。
【0091】
なお、擁壁86の勾配は鉛直方向に限らず、設計者が任意の勾配に設定できるようにしてもよい。また、擁壁86に変更する法面69の領域を
図11(a)に示すように選択法面85の路面71側の小段70との境界に設定してもよいし、これ以外にも、選択法面85の現況地形72側の境界を擁壁86に変更するように設定してもよい。
【0092】
図11(a)には、設計者により入力され、横断線受付部36で受け付けられる道路の横断面の表示位置を指定する横断線75が表示されている。
図11(b)は、この横断線75に沿って切断した道路の横断面図を示す概略図である。この横断面図は、横断面図描画部38により表示部20に表示される。擁壁86に変更される前の横断面図が示されている上述の
図8(b)と比較すると、
図11(b)に示される計画横断面73は、選択法面85である2段目の法面69と路面71側の小段70との境界に擁壁86が設計されている。
【0093】
上記の説明では、選択法面85を擁壁86に変更する処理を示したが、選択法面85の勾配を変更勾配に変更する処理は次のように行われる。
【0094】
まず、選択法面85の路面71側の境界線を基準線とする。次に、この基準線を起点として変更勾配の方向に沿うように複数の法面構成小平面80(
図6参照)を配置して法面69を形成する。この法面構成小平面80を設計変更後の三次元設計モデル82の法面69を構成する要素として用いる。
図2に示した路面法面情報受付部22には、法面69の一段の高さ(直高)の設定値が受け付けられており、選択法面85の勾配の変更により、選択法面85を水平方向に投影した水平距離も変化するため、それに合わせて、小段70の位置も修正される。
【0095】
また、勾配が変更される法面69の指定方法について、指定した選択法面85のみの勾配が変更勾配に変更されるようにしてもよいし、選択法面85を含む現況地形72と路面71とを接続する複数段の法面69の勾配が一括して変更勾配に修正されるように設計変更するようにしてもよい。
【0096】
図2に示す復元指示受付部52は、擁壁86に設計変更された三次元設計モデル82を変更前の状態に復元する復元指示を受け付ける。この復元指示は、設計者によって入力部14から入力される。
【0097】
復元指示受付部52で復元指示を受け付けると、選択法面復元部54は、三次元設計モデル記憶部30から変更前の三次元設計モデル82の構成データを読み出して、読み出したデータを三次元設計モデル82に置き換える。このようにして、選択法面85を擁壁86に置換する前の三次元設計モデル82に復元する。
【0098】
通信部56は、通信回線9を介して、設計支援装置1の外部とのデータの送受信を行う。
【0099】
以上に説明した設計支援装置1を構成する数値地図要求部16、数値地図受付部18、路面法面情報受付部22、道路線形受付部24、縦断線形受付部26、道路設計データ構成部27、三次元設計モデル構成部28、三次元設計モデル記憶部30、投影点座標受付部32、投影画像描画部34、横断線受付部36、横断面図描画部38、設計平面図描画部40、選択法面受付部42、選択法面強調部43、変更種別受付部44、変更勾配受付部45、変更開始指示受付部46、設計変更前設計モデル記憶部48、設計変更部50、復元指示受付部52、選択法面復元部54などの動作は、設計支援プログラムに基づいて制御部10により実行される。
【0100】
次に、本実施の形態に係る設計支援装置1の動作について説明する。
【0101】
図12は、本実施の形態に係る設計支援装置1の動作において道路の三次元設計モデル82を作成する流れを説明する概略図である。
【0102】
設計者が設計支援装置1を操作して、道路を設計し三次元設計モデル82を構成していくことになるが、まず、設計エリアの数値地
図60を数値地図提供サーバ2に要求する(ステップS10)。設計エリアの情報と数値地図要求が、設計支援装置1の数値地図要求部16から通信回線9を介して数値地図提供サーバ2に送出されると、これらの情報を受信する数値地図提供サーバ2は、要求された数値地
図60のデータを設計支援装置1に向けて送出する(ステップS30)。この数値地
図60のデータは設計支援装置1の数値地図受付部18で受け付けられる(ステップS11)。受け付けられた数値地
図60のデータは、補助記憶手段12に記憶され、制御部10により、この数値地
図60のデータに基づいて地形図である現況地形72が三次元デジタルデータとして構成される。
【0103】
なお、上述のように、数値地図要求部16と数値地図受付部18を、設計支援装置1に含めない構成を採用してもよく、この場合、道路の三次元設計モデル82の作成に先立って、あらかじめ、PCのウェブブラウザを用いて数値地図提供サーバ2にアクセスし数値地
図60のデータを取得したり、DVD-ROM等の記録媒体から記録されている数値地
図60のデータを取得したりして、補助記憶手段12に記憶させておく。また、測量業務や紙の地形図から数値地
図60のデータを作成して、補助記憶手段12に記憶させておくようにしてもよい。設計支援装置1による道路の三次元設計モデル82の作成時に、補助記憶手段12に記憶されている数値地
図60のデータに基づいて地形図である現況地形72が三次元デジタルデータとして構成される。
【0104】
次に、車道64や歩道66などの幅員、法面69の勾配等の道路の横断面形状の設定値が設計者により入力されると路面法面情報受付部22で受け付けられ(ステップS12)、道路線形61が入力されると道路線形受付部24で受け付けられる(ステップS13)。続いて、縦断線形68が入力されると縦断線形受付部26で受け付けられる(ステップS14)。
【0105】
このようにして道路設計に用いられる設定値が入力されると、道路設計データ構成部27では設定値に基づいて道路の設計データが構成される(道路設計データ構成処理、道路設計データ構成ステップS15)。この道路の設計データは補助記憶手段12に記憶される。また、三次元設計モデル構成部28では、この道路の設計データに基づいて三次元設計モデル82が構成され(三次元設計モデル構成処理、三次元設計モデル構成ステップS16)、三次元設計モデル82の構成データが三次元設計モデル記憶部30に記憶される(ステップS17)。
【0106】
設計者は三次元設計モデル82の二次元投影画像83を表示部20に表示させて設計結果を確認する。二次元投影画像83を表示させるために、設計者が投影点の三次元座標を入力すると、この投影点の座標が投影点座標受付部32に受け付けられる(投影点座標受付処理、投影点座標受付ステップS18)。投影画像描画部34では、投影点の座標から三次元設計モデル82を見たときの二次元投影画像83を表示する(投影画像描画処理、投影画像描画ステップS19)。
図7には、このようにして表示される二次元投影画像83の一例が示されている。
【0107】
また、設計された道路の横断面を確認するには、設計者が二次元投影画像83上で横断線75を入力する(
図8(a)参照)。入力される横断線75は、横断線受付部36で受け付けられ(横断線受付処理、横断線受付ステップS20)、横断面図描画部38が、横断線75に沿って道路の平面視方向から切断した横断面を表示させる(横断面図描画処理、横断面図描画ステップS21)(
図8(b)参照)。
【0108】
次に、設計支援装置1において法面69を擁壁86に変更する動作について説明する。
【0109】
図13は、道路の三次元設計モデル82の法面69を選択して擁壁86に設計変更する流れを説明する概略図である。
【0110】
まず、三次元設計モデル記憶部30に記憶されている道路の三次元設計モデル82が取り出される(ステップS40)。設計者が三次元設計モデル82の二次元投影画像83を表示させるために投影点の三次元座標を入力すると、投影点座標受付部32に受け付けられ(投影点座標受付処理、投影点座標受付ステップS41)、投影点の座標から見たときの二次元投影画像83が表示される(投影画像描画処理、投影画像描画ステップS42)。
【0111】
続いて、設計者からの指示が入力されると、設計平面図描画部40が、三次元設計モデル82の平面図である設計平面
図84を表示させる(設計平面図描画処理、設計平面図描画ステップS43)。設計者は、設計平面
図84を参照して、例えば、用地が広すぎると感じる法面69を設計平面
図84上で直接的に指定して擁壁86に変更する選択法面85として選択する。このように選択される選択法面85が選択法面受付部42に受け付けられる(選択法面受付処理、選択法面受付ステップS44)と、選択法面強調部43により選択法面85の領域が強調表示される(選択法面強調処理、選択法面強調ステップS45)(
図9参照)。
【0112】
選択法面85が指定されると表示部20には、設計変更の確認表示(
図10(a)参照)がされ、設計者が擁壁86への設計変更開始指示を入力すると、変更開始指示受付部46で受け付けられる(変更開始指示受付処理、変更開始指示受付ステップS46)。設計変更開始指示を受け付けると、変更前の三次元設計モデル82の構成データが設計変更前設計モデル記憶部48に記憶され(ステップS47)、その後、設計変更部50が、選択法面85を擁壁86に置換するように変更して三次元設計モデル82が構成される(設計変更処理、設計変更ステップS48)。そして、設計変更された三次元設計モデル82の二次元投影画像83が、投影画像描画部34により表示される(投影画像描画処理、投影画像描画ステップS49)(
図11(a)参照)。また、三次元設計モデル82について選択法面85を擁壁86に設計変更した結果は、道路の設計データにも反映される。
【0113】
三次元設計モデル82の横断面を確認するには、設計者が二次元投影画像83上で横断線75を入力する(
図11(a)参照)。入力される横断線75は、横断線受付部36で受け付けられ(横断線受付処理、横断線受付ステップS50)、横断面図描画部38が、横断線75に沿って道路の平面視方向から切断した横断面を表示させる(横断面図描画処理、横断面図描画ステップS51)(
図11(b)参照)。
【0114】
変更された三次元設計モデル82で確定する場合(ステップS52のYes)には、三次元設計モデル記憶部30に記憶される(ステップS53)。一方、変更された三次元設計モデル82に確定せず、変更前の状態に戻す場合(ステップS52のNo)、設計者が入力する復元指示を復元指示受付部52で受け付ける(復元指示受付処理、復元指示受付ステップS54)と、選択法面復元部54が、三次元設計モデル記憶部30から変更前の三次元設計モデル82の構成データを読み出して、読み出したデータを三次元設計モデル82に置き換え復元される(選択法面復元処理、選択法面復元ステップS55)。
【0115】
以上では
図13を用いて、道路の三次元設計モデル82の法面69を擁壁86に設計変更する流れを説明したが、三次元設計モデル82の法面69の勾配を変更する流れは、次のようになる。
【0116】
図13中の選択法面受付ステップS44において選択法面85が受け付けられ、選択法面85の領域が強調表示される(選択法面強調処理、選択法面強調ステップS45)と、表示部20には、設計変更入力画面90が表示される(
図10(a)参照)。設計者がこの画面90の「法面勾配の変更」選択ボタン93を選択し、変更勾配入力ボックス94に変更勾配を入力すると、入力された変更勾配が変更勾配受付部45に受け付けられる(変更勾配受付処理、変更勾配受付ステップ)。その後、設計者が「設計変更」開始ボタン95を押下すると、設計変更開始指示が変更開始指示受付部46に受け付けられ(変更開始指示受付処理、変更開始指示受付ステップS46)、変更前の三次元設計モデル82の構成データが設計変更前設計モデル記憶部48に記憶された(ステップS47)後に、設計変更部50が、選択法面85の勾配を変更勾配に修正するように設計変更して三次元設計モデル82が構成される(設計変更処理、設計変更ステップS48)。
【0117】
次に、本実施の形態の効果について説明する。
【0118】
本実施の形態によれば、道路の三次元設計モデル82を用いて設計平面
図84が表示され、その設計平面
図84上で選択される選択法面85が擁壁86に置換されるように設計変更される。このように、三次元設計モデル82の法面69を設計平面
図84上で直接的に選択して容易に擁壁86に変更できる。
【0119】
また、本実施の形態によれば、道路の三次元設計モデル82を用いて設計平面
図84が表示され、その設計平面
図84上で選択される選択法面85の勾配が変更勾配に修正されるように設計変更される。このように、三次元設計モデル82の法面69を設計平面
図84上で直接的に選択して容易に勾配を変更できる。
【0120】
また、本実施の形態によれば、三次元設計モデル82の二次元投影画像83が表示され、二次元投影画像83上で法面69を切断する横断線75を設定すると、その横断線75に沿って横断面図が表示される。このように、三次元設計モデル82の横断面図を容易に表示させることができる。また、法面69が設計変更された後には、設計変更後の横断面図が表示できる。
【0121】
また、本実施の形態によれば、変更される法面69が強調表示されるため、目視で容易に確認でき、誤った設計変更を防止できる。
【0122】
また、本実施の形態によれば、設計変更した後でも変更前の法面69に復元できるため、設計者は、設計変更をやり直すことできるという安心感を持って設計できる。
【符号の説明】
【0123】
1…設計支援装置、2…数値地図提供サーバ、9…通信回線、10…制御部、12…補助記憶手段、14…入力部、16…数値地図要求部、18…数値地図受付部、20…表示部、22…路面法面情報受付部、24…道路線形受付部、26…縦断線形受付部、27…道路設計データ構成部、28…三次元設計モデル構成部、30…三次元設計モデル記憶部、32…投影点座標受付部、34…投影画像描画部、36…横断線受付部、38…横断面図描画部、40…設計平面図描画部、42…選択法面受付部、43…選択法面強調部、44…変更種別受付部、45…変更勾配受付部、46…変更開始指示受付部、48…設計変更前設計モデル記憶部、50…設計変更部、52…復元指示受付部、54…選択法面復元部、56…通信部、60…数値地図、61…道路線形、62…測点、63…管理断面線、64…車道、65…路肩、66…歩道、67…現況縦断面図、68…縦断線形、69…法面、70…小段、71…路面、72…現況地形、73…計画横断面、74…現況横断面、75…横断線、80…法面構成小平面、81…現況地形メッシュ平面、82…三次元設計モデル、83…二次元投影画像、84…設計平面図、85…選択法面、86…擁壁、87…擁壁構成小平面